JP2020164960A - 電解装置及び電解方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】殿物の巻き上げを抑制しながら電解槽内に給液される電解液の混合状態を改善することが可能な電解装置及び電解方法を提供する。【解決手段】電解液を収容する電解槽1の長手方向に沿って互いに間隔を空けて交互に配置された複数のアノード板及び複数のカソード板からなる電極を電解液中に浸漬し、電解液を循環しながら電解処理する電解装置であって、アノード板及びカソード板の側面と対向する電解槽の第1の側壁11側に設けられた複数の供給口21a、21b、・・・21xから、第1の側壁11と対向する第2の側壁12側に向けて電解液を供給する電解液供給部2と、第2の側壁12側に設けられ、供給口21a、21b、・・・21xよりも相対的に下方となるように配置された複数の排出口31a、31b、・・・31xから電解液を排出する電解液排出部3とを備える電解装置である。【選択図】図1
Description
本発明は、電解装置及び電解方法に関する。
従来の電解装置では、電解槽の長手方向の一端側の下部から電解液が供給され、他端側の上部から電解液が排液される下入れ上抜き方式と呼ばれる電解液の給排液が行われている。電解槽内の液組成及び添加剤濃度を均一に保つことは、例えば電気銅の品質及び電解成績を向上させるために重要な技術の一つであり、これまで色々な方法が検討されている。
例えば、特開2007−204779号公報(特許文献1)には、電解槽の長手方向の一端側から電解液の上層部及び下層部へ電解液を給液し、反対側の端部側の液面上層部から排液する方法が提案されている。特開2015−209550号公報(特許文献2)には、電解槽の長手方向の一端の上部から電解液が側面に向けて給液され、他端の下部から排液される方法が提案されている。また、全く別の方法として、特開2014−189851号公報(特許文献3)及び特許第5227404号公報(特許文献4)には、電解槽の底や電解槽脇から電解液を給液する方法が提案されている。
しかしながら、給液口から供給される電解液は、電解槽の底部の電解液よりも比重が小さくなるため、特許文献1及び2に記載されるような下入れ上抜き方式の電解液の給排液を行った場合には、電解槽内のある高さから下方に給液された電解液が供給されないデッドスペースが生じる。電解槽内に添加剤が供給されない領域が生じると、電着物の表面が荒れることや、電解液が供給されないことによって液中の銅濃度が部分的に上昇して不動態化が起こりやすくなる。
特許文献3に記載された発明では、電解槽の下方且つカソードの側方から電解液を供給し、電解槽の上部の電解液排出口から電解液を排液することで、排液側の電解槽底部の銅濃度上昇を防ぐことはできる。しかしながら、給液側は、従来と同様に上方から供給されているため、給液側の電解槽下方には電解液が供給されないデッドスペースが生じ、電解槽内の混合状態を十分に改善できているとはいえない。
特許文献4に記載された発明では、電解槽の底及び電解槽脇から電解液を供給することにより、電解槽内の電解液の混合状態を改善することができる。しかしながら、特許文献4では、電解液を下方から上方へと強制的に対流させることにより、殿物の巻き上げなどによるカソードの汚染の問題が発生するおそれがある。
上記課題を鑑み、本開示は、殿物の巻き上げを抑制しながら電解槽内に給液される電解液の混合状態を改善することが可能な電解装置及び電解方法を提供する。
本発明の実施の形態に係る電解装置は一実施態様において、電解液を収容する電解槽の長手方向に沿って互いに間隔を空けて交互に配置された複数のアノード板及び複数のカソード板からなる電極を電解液中に浸漬し、電解液を循環しながら電解処理する電解装置であって、アノード板及びカソード板の側面と対向する電解槽の第1の側壁側に設けられた複数の供給口から、第1の側壁と対向する電解槽の第2の側壁側に向けて電解液を供給する電解液供給部と、第2の側壁側に設けられ、供給口よりも相対的に下方となるように配置された複数の排出口から電解液を排出する電解液排出部とを備える電解装置である。
