JP2020158882A - 方向性電磁鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】低い磁化領域から高い磁化領域までの磁気特性に優れた方向性電磁鋼板を提供する。【解決手段】鋼板片面に、圧延方向を横切る向きに線状に延びかつ圧延方向に間隔を置いて並ぶ、複数本の線状溝を有する方向性電磁鋼板とし、上記線状溝は、圧延方向断面積の異なる少なくとも2種を有し、上記線状溝において、最も大きい圧延方向断面積をA(mm2)および最も小さい圧延方向断面積をB(mm2)とするとき、{(A−B)/A}×100を10%以上60%以下とする。【選択図】図3

Description

本発明は、変圧器などの鉄心材料に好適な方向性電磁鋼板およびその製造方法に関するものである。
鉄の磁化容易軸である<001>方位が鋼板の圧延方向に高度に揃った結晶組織を有する方向性電磁鋼板は、特に電力用変圧器の鉄心材料として用いられている。かかる電力用変圧器は、その鉄心構造から積鉄心変圧器と巻鉄心変圧器に大別される。
積鉄心変圧器とは、所定の形状に切断した鋼板を積層することによって鉄心を形成するものである。一方、巻鉄心変圧器は、鋼板を巻き重ねて鉄心を形成するものである。変圧器鉄心として要求される特性は種々あるが、特に重要なのは鉄損が小さいことである。
その観点から、鉄心素材である方向性電磁鋼板に要求される特性として、鉄損値が小さいことが挙げられ、この特性は重要である。ここで、鉄損を下げるための技術の一つとして、磁区細分化技術がある。磁区細分化技術とは、鋼板の表面に対して物理的な手法で磁束の不均一性を導入することにより、磁区の幅を細分化して鉄損を低減する技術である。
例えば、特許文献1には、方向性電磁鋼板の圧延方向と交差する向きに線状の溝を形成することで、磁区を細分化する技術が記載されている。また、特許文献2には、仕上げ焼鈍済みの鋼板に882〜2156MPa(90〜220kgf/mm2)の荷重で地鉄部分に深さ5μm超の溝を形成したのち、750℃以上の温度で加熱処理することにより、磁区を細分化する技術が記載されている。これらの技術は、トランス組立後の歪取り焼鈍を行ってもその効果が消失しない、いわゆる耐熱型の磁区細分化技術である。
ここで、鋼板の鉄損特性を表す代表的な指標は、周波数50 Hz、最大磁束密度1.7Tにおける鉄損W17/50の値であり、鋼板はその大きさによりグレード分けされている。また、近年の環境規制の強化によって、変圧器の効率化がより求められる結果、1.7Tよりも低い磁束密度での磁化領域で鋼板が使われるケースも多くなってきている。さらに、近年増えた太陽光発電等に接続された小規模系統で使われる変圧器では、励磁突入電流への対応も必要であり、それには、高い磁化領域における磁束密度、すなわち磁化力800A/mにおける磁束密度B8といった磁気特性にも優れる必要がある。
特開昭63−76819号公報 特公昭63−44804号公報
前述したように、最近では、最大磁束密度1.7Tといった鋼板グレードを決める磁化領域での鉄損W17/50が小さいだけでなく、1.0〜1.5Tといった低い磁束密度となるように低い磁化力で磁化した領域(以下、単に低い磁化領域という)での鉄損に優れ、かつ磁化力800A/mといった高い磁化力で磁化した領域(以下、単に高い磁化領域という)における磁束密度B8といった磁気特性にも優れる方向性電磁鋼板が求められている。
低い磁化領域での磁気特性を向上させるためには、1.0〜1.5Tにおける鉄損を小さくすればよい。ここで、かかる領域での鉄損を小さくするためには、磁区細分化のために形成する不均一部、すなわち溝部などの体積を増やし、磁区細分化効果を強くすれば良い。しかし、形成する不均一部の体積を増やすとB8といった高い磁化領域における磁束密度が劣化するという問題があった。
本発明は、上記の問題を克服し、低い磁化領域から高い磁化領域までの磁気特性に優れた方向性電磁鋼板を提供することを目的とする。また、本発明は、かかる磁気特性に優れた方向性電磁鋼板の製造方法を併せて提供することを目的とする。
鉄損といった磁気特性に影響を与えるのは、磁区細分化処理をする際に、形成する不均一部の体積やその分布であることが知られている。
ここで、鋼板単位面積当たりに導入される不均一部(溝部など磁束が不均一になる部分をいう)の体積を増やすこと、すなわち、圧延方向に導入する線状の溝間隔を狭めたり、溝深さを深くする等で1列の線状溝部の体積を増やしたりすることで、主磁区をより細分化する。
かように不均一部の体積を増やした磁区細分化が施されると、低い磁化領域では、主磁区の180°磁壁移動により磁化が進行するので、主磁区の磁区が狭い程、磁壁の移動距離、速度が小さくなる。その結果、渦電流損が減少して鉄損は減少する。一方、高い磁化領域では、不均一部の体積を増やした場合、溝部の分だけ鉄の断面積が減少するため、磁束の集中が起こり磁気特性は劣化する。さらに、高い磁化領域では、主磁区の180°磁壁移動だけでは磁化が進行できなくなるため、磁化回転が生じるが、鋼板単位面積当たりに導入される溝部の体積が増えると、その溝部分が磁化回転を阻害するため、その分も含めて磁気特性は劣化する。
よって、単純に不均一部の体積を制御するだけでは、低い磁化領域から高い磁化領域までの磁気特性に優れた鋼板を作製することはできない。
ここで、過去の公知知見、例えば、特許第3885239号公報(以下、特許公報という)には、特に、板厚が0.30〜0.35mm程度の厚物材の場合に、磁束密度B8、鉄損分布W17/50が共に優れる耐熱型の磁区細分化方向性電磁鋼板の製造方法が開示されている。
上記特許公報によると、重量%で、Si:2.0〜4.5%を含む方向性珪素鋼板素材を用い、最終冷延後2次再結晶焼鈍前の工程において、圧延の幅方向に線状溝を形成するにあたり、浅溝を有する線状溝と深溝を有する線状溝とを交互に配置することで、高い磁化領域の磁気特性B8を下げることなく、W17/50を改善することが示されている。すなわち、従来の磁区細分化処理鋼板では、図1に記載のとおり、均一な線状溝形成部が周期的な間隔で並んでいたが、上記特許公報に記載の発明では、図2に記載しているように、線状溝形成深さが各線ごとに異なるように制御することで、高い磁化領域の磁気特性B8とW17/50との両立を達成している。
