JP2020159893A - 制御装置、材料試験機、制御装置の制御方法、及び制御プログラム - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1に記載のサーボ式材料試験機は、制御量の検出値が規定値となるときの負荷機構に対する操作信号の大きさを記憶し、オープンループ状態でその記憶されている信号を負荷機構に対して供給するオフセット信号供給手段を備える。また、その状態で矩形波状の設定信号の負荷機構への追加供給を開始し、制御量の検出値がリミット値に達した時点で供給を停止する設定信号供給手段を設ける。更に、設定信号が供給されている間の制御量の検出値を応答データ記憶手段に記憶し、その記憶内容を用いて系を同定して最適ゲインを決定する演算手段を設ける。
例えば、サーボ式材料試験機において、引張試験を行う場合には、材料試験の進行に伴って1対のつかみ具の間隔が増加し、試験片が伸びるため、引張試験機の特性が変化する。その結果、特許文献1に記載のサーボ式材料試験機では、サーボ式材料試験機の制御精度を向上する余地があった。
また、材料試験を実行中に材料試験機の同定を行う場合には、材料試験の初期においては、材料試験機の同定をするためのデータの個数が少ないため、材料試験機の同定精度が低下する可能性があった。その結果、材料試験機の制御精度が低下する可能性があった。
よって、同定結果が安定するまでの期間においても、仮想出力値として安定した出力値が得られる。したがって、材料試験機の制御精度を向上できる。
よって、同定結果が安定するまでの期間においても、仮想出力値として安定した出力値が得られる。したがって、材料試験機の制御精度を向上できる。
よって、同定結果が安定するまでの期間においても、仮想出力値として安定した出力値が得られる。したがって、材料試験機の制御精度を向上できる。
よって、同定結果が安定するまでの期間においても、仮想出力値として安定した出力値が得られる。したがって、材料試験機の制御精度を向上できる。
図1は、本実施形態に係る引張試験機1の構成の一例を示す図である。
本実施形態の引張試験機1は、試験片TPに試験力FTを与えて、試料の引張強度、降伏点、伸び、絞りなどの機械的性質を測定する材料試験を行う。試験力FTは、引張力である。
かかる引張試験機1は、試験対象の材料である試験片TPに試験力FTを与えて引張試験を行う引張試験機本体2と、当該引張試験機本体2による引張試験動作を制御する制御ユニット4と、を備える。
なお、引張試験機1は、「材料試験機」の一例に相当する。
負荷機構12は、各ねじ棹8、9の下端部に連結されるウォーム減速機16、17と、各ウォーム減速機16、17に連結されるサーボモータ18と、ロータリエンコーダ20と、を備える。ロータリエンコーダ20は、サーボモータ18の回転量を測定し、回転量に応じたパルス数の回転測定信号SG2を制御ユニット4に出力するセンサである。
そして負荷機構12は、ウォーム減速機16、17を介して、一対のねじ棹8、9にサーボモータ18の回転を伝達し、各ねじ棹8、9が同期して回転することにより、クロスヘッド10がねじ棹8、9に沿って昇降する。
統括制御装置30は、当該試験機本体2を中枢的に制御する装置であり、試験機本体2との間で信号を送受信可能に接続される。試験機本体2から受信する信号は、ロードセル14が出力する試験力測定信号SG1、ロータリエンコーダ20が出力する回転測定信号SG2、変位センサ15が出力する伸び測定信号SG3、及び制御や試験に要する適宜の信号などである。
表示装置32は、統括制御装置30から入力される信号に基づいて各種情報を表示する装置であり、例えば、統括制御装置30は、引張試験の間、伸び測定信号SG3に基づいて試験片TPの伸びの測定値である伸び測定値edを表示装置32に表示する。また、例えば、統括制御装置30は、引張試験の間、回転測定信号SG2に基づくクロスヘッド10の変位を示す変位測定値xdを表示装置32に表示する。
