JP2020159096A - 落石防止具および落石防止工法 - Google Patents

落石防止具および落石防止工法 Download PDF

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Abstract

【課題】安全な施工によって斜面に位置する石をリングロープにより固定し、落石を防止することができる落石防止具および落石防止工法を提供する。【解決手段】複数のリングロープ6を縦方向に一直線状に並べた状態で、隣接するリングロープ6同士が互いに交差するように連結させてなるワイヤリング列7、および、被覆対象の石Sの幅に合わせた数のワイヤリング列7を幅方向に並べて配置した状態で隣接する各リングロープ6を連結する結合金具8からなるロープユニット2と、このロープユニット2の上部および両側部において地盤Gに埋設させた複数のアンカー3と、これらのアンカー3をロープユニット2のワイヤロープ5に引っ張り力をかけながら連結する複数の連結具4とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は落石防止具および落石防止工法に係り、特に、安全を確保しながら斜面に露出した特定の石をアンカーにて確実に固定することができる落石防止具および落石防止工法に関する。
従来より、斜面に露出した石の滑動や転石を避けるために、ワイヤロープを格子状に組合わせたネットを用いて覆うことにより保護することが行なわれている。また、石を数本のロープで被ったり、引っかけたりすることにより斜面に固定する落石防止工法は非特許文献1に開示されている。
加えて、特許文献1には、石が散在する斜面においてワイヤロープを縦横に張り巡らせると共に交点において固定し、ワイヤロープをリング状に加工したものを多数並べて連結したロープユニットとして、前記ワイヤロープと接合することにより、落石を防止する落石防止装置および落石防止工法が開示されている。
さらに、特許文献2には、斜面にある複数の石の集合体に、ワイヤロープの端部を連結具によって連結したリング状のエレメントで被覆し、石と石との間に形成される凹部の無い石に対しアンカーを打ち込み固定することにより、密着させて抱持状態にすることで転動を防止する落石防止工法が開示されている。
特開平10−280332号公報 特許第4615203号公報
公益社団法人日本道路協会:「落石対策便覧」,2017,p.112−113
しかしながら、上述の非特許文献1で示される落石防止方法は,石に対して水平方向に這わせたワイヤロープの張力とワイヤロープの両端に結合させたアンカーの固定力によって石を固定するものであり、アンカーの設置本数はワイヤロープの設置本数によって決まるため、石の固定に必要なアンカー耐力を確保するために市場性の低い太径のアンカーを使用しなければならず、場合によっては必要な耐力を確保できないこともあった。
また、石が横長の形状の場合、水平方向に這わせるワイヤロープの本数が限られてしまうため、石の固定に必要な耐荷重を確保できないという課題があった。さらに、被覆対象の石にワイヤロープを巻回する作業中に石が滑動する可能性もあるため、石の下側においてアンカーの埋設や固定を行なうことには危険が伴っていた。
特許文献1の落石防止装置および落石防止工法の場合、ワイヤロープをリング状に加工した複数のロープリングの集合体からなるロープユニットにより、斜面に散在する石を固定するものであるが、縦横に敷設した格子状のワイヤロープに画一的な大きさに形成されたリングロープのロープユニットを取付けるものであるため、この格子状のワイヤロープが格子内の石の荷重を受け持つこととなり、格子を形成するワイヤロープ1本にかかる荷重の比率が大きくなるという問題がある。つまり、落石防止を行なうエリア内に大きな石がある場合、大きな石を対象とする落石防止を行なう場合に十分な強度で把持させる施工を行えないという問題がある。
特許文献2の落石防止工法の場合、複数の石を包み込んだ状態とするために、石にアンカーを打ち込み固定する必要があるが、このアンカー打設の際に石が滑動することや、アンカー打設の際に石が割れるという危険性もあり、作業環境が良くなかった。
本発明は上述の事柄を考慮に入れてなされたものであり、安全な施工によって斜面に位置する石をワイヤロープにより固定し、落石を防止することができる落石防止具および落石防止工法を提供することを目的とする。
第1発明は、環状に接続したワイヤロープ(以下、リングロープという)を複数個縦方向に一直線状に並べた状態で、隣接するリングロープ同士を互いに交差するように連結させてなるワイヤリング列、および、被覆対象の石の幅に合わせた数のワイヤリング列を幅方向に並べて配置した状態で隣接する各リングロープを連結する結合金具からなるリングロープのロープユニットと、このロープユニットの上部および両側部において地盤に埋設させた複数のアンカーと、これらのアンカーをロープユニットのリングロープに引っ張り力をかけながら連結する複数の連結具とを備えることを特徴とする落石防止具(請求項1)を提供する。
リングロープは石の表面の凹凸に対応して変形する程度に湾曲し、引っ張り力を加えることにより、リングの各部に分散して力を作用させることができる。隣接するリングロープ同士を互いに交差するように連結させたワイヤリング列は縦方向に広い範囲において張力を分散させて作用させることができる。また、被覆対象の石の幅に合わせた数のワイヤリング列を連結させたロープユニットは石の全体を覆うことができる。
したがって、上記ロープユニットを用いることにより、被覆対象の石の全体を覆うことができ、被覆対象の石の上部および両側部の地盤に埋設させた複数のアンカーと連結部によってロープユニットの上部および両側部において引っ張り力をかけて地盤に固定することができる。このとき、ロープユニットの両側部においてアンカーに固定した連結部によってかけられる引っ張り力が横方向の各リングロープに分散して作用することにより石をしっかりと保持でき、さらに、ロープユニットの上部においてアンカーで引っ張りながら固定することにより、石の滑動や落下を確実に防止することができる。
とりわけ、ロープユニットの四隅においてロープユニットにかけられた引っ張り力は石の全体に分散して作用させて、石を地盤に安定して固定することが可能となる。施工時に石の下部において地盤にアンカーを打ち込む施工を施す必要がないため、施工中に万一石の滑動や落下が発生することがあったとしても、工事作業者の安全性を脅かすことがない。また、被覆対象の石に対してアンカーを打ち込む必要もないので、アンカー打設によって石が割れる心配もない。
前記結合金具は並べて配置させた2本のリングロープを挟み込むように断面視略コ字状に湾曲させたプレートと、このプレートの間に2本のリングロープを挟んだ状態でプレート両端部に設けた穴を貫通させるボルトと、このボルトに締付けられることによりプレートの間に2本のリングロープを抜け止め保持するナットとを備える場合(請求項2)には、プレートによって挟まれた2本のリングロープを抜け止め保持することができる。
前記結合金具によって連結された2本のリングロープは抜け止め保持されると共に、リングロープの長手方向に移動可能であるから、各リングロープは張力を伝えながら自在に変形可能であり、被覆対象の石の各部に分散させて作用させて、石を地盤に固定することができる。
前記ロープユニットの下部の複数箇所に連結され、このロープユニットの幅よりも長いすり抜け防止ロープと、前記石の両側部の下部において地盤に埋設させた左右一対の補助アンカーと、前記すり抜け防止ロープの両端部を引っ張り力をかけながら補助アンカーに連結させる補助連結部とを備える場合(請求項3)には、すり抜け防止ロープによってロープユニットの下部の複数箇所において張力をかけて、このロープユニットの下部が石の下部の地盤に押さえつけられた状態で固定されるので、ロープユニットの下部から石がすり抜けて滑動したり、崩落したりすることを防止できる。
補助アンカーは石の両側部の下部において地盤に埋設されるものであるから、石の下部における施工を避けることができ、それだけ、施工時の安全性を向上させることができる。
なお、補助アンカーにはロープユニットの下部の複数箇所を引っ張って地盤に固定させるに必要な引っ張り力がかけられるが、被覆対象の石の荷重がかからないため、石を地盤に固定させるための前記アンカーに比べて、細い補助アンカーを使用可能であるから、製造コストの引き上げを最小限に留めることができる。
第2発明は、縦方向に一直線状に配置した状態で隣接するリングロープを互いに交差させて連結させたワイヤリング列を形成し、被覆対象の石の幅に合せた数のワイヤリング列を幅方向に並べ、隣接する各リングロープを結合金具によって連結してリングロープのロープユニットを形成する一方、石を覆ったロープユニットの上部および左右両側部において地盤に複数のアンカーを埋設させ、これらのアンカーにロープユニットのリングロープを連結具によって引っ張りながら固定することにより、被覆対象の石の落下を防止することを特徴とする落石防止工法(請求項4)を提供する。
そして、縦方向に一直線状に連結したワイヤリング列によって石の縦方向の広い範囲に引っ張り力を分散させることができる。被覆対象の石の幅に合わせた数のワイヤリング列を幅方向に並べて連結することにより、石の全体を被うことができる大きさのロープユニットを形成することができ、ロープユニットの左右両側部において地面にアンカーを埋設させ、このアンカーと連結具によってロープユニットを引っ張りながら固定することにより、石を地盤に押し当てるように引っ張り力をほぼ均等に作用させることができる。
