JP2020159225A - バルブステムシール - Google Patents

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Abstract

【課題】シールリップの接触角度を一定に保つための突起をシールリップよりもバルブリテーナ側に設けたとしても、バルブリテーナとの干渉を生じさせないようにすること。【解決手段】バルブガイドの端部を覆う環状の金属環111に、バルブガイドに密接する環状の内部弾性体131と、バルブリテーナに向けて延びる環状の外部弾性体151とを固定する。外部弾性体151の内周には、バルブガイドに案内されるバルブステムの全周に密接する山形の断面形状を有するシールリップ152を一体に設け、周上に配列された複数個の外側突起153を一体に設ける。外側突起153は、バルブ駆動機構に面するシールリップ152の傾斜面155から先端開口102の内周端縁102aに至る領域中、傾斜面155の中腹から内方に向けて突出する形状を有している。【選択図】図2

Description

本発明は、バルブステムシールに関する。
内燃機関のバルブ駆動機構側の空間では、バルブガイドの端部にバルブステムシールが装着されている。バルブガイドは、一端にバルブを有するバルブステムをスライド自在に支持する機械要素である。バルブステムシールは、内燃機関の動作中、バルブガイドとバルブステムとの間に適量のオイルを導くように、オイル漏れを意図的に生じさせてその漏れ量を制御するためのシールである。
オイルの漏れ量が少なすぎると、バルブガイドとバルブステムとの間に焼きつきが発生する。オイルの漏れ量が多すぎると、燃焼室内にオイルが過剰に導入されて白煙発生などの不都合を招く。オイルの漏れ量を適正に制御することは重要である。
バルブステムシールは、例えば特許文献1に記載されているように、バルブステムにシールリップを密接させてオイルをシールしている。特許文献1中、バルブステムは「往復同軸(3)」、シールリップは「主リップ(6)」として示されている。オイルの漏れ量は、例えばバルブステムに対するシールリップの接触角度によって制御される。このためオイルの漏れ量を適正に管理するためには、バルブステムに対するシールリップの接触角度を一定に保たなければならない。
ところがバルブステムに対するシールリップの接触角度は、様々な要因によって変動する。特許文献1は、シールリップの接触角度を変動させる要因として摺動摩擦力の作用、軸偏心、圧力変動等を挙げている(第2頁第16行−第3頁第5行参照)。
特許文献1は、バルブステムに対するシールリップの接触角度の変動を抑え、安定したシール性及びオイルの漏れ量の安定化を図ることを課題として、シールリップの軸方向両側に突起状の傾き規制部を設けるという課題解決手段を紹介している。シールリップに並べて第1副リップ(8)と第2副リップ(9)とを設けた構成例である。第1副リップはシールリップよりもバルブガイド(特許文献1の「ガイド部材(2)」)の反対側、第2副リップはバルブガイド側にそれぞれ配置され、ともに傾き規制部をなす。
第1副リップ及び第2副リップの作用効果として、特許文献1には「リップ先端部に作用する摺動摩擦力の作用やあるいは圧力や軸偏心等の外乱によっても、リップ先端と摺動面との接触角を常に一定に保持することができ、シール性の安定および向上を図ることができる」と記載されている(第8頁第10行−14行参照)。
実開平03−033266号公報
シールリップよりもバルブステムシールの先端側、つまりシールリップから見てバルブガイドの反対側に突起(特許文献1の「第1副リップ」)を設けると、その分だけバルブステムシールの長さが長くなってしまう。このためバルブステムの端部に取り付けられたバルブリテーナとの干渉が生じないようにする何らかの対策が求められる。
本発明の課題は、シールリップの接触角度を一定に保つための突起をシールリップよりもバルブリテーナ側に設けたとしても、バルブリテーナとの干渉を生じさせないようにすることである。
