JP2020164937A - フェライト系ステンレス鋼 - Google Patents
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Description
図1は、本発明の一実施形態におけるフェライト系ステンレス鋼板(フェライト系ステンレス鋼)の表面を示す顕微鏡写真である。
本発明の一実施形態に係るフェライト系ステンレス鋼は、鋼成分組成として、質量%で、Si:1.4%以上2.0%以下、Cr:18.0%以上21.0%以下、およびMo:0.3%以上1.0%以下を含有する。そして、上述のように特定表面欠陥の数が低減された表面状態を有する。これにより、低コストであり、高強度および耐食性に優れるフェライト系ステンレス鋼が得られる。以下、フェライト系ステンレス鋼に含まれる各元素の含有量の意義について説明する。
Si(ケイ素)は、1.4質量%以上2.0質量%以下であることが好ましい。Siを1.4質量%以上含むフェライト系ステンレス鋼は、高強度かつ耐食性に優れる。また、Siを過度に含有すると、フェライト系ステンレス鋼は、加工性および靱性が低下する。そのため、Si含有量の上限を2.0質量%と規定した。
Cr(クロム)は、18.0質量%以上21.0質量%以下であることが好ましい。Crを18.0質量%以上含むフェライト系ステンレス鋼は、耐食性に優れ、このことは溶接部および熱影響部においても同様である。また、Crを過度に含有すると、加工性が低下するとともに材料コストが上昇する。そのため、Cr含有量の上限を21.0質量%と規定した。
Mo(モリブデン)は、0.3質量%以上1.0質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.4質量%以上0.8質量%以下である。Moを0.3質量%以上含むフェライト系ステンレス鋼は、耐食性に優れる。また、Moを過度に含有すると、加工性が低下するとともに材料コストが上昇する。そのため、Mo含有量の上限を1.0質量%と規定した。
C(炭素)は、0.030質量%以下であることが好ましい。Cを0.030質量%以下含むフェライト系ステンレス鋼は、耐粒界腐食性(鋭敏化抑制)および加工性に優れ、かつ、精錬に要するコストを低減できる。
Mn(マンガン)は、1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましい。Mnを過度に含有すると、フェライト相が不安定化するとともに、腐食起点(MnS)の発生を促進する。そのため、Mn含有量の上限を1.0質量%と規定した。
P(リン)は、0.050質量%以下であることが好ましい。Pを過度に含有すると、溶接性、溶接部の靱性、および加工性が劣化し得る。そのため、P含有量の上限を0.050質量%と規定した。
S(硫黄)は、0.020質量%以下であることが好ましく、0.010質量%以下であることがより好ましい。Sを過度に含有すると、溶接部の靱性が低下するとともに、腐食起点の発生が促進され得る。そのため、S含有量の上限を0.020質量%と規定した。
Ni(ニッケル)は、0.5質量%以上2.0質量%以下であることが好ましい。Niを0.5質量%以上含むフェライト系ステンレス鋼は、耐食性および溶接部の靱性に優れる。また、Niを過度に含有すると、フェライト相が不安定化するとともに、材料コストが上昇する。そのため、Ni含有量の上限を2.0質量%と規定した。
Cu(銅)は、2.0質量%以下であることが好ましい。Cuは耐食性の向上に寄与するが、Cuを過度に含有すると、フェライト相が不安定化するとともに、材料コストが上昇する。そのため、Cu含有量の上限を2.0質量%と規定した。
N(窒素)は、0.030質量%以下であることが好ましい。Nを0.030以下含むフェライト系ステンレス鋼は、耐粒界腐食性(鋭敏化抑制)および加工性に優れ、かつ、精錬に要するコストを低減できる。
Ti(チタン)およびNb(ニオブ)は、合計で10(C+N)質量%以上0.7質量%以下であることが好ましく、より好ましくはTiが0.3質量%以下であり、かつ、Nbが0.4質量%以下である。TiおよびNbを10(C+N)以上含むフェライト系ステンレス鋼は、耐粒界腐食性(鋭敏化抑制)に優れる。一方で、Tiを過度に含有すると、加工性および表面品質が劣化し得るため、Ti含有量の上限を0.3質量%と規定した。また、Nbを過度に含有すると、加工性および靱性が劣化し得るため、Nb含有量の上限を0.4質量%と規定した。
Al(アルミニウム)は、0.15質量%以下であることが好ましい。Alを0.15質量%以下含むフェライト系ステンレス鋼は、脱酸性および耐食性に優れる。一方で、Alを過度に含有すると、表面品質が劣化し得るため、Al含有量の上限を0.15質量%と規定した。
B(ホウ素)は、0.020質量%以下であることが好ましい。Bを過度に含有すると、熱間加工性が劣化し得る。そのため、B含有量の上限を0.020質量%と規定した。
本発明の一実施形態に係るフェライト系ステンレス鋼は、さらに、質量%で、V、W、およびCoの少なくとも1種を合計で0.5%以下、並びに、REMおよびCaの少なくとも1種を合計で0.1%以下含有していてもよい。
