JP2020159963A - 同定装置、材料試験機、同定装置の制御方法、及び制御プログラム - Google Patents

同定装置、材料試験機、同定装置の制御方法、及び制御プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】材料試験機の同定精度を向上する。【解決手段】試験対象に試験力を付与し、試験対象を変形させて材料試験を行う材料試験機の特性を一次遅れ系として同定する同定装置として機能する制御回路ユニット50である。制御回路ユニット50は、目標値に対して制御対象の計測値が遅れている時間を示す遅延時間を算出する第1算出部54と、遅延時間に基づいて一次遅れ系を規定する係数を算出する第2算出部55と、を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、同定装置、材料試験機、同定装置の制御方法、及び制御プログラムに関する。
試験対象に試験力を付与して試験対象を変形させて材料試験を行う材料試験機の特性を同定する技術が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載のサーボ式材料試験機は、制御量の検出値が規定値となるときの負荷機構に対する操作信号の大きさを記憶し、オープンループ状態でその記憶されている信号を負荷機構に対して供給するオフセット信号供給手段を備える。また、その状態で矩形波状の設定信号の負荷機構への追加供給を開始し、制御量の検出値がリミット値に達した時点で供給を停止する設定信号供給手段を設ける。更に、設定信号が供給されている間の制御量の検出値を応答データ記憶手段に記憶し、その記憶内容を用いて系を同定して最適ゲインを決定する演算手段を設ける。
特許文献1に記載のサーボ式材料試験によれば、試験対象に作用する最大負荷を規制しつつ応答データの採取を可能とし、試験対象にダメージを与える危険性を無くし、簡単な演算によって系の同定〜最適ゲインの決定が可能になる。
特開2002−340763号公報
しかしながら、特許文献1に記載のサーボ式材料試験機では、試験対象の変形に伴ってサーボ式材料試験機の特性が変化する。
例えば、サーボ式材料試験機が、引張試験を行う場合には、試験の進行に伴って1対のつかみ具の間隔が増加し、試験対象が伸びるため、引張試験機の特性が変化する。その結果、特許文献1に記載のサーボ式材料試験機では、同定精度を向上する余地があった。
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、材料試験機の同定精度を向上できる同定装置、材料試験機、同定装置の制御方法、及び制御プログラムを提供することを目的とする。
本発明の第1の態様は、試験対象に試験力を付与し、前記試験対象を変形させて材料試験を行う材料試験機の特性を一次遅れ系として同定する同定装置であって、目標値に対して制御対象の計測値が遅れている時間を示す遅延時間を算出する第1算出部と、前記遅延時間に基づいて前記一次遅れ系を規定する係数を算出する第2算出部と、を備える、同定装置に関する。
本発明の第2の態様は、試験対象に試験力を付与し、前記試験対象を変形させて材料試験を行う材料試験機であって、第1の態様に係る同定装置を備える、材料試験機に関する。
本発明の第3の態様は、試験対象に試験力を付与し、前記試験対象を変形させて材料試験を行う材料試験機の特性を一次遅れ系として同定する同定装置の制御方法であって、目標値に対して制御対象の計測値が遅れている時間を示す遅延時間を算出する第1算出ステップ、及び前記遅延時間に基づいて前記一次遅れ系を規定する係数を算出する第2算出ステップ、を含む、同定装置の制御方法に関する。
本発明の第4の態様は、試験対象に試験力を付与し、前記試験対象を変形させて材料試験を行う材料試験機の特性を、コンピュータを用いて、一次遅れ系として同定する同定装置の制御プログラムであって、前記コンピュータを、目標値に対して制御対象の計測値が遅れている時間を示す遅延時間を算出する第1算出部、及び前記遅延時間に基づいて前記一次遅れ系を規定する係数を算出する第2算出部、として機能させる、制御プログラムに関する。
本発明の第1の態様によれば、第1算出部が、目標値に対して制御対象の計測値が遅れている時間を示す遅延時間を算出し、第2算出部が、前記遅延時間に基づいて前記一次遅れ系を規定する係数を算出する。
よって、材料試験機において材料試験を実行中に、材料試験機の特性を示す一次遅れ系を規定する係数を算出できる。したがって、材料試験機の同定精度を向上できる。
本発明の第2の態様によれば、第1の態様に係る同定装置を備える。
よって、材料試験機において材料試験を実行中に、材料試験機の特性を示す一次遅れ系を規定する係数を算出できる。したがって、材料試験機の同定精度を向上できる。
本発明の第3の態様によれば、第1算出ステップにおいて、目標値に対して制御対象の計測値が遅れている時間を示す遅延時間が算出され、第2算出ステップにおいて、前記遅延時間に基づいて前記一次遅れ系を規定する係数が算出される。
よって、材料試験機において材料試験を実行中に、材料試験機の特性を示す一次遅れ系を規定する係数を算出できる。したがって、材料試験機の同定精度を向上できる。
本発明の第4の態様によれば、第1算出部が、目標値に対して制御対象の計測値が遅れている時間を示す遅延時間を算出し、第2算出部が、前記遅延時間に基づいて前記一次遅れ系を規定する係数を算出する。
よって、材料試験機において材料試験を実行中に、材料試験機の特性を示す一次遅れ系を規定する係数を算出できる。したがって、材料試験機の同定精度を向上できる。