本発明のバルブステムシールの一態様は、バルブガイドの端部を覆う環状の金属環と、前記金属環の内周面に固定され、前記バルブガイドに密接する環状の内部弾性体と、前記金属環に固定され、バルブリテーナに向けて延びる環状の外部弾性体と、前記外部弾性体の内周に一体に設けられ、前記バルブガイドに案内されるバルブステムの全周に密接する山形の断面形状を有するシールリップと、前記外部弾性体の内周に一体に設けられ、前記バルブリテーナに面する側の前記シールリップの傾斜面にかかる位置から内方に向けて突出する形状で周上に配列された複数個の外側突起とを備える。
本発明によれば、バルブステムの先端部に取り付けられたリテーナとの干渉を生じさせないようにすることができる。
本実施の形態のバルブステムシールが用いられるバルブ機構を例示する垂直断面図。 バルブステムシールの実施の一形態を示す垂直断面図。 シールリップと外側突起と内側突起とを拡大し、それぞれの内径の関係性を示す模式図。 シールリップと外側突起と内側突起とを拡大し、シールリップの二面の傾斜面のバルブステムに対する接触角度を示す模式図。 シールリップと外側突起とを拡大し、外側突起の有無によって変動するバルブステムシールの先端部の長さを説明するための模式図。
バルブステムシールの実施の一形態を図面に基づいて説明する。
1.バルブ駆動機構
本実施の形態のバルブステムシール101は、例えば図1に示すような自動車用エンジンのシリンダヘッド11に設けられたバルブ31に用いられる。このバルブ31は排気用であるが、本実施の形態のバルブステムシール101が適用されるバルブは排気用に限られない。吸気用であってもよい。
バルブ31はバルブステム32を備え、バルブステム32の一端にバルブヘッド33、反対側の端部にバルブステムエンド34を設けている。このバルブ31は排気用であるため、バルブヘッド33を排気ポート12に配置するようにシリンダヘッド11に装着されている。バルブステムエンド34はバルブ駆動機構51の側に配置されている。
シリンダヘッド11は、バルブ駆動機構51側の空間と排気ポート12とを連絡するようにパイプ状のバルブガイド13を設けている。バルブガイド13はシリンダヘッド11内に埋め込まれ、バルブステム32をスライド自在に案内する。バルブ31は、バルブ駆動機構51によってバルブステムエンド34が駆動されることで往復動し、排気ポート12をバルブヘッド33で開閉する。このときバルブヘッド33は、排気ポート12に設けられたバルブシート14に対してバルブフェース35を接離させ、これによって排気ポート12を開閉する。
バルブ駆動機構51は、バルブステムエンド34をカムシャフト52に固定されたカム53で駆動し、バルブ31を往復動させる。
より詳しくは、バルブ31側の構造として、バルブステムエンド34にはコッタ54によってバルブリテーナ55が取り付けられている。シリンダヘッド11側は、バルブガイド13の根元部分にロアスプリングシート56を取り付けている。これらのバルブリテーナ55とロアスプリングシート56との間には、コイルスプリングであるバルブスプリング57が圧縮状態で収納されている。バルブスプリング57は、その伸び力によってバルブ31をリフトアップ方向に付勢する。リフトアップ方向に付勢されたバルブ31は、バルブフェース35をバルブシート14に密接させ、排気ポート12を閉じる。
カム53とバルブステムエンド34との間のコンタクトは、バルブステムエンド34に被されたカップ状のリフタ58を介して行われる。リフタ58は、バルブスプリング57の伸び方向の付勢力によるバルブ31のリフトアップ動作に伴い、カム53に押し付けられている。
カム53は、バルブスプリング57によって上方に付勢されたバルブ31のバルブフェース35がバルブシート14に密接する位置を最小半径とし、バルブシート14からバルブフェース35が離れる距離を規定するようにカムプロファイルを設定している。
以上説明した各部は、すべて金属製である。
2.バルブステムシール
本実施の形態のバルブステムシール101は、バルブ駆動機構51側に配置され、バルブガイド13の上端に装着されて用いられる。以下、バルブステムシール101について詳しく説明する。
(1)概要
