JP2020166049A - 偏光板およびその製造方法、ならびに液晶表示装置 - Google Patents

偏光板およびその製造方法、ならびに液晶表示装置 Download PDF

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純一 長瀬
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慎太郎 東
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哲郎 池田
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Abstract

【課題】バックライトと接触した際の傷つきやブロッキングを抑制可能な偏光板を提供する。【解決手段】偏光板(10)は、偏光子(15)と、偏光子の表面に貼り合わせられた透明保護フィルム(13)とを備える。透明保護フィルムは、第一主面が偏光子に貼り合わせられているフィルム基材(11)と、フィルム基材の第二主面に設けられた厚みが30〜300nmのコーティング層(17)とを備える。コーティング層は、バインダ樹脂と粒子径100nm以上の第一微粒子とを含む。【選択図】図2

Description

本発明は、液晶表示装置のバックライトと液晶セルとの間に配置される偏光板、およびその製造方法に関する。さらに、本発明は当該偏光板を備える液晶表示装置に関する。
モバイル機器、カーナビゲーション装置、パソコン用モニタ、テレビ等の画像表示装置として、液晶表示装置が広く用いられている。液晶表示装置は、液晶セルの両面に偏光板が配置された液晶パネルと光源(バックライト)を備える。偏光板は、一般に、偏光子の片面または両面に、偏光子の保護等を目的とした透明フィルム(偏光子保護フィルム)を備える。
偏光子保護フィルムには、様々な機能が付与されている。液晶セルの視認側に配置される偏光板(上偏光板)および液晶セルとバックライトとの間に配置される偏光板(下偏光板)のいずれにおいても、液晶セルと偏光子との間に設けられる偏光子保護フィルムには、視野角拡大等の光学補償を目的とした機能付与が行われる場合がある。また、偏光子との接着性向上等を目的として、偏光子保護フィルムの偏光子との貼り合わせ面に易接着層を設けることが提案されている(例えば特許文献1参照)。
液晶表示装置の最表面に配置される上偏光板では、偏光子の視認側の偏光子保護フィルムの表面(偏光子との貼り合わせ面の反対側)に、ハードコート層や反射防止層を形成することにより、傷付き防止や表示装置の視認性向上等の機能を付与している(例えば特許文献2参照)。一方、下偏光板は、液晶表示装置の筐体内に収容されており、外部との接触がない。また、下偏光板は外部からは直接視認されないため、上偏光板に比べると、表示画像の視認性への影響は小さい。そのため、一般に、下偏光板は、上偏光板に要求されるほどの高機能化を必要としない場合が多い。
特開2010−55062号公報 特開2017−161893号公報
液晶表示装置等のフラットパネルディスプレイでは、薄型化および狭ベゼル化が進んでおり、部材間の空隙の低減により、薄型化を図る試みがなされている。例えば、バックライトと液晶パネルとの間の空隙が減少すれば、液晶表示装置を薄型化できる。
バックライトと液晶パネルとの間の空隙が減少すると、バックライトと下偏光板とが接触する場合があり、液晶表示装置の組み立て時や輸送時の振動等により擦れが生じる。そのため、下偏光板には、擦れによる傷付きが生じ難いことが要求されるようになっている。
擦れ等の物理的な外力による傷つきを防止する方法として、ハードコート層を設ける方法が有用である。しかし、ハードコート層に十分な硬度を持たせるためには、厚みを大きくする必要があり、薄型化対応とは逆行する上に、コストアップの要因となる。
本発明は、偏光子と、前記偏光子の光源側に配置される面に貼り合わせられた透明保護フィルムとを備る偏光板に関する。透明保護フィルムは、偏光子との貼り合わせ面と反対側の面にコーティング層を有する。フィルム基材としては、例えばアクリル系フィルムが用いられる。コーティング層は、バインダ樹脂と、バインダ樹脂に分散している粒子径100nm以上の第一微粒子とを含み、厚みが30〜300nmである。
コーティング層における第一微粒子の含有量は、バインダ樹脂100重量部に対して、1〜15重量部が好ましい。コーティング層は、第一微粒子に加えて、平均粒子径が80nm以下の第二微粒子を含んでいてもよい。第二微粒子は、バインダ樹脂よりも低屈折率であってもよい。
透明フィルム基材の一主面上に、バインダ樹脂の前駆物質および第一微粒子を含むコーティング組成物を塗布し、加熱することにより、コーティング層を形成できる。コーティング組成物は、水を溶媒または分散媒とする水系組成物であってもよい。
バインダ樹脂の前駆物質としては熱硬化性樹脂が好ましい。バインダ樹脂は、ウレタン系樹脂を含んでいてもよい。バインダ樹脂の前駆物質は、ブロックイソシアネートを含んでいてもよい。コーティング組成物は架橋剤を含んでいてもよく、バインダ樹脂は架橋構造を有していてもよい。
コーティング層の屈折率は、フィルム基材の屈折率よりも小さいことが好ましい。コーティング層の屈折率は、例えば1.51以下である。
コーティング層の鉛筆硬度はB以上が好ましい。コーティング層の算術平均粗さは0.8〜15nmが好ましい。コーティング層の動摩擦係数は0.3以下であってもよい。
コーティング層が形成された透明フィルム基材と、偏光子とを接着剤層を介して貼り合わせることにより、偏光板が得られる。
上記の偏光板は、例えば、液晶表示装置の液晶セルと光源との間に配置される下偏光板として使用できる。下偏光板は、フィルム基材上に設けられたコーティング層が、光源に面して配置されることが好ましい。
本発明の偏光板は、表面に所定のコーティング層を備えるため、液晶表示装置のバックライトと接触した際の傷つきやブロッキングを抑制できる。
液晶表示装置の構成例を示す断面図である。 偏光板の構成例を示す断面図である。
[液晶表示装置および偏光板の積層構成]
図1は、液晶表示装置の積層構成例を示す断面図である。図1に示す液晶表示装置100は、光源としてのバックライト70上に液晶パネル50を備える。液晶パネル50は、液晶セル30のバックライト70側の面に第一偏光板10を備え、液晶セル30の視認側の面に第二偏光板20を備える。液晶セル30と第一偏光板10とは第一粘着剤層18を介して貼り合わせられており、液晶セル30と第二偏光板20とは第二粘着剤層28を介して貼り合わせられている。以下では、液晶セル30とバックライト70との間に配置される偏光板10を「下偏光板」、液晶セル30の視認側に配置される偏光板20を「上偏光板」と称する場合がある。
下偏光板10および上偏光板20は、それぞれ、偏光子15,25を含み、偏光子の少なくとも一方の面に、接着剤層を介して透明保護フィルム(偏光子保護フィルム)が貼り合わせられている。図1に示す液晶表示装置100では、上偏光板20は、偏光子25の視認側に透明保護フィルム23を備え、偏光子25の液晶セル30側に透明保護フィルム24を備える。下偏光板10は、偏光子15の液晶セル30側に透明保護フィルム14を備え、バックライト70側に透明保護フィルム13を備える。透明保護フィルム13は、フィルム基材11の一方の面にコーティング層17を備え、コーティング層17がバックライト70に面している。フィルム基材11の他方の面は偏光子15に貼り合わせられている。
[下偏光板]