本実施形態の引張試験プログラム実行装置34はコンピュータを備え、このコンピュータは、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro−Processing Unit)などのプロセッサと、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などのメモリデバイスと、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などのストレージ装置と、統括制御装置30や各種の周辺機器などを接続するためのインターフェース回路と、を備える。そして、プロセッサがメモリデバイス又はストレージ装置に記憶されたコンピュータプログラムである引張試験プログラムを実行することで、上述の各種の機能を実現する。
統括制御装置30は、図1に示すように、信号入出力ユニット40と、制御回路ユニット50と、を備える。
信号入出力ユニット40は、試験機本体2との間で信号を送受する入出力インターフェース回路を構成するものであり、本実施形態では、第1センサアンプ42と、第2センサアンプ45と、カウンタ回路43と、サーボアンプ44とを有する。
第1センサアンプ42は、ロードセル14が出力する試験力測定信号SG1を増幅して制御回路ユニット50に出力する増幅器である。
第2センサアンプ45は、変位センサ15が出力する伸び測定信号SG3を増幅して制御回路ユニット50に出力する増幅器である。
カウンタ回路43は、ロータリエンコーダ20が出力する回転測定信号SG2のパルス数を計数し、サーボモータ18の回転量、すなわちサーボモータ18の回転によって昇降するクロスヘッド10の変位測定値xdを示す変位測定信号A3を制御回路ユニット50にデジタル信号で出力する。
サーボアンプ44は、制御回路ユニット50の制御に従って、サーボモータ18を制御する装置である。
図2は、制御回路ユニット50の機能的構成を示すブロック図である。
制御回路ユニット50は、通信部51と、フィードバック制御部52と、フィルタ処理部53と、モデル生成部54と、出力調整部55とを備える。制御回路ユニット50は、「制御装置」の一例に対応する。
制御回路ユニット50は、CPUやMPUなどのプロセッサと、ROMやRAMなどのメモリデバイスと、HDDやSSDなどのストレージ装置と、信号入出力ユニット40とのインターフェース回路と、引張試験プログラム実行装置34と通信する通信装置と、表示装置32を制御する表示制御回路と、各種の電子回路と、を備えたコンピュータを備える。また、制御回路ユニット50のプロセッサがメモリデバイス又はストレージ装置に記憶された制御プログラムを実行することで、図2に示す各機能部を実現する。
プロセッサは、「コンピュータ」の一例に対応する。
また、信号入出力ユニット40のインターフェース回路にはA/D変換器が設けられており、アナログ信号の試験力測定信号SG1及び伸び測定信号SG3がA/D変換器によってデジタル信号に変換される。
なお、制御回路ユニット50は、コンピュータに限らず、ICチップやLSIなどの集積回路といった1又は複数の適宜の回路によって構成されてもよい。
例えば、フィードバック制御部52が位置制御を実行する場合には、フィードバック制御部52は、変位センサ15によって測定された伸び制御量eを伸び目標値etに一致させるように変位制御量xの指令値dxを演算し、当該指令値dxを示す指令信号A4(図1)をサーボアンプ44に出力する。なお、伸び制御量eは、伸び測定値edに対応し、変位制御量xは、変位測定値xdに対応する。伸び目標値etは、伸び制御量eの目標値を示す。
なお、本実施形態において、「位置制御」とは、センサ等によって測定された検出値を、その目標値に一致させるように制御することを示す。また、伸び目標値etは、「目標値」及び「位置目標値」の一例に対応し、伸び制御量eは、「制御量」及び「位置制御量」の一例に対応する。
なお、本実施形態において、「速度制御」とは、センサ等によって測定された検出値の単位時間当たりの変化量を、その目標値に一致させるように制御することを示す。また、伸び速度目標値vetは、「目標値」及び「速度目標値」の一例に対応し、伸び速度制御量veは、「制御量」及び「速度制御量」の一例に対応する。
