JP2020164469A - グリコール酸の製造方法 - Google Patents

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優子 森下
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Abstract

【課題】モノエチレングリコールを原料としてグリコール酸を製造する際に、高選択率を安定して得ることができ、グリコール酸の生産性を向上することができる製造方法を提供する。【解決手段】モノエチレングリコールを、アルカリ金属の水酸化物、水および銅含有触媒の共存下にて、前記モノエチレングリコールの転化率が95.0〜99.0mol%になるまで酸化脱水素反応を行って、グリコール酸塩を含有する反応液を得る工程を有する、グリコール酸の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、グリコール酸の製造方法に関する。
グリコール酸は、合成の中間体、キレート剤、界面活性剤の原料、高分子化合物の原料などとして使用されている。また、グリコール酸は、化粧品、医薬品などの分野においても、利用されている。
特許文献1には、モノエチレングリコールを、水酸化ナトリウム、水および銅含有触媒の共存下で酸化脱水素反応してグリコール酸塩を製造する方法が開示されている。
特開平6−157397号公報
特許文献1が開示する方法によって、高い選択率でグリコール酸ナトリウムを得ることができる。しかし、特許文献1が開示する方法では、副生物であるシュウ酸塩の生成量が増加して、グリコール酸塩の収率が低下する場合があり、優れた選択性をより安定して得ることができる製法の開発が望まれている。
そこで、本発明は、モノエチレングリコールを原料としてグリコール酸を製造する際に、高選択率を安定して得ることができ、グリコール酸の生産性を向上することができる製造方法を提供することを目的とする。
モノエチレングリコールを、アルカリ金属の水酸化物、水および銅含有触媒の共存下にて、前記モノエチレングリコールの転化率が95.0〜99.0mol%になるまで酸化脱水素反応を行って、グリコール酸塩を含有する反応液を得る工程を有する、グリコール酸の製造方法よって、上記課題を解決する。
本発明は、モノエチレングリコールを原料としてグリコール酸を製造する際に、高選択率を安定して得ることができ、グリコール酸の生産性を向上することができる製造方法を提供することができる。
以下、本発明の一形態に係る実施の形態を説明する。本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。
本発明の一形態は、モノエチレングリコールを、アルカリ金属の水酸化物、水および銅含有触媒の共存下にて、前記モノエチレングリコールの転化率が95.0〜99.0mol%になるまで酸化脱水素反応を行って、グリコール酸塩を含有する反応液を得る工程を有する、グリコール酸の製造方法である。
本形態の製造方法によると、モノエチレングリコールの転化率が95.0〜99.0mol%になるまで酸化脱水素反応を行うことで、高選択率を安定して得ることができ、グリコール酸の生産性を向上することができる。
<グリコール酸塩を含有する反応液を得る工程>
本工程では、モノエチレングリコールを、アルカリ金属の水酸化物、水および銅含有触媒の共存下にて、前記モノエチレングリコールの転化率が95.0〜99.0mol%になるまで酸化脱水素反応を行う。
本工程で使用できるモノエチレングリコールは、特に限定されず、工業的に流通しているものを原料として使用することができる。原料中のモノエチレングリコールの純度は、好ましくは98質量%以上、より好ましくは99質量%以上、更に好ましくは99.5質量%以上(上限:100質量%)である。
モノエチレングリコールの使用量(仕込み濃度)は、適宜調整することができるが、モノエチレングリコール、アルカリ金属の水酸化物および水の合計質量に対して、好ましくは15〜25質量%である。
