JP2020159335A - 燃料噴射弁 - Google Patents
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Abstract
【課題】ニードルが低リフト状態の小噴射量時でも、噴霧特性の噴孔間バラツキを抑制し、全ての噴孔から噴射される燃料噴霧の微粒化や分散性を促進する。【解決手段】ニードル2のシート部21がノズルボディ1のシート面11に当接した着座時には噴口12から燃料の噴射を停止する燃料噴射弁10であって、ニードル1の先端には、中心軸Aに対して垂直な先端面22が形成され、ノズルボディ1の内壁には、先端面22に向かい合う位置に配置されて中心軸Aに垂直な環形の流れ制御面13と、流れ制御面13の中心部に流れ制御面13から中心軸Aの方向に凹んだ凹部であるサック室14と、が形成され、先端面22からサック室14に向かって延びて、ニードル2の着座時にサック室14に一部が突き出た状態となる突起24を備える。【選択図】図1
Description
本発明は、燃料噴射弁に関する。
バルブボディと、バルブボディの内部に収容されてバルブボディの中心軸の方向に進退移動可能なニードルと、を備え、ニードルの先端にはバルブボディの中心軸に対して垂直かつ平坦な円形の先端面が形成され、ニードルの先端面とノズルプレートとの間に扁平な円板状のサック室が形成され、ニードルのシート部がバルブボディに着座した状態から離座することにより、ノズルプレートに形成された噴孔から燃料を噴射する燃料噴射弁が特許文献1に開示されている。
しかし、特許文献1に記載された燃料噴射弁では、シート部の全周方向からサック室へ均質に燃料を流入させる設計となっているため、サック室の中心部で淀み点や滞留領域が生じやすくなる。そのため、滞留領域でのエネルギー損失が大きくなり、噴孔から噴射される燃料噴霧の微粒化に対して供給エネルギーを有効に利用できないという問題が生じることがある。
そこで、サック室の中央部に、ノズルプレートからニードルに向けて突出する環状の壁を設けた燃料噴射弁が特許文献2に開示されている。この燃料噴射弁では、噴孔の外周側から噴孔に向けて流れる燃料流れは、噴孔の入口の内周側縁部に設けられた壁に衝突し、噴孔内に向けて強制的に流れを変えられる。これにより、噴孔の外周側から噴孔に向けて流れる燃料流れが、噴孔の入口を通過してサック室の中央部で衝突して滞留することを防止できる。その結果、噴孔に流入する燃料流れのエネルギーが増加し、燃料流れの乱れが増加するので、噴孔から噴射される燃料噴霧の微粒化を促進できる。
特許文献2に記載された燃料噴射弁では、シート部から噴孔入口までの容積が小さく、シート部と噴孔入口が近くなっている。その上、サック室の中心が壁になっており、噴孔の入口の上を通過することなく噴孔へ流れ込む設計となっているため、サック室内での流体の往来や混合が制限され、ニードルの偏心による噴孔間の流量バラツキが特に低リフト時に顕著に表れる。そのため、特にニードルが低リフト状態で燃料を噴射する時に、ニードルの偏心による噴霧特性(貫徹力、分散性、微粒化)の噴孔間バラツキが生じやすい。
近年の筒内直噴エンジンでは、エンジン性能やエミッションを向上させるために、1サイクルの間に複数回、燃料を噴射している。特に燃焼の初期に少量噴射して小さな燃焼を起こすパイロット噴射時には、低リフト、小噴射量での高精度な噴射制御が要求される。
これに対して、特許文献2に記載された燃料噴射弁では、パイロット噴射時における噴霧特性の噴孔間バラツキが生じることで、エンジン筒内での均質な燃焼制御が行えず、狙ったエンジン性能及びエミッションが得られないことがある。ニードルが低リフト状態の小噴射量時には特に噴霧特性のバラツキの影響が大きくなる。
そこで、本発明は、ニードルが高リフト状態の大噴射量時のみならず、ニードルが低リフト状態の小噴射量時でも、噴霧特性の噴孔間バラツキを抑制し、全ての噴孔から噴射される燃料噴霧を微粒化し、燃料噴霧の分散性を確保できる燃料噴射弁を提供することを目的とする。