図2に示すように、バルブステムシール101は、両端が開口する環状形状を有しており、軸方向の一端側に先端開口102、反対側に根元開口103をそれぞれ有している。根元開口103は、バルブ駆動機構51側の空間に位置するバルブガイド13の端部(図1参照)にバルブステムシール101を差し込むとき、先頭側になる開口である。先端開口102は、バルブステムシール101がバルブガイド13に装着されたとき、バルブリテーナ55に対面する開口である。
バルブステムシール101は金属環111を備え、この金属環111にゴム状弾性体を固定している。金属環111に対するゴム状弾性体の固定は、例えば加硫接着によって行われる。ゴム状弾性体は、一体に設けられた内部弾性体131と外部弾性体151とから構成されている。
(2)金属環
金属環111は、バルブガイド13の端部を覆う金属製の環状部材である。金属環111の開口する両端のうち、バルブリテーナ55に対面する端部は内側に向けて直角に屈曲し、屈曲部112となっている。屈曲部112は、その内径部分に小径開口113を形成している。ロアスプリングシート56に対面する金属環111の端部は、屈曲しないストレートな形状を有しており、大径開口114を形成している。大径開口114は、バルブステムシール101の根元開口103を構成する。
小径開口113を除く金属環111全体の内径は、大径開口114の直径によって規定されている。金属環111の内径は、バルブガイド13の外径よりも僅かに大径である。
(3)内部弾性体
内部弾性体131は、金属環111の内周面に固定され、バルブガイド13の外周面に密接する環状の部材である。内部弾性体131は、二条のリップ132,133を内周に有している。いずれのリップ132,133も内部弾性体131の全周にわたって設けられ、ともに山形の断面形状を備えている。これらのリップ132,133のうち、大径開口114に近い方のリップ132は、遠い方のリップ133よりも軸方向の幅が長く形成されている。二条のリップ132,133は、バルブガイド13の端部に対するバルブステムシール101の装着を容易にし、一旦装着された後のバルブステムシール101の脱落を防止する。
大径開口114から見て内部弾性体131の奥側には、段部134が設けられている。段部134は屈曲部112に沿った形状を有しており、内部弾性体131の内径を縮小する。段部134によって縮小される内部弾性体131の内径は、バルブガイド13の外径よりも小径である。段部134は、バルブガイド13にバルブステムシール101を装着する際に、バルブガイド13の端部を突き当てて位置規制するストッパとしての機能を果たす。
(4)外部弾性体
外部弾性体151は、小径開口113からバルブ駆動機構51側に延びる環状の部材である。外部弾性体151の外周側は屈曲部112の外面に回り込み、内周側は段部134に連絡している。外部弾性体151は先端に向かうにしたがい径を縮小し、先端部分にバルブステムシール101の先端開口102を形成する。先端開口102の内周端縁102aによって規定される内径は、バルブステム32の外径よりも大径に設定されている。
図2〜図4に示すように、外部弾性体151の内周にはシールリップ152、外側突起153、及び内側突起154が設けられている。
(シールリップ)
シールリップ152は、外部弾性体151の内周に一体に設けられ、山形の断面形状を有している。シールリップ152が設けられているのは外部弾性体151の全周であり、その内径L1(図3参照)はバルブステム32の外径よりも小さく設定されている。シールリップ152は、バルブステム32の全周に密接する。
図4に示すように、山形の断面形状を有するシールリップ152は、二面の傾斜面155,156を有している。バルブリテーナ55に面する側は傾斜面155、その反対側は傾斜面156である。シールリップ152は、バルブステム32に対する傾斜面155の接触角度αを傾斜面156の接触角度βよりも大きく、α>βの関係に設定している。
(外側突起)
