JP2020167797A - ステータの製造方法およびステータ - Google Patents
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Abstract
【課題】ステータの部品点数が増加するのを防止しながら、コイルの径方向一方側への移動を規制することが可能なステータの製造方法およびステータを提供する。【解決手段】このステータ100の製造方法は、スロット11に絶縁シート30を配置する工程(S2)と、スロット11にコイル20を配置する工程(S3)と、発泡性接着層31を発泡させて、絶縁シート30のうちの第1部分30aの周方向の厚みt1を、絶縁シート30のうちのコイル20と周方向に隣接する部分である第2部分30bの周方向の厚みt2よりも大きくすることにより、コイル20の径方向一方側への移動を規制する工程(S5)とを備える。【選択図】図7
Description
本発明は、ステータの製造方法およびステータに関する。
従来、径方向一方側に開口部を有するスロットを含むステータコアを備えるステータの製造方法およびステータが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
上記特許文献1には、オープンスロットを有する固定子鉄心を備える回転電機が開示されている。この回転電機は、固定子鉄心とコイルとを備える。そして、固定子鉄心には、径方向内側に開口するスロット(オープンスロット)が設けられている。そして、このスロットに、コイルが配置されている。また、このスロットにおいて、固定子鉄心とコイルとの間には、スロット絶縁紙が配置されている。そして、スロットには、コイルが径方向内側に飛び出すのを防止するために、コイルおよびスロット絶縁紙よりも径方向内側に楔(くさび)が配置されている。
しかしながら、上記特許文献1に記載の回転電機では、コイルが径方向内側に飛び出すのを防止するために、スロットに楔が配置されている。このため、上記特許文献1に記載の回転電機では、コイルが径方向内側に飛び出すのを防止するために、回転電機の部品点数が増加するという不都合がある。したがって、従来から、回転電機(ステータ)の部品点数が増加するのを防止しながら、コイルの径方向内側(径方向一方側)への移動を規制することが可能なステータの製造方法およびステータが望まれている。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、ステータの部品点数が増加するのを防止しながら、コイルの径方向一方側への移動を規制することが可能なステータの製造方法およびステータを提供することである。
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面におけるステータの製造方法は、径方向一方側に開口部を有する複数のスロットを含むステータコアと、スロットに配置されるコイルとを備える、ステータの製造方法であって、ステータコアの複数のスロットの各々に、発泡性接着層を含む絶縁シートを配置する工程と、絶縁シートを配置する工程の後、スロットにコイルを配置する工程と、コイルを配置する工程の後、発泡性接着層を発泡させて、絶縁シートのうちのコイルよりも径方向一方側の部分である第1部分の周方向の厚みを、絶縁シートのうちのコイルと周方向に隣接する部分である第2部分の周方向の厚みよりも大きくすることにより、コイルの径方向一方側への移動を規制する工程と、を備える。
この発明の第1の局面によるステータの製造方法では、上記のように、絶縁シートの発泡性接着層を発泡させて、絶縁シートのうちのコイルよりも径方向一方側の部分である第1部分の周方向の厚みを大きくすることにより、コイルの径方向一方側への移動を規制する工程を備える。これにより、絶縁シートの第1部分によって、コイルの径方向一方側への移動を規制することができる。このため、コイルの径方向一方側への移動を規制するための楔部材を、スロットの開口部に設ける必要がないので、ステータの部品点数が増加するのを防止することができる。この結果、ステータの部品点数が増加するのを防止しながら、コイルの径方向一方側への移動を規制することができる。
この発明の第2の局面によるステータは、径方向一方側に開口部を有する複数のスロットを含む、ステータコアと、スロットに配置されているコイルと、ステータコアの複数のスロットに配置されている絶縁シートと、を備え、絶縁シートは、スロットにおいて、絶縁シートのうちのコイルよりも径方向一方側の部分である第1部分の周方向の厚みが、絶縁シートのうちのコイルと周方向に隣接する部分である第2部分の周方向の厚みよりも大きく形成されている。
この発明の第2の局面におけるステータでは、上記のように構成することにより、ステータの部品点数が増加するのを防止しながら、コイルの径方向一方側への移動を規制することが可能なステータを提供することができる。
本発明によれば、上記のように、ステータの部品点数が増加するのを防止しながら、コイルの径方向一方側への移動を規制することができる。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
[ステータの構造]
図1〜図6を参照して、第1実施形態によるステータ100の構造について説明する。
図1〜図6を参照して、第1実施形態によるステータ100の構造について説明する。
本願明細書では、「軸方向」とは、ステータコア10の中心軸線(符号C)(Z方向)に沿った方向(図1参照)を意味する。また、「周方向」とは、ステータコア10の周方向(A方向)を意味する。また、「径方向内側」とは、ステータコア10の中心に向かう方向(矢印B1方向)を意味する。また、「径方向外側」とは、ステータコア10の外に向かう方向(矢印B2方向)を意味する。
図1に示すように、ステータ100は、円環状に形成されている。そして、ステータ100は、ロータ101と組み合わされることにより、回転電機を構成する。また、ロータ101は、たとえば、ステータ100の径方向内側に配置される。回転電機は、モータ、ジェネレータ、または、モータ兼ジェネレータとして構成されている。また、ステータ100は、ステータコア10と、コイル20と、絶縁シート30(図2参照)と、ワニス40(図2参照)とを備える。
(ステータコアの構成)
ステータコア10には、図1に示すように、複数のスロット11が設けられている。複数のスロット11には、それぞれ、コイル20が配置されている。また、図2に示すように、スロット11は、オープンスロットとして構成されている。すなわち、スロット11には、径方向内側に開口する開口部11aが設けられている。また、周方向において、スロット11の幅W1は、径方向に亘って略一定である。これにより、たとえば、スロット11は、周方向の幅W2を有するコイル20が径方向内側から挿入可能に構成されている。
