以下では、本発明の代表的かつ非限定的な具体例について、図面を参照して詳細に説明する。この詳細な説明は、本発明の好ましい例を実施するための詳細を当業者に示すことを単純に意図しており、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。また、以下に開示される追加的な特徴ならびに発明は、さらに改善された電気機器やその製造方法及び使用方法を提供するために、他の特徴や発明とは別に、又は共に用いることができる。
また、以下の詳細な説明で開示される特徴や工程の組み合わせは、最も広い意味において本発明を実施する際に必須のものではなく、特に本発明の代表的な具体例を説明するためにのみ記載されるものである。さらに、上記及び下記の代表的な具体例の様々な特徴、ならびに、独立及び従属クレームに記載されるものの様々な特徴は、本発明の追加的かつ有用な実施形態を提供するにあたって、ここに記載される具体例のとおりに、あるいは列挙された順番のとおりに組合せなければならないものではない。
本明細書及び/又は特許請求の範囲に記載された全ての特徴は、実施例及び/又はクレームに記載された特徴の構成とは別に、出願当初の開示ならびにクレームされた特定事項に対する限定として、個別に、かつ互いに独立して開示されることを意図するものである。さらに、全ての数値範囲及びグループ又は集団に関する記載は、出願当初の開示ならびにクレームされた特定事項に対する限定として、それらの中間の構成を開示する意図を持ってなされている。
いくつかの実施形態では、電気機器は、バッテリパックをスライド方向にスライドさせることで前記バッテリパックを着脱可能なハウジングと、前記ハウジングに取り付けられた前記バッテリパックと電気的に接続されるバッテリ接続端子と、前記バッテリ接続端子を保護する保護位置と、前記バッテリ接続端子を露出させる露出位置の間で移動可能な端子カバーを備えていてもよい。前記ハウジングは、前記スライド方向に沿って伸びるカバーレールを備えていてもよい。前記端子カバーは、前記バッテリ接続端子を少なくとも部分的に覆う形状を有するカバー本体と、前記カバー本体と一体的に形成されたフックを備えていてもよい。前記フックは、前記カバーレールに対して前記スライド方向に摺動可能に係合していてもよい。
上記の電気機器によれば、カバー本体と一体的に形成されたフックをカバーレールに係合させることで、端子カバーをハウジングに組み付けることができる。端子カバーをハウジングに組み付ける際に、ネジ留め作業を必要としないので、組立作業や補修作業を容易に行うことができる。
いくつかの実施形態では、前記カバーレールは、第1のカバーレールと、第2のカバーレールを備えていてもよい。前記フックは、前記第1のカバーレールに対して前記スライド方向に摺動可能に係合している第1のフックと、前記第2のカバーレールに対して前記スライド方向に摺動可能に係合している第2のフックを備えていてもよい。
上記の構成によれば、第1のフックと第2のフックのそれぞれが、第1のカバーレールと第2のカバーレールのそれぞれに摺動可能に係合するので、端子カバーをハウジングに対してスライドさせる際に、端子カバーがガタつくことを抑制することができる。端子カバーをハウジングに対してスムーズにスライドさせることができる。
いくつかの実施形態では、前記バッテリ接続端子は、前記第1のカバーレールと前記第2のカバーレールの間に配置されていてもよい。
上記の構成によれば、電気機器において、バッテリ接続端子と、端子カバーと、カバーレールが占める範囲を、スライド方向に関してより小型化することができる。
いくつかの実施形態では、前記ハウジングは、前記フックが前記カバーレールとの係合が解除されるように移動または変形することを防止するカバー外れ防止部材をさらに備えていてもよい。
上記の構成によれば、意図せずにフックがカバーレールから外れてしまうことを防止することができる。
いくつかの実施形態では、前記電気機器は、前記ハウジングの内部に収容された引張バネをさらに備えていてもよい。前記端子カバーは、前記引張バネの弾性復元力によって、前記露出位置から前記保護位置に向けて付勢されていてもよい。
いくつかの実施形態では、電気機器は、バッテリパックをスライド方向にスライドさせることで前記バッテリパックを着脱可能なハウジングと、前記ハウジングに取り付けられた前記バッテリパックと電気的に接続されるバッテリ接続端子と、前記バッテリ接続端子を保護する保護位置と、前記バッテリ接続端子を露出させる露出位置の間で前記スライド方向に移動可能な端子カバーと、前記ハウジングの内部に収容された引張バネを備えていてもよい。前記端子カバーは、前記引張バネの弾性復元力によって、前記露出位置から前記保護位置に向けて付勢されていてもよい。
端子カバーが圧縮バネの弾性復元力によって露出位置から保護位置に向けて付勢されている構成では、圧縮バネが座屈変形を生じた時に、圧縮バネが周囲の部材と接触してしまい、騒音の発生や、圧縮バネや周囲の部材の損傷を招くおそれがある。上記の構成によれば、端子カバーが引張バネの弾性復元力によって露出位置から保護位置に向けて付勢されているので、バネの座屈変形に起因する騒音の発生や部材の損傷を防止することができる。
いくつかの実施形態では、前記引張バネの一端が、前記端子カバーによって保持されていてもよい。前記引張バネの他端が、前記ハウジングによって保持されていてもよい。前記ハウジングは、前記引張バネの前記他端を保持する柱状部材と、前記引張バネの前記他端の前記柱状部材の軸方向に沿った移動を防止するストッパ部材をさらに備えていてもよい。
引張バネの他端を柱状部材によって保持する構成では、引張バネが伸縮する際に、柱状部材が引張バネの他端を保持する位置が、柱状部材の軸方向に沿ってズレてしまうおそれがある。上記の構成によれば、ハウジングの柱状部材が引張バネの他端を保持する位置が、柱状部材の軸方向に沿ってズレてしまうことを防止することができる。
いくつかの実施形態では、前記ハウジングは、前記ハウジングの内部で前記引張バネの周囲を囲うように配置された引張バネ収容部材をさらに備えていてもよい。
仮に引張バネの端部が取付箇所から外れてしまった場合に、引張バネそのものがハウジング内で移動してしまうと、ハウジングの内部に配置された回路基板等の他の部品に引張バネが接触してしまい、不具合を生じるおそれがある。上記の構成によれば、仮に引張バネの端部が取付箇所から外れてしまった場合であっても、引張バネそのものがハウジング内で移動することを防止することができ、引張バネが回路基板等の他の部品と接触してしまうことを防止することができる。
いくつかの実施形態では、前記カバーレールは、前記ハウジングに形成された貫通孔の縁の部分に形成されていてもよい。前記端子カバーが前記露出位置から前記保護位置に向かう方向に関して、前記フックは、前記カバー本体よりも突出した形状を有していてもよい。
