JP2020161436A - 三心撚り電力ケーブル - Google Patents
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即ち、特許文献1の三心撚り電力ケーブルは、光ケーブルが、三心に撚られたケーブルコアの中央ではなく外側に配置されているため、各ケーブルコアからの熱伝達が不均等であるため、三心のケーブルコアの温度を正確に測定することができなかった。
三本のケーブルコアが撚り合わせられた三心撚り電力ケーブルであって、
前記三本のケーブルコアの中心に位置する隙間領域に配置されたパイプと、
前記パイプの内側に挿通された光ファイバと、
を備え、
前記パイプの内側で前記光ファイバが螺旋状に拘束されていることを特徴とする。
あるいは、上記発明において、前記光ファイバの螺旋のピッチを、前記三本のケーブルコアの撚りのピッチよりも短くしてもよい。
また、上記発明において、前記光ファイバの螺旋の巻き方向を、前記三本のケーブルコアの撚りの巻き方向と逆方向としてもよい。
また、上記発明において、前記光ファイバの螺旋の中心線が、前記電力ケーブルの中心線と同一線上に位置する構成としてもよい。
あるいは、上記発明において、前記パイプを、螺旋状としてもよい。
また、上記発明において、前記パイプをステンレスとしてもよい。
本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。図1は三心撚り電力ケーブル100のケーブル長手方向に垂直な断面を示す軸垂直断面図である。
この三心撚り電力ケーブル100は、三本のケーブルコア20と、三本のケーブルコア20の中心に位置する隙間領域に配置されたパイプ50と、パイプ50の内側に挿通された光ファイバ60と、介在部31を介してこれら三本のケーブルコア20を内包する保護層32と、保護層32の外側に形成された座床層41と、座床層41の外側に形成された鎧装42と、鎧装42の外側に形成された保護層43とを備えている。
三本のケーブルコア20はいずれも外径が等しく、各ケーブルコア20が他の二本のケーブルコア20と接している。そして、三本のケーブルコア20の中心に形成された隙間領域に配置されたパイプ50の周りを、三本のケーブルコア20が螺旋状に捻回されて撚り合わされている。
この保護層32の内周は、三心撚り電力ケーブル100のケーブル長手方向に直交する断面において、撚り合わされた三本のケーブルコア20に外接する円形である。そして、保護層32と三本のケーブルコア20との隙間領域には、介在部31としてのPP(ポリプロピレン)ヤーンが充実されている。
三心撚り電力ケーブル100は、外周部に、上記の座床層41、鎧装42及び保護層43を備えることにより、機械的強度が高められ、水底ケーブル或いは海底ケーブルとしての使用に耐え得るものとなっている。
なお、上記水底ケーブル或いは海底ケーブルとしての構成は一例であり、水底ケーブル或いは海底ケーブルとして必須の構成以外は省略又は材料を変更することが可能である。
図2(A)はパイプ50及び光ファイバ60のケーブル長手方向に垂直な断面を示す軸垂直断面図、図2(B)はケーブル長手方向に沿った断面を示す軸断面図である。
光ファイバ60は、三心撚り電力ケーブル100内における各ケーブルコア20の温度検出用光ファイバである。
光ファイバ60は、中心に位置するコア61と、コア61の周囲に設けられたクラッド62と、クラッドの外周に形成された図示しない被膜とを備える石英ガラス系光ファイバ素線である。
光ファイバ60の外径は、パイプ50の内径よりも十分に小さく、パイプ50内で光ファイバ60を螺旋状に拘束するために、当該光ファイバ60と共に樹脂製の線材70が収容されている。
パイプ50は、内部に格納された光ファイバ60を保護することが可能な強度と三心撚り電力ケーブル100全体の撓みを許容する程度の可撓性とを有し、光ファイバ60による温度検出を良好に行うための熱伝導性の高い素材からなる。例えば、パイプ50は金属管、より具体的にはステンレス管からなる。
また、パイプ50は、三本のケーブルコア20がいずれも他の二本のケーブルコア20とその長手方向に沿って接するように配置したときに、これらの中心に生じる略三角形状の隙間領域内で、全てのケーブルコア20に外接することが可能な外径に設定されている。
