JP2020164218A - スパウト及びスパウトの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】弁部をより安定して成形することが可能なスパウト及びスパウトの製造方法を提供する。【解決手段】スパウト10は、スパウト10を容器50に取り付けるための取付部20と、取付部20に連設された注出口部30と、注出口部30に連設された弁部40と、を備えている。注出口部30は、内容物が通る中空部33をその内側に画成する筒部32を有し、弁部40は、筒部32の中空部33を塞ぐよう配置された壁部42を含む。弁部40の壁部42には、壁部42の厚み方向に貫通するスリット43と、壁部42の厚み方向の途中までの深さをもつハーフカット線44とが形成されている。【選択図】図1
Description
本開示は、スパウト及びスパウトの製造方法に関する。
近年、調味料などの流動性を有する内容物が収容された容器において、内容物を注出するための部材(以下、スパウトとも称する)として、容器内の圧力が増加すると弁部が開き、容器内の圧力が減少すると弁部が閉じるよう構成されたものが用いられている。スパウトは、プラスチックを射出成形することなどによって形成される、いわゆるボトルと称される容器や、プラスチック製の軟包装材から構成される、いわゆるパウチと称される容器などに取り付けられて利用される。
上述のタイプのスパウトは一般に、スパウトを容器に取り付けるための取付部と、取付部に連設された注出口部と、注出口部に連設された弁部と、を備えている。注出口部は、内容物が通る中空部をその内側に画成する筒部を有しており、弁部は、筒部の中空部を塞ぐよう配置されている。また弁部には、容器の内部と外部とを連通させるよう構成された連通孔が形成されている。弁部は、容器の圧力に応じて容易に変形し得るよう構成されている。このため、使用者が容器を押し潰して容器の内部の圧力を増加させることにより、弁部を変形させて連通孔を拡大させ、内容物が連通孔を通過可能にすることができる。また、容器を押し潰す程度を調整することにより、弁部の連通孔の拡大の程度を調整することができ、これにより、容器からスパウトを介して注出される内容物の流速を調整することができる。
特許文献1乃至3には、上述のタイプのスパウトを、ボトルの口部に取り付ける例が開示されている。なお先行技術文献においては、ボトルに取り付けられるタイプのスパウトが、キャップとも称されている。
従来のスパウトにおいては一般に、取付部と、注出口部や弁部とが互いに別個の部材として構成されている。このため、スパウトの製造工程において、取付部と注出口部や弁部とを組み合わせるという工程が必要になり、製造のコストが高くなると考えられる。また、取付部と注出口部や弁部とを組み合わせるための機構が各部材に必要になり、部材の点数やコストが増加すると考えられる。
一方、特許文献4には、弁部の壁部の厚みを注出口部の天壁部の厚みよりも薄くし、取付部、注出口部及び弁部を一体的に製造することにより、スパウトの製造コストを削減することができる技術が開示されている。
本開示は、弁部をより安定して成形することが可能なスパウト及びスパウトの製造方法を提供する。
本実施の形態によるスパウトは、内容物を収容する容器に取り付けられるスパウトであって、前記スパウトを前記容器に取り付けるための取付部と、前記取付部に連設された注出口部と、前記注出口部に連設された弁部と、を備え、前記注出口部は、内容物が通る中空部をその内側に画成する筒部を有し、前記弁部は、前記筒部の前記中空部を塞ぐよう配置された壁部を含み、前記弁部の前記壁部には、前記壁部の厚み方向に貫通するスリットと、前記壁部の厚み方向の途中までの深さをもつハーフカット線とが形成されている。
本実施の形態によるスパウトにおいて、前記弁部の前記壁部の厚みは、0.3mm以上かつ2.0mm以下であってもよい。
本実施の形態によるスパウトにおいて、前記注出口部は、前記取付部の上部と前記筒部との間に延びる天壁部をさらに有し、前記弁部の前記壁部の厚みは、前記注出口部の前記天壁部の厚みと同一であってもよい。
本実施の形態によるスパウトにおいて、前記ハーフカット線は、前記容器側から前記壁部の厚み方向の途中まで形成されていてもよい。
本実施の形態によるスパウトにおいて、垂直断面視において、前記弁部の前記スリットは、前記筒部の中心軸線に対して傾斜していてもよい。
本実施の形態によるスパウトにおいて、前記取付部、前記注出口部及び前記弁部は、一体的に構成されていてもよい。