なお、隣接するワイヤリング列を連結する作業は施工現場で行なうことにより、あらゆる大きさの石に対応して施工を行なう事が可能となり、石の凹凸に合わせて長さの異なるワイヤリング列を連結させることも可能となる。また、ワイヤリング列はリングロープを互いに交差させるように連結したものであるから、容易に重ねて省スペース化することができ、それだけ運搬しやすいという利点もある。しかしながら、幾つかのワイヤリング列を製造過程において予め連結させたリープユニットの原型を形成してもよい。この場合、現場にて更にワイヤリング列を連結するか、不要なリングロープを分離させることができる。
ロープユニットを地盤に固定するときには、まず、ロープユニットの四隅を地盤に打設したアンカーによって引っ張りながら固定させ、その後、ロープユニットの四隅を除く左右両側部において石の荷重に合せた数のアンカーによって引っ張りながら地盤に固定させ、さらに、ロープユニットの上部を石の荷重に合せた数のアンカーによって引っ張りながら地盤に固定させることができる。
これにより、ロープユニットの四隅の地盤に設けたアンカーによってロープユニットのリングロープを引っ張るように地盤に固定する事により、ロープユニットを構成する各リングロープに張力を分散させて作用させて地盤に固定する事ができ、四隅を除く左右両側部において石の荷重に合せて必要とする数のアンカーを打設し、これに引っ張りながらロープユニットのリングロープを連結することにより、ロープユニットを構成する各リングロープに更にそれぞれ分散させた引っ張り力を増し加えて作用させて十分な力で地盤に固定させることができる。
さらに、ロープユニットの上部において地盤に埋設させたアンカーにリングロープを引っ張りながら固定することにより、ロープユニットに生じた石の荷重を直接アンカーに伝達させ、石が斜面を滑動することを効果的に防止できる。アンカーの本数を石の荷重に耐えられる本数にして打設することにより、大きな石であっても十分な力で吊り下げて落石をより確実に防止することができる。
つまり、ロープユニットの許容耐力は、石に接触させた水平方向のリングロープ同士の交点(連結具を設けた点)の数と交点部分の許容耐力を乗じた値となるため、対象となる石が横長になる分だけ交点の数を増加させることによりロープユニットの許容耐力が向上する。
加えて、上述の施工を施す時に石の下部における作業を行なう必要がないので、万一施工中に、石が滑動することがあったとしても、作業員に危険が迫ることなく安全に作業を行なうことができる。
前記ロープユニットの下部の複数箇所に、このロープユニットの幅よりも長いすり抜け防止ロープを連結させた状態で、このロープユニットで石を覆う一方、石の両側部の下部において地盤に補助アンカーを埋設させ、前記すり抜け防止ロープを石の下部に配置させた状態で、その両端部を引っ張りながら前記補助アンカーに連結させる場合(請求項5)には、ロープユニットの下部が複数箇所においてすり抜け防止ロープによって閉じられているので、このロープユニットで石を覆うときに、石の両側部の下部に埋設させた補助アンカーにすり抜け防止ロープに幅方向に引っ張り力をかけるように連結させることにより、ロープユニットの下部からの石のすり抜けを確実に防止できる。
なお、ロープユニットに対するすり抜け防止ロープの連結は、石へのロープユニットの設置を行なう前に行なうことにより、石の下方における作業をなくすことができ、より安全に施工を行うことができる。
前述したように、本発明によれば、固定の対象となる石が大きい場合でも、ロープユニットの上部および両側部において石の荷重に耐えうる数のアンカーを打設して、これによって必要十分な力で石を地盤に固定し、吊り下げるような張力を作用させ続けることができる。また、石を固定する施工を行なう際に危険を伴う石の下側における作業を無くすことにより、作業の安全性を確保することができる。
本発明の第1実施形態に係る落石防止具および落石防止工法を説明する縦断面図である、 前記落石防止具の全体構成および落石防止工法による施工後の状態を示す図である。 落石防止具の一部であるリングロープおよびロープユニットの構成を示す図である。 前記リングロープ同士を連結する連結金具の構成を説明する図である。 地盤に埋設させたアンカーの例を示す図である。 連結具の構成を説明する図である。 本発明の第2実施形態に係る落石防止具および落石防止工法を説明する図である。 すり抜け防止ロープをロープユニットに連結するすり抜け防止ロープ結合金具の構成を示す斜視図である。 すり抜け防止ロープを補助アンカーに連結する補助連結部の構成を示す図である。
以下、図1〜図6を用いて、本発明の第1実施形態にかかる落石防止具および落石防止工法を説明する。
図1に示すように、本発明は斜面を構成する地盤Gから突出する石Sの滑動および落下を防止する落石防止具1および落石防止工法に関するものである。本発明の落石防止具1は斜面に散在する多数の石を抱え持つようなものではなく、斜面から突出する大きな石Sを覆うようにして地盤Gに固定すると共に、上部の地盤Gに吊すように固定することにより落石を確実に防止する落石防止工法を実現させるものである。
図2に示すように、落石防止具1は石Sを包み込む程度の高さと幅を有するロープユニット2と、このロープユニット2の両側部および上部の地盤Gに埋設させるアンカー3と、このアンカー3にロープユニット2を引っ張り力をかけながら連結する連結具4とを備えるものである。
図3に示すように、前記ロープユニット2は、環状に接続したワイヤロープ5からなる複数のリングロープ6を縦方向に一直線状に並べた状態で、隣接するリングロープ6同士が互いに交差するように連結させてなるワイヤリング列7、および、複数のワイヤリング列7を幅方向に並べて配置した状態で隣接する各リングロープ6を連結する結合金具8からなる。
図3(A)に示すように環状に湾曲させたワイヤロープ5の両端部は楕円状のアルミ管内に挿入した状態で圧縮加工によって締結させたロック加工部9において強固に抜け止め接続される。ロック加工部9はロック加工によって速やかに接続可能であると共に、接続されたワイヤロープ5の端部には圧縮されたアルミがロープの間に食い込んで連結するので、ロープ接続部を損傷することなくその切断荷重と等しい強度を得ることができる。このようにして形成されたリングロープ6は被覆対象の石の凹凸に対して柔軟に変形可能であると共に、加えられた引っ張り力をリング上の各部に分散させて作用させることができる。
図3(B)に示すように、ワイヤリング列7は一直線状に配置したリングロープ6を形成する段階でリングロープ6同士が互いに交差するように連結することにより、ワイヤリング列7によって縦方向に広い範囲において引っ張り力を分散させて作用させることができるように構成している。なお、交差させたリングロープ6同士は引っ張り力を確実に伝達させると共に連結部が石の表面の凹凸に柔軟に対応して移動可能であるから、石の表面の各部に同程度の張力を分散させて作用させることができる。
図4は前記リングロープ6を連結する結合金具8の構成を示す図である。
図4(A)に示すように、本実施形態の結合金具8は両端部近傍に穴10Aをそれぞれ形成し、2つの穴10Aの位置を合わせるように略U字状に屈曲させてなるプレート10と、穴10Aに挿入するボルト11と、このボルト11に螺合されるナット12とを備える。
図4(B)に示すように、プレート10の間に2本のリングロープ6を挟み込んだ状態で、穴10Aにボルト11を挿入し、ナット12を締め付けることにより、2本のリングロープ6は抜け止め保持される。このとき、2本のリングロープ6は連結されるがプレート10に挟まれた状態で長手方向に移動可能である。すなわち、各リングロープ6は石の表面に当接した状態で、その表面の凹凸に合わせて変形すると共に、引っ張り力は結合金具8によって伝達されて石Sの各部に作用させることができる。
図5に示すように、前記アンカー3は例えば削岩機などを用いて石Sの左右両側部と上部の周辺に開設させた穿孔14に埋設された状態で、セメントなどの接着剤15によって固定される埋設部分16と、地盤Gから約10cmほど突出させた部分17とを備える。また、前記埋設部分16には抜け止め用の多数の横リブ16Aと、回転止め用の縦リブ16Bとを備える。上述のように構成されたアンカー3は接着剤15が硬化するときに、地盤Gに確実に固定した状態で頭部17によって石を吊り下げるために必要な引っ張り力に耐えることができる。
図6(A)に示すように、前記連結具4は前記アンカー3の頭部17を挿通する長穴18Aが形成された十分な強度を有する厚板形状の基体18と、この基体18との間にリングロープ6を嵌め込む溝19Aが形成され、溝19A内にリングロープ6を挟み込んだ状態で基体18に取付けられる嵌め込みプレート19と、基体18および嵌め込みプレート19に形成された貫通孔18B,19Bに挿通する略コ字状に屈曲させた屈曲ボルト20と、この屈曲ボルト20の両端部に螺号連結されるナット21とを備える。
図6(B)に示すように、嵌め込みプレート19によってリングロープ6を挟み込んだ状態で屈曲ボルト20とナット21を締め込むことにより、リングロープ6は連結具4に抜け止保持されることになり、この連結具4の長穴18Aをアンカー3の頭部17に設けた雄ねじ部にナット22を締付け保持することによりリングロープ6をアンカー3に固定することができる。なお、基体18にリングロープ6を引っ張る方向に長く形成された長穴18Aが形成されているので、アンカー3に連結具4を連結するときにリングロープ6を可能な限り引っ張りながら長穴18A内にアンカー3の頭部17を挿入し、ナット22をある程度締めた状態で、基体18をハンマーなどを用いて叩いて長穴18Aの範囲内で移動させた後に、ナット22を強く締付けることにより、より強い引っ張り力を加えられるように構成している。
上記構成の落石防止具1を用いることにより、斜面に位置する石Sの大きさに合わせて大きさが調節されたロープユニット2を用いて石Sの全体を覆うことができる。他方、ロープユニット2の両側部および上部において地盤Gに打設した複数のアンカー3に対して連結具4を用いてロープユニット2を引っ張り力をかけながら連結する事ができるので、石Sを地盤Gに押さえつけると共に、上部から石Sを吊り下げるように支持することができる。
