JP2020165047A - 複合繊維、および繊維製品 - Google Patents

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満央 黒川
勝哉 ▲高▼岡
勝哉 ▲高▼岡
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Abstract

【課題】炭素を含有する複合繊維において、電気伝導性の低下を抑制する技術を提供する。【解決手段】金属炭化物を主成分とする金属炭化物含有繊維2と、金属炭化物含有繊維の表面に形成された炭素層4と、を含む複合繊維であって、炭素層は、金属炭化物含有繊維の表面の90%以上を覆い、前記複合繊維は、副成分の金属成分の含有率が、酸化物換算で0.1重量%以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、複合繊維に関する。
近年、電気伝導性および熱伝導性に優れた炭素材料の電子材料分野等への応用が検討されている。例えば、特許文献1には、特定の構造を有するカーボンナノチューブ、カーボンナノチューブ付きSiCウィスカー、カーボンナノチューブ膜、カーボンナノチューブ膜付きSiC基板及びカーボンナノチューブ膜体が開示されている。また、特許文献2には、セラミックス被覆グラファイトが開示されている。また、特許文献3には、繊維表面にカーボンナノチューブが付着している合成繊維が開示されている。
特開2003−171107号公報 特開2009−227491号公報 特開2010−261108号公報
ところで、繊維は、従来から種々の用途に適用されており、その応用範囲は、一般的に広いため、電気伝導性および熱伝導性に優れた炭素物質を備えた繊維が望まれている。しかしながら、特許文献1、2には、炭素物質を備えた繊維については言及されていない。また、特許文献3には、繊維表面にカーボンナノチューブが付着している合成繊維が開示されているが、カーボンナノチューブ同士の接触点が多いと、分断が生じて電気伝導性、熱伝導性等が低下するおそれがある。
本発明は、上述した課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、炭素を含有する複合繊維において、電気伝導性の低下を抑制する技術を提供することを目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本発明の一形態によれば、金属炭化物を主成分とする金属炭化物含有繊維と、前記金属炭化物含有繊維の表面に形成された炭素層と、を含む複合繊維が提供される。前記炭素層は、前記金属炭化物含有繊維の表面の90%以上を覆い、前記複合繊維は、副成分の金属成分の含有率が、酸化物換算で0.1重量%以下である。
この構成によれば、炭素層が、金属炭化物含有繊維の表面の90%以上を覆うため、炭素層の導通経路が断絶され難く、電気伝導性および熱伝導性の低下を抑制することができる。また、副成分の金属成分の含有率が、酸化物換算で0.1重量%以下であるため、熱処理後の副成分の金属成分を起点とする繊維の破損を抑制することができる。その結果、複合繊維の電気伝導性、熱伝導性低下を抑制することができる。
(2)上記形態の複合繊維であって、前記複合繊維は、水分含有量が1.0重量%以下であってもよい。このようにすると、複合繊維を用いて通電させた場合に、複合繊維と直交方向の複合繊維の膨潤を抑制することができる。その結果、複合繊維の膨潤による電気抵抗の増大を抑制することができる。また、通電時に複合繊維が発熱した場合に、複合繊維中に存在する水分と炭素の反応による一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)、および水素(H2)のいずれかのガスの発生を抑制することができる。その結果、電気伝導性の低下を抑制することができる。
(3)上記形態の複合繊維であって、X線回折スペクトルにおいて、25.5°≦2θ≦26.7°に、強度のピークを有してもよい。この範囲に強度のピークを有することは、金属炭化物含有繊維に単体の炭素が含まれていることを示す。そのため、複合繊維が、金属炭化物の定比より多くの炭素を含有していることにより、熱伝導性を向上させることができる。
(4)本発明の他の形態によれば、繊維製品が提供される。この繊維製品は、上記複合繊維が、編み込み、または、撚糸されている。