本実施形態に係る引張試験機の構成の一例を示す図である。 本実施形態に係る制御回路ユニットの構成の一例を示す図である。 本実施形態に係る第1算出部の処理の一例を示すグラフである。 比較例の同定結果の一例を示すグラフである。 本実施形態の同定結果の一例を示すグラフである。 本実施形態のカルマンフィルタによるフィルタリング処理の効果の一例を示すグラフである。 本実施形態の同定装置の効果の一例を示すグラフである。 本実施形態の同定装置の処理の一例を示すフローチャートである。 本実施形態の同定装置のフィルタ処理の一例を示すフローチャートである。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
[1.引張試験機の構成]
図1は、本実施形態に係る引張試験機1の構成の一例を示す図である。
本実施形態の引張試験機1は、試験対象TPに試験力FTを与えて、試料の引張強度、降伏点、伸び、絞りなどの機械的性質を測定する材料試験を行う。試験力FTは、引張力である。
かかる引張試験機1は、試験対象の材料である試験対象TPに試験力FTを与えて引張試験を行う引張試験機本体2と、当該引張試験機本体2による引張試験動作を制御する制御ユニット4と、を備える。
なお、引張試験機1は、「材料試験機」の一例に相当する。
試験機本体2は、テーブル6と、このテーブル6上に鉛直方向を向く状態で回転可能に立設された一対のねじ棹8、9と、これらのねじ棹8、9に沿って移動可能なクロスヘッド10と、このクロスヘッド10を移動させて試験対象TPに負荷を与える負荷機構12と、ロードセル14と、を備える。ロードセル14は、試験対象TPに与えられる引張荷重である試験力FTを測定し、試験力測定信号SG1を出力するセンサである。
一対のねじ棹8、9は、ボールねじから成り、クロスヘッド10は、各ねじ棹8、9に対して図示を省略したナットを介して連結されている。
負荷機構12は、各ねじ棹8、9の下端部に連結されるウォーム減速機16、17と、各ウォーム減速機16、17に連結されるサーボモータ18と、ロータリエンコーダ20と、を備える。ロータリエンコーダ20は、サーボモータ18の回転量を測定し、回転量に応じたパルス数の回転測定信号SG2を制御ユニット4に出力するセンサである。
そして負荷機構12は、ウォーム減速機16、17を介して、一対のねじ棹8、9にサーボモータ18の回転を伝達し、各ねじ棹8、9が同期して回転することにより、クロスヘッド10がねじ棹8、9に沿って昇降する。
クロスヘッド10には、試験対象TPの上端部を把持するための上つかみ具21が付設され、テーブル6には、試験対象TPの下端部を把持するための下つかみ具22が付設されている。試験機本体2は、引張試験の際、試験対象TPの両端部をこれらの上つかみ具21および下つかみ具22により把持した状態で、制御ユニット4の制御の下、クロスヘッド10を上昇させることにより、試験対象TPに試験力FTを与える。
試験対象TPには、変位センサ15が配置される。試験対象TPは、例えば、中央がくびれて形成されたダンベル型試験対象が用いられる。変位センサ15は、試験対象TPの1対の標点の間の距離を測定することによって、伸び計測値eを測定し、伸び測定信号SG3を出力するセンサである。1対の標点は、試験対象TPがくびれた領域の上部と下部とに配置される。
制御ユニット4は、制御装置30と、表示装置32と、試験プログラム実行装置34と、を備える。
制御装置30は、当該試験機本体2を中枢的に制御する装置であり、試験機本体2との間で信号を送受信可能に接続される。試験機本体2から受信する信号は、ロードセル14が出力する試験力測定信号SG1、ロータリエンコーダ20が出力する回転測定信号SG2、変位センサ15が出力する伸び測定信号SG3、及び制御や試験に要する適宜の信号などである。
表示装置32は、制御装置30から入力される信号に基づいて各種情報を表示する装置であり、例えば、制御装置30は、引張試験の間、伸び測定信号SG3に基づいて試験対象TPの伸びの測定値である伸び計測値eを表示装置32に表示する。また、例えば、制御装置30は、引張試験の間、回転測定信号SG2に基づくクロスヘッド10の変位を示す変位計測値xを表示装置32に表示する。
引張試験プログラム実行装置34は、引張試験の試験条件といった各種設定パラメータの設定操作や実行指示操作などのユーザ操作を受け付け、制御装置30に出力する機能や、試験力計測値fのデータを解析する機能などを備えた装置である。
本実施形態の引張試験プログラム実行装置34はコンピュータを備え、このコンピュータは、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro−Processing Unit)などのプロセッサと、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などのメモリデバイスと、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などのストレージ装置と、制御装置30や各種の周辺機器などを接続するためのインターフェース回路と、を備える。そして、プロセッサがメモリデバイス又はストレージ装置に記憶されたコンピュータプログラムである引張試験プログラムを実行することで、上述の各種の機能を実現する。
次いで、本実施形態の制御装置30について、更に詳述する。
制御装置30は、図1に示すように、信号入出力ユニット40と、制御回路ユニット50と、を備える。