とりわけ、ロープユニット2の四隅においてかけた引っ張り力はロープユニット2の全体に分散して作用し、石Sを地盤Gに押さえつけることができる。加えて、石Sの荷重に合わせた数だけロープユニット2の左右両側に設けたアンカー3に対して引っ張りながら連結する事により、石Sを十分な力で地盤Gに確実に固定できる。さらに、石Sの荷重に合せた数だけロープユニット2の上部に設けたアンカー3に対して引っ張りながら連結させることにより石Sを上部において吊り下げることができる。なお、落石防止の施工を施す際に石Sの下側における作業を行なう必要が無いのでそれだけ安全に作業を行なうことができる。
また、石Sの大きさや形状によっては、長さの異なるワイヤリング列7を連結させることにより、特殊な形状のロープユニット2を形成することも可能である。
さらに、本発明の落石防止具1を用い、落石防止工法によって地盤Gに固定された石は滑動や落石を防止できるので、本発明の落石防止具および落石防止工法を実施した後に、斜面の全体を従来の金網を用いた落石防止装置などによって保護するようにしてもよい。
以下、図7〜図9を用いて、本発明の第2実施形態に係る落石防止具および落石防止工法を説明する。図7〜図9において、図1〜図6と同じ符号を付した部材は同一または同等の部材であるから、その詳細な説明を省略して重複説明を避ける。
図7に示すように、本実施形態の落石防止具30は、ロープユニット2の下端部の複数カ所においてロープユニット2に連結され、ロープユニット2の幅より長いすり抜け防止ロープ31と、石Sの左右両側部の下部の地盤Gに埋設させた左右一対の補助アンカー32と、すり抜け防止ロープ31の両端部を引張り力をかけながら補助アンカーに連結させる補助連結部33とを備える。また、34はすり抜け防止ロープ31をロープユニット2の複数の下端部に連結させるすり抜け防止ロープ結合金具である。
図8(A)に示すように、抜け防止ロープ結合金具34の構成は、ロープユニット2を構成するリングロープ6およびすり抜け防止ロープ31を挟み込むのに丁度良い凹溝35Aが形成された挟み込みプレート35と、この挟み込みプレート35に開設させた4つの貫通孔35Bのうち2つを貫通するように略コ字状に屈曲させた一対の屈曲ボルト36と、この屈曲ボルト36の両端部に螺合連結される4個のナット37とを備える。
図8(B)に示すように、凹溝35内にロープユニット2を構成するリングロープ6とすり抜け防止ロープ31を配置させた状態で、これらを挟み込むように下方から前記貫通孔35B内に屈曲ボルト36を挿入させて上部に突出する屈曲ボルト36の端部にナット37を螺合させて締め込むことにより、ロープユニット2にすり抜け防止ロープ31を強固に連結させることができる。
他方、図9(A)に示すように、本実施形態の補助連結部33は図5に示すアンカー3と同様に地盤Gに埋設させた補助アンカー32に形成された雄ねじ部32Aに対して螺合可能に構成された一対のナット38,39と、これらのナットに挟み込まれるように配置されてそれぞれ貫通孔40A,41Bが形成されてなる角座金40,41と、これらの角座金40,41に挟み込まれるように配置され、前記貫通孔40A,41Bと同径か幾らか大きい外径を有すると共に雄ねじ部33を挿通可能な内径を有する短筒部材42とを備え、ナット38,39の間に、角座金40、短筒部材42、角座金41をこの順に挟みこんでナット39を締付けることにより形成されるものである。
図9(B)に示すように、補助連結部33は2枚の角座金40,41の間に短筒部材42の外周面の滑らかな曲面を位置させることができ、この角座金40,41間に種々のワイヤーを安定して巻回させることができるように構成している。
図9(C)に示すように、すり抜け防止ロープ31の先端部は、この先端部に巻付けられる螺旋状部分43A,43Bが両端に形成されて略U字状に湾曲させてなる巻付けグリップ43によって補助連結部33に連結される。
すなわち、まず図9(D)に示すように、一方の螺旋状部分43Aをすり抜け防止ロープ31の先端部に巻付けた状態で、すり抜け防止ロープ31に張力をかけるように巻付けグリップ43を補助連結部33の短筒部材42に巻回させて他方の螺旋状部分43Bを前記螺旋状部分43Aの間に位置させるようにすり抜け防止ロープ31の先端部に巻付けさせる。
図9(E)に示すように、両螺旋状部分43A,43Bが巻付けられたすり抜け防止ロープ31の先端には、巻付けグリップ43が巻付けられて、引張り力をかけた状態で補助連結部33に連結させることができる。
前記すり抜け防止ロープ31にはロープユニット2の下端部を地盤Gに押さえつける程度の力を作用させることができればよく、石Sの荷重がかかる部分ではないので、補助アンカー32はアンカー3に比べて細いものを使っても良く、例えば一番細い直径22mmのアンカーを使用してもよい。これによって製造コストの引き下げを図ることができる。
前記落石防止具30を用いた落石防止工法では、石Sにロープユニット2を設置する施工を施す前にロープユニット2の下部の複数箇所にすり抜け防止ロープ結合金具34を用いて前記すり抜け防止ロープ31を連結しておき、石Sをロープユニット2を取付ける時またはその後で前記補助アンカー32を石Sの両側部の下方に埋設させ、補助アンカーに前記補助連結部33を形成して、すり抜け防止ロープ31に引っ張り力を加えさせるように連結させることができる。
すり抜け防止ロープ31に引っ張り力を作用させることにより、ロープユニット2の下端部が地盤Gに押さえつけられるので、ロープユニット2の下端をすり抜けるようにして石Sが滑動することを効果的に防止することができる。
1,30 落石防止具
2 ロープユニット
3 アンカー
4 連結具
5 ワイヤロープ
6 リングロープ
7 ワイヤリング列
8 連結金具
31 すり抜け防止ロープ
32 補助アンカー
33 補助連結部
G 地盤
S 石
本発明は落石防止具および落石防止工法に係り、特に、安全を確保しながら斜面に露出した特定の石をアンカーにて確実に固定することができる落石防止具および落石防止工法に関する。
従来より、斜面に露出した石の滑動や転石を避けるために、ワイヤロープを格子状に組合わせたネットを用いて覆うことにより保護することが行なわれている。また、石を数本のロープで被ったり、引っかけたりすることにより斜面に固定する落石防止工法は非特許文献1に開示されている。
加えて、特許文献1には、石が散在する斜面においてワイヤロープを縦横に張り巡らせると共に交点において固定し、ワイヤロープをリング状に加工したものを多数並べて連結したロープユニットとして、前記ワイヤロープと接合することにより、落石を防止する落石防止装置および落石防止工法が開示されている。
さらに、特許文献2には、斜面にある複数の石の集合体に、ワイヤロープの端部を連結具によって連結したリング状のエレメントで被覆し、石と石との間に形成される凹部の無い石に対しアンカーを打ち込み固定することにより、密着させて抱持状態にすることで転動を防止する落石防止工法が開示されている。
特開平10−280332号公報 特許第4615203号公報
公益社団法人日本道路協会:「落石対策便覧」,2017,p.112−113
しかしながら、上述の非特許文献1で示される落石防止方法は,石に対して水平方向に這わせたワイヤロープの張力とワイヤロープの両端に結合させたアンカーの固定力によって石を固定するものであり、アンカーの設置本数はワイヤロープの設置本数によって決まるため、石の固定に必要なアンカー耐力を確保するために市場性の低い太径のアンカーを使用しなければならず、場合によっては必要な耐力を確保できないこともあった。
また、石が横長の形状の場合、水平方向に這わせるワイヤロープの本数が限られてしまうため、石の固定に必要な耐荷重を確保できないという課題があった。さらに、被覆対象の石にワイヤロープを巻回する作業中に石が滑動する可能性もあるため、石の下側においてアンカーの埋設や固定を行なうことには危険が伴っていた。
特許文献1の落石防止装置および落石防止工法の場合、ワイヤロープをリング状に加工した複数のロープリングの集合体からなるロープユニットにより、斜面に散在する石を固定するものであるが、縦横に敷設した格子状のワイヤロープに画一的な大きさに形成されたリングロープのロープユニットを取付けるものであるため、この格子状のワイヤロープが格子内の石の荷重を受け持つこととなり、格子を形成するワイヤロープ1本にかかる荷重の比率が大きくなるという問題がある。つまり、落石防止を行なうエリア内に大きな石がある場合、大きな石を対象とする落石防止を行なう場合に十分な強度で把持させる施工を行えないという問題がある。
特許文献2の落石防止工法の場合、複数の石を包み込んだ状態とするために、石にアンカーを打ち込み固定する必要があるが、このアンカー打設の際に石が滑動することや、アンカー打設の際に石が割れるという危険性もあり、作業環境が良くなかった。
本発明は上述の事柄を考慮に入れてなされたものであり、安全な施工によって斜面に位置する石をワイヤロープにより固定し、落石を防止することができる落石防止具および落石防止工法を提供することを目的とする。
第1発明は、複数のリングロープを縦方向に一直線状に並べた状態で、隣接するリングロープ同士を互いに交差するように連結させてなるワイヤリング列、および、被覆対象の石の幅に合わせた数のワイヤリング列を幅方向に並べて配置した状態で隣接する各リングロープを連結する結合金具からなるロープユニットと、このロープユニットの上部および両側部において地盤に埋設させた、被覆対象の石の荷重に合わせた複数のアンカーと、これらのアンカーをロープユニットのリングロープに引っ張り力をかけながら連結する複数の連結具とを備えることを特徴とする落石防止具(請求項1)を提供する。