本工程で使用できるアルカリ金属の水酸化物は、特に制限されず、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどを使用できる。アルカリ金属の水酸化物は、シュウ酸塩が析出して沈殿することを抑制できるとの観点から、好ましくは水酸化カリウムである。
アルカリ金属の水酸化物の形状は、特に制限されず、フレーク、粉末、ペレット等の固体形態で、または水溶液の形態で使用することができる。アルカリ金属の水酸化物の形状は、取扱いが容易であるとの観点から、水溶液の形態であることが好ましい。
アルカリ金属の水酸化物は、自ら合成したものを用いてもよく、工業的に流通しているものを用いてもよい。
アルカリ金属の水酸化物の使用量は、モノエチレングリコールの転化率を95.0mol%以上に到達することができれば、特に制限されない。好ましい実施形態では、グリコール酸塩の選択率をより高くするとの観点から、アルカリ金属の水酸化物の使用量の下限は、反応に使用するモノエチレングリコールに対して、1.10mol倍以上である。アルカリ金属の水酸化物の使用量の上限は、銅含有触媒の活性を維持できるとの観点から、反応に使用するモノエチレングリコールに対して、好ましくは2.0mol倍以下である。
本工程において、酸化脱水素反応は、水の存在下で行われる。水を使用することにより、モノエチレングリコールとアルカリ金属の水酸化物とを均一系で反応できる。その結果、グリコール酸塩を高収率で得ることができる。ここで、水としては、特に制限されず、工業水、水道水、イオン交換水、蒸留水、純水、超純水等が挙げられる。反応に用いられる水の使用量は、反応を均一に行うことができる量であれば特に制限されない。水の使用量は、モノエチレングリコールに対して、好ましくは10質量%以上、より好ましくは50〜500質量%、さらにより好ましくは100〜360質量%である。
また、本工程において、酸化脱水素反応は、銅含有触媒の存在下で行われる。ここで、用いられる銅含有触媒は、銅を必須成分して含有するものである。銅の原料としては、金属銅の他に、例えば硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、酸化物、ハロゲン化物、水酸化物等の無機物、例えばギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、乳酸塩等の有機酸塩の化合物がいずれも使用できる。銅含有触媒の形態は特に限定されない。例えば金属銅表面を酸化後水素により還元した触媒、ラネー銅合金をアルカリ水溶液で展開し得られた触媒やさらに、ギ酸銅、炭酸銅等を熱分解および/または還元して得られた活性化銅をそのまま、またはアルカリ耐性担体に前記の銅化合物を担持した後に焼成および/または還元により得られる活性化銅、無電解メッキにより銅を担持した触媒等を使用することができる。好ましい担体の例としては、酸化チタニウム、酸化ジルコニウム、シリコンカーバイド、活性炭などが挙げられる。特に、反応への活性、触媒の寿命の点から展開ラネー銅および、共沈法または含浸法にて酸化ジルコニウム、シリコンカーバイド、活性炭に担持した銅触媒が好適に使用される。
銅含有触媒には、その他の金属を含んでいてもよい。その他の金属としては特に限定されないが、例えば、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、テクネチウム、レニウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銀、金、亜鉛、カドミウム、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、ケイ素、ゲルマニウム、スズ、鉛、アンチモン、ビスマス、セレン、テルル等があり、好ましくは、ルビジウム、マグネシウム、カルシウム、ジルコニウム、ニオブ、クロム、モリブデン、鉄、オスミウム、コバルト、ニッケル、金、亜鉛、ガリウムであり、特に好ましくは、マグネシウム、クロム、鉄、オスミウム、コバルト、ニッケルである。
