JP2020159578A - 加湿素子、加湿装置、換気装置及び空気調和機 - Google Patents

加湿素子、加湿装置、換気装置及び空気調和機 Download PDF

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Abstract

【課題】長期間安定した加湿性能を有する加湿素子を得ること。【解決手段】加湿素子2は、互いの間に隙間を設けるように並べられた複数の加湿体20を備えている。加湿素子2は、加湿体20の下端よりも上方に位置し、加湿体20に水を供給する給水機構50とを備えている。加湿体20は、風上側端面20aと風下側端面20bとの中心よりも風上側の部分に、風下側端面20bに比べて水の流れる抵抗が小さい低抵抗部位を備えている。【選択図】図6

Description

本発明は、加湿空気を生成する加湿素子、加湿装置、換気装置及び空気調和機に関する。
加湿空気を生成する加湿装置における加湿方式には、自然蒸発式、電熱式、水スプレー式及び超音波式といった方式がある。自然蒸発式の加湿装置は、他の方式の加湿装置に比べてランニングコストを抑えやすいことから、特に長時間運転される場所での使用に有用である。
自然蒸発式の加湿装置には様々な形態がある。その中で、経時的な加湿能力の変化が少なく、長時間の使用に適した加湿方式としては「滴下式」及び「流下式」がある。滴下式又は流下式の加湿装置は、空気調和機といった業務用の加湿装置に使用される傾向がある。
特許文献1には、給水を吸い上げて流す流下式であって、水の吸い上げ部分の吸水性を、その他の部位よりも高くすることで、吸い上げ部分のスケール成分による目詰まりを防止した加湿装置が開示されている。
特開2014−173830号公報
しかしながら、特許文献1に開示された技術によれば、風上側、風下側によらず加湿体内の水の流れが均一化されるため、蒸発量の多い風上側では供給する水が不足することがあり、下流側で加湿に使用されずに流下する水が発生し、加湿体が乾燥して水分中のスケール成分が析出し、その結果、加湿体の目詰まりによる加湿面積の減少により、加湿性能が低下してしまうという問題があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、長期間安定した加湿性能を有する加湿素子を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、互いの間に隙間を設けるように並べられた複数の加湿体と、加湿体の下端よりも上方に位置し、加湿体に水を供給する給水機構とを備える。加湿体は、風上側端面と風下側端面との中心よりも風上側に、風下側端面に比べて水の流れる抵抗が小さい低抵抗部位を備える。
本発明によれば、長期間安定した加湿性能を有する加湿素子を得られるという効果を奏する。
本発明の実施の形態1に係る加湿装置の構成を示す図 実施の形態1に係る加湿装置が備える加湿素子の拡大図 実施の形態1に係る加湿装置が備える加湿素子の斜視図 実施の形態1に係る加湿装置が備える加湿素子の分解斜視図 実施の形態1に係る加湿装置が備える加湿素子の正面図 実施の形態1に係る加湿装置が備える加湿素子の断面図 実施の形態1に係る加湿装置が備える給水機構の第1の変形例を示す図 実施の形態1に係る加湿装置が備える給水機構の第2の変形例を示す図 実施の形態1に係る加湿装置が備える加湿体の断面図 実施の形態1に係る加湿装置が備える加湿体の変形例を示す図 本発明の実施の形態2に係る加湿装置が備える加湿体の断面図 本発明の実施の形態3に係る加湿装置が備える加湿体の断面図 本発明の実施の形態4に係る加湿装置における加湿体及び拡散部材の拡大図 本発明の実施の形態5に係る加湿装置の加湿体及び拡散部材の拡大図 本発明の実施の形態6に係る換気装置の一例を示す図 実施の形態6に係る空気調和機の一例を示す図
