JP2020163856A - 積層体とその製造方法、及び表示装置 - Google Patents

積層体とその製造方法、及び表示装置 Download PDF

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雅行 内田
Masayuki Uchida
雅行 内田
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Yusuke Nakai
祐介 中井
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Abstract

【課題】印刷層の段差による浮き上がりや気泡がなく、またアウトガスによる膨れや気泡がない積層体及び該積層体を簡便に製造できる方法の提供。【解決手段】光透過性基板2と、可視光領域の波長以下の周期で形成された複数の凸部からなる微細凹凸構造4aを一方の面に有するフィルム3と、フィルム3の微細凹凸構造4aを有する面上に形成された印刷層6とを備えた積層体1であって、基板2の一方の面と、フィルム3の微細凹凸構造4aを有する面と反対側の面とが、光透過性の粘着材層5を介して積層される積層体。【選択図】図2

Description

本発明は、積層体とその製造方法、及び表示装置に関する。
光透過性基板上には各種方式による印刷層を設けて、様々な意匠を施すことができる。前記基板として例えば、画像表示装置の前面に配置するカバー部材を構成する基板には、画像表示や意匠の視認性、色再現性を向上させる目的で印刷層上に光透過性の薄膜フィルム(光学フィルム)を粘着することがある(図1)。その場合、印刷層の段差によって、浮き上がりや気泡が発生することがあった。この問題を解決する方法として例えば、特許文献1には、印刷層と、粘着層を有する光学フィルム(モスアイフィルム)との間に平滑化層を設けることにより、印刷の段差による気泡発生を抑制する方法が開示されている。
特開2016−35422号公報
しかしながら、この方法では平滑化層を設ける工程が増加してしまい、コスト高となる。また印刷層上に光学フィルムを粘着すると、印刷層から放出されるガス(アウトガス)によりフィルムの粘着層側に膨れや気泡が発生することがあった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、印刷層の段差による浮き上がりや気泡がなく、またアウトガスによる膨れや気泡がない積層体及び該積層体を簡便に製造できる方法の提供を課題とする。
本発明は以下の態様を有する。
[1]光透過性基板と、可視光領域の波長以下の周期で形成された複数の凸部からなる微細凹凸構造を一方の面に有するフィルムと、前記フィルムの微細凹凸構造を有する面上に形成された印刷層とを備えた積層体であって、前記基板の一方の面と、前記フィルムの微細凹凸構造を有する面と反対側の面とが、光透過性の粘着材層を介して積層された積層体。
[2]フィルムの微細凹凸構造を有する面に印刷層が形成されていない領域を有する、前記積層体。
[3]微細凹凸構造の表面の水接触角が30°以下である、前記積層体。
[4]微細凹凸構造の表面の水接触角が120°以上である、前記積層体。
[5]粘着材層の厚さが50μm以下である、前記積層体。
[6]光透過性基板の材料が、ポリカーボネート及びアクリル樹脂の内の少なくとも一つである、前記積層体。
[7]前記積層体を有する表示装置。
[8]前記表示装置であって、光透過性基板の粘着材層と接する面と反対の面が、前記装置の外側に向けて配設された表示装置。
[9]可視光領域の波長以下の周期で形成された複数の凸部からなる微細凹凸構造を一方の面に有するフィルムの前記微細凹凸構造の面上に印刷層を形成した後、光透過性基板の一方の面と、前記フィルムの微細凹凸構造を有する面と反対側の面とを、光透過性の粘着材層を介して積層する、積層体の製造方法。
[10]可視光領域の波長以下の周期で形成された複数の凸部からなる微細凹凸構造を一方の面に有するフィルムを作製し、次いで前記微細凹凸構造を有する面と反対の面上に光透過性の粘着材層を形成した後、前記微細凹凸構造の面上に印刷層を形成し、光透過性基板の一方の面と前記フィルムの粘着材層を有する面とを貼り合せて積層する、積層体の製造方法。
本発明の積層体は、各層の密着性が良好であり、印刷層の段差による浮き上がりや気泡がなく、またアウトガスによる膨れや気泡がない。本発明の積層体の製造方法によれば、各層の密着性が良好であり、印刷層の段差による浮き上がりや気泡がなく、またアウトガスによる膨れや気泡がない積層体を簡便で、かつ低コストで製造できる。さらに本発明の表示装置は、視認性が向上する。
従来の積層体の一例を示す断面図である。 本発明の積層体の一例を示す断面図である。
以下本発明を詳細に説明する。
なお、本明細書において、「光透過性」とは、少なくとも可視光すなわち波長400〜800nmの光を透過することを意味する。
また、本明細書における「活性エネルギー線」とは、可視光線、紫外線、電子線、プラズマ、熱線(赤外線等)等を意味する。
また、本明細書における「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレートの総称であり、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸およびメタクリル酸の総称であり、「(メタ)アクリロニトリル」は、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルの総称であり、「(メタ)アクリルアミド」は、アクリルアミドおよびメタクリルアミドの総称である。
図1、2においては、各層を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層ごとに縮尺を異ならせてある。
「第一の実施形態」
<積層体>
図2は、本発明の第一の実施形態の積層体の一例を示す断面図である。この例の積層体1は、光透過性基板と、可視光領域の波長以下の周期で形成された複数の凸部からなる微細凹凸構造を一方の面に有するフィルムと、前記フィルムの微細凹凸構造を有する面上に形成された印刷層とを備えた積層体であって、前記基板の一方の面と、前記フィルムの微細凹凸構造を有する面と反対側の面とが、光透過性の粘着材層を介して積層された構成となっている。
(光透過性基板)
光透過性基板2の材料としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル、セルロース系樹脂(トリアセチルセルロース等)、ポリオレフィン、脂環式ポリオレフィン、ガラス等が挙げられる。透明性、耐久性等の観点から、ポリカーボネート及びアクリル樹脂の内の少なくとも一つであることが好ましい。光透過性基板は着色透明であっても無色透明であってもよく、用途に応じて、意匠性や光の透過性を考慮して適宜選択されてもよい。
光透過性基板2の表面には、密着性、帯電防止性、耐擦傷性、耐候性等の特性の改良を目的として、コーティングやコロナ処理が施されていてもよい。
(フィルム)
フィルム3の材料としては、前記光透過性基板のものと同様なものを用いることができる。フィルム3の一方の面には、微細凹凸構造を有する硬化樹脂層が形成されている。フィルム3の表面には、前記光透過性基板の表面と同様に、各種コーティングやコロナ処理が施されてもよい。
フィルム3の材料としては、アクリル樹脂の具体例としては、アクリプレンHBS010P、HBS006、HBA002P(三菱ケミカル社製)、テクノロイS000、S020、S001G、S014G、TSF001、TSF002、MX001M30、MXS001M60(エスカーボシート社製)、サンデュレンSD009、SD010(カネカ社製)、アクリビュアFZ、FV、HV(日本触媒社製)等が挙げられる。