本発明の実施の形態に係る電解方法は一実施態様において、電解液を収容する電解槽の長手方向に沿って互いに間隔を空けて交互に配置された複数のアノード板及び複数のカソード板からなる電極を電解液中に浸漬し、電解液を循環しながら電解処理する電解方法であって、アノード板及びカソード板の側面と対向する電解槽の第1の側壁の上方から電解液を電解槽内へ供給し、第1の側壁と対向する電解槽の第2の側壁の下方から電解液を電解槽外へ排出することを含む電解方法である。
本開示によれば、殿物の巻き上げを抑制しながら電解槽内に給液される電解液の混合状態を改善することが可能な電解装置及び電解方法を提供する。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態に係る電解装置及び電解方法について説明する。なお、以下に示す実施の形態はこの発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の構造、配置及び手順等を下記のものに特定するものではない。
(電解装置)
本発明の実施の形態に係る電解装置は、図1に示すように、電解液を収容するための直方体状の電解槽1を備える。電解槽1のサイズとしては、例えば、直方体状の電解槽の長さ(長手方向Xの距離)が5200〜5900mm、幅(短手方向Yの距離)が1095〜1110mm、深さが1275〜1510mmとなるように形成することができる。
本発明の実施の形態に係る電解装置は、図1に示すように、電解液を収容するための直方体状の電解槽1を備える。電解槽1のサイズとしては、例えば、直方体状の電解槽の長さ(長手方向Xの距離)が5200〜5900mm、幅(短手方向Yの距離)が1095〜1110mm、深さが1275〜1510mmとなるように形成することができる。
電解槽1は、長手方向Xに平行な方向に延びる第1の側壁11と、第1の側壁11に対向する第2の側壁12と、長手方向Xの一端において第1の側壁11及び第2の側壁12に垂直に延びる第3の側壁13及び長手方向Xの他端において第1の側壁11及び第2の側壁12に垂直に延び、第3の側壁13に対向する第4の側壁14を有する。
電解槽1の第1の側壁11の上方には、電解槽1内に収容される電解液の液面もしくは液面近傍となる高さにおいて電解槽1の長手方向Xに沿って延びる電解液供給部2が配置されている。電解液供給部2は配管等で構成することができる。電解液供給部2には、長手方向Xに沿って複数の供給口21a、21b、21c・・・21xが好ましくは等間隔に設けられている。電解液の混合状態を改善するためには、複数の供給口21a、21b、21c・・・21xは、電解液面から400mm以内の高さ、より好ましくは200mm以内の高さ、さらに好ましくは50mm以内の高さに配置されることが好ましい。
電解槽1の第2の側壁12の下方側には、長手方向Xに沿って延びる電解液排出部3が配置されている。電解液排出部3は配管等で構成することができる。電解液排出部3には、長手方向Xに沿って複数の排出口31a、31b、31c・・・31xが互いに所定の間隔を有して設けられている。複数の排出口31a、31b、31c・・・31xは、複数の供給口21a、21b、21c・・・21xよりも相対的に下方となるように、好ましくは等間隔に配置されている。このように、第1の側壁11側から第2の側壁12側へ向けて、電解液を上方から下方へ流すように電解液供給部2及び電解液排出部3が配置されることによって、電解液が上方から下方へと流れるため、電解槽1の底部に沈積する殿物の巻き上げを抑制しながら、電解液の混合状態、特に電解液中の金属イオンや添加剤の混合状態をより良好にすることができる。
電解液排出部3が備える複数の排出口31a、31b、31c・・・31xは、底部に近づけすぎると電解槽1の底部の殿物などを巻き込んで排出口31a、31b、31c・・・31xの詰まり或いは不具合等を生じさせる場合がある。よって、排出口31a、31b、31c・・・31xは、電解槽1の電極の下端部を起点に、上方に100mm、下方に300mmの範囲に配置されることが好ましく、より好ましくは上方に100mm、下方に100mmの範囲に配置される。