銅含有触媒が上記他の金属を含む場合の、銅含有触媒における上記他の金属の含有量は、広範な範囲内で変化でき、特に制限されない。通常、モノエチレングリコールからグリコール酸への転化のしやすさを考慮すると、銅含有触媒における上記他の金属の含有量は、10〜50,000ppm程度、より好ましくは約20〜約5000ppm、さらにより好ましくは約50〜約5000ppmであることが好ましい。
銅含有触媒の使用量は、酸化脱水素反応を有効に進行できる量であれば特に制限されない。銅含有触媒の使用量は、モノエチレングリコールに対して、好ましくは3〜50質量%であり、より好ましくは5〜35質量%である。
銅含有触媒の大きさは特に制限されないが、銅含有触媒の粒度は小さすぎると触媒の分離の際に不利になる場合がある。例えば、触媒を沈降させて分離する場合には沈降速度が遅くなり、また濾過して分離する場合には濾過速度が遅くなる。一方、粒度が大きすぎると沈降性は良くなるが、触媒の分散を良くするために大きな撹枠(撹拌)動力が必要となり、また触媒の有効表面積が少なくなるので触媒活性が低下する場合がある。上記点を考慮すると、銅含有触媒の粒度(平均粒径:直径)は、2〜300μmの範囲内であるのが好ましい。ただし、この反応を固定床流通式の反応器を用いて行なうような場合は、圧力損失を少なくする必要があるので銅含有触媒の粒度はもっと大きなものが好適である。また、本発明に用いられる銅含有触媒の比表面積は小さすぎると触媒活性が低くて多量の触媒を用いることになる。したがって、銅含有触媒の比表面積(BET比表面積)は、BET測定法において、0.1m/g以上であるのが好ましく、より好ましくは0.2m/g以上であり、さらに好ましくは1m/g以上である。銅含有触媒の比表面積(BET比表面積)は、BET測定法において、例えば100m/g以下であり、好ましくは50m/g以下である。
本工程において、酸化脱水素反応は、モノエチレングリコールの転化率が95.0〜99.0mol%になるまで行う。モノエチレングリコールの転化率が99.0mol%を超えると、不純物として副生されるシュウ酸塩の生成量が増加するため、グリコール酸塩の収率が低下する。モノエチレングリコールの転化率が95.0mol%未満であると、未反応のモノエチレングリコール量が多いため、グリコール酸塩の収率が低下する。モノエチレングリコールの転化率は、本発明の効果をより発揮するとの観点から、好ましくは96.0〜98.5mol%であり、より好ましくは97.0〜98.5mol%である。
酸化脱水素反応において、モノエチレングリコールの転化率は、反応温度と反応時間によって制御することができる。
本明細書において、モノエチレングリコールの転化率は、後述の実施例に記載の方法(液体クロマトグラフィー(LC)分析)で求めた値を採用する。
本工程において、酸化脱水素反応条件は、酸化脱水素反応が良好に進行する条件であれば、特に制限されない。
酸化脱水素反応の反応温度は、例えば140℃を超えて175℃未満であり、好ましくは145〜170℃であり、より好ましくは145〜165℃であり、特に好ましくは150〜160℃である。反応温度が上記範囲内であれば、モノエチレングリコールおよび生成したグリコール酸塩の分解を抑制することができる。
酸化脱水素反応を行う反応時間、すなわち所望の温度に昇温後の時間は、モノエチレングリコールの転化率が95.0〜99.0mol%になるように、適宜調整することができる。
モノエチレングリコールの転化率が95.0〜99.0mol%になる時間は、例えば以下の方法により求めることができる。
反応時の水素発生量を測定することで、概算のモノエチレングリコールの転化率を求めることができる。モノエチレングリコール1モルからグリコール酸カリウムが生成されると、2モルの水素が発生する。そのため、モノエチレングリコールの仕込みモル量に対して2倍量の水素が発生した時点をモノエチレングリコールの転化率100mol%と考えることができる。なお、水素発生量は、水素発生量測定時の温度と、反応容器内にあらかじめ存在する水素量を考慮するため、反応容器の空間容量とを用いて、適宜補正した値を使用する。
具体的には、反応時の水素発生量を測定して、概算のモノエチレングリコールの転化率が96.0mol%になった時点で反応を終了する。
