JP6854030B1 - 銀粒子焼結部の平均太さの算出方法およびペースト状銀粒子組成物用の揮発性分散媒の選定方法 - Google Patents

銀粒子焼結部の平均太さの算出方法およびペースト状銀粒子組成物用の揮発性分散媒の選定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】銀粒子焼結部と空隙部を有する銀焼結体についての銀粒子焼結部の平均太さの算出方法、金属製部材どうし間での接着強さが優れた銀焼結物となるペースト状銀粒子組成物用の揮発性分散媒の選定方法を提供する。【解決手段】多数の平均粒径が0.1〜5μmである焼結性銀粒子(A)同士が連接状態で焼結してなる銀粒子焼結部(a)と該(a)に隣接する空隙部(b)とを有する銀焼結体(c)について,その断面電子顕微鏡写真を用いる該(a)の平均太さの算出方法、(A)平均粒径が0.1〜5μmである焼結性銀粒子と(B)揮発性分散媒とからなり、加熱して該焼結性銀粒子(A)同士を連接状態で焼結して銀粒子焼結部(a)と該(a)に隣接する空隙部(b)とを有する銀焼結体(c)とするためのペースト状銀粒子組成物用の揮発性分散媒の選定方法。【選択図】図11

Description

本発明は、銀粒子焼結部の平均太さの算出方法およびペースト状銀粒子組成物用の揮発性分散媒の選定方法に関する。
詳しくは、(1)多数の焼結性銀粒子同士が連接状態で焼結してなる銀粒子焼結部(a)と該銀粒子焼結部(a)に隣接する空隙部(b)とを有する銀焼結体における、該銀粒子焼結部の平均太さの算出方法、(2)(A)平均粒径が0.1〜5μmである焼結性銀粒子と(B)揮発性分散媒とからなり、加熱して該焼結性銀粒子(A)同士を連接状態で焼結して銀粒子焼結部(a)と該銀粒子焼結部(a)に隣接する空隙部(b)とを有する銀焼結体(c)とするためのペースト状銀粒子組成物用の(B)揮発性分散媒の選定方法に関する。
特許文献1(国際公開第2007/034833号パンフレット)には、銀の表面の少なくとも一部が高級脂肪酸若しくはその誘導体により被覆されている銀粒子と揮発性分散媒とからなるペースト状銀粒子組成物を複数の金属製部材間に介在させ、100℃以上400℃以下での加熱により該揮発性分散媒が揮散し該銀粒子同士が焼結して複数の金属製部材同士を接合させることを特徴とする、接合方法が記載されている。
しかしながら、銀粒子焼結物の断面顕微鏡写真がないので銀粒子焼結部の太さが不明であり、接合体の接着強さが十分になる揮発性分散媒の選定方法は、記載も示唆もされていない。
特許文献2(特開2011−95244号公報)には、有機物被覆金属粒子と該有機物自体の各々を、空気気流中における熱分析に供し、該金属粒子の表面を被覆している有機物の熱分解ピーク温度(1)が該有機物自体の熱分解ピーク温度(2)より低い場合は、該有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が優れると判定し、該金属粒子の表面を被覆している有機物の熱分解ピーク温度(1)が該有機物自体の熱分解ピーク温度(2)と同等以上の場合は、該有機物被覆金属粒子の加熱焼結性が劣ると判定し、加熱焼結性が優れると判定された有機物被覆金属粒子を揮発性分散媒と混合してペースト化して加熱焼結性金属ペーストを調製し、次いで、該加熱焼結性金属ペーストを、複数の金属製部材間に介在させ、加熱焼結性金属の焼結可能な温度以上で加熱することを特徴とする、金属製部材接合体の製造方法が記載されている。
しかしながら、金属粒子焼結物の断面顕微鏡写真がないので銀粒子焼結部の太さが不明であり、接合体の接着強さが十分になる揮発性分散媒の選定方法は、記載も示唆もされていない。
特許文献3(特開2009−289745号公報)には、(A)表面が高・中級脂肪酸(b1)または高・中級脂肪酸(b1)の誘導体(b2)で被覆された銀粒子と、(B)揮発性分散媒とからなるペースト状銀粒子組成物を70℃以上400℃以下で加熱することにより、該揮発性分散媒を揮散させ該銀粒子同士を焼結して、複数の金属製部材同士を接合させる金属製部材の接合方法が記載されている。
しかしながら、銀粒子焼結物である固体状銀の断面顕微鏡写真がないので銀粒子焼結部の太さが不明であり、金属性部材を強固に接合するのに有用な揮発性分散媒の選定方法は、記載も示唆もされていない。
特許文献4(特開2018−206532号公報)には、(A)25℃で非粉末状の脂肪酸、高分子分散剤および有機アミンからなる群から選択される被覆剤で表面被覆された平均粒径が0.01〜10μmである焼結性金属粒子と、(B)揮発性分散媒と、(C)25℃で粉末状の脂肪酸とからなる、ペースト状金属粒子組成物を、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)の間に介在させて、100℃以上300℃以下で加熱することにより、該焼結性金属粒子(A)同士の焼結物により、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を接合することを特徴とする、接合方法が記載されている。
しかしながら、焼結性金属粒子同士の焼結物の断面顕微鏡写真がないので銀粒子焼結部の太さが不明であり、接着強さが優れた接合体になる揮発性分散媒の選定方法は、記載も示唆もされていない。
特許文献5(特開2015−159096号公報)には、本発明の、銀粒子からなる固形分と溶剤(例、炭素数8〜16で構造内にOH基を有する沸点280℃以下の有機溶剤)とを混練してなる金属ペーストにおいて、前記固形分が、粒径100〜200nmの銀粒子を粒子数基準で30%以上含む銀粒子で構成されており、更に、固形分を構成する銀粒子は、150℃以下の低温域であっても焼結可能であり、生成する焼結体はバルクの銀と同等の低抵抗値を示し、導電性の接合材料としての応用が可能である旨記載されている。
しかしながら、銀ペーストの低温焼結試験の結果を示す表3では、密着性が良好であることを意味する丸印しか表示されていないので、接合力が優れているとは言えない。
図5では銀ペーストc(銀粒子の径:30nm)の210℃の焼結体のSEM写真にのみ微細なクラックが多数存在している。
図6の左側の写真は、銀ペーストcの210℃の焼結体の拡大SEM写真であり、大きなクラック2個と多数の微細な略円形の穴が散在しており、図6の右側の写真は、銀ペーストf(銀粒子の径:100nm)の210℃の焼結体の拡大SEM写真であり、多数の微細な略円形の穴とやや細長い穴が散在している。しかしながら、これら穴間の銀焼結物の太さの測定に言及していない。また、接着強さが優れた接合体になる揮発性分散媒の選定方法は、記載も示唆もされていない。
特許文献6(特開2011−236494号公報)には、(A)平均粒径(メディアン径D50)が0.01μm以上50μm以下である加熱焼結性金属粒子(例えば加熱焼結性銀粒子)と(B)揮発性分散媒とからなるペースト状金属粒子組成物を、複数の金属製部材間に介在させ、無加圧で加熱(1)することにより、該揮発性分散媒を揮散させ、該金属粒子同士を焼結せしめて生成した、断面における空孔率が面積比で15%以上である多孔質焼結物により、複数の金属製部材同士を接合させ、しかる後に、該金属製部材を加熱(1)よりも高い温度で加熱(2)して、該多孔質焼結物の空孔率を15%未満に低減することを特徴とする、金属製部材接合体の製造方法、および、その製造方法で製造された金属製部材接合体が記載され、図1と図2は多孔質銀焼結物の断面部分拡大写真である。
しかしながら、銀粒子焼結部の太さの測定方法および接着強さが優れた接合体になる揮発性分散媒の選定方法は、記載も示唆もされていない。
国際公開第2007/034833号パンフレット 特開2011−95244号公報 特開2009−289745号公報 特開2018−206532号公報 特開2015−159096号公報 特開2011−236494号公報
本発明者らは、多数の焼結性銀粒子の加熱焼結体は銀粒子焼結部とそれに隣接する空隙部を有するので、銀粒子焼結部の平均太さを簡易に算出する方法を鋭意研究した結果、簡易に算出する方法を見出して本発明に到達した。
また、焼結性銀粒子と揮発性分散媒とからなるペースト状銀粒子組成物を複数の金属製部材間に介在させ、加熱により該揮発性分散媒が揮散させ該銀粒子同士を焼結して複数の金属製部材同士を接合させた場合に、接着強さが優れた接合体となる揮発性分散媒の選定方法を鋭意研究した結果、ペースト状銀粒子組成物に含まれる銀粒子の加熱焼結物の太さが接着強さと関係があり、銀粒子焼結部が特定範囲の平均太さを有するペースト状銀粒子組成物は、接合するための金属製部材間に介在させ、加熱して該焼結性銀粒子を焼結して接合すると、接合体の接着強さが顕著に優れていることを見出して本発明に到達した。
なお、銀粒子の焼結とは、多数の焼結性銀粒子を、互いに接触している状態で、該銀粒子の融点未満の温度で加熱すると、該銀粒子同士が接触点で融着して空隙を有する固体状銀になる現象である。
本発明の目的は、多数の焼結性銀粒子同士が連接状態で焼結してなる銀粒子焼結部と該銀粒子焼結部に隣接する空隙部とを有する銀焼結体について、該銀粒子焼結部の平均太さの算出方法を提供すること、および、平均粒径が0.1〜5μmである焼結性銀粒子と揮発性分散媒とからなるペースト状銀粒子組成物を、接合するための金属製部材間に介在させ、加熱して該焼結性銀粒子を焼結した場合に、接合体の接着強さ試験を行わなくても、金属製部材どうしを強固に接合することができる揮発性分散媒を容易に選定できる方法を提供することにある。
これらの目的は、
[1] 多数の平均粒径が0.1〜5μmである焼結性銀粒子(A)同士が連接状態で焼結してなる銀粒子焼結部(a)と該銀粒子焼結部(a)に隣接する空隙部(b)とを有する銀焼結体(c)の断面電子顕微鏡写真上に、4本以上の等間隔の縦直線と4本以上の等間隔の横直線を引いて正方形の升目9個以上を形成し、二つの空隙部(b)間の銀粒子焼結部(a)および一つの空隙部(b)と一つの狭窄部(d)(ただし、狭窄部(d)は長さ方向の太さが0.2μm〜1.0μmである)間の銀粒子焼結部(a)が各縦直線上に存在する長さを測定し、二つの空隙部(b)間の銀粒子焼結部(a)および一つの空隙部(b)と一つの狭窄部(d)(ただし、狭窄部(d)は長さ方向の太さが0.2μm〜1.0μmである)間の銀粒子焼結部(a)が各横直線上に存在する長さを測定し、それら長さの平均値を算出して銀粒子焼結部(a)の平均太さとすることを特徴とする、銀粒子焼結部(a)の平均太さの算出方法。
[2] [1]に記載の銀粒子焼結部(a)の平均太さの算出方法において、「一つの空隙部(b)と一つの狭窄部(d)間(ただし、狭窄部(d)は長さ方向の太さが0.2μm〜1.0μmである)」を、「一つの空隙部(b)と一つの狭窄部(d)(ただし、狭窄部(d)は長さ方向の太さが0.2μm〜1.0μmであり、長さ方向の長さが0.1μm〜0.6μmである)」とすることを特徴とする、[1]に記載の銀粒子焼結部(a)の平均太さの算出方法。
[3] 断面電子顕微鏡写真上に形成された正方形の升目の数が、16個、25個、36個、49個、64個または81個であることを特徴とする、[1]または[2]に記載の銀粒子焼結部(a)の平均太さの算出方法。
[4] 二つの空隙部(b)間および一つの空隙部(b)と一つの狭窄部(d)間の銀粒子焼結部(a)の長さの測定数が、30〜150個であることを特徴とする、[1]、[2]または[3]に記載の銀粒子焼結部(a)の平均太さの算出方法。