ステータコア10には、図1に示すように、複数のスロット11が設けられている。複数のスロット11には、それぞれ、コイル20が配置されている。また、図2に示すように、スロット11は、オープンスロットとして構成されている。すなわち、スロット11には、径方向内側に開口する開口部11aが設けられている。また、周方向において、スロット11の幅W1は、径方向に亘って略一定である。これにより、たとえば、スロット11は、周方向の幅W2を有するコイル20が径方向内側から挿入可能に構成されている。
また、ステータコア10は、スロット11の径方向外側を円環状に接続するバックヨーク12(図1参照)と、バックヨーク12から径方向内側に向かって延びる複数のティース13とを含む。そして、周方向に隣接する2つのティース13の側面13aと、バックヨーク12の径方向内側の面12aとにより、スロット11が形成されている。
(コイルの構成)
図2に示すように、ステータ100は、複数のコイル20を備える。コイル20は、たとえば、平角導線21により形成されている。図3に示すように、コイル20は、たとえば、平角導線21が複数回同芯巻きで巻回された略六角形状を有するカセットコイルとして構成されている。なお、本願明細書では、「平角導線」とは、一体として断面形状が略矩形形状を有する導線を意味する。すなわち、「平角導線」とは、1本の導体線により形成されているものに限らず、複数の導体線が束になった状態で平角に成形されたものも含む概念として記載している。
図2に示すように、ステータ100は、複数のコイル20を備える。コイル20は、たとえば、平角導線21により形成されている。図3に示すように、コイル20は、たとえば、平角導線21が複数回同芯巻きで巻回された略六角形状を有するカセットコイルとして構成されている。なお、本願明細書では、「平角導線」とは、一体として断面形状が略矩形形状を有する導線を意味する。すなわち、「平角導線」とは、1本の導体線により形成されているものに限らず、複数の導体線が束になった状態で平角に成形されたものも含む概念として記載している。
また、コイル20は、軸方向に沿って延びる脚部22と、脚部22同士をステータコア10よりも軸方向外側(図1参照)において接続する渡り部23とを含む。また、図2に示すように、1つのスロット11当りに、複数(たとえば、8つ)の脚部22が径方向に並んで重なるように配置されている。また、渡り部23は、互いに異なるスロット11に配置された複数の脚部22同士を周方向に渡るように接続するように構成されている。
(絶縁シートの構成)
絶縁シート30は、ステータコア10の複数のスロット11の各々に配置されている。そして、図4(A)に示すように、本実施形態では、絶縁シート30は、発泡性接着層31と、絶縁層32とが積層されて形成されている。たとえば、絶縁シート30は、発泡性接着層31と絶縁層32との2層のみから構成されている。
絶縁シート30は、ステータコア10の複数のスロット11の各々に配置されている。そして、図4(A)に示すように、本実施形態では、絶縁シート30は、発泡性接着層31と、絶縁層32とが積層されて形成されている。たとえば、絶縁シート30は、発泡性接着層31と絶縁層32との2層のみから構成されている。
発泡性接着層31は、加熱されることによって発泡する発泡剤31a(膨張剤)を含む。具体的には、発泡性接着層31は、たとえば、発泡剤31aとしての複数のカプセル体が、熱硬化性樹脂31bに配合されて形成されている。発泡剤31aは、常温T0よりも高い温度である発泡温度T1以上に加熱されることにより、カプセル体の体積が膨張するように構成されている。なお、ステータ100が完成された状態では、発泡剤31aは、発泡された状態となっている。
熱硬化性樹脂31bは、発泡温度T1よりも高い温度である樹脂硬化温度T2以上に加熱されることにより、硬化するように構成されている。たとえば、熱硬化性樹脂31bは、エポキシ樹脂である。そして、発泡性接着層31は、加熱された際に、熱硬化性樹脂31bが硬化することにより、図2に示すように、ティース13の側面13aおよびバックヨーク12の面12aに接着するように構成されている。
絶縁層32は、たとえば、ノーメックス(登録商標)またはポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS:Poly Phenylene Sulfide Resin)により構成されている。また、絶縁層32は、発泡された状態の発泡性接着層31よりも削れにくい性質を有する。
図2に示すように、絶縁シート30は、軸方向に見て、スロット11の内面(ティース13の側面13aおよびバックヨーク12の面12a)に沿って、U字状を有するように配置されている。そして、絶縁シート30は、スロット11において、スロット11の内面側に発泡性接着層31が配置されているとともに、コイル20側に絶縁層32が配置されている。言い換えると、U字状の絶縁シート30の内側部分に絶縁層32が配置され、U字状の絶縁シート30の外側部分に発泡性接着層31が配置されている。
また、絶縁シート30は、第1部分30aと第2部分30bとを含む。第1部分30aは、絶縁シート30のうちのコイル20よりも径方向内側の部分である。具体的には、スロット11に配置された複数の脚部22のうちの、最も径方向内側に配置された脚部22である内径側コイル122の径方向内側の側面122aよりも、第1部分30aは、径方向内側に配置されている。
また、第2部分30bは、絶縁シート30のうちのコイル20と周方向に隣接する部分である。具体的には、第2部分30bは、絶縁シート30のうちの、コイル20とティース13の側面13aとの間およびコイル20とバックヨーク12の面12aとの間の部分である。
図5に示すように、本実施形態では、第1部分30aは、内径側コイル122の径方向内側の2つの角部122bを覆うように形成されている。詳細には、第1部分30aは、2つの角部122bを覆うように、ティース13の側面13aから周方向に突出するように形成されている。また、第1部分30aは、周方向に一対設けられている。一対の第1部分30aは、それぞれ、軸方向に見て、略台形形状を有する。なお、一対の第1部分30aは、特許請求の範囲の「一対の突出部」の一例である。
ここで、本実施形態では、第1部分30aの周方向の厚みt1は、第2部分30bの周方向の厚みt2よりも大きい。また、第1部分30aの周方向の厚みt1は、第1部分30aにおける発泡性接着層31の周方向の厚みt11と、第1部分30aにおける絶縁層32の周方向の厚みt21とが合計された大きさである。また、第2部分30bの周方向の厚みt2は、第2部分30bにおける発泡性接着層31の周方向の厚みt12と、第2部分30bにおける絶縁層32の周方向の厚みt22とが合計された大きさである。たとえば、厚みt1は、厚みt2の2倍以上の大きさである。なお、厚みt11は、第1部分30aの発泡性接着層31のうちの最も周方向の長さが大きくなる部分の周方向の長さを意味するものとする。また、本実施形態では、発泡性接着層31の発泡剤31aが発泡されていることにより、第1部分30aの厚みt1が第2部分30bの厚みt2よりも大きく形成されている。また、たとえば、厚みt21と厚みt22は、略同一の大きさである。また、第1部分30aの厚みは、軸方向に亘ってt1で略一定の大きさである。