この構成によれば、複合繊維が、編み込み、または、撚糸されているため、強度が増し、電気伝導性および熱伝導性のバラツキを低減させることができる。また、強度が増した結果、繊維製品の諸物性の値が安定する。また、繊維製品の形態にすることにより、取り扱いが容易になる。
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、複合繊維を含むトランスやモーターの導線、送電線、配線基板、放熱基板等の製品、複合繊維の製造方法などの形態で実現することができる。
第1実施形態における複合繊維の概略構成を示す説明図(縦断面図)である。 複合繊維の概略構成を示す説明図(横断面図)である。 複合繊維の製造方法を説明するための説明図である。 複合繊維に対する曲げ応力の付与を説明するための説明図である。 第2実施形態の繊維製品の概略構成を説明するための説明図である。
<第1実施形態>
本明細書において、数値範囲について「〜」を用いた記載では、特に断りがない限り、下限値及び上限値を含むものとする。例えば、「10〜20」という記載では、下限値である「10」、上限値である「20」のいずれも含むものとする。すなわち、「10〜20」は、「10以上20以下」と同じ意味である。
1.複合繊維10
図1は、本発明の第1実施形態における複合繊維10の概略構成を示す説明図(縦断面図)である。図2は、複合繊維10の概略構成を示す説明図(横断面図)である。図1、2に示すように、複合繊維10は、金属炭化物を主成分とする金属炭化物含有繊維2と、金属炭化物含有繊維2の表面に形成された炭素層4と、を含む。
(1)平均繊維径、アスペクト比
複合繊維10の平均繊維径は、特に限定されない。平均繊維径は、強度と柔軟性の観点から、6μm〜50μmであることが好ましく、10μm〜30μmであることがより好ましい。
複合繊維10の平均長さは、特に限定されない。平均長さは、通常200μm以上であり、1mm以上であることが好ましい。
複合繊維10のアスペクト比は、特に限定されない。アスペクト比は、通常20以上である。
(2)複合繊維10の折り曲げ時の特徴
本発明の複合繊維10は、折り曲げ角度が60°になるまで折り曲げても折れないという性質を有していることが好ましい。
(3)金属炭化物
金属炭化物は、金属の炭化物であれば特に限定されない。金属の炭化物を構成する金属は、Si(ケイ素)、Zr(ジルコニウム)、及びTi(チタン)からなる群より選ばれた1種以上が好ましい。金属炭化物は、複合繊維10の耐熱性及び強度向上の観点から、SiC、ZrC、及びTiCからなる群より選ばれた1種以上が好ましい。なお、金属炭化物含有繊維2に含有される金属炭化物の種類は、EPMA(電子プローブマイクロアナライザ)による組成分析の結果と、XRD(X線回折法:X−ray Diffraction)測定の結果との組み合わせから特定できる。
(4)金属炭化物含有繊維2
金属炭化物含有繊維2における金属炭化物の含有率は、92重量%以上であることが好ましい。金属炭化物含有繊維2における金属炭化物の含有率は、95重量%以上であることがより好ましい。金属炭化物の含有率は、100重量%であってもよい。本実施形態において、金属炭化物含有繊維2を構成している成分のうち、92重量%以上含まれている成分を、「主成分」と称する。
金属炭化物含有繊維2における金属炭化物の含有量は、次のようにして求めることができる。金属炭化物含有繊維2における金属量をICP発光分光分析法(誘導結合プラズマ発光分析:Inductively coupled plasma optical emission spectrometry(ICP−OES))によって測定する。金属炭化物含有繊維2における炭素量を炭素含有量分析によって測定する。この炭素含有量分析は、JIS1616:2007の炭化ケイ素の化学分析に準じて行う。これらの測定結果から、金属炭化物含有繊維2に含まれる金属原子数、及び炭素原子数が求まる。そして、金属炭化物の組成式における金属原子数と炭素原子数の比を考慮して、金属炭化物含有繊維2において金属炭化物の構成に関与する金属原子と炭素原子を求めて、金属炭化物含有繊維2内の金属炭化物の含有量を決定する。例えば、金属炭化物含有繊維2に含まれる金属炭化物がSiCの場合には、SiCを構成する金属原子数(Siの原子数)と炭素原子数の比は「1:1」である。ここで、測定により数が求められた金属炭化物含有繊維2に含まれる金属原子(Si原子)、及び炭素原子のうち、金属炭化物の構成に関与するものは、金属原子(Si原子)1つに対して、炭素原子1つであって、金属原子(Si原子)と炭素原子とが対になるものである。よって、金属原子(Si原子)と炭素原子とが対を構成できずに、余剰となる原子は、金属炭化物を構成しないと考える。具体的には、例えば、測定によって求まった金属原子数(Siの原子数)が100、炭素原子数が105とすると、100の金属原子(Si原子)と100の炭素原子とがSiCを形成しており、余剰の5の炭素原子は、SiCを形成しないと考える。このようにして、SiCを構成する金属原子(Si原子)と炭素原子の量が分かるので、金属炭化物含有繊維2に含まれる金属炭化物(SiC)の含有量が計算できる。そして、この金属炭化物の含有量と、金属炭化物含有繊維2の重量から、金属炭化物の含有率が計算される。