外側突起153は、内方に向けて突出する形状で外部弾性体151の内周に一体に設けられ、複数個に分割されて周上に均等な間隔で配列されている。外部弾性体151は、外側突起153が配列されていない内周領域にオイルの流路157を形成している。
図3に示すように、外側突起153は、バルブ駆動機構51に面する側のシールリップ152の傾斜面155から先端開口102の内周端縁102aに至る領域中、傾斜面155にかかる位置に配置されている。より詳しくは、傾斜面155の中腹Mと内周端縁102aとの間の領域で、外側突起153は内方に向けて突出している。
このような外側突起153の配置位置は、図3中に破線で示すシールリップ152の傾斜面155の本来の形状を参照することで、より一層明確になる。シールリップ152は山形の断面形状を有するが故に、バルブリテーナ55に面する傾斜面155は、頂部Pから徐々に高さを低くし、外側突起153と同じ高さにまで山裾Fを展開する。これがシールリップ152に内在する本来の形状である。図3中の破線は、この本来の形状を示している。そこで図3中の波線を参照することで、傾斜面155の中腹Mから内方に向けて突出している外側突起153の配置位置を把握することが可能である。
外側突起153は、周方向及び軸方向に曲面状となる断面形状を持たされている。このような断面形状によって外側突起153は、頂部から周方向にも軸方向にも曲線を描くように高さを低めている。
外側突起153の内径L2(図3参照)は、個々の外側突起153の頂部を結んだ最小の内径によって規定される。外側突起153は内径L2をバルブステム32の外径よりも小さく設定しているため、バルブステム32に接触する。
(内側突起)
内側突起154は、内方に向けて突出する形状で外部弾性体151の内周に一体に設けられ、複数個に分割されて周上に均等な間隔で配列されている。外部弾性体151は、内側突起154が配列されていない内周領域にオイルの流路158を形成している。
内側突起154の内径L3は、個々の内側突起154の頂部を結んだ最小の内径によって規定される。内側突起154は内径L3をバルブステム32の外径よりも小さく設定しているため、バルブステム32に接触する。
(シールリップ、外側突起、及び内側突起の内径)
図3に示すように、シールリップ152の内径L1、外側突起153の内径L2、及び内側突起154の内径L3は、L2<L1<L3の関係に設定されている。外側突起153の内径L2の寸法はシールリップ152の内径L1の寸法よりも小さく、内側突起154の内径L3の寸法はシールリップ152の内径L1の寸法よりも大きいという関係である。
(ガータスプリング)
外部弾性体151は、シールリップ152の裏面側に位置する外周面に、装着溝159を備えている。装着溝159にはガータスプリング160が装着されている。ガータスプリング160は、その緊締力によって、バルブガイド13に対するシールリップ152の密接力を高める。
3.作用効果
このような構成において、バルブ駆動機構51側でバルブガイド13の端部に装着されたバルブステムシール101は、内部弾性体131が有する二条のリップ132,133の密接力によってバルブガイド13に固定される。
(1)オイルの漏れ量の制御
バルブ駆動機構51では、カム53の回転に追従してバルブ31が押し下げられると排気ポート12が開き、燃焼ガスの排気動作が実行される。さらにカム53が回転すると、バルブスプリング57の付勢力によってバルブ31は排気ポート12を閉じる元の位置に復帰し、図示しない燃焼室に混合器を送り込む吸気工程に備える。こうしてバルブ31は排気ポート12の開閉を繰り返す。
このときバルブステムシール101は、バルブガイド13とバルブステム32との間に適量のオイルを導くようにオイル漏れを意図的に生じさせ、その漏れ量を制御する。オイルの漏れ量は、例えばバルブステム32に対するシールリップ152の接触角度の設定等によって制御される。オイルの漏れ量を制御することで、バルブガイド13とバルブステム32との間の焼きつき、燃焼室内に過剰なオイルが導入されることによる白煙の発生などの不都合を回避することができる。
(2)オイルの漏れ量の安定した制御
(シールリップの接触角度の変動)