図2は、下偏光板10の断面図である。前述のように、下偏光板10は、液晶表示装置の形成時にバックライト70側に配置される面に、透明保護フィルム13を備える。偏光子15と透明保護フィルム13のフィルム基材11とは、適宜の接着剤層3を介して貼り合わせられている。偏光子15の液晶セル側の面に透明保護フィルム14が設けられる場合、偏光子15と透明保護フィルム14とは、適宜の接着剤層4を介して貼り合わせられていることが好ましい。下偏光板は、偏光子15の一方の面のみに透明保護フィルム13を備えていればよく、他方の面には透明保護フィルムを有していなくてもよい。
<偏光子>
偏光子は、自然光や任意の偏光を直線偏光に変換する。下偏光板10の偏光子15は、バックライト70からの光を直線偏光に変換する作用を有する。偏光子15としては、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン系配向フィルム等が挙げられる。
これらの偏光子の中でも、高い偏光度を有することから、ポリビニルアルコールや、部分ホルマール化ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール系フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて所定方向に配向させたポリビニルアルコール(PVA)系偏光子が好ましく用いられる。例えば、ポリビニルアルコール系フィルムに、ヨウ素染色および延伸を施すことにより、PVA系偏光子が得られる。
PVA系偏光子として、厚みが10μm以下の薄型の偏光子を用いることもできる。薄型の偏光子としては、例えば、特開昭51−069644号公報、特開2000−338329号公報、WO2010/100917号パンフレット、特許第4691205号明細書、特許第4751481号明細書等に記載されている薄型偏光膜を挙げることができる。このような薄型偏光子は、例えば、PVA系樹脂層と延伸用樹脂基材とを積層体の状態で延伸する工程と、ヨウ素染色する工程とを含む製法により得られる。
<フィルム基材>
透明保護フィルム13のフィルム基材11としては透明フィルムが好ましい。フィルム基材の全光線透過率は80%以上が好ましく、85%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましい。フィルム基材11を構成する樹脂材料としては、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂材料の中でも、複屈折が小さく光学等方性に優れることから、アクリル系樹脂または環状ポリオレフィン系樹脂が好ましく、アクリル系樹脂が特に好ましい。
アクリル系樹脂としては、ポリメタクリル酸メチル等のポリ(メタ)アクリル酸エステル、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS樹脂等)、脂環族炭化水素基を有する重合体(例えば、メタクリル酸メチル−メタクリル酸シクロヘキシル共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ノルボルニル共重合体等)が挙げられる。アクリル系樹脂は、構造単位として、グルタル酸無水物、コハク酸無水物等の酸無水物基を有していてもよい。例えば、共重合成分として無水マレイン酸を用いることにより、コハク酸無水物構造を有するアクリル系ポリマーが得られる。
本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリルおよび/またはメタクリルを意味する。アクリル系樹脂は、アクリル酸またはその誘導体を構成モノマー成分とするもの、およびメタクリル酸またはその誘導体を構成モノマー成分とするものを包含する。
フィルム基材11がアクリル系フィルムである場合、フィルム基材中のアクリル系樹脂の含有量は、50重量%以上が好ましく、60重量%以上がより好ましく、70重量%がさらに好ましい。アクリル系フィルムは、アクリル系樹脂以外の熱可塑性樹脂を含有していてもよい。例えば、他の熱可塑性樹脂を配合することにより、アクリル系樹脂の複屈折を打ち消して、光学等方性に優れるアクリル系フィルムが得られる。また、フィルムの機械強度向上等を目的として、アクリル系樹脂以外の熱可塑性樹脂を配合してもよい。
アクリル系樹脂以外の熱可塑性樹脂としては、オレフィン系重合体、ハロゲン化ビニル系重合体、ポリスチレン、スチレンとアクリル系モノマーと共重合体、ポリエステル、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリオキシベンジレン、ポリアミドイミド、ゴム系ポリマー等が挙げられる。
フィルム基材11は、酸化防止剤、安定剤、補強材、紫外線吸収剤、難燃剤、帯電防止剤、着色剤、充填剤、可塑剤、滑剤、フィラー等の添加剤を含んでいてもよい。樹脂材料と添加剤等を混合し、予めペレット等の熱可塑性樹脂組成物としてからフィルム化を行ってもよい。
フィルム基材11の厚みは5〜200μm程度である。機械強度、透明性およびハンドリング性等の観点から、フィルム基材11の厚みは10〜100μmが好ましく、15〜60μmがより好ましい。
フィルム基材11のガラス転移温度Tgは、100℃以上が好ましく、110℃以上がより好ましい。フィルム基材11がアクリル系フィルムである場合、前述のように、アクリル系樹脂として、酸無水物構造を有するアクリル系樹脂やラクトン環構造を有するアクリル系樹脂を用いることにより、アクリル系フィルムのTgを高め、耐熱性を向上できる。フィルム基材11のTgの上限は特に限定されないが、成形性等の観点から170℃以下が好ましい。
フィルム基材11の製造方法としては、溶液キャスト法、溶融押出法、カレンダー法、圧縮成形法等が挙げられる。フィルム基材11は、未延伸フィルムおよび延伸フィルムのいずれでもよい。フィルム基材11がアクリル系フィルムである場合、機械強度向上の観点から、アクリル系フィルムは、少なくとも1方向に延伸された延伸フィルムであることが好ましく、二軸延伸フィルムが特に好ましい。アクリル系樹脂の複屈折を打ち消すように他の熱可塑性樹脂を配合することにより、延伸した場合でもレターデーションが小さく光学等方性に優れるアクリル系フィルムが得られる。
<コーティング層>
フィルム基材11の表面に設けられるコーティング層17は、バインダ樹脂および微粒子を含む。コーティング層17がバインダ樹脂中に分散した微粒子を含むことにより、コーティング層17の表面に微細な凹凸が形成され、フィルムの滑り性が向上する。
(バインダ樹脂)
バインダ樹脂としては、フィルム基材との密着性に優れることから、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂等が好ましい。中でも、屈折率が低く、水系コーティングが適用可能であることから、ポリウレタン系樹脂またはアクリル系樹脂が好ましく、熱硬化により高硬度の硬化膜を形成可能であることからポリウレタン系樹脂が特に好ましい。
ポリウレタンは、ウレタン結合を含む。ウレタン結合は、典型的には、ポリオールとポリイソシアネートとの反応により形成される。ウレタン系樹脂は、ウレタン結合に加えて、エステル結合、エーテル結合、アミド結合、ウレア結合、アロファネート結合、ビュレット結合等を含んでいてもよい。
ウレタン系樹脂のポリオール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1−メチル−1,3−ブチレングリコール、2−メチル−1,3−ブチレングリコール、1−メチル−1,4−ペンチレングリコール、2−メチル−1,4−ペンチレングリコール、1,2−ジメチル−ネオペンチルグリコール、2,3−ジメチル−ネオペンチルグリコール、1−メチル−1,5−ペンチレングリコール、2−メチル−1,5−ペンチレングリコール、3−メチル−1,5−ペンチレングリコール、1,2−ジメチルブチレングリコール、1,3−ジメチルブチレングリコール、2,3−ジメチルブチレングリコール、1,4−ジメチルブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF等が挙げられる。