しかしながら、かかる発明は板厚が0.30〜0.35mm程度の厚物材の場合にその効果を発揮するものである。鋼板板厚が0.27mm以下といった薄物材の場合は、厚物材の場合よりも磁区細分化によって減少する渦電流損がもともと小さいため、特に低い磁化領域での磁区細分化の効果は限定的である。さらに、薄物材の場合、高い磁化領域での磁化回転に対し、線状溝形状を含む鋼板表面の性状が与える影響が、板厚が厚い場合よりも大きくなる。すなわち、板厚が薄くなった場合、相似形に溝深さが減少しても、高い磁化領域の磁気特性は劣化する。よって、本発明のように鋼板板厚が0.27mm以下といった薄物材の場合、前記特許文献に記載の発明では、低い磁化領域と高い磁化領域での磁気特性を両立させることは困難である。
そこで、発明者らは、鋼板板厚が0.27mm以下といった特に板厚が薄い場合に、W13/50といった低い磁化領域での磁気特性から、鋼板のグレードを決めるW17/50、さらに、高い磁化領域での磁気特性であるB8といった従来両立が困難な磁気特性を両立できないかと検討した。
その結果、発明者らは、以下の条件を満たすように線状溝を導入すると、低い磁化領域と高い磁化領域での磁気特性が両立できることを知見した。
(1)導入された線状溝は圧延方向断面積が異なる2種以上存在すること
(2)(1)の圧延方向断面積が最大のものと最小のものとで10%以上60%以下異なる範囲で異なること
好ましくは、
(3)(2)の圧延方向断面積の異なる線状溝が圧延方向に交互に並ぶこと
である。
次に、本発明を導くに至った実験結果について説明する。
<実験1>
Si:3.4質量%、Mn:0.06質量%、Cu:0.1質量%、Ni:0.01質量%、Al:240質量ppm、S:20質量ppm、C:0.07質量%、N:90質量ppm、Sb:0.025質量%およびSe:180質量ppmを含有する鋼スラブを、連続鋳造にて製造し、1430℃に加熱後、熱間圧延により板厚:2.4mmの熱延板としたのち、熱延板焼鈍を施した。ついで、冷間圧延により中間板厚:0.40mmとし、中間焼鈍を実施した。その後、塩酸酸洗により表面のサブスケールを除去したのち、再度、冷間圧延を実施して、板厚:0.23mmの冷延板とした。
さらに、以下の手順で、図3に示すような圧延方向断面積が異なる線状溝の領域I、IIが圧延方向に交互に並ぶ冷延鋼板を作製した。
初めに、表1に示す所定の溝幅を有し、ピッチ6mmの溝ロールにより鋼板表面にレジストインクを印刷することで冷延鋼板の表面をマスキングし、所定の溝深さとなるように電解エッチングを施して、線状溝の領域I(本発明において、単に領域Iまたは溝Iとも記す)を形成した。なお、線状溝の領域Iは圧延直交方向に対し10°傾いて形成した。
次いで、最初に印刷したインクを除去後、3mmずらして、所定の溝幅を有し、ピッチ6mmの溝ロールにより鋼板表面にレジストインクを印刷することでマスキングし、所定の溝深さとなるように電解エッチングを施して、線状溝の領域II(本発明において、単に領域IIまたは溝IIとも記す)を形成した。結果、冷延鋼板の表面には、3mm間隔で線状溝の領域I、IIが交互に並ぶこととなる。
さらに、2度目に印刷したインクを除去して、脱炭焼鈍を施し、ついで、MgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布し、二次再結晶・フォルステライト被膜形成および純化を目的とした最終仕上げ焼鈍を実施した。さらに、絶縁コートを塗布後、850℃にて焼付けてコーティング塗布処理をした。このコーティング塗布処理は、平坦化焼鈍も兼ねている。
Figure 2020158882
表1に示した条件にて、領域I、IIの線状溝を形成した鋼板の磁気特性を比較した。磁気特性評価は、JIS C 2550に規定されているエプスタイン磁気特性試験によって行った。低い磁化領域での磁気特性としてW13/50、高い磁化領域での磁気特性としてB8、さらに鋼板グレードを決める特性であるW17/50を評価した。図4にW13/50、図5にB8、図6にW17/50の評価結果をそれぞれ示す。
溝体積の大きい条件で領域I、IIの両方に溝を形成した条件1,4,7では、低磁化領域での磁気特性W13/50、鋼板グレードを決める特性W17/50は良好なものの、高い磁化領域での磁気特性B8は劣った。逆に、溝体積の小さい条件で領域I、IIの両方に溝を形成した条件3,6,9では、高い磁化領域での磁気特性B8は良好なものの、低い磁化領域での磁気特性W13/50、鋼板グレードを決める特性W17/50は劣った。一方、溝体積の大きい条件と溝体積の小さい条件で、交互に並ぶ領域I、IIに溝を形成した条件2,5,8では、低い磁化領域での磁気特性W13/50、鋼板グレードを決める特性W17/50、高い磁化領域での磁気特性B8いずれも良好な結果であった。
上記実験結果より、異なる溝体積を有する線状溝を並べることで、低い磁化領域と高い磁化領域での磁気特性が両立することが可能であることが示唆された。そこで、発明者らは、異なる溝体積を有する線状溝を如何に並べれば良いのか検討を行った。
まず、各線状溝が有する溝体積を定量化した。指標として、以下に定義される線状溝の圧延方向断面積を用いた。
線状溝の圧延方向断面積=溝の圧延方向幅×溝の板厚方向深さ×溝形成割合(点列状に溝が形成される割合を実数で示す。よって、連続状の溝では1となり、半分の頻度で溝が形成されていれば0.5となる)