信号入出力ユニット40は、試験機本体2との間で信号を送受する入出力インターフェース回路を構成するものであり、本実施形態では、第1センサアンプ42と、第2センサアンプ45と、カウンタ回路43と、サーボアンプ44とを有する。
第1センサアンプ42は、ロードセル14が出力する試験力測定信号SG1を増幅して制御回路ユニット50に出力する増幅器である。
第2センサアンプ45は、変位センサ15が出力する伸び測定信号SG3を増幅して制御回路ユニット50に出力する増幅器である。
カウンタ回路43は、ロータリエンコーダ20が出力する回転測定信号SG2のパルス数を計数し、サーボモータ18の回転量、すなわち当該サーボモータ18の回転によって昇降するクロスヘッド10の変位計測値xを示す変位測定信号A3を制御回路ユニット50にデジタル信号で出力する。
サーボアンプ44は、制御回路ユニット50の制御の下、サーボモータ18を制御する装置である。
[2.制御回路ユニットの構成]
図2は、制御回路ユニット50の機能的構成を示すブロック図である。
制御回路ユニット50は、通信部51と、フィードバック制御部52と、第1フィルタ処理部53と、第1算出部54と、第2算出部55と、第2フィルタ処理部56とを備える。制御回路ユニット50は、「同定装置」の一例に対応する。
制御回路ユニット50は、CPUやMPUなどのプロセッサと、ROMやRAMなどのメモリデバイスと、HDDやSSDなどのストレージ装置と、信号入出力ユニット40とのインターフェース回路と、引張試験プログラム実行装置34と通信する通信装置と、表示装置32を制御する表示制御回路と、各種の電子回路と、を備えたコンピュータを備える。また、制御回路ユニット50のプロセッサがメモリデバイス又はストレージ装置に記憶された制御プログラムを実行することで、図2に示す各機能部を実現する。
プロセッサは、「コンピュータ」の一例に対応する。
また、信号入出力ユニット40のインターフェース回路にはA/D変換器が設けられており、アナログ信号の試験力測定信号SG1がA/D変換器によってデジタル信号に変換される。
なお、制御回路ユニット50は、コンピュータに限らず、ICチップやLSIなどの集積回路といった1又は複数の適宜の回路によって構成されてもよい。
通信部51は、試験プログラム実行装置34との間で通信し、試験条件の設定や各種設定パラメータの設定値、引張試験の実行指示や中断指示などを試験プログラム実行装置34から受信する。また、通信部51は、伸び測定信号SG3に基づく伸び計測値eを適宜のタイミングで試験プログラム実行装置34に送信する。また、通信部51は、回転測定信号SG2に基づく変位計測値xを適宜のタイミングで試験プログラム実行装置34に送信する。
フィードバック制御部52は、試験機本体2のサーボモータ18をフィードバック制御して引張試験を実行する。フィードバック制御部52は、サーボモータ18のフィードバック制御を実行する回路である。
例えば、フィードバック制御部52が位置制御を実行する場合には、フィードバック制御部52は、変位センサ15によって測定された伸び計測値eを伸び目標値etに一致させるように変位計測値xの指令値dxを演算し、当該指令値dxを示す指令信号A4(図1)をサーボアンプ44に出力する。なお、伸び目標値etは、伸び計測値eの目標値を示す。
なお、本実施形態において、「位置制御」とは、センサ等によって測定された検出値を、その目標値に一致させるように制御することを示す。また、伸び目標値etは、「目標値」及び「位置目標値」の一例に対応し、伸び計測値eは、「制御対象の計測値」及び「位置計測値」の一例に対応する。
また、例えば、フィードバック制御部52が速度制御を実行する場合には、フィードバック制御部52は、伸び計測値速度veを伸び速度目標値vetに一致させるように変位計測値xの指令値dxを演算し、当該指令値dxを示す指令信号A4(図1)をサーボアンプ44に出力する。伸び計測値速度veは、変位センサ15によって測定された伸び計測値eの単位時間当たりの変化量を示し、伸び速度目標値vetは、伸び計測値速度veの目標値を示す。
なお、本実施形態において、「速度制御」とは、センサ等によって測定された検出値の単位時間当たりの変化量を、その目標値に一致させるように制御することを示す。また、伸び速度目標値vetは、「目標値」及び「速度目標値」の一例に対応し、伸び計測値速度veは、「計測値速度」の一例に対応する。伸び計測値eは、「制御対象の計測値」の一例に対応する。
本実施形態では、フィードバック制御にはPID(Proportional−Integral−Differential)制御が用いられており、フィードバック制御部52は、いわゆるPID制御器を備える。なお、フィードバック制御部52は、第2算出部55が算出する係数A1の値、及び係数B1の値に基づいて、PID制御器の各々に付与するゲインを設定する。
本実施形態では、伸び計測値eについて位置制御を実行する場合について説明するが、変位計測値xについて位置制御を実行してもよい。この場合には、フィードバック制御部52は、変位計測値xを変位目標値xtに一致させるように変位計測値xの指令値dxを演算し、当該指令値dxを示す指令信号A4(図1)をサーボアンプ44に出力する。変位目標値xtは、変位計測値xの目標値を示す。
また、ロードセル14が出力する試験力計測値fについて位置制御を実行してもよい。この場合には、フィードバック制御部52は、試験力計測値fを試験力目標値ftに一致させるように変位計測値xの指令値dxを演算し、当該指令値dxを示す指令信号A4(図1)をサーボアンプ44に出力する。なお、試験力計測値fは、試験力計測値fに対応し、試験力目標値ftは、試験力計測値fの目標値を示す。
