JP7196739B2 - エンジンの燃焼制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、複数の気筒を備え、各気筒において内部EGRの動作を実行可能なエンジンの燃焼制御装置に関する。
複数の気筒を備えるエンジンでは、気筒間での空燃比のバラツキを抑制することが、出力の安定性及び燃費性能の向上の観点から肝要となる。特許文献1には、排気集合部に配置された空燃比センサの検出値に基づいて各気筒の空燃比を判別すると共に、各気筒の空燃比を制御する手法が開示されている。しかし、この手法では、排気ガスの流量が少なくなる低負荷運転時等において、各気筒の空燃比を判別することが困難となり、的確な空燃比制御が行えないという欠点がある。
ところで、気筒の筒内温度を所要の温度に調整するために、高温の既燃ガスを気筒内に残存させる内部EGRが汎用されている。一般に内部EGRは、吸気弁と排気弁とを共に開弁状態とするバルブオーバーラップの設定によって実現される。例えば、圧縮自着火燃焼を行わせるエンジンでは、内部EGRの実行により気筒内の混合気の温度を自着火可能な温度にまで高めることができる。気筒の空燃比の制御、ひいては気筒間での空燃比のバラツキ抑制の制御には、前記内部EGRによる吸気ポートから気筒内への吸気(新気)の再吸入量も考慮する必要がある。
特開平8-232729号公報
エンジンには車両への搭載性の観点からしばしばコンパクト化の要請があり、吸気系及び排気系の経路も可及的に短く設定することが求められる場合がある。例えば、吸気系はサージタンクと各気筒の吸気ポートとを接続する独立吸気通路を有するが、この独立吸気通路を短く設定せざるを得ない場合がある。この場合、内部EGRのためのバルブオーバーラップの期間に、吸排気差圧によって一の気筒の吸気ポートから一旦吹き出された吸気が、独立吸気通路を通してサージタンクに至り、その後に自身の気筒ではなく他の気筒に再吸入される現象が生じることがある。この現象によって、気筒間において吸気の再吸入量の相違が生じ、結果として気筒間の空燃比のバラツキが招来されることとなる。
本発明の目的は、内部EGRが実施されるエンジンにおいて、複数の気筒間での空燃比のバラツキを抑制することができるエンジンの燃焼制御装置を提供することにある。
本発明の一局面に係るエンジンの燃焼制御装置は、複数の気筒と、前記複数の気筒への吸気経路に配置されるサージタンクと、前記サージタンクと前記複数の気筒の各吸気ポートとを接続する独立吸気通路と、前記複数の気筒の各吸気ポート及び各排気ポートを各々開閉する吸気弁及び排気弁と、前記複数の気筒の各々に対して配置され、各気筒内に燃料を供給する燃料噴射弁と、前記吸気弁と前記排気弁とを共に開弁状態とするバルブオーバーラップの設定によって内部EGRを実現する内部EGR機構と、前記燃料噴射弁の各々の燃料噴射量を、エンジンの運転状態に応じて制御する制御ユニットと、を備えるエンジンの燃焼制御装置であって、前記制御ユニットは、エンジンの運転状態に応じて定められた気筒毎の目標燃料噴射量を、各気筒における内部EGRによる吸気の前記吸気ポートからの再吸入量に応じて気筒毎に設定される再吸入補正量に基づき補正すると共に、前記再吸入補正量を、前記排気弁の閉時期に応じて補正する、エンジンの燃焼制御装置において、前記独立吸気通路は、前記バルブオーバーラップの期間において前記吸気ポートから吹き出した吸気が前記サージタンクに至ることを許容する長さに設定されており、前記制御ユニットは、前記排気弁の閉時期が遅くなるほど、前記再吸入補正量を増量するように補正する。
この燃焼制御装置によれば、何らかの要因で内部EGRによる吸気の再吸入量において複数の気筒間にバラツキが生じる場合でも、再吸入補正量によって気筒毎に目標燃料噴射量が補正される。また、前記再吸入補正量が、排気弁の閉時期に応じて補正される。排気弁の閉時期は、内部EGRによって気筒へ戻される既燃ガスの量に影響を与え、さらには吸気ポートから吹き出される吸気の量にも影響を与える。吹き出し吸気量が変動すると、その再吸入の態様にも変動が生じ得る。従って、前記再吸入補正量を固定的に設定するのではなく、さらに排気弁の閉時期に応じて補正することで、気筒毎に空燃比をより正確に調整することができる。これにより、運転状態を反映して、複数の気筒間で精度良く空燃比を揃えることができる。
上記のエンジンの燃焼制御装置において、前記独立吸気通路は、前記バルブオーバーラップの期間において前記吸気ポートから吹き出した吸気が前記サージタンクに至ることを許容する長さに設定されていることが望ましい。
この燃焼制御装置によれば、内部EGRの実行によって吸気ポートから排出された吸気がサージタンクに至る程度の長さに、独立吸気通路が設定される。このため、エンジンの車載性を高めることができる一方で、一の気筒の吸気ポートから一旦排出された吸気が、自身の気筒には再吸入されず、サージタンクを通して他の気筒に再吸入されてしまう現象が生じ得る。つまり、前記吸気の再吸入量が気筒間で相違することが生じ得る。このような再吸入量の相違が発生しても、前記再吸入補正量によって目標燃料噴射量が気筒毎に補正されるので、気筒間における空燃比のバラツキを抑制することができる。
上記のエンジンの燃焼制御装置において、前記制御ユニットは、前記排気弁の閉時期が遅くなるほど、前記再吸入補正量を増量するように補正することが望ましい。
排気弁の閉時期が遅くなるほど、排気ポートを一旦出た既燃ガスは気筒へ戻り易くなり、既燃ガスの戻り量は多くなる。これに伴い、吸気ポートからの吹き出し吸気量も多くなるので、気筒間で吸気の再吸入量のバラツキも大きくなる傾向となる。上記の燃焼制御装置によれば、排気弁の閉時期の遅角に伴って前記再吸入補正量が増量されるので、的確に気筒間における空燃比のバラツキを抑制することができる。
上記のエンジンの燃焼制御装置において、前記制御ユニットは、吸気圧が高くなるほど、前記再吸入補正量を減量するように補正することが望ましい。
前記吸気圧が高い場合は、吸排気差圧が小さくなることに伴い、吸気ポートからの吸気の吹き出し自体が少なくなり、自ずと再吸入量も少なくなる。このため、気筒間での再吸入量のバラツキも小さくなることから、吸気圧が高くなるほど前記再吸入補正量を減量するように補正することで、実情に即した目標燃料噴射量の補正を達成することができる。
上記のエンジンの燃焼制御装置において、前記複数の気筒のうち、前記吸気ポートからの前記内部EGRによる吸気の再吸入量が所定量である第1の気筒と、前記再吸入量が前記第1の気筒よりも多い第2の気筒とが存在し、前記制御ユニットは、前記第1の気筒については空燃比がリーン側に、前記第2の気筒については空燃比がリッチ側に向かうように、前記目標燃料噴射量を補正することが望ましい。
この燃焼制御装置によれば、吸気ポートからの吸気の再吸入量が相対的に少ない第1の気筒についてはリーン側、つまり燃料噴射量を減少させるように、一方、相対的に多い第2の気筒についてはリッチ側、つまり燃料噴射量を増加させるように目標燃料噴射量が補正される。従って、エンジン固有の再吸入特性に応じた燃料噴射量補正を各気筒について行い、気筒間で空燃比を一定値(例えばλ=1)に揃えることができる。
上記のエンジンの燃焼制御装置において、前記エンジンは、4つの気筒が一列に並ぶ4気筒エンジンであり、前記独立吸気通路は前記気筒の配列方向に一列に並び、前記サージタンクは前記配列方向に長手の流路空間を備え、前記サージタンクには、当該サージタンクの長手方向の中央領域へ吸気を導入する上流吸気路が接続されるものであって、前記制御ユニットは、前記一列に並ぶ4つの気筒のうち、両端に位置する端部側気筒については空燃比がリーン側に、前記端部側気筒に挟まれる2つの中央側気筒については空燃比がリッチ側に向かうように、前記目標燃料噴射量を補正することが望ましい。
上記の吸気系の構成では、4つの気筒のうち、端部側気筒は吸気ポートからの吸気の再吸入量が相対的に少なく、中央側気筒は前記再吸入量が相対的に多くなる。つまり、内部EGRによって前記端部側気筒吸気ポートから一旦排出された吸気の一部が、前記中央側気筒の吸気ポートに再吸入される傾向が出る。上記の燃焼制御装置によれば、吸気の再吸入量が相対的に少ない端部側気筒についてはリーン側(燃料噴射量を減少)に、一方、相対的に多い中央側気筒についてはリッチ側(燃料噴射量を増加)に、目標燃料噴射量が補正される。従って、上記の吸気系の構成に基づく固有の再吸入特性に応じた燃料噴射量補正を各気筒について行い、4つの気筒間で空燃比を一定値(例えばλ=1)に揃えることができる。
上記のエンジンの燃焼制御装置において、前記制御ユニットは、少なくとも前記気筒の吸気弁と排気弁とが共に開弁状態となるバルブオーバーラップの量と、吸排気差圧と、前記排気弁の閉弁時期と、エンジン回転数とを要素とする多項式モデルを用いて算出される前記再吸入量に基づいて、前記再吸入補正量を設定することが望ましい。
この燃焼制御装置によれば、前記制御ユニットに、前記多項式モデルを用いて容易且つ的確に前記再吸入補正量を設定させることができる。
本発明によれば、内部EGRが実施されるエンジンにおいて、複数の気筒間での空燃比のバラツキを抑制することができるエンジンの燃焼制御装置を提供することができる。
図1は、本発明に係るエンジンの燃焼制御装置が適用される圧縮着火式エンジンの全体構成を概略的に示すシステム図である。 図2は、エンジン本体の外観を示す斜視図である。 図3は、吸気通路の構造を示すエンジン本体の縦断面図である。 図4は、吸気通路に配置されているサージタンク周辺の縦断面図である。 図5は、排気マニホールドの一部破断斜視図である。 図6は、エンジンの制御系統を示すブロック図である。 図7(A)~(C)は、各々温間時、半暖機時及び冷間時におけるエンジンの運転マップである。 図8は、SPCCI燃焼時の熱発生率の波形を示すグラフである。 図9(A)はλ=1燃焼時の、図9(B)はリーン燃焼時のバルブオーバーラップ期間を各々示すグラフ、図9(C)は、既燃ガスの戻り量とバルブオーバーラップ時間との関係を示すグラフである。 図10は、内部EGRの実行による気筒への排気の戻り、吸気の戻り及び再吸入の状況を説明するための模式図である。 図11(A)~(D)は、λ=1の運転領域における各気筒の燃料噴射量の補正傾向を示すグラフである。 図12(A)~(D)は、λ>1の運転領域における各気筒の燃料噴射量の補正傾向を示すグラフである。 図13(A)~(C)は、運転状態に依存する変数と、固有の再吸入補正量の補正傾向を各々示すグラフである。 図14(A)~(C)は、運転状態に依存する変数と、固有の再吸入補正量の補正傾向を各々示すグラフである。 図15は、内部EGR量予測値を求めるプロセスを示す模式図である。 図16は、燃料噴射量の補正手順を示す説明図である。 図17は、本実施形態の燃焼制御の具体例を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態では、本発明に係るエンジンの燃焼制御装置が、圧縮着火式エンジンに適用される例を挙げて説明する。もちろん、当該圧縮着火式エンジンは、各気筒において内部EGRの動作を実行可能なエンジンである。
[エンジンシステム]