ポリオール成分は、ポリアクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等の高分子ポリオールでもよい。
ポリアクリルポリオールは、代表的には、(メタ)アクリル酸エステルと水酸基含有モノマーとの重合により得られる。(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等が挙げられる。水酸基含有モノマーとしては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシペンチル等の(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル;グリセリン、トリメチロールプロパン等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸モノエステル;N−メチロール(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
ポリアクリルポリオールは、上記以外のモノマー成分を含んでいてもよい。他のモノマー成分としては、(メタ)アクリル酸等の不飽和モノカルボン酸;マレイン酸等の不飽和ジカルボン酸ならびにその無水物およびジエステル類;(メタ)アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化α,β−不飽和脂肪族単量体;スチレン、α−メチルスチレン等のα,β−不飽和芳香族単量体等が挙げられる。
ポリエステルポリオールは、代表的には、多塩基酸とポリオールとの反応により得られる。多塩基酸としては、オルトフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;シュウ酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、酒石酸、アルキルコハク酸、リノレイン酸、マレイン酸、フマル酸、メサコン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の脂肪族ジカルボン酸;ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;あるいは、これらの酸無水物、アルキルエステル、酸ハライド等の反応性誘導体等が挙げられる。
ポリエーテルポリオールは、代表的には、多価アルコールにアルキレンオキシドを開環重合して付加させることにより得られる。多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等が挙げられる。アルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
ウレタン系樹脂のポリイソシアネート成分としては、テトラメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、1,4−ブタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、4,4′−シクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の脂環族ジイソシアネート;トリレンジイソシアネート、2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4′−ジベンジルジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、α,α,α,α−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート等が挙げられる。
ウレタン系樹脂またはその前駆物質としてのプレポリマーは、カルボキシ基等の官能基を有していてもよい。ウレタン系樹脂がカルボキシ基を有することにより、水に対する溶解性または分散性が向上する傾向があり、水系コーティングの適用性に優れる。また、カルボキシ基を有することにより、架橋構造の導入が可能となり、膜硬度を向上できる。
カルボキシ基を有するウレタン系樹脂は、例えば、カルボキシ基を有するポリオールを用いることにより得られる。カルボキシ基を有するポリオールとしては、ジヒドロキシカルボン酸、ジヒドロキシスクシン酸等が挙げられる。ジヒドロキシカルボン酸としては、ジメチロールアルカン酸(例えば、ジメチロール酢酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸、ジメチロールペンタン酸)等のジアルキロールアルカン酸が挙げられる。ポリアクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等のポリマー鎖の側鎖にカルボキシ基を導入してもよい。
フィルム基材上にウレタン系のバインダ樹脂を含むコーティング層を形成する場合、ウレタン系樹脂の溶液または分散液をフィルム基材上に塗布してもよく、ウレタン系樹脂の前駆物質の溶液または分散液をフィルム基材上に塗布した後、フィルム基材上で硬化してウレタン系樹脂を形成してもよい。コーティング膜の硬度を向上できることから、フィルム基材上にウレタン前駆物質の溶液または分散液を塗布後に熱硬化を行うことが好ましい。
ウレタン系樹脂の前駆物質としては、上記のポリオールおよびポリイソシアネートが挙げられる。ポリオールとポリイソシアネートとの反応により得られたウレタンプレポリマーを前駆物質として用いることもできる。
ウレタンプレポリマーとしては、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーが好ましい。イソシアネート末端ウレタンプレポリマーは、ポリオールとの反応によりポリウレタンを形成可能である。また、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーのイソシアネート基は、ウレタン結合との反応によりアロファネート結合を形成可能であり、イソシアネートの加水分解により生成したアミンと、イソシアネートとの反応によりウレア結合を形成可能である。そのため、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーは、単独でも硬化物を生成し得る。
ウレタンプレポリマーは、例えば、ポリイソシアネートとポリオールとの反応により得られる。イソシアネート基が過剰になる当量比で反応させることにより、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーが得られる。硬度の高い硬化膜を形成可能であることから、3官能以上のポリオールとポリイソシアネートとの反応物からなるイソシアネート末端ウレタンプレポリマーが好ましい。
イソシアネート末端ウレタンプレポリマーは、末端のイソシアネート基に保護基が付加したブロックイソシアネートでもよい。イソシアネート末端ウレタンプレポリマーは、イソシアネート基の水との反応性が高いため、水系コーティングによりコーティング層を形成する場合は、ブロックイソシアネートを用いることが好ましい。イソシアネートの保護基としては、オキシムやラクタム等が挙げられる。これらの保護基は、加熱によりイソシアネート基から脱離するため、イソシアネート基が反応するようになり、硬化膜を形成できる。