図1に示すように、電解液は、第1の側壁11側の最も上流側にある供給口21aに供給され、供給口21b、21c・・・21xを介してそれぞれ第1の側壁11と対向する電解槽1の第2の側壁12側に向けて供給される。第2の側壁12側に向けて供給された電解液は、複数の排出口31a、31b、31c・・・を介して第2の側壁12側の最も下流側にある排出口31xから電解槽1の外部へと排出される。
更に、供給口21a、21b、21c・・・21x及び排出口31a、31b、31c・・・31xの位置を、アノード板及びカソード板が配置される位置との関係で調整することが好ましい。例えば、電解液供給部2に設けられた複数の供給口21a、21b、21c・・・21x及び電解液排出部3に設けられた複数の排出口31a、31b、31c・・・31xを、それぞれアノード板とカソード板との間に設けられた隙間に面するように設け、電解液をアノード板とカソード板との空間に供給するように構成することができる。このようにしてアノード板及びカソード板の表面に液流を発生させることにより、高い電流密度又は不純物濃度の高い材料をアノード板に用いて電解精製を実施した場合の不動態化現象をより効率的に抑制することが可能となる。
電解槽1内に収容されるアノード板とカソード板との間の空間には、供給口21a、21b、21c・・・21x及び排出口31a、31b、31c・・・31xがそれぞれ1箇所ずつ配置されるだけでなく、アノード板とカソード板との間の空間の広さに対応して供給口21a、21b、21c・・・21x及び排出口31a、31b、31c・・・31xが空間内に複数配置されるようにしてもよい。また、電解液、特に添加剤の混合状態が悪化しやすい電解槽1の長手方向中央側から排液側の供給口21a、21b、21c・・・21x及び排出口31a、31b、31c・・・31xの個数を電解槽1の長手方向中央側から給液側の個数よりも多くするようにしてもよい。
アノード板及びカソード板の構成は特に限定されない。アノード板は電解精製もしくは電解採取を行う際の陽極となり、粗金属製の板材で構成される。カソード板は電解精製もしくは電解採取を行う際の陰極となり、導電性に優れた板状の金属で構成される。
電解槽1に収容される電解液は、精製する金属を含む酸性の水溶液で、カソード板表面に電着する金属の表面を平滑化させるための添加剤を含有することができる。銅を電解精製する場合には、電解液として、硫酸銅及び硫酸の混合水溶液に、ニカワやチオ尿素などの添加剤を混合させたものを使用することができる。
電解液供給部2は、電解液の供給流量を20〜100L/分となるように電解槽1内へ供給することが好ましい。電解液の供給流量が20L/分未満では添加剤が電解槽1内に行き渡る前に分解してしまい、電着した金属の平滑性が損なわれる場合や、不動態化を起こす場合がある。電解液の供給流量は電解効率の面から高い方が好ましいが、電解液の供給流量が100L/分を超えると、電解槽1内の殿物が巻き上げられてカソード板表面へ付着する場合がある。
本実施形態に係る電解装置では、電解液を第1の側壁11の上側から供給し、第2の側壁12の下側から排出する方式を採用するとともに、供給流量を20〜100L/分とすることで、殿物の巻き上げを抑制しながら電解槽1内に給液される電解液の混合状態をより改善することができ、より効率の高い電解精製を実施することができる。なお、電解液の供給流量は、30〜90L/分とすることが好ましく、30〜70L/分とすることがより好ましく、50〜70L/分とすることが更に好ましい。
更に、図1の電解装置には不図示の電解液の環流機構が設けられている。環流機構は、電解槽1の排出口31xから排出された電解液にニカワやチオ尿素等の添加剤を追加するとともに、必要な成分調整と温度調整を行い、調整後の電解液を供給口21aから電解槽1内へと環流する。電解装置には不図示の給電機構が設けられている。給電機構は、アノード板とカソード板との間に直流電流を印加する電源装置と配線とを備えている。
