JP2020161570A - 凹凸追従フィルム付き半導体背面密着フィルムおよび半導体装置製造方法 - Google Patents

凹凸追従フィルム付き半導体背面密着フィルムおよび半導体装置製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ウエハ背面にその周縁に沿った環状凸部を有する半導体ウエハの当該背面に対して半導体背面密着フィルムを貼り合わせるのに適した凹凸追従フィルム付き半導体背面密着フィルム、および半導体装置製造方法を、提供する。【解決手段】本発明の複合フィルムX(凹凸追従フィルム付き半導体背面密着)は、フィルム10(半導体背面密着フィルム)とフィルム20(凹凸追従フィルム)を備える。フィルム20は、示差走査熱量測定にて130℃未満の吸熱ピーク温度を示す基材21と粘着剤層22を含む。フィルム10は粘着剤層22に剥離可能に密着している。本発明の半導体装置製造方法は、半導体ウエハ70の背面70bに複合フィルムXを貼り合わせる工程と、フィルム10からフィルム20を剥離する工程とを含む。半導体ウエハ70は、薄肉部71と、これを囲み且つ背面70b側に環状凸部72'を有する外周厚肉部72とを有する。【選択図】図2

Description

本発明は、半導体装置の製造過程で使用することのできる半導体背面密着フィルム、および、半導体装置製造方法に関する。
フリップチップ実装される半導体チップを備える半導体装置の製造においては、当該チップのいわゆる背面に保護膜を形成するためのフィルム、即ち半導体背面密着フィルムが用いられることがある。
従来の半導体背面密着フィルムは、例えば、フィルム両面にPETセパレータを伴う形態でユーザーに提供される。このような両面セパレータ付き半導体背面密着フィルムは、フリップチップ実装される半導体チップを備える半導体装置の製造過程において、一方のPETセパレータが剥離されて他方のPETセパレータを片面に伴う状態で、ワークである半導体ウエハの背面に貼り合わせられる。その半導体ウエハは、同フィルムを伴う状態で、例えばブレードダイシングによってチップへと個片化される。こうして得られる保護膜付き半導体チップは、所定の基板にフリップチップ実装されることとなる。このような半導体背面密着フィルムに関する技術については、例えば下記の特許文献1に記載されている。
国際公開第2014/092200号
半導体装置製造過程においては、薄い半導体チップを得るべく、ウエハ背面からその周縁部を残しつつ研削加工を施して薄化した半導体ウエハ(厚肉周縁部付き薄化ウエハ)が用いられることがある。この半導体ウエハは、ウエハ背面にその周縁に沿った環状凸部を有する。図7から図9は、そのような半導体ウエハの一例であるウエハ70を表す。図7はウエハ70の一の平面図である。図8はウエハ70の他の平面図である。図9はウエハ70の断面模式図である。
ウエハ70は、素子形成面である第1面70aと背面である第2面70bを有し、且つ、薄肉部71とこれを囲む厚肉部72を有する。薄肉部71は、数十μm程度の所定の厚さを有する。薄肉部71の第1面70aの側には、複数の半導体素子(図示略)が既に作り込まれている。この薄肉部71の個片化によって、薄い半導体チップが得られる。厚肉部72は、第2面70b側にて突き出る環状凸部72'を含んで700μm程度の厚さを有する。この厚肉部72と薄肉部71とは、ウエハ70の第2面70b側にて、比較的に大きな段差構造をなす。このようなウエハ70(厚肉周縁部付き薄化ウエハ)において、厚肉部72は、薄肉部71を有するウエハ70の形態保持に寄与し、ウエハ70の取扱い性を確保する役割を担う。
図10および図11は、厚肉周縁部付き薄化ウエハである上述のウエハ70と、従来型の両面セパレータ付き半導体背面密着フィルムYとが使用される半導体装置製造方法を表す。
本方法で使用される両面セパレータ付き半導体背面密着フィルムYは、図10(a)に示すように、半導体背面密着フィルム81とその両面を被覆保護するための一対のPETセパレータ82,82との積層構造を有する。両面セパレータ付き半導体背面密着フィルムYの使用時には、図10(b)に示すように、一方のPETセパレータ82が剥離される。そして、図10(c)に示すように、他方のPETセパレータ82を片面に伴う半導体背面密着フィルム81が、ウエハ70の第2面70b(段差構造を伴う背面)に対して貼り合わせられる(貼合せ工程)。
次に、半導体背面密着フィルム81からPETセパレータ82が剥離された後、図11(a)に示すように、厚肉部72が切断除去されて半導体背面密着フィルム付きの薄化ウエハ70Aが得られる(図11(a)には、切断箇所を通る破線を付す)。本工程では、例えば、薄肉部71における厚肉部72近傍箇所に対し、厚肉部72に沿って回転ブレードによる切削加工が施される。次に、図11(b)に示すように、薄化ウエハ70Aの背面側(即ち、半導体背面密着フィルム81側)にダイシングテープT1が貼り合わせられる。次に、図11(c)に示すように、半導体背面密着フィルム81を伴う薄化ウエハ70Aに対し、その個片化のために、ブレードダイシングによる切削加工が施される(ダイシング工程)。図11(c)では、切削箇所を模式的に太線で表す。これにより、半導体背面密着フィルム81由来の保護膜を背面に伴う半導体チップが得られる。当該半導体チップは、所定の基板にフリップチップ実装されることとなる。
上述のように、ウエハ70では、その第2面70b側において薄肉部71と厚肉部72とが比較的に大きな段差構造をなす。そのため、図10(c)に示すような貼合せ工程では、従来、ウエハ70の薄肉部71と厚肉部72との境界箇所において、例えば図12に示すような空隙を生じやすい。貼合せ工程においてこのような空隙が生じる場合、図11(a)に示すような切断工程では、ウエハ周縁において半導体背面密着フィルム81が貼着していない箇所(部分的剥離箇所)を伴う薄化ウエハ70Aが得られる。そして、図11(c)に示すようなダイシング工程では、ウエハ周縁において半導体背面密着フィルム81を介してダイシングテープT1に保持されていない箇所(非保持箇所)を伴う薄化ウエハ70Aに対して切削加工が施される。そのようなダイシング工程では、薄化ウエハ70Aにおいて非保持箇所またはその近傍が回転ブレードにより切削される時に いわゆるチップ飛びが生じてしまう。チップ飛びは、製品半導体チップおよびダイシング装置の損傷させることがあり、好ましくない。
本発明は、以上のような事情のもとで考え出されたものであって、その目的は、ウエハ背面にその周縁に沿った環状凸部を有する半導体ウエハの当該背面に対して半導体背面密着フィルムを貼り合わせるのに適した凹凸追従フィルム付き半導体背面密着フィルム、および、そのようなフィルムが用いられる半導体装置製造方法を、提供することにある。
本発明の第1の側面によると、凹凸追従フィルム付き半導体背面密着フィルムが提供される。この凹凸追従フィルム付き半導体背面密着フィルムは、凹凸追従フィルムおよび半導体背面密着フィルムを備える。凹凸追従フィルムは、基材と粘着剤層とを含む積層構造を有する。凹凸追従フィルムの基材は、示差走査熱量測定において130℃未満の吸熱ピーク温度を示す。半導体背面密着フィルムは、凹凸追従フィルムの粘着剤層に剥離可能に密着している。このような構成の凹凸追従フィルム付き半導体背面密着フィルムは、半導体装置の製造過程において、チップ背面保護膜形成用のフィルムを伴う半導体チップを得るのに使用することができる。
本凹凸追従フィルム付き半導体背面密着フィルムは、上述のように、示差走査熱量測定にて130℃未満の吸熱ピーク温度を示す基材と粘着剤層との積層構造を有する凹凸追従フィルムを半導体背面密着フィルムとともに備え、当該半導体背面密着フィルムは凹凸追従フィルムの粘着剤層に密着している。このような構成の複合フィルムをその半導体背面密着フィルム側で、上述のウエハ70のような厚肉周縁部付き半導体ウエハの背面に貼り合わせる場合、そのウエハの薄肉部と厚肉部との境界箇所での上述の空隙(ウエハとフィルムとの間の空隙)を抑制しやすいことを、本発明者らは見出だした。例えば、後記の実施例および比較例をもって示すとおりである。凹凸追従フィルムの基材の上記吸熱ピーク温度が130℃未満であるとい構成は、厚肉周縁部付き半導体ウエハの背面に本複合フィルムが貼り合わせられる場合に、凹凸追従フィルムないしその基材が当該背面の段差構造に追従して塑性変形するうえで好適である。塑性変形しやすい凹凸追従フィルムの粘着剤層に半導体背面密着フィルムが剥離可能に密着しているという上記構成は、厚肉周縁部付き半導体ウエハの背面に本複合フィルムが貼り合わせられる場合に、ウエハ背面の段差構造部分において半導体背面密着フィルムから凹凸追従フィルムが剥離することを防止するうえで好適である。これとともに、同構成は、ウエハ背面への本複合フィルムの貼合わせの後に、半導体背面密着フィルムと凹凸追従フィルムとが密着一体化している状態を確保するのに適し、従って、半導体背面密着フィルムの損傷などダメージを抑制しつつ本複合フィルムの良好なハンドリング性を確保するうえでも好適である。
以上のように、本発明の第1の側面に係る複合フィルム(凹凸追従フィルム付き半導体背面密着フィルム)は、ウエハ背面にその周縁に沿った環状凸部を有する半導体ウエハの当該背面に対して上述の空隙の発生を抑制しつつ半導体背面密着フィルムを貼り合わせるのに適する。半導体ウエハ背面に対して空隙の発生を抑制しつつ半導体背面密着フィルムを貼り合わせるのに適する本複合フィルムは、半導体装置製造過程のダイシング工程において、上述のチップ飛び、製品半導体チップの損傷、およびダイシング装置の損傷を、抑制するうえで好適である。
好ましくは、半導体背面密着フィルムは、半導体背面密着面を有する接着剤層と、硬化した熱硬化型層であるレーザーマーク層とを含む積層構造を有し、レーザーマーク層の側で凹凸追従フィルムの粘着剤層に剥離可能に密着している。このような構成は、半導体背面密着フィルムにおいて凹凸追従フィルム粘着剤層に対する密着力の経時的上昇を抑制するうえで好適である。加えて、レーザーマーク層が熱硬化型層であるという構成は、半導体背面密着フィルムのレーザーマーク層側表面がレーザーマーキングによる刻印の施された後にいわゆるリフロー工程等の高温過程を経る場合において、刻印情報の視認性を確保するのに適する。
好ましくは、半導体背面密着フィルムは非熱硬化性フィルムである。非熱硬化性フィルムとは、既に熱硬化された状態にある熱硬化型の樹脂組成物よりなる層など部分と熱可塑性を示す樹脂組成物よりなる層など部分とからなるフィルム、または、未硬化状態にあって熱可塑性を示す樹脂組成物よりなるフィルムをいうものとする。このような構成は、半導体背面密着フィルムが高温環境にさらされることにより硬化収縮するその程度を低減するうえで好適であり、従って、半導体背面密着フィルムが貼り合わされた半導体ウエハに半導体装置製造過程で反りが生ずるのを抑制するうえで、好適である。
本発明の第2の側面によると、半導体装置製造方法が提供される。この製造方法は、貼合せ工程および剥離工程を含む。貼合せ工程では、本発明の第1の側面に係る上述の凹凸追従フィルム付き半導体背面密着フィルムを、半導体ウエハに貼り合わせる。この半導体ウエハは、素子形成面である第1面およびこれとは反対の背面である第2面を有し、且つ、第2面側にて突き出る環状凸部を有する外周厚肉部とこれに囲まれた薄肉部とを備える。貼合せ工程では、このような半導体ウエハの、環状凸部を含む第2面に、凹凸追従フィルム付き半導体背面密着フィルムをその半導体背面密着フィルム側で貼り合わせる。そして、剥離工程では、半導体背面密着フィルムから凹凸追従フィルムを剥離する。
本半導体装置製造方法の貼合せ工程では、上述のように、本発明の第1の側面に係る凹凸追従フィルム付き半導体背面密着フィルムが使用される。したがって、本製造方法は、半導体背面密着フィルムを半導体ウエハ背面に対して空隙の発生を抑制しつつ貼り合わせるのに適し、後に実施されるダイシング工程において上述のチップ飛び、製品半導体チップの損傷、およびダイシング装置の損傷を抑制するのに適する。