本実施の形態によるスパウトの製造方法は、内容物を収容する容器に取り付けられるスパウトの製造方法であって、前記スパウトは、前記スパウトを前記容器に取り付けるための取付部と、前記取付部に連設された注出口部と、前記注出口部に連設された弁部と、を備え、前記注出口部は、内容物が通る中空部をその内側に画成する筒部を有し、前記弁部は、前記筒部の前記中空部を塞ぐよう配置された壁部を含み、前記弁部の前記壁部には、前記壁部の厚み方向に貫通するスリットと、前記壁部の厚み方向の途中までの深さをもつハーフカット線とが形成されており、前記製造方法は、雄型と、雌型と、を準備する工程と、前記雄型及び前記雌型によって囲まれた成形空間に溶融した熱可塑性樹脂を射出する工程と、前記雌型と前記雄型とを離反させた後、前記壁部に前記スリット及び前記ハーフカット線を形成する工程と、を備える。
本実施の形態によれば、弁部をより安定して成形することができる。
以下、図1乃至図7を参照して、一実施の形態について説明する。まず図1を参照して、流動性を有する内容物を収容する容器50に取り付けられたスパウト10の概略について説明する。図1に示す例において、スパウト10は、プラスチックを射出成形やブロー成形することなどによって形成された容器50、いわゆるボトルに取り付けられている。
(スパウト)
図1に示すように、スパウト10は、スパウト10を容器50に取り付けるための取付部20と、取付部20に連設された注出口部30と、注出口部30に連設された弁部40と、を備えている。以下、スパウト10の各部材について説明する。
図1に示すように、スパウト10は、スパウト10を容器50に取り付けるための取付部20と、取付部20に連設された注出口部30と、注出口部30に連設された弁部40と、を備えている。以下、スパウト10の各部材について説明する。
(取付部)
図1に示す例において、容器50は、筒状の口部52を備えたボトルタイプのものであり、口部52の外面にはねじ山53とフランジ部57とが設けられている。またスパウト10の取付部20は、スパウト10が容器50に取り付けられた状態のときに容器50の口部52よりも外側に位置する第1側壁部22を有しており、第1側壁部22の内面にはねじ山23が設けられている。この場合、口部52のねじ山53と取付部20のねじ山23とを螺合させることにより、スパウト10を容器50に取り付けることができる。なお、スパウト10を容器50に対して固定するための方法が、上述の螺合に限られることはない。図示はしないが、嵌合や圧接などによってスパウト10が容器50に対して固定されてもよい。第1側壁部22の厚みは、例えば、1.0mm以上かつ2.0mm以下となっている。
図1に示す例において、容器50は、筒状の口部52を備えたボトルタイプのものであり、口部52の外面にはねじ山53とフランジ部57とが設けられている。またスパウト10の取付部20は、スパウト10が容器50に取り付けられた状態のときに容器50の口部52よりも外側に位置する第1側壁部22を有しており、第1側壁部22の内面にはねじ山23が設けられている。この場合、口部52のねじ山53と取付部20のねじ山23とを螺合させることにより、スパウト10を容器50に取り付けることができる。なお、スパウト10を容器50に対して固定するための方法が、上述の螺合に限られることはない。図示はしないが、嵌合や圧接などによってスパウト10が容器50に対して固定されてもよい。第1側壁部22の厚みは、例えば、1.0mm以上かつ2.0mm以下となっている。
なお本明細書において、「外側」や後述する「外端」、「外面」などの用語は、スパウト10の中心や容器50の中心から相対的に遠い側、端部、面などを意味している。また後述する「内側」、「内端」、「内面」などの用語は、スパウト10の中心や容器50の中心から相対的に近い側、端部、面などを意味している。また、後述する「上」、「下」、「鉛直方向」、「水平方向」などの用語は、容器50に取り付けられたスパウト10が上方に位置するように容器50が立設されている状態を基準とする表現であるが、容器50は、自立可能に構成されたものでなくてもよい。
図1に示すように、スパウト10の取付部20は、第1側壁部22よりも内側に位置する第2側壁部24をさらに有している。第2側壁部24は、容器50の口部52の内面に接するよう構成されている。第2側壁部24の厚みは、例えば、0.5mm以上かつ1.0mm以下となっている。
(注出口部)
次に注出口部30について説明する。注出口部30は、容器50に収容された内容物が通る中空部33をその内側に画成する円筒状の筒部32を有している。筒部32は、その中心軸線が鉛直方向に延びている。また図1に示すように、注出口部30は、取付部20の上部と筒部32との間に延びる天壁部34をさらに有している。天壁部34は、容器50の口部52を覆うように構成されている。例えば天壁部34は、平面視円形状であり、水平方向に広がっている。
次に注出口部30について説明する。注出口部30は、容器50に収容された内容物が通る中空部33をその内側に画成する円筒状の筒部32を有している。筒部32は、その中心軸線が鉛直方向に延びている。また図1に示すように、注出口部30は、取付部20の上部と筒部32との間に延びる天壁部34をさらに有している。天壁部34は、容器50の口部52を覆うように構成されている。例えば天壁部34は、平面視円形状であり、水平方向に広がっている。