図6に示すように、絶縁シート30には、襟部30cが設けられている。襟部30cは、スロット11から軸方向外側に突出するとともに、ティース13の軸方向の端面13bに向かって折り返された形状を有する。また、襟部30cは、端面13bに係合した状態で、配置されている。また、絶縁シート30は、スロット11からZ1方向に突出する襟部30cと、スロット11からZ2方向に突出する襟部30cとを有する。
(ワニスの構成)
ワニス40は、ステータコア10とコイル20との隙間、および、コイル20(渡り部23)同士の隙間(図18参照)に設けられている。また、本実施形態では、図5に示すように、ワニス40は、一対の第1部分30aの周方向の間に設けられている。
ワニス40は、ステータコア10とコイル20との隙間、および、コイル20(渡り部23)同士の隙間(図18参照)に設けられている。また、本実施形態では、図5に示すように、ワニス40は、一対の第1部分30aの周方向の間に設けられている。
また、ワニス40は、たとえば、発泡温度T1よりも高い温度であるワニス硬化温度T3以上の温度に加熱されることにより硬化する熱硬化性樹脂を含む。また、ワニス40は、硬化される前の状態で、かつ、常温T0において、液体である。
[ステータの製造方法]
次に、本実施形態によるステータ100の製造方法について説明する。図7には、ステータ100の各製造工程を示すフローチャートが示されている。
次に、本実施形態によるステータ100の製造方法について説明する。図7には、ステータ100の各製造工程を示すフローチャートが示されている。
(絶縁シートを準備する工程)
ステップS1において、複数の絶縁シート30が準備される。具体的には、図4(B)に示すように、発泡性接着層31と絶縁層32とが積層されて形成された絶縁シート30が形成される。具体的には、発泡されていない状態の発泡性接着層31と、絶縁層32との2層のみからなる絶縁シート30が形成される。そして、図8に示すように、絶縁シート30が折り曲げられるように成形されることにより、絶縁シート30が、軸方向に見て、発泡性接着層31が内側でかつ絶縁層32が外側となる略U字状に成形される。また、絶縁シート30が折り曲げられるように成形されることにより、襟部30cが成形される。
ステップS1において、複数の絶縁シート30が準備される。具体的には、図4(B)に示すように、発泡性接着層31と絶縁層32とが積層されて形成された絶縁シート30が形成される。具体的には、発泡されていない状態の発泡性接着層31と、絶縁層32との2層のみからなる絶縁シート30が形成される。そして、図8に示すように、絶縁シート30が折り曲げられるように成形されることにより、絶縁シート30が、軸方向に見て、発泡性接着層31が内側でかつ絶縁層32が外側となる略U字状に成形される。また、絶縁シート30が折り曲げられるように成形されることにより、襟部30cが成形される。
(スロットに絶縁シートを配置する工程)
ステップS2において、ステータコア10の複数のスロット11の各々に、絶縁シート30が配置される。具体的には、図9に示すように、Z2方向に見て、スロット11の内面側(ティース13の側面13a側およびバックヨーク12の面12a側)に発泡性接着層31が配置されるように、かつ、スロット11の内側に絶縁層32が配置されるように、絶縁シート30が配置される。
ステップS2において、ステータコア10の複数のスロット11の各々に、絶縁シート30が配置される。具体的には、図9に示すように、Z2方向に見て、スロット11の内面側(ティース13の側面13a側およびバックヨーク12の面12a側)に発泡性接着層31が配置されるように、かつ、スロット11の内側に絶縁層32が配置されるように、絶縁シート30が配置される。
たとえば、図8に示す絶縁シート30を、ステータコア10に対して軸方向に移動させることにより、図9に示すように、絶縁シート30がスロット11に配置される。そして、図6に示すように、絶縁シート30の襟部30cがステータコア10のティース13の端面13bに係合することにより、絶縁シート30がステータコア10により保持された状態となる。
(スロットにコイルを配置する工程)
ステップS3において、スロット11にコイル20が配置される。具体的には、まず、図10に示すように、複数のコイル20が円環状に組み合わされることにより、コイルアッセンブリ120が形成される。具体的には、複数のコイル20が、スロット11のピッチ分ずらしながら、互いに周方向に隣接するように配置されることにより、コイルアッセンブリ120が形成される。そして、図11に示すように、コイルアッセンブリ120がステータコア10の開口部11aよりも径方向内側に配置される。
ステップS3において、スロット11にコイル20が配置される。具体的には、まず、図10に示すように、複数のコイル20が円環状に組み合わされることにより、コイルアッセンブリ120が形成される。具体的には、複数のコイル20が、スロット11のピッチ分ずらしながら、互いに周方向に隣接するように配置されることにより、コイルアッセンブリ120が形成される。そして、図11に示すように、コイルアッセンブリ120がステータコア10の開口部11aよりも径方向内側に配置される。
そして、本実施形態では、コイルアッセンブリ120が開口部11aよりも径方向内側に配置された状態から、コイルアッセンブリ120のコイル20が絶縁シート30の絶縁層32に接触しながら、各コイル20を径方向他方側に移動させることにより、コイル20がスロット11に配置される。詳細には、図12に示すように、スロット11において、複数のコイル20の脚部22が径方向に並ぶように、複数のコイル20が配置される。そして、絶縁シート30の第2部分30bは、コイル20(脚部22)とティース13の側面13aとの周方向の間に配置された状態となり、コイル20(脚部22)とバックヨーク12の面12aとの径方向の間に配置された状態となる。
(ステータコアに押圧治具を配置する工程)
ステップS4において、ステータコア10に押圧治具210が配置される。具体的には、図13に示すように、ステータコア10のスロット11の開口部11aに、押圧治具210が配置される。ここで、図14に示すように、押圧治具210は、軸方向に見て円環状を有する円環部211と、円環部211から径方向外側に突出する複数の押圧部212とを含む。そして、押圧部212は、各スロット11の開口部11aに配置される。また、円環部211と押圧部212は、一体的に形成されている。
ステップS4において、ステータコア10に押圧治具210が配置される。具体的には、図13に示すように、ステータコア10のスロット11の開口部11aに、押圧治具210が配置される。ここで、図14に示すように、押圧治具210は、軸方向に見て円環状を有する円環部211と、円環部211から径方向外側に突出する複数の押圧部212とを含む。そして、押圧部212は、各スロット11の開口部11aに配置される。また、円環部211と押圧部212は、一体的に形成されている。