金属炭化物含有繊維2は、柔軟性の観点から、3nm〜25nmの金属炭化物粒子が結合されて形成されていることが好ましい。このような金属炭化物含有繊維2は、粒界を有している。金属炭化物含有繊維2が、複数の金属炭化物粒子の集合体の場合には、金属炭化物含有繊維2は、しなやかさを有している。他方、ウィスカーは、1つの粒子が成長した単結晶でかたい(しなやかさがない)。このように、金属炭化物粒子の集合体である金属炭化物含有繊維2と、ウィスカーとは異なる。
(5)炭素層4
本発明の複合繊維10では、炭素層4は、金属炭化物含有繊維2の表面の90%以上を覆っている。炭素層4は、電気伝導性及び熱伝導性をより高めるとの観点から、金属炭化物含有繊維2の表面の95%以上を覆っていることが好ましい。炭素層4は、金属炭化物含有繊維2の表面の100%を覆っていてもよい。
炭素層4は、炭素原子が蜂の巣状に配列した構造を有する。すなわち、炭素層4は、炭素原子によって形成される六員環ネットワークを有している。炭素層4は、炭素原子によって形成される六員環のみならず、炭素原子によって形成される五員環や、炭素原子によって形成される七員環を含んでもよい。
炭素層4は、電気伝導性及び熱伝導性に特に優れるという観点から、カーボンナノチューブ、及びグラフェンのうちの少なくとも1種を含むことが好ましく、複層のカーボンナノチューブ、複層のグラフェンのうちの少なくとも1種を含むことがより好ましい。
炭素原子が蜂の巣状に配列した構造である六員環ネットワークのなす面は、金属炭化物含有繊維2の表面と略平行になっていることが好ましい。すなわち、炭素層4に、グラフェンが含まれる場合には、グラフェンのシート面は、金属炭化物含有繊維2の表面と略平行になっていることが好ましい。
(6)複合繊維10の水分含有量
複合繊維10の水分含有量は、特に限定されない。複合繊維10の水分含有量は、1.0重量%以下であることが好ましく、0.6重量%以下であることがより好ましい。複合繊維10の水分含有量は、0重量%であってもよい。このようにすると、複合繊維を用いて通電させた場合に、複合繊維と直交方向の複合繊維の膨潤を抑制することができる。その結果、複合繊維の膨潤による電気抵抗の増大を抑制することができる。また、通電時に複合繊維が発熱した場合に、複合繊維中に存在する水分と炭素の反応による一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)、および水素(H2)のいずれかのガスの発生を抑制することができる。その結果、電気伝導性の低下を抑制することができる。
(7)複合繊維10のX線回折スペクトル
複合繊維10は、X線回折スペクトルにおいて、25.5°≦2θ≦26.7°に、強度のピークを有するのが好ましい。この範囲に強度のピークを有すると、金属炭化物含有繊維に単体の炭素が含まれている。すなわち、複合繊維10が、金属炭化物の定比より多くの炭素を含有しているため、熱伝導性を向上させることができる。
(8)複合繊維10の副成分の金属成分の含有率
複合繊維10の副成分の金属成分の含有率は、特に限定されない。複合繊維10の副成分の金属成分の含有率は、酸化物換算で0.1重量%以下が好ましく、0.4重量%以下がより好ましい。複合繊維10の副成分の金属成分の含有率は、酸化物換算で0重量%であってもよい。このようにすると、熱処理後の副成分の金属成分を起点とする繊維の破損を抑制することができる。その結果、複合繊維の電気伝導性、熱伝導性、および引張強度の低下を抑制することができる。
2.複合繊維10の製造方法