溝の圧延方向幅(本発明において単に溝幅とも称す)は、表面から光学顕微鏡で観察し、その幅を計測すればよい。図7-aに示すように、本発明における、溝幅はおおよそ一定(10%程度以内のバラつきは本発明の効果に影響を与えないため許容される)に形成しているため、溝を幅方向5点計測しその平均を溝の圧延方向幅とする。また、図7-bに示すように、溝幅を途中で変更した場合、それぞれの溝の幅につき3点ずつ計測し、それぞれの溝の長さを加重した平均を溝の圧延方向幅とする。さらに、図7-cに示すように、点列状に溝が形成されている場合、溝が形成されている部分の圧延方向幅をそれぞれで少なくとも3点測定すればよい。
他方、溝の板厚方向深さ(本発明において単に溝深さとも称す)は、接触式やレーザ方式等の粗度計を用いて計測する。鋼板表面を基準高さとした溝底部の最大深さを、溝の板厚方向深さとする。
図7-cに示すように、点列状に溝が形成されている場合、圧延方向断面積は、溝の圧延方向幅×溝の板厚方向深さの数値に、溝形成割合(=(溝形成部長さa)/(溝形成部長さa+溝不形成部長さb)を乗じたものとなる。
<実験2>
実験1と同様の手順で、0.23mm厚の冷延板を作製し、表2−1に示す条件で、様々な組み合わせの異なる溝断面積を有する線状溝が形成された冷延板を作製した。実験1と同様、溝の作製は、レジストインキによるマスキングと電解エッチングにて行い、溝Iを作製後、インキを剥がして、再度レジストインキによるマスキングと電解エッチングを行って溝IIを形成した。いずれの条件も、線状溝は圧延直交方向に対し10°傾けて形成した。一部条件では、図8-a,bに示すように、点列状に溝を形成した。なお、図8-aに示した「不連続1」の条件では溝形成部長さa=3mm、溝不形成部長さb=2mmとし、図8-bに示した「不連続2」の条件では溝形成部長さa=1.5mm、溝不形成部長さb=3.5mmとなる形成パターンの溝ロールを用いた。なお、図8-a,b中、1は溝形成部長さa、2は溝不形成部長さbである。
溝IIの形成後、インクを除去し、脱炭焼鈍を施した後、MgOを主成分とする焼鈍分
離剤を塗布し、二次再結晶・フォルステライト被膜形成および純化を目的とした最終仕上げ焼鈍を実施した。さらに、絶縁コートを塗布し、850℃にて焼付けた。
その後、実験1と同様に、エプスタイン磁気特性試験に準拠し、低い磁化領域での磁気特性としてW13/50、高い磁化領域での磁気特性としてB8、さらに鋼板グレードを決める特性であるW17/50を評価した。
表2−2に、磁気測定結果を示す。なお、低い磁化領域と高い磁化領域での磁気特性が両立しているかの判定として、以下の条件で整理した。
"◎":W13/50≦0.40W/kgかつB8≧1.900TかつW17/50≦0.73W/kg
"○":◎の判定を満たさないかつW13/50≦0.43W/kgかつB8≧1.890TかつW17/50≦0.75W/kg
"×1":W13/50>0.43W/kg
"×2":B8<1.890T
Figure 2020158882
Figure 2020158882
上記の判定のうち、◎または○の判定を得られた条件は、低い磁化領域と高い磁化領域での磁気特性が両立しており、優れた条件である。×1の判定となった条件は、溝導入体積が少なく、十分な磁区細分化効果が得られていない。一方、×2の判定となった条件は、溝導入体積が多く、高い磁化領域での磁気特性に劣っている。
上記実験中、◎、○の判定を得られた条件では、領域IとIIの溝の圧延方向断面積が10%以上60%以下の範囲で異なっており、さらに◎の判定を得られた条件は、領域IとIIの溝の圧延方向断面積が15%以上40%以下の範囲で異なっていた。
以上の実験から、鋼板の片面に導入された線状溝の圧延方向断面積が少なくとも2種あり、かつかかる圧延方向断面積が10%以上60%以下異なっている線状溝が圧延方向に並ぶ方向性電磁鋼板であることが、0.27mm以下といった薄鋼板において、低い磁化領域と高い磁化領域での磁気特性が両立できる方向性電磁鋼板であることが明らかになり、本発明の完成に至った。
発明者らは、0.27mm以下といった薄鋼板に適用する場合、低い磁化領域と高い磁化領域での磁気特性とを両立できることを知見した。ただし、過去の公知知見(前記特許公報)とは異なり、浅溝を有する線状溝と深溝を有する線状溝を交互に配置するといった、溝の深さのみでの制御では、特性向上が認められるものの、その効果は小さいことを知見した。すなわち、先にも述べたように、鋼板の板厚が薄い場合、特に高い磁化領域での磁気特性が溝で劣化してしまうことが問題となる。よって、板厚が薄い場合は、線状溝の圧延方向断面積をパラメータとして、深さだけでなく、特に、溝の圧延方向幅を変えることや、長さ方向を変えるすなわち点列状に形成することなど、溝形成パターンを三次元的に調整することで初めて、高い磁化領域での磁束集中や、磁化回転による磁気特性劣化を抑制することができると考えられる。
本発明は上記の知見に基づき得られたものであり、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.鋼板片面に、圧延方向を横切る向きに線状に延びかつ圧延方向に間隔を置いて並ぶ、複数本の線状溝を有する方向性電磁鋼板であって、
上記線状溝は、圧延方向断面積の異なる少なくとも2種を有し、上記線状溝において、最も大きい圧延方向断面積をA(mm2)および最も小さい圧延方向断面積をB(mm2)とするとき、{(A−B)/A}×100が10%以上60%以下であり、かつ板厚が0.27mm以下である方向性電磁鋼板。
2.前記断面積Aを有する線状溝および前記断面積Bを有する線状溝を圧延方向に交互に繰り返して備える前記1に記載の方向性電磁鋼板。
3.前記1または2に記載の方向性電磁鋼板を製造する方法であって、方向性電磁鋼板用スラブを、熱間圧延し、ついで必要に応じて熱延板焼鈍を施したのち、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施して、最終板厚に仕上げたのち、脱炭焼鈍を施し、ついで鋼板表面に焼鈍分離剤を塗布してから、最終仕上げ焼鈍を行った後、張力コーティング及び平坦化焼鈍を施す線状溝を有する方向性電磁鋼板の製造方法において、
(1) 最終板厚を0.27mm以下とする