反応後の反応混合物について、LC分析を行い、モノエチレングリコールの転化率を計算する。概算のモノエチレングリコールの転化率と、LC分析で求めたモノエチレングリコールの転化率とを比較することで、反応時間を調整することができる。
反応時間を変えながら、同じ組成および同じ条件(反応時間以外)で酸化脱水素反応を行うことで、LC分析で求めたモノエチレングリコールの転化率が95.0〜99.0mol%となる反応時間およびその反応時間での水素発生量を求めることができる。
酸化脱水素反応は、水素の発生を伴うため、できるだけ反応圧力を下げる方が反応速度の面から好ましい。反応圧力は、通常、反応を液相で進めるための最低圧力以上であればよく、好ましくは0.5〜5.0MPaGである。
反応の形式は、特に制限されず、バッチ式、セミバッチ式、連続反応式など、いずれの方法を使用することができる。
本工程で反応後の反応混合物を静置し、銅含有触媒を沈降させて、上澄み液を回収することでグリコール酸塩を含有する反応液を得ることができる。また、反応混合物を濾過することによりグリコール酸塩を含有する反応液を得ることができる。
一方、濾過または沈降などによって分離した銅含有触媒は回収してそのまま次の反応に再使用することができる。もちろん、回収した銅含有触媒を必要に応じて適宜再生処理を行って使用してもよい。
<グリコール酸塩を含有する反応液からグリコール酸含有液を得る工程>
本形態の製造方法では、上記で得られたグリコール酸塩を含有する反応液からグリコール酸含有液を得る工程を有することができる。
グリコール酸塩を含有する反応液からグリコール酸含有液を得る方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、電気透析法、水素イオン型の陽イオン交換樹脂にグリコール酸塩の水溶液を接触させる方法、グリコール酸塩を一度エステルに変換させてからエステルを分離後、加水分解によりグリコール酸を得る方法などが挙げられる。アルカリ金属の水酸化物を回収して再利用できるとの観点から、電気透析法を用いることが好ましい。
以下、電気透析法について説明する。
電気透析法としては、バイポーラ膜と陰イオン交換膜または陽イオン交換膜とを使用する二室式のバイポーラ膜電気透析法、バイポーラ膜と陰イオン交換膜と陽イオン交換膜とを使用する三室式のバイポーラ膜電気透析法などが挙げられる。電気透析法としては、グリコール酸を得るとともに、未反応のモノエチレングリコールとアルカリ金属イオンとを除去できるとの観点から、三室式のバイポーラ膜電気透析法が好ましい。
三室式のバイポーラ膜電気透析では、陽極と陰極との間に、バイポーラ膜、陰イオン交換膜、陽イオン交換膜およびバイポーラ膜を用いて、酸室、サンプル室およびアルカリ室を形成する。サンプル室にグリコール酸塩を含有する反応液を供給して、酸室からグリコール酸含有液を回収し、サンプル室からモノエチレングリコールを回収し、アルカリ室からアルカリ金属の水酸化物を回収する。
三室式のバイポーラ膜電気透析では、理論的には、モノエチレングリコールは、サンプル室に留まるとされているが、水の移動に伴い、酸室へ移動することがある。そのため、サンプル室に供給される液に未反応のモノエチレングリコールが多く含まれていると、モノエチレングリコールが過剰に酸室へ移動しないように電気透析を中断する必要がある。その結果、サンプル室に残されたグリコール酸塩からグリコール酸を回収することができないため、グリコール酸の精製収率が低下するおそれがある。
上記で得られたグリコール酸塩を含有する反応液には、未反応のモノエチレングリコールの残存を抑制できるため、グリコール酸の回収率を高くすることができ、かつモノエチレングリコールの移動率を低くすることができる。よって、グリコール酸の生産性を高くすることができる。特に、モノエチレングリコールの転化率が97.0〜98.5mol%であると、未反応のモノエチレングリコール量をさらに減らすことができ、加えてグリコール酸塩の選択率を高くすることができるため、グリコール酸の生産性をさらに高くすることができる。