また、別の観点から、第2発明は、複数のリングロープを縦方向に一直線状に並べた状態で、隣接するリングロープ同士を互いに交差するように連結させてなるワイヤリング列、および、被覆対象の石の幅に合わせた数のワイヤリング列を幅方向に並べて配置した状態で隣接する各リングロープを連結する結合金具からなるロープユニットと、このロープユニットの上部および両側部においてのみ地盤に埋設させた、被覆対象の石の荷重に合わせた複数のアンカーと、これらのアンカーをロープユニットのリングロープに引っ張り力をかけながら連結する複数の連結具とを備えることを特徴とする落石防止具(請求項2)を提供する。
リングロープは石の表面の凹凸に対応して変形する程度に湾曲し、引っ張り力を加えることにより、リングの各部に分散して力を作用させることができる。隣接するリングロープ同士を互いに交差するように連結させたワイヤリング列は縦方向に広い範囲において張力を分散させて作用させることができる。また、被覆対象の石の幅に合わせた数のワイヤリング列を連結させたロープユニットは石の全体を覆うことができる。
したがって、上記ロープユニットを用いることにより、被覆対象の石の全体を覆うことができ、被覆対象の石の上部および両側部の地盤に埋設させた複数のアンカーと連結部によってロープユニットの上部および両側部において引っ張り力をかけて地盤に固定することができる。このとき、ロープユニットの両側部においてアンカーに固定した連結部によってかけられる引っ張り力が横方向の各リングロープに分散して作用することにより石をしっかりと保持でき、さらに、ロープユニットの上部においてアンカーで引っ張りながら固定することにより、石の滑動や落下を確実に防止することができる。
とりわけ、ロープユニットの四隅においてロープユニットにかけられた引っ張り力は石の全体に分散して作用させて、石を地盤に安定して固定することが可能となる。施工時に石の下部において地盤にアンカーを打ち込む施工を施す必要がないため、施工中に万一石の滑動や落下が発生することがあったとしても、工事作業者の安全性を脅かすことがない。また、被覆対象の石に対してアンカーを打ち込む必要もないので、アンカー打設によって石が割れる心配もない。
前記結合金具は並べて配置させた2本のリングロープを挟み込むように断面視略コ字状に湾曲させたプレートと、このプレートの間に2本のリングロープを挟んだ状態でプレート両端部に設けた穴を貫通させるボルトと、このボルトに締付けられることによりプレートの間に2本のリングロープを抜け止め保持するナットとを備える場合(請求項)には、プレートによって挟まれた2本のリングロープを抜け止め保持することができる。
前記結合金具によって連結された2本のリングロープは抜け止め保持されると共に、リングロープの長手方向に移動可能であるから、各リングロープは張力を伝えながら自在に変形可能であり、被覆対象の石の各部に分散させて作用させて、石を地盤に固定することができる。
前記ロープユニットの下部の複数箇所に連結され、このロープユニットの幅よりも長いすり抜け防止ロープと、前記石の両側部の下部において地盤に埋設させた左右一対の補助アンカーと、前記すり抜け防止ロープの両端部を引っ張り力をかけながら補助アンカーに連結させる補助連結部とを備える場合(請求項)には、すり抜け防止ロープによってロープユニットの下部の複数箇所において張力をかけて、このロープユニットの下部が石の下部の地盤に押さえつけられた状態で固定されるので、ロープユニットの下部から石がすり抜けて滑動したり、崩落したりすることを防止できる。
補助アンカーは石の両側部の下部において地盤に埋設されるものであるから、石の下部における施工を避けることができ、それだけ、施工時の安全性を向上させることができる。
なお、補助アンカーにはロープユニットの下部の複数箇所を引っ張って地盤に固定させるに必要な引っ張り力がかけられるが、被覆対象の石の荷重がかからないため、石を地盤に固定させるための前記アンカーに比べて、細い補助アンカーを使用可能であるから、製造コストの引き上げを最小限に留めることができる。
発明は、縦方向に一直線状に配置した状態で隣接するリングロープを互いに交差させて連結させたワイヤリング列を形成し、被覆対象の石の幅に合せた数のワイヤリング列を幅方向に並べ、隣接する各リングロープを結合金具によって連結してロープユニットを形成する一方、石を覆ったロープユニットの上部および左右両側部において、地盤に被覆対象の石の荷重に合わせた複数のアンカーを埋設させ、これらのアンカーにロープユニットのリングロープを連結具によって引っ張りながら固定することにより、被覆対象の石の落下を防止することを特徴とする落石防止工法(請求項)を提供する。
そして、縦方向に一直線状に連結したワイヤリング列によって石の縦方向の広い範囲に引っ張り力を分散させることができる。被覆対象の石の幅に合わせた数のワイヤリング列を幅方向に並べて連結することにより、石の全体を被うことができる大きさのロープユニットを形成することができ、ロープユニットの左右両側部において地面にアンカーを埋設させ、このアンカーと連結具によってロープユニットを引っ張りながら固定することにより、石を地盤に押し当てるように引っ張り力をほぼ均等に作用させることができる。
なお、隣接するワイヤリング列を連結する作業は施工現場で行なうことにより、あらゆる大きさの石に対応して施工を行なう事が可能となり、石の凹凸に合わせて長さの異なるワイヤリング列を連結させることも可能となる。また、ワイヤリング列はリングロープを互いに交差させるように連結したものであるから、容易に重ねて省スペース化することができ、それだけ運搬しやすいという利点もある。しかしながら、幾つかのワイヤリング列を製造過程において予め連結させたリープユニットの原型を形成してもよい。この場合、現場にて更にワイヤリング列を連結するか、不要なリングロープを分離させることができる。
ロープユニットを地盤に固定するときには、まず、ロープユニットの四隅を地盤に打設したアンカーによって引っ張りながら固定させ、その後、ロープユニットの四隅を除く左右両側部において石の荷重に合せた数のアンカーによって引っ張りながら地盤に固定させ、さらに、ロープユニットの上部を石の荷重に合せた数のアンカーによって引っ張りながら地盤に固定させることができる。
これにより、ロープユニットの四隅の地盤に設けたアンカーによってロープユニットのリングロープを引っ張るように地盤に固定する事により、ロープユニットを構成する各リングロープに張力を分散させて作用させて地盤に固定する事ができ、四隅を除く左右両側部において石の荷重に合せて必要とする数のアンカーを打設し、これに引っ張りながらロープユニットのリングロープを連結することにより、ロープユニットを構成する各リングロープに更にそれぞれ分散させた引っ張り力を増し加えて作用させて十分な力で地盤に固定させることができる。
さらに、ロープユニットの上部において地盤に埋設させたアンカーにリングロープを引っ張りながら固定することにより、ロープユニットに生じた石の荷重を直接アンカーに伝達させ、石が斜面を滑動することを効果的に防止できる。アンカーの本数を石の荷重に耐えられる本数にして打設することにより、大きな石であっても十分な力で吊り下げて落石をより確実に防止することができる。
つまり、ロープユニットの許容耐力は、石に接触させた水平方向のリングロープ同士の交点(連結具を設けた点)の数と交点部分の許容耐力を乗じた値となるため、対象となる石が横長になる分だけ交点の数を増加させることによりロープユニットの許容耐力が向上する。
加えて、上述の施工を施す時に石の下部における作業を行なう必要がないので、万一施工中に、石が滑動することがあったとしても、作業員に危険が迫ることなく安全に作業を行なうことができる。
前記ロープユニットの下部の複数箇所に、このロープユニットの幅よりも長いすり抜け防止ロープを連結させた状態で、このロープユニットで石を覆う一方、石の両側部の下部において地盤に補助アンカーを埋設させ、前記すり抜け防止ロープを石の下部に配置させた状態で、その両端部を引っ張りながら前記補助アンカーに連結させる場合(請求項)には、ロープユニットの下部が複数箇所においてすり抜け防止ロープによって閉じられているので、このロープユニットで石を覆うときに、石の両側部の下部に埋設させた補助アンカーにすり抜け防止ロープに幅方向に引っ張り力をかけるように連結させることにより、ロープユニットの下部からの石のすり抜けを確実に防止できる。
なお、ロープユニットに対するすり抜け防止ロープの連結は、石へのロープユニットの設置を行なう前に行なうことにより、石の下方における作業をなくすことができ、より安全に施工を行うことができる。
前述したように、本発明によれば、固定の対象となる石が大きい場合でも、ロープユニットの上部および両側部において石の荷重に耐えうる数のアンカーを打設して、これによって必要十分な力で石を地盤に固定し、吊り下げるような張力を作用させ続けることができる。また、石を固定する施工を行なう際に危険を伴う石の下側における作業を無くすことにより、作業の安全性を確保することができる。
本発明の第1実施形態に係る落石防止具および落石防止工法を説明する縦断面図である、 前記落石防止具の全体構成および落石防止工法による施工後の状態を示す図である。 落石防止具の一部であるリングロープおよびロープユニットの構成を示す図である。 前記リングロープ同士を連結する連結金具の構成を説明する図である。 地盤に埋設させたアンカーの例を示す図である。 連結具の構成を説明する図である。 本発明の第2実施形態に係る落石防止具および落石防止工法を説明する図である。 すり抜け防止ロープをロープユニットに連結するすり抜け防止ロープ結合金具の構成を示す斜視図である。 すり抜け防止ロープを補助アンカーに連結する補助連結部の構成を示す図である。