バルブステム32に対するシールリップ152の接触角度は、バルブガイド13とバルブステム32との間のオイルの漏れ量を決定づける重要な要因である。このためオイルの漏れ量を安定的に制御するためには、バルブステム32に対するシールリップ152の接触角度の変動を抑制する必要がある。ところがシールリップ152の接触角度は、様々な要因によって変動してしまう。変動要因となるのは、摺動摩擦力の作用、軸偏心、圧力変動等の外乱である。
図4を参照して、これらの変動要因について説明する。以下の説明は、図4に示す状態を基準としている。
摺動摩擦力の作用について説明する。
バルブ駆動機構51の作動時、回転するカム53によってリフタ58が押し下げられると、バルブステム32は下方に向けて移動する。バルブスプリング57の付勢力によってバルブ31が排気ポート12を閉じる元の位置に復帰する過程では、バルブステム32は上方に向けて移動する。こうしてバルブステム32は上下方向の往復動を繰り返し、シールリップ152に対して摺動する。このとき摺動摩擦が発生し、シールリップ152にモーメントが作用する。バルブステム32の下降時には時計回り方向、上昇時は反時計回り方向のモーメントである。時計回り方向のモーメントは、バルブステム32に対する傾斜面155の接触角度αを小さく、傾斜面156の接触角度βを大きくするようにシールリップ152を変形させる。反時計回り方向のモーメントは、バルブステム32に対する傾斜面155の接触角度αを大きく、傾斜面156の接触角度βを小さくするようにシールリップ152を変形させる。
軸偏心について説明する。
バルブステム32に軸偏心が発生すると、バルブステム32に密接するシールリップ152の圧力が変動し、これに伴いシールリップ152の変形量も変動する。このような変形量の変動は、バルブステム32に対する接触角度が傾斜面155,156でそれぞれ異なることとも相俟って、シールリップ152の接触角度に変動をもたらす。
圧力変動について説明する。
バルブ31が排気ポート12を開放すると、排気ポート12やその先の図示しない排気マニホールド等の内部では背圧が生じ、急激に圧力が高まる。このためバルブ31の開閉によって排気ポート12内等の圧力は大きく変動する。このような圧力変動は、バルブガイド13とバルブステム32との間の隙間を介してシールリップ152にも伝わり、バルブステム32に対するシールリップ152の接触角度に変動をもたらす。
(シールリップの接触角度の変動防止)
本実施の形態のバルブステムシール101は、外側突起153及び内側突起154によって、バルブステム32に対するシールリップ152の接触角度の変動を防止する。接触角度の変動は、上記三つのうちのいずれの要因によるものであっても防止される。シールリップ152の接触角度の変動がいかに防止されるのか、図4を参照して説明する。
前述したとおりバルブステム32の下降時には、シールリップ152に時計回り方向のモーメントが作用する。このとき内側突起154は、バルブステム32に密接しているが故に剛性を高め、時計回り方向のモーメントの作用によるシールリップ152の変形を抑制する。バルブステム32の上昇時には、シールリップ152に反時計回り方向のモーメントが作用する。このとき外側突起153は、バルブステム32に密接しているが故に剛性を高め、反時計回り方向のモーメントの作用によるシールリップ152の変形を抑制する。こうしてシールリップ152の変形が抑制されることで、バルブステム32に対するシールリップ152の接触角度の変動が防止され、シールリップ152によるオイルの漏れ量の安定した制御が果たされる。
本実施の形態の外側突起153は、シールリップ152の傾斜面155にかかる位置、より詳しくは中腹Mから内方に向けて突出している。このため外側突起153がシールリップ152の山裾Fから突出している場合に比較すると、外側突起153はよりシールリップ152に近接した位置に位置づけられた状態になる。その結果反時計回り方向のモーメントの作用によって生ずるシールリップ152の変形に対して、外側突起153による抑制力が強められ、シールリップ152の接触角度の変動がより確実に防止される。