以下に、本発明の実施の形態に係る加湿素子、加湿装置、換気装置及び空気調和機を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る加湿装置の構成を示す図である。図2は、実施の形態1に係る加湿装置が備える加湿素子の拡大図である。図3は、実施の形態1に係る加湿装置が備える加湿素子の斜視図である。図4は、実施の形態1に係る加湿装置が備える加湿素子の分解斜視図である。加湿素子2は、給水源に接続された給水機構50と、平板状の加湿体20を複数有する。加湿体20は、給水機構50の下方に設置される。加湿体20は、給水機構50から給水される水を保水して、表面を流通する空気を加湿する。給水機構50は、水道設備と一体の給水源に接続されて加湿体20に加湿用の水を送水する給水管3と、給水管3を通じて水が供給される貯水槽12とを備える。給水管3には、給水系の電磁弁である給水弁3aが設置されている。給水弁3aは、加湿用の水を貯水槽12に供給するか、遮断するかを切り替える。また、給水弁3aは、貯水槽12に給水する水の圧力と流量とを調整する。給水機構50は、塵の侵入を防ぐストレーナを含んでもよい。
加湿装置1は、空気を取り込む吸気口1aと、空気を吐出する吐出口1bとを備えている。加湿素子2の通風風上側又は通風風下側には、加湿素子2へ空気を送り込み、再び空気を吹出すための送風機5が組み込まれている。図1においては、加湿素子2の通風風上側に送風機5が組み込まれた状態を示している。送風機5は、吸気口1aから流入して吐出口1bから流出する気流を形成する。
加湿装置1は、加湿体20で加湿されずに残った水を外部に排出する排水管4を備える。また、加湿装置1は、送風機5及び給水弁3aといった機器の操作などを行う制御装置6と、排水を受容し外部に排水するドレンパン7と、を備える。排水管4は、ドレンパン7に接続されている。ドレンパン7及び排水管4は、加湿体20から加湿されずに残った水を排水するための排水部13である。排水部13は、加湿素子2の下方に設けられている。
給水源側との接続部分を除く給水機構50の各接続部分は、全てドレンパン7の上方に集約されていることが好ましい。
図5は、実施の形態1に係る加湿装置が備える加湿素子の正面図である。図6は、実施の形態1に係る加湿装置が備える加湿素子の断面図である。図6は、図5中のVI-VI線に沿った断面を示している。加湿体20は、互いの間に隙間を設けるように図4及び図5において矢印Yで示す方向である第1の方向に沿って並べられ、図4において矢印Zで示す方向である第2の方向に連続した風路をなす。加湿体20は、疎水性材料を用いて板状に形成されている。送風機5が発生させる空気流は、図4及び図6に示す矢印Zで示す方向である第2の方向に向かって流れる。つまり、図6においては図示の左側から右側に向かって空気流が流れる。したがって、図6においては図示の加湿体20の左側が風上側端面20aであり、図示の加湿体20の右側が風下側端面20bである。図6に示すように、加湿体20の上部には、拡散部材30が接触されている。拡散部材30は、複数の加湿体20を並べる第1の方向に沿って延びるように配置され、一つの拡散部材30に加湿体20がまとめて接触する。
図4に示すように、加湿体20は、開口が設けられたケーシング10に収容されて固定される。加湿体20を、ケーシング10a、ケーシング10bで挟み込み、ケーシング10a及びケーシング10bの係合部15を合わせることにより、ケーシング10aとケーシング10bとが一体化し、加湿体20を収納する構造体となる。なお、ケーシング10は加湿体20を収納できればよく、金属からなるもの、又は金属及びプラスチックからなるものでもよい。ケーシング10a及びケーシング10bにはそれぞれ、排水口13aとなる部分と、加湿体20へ被加湿空気を導入する開口部10cとが設けられている。
また、ケーシング10bには、貯水槽12へ水を供給するための給水口11が設けられている。ケーシング10の内側には、加湿体20を収納する収納空間が設けられている。ケーシング10には、上部構造としての貯水槽12と下部構造としての排水部13とを接続する構造壁14が形成される。
加湿素子2は、ドレンパン7上に少なくとも一つが設置される。加湿素子2の天部構造の両側の稜角部は、仕切壁と本体箱体の正面側内壁面とに装架されたガイドレール等により抜き差し可能に保持されている。なお、仕切壁、本体箱体の正面側内壁面およびガイドレールについては図示を省略する。
図4に示すように、加湿体20の上方には、加湿体20に供給するための水を蓄える貯水槽12が設置される。貯水槽12には、給水口11を通じて給水管3から水が注入される。ここで、加湿素子2に給水された水を、加湿体20に伝える一連の構造を、給水機構50と呼ぶ。実施の形態1に係る加湿装置1では、給水口11、貯水槽12及び拡散部材30が給水機構50をなす。