本発明に係る燃料噴射弁は、ノズルボディと、前記ノズルボディの内部に収容され、前記ノズルボディの中心軸の方向に進退移動可能なニードルと、を備え、前記ニードルが前記ノズルボディの内周面に当接した着座時には燃料の噴射を停止し、前記ニードルが前記ノズルボディの内周面から離間した離座時には前記ノズルボディに形成された噴孔から燃料を噴射する燃料噴射弁であって、前記ニードルの先端には、前記中心軸に対して略垂直な先端面が形成され、前記ノズルボディの内壁には、前記先端面に向かい合う位置に配置されて前記中心軸に対して略垂直な環形の流れ制御面と、前記流れ制御面の中心部に前記流れ制御面から前記中心軸の方向に凹んだ凹部であるサック室と、が形成され、前記噴孔は、前記サック室と前記ノズルボディの外部とを連通し、前記先端面から前記サック室に向かって延びて、前記着座時に前記サック室に一部が突き出た状態となる突起を備えること、を特徴とする。
このように、ニードルの先端面及び流れ制御面がノズルボディの中心軸に略垂直に形成されているため、燃料が流れる流路は、サック室の直前でノズルボディの中心軸に対して略垂直な流路となり、サック室に向かう燃料の流れが正面で衝突し、サック室内の燃料の流れが乱れる。そして、突起の周囲を燃料の流れが通過することで流れに渦が生じ、衝突点の位置が時間的に変動するため、衝突点付近に生じる淀み点や滞留領域の発生を抑制し、サック室内全域で流れの乱れを増大させる。また、ニードルの先端面とノズルボディとの間に板状の空間のみならず、サック室も形成されているため、かつ、全燃料がサック室内で衝突してから噴孔に流れ込むため、ニードルが低リフト状態の小噴射量時でも、シート部から噴孔入口までの距離が確保され、噴霧特性の噴孔間バラツキが抑制される。そのため、ニードルが高リフト状態の大噴射量時のみならず、ニードルが低リフト状態の小噴射量時でも、噴孔から噴射される燃料噴霧を微粒化し、燃料噴霧の分散性を確保することができる。
本発明の燃料噴射弁の一態様において、ノズルボディと、前記ノズルボディの内部に収容され、前記ノズルボディの中心軸の方向に進退移動可能なニードルと、を備え、前記ニードルが前記ノズルボディの内周面に当接した着座時には燃料の噴射を停止し、前記ニードルが前記ノズルボディの内周面から離間した離座時には前記ノズルボディに形成された噴孔から燃料を噴射する燃料噴射弁であって、前記ニードルの先端には、前記中心軸に対して略垂直な先端面が形成され、前記ノズルボディの内壁には、前記先端面に向かい合う位置に配置されて前記中心軸に対して略垂直な環形の流れ制御面と、前記流れ制御面の中心部に前記流れ制御面から前記中心軸の方向に凹んだ凹部であるサック室と、が形成され、前記噴孔は、前記サック室と前記ノズルボディの外部とを連通し、前記先端面及び前記流れ制御面の少なくとも一方に凹部が形成されていてもよい。
この態様によれば、ニードルの先端面及び流れ制御面がノズルボディの中心軸に略垂直に形成されているため、燃料が流れる流路は、サック室の直前でノズルボディの中心軸に対して略垂直な流路となり、サック室に向かう燃料の流れが正面で衝突し、サック室内の燃料の流れが乱れる。そして、ニードル先端面又は流れ制御面に形成された凹部を燃料の流れが通過することで流れに渦が生じ、衝突点の位置が時間的に変動するため、衝突点付近に生じる淀み点や滞留領域の発生を抑制し、サック室内全域で流れの乱れを増大させる。また、ニードルの先端面とノズルボディとの間に板状の空間のみならず、サック室も形成されているため、かつ、全燃料がサック室内で衝突してから噴孔に流れ込むため、ニードルが低リフト状態の小噴射量時でも、シート部から噴孔入口までの距離が確保され、噴霧特性の噴孔間バラツキが抑制される。そのため、ニードルが高リフト状態の大噴射量時のみならず、ニードルが低リフト状態の小噴射量時でも、噴孔から噴射される燃料噴霧を微粒化し、燃料噴霧の分散性を確保することができる。