好ましい実施形態では、本発明に係るグリコール酸の製造方法は、グリコール酸塩を含有する反応液をバイポーラ膜電気透析し、グリコール酸含有液を得る工程を有する。
電気透析装置では、公知の電極を使用できる。陽極としては、白金、チタン/白金、カーボン、ニッケル、ルテニウム/チタン、イリジウム/チタンなどが挙げられる。陰極としては、鉄、ニッケル、白金、チタン/白金、カーボン、ステンレス鋼などが挙げられる。電気透析装置としては、例えばアシライザーEX3B(株式会社アストム製)などを用いることができる。
バイポーラ膜は、特に限定されず、従来公知のバイポーラ膜、例えば、陽イオン交換膜と陰イオン交換膜とが貼合わさった構造を有するバイポーラ膜などを使用できる。陽イオン交換膜の陽イオン交換基は特に限定されず、スルホン酸基、カルボン酸基などを使用できる。陰イオン交換膜の陰イオン交換基は特に限定されず、アンモニウム塩基、ピリジニウム塩基、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基などが使用できる。
電気透析時の温度は、好ましくは5〜70℃であり、より好ましくは10〜50℃であり、さらに好ましくは20〜40℃である。また、電流密度は、特に制限されないが、好ましくは0.1〜100A/dmであり、より好ましくは、2〜20A/dmである。イオン交換膜の膜間隔は、一般的に適用されている間隔でよく、好ましくは0.01〜10mmであり、より好ましくは0.05〜1.50mmである。
<精製工程>
本形態の製造方法は、上記の工程に加えて、精製工程をさらに有することができる。
精製工程は、上記グリコール酸塩を含有する反応液を得る工程の後に行ってもよく、上記グリコール酸含有液を得る工程の後に行ってもよい。また、精製工程は、必要に応じて複数回実行してもよい。
グリコール酸またはグリコール酸塩を精製する方法としては、公知の方法を用いることができる。精製方法としては、例えばイオン交換樹脂処理、精密濾過膜処理、限外濾過膜処理、活性炭などの吸着剤処理などの方法を用いることができる。これらの方法は、適宜組み合わせて使用することができる。中でも、イオン交換樹脂処理を行うことが好ましい。本形態の製造方法では、グリコール酸塩の収率を高くし、シュウ酸塩の生成量を減らすことにより、精製工程で使用するイオン交換樹脂の破過時間を延ばすことができる。よって、生産性を向上することができる。
イオン交換樹脂処理において使用可能なイオン交換樹脂としては、陰イオン交換樹脂処理、陽イオン交換樹脂処理などが挙げられる。陰イオン交換樹脂処理により、シュウ酸を除去することができる。陽イオン交換樹脂処理により、塩を除去することができる。よって、イオン交換樹脂処理では、より純度の高いグリコール酸を得ることができるとの観点から、陰イオン交換樹脂処理と陽イオン交換樹脂処理とを組み合わせて行うことが好ましい。
陰イオン交換樹脂は、弱塩基性陰イオン交換樹脂および強塩基性陰イオン交換樹脂のいずれも使用することができる。陰イオン交換樹脂は、好ましくは弱塩基性陰イオン交換樹脂である。弱塩基性陰イオン交換樹脂の例としては、ダイヤイオンWA10、WA20、WA21、WA30(三菱ケミカル株式会社)などが挙げられる。
陽イオン交換樹脂は、強酸性陽イオン樹脂および弱酸性陽イオン樹脂のいずれも使用することができる。陽イオン交換樹脂は、好ましくは強酸性陽イオン樹脂である。陽イオン交換樹脂の例としては、ダイヤイオンSK1B、PK216、PK228(三菱ケミカル株式会社)、ダウエックスモノスフィア575C、650C(ダウ・ケミカル社)などが挙げられる。
イオン交換樹脂処理において、接触方式は、特に制限されず、バッチ方式、カラム方式などを採用することができる。接触方式は、操作性の観点から、カラム方式が好ましい。カラム方式で処理する場合、接触温度、接触時間および通液速度は、特に制限されない。例えば、接触温度は、10〜30℃であり、通液速度は、空間速度(SV)=1〜6hr−1である。また、接触時間は、所望のシュウ酸濃度以下またはアルカリ金属濃度以下になるよう、適宜調整できる。