ケーシング10は、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)樹脂、ポリスチレン(PolyStyrene:PS)樹脂、又はポリプロピレン(PolyPropylene:PP)樹脂を含む熱可塑性のプラスチック材料を用いて、射出成型といった成型法によって形成されている。
ケーシング10のうち加湿体20と接触する部分には、加湿体20の位置を規制する位置決め用の突起が設けられている。加湿体20は含水時に軟化し、水の重さで変形するものもあるため、ケーシング10と接触する加湿体20の外周部分で加湿体20の位置を規制することによって、加湿体20間の流路の寸法を確保し、均一に空気が流れるようにすることができる。
これにより、加湿体20の圧力損失の低下が抑えられ、加湿体20の全面が有効に加湿面として使用されるため、加湿体20が歪んだ場合に比べて加湿量が増加する効果が期待できる。
図6に示すように、貯水槽12の底面には拡散部材30へ水を滴下するための複数の注水孔12aが形成されている。貯水槽12内には貯水槽12の水位を検知する水検知センサ8を設置してもよい。貯水槽12と拡散部材30とは一体に組み合わされ、その一体部品がケーシング10に挟まれて保持されている。検知された水位をフィードバックして、図1に示す制御装置6によって給水弁3aの開閉を制御してもよい。
貯水槽12は、ABS樹脂、PS樹脂またはPP樹脂を含む熱可塑性のプラスチックを材料として、射出成型といった成型法によって形成されている。貯水槽12は、材料に樹脂材料を使用しているため、表面が平滑であれば水における接触角は大きく、概ね90度以上あり、表面は疎水性である。したがって、貯水槽12は、内表面には水が残りにくく、衛生性に優れている。なお、ここでは、疎水性は接触角が90度以上、親水性は接触角が40度以上90度未満、超親水性は接触角が40度未満とする。なお、貯水槽12は水を貯めて加湿体20に水を供給できればよく、円管又は矩形管で形成されていても機能上問題ない。また、材料は金属でも問題ない。
給水口11は、貯水槽12へ水を供給するため、加湿素子2の上部であって、加湿体20よりも上方に設けられる。給水口11の形状は給水管3に合わせた形状とし、容易に抜けないようにかえし構造を形成したり、ホースバンドで縛ったりしてもよい。給水口11は、加湿体20の上部から水を供給できる構造であれば位置等に制約はないが、給水管3と給水口11とのつなぎ目から水漏れが発生した場合を考慮すると、空気流の風上側に配置することが好ましい。
空気流の風上側に給水口11を配置することで、給水管3と給水口11とのつなぎ目から漏れた水は、気流に乗り、風下側へ導かれて加湿体20に吸収されるため、加湿体20の風下側への水の飛散を少なくすることができる。
加湿量に対して給水量が過剰な場合、加湿されずに排水部13から流れ出て無駄になる水量が増大するため、給水口11には、水量を絞るための機構を設けて、貯水槽12へ供給する水量を調整することが好ましい。実施の形態1に係る加湿装置1においては、貯水槽12に供給する水量を絞るための機構は、図6に示すオリフィス部40である。水量調整の際には、加湿体20の最大加湿量よりも多い水量を供給できるようにする必要がある。なお、オリフィス部40は、流量調整が可能であればよく、金属メッシュ又は多孔質材料を用いて水量を調整するものでも機能上問題ない。
図7は、実施の形態1に係る加湿装置が備える給水機構の第1の変形例を示す図である。図8は、実施の形態1に係る加湿装置が備える給水機構の第2の変形例を示す図である。給水機構50は、加湿体20に水を供給できればよく、図7に示すように注水孔12aの内部に拡散部材30が挿入されていても機能上問題ない。あるいは、図8に示すように拡散部材30を貯水槽12の内部に伸ばすことにより、水を吸い上げて流す構造でも機能上問題ない。あるいは、貯水槽12を不図示の水密のヘッダー部として形成し、ヘッダーに空けた複数の注水孔12aから拡散部材30に水を滴下してもよい。