また、本実施形態では、伸び計測値eについて速度制御を実行する場合について説明するが、ロータリエンコーダ20によって測定された変位計測値xについて速度制御を実行してもよい。この場合には、フィードバック制御部52は、変位計測値速度vを変位速度目標値vtに一致させるように変位計測値xの指令値dxを演算し、当該指令値dxを示す指令信号A4(図1)をサーボアンプ44に出力する。変位計測値速度vは、変位計測値xの単位時間当たりの変化量を示し、変位速度目標値vtは、変位計測値速度vの目標値を示す。
また、ロードセル14が出力する試験力計測値fについて速度制御を実行してもよい。この場合には、フィードバック制御部52は、試験力計測値速度vfを試験力速度目標値vftに一致させるように変位計測値xの指令値dxを演算し、当該指令値dxを示す指令信号A4(図1)をサーボアンプ44に出力する。試験力速度制御量fvは、試験力計測値fの単位時間当たりの変化量を示し、試験力速度目標値fvtは、試験力速度制御量fvの目標値を示す。
第1フィルタ処理部53は、引張試験機1が引張試験を実行する際に、変位計測値xから引張試験機1の固有振動数FAに対応する成分を除去する。
具体的には、変位計測値xの検出信号をハイパスフィルタとローパスフィルタとを通過させることによって、変位計測値xの検出信号に含まれる引張試験機1の固有振動数FAに対応する成分を除去する。ハイパスフィルタは、固有振動数FAより周波数ΔFAだけ高い周波数、すなわち周波数(FA+ΔFA)以上の周波数を通過させる。ローパスフィルタは、固有振動数FAより周波数ΔFBだけ低い周波数、すなわち周波数(FA−ΔFB)以下の周波数を通過させる。固有振動数FAは、例えば17.55kHzであり、周波数ΔFA及び周波数ΔFBの各々は、例えば、1kHzである。
第1算出部54は、目標値に対して制御対象の計測値が遅れている時間を示す遅延時間TSを算出する。具体的には、材料試験機1が位置制御を実行する場合には、第1算出部54は、遅延時間TSを次の式(1)で算出し、ある一定期間において移動平均化する。一定期間の長さは、例えば1秒間である。
TS=(et−e)/vet (1)
ここで、伸び速度目標値vetは、伸び計測値eの単位時間当たりの変化量の目標値を示す。式(1)については、図3を参照して詳細に説明する。式(1)は、式(B)の一例に対応する。
また、材料試験機1が速度制御を実行する場合には、伸び計測値速度veが一定値である期間において、第1算出部54は、遅延時間TSを次の式(2)で算出し、ある一定期間において移動平均化する。一定期間の長さは、例えば1秒間である。
TS=∫(vet−ve)dt/vet
=∫(Δve)dt/vet
=Δe/vet (2)
ここで、伸び速度偏差Δveは、伸び速度目標値vetと伸び計測値速度veとの差を示す。伸び偏差Δeは、伸び目標値etと伸び計測値eとの差を示す。式(2)は、式(C)の一例に対応する。
第2算出部55は、遅延時間TSに基づいて、一次遅れ系を規定する係数を算出する。なお、一次遅れ系は、材料試験機1の特性を規定する。
具体的には、第2算出部55は、次の式(3)に含まれる係数A1及び係数B1の値を算出する。
G(Z)=B1×Z−1/(1+A1×Z−1) (3)
ただし、Zは、Z変換における変数を示す。式(3)は、式(A)に対応する。
更に具体的には、第2算出部55は、次の式(4)で係数A1の値を算出する。
A1=−EXP(−dT/TS) (4)
ただし、制御サンプリング時間dTは、伸び計測値eの検出周期を示す。制御サンプリング時間dTは、例えば1msecである。また、式(4)は、式(D)に対応する。
また、第2算出部55は、次の式(5)で係数B1の値を算出する。
B1=1−A1 (5)
なお、式(5)は、式(E)に対応する。
第2フィルタ処理部56は、遅延時間TSをフィルタFLによってフィルタリングする。第2算出部55は、フィルタによってフィルタリングされた遅延時間TSに基づいて、一次遅れ系を規定する係数を算出する。具体的には、第2算出部55は、フィルタリングされた遅延時間TSを用いて、係数A1及び係数B1の値を算出する。
具体的には、フィルタFLは、カルマンフィルタFLKである。カルマンフィルタFLKは、状態空間表現と、予測ステップと、フィルタリングステップとを含む。状態空間表現は、次の式(5)に示す動作モデルと、次の式(6)に示す観測モデルとを含む。
Figure 2020159963
Figure 2020159963
また、予測ステップは、次の式(7)に示す事前推定値と、次の式(8)に示す事前誤差共分散とを含む。
Figure 2020159963
Figure 2020159963
また、フィルタリングステップは、次の式(9)に示すカルマンゲインと、次の式(10)に示す事後推定値と、次の式(11)に示す事後誤差共分散とを含む。
Figure 2020159963
Figure 2020159963
Figure 2020159963
本実施形態では、式(6)に示す観測モデルにおいて、変数Xtを変位計測値xとして変数Ztの値を算出する。ただし、式(6)において定数C=1、変数δt=0としている。すなわち、式(6)から次の式(12)が成立する。
Zt=x (12)
また、式(7)に示す事前推定値と、式(8)に示す事前誤差共分散とを、次の式(13)で規定する関数A(Z−1)と、次の式(14)で規定する関数B(Z−1)を用いて更新する。
A(Z−1)=1+A1×Z−1 (13)
B(Z−1)=B1×Z−1 (14)
ただし、係数A1及び係数B1は、第2算出部55によって、一次遅れ系を規定する係数として算出される。