(弁部)
次に、図1乃至図3を参照して、弁部40について説明する。図2は、スパウト10の注出口部30及び弁部40を示す平面図である。また図3(a)(b)は、弁部40を示す断面図である。
次に、図1乃至図3を参照して、弁部40について説明する。図2は、スパウト10の注出口部30及び弁部40を示す平面図である。また図3(a)(b)は、弁部40を示す断面図である。
図1に示すように、弁部40は、筒部32の中空部33を塞ぐよう配置された壁部42を含んでいる。この壁部42には、壁部42を貫通するスリット43と、壁部42を貫通しないハーフカット線44とが形成されている。
スリット43は、壁部42の上面42a側から下面42b側まで、壁部42を厚み方向に完全に貫通するように形成されている。また、ハーフカット線44は、壁部42の下面42b側から壁部42の厚み方向の途中までの深さをもって形成されており、壁部42を完全には貫通していない。このハーフカット線44が形成された箇所には、薄肉部45(図3(a)参照)が残存している。なお、「ハーフカット」とは、被カット材料をその厚み方向に途中までカットすることをいう。スリット43及びハーフカット線44は、それぞれ刃物を用いて形成されても良い。
スリット43及びハーフカット線44によって取り囲まれた領域には、折り曲げ片46が形成される。この折り曲げ片46は、容器50の内部の圧力の変化に応じて変形し得るように設定されている。また、ハーフカット線44が形成された箇所である薄肉部45は、部分的に機械的強度が低下している。したがって、容器50の内部に圧力が加わったとき、スリット43によって囲まれた折り曲げ片46が、上面42a側(容器50の反対側)に向かって折れ曲がる。このとき、折り曲げ片46に対応する領域に、内容物を注出するための開口47(図3(b)参照)が形成される。
この場合、使用者が容器50を押し潰すことによって容器50の内部の圧力が増加すると、図3(b)に示すように、スリット43によって区画された壁部42の折り曲げ片46が上面42a側(容器50の反対側)に向かって変形する。このとき、ハーフカット線44は破断しないため、折り曲げ片46のヒンジ部としての役割を果たす。ハーフカット線44によって、薄肉部45の機械的強度が部分的に低下しているので、折り曲げ片46を軽い力で折り曲げることができ、容器50から容易に内容物を注出することが可能となる。
図3(a)において、注出口部30の天壁部34の厚みが符号T1で表されている。天壁部34の厚みT1は、例えば0.3mm以上かつ2.0mm以下とすることが好ましく、0.4mm以上かつ1.8mm以下とすることがより好ましく、0.5mm以上かつ1.5mm以下とすることが更に好ましい。また弁部40の壁部42の厚みT2は、例えば0.3mm以上かつ2.0mm以下とすることが好ましく、0.4mm以上かつ1.8mm以下とすることがより好ましく、0.5mm以上かつ1.5mm以下とすることが更に好ましい。この場合、弁部40の壁部42の厚みT2は、注出口部30の天壁部34の厚みT1と同一に設定されている。しかしながら、これに限らず、天壁部34の厚みT1が壁部42の厚みT2よりも厚くてもよい。あるいは、天壁部34の厚みT1が壁部42の厚みT2よりも薄くてもよい。
図3(a)において、ハーフカット線44の深さT3は、壁部42の厚みT2の40%以上97%以下とすることが好ましい。ハーフカット線44の深さT3を壁部42の厚みT2の40%以上とすることにより、例えば使用者が容器50を押し潰したときに、ハーフカット線44がヒンジ部としての役割を果たし、折り曲げ片46を容易に折り曲げることができる。また、ハーフカット線44の深さT3を壁部42の厚みT2の97%以下とすることにより、例えば使用者が容器50を押し潰したときに、ハーフカット線44まで意図せず破断されないようにすることができる。
また、薄肉部45の厚みT4は、例えば0.05mm以上かつ0.3mm以下とすることが好ましく、0.1mm以上かつ0.15mm以下とすることが更に好ましい。薄肉部45の厚みT4を0.05mm以上とすることにより、例えば使用者が容器50を押し潰したときに、ハーフカット線44まで意図せず破断されないようにすることができる。また、薄肉部45の厚みT4を0.3mm以下とすることにより、例えば使用者が容器50を押し潰したときに、ハーフカット線44がヒンジ部としての役割を果たし、折り曲げ片46を容易に折り曲げることができる。
図2(a)(b)に示すように、スリット43は、平面視で略C字形状を有している。この場合、スリット43は、平面視において所定の円周角を有する円弧の一部を構成している。この円周角としては、例えば120°以上330°以下、好ましくは180°以上300°以下としても良い。またこれに限らず、スリット43の平面形状は、U字形状、V字形状、楕円弧の一部、多角形(三角形、四角形、五角形、六角形等)の一部等、任意の形状とすることができる。また、ハーフカット線44は、平面視で直線形状を有している。ハーフカット線44は、スリット43の両端部43a、43bに接続されている。