外側突起153をシールリップ152に近接させることについては、シールリップ152の二面の傾斜面155,156のバルブステム32に対する角度設定、つまりバルブリテーナ55に面する傾斜面155の接触角度αの方が反対側の傾斜面156の接触角度βよりも大きいという角度設定も、その実現に貢献している。このα>βという関係は、外側突起153が連絡する傾斜面155の軸方向長さを短くするため、外側突起153はより一層シールリップ152に近接した位置に位置づけられるからである。
もっともバルブステム32に対するシールリップ152の傾斜面155,156の角度設定をα>βとすることは、必ずしも必須ではない。実施に際してはバルブリテーナ55に面する傾斜面155の接触角度αと反対側の傾斜面156の接触角度βとを、
・α=β、又は
・α<β
とすることも許容される。これらの角度設定を採用した場合であっても、シールリップ152の傾斜面155の中腹Mから外側突起153が内方に向けて突出しているという構成によって、外側突起153をシールリップ152に近接した位置に位置づけることが可能である。
本実施の形態では、外側突起153も内側突起154も均等な間隔で配列されている。このため外側突起153及び内側突起154は、シールリップ152の変形に対する抑制力を周方向に規則的に生じさせることができる。その結果シールリップ152の変形を全周にわたって均等に抑制することができる。
本実施の形態の外側突起153及び内側突起154は、周方向及び軸方向に曲面状の断面形状を有している。曲面状の断面形状は、バルブステム32とシールリップ152との間の摺動摩擦を低減し、摺動摩擦の変動を抑制する。これによってバルブステム32に対するシールリップ152の接触角度の変動がより安定的に防止される。
以上説明したとおり本実施の形態によれば、バルブステム32に対するシールリップ152の接触角度の変動をより確実に、全周にわたって均等に、より安定的に防止することができる。その結果シールリップ152によるオイルの漏れ量の制御を安定化することができる。
外側突起153及び内側突起154がバルブステム32に対するシールリップ152の接触角度の変動を防止することは前述したとおりである。このとき外側突起153及び内側突起154は、バルブガイド13とバルブステム32との間に適量のオイルを導くようにオイル漏れを生じさせるというシールリップ152の機能を損なってはならない。本実施の形態では、外側突起153及び内側突起154を周方向に分割したような形態にし、個々の外側突起153の間には流路157を、個々の内側突起154の間には流路158を設けることで、シールリップ152の上流側及び下流側でのオイルの流通を確保している。
(3)バルブリテーナとの干渉防止
図5に示すように、シールリップ152の傾斜面155にかかる位置、本実施の形態では中腹Mから内方に向けて外側突起153を突出させている。このため外側突起153を設けているにもかかわらず、バルブステムシール101の先端部の長尺化が抑制される。
詳しく説明する。図5中に破線で示しているのは、図3中の破線と同様にシールリップ152の傾斜面155の本来の形状である。山形の断面形状を有するが故にシールリップ152は、図3及び図5中に破線で示す形状をその本来の形状として内在している。もしも外側突起153が設けられていないとすると、バルブステムシール101の先端部の最小長さは、シールリップ152の山裾Fの位置によって定められる。シールリップ152の山裾Fは、外部弾性体151が有する先端開口102の内周端縁102aと内径が一致する位置になるはずだからである。そう解釈すると、外側突起153を設けたことによってバルブステムシール101の先端部の長さが長くなる寸法は、シールリップ152の山裾Fの位置から始まる長さL4の寸法ということになる。
では長さL4をどう評価すべきだろうか。外側突起153を設けたにもかかわらず、バルブステムシール101の先端部はさほど長くならないと評価し得るのか、そのようには評価し得ないのかの問題である。この点、外側突起153と同じ大きさの突起(以下「比較突起」と呼ぶ)を設けたならば増加するはずのバルブステムシール101の先端部の長さ(後述するように、長さL5である)を想定し、この長さL5と長さL4とを比較するのが適切な評価方法であると考えられる。