カバーレールがハウジングに形成された貫通孔の縁の部分に形成されている場合、バッテリパックが取り付けられていない状態では、ハウジングの外部から貫通孔を介して水や異物が入り込んで、引張バネの動作に影響を及ぼすおそれがある。上記の構成によれば、端子カバーが露出位置から保護位置に向かう方向に関して、フックがカバー本体よりも突出した形状を有しているので、バッテリパックが取り付けられていない状態でも、フックによって引張バネをハウジングの外部から遮蔽することができる。バッテリパックが取り付けられていない状態において、ハウジングの外部から貫通孔を介して水や異物が入り込んで、引張バネの動作に影響を及ぼすことを抑制することができる。
いくつかの実施形態では、前記カバーレールの外面に、前記スライド方向に沿って延びる凸条が形成されていてもよい。
上記のような凸条がカバーレールの外面に形成されていない場合、フックがカバーレールに対して繰り返し摺動した場合に、カバーレールの外面に傷痕が形成されて、電気機器の美観を損なうおそれがある。上記の構成によれば、フックがカバーレールに対して繰り返し摺動した場合でも、カバーレールの外面に傷痕が形成されることを抑制することができ、電気機器の美観を保つことができる。
いくつかの実施形態では、前記端子カバーは、前記フックと一体的に形成されており、前記カバーレールの外面に沿って延びており、前記スライド方向に長手方向を有するカバープレートをさらに備えていてもよい。
上記の構成によれば、端子カバーのスライド方向の端部を上下に動かす回動方向の力が端子カバーに作用した場合でも、端子カバーがハウジングに対してガタつく事を抑制することができ、端子カバーがバッテリ接続端子と接触してしまうことを抑制することができる。
いくつかの実施形態では、前記カバー本体が、前記スライド方向に対して直交する面に沿った補強部材を備えていてもよい。
上記の構成によれば、カバー本体のスライド方向に直交する方向の剛性を向上することができる。これによって、カバー本体に衝撃が作用した場合でも、カバー本体が変形することを抑制することができ、カバー本体がバッテリ接続端子と接触してしまうことを抑制することができる。
(実施例1)
図1から図14を参照して、実施例1の充電器10を説明する。図1に示すように、充電器10は、バッテリパック2を充電するための電気機器である。バッテリパック2は、電動工具(図示省略)や電動作業機(図示省略)のための電源であって、電動工具や電動作業機に着脱可能に構成されている。バッテリパック2は、所定のスライド方向にスライドさせることで、充電器10に着脱可能である。以下では、バッテリパック2のスライド方向を充電器10の載置面に投影した方向を前後方向といい、充電器10の載置面内で前後方向に直交する方向を左右方向といい、充電器10の載置面に直交する方向を上下方向という。
図2に示すように、充電器10は、ハウジング12と、バッテリパック取付部14と、充電回路16と、送風機18とを備える。ハウジング12は、インナフレーム20と、下側ハウジング22と、上側ハウジング24を備えている。下側ハウジング22は、充電器10の下半面の外形形状を規定しており、上側ハウジング24は充電器10の上半面の外形形状を規定している。上側ハウジング24は下側ハウジング22に対して締結具(図示せず)によって固定されている。充電回路16と、送風機18と、インナフレーム20は、下側ハウジング22および上側ハウジング24の内部に収容されており、下側ハウジング22にそれぞれ締結具(図示せず)によって固定されている。
バッテリパック取付部14は、上側ハウジング24の上面に設けられている。本実施例では、充電器10は、1つのバッテリパック取付部14を備えており、1つのバッテリパック2を取り付け可能である。これとは異なり、充電器10は、2つ以上のバッテリパック取付部14を備え、2つ以上のバッテリパック2を取り付け可能であってもよい。充電回路16は、電源コード(図示せず)から供給される交流電力を直流電力に変換して、バッテリパック取付部14に取り付けられたバッテリパック2に充電電力を供給する。送風機18は、上側ハウジング24に設けられた給気口26から空気を吸引するとともに、下側ハウジング22に設けられた排気口28から空気を排出する。バッテリパック取付部14にバッテリパック2が取り付けられた状態では、バッテリパック2の排気口(図示せず)が上側ハウジング24の給気口26に対向して配置される。充電器10がバッテリパック2を充電する際には、充電回路16が送風機18を駆動して、バッテリパック2の排気口から空気を吸引することで、バッテリパック2の内部に冷却風を流動させて、バッテリパック2を冷却する。
図3−図6に示すように、バッテリパック取付部14は、バッテリレール30,31と、バッテリ接続端子32(図5、図6参照)と、端子カバー34と、カバーレール36,37と、引張バネ38,39(図6参照)を備えている。バッテリレール30は、バッテリパック取付部14の左端に配置されている。バッテリレール30は、上側ハウジング24から上方向に突出する支持壁30aと、支持壁30aの上端から右方に向けて突出するガイドリブ30bを備えている。バッテリレール31は、バッテリパック取付部14の右端に配置されている。バッテリレール31は、上側ハウジング24から上方向に突出する支持壁31aと、支持壁31aの上端から左方に向けて突出するガイドリブ31bを備えている。バッテリパック2がバッテリパック取付部14に取り付けられる際には、バッテリパック2に形成されたガイド溝(図示せず)にガイドリブ30b,31bが入り込むことで、バッテリパック2はスライド方向にスライド可能にバッテリレール30,31に保持される。バッテリ接続端子32は、バッテリレール30,31の間に配置されている。バッテリ接続端子32は、上側の部分が上側ハウジング24から上方に向けて突出するように、上側ハウジング24に保持されている。バッテリ接続端子32は、ハウジング12の内部において、配線(図示せず)によって充電回路16に電気的に接続されている。
端子カバー34は、スライド方向にスライド可能にカバーレール36,37に保持されている。端子カバー34は、バッテリ接続端子32を覆う保護位置(図3、図4参照)と、バッテリ接続端子32を露出させる露出位置(図5、図6参照)の間でスライド可能である。端子カバー34は、引張バネ38,39の弾性復元力によって、露出位置から保護位置へ向かう方向に付勢されている。このため、バッテリパック2がバッテリパック取付部14に取り付けられていない状態では、引張バネ38,39の弾性復元力によって、端子カバー34は保護位置に保持されている。バッテリパック2がバッテリパック取付部14に取り付けられる際には、端子カバー34がバッテリパック2によって押圧されることで、端子カバー34は保護位置から露出位置へと移動する。カバーレール36,37は、上側ハウジング24の上面に形成されている。本実施例では、上側ハウジング24の上面にスライド方向に長手方向を有する貫通孔40,41が形成されており、上側ハウジング24の貫通孔40,41の縁の部分がカバーレール36,37を形成している。