(2) 前記線状溝は、鋼板片面に、圧延方向を横切る向きに線状に延びかつ圧延方向に間隔を置いて並ぶ、複数本の線状の溝であって、最終仕上げ焼鈍前に形成する
(3) 前記線状溝を形成する際、圧延方向断面積の異なる少なくとも2種を形成し、かつ上記線状溝において、最も大きい圧延方向断面積をA(mm2)および最も小さい圧延方向断面積をB(mm2)とするとき、{(A−B)/A}×100が10%以上60%以下の範囲となる溝の形成を連続又は不連続に行う
方向性電磁鋼板の製造方法。
4.前記断面積Aを有する線状溝または前記断面積Bを有する線状溝を圧延方向に形成し、ついで、断面積Aを有する線状溝を形成した場合は断面積Bを有する線状溝を、また断面積Bを有する線状溝を形成した場合は断面積Aを有する線状溝を形成する前記3に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
本発明によれば、低い磁化領域から高い磁化領域までの広範囲において、磁気特性に優れた方向性電磁鋼板を提供することができる。また、併せて、その方向性電磁鋼板を効果的に得られる製造方法を提供することができる。
従来の磁区細分化処理を行った鋼板の線状溝の領域を示す図である。 特許公報に記載の磁区細分化処理を行った鋼板の線状溝を示す図である。 本発明を導くために行った実験における磁区細分化処理を行った鋼板の線状溝を示す図である。 溝体積の形成条件毎の鋼板のW13/50の値を示した図である。 溝体積の形成条件毎の鋼板のB8の値を示した図である。 溝体積の形成条件毎の鋼板のW17/50の値を示した図である。 図7-a、図7-b、図7-cは、それぞれ溝領域の定義を説明する概念図である。 図8-aは不連続な溝領域を説明する概念図であり、図8-bは他の不連続な溝領域を説明する概念図である。
以下、本発明の詳細を説明する。
前述のとおり、低い磁化領域から高い磁化領域までの磁気特性に優れた方向性電磁鋼板には、以下の条件で、鋼板片面に、圧延方向を横切る向きに線状に延びかつ圧延方向に間隔を置いて並ぶ、複数本の線状の溝を形成することが重要である。
(1)導入された線状溝は圧延方向断面積が異なる2種以上存在すること
(2)(1)の圧延方向断面積が最大のものと最小のものとで10%以上60%以下の範囲で異なること
好ましくは、
(3)(2)の圧延方向断面積の異なる線状溝が圧延方向に交互に並ぶこと
より好ましくは、
(4)上記圧延方向断面積の異なる範囲が15%以上40%以下であること
(5)上記線状溝は、圧延方向と直角な方向に30度以内の角度で周期的に線状に延びること
である。
本発明に従う線状溝を有する方向性電磁鋼板で、上記線状溝の圧延方向断面積を少なくとも2種(例えば領域IとII)とし、該圧延方向断面積の大きい領域IをA(mm2)、小さい領域IIをB(mm2)とするとき、AとBの比率(%)が10%以上60%以下(={(A−B)/A}×100)(本発明において断面積差ともいう)とする。また、断面積Aを有する線状溝と断面積Bを有する線状溝とを圧延方向に交互に繰り返すことが好ましい。
なお、本発明においてAとBの比率(%)は上述の通り10%以上60%以下の範囲とする。というのは、低い磁化領域と高い磁化領域での磁気特性が効果的に両立できるからである。好ましくは、上記比率が15%以上40%以下の範囲である
また、上記断面積差を得るために、溝の深さのみの変更ではなく、溝の幅方向も併せて変更することが好ましい。また、溝の長さ方向も併せ、三次元的に変更することが望ましい。
本発明において、線状の溝の圧延方向断面積は、前述したように、以下のとおりに定義し測定する。
[線状溝の圧延方向断面積]=[溝の圧延方向幅]×[溝の板厚方向深さ]×[溝形成割合]
[溝の圧延方向幅]は、表面から光学顕微鏡で観察し、その幅を計測すればよい。図7-aに示すように、本発明における、溝幅はおおよそ一定(10%程度以内のバラつきは本発明の効果に影響を与えないため許容される)に形成しているため、溝の形成方向である鋼板幅方向に適当な間隔で5点計測しその平均を溝の圧延方向幅とする。また、図7-bに示すように、溝幅を途中で変更した場合、それぞれの溝の幅につき適当な間隔で3点ずつ計測し、それぞれの溝の長さを加重した平均を溝の圧延方向幅とする。さらに、図7-cに示すように、点列状に溝が形成されている場合、溝が形成されている部分の圧延方向幅をそれぞれで少なくとも適当な間隔で3点測定すればよい。
[溝の板厚方向深さ]は、接触式やレーザ方式等の粗度計を用いて計測する。鋼板表面を基準高さとした、溝底部の最大深さを[溝の板厚方向深さ]とする。
また、図7-cに示すように、点列状に溝が形成されている場合、圧延方向断面積は、溝の圧延方向幅×溝の板厚方向深さの数値に、[溝形成割合](=(溝形成部長さa)/(溝形成部長さa+溝不形成部長さb)を乗じたものとする。
なお、溝の形成は、再現性が極めて高いため、前記の領域(例えば、領域I)当たり1つの線状に延びる領域(以下、1ラインという)を前述したように適当な間隔で5点測定すれば良い。よって、例えば、体積の異なる領域が2種(領域Iと領域II)であれば、体積の異なる線状に延びる領域を1種につき1ライン、すなわち、領域I、領域IIのそれぞれにつき1ラインを選んで測定すれば、上記溝の圧延方向幅、溝の板厚方向深さおよび溝形成割合のそれぞれが求められる。
ここで、本発明の周期的とは、圧延方向に所定の間隔で、圧延方向と直角な方向に対して30度以内の角度で線状に延びることや、鋼板の90%以上の面積で本発明の条件を満足している場合も含むものとする。いずれの場合も、本発明の効果を得ることができるからである。
[[溝形成方法]]
線状溝の形成は、局所的にエッチング処理する方法、刃物などでけがく方法、突起付きロールで圧延する方法などが挙げられるが、最も好ましいのは、最終冷延後の鋼板に印刷等によりエッチングレジストを付着させたのち、非付着域に電解エッチング処理により線状溝を形成する方法である。また、溝底部にフォルステライト被膜が形成されることが、磁区細分化にとって好適のため、溝形成をフォルステライト被膜が形成される最終仕上げ焼鈍前に実施することが好ましい。