先ず、前記圧縮着火式エンジンを備えたエンジンシステムについて説明する。図1は、本実施形態に係るエンジンシステムの全体構成を示す図である。エンジンシステムは、4サイクルの4気筒ガソリン直噴エンジンからなるエンジン本体1と、エンジン本体1に導入される吸気が流通する吸気通路30と、エンジン本体1から排出される排気ガスが流通する排気通路40と、排気通路40を流通する排気ガスの一部を吸気通路30に還流させるEGR装置50とを備えている。
エンジン本体1は、シリンダブロック3、シリンダヘッド4及びピストン5を備える。シリンダブロック3は、一列に並ぶ4つの気筒2(複数の気筒)を形成するシリンダライナを有する。なお、図1には、一つの気筒2だけを示されている。シリンダヘッド4は、シリンダブロック3の上面に取り付けられ、気筒2の上部開口を塞いでいる。ピストン5は、各気筒2に往復摺動可能に収容されており、コネクティングロッド8を介してクランク軸7と連結されている。ピストン5の往復運動に応じて、クランク軸7はその中心軸回りに回転する。
ピストン5の上方には燃焼室6が形成されている。燃焼室6にはガソリンを主成分とする燃料が、後述するインジェクタ15からの噴射によって供給される。供給された燃料と空気との混合気が燃焼室6で燃焼され、その燃焼による膨張力で押し下げられたピストン5が上下方向に往復運動する。気筒2の幾何学的圧縮比、つまりピストン5が上死点にあるときの燃焼室6の容積とピストン5が下死点にあるときの燃焼室6の容積との比は、後述するSPCCI燃焼に好適となるように、13以上30以下、好ましくは14以上18以下の高圧縮比に設定される。
シリンダブロック3には、クランク角センサSN1及び水温センサSN2が取り付けられている。クランク角センサSN1は、クランク軸7の回転角度(クランク角)及びクランク軸7の回転速度、つまりエンジン回転数を検出するために配置されている。水温センサSN2は、シリンダブロック3及びシリンダヘッド4の内部を流通する冷却水の温度、すなわちエンジン水温を検出する。
シリンダヘッド4には、燃焼室6と連通する吸気ポート9及び排気ポート10が形成されている。シリンダヘッド4の底面は、燃焼室6の天井面となる。この燃焼室天井面には、吸気ポート9の下流端である吸気側開口と、排気ポート10の上流端である排気側開口とが形成されている。シリンダヘッド4には、吸気ポート9を開閉する吸気弁11と、排気ポート10を開閉する排気弁12とが組み付けられている。なお、図示は省いているが、エンジン本体1のバルブ形式は、吸気2バルブ×排気2バルブの4バルブ形式であって、吸気ポート9及び排気ポート10は、各気筒2につき2つずつ設けられるとともに、吸気弁11及び排気弁12も2つずつ設けられている。
シリンダヘッド4には、カムシャフトを含む吸気側動弁機構13及び排気側動弁機構14が配設されている。吸気弁11及び排気弁12は、これら動弁機構13、14により、クランク軸7の回転に連動して開閉駆動される。吸気側動弁機構13には、吸気弁11の少なくとも開時期を変更可能な吸気VVT13aが内蔵されている。同様に、排気側動弁機構14には、排気弁12の少なくとも閉時期を変更可能な排気VVT14aが内蔵されている。これら吸気VVT13a及び排気VVT14aの制御により、吸気弁11と排気弁12とを共に排気上死点を跨いで開弁状態とするバルブオーバーラップを設定することが可能である(内部EGR機構)。このバルブオーバーラップの設定により、燃焼室6に高温の既燃ガスを残存させる内部EGRが実現される。また、バルブオーバーラップが為されている期間であるバルブオーバーラップ量の調整により、内部EGR量(既燃ガスの残存量)を調整することが可能である。
シリンダヘッド4には、さらにインジェクタ15(燃料噴射弁)及び点火プラグ16が、4つの気筒2の各々に対して配置されている。インジェクタ15は、気筒2内に燃料を噴射(供給)する。インジェクタ15としては、その先端部に複数の噴孔を有し、これらの噴孔から放射状に燃料を噴射することが可能な多噴孔型のインジェクタを用いることができる。インジェクタ15は、その先端部が燃焼室6内に露出し、且つ、ピストン5の冠面の径方向中心部と対向するように配置されている。
点火プラグ16は、インジェクタ15に対し吸気側に幾分ずれた位置に配置され、その先端電極部が気筒2内に臨む位置に配置されている。点火プラグ16は、気筒2(燃焼室6)内に形成される燃料と空気との混合気に点火する強制点火源である。
シリンダヘッド4には、センシング要素として、筒内圧センサSN3、吸気カム角センサSN12及び排気カム角センサSN13は配設されている。筒内圧センサSN3は、燃焼室6の圧力を検出する。吸気カム角センサSN12は、吸気側動弁機構13のカムシャフトの回転位置を検出する。排気カム角センサSN13は、排気側動弁機構14のカムシャフトの回転位置を検出する。
吸気通路30は、外気と吸気ポート9と連通するようにシリンダヘッド4の一側面に接続されている。吸気通路30の上流端から取り込まれた空気(新気)は、吸気通路30及び吸気ポート9を通じて燃焼室6に導入される。吸気通路30には、その上流側から順に、エアクリーナ31、スロットル弁32、過給機33、電磁クラッチ34、インタークーラ35、サージタンク36及び独立吸気通路37が配置されている。
エアクリーナ31は、吸気中の異物を除去して吸気を清浄化する。スロットル弁32は、アクセル17の踏み込み動作と連動して吸気通路30を開閉し、吸気通路30における吸気の流量を調整する。過給機33は、吸気を圧縮しつつ吸気通路30の下流側へ当該吸気を送り出す。過給機33は、エンジン本体1と機械的に連係されたスーパーチャージャであり、電磁クラッチ34によりエンジン本体1との締結及びその締結解除が切換えられる。電磁クラッチ34が締結されると、エンジン本体1から過給機33に駆動力が伝達されて、過給機33による過給が行われる。インタークーラ35は、過給機33により圧縮された吸気を冷却する。
サージタンク36は、4つの気筒2への吸気経路に配置され、当該4つの気筒2に吸気を均等に配分するための空間を提供するタンクである。独立吸気通路37は、サージタンク36の下流側に配置され、サージタンク36と4つの気筒2の各吸気ポート9とを独立的に接続する通路である。エアクリーナ31側から供給される吸気は、エアクリーナ31に流入した後、各々の独立吸気通路37を通して各気筒2の吸気ポート9へ供給される。各気筒2に対応して設けられる2つの吸気ポート9の内の一方には、スワール弁37Aが配置されている。スワール弁37Aの開度を調整することで、燃焼室6の中心軸の回りを旋回するスワール流の強度を調整することができる。なお、本実施形態の吸気ポート9はタンブル流を形成可能なタンブルポートである。このため、スワール弁37Aの閉時に形成されるスワール流は、タンブル流とミックスされた斜めスワール流となる。
吸気通路30の各部には、吸気の流量を検出するエアフローセンサSN4と、吸気の温度を検出する第1・第2吸気温センサSN5,SN7と、吸気の圧力を検出する第1・第2吸気圧センサSN6,SN8とが設けられている。エアフローセンサSN4及び第1吸気温センサSN5は、吸気通路30におけるエアクリーナ31とスロットル弁32との間の部分に配置され、当該部分を通過する吸気の流量、温度を各々検出する。第1吸気圧センサSN6は、吸気通路30におけるスロットル弁32と過給機33との間(後述するEGR通路51の接続口よりも下流側)の部分に設けられ、当該部分を通過する吸気の圧力を検出する。第2吸気温センサSN7は、吸気通路30における過給機33とインタークーラ35との間の部分に設けられ、当該部分を通過する吸気の温度を検出する。第2吸気圧センサSN8は、サージタンク36に設けられ、当該サージタンク36内の吸気の圧力を検出する。
吸気通路30には、過給機33をバイパスして吸気を燃焼室6に送るためのバイパス通路38が設けられている。バイパス通路38は、サージタンク36と後述するEGR通路51の下流端付近とを互いに接続している。バイパス通路38には、当該バイパス通路38を開閉可能なバイパス弁39が設けられている。
排気通路40は、排気ポート10と連通するようにシリンダヘッド4の他側面に接続されている。燃焼室6で生成された既燃ガス(排気ガス)は、排気ポート10および排気通路40を通じて外部に排出される。排気通路40には触媒コンバータ41が配置されている。触媒コンバータ41には、排気通路40を流通する排気ガス中に含まれる有害成分(HC、CO、NOx)を浄化するための三元触媒41aと、排気ガス中に含まれる粒子状物質(PM)を捕集するためのGPF(ガソリン・パティキュレート・フィルタ)41bとが内蔵されている。なお、触媒コンバータ41の下流側に、三元触媒やNOx触媒等の適宜の触媒を内蔵した別の触媒コンバータを追加してもよい。
排気通路40における触媒コンバータ41よりも上流側の部位には、排気ガス中に含まれる酸素の濃度を検出するリニアOセンサSN9と、排気ガスの温度を計測する排気温センサSN10とが設けられている。リニアOセンサSN9は、酸素濃度の濃淡に応じて出力値がリニアに変化するタイプのセンサである。リニアOセンサSN9の出力値に基づいて、混合気の空燃比を推定することが可能である。排気温センサSN10の計測値は、内部EGR量の予測値算出に用いられる。
EGR装置50は、排気通路40と吸気通路30とを接続するEGR通路51と、EGR通路51に設けられたEGRクーラ52及びEGR弁53とを備える。EGR通路51は、排気通路40における触媒コンバータ41よりも下流側の部分と、吸気通路30におけるスロットル弁32と過給機33との間の部分とを互いに接続している。EGRクーラ52は、EGR通路51を通じて排気通路40から吸気通路30に還流される排気ガス(外部EGR)を熱交換により冷却する。EGR弁53は、EGRクーラ52よりも下流側のEGR通路51に開閉可能に設けられ、EGR通路51を流通する排気ガスの流量を調整する。なお、EGR通路51には、EGR弁53の上流側の圧力と下流側の圧力との差を検出するための差圧センサSN11が設けられている。
アクセル17には、そのアクセル開度を検出するアクセル開度センサSN14が付設されている。アクセル開度センサSN14は、アクセル17のペダル踏み込み具合を検出するセンサであり、ドライバーの加減速意図を検出するセンサでもある。
[吸気通路及び排気通路の構造的特徴]
次に、上述の吸気通路30及び排気通路40の構造的な特徴を説明する。図2は、エンジン本体1の外観を示す斜視図、図3は、吸気通路30の構造を示すエンジン本体1の前後方向縦断面図、図4は、吸気通路30に配置されているサージタンク36周辺を示すエンジン本体1の左右方向縦断面図である。これらの図には、上下、前後、左右の方向表示を付しているが、これは説明の便宜のためであり、実際の方向を限定する趣旨ではない。
吸気通路30は、エンジン本体1の前面101側に取り付けられている。図2及び図3には現れていないが、排気通路40はエンジン本体1の後面側に取り付けられている。図1にも記載しているが、吸気通路30は、第1通路301、第2通路302及び第3通路303を含んでいる。第1通路301は、エアクリーナ31と過給機33との間を接続する吸気通路である。EGR通路51の下流端は、スロットル弁32の下流側において第1通路301に合流している。第2通路302は、過給機33とインタークーラ35との間を接続する吸気通路である。第3通路303は、インタークーラ35とサージタンク36との間を接続する吸気通路である。