好ましい実施形態では、精製工程は、高純度のグリコール酸を得られるとの観点から、上記グリコール酸含有液を得る工程の後に行われる。
上述のとおり、上記グリコール酸含有液を得る工程では、三室式のバイポーラ膜電気透析を行うことが好ましい。
得られたグリコール酸含有液には、不純物としてシュウ酸と電気透析では回収しきれなかったアルカリ金属イオンとが含まれうる。これらの不純物を除去するため、精製工程では、グリコール酸含有液を、陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂の順番で処理することが好ましい。グリコール酸含有液を陽イオン交換樹脂で処理することにより、シュウ酸を除去することができ、その後陰イオン交換樹脂で処理することにより、アルカリ金属イオンを除去することができる。
したがって、本発明に係るグリコール酸の製造方法は、
(1)グリコール酸塩を含有する反応液を得る工程;
(2)グリコール酸塩を含有する反応液をバイポーラ膜電気透析し、グリコール酸含有液を得る工程;
(3)グリコール酸含有液を陽イオン交換樹脂で処理する工程;および
(4)陽イオン交換樹脂処理後のグリコール酸含有液を陰イオン交換樹脂で処理する工程を有することが好ましい。
<濃縮工程>
本形態の製造方法は、上記の工程に加えて、濃縮工程をさらに有することができる。
濃縮工程は、必要に応じて、上記各工程の後に行うことができる。
濃縮方法としては、特に制限されず、公知の方法を用いることができる。濃縮方法としては、例えば、減圧下、40〜120℃に加熱することが挙げられる。
(用途)
本形態の製造方法により得られたグリコール酸またはグリコール酸含有液は、様々な用途に使用することができる。例えば、合成の中間体、キレート剤、界面活性剤の原料、高分子化合物の原料、化粧品、医薬品などの用途に用いることができる。
以下に具体例を用いて本発明を説明するが、本発明はこれらの例に限定されない。
(モノエチレングリコールの転化率の分析方法)
装置:SHIMAZU HPLCシステム(株式会社島津製作所製)
データ解析ソフト:SHIMAZU LC solution
検出器:RID−10A
カラム:Shodex Rspak NN−814(8.0mm×250mm)
ガードカラム:Shodex Rspak NN−G(6.0mm×50mm)
流速:1.0ml/min
温度:40℃
溶離液:25mMリン酸二水素ナトリウム水溶液を調製後、水酸化ナトリウム水溶液でpH6.0に調整したもの
定量:検量線法
計算法:転化率=[(仕込み量−定量により算出した残存量)/(仕込み量)]×100。
(グリコール酸(塩)の分析方法)
装置:SHIMAZU HPLCシステム(株式会社島津製作所製)
データ解析ソフト:SHIMAZU LC solution
検出器:UV210nm
カラム:Shodex Rspak NN−814(8.0mm×250mm)
ガードカラム:Shodex Rspak NN−G(6.0mm×50mm)
流速:1.0ml/min
温度:40℃
溶離液:40mMリン酸水溶液
定量:検量線法
計算法:選択率=(定量により算出したグリコール酸生成量[mol])/(仕込みモノエチレングリコール量[mol])×100。
(実施例1)
モノエチレングリコール200g(3.22mol)、水酸化カリウム226g(4.02mol)、水638.9gおよびラネー銅触媒20.2gを内容積3000mlのニッケル製オートクレーブに仕込み、窒素ガスで3回内部置換した。その後、反応温度160℃、反応圧力0.8MPaGで、モノエチレングリコールのmol数の2倍等量に対して1.07倍量の水素が発生するまで反応を行った。
反応に要した時間は、160℃に到達後110分であった。
反応混合物を80℃まで冷却後、オートクレーブ内で10分間静置し、ラネー銅触媒を沈降させた。上澄み液を回収して、グリコール酸カリウムを含有する反応液を得た。
上記反応液を分析したところ、モノエチレングリコールの転化率は97.0mol%であり、グリコール酸カリウムの選択率は94.7mol%であった。
(実施例2)