スリット43及びハーフカット線44は、全体として平面視で閉じた線形状を構成する。スリット43及びハーフカット線44によって取り囲まれた部分が、上述した折り曲げ片46を構成する。また折り曲げ片46を上面42a側(容器50の反対側)に向かって折れ曲げたときに、上述した開口47が形成される(図3(b)参照)。
図2(a)において、注出口部30の筒部32の内径が符号D1で表されている。また、平面視における弁部40のスリット43の延在範囲の寸法が符号D2で表されている。スリット43の延在範囲の寸法D2は、内容物を注出する際に求められる流量や流速に応じて設定され、例えば4.0mm以上かつ9.0mm以下となっている。筒部32の内径D1は、スリット43の寸法D2に応じて設定され、例えば5.0mm以上かつ10.0mm以下となっている。また、スリット43の延在範囲の寸法D2が、筒部32の内径D1の40%以上かつ90%以下となっていてもよい。
図2(b)において、弁部40のスリット43の幅が符号W1で表されている。スリット43の幅W1は、容器50が押し潰されていないときに内容物が弁部40のスリット43を通らないように設定されており、例えば0.1mm以上かつ0.3mm以下となっている。また、弁部40のハーフカット線44の幅が符号W2で表されている。ハーフカット線44の幅W2は、ハーフカット線44がヒンジ部としての役割を果たし、折り曲げ片46を容易に折り曲げることができるように設定されており、例えば0.05mm以上かつ0.2mm以下となっている。
図1に示すように、弁部40は、筒部32の下端(容器50側の端部)の位置に設けられている。また、壁部42の上面42aと天壁部34の上面34a(容器50の反対側の面)とは同一平面上にあり、壁部42の下面42bと天壁部34の下面34b(容器50側の面)とは同一平面上にある。この場合、弁部40のスリット43を通った後の内容物は、容器50の角度や容器50を押し潰す程度を適切に調節することにより、スパウト10の外部に排出される前に、筒部32の内面に沿って流動することができる。このため、弁部40のスリット43を通った後の内容物がそのままスパウト10の外部に排出される場合と比べて、内容物の到達位置や流量を容易に調整することができる。
なお本実施の形態においては、筒部32の内面の水平断面は、上下方向に沿って均一な形状を有している。このため、筒部32の内面が上方に向かうにつれて先細になっている場合と比べて、弁部40が閉じられた後に筒部32の中空部33に内容物が残留してしまうことを抑制することができる。
図1において、筒部32の上端(容器50の反対側の端部)から弁部40の壁部42の上面42a(容器50の反対側の面)までの距離が符号L1で表されている。距離L1は、弁部40の開口47(図3(b)参照)を通った後の内容物を筒部32の中空部33に適切に溜めておくことができるよう設定されており、例えば3.0mm以上かつ10.0mm以下となっている。
本実施の形態において、上述の取付部20、注出口部30及び弁部40は、同一の材料によって一体的に構成されている。このため後述するように、熱可塑性樹脂を用いた射出成形法によって、取付部20、注出口部30及び弁部40を一体的に製造することができる。なお「一体的」とは、取付部20と注出口部30との間、及び注出口部30と弁部40との間に、嵌合や圧接などによる連結や、熱溶着などに起因する継ぎ目が存在しないことを意味している。
(蓋)
図1に示すように、スパウト10には、注出口部30の筒部32を少なくとも覆う蓋15が取り付けられていてもよい。これにより、仮に容器50が倒れて内容物が弁部40から意図せず排出されたとしても、内容物が外部に漏れ出てしまうことを抑制することができる。また、外部の塵などが注出口部30の筒部32や弁部40に付着してしまうことを抑制することができる。図1に示す例において、蓋15は、一周にわたって広がるとともに鉛直方向に延びる側壁部16と、側壁部16の上部に連設され、水平方向に延びる天壁部17と、天壁部17からスパウト10の注出口部30の筒部32に向かって突出した筒部18と、を有している。蓋15の筒部18は、スパウト10の注出口部30の筒部32の内面に接することができるように構成されている。側壁部16、天壁部17、筒部18の厚みはそれぞれ、例えば、1.0mm以上かつ2.0mm以下、1.0mm以上かつ2.0mm以下、0.5mm以上かつ1.0mm以下となっている。
