JP2020169386A - 焼結性銀粒子と揮発性分散媒の選定方法 - Google Patents

焼結性銀粒子と揮発性分散媒の選定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】接着強度の高いペースト状銀粒子組成物用の焼結性銀粒子と揮発性分散媒を簡易に選定する方法を提供する。【解決手段】脂肪酸で表面被覆された平均粒径が0.1〜10μmである焼結性銀粒子(A)と揮発性分散媒(B)を混合してペースト状銀粒子組成物を調製するときに適切な材質の選定方法として、焼結性銀粒子(A)は示差熱分析曲線の発熱ピークトップ温度をもとに、それが175〜235℃の範囲から選定し、揮発性分散媒(B)はその沸点と焼結性銀粒子(A)の発熱ピークトップ温度の差をもとに選定する。【選択図】図3

Description

本願発明は、焼結性銀粒子と揮発性分散媒の選定方法に関する。詳しくは、接着強度の高いペースト状銀粒子組成物用の焼結性銀粒子と揮発性分散媒の選定方法に関する。
特許文献1(特開2011−95244号公報)には、有機物被覆金属粒子の加熱焼結性を熱分析により評価する方法であって、
有機物被覆金属粒子と該有機物自体の各々を、空気気流中における熱分析に供し、該金属粒子の表面を被覆している有機物の熱分解ピーク温度(1)が該有機物自体の熱分解ピーク温度(2)より低い場合は、該有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が優れると判定し、
該金属粒子の表面を被覆している有機物の熱分解ピーク温度(1)が該有機物自体の熱分解ピーク温度(2)と同等以上の場合は、該有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が劣ると判定することを特徴とする、有機物被覆金属粒子の加熱焼結性の評価方法が記載されている。
金属粒子として銀粒子が規定されている。
また、有機物被覆金属粒子と該有機物自体の各々を、空気気流中における熱分析に供し、該金属粒子の表面を被覆している有機物の熱分解ピーク温度(1)が該有機物自体の熱分解ピーク温度(2)より低い場合は、該有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が優れると判定し、
該金属粒子の表面を被覆している有機物の熱分解ピーク温度(1)が該有機物自体の熱分解ピーク温度(2)と同等以上の場合は、該有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が劣ると判定し、次いで、加熱焼結性が優れると判定された有機物被覆金属粒子を揮発性分散媒と混合してペースト化することを特徴とする、加熱焼結性金属ペーストの製造方法が記載されている。金属粒子として銀粒子が規定されている。
特許文献2(国際公開第2012/053034号パンフレット)にも同様に記載されている。
しかしながら、有機物被覆銀粒子の加熱焼結性を評価して加熱焼結性が優れていると判定されても、せん断接着強さが必ずしも大きくないという問題がある(表1の実施例1、表2の実施例2、表6の実施例6、表8の実施例8を比較参照)。有機物被覆銀粒子は揮発性分散媒と混合して銀ペーストとし、複数の金属製部材間に介在させて加熱焼結して金属製部材を接合するのに汎用されているので、せん断接着強さが大きいことが最も重要であるからである。
特開2011−95244号公報 国際公開第2012/053034号パンフレット
本発明者らは、上記問題点のない、接着強度の高いペースト状銀粒子組成物用の焼結性銀粒子と揮発性分散媒の選定方法を開発すべく鋭意研究した結果、脂肪酸で表面被覆された平均粒径が0.1〜10μmである焼結性銀粒子(A)と揮発性分散媒(B)を混合してペースト状銀粒子組成物を調製するにあたり、該焼結性銀粒子(A)を大気雰囲気中で昇温速度5℃/分で昇温させて記録された示差熱分析曲線において、該焼結性銀粒子の焼結に起因して現れる単一の発熱ピークのピークトップ温度、または、該焼結性銀粒子の焼結に起因して現れる複数の発熱ピークのうちの最高の発熱ピークのピークトップ温度が175℃〜235℃の範囲内の焼結性銀粒子を選定し、該焼結性銀粒子の焼結に起因して現れる単一の発熱ピークのピークトップ温度または複数の発熱ピークのうちの最高の発熱ピークのピークトップ温度]が0℃〜+30℃となるような沸点を有する揮発性分散媒(B)を選定すればよいことを見出して本願発明に到達した。
本願発明の目的は、接着強度の高いペースト状銀粒子組成物用の脂肪酸被覆銀粒子と揮発性分散媒を簡易に選定できる方法を提供することにある。
この目的は、
[1] 脂肪酸で表面被覆された平均粒径が0.1〜10μmである焼結性銀粒子(A)と揮発性分散媒(B)を混合してペースト状銀粒子組成物を調製するにあたり、該焼結性銀粒子(A)を大気雰囲気中で昇温速度5℃/分で昇温させて記録された示差熱分析曲線において、該焼結性銀粒子の焼結に起因して現れる単一の発熱ピークのピークトップ温度、または、該焼結性銀粒子の焼結に起因して現れる複数の発熱ピークのうちの最高の発熱ピークのピークトップ温度が175℃〜235℃の範囲内の焼結性銀粒子を選定し、[揮発性分散媒(B)の沸点]−[該焼結性銀粒子の焼結に起因して現れる単一の発熱ピークのピークトップ温度または複数の発熱ピークのうちの最高の発熱ピークのピークトップ温度]が0℃〜+30℃となるような沸点を有する揮発性分散媒(B)を選定することを特徴とする、接着強度の高いペースト状銀粒子組成物用の脂肪酸被覆焼結性銀粒子と揮発性分散媒の選定方法。
[2] 単一の発熱ピークの半値幅または複数の発熱ピークのうちの最高の発熱ピークの半値幅が10℃以下であることを特徴とする[1]に記載の選定方法。
[3] 脂肪酸が炭素原子数4以上の脂肪酸であり、該焼結性銀粒子(A)が銀塩の還元による銀粒子であり、揮発性分散媒(B)は、常圧での沸点が175℃〜265℃であることを特徴とする、[1]または[2]に記載の選定方法。;により達成される。
接着強度の高いペースト状銀粒子組成物用の脂肪酸被覆焼結性銀粒子と揮発性分散媒の選定が簡易である。脂肪酸被覆焼結性覆銀粒子と揮発性分散媒を混合してペースト状銀粒子組成物を調製し、2枚の金属製部材間に介在させ、加熱して該焼結性銀粒子を焼結させて接合体を作製し、接着強度を測定しなくても、接着強度の高いペースト状銀粒子組成物用の脂肪酸被覆焼結性銀粒子と揮発性分散媒を簡易に選定できる。
実施例における接合強度測定用試験体についての平面図である。 図1に示した試験体のX−X線における断面図である。 実施例1における、脂肪酸被覆焼結性銀粒子についての大気中における示差熱分析の結果を示すチャートである。 実施例9における、脂肪酸被覆焼結性銀粒子についての大気中における示差熱分析の結果を示すチャートである。 実施例17における、脂肪酸被覆焼結性銀粒子についての大気中における示差熱分析の結果を示すチャートである。
実施例1における焼結性銀粒子の焼結後の焼結状態を示す電子顕微鏡写真である。 比較例1における焼結性銀粒子の焼結後の焼結状態を示す電子顕微鏡写真である。 実施例5における焼結性銀粒子の焼結後の焼結状態を示す電子顕微鏡写真である。 比較例5における焼結性銀粒子の焼結後の焼結状態を示す電子顕微鏡写真である。 図3の示差熱分析曲線の特定箇所に符号を付し、2本の垂線を付したものである。 図10の示差熱分析曲線の部分拡大図である。
本願発明の接着強度の高いペースト状銀粒子組成物用の焼結性銀粒子と揮発性分散媒の選定方法は、脂肪酸で表面被覆された平均粒径が0.1〜10μmである焼結性銀粒子(A)と揮発性分散媒(B)を混合してペースト状銀粒子組成物を調製するにあたり、該脂肪酸被覆焼結性銀粒子(A)を大気雰囲気中で昇温速度5℃/分で昇温させて記録された示差熱分析曲線において、該焼結性銀粒子の焼結に起因して現れる単一の発熱ピークのピークトップ温度、または、該焼結性銀粒子の焼結に起因して現れる複数の発熱ピークのうちの最高の発熱ピークのピークトップ温度が175℃〜235℃の範囲内の該脂肪酸被覆焼結性銀粒子(A)を選定し、[揮発性分散媒(B)の沸点]−[該焼結性銀粒子の焼結に起因して現れる単一の発熱ピークのピークトップ温度または複数の発熱ピークのうちの最高の発熱ピークのピークトップ温度]が0℃〜+30℃となるような沸点を有する揮発性分散媒(B)を選定することを特徴とする。
上記選定方法においては、該脂肪酸被覆焼結性銀粒子(A)を大気雰囲気中で昇温速度5℃/分で昇温させて記録された示差熱分析曲線において、該焼結性銀粒子の焼結に起因して現れる単一の発熱ピークのピークトップ温度、または、該焼結性銀粒子の焼結に起因して現れる複数の発熱ピークのうちの最高の発熱ピークのピークトップ温度が175℃〜235℃の範囲内の該脂肪酸被覆焼結性銀粒子(A)を選定する。ピークトップ温度が低いと焼結性が優れるので好ましいが、そのためには該脂肪酸被覆焼結性銀粒子(A)の表面被覆剤である脂肪酸の炭素数を小さくする必要がある。そうすると、該脂肪酸被覆焼結性銀粒子(A)の粒径にもよるが、炭素数の小さい脂肪酸ほど該脂肪酸被覆焼結性銀粒子(A)同士が凝集しやすくなるので、該ピークトップ温度を175℃未満にすることが難しくなる場合がある。一方、ピークトップ温度が高いと該脂肪酸被覆焼結性銀粒子を使用したペースト状銀粒子組成物の保存安定性が優れるが、該ピークトップ温度が235℃を越えると、該脂肪酸被覆焼結性銀粒子(A)の粒径にもよるが、焼結性が低下する場合があるからである。
なお、該ピークトップ温度の下限値は175℃であるが、176℃であることが好ましく、177℃であることがより好ましい。該ピークトップ温度の上限値は235℃であるが、234℃であることが好ましく、233℃であることがより好ましい。
単一の発熱ピークの半値幅または複数の発熱ピークのうちの最高の発熱ピークの半値幅は、10℃以下であるが、8℃以下であることが好ましい。半値幅が10℃を超えると、焼結性銀粒子(A)の焼結の進行が遅くなり、発熱ピークのピークトップ温度が235℃を超える恐れがある。該半値幅の下限値は0℃より大きければよいが、0.5℃以上であることが好ましく、1.0℃以上であることがより好ましい。
脂肪酸で表面被覆された平均粒径が0.1〜10μmである焼結性銀粒子(A)は、大気雰囲気中での加熱により焼結性を有する。なお、該焼結性銀粒子(A)は、銀の合金粒子、あるいは、銀により表面が被覆された他の金属粒子であっても良く、また、該銀粒子は2種類以上を併用しても良い。
該脂肪酸被覆焼結性銀粒子(A)は、好ましくは、銀塩、特には硝酸銀の還元、特には湿式還元法によるものである。湿式還元法は、例えば、硝酸銀水溶液とアンモニア水とを混合して反応させ銀アンミン錯体水溶液を得て、これとヒドロキノンと無水亜硫酸カリウムもしくはアンモニウムとゼラチンの水溶液を接触反応させて銀粒子を還元析出させ、濾過し、残渣を水で洗浄し、加熱下乾燥させて調製する方法が例示される。あるいは、硝酸銀水溶液とアンモニア水とを混合して反応させ銀アンミン錯体水溶液を得て、これと有機還元剤(ヒドロキノン、アスコルビン酸、グルコース等)、特にはヒドロキノンの水溶液を接触反応させて銀粒子を還元析出させ、濾過し、洗浄し、乾燥させて調製する方法が例示される。この際、脂肪酸を還元反応系に存在させると、それにより表面を被覆された銀粒子を得ることができ、銀粒子同士の凝集を防ぐ効果がある。
濾過残渣はアンモニアとヒドロキノンと無水亜硫酸カリウムもしくはアンモニウムとゼラチンを含有しており、銀粒子表面にアンモニアとヒドロキノンと無水亜硫酸カリウムもしくはアンモニウムとゼラチンが付着しているため、通常、清浄な水で繰り返し洗浄して、平均粒径が0.1〜10μmである焼結性銀粒子を得ることができる。あるいは、濾過残渣はアンモニアと有機還元剤、特にはヒドロキノンを含有しており、銀粒子表面にアンモニアと有機還元剤、特にはヒドロキノンが付着しているため、通常、清浄な水とメタノールで繰り返し洗浄して平均粒径が0.1〜10μmである焼結性銀粒子を得ることができる。この洗浄において、銀粒子を被覆する脂肪酸は全量洗い流されることはなく、銀粒子表面に残存する。特に、銀粒子表面と接触している脂肪酸は、銀粒子表面に強く吸着もしくは結合しており、洗い流されることはない。