ポリカーボネートの具体例としては、パンライトPC−1151、PC−2151、PC−1141、PC−2141、NJ−5100、NK−5101(帝人社製)、C000、C001、C003、C101、C103、C010(エスカーボシート社製)、PC−10、AW−10、PW−10(シャインテクノ社製)、エルメックRフィルム(カネカ社製)等が挙げられる。ポリエステルの具体例としては、ダイアホイルT910E、T600E(三菱ケミカル社製)、ルミラーU343、U483,U403,U413、UD03、UH13、UF83、QTH0、SF20(東レ社製)、コスモシャインA4300、A2330、TA017、TA015、TA042、TA044、TA048、ソフトシャインTA009(東洋紡社製)等が挙げられる。セルロース系の具体例としては、フジタックTD80U、TD80UL、T80UZ、T80SE、TD60ULP(富士フイルム社製)、TACフィルムKC4UA(コニカミノルタ社製)等が挙げられる。
脂環式ポリオレフィンの具体例としては、ゼオノアZF14、ZF16(日本ゼオン社製)、アートンフィルム(JSR社製)、TOPAS(ポリプラスチックス社製)等が挙げられる。
フィルムの表面には、密着性の向上や屈折率の調整等の特性の改良を目的として、プライマーコーティングが施されてもよい。
フィルムの厚さは、ハンドリングの容易さ、熱力学物性の安定性の観点から、10μm以上が好ましく、20μm以上がより好ましい。また700μm以下が好ましく、200μm以下がより好ましく、100μm以下がさらに好ましい。
(硬化樹脂層)
硬化樹脂層4は、後述の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物からなる膜であり、複数の凸部4aからなる微細凹凸構造を表面に有する。
微細凹凸構造の形成方法としては特に限定されず、例えば直接成形体に形成する方法、微細凹凸構造を有するモールドから転写する方法(転写法)などが挙げられる。転写法の場合、微細凹凸構造は、後述する陽極酸化アルミナの複数の細孔を転写して形成されたものであることが好ましい。陽極酸化アルミナの複数の細孔を転写して形成された微細凹凸構造は、低コストで形成でき、かつ大面積化が可能である。
微細凹凸構造の隣り合う凸部4a間の平均間隔(周期)Pは、可視光領域の波長以下、すなわち400nm以下であり、300nm以下が好ましく、250nm以下がより好ましい。陽極酸化アルミナの複数の細孔を転写して凸部4aを形成した場合、細孔間隔を大きくするには電圧を高くする必要があり、工業的には製造しづらくなることから、凸部4a間の平均間隔Pは、200nm以下が特に好ましい。凸部4a間の平均間隔Pが可視光領域の波長以下であれば、反射率が低く、かつ反射率の波長依存性が少ない。
凸部4a間の平均間隔Pは、凸部4aの形成のしやすさの点から、20nm以上が好ましく、80nm以上がより好ましい。
凸部4a間の平均間隔Pは、電子顕微鏡観察によって、隣接する凸部4a間の間隔(凸部4aの中心から隣接する凸部4aの中心までの距離)を50点測定し、これらの値を平均したものである。
凸部4aの平均高さHは、100nm以上が好ましく、130nm以上がより好ましい。凸部4aの平均高さHが100nm以上であれば、反射率が低く、かつ反射率の波長依存性が少ない。また、層間の密着性を十分に確保できる。180nm以上300nm以下であれば可視光領域と近赤外光領域の反射を効果的に低減できる。凸部4aの平均高さHは、凸部構造の形成のしやすさの点から、400nm以下が好ましく、300nm以下がより好ましい。
凸部4aの平均高さHは、電子顕微鏡観察によって、凸部4aの最頂部と、凸部4a間に存在する凹部の最底部との間の距離を50点測定し、これらの値を平均したものである。
凸部4aのアスペクト比(H/P)は、0.8〜5が好ましく、1.2〜4がより好ましく、1.5〜3がさらに好ましい。凸部4aのアスペクト比が0.8以上であれば、反射率が十分に低くなる。また、層間の密着性を十分に確保できる。凸部4aのアスペクト比が5以下であれば、凸部4aの耐擦傷性が良好となる。
凸部4aの形状としては、略円錐形状、角錐形状、釣鐘形状、円柱形状等が挙げられる。
(印刷層)
印刷層6は、樹脂インキを含む層であることが好ましいが、この樹脂インキに限定されるものではない。以下「インキ」を「インク」ということもある。
印刷層6は、単層構造でもよいし多層構造でもよい。通常は、異なる色の印刷層が複数、光透過性基板2の裏面に形成され、写真、絵柄、文字、数字などの印刷画像を構成している。
樹脂インキは、樹脂と、着色剤と、溶剤とを含む。また、樹脂インキは、必要に応じて添加剤を含んでいてもよい。
樹脂インキは油性と水溶性とに大別できる。本発明に用いる樹脂インキは、油性でもよいし水溶性でもよいが、硬化樹脂層4との馴染みに優れる点で、油性が好ましい。
油性インキや水溶性インキとしては、印刷画像の形成に用いられる公知のインキを用いることができる。また、市販品を用いてもよい。油性インキの具体例としては、十条ケミカル社製:品番762、レイキュアシリーズ、帝国インキ社製:IPX−HFシリーズ、MIX−HFシリーズ、IRX−HFシリーズ、セイコーアドバンス社製:HF−HSDシリーズ、HF−GV3シリーズ、HF−GV2シリーズ、IR BLACKシリーズ、Roland社製:EUV−BK (90)ブラックなどが挙げられる。また油性マーカー(例えばゼブラ社製、マッキー)も印刷層を形成できる。
以下に油性インキおよび水溶性インキに含まれる各成分の一例について具体的に説明する。
油性インキ:
油性インキに含まれる樹脂としては、例えばアクリル樹脂、マレイン酸樹脂、ロジン系樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ブチラール樹脂等の熱可塑性樹脂などが挙げられる。
油性インキに含まれる着色剤としては、例えばアゾ系金属錯塩、フタロシアニン等の染料;カーボンブラック、有機顔料等の顔料などが挙げられる。
油性インキに含まれる溶剤は、ケトン、アルコール、酢酸エチル等の有機溶剤である。特に浸透性を有するアルコールが好ましく、硬化樹脂層4との界面での屈折率差を小さくできる。
油性インキに含まれる添加剤としては、例えば導電性付与剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などが挙げられる。
水溶性インキ:
水溶性インキは、一般に着色剤、分散剤(樹脂等)、添加剤、親水性溶剤の成分から構成される。水溶性インキに含まれる樹脂としては、例えばアクリル系のブロック共重合体などが挙げられる。
水溶性インキに含まれる着色剤としては、例えばアニオン性アゾ染料、フタロシアニン等の染料;カーボンブラック、有機顔料等の顔料などが挙げられる。
水溶性インキに含まれる溶剤は、水が主成分である。また、水には、乾燥防止剤の役割を果たすグリセリンやグリコール、浸透剤の役割を果たすアルコールやグリコールエーテルなどが含まれていてもよい。特に、水に浸透剤が含まれていれば、光透過性基板2との界面での屈折率差を小さくできる。
水溶性インキに含まれる添加剤としては、例えばアルコールアミン、水酸化ナトリウム等のpH調整剤;EDTA等のキレート化剤;ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤等の界面活性剤;防菌防カビ剤などが挙げられる。水溶性インキとしては、例えば市販のプラスチック用印刷インキを用いることができる。
印刷層6は、硬化樹脂層4との屈折率差が−0.2〜0.2の範囲内であることが好ましい。硬化樹脂層4との屈折率差が上記範囲内であれば、硬化樹脂層4に形成された微細凹凸構造により、光透過性基板2側から積層体1を見た場合に、外光による反射を抑えることができ、印刷層6による印刷画像を鮮明に見せることができる。