本発明の燃料噴射弁の一態様において、前記ニードルの外面には、円錐台の形状の外周面が前記先端面に連続して形成され、前記ニードルを可動範囲内で最大に後退させたフルリフト状態において、前記中心軸を含む前記ニードルの断面における前記外周面の延長線が前記流れ制御面と交差していてもよい。
この態様によれば、ニードルをリフトして燃料を噴射する際には常に、ニードルの先端面に連続する円錐状外周面に沿って流れる燃料の流れが、流れ制御面に衝突してノズルボディの中心軸に垂直な方向に向かい、正面で衝突するため、噴孔から噴射される燃料噴霧を微粒化し、燃料噴霧の分散性を確保することができる。
本発明の燃料噴射弁の一態様において、前記ニードルを後退させたリフト量が所定値以上の状態では、前記突起の先端が前記サック室まで届かなくてもよい。
この態様によれば、ニードルのリフト量が小さい小噴射量時には、サック室に流入する燃料を突起に衝突させて燃料の流れの乱れを増大させて、低貫徹かつ高分散噴霧を生成し、ニードルのリフト量が大きい大噴射量時には、サック室へ流入する燃料が突起に衝突する量を減少させて、高貫徹噴霧を生成できるため、エンジンの負荷に合わせた最適な噴霧を実現することができる。
本発明は、ニードルが高リフト状態の大噴射量時のみならず、ニードルが低リフト状態の小噴射量時でも、噴霧特性の噴孔間バラツキを抑制し、全ての噴孔から噴射される燃料噴霧を微粒化し、燃料噴霧の分散性を確保できる燃料噴射弁を提供することができる。
<第一の形態>
以下、図面を参照しながら、第一の形態の燃料噴射弁10について説明する。図1(a)及び図1(b)に示す燃料噴射弁10は、例えば、自動車の走行用動力源として用いられる不図示の内燃機関に搭載される。燃料噴射弁10は、ノズルボディ1と、ノズルボディ1の内部に収容されたニードル2とを備える。ニードル2はノズルボディ1及びニードル2の中心軸Aの方向に進退移動可能であり、ニードル2が中心軸Aの方向に進退移動することにより、ノズルボディ1とニードル2との間の燃料が流れる流路の幅が変化する。図1(a)及び図1(b)は燃料噴射弁10の先端の部分を拡大して示した断面図であり、図1(a)はニードル2を可動範囲内で最大に後退させたフルリフトの状態を示し、図1(b)はニードル2のシート部21をノズルボディ1の内周面であるシート面11に当接させた着座時の状態を示している。燃料噴射弁10は、ニードル2のシート部21がノズルボディ1のシート面11に当接した着座時には燃料の噴射を停止し、ニードル2のシート部21がノズルボディ1のシート面11から離間した離座時には噴孔12から燃料を噴射する。
以下、図面を参照しながら、第一の形態の燃料噴射弁10について説明する。図1(a)及び図1(b)に示す燃料噴射弁10は、例えば、自動車の走行用動力源として用いられる不図示の内燃機関に搭載される。燃料噴射弁10は、ノズルボディ1と、ノズルボディ1の内部に収容されたニードル2とを備える。ニードル2はノズルボディ1及びニードル2の中心軸Aの方向に進退移動可能であり、ニードル2が中心軸Aの方向に進退移動することにより、ノズルボディ1とニードル2との間の燃料が流れる流路の幅が変化する。図1(a)及び図1(b)は燃料噴射弁10の先端の部分を拡大して示した断面図であり、図1(a)はニードル2を可動範囲内で最大に後退させたフルリフトの状態を示し、図1(b)はニードル2のシート部21をノズルボディ1の内周面であるシート面11に当接させた着座時の状態を示している。燃料噴射弁10は、ニードル2のシート部21がノズルボディ1のシート面11に当接した着座時には燃料の噴射を停止し、ニードル2のシート部21がノズルボディ1のシート面11から離間した離座時には噴孔12から燃料を噴射する。