図7、図8に示すように、端子カバー34は、カバー本体42と、フック44,45を備えている。カバー本体42とフック44,45は、一体的に形成されている。カバー本体42は、バッテリ接続端子32の前方を覆う前板42aと、上方を覆う上板42bと、左方を覆う左板42cと、右方を覆う右板42dと、隣接するバッテリ接続端子32の間に配置される仕切り板42eを備えている。カバー本体42の左板42cと、右板42dと、仕切り板42eは、スライド方向に平行な平面に沿って配置されている。フック44は、カバー本体42の左板42cと一体的に形成されている。フック44は、係合部44aと、バネ取付部44bを備えている。係合部44aは、右側に向けて開口したU字型の断面形状を有しており、スライド方向に沿って伸びている。バネ取付部44bは、係合部44aの下面から下方に突出している。バネ取付部44bには、バネ取付穴44cが形成されている。フック45は、カバー本体42の右板42dと一体的に形成されている。フック45は、係合部45aと、バネ取付部45bを備えている。係合部45aは、左側に向けて開口したU字型の断面形状を有しており、スライド方向に沿って伸びている。バネ取付部45bは、係合部45aの下面から下方に突出している。バネ取付部45bには、バネ取付穴45cが形成されている。
図9に示すように、端子カバー34は、フック44,45の係合部44a,45aを外側に開く方向に弾性変形させて、それぞれの係合部44a,45aを貫通孔40,41に差し込むことで、上側ハウジング24に取り付けられる。端子カバー34が上側ハウジング24に取り付けられた状態では、フック44,45の係合部44a,45aはカバーレール36,37に、スライド方向に摺動可能に係合する。これによって、端子カバー34は上側ハウジング24に対して、スライド方向にスライド可能に保持される。
図10に示すように、上側ハウジング24の内側上面には、下方に向けて突出するバネ取付柱46,47が形成されている。図11、図12に示すように、引張バネ38は、前端38aが端子カバー34のフック44のバネ取付部44bに保持されるとともに、後端38bが上側ハウジング24のバネ取付柱46に保持される。バネ取付柱46の外側面には、ストッパリブ48が形成されている。また、インナフレーム20には、バネ取付柱46に対応して、ストッパ壁50が形成されている。引張バネ38の後端38bは、ストッパ壁50とストッパリブ48によって、バネ取付柱46の軸方向に沿った移動が抑制される。同様に、引張バネ39は、前端39aが端子カバー34のフック45のバネ取付部45bに保持されるとともに、後端39bが上側ハウジング24のバネ取付柱47に保持される。バネ取付柱47の外側面には、ストッパリブ49が形成されている。また、インナフレーム20には、バネ取付柱47に対応して、ストッパ壁51が形成されている。引張バネ39の後端39bは、ストッパ壁51とストッパリブ49によって、バネ取付柱47の軸方向に沿った移動が抑制される。
図13、図14に示すように、インナフレーム20は、引張バネ38の下方に配置された底板52と、引張バネ38よりも右側で底板52から上方に突出する内側リブ54と、引張バネ38よりも左側で底板52から上方に突出する外側リブ56を備えている。引張バネ38は、インナフレーム20の底板52、内側リブ54および外側リブ56と、上側ハウジング24によって区画された空間内で伸縮する。このような構成とすることによって、仮に引張バネ38の前端38aがフック44から外れた場合や、引張バネ38の後端38bがバネ取付柱46から外れた場合であっても、引張バネ38がハウジング12内で移動してしまうことを防ぐことができ、引張バネ38が充電回路16や送風機18に接触してしまうことを防ぐことができる。同様に、インナフレーム20は、引張バネ39の下方に配置された底板53と、引張バネ39よりも左側で底板53から上方に突出する内側リブ55と、引張バネ39よりも右側で底板53から上方に突出する外側リブ57を備えている。引張バネ39は、インナフレーム20の底板53、内側リブ55および外側リブ57と、上側ハウジング24によって区画された空間内で伸縮する。このような構成とすることによって、仮に引張バネ39の前端39aがフック45から外れた場合や、引張バネ39の後端39bがバネ取付柱47から外れた場合であっても、引張バネ39がハウジング12内で移動してしまうことを防ぐことができ、引張バネ39が充電回路16や送風機18に接触してしまうことを防ぐことができる。
図9に示すように、インナフレーム20の外側リブ56は、端子カバー34のフック44よりも左側に配置されている。このため、フック44がカバーレール36から外れる方向に移動または変形することを防ぐことができる。また、インナフレーム20の外側リブ57は、端子カバー34のフック45よりも右側に配置されている。このため、フック45がカバーレール37から外れる方向に移動または変形することを防ぐことができる。このような構成とすることによって、フック44,45が意図せずにカバーレール36,37から外れてしまうことを防ぐことができる。
なお、上記の実施例では、上側ハウジング24に2つのカバーレール36,37が形成されており、端子カバー34が2つのフック44,45を備えている構成について説明した。これとは異なり、上側ハウジング24に1つのカバーレールのみが形成されており、端子カバー34が1つのフックのみを備える構成としてもよい。あるいは、上側ハウジング24に3つ以上のカバーレールが形成されており、端子カバー34が3つ以上のフックを備える構成としてもよい。
上記の実施例では、上側ハウジング24の上面にスライド方向に長手方向を有する貫通孔40,41が形成されており、上側ハウジング24の貫通孔40,41の縁の部分がカバーレール36,37を形成している構成について説明した。これとは異なり、上側ハウジング24に貫通孔40,41を形成することなく、上側ハウジング24の上面にL字型のレール状部分を設けることで、カバーレール36,37を形成してもよい。
上記の実施例では、電気機器が充電器10である場合について説明したが、電気機器は、バッテリパック2を電源とする電動工具や電動作業機、バッテリパック2を診断するためのバッテリ診断装置、バッテリパック2と異なるインターフェースを持つ機器とを接続する変換アダプタ等、バッテリパック2を着脱可能な他の種類の電気機器であってもよい。
以上のように、1またはそれ以上の実施形態において、充電器10(電気機器の例)は、バッテリパック2をスライド方向にスライドさせることでバッテリパック2を着脱可能なハウジング12と、ハウジング12に取り付けられたバッテリパック2と電気的に接続されるバッテリ接続端子32と、バッテリ接続端子32を保護する保護位置と、バッテリ接続端子32を露出させる露出位置の間で移動可能な端子カバー34を備えている。ハウジング12は、スライド方向に沿って伸びるカバーレール36,37を備えている。端子カバー34は、バッテリ接続端子32を少なくとも部分的に覆う形状を有するカバー本体42と、カバー本体42と一体的に形成されたフック44,45を備えている。フック44,45は、カバーレール36,37に対してスライド方向に摺動可能に係合している。