[5] (A)平均粒径が0.1〜5μmである焼結性銀粒子と(B)揮発性分散媒とからなり、加熱して該焼結性銀粒子(A)同士を連接状態で焼結して銀粒子焼結部(a)と該銀粒子焼結部(a)に隣接する空隙部(b)とを有する銀焼結体(c)とするためのペースト状銀粒子組成物用の(B)揮発性分散媒の選定方法であって、銀メッキ基板と金メッキシリコンチップの間に該ペースト状銀粒子組成物層を介在させ、大気中にて200℃で1時間加熱して、揮発性分散媒(B)を揮散させ、該焼結性銀粒子(A)同士を連接状態で焼結した場合に、該銀焼結体(c)の断面電子顕微鏡写真上に、4本以上の等間隔の縦直線と4本以上の等間隔の横直線を引いて正方形の升目9個以上を形成し、二つの空隙部(b)間の銀粒子焼結部(a)および一つの空隙部(b)と一つの狭窄部(d)(ただし、狭窄部(d)は長さ方向の太さが0.2μm〜1.0μmである)間の銀粒子焼結部(a)が、各縦直線上に存在する長さを測定し、二つの空隙部(b)間の銀粒子焼結部(a)および一つの空隙部(b)と一つの狭窄部(d)(ただし、狭窄部(d)は長さ方向の太さが0.2μm〜1.0μmである)間の銀粒子焼結部(a)が各横直線上に存在する長さを測定した場合に、それら長さの平均値が1.4〜2.0μmとなる揮発性分散媒を選定することを特徴とする、ペースト状銀粒子組成物用の揮発性分散媒の選定方法。
[5-1] 該焼結性銀粒子(A)は、表面被覆剤で被覆されていることを特徴とする、[5]に記載のペースト状銀粒子組成物用の揮発性分散媒の選定方法。
[5-2] 大気中にての加熱が空気強制循環式オーブン内で加熱である特徴とする、[5]または[5-1]に記載のペースト状銀粒子組成物用の揮発性分散媒の選定方法。
[6] [5]に記載のペースト状銀粒子組成物用の揮発性分散媒の選定方法において、「一つの空隙部(b)と一つの狭窄部(d)間(ただし、狭窄部(d)は長さ方向の太さが0.2μm〜1.0μmである)」を、「一つの空隙部(b)と一つの狭窄部(d)(ただし、狭窄部(d)は長さ方向の太さが0.2μm〜1.0μmであり、長さ方向の長さが0.1μm〜0.6μmである)」とすることを特徴とする、[5]に記載のペースト状銀粒子組成物用の揮発性分散媒の選定方法。
[7] 金メッキシリコンチップはサイズが幅2.5mm×長さ2.5mm×厚さ1mmであり、重さが0.02グラムであり、銀メッキ基板上の該ペースト状銀粒子組成物層上に搭載されていることを特徴とする、[5]または[6]に記載のペースト状銀粒子組成物用の揮発性分散媒の選定方法。
[8] 該ペースト状銀粒子組成物層の厚みが0.02mmであることを特徴とする、[5]に記載のペースト状銀粒子組成物用の揮発性分散媒の選定方法。
本願の請求項1で規定する、銀粒子焼結部の平均太さの算出方法によると、銀粒子焼結体の断面電子顕微鏡写真を使用して、不特定な形状の銀粒子焼結部の平均太さを簡易に算出することができる。
本願の請求項4で規定するペースト状銀粒子組成物用の揮発性分散媒の選定方法によると、(A)平均粒径が0.1〜5μmである焼結性銀粒子と(B)揮発性分散媒とからなるペースト状銀粒子組成物を、接合するための金属製部材(D1)と金属製部材(D2)の間に介在させ、加熱して該焼結性銀粒子を焼結した場合に、接合体の接着強さ試験を行わなくても、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合することができる揮発性分散媒を容易に選定することができる。
実施例における接合強度測定用試験体についての平面図である。 図1に示した試験体のX−X線における断面図である。 実施例1における焼結性銀粒子(A)の焼結物である銀焼結体(c)の断面電子顕微鏡写真である。 比較例1における焼結性銀粒子(A)の焼結物である銀焼結体(c)の断面電子顕微鏡写真である。 実施例2における焼結性銀粒子(A)の焼結物である銀焼結体(c)の断面電子顕微鏡写真である。 比較例2における焼結性銀粒子の焼結物である銀焼結体(c)の断面電子顕微鏡写真である。 実施例3における焼結性銀粒子の焼結物である銀焼結体(c)の断面電子顕微鏡写真である。 比較例3における焼結性銀粒子の焼結物である銀焼結体(c)の断面電子顕微鏡写真である。
図9〜図15は、実施例2における焼結性銀粒子(A)の焼結物である銀焼結体(c)の断面電子顕微鏡写真上に、等間隔の縦直線と等間隔の横直線を引き、該直線上に白抜きの+印と白抜きの×印を付したものである。
実施例2における焼結性銀粒子(A)の焼結物である銀焼結体(c)の断面電子顕微鏡写真上に、等間隔の縦直線と等間隔の横直線を引いたものである。断面電子顕微鏡写真上に升目状の正方形が形成されている。 図9の断面電子顕微鏡写真の各該当箇所に、引き出し線により5銀粒子焼結部(a)、6空隙部(b) 、4銀焼結体(c) および7狭窄部(d)を付したものである。 図9の断面電子顕微鏡写真の縦直線上に二つの白抜きの+印が付され、横直線上に二つの白抜きの×印が付されている。二つの白抜きの+印は、二つの空隙部(b)間の銀粒子焼結部(a)の端部が該縦直線上に存在するポイントを示す。二つの白抜きの×印は、一つの空隙部(b) と一つの狭窄部(d)間の銀粒子焼結部(a)の端部が該横直線上に存在するポイントを示す。 2本の白抜きの直線は、図11において示した、縦直線上および横直線上の銀粒子焼結部(a)の二つの端部、すなわち、ポイント間の長さを示す。 図11よりも、白抜きの+印数、および、白抜きの×印数を増加させた断面電子顕微鏡写真である。一対の白抜きの+印数は7個であり、一対の白抜きの×印数は8個である。 図13よりも、白抜きの+印数、および、白抜きの×印数を増加させた断面電子顕微鏡写真である。一対の白抜きの+印数は11個であり、一対の白抜きの×印数は13個である。 図14よりも白抜きの+印数、および、白抜きの×印数を増加させた断面電子顕微鏡写真である。一対の白抜きの+印数は16個であり、一対の白抜きの×印数は23個である。 比較例2における焼結性銀粒子の焼結物である銀焼結体(c)の断面電子顕微鏡写真上に、等間隔の縦直線と等間隔の横直線を引いたものである。 図16の断面電子顕微鏡写真の縦直線上に複数の白抜きの+印が付され、横直線上に複数の白抜きの×印が付されている。一対の白抜きの+印数は30個であり、一対の白抜きの×印数は35個である。
本願の請求項1で規定する銀粒子焼結部(a)の平均太さの算出方法は、多数の平均粒径が0.1〜5μmである焼結性銀粒子(A)同士が連接状態で焼結してなる銀粒子焼結部(a)と該銀粒子焼結部(a)に隣接する空隙部(b)とを有する銀焼結体(c)の断面電子顕微鏡写真上に、4本以上の等間隔の縦直線と4本以上の等間隔の横直線を引いて正方形の升目9個以上を形成し、二つの空隙部(b)間の銀粒子焼結部(a)および一つの空隙部(b)と一つの狭窄部(d)間の銀粒子焼結部(a)が各縦直線上に存在する長さを測定し、二つの空隙部(b)間の銀粒子焼結部(a)および一つの空隙部(b)と一つの狭窄部(d)間の銀粒子焼結部(a)が各横直線上に存在する長さを測定し、それら長さの平均値を算出して銀粒子焼結部(a)の平均太さとすることを特徴とする。
前記狭窄部(d)は、例えば、図11の横直線上の右側の白抜き×印を付した個所に所在している。
なお、図9〜図15の各左上隅には狭窄部(d)が一つだけ横直線上に存在し、図16と図17の縦直線上および横直線上には狭窄部(d)の存在が認められないことからわかるように、二つの狭窄部(d)間の銀粒子焼結部(a)が該縦直線上及び/又は該横直線上に存在することは極めて稀であるので、上記「長さ」の測定対象外としている。
多数の平均粒径が0.1〜5μmである焼結性銀粒子(A)同士が連接状態で焼結してなる銀粒子焼結部(a)と該銀粒子焼結部(a)に隣接する空隙部(b)とを有する銀焼結体(c)は、多数の平均粒径が0.1〜5μmである焼結性銀粒子(A)を、後記する大気,空気などの酸素含有雰囲気等中で焼成して製造することができる。
該銀焼結体(c)は、好ましくは、(A)平均粒径が0.1〜5μmである焼結性銀粒子と(B)揮発性分散媒とからなるペースト状銀粒子組成物を、後記する大気,空気などの酸素含有雰囲気等中で100℃以上300℃以下で加熱すると、該揮発性分散媒(B)が揮発または分解によって揮散し、多数の該焼結性銀粒子(A)同士が連接状態で焼結して形成される。詳しくは、多数の該焼結性銀粒子(A)同士が接触部にて融着して連接し(長く繋がり)、すなわち、連接状態で焼結して形成されると解される。なお、多数の焼結性銀粒子(A)は、粒度分布を有する焼結性銀粒子の集合体であり、粉末状である。
実施例の銀焼結体(c)の断面電子顕微鏡写真である図5、図9を見ればわかるように、銀焼結体(c)は、一見すると二次元略網目状構造を有するが、よく観察すると三次元略網目状構造を有する。
銀焼結体(c)の断面は略網目状であり、各網目は銀粒子焼結部(a)と該銀粒子焼結部(a)に隣接する空隙部(b)とからなる。銀粒子焼結部(a)は、細長い部分(a1)と分岐した部分(a2)と略環状の部分(a3)とが不規則に連接している。細長い部分(a1)は、分岐した部分(a2)および/または略環状の部分(a3)から延出しており、二つの分岐した部分(a2)間、あるいは、分岐した部分(a2)と略環状の部分(a3)間を連結している。
断面電子顕微鏡写真において、細長い部分(a1)は、随所で緩やかに折れ曲がり、その長さ方向の太さ(横断面の径)は、不均一であり、太い部分、多少太い部分、多少細い部分、細い部分、すぼまって細い部分である狭窄部(d)などが散在している。
図10において、引き出し線7の下端は、狭窄部(d)の横幅(長さ方向の幅)の中間に位置している。すぼまって細い部分である狭窄部(d)の長さ方向の太さは、左側の太い部分より格段に細く、右側の多少太い部分より明らかに細い。
図11において、左寄り上部の2個の白抜き×印のうちの右側の白抜き×印は、狭窄部(d)に付されている。
空隙部(b)は、多数の該焼結性銀粒子(A)同士の融着による連接状態での焼結に伴い形成されるものであり、銀粒子焼結部(a)に隣接している。断面電子顕微鏡写真における、その形状は、楕円状、略楕円状、略への字状、略くの字状、略Y字状、略T字状、略L字状、蛇行状など種々様々であり、その位置、大きさも種々様々である(図9参照)。
空隙部(b)は、主に連続気泡であると解されるが、独立気泡らしい空隙の混在が観察される。
図9〜図15を用いて、銀焼結体(c)中の銀粒子焼結部(a)の平均太さ(横断面の径)の算出方法を具体的に説明する。
図9は、図2の「空隙を有する固体状銀2」を正方形に切り出したものの断面図に、同じ大きさの正方形の升目を形成するように等間隔で同数の縦直線と横直線を引いたものである。すなわち、正方形である断面図に、縦直線5本、横直線5本を引くことにより、36個の正方形の升目を形成する。
なお、二つの空隙部(b)間の銀粒子焼結部(a)の平均太さ(横断面の径)の算出においては、断面図の枠部である、縦直線2本、横直線2本も使用して良い。
よって、図9においては、縦直線が7本、横直線が7本存在する。同本数の縦直線と横直線を用いるのは、縦方向と横方向の測定値への寄与を対等とするためである。なお、測定する断面電子顕微鏡写真は図9〜図15のような正方形である必要はなく、長方形であってもよい。測定に使用する縦直線および横直線が同本数であれば良い。また、測定に使用する断面電子顕微鏡写真は、電子顕微鏡で得られた断面写真を全体的に拡大または縮小して用いても良いが、縦方向と横方向で拡大または縮小の比率を変えてはならない。縦方向と横方向で拡大または縮小の比率が変わると、縦方向と横方向の測定値への寄与が変わってしまうからである。
図11は、縦直線上に存在する、二つの空隙部(b)間の銀粒子焼結部(a)の両端部の位置を太い白抜きの+印で示したものであり、また、横直線上に存在する、一つの空隙部(b)と一つの狭窄部(d)間の銀粒子焼結部(a)の両端部の位置を太い白抜きの×印で示したものである。右側の太い白抜きの×印は、狭窄部(d)に位置している。狭窄部(d)は約0.3μmの横幅(長さ方向の幅)があり、右側の太い白抜きの×印は、詳しくは狭窄部(d)の横幅(長さ方向の幅)の中間に位置している。なお、狭窄部(d)の横幅(長さ方向の幅)は、好ましくは0.1μm〜0.6μmが例示され、狭窄部(d)の長さ方向の太さは、0.2μm〜1.0μmが例示される。