本実施形態では、フィードバック制御にはPID(Proportional−Integral−Differential)制御が用いられており、フィードバック制御部52は、いわゆるPID制御器を備える。なお、フィードバック制御部52は、モデル生成部54が算出するパラメータa1及びパラメータb1に基づいて、PID制御器の各々に付与するゲインを設定する。
また、ロードセル14が出力する試験力測定値fdについて位置制御を実行してもよい。この場合には、フィードバック制御部52は、試験力制御量fを試験力目標値ftに一致させるように変位制御量xの指令値dxを演算し、当該指令値dxを示す指令信号A4(図1)をサーボアンプ44に出力する。なお、試験力制御量fは、試験力測定値fdに対応し、試験力目標値ftは、試験力制御量fの目標値を示す。
また、ロードセル14が出力する試験力測定値fdについて速度制御を実行してもよい。この場合には、フィードバック制御部52は、試験力速度制御量vfを試験力速度目標値vftに一致させるように変位制御量xの指令値dxを演算し、当該指令値dxを示す指令信号A4(図1)をサーボアンプ44に出力する。試験力速度制御量fvは、試験力制御量fの単位時間当たりの変化量を示し、試験力速度目標値fvtは、試験力速度制御量fvの目標値を示す。
具体的には、変位制御量xの検出信号をハイパスフィルタとローパスフィルタとを通過させることによって、変位制御量xの検出信号に含まれる引張試験機1の固有振動数FAに対応する成分を低減する。ハイパスフィルタは、固有振動数FAより周波数ΔFAだけ高い周波数、すなわち周波数(FA+ΔFA)以上の周波数を通過させる。ローパスフィルタは、固有振動数FAより周波数ΔFBだけ低い周波数、すなわち周波数(FA−ΔFB)以下の周波数を通過させる。固有振動数FAは、例えば17.55kHzであり、周波数ΔFA及び周波数ΔFBの各々は、例えば、1kHzである。
具体的には、モデル生成部54は、引張試験機1の特性を逐次最小二乗法を適用して同定し、パラメータを含む同定モデルG(Z)を生成する。なお、同定モデルG(Z)は、一次遅れ系として規定する。
更に具体的には、モデル生成部54は、次の式(1)に含まれるパラメータa1及びパラメータb1の値を算出する。
G(Z)=b1×Z−1/(1+a1×Z−1) (1)
ただし、Zは、Z変換における変数を示す。式(1)は、式(B)に対応する。
以下に、ARMAモデルに逐次最小二乗法を適用することによって同定モデルG(Z)を生成する方法について説明する。
具体的には、出力調整部55は、次の式(7)によって、仮想出力値yVNを算出する。
yVN=(b0×Z−1/(1+a0×Z−1))×uN+y0 (7)
ただし、パラメータa0は、パラメータa1の推定値を示し、パラメータb0は、パラメータb1の推定値を示す。すなわち、仮想同定モデルは、同定モデルG(Z)のパラメータa1をパラメータa0に置換し、パラメータb1をパラメータb0に置換したモデルを示す。また、初期値y0は、計測された出力値の初期値、又は、推定値を用いる。例えば、初期値y0は、零である。
本実施形態では、仮想同定モデルは、同定モデルG(Z)のパラメータa1をパラメータa0に置換し、パラメータb1をパラメータb0に置換したモデルであるが、本発明はこれに限定されない。仮想同定モデルは、予め設定されたモデルであればよい。
また、モデル生成部54による同定結果が安定するまでの期間は、引張試験機1が試験中に制御量を第1制御量αcから第1制御量αcと相違する第2制御量βcに変更する場合において、制御量を第1制御量αcから第2制御量βcに変更してから第2期間PBを含む。第2期間PBは、例えば2.5秒間である。第1制御量αcは、例えば伸び制御量eであり、第2制御量βcは試験力制御量fである。第1期間PA及び第2期間PBにおける出力調整部55の処理については、図4を参照して詳細に説明する。
yN=yVN×K+ymN×(1−K) (8)
ただし、仮想出力値yVNは、仮想同定モデルからの出力値を示し、実出力値ymNは、同定モデルG(Z)からの出力値を示す。適用比率K(0≦K≦1)は、出力調整部55によって、期間経過に応じて1から零まで減少される。なお、適用比率Kは、「変数K」に対応し、実出力値ymNは、「変数Ymn」に対応し、仮想出力値yVNは、「変数Yvn」に対応する。
[3−1.比較例における同定結果]