図1(a)及び図1(b)に示すように、ニードル2の先端には、中心軸Aとの交点を中心とした円形で中心軸Aに対して垂直な先端面22が形成されている。ノズルボディ1の内壁には、中心軸Aに対して垂直な円環形の流れ制御面13がニードル2の先端面22に向かい合う位置に形成されており、流れ制御面13の中心部に、流れ制御面13から中心軸Aの方向に凹んだ半球形の凹部であるサック室14が形成されている。ノズルボディ1には、サック室14とノズルボディ1の外部とを連通する噴孔12が形成されている。
ニードル2の外面には、中心軸Aを中心軸とした円錐台の形状をした外周面23が先端面22に連続して形成されている。図1(a)に示すように、ニードル2を可動範囲内で最大に後退させたフルリフトの状態において、中心軸Aを含むニードル2の断面における外周面23の延長線Bが流れ制御面13と交差する。そして、ニードル2をフルリフト状態からノズルボディ1の先端に向かって近づけていくと、外周面23の延長線と流れ制御面13との交差点は中心軸Aから遠ざかっていく。つまり、ニードル2を着座位置からリフトした状態では常に外周面23の延長線は流れ制御面13と交差する。
図1(a)及び図1(b)に示すように、ニードル2には、ニードル2の先端面22からサック室14に向かって延びる突起24が設けられている。図1(b)に示すように、ニードル2の着座時には突起24の一部がサック室14に突き出た状態となる。図2に示すように、断面が円形の4本の突起24は、ノズルボディ1の中心軸を中心とした円周上に、周方向に等間隔に配置されている。図1(a)及び図1(b)では、これらの4本の突起24のうち2本のみが見える状態で示されている。
なお、突起24の本数は4本以外の複数本であってもよい。ただし、突起24を円周上に、周方向に均等に配置するため、3本以上であることが望ましい。また、突起の断面の形状は円形でなくてもよい。例えば、図3(a)及び図3(b)に示すように四角形であってもよいし、図3(c)及び図3(d)に示すように三角形であってもよい。図3(a)に示すニードル2aでは、突起24aの断面の四角形の1つの辺が先端面22の中心に向かい合うように配置されている。図3(b)に示すニードル2bでは、突起24bの断面の四角形の1つの頂点が先端面22の中心に向かうように配置されている。図3(c)に示すニードル2cでは、突起24cの断面の三角形の1つの辺が先端面22の中心に向かい合うように配置されている。図3(d)に示すニードル2dでは、突起24dの断面の三角形の1つの頂点が先端面22の中心に向かうように配置されている。
燃料噴射弁10が噴孔12から燃料を噴射する際、図4(a)の矢印Cに示すように、ノズルボディ1とニードル2との間の流路を燃料が流れる。燃料が流れる流路は、サック室14の直前で中心軸Aに対して垂直な流路となる。既に述べたように、ニードル2を着座位置からリフトした状態では常に外周面23の延長線は流れ制御面13と交差するため、外周面23に沿って流れる燃料の流れの全てを流れ制御面13に衝突させて、サック室14の直前では燃料は中心軸Aに対して垂直な方向に流れる。そのため、燃料は対向するようにサック室14に流入する。こうしてサック室14に流入した燃料が正面で衝突することにより、燃料の流れの乱れが増大する。
図4(b)は、ニードル2の先端面22とノズルボディ1との間の空間に燃料が流れ込み、燃料の流れに乱れが生じ、燃料の衝突点Pが時間的に変動することを示した図である。図4(b)の矢印は全て燃料の流れを示している。燃料は、ニードル2の先端面22の周囲から先端面22と流れ制御面13との間の空間に流れ込み、サック室14に向かう。このように燃料が流れると、図4(b)に示すように、突起24の後流に時間的に変動する渦が発生する。そのため、サック室14における燃料の流れの衝突点Pの位置が時間変動する。また、それに伴い、噴孔12へ流れ込む流線も時間的に変動する。