フィルムの微細凹凸構造を有する面に印刷層が形成されていない領域を有することが好ましい。印刷層が形成された領域は印刷画像が鮮明となり、また、印刷層が形成されていない透明な領域では、微細凹凸構造による光の反射の低減により、背景の画像(電子表示、絵画など)の視認性が向上するため優れた意匠部材として有用である。
<積層体の製造方法>
本発明の積層体は、可視光領域の波長以下の周期で形成された複数の凸部からなる微細凹凸構造を一方の表面に有するフィルムの前記微細凹凸構造の面上に印刷層を形成した後、光透過性基板の一方の面と、前記フィルムの微細凹凸構造を有する面と反対側の面とを、光透過性の粘着材層を介して積層することにより、製造することができる。
また本発明の積層体は、可視光領域の波長以下の周期で形成された複数の凸部からなる微細凹凸構造を表面に有するフィルムを作製し、次いで前記微細凹凸構造を有する面と反対の面上に光透過性の粘着材層を形成した後、前記微細凹凸構造の面上に印刷層を形成し、光透過性基板の一方の面と前記フィルムの粘着材層を有する面とを貼り合せて積層することにより、製造することができる。
前記製造方法に限定されるものではないが、製造プロセス上の扱い易さや製造ロットの大きさ等の観点から、前記製造方法が好ましく、これらを適宜選択することができる。
図2に示す積層体1は、例えばフィルム3の表面に硬化樹脂層4を形成し、該硬化樹脂層4の表面の微細凹凸構造上に、樹脂インキを用いて印刷層6を印刷した後、光透過性基板の一方の面と、前記フィルムの微細凹凸構造を有する面と反対側の面とを、光透過性の粘着材層を介して積層することにより製造できる。
微細凹凸構造の表面に印刷層6を印刷する方法としては特に制限されず、公知の方法を採用できる。具体的には、インクジェット印刷、熱転写(インクリボン)印刷、レーザープリンタ印刷等の無版印刷;スクリーン印刷等の孔版印刷;オフセット印刷等の平版印刷;活版印刷、フレキソ印刷等の凸版印刷;グラビア印刷等の凹版印刷などが挙げられる。また、印鑑やはんこ等を用いて印刷層6を形成したり、単なる描画により印刷層6を形成したりしてもよく、このように印刷層6を形成する場合も、印刷に含める。
フィルム3の表面に硬化樹脂層4を形成する方法としては特に制限されないが、例えば、特開2015−116819号公報に開示されている方法が挙げられる。具体的には下記の通りである。
複数の細孔を有する陽極酸化アルミナが表面に形成されたロール状のモールドの表面と、モールドの回転に同期してモールドの表面に沿って移動するフィルム状の光透過性基材(以下、「フィルム基材」という。)の表面との間に、タンクから活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を供給する。
モールドと、空気圧シリンダによってニップ圧が調整されたニップロールとの間で、フィルム基材および活性エネルギー線硬化性樹脂組成物をニップし、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を、フィルム基材とモールドとの間に均一に行き渡らせると同時に、モールドの細孔内に充填する。
モールドとフィルム基材との間に、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が挟まれた状態で、モールドの下方に設置された活性エネルギー線照射装置を用い、フィルム基材側から活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に活性エネルギー線を照射し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化させることによって、モールドの表面の複数の細孔が転写された、複数の凸部からなる凹凸構造を表面に有する硬化樹脂層4を形成する。
剥離ロールにより、硬化樹脂層4が表面に形成されたフィルム基材を剥離することによって、フィルム基材の表面に硬化樹脂層4が積層した微細凹凸構造を有するフィルムを得る。
活性エネルギー線照射装置としては、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、無電極UVランプ(フュージョンUV)、UV−LED等が好ましい。積算光量は、100〜10000mJ/cm2が好ましい。
(モールド)
モールドは、特に限定されず、リソグラフィ法やレーザー加工によって凹凸構造を設けたモールド、陽極酸化アルミナを表面に有するモールド等が挙げられるが、安価に大面積化することを考えると、陽極酸化アルミナを表面に有するモールドが好ましい。陽極酸化アルミナを表面に有するモールドは、大面積化が可能であり、作製が簡便である。
陽極酸化アルミナは、アルミニウムの多孔質の酸化皮膜(アルマイト)であり、複数の細孔を表面に有する。
陽極酸化アルミナを表面に有するモールドは、例えば、下記工程(a)〜(f)を経て製造できる。細孔の配列の規則性はやや低下するが、工程(a)、(b)を行わず、工程(c)から行ったり、工程(a)のみを行ったり、工程(a)、(b)、(f)を行わず、工程(c)、(d)を行ったりしてもよい。
(a)アルミニウム基材を電解液中、陽極酸化して酸化皮膜を形成する工程。
(b)酸化皮膜を除去し、陽極酸化の細孔発生点を形成する工程。
(c)アルミニウム基材を電解液中、再度陽極酸化し、細孔発生点に細孔を有する酸化皮膜を形成する工程。
(d)細孔の径を拡大させる工程。
(e)工程(d)の後、電解液中、再度陽極酸化する工程。
(f)前記工程(d)と工程(e)を繰り返し行う工程。
工程(a):
アルミニウム基材を陽極酸化すると、細孔を有する酸化皮膜が形成される。
アルミニウムの純度は、99%以上が好ましく、99.5%以上がより好ましく、99.8%以上が特に好ましい。アルミニウムの純度が低いと、陽極酸化で得られる細孔の規則性が低下したりすることがある。
電解液としては、硫酸、シュウ酸水溶液、リン酸水溶液等が挙げられる。
工程(b):
酸化皮膜を一旦除去し、これを陽極酸化の細孔発生点40にすることで細孔の規則性を向上することができる。
酸化皮膜を除去する方法としては、アルミニウムを溶解せず、酸化皮膜を選択的に溶解する溶液に溶解させて除去する方法が挙げられる。このような溶液としては、例えば、クロム酸/リン酸混合液等が挙げられる。
工程(c):
酸化皮膜を除去したアルミニウム基材を再度、陽極酸化すると、円柱状の細孔を有する酸化皮膜が形成される。
電解液としては、工程(a)と同様のものが挙げられる。
工程(d):
細孔の径を拡大させる処理(以下、細孔径拡大処理と記す。)を行う。細孔径拡大処理は、酸化皮膜を溶解する溶液に浸漬して陽極酸化で得られた細孔の径を拡大させる処理である。このような溶液としては、例えば、5質量%程度のリン酸水溶液等が挙げられる。
工程(e):
再度、陽極酸化すると、円柱状の細孔の底部から下に延びる、直径の小さい円柱状の細孔がさらに形成される。
電解液としては、工程(a)と同様のものが挙げられる。
工程(f):
工程(d)の細孔径拡大処理と、工程(e)の陽極酸化を繰り返すと、直径が開口部から深さ方向に連続的に減少する形状の細孔を有する陽極酸化アルミナ(アルミニウムの多孔質の酸化皮膜(アルマイト))が形成されたモールド20が得られる。最後は工程(d)で終わることが好ましい。
陽極酸化アルミナの表面は、硬化樹脂層との分離が容易になるように、離型剤で処理されていてもよい。処理方法としては、例えば、シリコーン樹脂またはフッ素含有ポリマーをコーティングする方法、フッ素含有化合物を蒸着する方法、フッ素含有シラン化合物をコーティングする方法等が挙げられる。
細孔の形状としては、略円錐形状、角錐形状、釣鐘形状、円柱形状等が挙げられる。