脂肪酸を還元反応系に存在させることなく、平均粒径が0.1〜10μmである焼結性銀粒子を製造し、脂肪酸で表面処理することにより、脂肪酸で表面被覆された平均粒径が0.1〜10μmである焼結性銀粒子(A)を製造することもできる。
このようにして銀塩の還元法で製造された、脂肪酸で表面被覆された焼結性銀粒子(A)は通常、球状、粒状または涙滴状である。なお、銀塩の還元法により製造された、脂肪酸で表面被覆された焼結性銀粒子(A)は、極微小の銀粒子の集合体として粒状を呈する場合がある。この状態は、電子顕微鏡で観察することができる。
脂肪酸で表面被覆された焼結性銀粒子(A)の平均粒径は0.1〜10μmであり、この平均粒径はレーザ回折散乱式粒度分布測定装置を用いて測定した粒度分布の体積基準の積算分率50%値、すなわち、メジアン径(D50値)である。該脂肪酸被覆焼結性銀粒子(A)の平均粒径が10μmを越えると、焼結性銀粒子同士の焼結性が低下する恐れがあるので10μm以下であり、9.5μm以下であることが好ましい。また、0.1μm未満の場合、表面活性が強すぎてペースト状銀粒子組成物の保存安定性が低下する恐れがあるため、0.1μm以上であり、0.5μm以上であることが好ましい。なお、本願発明の目的に反しない限り、平均粒径が0.1μm未満である銀粒子、10μmを越える銀粒子を併用しても良い。
本願発明の選定方法において選定される、脂肪酸で表面被覆された平均粒径が0.1〜10μmである焼結性銀粒子(A)の形状は限定されず、球状、粒状、涙滴状、フレーク(薄片)状、針状、角状、樹枝状、不規則形状、板状、極薄板状、六角板状、柱状、棒状、多孔状、繊維状、塊状、海綿状、けい角状、丸み状等が例示されるが、入手容易性の点で、球状、粒状、涙滴状、フレーク(薄片)状であることが好ましい。
形状は、例えばJIS Z 2500に記載の分類を用いることができ、これらの形状の焼結性銀粒子(A)は2種以上を併用しても良い。フレーク状の焼結性銀粒子(A)は、球状、粒状または涙滴状の焼結性銀粒子をセラミック製のボールとともにボールミルのような回転式ドラム装置で銀粒子を物理的に殴打することにより容易に製造できる。この際、銀粒子の凝集を低減、防止するため微量の脂肪酸を添加しても良い。
脂肪酸で表面被覆された平均粒径が0.1〜10μmである焼結性銀粒子(A)中の焼結性銀粒子同士が融着して焼結する温度は示差熱分析(DTA)、示差走査熱量計(DSC)等の示差熱分析により容易に測定できるが、脂肪酸で表面被覆された焼結性銀粒子(A)は大気中における焼結性が優れるため、測定雰囲気が大気である示差熱分析が好ましい。大気中での示差熱分析では、該脂肪酸被覆焼結性銀粒子を室温から一定の昇温速度で昇温すると、該焼結性銀粒子の焼結は示差熱分析曲線において発熱ピークとして観察されるが、そのピークのトップにおける温度が、本願発明における該焼結性銀粒子の焼結に起因する発熱ピークのピークトップ温度である。示差熱分析における昇温速度は任意に設定できるが、本願発明における昇温速度は、5℃/分であり、供される焼結性銀粒子の量は、かさ密度にもよるが、通常30〜50mgである。なお、DTA装置およびDSC装置は多数市販されている。
大気雰囲気中で、該脂肪酸被覆焼結性銀粒子を室温から一定の昇温速度で昇温すると、脂肪酸の酸化分解に起因するブロードな低い発熱ピークがまず現れ、次いで、該焼結性銀粒子の焼結に起因するシャープな高い発熱ピーク現れることが多い(図3参照)。この場合は、シャープな高い発熱ピークのピークトップ温度が、本願発明における焼結性銀粒子の焼結に起因する発熱ピークのピークトップ温度である。
また、該焼結性銀粒子の焼結に起因して複数(例えば、2個)のシャープな発熱ピークが現れることがあり得る。その場合は、最高の(最も高い)発熱ピークのピークトップ温度が、本願発明における焼結性銀粒子の焼結に起因する発熱ピークのピークトップ温度である。ピークトップ温度は、示差熱熱重量同時測定装置に付属している解析ソフトにより自動的に表示される。示差熱分析曲線の図から求めてもよい。具体的には、図10において、ピークトップ(T)から横軸方向に垂直に下ろした垂線(TD)と温度変化線との交点における温度がピークトップ温度であり、この温度は右縦軸に示される。
該脂肪酸被覆焼結性銀粒子を大気雰囲気中で加熱したときは、表面被覆脂肪酸が存在する間は焼結性銀粒子同士の接触が妨げられるため焼結できないが、表面被覆脂肪酸が酸化分解してなくなると、これに続けて焼結性銀粒子が焼結するので、本願発明の「脂肪酸被覆焼結性銀粒子の大気雰囲気中での昇温速度が5℃/分の示差熱分析における、該焼結性銀粒子の焼結に起因する発熱ピークのピークトップ温度(T2)」と、特許文献1(特開2011−95244)の段落[0078]で規定する「有機物被覆金属粒子の表面を被覆している有機物の熱分解ピーク温度」は同一でない。
本願発明の選定方法において選定される、脂肪酸で表面被覆された平均粒径が0.1〜10μmである焼結性銀粒子(A)中の焼結性銀粒子の焼結に起因する発熱ピークのピークトップ温度の測定においては、該焼結性銀粒子の代わりに、ペースト状銀粒子組成物から焼結性銀粒子を沈降させて分離する等の方法により取り出した焼結性銀粒子(A1)を用いても良い。この場合、焼結性銀粒子の表面に付着している揮発性分散媒(B)を、水またはメタノールにより洗浄して除去しても良い。通常、焼結性銀粒子(A)を被覆している脂肪酸は、銀粒子表面と強固に結合しており、揮発性分散媒(B)、水またはメタノールには容易に溶出しないためである。該脂肪酸が、揮発性分散媒(B)、水またはメタノールに溶出していないことは、例えば、該脂肪酸被覆焼結性銀粒子(A)と焼結性銀粒子(A1)を熱重量分析(TGA)してその加熱減量を比較することにより容易に確認できる。すなわち、TGAによる脂肪酸の加熱減量が実質的に同等であれば、該脂肪酸被覆焼結性銀粒子(A)を被覆している脂肪酸は、該揮発性分散媒(B)中に溶出せず、焼結性銀粒子(A1)においてそのまま保持されているので、本願発明の該焼結性銀粒子の焼結に起因する発熱ピークのピークトップ温度の測定において、焼結性銀粒子(A1)は脂肪酸被覆焼結性銀粒子(A)と同等とすることができる。
該脂肪酸被覆焼結性銀粒子(A)は、該脂肪酸被覆焼結性銀粒子(A)同士の凝集を防ぐために、表面の少なくとも一部、好ましくは半分以上、より好ましくは全部が脂肪酸で被覆されている。銀粒子表面を被覆している脂肪酸は、赤外線分光分析等により容易に確認することができる。
脂肪酸は、通常、該脂肪酸被覆焼結性銀粒子(A)の、例えば、銀塩の還元法による製造工程の中において添加されるものであり、前記したように、該脂肪酸被覆焼結性銀粒子(A)は、例えば、清浄な水とメタノールで繰り返し洗浄されて完成するが、洗浄によっても脂肪酸は除去されず焼結性銀粒子の表面に残存する。また、該焼結性銀粒子(A)は、このようにして製造された該脂肪酸被覆焼結性銀粒子(A)の脂肪酸を、例えば、特開2009−289745号公報に示された方法により、より低級の脂肪酸に置換したものであっても良い。この方法により、該脂肪酸被覆焼結性銀粒子(A)表面の脂肪酸は、容易に他の脂肪酸に置換することができる。
脂肪酸として、炭素原子数が2以上である、エタン酸(酢酸)、プロパン酸(プロピオン酸)、ブタン酸(酪酸)、ペンタン酸(吉草酸)、ヘキサン酸(カプロン酸)、ヘプタン酸(エナント酸)、オクタン酸(カプリル酸)、ノナン酸(ペラルゴン酸)、デカン酸(カプリン酸)、ドデカン酸(ラウリン酸)、テトラデカン酸(ミリスチン酸)、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、ヘプタデカン酸(マルガリン酸)、オクタデカン酸(ステアリン酸)、12−ヒドロキシオクタデカン酸(12−ヒドロキシオレイン酸)、エイコサン酸(アラキン酸)、ドコサン酸(ベヘン酸)、テトラコサン酸(リグノセリン酸)、ヘキサコサン酸(セロチン酸)、オクタコサン酸(モンタン酸)等の1価の直鎖飽和脂肪酸;炭素原子数が14以上である2−ペンチルノナン酸、2−ヘキシルデカン酸、2−ヘプチルドデカン酸、イソオレイン酸等の1価の分枝飽和脂肪酸;パルミトレイン酸、オレイン酸、イソオレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、ガドレン酸、エルカ酸、セラコレイン酸等の1価の不飽和脂肪酸が例示される。
これらのうちでは炭素原子数が4以上であるものが好ましい。
なお、炭素原子数が2以上であるシュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマール酸、オキシジ酢酸(ジグリコール酸)、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の多価の脂肪族カルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の多価の芳香族カルボン酸を併用しても良い。その場合、脂肪酸に対する多価の脂肪族カルボン酸や多価の芳香族カルボン酸の好ましい配合量は、脂肪酸の20%質量未満である。
また、酸性官能基および/または塩基性官能基を有する高分子分散剤を併用しても良い。その場合、脂肪酸に対する該高分子分散剤の好ましい配合量は、脂肪酸の10%質量未満である。高分子分散剤は公知の物が使用でき、多くの種類が多数のメーカーから市販されている。
また、有機アミンを併用しても良い。有機アミンは、1級、2級もしくは3級のアルキルアミン類、ジアミン類、トリアミン類、アルキルアミドアミン類、N-アルキルエタノールアミン類、N-アルキルモルホリン、その他の有機アミン化合物が例示される。その場合、脂肪酸に対する該有機アミンの好ましい配合量は、脂肪酸の10%質量未満である。
本願発明の選定方法において選定された、脂肪酸で表面被覆された平均粒径が0.1〜10μmである焼結性銀粒子(A)と、揮発性分散媒(B)を混合することによりペースト状銀粒子組成物を調製することができる。この組成物では該脂肪酸被覆焼結性銀粒子(A)が揮発性分散媒(B)の作用によりペースト化している。ペースト化することによりニードルやノズルから容易に吐出でき、スクリーン印刷、メタルマスクによる印刷塗布も適用できる。印刷された後の該ペースト状銀粒子組成物の厚さは限定されないが、例えば1mm以下であり、好ましくは5〜500μmであり、特に好ましくは20〜100μmである。非揮発性分散媒ではなく、揮発性分散媒(B)を使用するのは、加熱により揮発性分散媒(B)が揮散もしくは分解することにより、該焼結性銀粒子(A)が焼結しやすくなり、多孔質銀焼結物の接着性、電気伝導性、熱伝導性が向上するからである。
そのような揮発性分散媒(B)は、該脂肪酸被覆焼結性銀粒子(A)の表面を変質させないものが好ましく、常温で液状であり、その粘度は限定されないが、20℃において、0.1〜500mP・sであることが好ましく、0.5〜350mP・sであることがより好ましい。
揮発性分散媒(B)として、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、ターピネオール、テキサノール等の揮発性一価アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキサンジオール、オクタンジオール等の揮発性二価アルコール;n−パラフィン、イソパラフィン等の揮発性脂肪族炭化水素;キシレン等の揮発性芳香族炭化水素;メチルイゾブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール(4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン)、2−オクタノン、イソホロン(3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン)、ジイソブチルケトン(2,6−ジメチル−4−ヘプタノン)等の揮発性ケトン;酢酸エチル(エチルアセテート)、酢酸ブチルのような揮発性酢酸エステル;酪酸メチル、ヘキサン酸メチル、オクタン酸メチル、デカン酸メチルのような揮発性脂肪族カルボン酸エステル;テトラヒドロフラン、メチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルメトキシブタノール、ブチルカルビトール等の揮発性エーテル;揮発性シリコーンオイルおよび揮発性有機変成シリコーンオイルが例示され、更に、ポリブテン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ボルニルシクロヘキサノール、イソボルニルシクロヘキサノール、ボルニルフェノール、イソボルニルフェノールが例示される。