ウレタン系樹脂は、架橋構造を有していてもよい。ウレタン系樹脂に架橋構造が導入されることにより、膜硬度が高められる。架橋剤としては、ウレタン系樹脂の架橋性官能基と反応可能なものを特に制限なく使用できる。ウレタン系樹脂がカルボキシ基を有する場合は、アミノ基、オキサゾリン基、エポキシ基、カルボジイミド基等を含む架橋剤が用いられる。これらの中でも、オキサゾリン基を有する架橋剤が好ましい。オキサゾリン基は、常温ではカルボキシ基との反応性が小さいため、ウレタン系樹脂またはその前駆物質と架橋剤とを混合した溶液のポットライフが長く、工程のリードタイムに柔軟に対応できる。
架橋剤は低分子化合物でもよく、ポリマーでもよい。水系組成物への溶解性が高く、ウレタン系樹脂との相溶性にも優れることから、架橋剤としてはアクリル系ポリマーが好ましい。特に、常温での反応性が低く、加熱によりカルボキシ基との架橋反応を形成可能であることから、架橋剤としては、オキサゾリン基を有するアクリル系ポリマーが好ましい。架橋剤の使用量は、ウレタン系樹脂またはその前駆物質100重量部に対して、1〜40重量部が好ましく、3〜30重量部がより好ましい。
(第一微粒子)
コーティング層17は、バインダ樹脂に加えて微粒子を含む。微粒子が含まれることにより、コーティング層の表面に微細な凹凸形状が形成され、フィルムの滑り性が向上する。そのため、液晶表示装置のバックライト70と下偏光板10とが接触するように配置された場合でも、擦れによる偏光板表面の傷つきや、偏光板とバックライトとのブロッキングを抑制できる。
コーティング層17の表面に、滑り性の付与に適した凹凸形状を形成する観点から、コーティング層は、粒子径が100nm以上の微粒子(第一微粒子)を含むことが好ましい。第一微粒子としては、球状の微粒子が好ましく用いられる。粒子が球状の場合、コーティング層の表面に曲面形状の凸部が形成されやすく、滑り性を高め、バックライトとの擦れによる傷つきや、バックライトとのブロッキングを防止できる。
第一微粒子の粒子径が過度に大きい場合は、コーティング層17の表面凹凸が粗大となり、適切な滑り性を付与できない場合がある。また、コーティング層17の厚みに対して微粒子の粒子径が過度に大きいと、コーティング層から微粒子が脱落しやすく、欠点の原因となる。そのため、第一微粒子の平均一次粒子径は、800nm以下が好ましく、500nm以下がより好ましく、300nm以下がさらに好ましい。
第一微粒子としては無機微粒子が好ましい。無機微粒子としては、チタニア、アルミナ、ジルコニア等の無機酸化物;炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、燐酸カルシウム等が挙げられる。これらの中でも無機酸化物が好ましい。微粒子に起因する光散乱を抑制するためには、バインダ樹脂(一般に屈折率1.5程度)と微粒子との屈折率差が小さいことが好ましい。バインダ樹脂との屈折率差が小さく、かつ分散性に優れることから、コーティング層17の微粒子としてはシリカ粒子が好ましい。微粒子の内部での光の散乱を抑制する観点から、第一微粒子は非中空粒子であることが好ましい。
コーティング層17の表面への凹凸形成により、滑り性を高める観点から、コーティング層17における第一微粒子(粒子径100nm以上の微粒子)の含有量は、バインダ樹脂100重量部に対して、1重量部以上が好ましく、1.3重量部以上がより好ましく、1.5重量部以上がさらに好ましい。コーティング層17における第一微粒子の含有量が過度に大きいと、バインダ樹脂と微粒子との界面での光散乱の増大に起因する透明性の低下(例えばヘイズの増大)を招く場合がある。そのため、コーティング層17における第一微粒子の含有量は、バインダ樹脂100重量部に対して、15量部以下が好ましく、10重量部以下がより好ましい。バインダ樹脂100重量部に対する第一微粒子の含有量は、5重量部以下、4重量部以下、または3重量部以下であってもよい。なお、バインダ樹脂が架橋構造を有している場合、「バインダ樹脂100重量部」とは、架橋構造を形成する架橋剤も含めた総量を意味する。
(第二微粒子)
コーティング層17は、相対的に粒子径の大きい第一微粒子に加えて、相対的に粒子径の小さい第二微粒子を含んでいてもよい。コーティング層17の透明性低下を防止する観点から、第二微粒子の平均一次粒子径は80nm以下が好ましく、60nm以下がより好ましく、50nm以下がさらに好ましい。この範囲であれば、可視光の波長よりも粒子径が十分に小さいため、バインダと微粒子との界面における光の屈折・反射・散乱が抑制され、透明性を維持できる。コーティング組成物およびコーティング層における微粒子の分散性を高める観点から、第二微粒子の平均一次粒子径は10nm以上が好ましく、15nm以上がより好ましく、20nm以上がさらに好ましい。
第二微粒子の粒子径は、可視光の波長に比べて十分に小さいため、第二微粒子を含めることにより、コーティング層の屈折率を調整できる。例えば、バインダ樹脂よりも低屈折率の第二微粒子を含有することにより、コーティング層17を低屈折率化できる。第二微粒子によりコーティング層の低屈折率化を図る場合、第二微粒子の屈折率とバインダ樹脂の屈折率との差は、0.03以上が好ましく、0.05以上がより好ましい。
低屈折率の微粒子としては、シリカやフッ化マグネシウム等の低屈折率材料からなる微粒子が挙げられる。低屈折粒子として、中空粒子を用いてもよい。中空粒子は、その構成材料と空気との中間的な屈折率を有するため、低屈折率化に適している。中空粒子としては、コーティング層中での分散性や強度の観点から、中空シリカ粒子が好ましく、中でも中空コロイダルシリカ粒子が好ましい。水系の組成物からコーティング層17を形成する場合、水分散性の高い微粒子を用いることが好ましい。微粒子の水分散液を組成物中に配合してもよい。
コーティング層17が第二微粒子を含有する場合、その含有量は特に限定されない。コーティング層17の低屈折率化と硬度とを両立する観点から、第二微粒子(粒子径80nm以下の微粒子)の含有量は、バインダ樹脂100重量部に対して、10〜100重量部以上が好ましく、15〜70重量部がより好ましく、20〜50重量部がさらに好ましい。
コーティング層17が第二微粒子を含有することにより、コーティング層の膜強度を高め、耐擦傷性を向上できる。特に、無機酸化物等の有機樹脂成分よりも高硬度の微粒子を用いることにより、膜強度が向上する傾向がある。
<コーティング層の形成>
フィルム基材11の表面へのコーティング層17の形成方法は特に限定されない。好ましくは、バインダ樹脂またはその前駆物質および微粒子を含むコーティング組成物(塗液)を、フィルム基材11上に塗布し、加熱することにより、コーティング層17が形成される。
コーティング組成物は、水を溶媒(および微粒子に対する分散媒)とする水系の組成物であることが好ましい。コーティング組成物における固形分(不揮発成分)の濃度は、0.5〜30重量%が好ましく、1〜20重量%がより好ましい。
水系のコーティング組成物は、溶媒(および分散媒)としての水と、バインダ樹脂またはその前駆物質と、無機微粒子とを含む。コーティング組成物は、架橋剤を含んでいてもよい。コーティング組成物は、架橋促進剤等の触媒、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、分散安定剤、消泡剤、増粘剤、分散剤、界面活性剤、滑剤、レベリング剤(表面調整剤)等の添加剤を含んでいてもよい。表面調整剤としては、シリコーンン系またはアクリル系の化合物が好ましく、ビックケミー社製の「BYK331」、「BYK333」、「BYK348」、「BYK381」等の市販品を用いてもよい。表面調整剤の添加量は、バインダ樹脂またはその前駆物質100重量部に対して0.01重量%〜2.0重量%の範囲が好ましい。