本発明の一の実施形態に係る凹凸追従フィルム付き半導体背面密着フィルムの断面模式図である。 図1に示す凹凸追従フィルム付き半導体背面密着フィルムが使用される半導体装置製造方法における一部の工程を表す。 図2に示す工程の後に続く工程を表す。 図3に示す工程の後に続く工程を表す。 図4に示す工程の後に続く工程を表す。 図5に示す工程の後に続く工程を表す。 厚肉周縁部付き薄化ウエハの一の平面図である。 厚肉周縁部付き薄化ウエハの他の平面図である。 厚肉周縁部付き薄化ウエハの断面模式図である。 厚肉周縁部付き薄化ウエハと、従来型の両面セパレータ付き半導体背面密着フィルムとが使用される半導体装置製造方法における一部の工程を表す。 図10に示す工程の後に続く工程を表す。
図1は、本発明の一の実施形態に係る凹凸追従フィルム付き半導体背面密着フィルムである複合フィルムXの断面模式図である。複合フィルムXは、チップ背面保護膜形成用のチップ相当サイズのフィルムを伴う半導体チップを得るための過程で使用することのできるものであり、フィルム10とフィルム20とを含む積層構造を有する。フィルム10は、ワークである半導体ウエハの回路非形成面である裏面ないし背面に貼り合わされることとなる半導体背面密着フィルムである。フィルム20は、基材21と粘着剤層22とを含む積層構造を有する凹凸追従フィルムである。粘着剤層22は、フィルム10側に粘着面22aを有する。粘着剤層22ないしその粘着面22aに対し、フィルム10は剥離可能に密着している。また、複合フィルムXは、ワークである半導体ウエハに対応するサイズの円盤形状を有する。
半導体背面密着フィルムであるフィルム10は、レーザーマーク層11と接着剤層12とを含む積層構造を有する。レーザーマーク層11は、フィルム10においてフィルム20側に位置し、フィルム20ないしその粘着剤層22に密着している。レーザーマーク層11におけるフィルム20側の表面には、半導体装置の製造過程においてレーザーマーキングが施されることとなる。レーザーマーク層11は、本実施形態では、熱硬化性の樹脂組成物層が既に熱硬化された状態にあるものである。接着剤層12は、フィルム10においてワークが貼り合わされる側に位置してワーク密着面12aを有し、本実施形態では、熱可塑性の樹脂組成物層である。これらレーザーマーク層11および接着剤層12を含む積層構造を有するフィルム10は、実質的に熱硬化性を有しない非熱硬化性フィルムである。
フィルム10におけるレーザーマーク層11は、樹脂成分として、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを含む組成を有してもよいし、硬化剤と反応して結合を生じ得る熱硬化性官能基を伴う熱可塑性樹脂を含む組成を有してもよい。
レーザーマーク層11が熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを含む組成を有する場合の当該熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、および熱硬化性ポリイミド樹脂が挙げられる。レーザーマーク層11は、一種類の熱硬化性樹脂を含有してもよいし、二種類以上の熱硬化性樹脂を含有してもよい。エポキシ樹脂は、フィルム10から後記のように形成される背面保護膜による保護の対象である半導体チップの腐食原因となりうるイオン性不純物等の含有量が少ない傾向にあることから、フィルム10のレーザーマーク層11中の熱硬化性樹脂として好ましい。また、エポキシ樹脂に熱硬化性を発現させるための硬化剤としては、フェノール樹脂が好ましい。
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、およびテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂などの二官能エポキシ樹脂や多官能エポキシ樹脂が挙げられる。エポキシ樹脂としては、ヒダントイン型エポキシ樹脂、トリスグリシジルイソシアヌレート型エポキシ樹脂、およびグリシジルアミン型エポキシ樹脂も挙げられる。また、レーザーマーク層11は、一種類のエポキシ樹脂を含有してもよいし、二種類以上のエポキシ樹脂を含有してもよい。
フェノール樹脂はエポキシ樹脂の硬化剤として作用するものであり、そのようなフェノール樹脂としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、クレゾールノボラック樹脂、tert-ブチルフェノールノボラック樹脂、およびノニルフェノールノボラック樹脂などのノボラック型フェノール樹脂が挙げられる。また、当該フェノール樹脂としては、レゾール型フェノール樹脂、および、ポリパラオキシスチレンなどのポリオキシスチレンも挙げられる。レーザーマーク層11中のフェノール樹脂として特に好ましいのは、フェノールノボラック樹脂やフェノールアラルキル樹脂である。また、レーザーマーク層11はエポキシ樹脂の硬化剤として、一種類のフェノール樹脂を含有してもよいし、二種類以上のフェノール樹脂を含有してもよい。
レーザーマーク層11がエポキシ樹脂とその硬化剤としてのフェノール樹脂とを含有する場合、エポキシ樹脂中のエポキシ基1当量に対してフェノール樹脂中の水酸基が好ましくは0.5〜2.0当量、より好ましくは0.8〜1.2当量である割合で、両樹脂は配合される。このような構成は、レーザーマーク層11の硬化にあたって当該エポキシ樹脂およびフェノール樹脂の硬化反応を充分に進行させるうえで好ましい。
レーザーマーク層11における熱硬化性樹脂の含有割合は、レーザーマーク層11を適切に硬化させるという観点からは、好ましくは5〜60質量%、より好ましくは10〜50質量%である。
レーザーマーク層11中の熱可塑性樹脂は例えばバインダー機能を担うものであり、レーザーマーク層11が熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを含む組成を有する場合の当該熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、天然ゴム、ブチルゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリブタジエン樹脂、ポリカーボネート樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、6-ナイロンや6,6-ナイロン等のポリアミド樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等の飽和ポリエステル樹脂、ポリアミドイミド樹脂、およびフッ素樹脂が挙げられる。レーザーマーク層11は、一種類の熱可塑性樹脂を含有してもよいし、二種類以上の熱可塑性樹脂を含有してもよい。アクリル樹脂は、イオン性不純物が少なく且つ耐熱性が高いことから、レーザーマーク層11中の熱可塑性樹脂として好ましい。
レーザーマーク層11が熱可塑性樹脂としてアクリル樹脂を含有する場合の当該アクリル樹脂は、好ましくは、(メタ)アクリル酸エステルに由来するモノマーユニットを質量割合で最も多く含む。「(メタ)アクリル」は、「アクリル」および/または「メタクリル」を意味するものとする。
アクリル樹脂のモノマーユニットをなすための(メタ)アクリル酸エステル、即ち、アクリル樹脂の構成モノマーである(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル、および(メタ)アクリル酸アリールエステルが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、s-ブチルエステル、t-ブチルエステル、ペンチルエステル、イソペンチルエステル、ヘキシルエステル、ヘプチルエステル、オクチルエステル、2-エチルヘキシルエステル、イソオクチルエステル、ノニルエステル、デシルエステル、イソデシルエステル、ウンデシルエステル、ドデシルエステル(即ちラウリルエステル)、トリデシルエステル、テトラデシルエステル、ヘキサデシルエステル、オクタデシルエステル、およびエイコシルエステルが挙げられる。(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸のシクロペンチルエステルおよびシクロヘキシルエステルが挙げられる。(メタ)アクリル酸アリールエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸フェニルおよび(メタ)アクリル酸ベンジルが挙げられる。アクリル樹脂の構成モノマーとして、一種類の(メタ)アクリル酸エステルが用いられてもよいし、二種類以上の(メタ)アクリル酸エステルが用いられてもよい。また、アクリル樹脂は、それを形成するための原料モノマーを重合して得ることができる。重合手法としては、例えば、溶液重合、乳化重合、塊状重合、および懸濁重合が挙げられる。
アクリル樹脂は、例えばその凝集力や耐熱性の改質のために、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な一種類の又は二種類以上の他のモノマーを構成モノマーとしてもよい。そのようなモノマーとしては、例えば、カルボキシ基含有モノマー、酸無水物モノマー、ヒドロキシ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、スルホン酸基含有モノマー、リン酸基含有モノマー、アクリルアミド、およびアクリロニトリルが挙げられる。カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、(メタ)アクリル酸カルボキシエチル、(メタ)アクリル酸カルボキシペンチル、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、およびクロトン酸が挙げられる。酸無水物モノマーとしては、例えば、無水マレイン酸および無水イタコン酸が挙げられる。ヒドロキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6-ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8-ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10-ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12-ヒドロキシラウリル、および(メタ)アクリル酸(4-ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチルが挙げられる。エポキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジルおよび(メタ)アクリル酸メチルグリシジルが挙げられる。スルホン酸基含有モノマーとしては、例えば、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、および(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸が挙げられる。リン酸基含有モノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートが挙げられる。
レーザーマーク層11に含まれるアクリル樹脂は、好ましくは、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチル、アクリロニトリル、およびアクリル酸から適宜に選択されるモノマーの共重合体である。このような構成は、半導体背面密着フィルムであるフィルム10において、レーザーマーキングによる刻印情報の視認性を確保するうえで好ましい。