電解槽1内の電解液の混合状態を改善するために種々の検討が行われてきたが、電解槽1内の長手方向の一端側から長手方向の他端側へと電解液を流す従来の下入れ上抜き方式の電解装置では電解液供給方向上流側と下流側で電解液中の銅などの金属イオン濃度及び添加物の濃度に偏りが生じるとともに、電解が進むにつれて電解槽1の上部から底部へいくほど金属イオン濃度が高くなる傾向にあった。
本発明の実施の形態に係る電解装置によれば、電解槽1の幅(X)方向、即ち、電解槽1の第1の側壁11側から第2の側壁12側へと電解液を供給するように構成するとともに、第1の側壁11側の供給口21a、21b、21c・・・21xの設置位置が第2の側壁12側の排出口31a、31b、31c・・・31xよりも相対的に上方となるように構成した、いわゆる、「横入れ上入れ下抜き方式」を採用する。その結果、電解槽1の底部の銅イオン濃度などの金属イオン濃度の上昇を効果的に抑制できるとともに、電解液中に含まれる種々の添加剤の濃度分布を電解槽1内全体でより均一化することができる。
さらに、電解槽1において上方から下方へと電解液を流すことにより、殿物の巻き上げの恐れも少なくなる。そのため、電解液の供給流量を大きくしても殿物の巻き上げを抑制しながら電解液の混合状態を改善することができ、電着物の電着効率も従来に比べて改善させることができる。さらに、電着物の表面性状に影響を及ぼすニカワなどの添加物を電解槽全体にわたって均一に行き渡らせることができるため、電解槽1全体において品質の揃った電着物が得られる。
(電解方法)
本発明の実施の形態に係る電解装置を用いて電解液を電気分解することにより、複数のカソード板に銅などの金属を電着させることができる。以下においては、本発明の実施の形態に係る電解装置を用いて電気分解する例として粗銅を精錬する場合について説明する。
本発明の実施の形態に係る電解装置を用いて電解液を電気分解することにより、複数のカソード板に銅などの金属を電着させることができる。以下においては、本発明の実施の形態に係る電解装置を用いて電気分解する例として粗銅を精錬する場合について説明する。
まず、例えば純度が99mass%程度の粗銅の板材をアノード板とし、純度が99.99mass%程度の銅の板材又はステンレス板をカソード板として、複数のアノード板と複数のカソード板とを交互に板厚方向に間隔を空けて、電極板の下端が電解槽1の底面から所定の間隔が空くように電解槽1内に配置する。電解槽1の内部には電解液供給部2の複数の供給口21a、21b、21c・・・21xから硫酸銅及び硫酸の混合水溶液にニカワやチオ尿素などの添加剤を添加した電解液を供給し、環流機構によって、電解液を循環させる。
給電機構を用いてアノード板とカソード板との間に直流電流を印加し、アノード板の銅を電解液中にイオンとして溶出させてカソード板へ電着させる。このとき、アノード板及びカソード板の側面と対向する電解槽1の第1の側壁11の上方から電解液を電解槽1内へ供給し、第1の側壁11と対向する電解槽1の第2の側壁12の下方から電解液を電解槽1外へ排出するように液流を発生させる。
このように、電解槽1の幅方向Yの一端から幅方向Yの他端側へ、且つ上方から下方へ向けて電解槽1の長手方向Xに沿った複数箇所から電解液を流すことにより、電解槽1の長手方向Xの一端側から他端側へと電解液を流す従来の方式と比べて、電解槽1内の電解液の混合状態をより良好にすることができる。特に、本発明の実施の形態に係る電解方法によれば、電解槽1下部の銅イオンなどの金属イオン濃度の上昇を抑制し、金属イオンを液中により均一に分散できるため、高い電流密度又は不純物濃度の高い材料をアノード板に用いて電解精製を実施した場合の不動態化現象をより効率的に抑制することが可能となる。
以下に本発明の実施例を比較例とともに示すが、これらの実施例は本発明及びその利点をよりよく理解するために提供されるものであり、本発明が限定されることを意図するものではない。