図1に示すように、スパウト10には、注出口部30の筒部32を少なくとも覆う蓋15が取り付けられていてもよい。これにより、仮に容器50が倒れて内容物が弁部40から意図せず排出されたとしても、内容物が外部に漏れ出てしまうことを抑制することができる。また、外部の塵などが注出口部30の筒部32や弁部40に付着してしまうことを抑制することができる。図1に示す例において、蓋15は、一周にわたって広がるとともに鉛直方向に延びる側壁部16と、側壁部16の上部に連設され、水平方向に延びる天壁部17と、天壁部17からスパウト10の注出口部30の筒部32に向かって突出した筒部18と、を有している。蓋15の筒部18は、スパウト10の注出口部30の筒部32の内面に接することができるように構成されている。側壁部16、天壁部17、筒部18の厚みはそれぞれ、例えば、1.0mm以上かつ2.0mm以下、1.0mm以上かつ2.0mm以下、0.5mm以上かつ1.0mm以下となっている。
図1に示すように、蓋15は、ヒンジ19を介してスパウト10に連設されている。この場合、好ましくは、スパウト10、蓋15及びヒンジ19は、同一の材料によって構成されている。また好ましくは、スパウト10、蓋15及びヒンジ19は、一体的に構成されている。また、側壁部16の外面の、ヒンジ19を回転軸とする回転半径が最も大きくなる部分に、蓋15を開き易くするための突出片14が設けられている。
(容器)
次に容器50について説明する。図1に示すようなボトルタイプの容器50は、例えば、ポリプロピレンやポリエチレンテレフタレートなどの熱可塑性樹脂を射出成形やブロー成形することによって作製され得る。容器50の胴部54の厚みT5は、使用者が胴部54を押圧することによって押し潰すことができるように設定されている。例えば厚みT5は、0.3mm以上かつ1.0mm以下となっている。
次に容器50について説明する。図1に示すようなボトルタイプの容器50は、例えば、ポリプロピレンやポリエチレンテレフタレートなどの熱可塑性樹脂を射出成形やブロー成形することによって作製され得る。容器50の胴部54の厚みT5は、使用者が胴部54を押圧することによって押し潰すことができるように設定されている。例えば厚みT5は、0.3mm以上かつ1.0mm以下となっている。
容器50に収容され、スパウト10を介して外部に注出される内容物の例としては、醤油などの液体や、マヨネーズなどの粘稠体などが挙げられる。
(本実施の形態の作用)
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について述べる。具体的には、スパウト10が取り付けられた容器50から内容物を注出する際の作用について、説明する。
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について述べる。具体的には、スパウト10が取り付けられた容器50から内容物を注出する際の作用について、説明する。
はじめに、容器50から内容物を注出する前の状態では、壁部42の折り曲げ片46は曲げられておらず、壁部42の上面42a及び下面42bと、天壁部34の上面34a及び下面34bとはそれぞれ同一平面上にある(図3(a)参照)。
次に、使用者が容器50の例えば胴部54を押し潰す。このとき、容器50の内部の圧力が増加し、折り曲げ片46が上面42a側(容器50の反対側)に向かって変形する(図3(b)参照)。このとき、ハーフカット線44は破断しないため、折り曲げ片46のヒンジ部としての役割を果たす。ハーフカット線44によって、薄肉部45の機械的強度が部分的に低下しているので、折り曲げ片46を軽い力で折り曲げることができ、容器50から容易に内容物を注出することが可能となる。このため、ハーフカット線44を設けない場合と比べて、折り曲げ片46をスムーズに曲げることができる。
これにより、容器50に収容されている内容物を、スパウト10を介して外部に注出することが可能になる。また、容器50を押し潰す程度を調整することにより、折り曲げ片46の曲がりの程度を調整することができ、これにより、容器50からスパウト10を介して注出される内容物の流速を調整することができる。
その後、使用者が容器50から手を離すと、容器50の弾性的な復元力に基づいて容器50が元の形状に戻り、これにより容器50の内部の圧力が減少する(元に戻る)。このとき、弁部40の壁部42も図3(a)に示す元の状態に戻り、この結果、折り曲げ片46が元に戻る。すなわち弁部40が閉じる。したがって、内容物の注出を停止させることができる。
(スパウトの製造方法)
次に、図4乃至図7を参照して、スパウト10の製造方法について説明する。ここでは、射出成形法によってスパウト10の取付部20、注出口部30及び弁部40を一体的に製造する方法を説明する。
次に、図4乃至図7を参照して、スパウト10の製造方法について説明する。ここでは、射出成形法によってスパウト10の取付部20、注出口部30及び弁部40を一体的に製造する方法を説明する。
はじめに、雄型64及び雌型62を準備する。雌型62は、スパウト10の外面側の形状を画定するものであり、雄型64は、スパウト10の内面側の形状を画定するものである。