細孔間の平均間隔は、可視光領域の波長以下、すなわち400nm以下であり、300nm以下が好ましく、250nm以下がより好ましく、200nmが特に好ましい。細孔36間の平均間隔は、20nm以上が好ましく、80nm以上がより好ましい。
細孔の平均深さは、100nm以上が好ましく、130nm以上がより好ましい。細孔36の平均深さは、400nm以下が好ましく、300nm以下がより好ましい。
(活性エネルギー線硬化性樹脂組成物)
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、重合性化合物および重合開始剤を含む。
重合性化合物としては、分子中にラジカル重合性結合および/またはカチオン重合性結合を有するモノマー、オリゴマー、反応性ポリマー等が挙げられる。
重合性化合物:
ラジカル重合性結合を有するモノマーとしては、単官能モノマー、多官能モノマーが挙げられる。
単官能モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート誘導体;(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロニトリル;スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン誘導体;(メタ)アクリルアミド、N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド誘導体等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
多官能モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)プロパン、1,2−ビス(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)エタン、1,4−ビス(3−(メタ)アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ブタン、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、メチレンビスアクリルアミド等の二官能性モノマー;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシド変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシド変性トリアクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート等の三官能モノマー;コハク酸/トリメチロールエタン/アクリル酸の縮合反応混合物、ジペンタエリストールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート等の四官能以上のモノマー;二官能以上のウレタンアクリレート、二官能以上のポリエステルアクリレート等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
カチオン重合性結合を有するモノマーとしては、エポキシ基、オキセタニル基、オキサゾリル基、ビニルオキシ基等を有するモノマーが挙げられ、エポキシ基を有するモノマーが特に好ましい。
オリゴマーまたは反応性ポリマーとしては、不飽和ジカルボン酸と多価アルコールとの縮合物等の不飽和ポリエステル類;ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、カチオン重合型エポキシ化合物、側鎖にラジカル重合性結合を有する上述のモノマーの単独または共重合ポリマー等が挙げられる。
重合開始剤:
光硬化反応を利用する場合、光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジル、ベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン、メチルフェニルグリオキシレート、エチルフェニルグリオキシレート、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のカルボニル化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等の硫黄化合物;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ベンゾイルジエトキシホスフィンオキサイド等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
電子線硬化反応を利用する場合、重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、メチルオルソベンゾイルベンゾエート、4−フェニルベンゾフェノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン;ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド;メチルベンゾイルホルメート、1,7−ビスアクリジニルヘプタン、9−フェニルアクリジン等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
熱硬化反応を利用する場合、熱重合開始剤としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ラウロイルパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物;前記有機過酸化物にN,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン等のアミンを組み合わせたレドックス重合開始剤等が挙げられる。
重合開始剤の量は、重合性化合物100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましい。重合開始剤の量が0.1質量部未満では、重合が進行しにくい。重合開始剤の量が10質量部を超えると、硬化樹脂層が着色したり、機械強度が低下したりすることがある。
内部離型剤:
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が内部離型剤を含むことによって、連続転写性を高めることができる。
内部離型剤は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物と、金型(モールド)表面との離型性を向上するものであり、かつ活性エネルギー線硬化性樹脂組成物との相溶性があれば、特にその組成は制限されない。
内部離型剤としては、例えば、(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸化合物、フッ素含有化合物、シリコーン系化合物、リン酸エステル系化合物(ただし、(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸化合物を除く。)、長鎖アルキル基を有する化合物、ポリアルキレンワックス、アミドワックス、テフロンパウダー(テフロンは登録商標)等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの中でも、(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸化合物を主成分とするものが好ましい。