過給機33は、エンジン本体1の上部右側付近において前面101に添設されている。第1通路301は、過給機33から右方へ突出するように延び、エアクリーナ31で清浄化された空気を過給機33に導く。インタークーラ35は、エンジン本体1の下部付近において前面101に添設されている。第2通路302は、エンジン本体1の左右方向の中央部において上下方向に延び、過給機33を通過した空気(及び外部EGR)をインタークーラ35に導く。インタークーラ35は、水冷式のコア351と、コア351を支持するクーラハウジング352とを含む。第2通路302の下流端と第3通路303の上流端とは、クーラハウジング352で連結されている。
サージタンク36は、図3に示すように、吸気ポート9の上流端と対向し且つ過給機33の後面に隣接するように、エンジン本体1の上部付近に配置されている。第3通路303は、エンジン本体1の左右方向の中央部において上下方向に延び、インタークーラ35を通過して冷却された空気をサージタンク36に導く。バイパス通路38は、エンジン本体1の上部付近において左右方向に延びている。
独立吸気通路37は、サージタンク36と吸気ポート9の上流端とを接続するように前後方向に延びている。図3では、スワールバルブ37Vが配置されている独立吸気通路37が示されている。本実施形態の独立吸気通路37は、流路長が短い通路であり、サージタンク36の内部空間36Rの前後方向幅よりも短い流路長に設定されている。具体的には、独立吸気通路37の流路長は、内部空間36Rの前後方向幅の1/2程度であって、スワールバルブ37Vの弁体長よりもやや長い程度に設定されている。つまり、スワールバルブ37Vが全開になると、その弁体の一方端が吸気ポート9に入り込み、他方端がサージタンク36に入り込む。このような短尺の独立吸気通路37とすることにより、エンジンシステムのコンパクト化が図られ、車両への搭載性が良好となる。但し、当該独立吸気通路37の流路長は、内部EGRの実行のためのバルブオーバーラップの期間において、吸気ポート9から吹き出した吸気がサージタンク36に至ることを許容する長さでもある。これによる不具合は、図10に基づき後述する。
図2及び図3には、吸気通路30における吸気の流れが矢印F1~F5にて示されている。矢印F1の通り、エアクリーナ31を経て吸気は第1通路301に取り入れられる。次に吸気は、過給機33のコンプレッサのスクロール部を経て、第2通路302に吹き出される。続いて吸気は、第2通路302を上から下へ流れ(矢印F2)、インタークーラ35のクーラハウジング352に入り、コア351を通過する(矢印F3)。その後、吸気は、第3通路303を下から上へ流れ(矢印F4)、サージタンク36の内部空間36Rへ至る。しかる後、吸気は、流動方向を前後方向に変え、各々の独立吸気通路37を通過して吸気ポート9へ流入する(矢印F5)。
サージタンク36と各々の独立吸気通路37との配置関係について、図4を参照して説明する。サージタンク36を形成するハウジングは、第3通路303(上流吸気路)を形成するハウジングと一体的に形成されている。第3通路303のハウジングは、インタークーラ35を通過した吸気を集める集合部304と、集合部304の下流に連なりサージタンク36に接続される導入部305とを含む。
サージタンク36は、左右方向に長手の内部空間36R(流路空間)を備えている。内部空間36Rの長手方向は、4つの気筒2が一列に並ぶ配列方向(左右方向)である。導入部305(第3通路303)の下流端は、サージタンク36の底壁361に開口された導入口362を通して、内部空間36Rに連通している。導入口362は、底壁361の長手方向中央領域に配置されている。すなわち第3通路303は、矢印F4で示すように、サージタンク36の長手方向の中央領域へ吸気を導入する構造(以下、「センター吸気構造」という)である。
独立吸気通路37は、底壁361と直交する壁であるサージタンク36の後壁363に設けられた開口から後方に延びている。後壁363は左右方向に長手の壁である。既述の通り、各気筒2は4バルブ形式であるので、各気筒2にはそれぞれ2つの独立吸気通路37が設けられる。図4では、4つの気筒2を#1~#4気筒2と表すものとし、#1気筒2に対応する2つの独立吸気通路を「37_#1」、#2気筒2に対応する2つの独立吸気通路を「37_#2」というように表示している。合計8つの独立吸気通路37_#1~37_#4は、4つの気筒2の配列方向である左右方向に一列に並んでいる。導入口362に対して、#1、#4気筒2の独立吸気通路37_#1、37_#4は比較的遠く、#2、#3気筒2の独立吸気通路37_#2、37_#3は比較的近いという位置関係にある。
次に、排気通路40の構造的特徴について説明する。図5に示すように、排気通路40は、エンジン本体1の排気ポート10に接続される排気マニホールド42(排気集合部)を備えている。排気マニホールド42は、#1~#4気筒2の各排気ポート10から排出される排気を集合する。排気マニホールド42にて集合された排気は、触媒コンバータ41に連なる排気管43(下流排気路)によって下流に導かれる。
排気マニホールド42は、#1~#4気筒2の各々に対応した独立排気管44_#1~44_#4(排気経路)と、独立排気管44_#1~44_#4にて導かれる排気を合流させる合流部45と、エンジン本体1の後面への取り付け部となる締結フランジ46とを含む。図5から明らかな通り、#1~#4気筒2のうち、右端(一の端部)に位置する#1気筒2(一端側気筒)に対応する独立排気管44_#1が、排気ポート10から下流側の排気管43への経路が最も短くなっている。そして、#2~#4気筒2に対応する独立排気管44_#2、44_#3、44_#4については、#2、#3、#4と左側(他の端部側)に位置する気筒2ほど、排気ポート10から排気管43への経路が長くなっている。つまり、独立排気管44_#1は直進的に最短流路長で排気管43に向かっているのに対し、#2、#3、#4と左側へ向かうほど、排気管43に対する独立排気管44_#2~44_#4の流路長が長くなる構造(以下、「端部偏在排気構造」という)である。
[制御構成]
図6は、前記エンジンシステムの制御構成を示すブロック図である。本実施形態のエンジンシステムは、プロセッサ60(エンジンの燃焼制御装置)によって統括的に制御される。プロセッサ60は、CPU、ROM、RAM等から構成されるマイクロプロセッサである。
プロセッサ60には各種センサからの検出信号が入力される。プロセッサ60は、上述したクランク角センサSN1、水温センサSN2、筒内圧センサSN3、エアフローセンサSN4、第1・第2吸気温センサSN5,SN7、第1・第2吸気圧センサSN6,SN8、リニアOセンサSN9、排気温センサSN10、差圧センサSN11、吸気カム角センサSN12、排気カム角センサSN13、アクセル開度センサSN14及び大気圧センサSN15と電気的に接続されている。大気圧センサSN15は、走行環境の大気圧を計測するセンサであり、専ら走行高度を検知するために用いられる。これらのセンサSN1~SN15によって検出された情報、すなわち、クランク角、エンジン回転速度、エンジン水温、筒内圧力、吸気流量、吸気温、吸気圧、排気ガスの酸素濃度、排気ガスの温度、EGR弁53の前後差圧、吸気・排気カム角、アクセル開度、大気圧等の情報がプロセッサ60に逐次入力される。
プロセッサ60は、上記各センサからの入力情報に基づいて種々の判定や演算等を実行しつつエンジンの各部を制御する。すなわち、プロセッサ60は、吸気VVT13a、排気VVT14a、インジェクタ15、点火プラグ16、スロットル弁32、電磁クラッチ34、バイパス弁39及びEGR弁53等と電気的に接続されており、上記演算の結果等に基づいてこれらの機器にそれぞれ制御用の信号を出力する。
ECU100は、所定のプログラムが実行されることによって、燃料噴射制御部61(制御ユニット)、点火制御部67及び記憶部68を機能的に具備するように動作する。燃料噴射制御部61は、#1~#4気筒2の各インジェクタ15による燃料噴射量を、エンジンの運転状態に応じて制御する。点火制御部67は、点火プラグ16の点火動作を制御する。記憶部68は、各種のデータや設定値、演算式等を記憶する。本実施形態では、後述する内部EGRにおける固有の再吸入補正量や、内部EGR量の推定のための多項式モデル等が記憶部68に格納される。
燃料噴射制御部61は、所定のプログラムが実行されることで、運転状態判定部62、噴射設定部63、EGR予測部64、第1補正部65及び第2補正部66を機能的に具備するように動作する。
運転状態判定部62は、クランク角センサSN1の検出値に基づくエンジン回転数、及びアクセル開度センサSN14の開度情報に基づくエンジン負荷などから、エンジン本体1の運転状態を判定する。この判定結果は、現状の運転領域が、予め定められた運転マップのどの領域であるかの判定に用いられる。
噴射設定部63は、インジェクタ15からの燃料噴射量及び噴射パターンを、各種の条件に応じて設定する。噴射設定部63は、アクセル開度センサSN14が検出するアクセル踏み込み量(エンジンの運転状態)に応じて、先ず目標燃料噴射量及び噴射パターンを設定する。さらに噴射設定部63は、内部EGRの実行状態に応じて、つまり後述の第1補正部65が導出する一次補正量、及び第2補正部66が導出する二次補正量を参照して、少なくとも目標燃料噴射量を補正する。
EGR予測部64は、吸気弁11及び排気弁12のバルブオーバーラップ期間の設定によって実行される内部EGRによる、既燃ガスの排気通路40側から気筒2内への戻り量(内部EGR量)の予測値を求める処理を行う。なお、前記既燃ガスの戻り量は、当該既燃ガスの戻りによって気筒2から吸気通路30側へ押し出される吸気の吹き出し量、ひいては吹き出された吸気の吸気ポート9からの再吸入量でもある。EGR予測部64は、記憶部68に格納されている多項式モデルを適用して、内部EGR量を求める。
第1補正部65は、噴射設定部63が運転状態に応じて設定した目標燃料噴射量を一次補正する。第1補正部65による一次補正量は、エンジン構造、特に吸気通路30及び排気通路40の構造によって定まる固有の補正量である。本実施形態では、吸気通路30はセンター吸気構造(図4)、排気通路40は端部偏在排気構造(図5)を備える。これら構造によって、内部EGRによる#1~#4気筒2における吸気ポート9からの吸気の再吸入量、若しくは排気ポート10からの既燃ガスの戻り量が、運転条件によっては異なってしまうことがある。例えば、バルブオーバーラップ量が比較的少なく、内部EGR量が比較的少ない運転領域では、センター吸気構造が気筒2毎の吸気再吸入量に影響を及ぼし、#1~#4気筒2間で空燃比のバラツキを招来する。一方、バルブオーバーラップ量が比較的多く、内部EGR量が比較的多くなる運転領域では、端部偏在排気構造が気筒2毎の既燃ガスの戻り量に影響を及ぼし、#1~#4気筒2間でガス空燃比のバラツキを招来する(図10に基づき後述する)。