本発明の複合繊維10は、例えば次の方法で製造できる。複合繊維10は、金属炭化物を含有した原料繊維(金属炭化物含有繊維)を、減圧下にて加熱する製造方法で製造することができる。すなわち、原料繊維の表層の金属を蒸発させることにより製造することができる。減圧条件としては、例えば、真空度が10-2Torr〜10-7Torrの条件を好適に採用できる。真空度は、好ましくは10-3Torr〜10-4Torrとすることができる。加熱温度は、例えば、1650℃〜1950℃が好ましく、1700℃〜1800℃が好ましい。なお、複合繊維10を製造する雰囲気中には、酸素が含まれないことが望ましく、例えば、アルゴン(Ar)雰囲気が好ましい。上記加熱温度での保持時間は、1分間〜300分間で適宜調整される。
温度を1500℃〜1950oCかつ、真空度を10-2Torr〜10-7Torrまたは、Ar雰囲気にて加熱することにより、炭素層4が金属炭化物含有繊維2の表面の90%以上を覆うように制御することができる。
加熱温度を、1800℃〜1950oCの範囲内で調整することにより、複合繊維10の副成分の金属成分の含有率を、酸化物換算で0.1重量%以下にすることができる。
熱処理を行う前に原料繊維を乾燥させることによって、複合繊維10の水分含有量を制御することができる。乾燥時の温度を25℃〜60℃とし、30分間〜600分間で、調整することにより、水分含有量を1.0重量%以下に制御することができる。
酸素濃度1.5×10-3atm以上、加熱温度を800℃〜1100℃、保持時間を30分〜3時間にて前処理を行うことにより、複合繊維10のX線回折スペクトルにおいて、25.5°≦2θ≦26.7°に、強度のピークを有するように制御することができる。
複合繊維10を製造する際に、単数(1本)の原料繊維を減圧下で加熱してもよいし、複数の原料繊維を束ねて減圧下で加熱してもよい。また、原料繊維をカーボン製の棒状体に巻き付けた状態とし、減圧下で加熱してもよい。
実施例により本発明を更に具体的に説明する。
複合繊維のサンプル1〜17を用いて、変位性、熱伝導率、および通電前後での抵抗変化率を評価した。サンプル1〜14が上記実施形態の複合繊維10の実施例であり、サンプル15〜17が比較例の複合繊維である。
1.複合繊維の調製
本発明の複合繊維10は、例えば、金属炭化物を含有した原料繊維(金属炭化物含有繊維)を、減圧下にて加熱する製造方法で製造することができる。
図3は、複合繊維10の製造方法を説明するための説明図である。図示するように、原料繊維12を、SiCのバルク20で保持した状態で、カーボン製のポット30に入れ、高温炉にて、大気圧〜1×10-3Torr、1500℃〜1950℃の条件で、真空またはアルゴン雰囲気下で加熱することにより、複合繊維10(サンプル1〜14)を得た。なお、温度および加熱時間の調節、前処理によって、炭素層4による金属炭化物含有繊維2の表面被覆率、副成分の金属成分含有量、水分含有量、および単体の炭素の含有の有無が異なる複合繊維10を得た。同様の方法で、温度および加熱時間等の条件を調節することにより、サンプル15〜17(比較例)の複合繊維を得た。
表1に示すように、各原料繊維に含まれる主成分の金属炭化物は、下記の通りである。
サンプル1、6、15:CrC(炭化クロム)
サンプル2、7、10〜14、16:SiC(炭化ケイ素)
サンプル3、8、17:TiC(炭化チタン)
サンプル4、5、9:ZrC(炭化ジルコニウム)
2.評価方法
以下に説明する方法により、サンプル1〜17の複合繊維の評価を行った。以下の説明では、理解容易性を考慮して、第1実施形態の複合繊維10の説明で用いた符号を用いて説明しているが、比較例の複合繊維についても、同様の方法で評価を行った。
(1)金属炭化物
複合繊維10の主成分の同定は、EPMAによる組成分析の結果と、XRD測定の結果との組み合わせから特定した。
(2)表面被覆率
炭素層4が金属炭化物含有繊維2の表面を覆っている割合である表面被覆率は、以下の通り、求めた。
複合繊維10を、SEMにて観察し、画像解析によって表面被覆率を算出した。10本の複合繊維についての観察結果の平均を、表面被覆率とした。
(3)副成分の金属成分の含有率
複合繊維10の副成分の金属成分の含有率は、ICP発光分光分析法によって、求めた。例えば、SiCが主成分の場合、ICP発光分光法により分析して、Ni(ニッケル)が検出されると、(Niの重量)/(SiCの重量)×100がICP発光分光法による分析値となる。Niの分析値を酸化物換算した換算値を、表1に、副成分の金属成分含有率として記載している。
(4)水分含有量
複合繊維10の水分含有量は、JIS L 0105:2006 繊維製品の物理試験方式通則に記載された方法を用いて求めた。
(5)炭素のピーク