なお、線状溝の圧延方向と直角な向きに対するずれは±30°以内とすることが好ましい。また、本発明において、「線状」とは、実線だけでなく、点線や破線など点列状も含むものとする。
[[異なる圧延方向断面積を持つ線状溝を形成する方法]]
前記の線状溝を形成する条件を満たす限りにおいては、いずれの方法を用いることができる。例えば、エッチングレジストと電解エッチングを用いる方法では、複数回の印刷とエッチングを繰り返すことにより、異なる圧延方向断面積を持つ線状溝を所望の範囲に形成することができる。また、溝ロールによるエッチングレジスト印刷をする場合には、溝ロール側の溝パターン(溝幅や点列溝とするなど)を所望の範囲で変えれば、同じく異なる圧延方向断面積を持つ線状溝を所望の範囲に形成することができる。さらに、突起付きロールによる圧延の方法では、突起付きロールの突起パターンを周期的に変えれば、同じく異なる圧延方向断面積を持つ線状溝を所望の範囲に形成することができる。
また、本発明に従う少なくとも2種の圧延方向断面積を持つ線状溝を形成するには、以下のレーザを使った方法を用いることが好適である。
この方法では、鋼板全面にレジストインクを塗布し、この塗布面にレーザを圧延方向に交差する方向に走査して線状にレジストを除去した後、電解エッチングを行ってレジストが除去された領域(非付着域)に線状溝を形成する。その際、照射エネルギーやビーム径などのレーザ照射条件を走査位置ごとに変更することで、容易にレジスト非付着域の圧延方向幅や不連続等の形状を変更することができ、その結果として、本発明で所望する、異なる圧延方向断面積を持つ線状溝の形成パターンを得ることができる。
なお、レーザ照射条件を変えるには、例えば複数台のレーザ照射装置を用意し、それぞれの装置でレーザ照射条件を変えて、同一の鋼帯にレーザを照射する、あるいは単一のレーザ照射装置で走査速度を変更する、レーザ照射のオンオフで、不連続に非付着域を形成する等の方法が挙げられる。
本発明に従う方向性電磁鋼板の製造方法においては、以下の項目が重要である。
(1) 鋼板の最終板厚を0.27mm以下とする。
(2) 鋼板表面の線状溝は、鋼板片面に、圧延方向を横切る向きに線状に延びかつ圧延方向に間隔を置いて並ぶ、複数本の線状の溝であって、最終仕上げ焼鈍前に形成する。
(3) 前記線状溝を形成する際、圧延方向断面積の異なる少なくとも2種を形成し、かつ上記線状溝において、最も大きい圧延方向断面積をA(mm2)および最も小さい圧延方向断面積をB(mm2)とするとき、{(A−B)/A}×100が10%以上60%以下の範囲となる溝の形成を連続又は不連続に行う。
また、上記溝形成をする際、前記断面積Aを有する線状溝または前記断面積Bを有する線状溝を圧延方向に形成し、ついで、断面積Aを有する線状溝を形成した場合は断面積Bを有する線状溝をまた断面積Bを有する線状溝を形成した場合は断面積Aを有する線状溝を形成するという手順を採ることが好ましい。
本発明の方向性電磁鋼板を製造する方法において、上記磁区細分化処理に直接関係しない事柄については特に限定されないが、推奨される好適成分組成および本発明のポイント以外の製造方法について以下に述べる。
[成分組成]
本発明において、方向性電磁鋼板用スラブの成分組成は、二次再結晶が生じる成分組成であればよい。また、インヒビターを利用する場合、例えばAlN系インヒビターを利用する場合であればAlおよびNを、またMnS・MnSe系インヒビターを利用する場合であればMnとSeおよび/またはSを適量含有させればよい。勿論、両インヒビターを併用してもよい。この場合におけるAl、N、SおよびSeの好適含有量は、それぞれ、Al:0.01〜0.065質量%、N:0.005〜0.012質量%、S:0.005〜0.03質量%、Se:0.005〜0.03質量%である。なお、最終仕上げ焼鈍においてAl、N、SおよびSeは純化され、それぞれ不可避的不純物程度の含有量に低減される。
さらに、本発明は、Al、N、SおよびSeの含有量を制限した、インヒビターを使用しない方向性電磁鋼板にも適用することができる。この場合、Al、N、SおよびSe量はそれぞれ、Al:100質量ppm以下、N:50質量ppm以下、S:50質量ppm以下およびSe:50質量ppm以下に抑制することが好ましい。
その他の基本成分および任意添加成分について述べると、次のとおりである。
C:0.08質量%以下
C量が0.08質量%を超えると磁気時効の起こらない50質量ppm以下まで製造工程中にCを低減することが困難になるため、0.08質量%以下とすることが好ましい。なお、下限に関しては、Cを含まない素材でも二次再結晶が可能であるので特に設ける必要はなく、0質量%でよい。なお、脱炭焼鈍においてCは鋼中から除去され、不可避的不純物程度の含有量に低減される。
Si:2.0〜8.0質量%
Siは、鋼の電気抵抗を高め、鉄損を改善するのに有効な元素であるが、含有量が2.0質量%に満たないと十分な鉄損低減効果が達成できず、一方、8.0質量%を超えると加工性が著しく低下し、また磁束密度も低下する。そのため、Si量は2.0〜8.0質量%の範囲とすることが好ましい。
Mn:0.005〜1.0質量%
Mnは、熱間加工性を良好にする上で必要な元素であるが、含有量が0.005質量%未満ではその添加効果に乏しく、一方1.0質量%を超えると製品板の磁束密度が低下する。そのため、Mn量は0.005〜1.0質量%の範囲とすることが好ましい。
上記の基本成分以外に、磁気特性改善成分として、次に述べる元素を適宜含有させることができる。
Ni:0.03〜1.50質量%、Sn:0.01〜1.50質量%、Sb:0.005〜1.50質量%、Cu:0.03〜3.0質量%、P:0.03〜0.50質量%、Mo:0.005〜0.10質量%およびCr:0.03〜1.50質量%のうちから選んだ少なくとも1種