第1補正部65は、内部EGR量が比較的少ない運転領域(後述のSPCCI_λ=1の運転領域)では、#1~#4気筒2の各吸気ポート9からの再吸入量に応じて#1~#4気筒2毎に設定される再吸入補正量を前記一次補正量として用いて、前記目標燃料噴射量を一次補正する。一方、第1補正部65は、内部EGR量が比較的多い運転領域(後述のSPCCI_λ>1の運転領域)では、#1~#4気筒2の各排気ポート10からの既燃ガス戻り量に応じて#1~#4気筒2毎に設定される戻り補正量を前記一次補正量として用いて、前記目標燃料噴射量を一次補正する。再吸入補正量及び戻り補正量は、内部EGR量と補正量とを関連付けて、#1~#4気筒2毎に記憶部68に格納されており、第1補正部65は当該再吸入補正量又は戻り補正量を読み出して、前記一次補正処理を行う。
第2補正部66は、少なくとも第1補正部65が設定した固有の再吸入補正量を、運転状態や環境条件に基づく変数に応じて二次補正する。前記変数としては、例えば吸気圧、バルブオーバーラップ量、排気弁12の閉弁時期、エンジン回転数、大気圧、排気ガス温度を例示することができる。上掲の変数が変化すると、各吸気ポート9からの吸気の再吸入量も変化することがある。従って、エンジン構造に由来する固有の再吸入補正量だけを適用したのでは、的確に#1~#4気筒2の空燃比を揃えることができない場合が生じ得る。この点に鑑み、第2補正部66は、前記変数の状況に応じて、第1補正部65が設定した固有の再吸入補正量を増量若しくは減量する二次補正を行う。第2補正部665による二次補正量は、前記変数の基準値からの乖離度合いによって予め定められる。
[運転マップ]
図7(A)~(C)は、エンジンの暖機の進行度合いとエンジンの回転速度/負荷とに応じた制御の相違を説明するための運転マップである。本実施形態では、エンジンの暖機が完了した温間時に用いられる第1運転マップQ1(図7(A))と、エンジンの暖機が途中まで進行した半暖機時に用いられる第2運転マップQ2(図7(B))と、エンジンが未暖機である冷間時に用いられる第3運転マップQ3(図7(C))とが用意されている。温間時の第1運転マップQ1には、燃焼形態の異なる第1、第2、第3、第4、第5運転領域A1、A2、A3、A4、A5が含まれており、半暖機時の第2運転マップQ2には、燃焼形態の異なる第6、第7、第8、第9運転領域B1、B2、B3、B4が含まれている。冷間時の第3運転マップQ3は、第10運転領域C1の一つからなる。
<温感時>
第1運転マップQ1において、第1領域A1は、エンジン負荷が低い(無負荷を含む)低負荷の領域から高速側の一部の領域を除いた低・中速/低負荷の領域である。第2領域A2は、第1領域A1よいも負荷が高い低・中速/中負荷の領域である。第4領域A4は、第2領域A2よりも負荷が高くかつ回転速度が低い低速/高負荷の領域である。第3領域A3は、第4領域A4よりも回転速度が高い中速/高負荷の領域である。第5領域A5は、第1~第4領域A1~A4のいずれよりも回転速度が高い高速領域である。
第1領域A1では、SI燃焼とCI燃焼とを組み合わせた部分圧縮着火燃焼(以下、これをSPCCI燃焼という)が実行される。SI燃焼とは、点火プラグ16から発生する火花により混合気に点火し、その点火点からその周囲へと燃焼領域を拡げていく火炎伝播により混合気を強制的に燃焼させる燃焼形態のことである。CI燃焼とは、ピストン5の圧縮により高温・高圧化された環境下で、混合気を自着火により燃焼させる燃焼形態のことである。これらSI燃焼とCI燃焼とを組み合わせたSPCCI燃焼とは、混合気が自着火する寸前の環境下で行われる火花点火により燃焼室6内の混合気の一部をSI燃焼させ、当該SI燃焼の後に(SI燃焼に伴うさらなる高温・高圧化により)燃焼室6内の他の混合気を自着火によりCI燃焼させる、という燃焼形態のことである。なお、「SPCCI」は「Spark Controlled Compression Ignition」の略である。
SPCCI燃焼は、SI燃焼時の熱発生よりもCI燃焼時の熱発生の方が急峻になるという性質がある。SPCCI燃焼による熱発生率の波形は、図8に示すように、SI燃焼に対応する燃焼初期の立ち上がりの傾きが、その後のCI燃焼に対応して生じる立ち上がりの傾きよりも小さくなる。言い換えると、SPCCI燃焼時の熱発生率の波形は、SI燃焼に基づく相対的に立ち上がりの傾きが小さい第1熱発生率部と、CI燃焼に基づく相対的に立ち上がりの傾きが大きい第2熱発生部とが、この順に連続するように形成される。また、このような熱発生率の傾向に対応して、SPCCI燃焼では、SI燃焼時に生じる燃焼室6内の圧力上昇率(dp/dθ)がCI燃焼時のそれよりも小さくなる。
SI燃焼によって、燃焼室6内の温度および圧力が高まると、これに伴い未燃混合気が自着火し、CI燃焼が開始される。図8に例示するように、この自着火のタイミング(つまりCI燃焼が開始するタイミング)で、熱発生率の波形の傾きが小から大へと変化する。すなわち、SPCCI燃焼における熱発生率の波形は、CI燃焼が開始するタイミングで現れる変曲点(図8のX)を有している。
CI燃焼の開始後は、SI燃焼とCI燃焼とが並行して行われる。CI燃焼は、SI燃焼よりも混合気の燃焼速度が速いため、熱発生率は相対的に大きくなる。ただし、CI燃焼は、圧縮上死点の後に行われるため、熱発生率の波形の傾きが過大になることはない。すなわち、圧縮上死点を過ぎるとピストン5の下降によりモータリング圧力が低下するので、このことが熱発生率の上昇を抑制する結果、CI燃焼時のdp/dθが過大になることが回避される。このように、SPCCI燃焼では、SI燃焼の後にCI燃焼が行われるという性質上、燃焼騒音の指標となるdp/dθが過大になり難く、単純なCI燃焼(全ての燃料をCI燃焼させた場合)に比べて燃焼騒音を抑制することができる。
CI燃焼の終了に伴いSPCCI燃焼も終了する。CI燃焼はSI燃焼に比べて燃焼速度が速いので、単純なSI燃焼(全ての燃料をSI燃焼させた場合)に比べて燃焼終了時期を早めることができる。従って、SPCCI燃焼では、燃焼終了時期を膨張行程内において圧縮上死点に近づけることができる。これにより、SPCCI燃焼では、単純なSI燃焼に比べて燃費性能を向上させることができる。
第1領域A1では、リーンな環境で上記のSPCCI燃焼が行われる(SPCCI_λ>1)。すなわち、スロットル弁32の開度が、理論空燃比相当の空気量よりも多くの空気が吸気通路30を通じて燃焼室6に導入される開度に設定される。具体的には、プロセッサ60は、吸気通路30を通じて燃焼室6に導入される空気(新気)と、インジェクタ15によって燃焼室6に噴射される燃料との重量比である空燃比(A/F)が、理論空燃比(14.7)よりも大きくなるように設定した状態で、燃焼室6内の混合気をSPCCI燃焼させる制御を実行する。
第1領域A1の多くの領域において、燃焼室6に既燃ガスを残留させる内部EGRが実行される。プロセッサ60は、吸気VVT13a及び排気VVT14aを制御して、排気上死点を挟んで吸・排気弁11,12の双方が開かれるバルブオーバーラップが形成されるように吸・排気弁11,12を駆動し、排気上死点を過ぎるまで(吸気行程初期まで)排気弁12を開弁させる。これにより、排気ポート10から燃焼室6へと既燃ガスが引き戻されて、内部EGRが実現される。バルブオーバーラップの期間は、所望のSPCCI燃焼の波形を得るのに適した筒内温度が実現されるように設定される。
第2領域A2では、燃焼室6内の空燃比が理論空燃比に略一致する環境下で混合気をSPCCI燃焼させる制御が実行される(SPCCI_λ=1)。スロットル弁32の開度は、理論空燃比相当の空気量が吸気通路30を通じて燃焼室6に導入されるような開度に設定される。なお、第2運転領域A2では、EGR弁53が開弁されて外部EGRガスが燃焼室6に導入される。このため、第2運転領域A2では、燃焼室6内の全ガスと燃料との重量比であるガス空燃比(G/F)は、理論空燃比(14.7)よりも大きくなる。従って、第2領域A2での運転時には、G/Fが理論空燃比よりも大きくかつA/Fが理論空燃比に略一致するG/Fリーン環境を形成しつつ、混合気をSPCCI燃焼させる制御が実行される。EGR弁53の開度は、A/Fベースでは理論空燃比が実現される開度に設定される。
第3領域A3では、燃焼室6内のA/Fが理論空燃比よりもややリッチになる環境下で混合気をSPCCI燃焼させる制御が実行される(SPCCI_λ≦1)。中速・高負荷に対応するには相応の燃料噴射量が必要となるため、リッチ環境が設定される。一方、高負荷ではあるが低速の運転領域である第4領域A4では、A/Fが理論空燃比に略一致する環境下で混合気をSPCCI燃焼させる制御が実行される(SPCCI_λ=1)。第5領域A5では、比較的オーソドックスなSI燃焼が実行される。A/Fは、理論空燃比もしくはこれよりもややリッチな値に設定される(SI_λ≦1)。なお、これら領域A3~A5においても、A/FはEGR弁53の開度にて調整することができる。
<半暖機時>
半暖機時の第2運転マップQ2において、第6領域B1は、第1運転マップQ1における第1・第2領域A1,A2を併合した領域に対応している。第7領域B2、第8領域B3及び第9領域B4は、それぞれ第1運転マップQ1の第3領域A3、第4領域A4及び第5領域A5に対応している。
第6領域B1では、第1運転マップQ1の第2領域A2と同様に、燃焼室6内のA/Fが理論空燃比に略一致する環境下で混合気をSPCCI燃焼させる制御が実行される(SPCCI_λ=1)。第6領域B1の少なくとも一部の領域において、バルブオーバーラップ期間を設定して燃焼室6に既燃ガスを残留させる内部EGRが実行される。過給機33は、第6領域B1の比較的高負荷の領域と、比較的高速側の領域とでON状態とされ、それ以外の領域ではOFF状態とされる。第6領域B1において、内部EGRが実行され、且つ、過給機33がOFF状態とされる領域の一部である特定領域B11において、後記で詳述する再吸入補正制御が実行される。
第7領域B2、第8領域B3及び第9領域B4は、それぞれ第1運転マップQ1の第3領域A3、第4領域A4及び第5領域A5と同様な制御が行われる。すなわち、第7領域B2では、燃焼室6内のA/Fが理論空燃比よりもややリッチになる環境下で混合気をSPCCI燃焼させる(SPCCI_λ≦1)。第8領域B3では、A/Fが理論空燃比に略一致する環境下で混合気をSPCCI燃焼させる(SPCCI_λ=1)。第9領域B4では、オーソドックスなSI燃焼が実行され、A/Fは、理論空燃比もしくはこれよりもややリッチな値に設定される(SI_λ≦1)。
<冷間時>
冷間時の第3運転マップQ3は、第10領域C1のみからなる。第10領域C1では、主に吸気行程中に噴射された燃料を空気と混合しつつSI燃焼させる制御が実行される。この第10領域C1での制御は、一般的なガソリンエンジンの燃焼制御と同様である。
[SI率について]
本実施形態では、SI燃焼とCI燃焼とを組み合わせたSPCCI燃焼が、第1運転マップQ1の第1~第4領域A1~A4及び第2運転マップQ2の第6~第8領域B1~B3において実行される。SPCCI燃焼では、SI燃焼とCI燃焼との比率を運転条件に応じて制御することが重要になる。本実施形態では、上記比率として、SPCCI燃焼中による1サイクル中の全熱発生量に対する、SI燃焼による熱発生量の割合であるSI率を用いて制御する。図8は、このSI率を説明するための図でもあり、SPCCI燃焼が起きたときの熱発生率(J/deg)のクランク角による変化を示している。