拡散部材30は、多孔質の板材で形成される。拡散部材30は、貯水槽12から滴下した水を吸収して加湿体20へ水を送るため、素材の表面は極力親水性が高いほうが、浸透性が良好になり通水できる流量が増加する。また、拡散部材30は、常に水に触れるため、水によって劣化しにくい材料で形成されることが好ましい。水によって劣化しにくい材料には、樹脂であるポリエチレンテレフタレート(PolyEhylene Terephthalate:PET)樹脂といったポリエステル、セルロース及びチタン、銅又はステンレスといった金属を例示できる。また、素材表面の親水度を増すために、拡散部材30に親水化処理を施してもよい。
拡散部材30の下端と加湿体20の上端とは、一部分が接触して設置されている。拡散部材30と加湿体20とが接触していれば、加湿体20の毛細管力の作用により水が淀みなく加湿体20に流下する。拡散部材30と加湿体20との組み立て時のばらつき、及び輸送中の振動の影響を加味し、拡散部材30の下端と加湿体20の上端とを互いに差込むようにして、拡散部材30と加湿体20とを連結してもよい。
なお、拡散部材30は、上方に位置する貯水槽12から滴下する水を第1の方向に均等に拡散するために設けられている。すなわち、拡散部材30は、第1の方向に並べて配置された複数の加湿体20に均一に水を供給するために設けられている。したがって、複数の加湿体20が一体化されて、複数の加湿体20同士の間で第1の方向に水を拡散できる場合、又は加湿体20の上部を折り曲げて隣り合う加湿体20同士を接触させる場合には、加湿体20自体が拡散部材30と同様の水の拡散機能を有することになる。この場合には、図6に示す拡散部材30の代わりに、加湿体20を注水孔12aの内部に直接挿入させることもできるし、図6に示す拡散部材30の代わりに、加湿体20を貯水槽12の内部に伸ばすこともできる。これらの場合には、拡散部材30を用いずに、貯水槽12から直接加湿体20に水を流すことができるため、比較的安価に給水機構50を形成することができる点で優れる。
加湿体20は、拡散部材30と同様に多孔質の板材で形成される。加湿体20の材料の好適な条件は、拡散部材30と同一であり、加湿体20の材料に拡散部材30と同一の素材を用いてもよい。ただし、拡散部材30よりも吸水性の良い素材を加湿体20に用いると、拡散部材30の内部に水が拡散する前に加湿体20が水を吸ってしまうため、各加湿体20への水の供給の均一度が低下する可能性がある。この場合は、拡散部材30の鉛直方向の寸法を大きくすることで対策できる。なお、加湿体20全体の高さ方向に寸法の制約がある場合は、拡散部材30の鉛直方向への寸法にも制約が加わるため、拡散部材30よりも吸水性が低い素材を加湿体20に使用して、拡散部材30の鉛直方向の寸法を小さくすることが好ましい。
加湿体20の表面には、凸部21が設けられている。凸部21によって、加湿体20同士の間隔の保持が図られる。凸部21は、加湿体20に冶具を押し当て、冶具を押し当てた部分を塑性変形させることで形成することができる。加湿体20上の凸部21の配列位置が異なる2種類の加湿体20を交互に配列することで、加湿体20の間隔を一定に保つ機能が得られる。なお、加湿体20は、第1の方向に沿って加湿体20の間隔が一定に保たれていればよく、一定間隔に加湿体20の板厚分の間隔で歯が形成された櫛を加湿体20に噛み合わせて間隔を保持したものでもよいし、波状に成形された加湿体20をハニカム状に積層することで間隔を保持する構造であってもよい。また、スペーサーを加湿体20の間に入れて間隔を保持する構造であってもよい。
加湿体20の表面では、加湿体20間を流れる空気と、加湿体20に保水された水の水蒸気分圧差により、空気への加湿が行われている。空気の流れ方向の加湿量は、風上側ほど大きく、風下側ほど小さい。これは、風上側で水蒸気分圧差が大きいこと、及び加湿体20の風上側端面20aで風が剥離して加湿が促進されることによる。したがって、風上側端面20a側の端部での加湿量は、加湿体20の風上側端面20aの端部以外の部位での加湿用よりも大きい。
図9は、実施の形態1に係る加湿装置が備える加湿体の断面図である。図9は、図6中のIX-IX線に沿った断面を示す。加湿体20は、密度は均一であるが、風上側端面20aにおける加湿体20の板厚は、風上側端面20a以外の部位における加湿体20の板厚よりも厚くなっている。加湿体20内に、同じ密度で板厚が薄い部位202と厚い部位201とがある場合、板厚が厚い部位201での保水量は、板厚が薄い部位202での保水量よりも多い。風上側端面20aにおける加湿体20の板厚は、風上側端面20a以外の部位における加湿体20の板厚よりも厚いため、板厚が均一化されている場合に比べて、加湿体20の内部を流れる水を、風上側端面20aに多く流すことができる。したがって、加湿体20は、風上側端面20a側の端部に、風上側端面20a側の端部以外の部位よりも水の流れる抵抗が小さい低抵抗部を備えている。