そして、押圧治具210は、樹脂部材により構成されており、ステータコア10よりも熱膨張係数が大きい材料により構成されている。これにより、円環状の押圧治具210は、後述する予備加熱工程(S5)において、加熱されることによって膨張して直径が大きくなり、図13に示すように、押圧部212が内径側コイル122の径方向内側の側面122aを押圧する。また、図15に示すように、押圧部212は、Z1方向側の渡り部23からZ2方向側の渡り部23に亘って、コイル20(側面122a)を径方向外側に押圧するように構成されている。
ここで、本実施形態では、押圧治具210の押圧部212は、コイル20を押圧する先端部分212aの周方向の幅W11が径方向一方側の根元部分212bの周方向の幅W12よりも小さく形成されている。また、幅W11は、コイル20の周方向の幅W2よりも小さい。また、押圧部212は、軸方向に見て、略台形形状(テーパー状)を有するように形成されている。また、押圧部212は、内径側コイル122の側面122aのうちの中央部に径方向に対向する位置に配置される。また、押圧部212は、側面122aのうちの中央部に対向する一方、内径側コイル122の角部122bに対して径方向に対向しないように配置される。また、押圧部212と、第1部分30aとの周方向の間には、隙間CL1が形成された状態となる。
(第1部分の厚みを大きくする工程)
ステップS5において、絶縁シート30の第1部分30aの厚みがt2からt1に増大される。すなわち、絶縁シート30の発泡性接着層31が発泡される。具体的には、ワニス40を硬化させる工程(S8)における予備加熱工程としてステータコア10が加熱される。これにより、発泡性接着層31の温度が、発泡温度T1以上となり、発泡性接着層31が発泡される。図4(A)および図4(B)に示すように、発泡性接着層31が発泡されることにより、発泡性接着層31が膨張して、図16に示すように、厚みがt12よりも大きいt11となる。これにより、第1部分30aの周方向の厚みが第2部分30bの周方向の厚みt2よりも大きいt1となる。
ステップS5において、絶縁シート30の第1部分30aの厚みがt2からt1に増大される。すなわち、絶縁シート30の発泡性接着層31が発泡される。具体的には、ワニス40を硬化させる工程(S8)における予備加熱工程としてステータコア10が加熱される。これにより、発泡性接着層31の温度が、発泡温度T1以上となり、発泡性接着層31が発泡される。図4(A)および図4(B)に示すように、発泡性接着層31が発泡されることにより、発泡性接着層31が膨張して、図16に示すように、厚みがt12よりも大きいt11となる。これにより、第1部分30aの周方向の厚みが第2部分30bの周方向の厚みt2よりも大きいt1となる。
また、図13に示すように、本実施形態では、押圧治具210が開口部11aに配置された状態で、発泡性接着層31が発泡されることにより、第1部分30aの厚みt1が第2部分30bの厚みt2よりも大きくされる。詳細には、押圧治具210が開口部11aに配置された状態(図14参照)で、ステータコア10が加熱装置(たとえば、熱風加熱炉)内に配置される。そして、ステータコア10および絶縁シート30が加熱されることにより、発泡性接着層31の温度が、発泡温度T1以上でかつ樹脂硬化温度T2未満、および発泡温度T1以上でかつワニス硬化温度T3未満の範囲内の温度となることにより、発泡性接着層31の発泡剤31aが発泡される。
そして、図16に示すように、第1部分30aの発泡性接着層31が周方向に膨張することにより、絶縁層32が押圧治具210の押圧部212側に移動される。そして、絶縁層32が押圧部212に接触した状態になる。具体的には、スロット11の周方向の両側の内面(ティース13の側面13a)の各々からスロット11の周方向の内側に向かって、一対の第1部分30aがそれぞれ突出する。そして、一対の第1部分30aにより、内径側コイル122の径方向内側の2つの角部122bが覆われた状態になる。また、発泡性接着層31がティース13の側面13aに接着されるとともに、発泡性接着層31がバックヨーク12の面12aに接着される。そして、一対の第1部分30aにより、コイル20の径方向一方側への移動が規制された状態となる。
(ステータコアから押圧治具を取り除く工程)
ステップS6において、ステータコア10から押圧治具210が取り除かれる。具体的には、押圧治具210が、ステータコア10に対して軸方向に移動されることにより、図17に示すように、押圧治具210がステータコア10の開口部11aから取り除かれる。
ステップS6において、ステータコア10から押圧治具210が取り除かれる。具体的には、押圧治具210が、ステータコア10に対して軸方向に移動されることにより、図17に示すように、押圧治具210がステータコア10の開口部11aから取り除かれる。
(ワニスを滴下する工程)
ステップS7において、ステータコア10およびコイル20に、ワニス40が滴下される。本実施形態では、図18に示すように、硬化される前の液状のワニス40が、予備加熱されたステータコア10およびコイル20に滴下される。たとえば、ワニス滴下装置220がステータコア10のZ1方向側に配置された状態で、ワニス40が軸方向に滴下される。これにより、コイル20同士の間およびコイル20とステータコア10との間の少なくとも一方に、ワニス40が浸透する。たとえば、渡り部23同士の間およびスロット11に、滴下されたワニス40が浸透する。
ステップS7において、ステータコア10およびコイル20に、ワニス40が滴下される。本実施形態では、図18に示すように、硬化される前の液状のワニス40が、予備加熱されたステータコア10およびコイル20に滴下される。たとえば、ワニス滴下装置220がステータコア10のZ1方向側に配置された状態で、ワニス40が軸方向に滴下される。これにより、コイル20同士の間およびコイル20とステータコア10との間の少なくとも一方に、ワニス40が浸透する。たとえば、渡り部23同士の間およびスロット11に、滴下されたワニス40が浸透する。
また、本実施形態では、第1部分30aの周方向の厚みt1がt2よりも大きくされていることにより、コイル20の径方向一方側への移動が規制された状態で、ワニス40が滴下される。また、図18に示すように、押圧治具210が開口部11aから取り除かれた状態で、コイル20同士の間およびコイル20とステータコア10との間の少なくとも一方に、ワニス40が滴下される。すなわち、押圧治具210に対して、ワニス40は滴下されない。
コイル20とステータコア10との間(スロット11)にワニス40が滴下されることにより、図2に示すように、内径側コイル122の径方向内側の側面122aにワニス40が付着した状態になる。また、一対の第1部分30aの周方向の間にワニス40が配置された状態になる。
(ワニスを硬化する工程)