図8の波形における点Xは、燃焼形態がSI燃焼からCI燃焼に切り替わるときに現れる変曲点である。この変曲点Xに対応するクランク角θciを、CI燃焼の開始時期と定義する。このCI燃焼の開始時期であるθciよりも進角側に位置する熱発生率の波形の面積R1をSI燃焼による熱発生量とし、θciよりも遅角側に位置する熱発生率の波形の面積R2をCI燃焼による熱発生率とする。これにより、
(SI燃焼による熱発生量)/(SPCCI燃焼による熱発生量)
で定義される上述したSI率は、上記各面積R1,R2を用いて、R1/(R1+R2)で表すことができる。すなわち、SI率=R1/(R1+R2)である。
CI燃焼では、混合気が自着火により同時多発的に燃焼するため、火炎伝播によるSI燃焼と比べて圧力上昇率が高くなり易い。このため、特に、負荷が高く燃料噴射量が多い条件下で不用意にSI率を小さくすると、大きな騒音が発生してしまう。一方、CI燃焼は、燃焼室6が十分に高温・高圧化しないと発生しない。このため、負荷が低く燃料噴射量が少ない条件下では、SI燃焼がある程度進行してからでないとCI燃焼が開始されず、必然的にSI率は大きくなる。
このような事情を考慮して、本実施形態では、SPCCI燃焼が行われる運転領域において、SI率の目標値である目標SI率がエンジンの運転条件ごとに予め定められている。さらに、目標SI率に対応して、当該目標SI率に適合する燃焼が行われた場合のCI燃焼の開始時期である目標θciが、やはりエンジンの運転条件ごとに予め定められている。
上述した目標SI率および目標θciを実現するには、点火プラグ16による主点火の時期、インジェクタ15からの燃料の噴射量/噴射時期、EGR率(外部EGR率および内部EGR率)といった制御量を運転条件ごとに調整する必要がある。例えば、主点火の時期が進角されるほど、多くの燃料がSI燃焼により燃焼することになり、SI率が高くなる。また、燃料の噴射時期が進角されるほど、多くの燃料がCI燃焼により燃焼することになり、SI率が低くなる。あるいは、EGR率の増大に伴って筒内温度が高くなるほど、多くの燃料がCI燃焼により燃焼することになり、SI率が低くなる。さらに、SI率の変化はθciの変化を伴うので、これらの各制御量(主点火時期、噴射時期、EGR率等)の変化は、θciを調整する要素となる。本実施形態では、SPCCI燃焼の実行時に、例えば主点火時期、燃料の噴射量/噴射時期、EGR率(ひいては筒内温度)等が、上述した目標SI率および目標θciを実現可能な組合せになるように制御される。
[内部EGRの実行態様]
続いて、内部EGRの実行態様について説明する。本実施形態では、少なくとも半暖機時の第2運転マップQ2における第6領域B1(特定領域B11)、及び温感時の第1運転マップQ1における第1領域A1において、吸気弁11及び排気弁12の双方を開弁するバルブオーバーラップによる内部EGRが実行される。内部EGRの実行態様は、A/Fを理論空燃比に設定してSPCCI燃焼を行う第6領域B1(SPCCI_λ=1)と、A/Fをリーンに設定してSPCCI燃焼を行う第1領域A1(SPCCI_λ>1)とで相違する。
図9(A)は、第6領域B1のSPCCI_λ=1燃焼時におけるバルブオーバーラップ期間OVL-1の一例を示すグラフである。排気弁12の閉弁時期EVCはTDCよりも遅角したクランク角(CA)に、吸気弁11の開弁時期IVOはTDCよりも進角したクランク角に設定されている。バルブオーバーラップ期間OVL-1には、吸気弁11及び排気弁12の双方が開弁され、且つ、吸気に対して排気が高圧であるため、一旦は排気ポート10から排出された既燃ガスが、気筒2内に戻ることになる。また、当該既燃ガスの戻りによって、一旦は気筒2内に入った吸気が吸気ポート9から吸気通路30側へ吹き出されることになる。吹き出された吸気は、その後に吸気ポート9へ再吸入されることになる。SPCCI_λ=1の運転領域では、排気弁12の閉弁時期EVCと吸気弁11の開弁時期IVOとの間隔が比較的短く設定される。
図9(B)は第1領域A1のSPCCI_λ>1燃焼時におけるバルブオーバーラップ期間OVL-2の一例を示すグラフである。図9(A)のSPCCI_λ=1燃焼時に比較して、排気弁12の閉弁時期EVCはより遅角され、吸気弁11の開弁時期IVOはより進角されている。その結果、バルブオーバーラップ期間OVL-2は、OVL-1に比べて相当長い期間となっている。これは、リーン環境でSPCCI燃焼をさせる場合、着火性が悪化することから、内部EGR量を多くして筒内温度を上昇させる必要があるからである。
図9(C)は、既燃ガスの戻り量(内部EGR量)とバルブオーバーラップ時間との関係を示すグラフである。戻り量は、バルブオーバーラップ時間が長くなるほど多くなる傾向がある。図9(C)には、エンジン回転数を同一としたときの、図9(A)のSPCCI_λ=1燃焼時の戻り量と、図9(B)のSPCCI_λ>1燃焼時の戻り量とが指し示されている。バルブオーバーラップ期間OVL-1、OVL-2の相違に基づき、SPCCI_λ>1燃焼時の戻り量の方が相当多くなっている。OVL-2はOVL-1に比べてクランク角CAで+30deg程度に設定されることがある。この場合、排気ポート10から気筒2内に戻った既燃ガスが、吸気ポート9から吹き出されることすらある。
#1~#4気筒2間での空燃比のバラツキの度合いは、既燃ガスの戻り量によって相違することがある。既述の通り、本実施形態では、吸気通路30のサージタンク36はセンター吸気構造を採用していると共に、独立吸気通路37が極めて短尺であるという構造的特徴を有する。一方、排気通路40の排気マニホールド42は、#1気筒2の排気流路長が最も短い端部偏在排気構造を有している。
排気弁12の閉弁時期EVCが比較的早いSPCCI_λ=1燃焼時では、既燃ガスの戻り具合に対して、排気側の端部偏在排気構造の形状的特徴が影響を及ぼす前に、排気弁12が閉弁される。このため、専ら吸気側のセンター吸気構造に由来する吸気の再吸入の具合が、気筒2間での空燃比のバラツキの要因となる。一方、閉弁時期EVCが比較的遅いSPCCI_λ>1燃焼時では、既燃ガスの戻り量が大幅に増加する。このため、専ら排気側の端部偏在排気構造の形状的特徴に由来する既燃ガスの戻り具合が、気筒2間での空燃比のバラツキの要因となる。
[内部EGR実行時の吸気及び排気の挙動]
図10は、内部EGRの実行による気筒への排気の戻り、吸気の戻り及び再吸入の状況を説明するための模式図である。吸気G1は、吸気通路30の第3通路303から吸気G1がサージタンク36に導入される。燃焼後の排気G2は、排気マニホールド42を経て、排気管43に送り出される。これに対し、内部EGRの実行時には、バルブオーバーラップ期間の設定及び吸排気差圧により、#1~#4気筒2の各々へ排気G2の一部が戻る戻り排気G3が発生する。そして、戻り排気G3に押し出される形で、一旦は#1~#4気筒2に各々導入された吸気G1が吹き出す戻り吸気G4が発生する。
まず、戻り吸気G4の挙動について説明する。#1~#4気筒2に各々対応する独立吸気通路37_#1~#4が短尺であるので、戻り吸気G4は、独立吸気通路37_#1~#4を越えてサージタンク36まで吹き出すことがある。図10において、符号g11、g12、g13、g14は、独立吸気通路37_#1、37_#2、37_#3、37_#4から各々サージタンク36へ戻った吹き出し吸気を模式的に示している。
独立吸気通路37_#1~#4が相応に長尺である場合、戻り吸気G4は各々の独立吸気通路37_#1~#4内に吹き出し、その後に各吸気ポート9に再吸入される。このため、#1~#4気筒2間での空燃比のバラツキは生じない。しかし、サージタンク36の内部空間36Rまで戻り吸気G4が吹き出してしまうと、空燃比のバラツキを惹起する。具体的には、本実施形態に如くセンター吸気構造では、一列に並ぶ4つの気筒2のうち、両端に位置する#1、#4気筒2(第1の気筒/端部側気筒)と、#1、#4気筒2に挟まれる2つの#2、#3気筒2(第2の気筒/中央側気筒)との間で、空燃比のバラツキが生じる。
#1気筒2からの吹き出し吸気g11に着目する。吹き出し吸気g11の大部分は、その後の内燃サイクルの進行により、矢印r11で示すように、吹き出された独立吸気通路37_#1へ戻り、吸気ポート9_#1を通して#1気筒2へ再吸入される。しかし、センター吸気構造であることから、中央側の#2、#3気筒2に向かいがちな吸気G1の流動傾向の影響を受けることも相俟って、吹き出し吸気g11の一部は、サージタンク36の内部空間36Rを遊動する。そして、矢印r11a、r11bで示すように、吹き出し吸気g11の一部は、隣接する独立吸気通路37_#2へ入り込んだり、他の独立吸気通路37_#3、#4の方向へ向かったりする。このような挙動により、吹き出し吸気g11は#1気筒2へ全て戻らず、結果的に#1気筒2では空気量が不足することになる。
#4気筒2からの吹き出し吸気g14も同様である。内部空間36Rに吹き出した吹き出し吸気g14の大部分は、独立吸気通路37_#4へ戻り、吸気ポート9_#4を通して#4気筒2へ再吸入される。しかし、吹き出し吸気g14の一部は、矢印r14a、r14bで示すように、隣接する独立吸気通路37_#3へ入り込んだり、他の独立吸気通路37_#1、#2の方向へ向かったりする。かかる挙動により、#4気筒2も空気量が不足する。
これに対し、#2、#3気筒2では空気量が過剰となる。すなわち、#2気筒2からの吹き出し吸気g12は、吸気G1の流動のアシストも受けて、矢印r12で示すように、ほぼ全量が吹き出された独立吸気通路37_#2へ戻り、吸気ポート9_#2を通して#2気筒2へ再吸入される。同様に、#3気筒2からの吹き出し吸気g13も、矢印r13で示すように、ほぼ全量が吹き出された独立吸気通路37_#3へ戻り、吸気ポート9_#3を通して#3気筒2へ再吸入される。
これに加え、独立吸気通路37_#2には、#1気筒2からの吹き出し吸気g11の一部(矢印r11a)や、#4気筒2からの吹き出し吸気g14の一部(矢印r14b)が吸入され得る。同様に、独立吸気通路37_#3には、#4気筒2からの吹き出し吸気g14の一部(矢印r14a)や、#1気筒2からの吹き出し吸気g11の一部(矢印r11b)が吸入され得る。このため、#2、#3気筒2の吸気ポート9_#2、#3の再吸入量は、本来の戻り吸気G4の量よりも多い量となる。以上の挙動により、#1、#4気筒2の吸気の再吸入量(所定量)よりも、#2、#3気筒2の吸気の再吸入量が多くなるというバラツキが発生するものである。
上述のような戻り吸気G4の挙動は、吸気圧が相対的に高い(吸気圧差が小さい)運転状態では顕在化しない。例えば、過給機33が動作して吸気圧が高められているときには、たとえ独立吸気通路37が短尺であっても、戻り吸気G4はサージタンク36まで吹き出すことはない。また、EGR弁53が開放されて外部EGRがサージタンク36に入り込んでいる場合は、再吸入量のバラツキを打ち消すように外部EGRが各気筒2に入り込む挙動を示すので、結果的に#1~#4気筒2間での空燃比のバラツキが生じなくなる。