レーザーマーク層11が、熱硬化性官能基を伴う熱可塑性樹脂を含む組成を有する場合、当該熱可塑性樹脂としては、例えば、熱硬化性官能基含有アクリル樹脂を用いることができる。この熱硬化性官能基含有アクリル樹脂をなすためのアクリル樹脂は、好ましくは、(メタ)アクリル酸エステルに由来するモノマーユニットを質量割合で最も多く含む。そのような(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、レーザーマーク層11に含有されるアクリル樹脂の構成モノマーとして上記したのと同様の(メタ)アクリル酸エステルを用いることができる。熱硬化性官能基含有アクリル樹脂をなすためのアクリル樹脂は、例えばその凝集力や耐熱性の改質のために、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な一種類の又は二種類以上の他のモノマーに由来するモノマーユニットを含んでもよい。そのようなモノマーとしては、例えば、レーザーマーク層11中のアクリル樹脂をなすための(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な他のモノマーとして上記したものを用いることができる。一方、熱硬化性官能基含有アクリル樹脂をなすための熱硬化性官能基としては、例えば、グリシジル基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、およびイソシアネート基が挙げられる。これらのうち、グリシジル基およびカルボキシ基を好適に用いることができる。すなわち、熱硬化性官能基含有アクリル樹脂としては、グリシジル基含有アクリル樹脂やカルボキシ基含有アクリル樹脂を好適に用いることができる。また、熱硬化性官能基含有アクリル樹脂における熱硬化性官能基の種類に応じて、それと反応を生じうる硬化剤が選択される。熱硬化性官能基含有アクリル樹脂の熱硬化性官能基がグリシジル基である場合、硬化剤としては、エポキシ樹脂用硬化剤として上記したのと同様のフェノール樹脂を用いることができる。
レーザーマーク層11を形成するための組成物は、好ましくは熱硬化触媒を含有する。レーザーマーク層形成用組成物への熱硬化触媒の配合は、レーザーマーク層11の硬化にあたって樹脂成分の硬化反応を充分に進行させたり、硬化反応速度を高めるうえで、好ましい。そのような熱硬化触媒としては、例えば、イミダゾール系化合物、トリフェニルフォスフィン系化合物、アミン系化合物、およびトリハロゲンボラン系化合物が挙げられる。イミダゾール系化合物としては、例えば、2-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4-ジアミノ-6-[2'-メチルイミダゾリル-(1')]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2'-ウンデシルイミダゾリル-(1')]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2'-エチル-4'-メチルイミダゾリル-(1')]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2'-メチルイミダゾリル-(1')]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、および2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾールが挙げられる。トリフェニルフォスフィン系化合物としては、例えば、トリフェニルフォスフィン、トリ(ブチルフェニル)フォスフィン、トリ(p-メチルフェニル)フォスフィン、トリ(ノニルフェニル)フォスフィン、ジフェニルトリルフォスフィン、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、メチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、メチルトリフェニルホスホニウムクロライド、メトキシメチルトリフェニルホスホニウムクロライド、およびベンジルトリフェニルホスホニウムクロライドが挙げられる。トリフェニルフォスフィン系化合物には、トリフェニルフォスフィン構造とトリフェニルボラン構造とを併有する化合物も含まれるものとする。そのような化合物としては、例えば、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラ-p-トリルボレート、ベンジルトリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、およびトリフェニルホスフィントリフェニルボランが挙げられる。アミン系化合物としては、例えば、モノエタノールアミントリフルオロボレートおよびジシアンジアミドが挙げられる。トリハロゲンボラン系化合物としては、例えばトリクロロボランが挙げられる。レーザーマーク層形成用組成物は、一種類の熱硬化触媒を含有してもよいし、二種類以上の熱硬化触媒を含有してもよい。
レーザーマーク層11は、フィラーを含有してもよい。レーザーマーク層11へのフィラーの配合は、レーザーマーク層11の弾性率や、降伏点強度、破断伸度などの物性を調整するうえで好ましい。フィラーとしては、無機フィラーおよび有機フィラーが挙げられる。無機フィラーの構成材料としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ホウ酸アルミニウムウィスカ、窒化ホウ素、結晶質シリカ、および非晶質シリカが挙げられる。無機フィラーの構成材料としては、アルミニウム、金、銀、銅、ニッケル等の単体金属や、合金、アモルファスカーボン、グラファイトなども挙げられる。有機フィラーの構成材料としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、およびポリエステルイミドが挙げられる。レーザーマーク層11は、一種類のフィラーを含有してもよいし、二種類以上のフィラーを含有してもよい。当該フィラーは、球状、針状、フレーク状など各種形状を有していてもよい。レーザーマーク層11がフィラーを含有する場合の当該フィラーの平均粒径は、好ましくは30〜500nm、より好ましくは40〜400nm、より好ましくは50〜300nmである。すなわち、レーザーマーク層11は、ナノフィラーを含有するのが好ましい。フィラーとしてこのような粒径のナノフィラーをレーザーマーク層11が含有するという構成は、小片化されることとなるフィルム10について高い分断性を確保するうえで好適である。フィラーの平均粒径は、例えば、光度式の粒度分布計(商品名「LA−910」,株式会社堀場製作所製)を使用して求めることができる。また、レーザーマーク層11がフィラーを含有する場合の当該フィラーの含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上である。同含有量は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは47質量%以下、より好ましくは45質量%以下である。
レーザーマーク層11は、本実施形態では着色剤を含有する。着色剤は、顔料であってもよいし、染料であってもよい。着色剤としては、例えば、黒系着色剤、シアン系着色剤、マゼンダ系着色剤、およびイエロー系着色剤が挙げられる。レーザーマーキングによってレーザーマーク層11に刻印される情報について高い視認性を実現するうえでは、レーザーマーク層11は黒系着色剤を含有するのが好ましい。黒系着色剤としては、例えば、カーボンブラック、グラファイト(黒鉛)、酸化銅、二酸化マンガン、アゾメチンアゾブラックなどアゾ系顔料、アニリンブラック、ペリレンブラック、チタンブラック、シアニンブラック、活性炭、フェライト、マグネタイト、酸化クロム、酸化鉄、二硫化モリブデン、複合酸化物系黒色色素、アントラキノン系有機黒色染料、およびアゾ系有機黒色染料が挙げられる。カーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、およびランプブラックが挙げられる。黒系着色剤としては、C.I.ソルベントブラック3、同7、同22、同27、同29、同34、同43、および同70も挙げられる。黒系着色剤としては、C.I.ダイレクトブラック17、同19、同22、同32、同38、同51、および同71も挙げられる。黒系着色剤としては、C.I.アシッドブラック1、同2、同24、同26、同31、同48、同52、同107、同109、同110、同119、および同154も挙げられる。黒系着色剤としては、C.I.ディスパーズブラック1、同3、同10、および同24も挙げられる。黒系着色剤としては、C.I.ピグメントブラック1および同7も挙げられる。レーザーマーク層11は、一種類の着色剤を含有してもよいし、二種類以上の着色剤を含有してもよい。また、レーザーマーク層11における着色剤の含有量は、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上、より好ましくは2重量%以上である。同含有量は、好ましくは10重量%以下、より好ましくは8重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。着色剤含有量に関するこれら構成は、レーザーマーキングによってレーザーマーク層11に刻印される情報について高い視認性を実現するうえで好ましい。
レーザーマーク層11は、必要に応じて、一種類の又は二種類以上の他の成分を含有してもよい。当該他の成分としては、例えば、難燃剤、シランカップリング剤、およびイオントラップ剤が挙げられる。
レーザーマーク層11の厚さは、例えば5〜35μmである。
フィルム10における接着剤層12は、樹脂成分として、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを含む組成を有してもよいし、熱硬化性樹脂を含まない組成を有してもよい。
接着剤層12が熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを含む組成を有する場合の当該熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、および熱硬化性ポリイミド樹脂が挙げられる。接着剤層12は、一種類の熱硬化性樹脂を含有してもよいし、二種類以上の熱硬化性樹脂を含有してもよい。エポキシ樹脂は、フィルム10から後記のように形成される背面保護膜による保護の対象である半導体チップの腐食原因となりうるイオン性不純物等の含有量が少ない傾向にあることから、フィルム10の接着剤層12中の熱硬化性樹脂として好ましい。接着剤層12におけるエポキシ樹脂としては、例えば、レーザーマーク層11が熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを含む組成を有する場合の当該熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂として上記したものが挙げられる。
接着剤層12中の熱可塑性樹脂は例えばバインダー機能を担うものである。接着剤層12が熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを含む組成を有する場合の当該熱可塑性樹脂としては、例えば、レーザーマーク層11が熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを含む組成を有する場合の熱可塑性樹脂として上記したものが挙げられる。接着剤層12は、一種類の熱可塑性樹脂を含有してもよいし、二種類以上の熱可塑性樹脂を含有してもよい。アクリル樹脂は、イオン性不純物が少なく且つ耐熱性が高いことから、接着剤層12中の熱可塑性樹脂として好ましい。