横直線上に存在する、一つの空隙部(b)と一つの狭窄部(d)間の距離は、左側の太い白抜きの×印と右側の太い白抜きの×印間の距離であるが、厳密には、左側の太い白抜きの×印と右側の太い白抜きの×印が付された狭窄部(d)の横幅(長さ方向の幅)の中間点間の距離である。
縦直線上に存在する、一つの空隙部(b)と一つの狭窄部(d)間の距離も同様である。
図12中の太い白抜き線は、二つの空隙部(b)間の距離、すなわち、長さを明示したものである。
図15では、縦直線7本上に存在する、二つの空隙部(b)間の銀粒子焼結部(a)の両端部の位置に白抜きの+印を付し、一つの空隙部(b)と一つの狭窄部(d)間の銀粒子焼結部(a)の両端部の位置に白抜きの+印を付している。
また、横直線7本上に存在する、二つの空隙部(b)間の銀粒子焼結部(a)の両端部の位置に白抜きの×印を付し、一つの空隙部(b)と一つの狭窄部(d)間の銀粒子焼結部(a)の両端部の位置に白抜きの×印を付している。
なお、前記したように、銀粒子焼結部(a)は、細長い部分(a1)が最も多く、その長さ方向の太さ(横断面の径)は不均一であり、太い部分、多少太い部分、多少細い部分、細い部分、すぼまって細い部分である狭窄部(d)などが散在している。多少太い部分や多少細い部分が上記直線上に存在すれば、端部になり得る。
二つの空隙部(b)間および一つの空隙部(b)と一つの狭窄部(d)間の銀粒子焼結部(a) が縦直線7本上に存在する長さを測定し、二つの空隙部(b)間および一つの空隙部(b)と一つの狭窄部(d)間の銀粒子焼結部(a) が横直線7本上に存在する長さを測定し、それら長さの平均値を算出して銀粒子焼結部(a)の平均太さ、詳しくは長さ方向の平均太さ(横断面の径)とする。
なお、図9〜図17は断面電子顕微鏡写真であるので、これら写真を平面視すると、銀焼結体(c)は二次元略網目状構造体である。そうすると、上記「長さ」は「幅」ということができ、上記「銀粒子焼結部(a)の平均太さ(横断面の径)」は「銀粒子焼結部(a)の平均幅」ということができる。請求項1と請求項4と発明の詳細な説明などにおいても同様であり、更には請求項1においては「平均太さの算出方法」は「平均幅の算出方法」ということができる。
各直線上に銀粒子焼結部(a)の一端しか存在しない場合や両端とも存在しない場合は、そもそもその両端部間の長さは特定できないので、測定の対象にはならない。
図9〜図15には、縦直線上および横直線上に窪みや小さなボイドが散見されるが、これらは空隙部の一種である。
その際、銀焼結体(c)の断面電子顕微鏡写真上に引く、等間隔の縦直線と等間隔の横直線は各々4本以上であることが好ましく、断面写真上に形成された正方形の升目の数は、16個以上であることが好ましい。16個未満であると、十分な測定数を確保することが困難になる場合がある。該正方形の升目の数の上限は限定されないが、100個を超えると測定作業が煩雑になるので、100個以下、特には81個以下であることが好ましい。
また、二つの空隙部(b)間および一つの空隙部(b)と一つの狭窄部(d)間の銀粒子焼結部分(a)の長さの測定数は、30〜150個であることが好ましく、30〜100個であることがより好ましく、34〜70個であることがさらに好ましい。30個未満であると、得られた平均値の信頼性が低くなる恐れがある。測定数の上限は限定されないが、150個を越えると測定作業が煩雑になるので、150以下であることが好ましい。なお、この測定に適切な画像処理ソフトが存在し、それを有効に利用できる場合の上限は、この限りではない。
なお、図9〜図15においては、同じ大きさの正方形の升目を形成するように断面電子顕微鏡写真の上下左右の枠と並行して等間隔で縦直線と横直線を引いたが、本発明の二つの空隙部(b)間および一つの空隙部(b)と一つの狭窄部(d)間の銀粒子焼結部(a)の平均太さ(横断面の径)の算出方法にとって、断面電子顕微鏡写真自体には方向性がなく、どの方向からみても良いので、直角に交差する直線が、二つの空隙部(b)間および一つの空隙部(b)と一つの狭窄部(d)間の銀粒子焼結部分(a)の平均太さ(断面の径)の算出において対等に寄与するならば、斜め線であっても良い。
前記ペースト状銀粒子組成物は、(A)平均粒径が0.1〜5μmである焼結性銀粒子と(B)揮発性分散媒とからなるペースト状物であって、100℃以上300℃以下で加熱すると、該揮発性分散媒(B)が揮発または分解によって揮散し、該焼結性銀粒子同士の焼結体は多孔質の固体状銀となる。
詳しくは、多数の該焼結性銀粒子(A)同士が連接状態で焼結してなる銀粒子焼結部(a)と該銀粒子焼結部(a)に隣接する空隙部(b)とを有する銀焼結体(c)になり、その断面電子顕微鏡鏡写真上に、4本以上の等間隔の縦直線と4本以上の等間隔の横直線を引いて正方形の升目9個以上を形成し、二つの空隙部(b)間および一つの空隙部(b)と一つの狭窄部(d)間の銀粒子焼結部(a)が各縦直線上に存在する長さを測定し、二つの空隙部(b)間および一つの空隙部(b)と一つの狭窄部(d)間の銀粒子焼結部(a)が各横直線上に存在する長さを測定すると、それら長さの平均値が好ましくは1.4〜2.0μmである。
平均粒径が0.1〜5μmである銀粒子(A)は、加熱により焼結性を有する。なお、銀粒子(A)は、銀の合金粒子、あるいは、銀により表面が被覆された他の金属粒子であっても良く、また、該銀粒子は2種類以上を併用しても良い。
焼結性銀粒子(A)は、焼結性の点で好ましくは、銀塩の湿式還元によるものである。湿式還元は、例えば、硝酸銀水溶液とアンモニア水とを混合して反応させ銀アンミン錯体水溶液を得て、これとヒドロキノンと無水亜硫酸カリウムもしくはアンモニウムとゼラチンの水溶液を接触反応させて銀粒子を還元析出させ、濾過し、残渣を水で洗浄し、加熱下乾燥させて調製する方法が例示される。あるいは、硝酸銀水溶液とアンモニア水とを混合して反応させ銀アンミン錯体水溶液を得て、これと有機還元剤(ヒドロキノン、アスコルビン酸、グルコース等)、特にはヒドロキノンの水溶液を接触反応させて銀粒子を還元析出させ、濾過し、洗浄し、乾燥させて調製する方法が例示される。この際、脂肪酸、有機アミン、高分子分散剤等を還元反応系に存在させると、それら表面被覆剤により表面を被覆された銀粒子を得ることができ、銀粒子同士の凝集を防ぐ効果がある。
濾過残渣はアンモニアとヒドロキノンと無水亜硫酸カリウムもしくはアンモニウムとゼラチンを含有しており、銀粒子表面にアンモニアとヒドロキノンと無水亜硫酸カリウムもしくはアンモニウムとゼラチンが付着しているため、通常、清浄な水で繰り返し洗浄して、平均粒径が0.1〜5μmである焼結性銀粒子を得ることができる。あるいは、濾過残渣はアンモニアと有機還元剤、特にはヒドロキノンを含有しており、銀粒子表面にアンモニアと有機還元剤、特にはヒドロキノンが付着しているため、通常、清浄な水とメタノールで繰り返し洗浄して平均粒径が0.1〜5μmである焼結性銀粒子を得ることができる。この洗浄において、銀粒子を被覆する被覆剤は全量洗い流されることはなく、銀粒子表面に残存する。特に、銀粒子表面と接触している被覆剤は、銀粒子表面に強く吸着しており、洗い流されることはない。
被覆剤を還元反応系に存在させることなく、平均粒径が0.1〜5μmである焼結性銀粒子を製造し、被覆剤で表面処理することにより、被覆剤で表面被覆された平均粒径が0.1〜5μmである焼結性銀粒子を製造することもできる。
このようにして還元法で製造された焼結性銀粒子(A)は通常、球状、粒状または涙滴状である。なお、還元法により製造された焼結性銀粒子(A)は、極微小の銀粒子の集合体として粒状を呈する場合がある。この状態は、電子顕微鏡で観察することができる。
フレーク状の焼結性銀粒子(A)は、球状、粒状または涙滴状の焼結性銀粒子をセラミック製のボールとともに撹拌翼を備えたボールミルに投入し撹拌することにより銀粒子を磨砕し、機械的応力により扁平化することにより容易に製造できる。この際、銀粒子の凝集を低減、防止するため少量の表面被覆剤を添加しても良い。
焼結性銀粒子(A)の平均粒径は0.1〜5μmであり、これはレーザ回折散乱式粒度分布測定装置を用いて測定した粒度分布の体積基準の積算分率50%値、すなわち、メジアン径(D50値)である。焼結性銀粒子(A)の平均粒径が5μmを越えると、焼結性銀粒子(A)同士の焼結性が低下する恐れがあるので5μm以下が好ましく、4μm以下であることがより好ましい。また、0.1μm未満の場合、表面活性が強くてペースト状銀粒子組成物の保存安定性が低下する恐れがあるため、0.1μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であることがより好ましく、0.8μm以上であることが更に好ましい。なお、本発明の目的に反しない限り、平均粒径が0.1μm未満である銀粒子、5μmを越える銀粒子を併用しても良い。
前記ペースト状銀粒子組成物中の焼結性銀粒子(A)の形状は限定されず、球状、粒状、涙滴状、フレーク(片)状、針状、角状、樹枝状、不規則形状、板状、極薄板状、六角板状、柱状、棒状、多孔状、繊維状、塊状、海綿状、けい角状、丸み状等が例示されるが、球状、粒状、涙滴状またはフレーク状であることが好ましい。形状は、例えばJIS Z 2500に記載の分類を用いることができ、これらの形状の焼結性銀粒子(A)は2種以上を併用しても良い。
(A)平均粒径が0.1〜5μmである焼結性銀粒子と(B)揮発性分散媒とからなるペースト状銀粒子組成物は、100℃以上300℃以下で加熱すると、該揮発性分散媒(B)が揮発または分解によって揮散し、該焼結性銀粒子同士の焼結体である空隙を有する固体状銀、詳しくは多数の該焼結性銀粒子(A)同士が連接状態で焼結してなる銀粒子焼結部(a)と該銀粒子焼結部(a)に隣接する空隙部(b)とを有する銀焼結体(c)となる。該銀焼結体(c)における銀粒子焼結部(a)の平均太さは、請求項1で規定する、銀粒子焼結部(a)の平均太さの算出方法により算出することができる。
銀粒子焼結部分(a)の平均太さは、1.4μm以上である。その平均太さが1.4μm未満であると、上記ペースト状銀粒子組成物を複数の金属製部材の接合剤に用いた場合、十分な接着強さを得られない。また、銀粒子焼結部(a)の平均太さは、2.0μmを越えても良いが、そのような太さとなるペースト状銀粒子組成物を得るのは容易ではない。よって好ましい、銀粒子焼結部(a)の平均太さは1.4〜2.0μmである。なお、その平均太さが1.4〜2.0μmであるのは、前記ペースト状銀粒子組成物を加熱して焼結する際に加圧をしないときのものであり、前記ペースト状銀粒子組成物を金属製部材の接合に用いる場合は、加圧しても良い。この場合の銀粒子焼結部(a)の平均太さは、加える圧力に依存して大きくなる。
焼結性銀粒子(A)は、焼結性銀粒子(A)同士の凝集を防ぐために、表面の少なくとも一部、好ましくは半分、より好ましくは全部が、脂肪酸、酸性官能基および/または塩基性官能基を有する高分子分散剤または有機アミンで被覆されていることが好ましく、脂肪酸で被覆されていることが特に好ましい。銀粒子表面を被覆している脂肪酸は、赤外線分光分析等により容易に確認することができる。
脂肪酸は、通常、焼結性金属粒子(A)の、例えば、還元法による製造工程の中において添加されるものであり、前記したように、焼結性銀粒子(A)は、例えば、清浄な水とメタノールで繰り返し洗浄されて完成するが、洗浄によっても脂肪酸は除去されず焼結性銀粒子の表面に残存する。また、焼結性銀粒子(A)は、このようにして製造された焼結性銀粒子(A)の脂肪酸を、例えば、特開2009−289745号公報に示された方法により、より低級の脂肪酸に置換したものであっても良い。この方法により、焼結性銀粒子(A)脂肪酸は、容易に他の脂肪酸に置換することができる。