図3は、比較例の同定モデルG(Z)におけるパラメータの変化の一例を示すグラフである。比較例では、モデル生成部54が、ARMAモデルに逐次最小二乗法を適用することによって同定モデルG(Z)を生成した。
また、フィードバック制御部52が変位センサ15によって測定された伸び制御量eについて速度制御を実行する場合について説明する。すなわち、フィードバック制御部52は、伸び速度制御量veを伸び速度目標値vetに一致させるように変位制御量xの指令値dxを演算し、当該指令値dxを示す指令信号A4(図1)をサーボアンプ44に出力した。
なお、試験片TPとしては、中央がくびれて形成されたダンベル型試験片が用いられた。また、変位センサ15の標点間は、試験片TPのくびれた領域に形成された。変位センサ15の標点間は、変位センサ15によって、試験片TPにおいて伸び制御量eが検出される領域を示す。
図4及び図5の各々は、本実施形態における同定モデルG(Z)のパラメータの変化の一例を示すグラフである。
図4及び図5の上段の図、中段の図、及び下段の図の各々において、横軸は、時間T(秒)を示す。図4及び図5の上段の図において、縦軸は、同定モデルG(Z)におけるパラメータa1の値を示す。図4及び図5の中段の図において、縦軸は、同定モデルG(Z)におけるパラメータb1の値を示す。図4及び図5の下段の図において、縦軸は、伸び制御量e、変位制御量x、及び試験力制御量fの値を示す。なお、図4及び図5に示す材料試験を行ったときの試験片TPの材質は、ゴム(例えば、天然ゴム)であった。
引張試験機1が試験を開始してから第1期間PAでは、モデル生成部54による同定結果が安定しないため、出力調整部55は、以下の処理を行った。すなわち、出力調整部55は、第1期間PAにおいて、同定モデルG(Z)の出力値yNに代えて、パラメータの値を予め設定された推定値とした仮想同定モデルから出力される仮想出力値yVNを用いた。
すなわち、第1期間PAにおいては、パラメータa1の値及びパラメータb1の値は、一定値に保持された。具体的には、パラメータa1の値は、パラメータa0の値に保持され、パラメータb1の値は、パラメータb0の値に保持された。
その結果、グラフG24に示すように、第1期間PAにおいて、伸び制御量eの傾き、すなわち伸び速度制御量veが一定に制御された。すなわち、フィードバック制御部52の制御精度は良好であった。
その結果、グラフG24に示すように、期間P1の第1期間PA以降の期間において、伸び制御量eの傾き、すなわち伸び速度制御量veが一定に制御された。すなわち、フィードバック制御部52の制御精度は良好であった。
期間P2においても、モデル生成部54がARMAモデルに逐次最小二乗法を適用することによって同定モデルG(Z)を生成した。そこで、パラメータa1の値及びパラメータb1の値は、時間の経過と共に変化した。また、フィードバック制御部52は、モデル生成部54によって生成された同定モデルG(Z)に基づいて、制御のゲインを決定した。
その結果、グラフG24に示すように、期間P2において、伸び制御量eが一定に制御された。すなわち、フィードバック制御部52の制御精度は良好であった。
時間T23から時間T24までの期間P3において、フィードバック制御部52は、試験力速度制御量vfが一定になるように速度制御を実行した。
引張試験機1が時間T23において、制御量を伸び制御量eから試験力制御量fに変更してから第2期間PBでは、モデル生成部54による同定結果が安定しないため、出力調整部55は、以下の処理を行った。すなわち、出力調整部55は、第2期間PBにおいて、同定モデルG(Z)の出力値yNに代えて、パラメータの値を予め設定された推定値とした仮想同定モデルから出力される仮想出力値yVNを用いた。なお、伸び制御量eは、第1制御量αcの一例に対応し、試験力制御量fは、第2制御量βcの一例に対応する。また、第2期間PBは、期間P3と一致している。すなわち、第2期間PBにおいては、パラメータa1の値及びパラメータb1の値は、一定値に保持された。具体的には、パラメータa1の値は、パラメータa0の値に保持され、パラメータb1の値は、パラメータb0の値に保持された。