内部離型剤として金型離型剤と同じ(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸化合物を含むことによって、その硬化物である硬化樹脂層と金型との離型性が特に良好となる。また、離型時の負荷が極めて低いため、微細凹凸構造の破損が少なく、その結果、金型の微細凹凸構造を効率よく、かつ精度よく転写できる。
(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸化合物としては、離型性の点から、下記式(1)で表わされる化合物が好ましい。
(HO)3−t(O=)P[−O−(R2O)s−R1]t ・・・(1)。
ただし、R1はアルキル基を表し、R2はアルキレン基を表し、sは1〜20の整数を表し、tは1〜3の整数を表す。
R1としては、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素数3〜18のアルキル基がより好ましい。
R2としては、炭素数1〜4のアルキレン基が好ましく、炭素数2〜3のアルキレン基がより好ましい。
sは、1〜10の整数が好ましい。
(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸化合物は、モノエステル体(t=1)、ジエステル体(t=2)、トリエステル体(t=3)のいずれであってもよい。また、ジエステル体またはトリエステル体の場合、1分子中の複数の(ポリ)オキシアルキレンアルキル基はそれぞれ異なっていてもよい。
(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸化合物の市販品としては、例えば、下記のものが挙げられる。
城北化学社製:JP−506H(t≒1〜2,s≒1,R1=ブチル基,R2=エチレン基)、
アクセル社製:モールドウイズINT−1856(構造非公開)、
日光ケミカルズ社製:TDP−10(t≒3,s≒10,R1=C12〜15,R2=エチレン基)、TDP−8(t≒3,s≒8,R1=C12〜15,R2=エチレン基)、TDP−6(t≒3,s≒6,R1=C12〜15,R2=エチレン基)、TDP−2(t≒3,s≒2,R1=C12〜15,R2=エチレン基)、DDP−10(t≒2,s≒10,R1=C12〜15,R2=エチレン基)、DDP−8(t≒2,s≒8,R1=C12〜15,R2=エチレン基)、DDP−6(t≒2,s≒6,R1=C12〜15,R2=エチレン基)、DDP−4(t≒2,s≒4,R1=C12〜15,R2=エチレン基)、DDP−2(t≒2,s≒2,R1=C12〜15,R2=エチレン基)、TLP−4(t≒3,s≒4,R1=ラウリル基,R2=エチレン基)、TCP−5(t≒3,s≒5,R1=セチル基,R2=エチレン基)、DLP−10(t≒3,s≒10,R1=ラウリル基,R2=エチレン基)。
(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸化合物の量は、重合性化合物100質量部に対して、0.01〜1質量部が好ましく、0.05〜0.5質量部がより好ましく、0.05〜0.1質量部がさらに好ましい。(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸化合物の量が1質量部以下であれば、硬化樹脂層の性能の低下が抑えられる。また、フィルム基材との密着性の低下が抑えられ、その結果、金型への樹脂残り(離型不良)や物品からの硬化樹脂層の剥がれが抑えられる。(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸化合物の量が0.01質量部以上であれば、金型からの離型性が十分となり、金型への樹脂残り(離型不良)が抑えられる。
他の成分:
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、非反応性のポリマー、活性エネルギー線ゾルゲル反応性組成物、帯電防止剤、防汚性を向上させるためのフッ素化合物等の添加剤、微粒子、少量の溶媒を含んでいてもよい。
非反応性のポリマーとしては、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリウレタン、セルロース系樹脂、ポリビニルブチラール、ポリエステル、熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
活性エネルギー線ゾルゲル反応性組成物としては、アルコキシシラン化合物、アルキルシリケート化合物等が挙げられる。
アルコキシシラン化合物としては、下記式(2)の化合物が挙げられる。
R11xSi(OR12)y ・・・(2)。
ただし、R11、R12は、それぞれ炭素数1〜10のアルキル基を表し、x、yは、x+y=4の関係を満たす整数を表す。
アルコキシシラン化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルプロポキシシラン、トリメチルブトキシシラン等が挙げられる。
アルキルシリケート化合物としては、下記式(3)の化合物が挙げられる。
R21O[Si(OR23)(OR24)O]zR22 ・・・(3)。
ただし、R21〜R24は、それぞれ炭素数1〜5のアルキル基を表し、zは、3〜20の整数を表す。
アルキルシリケート化合物としては、メチルシリケート、エチルシリケート、イソプロピルシリケート、n−プロピルシリケート、n−ブチルシリケート、n−ペンチルシリケート、アセチルシリケート等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物は、疎水性であってもよいし、親水性であってもよい。活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物を疎水性または親水性に変更することによって、必要に応じて性能(例えば耐水性や指紋拭き取り性、防曇性)を付与することができる。
(親水性材料)
インクの濡れ性や印刷層との密着性、防曇性の観点から、前記微細凹凸構造の表面は親水性であることが好ましい。具体的には微細凹凸構造表面の水の接触角が30°以下であることが好ましく、20°以下であることがより好ましい。親水性の材料を形成しうる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物として、4官能以上の多官能(メタ)アクリレート、2官能以上の親水性(メタ)アクリレート、必要に応じて単官能モノマーを含む組成物を用いることが好ましい。
4官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、コハク酸/トリメチロールエタン/アクリル酸のモル比1:2:4の縮合反応混合物、ウレタンアクリレート類(ダイセル・サイテック社製:EBECRYL220、EBECRYL1290、EBECRYL1290K、EBECRYL5129、EBECRYL8210、EBECRYL8301、KRM8200)、ポリエーテルアクリレート類(ダイセル・サイテック社製:EBECRYL81)、変性エポキシアクリレート類(ダイセル・サイテック社製:EBECRYL3416)、ポリエステルアクリレート類(ダイセル・サイテック社製:EBECRYL450、EBECRYL657、EBECRYL800、EBECRYL810、EBECRYL811、EBECRYL812、EBECRYL1830、EBECRYL845、EBECRYL846、EBECRYL1870)等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
4官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、5官能以上の多官能(メタ)アクリレートがより好ましい。