脂肪酸として、炭素原子数が2以上である、エタン酸(酢酸)、プロパン酸(プロピオン酸)、ブタン酸(酪酸)、炭素原子数が5以上であるペンタン酸(吉草酸)、ヘキサン酸(カプロン酸)、ヘプタン酸(エナント酸)、オクタン酸(カプリル酸)、ノナン酸(ペラルゴン酸)、デカン酸(カプリン酸)、ドデカン酸(ラウリン酸)、テトラデカン酸(ミリスチン酸)、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、ヘプタデカン酸(マルガリン酸)、オクタデカン酸(ステアリン酸)、12−ヒドロキシオクタデカン酸(12−ヒドロキシオレイン酸)、エイコサン酸(アラキン酸)、ドコサン酸(ベヘン酸)、テトラコサン酸(リグノセリン酸)、ヘキサコサン酸(セロチン酸)、オクタコサン酸(モンタン酸)等の1価の直鎖飽和脂肪酸;炭素原子数が14以上である2−ペンチルノナン酸、2−ヘキシルデカン酸、2−ヘプチルドデカン酸、イソオレイン酸等の1価の分枝飽和脂肪酸;パルミトレイン酸、オレイン酸、イソオレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、ガドレン酸、エルカ酸、セラコレイン酸等の1価の不飽和脂肪酸が例示される。
なお、炭素原子数が2以上であるシュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマール酸、オキシジ酢酸(ジグリコール酸)、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の多価の脂肪族カルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の多価の芳香族カルボン酸を併用しても良い。その場合、脂肪酸に対する多価の脂肪族カルボン酸や多価の芳香族カルボン酸の好ましい配合量は、脂肪酸の20%質量未満である。
酸性官能基および/または塩基性官能基を有する高分子分散剤は、高分子からなる分散剤であり、重量平均分子量は通常1,000以上である。重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(キャリア:テトラヒドロフラン)によって測定されるポリスチレン換算重量平均分子量である。
酸性官能基として、カルボキシル基、酸無水物基、スルホ基(スルホン酸基と称されることがある)、チオール基、リン酸基、酸性リン酸エステル基、ホスホン酸基が例示されるが、カルボキシル基、リン酸基または酸性リン酸エステル基であることが好ましい。酸性リン酸エステル基は、一部のリン結合水酸基がアルコキシ化されたものである。アルコキシ基としてメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などの低級アルコキシ基が例示される。低級アルコキシ基の炭素原子数は好ましくは1〜8である。
また、塩基性官能基として、アミノ基、イミノ基(=NH)、アンモニウム塩基、塩基性窒素原子を有する複素環基が例示されるが、アミノ基、アンモニウム塩基(例えば、第3級アンモニウム塩基、第4級アンモニウム塩基)であることが好ましい。アミノ基は、第1級アミノ基(-NH2)、第2級アミノ基(-NHR)、第3級アミノ基(-NRR')のいずれでもよい。前記RとR'はアルキル基、フェニル基、アラルキル基などであり、炭素原子数は好ましくは1〜8である。
前記酸性官能基と塩基性官能基を有する高分子は、分子中の酸性官能基の一部を塩基性化合物により中和ないし塩化していてもよい。中和ないし塩化に用いる塩基性化合物として、たとえば、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、アンモニア、アルキルアミン類、アマイドアミン類、アルカノールアミン類、モルホリン等の含窒素有機化合物が挙げられる。上記アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム等が挙げられ、アルキルアミン類の具体例としては、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミンが挙げられる。アルキル基とアルキレン基の炭素原子数は1〜8が好ましい。
また、分子中の塩基性官能基の一部を酸性化合物により中和ないし塩化していてもよい。中和ないし塩化に用いる酸性化合物として、たとえば、リン酸,部分アルキルエステル化リン酸(酸性リン酸エステル),カルボン酸(例えば、低級脂肪族モノカルボン酸,低級脂肪族ジカルボン酸)が挙げられる。これらカルボン酸の炭素原子数は1〜8が好ましい。酸性官能基の一部は、塩基性官能基との塩を形成していてもよい。
酸性官能基および/または塩基性官能基を有する高分子分散剤の酸価は、5〜300mgKOH/gであることが好ましく、10〜200mgKOH/gであることがより好ましい。また、高分子分散剤のアミン価は、5〜300mgKOH/gであることが好ましく、10〜200mgKOH/gであることがより好ましい。
酸価とは、高分子分散剤固形分1gあたりの酸価を表し、JIS K 0070に準じ、電位差滴定法によって求めることができる。アミン価とは、高分子分散剤固形分1gあたりのアミン価を表し、0.1Nの塩酸水溶液を用い、電位差滴定法によって求めたのち、水酸化カリウムの当量に換算した値をいう。
高分子分散剤において酸性官能基と塩基性官能基の高分子本体への結合位置は、特に限定されず、主鎖であってもよく、側鎖であってもよく、主鎖および側鎖に位置していてもよい。酸性官能基と塩基性官能基は、高分子本体へ直接結合しても良く、連結基を介して結合しても良い。連結基として、エチレン基〜オクチレン基などの低級アルキレン基、フェニレン基、鎖中にエーテル結合を有する低中級アルキレン基、鎖中にカルボン酸エステル結合を有する低中級アルキレン基、鎖中にカルボン酸アミド結合を有する低中級アルキレン基が例示される。低級アルキレン基の炭素原子数は1〜8が好ましく、鎖中にエーテル結合などを有する低中級アルキレン基の合計炭素原子数は2〜12が好ましい。
市販の酸性官能基および/または塩基性官能基を有する高分子分散剤として、SOLSPERSE24000(酸価:24mgKOH/g、アミン価:47mgKOH/g),SOLSPERSE32000(酸価:15mgKOH/g、アミン価:180mgKOH/g)(Lubrizol,Ltd.製)(SOLSPERSEは、リューブリゾル リミテッドの登録商標である)等が例示される。
また、DISPERBYK-106(酸価:132mgKOH/g、アミン価:74mgKOH/g)、DISPERBYK-130(酸価:2mgKOH/g、アミン価:190mgKOH/g)、DISPERBYK-140(酸価:73mgKOH/g、アミン価:76mgKOH/g)、DISPERBYK-142(酸価:46mgKOH/g、アミン価:43mgKOH/g)、DISPERBYK-145(酸価:76mgKOH/g、アミン価:71mgKOH/g)、DISPERBYK-180(酸価:94mgKOH/g、アミン価:94mgKOH/g)、DISPERBYK-187(酸価:35mgKOH/g、アミン価:35mgKOH/g)、DISPERBYK-191(酸価:30mgKOH/g、アミン価:20mgKOH/g)、DISPERBYK-2001(酸価:19mgKOH/g、アミン価:29mgKOH/g)、DISPERBYK-2010(酸価:20mgKOH/g、アミン価:20mgKOH/g)、DISPERBYK-2020(酸価:37mgKOH/g、アミン価:36mgKOH/g)、DISPERBYK-2020N(酸価:36mgKOH/g、アミン価:36mgKOH/g)、DISPERBYK-2025(酸価:38mgKOH/g、アミン価:37mgKOH/g)、DISPERBYK-102(酸価:101mgKOH/g)、DISPERBYK-174(酸価:22mgKOH/g)、DISPERBYK-2096(酸価:40mgKOH/g)、DISPERBYK-2150(アミン価:57mgKOH/g)、などのディスパービックシリーズ品[ビックケミー・ジャパン株式会社販売品](DISPERBYKは、ビイク―ヘミー ゲゼルシヤフト ミツト ベシュレンクテル ハフツングの登録商標である)等が例示される。
また、BYK-9076(酸価:38mgKOH/g、アミン価:44mgKOH/g)、BYK-9077(アミン価:48mgKOH/g)、ANTI-TERRA-U(酸価:24mgKOH/g、アミン価:19mgKOH/g)、ANTI-TERRA-U100(酸価:50mgKOH/g、アミン価:35mgKOH/g)、ANTI-TERRA-204(酸価:41mgKOH/g、アミン価:37mgKOH/g)、ANTI-TERRA-205(酸価:40mgKOH/g、アミン価:37mgKOH/g)、ANTI-TERRA-250(酸価:46mgKOH/g、アミン価:41mgKOH/g)などのビックシリーズ品、アンチテラシリーズ品[ビックケミー・ジャパン株式会社販売品](BYKおよびANTI-TERRAは、ビイク―ヘミー ゲゼルシヤフト ミツト ベシュレンクテル ハフツングの登録商標である)等が例示される。
また、ディスパロンDA−234(酸価:16mgKOH/g、アミン価:20mgKOH/g)、ディスパロンDA−325(酸価:14mgKOH/g、アミン価:20mgKOH/g)などのディスパロンシリーズ品[楠本化成株式会社製]ディスパロンは、楠本化成株式会社の登録商標である);アジスパーPB−821(酸価:17mgKOH/g、アミン価:10mgKOH/g)、アジスパーPB−822(酸価:14mgKOH/g、アミン価:17mgKOH/g)、アジスパーPB−881(酸価:17mgKOH/g、アミン価:17mgKOH/g)、アジスパーPN−411(酸価:6mgKOH/g、アジスパーPA−111(酸価:35mgKOH/g)、などのアジスパーシリーズ品[味の素ファインテクノ株式会社製]が例示される(アジスパーは、味の素株式会社の登録商標である)。
有機アミンとして、1級、2級もしくは3級のアルキルアミン類、アルキルアミドアミン類、N-アルキルエタノールアミン類、N-アルキルモルホリン、その他の有機アミン化合物が例示される。含窒素有機化合物の炭素原子数は1〜54が好ましい。
前記ペースト状銀粒子組成物は、平均粒径が0.1〜5μmである焼結性銀粒子(A)および揮発性分散媒(B)からなる混合物であり、焼結性銀粒子(A)が揮発性分散媒(B)の作用によりペースト化している。ペースト化することによりニードルやノズルから容易に吐出でき、スクリーン印刷、メタルマスクによる印刷塗布も適用できる。印刷された後の該ペースト状銀粒子組成物の厚さは限定されないが、例えば1mm以下であり、好ましくは5〜500μmであり、特に好ましくは20〜100μmである。非揮発性分散媒ではなく、揮発性分散媒(B)を使用するのは、加熱により揮発性分散媒(B)が揮散もしくは分解することにより、焼結性銀粒子(A)が焼結しやすくなり、焼結物の接着性、電気伝導性、熱伝導性が向上するからである。
そのような揮発性分散媒(B)は、焼結性銀粒子(A)の表面を変質させないものが好ましく、その粘度は限定されないが、0.1〜100mP・sであることが好ましい。