次に、戻り排気G3の挙動について説明する。排気マニホールド42は、図5に示した通り、#1気筒2(第4の気筒)の独立排気管44_#1が最も排気管43に対する経路が短く、#2~#4気筒2(第3の気筒)の独立排気管44_#2~#4については、徐々に排気管43に対する経路が長くなる端部偏在排気構造を有している。内部EGRの実行時、一旦は排気マニホールド42の合流部45乃至は排気管43に吹き出された既燃ガスである吹き出し排気g2は、戻り排気G3として、独立排気管44_#1~#4及び各排気ポート10_#1~#4を経て、#1~#4気筒2へ各々戻ることになる。
独立排気管44_#1は排気管43に対して直線的に連通しており、最も経路長が短いことから、吹き出し排気g2が最も戻り易いのは#1気筒2となり、最も戻り難いのは#4気筒2となる。独立排気管44_#1~#4は、吸気側の独立吸気通路37_#1~#4ほども短尺ではない。このため、既燃ガスの戻り量が少ない内部EGR量となるSPCCI_λ=1燃焼時では顕在化しないが、戻り量が多い内部EGR量となるSPCCI_λ>1燃焼時には、吹き出し排気g2の戻り易さに起因して、#1~#4気筒2間のG/Fのバラツキが発生する。当然、#1気筒2(一端側気筒)の既燃ガスの再吸入量が多く、#2~#4気筒2(残りの3つの気筒)については再吸入量が少なくなる傾向が出る。
[固有の再吸入補正量]
図11(A)~(D)は、SPCCI_λ=1の運転領域における#1~#4気筒2の燃料噴射量の補正傾向を示すグラフである。これらグラフの横軸BGR比は、気筒2(燃焼室6)内の既燃ガスの残量を示す指標であり、BGR比が増加するほど、既燃ガス量(つまり内部EGR量)が多いことを示す。縦軸の「+」は、目標燃料噴射量を増量する補正であることを、「-」は目標燃料噴射量を減量する補正であることを示す。
上記グラフに示す目標燃料噴射量の補正量は、本実施形態において採用されているセンター吸気構造によって定まる固有の補正量である。すなわち、当該補正量は、図10に示した各気筒2における内部EGRによる吸気の再吸入量に応じて、#1~#4気筒2毎に設定される固有の再吸入補正量である。第1補正部65(図6)は、これら再吸入補正量に基づいて、#1~#4気筒2に対して設定された目標燃料噴射量を一次補正する。記憶部68は、当該グラフに相当する再吸入補正量のテーブルデータを記憶する。
上述の通り、#1、#4気筒2(第1の気筒/端部側気筒)については吸気の再吸入量は比較的少なくなる。一方、#2、#3気筒2(第2の気筒/中央側気筒)については吸気の再吸入量が比較的多くなる。この場合、目標燃料噴射量通りに#1~#4気筒2に燃料噴射を実行させると、#1、#4気筒2では空気量が不足してA/Fがリッチに、逆に#2、#3気筒2では空気量が過剰となってA/Fがリーンとなり、A/Fにバラツキが生じる。このバラツキを是正するには、#1、#4気筒2についてはA/Fがリーン側に、#2、#3気筒2についてはA/Fがリッチ側に向かうように、目標燃料噴射量を補正すれば良い。
具体的には、図11(A)、(D)に示すように、#1、#4気筒2については、目標燃料噴射量を減量する再吸入補正量が設定されている。これにより、再吸入量不足でA/Fがリッチとなる#1、#4気筒2を、λ=1に近づけることができる。また、目標燃料噴射量の減量度合いは、BGR比が増加するほど大きくなるように設定されている。これは、内部EGR量が多くなるほどサージタンク36へ吹き出される戻り吸気G4の量が多くなり、気筒2間のA/Fのバラツキが大きくなる傾向に対応するためである。
これに対し、図11(B)、(C)に示すように、#2、#3気筒2については、目標燃料噴射量を増量する再吸入補正量が設定され、その増量度合いはBGR比が増加するほど大きくなるように設定されている。このような補正を行うことで、再吸入量過剰でA/Fがリーンとなる#2、#3気筒2を、λ=1に近づけることができる。
図12(A)~(D)は、SPCCI_λ>1の運転領域における#1~#4気筒2の燃料噴射量の補正傾向を示すグラフである。このグラフに示す目標燃料噴射量の補正量は、本実施形態において採用されている排気マニホールド42の端部偏在排気構造によって定まる固有の補正量である。第1補正部65は、これら固有の補正量に基づいて、#1~#4気筒2に対して設定された目標燃料噴射量を一次補正する。記憶部68は、当該グラフに相当する補正量のテーブルデータを記憶する。
上述の通り、#1気筒2(第4の気筒/一端側気筒)については排気ポート10からの既燃ガスの再吸入量が比較的多くなる。一方、#2~#4気筒2(第3の気筒/残りの3つの気筒)については既燃ガスの再吸入量が比較的少なくなる。この場合、目標燃料噴射量通りに#1~#4気筒2に燃料噴射を実行させると、#1気筒2では空気を含むガス量が過剰となってG/Fがリーンに、逆に#2~#4気筒2ではガス量が不足となってG/Fがリッチとなり、G/Fにバラツキが生じる。このバラツキを是正するには、#1気筒2についてはG/Fがリッチ側に、#2~#4気筒2についてはG/Fがリーン側に向かうように、目標燃料噴射量を補正すれば良い。
具体的には、図12(A)に示すように、#1気筒2については、目標燃料噴射量を増量する補正量が設定されている。これにより、再吸入量不足でG/Fがリッチ側に変動する#1気筒2を、目標とするG/Fに近づけることができる。また、目標燃料噴射量の増量度合いは、BGR比が増加するほど大きくなるように設定されている。これは、内部EGR量が多くなるほど排気管43からの戻り排気G3の量が多くなり、気筒2間のG/Fのバラツキが大きくなる傾向に対応するためである。
これに対し、図12(B)、(C)、(D)に示すように、#2、#3、#4気筒2については、目標燃料噴射量を減量する補正量が設定され、その減量度合いはBGR比が増加するほど大きくなるように設定されている。このような補正を行うことで、戻り排気G3の量が過剰でG/Fがリーンとなる#2、#3、#4気筒2を、目標とするG/Fに近づけることができる。
[固有の再吸入補正量の補正]
本実施形態では、第2補正部66(図6)が、少なくとも図11(A)~(D)に示した各気筒2の固有の再吸入補正量を、種々の運転条件及び環境条件に応じてさらに補正する。前記運転条件及び環境条件は、例えば吸気圧、バルブオーバーラップ量、排気弁12の閉弁時期、エンジン回転数、大気圧、排気ガス温度である。これらは、内部EGRによって気筒2へ戻される既燃ガスの量に影響を与える変数である。既燃ガスの戻り量が変動すると、吸気ポート9から吹き出される吸気の量も変動する。例えば、サージタンク36に進入する吹き出し吸気g11~g14(図10参照)の量が変動する。このため、吹き出し吸気g11~g14の再吸入の態様にも変動が生じ得る。従って、再吸入補正量を固定的に設定するのではなく、さらに上掲の条件に応じて再吸入補正量を二次補正することが望ましい。これにより、#1~#4気筒2間のA/Fをより精度良く揃えることができる。
以下、図13及び図14を参照して、上掲の条件毎に、第2補正部66が実行する二次補正の態様について具体的に説明する。図13(A)~(C)及び図14(A)~(C)は、運転状態や環境条件に依存する各変数についての、固有の再吸入補正量の補正傾向を各々示すグラフである。なお、各グラフには基準値を意味する「Ref」が示されている。各変数が基準値Refであるとき、二次補正量は×1倍とされ、結果的に第1補正部65が設定する固有の再吸入補正量の値が維持される。基準値Refの二次補正量よりも高い領域は、固有の再吸入補正量が増量される領域、低い領域は、固有の再吸入補正量が減量される領域となる。例えば、ある内部EGR量において、ある気筒2の固有の再吸入補正量が、目標燃料噴射量を+3%増量する補正値であるとする。この場合、変数が基準値Refであるときは+3%増量が維持され、基準値Refの二次補正量よりも高い領域では例えば+3%が+3.5%に増量され、基準値Refの二次補正量よりも低い領域では例えば+3%が+2.5%に減量される。
<吸気圧>
図13(A)は、吸気圧と固有の再吸入補正量の二次補正量との関係を示すグラフである。このグラフに示す通り、第2補正部66は、吸気圧が大きくなるほど、再吸入補正量を減量するように補正する。すなわち、吸気圧が基準値Refよりも高いときは再吸入補正量を減量し、吸気圧が基準値Refよりも小さいときは再吸入補正量を増量する補正が行われる。吸気圧は、第1吸気圧センサSN6及び第2吸気圧センサSN8の計測値にて把握することができる。
内部EGRによる気筒2への既燃ガスの戻り量は、吸気圧と排気圧との差分である吸排気差圧の大きさに依存する。吸排気差圧が大きいと、高圧側の排気(既燃ガス)の戻り量が多くなり、その分だけ吸気が気筒2から吹き出される。排気圧に対して吸気圧が相対的に高くなると、吸排気差圧が小さくなることに伴い、吸気ポート9からの吸気の吹き出し量自体が少なくなり、自ずとその再吸入量も少なくなる。このため、#1~#4気筒2間での再吸入量のバラツキも小さくなる。従って、吸気圧が高く大きくなるほど前記再吸入補正量を減量するように補正することで、実情に即した目標燃料噴射量の補正を達成することができる。なお、制御の単純化のために、吸気圧が所定の閾値を超過した場合、或いは吸排気差圧が所定の閾値を下回った場合には、再吸入補正自体を実行しないという制御を行うようにしても良い。
図11(A)、(D)に示すように、#1、#4気筒2には、目標燃料噴射量を減量する再吸入補正量が一次補正として設定される。これら#1、#4気筒2については、吸気圧が基準値Refよりも高い領域では、目標燃料噴射量の減量度合いが少なくなるよう、再吸入補正量を減量する二次補正が行われる。例えば、ある内部EGR量において、#1気筒2の固有の再吸入補正量が、目標燃料噴射量を-3%減量する補正値であるとする。この場合、吸気圧が基準値Refよりも高い領域では、前記-3%減量が例えば-2.5%減量に二次補正される。逆に、吸気圧が基準値Refよりも低い領域では、前記-3%減量が例えば-3.5%減量に二次補正される。そして、吸気圧が基準値Refであるときは、前記-3%減量が維持される。
一方、図11(B)、(C)に示すように、#2、#3気筒2には、目標燃料噴射量を増量する再吸入補正量が一次補正として設定される。れら#2、#3気筒2については、吸気圧が基準値Refよりも高い領域では、目標燃料噴射量の増量度合いが少なくなるよう、再吸入補正量を増量する二次補正が行われる。例えば、ある内部EGR量において、#2気筒2の固有の再吸入補正量が、目標燃料噴射量を+3%増量する補正値であるとする。この場合、吸気圧が基準値Refよりも高い領域では、前記+3%増量が例えば-2.5%増量に二次補正される。逆に、吸気圧が基準値Refよりも低い領域では、前記+3%増量が例えば+3.5%増量に二次補正される。そして、吸気圧が基準値Refであるときは、前記+3%減量が維持される。このような気筒2毎の二次補正は、以下に示す変数でも同様である(以下では説明を省く)。
<バルブオーバーラップ量>
