JP2020159120A - 土中埋設鋼管用蓋体、土中埋設鋼管、および継手部材 - Google Patents
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Description
特許文献1には、オーガー等の掘削機を用いて地盤に掘削穴を開けた後、埋設方向先端面を蓋体(先端シューともいう)で塞いだ角形鋼管を掘削穴に挿入し、鋼管の上端から圧力を加えて鋼管杭、鋼管地盤補強材等を圧入する技術が開示されている。先端シューは、圧入時先端面に衝突した土砂を鋼管側面に排土し、鋼管に作用する周面摩擦力を向上させる。
また、前記特許文献1に記載の技術では、鋼管の開口寸法に応じて鉄筋の溶接位置を変更する必要があり、鋼管の厚さ寸法に応じた開口寸法の種類に十分に対応できないという課題がある。
また、鋼管本体の開口寸法に応じてリブ状部の屈曲状態を変化させることができるため、鋼管本体の厚さ寸法の種類に対応して土中埋設鋼管用蓋体を装着できる。
本発明によれば、リブ状部が角形鋼管の対角線上に設けられるため、リブ状部の端部が対角線の端部で交わる角形鋼管の2つの内面に当接する。したがって、角形鋼管の2つの内面によってリブ状部の動きを拘束できるため、リブ状部によるバネ力の大きさが変化することなく鋼管本体に作用させることができ、土中埋設鋼管用蓋体の脱落を一層確実に防止できる。
本発明によれば、リブ状部の先端にテーパー部が形成されることにより、土中埋設鋼管用蓋体のリブ状部を鋼管本体の開口内部に挿入し易くなる。したがって、鋼管本体に対する土中埋設鋼管用蓋体の取り付け作業の手間を軽減できる。
この発明によっても前述した作用および効果と同様の作用および効果を享受できる。
本発明によれば、前記と同様の作用により、上下に配置される土中埋設鋼管を簡単に連結できる。
また、継手部材が土中埋設鋼管用蓋体と同様の平板部およびリブ状部から構成されるため、土中埋設鋼管に必要な部品点数を低減でき、同じ取り付け方法を採用できるため、施工作業の繁雑化を招くこともない。
[1]第1の実施の形態
図1には、本発明の第1の実施の形態に係る土中埋設鋼管1が示されている。図1(A)は土中埋設鋼管1の水平方向断面図であり、図1(B)は土中埋設鋼管1の鉛直方向断面図である。土中埋設鋼管1は、砂質地盤、粘土質地盤等の軟弱地盤に複数本埋設され、地盤の長期許容鉛直支持力を補強する地盤補強材として機能する。土中埋設鋼管1は、鋼管本体2および土中埋設鋼管用蓋体3を備える。
土中埋設鋼管用蓋体3は、鋼管本体2の鉛直下方側の端面を塞ぐ部材であり、底面部31およびリブ状部32を備える。
底面部31は、鋼管本体2と同一形状とされ、一辺の長さ寸法D1が鋼管本体2の端面寸法D2よりも一回り大きな寸法に形成され、底面部31に外側から土圧が作用しても鋼管本体2の開口内に陥没しないような寸法に設定される。
リブ状部32は、底面部31の矩形の対角線上の2箇所に設けられ、溶接部33、34によって底面部31にスポット溶接される。このため、リブ状部32の溶接部33で挟まれた中央部は、底面部31に対して剛接合され、リブ状部32の中央部から先端側の端部は、底面部31に溶接されない自由端とされる。
また、リブ状部32の厚さ寸法は、2.3mmから4.5mmの範囲が好ましく、リブ状部32の高さ寸法(幅寸法)は、5mmから20mmの範囲が好ましい。
前述したようにリブ状部32の長さ寸法L1は、鋼管本体2の開口の対角線寸法よりも大きく設定される。しかし、リブ状部32の上端におけるテーパー部32Aの長手方向の控え寸法L4は、長さ寸法L1−2×L4が鋼管本体2の開口の対角線寸法よりも小さく設定される。
リブ状部32の弯曲変形により生じる付勢力は、鋼管本体2の角隅部で隣接する2つの内部側面に作用し、土中埋設鋼管用蓋体3を鋼管本体2に保持させる。
平板部41は、土中埋設鋼管用蓋体3と同様の一般構造用圧延鋼板であり、土中埋設鋼管用蓋体3の底面部31と同様の形状、寸法から構成される。
また、図4では図示を略したが、リブ状部42の自由端側先端には、土中埋設鋼管用蓋体3のリブ状部32と同様にテーパー部が形成される。
図5(A)に示すように、杭打ち機5の圧入機51にオーガー52を装着した状態で、杭打ち機5を移動させ、地盤補強材を埋設する杭芯にオーガー52の回転軸をセットする。
杭芯がセットされたら、図5(B)に示すように、オーガー52を回転駆動させながら、圧入機51によりオーガー52を地盤に圧入して掘削を行う。