比較突起を設けることによって増加するバルブステムシール101の先端部の長さは、シールリップ152の山裾Fの位置から少なくとも比較突起の軸方向の長さを加えた寸法以上であると解するのが適当である。シールリップ152は山裾Fの位置でその本来の姿を完結するため、単純に比較突起を設ける想定をするならば、少なくともシールリップ152がその本来の姿を完結した領域から比較突起が配置されると解するのが自然だからである。比較突起は外側突起153と同じ大きさというのが前提なので、比較突起の軸方向の長さは、外側突起153の軸方向の長さと共通のL5になる。すると比較突起を設けることによって長くなるバルブステムシール101の先端部は、シールリップ152の山裾Fの位置から少なくとも長さL5の寸法以上は長くなる。
これに対して本実施の形態の外側突起153は、シールリップ152の傾斜面155にかかる中腹Mから内方に突出し、傾斜面155と軸方向に一部重なった位置に配置されている。この構成上、シールリップ152の山裾Fの位置からの長さは、長さL5よりも短い長さL4の寸法に短縮される。つまり少なくとも長さL5から長さL4を減じた長さL6の寸法分だけ、バルブステムシール101の先端部の長さは短くなる。
したがって本実施の形態のバルブステムシール101については、外側突起153を設けたにもかかわらず、バルブステムシール101の先端部はさほど長くならないと評価することが可能である。その結果バルブリテーナ55に対するバルブステムシール101の干渉を防止することができる。
本実施の形態のシールリップ152は、バルブステム32に対する接触角度のうち、バルブリテーナ55に面する傾斜面155の接触角度を反対側の傾斜面156の接触角度よりも大きく設定している。相対的な関係ではあるものの、傾斜面155を急峻にしているわけである。このため傾斜面155の軸方向の長さが短くなり、この面からもバルブステムシール101の先端部の長尺化が抑制され、バルブリテーナ55に対するバルブステムシール101の干渉防止が図られる。
(4)各部の機能の正常化
バルブステムシール101の外部弾性体151は、内部弾性体131をバルブガイド13に嵌め込んでバルブステム32を貫通させたとき、外径を拡げるように変形する。シールリップ152、外側突起153、及び内側突起154の内径はいずれもバルブステム32の外径よりも大径であるため、ゴム状弾性体によって形成されている外部弾性体151は弾性変形するからである。
このとき外部弾性体151は、内部弾性体131に連絡する根元の部分から先端開口102に近付くにつれて剛性を増していく。根元の部分は金属環111の屈曲部112によって剛性を確保されているのに対して、先端開口102は自由に弾性変形し得る領域になっているからである。このような剛性の相違によって、外部弾性体151にバルブステム32を貫通させたとき、最も根元側に位置する内側突起154がバルブステム32に密接することによって外部弾性体151が外径を拡げるように弾性変形し、バルブステム32に対するシールリップ152の密接力が弱まる可能性がある。同様の現象で、シールリップ152がバルブステム32に密接することによって外部弾性体151が外径を拡げるように弾性変形すると、バルブステム32に対する外側突起153の密接力が弱まる可能性がある。
本実施の形態のバルブステムシール101は、内側突起154の頂部を結ぶ最小の内径L3をシールリップ152の内径L1よりも大径にし、また外側突起153の頂部を結ぶ最小の内径L2をシールリップ152の内径L1よりも小径にすることによって、上記課題の解決を図っている。