揮発性分散媒(B)として、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、ターピネオール等の揮発性一価アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキサンジオール、オクタンジオール等の揮発性多価アルコール;テキサノール等の揮発性変性多価アルコール、n−パラフィン、イソパラフィン等の揮発性脂肪族炭化水素;キシレン等の揮発性芳香族炭化水素;メチルイゾブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール(4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン)、2−オクタノン、イソホロン(3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン)、ジイソブチルケトン(2,6−ジメチル−4−ヘプタノン)等の揮発性ケトン;酢酸エチル(エチルアセテート)、酢酸ブチルのような揮発性酢酸エステル;酪酸メチル、ヘキサン酸メチル、オクタン酸メチル、デカン酸メチルのような揮発性脂肪族カルボン酸エステル;テトラヒドロフラン、メチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルメトキシブタノール、ブチルカルビトール等の揮発性エーテル;揮発性シリコーンオイルおよび揮発性有機変成シリコーンオイルが例示され、更に、ポリブテン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ボルニルシクロヘキサノール、イソボルニルシクロヘキサノール、ボルニルフェノール、イソボルニルフェノールが例示される。揮発性分散媒(B)は2種類以上を併用しても良く、揮発性分散媒同士の相溶性は問わない。
前記ペースト状銀粒子組成物には、本発明の目的に反せず、効果を損なわない限り、25℃で固体状の揮発性分散媒、例えば、ピロガロール、p−メチルベンジルアルコール、o−メチルベンジルアルコール、シル−3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール、ピナコールなどのアルコール類;ビフェニル、ナフタレン、デュレンなどの炭化水素類;ジベンゾイルメタン、カルコン、アセチルシクロヘキサンなどのケトン類を少量(例えば、20質量%以下)配合しても良い。
前記ペースト状銀粒子組成物における揮発性分散媒(B)は、その沸点(T1)が、焼結性銀粒子(A)の大気雰囲気中で昇温速度が5℃/分の熱分析における焼結ピーク温度(T2)と同じか、それよりも0〜30℃の範囲において高いもの、すなわち、T1−T2の温度が0〜+30℃の範囲であっても良い。
前記ペースト状銀粒子組成物中の揮発性分散媒(B)が、加熱により揮散または分解して焼結性銀粒子(A)の表面を含む近傍から除去されると、多数の焼結性銀粒子(A)同士が接触し、接触箇所で融着して焼結し多孔質の固体状銀となる。詳しくは、多数の該焼結性銀粒子(A)同士が連接状態で焼結してなる銀粒子焼結部(a)と該銀粒子焼結部(a)に隣接する空隙部(b)とを有する銀焼結体(c)となる。
なお、前記ペースト状銀粒子組成物には、本発明の目的に反せず、効果を損なわない限り、焼結性銀粒子(A)、揮発性分散媒(B)以外の、金属粒子または非金属系の粉体、金属酸化物、金属化合物、金属錯体、チクソ剤、安定剤、焼結促進剤、硬化性有機樹脂等の添加物を少量(例えば、10質量%以下)配合しても良い。
前記ペースト状銀粒子組成物は、平均粒径が0.1〜5μmである焼結性銀粒子(A)と揮発性分散媒(B)を混合して製造することができるが、その際の混合温度は、前記焼結性銀粒子(A)同士の焼結が進行しないように、30℃以下であることが好ましい。また、混合後の保管温度も30℃以下が好ましく、0℃以下がより好ましい。
前記ペースト状銀粒子組成物は、後記する大気,空気などの酸素含有雰囲気等中で、焼結性銀粒子の焼結温度以上の温度で焼成すると、詳しくは、100℃以上300℃以下、好ましくは150℃以上250℃以下で加熱すると、揮発性分散媒(B)が揮発または分解により揮散して、多数の,平均粒径が0.1〜5μmである焼結性銀粒子(A)同士が焼結して、空隙を有する固体状銀になる。詳しくは、多数の該焼結性銀粒子(A)同士が連接状態で焼結してなる銀粒子焼結部(a)と該銀粒子焼結部(a)に隣接する空隙部(b)とを有する銀焼結体(c)となる。
また、表面被覆された平均粒径が0.1〜5μmである焼結性銀粒子(A)の表面被覆剤および揮発性分散媒(B)が揮発または分解により揮散して、焼結性銀粒子(A)同士が焼結して、空隙を有する固体状銀になる。詳しくは、多数の該焼結性銀粒子(A)同士が融着し連接状態で焼結してなる銀粒子焼結部(a)と該銀粒子焼結部(a)に隣接する空隙部(b)とを有する銀焼結体(c)となる。
加熱時間は、表面被覆剤および揮発性分散媒(B)が揮発または分解して、焼結性銀粒子(A)同士が焼結するのに充分な時間である。焼結性銀粒子(A)の種類や粒径、加熱温度、加熱時の雰囲気等によって焼結性銀粒子(A)同士が焼結するのに充分な時間は、例えば、5分ないし3時間であるが、かかる時間に限定されるものではない。
前記ペースト状銀粒子組成物は、複数の金属製部材間の接合剤として使用することができる。該ペースト状銀粒子組成物を金属製部材(D1)に吐出、スクリーン印刷またはステンシル印刷等により塗布し、金属製部材(D2)を密接させた後、100℃以上300℃以下、好ましくは150℃以上250℃以下で加熱することにより、揮発性分散媒(B)が揮発または分解して揮散し、多数の焼結性銀粒子(A)同士の多孔質の焼結物となり、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合することができる。表面被覆剤で表面被覆された平均粒径が0.1〜5μmである焼結性銀粒子(A)同士が焼結する際には、該焼結性銀粒子(A)の表面被覆剤が先行して揮発または分解して揮散することが好ましい。
前記ペースト状銀粒子組成物が表面被覆剤で表面被覆された平均粒径が0.1〜5μmである焼結性銀粒子(A)と揮発性分散媒(B)とからなる場合の、表面被覆剤で表面被覆された平均粒径が0.1〜5μmである焼結性銀粒子(A)の表面被覆剤の量、揮発性分散媒(B)の量は、熱重量分析(TGA)により容易に測定することができる。TGA装置は多数市販されている。
金属製部材(D1)と金属製部材(D2)は、材質、形状、サイズ、表面処理等が同一であっても異なっていてもよく、そのような材質として、金、銀、銅、白金、パラジウム、またはそれらの合金が例示されるが、金、銀、またはそれらの合金であることが好ましい。金属製部材(D1)と金属製部材(D2)は、基材としての鉄、ニッケルなどのシートまたは板等の表面に、金、銀、銅、白金、パラジウム、またはそれらの合金がメッキ状に施されたものであっても良い。また、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)の形状として、シート状、平板状、ブロック状、チップ状が例示される。
金属製部材(D1)がリードフレームまたは回路基板の金属部分であり、金属製部材(D2)が半導体素子の金属部分である場合には、このようにして接合した電子装置は、リードフレームもしくは回路基板の金属部分と半導体素子の金属部分間の接合層の熱伝導性、電気伝導性、接着強さが優れるので、電子装置、特には半導体装置の特性の安定性が優れるという効果がある。
前記ペースト状銀粒子組成物を加熱する際の雰囲気は、大気,空気のよう酸素含有雰囲気、詳しくは、大気,空気のような充分量の酸素を含有し有機物を燃焼可能な雰囲気、水素ガスを含む還元性ガスが例示されるが、焼結性、調達容易性、コストの点で大気、空気が好ましい。金属製部材(D1、D2)が銅や銅を含む合金の場合は酸化されやすいので、水素ガスを含む還元性ガスまたは窒素等の不活性ガスが好ましく、また、酸化性ガス中で金属製部材(D1、D2)を接合した後、還元性ガス中で加熱して還元しても良い。
平均粒径が0.1〜5μmである焼結性銀粒子(A)同士が焼結してできた焼結物、すなわち、空隙を有する固体状銀は、導電性および熱伝導性に優れている。具体的には、その体積抵抗率は1×10-5Ω・cm以下であることが好ましく、熱伝導性は100W/m・K以上であることが好ましい。
このように前記ペースト状銀粒子組成物は、焼結途上で接触していた金属部材への優れた接着性を有し、またその焼結物が優れた導電性と熱伝導性(放熱性)を有するので、半導体素子の金属部分、チップ部品の金属部分、リードフレーム、回路基板上の電極等金属部分での接合剤、被覆剤として好適に用いることができる。そのため電子部品、電子装置、電気部品、電気装置等の製造に有用であり、コンデンサ、抵抗等のチップ部品と回路基板との接合;発光ダイオード、レーザーダイオード、メモリ、IGBT、CPU等の半導体素子の金属部分とリードフレームもしくは回路基板の金属部分との接合;高発熱のCPUチップと冷却板との接合に有用である。
発光ダイオード素子はLEDチップとも称され、電子装置の一種である発光ダイオード装置は、LEDチップがリードフレームもしくは回路基板とボンディング(接合)されており、前記ペースト状金属粒子組成物はボンディング材(接合剤)として使用できる。前記ペースト状金属粒子組成物により接合する部分の発光ダイオード素子の金属部分、リードフレーム、回路基板の金属部分の材質は、耐光性、耐熱性等を有し接続信頼性が高い、金、銀、銅、パラジウム、白金、それら金属の合金であることが好ましく、または、それら金属またはそれら金属の合金によりメッキされていることが好ましい。発光ダイオード装置の形態は限定されず、砲弾型、フラット型、チップ型、アレイ等が例示される。
発光ダイオード素子を構成する化合物半導体として、目的とする発光ピーク波長により変わるが、GaAlAs、GaInP、GaAsP、AlGaInP、GaP、InGaN、GaN、AlN等を使用することができる。なお、発光ダイオード素子が発する光の波長には通常ある程度の幅があり、発光ピーク波長はその内で最も大きい発光強度を示す波長である。発光ピーク波長は、分光光度計により発光スペクトルを測定して容易に知ることができる。また、各成分の比率を選択することにより、発光量や発光ピーク波長を変えることができる。
また、前記ペースト状銀粒子組成物の焼結物は、焼結時に接触していた金属製部材に優れた接着性を有し、しかも、極めて高い導電性および熱伝導性を有するため、高周波数で動作し発熱量の大きいCPUの他、数百ボルトから数千ボルトの高電圧で動作し発熱量が多く、動作温度も高温となる電力用半導体素子(パワー半導体素子)、例えば、MOSFET(電界効果トランジスタ)、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)等のトランジスタ、LTT(光トリガサイリスタ)、GTO(ゲートターンオフサイリスタ)、トライアック等のサイリスタと、リードフレームまたは回路基板との接合に好適に用いることができる。なお、上記パワー半導体素子は、通常、高温動作が可能な窒化アルミニウム、窒化ガリウム、窒化インジウム等の窒化物半導体素子が好適である。
本発明の実施例と比較例を掲げる。実施例と比較例中、部とあるのは質量部を意味し、平均粒径は、レーザ回折散乱式粒度分布測定装置を用いて測定した粒度分布の体積基準の積算分率50%値、すなわち、メジアン径(D50値)を意味する。実施例と比較例と参考例におけるペースト状銀粒子組成物の調製作業は、いずれも大気中で室温(25℃)にておこなった。
加熱焼結性銀粒子(A)の被覆剤量、銀焼結体(c)中の銀粒子焼結部(a)の平均太さ、加熱して接合した接合体の接着強さは以下の方法により測定もしくは算出した。測定は、大気中で室温(25℃)にておこなった。
[焼結性銀粒子(A)の被覆剤量]
熱分析装置として示差熱熱重量同時測定装置(島津製作所株式会社製DTG−60AH型)を用い、該焼結性銀粒子(A)を空気中で昇温速度5℃/分にて室温(25℃)から400℃まで昇温した。この間における減量を被覆剤量とした。
[銀焼結体(c)中の銀粒子焼結部(a)の平均太さ]
幅25mm×長さ70mm×厚さ1.0mmの銀メッキ基板(銀純度99.99%)上に、10mmの間隔をおいて4つの幅2.5mm×長さ2.5mmの開口部を有する100μm厚のメタルマスクを用いて、ペースト状銀粒子組成物を塗布した。塗布したペースト状銀粒子組成物の上に、幅2.5mm×長さ2.5mm×厚さ1mmであり、重さが0.02グラムの金メッキしたシリコンチップ(金メッキチップ)をそれぞれ搭載した後、所定の雰囲気中で所定の温度と時間加熱して、該ペースト状銀粒子組成物中の焼結性銀粒子を焼結することにより、該銀メッキ基板と該金メッキチップを接合した。