揮発性分散媒(B)の常圧での沸点は、脂肪酸で表面被覆された該焼結性銀粒子(A)の焼結に起因する発熱ピークのピークトップ温度と同一であるか、0℃(0℃を含まない)〜30℃高ければよく、絶対値は特に限定されない。もっとも、好適な揮発性分散媒(B)は、常圧での沸点が175℃〜265℃であるアルコール類、特には、ヘキサンジオール,オクタンジオールなどのアルカンジオール(C数5−10)、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、これらのモノアルキル(C数1−4)エーテル、これらのジアルキル(C数1−4)エーテル、これらのモノメチルエーテルモノアセテート、ベンジルアルコールに見出すことができる。
揮発性分散媒(B)は2種類以上を併用しても良い。なお、揮発性分散媒同士の相溶性は問わない。
本願発明の選定方法において選定された、脂肪酸で表面被覆された平均粒径が0.1〜10μmである焼結性銀粒子(A)と、揮発性分散媒(B)からなるペースト状銀粒子組成物(以下、本ペースト状銀粒子組成物という)には、効果を損なわない限り、25℃で固体状の揮発性分散媒、例えば、ピロガロール、p−メチルベンジルアルコール、o−メチルベンジルアルコール、シル−3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール、ピナコールなどのアルコール類;ビフェニル、ナフタレン、デュレンなどの炭化水素類;ジベンゾイルメタン、カルコン、アセチルシクロヘキサンなどのケトン類を配合しても良い。
揮発性分散媒(B)の量は、該脂肪酸被覆焼結性銀粒子(A)と混合してなる本ペースト状銀粒子組成物がペースト状となるに十分な量であり、該該脂肪酸被覆焼結性銀粒子(A)100質量部に対し、3〜30質量部であることが好ましく、6〜20質量部であることがより好ましく、8〜15質量部であることが特に好ましい。
本ペースト状銀粒子組成物中の揮発性分散媒(B)は、常圧における、その沸点(T1)が、前記した該脂肪酸被覆焼結性銀粒子(A)の大気雰囲気中で昇温速度が5℃/分の示差熱分析において、該焼結性銀粒子の焼結に起因して現れる発熱ピークのピークトップ温度(T2)と同じか、それよりも0℃〜30℃の範囲において高いものである。すなわち、T1−T2の温度が0℃〜+30℃の範囲である。
T1−T2が0℃より低い場合、および、T1−T2が30℃を越える場合は、前記した銀焼結物(a)と,銀焼結物(a)間に存在する多数の空隙部(b)とからなる多孔質銀焼結物における、少なくとも二つの空隙部(b)間の銀焼結物(a)が太くならず、ペースト状銀粒子組成物を金属製部材同士の接合に用いた場合、接合強度を大きくすることができない。
少なくとも二つの空隙部(b)間の銀焼結物(a)の太さは、該多孔質銀焼結物の断面を電子顕微鏡で観察することにより知ることができる(例えば、図6〜図9)。実施例である図6と図8の方が、比較例である図7と図9より、銀焼結物(a)が太いことがわかる。
揮発性分散媒(B)の沸点(T1)が該脂肪酸被覆焼結性銀粒子(A)中の該焼結性銀粒子の焼結に起因して現れる発熱ピークのピークトップ温度(T2)を下回ると、ペースト状銀粒子組成物中の該揮発性分散媒が加熱された早い時点で揮散して消失してしまい、その段階では該焼結性銀粒子はまだ焼結体ではなく乾燥体であるため非常にもろく、ごくわずかな外力や振動により銀粒子が動いてしまい、該焼結性銀粒子同士が十分に接触できず、その結果、少なくとも二つの空隙部(b)間の銀焼結物(a)が太くならないと考えられる。
[揮発性分散媒(B)の沸点]−[該焼結性銀粒子の焼結に起因して現れる単一の発熱ピークのピークトップ温度または複数の発熱ピークのうちの最高の発熱ピークのピークトップ温度]の下限値は0℃であるが、+1℃であることが好ましく、+2℃であることがより好ましい。
一方、揮発性分散媒(B)の沸点(T1)が、該脂肪酸被覆焼結性銀粒子(A)中の該焼結性銀粒子の焼結に起因して現れる発熱ピークのピークトップ温度(T2)よりも30℃を越えて高いと、該焼結性銀粒子同士が接触して焼結しようとする際に、該焼結性銀粒子の表面近傍にまだ多くの該揮発性分散媒が揮散または分解せずに存在して該焼結性銀粒子同士の接触を妨げ、その結果、少なくとも二つの空隙部(b)間の銀焼結物(a)が太くならないと考えられる。
[揮発性分散媒(B)の沸点]−[該焼結性銀粒子の焼結に起因して現れる単一の発熱ピークのピークトップ温度または複数の発熱ピークのうちの最高の発熱ピークのピークトップ温度]の上限値は+30℃であるが、+29℃であることが好ましく、+28℃であることがより好ましい。
該脂肪酸被覆焼結性銀粒子(A)の表面被覆剤である脂肪酸は、その構造式における炭素原子数が少ないほど低分子量となり揮発性が増すため、加熱により揮発または分解により除去されやすい。表面被覆剤が除去されると該焼結性銀粒子の表面同士が融着して焼結するため、[該焼結性銀粒子の焼結に起因する発熱ピークのピークトップ温度]が低いほど、沸点の低い揮発性分散媒(B)を選択する必要があることになる。
揮発性分散媒(B)が、石油精製品である、n−パラフィン、イソパラフィン等の揮発性脂肪族炭化水素のような、多数の不特定成分の混合物のため、沸点で示すことができない場合は、大気圧下での蒸留における留出温度の中心値を沸点(T1)としても良い。
該脂肪酸被覆焼結性銀粒子(A)を大気雰囲気中で昇温速度5℃/分で昇温させて記録された示差熱分析曲線において、該焼結性銀粒子の焼結に起因して現れる単一の発熱ピークのピークトップ温度、または、該焼結性銀粒子の焼結に起因して現れる複数の発熱ピークのうちの最高の発熱ピークのピークトップ温度が既知の,脂肪酸で表面被覆された平均粒径が0.1〜10μmである焼結性銀粒子(A)と揮発性分散媒(B)とを混合する際は、[揮発性分散媒(B)の沸点]−[該焼結性銀粒子の焼結に起因して現れる単一の発熱ピークのピークトップ温度または複数の発熱ピークのうちの最高の発熱ピークのピークトップ温度]が0℃〜+30℃となるような、揮発性分散媒(B)を選択することが必要である。
なお、本ペースト状銀粒子組成物には、効果を損なわない限り、該焼結性銀粒子(A)、揮発性分散媒(B)以外の、金属粒子またはセラミックス等の非金属系の粉体、金属酸化物、金属化合物、金属錯体、チクソ剤、安定剤、焼結促進剤、硬化性有機樹脂等の添加物を少量添加しても良い。
本ペースト状銀粒子組成物は、該脂肪酸被覆焼結性銀粒子(A)を大気雰囲気中で昇温速度5℃/分で昇温させて記録された示差熱分析曲線において、該焼結性銀粒子の焼結に起因して現れる単一の発熱ピークのピークトップ温度、または、該焼結性銀粒子の焼結に起因して現れる複数の発熱ピークのうちの最高の発熱ピークのピークトップ温度が既知の,脂肪酸で表面被覆された平均粒径が0.1〜10μmである焼結性銀粒子(A)と、[揮発性分散媒(B)の沸点]−[該焼結性銀粒子の焼結に起因して現れる単一の発熱ピークのピークトップ温度または複数の発熱ピークのうちの最高の発熱ピークのピークトップ温度]が0℃〜+30℃となるような沸点を有する揮発性分散媒(B)を混合することにより製造することができる。
該脂肪酸被覆焼結性銀粒子(A)と揮発性分散媒(B)を混合する際の混合温度は、該焼結性銀粒子同士の焼結が進行しないように、30℃以下であることが好ましい。また、混合後の保管温度も30℃以下が好ましく、0℃以下がより好ましい。
なお、本発明の脂肪酸被覆焼結性銀粒子と揮発性分散媒の選定方法は、示差熱分析における昇温速度が5℃/分以外の昇温速度の場合にも適用可能である。
前記したように、本ペースト状銀粒子組成物は、100℃以上300℃以下、好ましくは150℃以上250℃以下で加熱すると、脂肪酸で表面被覆された平均粒径が0.1〜10μmである焼結性銀粒子(A)の表面被覆剤(脂肪酸)および揮発性分散媒(B)が揮発または分解により揮散し、該脂肪酸被覆焼結性銀粒子(A)の集合体である,多数の該脂肪酸被覆焼結性銀粒子(A)中の焼結性銀粒子同士が焼結して、金属製部材への接着強さが優れた多孔質銀焼結物となる。
加熱時間は、該脂肪酸被覆焼結性銀粒子(A)の表面被覆剤および揮発性分散媒(B)が揮発または分解して、多数の該焼結性銀粒子同士が焼結するのに充分な時間である。該脂肪酸被覆焼結性銀粒子(A)の種類や粒径、加熱温度、加熱時の雰囲気等によって多数の該焼結性銀粒子同士が焼結するのに充分な時間は、例えば、5分ないし3時間であるが、かかる時間に限定されるものではない。
本ペースト状銀粒子組成物は、複数の金属製部材間の接合剤として使用することができる。該ペースト状銀粒子組成物を金属製部材(D1)に吐出、スクリーン印刷またはステンシル印刷等により塗布し、金属製部材(D2)を密接させた後、100℃以上300℃以下、好ましくは150℃以上250℃以下で加熱することにより、揮発性分散媒(B)が揮発または分解して揮散し、多数の該焼結性銀粒子同士が焼結して多孔質銀焼結物となり、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合することができる。脂肪酸で表面被覆された平均粒径が0.1〜10μmである焼結性銀粒子(A)同士が焼結する際には、該脂肪酸被覆焼結性銀粒子(A)の表面被覆剤も揮発または分解して揮散することが好ましい。
本ペースト状銀粒子組成物の、脂肪酸で表面被覆された平均粒径が0.1〜10μmである焼結性銀粒子(A)の表面被覆剤の量、揮発性分散媒(B)の量は、熱重量分析(TGA)により容易に測定することができる。TGA装置は多数市販されている。
金属製部材(D1)と金属製部材(D2)は、材質、形状、サイズ、表面処理等が同一であっても異なっていてもよく、そのような材質として、金、銀、銅、白金、パラジウム、またはそれらの合金が例示されるが、金、銀、またはそれらの合金であることが好ましい。金属製部材(D1)と金属製部材(D2)は、基材としての鉄、ニッケルなどのシートまたは板等の表面に、金、銀、銅、白金、パラジウム、またはそれらの合金がメッキ状に施されたものであっても良い。また、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)の形状として、シート状、平板状、ブロック状、チップ状が例示される。
金属製部材(D1)がリードフレームまたは回路基板の金属部分であり、金属製部材(D2)が半導体素子の金属部分である場合には、このようにして接合した電子装置は、リードフレームもしくは回路基板の金属部分と半導体素子の金属部分間の接合層の熱伝導性、電気伝導性、接着強さが優れるので、電子装置、特には半導体装置の特性の安定性が優れるという効果がある。
本ペースト状銀粒子組成物を加熱する際の雰囲気は、大気、空気または酸素ガスを含む酸化性ガスが例示されるが、大気、空気が好ましい。
酸化されやすい金属製部材(D1、D2)が銅を含む場合は、水素ガスを含む還元性ガス、または、実質的に酸素ガスを含まない、あるいは酸素ガス濃度が4体積%以下の窒素ガス等の不活性ガスが好ましく、また、酸化性ガス中で金属製部材(D1、D2)を接続した後、還元性ガス中で加熱して還元してもよい。
本ペースト状銀粒子組成物を加熱する際の圧力は、通常、常圧、大気圧であるが、軽く加圧して該焼結性銀粒子(A)同士を焼結させてもよい。軽く加圧して該焼結性銀粒子同士を焼結すると、多孔質銀焼結物の空隙率が低下して、多孔質銀焼結物の導電性や熱伝導率を向上させることができる。
大気圧下で焼結させた場合は、主に連続気泡であって独立気泡は少なく、空隙率は大きい(例えば30〜45%)。加熱温度を高くする、あるいは、加圧すると連続気泡は少なくなり、空隙率は小さく(例えば20%以下)なって緻密な銀焼結物にすることができる。