加湿体20に含まれる水には、カルシウムといったスケール成分を含む。そのため、加湿体20から水が蒸発することで、スケール成分が析出し、加湿体20の表面に残る。供給水が均一の場合、前述のように、風上側端面20a側の端部は、風上側端面20a側の端部以外の部位に比べて蒸発量が多いことにより乾燥しやすく、乾燥した場合スケール成分が析出しやすい。または、風上側端面20aにおいてスケール成分が発生しないように加湿体20への給水量を増やすと、風下側で蒸発されずに流下して捨てられる水が増えてしまう。
実施の形態1に係る加湿装置1が備える加湿体20は、蒸発量が多い風上側端面20a側の端部に水を多く流すことで、捨てられる水を増加させることなく、風上側端面20a側の端部でのスケール成分の析出を防ぐことができる。
なお、加湿体20は、風上側端面20a側に水を多く供給できればよく、板厚の厚い部位201は、必ずしも風上側端面20aの端部に設けられている必要はない。たとえば、加湿体20の風上側端面20aと風下側端面20bとの中心よりも風上側のどこかに、板厚の厚い部位201があってもよい。ただしこの場合は、板厚の厚い部位201を、できるだけ風上側端面20aに近づけて設けることが好ましい。
図10は、実施の形態1に係る加湿装置が備える加湿体の変形例を示す図である。変形例に係る加湿体20は、風上側端面20aから風下側先端20cへ向かうにつれて連続的に板厚が薄くなる。変形例に係る加湿体20は、表面の凹凸が少なく、加湿体20間の圧力損失が少ない点で優れている。
上述した通り、実施の形態1にかかる加湿装置1は、板厚又は密度の変化によって風上側端面20a側に水を多く保水させ蒸発用の水を多く供給することで、加湿体20へのスケール成分の付着を抑制して加湿性能低下を防止することで、長期間安定した加湿性能を有する、という効果を奏する。
実施の形態2.
図11は、本発明の実施の形態2に係る加湿装置が備える加湿体の断面図である。実施の形態2に係る加湿素子2は、加湿体20の形状と密度が異なる他は、実施の形態1に係る加湿素子2と同様の構成を有するため、同様の構成である部分の説明は省略する。
実施の形態2に係る加湿素子2においては、加湿体20は多孔質の板材で形成され、板厚は均一であるが、風上側端面20a側の端部における加湿体20の密度は、風上側端面20a以外の部位における加湿体20の密度よりも低くなっている。なお、多孔質材で形成されている加湿体20の密度は、気孔率が高いほど低くなる。加湿体20内に同じ板厚で密度が低い部位と密度が高い部位とがある場合、密度が低い部位は流動抵抗が小さいため、密度が高い部位よりも多くの水が流れる。したがって、加湿体20は、風上側端面20a側の端部に、風上側端面20a側の端部以外の部位よりも水の流れる抵抗が小さい低抵抗部を備えている。さらに、密度が低い部位は空隙が多いため、多くの水を保水できる。風上側端面20a側の端部における加湿体20の密度は、風上側端面20a側の端部以外の部位における加湿体20の密度よりも低いため、加湿体20の内部を流れる水を、風上側端面20a側に多く流して保水することで、蒸発用の水を多く供給することができる。
実施の形態3.
図12は、本発明の実施の形態3に係る加湿装置が備える加湿体の断面図である。実施の形態3に係る加湿素子2は、風上側端面20a側の端部における加湿体20の密度が、風上側端面20a側の端部以外の部位における加湿体20の密度よりも低く形成されている点は実施の形態2と同じであるが、風上側端面20a側の端部における加湿体20の板厚は、風上側端面20a側の端部以外の部位における加湿体20の板厚よりも厚くなっている。したがって、加湿体20は、風上側端面20a側の端部に、風上側端面20a側の端部以外の部位よりも水の流れる抵抗が小さい低抵抗部を備えている。実施の形態3に係る加湿素子2は、加湿体20の内部において、風上側端面20a側により多くの水を流すことができる。
実施の形態4.