以下、図1〜図6を用いて、本発明の第1実施形態にかかる落石防止具および落石防止工法を説明する。
図1に示すように、本発明は斜面を構成する地盤Gから突出する石Sの滑動および落下を防止する落石防止具1および落石防止工法に関するものである。本発明の落石防止具1は斜面に散在する多数の石を抱え持つようなものではなく、斜面から突出する大きな石Sを覆うようにして地盤Gに固定すると共に、上部の地盤Gに吊すように固定することにより落石を確実に防止する落石防止工法を実現させるものである。
図2に示すように、落石防止具1は石Sを包み込む程度の高さと幅を有するロープユニット2と、このロープユニット2の両側部および上部の地盤Gに埋設させるアンカー3と、このアンカー3にロープユニット2を引っ張り力をかけながら連結する連結具4とを備えるものである。
図3に示すように、前記ロープユニット2は、環状に接続したワイヤロープ5からなる複数のリングロープ6を縦方向に一直線状に並べた状態で、隣接するリングロープ6同士が互いに交差するように連結させてなるワイヤリング列7、および、複数のワイヤリング列7を幅方向に並べて配置した状態で隣接する各リングロープ6を連結する結合金具8からなる。
図3(A)に示すように環状に湾曲させたワイヤロープ5の両端部は楕円状のアルミ管内に挿入した状態で圧縮加工によって締結させたロック加工部9において強固に抜け止め接続される。ロック加工部9はロック加工によって速やかに接続可能であると共に、接続されたワイヤロープ5の端部には圧縮されたアルミがロープの間に食い込んで連結するので、ロープ接続部を損傷することなくその切断荷重と等しい強度を得ることができる。このようにして形成されたリングロープ6は被覆対象の石の凹凸に対して柔軟に変形可能であると共に、加えられた引っ張り力をリング上の各部に分散させて作用させることができる。
図3(B)に示すように、ワイヤリング列7は一直線状に配置したリングロープ6を形成する段階でリングロープ6同士が互いに交差するように連結することにより、ワイヤリング列7によって縦方向に広い範囲において引っ張り力を分散させて作用させることができるように構成している。なお、交差させたリングロープ6同士は引っ張り力を確実に伝達させると共に連結部が石の表面の凹凸に柔軟に対応して移動可能であるから、石の表面の各部に同程度の張力を分散させて作用させることができる。
図4は前記リングロープ6を連結する結合金具8の構成を示す図である。
図4(A)に示すように、本実施形態の結合金具8は両端部近傍に穴10Aをそれぞれ形成し、2つの穴10Aの位置を合わせるように略U字状に屈曲させてなるプレート10と、穴10Aに挿入するボルト11と、このボルト11に螺合されるナット12とを備える。
図4(B)に示すように、プレート10の間に2本のリングロープ6を挟み込んだ状態で、穴10Aにボルト11を挿入し、ナット12を締め付けることにより、2本のリングロープ6は抜け止め保持される。このとき、2本のリングロープ6は連結されるがプレート10に挟まれた状態で長手方向に移動可能である。すなわち、各リングロープ6は石の表面に当接した状態で、その表面の凹凸に合わせて変形すると共に、引っ張り力は結合金具8によって伝達されて石Sの各部に作用させることができる。
図5に示すように、前記アンカー3は例えば削岩機などを用いて石Sの左右両側部と上部の周辺に開設させた穿孔14に埋設された状態で、セメントなどの接着剤15によって固定される埋設部分16と、地盤Gから約10cmほど突出させた部分17とを備える。また、前記埋設部分16には抜け止め用の多数の横リブ16Aと、回転止め用の縦リブ16Bとを備える。上述のように構成されたアンカー3は接着剤15が硬化するときに、地盤Gに確実に固定した状態で頭部17によって石を吊り下げるために必要な引っ張り力に耐えることができる。
図6(A)に示すように、前記連結具4は前記アンカー3の頭部17を挿通する長穴18Aが形成された十分な強度を有する厚板形状の基体18と、この基体18との間にリングロープ6を嵌め込む溝19Aが形成され、溝19A内にリングロープ6を挟み込んだ状態で基体18に取付けられる嵌め込みプレート19と、基体18および嵌め込みプレート19に形成された貫通孔18B,19Bに挿通する略コ字状に屈曲させた屈曲ボルト20と、この屈曲ボルト20の両端部に螺号連結されるナット21とを備える。
図6(B)に示すように、嵌め込みプレート19によってリングロープ6を挟み込んだ状態で屈曲ボルト20とナット21を締め込むことにより、リングロープ6は連結具4に抜け止保持されることになり、この連結具4の長穴18Aをアンカー3の頭部17に設けた雄ねじ部にナット22を締付け保持することによりリングロープ6をアンカー3に固定することができる。なお、基体18にリングロープ6を引っ張る方向に長く形成された長穴18Aが形成されているので、アンカー3に連結具4を連結するときにリングロープ6を可能な限り引っ張りながら長穴18A内にアンカー3の頭部17を挿入し、ナット22をある程度締めた状態で、基体18をハンマーなどを用いて叩いて長穴18Aの範囲内で移動させた後に、ナット22を強く締付けることにより、より強い引っ張り力を加えられるように構成している。
上記構成の落石防止具1を用いることにより、斜面に位置する石Sの大きさに合わせて大きさが調節されたロープユニット2を用いて石Sの全体を覆うことができる。他方、ロープユニット2の両側部および上部において地盤Gに打設した複数のアンカー3に対して連結具4を用いてロープユニット2を引っ張り力をかけながら連結する事ができるので、石Sを地盤Gに押さえつけると共に、上部から石Sを吊り下げるように支持することができる。
とりわけ、ロープユニット2の四隅においてかけた引っ張り力はロープユニット2の全体に分散して作用し、石Sを地盤Gに押さえつけることができる。加えて、石Sの荷重に合わせた数だけロープユニット2の左右両側に設けたアンカー3に対して引っ張りながら連結する事により、石Sを十分な力で地盤Gに確実に固定できる。さらに、石Sの荷重に合せた数だけロープユニット2の上部に設けたアンカー3に対して引っ張りながら連結させることにより石Sを上部において吊り下げることができる。なお、落石防止の施工を施す際に石Sの下側における作業を行なう必要が無いのでそれだけ安全に作業を行なうことができる。
また、石Sの大きさや形状によっては、長さの異なるワイヤリング列7を連結させることにより、特殊な形状のロープユニット2を形成することも可能である。
さらに、本発明の落石防止具1を用い、落石防止工法によって地盤Gに固定された石は滑動や落石を防止できるので、本発明の落石防止具および落石防止工法を実施した後に、斜面の全体を従来の金網を用いた落石防止装置などによって保護するようにしてもよい。
以下、図7〜図9を用いて、本発明の第2実施形態に係る落石防止具および落石防止工法を説明する。図7〜図9において、図1〜図6と同じ符号を付した部材は同一または同等の部材であるから、その詳細な説明を省略して重複説明を避ける。
図7に示すように、本実施形態の落石防止具30は、ロープユニット2の下端部の複数カ所においてロープユニット2に連結され、ロープユニット2の幅より長いすり抜け防止ロープ31と、石Sの左右両側部の下部の地盤Gに埋設させた左右一対の補助アンカー32と、すり抜け防止ロープ31の両端部を引張り力をかけながら補助アンカー32に連結させる補助連結部33とを備える。また、34はすり抜け防止ロープ31をロープユニット2の複数の下端部に連結させるすり抜け防止ロープ結合金具である。
図8(A)に示すように、抜け防止ロープ結合金具34の構成は、ロープユニット2を構成するリングロープ6およびすり抜け防止ロープ31を挟み込むのに丁度良い凹溝35Aが形成された挟み込みプレート35と、この挟み込みプレート35に開設させた4つの貫通孔35Bのうち2つを貫通するように略コ字状に屈曲させた一対の屈曲ボルト36と、この屈曲ボルト36の両端部に螺合連結される4個のナット37とを備える。
図8(B)に示すように、凹溝35内にロープユニット2を構成するリングロープ6とすり抜け防止ロープ31を配置させた状態で、これらを挟み込むように下方から前記貫通孔35B内に屈曲ボルト36を挿入させて上部に突出する屈曲ボルト36の端部にナット37を螺合させて締め込むことにより、ロープユニット2にすり抜け防止ロープ31を強固に連結させることができる。
他方、図9(A)に示すように、本実施形態の補助連結部33は図5に示すアンカー3と同様に地盤Gに埋設させた補助アンカー32に形成された雄ねじ部32Aに対して螺合可能に構成された一対のナット38,39と、これらのナットに挟み込まれるように配置されてそれぞれ貫通孔40A,41Aが形成されてなる角座金40,41と、これらの角座金40,41に挟み込まれるように配置され、前記貫通孔40A,41Bと同径か幾らか大きい外径を有すると共に雄ねじ部33を挿通可能な内径を有する短筒部材42とを備え、ナット38,39の間に、角座金40、短筒部材42、角座金41をこの順に挟みこんでナット39を締付けることにより形成されるものである。
図9(B)に示すように、補助連結部33は2枚の角座金40,41の間に短筒部材42の外周面の滑らかな曲面を位置させることができ、この角座金40,41間に種々のワイヤーを安定して巻回させることができるように構成している。
図9(C)に示すように、すり抜け防止ロープ31の先端部は、この先端部に巻付けられる螺旋状部分43A,43Bが両端に形成されて略U字状に湾曲させてなる巻付けグリップ43によって補助連結部33に連結される。
すなわち、まず図9(D)に示すように、一方の螺旋状部分43Aをすり抜け防止ロープ31の先端部に巻付けた状態で、すり抜け防止ロープ31に張力をかけるように巻付けグリップ43を補助連結部33の短筒部材42に巻回させて他方の螺旋状部分43Bを前記螺旋状部分43Aの間に位置させるようにすり抜け防止ロープ31の先端部に巻付けさせる。