その結果、グラフG23に示すように、第2期間PBにおいて、試験力制御量fの傾き、すなわち試験力速度制御量vfが一定に制御された。すなわち、フィードバック制御部52の制御精度は良好であった。
期間P4においては、モデル生成部54がARMAモデルに逐次最小二乗法を適用することによって同定モデルG(Z)を生成した。そこで、パラメータa1の値及びパラメータb1の値は、時間の経過と共に変化した。また、フィードバック制御部52は、モデル生成部54によって生成された同定モデルG(Z)に基づいて、制御のゲインを決定した。
その結果、グラフG23に示すように、期間P4において、試験力制御量fが一定に制御された。すなわち、フィードバック制御部52の制御精度は良好であった。
期間P5においても、モデル生成部54がARMAモデルに逐次最小二乗法を適用することによって同定モデルG(Z)を生成した。そこで、パラメータa1の値及びパラメータb1の値は、時間の経過と共に変化した。また、フィードバック制御部52は、モデル生成部54によって生成された同定モデルG(Z)に基づいて、制御のゲインを決定した。
その結果、グラフG23に示すように、期間P5において、試験力速度制御量vfが一定に制御された。すなわち、フィードバック制御部52の制御精度は良好であった。
期間P6においても、モデル生成部54がARMAモデルに逐次最小二乗法を適用することによって同定モデルG(Z)を生成した。そこで、パラメータa1の値及びパラメータb1の値は、時間の経過と共に変化した。また、フィードバック制御部52は、モデル生成部54によって生成された同定モデルG(Z)に基づいて、制御のゲインを決定した。
その結果、グラフG23に示すように、期間P6において、試験力制御量fが一定に制御された。すなわち、フィードバック制御部52の制御精度は良好であった。
出力調整部55は、試験力制御量fに係る制御の前に実行された伸び制御量eに係る同定モデルG(Z)のパラメータの値を、試験力制御量fに係る制御の後に実行された伸び制御量eに係る同定モデルG(Z)のパラメータの初期値として用いた。すなわち、期間PDにおいて、出力調整部55は、図5の上段の図の破線で示すように、図4に示す時間T23における同定モデルG(Z)のパラメータの値を同定モデルG(Z)のパラメータの初期値として用いた。
すなわち、期間PDにおいては、パラメータa1の値及びパラメータb1の値は、一定値に保持された。具体的には、パラメータa1の値は、パラメータa0の値に保持され、パラメータb1の値は、パラメータb0の値に保持された。
その結果、グラフG34に示すように、期間PDにおいて、伸び制御量eの傾き、すなわち伸び速度制御量veが一定に制御された。すなわち、フィードバック制御部52の制御精度は良好であった。
その結果、グラフG34に示すように、期間P7における期間PD以降の期間において、伸び制御量eの傾き、すなわち伸び速度制御量veが一定に制御された。すなわち、フィードバック制御部52の制御精度は良好であった。
期間P8においても、モデル生成部54がARMAモデルに逐次最小二乗法を適用することによって同定モデルG(Z)を生成した。そこで、パラメータa1の値及びパラメータb1の値は、時間の経過と共に変化した。また、フィードバック制御部52は、モデル生成部54によって生成された同定モデルG(Z)に基づいて、制御のゲインを決定した。
その結果、グラフG34に示すように、期間P8において、伸び制御量eが一定に制御された。すなわち、フィードバック制御部52の制御精度は良好であった。
図6は、図3を参照して説明した比較例の制御精度と、図4及び図5を参照して説明した本実施形態の制御精度との一例を示すグラフである。換言すれば、図6は、本実施形態に係る制御回路ユニット50による制御精度の向上効果の一例を示すグラフである。
図6は、引張試験機1において、試験片TPを試験力速度制御量vfが一定になるように速度制御を実行した場合の実験結果を示す。なお、試験力速度目標値vftは、20N/秒であった。試験片TPの材料は、ゴムであった。
図7は、制御装置として機能する制御回路ユニット50の処理の一例を示すフローチャートである。図7では、引張試験機1が試験中に制御量を第1制御量αcから第1制御量αcと相違する第2制御量βcに変更する場合について説明する。