次に、図5に示すように、雄型64及び雌型62によって囲まれた成形空間70に、雌型62に設けられた注入口63を介して、溶融した熱可塑性樹脂72を射出する。これにより、成形空間70に、射出された熱可塑性樹脂72からなる成形体74を形成することができる。なお本明細書において「成形体」とは、熱可塑性樹脂72が冷却されて固化した状態であって、スリット43及びハーフカット線44が形成される前のものをいう。成形空間70に射出される熱可塑性樹脂72の例としては、ポリプロピレンやポリエチレンなどを挙げることができる。
次に、雄型64と雌型62とを離反させて成形体74を取り出す。ここで上述のように、成形体74のうちスパウト10の注出口部30の筒部32となる部分は、筒部32を構成する内面が下端から上端に向かって互いに平行に鉛直方向に延びるよう、構成されている。このため、雌型62を成形体74から容易に引き離すことができる。その後、図6に示すように、スパウト10の壁部42に、例えばスパウト10の下面となる側から、カッター78などを用いてスリット43及びハーフカット線44を形成する。スリット43及びハーフカット線44は、同時に形成されても良く、異なるタイミングで形成されても良い。なお、スリット43は、スパウト10の上面となる側からカッター78などを用いて形成してもよい。
このようにして、図7に示すように、スリット43及びハーフカット線44が形成された壁部42を有するスパウト10を得ることができる。
なお上述の図4乃至図7は、スパウト10が蓋15とは別個のものである場合に、射出成形法によってスパウト10を製造する方法の一例を示すものである。上述の図1に示すようにスパウト10と蓋15とが一体的に構成される場合、図示はしないが、スパウト10及び蓋15が射出成形法によって同時に一体的に製造される。
このように、本実施の形態によれば、スパウト10の弁部40に形成されたハーフカット線44により、薄肉部45をヒンジ部として機能させ、折り曲げ片46を軽い力で折り曲げることができる。これにより、容器50からスパウト10を介して注出される内容物の流量を自在にコントロールすることができる。
また本実施の形態によれば、スパウト10の弁部40に形成されたハーフカット線44により、薄肉部45をヒンジ部として機能させる。この場合、壁部42を薄く形成する必要がないので、壁部42に対応する箇所で雄型64及び雌型62との間隔を狭くする必要がない。また、成形空間70内の樹脂圧力を高くしたり、成形空間70内での熱可塑性樹脂72の流動性を高めたりする必要もない。また、壁部42を薄く形成するために成形金型を特殊な構造にする必要もない。このため、スパウト10の弁部40をより安定して成形することが可能となる。
また本実施の形態によれば、弁部40の壁部42の厚みT2は、0.3mm以上かつ2.0mm以下であり、注出口部30の天壁部34の厚みT1と同一となっている。この場合、壁部42を薄く形成する必要がないので、壁部42に対応する箇所で雄型64及び雌型62との間隔を狭くする必要がない。また、成形空間70内の樹脂圧力を高くしたり、成形空間70内での熱可塑性樹脂72の流動性を高めたりする必要もない。また、壁部42を薄く形成するために成形金型を特殊な構造にする必要もない。このため、スパウト10の弁部40をより安定して成形することが可能となる。
また本実施の形態によれば、ハーフカット線44は、壁部42の下面42b側から壁部42の厚み方向の途中までの深さをもって形成されている。これにより、容器50の内部の圧力が増加したとき、折り曲げ片46を壁部42の上面42a側(容器50の反対側)に向かって変形しやすくすることができる。
さらに本実施の形態によれば、スパウト10の取付部20、注出口部30及び弁部40は、上述のように、熱可塑性樹脂72を用いた射出成形法によって同時に一体的に製造される。このため、従来技術とは異なり、取付部20と、注出口部30や弁部40とを組み合わせる工程が不要である。したがって、スパウト10の製造コストを削減することができる。また、取付部20と注出口部30や弁部40を組み合わせるための機構が不要であり、このため、スパウト10のための部材の点数やコストを削減することができる。
(変形例)
上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、必要に応じて図面を参照しながら、変形例について説明する。以下の説明及び以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。また、上述した実施の形態において得られる作用効果が変形例においても得られることが明らかである場合、その説明を省略することもある。