接着剤層12が熱可塑性樹脂としてアクリル樹脂を含有する場合の当該アクリル樹脂は、好ましくは、(メタ)アクリル酸エステルに由来するモノマーユニットを質量割合で最も多く含む。そのようなアクリル樹脂のモノマーユニットをなすための(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、レーザーマーク層11が熱可塑性樹脂としてアクリル樹脂を含有する場合の当該アクリル樹脂の構成モノマーとして上記した(メタ)アクリル酸エステルを用いることができる。接着剤層12中のアクリル樹脂の構成モノマーとして、一種類の(メタ)アクリル酸エステルが用いられてもよいし、二種類以上の(メタ)アクリル酸エステルが用いられてもよい。また、当該アクリル樹脂は、例えばその凝集力や耐熱性の改質のために、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な一種類の又は二種類以上の他のモノマーを構成モノマーとしてもよい。そのようなモノマーとしては、例えば、レーザーマーク層11中のアクリル樹脂をなすための(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な他のモノマーとして上記したものを用いることができる。
接着剤層12に含まれるアクリル樹脂は、好ましくは、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチル、アクリロニトリル、およびアクリル酸から適宜に選択されるモノマーの共重合体である。このような構成は、半導体背面密着フィルムであるフィルム10において、ワークに対する接着性を確保するうえで好ましい。
接着剤層12は、フィラーを含有してもよい。接着剤層12へのフィラーの配合は、接着剤層12の弾性率や、降伏点強度、破断伸度などの物性を調整するうえで好ましい。接着剤層12におけるフィラーとしては、例えば、レーザーマーク層11におけるフィラーとして上記したものが挙げられる。接着剤層12は、一種類のフィラーを含有してもよいし、二種類以上のフィラーを含有してもよい。当該フィラーは、球状、針状、フレーク状など各種形状を有していてもよい。接着剤層12がフィラーを含有する場合の当該フィラーの平均粒径は、好ましくは30〜1000nm、より好ましくは40〜900nm、より好ましくは50〜800nmである。すなわち、接着剤層12は、ナノフィラーを含有するのが好ましい。フィラーとしてこのような粒径のナノフィラーを接着剤層12が含有するという構成は、フィルム10に貼着ないしマウントされるワークについて接着剤層12中含有フィラーに起因してダメージが生ずるのを回避または抑制するうえで好適であり、また、小片化されることとなるフィルム10について高い分断性を確保するうえで好適である。また、接着剤層12がフィラーを含有する場合の当該フィラーの含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上である。同含有量は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは47質量%以下、より好ましくは45質量%以下である。
接着剤層12は、着色剤を含有してもよい。接着剤層12における着色剤としては、例えば、レーザーマーク層11における着色剤として上記したものが挙げられる。フィルム10におけるレーザーマーク層11側のレーザーマーキングによる刻印箇所とそれ以外の箇所との間で高いコントラストを確保して当該刻印情報について良好な視認性を実現するうえでは、接着剤層12は黒系着色剤を含有するのが好ましい。接着剤層12は、一種類の着色剤を含有してもよいし、二種類以上の着色剤を含有してもよい。また、接着剤層12における着色剤の含有量は、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上、より好ましくは2重量%以上である。同含有量は、好ましくは10重量%以下、より好ましくは8重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。着色剤含有量に関するこれら構成は、レーザーマーキングによる刻印情報について上述の良好な視認性を実現するうえで好ましい。
接着剤層12は、必要に応じて、一種類の又は二種類以上の他の成分を含有してもよい。当該他の成分としては、例えば、難燃剤、シランカップリング剤、およびイオントラップ剤が挙げられる。
接着剤層12の厚さは、例えば5〜10μmである。
複合フィルムXにおけるフィルム20の基材21は、フィルム20ないし複合フィルムXにおいて支持体として機能する要素であり、例えばプラスチックフィルムである。基材21は、示差走査熱量測定において130℃未満の吸熱ピーク温度を示す。基材21が示す同吸熱ピーク温度は、好ましくは120℃以下である。基材の吸熱ピーク温度は、例えば、示差走査熱量計(商品名「DSC Q2000」,TA Instruments社製)を使用して行う示差走査熱量測定により、測定することができる。この測定では、例えば、測定環境を窒素雰囲気下とし、測定温度範囲を−20℃から300℃とし、昇温速度を5℃/分とする。
基材21の構成材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフェニルスルフィド、アラミド、フッ素樹脂、セルロース系樹脂、およびシリコーン樹脂が挙げられる。ポリオレフィンとしては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ランダム共重合ポリプロピレン、ブロック共重合ポリプロピレン、ホモポリプロレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−ブテン共重合体、およびエチレン−ヘキセン共重合体が挙げられる。ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、およびポリブチレンテレフタレートが挙げられる。基材21は、一種類の材料からなってもよし、二種類以上の材料からなってもよい。基材21は、単層構造を有してもよいし、多層構造を有してもよい。基材21上の粘着剤層22が後述のように紫外線硬化性である場合、基材21は紫外線透過性を有するのが好ましい。
基材21における粘着剤層22側の表面は、粘着剤層22との密着性を高めるための物理的処理、化学的処理、または下塗り処理が施されていてもよい。物理的処理としては、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、サンドマット加工処理、オゾン暴露処理、火炎暴露処理、高圧電撃暴露処理、およびイオン化放射線処理が挙げられる。化学的処理としては例えばクロム酸処理が挙げられる。
基材21の厚さは、フィルム20ないし複合フィルムXにおける支持体として基材21が機能するための強度を確保するという観点からは、好ましくは40μm以上、好ましくは50μm以上、より好ましくは60μm以上である。また、フィルム20ないし複合フィルムXにおいて適度な可撓性を実現するという観点からは、基材21の厚さは、好ましくは200μm以下、より好ましくは180μm以下、より好ましくは150μm以下である。
フィルム20の粘着剤層22は、粘着剤を含有する。この粘着剤は、外部からの作用によって意図的に粘着力を低減させることが可能な粘着剤(粘着力低減可能型粘着剤)であってもよいし、外部からの作用によっては粘着力がほとんど又は全く低減しない粘着剤(粘着力非低減型粘着剤)であってもよい。
粘着力低減可能型粘着剤としては、例えば、放射線照射によって硬化させることが可能な粘着剤(放射線硬化性粘着剤)が挙げられる。本実施形態の粘着剤層22では、一種類の粘着力低減可能型粘着剤が用いられてもよいし、二種類以上の粘着力低減可能型粘着剤が用いられてもよい。
粘着剤層22のための放射線硬化性粘着剤としては、例えば、電子線、紫外線、α線、β線、γ線、またはX線の照射によって硬化するタイプの粘着剤が挙げられ、紫外線照射によって硬化するタイプの粘着剤(紫外線硬化性粘着剤)を特に好適に用いることができる。
粘着剤層22のための放射線硬化性粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤たるアクリル系ポリマーなどのベースポリマーと、放射線重合性の炭素−炭素二重結合等の官能基を有する放射線重合性のモノマー成分やオリゴマー成分とを含有する、添加型の放射線硬化性粘着剤が挙げられる。
上記のアクリル系ポリマーは、好ましくは、(メタ)アクリル酸エステルに由来するモノマーユニットを質量割合で最も多く含む。アクリル系ポリマーのモノマーユニットをなすための(メタ)アクリル酸エステル、即ち、アクリル系ポリマーの構成モノマーである(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル、および(メタ)アクリル酸アリールエステルが挙げられ、より具体的には、フィルム10のレーザーマーク層11におけるアクリル樹脂に関して上記したのと同様の(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。アクリル系ポリマーの構成モノマーとして、一種類の(メタ)アクリル酸エステルが用いられてもよいし、二種類以上の(メタ)アクリル酸エステルが用いられてもよい。アクリル系ポリマーの構成モノマーとしては、好ましくは、アクリル酸2-エチルヘキシルが用いられる。また、(メタ)アクリル酸エステルに依る粘着性等の基本特性を粘着剤層22にて適切に発現させるうえでは、アクリル系ポリマーの構成モノマー全体における(メタ)アクリル酸エステルの割合は、好ましくは40質量%以上、より好ましくは60質量%以上である。
アクリル系ポリマーは、例えばその凝集力や耐熱性の改質のために、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な一種類の又は二種類以上の他のモノマーに由来するモノマーユニットを含んでいてもよい。そのようなモノマーとしては、例えば、カルボキシ基含有モノマー、酸無水物モノマー、ヒドロキシ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、スルホン酸基含有モノマー、リン酸基含有モノマー、アクリルアミド、およびアクリロニトリルが挙げられ、より具体的には、フィルム10のレーザーマーク層11中のアクリル樹脂をなすための(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な他のモノマーとして上記したものが挙げられる。粘着剤層22のアクリル系ポリマーをなすための(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な他のモノマーとしては、好ましくはアクリル酸2-ヒドロキシエチルが用いられる。
アクリル系ポリマーは、そのポリマー骨格中に架橋構造を形成するために、(メタ)アクリル酸エステルなどのモノマー成分と共重合可能な多官能性モノマーに由来するモノマーユニットを含んでいてもよい。そのような多官能性モノマーとして、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ポリグリシジル(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、およびウレタン(メタ)アクリレートが挙げられる。「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」および/または「メタクリレート」を意味するものとする。アクリル系ポリマーの構成モノマーとして、一種類の多官能性モノマーが用いられてもよいし、二種類以上の多官能性モノマーが用いられてもよい。(メタ)アクリル酸エステルに依る粘着性等の基本特性を粘着剤層22にて適切に発現させるうえでは、アクリル系ポリマーの構成モノマー全体における多官能性モノマーの割合は、好ましくは40質量%以下、好ましくは30質量%以下である。