図1に示す構成を有する電解装置を用いた場合(実施例1)と、図2(A)に示すように電解槽の長手方向の一端の下方2箇所から電解液を供給し、長手方向の他端の上方から電解液を引き抜く形式の電解装置を用いた場合(比較例1)と、図2(B)に示すように電解槽の長手方向の一端の下方1箇所から電解液を供給し、長手方向の他端の上方から電解液を引き抜く形式の電解装置を用いた場合(比較例2)について、各電解槽内に複数のアノード板とカソード板を電解槽の長手方向に沿って交互に互いに間隔を空けて電解液中に浸漬し、電流密度350A/m2、給液量43L/min(電解槽内滞留時間2.5時間)で電解を実施し、Cu濃度分布及びニカワ濃度分布を評価した。結果を図3(a)〜図3(f)に示す。サンプリングは電極の中心を通る電解槽長手方向(図1のX方向)に平行な断面において、給液側端部、中央、排液側端部においてそれぞれ電解液の液面からそれぞれ50mm(上)、525mm(中)、1050mm(下)の合計9点で実施し、給液Cu濃度及び給液ニカワ濃度を1.00とした場合の各サンプリング地点の相対的な濃度比を表す。
なお、図3(a)及び図3(b)の「給液」は、図1の電解装置の第3の側壁13側に対応し、図3(a)及び図3(b)の「排液」は、図1の電解装置の第4の側壁14側に対応する。図3(c)〜図3(f)の「給液」は、図2(A)、(B)の電解液供給部が配置される側の電解槽の一端に対応し、「排液」は、図2(A)、(B)の電解液排出口が配置される側の電解槽の他端に対応する。
図3(e)に示すように、比較例2に示す従来の給液方法では、電解槽上下間でのCu濃度の差が大きくなり、特に電解槽底部のCu濃度の上昇が顕著となったが、図3(a)に示すように、実施例1では、電解槽上下間でのCu濃度の差が小さく、電解槽内の電解液の混合状態を改善することができていた。
ニカワ濃度については、図3(f)に示すように、比較例2に示す従来の給液方法では、電解槽の中央付近より排液側はニカワ濃度がほぼ0となったが、図3(b)に示すように、実施例1ではどの領域においてもニカワ濃度を電解槽全体で所定の値以上に維持することができた。
図3(c)に示すように、比較例1に示す給液方法では、比較例2に比べて電解槽上下間でのCu濃度の差を小さくすることができ、電解液の混合状態は改善されているといえるが、図3(d)に示すように、ニカワ濃度の分布については、比較例2と同様に、電解槽の排液側に近づくにつれてニカワ濃度がほぼ0となった。
図示していないが、図1に示す構成の電解装置について、電解液供給部の位置を電解液排出部よりも相対的に低くした場合(横入れ下入れ上抜き方式)についても上記と同様の解析を行ったところ、ニカワ濃度の分布は改善したが、Cu濃度分布については、比較例2と同程度の改善に留まった。
実施例1、比較例1及び2の電解装置について、各電解槽内の上記9箇所でのCu濃度及びニカワ濃度について、給液Cu濃度及び給液ニカワ濃度を1.00とした場合の相対的な濃度比を表す表を図4(a)〜図4(f)に示す。
図4(a)に示すように、実施例1ではCu濃度比は電解槽全域にわたってほぼ一様となり、電解液の混合状態は良好であり、給液Cu濃度に対する電解槽底部におけるCu濃度の上昇もほぼみられなかった。図4(b)に示すように、比較例1では、電解液の濃度は電解槽全域にわたって全体でほぼ均一な結果が得られたが、電解槽の底部に給液Cu濃度よりもCu濃度の高い領域が発生した。図4(c)に示すように、比較例2では、電解槽の下部へいくほど給液Cu濃度よりもCu濃度の高い領域が発生した。
ニカワ濃度についても、図4(d)に示すように、実施例1では、電解槽全域にわたってほぼ均一となり、混合状態は良好であった。図4(e)に示すように、比較例1では、給液側に対して排液側のニカワ濃度が低くなり、排液側下部のニカワ濃度が最も低くなった。図4(f)に示すように、比較例2では給液側のニカワ濃度が比較例1よりも高くなり、排液側のニカワ濃度が比較例1よりも低くなり、排液側下部のニカワ濃度は比較例1よりも最も低くなった。
図5(a)及び図5(b)は、図1に示す構成を有する電解装置を用いた場合(実施例1)の電極平行方向(図1のY方向)におけるCu濃度及びニカワ濃度の分布状況を評価したグラフである。サンプリングは電解槽内に浸漬された50枚の電極のうちの1枚目、25枚目、49枚目の電極表面において測定した測定結果の平均値を表す。1枚目、25枚目、49枚目の各電極表面について、電極中心部と、電極中心部からそれぞれ左右(電解槽のY方向)にそれぞれ470mm離れた3か所について、電解槽の給液側、中央、排液側の液面からそれぞれ50mm(上)、525mm(中)、1050mm(下)の異なる高さ3か所の濃度を測定することで、各電極について9点ずつサンプリングし、給液Cu濃度及び給液ニカワ濃度を1.00とした場合の各サンプリング地点の相対的な濃度比を表す。給液は図5(a)の紙面左側上方から行われ、排液は図5(b)の紙面右側下方から行われた結果を示している。