なお、大気雰囲気中にての加熱は、具体的には空気強制循環式オーブン内での加熱である(以下、同様)。
かくして得られた銀粒子焼結体による接合体を、自動精密切断装置(日本電子株式会社製、商品名アイソメット)により削り出し、イオンミリング装置(日本電子株式会社製、商品名クロスセクションポリッシャ)により切削面を研磨して銀粒子焼結体の断面を走査型電子顕微鏡により倍率1万倍で撮影した。得られた断面電子顕微鏡写真を用い、以下の方法により測定し算出した。
正方形の断面電子顕微鏡写真に、同じ大きさの36個の正方形の升目を形成するように、等間隔で縦5本の直線と横5本の直線を引いた。そして、図の枠部の縦2本、横2本の直線を含め、縦直線7本と横直線7本上に存在する各銀粒子焼結部(a)の両端間の距離、すなわち、長さを測定し、すべての測定値の平均値を算出して銀粒子焼結部(a)の平均太さとした。
換言するに、二つの空隙部(b)間の銀粒子焼結部(a)および一つの空隙部と一つの狭窄部(d)間の銀粒子焼結部(a)が各縦直線上に存在する長さを測定し、二つの空隙部(b)間の銀粒子焼結部(a)および一つの空隙部と一つの狭窄部(d)間の銀粒子焼結部(a)が各横直線上に存在する長さを測定し、すべての測定値の平均値を算出して銀粒子焼結部(a)の平均太さ、詳しくは長さ方向の平均太さとした。
なお、一つの空隙部(b)と一つの狭窄部(d)間の銀粒子焼結部(a)が各縦直線上に存在する長さの測定時および一つの空隙部(b)と一つの狭窄部(d)間の銀粒子焼結部(a)が各横直線上に存在する長さの測定時に、「一つの空隙部(b)と一つの狭窄部(d)間」を、詳しくは、「一つの空隙部(b)と一つの狭窄部(d)の横幅(長さ方向の幅)の中間点間とした。
なお、各直線上に銀粒子焼結部(a)の一端しか存在しない場合、および、両端とも存在しない場合は、測定の対象から除外した。
[接合体の接着強さ]
幅25mm×長さ70mm×厚さ1.0mmの銀メッキ基板(銀純度99.99%)上に、10mmの間隔をおいて4つの幅2.5mm×長さ2.5mmの開口部を有する100μm厚のメタルマスクを用いて、ペースト状銀粒子組成物を塗布した。塗布したペースト状銀粒子組成物の上に、幅2.5mm×長さ2.5mm×厚さ1mmであり、重さが0.02グラムの金メッキしたシリコンチップ(金メッキチップ)をそれぞれ搭載した後、所定の雰囲気中で所定の温度と時間加熱して、該ペースト状銀粒子組成物中の焼結性銀粒子を焼結することにより、該銀メッキ基板と該金メッキチップを接合した。
かくして得られた接着強さ測定用試験体の幅2.5mm×長さ2.5mm×厚さ1mmの金メッキチップの側面を、接着強さ試験機により速度23mm/分で押圧し、接合部がせん断破壊したときの荷重をもって接着強さ(単位;MPa)とした。
[調製例1]
硝酸銀の湿式還元法による、平均粒径が0.9μmであり、表面がオレイン酸で被覆された粒状の焼結性銀粒子(オレイン酸量0.3質量%)について、下記[置換方法1]により、オレイン酸を完全にカプリル酸に置換した焼結性銀粒子(カプリル酸量0.3質量%)を調製した。
[置換方法1]
ビーカに、オレイン酸で被覆された粒状の銀粒子100部と、カプリル酸(和光純薬工業株式会社製、試薬1級)100部を投入し、マグネチックスターラーを用いて25℃で5時間攪拌した。10分間静置して上澄み液(オレイン酸を含むカプリル酸をできるだけ取り除いてから、アセトン(和光純薬工業株式会社製、試薬1級)100部を添加して、マグネチックスターラーを用いて同様に25℃で10分間攪拌した。同様に静置して上澄み液をできるだけ取り除いてから、再度アセトンを添加して同様に粒状の銀粒子を洗浄した。これを5回繰返してから粒状の銀粒子を取り出し、25℃で16時間風乾した。
[調製例2]
硝酸銀の湿式還元法による、平均粒径が3.1μmであり、表面がステアリン酸で被覆された球状の焼結性銀粒子(ステアリン酸量0.1質量%)について、下記[置換方法2]により、ステアリン酸を完全にヘキシルアミンに置換した焼結性銀粒子(ヘキシルアミン量0.1質量%)を調製した。
[置換方法2]
ビーカに、ステアリン酸で被覆された球状の銀粒子100部と、ヘキシルアミン(和光純薬工業株式会社製、試薬1級)100部を投入し、マグネチックスターラーを用いて25℃で5時間攪拌した。10分間静置して上澄み液(ステアリン酸を含むヘキシルアミンをできるだけ取り除いてから、アセトン(和光純薬工業株式会社製、試薬1級)100部を添加して、マグネチックスターラーを用いて同様に25℃で10分間攪拌した。同様に静置して上澄み液をできるだけ取り除いてから、再度アセトンを添加して同様に球状の銀粒子を洗浄した。これを5回繰返してから球状の銀粒子を取り出し、25℃で16時間風乾した。
[調製例3]
硝酸銀の湿式還元法による、平均粒径が3.1μmであり、表面がステアリン酸で被覆された球状の焼結性銀粒子(ステアリン酸量0.1質量%)について、下記[置換方法3]により、ステアリン酸を完全にミリスチン酸に置換した焼結性銀粒子(ミリスチン酸量0.2質量%)を調製した。
[置換方法3]
ビーカに、ステアリン酸で被覆された球状の銀粒子100部と、ミリスチン酸(和光純薬工業株式会社製、試薬1級)100部を投入し、マグネチックスターラーを用いて25℃で5時間攪拌した。10分間静置して上澄み液(ステアリン酸を含むミリスチン酸をできるだけ取り除いてから、アセトン(和光純薬工業株式会社製、試薬1級)100部を添加して、マグネチックスターラーを用いて同様に25℃で10分間攪拌した。同様に静置して上澄み液をできるだけ取り除いてから、再度アセトンを添加して同様に球状の銀粒子を洗浄した。これを5回繰返してから球状の銀粒子を取り出し、25℃で16時間風乾した。
[調製例4]
硝酸銀の湿式還元法による、平均粒径が1.3μmであり、表面がオレイン酸で被覆された涙滴状の焼結性銀粒子(オレイン酸量0.3質量%)について、下記[置換方法4]により、オレイン酸を完全にカプリル酸に置換した焼結性銀粒子(カプリル酸量0.4質量%)を調製した。
[置換方法4]
ビーカに、オレイン酸で被覆された涙滴状の銀粒子100部と、カプリル酸(和光純薬工業株式会社製、試薬1級)100部を投入し、マグネチックスターラーを用いて25℃で5時間攪拌した。10分間静置して上澄み液(オレイン酸を含むカプリル酸をできるだけ取り除いてから、アセトン(和光純薬工業株式会社製、試薬1級)100部を添加して、マグネチックスターラーを用いて同様に25℃で10分間攪拌した。同様に静置して上澄み液をできるだけ取り除いてから、再度アセトンを添加して同様に粒状の銀粒子を洗浄した。これを5回繰返してから粒状の銀粒子を取り出し、25℃で16時間風乾した。
[実施例1]
撹拌羽付きミキサーを使用して、硝酸銀の湿式還元法による、平均粒径が0.9μmであり、表面がオレイン酸で被覆された粒状の焼結性銀粒子(オレイン酸量0.3質量%)100部、および、揮発性分散媒(B)であるジプロピレングリコール(沸点232℃。和光純薬工業株式会社製)10部を均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。
次いで、このペースト状銀粒子組成物を大気雰囲気中にて200℃で1時間加熱して形成された銀粒子焼結物について、断面電子顕微鏡写真の縦直線7本と横直線7本上に存在する各銀粒子焼結部(a)の両端間の長さを測定した。各銀粒子焼結部(a)の両端間の長さの合計測定数は45であった。ついで、前記方法により銀粒子焼結部(a)の平均太さを算出し、接合体の接着強さを測定したところ、銀粒子焼結部(a)の平均太さは1.50μmであり、接着強さは38MPaであり、接着性は高かった。揮発性分散媒(B)としてジプロピレングリコールを選定しているので、平均太さと接着強さが大きい。
以上の結果を表1にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合できている。
[比較例1]
実施例1において、揮発性分散媒(B)であるジプロプロピレングリコールの代わりに、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル、沸点216℃。和光純薬工業株式会社製)を使用した以外は、実施例1と同様にしてペースト状銀粒子組成物を調製した。
次いで、このペースト状銀粒子組成物を大気雰囲気中にて200℃で1時間加熱して形成された銀粒子の焼結物について、断面電子顕微鏡写真の縦直線7本と横直線7本上に存在する各銀粒子焼結部(a)の両端間の長さを測定した。各銀粒子焼結部(a)の両端間の長さの合計測定数は61であった。ついで、前記方法により銀粒子焼結部(a)の平均太さを算出し、接合体の接着強さを測定したところ、銀粒子焼結部(a)の平均太さは1.28μmであり、接着強さは32MPaであり、接着性は低かった。揮発性分散媒(B)がトリグライムであるので、平均太さと接着強さが小さい。
以上の結果を表2にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合できていない。
[実施例2]
撹拌羽付きミキサーを使用して、調製例1で調製した平均粒径が0.9μmであり、表面がカプリル酸で被覆された粒状の焼結性銀粒子(カプリル酸量0.3質量%)100部、および、揮発性分散媒(B)であるトリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル、沸点216℃。和光純薬工業株式会社製)10部を均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。
次いで、このペースト状銀粒子組成物を大気雰囲気中にて200℃で1時間加熱して形成された銀粒子の焼結物について、断面電子顕微鏡写真の縦直線7本と横直線7本上に存在する各銀粒子焼結部(a)の両端間の長さを測定した。各銀粒子焼結部(a)の両端間の長さの合計測定数は39であった。ついで、前記方法により銀粒子焼結部(a)の平均太さを算出し、接合体の接着強さを測定したところ、銀粒子焼結部(a)の平均太さは1.81μmであり、接着強さは39MPaであり、接着性は高かった。揮発性分散媒(B)がトリグライムであるので選定しているので、平均太さと接着強さが大きい。
以上の結果を表1にまとめて示した。表1における「測定数39」は、一対の白抜きの+印数16個と、一対の白抜きの×印数23個の合計数(段落[0018]の[図15]に関する説明文参照)である。
このペースト状銀粒子組成物は、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合できている。
[比較例2]
実施例2において、揮発性分散媒(B)であるトリグライムの代わりに、オクタンジオール(沸点244℃。協和発酵ケミカル株式会社製)を使用した以外は、実施例2と同様にしてペースト状銀粒子組成物を調製した。
次いで、このペースト状銀粒子組成物中を大気雰囲気中にて200℃で1時間加熱して形成された銀粒子の焼結物について、断面電子顕微鏡写真の縦直線7本と横直線7本上に存在する各銀粒子焼結部(a)の両端間の長さを測定した。各銀粒子焼結部(a)の両端間の長さの合計測定数は65であった。ついで、銀粒子焼結部(a)の平均太さを算出し、接合体の接着強さを測定したところ、銀粒子焼結部(a)の平均太さは1.12μmであり、接着強さは33MPaであり、接着性は低かった。揮発性分散媒(B)がオクタンジオールであるので、平均太さと接着強さが小さい。
以上の結果を表2にまとめて示した。表2における「測定数65」は、一対の白抜きの+印数30個と、一対の白抜きの×印数35個の合計数(段落[0018]の[図17]に関する説明文参照)である。
このペースト状銀粒子組成物は、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合できていない。