脂肪酸で表面被覆された平均粒径が0.1〜10μmである焼結性銀粒子(A)中の焼結性銀粒子同士が焼結してできた多孔質銀焼結物、すなわち、多孔質固形状銀は、導電性および熱伝導性に優れている。具体的には、その体積抵抗率は1×10-5Ω・cm以下であることが好ましく、熱伝導性は100W/m・K以上であることが好ましい。
このように本ペースト状銀粒子組成物は、焼結途上で接触していた金属部材への優れた接着性を有し、またその多孔質銀焼結物が優れた導電性と熱伝導性(放熱性)を有するので、半導体素子の金属部分、チップ部品の金属部分、リードフレーム、回路基板上の電極等金属部分での接合剤、被覆剤として好適に用いることができる。そのため電子部品、電子装置、電気部品、電気装置等の製造に有用であり、コンデンサ、抵抗等のチップ部品と回路基板との接合;発光ダイオード、レーザーダイオード、メモリ、IGBT、CPU等の半導体素子の金属部分とリードフレームもしくは回路基板の金属部分との接合;高発熱のCPUチップと冷却板との接合に有用である。
発光ダイオード素子はLEDチップとも称され、電子装置の一種である発光ダイオード装置は、LEDチップがリードフレームもしくは回路基板とボンディング(接合)されており、本ペースト状銀粒子組成物はボンディング材(接合剤)として使用できる。本ペースト状銀粒子組成物により接合する部分の発光ダイオード素子の金属部分、リードフレーム、回路基板の金属部分の材質は、耐光性、耐熱性等を有し接続信頼性が高い、金、銀、銅、パラジウム、白金、それら金属の合金であることが好ましく、または、それら金属またはそれら金属の合金によりメッキされていることが好ましい。発光ダイオード装置の形態は限定されず、砲弾型、フラット型、チップ型、アレイ等が例示される。
発光ダイオード素子を構成する化合物半導体として、目的とする発光ピーク波長により変わるが、GaAlAs、GaInP、GaAsP、AlGaInP、GaP、InGaN、GaN、AlN等を使用することができる。なお、発光ダイオード素子が発する光の波長には通常ある程度の幅があり、発光ピーク波長はその内で最も大きい発光強度を示す波長である。発光ピーク波長は、分光光度計により発光スペクトルを測定して容易に知ることができる。また、各成分の比率を選択することにより、発光量や発光ピーク波長を変えることができる。
また、本ペースト状銀粒子組成物中の該脂肪酸被覆焼結性銀粒子(A)中の焼結性銀粒子同士の多孔質銀燒結物は、焼結時に接触していた金属製部材に優れた接着性を有し、しかも、極めて高い導電性および熱伝導性を有するため、高周波数で動作し発熱量の大きいCPUの他、数百ボルトから数千ボルトの高電圧で動作し発熱量が多く、動作温度も高温となる電力用半導体素子(パワー半導体素子)、例えば、MOSFET(電界効果トランジスタ)、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)等のトランジスタ、LTT(光トリガサイリスタ)、GTO(ゲートターンオフサイリスタ)、トライアック等のサイリスタと、リードフレームまたは回路基板との接合に好適に用いることができる。なお、上記パワー半導体素子は、通常、高温動作が可能な窒化アルミニウム、窒化ガリウム、窒化インジウム等の窒化物半導体素子が好適である。
本願発明の実施例と比較例を掲げる。実施例と比較例中、部とあるのは質量部を意味し、平均粒径は、レーザ回折散乱式粒度分布測定装置を用いて測定した粒度分布の体積基準の積算分率50%値、すなわち、メジアン径(D50値)を意味する。実施例と比較例中での加熱の雰囲気は大気である。実施例と比較例と参考例における調製作業等は、いずれも大気中で室温(約25℃)にておこなった。揮発性分散媒の沸点は常圧での沸点である。
該脂肪酸被覆焼結性銀粒子(A)中の焼結性銀粒子の焼結に起因する発熱ピークのピークトップ温度および被覆剤(脂肪酸)の量、該焼結性銀粒子の焼結に起因して現れる発熱ピークの半値幅、ペースト状銀粒子組成物を加熱して生成した銀粒子焼結物の体積抵抗率と熱伝導率、および、加熱して接合した接合体の接着強さは以下の方法により測定した。測定は、大気中で、室温(約25℃)でおこなった。なお、揮発性分散媒(B)の粘度は、20℃における値である。
[該脂肪酸被覆焼結性銀粒子(A)中の焼結性銀粒子の焼結に起因して現れる発熱ピークのピークトップ温度および被覆剤量]
示差熱熱重量同時測定装置(島津製作所株式会社製DTG−60AH型)を用い、大気雰囲気中で該脂肪酸被覆焼結性銀粒子(A)を昇温速度5℃/分にて室温(約25℃)から400℃まで昇温して記録された示差熱分析曲線において、該焼結性銀粒子の焼結に起因して現れる単一の発熱ピークのピークトップにおける温度、または、該焼結性銀粒子の焼結に起因して現れる複数の発熱ピークのうちの最高の発熱ピークのピークトップにおける温度をピークトップ温度とし、その温度を図中に記した。また、この間における減量を被覆剤量とした。ピークトップ温度は該示差熱熱重量同時測定装置に付属している解析ソフトにより自動的に得られる。
なお、図3および図4における示差熱分析曲線の横軸は昇温時間を示し、左側の縦軸は示差熱を示し、右側の縦軸は温度を示す。ピークを有する曲線が該脂肪酸被覆焼結性銀粒子(A)の示差熱分析曲線であり、右肩上がりの直線は温度変化線である。図5における示差熱分析曲線の横軸は温度を示し、左側の縦軸は示差熱を示す。ピークを有する曲線が該脂肪酸被覆焼結性銀粒子(A)の示差熱分析曲線である。
[該焼結性銀粒子の焼結に起因して現れる発熱ピークの半値幅]
横軸が時間(分)である図3(実施例1における、脂肪酸被覆焼結性銀粒子についての大気中における示差熱分析の結果を示すチャートである)を例に取り半値幅の測定方法を説明する。図3における、右側の高くシャープなピークは、表面被覆脂肪酸が酸化分解して消失した焼結性銀粒子自体の焼結に起因して現れる発熱ピークである。図4、図5についても同様である。
図10の示差熱分析曲線において、示差熱分析曲線が立ち上がった点(A)と示差熱変化が収束した点(B)とを結んだ直線(AB)を半値幅測定用のベースラインとする。なお、二つのピークが重なっている場合は、両ピーク間の変曲点(C)から横軸方向に垂直に下ろした垂線をベースラインまで引き、その垂線を境としてそれぞれ単独のピークと見なす。
次に、ベースラインからの高さが最高であるピークのピークトップ(T)から横軸方向に垂直に下ろした垂線をベースラインまで引き、交点(D)までの距離(TD)をピーク高さとする。
そして、
(1)該ピーク高さの1/2の距離の点でベースラインと平行な水平線を引き、ピーク曲線との交点(F)と交点(E)間の距離(FE)に相当する温度差を本願発明における半値幅とする。
(2)横軸が時間(分)である図10において、横軸の時間は右縦軸の温度と対応しているので、下記(3)のとおり、(FE)間の時間差をその間の温度差に換算することができる。
(3)ピーク曲線の右側の点Fから上方に引いた垂線が温度変化線と交差する点Gの温度T2と、ピークの左側の点Eから上方に引いた垂線が温度変化線と交差する点Hの温度T1との差(T2−T1)を半値幅(℃)とすることができる。なお、温度変化線が焼結による発熱反応の影響によりピークを生じている場合、温度変化線は該ピークがない直線とみなす。
(4)あるいは、半値幅におけるピーク曲線の右側の点Fにおける時間t2と、ピークの左側の点Eにおける時間t1との時間差(t2−t1)は、示差熱分析における昇温速度が5℃/分であるから、1分間=5℃の関係でもって温度差に変換しても良い。
横軸が温度(℃)である図5では、示差熱分析曲線におけるピーク高さの高いほうのピーク(該焼結性銀粒子の焼結に起因する発熱ピーク)の半値幅は、発熱ピークのピーク高さ(ピークトップと、ピークトップから下方に引いた垂線が示差熱分析曲線のベースラインと交差する点との間隔)の1/2の距離の点においてベースラインと平行な水平線を引いた場合の、ピーク曲線との2つの交点間の温度幅(℃)である。
図3、図4、図5における、左側の低くブロードなピークは、焼結性銀粒子の表面を被覆している脂肪酸の酸化分解に起因する発熱ピークである。これら発熱ピークの半値幅は、上記半値幅の求め方と同様にして求めることができる。
[焼結物の体積抵抗率]
幅50mm×長さ50mm×厚さ2.0mmのガラス板上に、幅10mm×長さ10mmの開口部を有する2mm厚のメタルマスクを用いて、ペースト状銀粒子組成物を塗布し、200℃(実施例15においては250℃、実施例16においては180℃)の強制循環式オーブン(雰囲気は大気雰囲気である。以下同様)内で1時間加熱して板状の多孔質銀焼結物とした。ガラス板からはがした該板状の多孔質銀焼結物について、JIS K 7194に準じた方法により体積抵抗率(単位;Ω・cm)を測定した。
[焼結物の熱伝導率]
幅50mm×長さ50mm×厚さ2.0mmのガラス板上に、幅10mm×長さ10mmの開口部を有する2mm厚のメタルマスクを用いて、ペースト状銀粒子組成物を塗布し、200℃(実施例15においては250℃、実施例16においては180℃)の強制循環式オーブン内で1時間加熱して板状の多孔質銀焼結物とした。ガラス板からはがした該板状の多孔質銀焼結物について、レーザーフラッシュ法により熱伝導率(単位;W/m・K)を測定した。
[接合体の接着強さ]
幅25mm×長さ70mm×厚さ1.0mmの銀メッキ基板(銀純度99.99%)上に、10mmの間隔をおいて4つの幅2.5mm×長さ2.5mmの開口部を有する100μm厚のメタルマスクを用いて、ペースト状銀粒子組成物を塗布した。塗布したペースト状銀粒子組成物の上に、幅2.5mm×長さ2.5mm×厚さ1mmの金メッキしたシリコンチップ(金メッキチップ)をそれぞれ搭載した後、200℃(実施例15においては250℃、実施例16においては180℃)の強制循環式オーブン内で1時間加熱して、該ペースト状銀粒子組成物中の焼結性銀粒子を焼結することにより、該銀メッキ基板と該金メッキチップを接合した。
かくして得られた接着強さ測定用試験体の幅2.5mm×長さ2.5mm×厚さ1mmの金メッキチップの側面を、接着強さ試験機により速度23mm/分で押圧し、接合部がせん断破壊したときの荷重をもって接着強さ(単位;MPa)とした。
[参考例1]
[表面がカプリル酸で被覆された焼結性銀粒子(カプリル酸量0.3質量%)の調製方法]
硝酸銀の湿式還元法による、平均粒径が0.9μmであり、表面がオレイン酸で被覆された粒状の焼結性銀粒子(オレイン酸量0.3質量%)を、以下の置換方法1により、オレイン酸をカプリル酸に置換した焼結性銀粒子(カプリル酸量0.3質量%)を調製した。
[参考例2]
[表面がカプリル酸で被覆された焼結性銀粒子(カプリル酸量0.4質量%)の調製方法]
硝酸銀の湿式還元法による、平均粒径が1.3μmであり、表面がステアリン酸で被覆された涙滴状の焼結性銀粒子(ステアリン酸量0.3質量%)を、以下の置換方法1により、ステアリン酸をカプリル酸に置換した焼結性銀粒子(カプリル酸量0.4質量%)を調製した。
[置換方法1]
ビーカに、オレイン酸またはステアリン酸で被覆された銀粒子100部と、カプリル酸(和光純薬工業株式会社製、試薬1級)100部を投入し、マグネチックスターラーを用いて25℃で5時間攪拌した。10分間静置して上澄み液(オレイン酸またはステアリン酸を含むカプリル酸をできるだけ取り除いてから、アセトン(和光純薬工業株式会社製、試薬1級)100部を添加して、マグネチックスターラーを用いて同様に25℃で10分間攪拌した。同様に静置して上澄み液をできるだけ取り除いてから、再度アセトンを添加して同様に銀粒子を洗浄した。これを5回繰返してから銀粒子を取り出し、25℃で16時間風乾した。
[参考例3]
[表面がミリスチン酸で被覆された焼結性銀粒子(ミリスチン酸量0.2質量%)の調製方法]
硝酸銀の湿式還元法による、平均粒径が3.1μmであり、表面がアルキルアミンで被覆された球状の焼結性銀粒子(アルキルアミン量0.1質量%)を、以下の置換方法2により、アルキルアミンをミリスチン酸に置換した焼結性銀粒子(ミリスチン酸量0.2質量%)を調製した。
[置換方法2]