図13(B)は、バルブオーバーラップ量と固有の再吸入補正量の二次補正量との関係を示すグラフである。このグラフに示す通り、第2補正部66は、バルブオーバーラップ量が大きくなるほど、再吸入補正量を増量するように補正する。すなわち、バルブオーバーラップ量が基準値Refよりも大きいときは再吸入補正量を増量し、バルブオーバーラップ量が基準値Refよりも小さいときは再吸入補正量を減量する補正が行われる。バルブオーバーラップ量は、吸気カム角センサSN12及び排気カム角センサSN13の計測値から把握することができる。
エンジン回転数が一定であるとすると、バルブオーバーラップ量が大きくなると、既燃ガスの気筒2への戻り量も多くなる。つまり、吸気弁11及び排気弁12の双方が開放されている期間が長くなるので、より既燃ガスは気筒2へ戻り易くなる。これに伴い、吸気ポート9から吹き出す吸気の量も多くなるので、#1~#4気筒2間で吸気の再吸入量のバラツキも大きくなる傾向となる。従って、バルブオーバーラップ量の増大に伴って再吸入補正量を増量するように補正することで、#1~#4気筒2間におけるA/Fのバラツキを抑制することができる。
<排気弁の閉弁時期>
図13(C)は、排気弁12の閉弁時期と固有の再吸入補正量の二次補正量との関係を示すグラフである。このグラフに示す通り、第2補正部66は、排気弁12の閉時期が遅くなるほど、再吸入補正量を増量するように補正する。すなわち、排気弁12の閉タイミングが基準閉タイミング(Ref)よりも遅角しているときは再吸入補正量を増量し、排気弁12の閉タイミングが基準閉タイミング(Ref)よりも進角しているときは再吸入補正量を減量する補正が行われる。排気弁12の閉弁時期は、例えば排気カム角センサSN13の計測値にて把握することができる。
排気弁12の閉時期が遅くなるほど、既燃ガスの気筒2への戻り量も多くなる。つまり、排気弁12の閉タイミングが遅角することで、吸気弁11及び排気弁12の双方が開放されている期間が長くなるので、排気ポート10を一旦出た既燃ガスは気筒2へ戻り易くなる。これに伴い、吸気ポート9からの吹き出し吸気量も多くなるので、#1~#4気筒2間で吸気の再吸入量のバラツキも大きくなる傾向となる。従って、排気弁12の閉時期の遅角に伴って再吸入補正量を増量するように補正することで、#1~#4気筒2間におけるA/Fのバラツキを抑制することができる。
<エンジン回転数>
図14(A)は、エンジン回転数と固有の再吸入補正量の二次補正量との関係を示すグラフである。このグラフに示す通り、第2補正部66は、エンジン回転数が大きくなるほど、再吸入補正量を減量するように補正する。すなわち、エンジン回転数が基準値Refよりも高回転であるときは再吸入補正量を減量し、エンジン回転数が基準値Refよりも低回転であるときは再吸入補正量を増量する補正が行われる。エンジン回転数は、例えばクランク角センサSN1の計測値から求めることができる。
バルブオーバーラップ量が一定であるとすると、エンジン回転数が大きくなるにつれ、現に吸気弁11及び排気弁12の双方が開放されている時間であるバルブオーバーラップ時間が短くなり、既燃ガスの気筒2への戻り量は少なくなる。これに伴い、吸気ポート9からの吹き出し吸気量も少なくなるので、#1~#4気筒2間で吸気の再吸入量のバラツキも小さくなる傾向となる。従って、エンジン回転数の高回転化に伴って再吸入補正量を減量するように補正することで、的確に#1~#4気筒2間におけるA/Fのバラツキを抑制することができる。
<大気圧>
図14(B)は、大気圧と固有の再吸入補正量の二次補正量との関係を示すグラフである。このグラフに示す通り、第2補正部66は、大気圧が高くなるほど、再吸入補正量を増量するように補正する。すなわち、大気圧が基準値Refよりも大きいときは再吸入補正量を増量し、大気圧が基準値Refよりも小さいときは再吸入補正量を減量する補正が行われる。大気圧は、大気圧センサSN15の計測値から把握することができる。
大気圧が高くなると、排気圧が上昇する。一方、吸気圧は、スロットル弁32の開度や過給圧等に依存するので、大気圧の影響は受け難い。このため、大気圧の上昇によって吸排気差圧が大きくなる。逆に、高地走行時等において大気圧が低い環境にエンジン本体1が置かれると、吸排気差圧が小さくなる。吸排気差圧が大きくなると、既燃ガスの気筒2への戻り量も多くなる。これに伴い、吸気ポート9からの吹き出す吸気の量も多くなるので、#1~#4気筒2間で吸気の再吸入量のバラツキも大きくなる傾向となる。従って、大気圧が高くなるほど再吸入補正量を増量するように補正することで、的確に#1~#4気筒2間におけるA/Fのバラツキを抑制することができる。
<排気ガス温度>
図14(B)は、排気ガス温度と固有の再吸入補正量の二次補正量との関係を示すグラフである。このグラフに示す通り、第2補正部66は、排気ガス温度が高くなるほど、再吸入補正量を増量するように補正する。すなわち、排気ガス温度が基準値Refよりも高いときは再吸入補正量を増量し、排気ガス温度が基準値Refよりも低いときは再吸入補正量を減量する補正が行われる。排気ガス温度は、排気温センサSN10の計測値から把握することができる。
排気ガス温度が高くなると、排気圧が上昇する。一方、吸気圧は、上述の通り大気圧の影響は受け難い。このため、吸排気差圧が大きくなる。吸排気差圧が大きくなると、既燃ガスの気筒への戻り量も多くなる。これに伴い、吸気ポートからの吹き出し吸気量も多くなるので、#1~#4気筒2間で吸気の再吸入量のバラツキも大きくなる傾向となる。従って、排気ガス温度が高くなるほど再吸入補正量を増量するように補正することで、的確に#1~#4気筒2間におけるA/Fのバラツキを抑制することができる。
以上は、SPCCI_λ=1の運転領域における固有の再吸入補正量(図11)の二次補正の例である。同様に、SPCCI_λ>1の運転領域における固有の再吸入補正量(図12)についても二次補正を行うようにしても良い。但し、SPCCI_λ>1の燃焼では、燃料に対する空気量の割合がλ=1に比べてかなり多いので、吸気の再吸入量に少々のバラツキがあっても、#1~#4気筒2間におけるA/F(G/F)のバラツキがさほど顕在化しない。従って、SPCCI_λ>1の運転領域では固有の再吸入補正量の二次補正を省くことができる。
[燃料噴射量の決定プロセス]
図11(A)~(D)に示した通り、固有の再吸入補正量は、BGR比に応じて予め定められている。BGR比は内部EGR量に相当するので、再吸入補正量の設定には、現状の運転状態における内部EGR量を把握する必要がある。内部EGR量を直接計測するセンサは存在しないので、センサSN1~SN15のうちの幾つかのセンサ値を参照して、演算によって内部EGR量を求める必要がある。
本実施形態では、EGR予測部64が運転状態に応じた内部EGR量の予測値を算出する。図15は、内部EGR量の予測値を求めるプロセスを示す模式図である。EGR予測部64は、多項式モデル演算部641と乗算器642とを含む。多項式モデル演算部641は、記憶部68に格納されている多項式モデルを適用して内部EGR量の暫定値を算出する。前記多項式モデルは、バルブオーバーラップ量、前記排気弁の閉弁時期、吸排気差圧、エンジン回転数を要素とする多項式モデルである。乗算器642は、内部EGR量の暫定値に、排気ガス温度で定まる係数及び大気圧で定まる係数を乗算して、内部EGR量の予測値を算出する。
多項式モデル演算部641には、吸気弁11及び排気弁12の開閉タイミング、吸気圧、排気圧、BGR係数とエンジン回転数との組合せ値が、データとして入力される。吸気弁11及び排気弁12の開閉タイミングのデータは、吸気カム角センサSN12及び排気カム角センサSN13の計測値に基づいて与えられる。吸気圧は、第1吸気圧センサSN6及び第2吸気圧センサSN8の計測値に基づいて与えられる。排気圧は、例えばエアフローセンサSN4が計測する吸気量から推定される排気量、及び排気温センサSN10が計測する排気ガス温度等から求められる演算値として与えられる。BGR係数は、BGR比とエンジン回転数とに関連付けて予め定められている係数である。エンジン回転数は、クランク角センサSN1の計測値に基づいて与えられる。
多項式モデル演算部641は、吸気弁11及び排気弁12の開閉タイミングデータのうち、吸気弁11の開弁時期と排気弁12の閉弁時期とから、バルブオーバーラップ量を導出する。また、排気弁12の開閉タイミングデータから、排気弁12の閉弁時期を取得する。多項式モデル演算部641は、吸気圧と排気圧とから、吸排気差圧を算出する。さらに、多項式モデル演算部641は、入力されたBGR係数と現状のエンジン回転数とから、回転数で定まるBGR係数を特定する。このBGR係数は、バルブオーバーラップ時間に対応する係数である。
バルブオーバーラップ量、排気弁12の閉弁時期、吸排気差圧及びエンジン回転数(バルブオーバーラップ時間)は、いずれも排気ポート10から吐出された既燃ガスの気筒2への戻り量、つまり内部EGR量に関連深い変数である。多項式モデル演算部641は、これら変数の多項式で表わされた多項式回帰モデルを用いることで、内部EGR量の推定値が暫定的に導出する。
多項式モデル演算部641が出力する値が暫定値とされるのは、既燃ガスの戻り量に影響を与え得る大気圧及び排気ガス温度をさらに考慮して、内部EGR量の予測値を導出するためである。乗算器642は、多項式モデル演算部641が出力する内部EGR量暫定値に、排気ガス温度に関連付けて予め定められた係数と、大気圧に関連付けて予め定められた係数とを乗算して、内部EGR量の予測値を算出する。
図16は、噴射設定部63がアクセル開度等の運転状態に応じて設定した目標燃料噴射量(ステップS0)の補正手順を示す説明図である。まず、EGR予測部64が、上記の手法で内部EGR量の予測値を算出する(ステップS1)。次に、第1補正部65が、図11(A)~(D)に示したように、エンジン構造によって定まる固有の再吸入補正量を、#1~#4気筒2の各々について設定する(ステップS2)。
続いて第2補正部66が、第1補正部65が設定した固有の再吸入補正量を、運転状態に基づく変数を参照してさらに二次補正する補正係数を決定する(ステップS3)。前記変数は、図13(A)~(C)及び図14(A)~(C)に示した通り、吸気圧、バルブオーバーラップ量、排気弁12の閉弁時期、エンジン回転数、大気圧及び排気ガス温度である。そして、第2補正部66は、決定された補正係数を用いて#1~#4気筒2毎に、アクセル開度に基づき設定された目標燃料噴射量(ステップS0)を補正する(ステップS4)。
[燃焼制御フロー]
図17は、本実施形態のプロセッサ60による燃焼制御の具体例を示すフローチャートである。燃料噴射制御部61は、図6に示す各センサSN1~SN15や他のセンサから各種信号を読み込み、エンジン本体1の運転状態に関する情報や燃焼条件に影響を与える環境情報を取得する(ステップS11)。
続いて、噴射設定部63が、アクセル開度センサSN14が検出するアクセル踏み込み量に応じた目標燃料噴射量を決定する(ステップS12)。そして、運転状態判定部62が、ステップS1で取得した情報に基づいて、現状の運転ポイントが図7(A)~(C)に示す運転マップQ1~Q3のどの領域に該当するかを特定する(ステップS13)。運転ポイントは多岐に渡り得るが、ここでは再吸入補正が行われる選択肢に簡略化して示す。すなわち、運転ポイントが、例えば第1運転マップQ1の第1領域A1で採用されるリーンな環境下でのSPCCI燃焼(SPCCI_λ>1)の実行領域であるか、或いは、例えば第2運転マップQ2の第6領域B1(特定領域B11)で採用される理論空燃比に略一致する環境下でのSPCCI燃焼(SPCCI_λ=1)の実行領域であるかが判定される。