これにより、パイプ50は、撚り合わされた状態の三本のケーブルコア20の中心(三心撚り電力ケーブル100の中心)とパイプ50の中心とが同一線上となるように各ケーブルコア20に対して配置される。
さらに、線材70は、軸垂直断面が円形であって、その外径がパイプ50の内径よりも僅かに小さく設定されている。なお、線材70の外径は、線材70がパイプ50内で軸方向に拘束されない範囲で、パイプ50の内径に極力近い値とすることが望ましい。少なくとも、パイプ50に対する線材70の隙間(パイプ50の内径に対する線材70の外径の差)が光ファイバ60の外径より大きくならないことが必須であり、隙間は小さいほど良い。
これにより、線材70の中心は、撚り合わされた状態の三本のケーブルコア20の中心(三心撚り電力ケーブル100の中心)及びパイプ50の中心とほぼ同一線上となる。
これにより、溝71内に光ファイバ60を収容すると、当該光ファイバ60は、溝71に沿って螺旋状となった状態に拘束される。
また、線材70をパイプ50内に挿入すると、光ファイバ60は、パイプ50の内周に接近又は接触した状態とすることができる。
さらに、光ファイバ60の螺旋形状の中心は、撚り合わされた状態の三本のケーブルコア20の中心(三心撚り電力ケーブル100の中心)及びパイプ50の中心とほぼ同一線上となる。
光ファイバ60を螺旋状に拘束するためには、上述した直管状のパイプ50に限らず、図3に示すパイプ50Aのように、パイプそのものを螺旋状に形成しても良い。
また、パイプ50Aは、その螺旋形状の外径が、三本のケーブルコア20がいずれも他の二本のケーブルコア20とその長手方向に沿って接するように配置したときに、これらの中心に生じる略三角形状の隙間領域内で、全てのケーブルコア20に外接することが可能な大きさに設定されている。
これにより、パイプ50Aは、撚り合わされた状態の三本のケーブルコア20の中心(三心撚り電力ケーブル100の中心)とパイプ50Aの螺旋形状の中心とが同一線上となるように各ケーブルコア20に対して配置される。
パイプ50Aの内径は、パイプ50A内で光ファイバ60がパイプ50Aに沿った移動を許容する範囲で、光ファイバ60の外径に極力近い値とすることが望ましい。パイプ50Aと光ファイバ60の隙間は小さいほど良い。
これにより、光ファイバ60も螺旋状となり、当該光ファイバ60による螺旋の中心は、撚り合わされた状態の三本のケーブルコア20の中心(三心撚り電力ケーブル100の中心)及びパイプ50Aによる螺旋の中心とほぼ同一線上となる。
なお、図3の符号Cは、三心撚り電力ケーブル100の中心線の位置を示している。図示のように、三心撚り電力ケーブル100とパイプ50A及び光ファイバ60の螺旋形状とは同心となっている。
すなわち、図4(A)に示すように、ケーブルコア20の螺旋のピッチP1に対して、光ファイバ60の螺旋のピッチP2は短くしてもよいし、図4(B)に示すように、ケーブルコア20の螺旋のピッチP1に対して、光ファイバ60の螺旋のピッチP2は長くしてもよい。
また、各光ファイバ60の螺旋の巻き方向をケーブルコア20の螺旋の巻き方向と逆にした場合には、各光ファイバ60の螺旋のピッチをケーブルコア20の螺旋のピッチと一致させてもよい。
図6は三心撚り電力ケーブル100のケーブルコア20の撚り工程に使用する撚り機200の斜視図である。
撚り機200は、ケーブルコア20を通す第一開口部201が円周方向に形成された回転盤202と、撚り口203が形成された絞り部204とを備えている。
回転盤202は、中央部にパイプ50を通す挿通口205が設けられている。また、回転盤202の第一開口部201の外側には円周に沿って介在部31のPPヤーン311を通す第二開口部206が形成されている。
そして、各ケーブルコア20とPPヤーン311とは、回転を行う回転盤202の開口部201,206を介して撚り口203に導かれる。