フィルム基材11上にコーティング組成物を塗布する前に、フィルム基材の表面処理を行ってもよい。表面処理を行うことにより、フィルム基材の濡れ張力を調整し、コーティング層17との密着性を向上できる。表面処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、オゾン吹き付け、紫外線照射、火炎処理、化学薬品処理等が挙げられる。これらの中でも、コロナ処理またはプラズマ処理が好ましい。
コーティング組成物の塗布方法としては、バーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、スロットオリフィスコート法、カーテンコート法、ファウンテンコート法等が挙げられる。塗布後のコーティング組成物を加熱して、溶媒を除去することによりコーティング層17が形成される。加熱によりバインダ樹脂の前駆物質を反応させ硬化させてもよい。例えば、コーティング組成物が架橋剤を含む場合は、加熱により架橋反応を促進できる。
コーティング層形成時の加熱温度は、例えば50〜200℃程度である。コーティング組成物における樹脂成分の硬化反応を促進する観点から、加熱温度は80℃以上が好ましい。コーティング層形成時の加熱温度は、フィルム基材のガラス転移温度(Tg)よりも高温であることが好ましい。高温で加熱することにより、コーティング組成物における樹脂成分の硬化反応を促進できる。加熱温度は、フィルム基材のTgよりも10℃以上高い温度であることが好ましい。
フィルム基材のTgよりも高温で加熱することにより、フィルム基材の表面にコーティング組成物が浸透しやすくなり、フィルム基材11とコーティング層17との密着性が向上する傾向がある。コーティング層の密着性を向上させる観点から、加熱温度は、フィルム基材のTg+10℃以上が好ましく、Tg+15℃以上がより好ましく、Tg+20℃以上がさらに好ましい。フィルム基材のTg+10℃以上の温度で加熱すると、フィルム基材がガラス状態からゴム状態となり表面が変形しやすくなるため、フィルム基材11とコーティング層17との界面において、フィルム基材の樹脂成分とコーティング層の構成成分とが混在した界面層が形成されやすい。界面層が形成されることにより、フィルム基材11とコーティング層17との密着性が向上する傾向がある。
フィルム基材の製造工程においてコーティング層を形成してもよい。また、フィルム基材の形成時の加熱を利用して、コーティング層を形成してもよい。例えば、フィルム基材が延伸フィルムである場合には、延伸前のフィルムや縦延伸後のフィルムの表面に、コーティング組成物を塗布し、テンターによる横延伸または同時二軸延伸時の加熱を利用して、溶媒の乾燥や樹脂の硬化を行うことができる。
コーティング組成物を塗布後にフィルム基材の延伸を行う場合は、コーティング層へのクラック発生等の不具合を抑制する観点から、延伸倍率は5倍以下が好ましく、4倍以下がより好ましく、3倍以下がさらに好ましく、2.5倍以下が特に好ましい。延伸倍率の下限は特に限定されないが、フィルム強度向上の観点から、延伸倍率は1.3倍以上が好ましく、1.5倍以上がより好ましい。フィルム基材がアクリル系フィルムである場合は、フィルム強度向上の観点から、搬送方向(MD)および幅方向(TD)のそれぞれに、上記の延伸倍率で延伸を実施することが好ましい。
フィルム基材の二軸延伸を行う場合、二軸延伸は、逐次二軸延伸でもよく、同時二軸延伸でもよい。また、斜め延伸を行ってもよい。逐次二軸延伸を行う場合は、前述のように、ロール延伸によりフィルムを1方向(MD)に延伸した後、フィルム上にコーティング組成物を塗布し、テンターによる延伸時にコーティング組成物の加熱を行ってもよい。
延伸温度は、コーティング層の加熱温度として前述したように、フィルム基材のTgよりも高温であることが好ましく、Tg+10℃以上が好ましく、Tg+15℃以上がより好ましく、Tg+20℃以上がさらに好ましい。特に、コーティング組成物を塗布後に、上記温度で少なくとも一方向に延伸を行うことが好ましい。フィルム基材のTgよりも高温のゴム状態で延伸を行うと、フィルム基材の表面にコーティング組成物中の微粒子が埋設した領域が形成されやすく、フィルム基材11とコーティング層17との密着性が向上する傾向がある。
バインダ樹脂が、熱硬化性樹脂である場合は、コーティング層形成時の加熱により前駆物質を硬化させることにより、高硬度のコーティング層を形成できる。バインダ樹脂が光硬化性樹脂である場合は、加熱後に紫外線等の活性光線を照射して光硬化を行うことが好ましい。
コーティング組成物の固形分濃度および塗布厚みを調整することにより、コーティング層17の厚みを調整できる。コーティング組成物を塗布後にフィルム基材の延伸を行う場合は、延伸倍率によってもコーティング層17の厚みを調整できる。
第一微粒子による表面凹凸を形成する観点から、コーティング層17の厚みは300nm以下が好ましく、200nm以下がより好ましく、150nm以下がさらに好ましい。また、コーティング層17の表面での反射と、コーティング層17とフィルム基材11との界面における反射の多重干渉により可視光の反射率を低下できることからも、コーティング層17の厚みは上記範囲であることが好ましい。
一方、コーティング層中に第一微粒子を保持して微粒子の脱落を防止する観点から、コーティング層17の厚みは30nm以上が好ましく、50nm以上がより好ましく、75nm以上がさらに好ましい。コーティング層の厚みdと第一微粒子の平均粒子径Dとの比D/dは、0.3〜5が好ましく、0.4〜3がより好ましく、0.5〜2がさらに好ましい。
適度の滑り性を付与して擦れによる傷つきを抑制する観点から、コーティング層17表面の算術平均粗さRaは、0.8〜15nmが好ましく、1〜10nmがより好ましく、1.5〜5nmがさらに好ましい。同様の観点から、コーティング層17表面の凹凸周期Sm1は、0.1〜2nmが好ましく、0.3〜1.5nmがより好ましい。
凹凸周期Smは、粗さ曲線が平均線と交差する交点から求められる山−谷周期の間隔の平均値である。算術平均粗さRa、および凹凸周期Smは、原子間力顕微鏡(AFM)を用いた1μm四方の観察像から抽出した粗さ曲線に基づいて、JIS B0601:1994に準じて算出される。
コーティング層の表面形状は、バインダ樹脂に対する微粒子の含有量や、微粒子の粒子径を変更することによって、調整可能である。例えば、微粒子の粒径が大きくなるにつれて、算術平均粗さRaが大きくなる傾向がある。また、レベリング剤等の添加等により、表面形状を調整可能である。
コーティング層17の動摩擦係数は0.3以下が好ましく、0.2以下がより好ましい。動摩擦係数が小さいほど、滑り性に優れるため、傷付きやブロッキングが抑制される傾向がある。上記のように、コーティング層に含まれる微粒子の粒子径や含有量を調整することにより、動摩擦係数を小さくできる。
コーティング層17の鉛筆硬度は、B以上が好ましく、HB以上がより好ましく、F以上がさらに好ましく、H以上が特に好ましい。鉛筆硬度が高いほど、擦れに起因する傷付きが抑制される傾向がある。小さな膜厚で高い硬度を実現するためには、フィルム基材11上でバインダ樹脂の前駆物質を硬化してコーティング層17を形成することが好ましい。また、前述のように、コーティング層中に高硬度の第二微粒子を含めることにより、硬度が向上する傾向がある。
コーティング層17の屈折率は、フィルム基材11の屈折率よりも小さいことが好ましい。コーティング層17が相対的に低屈折率であれば、バックライト70からの光が下偏光板10に入射する際に、光入射方向に沿って屈折率が段階的に大きくなる。そのため、界面での反射が低減され、透過率が増大し、液晶表示装置の輝度を向上し得る。