[実施例3]
撹拌羽付きミキサーを使用して、調製例2で調製した平均粒径が3.1μmであり、表面がヘキシルアミンで被覆された球状の焼結性銀粒子(ヘキシルアミン量0.1質量)100部、および、揮発性分散媒(B)であるトリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル、沸点216℃。和光純薬工業株式会社製)10部を均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。
次いで、このペースト状銀粒子組成物を大気雰囲気中にて200℃で1時間加熱して形成された銀粒子の焼結物について、断面電子顕微鏡写真の縦直線7本と横直線7本上に存在する各銀粒子焼結部(a)の両端間の長さを測定した。各銀粒子焼結部(a)の両端間の長さの合計測定数は46であった。ついで、前記方法により銀粒子焼結部(a)の平均太さを算出し、接合体の接着強さを測定したところ、銀粒子焼結部(a)の平均太さは1.45μmであり、接着強さは35MPaであり、接着性は高かった。揮発性分散媒(B)としてトリグライムを選定しているので、平均太さと接着強さが大きい。
以上の結果を表1にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合できている。
[比較例3]
実施例3において、揮発性分散媒(B)であるトリグライムの代わりに、1,6−ヘキサンジオール(沸点250℃。和光純薬工業株式会社製)を使用した以外は、実施例3と同様にしてペースト状銀粒子組成物を調製した。
次いで、このペースト状銀粒子組成物を大気雰囲気中にて200℃で1時間加熱して形成された銀粒子の焼結物について、断面電子顕微鏡写真の縦直線7本と横直線7本上に存在する各銀粒子焼結部(a)の両端間の長さを測定した。各銀粒子焼結部(a)の両端間の長さの合計測定数は54であった。ついで、前記方法により銀粒子焼結部(a)の平均太さを算出し、接合体の接着強さを測定したところ、銀粒子焼結部(a)の平均太さは1.01μmであり、接着強さは30MPaであり、接着性は低かった。揮発性分散媒(B)が1,6−ヘキサンジオールであるので、平均太さと接着強さが小さい。
以上の結果を表2にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合できていない。
[実施例4]
撹拌羽付きミキサーを使用して、調製例3で調製した平均粒径が3.1μmであり、表面がミリスチン酸で被覆された球状の焼結性銀粒子(ミリスチン酸量0.2質量%)100部、および、揮発性分散媒(B)であるオクタンジオール(沸点244℃。和光純薬工業株式会社製)10部を均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。
次いで、このペースト状銀粒子組成物を大気雰囲気中にて200℃で1時間加熱して形成された銀粒子の焼結物について、断面電子顕微鏡写真の縦直線7本と横直線7本上に存在する各銀粒子焼結部(a)の両端間の長さを測定した。各銀粒子焼結部(a)の両端間の長さの合計測定数は42であった。ついで、前記方法により銀粒子焼結部(a)の平均太さを算出し、接合体の接着強さを測定したところ、該銀粒子焼結部(a)の平均太さは1.91μmであり、接着強さは35MPaであり、接着性は高かった。揮発性分散媒(B)としてオクタンジオールを選定しているので、平均太さと接着強さが大きい。
以上の結果を表3にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合できている。
[実施例5]
撹拌羽付きミキサーを使用して、調製例4で調製した平均粒径が1.3μmであり、表面がカプリル酸で被覆された涙滴状の焼結性銀粒子(カプリル酸量0.4質量%)100部、および、揮発性分散媒(B)であるブチルカルビトール(沸点230℃。和光純薬工業株式会社製)10部を混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。
次いで、このペースト状銀粒子組成物を大気雰囲気中にて200℃で1時間加熱して形成された銀粒子の焼結物について、断面電子顕微鏡写真の縦直線7本と横直線7本上に存在する各銀粒子焼結部(a)の両端間の長さを測定した。各銀粒子焼結部(a)の両端間の長さの合計測定数は40であった。ついで、前記方法により銀粒子焼結部(a)の平均太さを算出し、接合体の接着強さを測定したところ、銀粒子焼結部(a)の平均太さは1.51μmであり、接着強さは37MPaであり、接着性は高かった。揮発性分散媒(B)としてブチルカルビトールを選定しているので、平均太さと接着強さが大きい。
以上の結果を表3にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合できている。
[実施例6]
撹拌羽付きミキサーを使用して、硝酸銀の湿式還元法による、平均粒径が3.5μmであり、表面がステアリン酸で被覆された市販のフレーク状の焼結性銀粒子(ステアリン酸量0.2質量%)100部、および、揮発性分散媒(B)であるオクタンジオール(沸点244℃。和光純薬工業株式会社製)10部を均一に混合してペースト状銀粒子組成物を調製した。
次いで、ペースト状銀粒子組成物を大気雰囲気中にて200℃で1時間加熱して形成された銀粒子の焼結物について、断面電子顕微鏡写真の縦直線7本と横直線7本上に存在する各銀粒子焼結部(a)の両端間の長さを測定した。各銀粒子焼結部(a)の両端間の長さの合計測定数は38であった。ついで、前記方法により銀粒子焼結部(a)の平均太さを算出し、接合体の接着強さを測定したところ、銀粒子焼結部(a)の平均太さは1.89μmであり、接着強さは35MPaであり、接着性は高かった。揮発性分散媒(B)としてオクタンジオールを選定しているので、平均太さと接着強さが大きい。
以上の結果を表3にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合できている。
[比較例4]
実施例4において、揮発性分散媒(B)であるオクタンジオールの代わりに、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル、沸点216℃。和光純薬工業株式会社製)を使用した以外は、実施例4と同様にしてペースト状銀粒子組成物を調製した。
次いで、該ペースト状銀粒子組成物を大気雰囲気中にて200℃で1時間加熱して形成された銀粒子の焼結物について、断面電子顕微鏡写真の縦直線7本と横直線7本上に存在する各銀粒子焼結部(a)の両端間の長さを測定した。各銀粒子焼結部(a)の両端間の長さの合計測定数は55であった。ついで、前記方法により銀粒子焼結部(a)の平均太さを算出し、接合体の接着強さを測定したところ、銀粒子焼結部(a)の平均太さは1.06μmであり、接着強さは30MPaであり、接着性は低かった。揮発性分散媒(B)がトリグライムであるので、平均太さと接着強さが小さい。
以上の結果を表4にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合できていない。
[比較例5]
実施例5において、揮発性分散媒(B)であるブチルカルビトールの代わりに、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、沸点179℃。和光純薬工業株式会社製)を使用した以外は、実施例5と同様にしてペースト状銀粒子組成物を調製した。
次いで、このペースト状銀粒子組成物を大気雰囲気中にて200℃で1時間加熱して形成された銀粒子の焼結物について、断面電子顕微鏡写真の縦直線7本と横直線7本上に存在する各銀粒子焼結部(a)の両端間の長さを測定した。各銀粒子焼結部(a)の両端間の長さの合計測定数は51であった。ついで、前記方法により銀粒子焼結部(a)の平均太さを算出し、接合体の接着強さを測定したところ、銀粒子焼結部(a)の平均太さは1.35μmであり、接着強さは30MPaであり、接着性は低かった。揮発性分散媒(B)がジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテルであるので、平均太さと接着強さが小さい。
以上の結果を表4にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合できていない。
[比較例6]
実施例6において、揮発性分散媒(B)であるオクタンジオールの代わりに、ジエチレングリコールジメチルエーテル(沸点162℃。和光純薬工業株式会社製)を使用した以外は、実施例6と同様にしてペースト状銀粒子組成物を調製した。
次いで、このペースト状銀粒子組成物を大気雰囲気中にて200℃で1時間加熱して形成された銀粒子の焼結物について、断面電子顕微鏡写真の縦直線7本と横直線7本上に存在する各銀粒子焼結部(a)の両端間の長さを測定した。各銀粒子焼結部(a)の両端間の長さの合計測定数は59であった。ついで、前記方法により銀粒子焼結部(a)の平均太さを算出し、接合体の接着強さを測定したところ、銀粒子焼結部(a)の平均太さは1.31μmであり、接着強さは25MPaであり、接着性は低かった。揮発性分散媒(B)がジエチレングリコールジメチルエーテルであるので、平均太さと接着強さが小さい。
以上の結果を表4にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合できていない。
[参考例1]
実施例1において、ペースト状銀粒子組成物の加熱条件200℃で1時間を180℃で3時間とした以外は同様にして形成された銀粒子の焼結物について、断面電子顕微鏡写真の縦直線7本と横直線7本上に存在する各銀粒子焼結部(a)の両端間の長さを測定した。各銀粒子焼結部(a)の両端間の長さの合計測定数は46であった。ついで、前記方法により銀粒子焼結部(a)の平均太さを算出し、接合体の接着強さを測定したところ、銀粒子焼結部(a)の平均太さは1.42μmであり、接着強さは36MPaであり、接着性は高かった。揮発性分散媒(B)としてジプロピレングリコールを選定しているので、平均太さと接着強さが大きい。
以上の結果を表5にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合できている。
[参考例2]
実施例1において、ペースト状銀粒子組成物の加熱条件200℃を250℃とした以外は同様にして形成された銀粒子の焼結物について、断面電子顕微鏡写真の縦直線7本と横直線7本上に存在する各銀粒子焼結部(a)の両端間の長さを測定した。各銀粒子焼結部(a)の両端間の長さの合計測定数は33であった。ついで、前記方法により銀粒子焼結部(a)の平均太さを算出し、接合体の接着強さを測定したところ、銀粒子焼結部(a)の平均太さは1.96μmであり、接着強さは40MPaであり、接着性は高かった。揮発性分散媒(B)としてジプロピレングリコールを選定しているので、平均太さと接着強さが大きい。
以上の結果を表5にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合できている。
[参考例3]
実施例1において、ペースト状銀粒子組成物の加熱時の雰囲気ガスを、市販の窒素ガスボンベによる窒素ガスとした以外は同様にして形成された銀粒子の焼結物について、断面電子顕微鏡写真の縦直線7本と横直線7本上に存在する各銀粒子焼結部(a)の両端間の長さを測定した。各銀粒子焼結部(a)の両端間の長さの合計測定数は65であった。ついで、前記方法により銀粒子焼結部(a)の平均太さを算出し、接合体の接着強さを測定したところ、銀粒子焼結部(a)の平均太さは1.05μmであり、接着強さは18MPaであり、接着性は低かった。加熱時の雰囲気ガスが窒素ガスであるので、平均太さと接着強さが小さい。