アクリル系ポリマーは、それを形成するための原料モノマーを重合して得ることができる。重合手法としては、例えば、溶液重合、乳化重合、塊状重合、および懸濁重合が挙げられる。フィルム20ないし複合フィルムXの使用される半導体装置製造方法における高度の清浄性の観点からは、フィルム20ないし複合フィルムXにおける粘着剤層22中の低分子量物質は少ない方が好ましいところ、アクリル系ポリマーの数平均分子量は、好ましくは10万以上、より好ましくは20万〜300万である。
粘着剤層22ないしそれをなすための粘着剤は、アクリル系ポリマーなどベースポリマーの数平均分子量を高めるために例えば、外部架橋剤を含有してもよい。アクリル系ポリマーなどベースポリマーと反応して架橋構造を形成するための外部架橋剤としては、ポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、ポリオール化合物、アジリジン化合物、およびメラミン系架橋剤が挙げられる。粘着剤層22ないしそれをなすための粘着剤における外部架橋剤の含有量は、ベースポリマー100質量部に対して好ましくは0.1〜5質量部である。
放射線硬化性粘着剤をなすための上記の放射線重合性モノマー成分としては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、および1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。放射線硬化性粘着剤をなすための上記の放射線重合性オリゴマー成分としては、例えば、ウレタン系、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリブタジエン系など種々のオリゴマーが挙げられ、分子量100〜30000程度のものが適当である。放射線硬化性粘着剤中の放射線重合性のモノマー成分やオリゴマー成分の総含有量は、形成される粘着剤層22の粘着力を適切に低下させ得る範囲で決定され、アクリル系ポリマーなどのベースポリマー100質量部に対して、好ましくは5〜500質量部であり、より好ましくは40〜150質量部である。また、添加型の放射線硬化性粘着剤としては、例えば特開昭60−196956号公報に開示のものを用いてもよい。
粘着剤層22のための放射線硬化性粘着剤としては、例えば、放射線重合性の炭素−炭素二重結合等の官能基をポリマー側鎖や、ポリマー主鎖中、ポリマー主鎖末端に有するベースポリマーを含有する内在型の放射線硬化性粘着剤も挙げられる。このような内在型の放射線硬化性粘着剤は、形成される粘着剤層22内での低分子量成分の移動に起因する粘着特性の意図しない経時的変化を抑制するうえで好適である。
内在型の放射線硬化性粘着剤に含有されるベースポリマーとしては、アクリル系ポリマーを基本骨格とするものが好ましい。そのような基本骨格をなすアクリル系ポリマーとしては、上述のアクリル系ポリマーを採用することができる。アクリル系ポリマーへの放射線重合性の炭素−炭素二重結合の導入手法としては、例えば、所定の官能基(第1の官能基)を有するモノマーを含む原料モノマーを共重合させてアクリル系ポリマーを得た後、第1の官能基との間で反応を生じて結合しうる所定の官能基(第2の官能基)と放射線重合性炭素−炭素二重結合とを有する化合物を、炭素−炭素二重結合の放射線重合性を維持したままアクリル系ポリマーに対して縮合反応または付加反応させる方法が、挙げられる。
第1の官能基と第2の官能基の組み合わせとしては、例えば、カルボキシ基とエポキシ基、エポキシ基とカルボキシ基、カルボキシ基とアジリジル基、アジリジル基とカルボキシ基、ヒドロキシ基とイソシアネート基、イソシアネート基とヒドロキシ基が挙げられる。これら組み合わせのうち、反応追跡の容易さの観点からは、ヒドロキシ基とイソシアネート基の組み合わせや、イソシアネート基とヒドロキシ基の組み合わせが、好ましい。また、反応性の高いイソシアネート基を有するポリマーを作製するのは技術的難易度が高いので、アクリル系ポリマーの作製または入手のしやすさの観点からは、アクリル系ポリマー側の上記第1の官能基がヒドロキシ基であり且つ上記第2の官能基がイソシアネート基である場合が、より好ましい。この場合、放射線重合性炭素−炭素二重結合と第2の官能基たるイソシアネート基とを併有するイソシアネート化合物、即ち、放射線重合性の不飽和官能基含有イソシアネート化合物としては、例えば、メタクリロイルイソシアネート、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)、およびm-イソプロペニル-α,α-ジメチルベンジルイソシアネートが挙げられる。
粘着剤層22のための放射線硬化性粘着剤は、好ましくは光重合開始剤を含有する。光重合開始剤としては、例えば、α-ケトール系化合物、アセトフェノン系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、ケタール系化合物、芳香族スルホニルクロリド系化合物、光活性オキシム系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、カンファーキノン、ハロゲン化ケトン、アシルホスフィノキシド、およびアシルホスフォナートが挙げられる。α-ケトール系化合物としては、例えば、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、α-ヒドロキシ-α,α'-ジメチルアセトフェノン、2-メチル-2-ヒドロキシプロピオフェノン、および1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンが挙げられる。アセトフェノン系化合物としては、例えば、メトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、および2-メチル-1-[4-(メチルチオ)-フェニル]-2-モルホリノプロパン-1が挙げられる。ベンゾインエーテル系化合物としては、例えば、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、およびアニソインメチルエーテルが挙げられる。ケタール系化合物としては、例えばベンジルジメチルケタールが挙げられる。芳香族スルホニルクロリド系化合物としては、例えば2-ナフタレンスルホニルクロリドが挙げられる。光活性オキシム系化合物としては、例えば、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(O-エトキシカルボニル)オキシムが挙げられる。ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、および3,3'-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノンが挙げられる。チオキサントン系化合物としては、例えば、チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-メチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、および2,4-ジイソプロピルチオキサントンが挙げられる。粘着剤層22における放射線硬化性粘着剤中の光重合開始剤の含有量は、アクリル系ポリマーなどのベースポリマー100質量部に対して例えば0.05〜20質量部である。
上述の粘着力非低減型粘着剤としては、例えば、粘着力低減可能型粘着剤に関して上述した放射線硬化性粘着剤を予め放射線照射によって硬化させた形態の粘着剤や、いわゆる感圧型粘着剤などが、挙げられる。放射線硬化性粘着剤は、その含有ポリマー成分の種類および含有量によっては、放射線硬化されて粘着力が低減された場合においても当該ポリマー成分に起因する粘着性を示し得て、所定の使用態様で被着体を粘着保持するのに利用可能な粘着力を発揮することが可能である。本実施形態の粘着剤層22においては、一種類の粘着力非低減型粘着剤が用いられてもよいし、二種類以上の粘着力非低減型粘着剤が用いられてもよい。
一方、粘着剤層22のための感圧型粘着剤としては、例えば、アクリル系ポリマーをベースポリマーとするアクリル系粘着剤やゴム系粘着剤を用いることができる。粘着剤層22が感圧型粘着剤としてアクリル系粘着剤を含有する場合、当該アクリル系粘着剤のベースポリマーたるアクリル系ポリマーは、好ましくは、(メタ)アクリル酸エステルに由来するモノマーユニットを質量割合で最も多く含む。そのようなアクリル系ポリマーとしては、例えば、放射線硬化性粘着剤に関して上述したアクリル系ポリマーが挙げられる。
粘着剤層22ないしそれをなすための粘着剤は、上述の各成分に加えて、架橋促進剤、粘着付与剤、老化防止剤、顔料や染料などの着色剤などを、含有してもよい。着色剤は、放射線照射を受けて着色する化合物であってもよい。そのような化合物としては、例えばロイコ染料が挙げられる。
粘着剤層22の厚さは、好ましくは2〜20μm、より好ましくは3〜15μmである。このような構成は、例えば、粘着剤層22が放射線硬化性粘着剤を含む場合に当該粘着剤層22の放射線硬化の前後におけるフィルム10に対する粘着力のバランスをとるうえで、好適である。
以上のような構成を有する複合フィルムXは、例えば以下のようにして製造することができる。
複合フィルムXにおけるフィルム10の作製においては、まず、レーザーマーク層11をなすこととなるフィルムと、接着剤層12をなすこととなるフィルムとを個別に作製する。レーザーマーク層11をなすこととなるフィルムは、レーザーマーク層形成用の樹脂組成物を所定のセパレータ上に塗布して樹脂組成物層を形成した後、当該組成物層を加熱によって乾燥および硬化させることによって、作製することができる。セパレータとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、並びに、フッ素系剥離剤や長鎖アルキルアクリレート系剥離剤等の剥離剤により表面コートされたプラスチックフィルムや紙類などが、挙げられる。樹脂組成物の塗布手法としては、例えば、ロール塗工、スクリーン塗工、およびグラビア塗工が挙げられる。レーザーマーク層11をなすこととなるフィルムの作製において、加熱温度は例えば90〜160℃であり、加熱時間は例えば2〜4分間である。一方、接着剤層12をなすこととなるフィルムは、接着剤層形成用の樹脂組成物を所定のセパレータ上に塗布して樹脂組成物層を形成した後、当該組成物層を加熱によって乾燥させることによって、作製することができる。接着剤層12をなすこととなるフィルムの作製において、加熱温度は例えば90〜150℃であり、加熱時間は例えば1〜2分間である。以上のようにして、それぞれがセパレータを伴う形態で上述の二種類のフィルムを作製することができる。そして、これらフィルムの露出面どうしを貼り合わせる。これによって、レーザーマーク層11と接着剤層12との積層構造を有するフィルム10(両面にセパレータを伴う)が作製される。
複合フィルムXのフィルム20については、用意した基材21上に粘着剤層22を設けることによって作製することができる。例えば樹脂製の基材21は、カレンダー製膜法、有機溶媒中でのキャスティング法、密閉系でのインフレーション押出法、Tダイ押出法、共押出し法、ドライラミネート法などの製膜手法によって、作製することができる。製膜後のフィルムないし基材21には、必要に応じて所定の表面処理が施される。粘着剤層22の形成においては、例えば、粘着剤層形成用の粘着剤組成物を調製した後、まず、当該組成物を基材21上または所定のセパレータ上に塗布して粘着剤組成物層を形成する。粘着剤組成物の塗布手法としては、例えば、ロール塗工、スクリーン塗工、およびグラビア塗工が挙げられる。次に、この粘着剤組成物層において、加熱によって、必要に応じて乾燥させ、また、必要に応じて架橋反応を生じさせる。加熱温度は例えば80〜150℃であり、加熱時間は例えば0.5〜5分間である。粘着剤層22がセパレータ上に形成される場合には、当該セパレータを伴う粘着剤層22を基材21に貼り合わせ、その後、セパレータが剥離される。これにより、基材21と粘着剤層22との積層構造を有するフィルム20が作製される。