図13は、本発明の実施の形態4に係る加湿装置における加湿体及び拡散部材の拡大図である。実施の形態4に係る加湿素子2は、加湿体20の構造が異なる他は、実施の形態1に係る加湿素子2と同様の構成を有するため、同様の構成である部位の説明は省略する。
実施の形態4に係る加湿素子2においては、加湿体20は、板厚の厚い部位201と薄い部位202とを備えている。板厚の厚い部位201は、水の流れる抵抗の小さい低抵抗部位であり、薄い部位202は、水の流れる抵抗が大きい高抵抗部位である。板厚の厚い部位201と薄い部位202の境目は、風下側から風上側に向かって低くなるように傾斜している。板厚の厚い部位201と薄い部位202の境目が風下側から風上側に向かって低くなることで、上方から下方に水が流れる際、すなわち、板厚の厚い部位201から薄い部位202に水が流れる際、板厚の薄い部位202がボトルネックとなり、水は板厚の厚い部位201に向かって流れようとする。つまり、加湿体20の内部において、風上側端面20a側に向けて水を多く流すことができる。
板厚の厚い部位201と薄い部位202とは、交互に形成されている。このように加湿体20を形成することで、板厚の厚い部位201から薄い部位202に水が流れる機会が多くなるため、加湿体20の内部において、風上側端面20a側により水を多く流すことができる。なお、加湿体20では、板厚の厚い部位201から薄い部位202に水が流れる機会を多くできればよく、水の流れ方向に板厚が順次薄くなるよう形成されていても、機能上問題ない。ただしこの場合でも、板厚が厚い部位201と薄い部位202との境目が風下側から風上側に向かい低くなるように傾斜して形成されている必要がある。
実施の形態5.
図14は、本発明の実施の形態5に係る加湿装置の加湿体及び拡散部材の拡大図である。実施の形態5に係る加湿素子2は、加湿体20の構造が異なる他は、実施の形態3に係る加湿素子2と同様の構成を有するため、同様の構成である部分の説明は省略する。
実施の形態5に係る加湿素子2においては、加湿体20は、低密度の部位203と高密度の部位204とを備えている。低密度の部位203は、水の流れる抵抗の小さい低抵抗部位であり、高密度の部位204は、水の流れる抵抗が大きい高抵抗部位である。低密度の部位203と高密度の部位204との境目は、風下側から風上側に向かい低くなるように傾斜している。低密度の部位203と高密度の部位204との境目が風下側から風上側に向かい低くなるように傾斜していることで、低密度の部位203から高密度の部位204に水が流れる際、高密度の部位204がボトルネックとなり、水は低密度の部位203に向かって流れようとする。つまり、加湿体20の内部において、風上側端面20a側に向けて水を多く流すことができる。
低密度の部位203と高密度の部位204とは、交互に形成されている。このように加湿体20を形成することで、低密度の部位203から高密度の部位204に水が流れる機会が多くなるため、加湿体20の内部を流れる水を、風上側端面20a側により多く流すことができる。なお、加湿体20では、低密度の部位203から高密度の部位204に水が流れる機会を多くできればよく、水の流れ方向に密度が順次高密度になるよう形成されていても、機能上問題ない。ただしこの場合でも、低密度の部位203と高密度の部位204の境目が風下側から風上側に向かい低くなるように傾斜して形成されている必要がある。
板厚又は密度を部位ごとに調整する加工は、加湿体20へのプレス加工又はロール加工により行える。なお、加湿体20の素材製造工程で、予め板厚又は密度を変えてもよい。
実施の形態6.