以上の結果を表6にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合できていない。
[参考例4]
実施例1において、ペースト状銀粒子組成物の加熱時の雰囲気ガスを、水素ガス10体積%と窒素ガス90体積%からなる市販のフォーミングガスとした以外は同様にして形成された銀粒子の焼結物について、断面電子顕微鏡写真の縦直線7本と横直線7本上に存在する各銀粒子焼結部(a)の両端間の長さを測定した。各銀粒子焼結部(a)の両端間の長さの合計測定数は68であった。ついで、前記方法により銀粒子焼結部(a)の平均太さを算出し、接合体の接着強さを測定したところ、銀粒子焼結部(a)の平均太さは1.16μmであり、接着強さは30MPaであり、接着性は低かった。加熱時の雰囲気ガスがフォーミングガスであるので、平均太さと接着強さが小さい。
以上の結果を表6にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合できていない。
[実施例7]
実施例1において、揮発性分散媒(B)であるジプロピレングリコール(沸点232℃。和光純薬工業株式会社製)を、オクタンジオール(沸点244℃。和光純薬工業株式会社製)とした以外は同様にして形成された銀粒子の焼結物について、断面電子顕微鏡写真の縦直線7本と横直線7本上に存在する各銀粒子焼結部(a)の両端間の長さを測定した。各銀粒子焼結部(a)の両端間の長さの合計測定数は36であった。ついで、前記方法により銀粒子焼結部(a)の平均太さを算出し、接合体の接着強さを測定したところ、銀粒子焼結部(a)の平均太さは1.66μmであり、接着強さは38MPaであり、接着性は高かった。揮発性分散媒(B)としてオクタンジオールを選定しているので、平均太さと接着強さが大きい。
以上の結果を表5にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合できている。
[実施例8]
実施例1において、揮発性分散媒(B)であるジプロピレングリコール(沸点232℃。和光純薬工業株式会社製)を、1,6−ヘキサンジオール(沸点250℃。和光純薬工業株式会社製)とした以外は同様にして形成された銀粒子の焼結物について、断面電子顕微鏡写真の縦直線7本と横直線7本上に存在する各銀粒子焼結部(a)の両端間の長さを測定した。各銀粒子焼結部(a)の両端間の長さの合計測定数は41であった。ついで、前記方法により銀粒子焼結部(a)の平均太さを算出し、接合体の接着強さを測定したところ、銀粒子焼結部(a)の平均太さは1.74μmであり、接着強さは37MPaであり、接着性は高かった。揮発性分散媒(B)として1,6−ヘキサンジオールを選定しているので、平均太さと接着強さが大きい。
以上の結果を表7にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合できている。
[実施例9]
実施例1において、揮発性分散媒(B)であるジプロピレングリコール(沸点232℃。和光純薬工業株式会社製)を、ブチルカルビトール(沸点230℃。和光純薬工業株式会社製)とした以外は同様にして形成された銀粒子の焼結物について、断面電子顕微鏡写真の縦直線7本と横直線7本上に存在する各銀粒子焼結部(a)の両端間の長さを測定した。各銀粒子焼結部(a)の両端間の長さの合計測定数は44であった。ついで、前記方法により銀粒子焼結部(a)の平均太さを算出し、接合体の接着強さを測定したところ、銀粒子焼結部(a)の平均太さは1.51μmであり、接着強さは37MPaであり、接着性は高かった。揮発性分散媒(B)としてブチルカルビトールを選定しているので、平均太さと接着強さが大きい。
以上の結果を表7にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合できている。
[比較例7]
実施例1において、揮発性分散媒(B)であるジプロピレングリコール(沸点232℃。和光純薬工業株式会社製)を、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル(沸点179℃。和光純薬工業株式会社製)とした以外は同様にして形成された銀粒子の焼結物について、断面電子顕微鏡写真の縦直線7本と横直線7本上に存在する各銀粒子焼結部(a)の両端間の長さを測定した。各銀粒子焼結部(a)の両端間の長さの合計測定数は58であった。ついで、前記方法により銀粒子焼結部(a)の平均太さを算出し、接合体の接着強さを測定したところ、銀粒子焼結部(a)の平均太さは1.12μmであり、接着強さは31MPaであり、接着性は低かった。揮発性分散媒(B)がジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテルであるので、平均太さと接着強さが小さい。
以上の結果を表6にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合できていない。
[比較例8]
実施例1において、揮発性分散媒(B)であるジプロピレングリコール(沸点232℃。和光純薬工業株式会社製)を、ジエチレングリコールジメチルエーテル(沸点162℃。和光純薬工業株式会社製)とした以外は同様にして形成された銀粒子の焼結物について、断面電子顕微鏡写真の縦直線7本と横直線7本上に存在する各銀粒子焼結部(a)の両端間の長さを測定した。各銀粒子焼結部(a)の両端間の長さの合計測定数は61であった。ついで、前記方法により銀粒子焼結部(a)の平均太さを算出し、接合体の接着強さを測定したところ、銀粒子焼結部(a)の平均太さは1.21μmであり、接着強さは29MPaであり、接着性は低かった。揮発性分散媒(B)がジエチレングリコールジメチルエーテルであるので、平均太さと接着強さが小さい。
以上の結果を表8にまとめて示した。このペースト状銀粒子組成物は、金属製部材(D1)と金属製部材(D2)を強固に接合できていない。
Figure 0006854030
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実施例の要約表からすると、銀粒子(i)〜(vi)については、銀粒子焼結部の平均太さが1.45μm〜1.91μmの範囲内である揮発性分散媒aジプロピレングリコール、bトリグライム、cオクタンジオール、d1,6-ヘキサンジオールまたはeブチルカルビトールを選択すれば、接着強さが少なくとも35MPsの接合体になることがわかった。
比較例の要約表からすると、銀粒子(i)〜(vi)については、銀粒子焼結部の平均太さが1.01μm〜1.35μmの範囲内である揮発性分散媒bトリグライム、cオクタンジオール、d1,6-ヘキサンジオール、fジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテルまたはgジエチレングリコールジメチルエーテルを選択すると、接着強さが33MPs以下の接合体になることがわかった。
本発明の銀粒子焼結体の銀粒子焼結部(a)の平均太さの算出方法は、金属製部材どうしの接合体の接着強さの予測に有用である。
本発明の揮発性分散媒の選定方法は、金属製部材どうしを接合するためのペースト状銀粒子組成物を調製する際に、接合体の接着強さが優れたものとなる揮発性分散媒の選定に有用である。
A 接着強さ測定用試験体
1 銀基板
2 ペースト状銀粒子組成物(加熱して焼結後は空隙を有する固体状銀)
3 Auメッキしたシリコンチップ
4 銀焼結体(c)
5 銀粒子焼結部(a)
6 空隙部(b)
7 狭窄部(d)

Claims (7)

  1. 多数の平均粒径が0.1〜5μmである焼結性銀粒子(A)同士が連接状態で焼結してなる銀粒子焼結部(a)と該銀粒子焼結部(a)に隣接する空隙部(b)とを有する銀焼結体(c)の断面電子顕微鏡写真上に、4本以上の等間隔の縦直線と4本以上の等間隔の横直線を引いて正方形の升目9個以上を形成し、二つの空隙部(b)間の銀粒子焼結部(a)および一つの空隙部(b)と一つの狭窄部(d)(ただし、狭窄部(d)は長さ方向の太さが0.2μm〜1.0μmである)間の銀粒子焼結部(a)が各縦直線上に存在する長さを測定し、二つの空隙部(b)間の銀粒子焼結部(a)および一つの空隙部(b)と一つの狭窄部(d)(ただし、狭窄部(d)は長さ方向の太さが0.2μm〜1.0μmである)間の銀粒子焼結部(a)が各横直線上に存在する長さを測定し、それら長さの平均値を算出して銀粒子焼結部(a)の平均太さとすることを特徴とする、銀粒子焼結部(a)の平均太さの算出方法。
  2. 請求項1に記載の銀粒子焼結部(a)の平均太さの算出方法において、「一つの空隙部(b)と一つの狭窄部(d)間(ただし、狭窄部(d)は長さ方向の太さが0.2μm〜1.0μmである)」を、「一つの空隙部(b)と一つの狭窄部(d)(ただし、狭窄部(d)は長さ方向の太さが0.2μm〜1.0μmであり、長さ方向の長さが0.1μm〜0.6μmである)」とすることを特徴とする、請求項1に記載の銀粒子焼結部(a)の平均太さの算出方法。
  3. 断面電子顕微鏡写真上に形成された正方形の升目の数が、16個、25個、36個、49個、64個または81個であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の銀粒子焼結部(a)の平均太さの算出方法。
  4. 二つの空隙部(b)間および一つの空隙部(b)と一つの狭窄部(d)間の銀粒子焼結部(a)の長さの測定数が、30〜150個であることを特徴とする、請求項1、請求項2または請求項に記載の銀粒子焼結部(a)の平均太さの算出方法。
  5. (A)平均粒径が0.1〜5μmである焼結性銀粒子と(B)揮発性分散媒とからなり、加熱して該焼結性銀粒子(A)同士を連接状態で焼結して銀粒子焼結部(a)と該銀粒子焼結部(a)に隣接する空隙部(b)とを有する銀焼結体(c)とするためのペースト状銀粒子組成物用の(B)揮発性分散媒の選定方法であって、銀メッキ基板と金メッキシリコンチップの間に該ペースト状銀粒子組成物層を介在させ、大気中にて200℃で1時間加熱して、揮発性分散媒(B)を揮散させ、該焼結性銀粒子(A)同士を連接状態で焼結した場合に、該銀焼結体(c)の断面電子顕微鏡写真上に、4本以上の等間隔の縦直線と4本以上の等間隔の横直線を引いて正方形の升目9個以上を形成し、二つの空隙部(b)間の銀粒子焼結部(a)および一つの空隙部(b)と一つの狭窄部(d)(ただし、狭窄部(d)は長さ方向の太さが0.2μm〜1.0μmである)間の銀粒子焼結部(a)が、各縦直線上に存在する長さを測定し、二つの空隙部(b)間の銀粒子焼結部(a)および一つの空隙部(b)と一つの狭窄部(d)(ただし、狭窄部(d)は長さ方向の太さが0.2μm〜1.0μmである)間の銀粒子焼結部(a)が各横直線上に存在する長さを測定した場合に、それら長さの平均値が1.4〜2.0μmとなる揮発性分散媒を選定することを特徴とする、ペースト状銀粒子組成物用の揮発性分散媒の選定方法。
  6. 請求項5に記載のペースト状銀粒子組成物用の揮発性分散媒の選定方法において、「一つの空隙部(b)と一つの狭窄部(d)間(ただし、狭窄部(d)は長さ方向の太さが0.2μm〜1.0μmである)」を、「一つの空隙部(b)と一つの狭窄部(d)(ただし、狭窄部(d)は長さ方向の太さが0.2μm〜1.0μmであり、長さ方向の長さが0.1μm〜0.6μmである)」とすることを特徴とする、請求項5に記載のペースト状銀粒子組成物用の揮発性分散媒の選定方法。
  7. 金メッキシリコンチップはサイズが幅2.5mm×長さ2.5mm×厚さ1mmであり、重さが0.02グラムであり、銀メッキ基板上の該ペースト状銀粒子組成物層上に搭載されていることを特徴とする、請求項5または請求項6に記載のペースト状銀粒子組成物用の揮発性分散媒の選定方法。
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