複合フィルムXの作製においては、次に、フィルム10のレーザーマーク層11側からセパレータが剥離された後、フィルム20の粘着剤層22側にフィルム10のレーザーマーク層11側を貼り合わせる。貼合わせ温度は例えば20〜50℃であり、貼合わせ圧力(線圧)は例えば0.1〜20kgf/cmである。粘着剤層22が上述のような放射線硬化性粘着剤を含む場合、当該貼り合わせの前に粘着剤層22に対して紫外線等の放射線を照射してもよいし、当該貼り合わせの後に基材21の側から粘着剤層22に対して紫外線等の放射線を照射してもよい。或いは、複合フィルムXの製造過程では、そのような放射線照射を行わなくてもよい(この場合、複合フィルムXの使用過程で粘着剤層22を放射線硬化させることが可能である)。粘着剤層22が紫外線硬化型である場合、粘着剤層22を硬化させるための紫外線照射量は、例えば50〜500mJ/cm2である。
以上のようにして、複合フィルムXないしその接着剤層12の表面にセパレータを伴う形態で複合フィルムXを作製することができる。セパレータは、複合フィルムXを使用する際には当該フィルムから剥がされる。
フィルム10は、上述のような多層構造に代えて単層構造を有してもよい。フィルム10が単層構造を有する場合、そのフィルム10は、未硬化状態または半硬化状態にある熱硬化性の樹脂組成物よりなる。そのようなフィルム10は、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを含む組成を有してもよいし、硬化剤と反応して結合を生じ得る熱硬化性官能基を伴う熱可塑性樹脂を含む組成を有してもよい。
フィルム10が熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを含む組成を有する場合の当該熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、および熱硬化性ポリイミド樹脂が挙げられる。フィルム10は、一種類の熱硬化性樹脂を含有してもよいし、二種類以上の熱硬化性樹脂を含有してもよい。フィルム10におけるエポキシ樹脂としては、例えば、レーザーマーク層11が熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを含む組成を有する場合の当該熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂として上記したものが挙げられる。
フィルム10中の熱可塑性樹脂は例えばバインダー機能を担うものである。フィルム10が熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを含む組成を有する場合の当該熱可塑性樹脂としては、例えば、レーザーマーク層11が熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを含む組成を有する場合の熱可塑性樹脂として上記したものが挙げられる。フィルム10は、一種類の熱可塑性樹脂を含有してもよいし、二種類以上の熱可塑性樹脂を含有してもよい。
フィルム10が熱可塑性樹脂としてアクリル樹脂を含有する場合の当該アクリル樹脂は、好ましくは、(メタ)アクリル酸エステルに由来するモノマーユニットを質量割合で最も多く含む。そのようなアクリル樹脂のモノマーユニットをなすための(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、レーザーマーク層11が熱可塑性樹脂としてアクリル樹脂を含有する場合の当該アクリル樹脂の構成モノマーとして上記した(メタ)アクリル酸エステルを用いることができる。フィルム10中のアクリル樹脂の構成モノマーとして、一種類の(メタ)アクリル酸エステルが用いられてもよいし、二種類以上の(メタ)アクリル酸エステルが用いられてもよい。また、当該アクリル樹脂は、例えばその凝集力や耐熱性の改質のために、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な一種類の又は二種類以上の他のモノマーを構成モノマーとしてもよい。そのようなモノマーとしては、例えば、レーザーマーク層11中のアクリル樹脂をなすための(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な他のモノマーとして上記したものを用いることができる。
フィルム10に含まれるアクリル樹脂は、好ましくは、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチル、アクリロニトリル、およびアクリル酸から適宜に選択されるモノマーの共重合体である。このような構成は、半導体背面密着フィルムであるフィルム10において、ワークに対する接着性を確保するうえで好ましい。
フィルム10は、フィラーを含有してもよい。フィルム10へのフィラーの配合は、フィルム10の弾性率や、降伏点強度、破断伸度などの物性を調整するうえで好ましい。フィルム10におけるフィラーとしては、例えば、レーザーマーク層11におけるフィラーとして上記したものが挙げられる。フィルム10は、一種類のフィラーを含有してもよいし、二種類以上のフィラーを含有してもよい。当該フィラーは、球状、針状、フレーク状など各種形状を有していてもよい。フィルム10がフィラーを含有する場合の当該フィラーの平均粒径は、好ましくは30〜1000nm、より好ましくは40〜800nm、より好ましくは50〜600nmである。すなわち、フィルム10は、ナノフィラーを含有するのが好ましい。フィラーとしてこのような粒径のナノフィラーをフィルム10が含有するという構成は、フィルム10に貼着ないしマウントされるワークについてフィルム10中含有フィラーに起因してダメージが生ずるのを回避または抑制するうえで好適であり、また、小片化されることとなるフィルム10について高い分断性を確保するうえで好適である。また、フィルム10がフィラーを含有する場合の当該フィラーの含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上である。同含有量は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは47質量%以下、より好ましくは45質量%以下である。
フィルム10が単層構造を有する場合、そのフィルム10は着色剤を含有する。フィルム10における着色剤としては、例えば、レーザーマーク層11における着色剤として上記したものが挙げられる。フィルム10におけるレーザーマーク層11側のレーザーマーキングによる刻印箇所とそれ以外の箇所との間で高いコントラストを確保して当該刻印情報について良好な視認性を実現するうえでは、フィルム10は黒系着色剤を含有するのが好ましい。フィルム10は、一種類の着色剤を含有してもよいし、二種類以上の着色剤を含有してもよい。また、フィルム10における着色剤の含有量は、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上、より好ましくは2重量%以上である。同含有量は、好ましくは10重量%以下、より好ましくは8重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。着色剤含有量に関するこれら構成は、レーザーマーキングによる刻印情報について上述の良好な視認性を実現するうえで好ましい。
フィルム10は、必要に応じて、一種類の又は二種類以上の他の成分を含有してもよい。当該他の成分としては、例えば、難燃剤、シランカップリング剤、およびイオントラップ剤が挙げられる。
フィルム10の厚さは、例えば10〜40μmである。
図2から図6は、本発明の一の実施形態に係る半導体装置製造方法を表す。
本製造方法では、まず、図2(a)に示すように、上述の複合フィルムX、およびウエハ70が用意される。複合フィルムXは、フィルム10側からセパレータが剥離された状態にある。ウエハ70は、素子形成面である第1面70aと背面である第2面70bを有し、且つ、薄肉部71とこれを囲む厚肉部72を有する。薄肉部71は、本実施形態では、数十μm程度の所定の厚さを有する。薄肉部71の第1面70aの側には、複数の半導体素子(図示略)が既に作り込まれている。厚肉部72は、第2面70b側にて突き出る環状凸部72'を含み、本実施形態では700μm程度の厚さを有する。この厚肉部72と薄肉部71とは、ウエハ70の第2面70b側にて、比較的に大きな段差構造をなす。
次に、図2(b)に示すように、複合フィルムXのフィルム10(半導体背面密着フィルム)側が、ウエハ70の第2面70b(段差構造を伴う背面)に対して貼り合わせられる(貼合せ工程)。貼り合わせには、真空プレス機を使用することができる。
次に、図2(c)に示すように、ウエハ70上のフィルム10からフィルム20(凹凸追従フィルム)を剥離する(剥離工程)。フィルム20の粘着剤層22が上述のような紫外線硬化性など放射線硬化性を有する場合、本工程では、剥離作業の前に、粘着剤層22に対して紫外線等の放射線を照射してもよい。粘着剤層22が放射線硬化性を有する場合、そのような放射線照射により、フィルム20の粘着剤層22の粘着力を低下させて、フィルム10からフィルム20を剥離させやすくすることができる。粘着剤層22が紫外線硬化性を有する場合、粘着剤層22を硬化させるための紫外線照射量は、例えば50〜500mJ/cm2である。
次に、図3(a)に示すように、フィルム10が貼り合わせられているウエハ70において厚肉部72が切断除去されて、フィルム10付きの薄化ウエハ70Aが得られる(図3(a)には、切断箇所を通る破線を付す)。本工程では、例えば、薄肉部71における厚肉部72近傍箇所に対し、厚肉部72に沿って回転ブレードによる切削加工が施される。
次に、図3(b)に示すように、薄化ウエハ70Aの背面側のフィルム10(半導体背面密着フィルム)に、粘着面T1aを有するダイシングテープT1の粘着面T1a側が貼り合わせられる。
フィルム10が上述の単層構造を有する場合、ダイシングテープT1の貼り合わせの後に、フィルム10を熱硬化させるための加熱処理が行われる(キュア工程)。加熱温度は例えば80〜200℃である。加熱時間は例えば0.5〜5時間である。加熱処理は、具体的には例えば130℃で2時間、行われる。フィルム10が上述の単層構造を有する場合、フィルム10の当該熱硬化により、複合フィルムXのフィルム10と薄化ウエハ70Aとの密着力が高まり、複合フィルムXないしそのフィルム10の対ウエハ固定保持力が高まる。
次に、複合フィルムXにおけるフィルム10に対し、ダイシングテープT1の側からレーザーを照射してレーザーマーキングを行う(レーザーマーキング工程)。このレーザーマーキングによって、後に半導体チップへと個片化される半導体素子ごとに、文字情報や図形情報などの各種情報が刻印される。本工程では、一のレーザーマーキングプロセスにおいて、薄化ウエハ70A内の多数の半導体素子に対して一括的に効率よくレーザーマーキングを行うことが可能である。本工程で用いられるレーザーとしては、例えば、気体レーザーおよび固体レーザーが挙げられる。気体レーザーとしては、例えば、炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)およびエキシマレーザーが挙げられる。固体レーザーとしては、例えばNd:YAGレーザーが挙げられる。