噴孔12から噴射される燃料の噴霧の微粒化や分散性は、サック室14内の燃料の流れの乱れを増大させることにより向上する。燃料噴射弁10では、サック室14に流入した燃料の流れを衝突させることで、流体の乱れを増大させる。更に、衝突点Pの位置を時間変動させることで、衝突点P付近に生じる滞留を抑制する。これにより、サック室14内の全域で流体の乱れを増大すると共に、滞留によるエネルギー損失を減らし、燃料供給エネルギーを有効に流体の乱れに変換できる。また、噴孔12の入口への流線が時間変動することで、噴孔12から噴射される燃料の噴霧の分散性が得られる。
また、ニードル2の先端面22とノズルボディ1との間には円板状の空間のみならず、サック室14も形成されているため、かつ、全燃料がサック室内で衝突してから噴孔に流れ込むため、ニードル2が低リフト状態の小噴射量時でも、シート部21から噴孔12の入口までの距離が確保され、噴霧特性の噴孔間バラツキが抑制される。そのため、ニードル2が高リフト状態の大噴射量時のみならず、ニードル2が低リフト状態の小噴射量時でも、噴孔12から噴射される燃料噴霧を微粒化し、燃料噴霧の分散性を確保することができる。
<第二の形態>
次に、第二の形態の燃料噴射弁20について説明する。第二の形態の燃料噴射弁20は、ニードル2の先端面22に突起を備えておらず、ニードル2の先端面22にニードル凹部25が形成され、ノズルボディ1の流れ制御面13にノズルボディ凹部15が形成されている点を除き、第一の形態の燃料噴射弁10と同一の構成を有している、そのため、第一の形態の燃料噴射弁10と同一の構成には同一の符号を付し、説明を省略する。
次に、第二の形態の燃料噴射弁20について説明する。第二の形態の燃料噴射弁20は、ニードル2の先端面22に突起を備えておらず、ニードル2の先端面22にニードル凹部25が形成され、ノズルボディ1の流れ制御面13にノズルボディ凹部15が形成されている点を除き、第一の形態の燃料噴射弁10と同一の構成を有している、そのため、第一の形態の燃料噴射弁10と同一の構成には同一の符号を付し、説明を省略する。
図5(a)に示すように、第二の形態の燃料噴射弁20では、ニードル2の先端面22の流れ制御面13に対向する部分に断面が矩形の凹部としてニードル凹部25が形成されており、ノズルボディ1の流れ制御面13には断面が矩形の凹部としてノズルボディ凹部15が形成されている。ニードル凹部25及びノズルボディ凹部15は、いずれか片方のみ形成されていてもよいが、両方とも形成されていることが望ましい。ニードル凹部25及びノズルボディ凹部15の断面は、矩形以外の形状であってもよい。例えば、図5(b)に示すように、断面外形が円弧状のニードル凹部25及びノズルボディ凹部15が形成されていてもよい。
ニードル凹部25は、図6(a)に示すように、周方向に連続して形成されていてもよいし、図6(b)に示すように、複数箇所に分かれて周方向に等間隔に形成されていてもよい。ニードル凹部25が複数箇所に分かれて形成されている場合、ニードル凹部25の数は図6(b)に示す4カ所には限らず、4箇所以外の複数箇所であってもよい。同様に、ノズルボディ凹部15も、周方向に連続して形成されていてもよいし、複数箇所に分かれて周方向に等間隔に形成されていてもよい。
燃料噴射弁20が噴孔12から燃料を噴射する際、第一の形態の燃料噴射弁10と同様に、燃料が流れる流路はサック室14の直前で中心軸Aに対して垂直な流路となり、燃料は対向するようにサック室14に流入する。こうしてサック室14に流入した燃料が正面で衝突することにより、燃料の流れの乱れが増大する。更に、ニードル凹部25の付近を燃料が流れるとニードル凹部25で渦が発生し、その渦が周期的にニードル凹部25から放出される。同様に、ノズルボディ凹部15の付近を燃料が流れるとノズルボディ凹部15で渦が発生し、その渦が周期的にノズルボディ凹部15から放出される。このようにニードル凹部25及びノズルボディ凹部15で発生した渦は時間的に変動するため、サック室14における燃料の流れの衝突点の位置が時間変動する。また、それに伴い、噴孔12へ流れ込む流線も時間的に変動する。