図5(a)に示すように、Cu濃度比は電解槽全域にわたってほぼ一様となり、電極平行面においても電解液の混合状態が良好であることがわかる。図5(b)に示すように、ニカワの濃度分布のグラフをみても、ニカワ濃度が極端に低くなる部分はなく、電極平行面においても比較的槽内均一なニカワの濃度分布が得られていることがわかる。
上記の電極平行方向におけるCu濃度及びニカワ濃度の分布状況について、給液Cu濃度及び給液ニカワ濃度を1.00とした場合の相対的な濃度比の平均値を表す表を図6(a)及び図6(b)に示す。図6(a)及び図6(b)に示すように、Cu濃度比及びニカワ濃度比ともに、電極平行面においても電解槽全域にわたってほぼ一様となり、電解液の混合状態は良好であった。
1…電解槽
2…電解液供給部
3…電解液排出部
11…第1の側壁
12…第2の側壁
13…第3の側壁
14…第4の側壁
21a〜21x…供給口
31a〜31x…排出口
2…電解液供給部
3…電解液排出部
11…第1の側壁
12…第2の側壁
13…第3の側壁
14…第4の側壁
21a〜21x…供給口
31a〜31x…排出口
Claims (6)
- 電解液を収容する電解槽の長手方向に沿って互いに間隔を空けて交互に配置された複数のアノード板及び複数のカソード板からなる電極を前記電解液中に浸漬し、前記電解液を循環しながら電解処理する電解装置であって、
前記アノード板及び前記カソード板の側面と対向する前記電解槽の第1の側壁側に設けられた複数の供給口から、前記第1の側壁と対向する前記電解槽の第2の側壁側に向けて前記電解液を供給する電解液供給部と、
前記第2の側壁側に設けられ、前記供給口よりも相対的に下方となるように配置された複数の排出口から前記電解液を排出する電解液排出部と
を備えることを特徴とする電解装置。 - 前記供給口が、前記電解液の液面から400mm以内の高さに配置されることを特徴とする請求項1に記載の電解装置。
- 前記排出口が、前記電極の下端部を起点に上方に100mm、下方に300mmの範囲に配置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の電解装置。
- 前記電解液供給部が、前記電解液の供給流量が20〜100L/分となるように前記電解液を前記電解槽内へ供給することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電解装置。
- 前記電解液供給部が、前記電解液の液面の近傍において前記電解槽の長手方向に延びており、前記アノード板と前記カソード板との空間にそれぞれ前記電解液を供給するように、前記電解液供給部の長手方向に沿って前記複数の供給口が配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電解装置。
- 電解液を収容する電解槽の長手方向に沿って互いに間隔を空けて交互に配置された複数のアノード板及び複数のカソード板からなる電極を前記電解液中に浸漬し、前記電解液を循環しながら電解処理する電解方法であって
前記アノード板及び前記カソード板の側面と対向する前記電解槽の第1の側壁の上方から前記電解液を前記電解槽内へ供給し、前記第1の側壁と対向する前記電解槽の第2の側壁の下方から前記電解液を前記電解槽外へ排出することを含む電解方法。
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- 2019-03-29 JP JP2019069346A patent/JP2020164960A/ja active Pending
Patent Citations (3)
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