Niは、熱延板組織を改善して磁気特性を向上させるために有用な元素である。しかしながら、含有量が0.03質量%未満では磁気特性の向上効果が小さく、一方1.50質量%を超えると二次再結晶が不安定になり磁気特性が劣化する。そのため、Ni量は0.03〜1.50質量%の範囲とするのが好ましい。
また、Sn、Sb、Cu、P、MoおよびCrはそれぞれ磁気特性の向上に有用な元素であるが、いずれも上記した各成分の下限に満たないと、磁気特性の向上効果が小さい。一方、上記した各成分の上限量を超えると、二次再結晶粒の発達が阻害される。そのため、それぞれ上記の範囲で含有させることが好ましい。なお、上記成分以外の残部は、製造工程において混入する不可避的不純物およびFeである。
次に、本発明の方向性電磁鋼板の製造方法について説明する。
[加熱]
上記した成分組成を有するスラブは、常法に従い加熱する。加熱温度は、1150〜1450℃の範囲が好ましい。
[熱間圧延]
上記加熱後に、熱間圧延を行う。鋳造後、加熱せずに直ちに熱間圧延を行ってもよい。薄鋳片の場合には、直ちに熱間圧延を行うこととしてもよく、あるいは、熱間圧延を省略することとしてもよい。
熱間圧延を実施する場合は、粗圧延最終パスの圧延温度を900℃以上、仕上げ圧延最終パスの圧延温度を700℃以上で実施することが好ましい。
[熱延板焼鈍]
熱間圧延後、必要に応じて熱延板焼鈍を施す。このとき、ゴス組織を製品板において高度に発達させるためには、熱延板焼鈍温度として800〜1100℃の範囲が好適である。熱延板焼鈍温度が800℃未満であると、熱間圧延でのバンド組織が残留し、整粒した一次再結晶組織を実現することが困難になり、二次再結晶の発達が阻害される。一方、熱延板焼鈍温度が1100℃を超えると、熱延板焼鈍後の粒径が粗大化しすぎるために、整粒した一次再結晶組織の実現が極めて困難となる。
[冷間圧延]
熱間圧延または熱延板焼鈍後、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施す。中間焼鈍温度は800℃以上1150℃以下が好適である。また、中間焼鈍時間は、10〜100sec程度とすることが好ましい。
[脱炭焼鈍]
冷間圧延後、脱炭焼鈍を行う。脱炭焼鈍では、焼鈍温度:750〜900℃、雰囲気酸化性(酸化度)PH2O/PH2:0.25〜0.60および焼鈍時間:50〜300sec程度とすることが好ましい。
[焼鈍分離剤の塗布]
脱炭焼鈍後、焼鈍分離剤を塗布する。焼鈍分離剤は、主成分をMgOとし、塗布量を両面で8〜15g/m2程度とすることが好適である。
[最終仕上げ焼鈍]
焼鈍分離剤の塗布後、二次再結晶およびフォルステライト被膜の形成を目的として最終仕上げ焼鈍を施す。かかる最終仕上げ焼鈍は常法によればよいが、焼鈍温度は1100℃以上、焼鈍時間は30分以上とすることが好ましい。
[平坦化処理および絶縁コーティング]
最終仕上げ焼鈍後には、平坦化焼鈍を行って形状を矯正することが有効である。平坦化焼鈍は、焼鈍温度:750〜950℃および焼鈍時間:10〜200sec程度で実施するのが好ましい。
なお、本発明では、平坦化焼鈍前または後に、鋼板表面に絶縁コーティングを施す。ここでの絶縁コーティングとは、鉄損低減のために、鋼板に張力を付与するコーティング(張力コーティング)を意味する。張力コーティングとしては、シリカを含有する無機系コーティングや、物理蒸着法、化学蒸着法等によるセラミックコーティング等が挙げられる。
[磁区細分化処理]
本発明の特徴の1つである磁区細分化処理は、上記した工程のいずれかの間で線状溝を形成するものであるが、前述したとおり、本発明で規定する条件に従うことが肝要である。
特に、最終冷延後であってフォルステライト被膜が形成される最終仕上げ焼鈍前に実施することが好適である。
(実施例1)
Si:3.4質量%、Mn:0.1質量%、Ni:0.2質量%、Al:240質量ppm、S:20質量ppm、C:0.07質量%、N:90質量ppmおよびSe:180質量ppmを含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成からなる鋼スラブを、連続鋳造にて製造し、1430℃に加熱後、熱間圧延により板厚:2.4mmの熱延板としたのち、1100℃で20秒の熱延板焼鈍を施した。かかる熱延板焼鈍後の鋼板を、冷間圧延により中間板厚:0.40mmとし、酸化度PH2O/PH2=0.40、温度:1000℃、時間:70秒の条件で中間焼鈍を実施した。その後、かかる中間焼鈍後の鋼板を、塩酸酸洗により表面のサブスケールを除去したのち、再度、冷間圧延を実施して、板厚:0.27、0.23、0.20mmの冷延板とした。
表3−1に示す条件で、様々な組み合わせの異なる溝断面積を有する線状溝を交互に並べた冷延板を作製した。実験1と同様、まず、レジストインキによるマスキングと電解エッチングを用いて溝Iを形成した。ついで、溝Iの形成に用いたレジストインキを剥がして、再度レジストインキによるマスキングと電解エッチングを行って溝IIを形成した。いずれの条件も、線状溝は圧延直交方向に対し10°傾けて形成した。なお、「不連続1」および「不連続2」は、実験2と同様に、図8-a,bに示した形状であって、「不連続1」の条件では図8- aに示した溝形成部長さa=3mm、溝不形成部長さb=2mmとし、「不連続2」の条件では図8-bに示した溝形成部長さa=1.5mm、溝不形成部長さb=3.5mmとなる形成パターンとした。
ついで、該冷延板を、酸化度PH2O/PH2=0.44、均熱温度:820℃で300秒保持する脱炭焼鈍を施した後、MgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布し、二次再結晶、フォルステライト被膜形成および純化を目的とした最終仕上げ焼鈍を1160℃で10h保持する条件で実施した。そして、かかる最終仕上げ焼鈍後の鋼板に、60%のコロイダルシリカとリン酸アルミニウムからなる絶縁コートを塗布、850℃にて焼付けた。このコーティング塗布処理は、平坦化焼鈍も兼ねている。