上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、必要に応じて図面を参照しながら、変形例について説明する。以下の説明及び以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。また、上述した実施の形態において得られる作用効果が変形例においても得られることが明らかである場合、その説明を省略することもある。
(弁部のスリットの変形例)
図8(a)(b)に示すように、弁部40のスリット43は、平面視において十字形状を有していてもよい。この場合、ハーフカット線44は、平面視で四角形(菱形)に形成され、十字形状のスリット43を取り囲むように配置されている。図8(b)に示すように、スリット43は、直線的に延びる第1スリット43cと、第1スリット43cとは異なる方向に直線的に延びる第2スリット43dと、を含んでいる。また、第1スリット43c及び第2スリット43dは、互いに交差するよう配置されている。例えば図8(b)に示す例において、第1スリット43c及び第2スリット43dは互いに直交している。このため、容器50が押圧されていない状態において、スリット43は平面視で十字状の形状を有している。
図8(a)(b)に示すように、弁部40のスリット43は、平面視において十字形状を有していてもよい。この場合、ハーフカット線44は、平面視で四角形(菱形)に形成され、十字形状のスリット43を取り囲むように配置されている。図8(b)に示すように、スリット43は、直線的に延びる第1スリット43cと、第1スリット43cとは異なる方向に直線的に延びる第2スリット43dと、を含んでいる。また、第1スリット43c及び第2スリット43dは、互いに交差するよう配置されている。例えば図8(b)に示す例において、第1スリット43c及び第2スリット43dは互いに直交している。このため、容器50が押圧されていない状態において、スリット43は平面視で十字状の形状を有している。
図9(a)(b)に示すように、垂直断面視において、弁部40のスリット43が、筒部32の中心軸線に対して傾斜していても良い。具体的には、スリット43は、断面視で壁部42の下面42b側から上面42a側に向かうにつれて、径方向内側から径方向外側に向かうように傾斜している。スリット43と壁部42の下面42bとのなす角θは、30°以上かつ90°以下としても良い。この場合、図9(b)に示すように、容器50の内部の圧力が増加したとき、折り曲げ片46を壁部42の上面42a側(容器50の反対側)に向けて変形しやすくすることができる。一方、スリット43が傾斜しているので、使用者が容器50から手を離した際、折り曲げ片46が壁部42の下面42bよりも下方(容器50側)に折れ曲がってしまうことがないので、折り曲げ片46を元の位置(図9(a)参照)に戻しやすくすることができる。
(弁部のハーフカット線の変形例)
上述した実施の形態においては、ハーフカット線44が壁部42の下面42b側から壁部42の厚み方向の途中まで形成されている例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図10(a)に示すように、ハーフカット線44が壁部42の上面42a側から壁部42の厚み方向の途中まで形成されていても良い。
上述した実施の形態においては、ハーフカット線44が壁部42の下面42b側から壁部42の厚み方向の途中まで形成されている例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図10(a)に示すように、ハーフカット線44が壁部42の上面42a側から壁部42の厚み方向の途中まで形成されていても良い。
また、図10(b)(c)に示すように、ハーフカット線44が、壁部42の上面42a側からの上側ハーフカット線44aと、壁部42の下面42b側からの下側ハーフカット線44bとから構成されていても良い。この場合、図10(b)に示すように、上側ハーフカット線44aと下側ハーフカット線44bとが平面視で互いに重なるように形成されていても良い。あるいは、図10(c)に示すように、上側ハーフカット線44aと下側ハーフカット線44bとが平面視で互いにずれて形成されていても良い。
(容器の変形例)
上述の本実施の形態においては、スパウト10がボトルタイプの容器50に取り付けられるものである例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図11に示すように、スパウト10は、プラスチック製の軟包装材から構成されたパウチタイプの容器50に取り付けられるものであってもよい。なお図11においては、容器50が一点鎖線で表されている。
上述の本実施の形態においては、スパウト10がボトルタイプの容器50に取り付けられるものである例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図11に示すように、スパウト10は、プラスチック製の軟包装材から構成されたパウチタイプの容器50に取り付けられるものであってもよい。なお図11においては、容器50が一点鎖線で表されている。