次に、ステップS101において、出力調整部55は、引張試験機1が試験を開始してから第1期間PA内であるか否かを判定する。
第1期間PA内であると出力調整部55が判定した場合(ステップS101;YES)には、処理が後述するステップS105に進む。第1期間PA内ではないと出力調整部55が判定した場合(ステップS101;NO)には、処理がステップS103に進む。
そして、ステップS103において、出力調整部55は、制御量を第1制御量αcから第2制御量βcに変更してから第2期間PB内であるか否かを判定する。
そして、ステップS105において、出力調整部55は、入力値uNと仮想出力値yVNとを取得する。具体的には、出力調整部55は、仮想同定モデルから出力される仮想出力値yVNを算出する。
次に、ステップS107において、出力調整部55は、入力値uNと仮想出力値yVNとを用いてパラメータa1の値を更新する。
次に、ステップS109において、出力調整部55は、入力値uNと仮想出力値yVNとを用いてパラメータb1の値を更新する。
次に、ステップS111において、フィードバック制御部52は、パラメータa1及びパラメータb1を用いて、フィードバック制御のゲインの値を設定する。
次に、ステップS113において、フィードバック制御部52は、フィードバック制御のゲインの値と、仮想同定モデルから出力される仮想出力値yVNとを用いて、フィードバック制御を実行する。その後、処理がステップS125に進む。
次に、ステップS117において、モデル生成部54は、入力値uNと出力値yNとに基づいて、パラメータa1の値を更新する。
次に、ステップS119において、モデル生成部54は、入力値uNと出力値yNとに基づいて、パラメータb1の値を更新する。
次に、ステップS121において、パラメータa1の値、及びパラメータb1の値に基づいて、フィードバック制御部52は、フィードバック制御のゲインの値を更新する。
次に、ステップS123において、フィードバック制御部52は、同定モデルG(Z)と、フィードバック制御のゲインの値とを用いて、フィードバック制御を実行する。その後、処理がステップS125に進む。
引張試験機1の材料試験が終了していないと制御回路ユニット50が判定した場合(ステップS125;NO)には、処理がステップS101に戻る。引張試験機1の材料試験が終了したと制御回路ユニット50が判定した場合(ステップS125;YES)には、処理が終了する。
本実施形態に係る制御装置として機能する制御回路ユニット50は、試験片TPに試験力を付与し、試験片TPを変形させて材料試験を行う引張試験機1を制御する。制御回路ユニット50は、引張試験機1の特性を伸び速度制御量veと伸び速度目標値vetとを用いて同定し、パラメータを含む同定モデルG(Z)を生成し、同定モデルG(Z)を更新するモデル生成部54と、モデル生成部54による同定結果が安定するまでの期間において、同定モデルG(Z)による引張試験機1の特性を同定する際に用いる伸び速度制御量veに代えて、仮想同定モデルから出力される仮想出力値yVNを用いる出力調整部55と、を備える。
また、試験片TPに試験力を付与し、試験片TPを変形させて材料試験を行う引張試験機1は、制御装置として機能する制御回路ユニット50を備える。
また、制御回路ユニット50の制御方法は、試験片TPに試験力を付与し、試験片TPを変形させて材料試験を行う引張試験機1を制御する制御回路ユニット50の制御方法である。制御回路ユニット50の制御方法は、引張試験機1の特性を伸び速度制御量veと伸び速度目標値vetとを用いて同定し、パラメータを含む同定モデルG(Z)を生成し、同定モデルG(Z)を更新するモデル生成ステップと、モデル生成ステップでの同定結果が安定するまでの期間において、同定モデルG(Z)による引張試験機1の特性を同定する際に用いる伸び速度制御量veに代えて、仮想同定モデルから出力される仮想出力値yVNを用いる出力調整ステップと、を含む。