ステップS8において、ワニス40が硬化される。具体的には、ワニス40が滴下されたステータコア10全体が加熱されることにより、ワニス40の温度がワニス硬化温度T3以上となり、ワニス40が硬化する。本実施形態では、第1部分30aの厚みを大きくする工程(S5)(予備加熱工程)により加熱されたステータコア10をさらに加熱することにより、ワニス40が硬化される。たとえば、ワニス40が滴下されたステータコア10が加熱装置(たとえば、熱風加熱炉)内に配置された状態で、ステータコア10が加熱される。また、ワニス40のうちの一部は、一対の第1部分30aの周方向の間において硬化される。これらにより、ステータ100が完成される。その後、ステータ100がロータ101と組み合わされることにより、回転電機が製造される。
ステップS8において、ワニス40が硬化される。具体的には、ワニス40が滴下されたステータコア10全体が加熱されることにより、ワニス40の温度がワニス硬化温度T3以上となり、ワニス40が硬化する。本実施形態では、第1部分30aの厚みを大きくする工程(S5)(予備加熱工程)により加熱されたステータコア10をさらに加熱することにより、ワニス40が硬化される。たとえば、ワニス40が滴下されたステータコア10が加熱装置(たとえば、熱風加熱炉)内に配置された状態で、ステータコア10が加熱される。また、ワニス40のうちの一部は、一対の第1部分30aの周方向の間において硬化される。これらにより、ステータ100が完成される。その後、ステータ100がロータ101と組み合わされることにより、回転電機が製造される。
[本実施形態の製造方法の効果]
本実施形態の製造方法では、以下の効果を得ることができる。
本実施形態の製造方法では、以下の効果を得ることができる。
本実施形態では、上記のように、絶縁シート(30)の発泡性接着層(31)を発泡させて、絶縁シート(30)のうちのコイル(20)よりも径方向一方側の部分である第1部分(30a)の周方向の厚み(t1)を大きくすることにより、コイル(20)の径方向一方側への移動を規制する工程(S5)を備える。これにより、絶縁シート(30)の第1部分(30a)によって、コイル(20)の径方向一方側への移動を規制することができる。このため、コイル(20)の径方向一方側への移動を規制するための楔部材を、スロット(11)の開口部(11a)に設ける必要がないので、ステータ(100)の部品点数が増加するのを防止することができる。この結果、ステータ(100)の部品点数が増加するのを防止しながら、コイル(20)の径方向一方側への移動を規制することができる。
また、本実施形態では、上記のように、絶縁シート(30)は、発泡性接着層(31)と絶縁層(32)との2層により構成されており、絶縁シート(30)を配置する工程(S2)は、ステータコア(10)の軸方向に見て、スロット(11)の内側に絶縁層(32)が配置され、かつ、スロット(11)の内面(12a、13a)側に発泡性接着層(31)が配置されるように、絶縁シート(30)を配置する工程(S2)である。ここで、発泡される前の状態の発泡性接着層は、一般的に、液状またはジェル状を有する。また、コイルをスロットに配置する際、スロットに配置された絶縁シートの表面にコイルが摺動することが考えられる。この場合、コイルが発泡性接着層に対して摺動することによって、液状またはジェル状の発泡性接着層の一部が剥がれてしまう場合があると考えられる。これに対して、本実施形態では、スロット(11)の内側に絶縁層(32)が配置され、かつ、スロット(11)の内面(12a、13a)側に発泡性接着層(31)が配置されるように、絶縁シート(30)を配置する。これにより、液状またはジェル状を有する発泡性接着層(31)を含む絶縁シート(30)にコイル(20)が摺動する場合にも、発泡性接着層(31)ではなく絶縁層(32)に対してコイル(20)が接触するので、発泡性接着層(31)の一部が剥がれるのを防止することができる。
また、本実施形態では、上記のように、第1部分(30a)の周方向の厚み(t1)を大きくする工程(S5)は、コイル(20)を径方向他方側に押圧するとともに、コイル(20)を押圧する先端部分(212a)の周方向の幅(W11)がコイル(20)の周方向の幅(W2)よりも小さい押圧治具(210)を開口部(11a)に配置した状態で、第1部分(30a)の周方向の厚み(t1)を第2部分(30b)の周方向の厚み(t2)よりも大きくする工程である。このように構成すれば、押圧治具(210)により、コイル(20)が径方向一方側に移動するのを規制した状態で、発泡性接着層(31)を発泡させることができる。そして、本実施形態では、押圧治具(210)の先端部分(212a)の周方向の幅(W11)がコイル(20)の周方向の幅(W2)よりも小さい分、第1部分(30a)の周方向の厚み(t1)を大きくするための空間(CL1)を確保することができる。このため、発泡性接着層(31)の発泡が押圧治具(210)により阻害されるのを防止しながら、押圧治具(210)により、コイル(20)が径方向一方側に移動するのを規制した状態で、発泡性接着層(31)を発泡させて第1部分(30a)の周方向の厚みを容易に大きくすることができる。
また、本実施形態では、上記のように、第1部分(30a)の周方向の厚み(t1)を大きくすることによりコイル(20)の径方向一方側への移動が規制された状態で、かつ、押圧治具(210)が開口部(11a)から取り除かれた状態で、コイル(20)同士の間およびコイル(20)とステータコア(10)との間の少なくとも一方に、ワニス(40)を滴下する工程(S7)と、ワニス(40)を滴下する工程(S7)の後、ワニス(40)を硬化させる工程(S8)と、をさらに備える。ここで、押圧治具をスロットの開口部に配置した状態で、ワニスを滴下して、ワニスを硬化した場合には、押圧治具にワニスが固着すると考えられる。この場合、ステータを製造する度に、押圧治具に固着したワニスを押圧治具から取り除く作業が必要になり、ステータの製造工程における作業負担が増大するという問題点があると考えられる。これに対して、本実施形態では、コイル(20)の径方向一方側への移動が規制された状態で、かつ、押圧治具(210)が開口部(11a)から取り除かれた状態で、ワニス(40)を滴下する工程(S7)およびワニス(40)を硬化する工程(S8)を行う。これにより、押圧治具(210)にワニス(40)が固着することなく、絶縁シート(30)の第1部分(30a)によりコイル(20)の移動を規制した状態で、ワニス(40)を硬化させることができる。この結果、ワニス(40)を押圧治具(210)から取り除く作業が不要な分、ステータ(100)の製造工程における作業負担が増大するのを防止しながら、ステータ(100)にワニス(40)を配置することができる。