上記の充電器10によれば、カバー本体42と一体的に形成されたフック44,45をカバーレール36,37に係合させることで、端子カバー34をハウジング12に組み付けることができる。端子カバー34をハウジング12に組み付ける際に、ネジ留め作業を必要としないので、組立作業や補修作業を容易に行うことができる。
1またはそれ以上の実施形態において、カバーレール36,37は、第1のカバーレール36と、第2のカバーレール37を備えている。フック44,45は、第1のカバーレール36に対してスライド方向に摺動可能に係合している第1のフック44と、第2のカバーレール37に対してスライド方向に摺動可能に係合している第2のフック45を備えている。
上記の構成によれば、第1のフック44と第2のフック45のそれぞれが、第1のカバーレール36と第2のカバーレール37のそれぞれに摺動可能に係合するので、端子カバー34をハウジング12に対してスライドさせる際に、端子カバー34がガタつくことを抑制することができる。端子カバー34をハウジング12に対してスムーズにスライドさせることができる。
1またはそれ以上の実施形態において、バッテリ接続端子32は、第1のカバーレール36と第2のカバーレール37の間に配置されている。
上記の構成によれば、充電器10において、バッテリ接続端子32と、端子カバー34と、カバーレール36,37が占める範囲を、スライド方向に関してより小型化することができる。
1またはそれ以上の実施形態において、ハウジング12は、フック44,45がカバーレール36,37との係合が解除されるように移動または変形することを防止する外側リブ56(カバー外れ防止部材の例)をさらに備えている。
上記の構成によれば、意図せずにフック44,45がカバーレール36,37から外れてしまうことを防止することができる。
1またはそれ以上の実施形態において、充電器10は、ハウジング12の内部に収容された引張バネ38,39をさらに備えている。端子カバー34は、引張バネ38,39の弾性復元力によって、露出位置から保護位置に向けて付勢されている。
端子カバー34が圧縮バネの弾性復元力によって露出位置から保護位置に向けて付勢されている構成では、圧縮バネが座屈変形を生じた時に、圧縮バネが周囲の部材と接触してしまい、騒音の発生や、圧縮バネや周囲の部材の損傷を招くおそれがある。上記の構成によれば、端子カバー34が引張バネ38,39の弾性復元力によって露出位置から保護位置に向けて付勢されているので、バネの座屈変形に起因する騒音の発生や部材の損傷を防止することができる。
1またはそれ以上の実施形態において、引張バネ38,39の前端38a,39a(一端の例)が、端子カバー34によって保持されている。引張バネ38,39の後端38b,39b(他端の例)が、ハウジング12によって保持されている。ハウジング12は、引張バネ38,39の後端38b,39bを保持するバネ取付柱46,47(柱状部材の例)と、引張バネ38,39の後端38b,39bのバネ取付柱46,47の軸方向に沿った移動を防止するストッパリブ48,49およびストッパ壁50,51(ストッパ部材の例)をさらに備えている。
引張バネ38,39の後端38b,39bをバネ取付柱46,47によって保持する構成では、引張バネ38,39が伸縮する際に、バネ取付柱46,47が引張バネ38,39の後端38b,39bを保持する位置が、バネ取付柱46,47の軸方向に沿ってズレてしまうおそれがある。上記の構成によれば、ハウジング12のバネ取付柱46,47が引張バネ38,39の後端38b,39bを保持する位置が、バネ取付柱46,47の軸方向に沿ってズレてしまうことを防止することができる。
1またはそれ以上の実施形態において、ハウジング12は、ハウジング12の内部で引張バネ38,39の周囲を囲うように配置された底板52,53、内側リブ54,55および外側リブ56,57(引張バネ収容部材の例)をさらに備えている。
仮に引張バネ38,39の前端38a,39aや後端38b,39bが取付箇所から外れてしまった場合に、引張バネ38,39そのものがハウジング12内で移動してしまうと、ハウジング12の内部に配置された充電回路16や送風機18などの他の部品に引張バネ38,39が接触してしまい、不具合を生じるおそれがある。上記の構成によれば、仮に引張バネ38,39の前端38a,39aや後端38b,39bが取付箇所から外れてしまった場合であっても、引張バネ38,39そのものがハウジング12内で移動することを防止することができ、引張バネ38,39が充電回路16や送風機18などの他の部品と接触してしまうことを防止することができる。
1またはそれ以上の実施形態において、カバーレール36,37は、ハウジング12に形成された貫通孔40,41の縁の部分に形成されている。端子カバー34が露出位置から保護位置に向かう方向に関して、フック44,45は、カバー本体42よりも突出した形状を有している。
カバーレール36,37がハウジング12に形成された貫通孔40,41の縁の部分に形成されている場合、バッテリパック2が取り付けられていない状態では、ハウジング12の外部から貫通孔40,41を介して水や異物が入り込んで、引張バネ38,39の動作に影響を及ぼすおそれがある。上記の構成によれば、端子カバー34が露出位置から保護位置に向かう方向に関して、フック44,45がカバー本体42よりも突出した形状を有しているので、図4に示すように、バッテリパック2が取り付けられていない状態では、フック44,45によって引張バネ38,39をハウジング12の外部から遮蔽することができる。バッテリパック2が取り付けられていない状態において、ハウジング12の外部から貫通孔40,41を介して水や異物が入り込んで、引張バネ38,39の動作に影響を及ぼすことを抑制することができる。なお、バッテリパック2によって貫通孔40,41を覆う構成とした場合、バッテリパック2が取り付けられた状態でも、ハウジング12の外部から貫通孔40,41を介して水や異物が入り込んで、引張バネ38,39の動作に影響を及ぼすことを抑制することができる。
(実施例2)
図15から図26を参照して、実施例2のアダプタ102を説明する。アダプタ102は、バッテリパック104とバッテリチェッカ106とを接続するために使用される電気機器である。バッテリパック104は、例えば、ドライバやドリル等の電動工具や、刈払機やブロワ等の電動作業機に取り付けて使用される。バッテリパック104は、例えば、リチウムイオンバッテリセルを備えている。バッテリチェッカ106は、例えば、バッテリパック104の残量、累積充電回数や、バッテリパック104が故障している場合は故障箇所を表示する。アダプタ102は、例えば、旧型のバッテリパック104と旧型のバッテリチェッカ106が互いに接続可能に構成されており、新型のバッテリパック104と旧型のバッテリチェッカ106が互いに接続不能に構成されている場合に、新型のバッテリパック104を旧型のバッテリチェッカ106に接続するために、新型のバッテリパック104と旧型のバッテリチェッカ106に対応して用意される。また、アダプタ102は、旧型のバッテリパック104と新型のバッテリチェッカ106が互いに接続不能に構成されている場合に、旧型のバッテリパック104を新型のバッテリチェッカ106に接続するために、旧型のバッテリパック104と新型のバッテリチェッカ106に対応して用意されてもよい。