2官能以上の親水性(メタ)アクリレートとしては、アロニックスM−240、アロニックスM260(東亞合成社製)、NKエステルAT−20E、NKエステルATM−35E(新中村化学社製)等の長鎖ポリエチレングリコールを有する多官能アクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリエチレングリコールジメタクリレートにおいて、一分子内に存在するポリエチレングリコール鎖の平均繰り返し単位の合計は、6〜40が好ましく、9〜30がより好ましく、12〜20が特に好ましい。ポリエチレングリコール鎖の平均繰り返し単位が6以上であれば、親水性が十分となり、防汚性が向上する。ポリエチレングリコール鎖の平均繰り返し単位が40以下であれば、4官能以上の多官能(メタ)アクリレートとの相溶性が良好となり、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が分離しにくい。
単官能モノマーとしては、親水性単官能モノマーが好ましい。
親水性単官能モノマーとしては、M−20G、M−90G、M−230G(新中村化学社製)等のエステル基にポリエチレングリコール鎖を有する単官能(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等のエステル基に水酸基を有する単官能(メタ)アクリレート、単官能アクリルアミド類、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムメチルサルフェート、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムメチルサルフェート等のカチオン性モノマー類等が挙げられる。
また、単官能モノマーとして、アクリロイルモルホリン、ビニルピロリドン等の粘度調整剤、フィルム基材への密着性を向上させるアクリロイルイソシアネート類等の密着性向上剤等を用いてもよい。
単官能モノマーは、1種または2種以上を(共)重合した低重合度の重合体として活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に配合してもよい。低重合度の重合体としては、M−230G(新中村化学社製)等のエステル基にポリエチレングリコール鎖を有する単官能(メタ)アクリレート類と、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムメチルサルフェートとの40/60共重合オリゴマー(MCCユニテック社製、「MGポリマー」)等が挙げられる。
なお、親水性材料である場合、印刷層を形成するインキは、前記のように油性インキを用いることが好ましいが、使用状況に応じて水溶性インキを含め広範に用いることができる。
(疎水性材料)
前記微細凹凸構造の表面が、例えば水滴の付着防止等、疎水性であることが求められる場合には、疎水性の材料を形成し得る活性エネルギー線硬化性樹脂組成物として、フッ素含有化合物及びシリコーン系化合物の内の少なくともいずれかを含む組成物を用いることが好ましい。この場合、微細凹凸構造の表面の水の接触角は120°以上であることが好ましく、130°以上であることがより好ましい。
フッ素含有化合物としては、フッ素含有モノマー、フッ素含有シランカップリング剤、フッ素含有界面活性剤、フッ素含有ポリマーなどが挙げられる。
フッ素含有モノマーとしては、フルオロアルキル基置換ビニルモノマー、フルオロアルキル基置換開環重合性モノマーなどが挙げられる。
フルオロアルキル基置換ビニルモノマーとしては、フルオロアルキル基置換(メタ)アクリレート、フルオロアルキル基置換(メタ)アクリルアミド、フルオロアルキル基置換ビニルエーテル、フルオロアルキル基置換スチレンなどが挙げられる。
フルオロアルキル基置換開環重合性モノマーとしては、フルオロアルキル基置換エポキシ化合物、フルオロアルキル基置換オキセタン化合物、フルオロアルキル基置換オキサゾリン化合物などが挙げられる。
フッ素含有シランカップリング剤としては、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリアセトキシシラン、ジメチル−3,3,3−トリフルオロプロピルメトキシシラン、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルトリエトキシシランなどが挙げられる。
フッ素含有界面活性剤としては、フルオロアルキル基含有アニオン系界面活性剤、フルオロアルキル基含有カチオン系界面活性剤などが挙げられる。
フッ素含有ポリマーとしては、フルオロアルキル基含有モノマーの重合体、フルオロア
ルキル基含有モノマーとポリ(オキシアルキレン)基含有モノマーとの共重合体、フルオロアルキル基含有モノマーと架橋反応性基含有モノマーとの共重合体などが挙げられる。フッ素含有ポリマーは、共重合可能な他のモノマーとの共重合体であってもよい。
シリコーン系化合物としては、(メタ)アクリル酸変性シリコーン、シリコーン樹脂、シリコーン系シランカップリング剤等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸変性シリコーンとしては、シリコーン(ジ)(メタ)アクリレート等が挙げられ、例えば、信越化学工業社製のシリコーンジアクリレート「x−22−164」「x−22−1602」等が好ましく用いられる。
なお、疎水性材料である場合、印刷層を形成するインキとして油性インキを用いることが好ましい。水溶性インキを用いると、後述するように「はじき」が発生する等、インクの塗布性が不良となりやすい。
(粘着材層)
粘着材層は、粘着材を含む層であり、着色透明であっても無色透明であってもよく、用途に応じて、意匠性や光の透過性を考慮して適宜調整されてもよい。
粘着材としては、例えばゴム系粘着材、アクリル系粘着材、エチレン−酢酸ビニル共重合(EVA)系粘着材、シリコーン系粘着材、ウレタン系粘着材、ビニルアルキルエーテル系粘着材、ポリビニルアルコール系粘着材、ポリビニルピロリドン系粘着材、ポリアクリルアミド系粘着材、セルロース系粘着材等が挙げられる。中でも、透明性に優れる点から、アクリル系粘着材が好ましい。
粘着剤の具体例としては、LUCIACS CS986シリーズ(日東電工社製)、OCA8146シリーズ(3M社製)、PD−S1シリーズ、RD‐R5シリーズ(パナック社製)、EW1500シリーズ(大王製紙社製)、TD06シリーズ(巴川製紙所社製)等が挙げられる。
また粘着材としては、感圧粘着性樹脂の他、感熱接着性樹脂を含む粘着材を用いることができる。該感熱接着性樹脂としては、80℃以下、好ましくは60℃程度の加熱で軟化溶融状態となり、温度が下がったときに光透過性基板2及びフィルム3と接着状態となるものが好ましい。このような感熱接着性樹脂はホットメルト接着剤として産業用途で広く用いられており、本発明においては良好な耐水性および耐擦過性を有している一般的なものが適用可能である。例えば、エチレン酢酸ビニル系、エチレンアクリル酸系、ポリアミド系、ポリオレフィン系、ウレタン系、ポリ酢酸ビニル系、アクリル系等の樹脂が好ましい。
粘着材層には、透明性を損なわない範囲内であれば、必要に応じて、粘着性付与剤、充填剤、酸化防止剤、着色剤などの添加剤が含まれていてもよい。
着色剤としては、例えばアニオン性アゾ染料、アゾ系金属錯塩、フタロシアニン等の染料;カーボンブラック、有機顔料等の顔料などが挙げられる。
粘着材層は、単色で着色されていてもよいし、複数の色で着色されていてもよい。また、粘着材層全面に着色されていてもよいし、一部に着色されていてもよいし、文字・図柄・絵柄などを構成するように着色されていてもよい。また、粘着材層として、所望の色に着色された粘着テープを用いてもよい。