図9(E)に示すように、両螺旋状部分43A,43Bが巻付けられたすり抜け防止ロープ31の先端には、巻付けグリップ43が巻付けられて、引張り力をかけた状態で補助連結部33に連結させることができる。
前記すり抜け防止ロープ31にはロープユニット2の下端部を地盤Gに押さえつける程度の力を作用させることができればよく、石Sの荷重がかかる部分ではないので、補助アンカー32はアンカー3に比べて細いものを使っても良く、例えば一番細い直径22mmのアンカーを使用してもよい。これによって製造コストの引き下げを図ることができる。
前記落石防止具30を用いた落石防止工法では、石Sにロープユニット2を設置する施工を施す前にロープユニット2の下部の複数箇所にすり抜け防止ロープ結合金具34を用いて前記すり抜け防止ロープ31を連結しておき、石Sをロープユニット2を取付ける時またはその後で前記補助アンカー32を石Sの両側部の下方に埋設させ、補助アンカーに前記補助連結部33を形成して、すり抜け防止ロープ31に引っ張り力を加えさせるように連結させることができる。
すり抜け防止ロープ31に引っ張り力を作用させることにより、ロープユニット2の下端部が地盤Gに押さえつけられるので、ロープユニット2の下端をすり抜けるようにして石Sが滑動することを効果的に防止することができる。
1,30 落石防止具
2 ロープユニット
3 アンカー
4 連結具
5 ワイヤロープ
6 リングロープ
7 ワイヤリング列
8 連結金具
31 すり抜け防止ロープ
32 補助アンカー
33 補助連結部
G 地盤
S 石
本発明は落石防止具および落石防止工法に係り、特に、安全を確保しながら斜面に露出した特定の石をアンカーにて確実に固定することができる落石防止具および落石防止工法に関する。
従来より、斜面に露出した石の滑動や転石を避けるために、ワイヤロープを格子状に組合わせたネットを用いて覆うことにより保護することが行なわれている。また、石を数本のロープで被ったり、引っかけたりすることにより斜面に固定する落石防止工法は非特許文献1に開示されている。
加えて、特許文献1には、石が散在する斜面においてワイヤロープを縦横に張り巡らせると共に交点において固定し、ワイヤロープをリング状に加工したものを多数並べて連結したロープユニットとして、前記ワイヤロープと接合することにより、落石を防止する落石防止装置および落石防止工法が開示されている。
さらに、特許文献2には、斜面にある複数の石の集合体に、ワイヤロープの端部を連結具によって連結したリング状のエレメントで被覆し、石と石との間に形成される凹部の無い石に対しアンカーを打ち込み固定することにより、密着させて抱持状態にすることで転動を防止する落石防止工法が開示されている。
特開平10−280332号公報 特許第4615203号公報
公益社団法人日本道路協会:「落石対策便覧」,2017,p.112−113
しかしながら、上述の非特許文献1で示される落石防止方法は,石に対して水平方向に這わせたワイヤロープの張力とワイヤロープの両端に結合させたアンカーの固定力によって石を固定するものであり、アンカーの設置本数はワイヤロープの設置本数によって決まるため、石の固定に必要なアンカー耐力を確保するために市場性の低い太径のアンカーを使用しなければならず、場合によっては必要な耐力を確保できないこともあった。
また、石が横長の形状の場合、水平方向に這わせるワイヤロープの本数が限られてしまうため、石の固定に必要な耐荷重を確保できないという課題があった。さらに、被覆対象の石にワイヤロープを巻回する作業中に石が滑動する可能性もあるため、石の下側においてアンカーの埋設や固定を行なうことには危険が伴っていた。
特許文献1の落石防止装置および落石防止工法の場合、ワイヤロープをリング状に加工した複数のロープリングの集合体からなるロープユニットにより、斜面に散在する石を固定するものであるが、縦横に敷設した格子状のワイヤロープに画一的な大きさに形成されたリングロープのロープユニットを取付けるものであるため、この格子状のワイヤロープが格子内の石の荷重を受け持つこととなり、格子を形成するワイヤロープ1本にかかる荷重の比率が大きくなるという問題がある。つまり、落石防止を行なうエリア内に大きな石がある場合、大きな石を対象とする落石防止を行なう場合に十分な強度で把持させる施工を行えないという問題がある。
特許文献2の落石防止工法の場合、複数の石を包み込んだ状態とするために、石にアンカーを打ち込み固定する必要があるが、このアンカー打設の際に石が滑動することや、アンカー打設の際に石が割れるという危険性もあり、作業環境が良くなかった。
本発明は上述の事柄を考慮に入れてなされたものであり、安全な施工によって斜面に位置する石をワイヤロープにより固定し、落石を防止することができる落石防止具および落石防止工法を提供することを目的とする。
第1発明は、複数のリングロープを縦方向に一直線状に並べた状態で、隣接するリングロープ同士を互いに交差するように連結させてなるワイヤリング列、および、被覆対象の石の幅に合わせた数のワイヤリング列を幅方向に並べて配置した状態で隣接する各リングロープを連結する結合金具からなるロープユニットと、このロープユニットの上部および両側部において地盤に埋設させた、被覆対象の石の荷重に合わせた複数のアンカーと、これらのアンカーをロープユニットのリングロープに引っ張り力をかけながら連結する複数の連結具とを備え、さらに、被覆対象の石が横長の形状であることを特徴とする落石防止具(請求項1)を提供する。
また、別の観点から、第2発明は、複数のリングロープを縦方向に一直線状に並べた状態で、隣接するリングロープ同士を互いに交差するように連結させてなるワイヤリング列、および、被覆対象の石の幅に合わせた数のワイヤリング列を幅方向に並べて配置した状態で隣接する各リングロープを連結する結合金具からなるロープユニットと、このロープユニットの上部および両側部においてのみ地盤に埋設させた、被覆対象の石の荷重に合わせた複数のアンカーと、これらのアンカーをロープユニットのリングロープに引っ張り力をかけながら連結する複数の連結具とを備え、さらに、被覆対象の石が横長の形状であることを特徴とする落石防止具(請求項2)を提供する。
リングロープは石の表面の凹凸に対応して変形する程度に湾曲し、引っ張り力を加えることにより、リングの各部に分散して力を作用させることができる。隣接するリングロープ同士を互いに交差するように連結させたワイヤリング列は縦方向に広い範囲において張力を分散させて作用させることができる。また、被覆対象の石の幅に合わせた数のワイヤリング列を連結させたロープユニットは石の全体を覆うことができる。
したがって、上記ロープユニットを用いることにより、被覆対象の石の全体を覆うことができ、被覆対象の石の上部および両側部の地盤に埋設させた複数のアンカーと連結部によってロープユニットの上部および両側部において引っ張り力をかけて地盤に固定することができる。このとき、ロープユニットの両側部においてアンカーに固定した連結部によってかけられる引っ張り力が横方向の各リングロープに分散して作用することにより石をしっかりと保持でき、さらに、ロープユニットの上部においてアンカーで引っ張りながら固定することにより、石の滑動や落下を確実に防止することができる。
とりわけ、ロープユニットの四隅においてロープユニットにかけられた引っ張り力は石の全体に分散して作用させて、石を地盤に安定して固定することが可能となる。施工時に石の下部において地盤にアンカーを打ち込む施工を施す必要がないため、施工中に万一石の滑動や落下が発生することがあったとしても、工事作業者の安全性を脅かすことがない。また、被覆対象の石に対してアンカーを打ち込む必要もないので、アンカー打設によって石が割れる心配もない。
前記結合金具は並べて配置させた2本のリングロープを挟み込むように断面視略コ字状に湾曲させたプレートと、このプレートの間に2本のリングロープを挟んだ状態でプレート両端部に設けた穴を貫通させるボルトと、このボルトに締付けられることによりプレートの間に2本のリングロープを抜け止め保持するナットとを備える場合(請求項3)には、プレートによって挟まれた2本のリングロープを抜け止め保持することができる。
前記結合金具によって連結された2本のリングロープは抜け止め保持されると共に、リングロープの長手方向に移動可能であるから、各リングロープは張力を伝えながら自在に変形可能であり、被覆対象の石の各部に分散させて作用させて、石を地盤に固定することができる。
前記ロープユニットの下部の複数箇所に連結され、このロープユニットの幅よりも長いすり抜け防止ロープと、前記石の両側部の下部において地盤に埋設させた左右一対の補助アンカーと、前記すり抜け防止ロープの両端部を引っ張り力をかけながら補助アンカーに連結させる補助連結部とを備える場合(請求項4)には、すり抜け防止ロープによってロープユニットの下部の複数箇所において張力をかけて、このロープユニットの下部が石の下部の地盤に押さえつけられた状態で固定されるので、ロープユニットの下部から石がすり抜けて滑動したり、崩落したりすることを防止できる。
補助アンカーは石の両側部の下部において地盤に埋設されるものであるから、石の下部における施工を避けることができ、それだけ、施工時の安全性を向上させることができる。
なお、補助アンカーにはロープユニットの下部の複数箇所を引っ張って地盤に固定させるのに必要な引っ張り力がかけられるが、被覆対象の石の荷重がかからないため、石を地盤に固定させるための前記アンカーに比べて、細い補助アンカーを使用可能であるから、製造コストの引き上げを最小限に留めることができる。
