JP2020158882A - 方向性電磁鋼板およびその製造方法 - Google Patents
方向性電磁鋼板およびその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2020158882A JP2020158882A JP2020046858A JP2020046858A JP2020158882A JP 2020158882 A JP2020158882 A JP 2020158882A JP 2020046858 A JP2020046858 A JP 2020046858A JP 2020046858 A JP2020046858 A JP 2020046858A JP 2020158882 A JP2020158882 A JP 2020158882A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- groove
- rolling direction
- steel sheet
- cross
- linear
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Landscapes
- Manufacturing Of Steel Electrode Plates (AREA)
- Soft Magnetic Materials (AREA)
Abstract
Description
ここで、過去の公知知見、例えば、特許第3885239号公報(以下、特許公報という)には、特に、板厚が0.30〜0.35mm程度の厚物材の場合に、磁束密度B8、鉄損分布W17/50が共に優れる耐熱型の磁区細分化方向性電磁鋼板の製造方法が開示されている。
(1)導入された線状溝は圧延方向断面積が異なる2種以上存在すること
(2)(1)の圧延方向断面積が最大のものと最小のものとで10%以上60%以下異なる範囲で異なること
好ましくは、
(3)(2)の圧延方向断面積の異なる線状溝が圧延方向に交互に並ぶこと
である。
<実験1>
Si:3.4質量%、Mn:0.06質量%、Cu:0.1質量%、Ni:0.01質量%、Al:240質量ppm、S:20質量ppm、C:0.07質量%、N:90質量ppm、Sb:0.025質量%およびSe:180質量ppmを含有する鋼スラブを、連続鋳造にて製造し、1430℃に加熱後、熱間圧延により板厚:2.4mmの熱延板としたのち、熱延板焼鈍を施した。ついで、冷間圧延により中間板厚:0.40mmとし、中間焼鈍を実施した。その後、塩酸酸洗により表面のサブスケールを除去したのち、再度、冷間圧延を実施して、板厚:0.23mmの冷延板とした。
さらに、以下の手順で、図3に示すような圧延方向断面積が異なる線状溝の領域I、IIが圧延方向に交互に並ぶ冷延鋼板を作製した。
初めに、表1に示す所定の溝幅を有し、ピッチ6mmの溝ロールにより鋼板表面にレジストインクを印刷することで冷延鋼板の表面をマスキングし、所定の溝深さとなるように電解エッチングを施して、線状溝の領域I(本発明において、単に領域Iまたは溝Iとも記す)を形成した。なお、線状溝の領域Iは圧延直交方向に対し10°傾いて形成した。
次いで、最初に印刷したインクを除去後、3mmずらして、所定の溝幅を有し、ピッチ6mmの溝ロールにより鋼板表面にレジストインクを印刷することでマスキングし、所定の溝深さとなるように電解エッチングを施して、線状溝の領域II(本発明において、単に領域IIまたは溝IIとも記す)を形成した。結果、冷延鋼板の表面には、3mm間隔で線状溝の領域I、IIが交互に並ぶこととなる。
さらに、2度目に印刷したインクを除去して、脱炭焼鈍を施し、ついで、MgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布し、二次再結晶・フォルステライト被膜形成および純化を目的とした最終仕上げ焼鈍を実施した。さらに、絶縁コートを塗布後、850℃にて焼付けてコーティング塗布処理をした。このコーティング塗布処理は、平坦化焼鈍も兼ねている。
線状溝の圧延方向断面積=溝の圧延方向幅×溝の板厚方向深さ×溝形成割合(点列状に溝が形成される割合を実数で示す。よって、連続状の溝では1となり、半分の頻度で溝が形成されていれば0.5となる)
溝の圧延方向幅(本発明において単に溝幅とも称す)は、表面から光学顕微鏡で観察し、その幅を計測すればよい。図7-aに示すように、本発明における、溝幅はおおよそ一定(10%程度以内のバラつきは本発明の効果に影響を与えないため許容される)に形成しているため、溝を幅方向5点計測しその平均を溝の圧延方向幅とする。また、図7-bに示すように、溝幅を途中で変更した場合、それぞれの溝の幅につき3点ずつ計測し、それぞれの溝の長さを加重した平均を溝の圧延方向幅とする。さらに、図7-cに示すように、点列状に溝が形成されている場合、溝が形成されている部分の圧延方向幅をそれぞれで少なくとも3点測定すればよい。
図7-cに示すように、点列状に溝が形成されている場合、圧延方向断面積は、溝の圧延方向幅×溝の板厚方向深さの数値に、溝形成割合(=(溝形成部長さa)/(溝形成部長さa+溝不形成部長さb)を乗じたものとなる。