図15は、本発明の実施の形態6に係る換気装置の一例を示す図である。図16は、実施の形態6に係る空気調和機の一例を示す図である。換気装置200及び空気調和機300は、実施の形態1に係る加湿装置1を備える。
図15に示されるように、換気装置200は、家屋250の外部ODの空気を家屋250の室内IDに取り込む。換気装置200の空気取入口210は、加湿装置1の吸気口1aに接続される。吸気口1aから加湿装置1に流入した外部ODの空気は、加湿装置1によって加湿される。加湿された外部ODの空気は、吐出口1bから室内IDに供給される。このように、加湿装置1を備えた換気装置200は、外部ODの空気を加湿して家屋250の室内IDに供給することができる。
図16に示されるように、空気調和機300は、室外機301と室内機302と、加湿装置1とを有する。室外機301は家屋250の外部ODに設置され、室内機302は家屋250の室内IDに設置される。室内機302は、加湿装置1を備える。室外機301からは、室内機302の熱交換器303に冷媒が供給される。室内機302の送風機304は、空気取入口305から室内IDの空気を取り入れて、熱交換器303に送る。熱交換器303を通過して熱交換した空気の供給先は、切替器306によって、加湿装置1と空気放出口307に直接接続される通路308とに切り替えられる。図16は、熱交換器303を通過した空気の供給先が加湿装置1である場合、すなわち熱交換器303を通過した空気を加湿している状態を示している。
熱交換器303を通過した空気は、加湿装置1の吸気口1aに流入した後、加湿装置1によって加湿される。加湿された外部ODの空気は、吐出口1bから加湿装置1の外へ吐出され、空気放出口307から室内IDに供給される。熱交換器303を通過した空気を加湿する必要がない場合、切替器306は、熱交換器303を通過した空気の供給先を、通路308とする。熱交換器303を通過した空気は、通路308を通過した後、空気放出口307から室内IDに供給される。このように、空気調和機300は、外部ODの空気を加湿して家屋250の室内IDに供給することができる。また、空気調和機300は、加湿の必要がない場合は、熱交換器303を通過した空気を、加湿しないで室内IDに供給することができる。
なお、上記の説明においては、換気装置200及び空気調和機300が実施の形態1に係る加湿装置1を備える例を説明したが、換気装置200及び空気調和機300は、実施の形態2から実施の形態4のいずれかの加湿素子2を用いた加湿装置1を備えてもよい。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
1 加湿装置、1a 吸気口、1b 吐出口、2 加湿素子、3 給水管、3a 給水弁、4 排水管、5 送風機、6 制御装置、7 ドレンパン、8 水検知センサ、10,10a,10b ケーシング、10c 開口部、11 給水口、12 貯水槽、12a 注水孔、13 排水部、13a 排水口、14 構造壁、15 係合部、20 加湿体、20a 風上側端面、20b 風下側端面、20c 風下側先端、21 凸部、30 拡散部材、40 オリフィス部、50 給水機構、200 換気装置、201 厚い部位、202 薄い部位、203 低密度の部位、204 高密度の部位、210,305 空気取入口、250 家屋、300 空気調和機、301 室外機、302 室内機、303 熱交換器、304 送風機、306 切替器、307 空気放出口、308 通路。

Claims (11)

  1. 互いの間に隙間を設けるように並べられた複数の加湿体と、
    前記加湿体の下端よりも上方に位置し、前記加湿体に水を供給する給水機構とを備え、
    前記加湿体は、風上側端面と風下側端面との中心よりも風上側に、前記風下側端面に比べて水の流れる抵抗が小さい低抵抗部位を備えることを特徴とする加湿素子。
  2. 前記低抵抗部位における前記加湿体の板厚は、前記風下側端面における前記加湿体の板厚よりも厚いことを特徴とする請求項1に記載の加湿素子。
  3. 前記低抵抗部位における前記加湿体の密度は、前記風下側端面側の端部における前記加湿体の密度よりも低いことを特徴とする請求項1又は2に記載の加湿素子。
  4. 前記低抵抗部位は、前記風上側端面側の端部に形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の加湿素子。
  5. 前記加湿体は、前記風上側端面から風下側先端へ向かうにつれて板厚が連続的に薄くなることを特徴とする請求項4に記載の加湿素子。
  6. 互いの間に隙間を設けるように並べられた複数の加湿体と、
    前記加湿体の下端よりも上方に位置し、前記加湿体に水を供給する給水機構とを備え、
    前記加湿体は、水の流れる抵抗が高い高抵抗部位と水の流れる抵抗が小さい低抵抗部位とが水の流れ方向に交互に形成され、
    前記高抵抗部位と前記低抵抗部位との境目は、風下側から風上側に向かい低くなっていることを特徴とする加湿素子。
  7. 前記低抵抗部位における前記加湿体の板厚は、前記高抵抗部位における前記加湿体の板厚よりも厚いことを特徴とする請求項6に記載の加湿素子。
  8. 前記低抵抗部位における前記加湿体の密度は、前記高抵抗部位における前記加湿体の密度よりも低いことを特徴とする請求項6又は7に記載の加湿素子。
  9. 請求項1から8のいずれか1項に記載の加湿素子を備える加湿装置。
  10. 請求項1から8のいずれか1項に記載の加湿素子を備える換気装置。
  11. 請求項1から8のいずれか1項に記載の加湿素子を備える空気調和機。
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