かくして得られた鋼板に対し、エプスタイン試験にて磁気測定を行い、低い磁化領域での磁気特性W13/50、鋼板グレードを決める特性W17/50、高い磁化領域での磁気特性B8を評価した。
Figure 2020158882
表3−2に、磁気測定結果を記載する。なお、低い磁化領域と高い磁化領域での磁気特性が両立しているかの判定として、以下の条件で整理した。
板厚:0.27mmの場合
"◎":W13/50≦0.48W/kgかつB8≧1.900TかつW17/50≦0.85W/kg
"○":◎の判定を満たさないかつW13/50≦0.50W/kgかつB8≧1.890TかつW17/50≦0.88W/kg
"×1":W13/50>0.50W/kg
"×2":B8<1.890T
板厚:0.23mmの場合
"◎":W13/50≦0.40W/kgかつB8≧1.900TかつW17/50≦0.73W/kg
"○":◎の判定を満たさないかつW13/50≦0.43W/kgかつB8≧1.890TかつW17/50≦0.75W/kg
"×1":W13/50>0.43W/kg
"×2":B8<1.890T
板厚:0.20mmの場合
"◎":W13/50≦0.37W/kgかつB8≧1.895TかつW17/50≦0.67W/kg
"○":◎の判定を満たさないかつW13/50≦0.38W/kgかつB8≧1.885TかつW17/50≦0.69W/kg
"×1":W13/50>0.38W/kg
"×2":B8<1.885T
Figure 2020158882
本発明に適合する条件4〜12、17〜25、30〜38では、いずれの条件も、低い磁化領域および高い磁化領域の磁気特性に優れ、低い磁化領域と高い磁化領域の磁気特性を両立できていた。
(実施例2)
Si:3.4質量%、Mn:0.1質量%、Ni:0.2質量%、Al:240質量ppm、S:20質量ppm、C:0.07質量%、N:90質量ppmおよびSe:180質量ppmを含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成からなる鋼スラブを、連続鋳造にて製造し、1430℃に加熱後、熱間圧延により板厚:2.4mmの熱延板としたのち、1100℃で20秒の熱延板焼鈍を施した。かかる熱延板焼鈍後の鋼板を、冷間圧延により中間板厚:0.40mmとし、酸化度PH2O/PH2=0.40、温度:1000℃、時間:70秒の条件で中間焼鈍を実施した。その後、かかる中間焼鈍後の鋼板を、塩酸酸洗により表面のサブスケールを除去したのち、再度、冷間圧延を実施して、板厚:0.27、0.23、0.20mmの冷延板とした。
表4−1に示す条件で、様々な組み合わせの異なる溝断面積を有する線状溝を3種以上並べた冷延板を作製した。実験1と同様、まず、レジストインキによるマスキングと電解エッチングを用いて溝Iを形成した。ついで、溝Iの形成に用いたレジストインキを剥がして、再度レジストインキによるマスキングと電解エッチングを行って溝IIを形成した。同様の工程を繰り返し、溝IIIを形成した後、一部に溝IVを形成し、さらにその一部に溝Vを形成した。いずれの条件も、線状溝は圧延直交方向に対し10°傾けて形成した。なお、「不連続1」および「不連続2」は、実施例1と同様に、図8-a,bに示した形状であって、「不連続1」の条件では図8- aに示した溝形成部長さa=3mm、溝不形成部長さb=2mmとし、「不連続2」の条件では図8-bに示した溝形成部長さa=1.5mm、溝不形成部長さb=3.5mmとなる形成パターンとした。
ついで、該冷延板を、酸化度PH2O/PH2=0.44、均熱温度:820℃で300秒保持する脱炭焼鈍を施した後、MgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布し、二次再結晶、フォルステライト被膜形成および純化を目的とした最終仕上げ焼鈍を1160℃で10h保持する条件で実施した。そして、かかる最終仕上げ焼鈍後の鋼板に、60%のコロイダルシリカとリン酸アルミニウムからなる絶縁コートを塗布、850℃にて焼付けた。このコーティング塗布処理は、平坦化焼鈍も兼ねている。
かくして得られた鋼板に対し、エプスタイン試験にて磁気測定を行い、低い磁化領域での磁気特性W13/50、鋼板グレードを決める特性W17/50、高い磁化領域での磁気特性B8を評価した。
Figure 2020158882
表4−2に、磁気測定結果を記載する。なお、低い磁化領域と高い磁化領域での磁気特性が両立しているかの判定として、以下の条件で整理した。
板厚:0.27mmの場合
"◎":W13/50≦0.48W/kgかつB8≧1.900TかつW17/50≦0.85W/kg
"○":◎の判定を満たさないかつW13/50≦0.50W/kgかつB8≧1.890TかつW17/50≦0.88W/kg
"×1":W13/50>0.50W/kg
"×2":B8<1.890T
板厚:0.23mmの場合
"◎":W13/50≦0.40W/kgかつB8≧1.900TかつW17/50≦0.73W/kg
"○":◎の判定を満たさないかつW13/50≦0.43W/kgかつB8≧1.890TかつW17/50≦0.75W/kg
"×1":W13/50>0.43W/kg
"×2":B8<1.890T
板厚:0.20mmの場合
"◎":W13/50≦0.37W/kgかつB8≧1.895TかつW17/50≦0.67W/kg
"○":◎の判定を満たさないかつW13/50≦0.38W/kgかつB8≧1.885TかつW17/50≦0.69W/kg
"×1":W13/50>0.38W/kg
"×2":B8<1.885T
Figure 2020158882
本発明に適合する条件3〜9、13〜19、23〜29では、いずれの条件も、低い磁化領域および高い磁化領域の磁気特性に優れ、低い磁化領域と高い磁化領域の磁気特性を両立できていた。
(実施例3)