図15に示すように、バッテリパック104の下面には、バッテリ側取付部104aが設けられている。バッテリチェッカ106の上面には、チェッカ側取付部106aが設けられている。バッテリチェッカ106のチェッカ側取付部106aは、バッテリパック104のバッテリ側取付部104aに対応していない。このため、バッテリパック104のバッテリ側取付部104aは、バッテリチェッカ106のチェッカ側取付部106aに着脱不能である。アダプタ102の下面には、バッテリチェッカ106のチェッカ側取付部106aに対応するチェッカ取付部108(図22参照)が設けられており、アダプタ102の上面には、バッテリパック104のバッテリ側取付部104aに対応するバッテリ取付部110(図16参照)が設けられている。アダプタ102のチェッカ取付部108をバッテリチェッカ106のチェッカ側取付部106aにスライドさせることによって、アダプタ102をバッテリチェッカ106に着脱可能である。バッテリパック104のバッテリ側取付部104aを、アダプタ102のバッテリ取付部110にスライドさせることによって、バッテリパック104をアダプタ102に着脱可能である。アダプタ102をバッテリチェッカ106に取り付け、バッテリパック104をアダプタ102に取り付けることによって、バッテリパック104は、アダプタ102を介してバッテリチェッカ106に接続される。以下では、アダプタ102をバッテリチェッカ106に対してスライドさせる方向を前後方向と呼び、前後方向に直交する方向を左右方向と呼び、前後方向および左右方向に直交する方向を上下方向と呼ぶ。
図16に示すように、アダプタ102は、ハウジング112と、端子カバー114と、を備えている。ハウジング112は、上側ハウジング128と、下側ハウジング130と、を備えている。上側ハウジング128は、アダプタ102の上部の外形形状を規定している。上側ハウジング128の上面128aに、バッテリ取付部110が設けられている。下側ハウジング130は、アダプタ102の下部の外形形状を規定している。図22に示すように、下側ハウジング130の下面130aに、チェッカ取付部108が設けられている。上側ハウジング128と下側ハウジング130は、ねじ131によって互いに固定されている。
図16に示すように、上側ハウジング128には、バッテリレール134、136と、貫通孔138、140(貫通孔140は図18から図21参照)と、凸条139,141(図20参照)と、端子取付部142(図18参照)とが形成されている。バッテリレール134、136は、バッテリパック104をアダプタ102に対してスライドさせるスライド方向に長手方向を有している。バッテリレール134は、上側ハウジング128の上面128aの右端部に配置されている。バッテリレール136は、上側ハウジング128の上面128aの左端部に配置されている。アダプタ102のバッテリ取付部110にバッテリパック104のバッテリ側取付部104aを取り付ける場合、バッテリレール134、136は、バッテリ側取付部104aを前後方向に案内する。
貫通孔138は、バッテリレール134に近接して配置されている。貫通孔138は、スライド方向に長手方向を有している。図20に示すように、貫通孔140は、バッテリレール136に近接して配置されている。図18に示すように、貫通孔140は、スライド方向に長手方向を有している。バッテリパック104がアダプタ102に取り付けられたとき、貫通孔138、140は、バッテリパック104と対向する。端子取付部142は、バッテリレール134、136の間に配置されている。本実施例では、貫通孔138,140の縁の部分がカバーレール135,137を形成している。
図16および図17に示すように、端子カバー114は、スライド方向にスライド可能にカバーレール135,137に保持されている。端子カバー114は、後述するバッテリ側端子176を覆う保護位置(図16参照)と、バッテリ側端子176を露出させる露出位置(図17参照)との間でスライド可能である。端子カバー114は、引張バネ126a、126b(図21参照)によって、露出位置から保護位置に向かう方向に付勢されている。このため、バッテリパック104がアダプタ102に取り付けられていない状態では、図16に示すように、引張バネ126a、126bの弾性復元力によって、端子カバー114は保護位置に保持されている。バッテリパック104がアダプタ102に取り付けられる場合には、端子カバー114がバッテリパック104によって押圧されることによって、端子カバー114は、保護位置から露出位置に移動する。
図24、図25に示すように、端子カバー114は、カバー本体115と、フック117,119を備えている。カバー本体115とフック117,119は、一体的に形成されている。カバー本体115は、バッテリ側端子176の前方を覆う前板115aと、上方を覆う上板115bと、左方を覆う左板115cと、右方を覆う右板115dと、隣接するバッテリ側端子176の間に配置される仕切り板115eと、左板115cと仕切り板115eの間に設けられた補強リブ115fと、右板115dと仕切り板115eの間に設けられた補強リブ115gと、仕切り板115eの後端に設けられた補強フランジ115hを備えている。カバー本体115の左板115cと、右板115dと、仕切り板115eは、スライド方向と上下方向を含む平面に沿って配置されている。補強リブ115f、115gと補強フランジ115hは、スライド方向に直交する平面に沿って配置されている。
フック117は、カバー本体115の右板115dと一体的に形成されている。フック117は、係合部117aと、バネ取付部117bを備えている。係合部117aは、上板117cと、上板117cの右端から下方に伸びる右板117dと、右板117dから左方に伸びる下板117eを備えている。上板117cと、右板117dと、下板117eは、スライド方向に沿って延びている。下板117eの上面には、スライド方向に沿って伸びる凸条117fが形成されている。バネ取付部117bは、係合部117aの下板117eから下方に突出している。バネ取付部117bには、バネ取付穴117gが形成されている。フック119は、カバー本体115の左板115cと一体的に形成されている。フック119は、係合部119aと、バネ取付部119bを備えている。係合部119aは、上板119cと、上板119cの左端から下方に伸びる左板119dと、左板119dから右方に伸びる下板119eを備えている。上板119cと、左板119dと、下板119eは、スライド方向に沿って延びている。下板119eの上面には、スライド方向に沿って伸びる凸条119fが形成されている。バネ取付部119bは、係合部119aの下板119eから下方に突出している。バネ取付部119bには、バネ取付穴119gが形成されている。