コーティング層17の屈折率nとフィルム基材11の屈折率nとの差n−nは、0.01以上が好ましく、0.02以上がより好ましい。コーティング層17の屈折率が小さいほど、空気界面での光の反射率が小さく、透過率が増大する傾向がある。コーティング層17の屈折率は、1.51以下が好ましく、1,50以下がより好ましく、1.49以下がさらに好ましい。
<偏光板の形成>
偏光子15の一方の面に、コーティング層17を備える透明保護フィルム13を貼り合わせることにより、偏光板が形成される。透明保護フィルム13は、フィルム基材11のコーティング層17形成面と反対側の面が偏光子と貼り合わせられる。なお、フィルム基材11の偏光子15への貼り合わせ面には、偏光子との接着性向上等を目的として易接着層(不図示)が設けられていてもよい。
偏光子15と透明保護フィルム13との貼り合わせに用いられる接着剤層3は、光学的に透明であれば、その材料は特に制限されず、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、ポリビニルアルコール等が挙げられる。接着剤層3の厚みは、例えば、0.01〜20μm程度であり、被着体の種類や接着剤の材料等に応じて適宜に設定される。塗布後の架橋反応により接着性を示す硬化型の接着剤を用いる場合、接着剤層3の厚みは0.01〜5μmが好ましく、0.03〜3μmがより好ましい。
接着剤としては、水系接着剤、溶剤系接着剤、ホットメルト接着剤系、活性エネルギー線硬化型接着剤等の各種形態のものが用いられる。これらの中でも、接着剤層の厚みを小さくできることから、水系接着剤または活性エネルギー線硬化型接着剤が好ましい。
水系接着剤のポリマー成分としては、ビニルポリマー、ゼラチン、ビニル系ラテックス、ポリウレタン、ポリエステ系、エポキシ等を例示できる。これらの中でも、偏光子との接着性に優れることから、ビニルポリマーが好ましく、ポリビニルアルコール系樹脂が特に好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂の中でも、アセトアセチル基含有ポリビニルアルコールが好ましい。
水系接着剤組成物(溶液)は、ポリビニルアルコール系樹脂等のポリマーに加えて、架橋剤を含んでいてもよい。架橋剤としては、接着剤を構成するポリマーと反応性を有する官能基を1分子中に少なくとも2つ有する化合物が用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂の架橋剤としては、アルキレンジアミン類;イソシアネート類;エポキシ類;アルデヒド類;メチロール尿素、メチロールメラミン等のアミノ−ホルムアルデヒドが挙げられる。これらの中でも、アミノ−ホルムアルデヒドが好ましい。アミノ−ホルムアルデヒド樹脂としてはメチロール基を有する化合物が好ましく、メチロールメラミンが特に好ましい。接着剤組成物中の架橋剤の配合量は、ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して、10〜60重量部程度が好ましく、20〜50重量部がより好ましい。
活性エネルギー線硬化型接着剤は、電子線や紫外線等の活性エネルギー線の照射により、ラジカル重合、カチオン重合またはアニオン重合可能な接着剤である。中でも、低エネルギーで硬化可能であることから、紫外線照射によりラジカル重合が開始する光ラジカル重合性接着剤が好ましい。
ラジカル重合性接着剤のモノマーとしては、(メタ)アクリロイル基を有する化合物や、ビニル基を有する化合物が挙げられる。中でも、(メタ)アクリロイル基を有する化合物が好適である。(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、C1−20鎖状アルキル(メタ)アクリレート、脂環式アルキル(メタ)アクリレート、多環式アルキル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリレート等が挙げられる。ラジカル重合性接着剤は、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N‐メチロール(メタ)アクリルアミド、N‐メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N‐エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン等の窒素含有モノマーを含んでいてもよい。ラジカル重合性接着剤は、架橋成分として、トリプロピレングリコールジアクリレート、1,9‐ノナンジオールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、環状トリメチロールプロパンフォルマルアクリレート、ジオキサングリコールジアクリレート、EO変性ジグリセリンテトラアクリレート等の多官能モノマーを含んでいてもよい。
光ラジカル重合性接着剤等の光硬化型接着剤は、光重合開始剤を含むことが好ましい。光重合開始剤は、反応種に応じて適宜選択すればよい。例えば、ラジカル重合性接着剤には、光重合開始剤として、光照射によりラジカルを生成する光ラジカル発生剤を配合すること好ましい。光ラジカル発生剤の含有量は、モノマー100重量部に対して、通常0.1〜10重量部程度、好ましくは、0.5〜3重量部である。なお、ラジカル重合性接着剤を電子線硬化型として用いる場合には、光重合開始剤は特に必要ない。ラジカル重合性接着剤には、必要に応じて、カルボニル化合物等で代表される光増感剤を添加することもできる。光増感剤は、電子線による硬化速度や感度を上昇させるために用いられる。光増感剤の使用量はモノマー100重量部に対して、通常0.001〜10重量部程度、好ましくは、0.01〜3重量部である。
接着剤は、必要に応じて適宜の添加剤を含んでいてもよい。添加剤の例としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等のカップリング剤、エチレンオキシド等の接着促進剤、紫外線吸収剤、劣化防止剤、染料、加工助剤、イオントラップ剤、酸化防止剤、粘着付与剤、充填剤、可塑剤、レベリング剤、発泡抑制剤、帯電防止剤、耐熱安定剤、耐加水分解安定剤等が挙げられる。
偏光子15と透明保護フィルム13との貼り合わせにおいては、偏光子15および透明保護フィルム13のいずれか一方または両方に、接着剤組成物を塗布した後、偏光子15と透明保護フィルム13とをロールラミネータ等により貼り合わせ、接着剤を硬化させることが好ましい。偏光子15および/または透明保護フィルム13への接着剤組成物の塗布方法としては、ロール法、噴霧法、浸漬法等が挙げられる。偏光子15および/または透明保護フィルム13の表面に接着剤組成物を塗布する前に、コロナ処理、プラズマ処理、ケン化処理等の表面処理を行ってもよい。
偏光子15と透明保護フィルム13とを貼り合わせた後に、接着剤の種類に応じて、接着剤を硬化させることにより、接着剤層3が形成される。水系接着剤を用いた場合は、加熱乾燥により接着剤の硬化が行われる。活性エネルギー線硬化型接着剤を用いた場合は、電子線や紫外線等の活性エネルギー線の照射により接着剤の硬化が行われる。
偏光子15の他方の面には、接着剤層4を介して透明保護フィルム14が貼り合わせられてもよい。透明保護フィルム14としては、任意の適切な透明フィルムを採用し得る。透明保護フィルム14の厚みは、5〜200μm程度である。機械強度、透明性およびハンドリング性等の観点から、透明保護フィルム14の厚みは10〜100μmが好ましく、15〜60μmがより好ましい。透明保護フィルム13と透明保護フィルム14の厚みは同一でもよく異なっていてもよい。