モノエチレングリコール200g、水酸化カリウム271.2g(4.83mol)、水706.7gおよびラネー銅触媒20.2gを内容積3000mlのニッケル製オートクレーブに仕込み、窒素ガスで3回内部置換した。その後、反応温度160℃、反応圧力0.8MPaGで、モノエチレングリコールのmol数の2倍等量に対して1.07倍量の水素が発生するまで反応を行った。
反応に要した時間は、160℃に到達後137分であった。
反応混合物を80℃まで冷却後、オートクレーブ内で10分間静置し、ラネー銅触媒を沈降させた。上澄み液を回収して、グリコール酸カリウムを含有する反応液を得た。
上記反応液を分析したところ、モノエチレングリコールの転化率は98.2mol%であり、グリコール酸カリウムの選択率は95.3mol%であった。
(実施例3)
モノエチレングリコール200g、水酸化カリウム207.9g(3.70mol)、水611.8gおよびラネー銅触媒20.2gを内容積3000mlのニッケル製オートクレーブに仕込み、窒素ガスで3回内部置換した。その後、反応温度160℃、反応圧力0.8MPaGで、モノエチレングリコールのmol数の2倍等量に対して1.07倍量の水素が発生するまで反応を行った。
反応に要した時間は、160℃に到達後107分であった。
反応混合物を80℃まで冷却後、オートクレーブ内で10分間静置し、ラネー銅触媒を沈降させた。上澄み液を回収して、グリコール酸カリウムを含有する反応液を得た。
上記反応液を分析したところ、モノエチレングリコールの転化率は96.6mol%であり、グリコール酸カリウムの選択率は93.5mol%であった。
(実施例4)
モノエチレングリコール200g、水酸化カリウム271.2g、水547.6gおよびラネー銅触媒20.2gを内容積3000mlのニッケル製オートクレーブに仕込み、窒素ガスで3回内部置換した。その後、反応温度160℃、反応圧力0.8MPaGで、モノエチレングリコールのmol数の2倍等量に対して1.07倍量の水素が発生するまで反応を行った。
反応に要した時間は、160℃に到達後132分であった。
反応混合物を80℃まで冷却後、オートクレーブ内で10分間静置し、ラネー銅触媒を沈降させた。上澄み液を回収して、グリコール酸カリウムを含有する反応液を得た。
上記反応液を分析したところ、モノエチレングリコールの転化率は98.3mol%であり、グリコール酸カリウムの選択率は93.5mol%であった。
(実施例5)
モノエチレングリコール200g、水酸化カリウム307.3g(5.47mol)、水511.6gおよびラネー銅触媒20.2gを内容積3000mlのニッケル製オートクレーブに仕込み、窒素ガスで3回内部置換した。その後、反応温度160℃、反応圧力0.8MPaGで、モノエチレングリコールのmol数の2倍等量に対して1.07倍量の水素が発生するまで反応を行った。
反応に要した時間は、160℃に到達後156分であった。
反応混合物を80℃まで冷却後、オートクレーブ内で10分間静置し、ラネー銅触媒を沈降させた。上澄み液を回収して、グリコール酸カリウムを含有する反応液を得た。
上記反応液を分析したところ、モノエチレングリコールの転化率は98.5mol%であり、グリコール酸カリウムの選択率は95.6mol%であった。
(実施例6)
モノエチレングリコール200g、水酸化カリウム198.8g(3.54mol)、水487.5gおよびラネー銅触媒20.2gを内容積3000mlのニッケル製オートクレーブに仕込み、窒素ガスで3回内部置換した。その後、反応温度160℃、反応圧力0.8MPaGで、モノエチレングリコールのmol数の2倍等量に対して1.1倍量の水素が発生するまで反応を行った。
反応に要した時間は、150℃に到達後245分であった。
反応混合物を80℃まで冷却後、オートクレーブ内で10分間静置し、ラネー銅触媒を沈降させた。上澄み液を回収して、グリコール酸カリウムを含有する反応液を得た。
上記反応液を分析したところ、モノエチレングリコールの転化率は98.2mol%であり、グリコール酸カリウムの選択率は92.8mol%であった。
(比較例1)