より詳しくは、内側突起154がバルブステム32に密接することによって外部弾性体151が外径を拡げるように弾性変形したとき、内側突起154の内径L3はシールリップ152の内径L1よりも大径であるという寸法関係によって、バルブステム32に対するシールリップ152の密接力が維持される。同様にシールリップ152がバルブステム32に密接することによって外部弾性体151が外径を拡げるように弾性変形したとき、外側突起153の内径L2はシールリップ152の内径L1よりも小径であるという寸法関係によって、バルブステム32に対する外側突起153の密接力が維持される。
以上説明したように、本実施の形態によれば、L2<L1<L3という寸法関係に設定することで、シールリップ152、外側突起153、及び内側突起154の各部の機能を正常な状態に維持することができる。
実施に際しては、各種の変形や変更が可能である。
例えば外側突起153は、シールリップ152の傾斜面155にかかる位置から内部に突出する形状であればよく、本実施の形態のように必ずしも中腹Mの位置から内部に突出している必要はない。また外側突起153は中腹Mから突出する形状であったとしても、各図に示されているような態様での中腹Mの位置に限らず、より頂部Pに近い位置、あるいはより山裾Fに近い位置から突出するように配置されていてもよい。
外側突起153は、流路157のようなオイルを流通させる要素が設けられるならば、本実施の形態のように完全に別途独立した形態で分割されていなくてもよい。このような変形又は変更は、内側突起154についても同様である。
その他あらゆる変形や変更が可能である。
11 シリンダヘッド
12 排気ポート
13 バルブガイド
14 バルブシート
31 バルブ
32 バルブステム
33 バルブヘッド
34 バルブステムエンド
35 バルブフェース
51 バルブ駆動機構
52 カムシャフト
53 カム
54 コッタ
55 バルブリテーナ
56 ロアスプリングシート
57 バルブスプリング
58 リフタ
101 バルブステムシール
102 先端開口
102a 内周端縁
103 根元開口
111 金属環
112 屈曲部
113 小径開口
114 大径開口
131 内部弾性体
132,133 リップ
134 段部
151 外部弾性体
152 シールリップ
153 外側突起
154 内側突起
155,156 傾斜面
157,158 流路
159 装着溝
160 ガータスプリング
α,β 接触角度
F 山裾
M 中腹
P 頂部
L1,L2,L3 内径
L4,L5,L6 距離

Claims (7)

  1. バルブガイドの端部を覆う環状の金属環と、
    前記金属環の内周面に固定され、前記バルブガイドに密接する環状の内部弾性体と、
    前記金属環に固定され、バルブリテーナに向けて延びる環状の外部弾性体と、
    前記外部弾性体の内周に一体に設けられ、前記バルブガイドに案内されるバルブステムの全周に密接する山形の断面形状を有するシールリップと、
    前記外部弾性体の内周に一体に設けられ、前記バルブリテーナに面する側の前記シールリップの傾斜面にかかる位置から内方に向けて突出する形状で周上に配列された複数個の外側突起と、
    を備えるバルブステムシール。
  2. 前記外側突起は、均等な間隔で配列されている、
    請求項1に記載のバルブステムシール。
  3. 前記外側突起の頂部を結ぶ最小の内径寸法は、前記シールリップの内径寸法よりも小さい、
    請求項1又は2に記載のバルブステムシール。
  4. 前記外側突起は、周方向及び軸方向に曲面状の断面形状を有している、
    請求項1ないし3のいずれか一に記載のバルブステムシール。
  5. 前記外部弾性体の内周に一体に設けられ、前記シールリップを挟んで前記外部突起と反対側に内方に向けて突出する形状で周上に配列された複数個の内側突起
    を備える請求項1ないし4のいずれか一に記載のバルブステムシール。
  6. 前記内側突起の頂部を結ぶ最小の内径寸法は、前記シールリップの内径寸法よりも大きい、
    請求項5に記載のバルブステムシール。
  7. 前記内側突起は、周方向及び軸方向に曲面状の断面形状を有している、
    請求項5又は6に記載のバルブステムシール。
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