図11に示す例においても、スパウト10は、スパウト10をパウチタイプの容器50に取り付けるための取付部20と、取付部20に連設された注出口部30と、注出口部30に連設された弁部40と、を備えている。
図11に示す例において、取付部20は、熱溶着などによってパウチタイプの容器50の上部55に溶着される溶着部26を含んでいる。この溶着部26には、注出口部30の筒部32の中空部33、及び容器50の内部に連通する連通孔27が形成されている。また注出口部30の筒部32の下端が、取付部20の溶着部26に連設されている。また筒部32の外面に、図示しない蓋のねじ山と螺合するねじ山35や、水平方向に延びるフランジ部36が設けられている。
なお図11においては、スパウト10がパウチタイプの容器50の上部55の中央部に取り付けられる例を示したが、これに限られることはない。図示はしないが、スパウト10は、スパウト10がパウチタイプの容器50の上部55と側部56との間の角部において容器50に取り付けられていてもよい。
本開示は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
10 スパウト
15 蓋
20 取付部
30 注出口部
32 筒部
33 中空部
34 天壁部
40 弁部
42 壁部
43 スリット
44 ハーフカット線
45 薄肉部
46 折り曲げ片
47 開口
50 容器
15 蓋
20 取付部
30 注出口部
32 筒部
33 中空部
34 天壁部
40 弁部
42 壁部
43 スリット
44 ハーフカット線
45 薄肉部
46 折り曲げ片
47 開口
50 容器
Claims (7)
- 内容物を収容する容器に取り付けられるスパウトであって、
前記スパウトを前記容器に取り付けるための取付部と、
前記取付部に連設された注出口部と、
前記注出口部に連設された弁部と、を備え、
前記注出口部は、内容物が通る中空部をその内側に画成する筒部を有し、
前記弁部は、前記筒部の前記中空部を塞ぐよう配置された壁部を含み、
前記弁部の前記壁部には、前記壁部の厚み方向に貫通するスリットと、前記壁部の厚み方向の途中までの深さをもつハーフカット線とが形成されている、スパウト。 - 前記弁部の前記壁部の厚みは、0.3mm以上かつ2.0mm以下である、請求項1に記載のスパウト。
- 前記注出口部は、前記取付部の上部と前記筒部との間に延びる天壁部をさらに有し、前記弁部の前記壁部の厚みは、前記注出口部の前記天壁部の厚みと同一である、請求項1又は2に記載のスパウト。
- 前記ハーフカット線は、前記容器側から前記壁部の厚み方向の途中まで形成されている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のスパウト。
- 垂直断面視において、前記弁部の前記スリットは、前記筒部の中心軸線に対して傾斜している、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のスパウト。
- 前記取付部、前記注出口部及び前記弁部は、一体的に構成されている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のスパウト。
- 内容物を収容する容器に取り付けられるスパウトの製造方法であって、
前記スパウトは、
前記スパウトを前記容器に取り付けるための取付部と、
前記取付部に連設された注出口部と、
前記注出口部に連設された弁部と、を備え、
前記注出口部は、内容物が通る中空部をその内側に画成する筒部を有し、
前記弁部は、前記筒部の前記中空部を塞ぐよう配置された壁部を含み、
前記弁部の前記壁部には、前記壁部の厚み方向に貫通するスリットと、前記壁部の厚み方向の途中までの深さをもつハーフカット線とが形成されており、
前記製造方法は、
雄型と、雌型と、を準備する工程と、
前記雄型及び前記雌型によって囲まれた成形空間に溶融した熱可塑性樹脂を射出する工程と、
前記雌型と前記雄型とを離反させた後、前記壁部に前記スリット及び前記ハーフカット線を形成する工程と、を備える、スパウトの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019068159A JP2020164218A (ja) | 2019-03-29 | 2019-03-29 | スパウト及びスパウトの製造方法 |
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-
2019
- 2019-03-29 JP JP2019068159A patent/JP2020164218A/ja active Pending
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