透明保護フィルム14の材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル類;ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー;ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体等のスチレン系ポリマー;ポリノルボルネン等の環状ポリオレフィン;ポリカーボネート等が挙げられる。
偏光子15と透明保護フィルム14との貼り合わせに用いられる接着剤層4としては、水系接着剤、溶剤系接着剤、ホットメルト接着剤系、ラジカル重合硬化型接着剤等の各種形態のものが用いられる。接着剤層3と接着剤層4に同一の接着剤組成物を用いてもよい。
下偏光板10の透明保護フィルム14上には、液晶セル30への貼り合わせのための粘着剤層18を設けてもよい。粘着剤層を形成する粘着剤としては、アクリル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、フッ素系やゴム系等のポリマーをベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。特に、光学的透明性に優れ、適度な濡れ性と凝集性を示し、かつ耐候性や耐熱性等に優れることから、アクリル系粘着剤が好ましい。
偏光板への粘着剤層の付設は、適宜な方式で行いうる。例えば、トルエンや酢酸エチル等の溶媒にベースポリマー等を溶解または分散させた固形分濃度10〜40重量%程度の粘着剤溶液を調製し、偏光板上に付設する方式、あるいは適宜の基材上に形成した粘着剤層を偏光板上に転写する方法等が挙げられる。
[液晶表示装置]
液晶セル30の視認側表面に上偏光板20を配置し、液晶セルの光源側表面に下偏光板10を配置することにより液晶パネル50が形成される。上偏光板20としては、偏光子25の少なくとも一方の面に透明保護フィルム23,24を貼り合わせたものが好ましい。上偏光板20の視認側表面に配置される透明保護フィルム23には、ハードコート層や反射防止層等が設けられていてもよい。下偏光板10は、透明保護フィルム13が外側(液晶セル30と対向しない側)となるように配置され、コーティング層17が液晶パネル50のバックライト側の最表面層となる。
液晶セル30と下偏光板10とは粘着剤層18を介して貼り合わせることが好ましく、液晶セル30と上偏光板20とは粘着剤層28を介して貼り合わせることが好ましい。偏光板10,20の表面に粘着剤層18,28を設けた粘着剤付き偏光板を液晶セル30に貼り合わせてもよい。
液晶パネル50の下偏光板10側にバックライト70を配置し、駆動回路を組込むことにより液晶表示装置100が形成される。この構成では、液晶パネル50の最表面に配置された透明保護フィルム13のコーティング層17がバックライト70に面している。
バックライト70と液晶パネル50との空隙が小さい場合は、液晶表示装置の組み立て時や輸送時の振動等により、バックライト70と液晶パネル50とが接触して擦れる場合がある。透明保護フィルム13のバックライト70側の面に、微粒子を含むコーティング層17が設けられていることにより、滑り性が向上するため、バックライト70と液晶パネル50とが接触した場合でも、傷つきやブロッキングを低減できる。
バックライト70からの光は、コーティング層17およびフィルム基材11を順に透過して偏光子15に入射し、偏光子15を透過した光が、液晶セル30に入射する。コーティング層17の屈折率が、フィルム基材11の屈折率よりも小さい場合は、バックライト70からの光の入射方向に沿って屈折率が段階的に大きくなるため、界面での反射が低減し、透過率が増大する。これにより、光利用効率が向上し、液晶表示装置の輝度が高められる。
以下に、コーティング層を備えるアクリル系フィルムの作製例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
[実施例1]
<コーティング液の調製>
主剤としてブロックイソシアネートを有するウレタンプレポリマーの水分散体(第一工業製薬製「エラストロンE−37」)、架橋剤としてオキサゾリン含有アクリルポリマーの水溶液(日本触媒製「エポクロスWS−700」、固形分濃度25重量%)を、主剤と架橋剤の固形分の重量比が83:17となるように混合した。さらに、平均粒子径120nmのシリカ粒子の水分散液(日揮触媒化成製「SS−120」、固形分濃度40重量%)を、表1に示す割合で混合し、水で固形分濃度が1重量%となるように希釈してコーティング液(組成物)を調製した。
<コーティング層の形成>
メタクリル酸メチルとスチレンと無水マレイン酸とを、1:1:1のモノマー比(重量比)で共重合したアクリル系ポリマー(重量平均分子量:80,000、屈折率:1.53)のフィルム(厚み40μm)の一方の面に、上記のコーティング液を、ワイヤーバー#6を用いて塗布した後、100℃で1分加熱して、厚み約100nmのコーティング層を形成した。
[実施例2〜5、比較例1]
コーティング液における主剤の種類、微粒子の種類および含有量、ならびに添加剤を表1に示すように変更した。それ以外は実施例1と同様にして、アクリル系フィルム上に厚み約100nmのコーティング層を形成した。
[実施例6]
コーティング液の組成を表1に示すように変更して、UV硬化型のコーティング液を調製した。実施例1と同様にして、アクリル系フィルム上にコーティング液を塗布し、100℃で1分加熱した後、積算光量300mJ/cmの紫外線を照射して、アクリル樹脂の光硬化を行い、厚み約100nmのコーティング層を形成した。
[評価]
<表面形状>
原子間力顕微鏡(Bruker製「Dimension3100」)を用い、下記の条件によりコーティング層の三次元表面形状を測定し、長さ1μmの粗さ曲線を抽出し、JIS B0601:1994に準じて、算術平均粗さRaおよび凹凸周期Smを算出した。
コントローラ:NanoscopeV
測定モード:タッピングモード
カンチレバー:Si単結晶
測定視野:1μm×1μm
<屈折率>
ガラス基板上に、コーティング液を塗布して、厚み約5μmのコーティング層を形成し、ガラス基板からコーティング層を剥離して、アッベ屈折率計(アタゴ製「NAR−3T」)を用いて、波長589nmにおける屈折率を測定した。
<ヘイズ>
ヘイズメータ(村上色彩技術研究所製「HM−150」)を用いて、コーティング層が形成されたフィルムのヘイズを測定した。
<鉛筆硬度>
JIS K5600−5−4の鉛筆硬度試験に準じ、荷重500gの条件で、コーティング層の鉛筆硬度を測定した。
<動摩擦係数>
実施例および比較例で作製したフィルムのコーティング層非形成面を、アクリル系粘着剤を介してガラス板に貼り合わせて、試験片を作製した。液晶テレビ(LGエレクトロニクス製「49SJ8000−JA」)を分解し、バックライトユニットの最表面に配置されているディフェユーザフィルムを取り出し、ディフューザフィルムの背面を、10mmφのステンレス製の円盤に固定した。ガラス板上に固定したフィルムと、10mmφのステンレス製の円盤に固定したディフューザフィルムを密着させ円盤上から荷重をかけ、表面性測定機(新東科学製「TYPE:14」により、下記の条件でコーティング層の動摩擦係数を測定した。
荷重 :500g
移動速度:300mm/min
移動距離:50mm
<耐擦傷性>
コーティング層の同一箇所で上記の動摩擦係数の測定を5回繰り返した後、試験試料のガラス板の背面に黒色板を貼り合わせ、コーティング層形成面での反射光を目視観察して、下記の基準に基づいて耐擦傷性を評価した。
〇:傷が確認されないもの
△:微細な傷が確認されたもの