モノエチレングリコール200g、水酸化カリウム207.9g、水498.5gおよびラネー銅触媒20.2gを内容積3000mlのニッケル製オートクレーブに仕込み、窒素ガスで3回内部置換した。その後、反応温度155℃、反応圧力0.8MPaGで、モノエチレングリコールのmol数の2倍等量に対して1.15倍量の水素が発生するまで反応を行った。
反応に要した時間は、155℃に到達後245分であった。
反応混合物を80℃まで冷却後、オートクレーブ内で10分間静置し、ラネー銅触媒を沈降させた。上澄み液を回収して、グリコール酸カリウムを含有する反応液を得た。
上記反応液を分析したところ、モノエチレングリコールの転化率は99.2mol%であり、グリコール酸カリウムの選択率は85.1mol%であった。
(比較例2)
モノエチレングリコール200g、水酸化カリウム207.9g、水498.5gおよびラネー銅触媒20.2gを内容積3000mlのニッケル製オートクレーブに仕込み、窒素ガスで3回内部置換した。その後、反応温度155℃、反応圧力0.8MPaGで、モノエチレングリコールのmol数の2倍等量に対して0.94倍量の水素が発生するまで反応を行った。
反応に要した時間は、155℃に到達後169分であった。
反応混合物を80℃まで冷却後、オートクレーブ内で10分間静置し、ラネー銅触媒を沈降させた。上澄み液を回収して、グリコール酸カリウムを含有する反応液を得た。
上記反応液を分析したところ、モノエチレングリコールの転化率は88.8mol%であり、グリコール酸カリウムの選択率は87.3mol%であった。
(比較例3)
モノエチレングリコール62g(1mol)、水酸化ナトリウム42g(1.05mol)、水165gおよびラネー銅触媒12.4gを内容積500mlのニッケル製オートクレーブに仕込み、水素ガスで3回内部置換した。その後、反応温度150℃、反応圧力0.98MPaGで、水素の発生がなくなるまで反応を行った。
反応に要した時間は、150℃に到達後180分であった。
反応混合物を80℃まで冷却後、オートクレーブ内で10分間静置し、ラネー銅触媒を沈降させた。上澄み液を回収して、グリコール酸ナトリウムを含有する反応液を得た。
静置後の反応混合物を目視にて観察したところ、シュウ酸ナトリウムが析出していることが確認された。
上記反応液を分析したところ、モノエチレングリコールの転化率は94.6mol%であり、グリコール酸ナトリウムの選択率は87.8mol%であった。
実施例1〜6および比較例1〜3の結果を表1に示す。
表1に示すように、実施例1〜6では、モノエチレングリコールの転化率が95.0〜99.0mol%になるまで酸化脱水素反応を行うことにより、安定して高いグリコール酸塩の選択率を得られることが分かる。一方、比較例1は、モノエチレングリコールの転化率が99.0mol%を超えるまで酸化脱水素反応を行うことにより、実施例と比べて、グリコール酸塩の選択率が低下していることが分かる。また、比較例2および3は、酸化脱水素反応を行う際のモノエチレングリコールの転化率が95.0mol%未満であることにより、実施例と比べて、グリコール酸塩の選択率が低下していることが分かる。

Claims (3)

  1. モノエチレングリコールを、アルカリ金属の水酸化物、水および銅含有触媒の共存下にて、前記モノエチレングリコールの転化率が95.0〜99.0mol%になるまで酸化脱水素反応を行って、グリコール酸塩を含有する反応液を得る工程を有する、グリコール酸の製造方法。
  2. 前記アルカリ金属の水酸化物の使用量が、前記モノエチレングリコールの使用量に対して、1.10モル倍以上である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記アルカリ金属の水酸化物が、水酸化カリウムである、請求項1に記載の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112521265A (zh) * 2020-12-09 2021-03-19 浙江联盛化学股份有限公司 一种连续化生产乙醇酸的方法

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