[3.遅延時間の算出方法]
図3は、本実施形態に係る第1算出部54の処理の一例を示すグラフである。図3に示す2つのグラフの各々において、縦軸は、伸び計測値e及び伸び目標値etを示し、横軸は、時間Tを示す。
図3を参照して、第1算出部54による遅延時間TSの算出方法について説明する。
図3は、本実施形態に係る第1算出部54の処理の一例を示すグラフである。
図3の上側の図は、フィードバック制御部52が位置制御を実行する場合の伸び計測値eと伸び目標値etとの変化を示すグラフである。破線で示すグラフG11は、伸び目標値etの変化を示し、実線で示すグラフG12は、伸び計測値eの変化を示す。グラフG11とグラフG12との傾きは、伸び速度目標値vetと一致する。
グラフG11とグラフG12との縦軸方向の距離ΔeLは、伸び目標値etと伸び計測値eとの差である。距離ΔeLは、伸び偏差Δeを示す。距離ΔeLを、傾きを示す伸び速度目標値vetを除することによって、グラフG11とグラフG12との横軸方向の距離ΔTLが求められる。距離ΔTLは、遅延時間TSと一致する。
したがって、上記式(1)で、第1算出部54は、遅延時間TSを算出できる。
図3の下側の図は、フィードバック制御部52が速度制御を実行する場合の伸び計測値eと伸び目標値etとの変化を示すグラフである。破線で示すグラフG21は、伸び目標値etの変化を示し、実線で示すグラフG22は、伸び計測値eの変化を示す。グラフG21とグラフG22との時間T1以降の傾きは、伸び速度目標値vetと一致する。なお、時間T1は、伸び計測値速度veの速度が一定になる時間Tを示す。
時間T1以降におけるグラフG21とグラフG22との縦軸方向の距離ΔeLは、伸び目標値etと伸び計測値eとの差である。距離ΔeLは、伸び偏差Δeを示す。距離ΔeLを、傾きを示す伸び速度目標値vetを除することによって、グラフG21とグラフG22との横軸方向の距離ΔTLが求められる。距離ΔTLは、遅延時間TSと一致する。
したがって、上記式(2)で、第1算出部54は、遅延時間TSを算出できる。
[4.同定結果]
図4及び図5の各々は、上記式(3)で示す一次遅れ系の同定結果の一例を示す。図4及び図5の各々を参照して、フィードバック制御部52が、変位センサ15によって測定された伸び計測値eについて速度制御を実行する場合について説明する。すなわち、フィードバック制御部52は、伸び計測値速度veを伸び速度目標値vetに一致させるように変位計測値xの指令値dxを演算し、当該指令値dxを示す指令信号A4(図1)をサーボアンプ44に出力する。
なお、試験対象TPとしては、中央がくびれて形成されたダンベル型試験対象が用いられる。また、変位センサ15の標点間は、試験対象TPのくびれた領域に形成される。変位センサ15の標点間は、変位センサ15によって、試験対象TPにおいて伸び計測値eが検出される領域を示す。
図4及び図5の各々において、横軸は、時間T(秒)を示し、左側の縦軸は、式(3)における係数A1の値を示し、右側の縦軸は、伸び計測値e、及び変位計測値xの値を示す。
[4−1.比較例における同定結果]
図4は、公知のARMA(Autoregressive Moving Average)モデルを用いて、上記式(3)が示す一次遅れ系の係数A1を算出した実験結果を示す。図4のグラフG31は、伸び計測値eの値の変化を示す。図4のグラフG32は、変位計測値xの値の変化を示す。図4のグラフG33は、ARMAモデルを用いて算出された係数A1の値の変化を示す。
変位センサ15の標点間の距離よりも、試験対象TPを把持する上つかみ具21と下つかみ具22との間隔が長い。そこで、試験開始時の時間Tが零から時間T2までの期間においては、変位計測値xの値の方が、伸び計測値eの値よりも大きい。時間T2において、試験対象TPの標点間が塑性変形するため、変位計測値xの単位時間当たりの変化量が、伸び計測値eの単位時間当たりの変化量に近づく。換言すれば、時間T2以降において、グラフG32の傾きが、グラフG31の傾きに近づく。時間T3において、試験対象TPの中央部以外の領域が塑性変形するため、フィードバック制御部52は、伸び計測値eの単位時間当たりの変化量を一定にするために、変位計測値xを急激に増大する。すなわち、時間T3において、変位計測値xを示すグラフG32がステップ的に増加している。
グラフG33に示すように、ARMAモデルを用いて算出された係数A1の値は、試験開始後1秒程度の期間において、不安定に変化している。また、時間T3においては、変位計測値xを急激に増大するため、ARMAモデルを用いて算出された係数A1の値は、過度に大きな値になっている。
このように、ARMAモデルを用いて算出された係数A1の値は、適切ではない場合があり、ARMAモデルを用いて算出された係数A1を用いて、フィードバック制御のゲインを設定することは困難である。
[4−2.本実施形態における同定結果]
図5は、本実施形態における第1算出部54及び第2算出部55によって、上記式(3)に示す一次遅れ系の係数A1を算出した実験結果を示す。図5のグラフG41は、伸び計測値eの値の変化を示す。図5のグラフG42は、変位計測値xの値の変化を示す。図5のグラフG43は、第1算出部54及び第2算出部55によって算出された係数A1の値の変化を示す。図5のグラフG33は、図4のグラフG33と同一であり、ARMAモデルを用いて算出された係数A1の値を示す。
図5のグラフG41は、図4のグラフG31と同一であり、図5のグラフG42は、図4のグラフG32と同一である。なお、伸び計測値eは、グラフG41で示すように、直線状であり、伸び目標値etと伸び計測値eとの差が一定値である期間は、図5の全体の期間である。