また、本実施形態では、上記のように、絶縁シート(30)は、発泡性接着層(31)と絶縁層(32)との2層により構成されており、絶縁シート(30)を配置する工程(S2)は、ステータコア(10)の軸方向に見て、スロット(11)の内側に絶縁層(32)が配置され、かつ、スロット(11)の内面(12a、13a)側に発泡性接着層(31)が配置されるように、絶縁シート(30)を配置する工程(S2)であり、第1部分(30a)の周方向の厚み(t1)を大きくする工程(S5)は、押圧治具(210)を開口部(11a)に配置した状態で、絶縁層(32)が押圧治具(210)に接触するように、発泡性接着層(31)を発泡させることにより、第1部分(30a)を膨張させて、第1部分(30a)の周方向の厚み(t1)を第2部分(30b)の周方向の厚み(t2)よりも大きくする工程である。ここで、発泡された状態の発泡性接着層は、発泡前の状態よりも密度が小さくなる分、比較的脆くなると考えられる。この場合、発泡された状態の発泡性接着層に押圧治具が接触した状態で、押圧治具が開口部から取り除かれた場合、発泡性接着層の一部が剥がれる(屑が出る)場合があると考えられる。これに対して、本実施形態では、2層のうちの絶縁層(32)が押圧治具(210)に接触するように発泡性接着層(31)を発泡させるので、発泡性接着層(31)が押圧治具(210)に接触する場合と異なり、押圧治具(210)を開口部(11a)から取り除く際に、押圧治具(210)は2層のうちの絶縁層(32)に接触するので、発泡性接着層(31)の一部が剥がれるのを防止することができる。
また、本実施形態では、上記のように、第1部分(30a)の周方向の厚み(t1)を大きくする工程(S5)は、ワニス(40)を硬化させる工程(S8)における予備加熱工程(S5)としてステータコア(10)が加熱されることにより、発泡性接着層(31)を発泡させて、第1部分(30a)の周方向の厚み(t1)を第2部分(30b)の周方向の厚み(t2)よりも大きくする工程であり、ワニス(40)を硬化させる工程(S8)は、予備加熱工程(S5)により加熱されたステータコア(10)をさらに加熱することにより、ワニス(40)を硬化させる工程である。このように構成すれば、発泡性接着層(31)を発泡させる工程(S5)がワニス(40)を硬化させるための予備加熱工程(S5)を兼ねるので、発泡性接着層(31)を発泡させる工程(S5)とは別個に予備加熱工程を設ける場合と異なり、ステータ(100)の製造時間が増大するのを防止することができる。
また、本実施形態では、上記のように、発泡性接着層(31)と絶縁層(32)とが積層されて形成されており、コイル(20)を配置する工程(S3)は、開口部(11a)よりも径方向一方側に、平角導線(21)により形成されたコイル(20)が配置された状態から、コイル(20)が絶縁層(32)に接触しながら、コイル(20)を径方向他方側に移動させることにより、コイル(20)をスロット(11)に配置する工程である。このように構成すれば、平角導線(21)により形成されたコイル(20)をスロット(11)に径方向内側から挿入する場合(内径挿入する場合)でも、コイル(20)により絶縁シート(30)の一部が剥がされるのを防止しながら、コイル(20)をスロット(11)に配置することができる。
また、本実施形態では、上記のように、第1部分(30a)の周方向の厚み(t1)を大きくする工程(S5)は、コイル(20)を押圧する先端部分(212a)の周方向の幅(W11)が径方向一方側の根元部分(212b)の周方向の幅(W12)よりも小さい押圧治具(210)を、開口部(11a)に配置した状態で、第1部分(30a)の周方向の厚み(t1)を第2部分(30b)の周方向の厚み(t2)よりも大きくする工程である。このように構成すれば、根元部分(212b)の幅(W12)が先端部分(212a)の幅(W11)よりも大きい分、押圧治具(210)の機械的強度を向上させることができる。また、先端部分(212a)の周方向の幅(W11)が根元部分(212b)の周方向の幅(W12)よりも小さいので、第1部分(30a)が膨張するため(厚みが(t2からt1に)大きくなるため)のスペース(CL1)を容易に確保することができる。また、第1部分(30a)の厚み(t1)を大きくする工程(S5)の後に、先端部分(212a)の周方向の幅(W11)が比較的小さい(テーパー状を有する)押圧治具(210)を容易に抜き取ることができる。
また、本実施形態では、上記のように、第1部分(30a)の周方向の厚み(t1)を大きくする工程(S5)は、スロット(11)の周方向の両側の内面(13a)の各々からスロット(11)の周方向の内側に第1部分(30a)が突出するとともに、コイル(20)の径方向一方側の2つの角部(122b)を第1部分(30a)が覆うように、第1部分(30a)が膨張することにより、第1部分(30a)の周方向の厚み(t1)を第2部分(30b)の周方向の厚み(t2)よりも大きくする工程である。このように構成すれば、コイル(20)の径方向一方側の2つの角部(122b)を絶縁シート(30)が保持した状態になるので、2つの角部(122b)のうちの一方のみを保持する場合に比べて、コイル(20)の径方向一方側への移動をより確実に規制することができる。
[本実施形態の構造の効果]
本実施形態の構造では、以下の効果を得ることができる。
本実施形態の構造では、以下の効果を得ることができる。
本実施形態では、ステータ(100)の部品点数が増加するのを防止しながら、コイル(20)の径方向一方側への移動を規制することが可能なステータ(100)を提供することができる。
また、本実施形態では、上記のように、絶縁シート(30)は、ステータコア(10)の軸方向に見て、スロット(11)の内側に絶縁層(32)が配置され、かつ、スロット(11)の内面(12a、13a)側に発泡性接着層(31)が配置されており、発泡性接着層(31)が発泡されていることにより、第1部分(30a)の周方向の厚み(t1)が第2部分(30b)の周方向の厚み(t2)よりも大きく形成されている。このように構成すれば、たとえば、液状またはジェル状を有する発泡性接着層(31)を含む絶縁シート(30)にコイル(20)が摺動する場合にも、発泡性接着層(31)ではなく絶縁層(32)に対してコイル(20)が接触するので、発泡性接着層(31)の一部が剥がれるのを防止することができる。
また、本実施形態では、上記のように、第1部分(30a)は、スロット(11)の周方向の両側の内面(13a)の各々からスロット(11)の周方向の内側に突出するとともに、コイル(20)の径方向内側の2つの角部(122b)の各々を覆う一対の突出部(30a)を有する。このように構成すれば、コイル(20)の径方向一方側の2つの角部(122b)を一対の突出部(30a)が保持した状態になるので、2つの角部(122b)のうちの一方のみを保持する場合に比べて、コイル(20)の径方向一方側への移動をより確実に規制することができる。
また、本実施形態では、上記のように、一対の突出部(30a)の周方向の間に設けられたワニス(40)をさらに備える。このように構成すれば、発泡性接着層(31)のみによりコイル(20)をステータコア(10)に固定する場合に比べて、ワニス(40)によりコイル(20)をステータコア(10)に対してより強固に固定することができる。また、ワニス(40)によりコイル(20)とステータコア(10)との絶縁性能を向上させることができる。