接着性樹脂である粘着材層の厚さは、1μm以上が好ましく、5μ以上がより好ましい。また250μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましい。粘着材層の厚さが大きすぎると、製造コストが過大になったり、打ち抜きなどの加工難易度が高くなることがある。また厚さが小さすぎると、光透過性基板2とフィルム3との密着性が十分とならないことがある。
フィルム3の微細凹凸構造が形成されていない面に粘着材層5を積層する方法としては特に制限されず、公知の方法を採用できる。具体的には、粘着材等をラミネートする方法、透明な粘着テープを貼りつける方法、粘着材料を塗工する方法などが挙げられる。
<作用効果>
以上説明した本発明の第一の実施形態の積層体は、該積層体の表面に微細凹凸構造を有するので、反射防止性に優れる。しかも、本発明の第一の実施形態の積層体は、微細凹凸構造の表面に印刷層が形成されているので、印刷層の段差による浮き上がりや気泡がなく、また印刷層と粘着材層が接していないため、粘着材層におけるアウトガスによる膨れや気泡がない。これらの特性は、例えば硬化樹脂層を構成する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の配合組成、凸部の周期や高さなどを変更することにより、容易に付与される。
また、本発明の第一の実施形態の積層体は、各層の密着性が良好である。 発明の第一の実施形態の積層体は、予めフィルム基材の表面に硬化樹脂層を形成して積層本体を作製しておき、該硬化樹脂層の微細凹凸構造を有する面に、印刷層を形成することで簡便に製造できる。
なお、印刷層6は、図2においては、硬化樹脂層4の微細凹凸構造を有する面に直接印刷されているが、微細凹凸構造表面と印刷層との間に他の層(例えば透明な粘着材層など)が介在していてもよい。また、印刷層6の微細凹凸構造と接する面と反対側の面、すなわち積層体表面上に、光透過性の粘着材層5が設けられていてもよい。前記粘着材層が設けられていれば、積層体を所望の箇所に容易に貼りつけることができる。
本発明の第一の実施形態の積層体として図2に示す積層体1を例示するが、これに限定されない。
「表示装置」
本発明の積層体1は、前記の通り印刷層の段差による浮き上がりや気泡がなく、またアウトガスによる膨れや気泡がないため、液晶表示パネル等、各種表示装置に好適に用いることができる。例えば、計器用文字板等が挙げられる。さらに液晶パネル等の画像表示装置本体の前面に配置されるタッチパネルに使用することができる。画像表示装置本体としては、フラットディスプレイパネル(液晶パネル、プラズマディスプレイパネル、有機ELディスプレイパネル等)、CRT等が挙げられる。
表示装置に用いられる本発明の積層体1は、印刷層の質感や色再現性、意匠性の観点から光透過性基板2の粘着材層5と接する面と反対の面が、前記装置の外側に向けて配設されることが好ましい。ここで前記「装置の外側」とは、該表示装置の表示を観察する側のことをいう。本発明の積層体1を有する表示装置は、視認性が向上する。また、例えば画像表示装置の電源がOFFの時に黒色に見える領域について、印刷層6を黒色とすることで、印刷層6が形成された領域はその黒色が鮮明となり、また、印刷層が形成されていない透明な領域では、微細凹凸構造による光の反射の低減により、画像表示装置に配設された液晶パネル等の画像表示部の黒色の視認性、色再現性が向上するため、優れた意匠部材を提供できる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
各種測定および評価方法、モールドの製造方法、各例で用いた成分は以下の通りである。
「測定・評価」
(モールドの細孔の測定)
モールドの一部を切り取って、表面および縦断面に白金を1分間蒸着し、電解放出型走査電子顕微鏡(日本電子社製、「JSM−7400F」)を用い、加速電圧3.00kVで観察し、隣り合う細孔同士の間隔(細孔の中心から隣接する細孔の中心までの距離)を50点測定し、その平均値を隣り合う細孔の平均間隔とした。
また、モールドの縦断面を観察し、細孔の最底部と、細孔間に存在する凸部の最頂部との間の距離を50点測定し、その平均値を細孔の平均深さとした。
(微細凹凸構造の凸部の測定)
硬化樹脂層の縦断面に白金を10分間蒸着し、電解放出型走査電子顕微鏡(日本電子社製、「JSM−7400F」)を用い、加速電圧3.00kVで観察し、隣り合う凸部同士の間隔(凸部の中心から隣接する凸部の中心までの距離)を50点測定し、その平均値を隣り合う凸部の平均間隔とした。
また、測定サンプルの断面を観察し、凸部の最底部と、凸部間に存在する凹部の最頂部との間の距離を50点測定し、その平均値を凸部の平均高さとした。
(印刷密着性の評価)
微細凹凸構造の面に形成した印刷層の密着性をクロスカット試験で評価した。印刷層に2mm間隔の格子状の切込みを入れ、セロハン粘着テープ(ニチバン社製CT−24)を貼り付けて引き剥がした。
クロスカット試験(JIS K5600−5−6に準拠)
○:・・・・印刷層の剥がれは15%未満であった
×:・・・・印刷層の剥がれは15%以上であった
(印刷段差追従の評価)
積層体について、印刷層のエッジ部分を目視で観察し、印刷層の厚み段差部分の気泡や隙間を観察した。
○:段差がない。または段差部分に気泡や隙間が確認されない。
×:段差部分に気泡や隙間が確認される。
(耐アウトガス性の評価)
積層体を恒温槽に入れて85℃、100時間の環境に曝し、その後目視で外観を評価した。
○:変化なし。
×:粘着材層や粘着材層と接する層の界面に気泡や浮きが発生。
(インク塗布性の評価)
モスアイフィルムの微細凹凸構造を有する面に、インクとして油性マーカーあるいは水性マーカーを塗布して、その後目視で外観を評価した。
〇:均一な塗膜が形成。
×:はじきが発生し均一な塗膜の形成が困難。
「微細凹凸構造を一方の面に有するフィルムの製造」
(モールドaの製造)
上述した工程(a)〜(f)を行い、平均間隔100nm、平均深さ200nmの略円錐形状の複数の細孔を有する陽極酸化アルミナが表面に形成された板状のモールドaを得た。
モールドaを、オプツールDSX(ダイキン工業社製)の0.1質量%希釈溶液に浸漬し、一晩風乾して、陽極酸化アルミナの表面を離型剤で処理した。
(活性エネルギー線硬化性樹脂組成物Aの調製)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬社製、「カヤラッドDPHA」)の25質量部、
ペンタエリスリトールトリアクリレート(第一工業製薬社製、「PET−3」)の25質量部、
EO変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬社製、「カヤラッドDPEA−12」)の25質量部、
ポリエチレングリコールジアクリレート(東亞合成社製、「アロニックスM260」)の25質量部、
(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル化合物(日光ケミカルズ社製、「NIKKOL TDP−2」)の0.1質量部、
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(IGM Resins B.V.社製、「Omnirad184」)の1質量部、
ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド(IGM Resins B.V.社製、「Omnirad819」)の0.5質量部を混合し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物Aを得た。
(活性エネルギー線硬化性樹脂組成物Bの調製)