図5のグラフG42に示すように、本実施形態における第1算出部54及び第2算出部55によって算出した係数A1の値は、試験開始後速やかに値が収束し、且つ時間T3においても、逸脱した値となることはなく、良好な同定結果が得られた。逸脱した値とは、例えば、係数A1の値が1以上になることを示す。
このようにして、伸び計測値e及び変位計測値xのような実測値を用いて、式(3)で示す一次遅れ系の係数A1及び係数B1を適正に同定できる。したがって、フィードバック制御における適正なゲインを設定できる。その結果、引張試験機1のような材料試験機の制御精度を向上できる。
[5.カルマンフィルタの効果を示す実験結果]
次に、図6を参照して、カルマンフィルタFLKによるフィルタリング結果として得られる仮想伸び計測値evについて説明する。
図6において、横軸は、時間T(秒)を示し、縦軸は伸び計測値e(mm)を示す。
図6のグラフG51は、伸び計測値eを示す。すなわち、グラフG51は、変位センサ15によって測定された伸びの実測値を示す。グラフG51に示すように伸び計測値eは、変位センサのSN比が小さいことに起因して、上下方向に振動している。
図6のグラフG52は、伸び目標値etを示す。グラフG53は、伸び計測値eの移動平均値を示す。グラフG54は、カルマンフィルタFLKから出力される仮想伸び計測値evを示す。
図6に示すように伸び計測値eの移動平均値を示すグラフG53は、伸び計測値eを示すグラフG51の下側に位置している。これに対して、図6に示すように仮想伸び計測値evを示すグラフG54は、伸び計測値eを示すグラフG51の中央を通り、伸び計測値eを良く近似している。すなわち、カルマンフィルタFLKから出力される仮想伸び計測値evは、伸び計測値eを良く近似できる。
したがって、伸び計測値eに換えて、仮想伸び計測値evを用いることによって、安定したフィードバック制御を実行できる。
[6.同定による効果を示す実験結果]
次に、図7を参照して、同定装置として機能する制御回路ユニット50の効果について説明する。具体的には、フィードバック制御部52の制御精度の向上効果について説明する。図7は、伸び計測値速度veの変化を示すグラフである。図7において、横軸は時間T(秒)を示し、縦軸は、伸び計測値速度veの値を示す。なお、図7では、伸び速度目標値vetは、0.012(mm/秒)に設定されている。
図7のグラフG61は、図4を参照して説明したARMAモデルを用いて一次遅れ系を同定し、同定結果を用いてフィードバック制御のゲインを決定したときにおける、伸び計測値速度veの変化を示すグラフである。
図7のグラフG62は、図5参照して説明した本実施形態に係る第1算出部54及び第2算出部55によって一次遅れ系を同定し、同定結果を用いてフィードバック制御のゲインを決定したときにおける、伸び計測値速度veの変化を示すグラフである。
図7に示すように、グラフG61における制御誤差Δve1が約0.0055(mm/秒)であるの対して、グラフG62における制御誤差Δve2が約0.0027(mm/秒)である。
このように、ARMAモデルを用いて一次遅れ系を同定した場合と比較して、本実施形態に係る第1算出部54及び第2算出部55によって一次遅れ系を同定した場合には、フィードバック制御における制御精度が大幅に向上した。
[7.同定装置の処理]
図8及び図9の各々は、同定装置として機能する制御回路ユニット50の処理の一例を示すフローチャートである。
次に、ステップS101において、第1算出部54は、伸び計測値eから伸び計測値速度veを算出する。
そして、ステップS103において、第1算出部54は、伸び速度目標値vetを取得する。
次に、ステップS105において、第1算出部54は、式(2)を用いて、遅延時間TSを算出する。
次に、ステップS107において、第2フィルタ処理部56は、遅延時間TSをフィルタFLによってフィルタリングする。ステップS109で実行されるフィルタ処理については、図9を参照して詳細に説明する。
次に、ステップS109において、第2算出部55は、式(4)を用いて、一次遅れ系を規定する係数A1の値を算出する。
次に、ステップS111において、第2算出部55は、式(5)を用いて、一次遅れ系を規定する係数B1の値を算出する。また、フィードバック制御部52は、ステップS109において算出された係数A1の値,及びステップS113において算出された係数B1の値を用いて、フィードバック制御におけるゲインを決定し、フィードバック制御を実行する。
次に、ステップS113において、制御回路ユニット50は、引張試験機1による引張試験が終了したか否かを判定する。
引張試験機1による引張試験が終了していないと制御回路ユニット50が判定した場合(ステップS113;NO)には、処理がステップS101に戻る。引張試験機1による引張試験が終了したと制御回路ユニット50が判定した場合(ステップS113;YES)には、処理が終了する。
図9は、同定装置として機能する制御回路ユニット50のフィルタ処理の一例を示すフローチャートである。フィルタ処理は、図8のステップS109で実行される。
まず、ステップS201において、第2フィルタ処理部56は、係数A1の値を取得する。
次に、ステップS203において、第2フィルタ処理部56は、係数B1の値を取得する。
次に、ステップS205において、第2フィルタ処理部56は、係数A1の値、及び係数B1の値を用いて、式(7)に示す事前推定値を更新する。