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
(第1変形例)
たとえば、上記実施形態では、ステータ100にワニス40を設ける例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図19の第1変形例のステータ300のように、ワニスが設けられていなくてもよい。この場合、第1変形例のステータ300では、絶縁シート30の第1部分30aにより、コイル20の径方向の移動が規制されているとともに、コイル20がステータコア10に固定されている。
たとえば、上記実施形態では、ステータ100にワニス40を設ける例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図19の第1変形例のステータ300のように、ワニスが設けられていなくてもよい。この場合、第1変形例のステータ300では、絶縁シート30の第1部分30aにより、コイル20の径方向の移動が規制されているとともに、コイル20がステータコア10に固定されている。
(第2変形例)
また、上記実施形態では、第1部分30aの厚みを、軸方向に亘ってt1で略一定に構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図20〜図22に示す第2変形例のステータ400のように、第1部分430aに、厚みt2よりも大きい厚みt21を有する部分431aと、厚みt2と略同一の厚みt22を有する部分432aとを設けてもよい。図22に示すように、部分431aと部分432aとは、軸方向に交互に設けられている。これにより、部分431aにより、コイル20の径方向の移動が規制された状態となる。
また、上記実施形態では、第1部分30aの厚みを、軸方向に亘ってt1で略一定に構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図20〜図22に示す第2変形例のステータ400のように、第1部分430aに、厚みt2よりも大きい厚みt21を有する部分431aと、厚みt2と略同一の厚みt22を有する部分432aとを設けてもよい。図22に示すように、部分431aと部分432aとは、軸方向に交互に設けられている。これにより、部分431aにより、コイル20の径方向の移動が規制された状態となる。
また、上記実施形態では、押圧部212の先端部分212aの周方向の幅W11を、コイル20の幅W2よりも小さく構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図23に示す第2変形例のステータ400の製造方法のように、押圧部512の先端部分512aの周方向の幅W21を、コイル20の幅W2と略同一に構成してもよい。この場合、押圧治具510には、複数の押圧部512が軸方向に互いに隙間を隔てて配置されている。そして、複数の押圧部512の軸方向の間の隙間において、第1部分430aの部分431aが膨張されることにより、コイル20の径方向内側への移動が規制される。
(第3変形例)
また、上記実施形態では、押圧治具210を円環状に構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図24に示す第3変形例の押圧治具610のように、板状の押圧治具610を複数設けてもよい。この場合、複数の押圧治具610は、それぞれ、径方向に移動可能に構成される。また、複数の押圧治具610は、樹脂材料に限らず、金属材料により形成されてもよい。
また、上記実施形態では、押圧治具210を円環状に構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図24に示す第3変形例の押圧治具610のように、板状の押圧治具610を複数設けてもよい。この場合、複数の押圧治具610は、それぞれ、径方向に移動可能に構成される。また、複数の押圧治具610は、樹脂材料に限らず、金属材料により形成されてもよい。
(第4変形例)
また、上記実施形態では、コイル20を同芯巻のカセットコイルとして構成するとともに、コイル20をスロット11に径方向内側から挿入する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図25に示す第4変形例のステータ700のように、複数のセグメント導体720aおよび720bが、軸方向両側からスロットに挿入され、コイル720を波巻きに構成してもよい。この場合、複数のセグメント導体720aおよび720bは、スロット内で互いに接合される。
また、上記実施形態では、コイル20を同芯巻のカセットコイルとして構成するとともに、コイル20をスロット11に径方向内側から挿入する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図25に示す第4変形例のステータ700のように、複数のセグメント導体720aおよび720bが、軸方向両側からスロットに挿入され、コイル720を波巻きに構成してもよい。この場合、複数のセグメント導体720aおよび720bは、スロット内で互いに接合される。
(その他の変形例)
また、上記実施形態では、ステータをインナーロータ型の回転電機の一部として構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、ステータをアウターロータ型の回転電機の一部として構成してもよい。この場合、スロットの開口部は、径方向外側に開口するように形成される。そして、絶縁シートの第1部分は、コイルよりも径方向外側の位置に設けられる。
また、上記実施形態では、ステータをインナーロータ型の回転電機の一部として構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、ステータをアウターロータ型の回転電機の一部として構成してもよい。この場合、スロットの開口部は、径方向外側に開口するように形成される。そして、絶縁シートの第1部分は、コイルよりも径方向外側の位置に設けられる。
また、上記実施形態では、絶縁シートを、発泡性接着層と絶縁層との2層により構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、絶縁シートを、発泡性接着層のみから構成してもよいし、絶縁シートを、発泡性接着層と絶縁層とを3層以上に積層して構成してもよい。
また、上記実施形態では、予備加熱工程において、発泡性接着層を発泡させる例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、予備加熱工程以外の工程において、発泡性接着層を発泡させてもよい。
また、上記実施形態では、コイルが平角導線により構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、コイルが平角導線以外の丸線(細線)などによって構成されていてもよい。