オーガー52による掘削が終了したら、図5(C)に示すように、オーガー52を上方に移動させる。
土中埋設鋼管1が所定寸法埋設されたら、土中埋設鋼管1の杭頭部に継手部材4を装着する。この際、必要に応じてハンマー等の打撃工具で継手部材4を打撃して、継手部材4の底面部31を土中埋設鋼管1の杭頭部に密着させる。
図5(F)に示すように、土中埋設鋼管1および鋼管本体2の埋設が終了したら、圧入力を確認して施工を完了する。
リブ状部32が鋼管本体2の開口の最大寸法よりも大きな長さ寸法L1を有し、リブ状部32の端部が自由端とされる。そして、リブ状部32が鋼管本体2の開口の内部に収容されたときに、リブ状部32の端部が屈曲した状態で鋼管本体2の内部に収容される。これにより、リブ状部32のバネ力が鋼管本体2の内面に作用して、土中埋設鋼管用蓋体3が鋼管本体2から脱落することを防止できる。
また、鋼管本体2の開口寸法に応じてリブ状部32の屈曲状態を変化させることができるため、鋼管本体2の厚さ寸法の種類に対応して土中埋設鋼管用蓋体3を装着できる。
リブ状部32の先端にテーパー部32Aが形成されることにより、土中埋設鋼管用蓋体3のリブ状部32を鋼管本体2の開口内部に挿入し易くなる。したがって、鋼管本体2に対する土中埋設鋼管用蓋体3の取り付け作業の手間を軽減できる。
継手部材4が土中埋設鋼管用蓋体3と同様の平板部41およびリブ状部42から構成されるため、土中埋設鋼管1に必要な部品点数を低減でき、同じ取り付け方法を採用できるため、施工作業の繁雑化を招くこともない。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
前述の第1の実施形態では、リブ状部32の先端は、リブ状部32の幅方向に傾斜するテーパー部32Aしか形成されていなかった。
第2テーパー部62Bは、リブ状部62の幅方向(高さ方向)の中央の領域に形成され、リブ状部62の最も突出した部分に形成される。このため、第2テーパー部62Bは、下側のテーパー部62Aと上側のテーパー部62Aの交わる領域に形成される。
このような本実施の形態によっても、前述と同様の作用および効果を享受できる。
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
前述した第1の実施の形態では、土中埋設鋼管用蓋体3のリブ状部32は、平鋼から構成されていた。
これに対して、本実施の形態の土中埋設鋼管用蓋体7のリブ状部72は、図7(A)、図7(B)に示すように、平鋼を長手方向の中心軸を中心として、幅方向に湾曲させた点が相違する。
リブ状部72は、下側のテーパー部72Aと上側のテーパー部72Aが交わるリブ状部72の最も先端となる位置で、かつリブ状部72の長手方向の軸を中心として、リブ状部72の幅方向に湾曲する。
このような本実施の形態によれば、前述と同様の作用および効果を享受できる上、リブ状部72の面外方向に作用する力に対して変形しにくくなるので、平鋼で構成した第1の実施の形態に係るリブ状部32に比較して板厚寸法を薄くすることができる。
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。
前述の第1の実施の形態では、リブ状部32は、底面部31の対角線上に延びる直線状に構成されていた。
これに対して、本実施の形態では、図8に示すように、土中埋設鋼管用蓋体8を構成するリブ状部82先端側の自由端領域が、リブ状部82の幅方向を軸として長手方向に曲折している点が相違する。曲折位置は、リブ状部82の自由端領域の溶接部33の近傍でもよく、自由端領域の中央領域、先端領域であってもよい。
このような本実施の形態によっても、前述した作用および効果と同様の作用および効果を享受できる。
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。
前述の第1の実施の形態では、リブ状部32は、幅寸法(高さ寸法)が一定の平鋼から構成されていた。
これに対して、本発明の実施の形態では、図9に示すように、土中埋設鋼管用蓋体9を構成するリブ状部92は、自由端領域における幅寸法が、剛接合領域となる溶接部33の基端側の領域における幅寸法よりも小さくなっている点が相違する。
幅狭部922は、平鋼の一部を切り欠いて形成することが可能であり、切欠位置は、リブ状部92の自由端領域で鋼管本体の内面に作用させる力に応じて適宜の位置に設定できる。同様に、幅方向の切欠量もリブ状部92の自由端領域で鋼管本体の内面に作用させる力に応じて適宜の切欠量を設定できる。