SPCCI_λ=1の運転領域である場合(ステップS13でNO)、EGR予測部64が、多項式モデルを用いて、内部EGR量の予測値を#1~#4気筒2毎に求める演算を実行する(ステップS14)。次いで、#1~#4気筒2の内部EGR量に応じて、それぞれの気筒2の再吸入補正量が決定される(ステップS15)。SPCCI_λ=1の運転領域では、再吸入補正量は二段階で決定される。具体的には、図16に基づき説明した通り、第1補正部65が内部EGR量の予測値に応じた、#1~#4気筒2毎の固有の再吸入補正量を設定する(図16のステップS2)。次いで、第2補正部66が、運転状態に基づく変数を参照して、第1補正部65が設定した再吸入補正量をさらに二次補正して、新たな再吸入補正量を設定する(図16のステップS3)。この新たな再吸入補正量を用いて、噴射設定部63が、ステップS12で設定された目標燃料噴射量を補正する(ステップS16)。
続いて、良好なSPCCI燃焼の実現のため、燃料噴射制御部61が目標θciを決定する(ステップS17)。既述の通り、目標θciは、燃焼形態がSI燃焼からCI燃焼に切り替わるときに現れる変曲点Xに対応するクランク角である(図8参照)。その後、点火制御部67が、決定された目標θciを実現するための点火プラグ16の点火時期を決定する(ステップS18)。そして、点火制御部67が決定された点火時期に点火プラグ16の点火動作を実行させる(ステップS19)。
SPCCI_λ>1の運転領域である場合(ステップS13でYES)も、再吸入補正量の設定ステップ(ステップS22)を除いて、SPCCI_λ=1の場合と同じである。EGR予測部64が、多項式モデルを用いて、内部EGR量の予測値を#1~#4気筒2毎に求める(ステップS21)。次いで、#1~#4気筒2の内部EGR量に応じて、それぞれの気筒2の再吸入補正量が決定される(ステップS22)。SPCCI_λ>1の運転領域では、二次補正はなされず、図12に示した固有の再吸入補正量がそのまま補正係数として採用される。すなわち、第1補正部65が内部EGR量の予測値に応じた、#1~#4気筒2毎の固有の再吸入補正量を設定する。
ステップS22で設定された再吸入補正量を用いて、噴射設定部63が、ステップS12で設定された目標燃料噴射量を補正する(ステップS23)。続いて、燃料噴射制御部61がSPCCI燃焼における目標θciを決定する(ステップS24)。その後、点火制御部67が、決定された目標θciを実現するための点火プラグ16の点火時期を決定し(ステップS25)、その点火時期に点火プラグ16の点火動作を実行させる(ステップS26)。
[作用効果]
以上説明した本実施形態に係るエンジンの燃焼制御装置によれば、何らかの要因で内部EGRによる吸気の再吸入量において複数の気筒2間にバラツキが生じる場合でも、再吸入補正量によって気筒2毎に目標燃料噴射量が補正される。例えば、吸気通路の構造的な特徴によって気筒2間に再吸入量に固有の差異が生じる場合でも、第1補正部65が設定する再吸入補正量によって気筒2毎に空燃比を調整することができる。これにより複数の気筒2間で空燃比を揃えることが可能となる。
また、第1補正部65が設定した再吸入補正量を、第2補正部66が、排気弁12の閉弁時期に応じて二次補正する。排気弁12の閉弁時期は内部EGRによって気筒2へ戻される既燃ガスの量に影響を与え、さらには吸気ポート9から吹き出される吸気の量にも影響を与える。吹き出し吸気量が変動すると、その再吸入の態様にも変動が生じ得る。従って、前記再吸入補正量を固定的に設定するのではなく、さらに排気弁12の閉弁時期に応じて補正することで、気筒2毎に空燃比をより正確に調整することができる。これにより、運転状態を反映して、複数の気筒間で精度良く空燃比を揃えることができる。
さらに、第2補正部66は、排気弁12の閉弁時期だけでなく、前記再吸入補正量を吸気圧、バルブオーバーラップ量、エンジン回転数、大気圧、排気ガス温度などの変数に応じて二次補正する。これらの変数も内部EGRによって気筒へ戻される既燃ガスの量に影響を与え、さらには吸気ポート9から吹き出される吸気の量にも影響を与える。従って、第2補正部66がこれらの変数も考慮して前記再吸入補正量を二次補正することで、気筒2毎に空燃比をより正確に調整することができる。
とりわけ、本実施形態の独立吸気通路37は、バルブオーバーラップの期間において吸気ポート9から吹き出した吸気がサージタンク36に至ることを許容する程度の短尺に設定されている。このため、エンジン本体1の車載性を高めることができる一方で、例えば#1気筒2の吸気ポート9から一旦排出された吸気が、自身には再吸入されず、サージタンク36を通して#2気筒2に再吸入されてしまう現象が生じ易くなる。しかし、このような再吸入のアンバランスが気筒2間で発生しても、第1補正部65及び第2補正部66が実行する前記再吸入補正量によって目標燃料噴射量が気筒2毎に補正されるので、気筒2間における空燃比のバラツキを抑制することができる。
[変形実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような変形実施形態を取ることができる。
(1)上記実施形態では、独立吸気通路37が極めて短尺であるという、吸気通路30の構造に由来して吸気の再吸入量に固有のバラツキが生じるケースを想定した。これは一例であり、例えば、独立吸気通路37の経路長が#1~#4気筒2間で相違することに起因して、或いは他の要因(バルブ等の配置)に起因して、固有の再吸入量にバラツキが生じるケースにも適用できる。
(2)上記実施形態では、サージタンク36の直上流の吸気通路である第3通路303が、サージタンク36の長手方向の中央領域へ吸気を導入するセンター吸気構造を例示した。サージタンク36に対する吸気導入の態様はセンター吸気構造に限定されない。例えば、排気通路40の如く(図5)、#1気筒2側、或いは#4気筒2側に偏った位置から吸気が導入される端部偏在吸気構造としても良い。この場合、#1気筒2又は#4気筒2に近い側については空燃比がリッチ側に、遠い側については空燃比がリーン側に向かうように、目標燃料噴射量を補正すれば良い。
(3)上記実施形態では、排気マニホールド42の流路長が、#1気筒2が最も短く、#2、#3、#4と端部に向かう気筒2ほど、流路長が長くなる端部偏在排気構造を例示した。これに代えて、吸気通路30の如く、排気管43が排気マニホールド42の幅方向のセンターに位置する構成、或いは、独立排気管44_#1~#4の流路長が同一である構成としても良い。
(4)上記実施形態では、EGR予測部64が図15に示した多項式モデルによって内部EGR量を予測する例を示した。多項式モデルを用いることなく、例えば運転条件と内部EGR量とを関連付けたテーブルデータを予め記憶部68に記憶させておき、内部EGR量の予測時に前記テーブルデータを読み出すようにしても良い。
1 エンジン本体
2 気筒
#1、#4気筒(第1の気筒/端部側気筒)
#2、#3気筒(第2の気筒/中央側気筒)
9 吸気ポート
10 排気ポート
11 吸気弁
12 排気弁
13a 吸気VVT(内部EGR機構)
14a 排気VVT(内部EGR機構)
15 インジェクタ(燃料噴射弁)
30 吸気通路(吸気経路)
303 第3通路(上流吸気路)
36 サージタンク
36R 内部空間(流路空間)
37 独立吸気通路
60 プロセッサ(エンジンの燃焼制御装置)
61 燃料噴射制御部(制御ユニット)

Claims (5)

  1. 複数の気筒と、
    前記複数の気筒への吸気経路に配置されるサージタンクと、
    前記サージタンクと前記複数の気筒の各吸気ポートとを接続する独立吸気通路と、
    前記複数の気筒の各吸気ポート及び各排気ポートを各々開閉する吸気弁及び排気弁と、
    前記複数の気筒の各々に対して配置され、各気筒内に燃料を供給する燃料噴射弁と、
    前記吸気弁と前記排気弁とを共に開弁状態とするバルブオーバーラップの設定によって内部EGRを実現する内部EGR機構と、
    前記燃料噴射弁の各々の燃料噴射量を、エンジンの運転状態に応じて制御する制御ユニットと、を備えるエンジンの燃焼制御装置であって、
    前記制御ユニットは、
    エンジンの運転状態に応じて定められた気筒毎の目標燃料噴射量を、各気筒における内部EGRによる吸気の前記吸気ポートからの再吸入量に応じて気筒毎に設定される再吸入補正量に基づき補正すると共に、
    前記再吸入補正量を、前記排気弁の閉時期に応じて補正する、エンジンの燃焼制御装置において、
    前記独立吸気通路は、前記バルブオーバーラップの期間において前記吸気ポートから吹き出した吸気が前記サージタンクに至ることを許容する長さに設定されており、
    前記制御ユニットは、前記排気弁の閉時期が遅くなるほど、前記再吸入補正量を増量するように補正する、エンジンの燃焼制御装置。
  2. 請求項1に記載のエンジンの燃焼制御装置において、
    前記制御ユニットは、吸気圧が高くなるほど、前記再吸入補正量を減量するように補正する、エンジンの燃焼制御装置。
  3. 請求項1または2に記載のエンジンの燃焼制御装置において、
    前記複数の気筒のうち、前記吸気ポートからの前記内部EGRによる吸気の再吸入量が所定量である第1の気筒と、前記再吸入量が前記第1の気筒よりも多い第2の気筒とが存在し、
    前記制御ユニットは、前記第1の気筒については空燃比がリーン側に、前記第2の気筒については空燃比がリッチ側に向かうように、前記目標燃料噴射量を補正する、エンジンの燃焼制御装置。
  4. 請求項1または2に記載のエンジンの燃焼制御装置において、
    前記エンジンは、4つの気筒が一列に並ぶ4気筒エンジンであり、
    前記独立吸気通路は前記気筒の配列方向に一列に並び、前記サージタンクは前記配列方向に長手の流路空間を備え、
    前記サージタンクには、当該サージタンクの長手方向の中央領域へ吸気を導入する上流吸気路が接続されるものであって、
    前記制御ユニットは、前記一列に並ぶ4つの気筒のうち、両端に位置する端部側気筒については空燃比がリーン側に、前記端部側気筒に挟まれる2つの中央側気筒については空燃比がリッチ側に向かうように、前記目標燃料噴射量を補正する、エンジンの燃焼制御装置。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載のエンジンの燃焼制御装置において、
    前記制御ユニットは、少なくとも前記気筒の吸気弁と排気弁とが共に開弁状態となるバルブオーバーラップの量と、吸排気差圧と、前記排気弁の閉弁時期と、エンジン回転数とを要素とする多項式モデルを用いて算出される前記再吸入量に基づいて、前記再吸入補正量を設定する、エンジンの燃焼制御装置。
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