次に、ダイシングテープT1の粘着面T1a上にリングフレーム41が貼り付けられた後、図4に示すように、ダイシング装置の備えるダイシングブレードによる切削加工が行われる(ダイシング工程)。図4では、切削箇所を模式的に太線で表す。本工程では、薄化ウエハ70AがチップCへと個片化され、これとともに、フィルム10が小片のフィルム10'に切断される。これにより、チップ背面保護膜形成用のフィルム10'を伴うチップC、即ちフィルム10'付きチップCが、得られる。
次に、フィルム10'付きチップCを伴うフィルム20におけるチップC側を水などの洗浄液を使用して洗浄するクリーニング工程や、フィルム10'付きチップC間の離隔距離を広げるためのエキスパンド工程を、必要に応じて経た後、図5に示すように、フィルム10'付きチップCをダイシングテープT1からピックアップする(ピックアップ工程)。例えば、リングフレーム41付きのダイシングテープT1を装置の保持具42に保持させたうえで、ピックアップ対象のフィルム10'付きチップCについて、ダイシングテープT1の図中下側においてピックアップ機構のピン部材43を上昇させてダイシングテープT1を介して突き上げた後、吸着治具44によって吸着保持する。ピックアップ工程において、ピン部材43の突き上げ速度は例えば1〜100mm/秒であり、ピン部材43の突き上げ量は例えば50〜3000μmである。
次に、図6に示すように、フィルム10'付きチップCが実装基板51に対してフリップチップ実装される。実装基板51としては、例えば、リードフレーム、TAB(Tape Automated Bonding)フィルム、および配線基板が挙げられる。チップCは、実装基板51に対してバンプ52を介して電気的に接続されている。具体的には、チップCがその回路形成面側に有する電極パッド(図示略)と実装基板51の有する端子部(図示略)とが、例えばリフロー工程を経て、バンプ52を介して電気的に接続されている。バンプ52は、例えばハンダバンプである。また、チップCと実装基板51との間には、熱硬化性のアンダーフィル剤53が介在している。
以上のようにして、チップ背面に保護膜を伴う半導体チップを備える半導体装置を、製造することができる。
複合フィルムXは、上述のように、示差走査熱量測定にて130℃未満の吸熱ピーク温度を示す基材21と粘着剤層22との積層構造を有する凹凸追従フィルムたるフィルム20を、半導体背面密着フィルムたるフィルム10とともに備え、フィルム10はフィルム20の粘着剤層22に密着している。このような構成の複合フィルムXをそのフィルム10側で、上述のウエハ70のような厚肉周縁部付き半導体ウエハの背面に貼り合わせる場合、そのウエハの薄肉部と厚肉部との境界箇所での空隙(ウエハとフィルムとの間の空隙)を抑制しやすい。フィルム20の基材21の上記吸熱ピーク温度が130℃未満であるとい上記構成は、厚肉周縁部付き半導体ウエハであるウエハ70の第2面70b(背面)に複合フィルムXが貼り合わせられる場合に、フィルム20ないしその基材21が第2面70bの段差構造に追従して塑性変形するうえで好適である。塑性変形しやすいフィルム20の粘着剤層22にフィルム10が剥離可能に密着しているという上記構成は、ウエハ70の第2面70bに複合フィルムXが貼り合わせられる場合に、第2面70bの段差構造部分においてフィルム10からフィルム20が剥離することを防止するうえで好適である。これとともに、同構成は、第2面70bへの複合フィルムXの貼合わせの後に、フィルム10とフィルム20とが密着一体化している状態を確保するのに適し、従って、フィルム10の損傷などダメージを抑制しつつ複合フィルムXの良好なハンドリング性を確保するうえでも好適である。
このように、複合フィルムXは、ウエハ背面である第2面20bにその周縁に沿った環状凸部72'を有するウエハ70の当該背面に対して空隙の発生を抑制しつつフィルム10を貼り合わせるのに適する。半導体ウエハ背面に対して空隙の発生を抑制しつつフィルム10を貼り合わせるのに適する複合フィルムXは、半導体装置製造過程における上述のダイシング工程において、チップ飛び、製品半導体チップの損傷、およびダイシング装置の損傷を、抑制するうえで好適である。
上述の一の実施形態では、複合フィルムXのフィルム10は、上述のように、硬化した熱硬化型層であるレーザーマーク層11と、ワーク密着面12aを有する接着剤層12とを含む積層構造を有し、レーザーマーク層11の側でフィルム20(凹凸追従フィルム)の粘着剤層22に剥離可能に密着している。このような構成は、フィルム10においてフィルム20の粘着剤層22に対する密着力の経時的上昇を抑制するうえで好適である。加えて、レーザーマーク層11が熱硬化型層であるという構成は、フィルム10のレーザーマーク層側表面がレーザーマーキングによる刻印の施された後にいわゆるリフロー工程等の高温過程を経る場合において、刻印情報の視認性を確保するのに適する。
上述の一の実施形態では、複合フィルムXのフィルム10は、上述のように非熱硬化性フィルムである。このような構成は、フィルム10が高温環境にさらされることにより収縮するその程度を低減するうえで好適であり、従って、フィルム10が貼り合わされた薄化ウエハ70Aに半導体装置製造過程で反りが生ずるのを抑制するうえで、好適である。
〔実施例1〕
〈凹凸追従フィルムの作製〉
冷却管と、窒素導入管と、温度計と、撹拌装置とを備える反応容器内で、アクリル酸2-エチルヘキシル100質量部と、アクリル酸2-ヒドロキシエチル19質量部と、重合開始剤たる過酸化ベンゾイル0.4質量部と、重合溶媒たるトルエン80質量部とを含む混合物を、60℃で10時間、窒素雰囲気下で撹拌した(重合反応)。これにより、アクリル系ポリマーP1を含有するポリマー溶液を得た。次に、このアクリル系ポリマーP1を含有するポリマー溶液と、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)を含む混合物を、50℃で60時間、空気雰囲気下で撹拌した(付加反応)。当該反応溶液において、MOIの配合量は、上記アクリル系ポリマーP1100質量部に対して12質量部である。この付加反応により、側鎖にメタクリロイル基を有するアクリル系ポリマーP2を含有するポリマー溶液を得た。次に、当該ポリマー溶液に、アクリル系ポリマーP2100質量部に対して0.75質量部のポリイソシアネート化合物(商品名「コロネートL」,東ソー株式会社製)と、2質量部の光重合開始剤(商品名「イルガキュア651」,BASF社製)と、トルエンとを加えて混合し、固形分濃度28質量%の粘着剤組成物を得た。次に、シリコーン離型処理の施された面を有するPETセパレータのシリコーン離型処理面上にアプリケーターを使用して粘着剤組成物を塗布して粘着剤組成物層を形成した。次に、この組成物層について120℃で2分間の加熱乾燥を行い、PETセパレータ上に厚さ5μmの粘着剤層を形成した。次に、ラミネーターを使用して、この粘着剤層の露出面に基材S1(商品名「NED#125」,厚さ125μm,示差走査熱量測定において90℃に吸熱ピーク温度を示す基材,グンゼ株式会社製)を室温で貼り合わせた。この貼合せ体について、その後に23℃で72時間の保存を行った。以上のようにして実施例1の凹凸追従フィルムを作製した(表1において、組成を表す各数値の単位は相対的な“質量部”である)。
〈半導体背面密着フィルムの作製〉
半導体背面密着フィルムの作製においては、まず、アクリル樹脂A1(商品名「テイサンレジン SG-P3」,重量平均分子量は85万,ガラス転移温度Tgは12℃,ナガセケムテックス株式会社製)100質量部と、エポキシ樹脂E1(商品名「HP-4700」,東都化成株式会社製)9質量部と、フェノール樹脂F1(商品名「MEH7851-H」,明和化成株式会社製)12質量部と、フィラー(商品名「SO-25R」,シリカ,平均粒径は0.5μm,株式会社アドマテックス製)69質量部と、黒系染料(商品名「OIL BLACK BS」,オリエント化学工業株式会社製)7質量部とを、メチルエチルケトンに加えて混合し、固形分濃度28質量%の接着剤組成物を得た。次に、シリコーン離型処理の施された面を有するPETセパレータ(厚さ50μm)のシリコーン離型処理面上にアプリケーターを使用して当該接着剤組成物を塗布して接着剤組成物層を形成した。次に、この組成物層について130℃で2分間の加熱を行って乾燥させ、PETセパレータ上に厚さ25μmの実施例1の半導体背面密着フィルム(未硬化状態にある非熱硬化型の単一層をなすこととなるフィルム)を作製した。実施例1ならびに後記の各実施例および比較例における各層の組成を表1に掲げる(表1において、各層の組成を表す各数値の単位は、当該層内での相対的な“質量部”である)。
〈凹凸追従フィルム付き半導体背面密着フィルムの作製〉
上述の実施例1の凹凸追従フィルムからPETセパレータを剥離した後、当該凹凸追従フィルムにおいて露出した粘着剤層と、片面にPETセパレータを伴う実施例1の半導体背面密着フィルムの露出面とを、ハンドローラーを使用して貼り合わせた。次に、貼り合わされた半導体背面密着フィルムおよび凹凸追従フィルムを、直径200mmの円形に打ち抜き加工した。以上のようにして、凹凸追従フィルムと半導体背面密着フィルムとの積層構造を有する実施例1の凹凸追従フィルム付き半導体背面密着フィルムたる複合フィルム(半導体背面密着フィルム側にPETセパレータを伴う)を作製した。実施例1の複合フィルムにおける半導体背面密着フィルムは未硬化状態にある熱硬化型の単一層よりなる。
〔実施例2〕
〈凹凸追従フィルムの作製〉
冷却管と、窒素導入管と、温度計と、撹拌装置とを備える反応容器内で、アクリル酸2-エチルヘキシル100質量部と、アクリル酸2-ヒドロキシエチル19質量部と、重合開始剤たる過酸化ベンゾイル0.4質量部と、重合溶媒たるトルエン80質量部とを含む混合物を、60℃で10時間、窒素雰囲気下で撹拌した(重合反応)。これにより、アクリル系ポリマーP1を含有するポリマー溶液を得た。次に、このアクリル系ポリマーP1を含有するポリマー溶液と、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)を含む混合物を、50℃で60時間、空気雰囲気下で撹拌した(付加反応)。当該反応溶液において、MOIの配合量は、上記アクリル系ポリマーP1100質量部に対して12質量部である。この付加反応により、側鎖にメタクリロイル基を有するアクリル系ポリマーP2を含有するポリマー溶液を得た。次に、当該ポリマー溶液に、アクリル系ポリマーP2100質量部に対して0.75質量部のポリイソシアネート化合物(商品名「コロネートL」,東ソー株式会社製)と、2質量部の光重合開始剤(商品名「イルガキュア651」,BASF社製)と、トルエンとを加えて混合し、固形分濃度28質量%の粘着剤組成物を得た。次に、シリコーン離型処理の施された面を有するPETセパレータのシリコーン離型処理面上にアプリケーターを使用して粘着剤組成物を塗布して粘着剤組成物層を形成した。次に、この組成物層について120℃で2分間の加熱乾燥を行い、PETセパレータ上に厚さ5μmの粘着剤層を形成した。次に、ラミネーターを使用して、この粘着剤層の露出面に基材S1(商品名「NED#125」,厚さ125μm,示差走査熱量測定において90℃に吸熱ピーク温度を示す基材,グンゼ株式会社製)を室温で貼り合わせた。この貼合せ体について、その後に23℃で72時間の保存を行った。
〈半導体背面密着フィルムの作製〉
半導体背面密着フィルムの作製においては、まず、接着剤層(AH層)をなすこととなる第1フィルムと、レーザーマーク層(LM層)をなすこととなる第2フィルムとを、個別に作製した。