また、パイプ50は、予め、光ファイバ60及び線材70が挿入されており、回転盤202の挿通口205を介して撚り口203に導かれる。そして、回転盤202を回転させながらケーブルコア20とPPヤーン311とを撚り口203側に繰り出すと共に、パイプ50も撚り口203側に繰り出す。このとき、ケーブルコア20は、パイプ50が捩れないようにするため、長さ方向について一定の間隔で撚り方向を切り替えながら撚り合わせることが好ましい。
これにより、パイプ50を中心として各ケーブルコア20の撚り合わせを良好に行うことが可能である。
なお、上記撚り機200は、パイプ50に限らず、パイプ50Aの場合も同様にケーブルコア20との撚り合わせを行うことが可能である。
上記三心撚り電力ケーブル100は、三本のケーブルコア20の中心に位置する隙間領域に配置されたパイプ50,50Aの内側で光ファイバ60が螺旋状に拘束されているので、パイプ50,50Aを介して光ファイバ60が三本のケーブルコア20に対して周期的に接触し、三本のケーブルコア20の各々からの熱の影響が偏ることなく光ファイバ60に伝わり、三本のケーブルコア20のいずれの温度変化も良好に検知し、これらのケーブルコア20の全体的な温度をより正確に測定することが可能となる。
また、パイプ50,50Aをステンレスで形成することにより、各ケーブルコア20からの温度が光ファイバ60に伝わりやすくなり、各ケーブルコア20の全体的な温度をより正確に測定することが可能となる。
一方、パイプ50Aそのものを螺旋状に形成して、光ファイバ60を螺旋状に維持する構成の場合には、線材70を不要とすることが可能となる。また、線材70を使用しないので、パイプ50Aと光ファイバ60の構成の熱容量が小さくなり、より精度良く温度測定を行うことが可能となる。
また、パイプ50Aについては、光ファイバ60の挿入を容易に行うことが可能となる。
本実施形態は、上述した実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、本実施形態として、水底ケーブル或いは海底ケーブルとしての使用に好適な三心撚り電力ケーブル100を例示したが、これに限定されず、鎧装を有さない三心撚り電力ケーブル等、ケーブルコアを三本撚り合わせたあらゆる三心撚り電力ケーブルにパイプ50,50A及び光ファイバ60の構成を適用することが可能である。
50,50A パイプ
60 光ファイバ
70 線材
71 溝
100 三心撚り電力ケーブル
311 PPヤーン
C 中心線
Claims (8)
- 三本のケーブルコアが撚り合わせられた三心撚り電力ケーブルであって、
前記三本のケーブルコアの中心に位置する隙間領域に配置されたパイプと、
前記パイプの内側に挿通された光ファイバと、
を備え、
前記パイプの内側で前記光ファイバが螺旋状に拘束されていることを特徴とする三心撚り電力ケーブル。 - 前記光ファイバの螺旋のピッチが、前記三本のケーブルコアの撚りのピッチよりも長いことを特徴とする請求項1に記載の三心撚り電力ケーブル。
- 前記光ファイバの螺旋のピッチが、前記三本のケーブルコアの撚りのピッチよりも短いことを特徴とする請求項1に記載の三心撚り電力ケーブル。
- 前記光ファイバの螺旋の巻き方向が、前記三本のケーブルコアの撚りの巻き方向と逆方向であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の三心撚り電力ケーブル。
- 前記光ファイバの螺旋の中心線が、前記電力ケーブルの中心線と同一線上に位置することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の三心撚り電力ケーブル。
- 前記パイプの内部に樹脂製の線材が挿通され、前記線材には、前記光ファイバを収容する螺旋状の溝が形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の三心撚り電力ケーブル。
- 前記パイプは、螺旋状であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の三心撚り電力ケーブル。
- 前記パイプは、ステンレスであることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の三心撚り電力ケーブル。
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