ビーカに、アルキルアミンで被覆された銀粒子100部と、ミリスチン酸(和光純薬工業株式会社製、試薬1級)100部を投入し、マグネチックスターラーを用いて25℃で5時間攪拌した。10分間静置して上澄み液(アルキルアミンを含むミリスチン酸をできるだけ取り除いてから、アセトン(和光純薬工業株式会社製、試薬1級)100部を添加して、マグネチックスターラーを用いて同様に25℃で10分間攪拌した。同様に静置して上澄み液をできるだけ取り除いてから、再度アセトンを添加して同様に銀粒子を洗浄した。これを5回繰返してから、アルキルアミンをミリスチン酸に置換した銀粒子を取り出し、25℃で16時間風乾した。
[参考例4]
[表面がカプロン酸で被覆された焼結性銀粒子(カプロン酸量0.3質量%)の調製方法]
硝酸銀の湿式還元法による、平均粒径が0.9μmであり、表面がオレイン酸で被覆された粒状の焼結性銀粒子(オレイン酸量0.3質量%)を、以下の置換方法3により、オレイン酸をカプロン酸に置換した焼結性銀粒子(カプロン酸量0.3質量%)を調製した。
[置換方法3]
ビーカに、オレイン酸で被覆された銀粒子100部と、カプロン酸(和光純薬工業株式会社製、試薬1級)100部を投入し、マグネチックスターラーを用いて25℃で5時間攪拌した。10分間静置して上澄み液(オレイン酸を含むカプロン酸をできるだけ取り除いてから、アセトン(和光純薬工業株式会社製、試薬1級)100部を添加して、マグネチックスターラーを用いて同様に25℃で10分間攪拌した。同様に静置して上澄み液をできるだけ取り除いてから、再度アセトンを添加して同様に銀粒子を洗浄した。これを5回繰返してから、オレイン酸をカプロン酸に置換した銀粒子を取り出し、25℃で16時間風乾した。
[実施例1]
硝酸銀の湿式還元法による、平均粒径が0.9μmであり、表面がオレイン酸で被覆された粒状の焼結性銀粒子(オレイン酸量0.3質量%)(A)について、該焼結性銀粒子の焼結に起因する単一の発熱ピークのピークトップ温度を測定したところ、227℃であった(図3参照)。この単一の発熱ピークの半値幅は5℃であった(図3、図10、図11参照)。オレイン酸の酸化分解に起因する低くブロードな発熱ピークの半値幅は38℃であった。
前記段落に例示されている、多数の揮発性分散媒の中から、ジプロピレングリコール(沸点232℃。粘度107mPa・s。和光純薬工業株式会社製)を選定した。[該揮発性分散媒の沸点]−[該焼結性銀粒子の焼結に起因する単一の発熱ピークのピークトップ温度]は、232℃―227℃=+5℃である。
撹拌羽付きミキサーを使用して、硝酸銀の還元による、平均粒径が0.9μmであり、表面がオレイン酸で被覆された前記粒状の焼結性銀粒子(オレイン酸量0.3質量%、発熱ピークのピークトップ温度227℃)100部、および、揮発性分散媒(B)である前記ジプロピレングリコール(沸点232℃。粘度107mPa・s。和光純薬工業株式会社製)10部を室温(約25℃)で均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した
次いで、ペースト状銀粒子組成物中の該銀粒子の多孔質焼結物について、体積抵抗率および熱伝導率を測定したところ、体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かった。また、この組成物による接合体の接着強さを測定したところ、接着性は高かった。
以上の結果を表1にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、焼結物の導電性および熱伝導性が高く、しかも、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合できている。
[実施例2]
実施例1において、揮発性分散媒(B)であるジプロピレングリコールの代わりに、ブチルカルビトール(ジエチレングリコールモノブチルエーテル、沸点230℃。粘度7mPa・s。和光純薬工業株式会社製)を選定した。[該揮発性分散媒の沸点]−[該焼結性銀粒子の焼結に起因する単一の発熱ピークのピークトップ温度]は、230℃―227℃=+3℃である。
次いで、ペースト状銀粒子組成物中の該銀粒子の多孔質焼結物について、体積抵抗率および熱伝導率を測定したところ、体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かった。また、この組成物による接合体の接着強さを測定したところ、接着性は高かった。
以上の結果を表1にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、焼結物の導電性および熱伝導性が高く、しかも、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合できている。
[実施例3]
実施例1において、揮発性分散媒(B)であるジプロピレングリコールの代わりに、ジエレングリコールジブチルエーテル(沸点254℃。メルク社製)を選定した。[該揮発性分散媒の沸点]−[該焼結性銀粒子の焼結に起因する単一の発熱ピークのピークトップ温度]は、+27℃である。
次いで、ペースト状銀粒子組成物中の該銀粒子の多孔質焼結物について、体積抵抗率および熱伝導率を測定したところ、体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かった。また、この組成物による接合体の接着強さを測定したところ、接着性は高かった。
以上の結果を表1にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、焼結物の導電性および熱伝導性が高く、しかも、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合できている。
[実施例4]
実施例1において、揮発性分散媒(B)であるジプロピレングリコールの代わりに、オクタンジオール(沸点244℃。粘度320mPa・s。協和発酵ケミカル株式会社製)を選定した。[該揮発性分散媒の沸点]−[該焼結性銀粒子の焼結に起因する単一の発熱ピークのピークトップ温度]は、+17℃である。
次いで、ペースト状銀粒子組成物中の該銀粒子の多孔質焼結物について、体積抵抗率および熱伝導率を測定したところ、体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かった。また、この組成物による接合体の接着強さを測定したところ、接着性は高かった。
以上の結果を表1にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、焼結物の導電性および熱伝導性が高く、しかも、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合できている。
[比較例1]
実施例1において、揮発性分散媒(B)であるジプロピレングリコールの代わりに、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル、沸点216℃。和光純薬工業株式会社製)を選定した。[該揮発性分散媒の沸点]−[該焼結性銀粒子の焼結に起因する単一の発熱ピークのピークトップ温度]は、−11℃である。
次いで、ペースト状銀粒子組成物中の該銀粒子の多孔質焼結物について、体積抵抗率および熱伝導率を測定したところ、体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かった。しかし、この組成物による接合体の接着強さを測定したところ、接着性は低かった。
以上の結果を表2にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、焼結物の導電性および熱伝導性が高いものの、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合できない。
[比較例2]
実施例1において、揮発性分散媒(B)であるジプロピレングリコールの代わりに、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル(沸点261℃。粘度3mPa・s。和光純薬工業株式会社製)を選定した。[該揮発性分散媒の沸点]−[該焼結性銀粒子の焼結に起因する単一の発熱ピークのピークトップ温度]は、+34℃である。
次いで、ペースト状銀粒子組成物中の該銀粒子の多孔質焼結物について、体積抵抗率および熱伝導率を測定したところ、体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かった。しかし、この組成物による接合体の接着強さを測定したところ、接着性は低かった。
以上の結果を表2にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、焼結物の導電性および熱伝導性が高いものの、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合できない。
[比較例3]
実施例1において、揮発性分散媒(B)であるジプロピレングリコールの代わりに、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(沸点275℃。粘度4mPa・s。和光純薬工業株式会社製)を選定した。[該揮発性分散媒の沸点]−[該焼結性銀粒子の焼結に起因する単一の発熱ピークのピークトップ温度]は、+48℃である。
次いで、ペースト状銀粒子組成物中の該銀粒子の多孔質焼結物について、体積抵抗率および熱伝導率を測定したところ、体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かった。しかし、この組成物による接合体の接着強さを測定したところ、接着性は低かった。
以上の結果を表2にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、焼結物の導電性および熱伝導性が高いものの、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合できない。
[比較例4]
実施例1において、揮発性分散媒(B)であるジプロピレングリコールの代わりに、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(沸点218℃。和光純薬工業株式会社製)を選定した。[該揮発性分散媒の沸点]−[該焼結性銀粒子の焼結に起因する単一の発熱ピークのピークトップ温度]は、−9℃である。
次いで、ペースト状銀粒子組成物中の該銀粒子の多孔質焼結物について、体積抵抗率および熱伝導率を測定したところ、体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かった。しかし、この組成物による接合体の接着強さを測定したところ、接着性は低かった。
以上の結果を表2にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、焼結物の導電性および熱伝導性が高いものの、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合できない。
[実施例5]
硝酸銀の湿式還元法による、平均粒径が0.9μmであり、表面がオレイン酸で被覆された粒状の焼結性銀粒子(オレイン酸量0.3質量%)を、置換方法1により、オレイン酸をカプリル酸に置換した焼結性銀粒子(カプリル酸量0.3質量%)(A)について、焼結性銀粒子の焼結に起因する発熱ピークのピークトップ温度を測定したところ、198℃であった。
前記段落に例示されている、多数の揮発性分散媒の中から、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル、沸点216℃。和光純薬工業株式会社製)を選定した。
[該揮発性分散媒の沸点]−[該焼結性銀粒子の焼結に起因する単一の発熱ピークのピークトップ温度]は、+18℃である。
撹拌羽付きミキサーを使用して、平均粒径が0.9μmであり、表面がカプリル酸で被覆された前記粒状の焼結性銀粒子(カプリル酸量0.3質量%。発熱ピークのピークトップ温度198℃)100部、および、揮発性分散媒(B)である前記トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル、沸点216℃。和光純薬工業株式会社製)10部を室温(約25℃)で均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。