第3発明は、縦方向に一直線状に配置した状態で隣接するリングロープを互いに交差させて連結させたワイヤリング列を形成し、被覆対象の石の幅に合せた数のワイヤリング列を幅方向に並べ、隣接する各リングロープを結合金具によって連結してロープユニットを形成する一方、石を覆ったロープユニットの上部および左右両側部において、地盤に被覆対象である横長の形状の石の荷重に合わせた複数のアンカーを埋設させ、これらのアンカーにロープユニットのリングロープを連結具によって引っ張りながら固定することにより、被覆対象の石の落下を防止することを特徴とする落石防止工法(請求項5)を提供する。
そして、縦方向に一直線状に連結したワイヤリング列によって石の縦方向の広い範囲に引っ張り力を分散させることができる。被覆対象の石の幅に合わせた数のワイヤリング列を幅方向に並べて連結することにより、石の全体を被うことができる大きさのロープユニットを形成することができ、ロープユニットの左右両側部において地面にアンカーを埋設させ、このアンカーと連結具によってロープユニットを引っ張りながら固定することにより、石を地盤に押し当てるように引っ張り力をほぼ均等に作用させることができる。
なお、隣接するワイヤリング列を連結する作業は施工現場で行なうことにより、あらゆる大きさの石に対応して施工を行なう事が可能となり、石の凹凸に合わせて長さの異なるワイヤリング列を連結させることも可能となる。また、ワイヤリング列はリングロープを互いに交差させるように連結したものであるから、容易に重ねて省スペース化することができ、それだけ運搬しやすいという利点もある。しかしながら、幾つかのワイヤリング列を製造過程において予め連結させたリープユニットの原型を形成してもよい。この場合、現場にて更にワイヤリング列を連結するか、不要なリングロープを分離させることができる。
ロープユニットを地盤に固定するときには、まず、ロープユニットの四隅を地盤に打設したアンカーによって引っ張りながら固定させ、その後、ロープユニットの四隅を除く左右両側部において石の荷重に合せた数のアンカーによって引っ張りながら地盤に固定させ、さらに、ロープユニットの上部を石の荷重に合せた数のアンカーによって引っ張りながら地盤に固定させることができる。
これにより、ロープユニットの四隅の地盤に設けたアンカーによってロープユニットのリングロープを引っ張るように地盤に固定する事により、ロープユニットを構成する各リングロープに張力を分散させて作用させて地盤に固定する事ができ、四隅を除く左右両側部において石の荷重に合せて必要とする数のアンカーを打設し、これに引っ張りながらロープユニットのリングロープを連結することにより、ロープユニットを構成する各リングロープに更にそれぞれ分散させた引っ張り力を増し加えて作用させて十分な力で地盤に固定させることができる。
さらに、ロープユニットの上部において地盤に埋設させたアンカーにリングロープを引っ張りながら固定することにより、ロープユニットに生じた石の荷重を直接アンカーに伝達させ、石が斜面を滑動することを効果的に防止できる。アンカーの本数を石の荷重に耐えられる本数にして打設することにより、大きな石であっても十分な力で吊り下げて落石をより確実に防止することができる。
つまり、ロープユニットの許容耐力は、石に接触させた水平方向のリングロープ同士の交点(連結具を設けた点)の数と交点部分の許容耐力を乗じた値となるため、対象となる石が横長になる分だけ交点の数を増加させることによりロープユニットの許容耐力が向上する。
加えて、上述の施工を施す時に石の下部における作業を行なう必要がないので、万一施工中に、石が滑動することがあったとしても、作業員に危険が迫ることなく安全に作業を行なうことができる。
前記ロープユニットの下部の複数箇所に、このロープユニットの幅よりも長いすり抜け防止ロープを連結させた状態で、このロープユニットで石を覆う一方、石の両側部の下部において地盤に補助アンカーを埋設させ、前記すり抜け防止ロープを石の下部に配置させた状態で、その両端部を引っ張りながら前記補助アンカーに連結させる場合(請求項)には、ロープユニットの下部が複数箇所においてすり抜け防止ロープによって閉じられているので、このロープユニットで石を覆うときに、石の両側部の下部に埋設させた補助アンカーにすり抜け防止ロープに幅方向に引っ張り力をかけるように連結させることにより、ロープユニットの下部からの石のすり抜けを確実に防止できる。
なお、ロープユニットに対するすり抜け防止ロープの連結は、石へのロープユニットの設置を行なう前に行なうことにより、石の下方における作業をなくすことができ、より安全に施工を行うことができる。
前述したように、本発明によれば、固定の対象となる横長の形状の石が大きい場合でも、ロープユニットの上部および両側部において石の荷重に耐えうる数のアンカーを打設して、これによって必要十分な力で石を地盤に固定し、吊り下げるような張力を作用させ続けることができる。また、石を固定する施工を行なう際に危険を伴う石の下側における作業を無くすことにより、作業の安全性を確保することができる。
本発明の第1実施形態に係る落石防止具および落石防止工法を説明する縦断面図である、 前記落石防止具の全体構成および落石防止工法による施工後の状態を示す図である。 落石防止具の一部であるリングロープおよびロープユニットの構成を示す図である。 前記リングロープ同士を連結する連結金具の構成を説明する図である。 地盤に埋設させたアンカーの例を示す図である。 連結具の構成を説明する図である。 本発明の第2実施形態に係る落石防止具および落石防止工法を説明する図である。 すり抜け防止ロープをロープユニットに連結するすり抜け防止ロープ結合金具の構成を示す斜視図である。 すり抜け防止ロープを補助アンカーに連結する補助連結部の構成を示す図である。
以下、図1〜図6を用いて、本発明の第1実施形態にかかる落石防止具および落石防止工法を説明する。
図1に示すように、本発明は斜面を構成する地盤Gから突出する横長の形状の石Sの滑動および落下を防止する落石防止具1および落石防止工法に関するものである。本発明の落石防止具1は斜面に散在する多数の石を抱え持つようなものではなく、斜面から突出する大きな石Sを覆うようにして地盤Gに固定すると共に、上部の地盤Gに吊すように固定することにより落石を確実に防止する落石防止工法を実現させるものである。
図2に示すように、落石防止具1は石Sを包み込む程度の高さと幅を有するロープユニット2と、このロープユニット2の両側部および上部の地盤Gに埋設させるアンカー3と、このアンカー3にロープユニット2を引っ張り力をかけながら連結する連結具4とを備えるものである。
図3に示すように、前記ロープユニット2は、環状に接続したワイヤロープ5からなる複数のリングロープ6を縦方向に一直線状に並べた状態で、隣接するリングロープ6同士が互いに交差するように連結させてなるワイヤリング列7、および、複数のワイヤリング列7を幅方向に並べて配置した状態で隣接する各リングロープ6を連結する結合金具8からなる。
図3(A)に示すように環状に湾曲させたワイヤロープ5の両端部は楕円状のアルミ管内に挿入した状態で圧縮加工によって締結させたロック加工部9において強固に抜け止め接続される。ロック加工部9はロック加工によって速やかに接続可能であると共に、接続されたワイヤロープ5の端部には圧縮されたアルミがロープの間に食い込んで連結するので、ロープ接続部を損傷することなくその切断荷重と等しい強度を得ることができる。このようにして形成されたリングロープ6は被覆対象の石の凹凸に対して柔軟に変形可能であると共に、加えられた引っ張り力をリング上の各部に分散させて作用させることができる。
図3(B)に示すように、ワイヤリング列7は一直線状に配置したリングロープ6を形成する段階でリングロープ6同士が互いに交差するように連結することにより、ワイヤリング列7によって縦方向に広い範囲において引っ張り力を分散させて作用させることができるように構成している。なお、交差させたリングロープ6同士は引っ張り力を確実に伝達させると共に連結部が石の表面の凹凸に柔軟に対応して移動可能であるから、石の表面の各部に同程度の張力を分散させて作用させることができる。
図4は前記リングロープ6を連結する結合金具8の構成を示す図である。
図4(A)に示すように、本実施形態の結合金具8は両端部近傍に穴10Aをそれぞれ形成し、2つの穴10Aの位置を合わせるように略U字状に屈曲させてなるプレート10と、穴10Aに挿入するボルト11と、このボルト11に螺合されるナット12とを備える。
図4(B)に示すように、プレート10の間に2本のリングロープ6を挟み込んだ状態で、穴10Aにボルト11を挿入し、ナット12を締め付けることにより、2本のリングロープ6は抜け止め保持される。このとき、2本のリングロープ6は連結されるがプレート10に挟まれた状態で長手方向に移動可能である。すなわち、各リングロープ6は石の表面に当接した状態で、その表面の凹凸に合わせて変形すると共に、引っ張り力は結合金具8によって伝達されて石Sの各部に作用させることができる。
図5に示すように、前記アンカー3は例えば削岩機などを用いて石Sの左右両側部と上部の周辺に開設させた穿孔14に埋設された状態で、セメントなどの接着剤15によって固定される埋設部分16と、地盤Gから約10cmほど突出させた部分17とを備える。また、前記埋設部分16には抜け止め用の多数の横リブ16Aと、回転止め用の縦リブ16Bとを備える。上述のように構成されたアンカー3は接着剤15が硬化するときに、地盤Gに確実に固定した状態で頭部17によって石を吊り下げるために必要な引っ張り力に耐えることができる。
図6(A)に示すように、前記連結具4は前記アンカー3の頭部17を挿通する長穴18Aが形成された十分な強度を有する厚板形状の基体18と、この基体18との間にリングロープ6を嵌め込む溝19Aが形成され、溝19A内にリングロープ6を挟み込んだ状態で基体18に取付けられる嵌め込みプレート19と、基体18および嵌め込みプレート19に形成された貫通孔18B,19Bに挿通する略コ字状に屈曲させた屈曲ボルト20と、この屈曲ボルト20の両端部に螺号連結されるナット21とを備える。