Si:3.4質量%、Mn:0.1質量%、Ni:0.2質量%、Al:240質量ppm、S:20質量ppm、C:0.07質量%、N:90質量ppmおよびSe:180質量ppmを含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成からなる鋼スラブを、連続鋳造にて製造し、1430℃に加熱後、熱間圧延により板厚:2.4mmの熱延板としたのち、1100℃で20秒の熱延板焼鈍を施した。かかる熱延板焼鈍後の鋼板を、冷間圧延により中間板厚:0.40mmとし、酸化度PH2O/PH2=0.40、温度:1000℃、時間:70秒の条件で中間焼鈍を実施した。その後、かかる中間焼鈍後の鋼板を、塩酸酸洗により表面のサブスケールを除去したのち、再度、冷間圧延を実施して、板厚:0.27、0.23、0.20mmの冷延板とした。
鋼板表面の全面にレジストインクを塗布したあと、レーザを圧延方向と直交する向きに走査して、圧延方向に所定の列間隔を置いてレジストインクを剥離した。レーザ照射は、複数台のレーザ装置にて、シングルモードファイバーレーザをガルバノスキャナー方式によって、鋼板の端から端まで連続的にレジストインクを完全に剥離し、その後電解エッチングを施し線状溝を形成した。その際、各装置のレーザ照射エネルギー、ビーム径を変えることで、表5−1に示す条件の、様々な組み合わせの異なる溝断面積を有する線状溝を2種または3種並べた冷延板を作製した。
ついで、該冷延板を、酸化度PH2O/PH2=0.44、均熱温度:820℃で300秒保持する脱炭焼鈍を施した後、MgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布し、二次再結晶、フォルステライト被膜形成および純化を目的とした最終仕上げ焼鈍を1160℃で10h保持する条件で実施した。そして、かかる最終仕上げ焼鈍後の鋼板に、60%のコロイダルシリカとリン酸アルミニウムからなる絶縁コートを塗布、850℃にて焼付けた。このコーティング塗布処理は、平坦化焼鈍も兼ねている。
かくして得られた鋼板に対し、エプスタイン試験にて磁気測定を行い、低い磁化領域での磁気特性W13/50、鋼板グレードを決める特性W17/50、高い磁化領域での磁気特性B8を評価した。
Figure 2020158882
表5−2に、磁気測定結果を記載する。なお、低い磁化領域と高い磁化領域での磁気特性が両立しているかの判定として、以下の条件で整理した。
板厚:0.27mmの場合
"◎":W13/50≦0.48W/kgかつB8≧1.900TかつW17/50≦0.85W/kg
"○":◎の判定を満たさないかつW13/50≦0.50W/kgかつB8≧1.890TかつW17/50≦0.88W/kg
"×1":W13/50>0.50W/kg
"×2":B8<1.890T
板厚:0.23mmの場合
"◎":W13/50≦0.40W/kgかつB8≧1.900TかつW17/50≦0.73W/kg
"○":◎の判定を満たさないかつW13/50≦0.43W/kgかつB8≧1.890TかつW17/50≦0.75W/kg
"×1":W13/50>0.43W/kg
"×2":B8<1.890T
板厚:0.20mmの場合
"◎":W13/50≦0.37W/kgかつB8≧1.895TかつW17/50≦0.67W/kg
"○":◎の判定を満たさないかつW13/50≦0.38W/kgかつB8≧1.885TかつW17/50≦0.69W/kg
"×1":W13/50>0.38W/kg
"×2":B8<1.885T
Figure 2020158882
本発明に適合する条件3〜6、10〜13、17〜20では、いずれの条件も、低い磁化領域および高い磁化領域の磁気特性に優れ、低い磁化領域と高い磁化領域の磁気特性を両立できていた。
1 溝形成部長さa
2 溝不形成部長さb

Claims (4)

  1. 鋼板片面に、圧延方向を横切る向きに線状に延びかつ圧延方向に間隔を置いて並ぶ、複数本の線状溝を有する方向性電磁鋼板であって、
    上記線状溝は、圧延方向断面積の異なる少なくとも2種を有し、上記線状溝において、最も大きい圧延方向断面積をA(mm2)および最も小さい圧延方向断面積をB(mm2)とするとき、{(A−B)/A}×100が10%以上60%以下であり、かつ板厚が0.27mm以下である方向性電磁鋼板。
  2. 前記断面積Aを有する線状溝および前記断面積Bを有する線状溝を圧延方向に交互に繰り返して備える請求項1に記載の方向性電磁鋼板。
  3. 請求項1または2に記載の方向性電磁鋼板を製造する方法であって、方向性電磁鋼板用スラブを、熱間圧延し、ついで必要に応じて熱延板焼鈍を施したのち、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施して、最終板厚に仕上げたのち、脱炭焼鈍を施し、ついで鋼板表面に焼鈍分離剤を塗布してから、最終仕上げ焼鈍を行った後、張力コーティング及び平坦化焼鈍を施す線状溝を有する方向性電磁鋼板の製造方法において、
    (1) 最終板厚を0.27mm以下とする
    (2) 前記線状溝は、鋼板片面に、圧延方向を横切る向きに線状に延びかつ圧延方向に間隔を置いて並ぶ、複数本の線状の溝であって、最終仕上げ焼鈍前に形成する
    (3) 前記線状溝を形成する際、圧延方向断面積の異なる少なくとも2種を形成し、かつ上記線状溝において、最も大きい圧延方向断面積をA(mm2)および最も小さい圧延方向断面積をB(mm2)とするとき、{(A−B)/A}×100が10%以上60%以下の範囲となる溝の形成を連続又は不連続に行う
    方向性電磁鋼板の製造方法。
  4. 前記断面積Aを有する線状溝または前記断面積Bを有する線状溝を圧延方向に形成し、ついで、断面積Aを有する線状溝を形成した場合は断面積Bを有する線状溝を、また断面積Bを有する線状溝を形成した場合は断面積Aを有する線状溝を形成する請求項3に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
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