複合繊維10のX線回折スペクトルにおいて、25.5°≦2θ≦26.7°に、強度のピークを有すれば、表1の炭素のピークの項目を「〇」、その範囲にピークを有しなければ炭素のピークの項目を「×」とした。X線回折スペクトルにおいて、バックグラウンドより大きいものをピークとした。
(6)変位性
図4は、複合繊維10に対する曲げ応力の付与を説明するための説明図である。変位性の評価試験では、複合繊維10の両端を固定治具40で固定し(図4(A))、2つの固定治具40の間の距離が図4(A)の状態(距離L)の半分(距離L/2)になるまで、2つの固定治具40を近づけて、複合繊維10に曲げ応力を加える。複合繊維10に、ランダムに10回の曲げ応力を加え、曲げ応力を加える前と、曲げ応力を10回加えた後に抵抗値を測定し、その変化率(%)を変位性とした。変化率を用いて、下記の通り、変位性を評価した。
なお、変位性が良好であること、すなわち、変化率が小さいことは、分断が生じて電気伝導性が低下することが抑制されることを意味する。
「◎」…5%未満
「〇」…5%以上10%未満
「△」…10%以上20%未満
「×」…20%以上
(7)熱伝導率
長さ100mmのサンプル(複合繊維)の端部1mmをお湯につけ、逆の端部が湯温(90℃)と同じになる時間を用いて、下記の通り、熱伝導率を評価した。
「◎」…25秒未満
「〇」…25秒以上30秒未満
「△」…30秒以上50秒未満
「×」…50秒以上
(8)通電前後での抵抗変化率
複合繊維に通電する前後での抵抗値を測定し、通電前に対する変化率を求めた。具体的には、大気中、室温にて、電位掃引速度100mV/sで5秒間、複合繊維に通電した。下記の通り、抵抗変化率を評価した。ここで、抵抗変化率が小さいほど、性能がよい。抵抗値の変化率が小さいことは、電流による測定サンプルの破損が少ないか生じていないこと、通電に伴う発熱による複合繊維10の表層(炭素層4)の変質が少ないか生じていないことを意味する。
「◎」…10%未満
「〇」…10%以上20%未満
「△」…20%以上30%未満
「×」…30%以上
3.評価結果
表1は、評価結果を示す。
Figure 2020165047
サンプル1〜14(実施例)は、下記〔1〕〜〔3〕の全ての要件を満たしている。
〔1〕複合繊維10は、金属炭化物を主成分とする金属炭化物含有繊維2と、金属炭化物含有繊維2の表面に形成された炭素層4と、を含む。
〔2〕炭素層4は、金属炭化物含有繊維2の表面の90%以上を覆う。
〔3〕複合繊維10は、副成分の金属成分の含有率が、酸化物換算で0.1重量%以下である。
サンプル6〜10は、上記〔1〕〜〔3〕の要件に加え、さらに、下記〔4〕の要件を満たしている。
〔4〕複合繊維10は、水分含有量が1.0重量%以下である。
サンプル11〜14は、上記〔1〕〜〔4〕の要件に加え、さらに、下記〔5〕の要件を満たしている。
〔5〕複合繊維10のX線回折スペクトルにおいて、25.5°≦2θ≦26.7°に、強度のピークを有する。
これに対して、サンプル15〜17(比較例)は、上記〔1〕の要件を満たす複合繊維であるものの、上記実施形態の複合繊維10ではない。すなわち、上記要件〔2〕、〔3〕のうち、それぞれ、以下の要件を満たしていない。なお、サンプル15〜17は、上記の〔4〕、〔5〕の要件を、いずれも満たしていない。
サンプル15は、上記〔2〕の要件を満たさない。すなわち、サンプル15は、副成分の金属成分の含有率が、酸化物換算で0.1重量%以下であるものの、表面被覆率が90%未満である。
サンプル16は、上記〔3〕の要件を満たさない。すなわち、サンプル16は、表面被覆率は90%以上であるものの、副成分の金属成分の含有率が、酸化物換算で0.1重量%より大きい。
サンプル17は、上記〔2〕、〔3〕の要件を満たさない。すなわち、サンプル17は、表面被覆率が90%未満であり、かつ、副成分の金属成分の含有率が、酸化物換算で0.1重量%より大きい。
サンプル1〜14(実施例)は、いずれも、サンプル15〜17(比較例)と比較して、変位性および熱伝導性が優れていた。これは、炭素層4が、金属炭化物含有繊維2の表面の90%以上を覆うため、炭素層の導通経路が断絶され難く、また、副成分の金属成分の含有率が、酸化物換算で0.1重量%以下であるため、熱処理後の副成分の金属成分を起点とする繊維の破損を抑制することができ、電気伝導性および熱伝導性の低下を抑制することができるためと考えられる。