図6(B)に示すように、嵌め込みプレート19によってリングロープ6を挟み込んだ状態で屈曲ボルト20とナット21を締め込むことにより、リングロープ6は連結具4に抜け止保持されることになり、この連結具4の長穴18Aをアンカー3の頭部17に設けた雄ねじ部にナット22を締付け保持することによりリングロープ6をアンカー3に固定することができる。なお、基体18にリングロープ6を引っ張る方向に長く形成された長穴18Aが形成されているので、アンカー3に連結具4を連結するときにリングロープ6を可能な限り引っ張りながら長穴18A内にアンカー3の頭部17を挿入し、ナット22をある程度締めた状態で、基体18をハンマーなどを用いて叩いて長穴18Aの範囲内で移動させた後に、ナット22を強く締付けることにより、より強い引っ張り力を加えられるように構成している。
上記構成の落石防止具1を用いることにより、斜面に位置する石Sの大きさに合わせて大きさが調節されたロープユニット2を用いて石Sの全体を覆うことができる。他方、ロープユニット2の両側部および上部において地盤Gに打設した複数のアンカー3に対して連結具4を用いてロープユニット2を引っ張り力をかけながら連結する事ができるので、石Sを地盤Gに押さえつけると共に、上部から石Sを吊り下げるように支持することができる。
とりわけ、ロープユニット2の四隅においてかけた引っ張り力はロープユニット2の全体に分散して作用し、石Sを地盤Gに押さえつけることができる。加えて、石Sの荷重に合わせた数だけロープユニット2の左右両側に設けたアンカー3に対して引っ張りながら連結する事により、石Sを十分な力で地盤Gに確実に固定できる。さらに、石Sの荷重に合せた数だけロープユニット2の上部に設けたアンカー3に対して引っ張りながら連結させることにより石Sを上部において吊り下げることができる。なお、落石防止の施工を施す際に石Sの下側における作業を行なう必要が無いのでそれだけ安全に作業を行なうことができる。
また、石Sの大きさや形状によっては、長さの異なるワイヤリング列7を連結させることにより、特殊な形状のロープユニット2を形成することも可能である。
さらに、本発明の落石防止具1を用い、落石防止工法によって地盤Gに固定された石は滑動や落石を防止できるので、本発明の落石防止具および落石防止工法を実施した後に、斜面の全体を従来の金網を用いた落石防止装置などによって保護するようにしてもよい。
以下、図7〜図9を用いて、本発明の第2実施形態に係る落石防止具および落石防止工法を説明する。図7〜図9において、図1〜図6と同じ符号を付した部材は同一または同等の部材であるから、その詳細な説明を省略して重複説明を避ける。
図7に示すように、本実施形態の落石防止具30は、ロープユニット2の下端部の複数カ所においてロープユニット2に連結され、ロープユニット2の幅より長いすり抜け防止ロープ31と、石Sの左右両側部の下部の地盤Gに埋設させた左右一対の補助アンカー32と、すり抜け防止ロープ31の両端部を引張り力をかけながら補助アンカー32に連結させる補助連結部33とを備える。また、34はすり抜け防止ロープ31をロープユニット2の複数の下端部に連結させるすり抜け防止ロープ結合金具である。
図8(A)に示すように、抜け防止ロープ結合金具34の構成は、ロープユニット2を構成するリングロープ6およびすり抜け防止ロープ31を挟み込むのに丁度良い凹溝35Aが形成された挟み込みプレート35と、この挟み込みプレート35に開設させた4つの貫通孔35Bのうち2つを貫通するように略コ字状に屈曲させた一対の屈曲ボルト36と、この屈曲ボルト36の両端部に螺合連結される4個のナット37とを備える。
図8(B)に示すように、凹溝35内にロープユニット2を構成するリングロープ6とすり抜け防止ロープ31を配置させた状態で、これらを挟み込むように下方から前記貫通孔35B内に屈曲ボルト36を挿入させて上部に突出する屈曲ボルト36の端部にナット37を螺合させて締め込むことにより、ロープユニット2にすり抜け防止ロープ31を強固に連結させることができる。
他方、図9(A)に示すように、本実施形態の補助連結部33は図5に示すアンカー3と同様に地盤Gに埋設させた補助アンカー32に形成された雄ねじ部32Aに対して螺合可能に構成された一対のナット38,39と、これらのナットに挟み込まれるように配置されてそれぞれ貫通孔40A,41Aが形成されてなる角座金40,41と、これらの角座金40,41に挟み込まれるように配置され、前記貫通孔40A,41Bと同径か幾らか大きい外径を有すると共に雄ねじ部33を挿通可能な内径を有する短筒部材42とを備え、ナット38,39の間に、角座金40、短筒部材42、角座金41をこの順に挟みこんでナット39を締付けることにより形成されるものである。
図9(B)に示すように、補助連結部33は2枚の角座金40,41の間に短筒部材42の外周面の滑らかな曲面を位置させることができ、この角座金40,41間に種々のワイヤーを安定して巻回させることができるように構成している。
図9(C)に示すように、すり抜け防止ロープ31の先端部は、この先端部に巻付けられる螺旋状部分43A,43Bが両端に形成されて略U字状に湾曲させてなる巻付けグリップ43によって補助連結部33に連結される。
すなわち、まず図9(D)に示すように、一方の螺旋状部分43Aをすり抜け防止ロープ31の先端部に巻付けた状態で、すり抜け防止ロープ31に張力をかけるように巻付けグリップ43を補助連結部33の短筒部材42に巻回させて他方の螺旋状部分43Bを前記螺旋状部分43Aの間に位置させるようにすり抜け防止ロープ31の先端部に巻付けさせる。
図9(E)に示すように、両螺旋状部分43A,43Bが巻付けられたすり抜け防止ロープ31の先端には、巻付けグリップ43が巻付けられて、引張り力をかけた状態で補助連結部33に連結させることができる。
前記すり抜け防止ロープ31にはロープユニット2の下端部を地盤Gに押さえつける程度の力を作用させることができればよく、石Sの荷重がかかる部分ではないので、補助アンカー32はアンカー3に比べて細いものを使っても良く、例えば一番細い直径22mmのアンカーを使用してもよい。これによって製造コストの引き下げを図ることができる。
前記落石防止具30を用いた落石防止工法では、横長の形状の石Sにロープユニット2を設置する施工を施す前にロープユニット2の下部の複数箇所にすり抜け防止ロープ結合金具34を用いて前記すり抜け防止ロープ31を連結しておき、石Sをロープユニット2を取付ける時またはその後で前記補助アンカー32を石Sの両側部の下方に埋設させ、補助アンカーに前記補助連結部33を形成して、すり抜け防止ロープ31に引っ張り力を加えさせるように連結させることができる。
すり抜け防止ロープ31に引っ張り力を作用させることにより、ロープユニット2の下端部が地盤Gに押さえつけられるので、ロープユニット2の下端をすり抜けるようにして石Sが滑動することを効果的に防止することができる。
1,30 落石防止具
2 ロープユニット
3 アンカー
4 連結具
5 ワイヤロープ
6 リングロープ
7 ワイヤリング列
8 連結金具
31 すり抜け防止ロープ
32 補助アンカー
33 補助連結部
G 地盤
横長の形状の

Claims (5)

  1. 複数のリングロープを縦方向に一直線状に並べた状態で、隣接するリングロープ同士を互いに交差するように連結させてなるワイヤリング列、および、被覆対象の石の幅に合わせた数のワイヤリング列を幅方向に並べて配置した状態で隣接する各リングロープを連結する結合金具からなるロープユニットと、このロープユニットの上部および両側部において地盤に埋設させた複数のアンカーと、これらのアンカーをロープユニットのリングロープに引っ張り力をかけながら連結する複数の連結具とを備えることを特徴とする落石防止具。
  2. 前記結合金具は並べて配置させた2本のリングロープを挟み込むように断面視略コ字状に湾曲させたプレートと、このプレートの間に2本のリングロープを挟んだ状態でプレート両端部に設けた穴を貫通させるボルトと、このボルトに締付けられることによりプレートの間に2本のリングロープを抜け止め保持するナットとを備える請求項1に記載の落石防止具。
  3. 前記ロープユニットの下部の複数箇所に連結され、このロープユニットの幅よりも長いすり抜け防止ロープと、
    前記石の両側部の下部において地盤に埋設させた左右一対の補助アンカーと、
    前記すり抜け防止ロープの両端部を引っ張り力をかけながら補助アンカーに連結させる補助連結部とを備える請求項1または2に記載の落石防止具。
  4. 縦方向に一直線状に配置した状態で隣接するリングロープを互いに交差させて連結させたワイヤリング列を形成し、
    被覆対象の石の幅に合せた数のワイヤリング列を幅方向に並べ、
    隣接する各リングロープを結合金具によって連結してロープユニットを形成する一方、
    石を覆ったロープユニットの上部および左右両側部において地盤に複数のアンカーを埋設させ、
    これらのアンカーにロープユニットのリングロープを連結具によって引っ張りながら固定することにより、
    被覆対象の石の落下を防止することを特徴とする落石防止工法。
  5. 前記ロープユニットの下部の複数箇所に、このロープユニットの幅よりも長いすり抜け防止ロープを連結させた状態で、このロープユニットで石を覆う一方、
    石の両側部の下部において地盤に補助アンカーを埋設させ、
    前記すり抜け防止ロープを石の下部に配置させた状態で、その両端部を引っ張りながら前記補助アンカーに連結させる請求項4に記載の落石防止工法。
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