このような本実施の形態によっても、前述した作用および効果と同様の作用および効果を享受できる。
次に、本発明の第6の実施の形態について説明する。
前述の第1の実施の形態では、リブ状部32は底面部31に溶接部33、34により接合固定されていた。
これに対して、本実施の形態では、図10に示すように、土中埋設鋼管用蓋体10を構成するリブ状部32が固定プレート103、ボルトナット104により接合固定されている点が相違する。固定プレート103は、図示しないボルト挿通孔が形成され、溶接等によりリブ状部32の底部側面に固定される。土中埋設鋼管用蓋体10の底面部にも図示しないボルト挿通孔が形成され、固定プレート103と底面部のボルト挿通孔にボルトを挿通してボルトナット104によりリブ状部32を底面部に接合固定する。
このような本実施の形態によっても、前述した作用および効果と同様の作用および効果を享受できる。
前述した第1の実施の形態では、矩形状の底面部31のすべての対角線に沿ってリブ状部32を設けていた。
これに対して、本実施の形態では、図11に示すように、土中埋設鋼管用蓋体11の底面部31の対角線上のすべていにリブ状部32が設けられていない点が相違する。
リブ状部32を設けない位置は、対角線上のどの位置でも適宜に設定することは可能であるが、少なくとも1本の対角線はそのすべてに亘ってリブ状部32が設けられているのが、鋼管本体に対する土中埋設鋼管用蓋体11の保持力を作用する上で好ましい。
なお、本発明は、前述した各実施の形態に限定されるものではなく、以下に示すような変形を含むものである。
前述の実施の形態では、本発明を、軟弱地盤を補強する地盤補強材に適用していたが、本発明はこれに限られない。中小型の建築物の荷重を支持する杭に本発明を適用してもよい。ただし、杭として利用した場合、鉛直支持力のみならず水平方向に作用する水平支持力に対しても耐える必要がある。このため、継手部材としては、形状そのものは第1の実施形態の継手部材4と同じであってもよいが、水平方向に作用する荷重に耐えられるだけのリブ状部の厚さ寸法を設定する必要がある。
前述の実施の形態では、リブ状部32の自由端側の先端の形状は、リブ状部32の幅方向中央部が最も大きな寸法L1とされていたが、本発明はこれに限られない。たとえば、リブ状部32の底面部31側の幅方向端部で最大寸法L1とし、上部側の幅方向端部に向かうにしたがって、内側に傾斜するテーパー部としてもよい。
その他、本発明の実施の際の具体的構造および形状は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造としてもよい。
Claims (5)
- 土中に埋設される鋼管本体の端部に設けられる土中埋設鋼管用蓋体であって、
前記鋼管本体の端面と同一形状とされ、前記鋼管本体の端面の開口を塞ぐ底面部と、
前記鋼管本体側に向く前記底面部の面に設けられ、前記鋼管本体の端面の開口の最大寸法の位置に挿入され、前記開口の最大寸法よりも長い寸法のリブ状部とを備え、
前記リブ状部は、中央部が前記底面部に接合され、端部が前記底面部に接合されない自由端とされる土中埋設鋼管用蓋体。 - 請求項1に記載の土中埋設鋼管用蓋体において、
前記鋼管本体は角形鋼管であり、
前記リブ状部は、前記角形鋼管の矩形状の開口の対角線上に設けられる土中埋設鋼管用蓋体。 - 請求項1または請求項2に記載の土中埋設鋼管用蓋体において、
前記リブ状部の自由端側の先端には、前記リブ状部の幅方向上端から下端に向かって次第に幅狭となるテーパー部が形成されている土中埋設鋼管用蓋体。 - 鋼管本体と、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の土中埋設鋼管用蓋体とを備え、前記土中埋設鋼管用蓋体が前記鋼管本体の端部に設けられた土中埋設鋼管。
- 上下に埋設される土中埋設鋼管同士を連結する継手部材であって、
上下に配置される前記土中埋設鋼管のそれぞれの端面を塞ぐ平板部と、
前記平板部の表裏面のそれぞれに設けられ、前記土中埋設鋼管の端面の開口の最大寸法の位置に挿入され、前記開口の最大寸法よりも長い寸法のリブ状部とを有し、
前記リブ状部は、中央部が前記平板部に接合され、端部が前記平板部に接合されない自由端とされる継手部材。
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