また、制御装置として機能する制御回路ユニット50の制御プログラムは、試験片TPに試験力を付与し、試験片TPを変形させて材料試験を行う引張試験機1を、コンピュータを用いて、制御する制御回路ユニット50の制御プログラムである。制御プログラムは、コンピュータを、制御回路ユニット50は、引張試験機1の特性を伸び速度制御量veと伸び速度目標値vetとを用いて同定し、パラメータを含む同定モデルG(Z)を生成し、同定モデルG(Z)を更新するモデル生成部54、及び、モデル生成部54による同定結果が安定するまでの期間において、同定モデルG(Z)による引張試験機1の特性を同定する際に用いる伸び速度制御量ve代えて、パラメータの値を予め設定された推定値とした仮想同定モデルから出力される仮想出力値yVNを用いる出力調整部55、として機能させる。
よって、制御回路ユニット50、引張試験機1、制御回路ユニット50の制御方法、及び制御回路ユニット50の制御プログラムは、同定モデルG(Z)の同定結果が安定するまでの期間において、同定モデルG(Z)による引張試験機1の特性を同定する際に用いる伸び速度制御量veに代えて、パラメータの値を予め設定された推定値とした仮想同定モデルから出力される仮想出力値yVNを用いる。したがって、仮想出力値yVNを用いて、安定した制御を実行できる。その結果、引張試験機1の制御精度を向上できる。
よって、引張試験機1が試験を開始してから第1期間PAにおいて、安定した制御を実行できる。したがって、引張試験機1の制御精度を向上できる。
よって、試験中に制御量を第1制御量αcから第2制御量βcに変更する場合においても、安定した制御を実行できる。したがって、引張試験機1の制御精度を向上できる。
よって、引張試験機1が試験中に制御量を第1制御量αcから第2制御量βcに変更し、更に第1制御量αcに戻す場合に、第1制御量αcに戻した時間以降において、安定した制御を実行できる。したがって、引張試験機1の制御精度を向上できる。
yN=yVN×K+ymN×(1−K) (8)
ただし、仮想出力値yVNは、仮想同定モデルからの出力値を示し、実出力値ymNは、同定モデルG(Z)からの出力値を示す。適用比率K(0≦K≦1)は、出力調整部55によって、期間経過に応じて1から零まで減少される。
なお、式(8)は、便宜上、再度記載している。
よって、仮想出力値yVNの適用比率Kを期間経過に応じて減少するため、仮想出力値yVNから実出力値ymNに切り換えるときに、安定した制御を実行できる。したがって、引張試験機1の制御精度を向上できる。
G(Z)=b1×Z−1/(1+a1×Z−1) (1)
なお、式(1)は、便宜上、再度記載している。
したがって、パラメータa1及びパラメータb1の値がモデル生成部54によって算出されるため、一次遅れ系を規定できる。
したがって、適正な同定モデルG(Z)を生成できる。
本実施形態では、制御回路ユニット50が制御装置として機能する場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。制御装置は、コンピュータを備えればよい。例えば、パーソナルコンピュータが、制御装置として機能してもよいし、タブレット端末が制御装置として機能してもよい。
2 引張試験機本体
4 制御ユニット
10 クロスヘッド
14 ロードセル
15 変位センサ(検出器)
18 サーボモータ
20 ロータリエンコーダ
21 上つかみ具
22 下つかみ具
30 統括制御装置
32 表示装置
34 引張試験プログラム実行装置
40 信号入出力ユニット
42 第1センサアンプ
43 カウンタ回路
44 サーボアンプ
45 第2センサアンプ
50 制御回路ユニット(制御装置)
51 通信部
52 フィードバック制御部
53 フィルタ処理部
54 モデル生成部
55 出力調整部
a1、a0、b1、b0 パラメータ
dx 指令値
dT サンプリング時
e 伸び制御量
ed 伸び測定値
et 伸び目標値
f 試験力制御量
ft 試験力目標値
FA 固有振動数
fd 試験力測定値
FT 試験力
G(Z) 同定モデル
SG1 試験力測定信号
SG2 回転測定信号
SG3 伸び測定信号
TP 試験片
uN 入力値
v 変位速度制御量
ve 伸び速度制御量(計測値)
vet 伸び速度目標値(制御目標値)
vf 試験力速度制御量
vft 試験力速度目標値
vt 変位速度制御量
x 変位制御量
xd 変位測定量
xt 変位目標値
yN、ymN 出力値