1,9−ノナンジオールジアクリレート(大阪有機化学工業社製、「V#260」)の70質量部、ペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(東亞合成社製、「アロニックスM305」)の20質量部、シリコーンアクリレート(ビックケミー・ジャパン社製、「BYK−UV3570」)の10質量部、(ポリ)オキシアルキレンアルキルリン酸エステル化合物(日光ケミカルズ社製、「NIKKOL TDP−8」)の0.5質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(IGM ResinsB.V.社製、「Omnirad184」)の1質量部、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド(IGM Resins B.V.社製、「Omnirad819」)の0.5質量部を混合し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物Bを得た。
(モスアイフィルム1の製造)
モールドaの表面に、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物Aを塗布し、この上に光透過性基材として厚さ80μmのPETフィルム(東洋紡社製、コスモシャイン「超複屈折タイプ」)を被せた。
紫外線照射機(フュージョンランプDバルブ)を用いて、積算光量1000mJ/cm2でフィルム越しに紫外線を照射し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物Aの硬化を行った後、モールドaから分離し、円錐台形状の複数の凸部からなる微細凹凸構造を表面に有する厚さ5μmの硬化樹脂層が、光透過性基材の表面に形成された親水性の微細凹凸構造を一方の面に有するフィルム(以下、「モスアイフィルム1」という。)を得た。表面の接触角は14°であった。
凸部間の平均間隔は100nmであり、凸部の平均高さは200nmであり、凸部の底部の幅は100nmであった。
(モスアイフィルム2の製造)
前記モスアイフィルム1の製造において、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物Aの代わりに活性エネルギー線硬化性樹脂組成物Bを用いることにより、光透過性基材の表面に形成された疎水性の微細凹凸構造を一方の面に有するフィルム(以下、「モスアイフィルム2」という。)を得た。表面の接触角は137°であった。
「実施例1」
モスアイフィルム1の微細凹凸構造を有する面に、2液硬化型のインキ(黒色、十条ケミカル社製、品番762)を用いてスクリーン印刷により印刷層(厚さ13μm)を形成した。次いで前記フィルムの微細凹凸構造を有する面と反対側の面に、光学粘着材(大王製紙社製、品番EW1502−G1)を塗布して粘着材層(厚さ25μm)を形成した後、厚さ0.5mmのポリカーボネート板(帝人社製、品番PC1151)に貼り付けることにより積層体を製造した。
得られた積層体について、印刷密着性、印刷段差追従性、耐アウトガス性を評価した。結果を表1に示す。
「比較例1」
ポリカーボネート板(帝人社製、品番PC1151)に2液硬化型のインキ(黒色、十条ケミカル社製、品番762)を用いてスクリーン印刷により印刷層(厚さ13μm)を形成した。次いでモスアイフィルム1の微細凹凸構造を有する面と反対側の面に、光学粘着材(大王製紙社製、品番EW1502−G1)を塗布して粘着材層(厚さ25μm)を形成し、この粘着材層が形成された面を、前記ポリカーボネート板の印刷層が形成された面に貼り付けて、積層体を製造した。
得られた積層体について、印刷段差追従性、耐アウトガス性を評価した。結果を表1に示す。




表1の結果から明らかなように、実施例1で得られた積層体は、印刷密着性、印刷段差追従性、耐アウトガス性に優れ、各層の密着性が良好であった。しかもこれらの積層体は簡便に製造できた。
一方、比較例1で得られた積層体は、印刷段差追従性、耐アウトガス性に劣っていた。
「実施例2」
モスアイフィルム1の代わりにモスアイフィルム2を用い、その微細凹凸構造を有する面に、インクとして油性マーカー(ゼブラ社製 マッキー)を塗布したこと以外、実施例1と同様にして積層体を製造した。その結果、均一な塗膜が形成できた。結果を表2に示す。
「参考例」
インクとして水性顔料マーカー(ゼブラ社製 紙用マッキー)をインクとして用いたこと以外、実施例2と同様にして積層体を製造した。その結果、塗布した箇所に、はじきが発生し均一な塗膜の形成が困難であった。結果を表2に示す。





表2の結果から明らかなように、疎水性の微細凹凸表面へインク塗布する場合、油性インクでは均一で良好な塗膜が形成されたが、水性インクでは均一な塗膜が形成されなかった。
本発明の積層体は、印刷密着性、印刷段差追従性、耐アウトガス性などに優れ、各層の密着性が良好であるため、画像表示装置の前面カバー部材、セル画、写真、ブロマイド、アミューズメント関連のボードやカード、壁材やパーテーションなどの内装材、化粧品ケース、装飾品、各種インテリア製品、額装、センサー等のカバー部材及び筐体、その他特に意匠性を生かしたい用途に好適である。
本発明の積層体の製造方法は、印刷密着性、印刷段差追従性、耐アウトガス性などに優れ、各層の密着性が良好な積層体を簡便に製造できる。
本発明の表示装置は、各層の密着性が良好であり、印刷層の段差による浮き上がりや気泡がなく、またアウトガスによる膨れや気泡がないため表示装置に好適に使用できる。
1 積層体
2 光透過性基板
3 フィルム
4 硬化樹脂層
4a 微細凹凸構造の凸部
5 粘着材層
6 印刷層

Claims (10)

  1. 光透過性基板と、可視光領域の波長以下の周期で形成された複数の凸部からなる微細凹凸構造を一方の面に有するフィルムと、前記フィルムの微細凹凸構造を有する面上に形成された印刷層とを備えた積層体であって、前記基板の一方の面と、前記フィルムの微細凹凸構造を有する面と反対側の面とが、光透過性の粘着材層を介して積層された積層体。
  2. フィルムの微細凹凸構造を有する面に印刷層が形成されていない領域を有する、請求項1に記載の積層体。
  3. 微細凹凸構造の表面の水接触角が30°以下である、請求項1または2に記載の積層体。
  4. 微細凹凸構造の表面の水接触角が120°以上である、請求項1または2に記載の積層体。
  5. 粘着材層の厚さが50μm以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層体。
  6. 光透過性基板の材料が、ポリカーボネート及びアクリル樹脂の内の少なくとも一つである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の積層体。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の積層体を有する表示装置。
  8. 請求項7に記載の表示装置であって、光透過性基板の粘着材層と接する面と反対の面が、前記装置の外側に向けて配設された表示装置。
  9. 可視光領域の波長以下の周期で形成された複数の凸部からなる微細凹凸構造を一方の面に有するフィルムの前記微細凹凸構造の面上に印刷層を形成した後、光透過性基板の一方の面と、前記フィルムの微細凹凸構造を有する面と反対側の面とを、光透過性の粘着材層を介して積層する、積層体の製造方法。
  10. 可視光領域の波長以下の周期で形成された複数の凸部からなる微細凹凸構造を一方の面に有するフィルムを作製し、次いで前記微細凹凸構造を有する面と反対の面上に光透過性の粘着材層を形成した後、前記微細凹凸構造の面上に印刷層を形成し、光透過性基板の一方の面と前記フィルムの粘着材層を有する面とを貼り合せて積層する、積層体の製造方法。
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