次に、ステップS207において、第2フィルタ処理部56は、式(8)に示す事前誤差共分散を更新する。その後処理が、図8のステップS113に戻る。
図8のステップS105は、「第1算出ステップ」の一例に対応する。図8のステップS111及びステップS111は、「第2算出ステップ」の一例に対応する。
[8.同定装置の効果]
本実施形態に係る同定装置として機能する制御回路ユニット50は、試験対象TPに試験力を付与し、試験対象TPを変形させて材料試験を行う材料試験機1の特性を一次遅れ系として同定する。また、制御回路ユニット50は、目標値に対して制御対象の計測値が遅れている時間を示す遅延時間TSを算出する第1算出部54と、遅延時間TSに基づいて一次遅れ系を規定する係数を算出する第2算出部55と、を備える。
また、試験対象TPに試験力を付与し、試験対象TPを変形させて材料試験を行う材料試験機1は、同定装置として機能する制御回路ユニット50を備える。
また、制御回路ユニット50の制御方法は、試験対象TPに試験力を付与し、試験対象TPを変形させて材料試験を行う材料試験機1の特性を一次遅れ系として同定する。また、制御回路ユニット50の制御方法は、目標値に対して制御対象の計測値が遅れている時間を示す遅延時間TSを算出する第1算出ステップ、及び遅延時間TSに基づいて一次遅れ系を規定する係数を算出する第2算出ステップ、を含む。
また、同定装置として機能する制御回路ユニット50の制御プログラムは、試験対象TPに試験力を付与し、試験対象TPを変形させて材料試験を行う材料試験機1の特性を、コンピュータを用いて、一次遅れ系として同定する制御回路ユニット50の制御プログラムである。制御プログラムは、コンピュータを、目標値に対して制御対象の計測値が遅れている時間を示す遅延時間TSを算出する第1算出部54、及び遅延時間TSに基づいて一次遅れ系を規定する係数を算出する第2算出部55、として機能させる。
よって、制御回路ユニット50、材料試験機1、制御回路ユニット50の制御方法、及び制御回路ユニット50の制御プログラムは、材料試験機1において材料試験を実行中に、材料試験機1の特性を示す一次遅れ系を規定する係数を算出できる。したがって、材料試験機1の同定精度を向上できる。
また、一次遅れ系は、次の式(A)で規定され、第2算出部55は、式(A)に含まれる係数A1及び係数B1の値を算出する。
G(Z)=B1×Z−1/(1+A1×Z−1) (A)
したがって、係数A1及び係数B1の値が第2算出部55によって算出されるため、一次遅れ系を規定できる。
また、材料試験機1が位置制御を実行する場合には、位置目標値と位置計測値との差が一定値である期間において、第1算出部54は、遅延時間TSを次の式(B)で算出する。
(遅延時間)=(位置目標値−位置計測値)/目標速度 (B)
したがって、材料試験機1が位置制御を実行する場合に、材料試験機1において材料試験を実行中に、簡素な構成で、遅延時間TSを算出できる。
また、材料試験機1が速度制御を実行する場合には、計測値速度が一定値である期間において、第1算出部54は、遅延時間TSを次の式(C)で算出する。
(遅延時間)=∫(速度目標値−計測値速度)dt/目標速度 (C)
したがって、材料試験機1が速度制御を実行する場合に、材料試験機1において材料試験を実行中に、簡素な構成で、遅延時間TSを算出できる。
また、第2算出部55は、次の式(D)で係数A1の値を算出する。
A1=−EXP(−dT/(遅延時間)) (D)
ただし、dTは、制御サンプリング時間を示す。
したがって、材料試験機1において材料試験を実行中に、簡素な構成で、一次遅れ系を規定する係数A1の値を算出できる。
また、第2算出部55は、次の式(E)で係数B1の値を算出する。
B1=1−A1 (E)
したがって、材料試験機1において材料試験を実行中に、簡素な構成で、一次遅れ系を規定する係数B1の値を算出できる。
また、第2算出部55は、遅延時間TSをフィルタFLによってフィルタリング処理し、フィルタリング処理後の遅延時間TSに基づいて一次遅れ系を規定する係数を算出する。
したがって、一次遅れ系を規定する係数を正確に算出できる。
また、フィルタFLは、カルマンフィルタFLKであって、カルマンフィルタFLKにおける予測ステップの事前誤差推定値、及び事前誤差共分散の各々を、係数A1の値及び係数B1の値を用いて更新する。
したがって、一次遅れ系を規定する係数A1の値及び係数B1を正確に算出できる。
[9.その他の実施形態]
本実施形態では、制御回路ユニット50が同定装置として機能する場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。同定装置は、コンピュータを備えればよい。例えば、パーソナルコンピュータが、同定装置として機能してもよいし、タブレット端末が同定装置として機能してもよい。
また、本実施形態では、目標値が伸び速度目標値vetであり、制御対象の計測値が伸び計測値速度veである場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、目標値が伸び目標値etであり、制御対象の計測値が伸び計測値eでもよい。また、例えば、目標値が変位目標値xtであり、制御対象の計測値が変位計測値xでもよいし、目標値が変位速度目標値vtであり、制御対象の計測値が変位計測値速度vでもよい。
また、本実施形態では、材料試験機1が位置制御を実行するときに、位置目標値が伸び目標値etであり、位置計測値が伸び計測値eである場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。位置目標値が変位目標値xtでありであり、位置計測値が変位計測値xでもよい。