第1フィルムの作製においては、まず、アクリル樹脂A2(商品名「テイサンレジン SG-708-6」,重量平均分子量は70万,ガラス転移温度Tgは4℃,ナガセケムテックス株式会社製)100質量部と、フェノール樹脂F2(商品名「MEH7851-SS」,明和化成株式会社製)213質量部と、フィラー(商品名「SO-25R」,シリカ,平均粒径は0.5μm,株式会社アドマテックス製)258質量部とを、メチルエチルケトンに加えて混合し、固形分濃度28質量%の樹脂組成物を得た。次に、
シリコーン離型処理の施された面を有するPETセパレータ(厚さ50μm)のシリコーン離型処理面上にアプリケーターを使用して当該樹脂組成物を塗布して樹脂組成物層を形成した。次に、この組成物層について130℃で2分間の加熱を行って乾燥させ、PETセパレータ上に厚さ7μmの第1フィルム(非熱硬化性の接着剤層をなすこととなるフィルム)を作製した。
第2フィルムの作製においては、まず、アクリル樹脂A1(商品名「テイサンレジン SG-P3」,ナガセケムテックス株式会社製)100質量部と、エポキシ樹脂E2(商品名「KI-3000-4」,東都化成株式会社製)43質量部と、エポキシ樹脂E3(商品名「JER YL980」,三菱化学株式会社製)11質量部と、フェノール樹脂F2(商品名「MEH7851-SS」,明和化成株式会社製)55質量部と、フィラー(商品名「SO-25R」,株式会社アドマテックス製)229質量部と、黒系染料(商品名「OIL BLACK BS」,オリエント化学工業株式会社製)9質量部と、熱硬化触媒Z1(商品名「ホクコー TPP」,北興化学工業株式会社製)11質量部とを、メチルエチルケトンに加えて混合し、固形分濃度28質量%の樹脂組成物を得た。次に、シリコーン離型処理の施された面を有するPETセパレータ(厚さ50μm)のシリコーン離型処理面上にアプリケーターを使用して当該樹脂組成物を塗布して樹脂組成物層を形成した。次に、この組成物層について130℃で2分間の加熱を行って乾燥させ、PETセパレータ上に厚さ18μmの第2フィルム(硬化済みの熱硬化型層であるレーザーマーク層をなすこととなるフィルム)を作製した。
上述のようにして作製したPETセパレータ上の第1フィルムとPETセパレータ上の第2フィルムとをラミネーターを使用して貼り合わせた。具体的には、温度100℃および圧力0.6MPaの条件で、第1および第2フィルムの露出面どうしを貼り合わせた。以上のようにして、実施例2の半導体背面密着フィルムを作製した。
〈凹凸追従フィルム付き半導体背面密着フィルムの作製〉
上述の実施例2の凹凸追従フィルムからPETセパレータを剥離し、且つ上述の実施例2の半導体背面密着フィルムからその第2フィルム側のPETセパレータを剥離した後、当該凹凸追従フィルムにおいて露出した粘着剤層と、当該半導体背面密着フィルム(第1フィルム側にPETセパレータを伴う)において露出した側の表面(第2フィルム側の表面)とを、ハンドローラーを使用して貼り合わせた。次に、貼り合わされた半導体背面密着フィルムおよび凹凸追従フィルムを、直径200mmの円形に打ち抜き加工した。以上のようにして、凹凸追従フィルムと半導体背面密着フィルムとの積層構造を有する実施例2の凹凸追従フィルム付き半導体背面密着フィルムたる複合フィルム(半導体背面密着フィルム側にPETセパレータを伴う)を作製した。実施例2の複合フィルムにおける半導体背面密着フィルムは、非熱硬化性の接着剤層(AH層)と、硬化済みの熱硬化型層であるレーザーマーク層(LM層)との積層構造を有する。
〔実施例3〕
凹凸追従フィルムの作製において、基材S1の代わりに、基材S2(商品名「ODZ5」,厚さ80μm,示差走査熱量測定にて120℃に吸熱ピーク温度を示す基材,大倉工業株式会社製)を用いたこと、以外は実施例2の複合フィルムと同様にして、実施例3の凹凸追従フィルム付き半導体背面密着フィルムたる複合フィルム(半導体背面密着フィルム側にPETセパレータを伴う)を作製した。実施例3の複合フィルムにおける半導体背面密着フィルムは、非熱硬化性の接着剤層(AH層)と、硬化済みの熱硬化型層であるレーザーマーク層(LM層)との積層構造を有する。
〔実施例4〕
〈半導体背面密着フィルムの作製〉
半導体背面密着フィルムの作製においては、まず、アクリル樹脂A3(商品名「テイサンレジン SG-70L」,重量平均分子量は90万,ガラス転移温度Tgは−13℃,ナガセケムテックス株式会社製)100質量部と、エポキシ樹脂E2(商品名「KI-3000-4」,東都化成株式会社製)138質量部と、エポキシ樹脂E3(商品名「JER YL980」,三菱化学株式会社製)138質量部と、フェノール樹脂F2(商品名「MEH7851-SS」,明和化成株式会社製)291質量部と、フィラー(商品名「SO-25R」,株式会社アドマテックス製)471質量部と、黒系染料(商品名「OIL BLACK BS」,オリエント化学工業株式会社製)40質量部と、熱硬化触媒Z2(商品名「キュアゾール 2PHZ」,四国化成工業株式会社製)17質量部とを、メチルエチルケトンに加えて混合し、固形分濃度28質量%の樹脂組成物を得た。次に、シリコーン離型処理の施された面を有するPETセパレータ(厚さ50μm)のシリコーン離型処理面上にアプリケーターを使用して当該樹脂組成物を塗布して樹脂組成物層を形成した。次に、この組成物層について130℃で2分間の加熱を行って乾燥させ、PETセパレータ上に厚さ25μmの実施例4の半導体背面密着フィルム(未硬化状態にある熱硬化型の単一層をなすこととなるフィルム)を作製した。
〈凹凸追従フィルム付き半導体背面密着フィルムの作製〉
実施例1の半導体背面密着フィルムに代えて実施例4の半導体背面密着フィルムを用いたこと以外は実施例1の複合フィルムと同様にして、実施例4の凹凸追従フィルム付き半導体背面密着フィルムたる複合フィルム(半導体背面密着フィルム側にPETセパレータを伴う)を作製した。実施例4の複合フィルムにおける半導体背面密着フィルムは未硬化状態にある熱硬化型の単一層よりなる。
〔比較例1〕
凹凸追従フィルムの作製において、基材S1の代わりに、大倉工業株式会社製の基材S3(厚さ80μm,示差走査熱量測定にて160℃に吸熱ピーク温度を示す基材)を用いたこと、以外は実施例2の複合フィルムと同様にして、比較例1の凹凸追従フィルム付き半導体背面密着フィルムたる複合フィルム(半導体背面密着フィルム側にPETセパレータを伴う)を作製した。比較例1の複合フィルムにおける半導体背面密着フィルムは、非熱硬化性の接着剤層(AH層)と、硬化済みの熱硬化型層であるレーザーマーク層(LM層)との積層構造を有する。
〈凹凸追従性〉
実施例1〜4および比較例1の各複合フィルムについて、厚肉周縁部付き薄化ウエハの背面に真空プレスによって貼り合わせられる場合の凹凸追従性を調べた。使用した厚肉周縁部付き薄化ウエハは、ウエハ背面からその周縁部を残しつつ研削加工を施して薄化した半導体ウエハ(直径200mm)であり、薄肉部(厚さ75μm)と、これを囲む周縁厚肉部(厚さ700μm)を有する。
貼り合わせには、真空プレス機(商品名「VACCUM ACE」,ミカドテクノス株式会社)を使用した。具体的には、まず、ウエハ背面が上面側に位置する態様で装置内に設置された厚肉周縁部付き薄化ウエハの上に複合フィルムおよびスポンジシート(商品名「FSB735N」,クレハエラストマー株式会社製」)が順次に積層された状態で、この積層体について、真空度100kpaおよび80℃の条件で60秒間の加温を行った。当該積層体において、複合フィルムの半導体背面密着フィルムは、厚肉周縁部付き薄化ウエハの背面に当接している。次に、加圧力50kNおよび加圧時間120秒の条件で当該積層体をプレスした。
プレス後、複合フィルムが貼り合わされたウエハの薄肉部と厚肉部との境界箇所の断面を、DISCO製のダイサーを使用して削り出し、当該断面を顕微鏡(商品名「VHX」,KEYENCE製)を使用して観察した。この観察において、ウエハ背面と複合フィルムないし半導体背面密着フィルムとの間に空隙が生じていない場合、即ち、ウエハ背面に複合フィルムが充分に追従している場合を良と評価し、ウエハ背面と複合フィルムないし半導体背面密着フィルムとの間に空隙が生じている場合、即ち、ウエハ背面に複合フィルムが充分には追従していない場合を不良と評価した。その評価結果を表1に掲げる。
〈反応熱量の差〉
実施例1〜4および比較例1の各複合フィルムの半導体背面密着フィルムについて、示差走査熱量計(商品名「DSC Q2000」,TA Instruments社製)を使用して行う示差走査熱量測定により、反応熱量Q1を調べた。また、実施例1〜4および比較例1の各複合フィルムの半導体背面密着フィルムについて、加熱試験(恒温槽内での130℃で2時間の静置)の後、示差走査熱量計(商品名「DSC Q2000」,TAインスツルメンツ社製)を使用して行う示差走査熱量測定により、反応熱量Q2を調べた。各示差走査熱量測定では、測定環境を窒素雰囲気下とし、測定温度範囲を−20℃から300℃とし、昇温速度を5℃/分とした。また、示差走査熱量測定ごとに、得られたDSCチャートに現れている発熱ピークにおけるピーク立ち上がり開始点からピーク終了下端点までの熱量積算値を、反応熱量(J/g)として求めた。各半導体背面密着フィルムについての反応熱量の差Q1−Q2(J/g)を表1に掲げる。この反応熱量差が小さいほど、半導体背面密着フィルムが高温環境にさらされる場合の同フィルムにおける硬化反応の進行と硬化収縮とが抑えられ、従って、同フィルムが貼り合わされた薄化ウエハに半導体装置製造過程で反りが生ずるのを抑制しやすい。
〈ウエハ反り量〉
実施例1〜4および比較例1の各複合フィルムの半導体背面密着フィルムについて、加熱試験を経た場合に反りを誘発する程度を調べた。具体的には次のとおりである。
まず、半導体背面密着フィルムをシリコンウエハ(厚さ100μm,直径200mm)に貼り合わせた。次に、半導体背面密着フィルムを伴うシリコンウエハを、恒温槽内において130℃で2時間 加熱した(加熱試験)。この加熱試験を経た半導体背面密着フィルム付きウエハを、半導体背面密着フィルムが上面側に位置する態様で、水平なテーブル面を有する実験台の上に置き、2時間静置した。その後、ウエハ周縁部においてテーブル面から最も高い位置にある箇所とテーブル面との間の距離を定規で測定した。その測定値を反り量(mm)とした。その測定値を表1に掲げる。
Figure 2020161570
X 複合フィルム(凹凸追従フィルム付き半導体背面密着フィルム)
10,10’ フィルム(半導体背面密着フィルム)
11 レーザーマーク層
12 接着剤層
20 フィルム(凹凸追従フィルム)
21 基材
22 粘着剤層
W,30 ウエハ
31 チップ

Claims (4)

  1. 示差走査熱量測定にて130℃未満の吸熱ピーク温度を示す基材と粘着剤層とを含む積層構造を有する凹凸追従フィルムと、
    前記凹凸追従フィルムの前記粘着剤層に剥離可能に密着している半導体背面密着フィルムとを備える、凹凸追従フィルム付き半導体背面密着フィルム。
  2. 前記半導体背面密着フィルムは、半導体背面密着面を有する接着剤層と、硬化した熱硬化型層であるレーザーマーク層とを含む積層構造を有し、前記レーザーマーク層の側で前記凹凸追従フィルムの前記粘着剤層に剥離可能に密着している、請求項1に記載の凹凸追従フィルム付き半導体背面密着フィルム。
  3. 前記半導体背面密着フィルムは非熱硬化性フィルムである、請求項1または2に記載の凹凸追従フィルム付き半導体背面密着フィルム。
  4. 第1面およびこれとは反対の第2面を有し、且つ、前記第2面側にて突き出る環状凸部を有する外周厚肉部とこれに囲まれた薄肉部とを備える、半導体ウエハにおける、前記環状凸部を含む前記第2面に、請求項1から3のいずれか一つに記載の凹凸追従フィルム付き半導体背面密着フィルムをその半導体背面密着フィルム側で貼り合わせる工程と、
    前記半導体背面密着フィルムから前記凹凸追従フィルムを剥離する工程と、を含む半導体装置製造方法。
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