図26に示すように、端子カバー114は、フック117,119の係合部117a,119aを外側に開く方向に弾性変形させて、それぞれの係合部117a,119aを貫通孔138,140に差し込むことで、上側ハウジング128に取り付けられる。端子カバー114が上側ハウジング128に取り付けられた状態では、フック117,119の係合部117a,119aはカバーレール135,137に、スライド方向に摺動可能に係合する。これによって、端子カバー114は上側ハウジング128に対して、スライド方向にスライド可能に保持される。
端子カバー114が上側ハウジング128に取り付けられた状態では、端子カバー114は上側ハウジング128に対して、上側ハウジング128の凸条139,141がフック117,119の上板117c、119cの下面に当接する位置まで下方に移動可能であるとともに、フック117,119の凸条117f、119fがカバーレール135,137に当接する位置まで上方に移動可能である。このため、端子カバー114を上側ハウジング128に対してスライド方向にスライドさせる際には、フック117,119の上板117c、119cの下面や、カバーレール135,137の下面に、凸条139,141や凸条117f,119fの摺動に伴う傷痕が生じるものの、上側ハウジング128の外面や端子カバー114の外面に傷痕が生じることはない。このため、端子カバー114を上側ハウジング128に対して繰り返しスライドさせた場合でも、アダプタ102の美観を良好に保つことができる。
図20に示すように、アダプタ102は、制御基板116と、防水壁118、120と、をさらに備えている。制御基板116と防水壁118、120とは、上側ハウジング128と下側ハウジング130の内部に収容されている。図19に示すように、制御基板116は、上側ハウジング128の位置決めピン144によって、4つの角のうちの対角の関係にある2つの角において、上側ハウジング128に対して位置決めされている。また、制御基板116は、ねじ146によって、4つの角のうちの対角の関係にある他の2つの角において、上側ハウジング128に固定されている。
防水壁118、120は、上側ハウジング128の上側内面から下側に延びている(図18参照)。図20に示すように、防水壁118は、貫通孔138のカバーレール135よりも左側でスライド方向に沿って延びている。防水壁118は、貫通孔138と制御基板116との間を遮るように配置されている。防水壁118の下端部は、制御基板116よりも下側に配置されている。防水壁120は、貫通孔140のカバーレール137よりも右側でスライド方向に沿って延びている。防水壁120は、貫通孔140と制御基板116との間を遮るように配置されている。防水壁120の下端部は、制御基板116よりも下側に配置されている。左右方向に関して、制御基板116は、防水壁118、120との間に配置されている。防水壁118、120のそれぞれは、貫通孔138、140のそれぞれからハウジング112の内部に水が侵入した場合、侵入した水を下側に案内する。
図21に示すように、上側ハウジング128の上側内面には、ピン132a、132bが下側に延びている。左右方向に関して、ピン132aは、防水壁118と貫通孔138の右縁部との間に配置されている。左右方向に関して、ピン132aと防水壁118との間の幅W1は、ピン132aと貫通孔138の右縁部との間の幅W2と略同一である。また、左右方向に関して、ピン132bは、防水壁120と貫通孔140の左縁部との間に配置されている。左右方向に関して、ピン132bと防水壁120との間の幅W1は、ピン132bと貫通孔140の左縁部との間の幅W2と略同一である。
ピン132aには、引張バネ126aの一端部が取り付けられている。なお、引張バネ126aの他端部は、端子カバー114のバネ取付部117bに取り付けられている。引張バネ126aは、前側から後側に向かうにつれて、防水壁118から離れるように傾斜している。仮に、ピン132aの位置を本実施例のピン132aよりも防水壁118側に寄せて、引張バネ126aを前後方向に平行に配置した場合、引張バネ126aは、防水壁118に干渉するため、引張バネ126aの取り付け性が悪化する。本実施例では、引張バネ126aは前側から後側に向かうにつれて、防水壁118から離れるように傾斜しているので、引張バネ126aが防水壁118に干渉して引張バネ126aの取り付け性が悪化することを抑制することができる。また、ピン132bには、引張バネ126bの一端部が取り付けられている。なお、引張バネ126bの他端部は、端子カバー114のバネ取付部119bに取り付けられている。引張バネ126bは、前側から後側に向かうにつれて、防水壁120から離れるように傾斜している。このため、引張バネ126bが防水壁120に干渉して引張バネ126bの取り付け性が悪化することを抑制することができる。
図22に示すように、下側ハウジング130には、チェッカレール150、152と、端子取付部154とが形成されている。チェッカレール150、152は、前後方向に長手方向を有する。チェッカレール150は、下側ハウジング130の下面130aの右端部に配置されている。チェッカレール152は、下側ハウジング130の下面130aの左端部に配置されている。チェッカレール150、152は、バッテリパック104のバッテリ側取付部104aのレール(図示省略)よりも長い。これにより、アダプタ102がバッテリチェッカ106以外の電気機器、例えば、電動工具や電動作業機に誤って取り付けられない。また、チェッカレール152は、チェッカレール150の前端部よりも前側に長く延びている。これにより、アダプタ102は、旧型のバッテリチェッカ106に対して着脱可能であるが、新型のバッテリチェッカ106に対して着脱不能である。アダプタ102のチェッカ取付部108にバッテリチェッカ106のチェッカ側取付部106aを取り付ける場合、チェッカレール150、152は、チェッカ側取付部106aをスライド方向に案内する。端子取付部154は、チェッカレール150、152の間に配置されている。
また、アダプタ102は、フック180をさらに備えている。フック180は、アダプタ102の後端に配置されている。フック180は、圧縮バネ182(図23参照)に付勢されることによって、通常時には、下側ハウジング130の下面130aよりも下方に突出している。フック180は、上下方向に長手方向を有している。フック180がバッテリチェッカ106の上面に形成されている係合溝(図示省略)に係合することで、アダプタ102がバッテリチェッカ106に保持される。