サンプル6〜10は、いずれも、サンプル15〜17(比較例)と比較して、さらに、通電前後での抵抗変化率が優れていた。また、サンプル6〜10は、サンプル1〜5と比較しても、通電前後での抵抗変化率が優れていた。これは、複合繊維10の水分含有量が1.0重量%以下であるため、複合繊維10を用いて通電させた場合に、複合繊維10と直交方向の複合繊維10の膨潤を抑制することができ、複合繊維の膨潤による電気抵抗の増大を抑制することができたためと考えられる。また、通電時に複合繊維10が発熱した場合に、複合繊維10の中に存在する水分と炭素の反応による一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)、および水素(H2)のいずれかのガスの発生を抑制することができたため、電気伝導性の低下を抑制することができたと考えられる。
サンプル11〜14も、サンプル15〜17(比較例)と比較して、さらに、通電前後での抵抗率変化が優れていた。また、サンプル11〜14は、サンプル6〜10と比較して、さらに、熱伝導率が優れていた。サンプル11〜14は、X線回折スペクトルにおいて、25.5°≦2θ≦26.7°に、強度のピークを有している。すなわち、複合繊維10の金属炭化物含有繊維2が、金属炭化物の定比より多くの炭素を含有していることにより、熱伝導率を向上させることができたと考えられる。
<第2実施形態>
図5は、第2実施形態の繊維製品100の概略構成を説明するための説明図である。図示するように、繊維製品100は、複数の複合繊維10(第1実施形態)を撚り合わせた糸状に形成されている。本実施形態の繊維製品100は、複数の複合繊維10を撚り合わせた下撚り糸を、下撚りと逆方向に撚り合わせる(上撚りする)ことによって形成されている。
以上説明したように、本実施形態の繊維製品100によれば、複数の複合繊維10が束ねられ、撚糸されているため、強度が増し、電気伝導性、熱伝導性のバラツキを大きく低減させることができる。また、複数の複合繊維10を撚糸することにより強度が増した結果、諸物性の値が安定する。また、繊維製品100によれば、強度が増すため、取り扱いが容易になる。
<本実施形態の変形例>
本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
・上記実施形態では、複合繊維10を撚り合わせて糸状に形成された繊維製品100を例示したが、繊維製品100は上記実施形態に限定されない。例えば、複合繊維10を編み込んで糸状に形成してもよいし、布状に形成してもよい。また、複合繊維10を撚り合わせる方法も、上記実施形態に限定されず、種々の公知の方法で撚り合わせることができる。
・本発明の複合繊維は、電気伝導、熱伝導の媒体として使用することができる。具体的に
は、複合繊維は、トランスやモーターの導線、送電線、配線基板、放熱基板、線材等に利用可能である。また、複合繊維のみを用いてもよく、複合繊維と異なる材料(例えば、樹脂材料)とを組み合わせたものを用いてもよい。
以上、実施形態、変形例に基づき本態様について説明してきたが、上記した態様の実施の形態は、本態様の理解を容易にするためのものであり、本態様を限定するものではない。本態様は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本態様にはその等価物が含まれる。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することができる。
2…金属炭化物含有繊維
4…炭素層
10…複合繊維
12…原料繊維
20…バルク
30…ポット
40…固定治具

Claims (4)

  1. 金属炭化物を主成分とする金属炭化物含有繊維と、前記金属炭化物含有繊維の表面に形成された炭素層と、を含む複合繊維であって、
    前記炭素層は、前記金属炭化物含有繊維の表面の90%以上を覆い、
    前記複合繊維は、副成分の金属成分の含有率が、酸化物換算で0.1重量%以下であることを特徴とする、
    複合繊維。
  2. 請求項1に記載の複合繊維であって、
    前記複合繊維は、水分含有量が1.0重量%以下であることを特徴とする、
    複合繊維。
  3. 請求項1および請求項2のいずれか一項に記載の複合繊維であって、
    X線回折スペクトルにおいて、25.5°≦2θ≦26.7°に、強度のピークを有することを特徴とする、
    複合繊維。
  4. 繊維製品であって、
    請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の複合繊維が、編み込み、または、撚糸されたことを特徴とする、
    繊維製品。
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