yVN 仮想出力値
αc 第1制御量
βc 第2制御量
Claims (10)
- 試験片に試験力を付与し、前記試験片を変形させて材料試験を行う材料試験機を制御する制御装置であって、
前記材料試験機の特性を、検出器の計測値と、前記計測値に対応する制御目標値とを用いて同定し、パラメータを含む同定モデルを生成し、前記同定モデルを更新するモデル生成部と、
前記モデル生成部による同定結果が安定するまでの期間において、前記同定モデルによる前記材料試験機の特性を同定する際に用いる前記検出器の計測値に代えて、仮想同定モデルから出力される仮想出力値を用いる出力調整部と、
を備える、制御装置。 - 前記モデル生成部による同定結果が安定するまでの期間は、前記材料試験機が試験を開始してから第1期間を含む、請求項1に記載の制御装置。
- 前記モデル生成部による同定結果が安定するまでの期間は、前記材料試験機が試験中に制御量を第1制御量から前記第1制御量と相違する第2制御量に変更する場合において、前記制御量を前記第1制御量から前記第2制御量に変更してから第2期間を含む、請求項1又は請求項2に記載の制御装置。
- 前記材料試験機が試験中に制御量を前記第1制御量から前記第2制御量に変更し、更に前記第1制御量に戻す場合において、前記出力調整部は、前記第2制御量の前に実行された前記第1制御量に係る前記同定モデルの前記パラメータの値を、前記第2制御量の後に実行された前記第1制御量に係る前記同定モデルの前記パラメータの初期値として用いる、請求項3に記載の制御装置。
- 前記モデル生成部による同定結果が安定するまでの期間の経過から第3期間において、前記出力調整部は、次の式(A)を用いて、前記仮想出力値の適用比率を期間経過に応じて減少することによって、前記仮想出力値を前記同定モデルの出力値に切り換える、請求項1から4のいずれか1項に記載の制御装置。
Yn=Yvn×K+Ymn×(1−K) (A)
ただし、変数Ymnは、前記同定モデルの出力値を示し、変数Yvnは、前記仮想出力値を示し、変数K(0≦K≦1)は、前記適用比率を示す。 - 前記同定モデルは、一次遅れ系であって、次の式(B)で規定され、
前記パラメータは、前記式(A)に含まれるパラメータA1及びパラメータB1を含む、
請求項1から5のいずれか1項に記載の制御装置。
G(Z)=B1×Z−1/(1+A1×Z−1) (B)
ただし、Zは、Z変換における変数を示す。 - 前記モデル生成部は、ARMA(Autoregressive Moving Average)モデルに逐次最小二乗法を適用することによって前記同定モデルを生成する、
請求項1から6のいずれか1項に記載の制御装置。 - 試験片に試験力を付与し、前記試験片を変形させて材料試験を行う材料試験機であって、
請求項1から7のいずれか1項に記載の制御装置を備える、材料試験機。 - 試験片に試験力を付与し、前記試験片を変形させて材料試験を行う材料試験機を制御する制御装置の制御方法であって、
前記材料試験機の特性を、検出器の計測値と、前記計測値に対応する制御目標値とを用いて同定し、パラメータを含む同定モデルを生成し、前記同定モデルを更新するモデル生成ステップと、
前記モデル生成ステップでの同定結果が安定するまでの期間において、前記同定モデルによる前記材料試験機の特性を同定する際に用いる前記検出器の計測値に代えて、仮想同定モデルから出力される仮想出力値を用いる出力調整ステップと、
を含む、制御装置の制御方法。 - 試験片に試験力を付与し、前記試験片を変形させて材料試験を行う材料試験機を、コンピュータを用いて、制御する制御装置の制御プログラムであって、
前記コンピュータを、
前記材料試験機の特性を、検出器の計測値と、前記計測値に対応する制御目標値とを用いて同定し、パラメータを含む同定モデルを生成し、前記同定モデルを更新するモデル生成部、及び、
前記モデル生成部による同定結果が安定するまでの期間において、前記同定モデルによる前記材料試験機の特性を同定する際に用いる前記検出器の計測値に代えて、仮想同定モデルから出力される仮想出力値を用いる出力調整部、
として機能させる、制御プログラム。
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