そのため、第一の形態の燃料噴射弁10と同様に、サック室14内の全域で流体の乱れを増大すると共に、滞留によるエネルギー損失を減らし、燃料供給エネルギーを有効に流体の乱れに変換できる。また、噴孔12の入口への流線が時間変動することで、噴孔12から噴射される燃料の噴霧の分散性が得られる。そして、ニードル2が高リフト状態の大噴射量時のみならず、ニードル2が低リフト状態の小噴射量時でも、噴孔12から噴射される燃料噴霧を微粒化し、燃料噴霧の分散性を確保することができる。
<第三の形態>
次に、第三の形態の燃料噴射弁30について説明する。第三の形態の燃料噴射弁30は、ニードル2の先端面22に設けられた突起の長さが異なる点を除き、第一の形態の燃料噴射弁10と同一の構成を有している、そのため、第一の形態の燃料噴射弁10と同一の構成には同一の符号を付し、説明を省略する。
次に、第三の形態の燃料噴射弁30について説明する。第三の形態の燃料噴射弁30は、ニードル2の先端面22に設けられた突起の長さが異なる点を除き、第一の形態の燃料噴射弁10と同一の構成を有している、そのため、第一の形態の燃料噴射弁10と同一の構成には同一の符号を付し、説明を省略する。
図7(a)は、ニードル2を後退させたリフト量が所定値未満の低リフト状態の燃料噴射弁30の先端部分の断面図であり、図7(a)の矢印Dは燃料の流れを示す。図7(b)は、ニードル2を後退させたリフト量が所定値以上の高リフト状態の燃料噴射弁30の先端部分の断面図であり、図7(b)の矢印Eは燃料の流れを示す。
第三の形態の燃料噴射弁30の突起24eは、第一の形態の燃料噴射弁10の突起24よりも短く、ニードル2が着座した状態でも先端が僅かにサック室14に届く長さとなっている。そのため、図7(b)に示す高リフト状態では、突起24eの先端はサック室14まで届かない。
しかし、図7(a)に示すように、低リフト状態では、突起24eの先端はサック室14の付近まで延びている。そのため、図4(a)に示す第一の形態の燃料噴射弁10と同様に、サック室14へ流入する燃料を突起24eに衝突させて、燃料の流れの乱れを増大させることができる。すると、図7(a)に示す低リフト状態では、第三の形態の燃料噴射弁30でも、突起24eの後流に時間的に変動する渦が発生することで、サック室14における燃料の衝突点の位置が時間変動し、噴孔12へ流れ込む流線も時間的に変動する。そのため、噴孔12から噴射される燃料噴霧を微粒化し、燃料噴霧の分散性を確保することができる。
一方、図7(b)に示すように、高リフト状態では、突起24eの先端からサック室14までの距離は遠い。そのため、高リフト状態では、低リフト状態と比較して、サック室14へ流入する燃料が突起24eに衝突する量が減少する。すると、低リフト状態と比較して突起24eによる燃料の流れの乱れが小さく、抵抗も小さいため、流量係数が大きくなる。そのため、噴孔12から噴射される燃料の噴霧は、低リフト状態と比較して高貫徹の噴霧となる。
このように燃料噴射弁30では、ニードル2が低リフト状態では低貫徹かつ高分散の噴霧となり、高リフト状態では高貫徹の噴霧となる。つまり、ニードル2のリフト量により、噴孔12から噴射する燃料の噴霧の特性(貫徹力、分散性、微粒化)を変えることができる。そのため、ニードル2のリフト量により、エンジンの負荷に合わせた最適な噴霧を実現することができる。例えば、エンジンが低負荷時には低リフトによる低貫徹かつ高分散の噴霧を噴射し、エンジンが高負荷時には高リフトによる高貫徹噴霧を噴射することにより、噴射圧制御とは独立して、ニードル2のリフト量により燃料の噴射を制御することができる。また、1回の燃料の噴射中においても、ニードル2のリフト量に伴って、噴孔12から噴射する燃料の噴霧特性を変化させることができる。また、燃料噴射弁30は、突起24eの長さを変えることにより、1回の燃料の噴射中において、低貫徹かつ高分散の噴霧と、高貫徹の噴霧との噴霧の特性を切り換えるタイミングを調整することができる。1回の噴射中に噴霧特性を変化させることで、噴霧流に誘因される周囲気体の流れに非定常性が生じ、燃料と周囲気体との混合促進が期待できる。