また、本実施形態では、材料試験機1が速度制御を実行するときに、速度目標値が、伸び速度目標値vetであり、計測値速度が伸び計測値速度veである場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、速度目標値が、変位速度目標値vtであり、計測値速度が変位計測値速度vでもよい。
また、本実施形態では、フィルタFLがカルマンフィルタFLKである場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。フィルタFLがローパスフィルタでもよい。この場合には、処理が簡素化される。
なお、本実施形態に係る制御回路ユニット50は、あくまでも本発明に係る同定装置の態様の例示であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲において任意に変形および応用が可能である。
1 引張試験機
2 引張試験機本体
4 制御ユニット
10 クロスヘッド
14 ロードセル
15 変位センサ
18 サーボモータ
20 ロータリエンコーダ
21 上つかみ具
22 下つかみ具
30 制御装置
32 表示装置
34 引張試験プログラム実行装置
40 信号入出力ユニット
42 第1センサアンプ
43 カウンタ回路
44 サーボアンプ
45 第2センサアンプ
50 制御回路ユニット
51 通信部
52 フィードバック制御部
53 第1フィルタ処理部
54 第1算出部
55 第2算出部
56 第2フィルタ処理部
A1、B1 係数
dx 指令値
dT 制御サンプリング時間
e 伸び計測値
et 伸び目標値
f 試験力計測値
ft 試験力目標値
FL フィルタ
FL
FA 固有振動数
FT 試験力
SG1 試験力測定信号
SG2 回転測定信号
SG3 伸び測定信号
TP 試験対象
TS 遅延時間
v 変位計測値速度
ve 伸び計測値速度
vet 伸び速度目標値
Δe 伸び偏差
Δve 伸び速度偏差
vf 試験力計測値速度
vft 試験力速度目標値
vt 変位速度目標値
x 変位計測値
xt 変位目標値

Claims (11)

  1. 試験対象に試験力を付与し、前記試験対象を変形させて材料試験を行う材料試験機の特性を一次遅れ系として同定する同定装置であって、
    目標値に対して制御対象の計測値が遅れている時間を示す遅延時間を算出する第1算出部と、
    前記遅延時間に基づいて前記一次遅れ系を規定する係数を算出する第2算出部と、
    を備える、同定装置。
  2. 前記一次遅れ系は、次の式(A)で規定され、
    前記第2算出部は、前記式(A)に含まれる係数A1及び係数B1の値を算出する、
    請求項1に記載の同定装置。
    G(Z)=B1×Z−1/(1+A1×Z−1) (A)
    ただし、Zは、Z変換における変数を示す。
  3. 前記材料試験機が位置制御を実行する場合には、位置目標値と位置計測値を用いて、前記第1算出部は、前記遅延時間を次の式(B)で算出する、
    請求項2に記載の同定装置。
    (遅延時間)=(位置目標値−位置計測値)/目標速度 (B)
  4. 前記材料試験機が速度制御を実行する場合には、計測値速度を用いて、前記第1算出部は、遅延時間を次の式(C)で算出する、
    請求項2に記載の同定装置。
    (遅延時間)=∫(速度目標値−計測値速度)dt/目標速度 (C)
  5. 前記第2算出部は、次の式(D)で係数A1の値を算出する、
    請求項2から4のいずれか1項に記載の同定装置。
    A1=−EXP(−dT/(遅延時間)) (D)
    ただし、dTは、制御サンプリング時間を示す。
  6. 前記第2算出部は、次の式(E)で係数B1の値を算出する、
    請求項5に記載の同定装置。
    B1=1−A1 (E)
  7. 前記第2算出部は、前記遅延時間をフィルタによってフィルタリング処理し、フィルタリング処理後の前記遅延時間に基づいて前記一次遅れ系を規定する係数を算出する、
    請求項1から6のいずれか1項に記載の同定装置。
  8. 前記フィルタは、カルマンフィルタであって、
    前記カルマンフィルタにおける予測ステップの事前誤差推定値、及び事前誤差共分散の各々を、前記係数A1の値及び前記係数B1の値を用いて更新する、
    請求項7に記載の同定装置。
  9. 試験対象に試験力を付与し、前記試験対象を変形させて材料試験を行う材料試験機であって、
    請求項1から8のいずれか1項に記載の同定装置を備える、材料試験機。
  10. 試験対象に試験力を付与し、前記試験対象を変形させて材料試験を行う材料試験機の特性を一次遅れ系として同定する同定装置の制御方法であって、
    目標値に対して制御対象の計測値が遅れている時間を示す遅延時間を算出する第1算出ステップ、及び
    前記遅延時間に基づいて前記一次遅れ系を規定する係数を算出する第2算出ステップ、を含む、同定装置の制御方法。
  11. 試験対象に試験力を付与し、前記試験対象を変形させて材料試験を行う材料試験機の特性を、コンピュータを用いて、一次遅れ系として同定する同定装置の制御プログラムであって、
    前記コンピュータを、
    目標値に対して制御対象の計測値が遅れている時間を示す遅延時間を算出する第1算出部、及び
    前記遅延時間に基づいて前記一次遅れ系を規定する係数を算出する第2算出部、
    として機能させる、制御プログラム。
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