図20に示すように、アダプタ102は、内壁122、124をさらに備えている。内壁122、124は、上側ハウジング128と下側ハウジング130の内部に収容されている。内壁122、124は、下側ハウジング130の下側内面から上側に延びている。内壁122、124は、前後方向に長手方向を有する。内壁122は、防水壁118よりも左側であって、制御基板116よりも右側に配置されている。また、内壁122の上端部は、防水壁118の下端部と制御基板116よりも上側に配置されている。内壁124は、防水壁120よりも右側であって、制御基板116よりも左側に配置されている。また、内壁124の上端部は、防水壁120の下端部と制御基板116よりも上側に配置されている。左右方向に関して、制御基板116は、内壁122、124の間に配置されている。また、左右方向に関して、内壁122、124は、防水壁118、120の間に配置されている。左右方向に関して、内壁122が防水壁118に対して重なり合い、かつ、内壁124が防水壁120に対して重なり合うことによって、内壁122、124と防水壁118、120とがラビリンス構造を形成する。これにより、アダプタ102が、防水壁118、120と内壁122、124のうちの一方のみを備えている場合と比較して、貫通孔138、140のそれぞれからハウジング112の内部に侵入した水が、制御基板116に到達することをさらに抑制することができる。
下側ハウジング130の内面には、段差部158、160が形成されている。段差部158は、内壁122と防水壁118よりも右側に配置されている。段差部158よりも右側の下側ハウジング130の下側内面は、段差部158と内壁122との間の下側内面よりも上側に位置している。段差部158と内壁122との間には、防水溝164が形成されている。段差部160は、内壁124と防水壁120よりも左側に配置されている。段差部160よりも左側の下側ハウジング130の下側内面は、段差部160と内壁124との間の下側内面よりも上側に位置している。段差部160と内壁124との間には、防水溝166が形成されている。防水溝166が形成されている。防水溝164、166は、前後方向に長手方向を有する。防水壁118の下端部は、防水溝164内に配置されている。また、防水壁120の下端部は、防水溝166内に配置されている。防水溝164、166は、防水壁118、120のそれぞれによって案内された水を受ける。
下側ハウジング130には、排出口168、170が形成されている。排出口168は、防水溝164の前端部に配置されている。また、排出口170は、防水溝166の前端部に配置されている。
水平面に載置されたバッテリチェッカ106にアダプタ102を取り付けた場合、下側ハウジング130の下面130aは、水平面に対して、後側から前側に向かうにつれて上側から下側に向かうように傾斜している。このため、防水溝164、166は、水平面に対して、後側から前側に向かうにつれて上側から下側に向かうように傾斜している。これにより、防水壁118、120から防水溝164、166に滴下した水は、前側に向かって流れ、排出口168、170からハウジング112の外部に排出される。排出口168、170から排出された水は、バッテリチェッカ106の外面を伝って、バッテリチェッカ106の下側に滴下する。
また、アダプタ102を水平面に載置した場合においても、下側ハウジング130の下面130aは、水平面に対して後側から前側に向かうにつれて上側から下側に向かうように傾斜している。このため、防水溝164、166は、水平面に対して後側から前側に向かうにつれて上側から下側に向かうように傾斜している。これにより、防水壁118、120から防水溝164、166に移動した水は、前側に向かって流れ、排出口168、170からハウジング112の外部に排出される。
図23に示すように、制御基板116は、下側ハウジング130の下面130aと平行に配置されている。制御基板116は、上側ハウジング128の上面128aに対して傾斜している。本実施例では、上側ハウジング128の上面128aは、下側ハウジング130の下面130aに対して5°の角度で傾斜している。なお、上側ハウジング128の上面128aは、下側ハウジング130の下面130aに対して0°よりも大きく、かつ10°以下の角度で傾斜していてもよく、0°よりも大きく、かつ15°以下の角度で傾斜していてもよい。
制御基板116の下面116aには、機器側端子174が実装されている。機器側端子174は、制御基板116の下面116aから下側に延びた後、屈曲して前側に延びている。機器側端子174は、下側ハウジング130の端子取付部154を介して、下側ハウジング130の外部に突出している。アダプタ102がバッテリチェッカ106に取り付けられると、機器側端子174は、バッテリチェッカ106の端子(図示省略)と電気的に接続する。
制御基板116の上面116bには、バッテリ側端子176が実装されている。バッテリ側端子176は、上側ハウジング128の端子取付部142を介して、上側ハウジング128の外部に突出している。アダプタ102がバッテリパック104に取り付けられると、バッテリ側端子176は、バッテリパック104の端子(図示省略)と電気的に接続する。
(実施例3)
図27、図28を参照して、実施例3のアダプタ202を説明する。図27に示すように、本実施例のアダプタ202は、実施例2のアダプタ102と略同様の構成を備えている。本実施例のアダプタ202は、端子カバー114の代わりに、端子カバー204を備えている。
図28に示すように、本実施例の端子カバー204は、実施例2の端子カバー114と略同様の構成を備えている。本実施例の端子カバー204は、カバー本体115と、フック117,119と、カバープレート206,208を備えている。
カバープレート206は、フック117の上板117cと同一平面に沿って配置されている。カバープレート206は、カバー本体115の前板115aからフック117の上板117cまで伸びている。カバープレート208は、フック119の上板119cと同一平面に沿って配置されている。カバープレート208は、カバー本体115の前板115aからフック119の上板119cまで伸びている。
図27に示すように、端子カバー204が上側ハウジング128に取り付けられた状態では、カバープレート206とフック117の上板117cが上側ハウジング128の凸条139に対向して配置されており、カバープレート208とフック119の上板119cが上側ハウジング128の凸条141に対向して配置される。このため、端子カバー204を上側ハウジング128に対して左右方向を回動軸として回動させる力が作用した場合に、実施例2のアダプタ102に比べて、端子カバー204のガタつきが小さくなる。これによって、端子カバー204を上側ハウジング128に対して左右方向を回動軸として回動させる力が作用した場合でも、バッテリ側端子176がカバー本体115の前板115aや上板115bに接触してしまうことを抑制することができる。