×:著しい傷が確認されたもの
実施例および比較例で用いたコーティング液の組成(主剤の種類、ならびに架橋剤、微粒子および調整剤の種類および含有量)、コーティング層を形成したフィルムの評価結果を表1に示す。表1において各成分は以下の略称で記載されており、表中の数字は、主剤100重量部に対する含有量(重量部)である。
<主剤>
E−37:ブロックイソシアネートを有するウレタンプレポリマーの水分散体(第一工業製薬製「エラストロンE−37」、固形分濃度25重量%)
SRF210: ポリエステルウレタン樹脂の水分散体(第一工業製薬製「スーパーフレックス210」、固形分濃度35重量%)
UV−100:UV硬化性アクリル樹脂の水分散体(DIC製「ウォーターゾール UV−100」、固形分濃度35重量%)
<架橋剤>
WS−700:オキサゾリン含有アクリルポリマーの水溶液(日本触媒製「エポクロスWS−700」、固形分濃度25重量%)
<微粒子>
SS−120:平均一次粒子径120nmのシリカ粒子の水分散液(日揮触媒化成製「SS−120」、固形分濃度40重量%、粒子の屈折率:1.43)
MX030W:平均一次粒子径40nmのアクリル粒子の水分散液(日本触媒製「エポスターMX030W」固形分濃度10重量%、粒子の屈折率:1.54)
PL−3:平均一次粒子径35nmのコロイダルシリカの水分散液(扶桑化学工業製「クォートロンPL−3」、固形分濃度20%、粒子の屈折率:1.43)
<調整剤>
BYK333:ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(ビックケミー製「BYK−333」
Figure 2020166049
コーティング層が粒径100nm以上の微粒子を含まない比較例1では、動摩擦係数が大きく、耐擦傷性が不十分であった。コーティング層が粒子径100nm以上の微粒子を含む実施例1〜6では、比較例1に比べて、鉛筆硬度が向上し、動摩擦係数が小さくなっており、これに伴って耐擦傷性が向上していた。
実施例1,2の対比から、微粒子の量を調製することにより、表面形状を調整し、滑り性を向上できることが分かる。実施例2,3の対比から、レベリング剤を添加することにより表面形状を調整できることが分かる。
粒子径40nmのアクリル系微粒子を添加した実施例4では、実施例3に比べて鉛筆硬度が向上しており、粒子径35nmのシリカ粒子を添加した実施例5では、鉛筆硬度がさらに向上していた。また、主剤をUV硬化型樹脂に変更した実施例6でも、実施例5と同様の結果が得られた。これらの結果から、相対的に粒子径の小さい第二微粒子を添加することにより、コーティング層の硬度を高めて耐擦傷性の向上を図ることが可能であり、特に、シリカ等の無機微粒子が耐擦傷性の向上に有用であることが分かる。
また、実施例5および実施例6では、低屈折率のシリカ粒子の添加によりコーティング層の屈折率が低下しており、界面での光反射低減による光透過率向上にも有用であることが分かる。
10,20 偏光板
15,25 偏光子
13,14,23,24 透明保護フィルム
11 フィルム基材
17 コーティング層
3,4 接着剤層
18,28 粘着剤層
30 液晶セル
50 液晶パネル
70 バックライト
100 液晶表示装置

Claims (21)

  1. 液晶セルと光源との間に配置して用いられる液晶表示装置用偏光板であって、
    偏光子と、前記偏光子の光源側に配置される面に貼り合わせられた透明保護フィルムとを備え、
    前記透明保護フィルムは、第一主面が前記偏光子に貼り合わせられているフィルム基材と、前記フィルム基材の第二主面に設けられたコーティング層とを備え、
    前記コーティング層は、厚みが30〜300nmであり、
    前記コーティング層は、バインダ樹脂と、前記バインダ樹脂に分散している粒子径100nm以上の第一微粒子とを含む、偏光板。
  2. 前記コーティング層は、前記バインダ樹脂100重量部に対して、前記第一微粒子を1〜15重量部含む、請求項1に記載の偏光板。
  3. 前記コーティング層の屈折率が、前記フィルム基材の屈折率よりも小さい、請求項1または2に記載の偏光板。
  4. 前記コーティング層の屈折率が1.51以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の偏光板。
  5. 前記コーティング層は、さらに、前記バインダ樹脂に分散している第二微粒子を含み、
    前記第二微粒子は、平均粒子径が80nm以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の偏光板。
  6. 前記第二微粒子が、前記バインダ樹脂よりも低屈折率である、請求項5に記載の偏光板。
  7. 前記バインダ樹脂が、水溶性または水分散性を有する熱硬化性樹脂の硬化物である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の偏光板。
  8. 前記バインダ樹脂が、ウレタン系樹脂を含む、請求項7に記載の偏光板。
  9. 前記バインダ樹脂が、ブロックイソシアネートの硬化物からなるウレタン系樹脂を含む、請求項8に記載の偏光板。
  10. 前記バインダ樹脂が、架橋構造を有する、請求項7〜9のいずれか1項に記載の偏光板。
  11. 前記コーティング層の鉛筆硬度がB以上である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の偏光板。
  12. 前記コーティング層の算術平均粗さが0.8〜15nmである、請求項1〜11のいずれか1項に記載の偏光板。
  13. 前記コーティング層の動摩擦係数が0.3以下である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の偏光板。
  14. 前記フィルム基材がアクリル系フィルムである、請求項1〜13のいずれか1項に記載の偏光板。
  15. 請求項1〜14のいずれか1項に記載の偏光板を製造する方法であって、
    透明フィルム基材の第一主面上に、バインダ樹脂の前駆物質および粒子径100nm以上の第一微粒子を含むコーティング組成物を塗布し、加熱することにより、厚みが30〜300nmコーティング層を形成し、
    第一主面上に前記コーティング層が形成された透明フィルム基材の第二主面と、偏光子とを接着剤層を介して貼り合わせる、偏光板の製造方法。
  16. 前記コーティング組成物が、水を溶媒または分散媒とする水系組成物である、請求項15に記載の偏光板の製造方法。
  17. 前記バインダ樹脂の前駆物質が熱硬化性樹脂である、請求項15または16に記載の偏光板の製造方法。
  18. 前記バインダ樹脂の前駆物質がブロックイソシアネートを含む、請求項15〜17のいずれか1項に記載の偏光板の製造方法。
  19. 前記コーティング組成物が、さらに架橋剤を含む、請求項15〜18のいずれか1項に記載の偏光板の製造方法。
  20. 前記コーティング組成物が、さらに、平均粒子径が80nm以下の第二微粒子を含む、請求項15〜19のいずれか1項に記載の偏光板の製造方法。
  21. 液晶セル;光源;前記液晶セルと前記光源との間に配置された第一偏光板;および前記液晶セルの視認側に配置された第二偏光板を備える液晶表示装置であって、
    前記第一偏光板が請求項1〜14のいずれか1項に記載の偏光板であり、前記コーティング層が前記光源に面して配置されている、液晶表示装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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