次いで、ペースト状銀粒子組成物中の該銀粒子の多孔質焼結物について、体積抵抗率および熱伝導率を測定したところ、体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かった。また、この組成物による接合体の接着強さを測定したところ、接着性は高かった。
以上の結果を表3にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、焼結物の導電性および熱伝導性が高く、しかも、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合できている。
[実施例6]
実施例5において、揮発性分散媒(B)であるトリグライムの代わりに、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(沸点202℃。和光純薬工業株式会社製)を選定した。
[該揮発性分散媒の沸点]−[該焼結性銀粒子の焼結に起因する単一の発熱ピークのピークトップ温度]は、+4℃である。
次いで、ペースト状銀粒子組成物中の該銀粒子の多孔質焼結物について、体積抵抗率および熱伝導率を測定したところ、体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かった。また、この組成物による接合体の接着強さを測定したところ、接着性は高かった。
以上の結果を表3にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、焼結物の導電性および熱伝導性が高く、しかも、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合できている。
[実施例7]
実施例5において、揮発性分散媒(B)であるトリグライムの代わりに、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(沸点218℃。和光純薬工業株式会社製)を選定した。[該揮発性分散媒の沸点]−[該焼結性銀粒子の焼結に起因する単一の発熱ピークのピークトップ温度]は、+20℃である。
次いで、ペースト状銀粒子組成物中の該銀粒子の多孔質焼結物について、体積抵抗率および熱伝導率を測定したところ、体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かった。また、この組成物による接合体の接着強さを測定したところ、接着性は高かった。
以上の結果を表3にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、焼結物の導電性および熱伝導性が高く、しかも、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合できている。
[実施例8]
実施例5において、揮発性分散媒(B)であるトリグライムの代わりに、ベンジルアルコール(沸点205℃。粘度6mPa・s。和光純薬工業株式会社製)を選定した。 [該揮発性分散媒の沸点]−[該焼結性銀粒子の焼結に起因する単一の発熱ピークのピークトップ温度]は、+7℃である。
次いで、ペースト状銀粒子組成物中の該銀粒子の多孔質焼結物について、体積抵抗率および熱伝導率を測定したところ、体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かった。また、この組成物による接合体の接着強さを測定したところ、接着性は高かった。
以上の結果を表3にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、焼結物の導電性および熱伝導性が高く、しかも、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合できている。
[比較例5]
実施例5において、揮発性分散媒(B)であるトリグライムの代わりに、オクタンジオール(沸点244℃。粘度320mPa・s。協和発酵ケミカル株式会社製)を選定した。 [該揮発性分散媒の沸点]−[該焼結性銀粒子の焼結に起因する単一の発熱ピークのピークトップ温度]は、+46℃である。
次いで、ペースト状銀粒子組成物中の該銀粒子の多孔質焼結物について、体積抵抗率および熱伝導率を測定したところ、体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かった。しかし、この組成物による接合体の接着強さを測定したところ、接着性は低かった。
以上の結果を表4にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、焼結物の導電性および熱伝導性が高いものの、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合できない。
[比較例6]
実施例5において、揮発性分散媒(B)であるトリグライムの代わりに、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点194℃。和光純薬工業株式会社製)を選定した。 [該揮発性分散媒の沸点]−[該焼結性銀粒子の焼結に起因する単一の発熱ピークのピークトップ温度]は、−4℃である。
次いで、ペースト状銀粒子組成物中の該銀粒子の多孔質焼結物について、体積抵抗率および熱伝導率を測定したところ、体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かった。しかし、この組成物による接合体の接着強さを測定したところ、接着性は低かった。
以上の結果を表4にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、焼結物の導電性および熱伝導性が高いものの、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合できない。
[比較例7]
実施例5において、揮発性分散媒(B)であるトリグライムの代わりに、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点188℃。粘度4mPa・s。和光純薬工業株式会社製)を選定した。 [該揮発性分散媒の沸点]−[該焼結性銀粒子の焼結に起因する単一の発熱ピークのピークトップ温度]は、−10℃である。
次いで、ペースト状銀粒子組成物中の該銀粒子の多孔質焼結物について、体積抵抗率および熱伝導率を測定したところ、体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かった。しかし、この組成物による接合体の接着強さを測定したところ、接着性は低かった。
以上の結果を表4にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、焼結物の導電性および熱伝導性が高いものの、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合できない。
[比較例8]
実施例5において、揮発性分散媒(B)であるトリグライムの代わりに、ジプロピレングリコール(沸点232℃。粘度107mPa・s。和光純薬工業株式会社製)を選定した。[該揮発性分散媒の沸点]−[該焼結性銀粒子の焼結に起因する単一の発熱ピークのピークトップ温度]は、+34℃である。
次いで、ペースト状銀粒子組成物中の該銀粒子の多孔質焼結物について、体積抵抗率および熱伝導率を測定したところ、体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かった。しかし、この組成物による接合体の接着強さを測定したところ、接着性は低かった。
以上の結果を表4にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、焼結物の導電性および熱伝導性が高いものの、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合できない。
[実施例9]
硝酸銀の湿式還元法による、平均粒径が3.1μmであり、表面がアルキルアミンで被覆された球状の焼結性銀粒子(アルキルアミン量0.1質量%)を、置換方法2により、アルキルアミンをミリスチン酸に置換した焼結性銀粒子(ミリスチン酸量0.2質量%)(A)について、焼結性銀粒子の焼結に起因する単一の発熱ピークのピークトップ温度を測定したところ、221℃であった。この単一の発熱ピークの半値幅は3℃であった(図4、[0059]参照)。
ミリスチン酸の酸化分解に起因する低くブロードな発熱ピークの半値幅は23℃であった。
前記段落に例示されている、多数の揮発性分散媒の中から、オクタンジオール(沸点244℃。粘度320mPa・s。協和発酵ケミカル株式会社製)を選定した。[該揮発性分散媒の沸点]−[該焼結性銀粒子の焼結に起因する単一の発熱ピークのピークトップ温度]は、+23℃である。
撹拌羽付きミキサーを使用して、硝酸銀の還元法による、平均粒径が3.1μmであり、表面がミリスチン酸で被覆された前記球状の焼結性銀粒子(ミリスチン酸量0.2質量%。発熱ピークのピークトップ温度221℃)100部、および、揮発性分散媒(B)である前記オクタンジオール(沸点244℃。粘度320mPa・s。協和発酵ケミカル株式会社製)8部を室温(約25℃)で均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。
次いで、ペースト状銀粒子組成物の銀粒子の焼結物について、体積抵抗率および熱伝導率を測定したところ、体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かった。また、この組成物による接合体の接着強さを測定したところ、接着性は高かった。
以上の結果を表5にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、焼結物の導電性および熱伝導性が高く、しかも、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合できている。
[実施例10]
実施例9において、揮発性分散媒(B)であるオクタンジオールの代わりに、ジエチレングリコール(沸点245℃。粘度32mPa・s。和光純薬工業株式会社製)を選定した。[該揮発性分散媒の沸点]−[該焼結性銀粒子の焼結に起因する単一の発熱ピークのピークトップ温度]は、+24℃である。
次いで、ペースト状銀粒子組成物中の該銀粒子の多孔質焼結物について、体積抵抗率および熱伝導率を測定したところ、体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かった。また、この組成物による接合体の接着強さを測定したところ、接着性は高かった。
以上の結果を表5にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、焼結物の導電性および熱伝導性が高く、しかも、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合できている。
[実施例11]
実施例9において、揮発性分散媒(B)であるオクタンジオールの代わりに、ブチルカルビトール(ジエチレングリコールモノブチルエーテル、沸点230℃。粘度7mPa・s。和光純薬工業株式会社製)を選定した。 [該揮発性分散媒の沸点]−[該焼結性銀粒子の焼結に起因する単一の発熱ピークのピークトップ温度]は、+9℃である。
次いで、ペースト状銀粒子組成物中の該銀粒子の多孔質焼結物について、体積抵抗率および熱伝導率を測定したところ、体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かった。また、この組成物による接合体の接着強さを測定したところ、接着性は高かった。
以上の結果を表5にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、焼結物の導電性および熱伝導性が高く、しかも、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合できている。
[実施例12]