V(バナジウム)、W(タングステン)、およびCo(コバルト)の少なくとも1種は、合計で0.5質量%以下であることが好ましい。V、W、またはCoの少なくとも1種を合計で0.5質量%以下含むフェライト系ステンレス鋼は、加工性および靱性に優れ、かつ、材料コストの上昇を抑制できる。
REM(希土類元素)およびCa(カルシウム)の少なくとも1種は、合計で0.1質量%以下であることが好ましい。REMおよびCaの少なくとも1種を合計で0.1質量%以下含むフェライト系ステンレス鋼は、材料コストの上昇を抑制できる。
本発明の一実施形態におけるフェライト系ステンレス鋼板(フェライト系ステンレス鋼)は、上述のように成分調整された組成を有し、表面に存在する特定表面欠陥の数が、表面0.01mm2あたり平均5個以下となっている。このようなフェライト系ステンレス鋼板は、以下のような方法にて製造することができる。
本フェライト系ステンレス鋼は、JIS Z2291に準じて測定した引張強度が、500MPa以上であることが好ましい。フェライト系ステンレス鋼は、引張強度が500Mpa以上であることにより、良好な強度を有すると言える。
本実施形態におけるフェライト系ステンレス鋼は、鋼成分中のCrおよびMoの添加量を低減しつつ、高い強度を有するとともに優れた耐食性を有しており、建材や配管等の製品の素材として好適に用いることができる。例えば、屋根材料、壁材料、建材外装、ダクト、自動車モール、装飾部品、フェンス、配管、水層、および貯水タンク等の製品を形成する素材として用いることができる。
[耐食性の評価]
フェライト系ステンレス鋼の耐食性について、下記の方法により素材表面における耐食性および耐すき間腐食性を評価した。
試験片として一辺が10mmの正方形のフェライト系ステンレス鋼板を用い、定電位浸漬試験により、フェライト系ステンレス鋼の素材表面における耐食性を評価した。
一辺が30mmの正方形のフェライト系ステンレス鋼板の中央に形成した穴にSUSワッシャーを介してボルトを挿入して固定することにより、SUSワッシャーとフェライト系ステンレス鋼板との間に金属間すき間を形成して試験片を作成した。定電位浸漬試験により、フェライト系ステンレス鋼の金属間すき間における耐すき間腐食性を評価した。
(引張強度)
フェライト系ステンレス鋼の機械的性質の評価において、JIS Z2241に規定された13B号試験片を用いてJIS Z2291に準じて、引張試験を行ない、引張強度を評価した。
本発明の実施例1に係るフェライト系ステンレス鋼の組成を表1に示す。これらの各合金組成のステンレス鋼をラボ溶解で溶製し、熱間圧延、焼鈍、冷間圧延、焼鈍および酸洗を行なうことにより0.6mmt(0.6mmの厚み)の焼鈍酸洗板を製造した。なお、実施例1に係るフェライト系ステンレス鋼における酸洗では、ソルトバスを行った後、硝酸電解および弗硝酸に浸漬することにより酸洗を行った。
本発明の比較例1に係るフェライト系ステンレス鋼は、酸洗工程において、ソルトバスを用いず、従来法を用いた。換言すれば、比較例1に係るフェライト系ステンレス鋼は、製造工程における酸洗以外の工程は、実施例1に係るフェライト系ステンレス鋼と同じである。
比較例2に係るフェライト系ステンレス鋼は、表1に示すようにCrを多く含み、耐食性の高い鋼種である。比較例2に係るフェライト系ステンレス鋼は、ソルトバスを用いず、従来法により焼鈍酸洗を施して作製した。
比較例3に係るフェライト系ステンレス鋼は、表1に示すようにCrおよびNiを多く含み、耐食性の高い鋼種である。比較例3に係るフェライト系ステンレス鋼は、ソルトバスを用いず、従来法により焼鈍酸洗を施して作製した。
平均表面欠陥数、引張強度、および、素材表面または金属すき間における腐食発生電位の試験結果を表2に示す。
Claims (3)
- 質量%で、Si:1.4%以上2.0%以下、Cr:18.0%以上21.0%以下、およびMo:0.3%以上1.0%以下を含有し、
フェライト系ステンレス鋼の表面から延出し、当該表面の一部を覆う様に存在しており、平面視したときの長軸が5μm以上の大きさを有する表面欠陥が、前記表面0.01mm2あたり平均5個以下であることを特徴とするフェライト系ステンレス鋼。 - 質量%で、C:0.03%以下、Mn:1.0%以下、P:0.050%以下、S:0.020%以下、Ni:0.5%以上2.0%以下、Cu:2.0%以下、N:0.030%以下、TiおよびNbの少なくとも1種を合計で10(C+N)%以上0.7%以下、Al:0.15%以下、およびB:0.020%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる、請求項1に記載のフェライト系ステンレス鋼。
- 質量%で、V、W、およびCoの少なくとも1種を合計で0.50%以下、並びに、REMおよびCaの少なくとも1種を合計で0.1%以下含有する、請求項1または2に記載のフェライト系ステンレス鋼。
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