<実施形態の補足>
本開示の燃料噴射弁は、上述した形態に限定されず、本開示の要旨の範囲内において種々の形態にて実施できる。例えば、サック室の形状は半球形以外の形状であってもよい。
本開示の燃料噴射弁は、上述した形態に限定されず、本開示の要旨の範囲内において種々の形態にて実施できる。例えば、サック室の形状は半球形以外の形状であってもよい。
1 ノズルボディ、2、2a、2b、2c、2d ニードル、10、20,30 燃料噴射弁、11 シート面、12 噴孔、13 流れ制御面、14 サック室、15 ノズルボディ凹部、21 シート部、22 先端面、23 外周面、24、24a、24b、24c、24d、24e 突起、25 ニードル凹部。
Claims (4)
- ノズルボディと、
前記ノズルボディの内部に収容され、前記ノズルボディの中心軸の方向に進退移動可能なニードルと、を備え、
前記ニードルが前記ノズルボディの内周面に当接した着座時には燃料の噴射を停止し、前記ニードルが前記ノズルボディの内周面から離間した離座時には前記ノズルボディに形成された噴孔から燃料を噴射する燃料噴射弁であって、
前記ニードルの先端には、前記中心軸に対して略垂直な先端面が形成され、
前記ノズルボディの内壁には、前記先端面に向かい合う位置に配置されて前記中心軸に対して略垂直な環形の流れ制御面と、前記流れ制御面の中心部に前記流れ制御面から前記中心軸の方向に凹んだ凹部であるサック室と、が形成され、
前記噴孔は、前記サック室と前記ノズルボディの外部とを連通し、
前記先端面から前記サック室に向かって延びて、前記着座時に前記サック室に一部が突き出た状態となる突起を備えること、を特徴とする燃料噴射弁。 - ノズルボディと、
前記ノズルボディの内部に収容され、前記ノズルボディの中心軸の方向に進退移動可能なニードルと、を備え、
前記ニードルが前記ノズルボディの内周面に当接した着座時には燃料の噴射を停止し、前記ニードルが前記ノズルボディの内周面から離間した離座時には前記ノズルボディに形成された噴孔から燃料を噴射する燃料噴射弁であって、
前記ニードルの先端には、前記中心軸に対して略垂直な先端面が形成され、
前記ノズルボディの内壁には、前記先端面に向かい合う位置に配置されて前記中心軸に対して略垂直な環形の流れ制御面と、前記流れ制御面の中心部に前記流れ制御面から前記中心軸の方向に凹んだ凹部であるサック室と、が形成され、
前記噴孔は、前記サック室と前記ノズルボディの外部とを連通し、
前記先端面及び前記流れ制御面の少なくとも一方に凹部が形成されていること、を特徴とする燃料噴射弁。 - 請求項1に又は請求項2に記載の燃料噴射弁であって、
前記ニードルの外面には、円錐台の形状の外周面が前記先端面に連続して形成され、
前記ニードルを可動範囲内で最大に後退させたフルリフト状態において、前記中心軸を含む前記ニードルの断面における前記外周面の延長線が前記流れ制御面と交差すること、を特徴とする燃料噴射弁。 - 請求項1又は請求項3に記載の燃料噴射弁であって、
前記ニードルを後退させたリフト量が所定値以上の状態では、前記突起の先端が前記サック室まで届かないこと、を特徴とする燃料噴射弁。
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JP2019062314A JP2020159335A (ja) | 2019-03-28 | 2019-03-28 | 燃料噴射弁 |
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