実施例9において、揮発性分散媒(B)であるオクタンジオールの代わりに、ジプロピレングリコール(沸点232℃。粘度107mPa・s。和光純薬工業株式会社製)を選定した。[該揮発性分散媒の沸点]−[該焼結性銀粒子の焼結に起因するミリスチン酸発熱ピークのピークトップ温度]は、+11℃である。
次いで、ペースト状銀粒子組成物中の該銀粒子の多孔質焼結物について、体積抵抗率および熱伝導率を測定したところ、体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かった。また、この組成物による接合体の接着強さを測定したところ、接着性は高かった。
以上の結果を表5にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、焼結物の導電性および熱伝導性が高く、しかも、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合できている。
[比較例9]
実施例9において、揮発性分散媒(B)であるオクタンジオールの代わりに、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル、沸点216℃。和光純薬工業株式会社製)を選定した。[該揮発性分散媒の沸点]−[該焼結性銀粒子の焼結に起因する単一の発熱ピークのピークトップ温度]は、−5℃である。
次いで、ペースト状銀粒子組成物中の該銀粒子の多孔質焼結物について、体積抵抗率および熱伝導率を測定したところ、体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かった。しかし、この組成物による接合体の接着強さを測定したところ、接着性は低かった。
以上の結果を表6にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、焼結物の導電性および熱伝導性が高いものの、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合できない。
[比較例10]
実施例9において、揮発性分散媒(B)であるオクタンジオールの代わりに、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル(沸点212℃。粘度2mPa・s。和光純薬工業株式会社製)を選定した。 [該揮発性分散媒の沸点]−[該焼結性銀粒子の焼結に起因する単一の発熱ピークのピークトップ温度]は、−9℃である。
次いで、ペースト状銀粒子組成物中の該銀粒子の多孔質焼結物について、体積抵抗率および熱伝導率を測定したところ、体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かった。しかし、この組成物による接合体の接着強さを測定したところ、接着性は低かった。
以上の結果を表6にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、焼結物の導電性および熱伝導性が高いものの、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合できない。
[比較例11]
実施例9において、揮発性分散媒(B)であるオクタンジオールの代わりに、ジエチレングリコールジブチルエーテル(沸点254℃。粘度2mPa・s。メルク社製)を選定した。[該揮発性分散媒の沸点]−[該焼結性銀粒子の焼結に起因する単一の発熱ピークのピークトップ温度]は、+33℃である。
次いで、ペースト状銀粒子組成物中の該銀粒子の多孔質焼結物について、体積抵抗率および熱伝導率を測定したところ、体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かった。しかし、この組成物による接合体の接着強さを測定したところ、接着性は低かった。
以上の結果を表6にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、焼結物の導電性および熱伝導性が高いものの、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合できない。
[比較例12]
実施例9において、揮発性分散媒(B)であるオクタンジオールの代わりに、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル(沸点261℃。粘度3mPa・s。和光純薬工業株式会社製)を選定した。[該揮発性分散媒の沸点]−[該焼結性銀粒子の焼結に起因する単一の発熱ピークのピークトップ温度]は、+40℃である。
次いで、ペースト状銀粒子組成物中の該銀粒子の多孔質焼結物について、体積抵抗率および熱伝導率を測定したところ、体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かった。しかし、この組成物による接合体の接着強さを測定したところ、接着性は低かった。
以上の結果を表6にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、焼結物の導電性および熱伝導性が高いものの、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合できない。
[実施例13]
硝酸銀の還元による、平均粒径が1.3μmであり、表面がステアリン酸で被覆された涙滴状の焼結性銀粒子(ステアリン酸量0.3質量%)を、置換方法1により、ステアリン酸をカプリル酸に置換した焼結性銀粒子(カプリル酸量0.4質量%)(A)について、焼結性銀粒子の焼結に起因する発熱ピークのピークトップ温度を測定したところ、202℃であった。
前記段落に例示されている、多数の揮発性分散媒の中から、ブチルカルビトール(ジエチレングリコールモノブチルエーテル、沸点230℃。粘度7mPa・s。和光純薬工業株式会社製)を選定した。[該揮発性分散媒の沸点]−[該焼結性銀粒子の焼結に起因する単一の発熱ピークのピークトップ温度]は、+28℃である。
撹拌羽付きミキサーを使用して、硝酸銀の還元による平均粒径が1.3μmであり、表面がカプリル酸で被覆された前記涙滴状の焼結性銀粒子(カプリル酸量0.4質量%。発熱ピークのピークトップ温度202℃)100部、および、揮発性分散媒(B)である前記ブチルカルビトール(ジエチレングリコールモノブチルエーテル、沸点230℃。粘度7mPa・s。和光純薬工業株式会社製)10部を室温(約25℃)で均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。
次いで、ペースト状銀粒子組成物中の該銀粒子の多孔質焼結物について、体積抵抗率および熱伝導率を測定したところ、体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かった。また、この組成物による接合体の接着強さを測定したところ、接着性は高かった。
以上の結果を表9にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、焼結物の導電性および熱伝導性が高く、しかも、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合できている。
[実施例14]
硝酸銀の湿式還元法による、平均粒径が8.8μmであり、表面がステアリン酸で被覆されたフレーク状の焼結性銀粒子(ステアリン酸量0.2質量%)(A)について、焼結性銀粒子の焼結に起因する発熱ピークのピークトップ温度を測定したところ、233℃であった。
前記段落に例示されている、多数の揮発性分散媒の中から、オクタンジオール(沸点244℃。粘度320mPa・s。協和発酵ケミカル株式会社製)を選定した。[該揮発性分散媒の沸点]−[該焼結性銀粒子の焼結に起因する単一の発熱ピークのピークトップ温度]は、+11℃である。
撹拌羽付きミキサーを使用して、硝酸銀の還元による、平均粒径が8.8μmであり、表面がステアリン酸で被覆された前記フレーク状の焼結性銀粒子(ステアリン酸量0.2質量%。発熱ピークのピークトップ温度233℃)100部、および、揮発性分散媒(B)である前記オクタンジオール(沸点244℃。粘度320mPa・s。協和発酵ケミカル株式会社製)7部を室温(約25℃)で均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。
次いで、ペースト状銀粒子組成物中の該銀粒子の多孔質焼結物について、体積抵抗率および熱伝導率を測定したところ、体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かった。また、この組成物による接合体の接着強さを測定したところ、接着性は高かった。
以上の結果を表9にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、焼結物の導電性および熱伝導性が高く、しかも、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合できている。
[実施例15]
実施例3において、ペースト状銀粒子組成物の加熱条件を250℃、1時間とした以外は実施例3と同様に、ペースト状銀粒子組成物中の該銀粒子の多孔質焼結物について、体積抵抗率および熱伝導率を測定したところ、体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かった。また、この組成物による接合体の接着強さを測定したところ、接着性は高かった。
以上の結果を表9にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、焼結物の導電性および熱伝導性が高く、しかも、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合できている。
[実施例16]
実施例6において、ペースト状銀粒子組成物の加熱条件を180℃、1時間とした以外は実施例6と同様に、ペースト状銀粒子組成物中の該銀粒子の多孔質焼結物について、体積抵抗率および熱伝導率を測定したところ、体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かった。また、この組成物による接合体の接着強さを測定したところ、接着性は高かった。
以上の結果を表9にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、焼結物の導電性および熱伝導性が高く、しかも、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合できている。
[実施例17]
硝酸銀の湿式還元法による、平均粒径が0.9μmであり、表面がオレイン酸で被覆された粒状の焼結性銀粒子(オレイン酸量0.3質量%)を、置換方法3により、オレイン酸をカプロン酸に置換した焼結性銀粒子(カプロン酸量0.3質量%)(A)について、焼結性銀粒子の焼結に起因する発熱ピークのピークトップ温度を測定したところ、177℃であった。この単一の発熱ピークの半値幅は1.5℃であった(図5参照)。カプリル酸の酸化分解に起因する低くブロードな発熱ピークの半値幅は16℃であった。
前記段落に例示されている、多数の揮発性分散媒の中から、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、沸点179℃。東邦化学工業株式会社製)を選定した。
[該揮発性分散媒の沸点]−[該焼結性銀粒子の焼結に起因する単一の発熱ピークのピークトップ温度]は、+2℃である。
撹拌羽付きミキサーを使用して、平均粒径が0.9μmであり、表面がカプロン酸で被覆された前記粒状の焼結性銀粒子(カプロン酸量0.3質量%。発熱ピークのピークトップ温度177℃)100部、および、揮発性分散媒(B)である前記ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、沸点179℃。東邦化学工業株式会社製)10部を室温(約25℃)で均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。