また、上記実施形態では、押圧部の先端部分の周方向の幅を、根元部分の周方向の幅よりも小さく構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、押圧部の先端部分の周方向の幅を、根元部分の幅以上の大きさに構成してもよい。
10 ステータコア 11 スロット
11a 開口部 12a 面(スロットの内面)
13a 側面(スロットの内面) 20、720 コイル
21 平角導線 30 絶縁シート
30a、430a 第1部分(突出部) 30b 第2部分
31 発泡性接着層 32 絶縁層
40 ワニス 70 ワニス
100、300、400、700 ステータ 122b 角部
210、510、610 押圧治具 212a、512a 先端部分
212b、512b 根元部分
11a 開口部 12a 面(スロットの内面)
13a 側面(スロットの内面) 20、720 コイル
21 平角導線 30 絶縁シート
30a、430a 第1部分(突出部) 30b 第2部分
31 発泡性接着層 32 絶縁層
40 ワニス 70 ワニス
100、300、400、700 ステータ 122b 角部
210、510、610 押圧治具 212a、512a 先端部分
212b、512b 根元部分
Claims (13)
- 径方向一方側に開口部を有する複数のスロットを含むステータコアと、前記スロットに配置されるコイルとを備える、ステータの製造方法であって、
前記ステータコアの前記複数のスロットの各々に、発泡性接着層を含む絶縁シートを配置する工程と、
前記絶縁シートを配置する工程の後、前記スロットに前記コイルを配置する工程と、
前記コイルを配置する工程の後、前記発泡性接着層を発泡させて、前記絶縁シートのうちの前記コイルよりも前記径方向一方側の部分である第1部分の周方向の厚みを、前記絶縁シートのうちの前記コイルと周方向に隣接する部分である第2部分の周方向の厚みよりも大きくすることにより、前記コイルの前記径方向一方側への移動を規制する工程と、を備える、ステータの製造方法。 - 前記絶縁シートは、前記発泡性接着層と絶縁層との2層により構成されており、
前記絶縁シートを配置する工程は、前記ステータコアの軸方向に見て、前記スロットの内側に前記絶縁層が配置され、かつ、前記スロットの内面側に前記発泡性接着層が配置されるように、前記絶縁シートを配置する工程である、請求項1に記載のステータの製造方法。 - 前記第1部分の周方向の厚みを大きくする工程は、前記コイルを径方向他方側に押圧するとともに、前記コイルを押圧する先端部分の周方向の幅が前記コイルの周方向の幅よりも小さい押圧治具を前記開口部に配置した状態で、前記第1部分の周方向の厚みを前記第2部分の周方向の厚みよりも大きくする工程である、請求項1または2に記載のステータの製造方法。
- 前記第1部分の周方向の厚みを大きくすることにより前記コイルの前記径方向一方側への移動が規制された状態で、かつ、前記押圧治具が前記開口部から取り除かれた状態で、前記コイル同士の間および前記コイルと前記ステータコアとの間の少なくとも一方に、ワニスを滴下する工程と、
前記ワニスを滴下する工程の後、前記ワニスを硬化させる工程と、をさらに備える、請求項3に記載のステータの製造方法。 - 前記絶縁シートは、前記発泡性接着層と絶縁層との2層により構成されており、
前記絶縁シートを配置する工程は、前記ステータコアの軸方向に見て、前記スロットの内側に前記絶縁層が配置され、かつ、前記スロットの内面側に前記発泡性接着層が配置されるように、前記絶縁シートを配置する工程であり、
前記第1部分の周方向の厚みを大きくする工程は、前記押圧治具を前記開口部に配置した状態で、前記絶縁層が前記押圧治具に接触するように、前記発泡性接着層を発泡させることにより、前記第1部分を膨張させて、前記第1部分の周方向の厚みを前記第2部分の周方向の厚みよりも大きくする工程である、請求項4に記載のステータの製造方法。 - 前記第1部分の周方向の厚みを大きくする工程は、前記ワニスを硬化させる工程における予備加熱工程として前記ステータコアが加熱されることにより、前記発泡性接着層を発泡させて、前記第1部分の周方向の厚みを前記第2部分の周方向の厚みよりも大きくする工程であり、
前記ワニスを硬化させる工程は、前記予備加熱工程により加熱された前記ステータコアをさらに加熱することにより、前記ワニスを硬化させる工程である、請求項5に記載のステータの製造方法。 - 前記絶縁シートは、前記発泡性接着層と絶縁層とが積層されて形成されており、
前記コイルを配置する工程は、前記開口部よりも径方向一方側に、平角導線により形成された前記コイルが配置された状態から、前記コイルが前記絶縁層に接触しながら、前記コイルを径方向他方側に移動させることにより、前記コイルを前記スロットに配置する工程である、請求項3〜6のいずれか1項に記載のステータの製造方法。 - 前記第1部分の周方向の厚みを大きくする工程は、前記コイルを押圧する先端部分の周方向の幅が前記径方向一方側の根元部分の周方向の幅よりも小さい前記押圧治具を、前記開口部に配置した状態で、前記第1部分の周方向の厚みを前記第2部分の周方向の厚みよりも大きくする工程である、請求項3〜7のいずれか1項に記載のステータの製造方法。
- 前記第1部分の周方向の厚みを大きくする工程は、前記スロットの周方向の両側の内面の各々から前記スロットの周方向の内側に前記第1部分が突出するとともに、前記コイルの径方向一方側の2つの角部を前記第1部分が覆うように、前記第1部分が膨張することにより、前記第1部分の周方向の厚みを前記第2部分の周方向の厚みよりも大きくする工程である、請求項1〜8のいずれか1項に記載のステータの製造方法。
- 径方向一方側に開口部を有する複数のスロットを含む、ステータコアと、
前記スロットに配置されているコイルと、
前記ステータコアの前記複数のスロットに配置されている絶縁シートと、を備え、
前記絶縁シートは、前記スロットにおいて、前記絶縁シートのうちの前記コイルよりも前記径方向一方側の部分である第1部分の周方向の厚みが、前記絶縁シートのうちの前記コイルと周方向に隣接する部分である第2部分の周方向の厚みよりも大きく形成されている、ステータ。 - 前記絶縁シートは、前記ステータコアの軸方向に見て、前記スロットの内側に絶縁層が配置され、かつ、前記スロットの内面側に発泡性接着層が配置されており、前記発泡性接着層が発泡されていることにより、前記第1部分の周方向の厚みが前記第2部分の周方向の厚みよりも大きく形成されている、請求項10に記載のステータ。
- 前記第1部分は、前記スロットの周方向の両側の内面の各々から前記スロットの周方向の内側に突出するとともに、前記コイルの径方向内側の2つの角部の各々を覆う一対の突出部を有する、請求項10または11に記載のステータ。
- 前記一対の突出部の周方向の間に設けられたワニスをさらに備える、請求項12に記載のステータ。
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