以上のように、1またはそれ以上の実施形態において、アダプタ102,202(電気機器の例)は、バッテリパック104をスライド方向にスライドさせることでバッテリパック104を着脱可能なハウジング112と、ハウジング112に取り付けられたバッテリパック104と電気的に接続されるバッテリ側端子176(バッテリ接続端子の例)と、バッテリ側端子176を保護する保護位置と、バッテリ側端子176を露出させる露出位置の間で移動可能な端子カバー114,204を備えている。ハウジング112は、スライド方向に沿って伸びるカバーレール135,137を備えている。端子カバー114,204は、バッテリ側端子176を少なくとも部分的に覆う形状を有するカバー本体115と、カバー本体115と一体的に形成されたフック117,119を備えている。フック117,119は、カバーレール135,137に対してスライド方向に摺動可能に係合している。
上記のアダプタ102,202によれば、カバー本体115と一体的に形成されたフック117,119をカバーレール135,137に係合させることで、端子カバー114,204をハウジング112に組み付けることができる。端子カバー114,204をハウジング112に組み付ける際に、ネジ留め作業を必要としないので、組立作業や補修作業を容易に行うことができる。
1またはそれ以上の実施形態において、カバーレール135,137は、第1のカバーレール135と、第2のカバーレール137を備えている。フック117,119は、第1のカバーレール135に対してスライド方向に摺動可能に係合している第1のフック117と、第2のカバーレール137に対してスライド方向に摺動可能に係合している第2のフック119を備えている。
上記の構成によれば、第1のフック117と第2のフック119のそれぞれが、第1のカバーレール135と第2のカバーレール137のそれぞれに摺動可能に係合するので、端子カバー114,204をハウジング112に対してスライドさせる際に、端子カバー114,204がガタつくことを抑制することができる。端子カバー114,204をハウジング112に対してスムーズにスライドさせることができる。
1またはそれ以上の実施形態において、バッテリ側端子176は、第1のカバーレール135と第2のカバーレール137の間に配置されている。
上記の構成によれば、アダプタ102,202において、バッテリ側端子176と、端子カバー114,204と、カバーレール135,137が占める範囲を、スライド方向に関してより小型化することができる。
1またはそれ以上の実施形態において、アダプタ102,202は、ハウジング112の内部に収容された引張バネ126a,126bをさらに備えている。端子カバー114,204は、引張バネ126a,126bの弾性復元力によって、露出位置から保護位置に向けて付勢されている。
1またはそれ以上の実施形態において、アダプタ102,202(電気機器の例)は、バッテリパック104をスライド方向にスライドさせることでバッテリパック104を着脱可能なハウジング112と、ハウジング112に取り付けられたバッテリパック104と電気的に接続されるバッテリ側端子176(バッテリ接続端子の例)と、バッテリ側端子176を保護する保護位置と、バッテリ側端子176を露出させる露出位置の間で移動可能な端子カバー114,204と、ハウジング112の内部に収容された引張バネ126a,126bを備えている。端子カバー114,204は、引張バネ126a,126bの弾性復元力によって、露出位置から保護位置に向けて付勢されている。
端子カバー114,204が圧縮バネの弾性復元力によって露出位置から保護位置に向けて付勢されている構成では、圧縮バネが座屈変形を生じた時に、圧縮バネが周囲の部材と接触してしまい、騒音の発生や、圧縮バネや周囲の部材の損傷を招くおそれがある。上記の構成によれば、端子カバー114,204が引張バネ126a,126bの弾性復元力によって露出位置から保護位置に向けて付勢されているので、バネの座屈変形に起因する騒音の発生や部材の損傷を防止することができる。
1またはそれ以上の実施形態において、カバーレール135,137は、ハウジング112に形成された貫通孔138,140の縁の部分に形成されている。端子カバー114,204が露出位置から保護位置に向かう方向に関して、フック117,119は、カバー本体115よりも突出した形状を有している。
カバーレール135,137がハウジング112に形成された貫通孔138,140の縁の部分に形成されている場合、バッテリパック104が取り付けられていない状態では、ハウジング112の外部から貫通孔138,140を介して水や異物が入り込んで、引張バネ126a,126bの動作に影響を及ぼすおそれがある。上記の構成によれば、端子カバー114,204が露出位置から保護位置に向かう方向に関して、フック117,119がカバー本体115よりも突出した形状を有しているので、バッテリパック104が取り付けられていない状態でも、フック117,119によって引張バネ126a,126bをハウジング112の外部から遮蔽することができる。バッテリパック104が取り付けられていない状態において、ハウジング112の外部から貫通孔138,140を介して水や異物が入り込んで、引張バネ126a,126bの動作に影響を及ぼすことを抑制することができる。
1またはそれ以上の実施形態において、カバーレール135,137の外面には、スライド方向に沿って延びる凸条139,141が形成されている。
上記のような凸条139,141がカバーレール135,137の外面に形成されていない場合、フック117,119がカバーレール135,137に対して繰り返し摺動した場合に、カバーレール135,137の外面に傷痕が形成されて、アダプタ102,202の美観を損なうおそれがある。上記の構成によれば、フック117,119がカバーレール135,137に対して繰り返し摺動した場合でも、カバーレール135,137の外面に傷痕が形成されることを抑制することができ、アダプタ102,202の美観を保つことができる。
1またはそれ以上の実施形態において、端子カバー204は、フック117,119と一体的に形成されており、カバーレール135,137の外面に沿って延びており、スライド方向に長手方向を有するカバープレート206,208をさらに備えている。
上記の構成によれば、端子カバー204のスライド方向の端部を上下に動かす回動方向の力が端子カバー204に作用した場合でも、端子カバー204がハウジング112に対してガタつく事を抑制することができ、端子カバー204がバッテリ側端子176と接触してしまうことを抑制することができる。
1またはそれ以上の実施形態において、カバー本体115は、スライド方向に対して直交する面に沿った補強リブ115f,115g、補強フランジ115h(補強部材の例)を備えている。
上記の構成によれば、カバー本体115のスライド方向に直交する方向の剛性を向上することができる。これによって、カバー本体115に衝撃が作用した場合でも、カバー本体115が変形することを抑制することができ、カバー本体115がバッテリ側端子176と接触してしまうことを抑制することができる。