次いで、ペースト状銀粒子組成物中の該銀粒子の多孔質焼結物について、体積抵抗率および熱伝導率を測定したところ、体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かった。また、この組成物による接合体の接着強さを測定したところ、接着性は高かった。
以上の結果を表10にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、焼結物の導電性および熱伝導性が高く、しかも、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合できている。
[実施例18]
実施例17において、揮発性分散媒(B)であるジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテルの代わりに、ベンジルアルコール(沸点205℃。粘度6mPa・s。和光純薬工業株式会社製)を選定した。
[該揮発性分散媒の沸点]−[該焼結性銀粒子の焼結に起因する単一の発熱ピークのピークトップ温度]は、+28℃である。
次いで、ペースト状銀粒子組成物中の該銀粒子の多孔質焼結物について、体積抵抗率および熱伝導率を測定したところ、体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かった。また、この組成物による接合体の接着強さを測定したところ、接着性は高かった。
以上の結果を表10にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、焼結物の導電性および熱伝導性が高く、しかも、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合できている。
[実施例19]
実施例17において、揮発性分散媒(B)であるジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテルの代わりに、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点188℃。粘度4mPa・s。東邦化学工業株式会社製)を選定した。
[該揮発性分散媒の沸点]−[該焼結性銀粒子の焼結に起因する単一の発熱ピークのピークトップ温度]は、+11℃である。
次いで、ペースト状銀粒子組成物中の該銀粒子の多孔質焼結物について、体積抵抗率および熱伝導率を測定したところ、体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かった。また、この組成物による接合体の接着強さを測定したところ、接着性は高かった。
以上の結果を表10にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、焼結物の導電性および熱伝導性が高く、しかも、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合できている。
[実施例20]
実施例17において、揮発性分散媒(B)であるジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテルの代わりに、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点194℃。和光純薬工業株式会社製)を選定した。
[該揮発性分散媒の沸点]−[該焼結性銀粒子の焼結に起因する単一の発熱ピークのピークトップ温度]は、+17℃である。
次いで、ペースト状銀粒子組成物中の該銀粒子の多孔質焼結物について、体積抵抗率および熱伝導率を測定したところ、体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かった。また、この組成物による接合体の接着強さを測定したところ、接着性は高かった。
以上の結果を表10にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、焼結物の導電性および熱伝導性が高く、しかも、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合できている。
[比較例15]
実施例17において、揮発性分散媒(B)であるジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテルの代わりに、ジエチレングリコールジメチルエーテル(沸点162℃。粘度1mPa・s。東邦化学工業株式会社製)を選定した。
[該揮発性分散媒の沸点]−[該焼結性銀粒子の焼結に起因する単一の発熱ピークのピークトップ温度]は、−15℃である。
次いで、ペースト状銀粒子組成物中の該銀粒子の多孔質焼結物について、体積抵抗率および熱伝導率を測定したところ、体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かった。しかし、この組成物による接合体の接着強さを測定したところ、接着性は低かった。
以上の結果を表11にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、焼結物の導電性および熱伝導性が高いものの、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合できない。
[比較例16]
実施例17において、揮発性分散媒(B)であるジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテルの代わりに、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(沸点171℃。東邦化学工業株式会社製)を選定した。
[該揮発性分散媒の沸点]−[該焼結性銀粒子の焼結に起因する単一の発熱ピークのピークトップ温度]は、−6℃である。
次いで、ペースト状銀粒子組成物中の該銀粒子の多孔質焼結物について、体積抵抗率および熱伝導率を測定したところ、体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かった。しかし、この組成物による接合体の接着強さを測定したところ、接着性は低かった。
以上の結果を表11にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、焼結物の導電性および熱伝導性が高いものの、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合できない。
[比較例17]
実施例17において、揮発性分散媒(B)であるジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテルの代わりに、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル(沸点212℃。粘度2mPa・s。和光純薬工業株式会社製)を選定した。
[該揮発性分散媒の沸点]−[該焼結性銀粒子の焼結に起因する単一の発熱ピークのピークトップ温度]は、+35℃である。
次いで、ペースト状銀粒子組成物中の該銀粒子の多孔質焼結物について、体積抵抗率および熱伝導率を測定したところ、体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かった。しかし、この組成物による接合体の接着強さを測定したところ、接着性は低かった。
以上の結果を表11にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、焼結物の導電性および熱伝導性が高いものの、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合できない。
[比較例18]
実施例17において、揮発性分散媒(B)であるジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテルの代わりに、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル、沸点216℃。和光純薬工業株式会社製)を選定した。
[該揮発性分散媒の沸点]−[該焼結性銀粒子の焼結に起因する単一の発熱ピークのピークトップ温度]は、+39℃である。
次いで、ペースト状銀粒子組成物中の該銀粒子の多孔質焼結物について、体積抵抗率および熱伝導率を測定したところ、体積抵抗率は低く、熱伝導率は高かった。しかし、この組成物による接合体の接着強さを測定したところ、接着性は低かった。
以上の結果を表11にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、焼結物の導電性および熱伝導性が高いものの、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合できない。
[比較例13]
特許文献1(特開2009−289745)の実施例1−実施例3、比較例1−比較例3について、ペースト状銀粒子組成物中の該焼結性銀粒子の焼結に起因する発熱ピークのピークトップ温度(T2)を測定して表7に記載し、ペースト状銀粒子組成物中の揮発性分散媒の沸点(T1)または蒸留範囲を表7に記載し、(T1−T2)および(蒸留範囲−T2)を表7に記載した。ペースト状銀粒子組成物の焼結物による接合体の接着強さを表7に転記し、MPaへの換算値を併記した。
注:実施例2と実施例3、比較例2と比較例3の揮発性分散媒低級イソパラフィン(商品名アイソゾール300)は単一物質ではないため、沸点ではなく蒸留温度範囲でしかその揮発性を表現できない。106〜202℃の中心値は154℃であり、発熱ピークのピークトップ温度199℃より著しく低い。
[比較例14]
特許文献2(国際公開第2007/034833号パンフレット)の実施例1−実施例3、比較例1−比較例3について、ペースト状銀粒子組成物中の該焼結性銀粒子の焼結に起因する発熱ピークのピークトップ温度(T2)を測定して表8に記載し、ペースト状銀粒子組成物中の揮発性分散媒の沸点(T1)または蒸留範囲を表8に記載し、(T1−T2)および(蒸留範囲−T2)を算出して表8に記載した。固着強度、すなわち、ペースト状銀粒子組成物の焼結物による接合体の接着強さを表7に転記し、MPaへの換算値を併記した。
本願発明の焼結性銀粒子と揮発性分散媒の選定方法は、接着強度の高いペースト状銀粒子組成物用の焼結性銀粒子と揮発性分散媒を簡易に選定するのに有用である。
A 接着強さ測定用試験体
1 銀基板
2 ペースト状銀粒子組成物(加熱して焼結後は空隙を有する固体状銀)
3 Auメッキしたシリコンチップ

Claims (3)

  1. 脂肪酸で表面被覆された平均粒径が0.1〜10μmである焼結性銀粒子(A)と揮発性分散媒(B)を混合してペースト状銀粒子組成物を調製するにあたり、該焼結性銀粒子(A)を大気雰囲気中で昇温速度5℃/分で昇温させて記録された示差熱分析曲線において、該焼結性銀粒子の焼結に起因して現れる単一の発熱ピークのピークトップ温度、または、該焼結性銀粒子の焼結に起因して現れる複数の発熱ピークのうちの最高の発熱ピークのピークトップ温度が175℃〜235℃の範囲内の焼結性銀粒子を選定し、[揮発性分散媒(B)の沸点]−[該焼結性銀粒子の焼結に起因して現れる単一の発熱ピークのピークトップ温度または複数の発熱ピークのうちの最高の発熱ピークのピークトップ温度]が0℃〜+30℃となるような沸点を有する揮発性分散媒(B)を選定することを特徴とする、接着強度の高いペースト状銀粒子組成物用の脂肪酸被覆焼結性銀粒子と揮発性分散媒の選定方法。
  2. 単一の発熱ピークの半値幅または複数の発熱ピークのうちの最高の発熱ピークの半値幅が10℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の選定方法。
  3. 脂肪酸が炭素原子数4以上の脂肪酸であり、該焼結性銀粒子(A)が銀塩の還元による銀粒子であり、揮発性分散媒(B)は常圧での沸点が175℃〜265℃であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の選定方法。
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