実験1と同様の手順で、0.23mm厚の冷延板を作製し、表2−1に示す条件で、様々な組み合わせの異なる溝断面積を有する線状溝が形成された冷延板を作製した。実験1と同様、溝の作製は、レジストインキによるマスキングと電解エッチングにて行い、溝Iを作製後、インキを剥がして、再度レジストインキによるマスキングと電解エッチングを行って溝IIを形成した。いずれの条件も、線状溝は圧延直交方向に対し10°傾けて形成した。一部条件では、図8-a,bに示すように、点列状に溝を形成した。なお、図8-aに示した「不連続1」の条件では溝形成部長さa=3mm、溝不形成部長さb=2mmとし、図8-bに示した「不連続2」の条件では溝形成部長さa=1.5mm、溝不形成部長さb=3.5mmとなる形成パターンの溝ロールを用いた。なお、図8-a,b中、1は溝形成部長さa、2は溝不形成部長さbである。
離剤を塗布し、二次再結晶・フォルステライト被膜形成および純化を目的とした最終仕上げ焼鈍を実施した。さらに、絶縁コートを塗布し、850℃にて焼付けた。
その後、実験1と同様に、エプスタイン磁気特性試験に準拠し、低い磁化領域での磁気特性としてW13/50、高い磁化領域での磁気特性としてB8、さらに鋼板グレードを決める特性であるW17/50を評価した。
表2−2に、磁気測定結果を示す。なお、低い磁化領域と高い磁化領域での磁気特性が両立しているかの判定として、以下の条件で整理した。
"○":◎の判定を満たさないかつW13/50≦0.43W/kgかつB8≧1.890TかつW17/50≦0.75W/kg
"×1":W13/50>0.43W/kg
"×2":B8<1.890T
1.鋼板片面に、圧延方向を横切る向きに線状に延びかつ圧延方向に間隔を置いて並ぶ、複数本の線状溝を有する方向性電磁鋼板であって、
上記線状溝は、圧延方向断面積の異なる少なくとも2種を有し、上記線状溝において、最も大きい圧延方向断面積をA(mm2)および最も小さい圧延方向断面積をB(mm2)とするとき、{(A−B)/A}×100が10%以上60%以下であり、かつ板厚が0.27mm以下である方向性電磁鋼板。
(1) 最終板厚を0.27mm以下とする
(2) 前記線状溝は、鋼板片面に、圧延方向を横切る向きに線状に延びかつ圧延方向に間隔を置いて並ぶ、複数本の線状の溝であって、最終仕上げ焼鈍前に形成する
(3) 前記線状溝を形成する際、圧延方向断面積の異なる少なくとも2種を形成し、かつ上記線状溝において、最も大きい圧延方向断面積をA(mm2)および最も小さい圧延方向断面積をB(mm2)とするとき、{(A−B)/A}×100が10%以上60%以下の範囲となる溝の形成を連続又は不連続に行う
方向性電磁鋼板の製造方法。
前述のとおり、低い磁化領域から高い磁化領域までの磁気特性に優れた方向性電磁鋼板には、以下の条件で、鋼板片面に、圧延方向を横切る向きに線状に延びかつ圧延方向に間隔を置いて並ぶ、複数本の線状の溝を形成することが重要である。
(1)導入された線状溝は圧延方向断面積が異なる2種以上存在すること
(2)(1)の圧延方向断面積が最大のものと最小のものとで10%以上60%以下の範囲で異なること
好ましくは、
(3)(2)の圧延方向断面積の異なる線状溝が圧延方向に交互に並ぶこと
より好ましくは、
(4)上記圧延方向断面積の異なる範囲が15%以上40%以下であること
(5)上記線状溝は、圧延方向と直角な方向に30度以内の角度で周期的に線状に延びること
である。
なお、本発明においてAとBの比率(%)は上述の通り10%以上60%以下の範囲とする。というのは、低い磁化領域と高い磁化領域での磁気特性が効果的に両立できるからである。好ましくは、上記比率が15%以上40%以下の範囲である
また、上記断面積差を得るために、溝の深さのみの変更ではなく、溝の幅方向も併せて変更することが好ましい。また、溝の長さ方向も併せ、三次元的に変更することが望ましい。
[線状溝の圧延方向断面積]=[溝の圧延方向幅]×[溝の板厚方向深さ]×[溝形成割合]
また、図7-cに示すように、点列状に溝が形成されている場合、圧延方向断面積は、溝の圧延方向幅×溝の板厚方向深さの数値に、[溝形成割合](=(溝形成部長さa)/(溝形成部長さa+溝不形成部長さb)を乗じたものとする。
線状溝の形成は、局所的にエッチング処理する方法、刃物などでけがく方法、突起付きロールで圧延する方法などが挙げられるが、最も好ましいのは、最終冷延後の鋼板に印刷等によりエッチングレジストを付着させたのち、非付着域に電解エッチング処理により線状溝を形成する方法である。また、溝底部にフォルステライト被膜が形成されることが、磁区細分化にとって好適のため、溝形成をフォルステライト被膜が形成される最終仕上げ焼鈍前に実施することが好ましい。
なお、線状溝の圧延方向と直角な向きに対するずれは±30°以内とすることが好ましい。また、本発明において、「線状」とは、実線だけでなく、点線や破線など点列状も含むものとする。
前記の線状溝を形成する条件を満たす限りにおいては、いずれの方法を用いることができる。例えば、エッチングレジストと電解エッチングを用いる方法では、複数回の印刷とエッチングを繰り返すことにより、異なる圧延方向断面積を持つ線状溝を所望の範囲に形成することができる。また、溝ロールによるエッチングレジスト印刷をする場合には、溝ロール側の溝パターン(溝幅や点列溝とするなど)を所望の範囲で変えれば、同じく異なる圧延方向断面積を持つ線状溝を所望の範囲に形成することができる。さらに、突起付きロールによる圧延の方法では、突起付きロールの突起パターンを周期的に変えれば、同じく異なる圧延方向断面積を持つ線状溝を所望の範囲に形成することができる。
この方法では、鋼板全面にレジストインクを塗布し、この塗布面にレーザを圧延方向に交差する方向に走査して線状にレジストを除去した後、電解エッチングを行ってレジストが除去された領域(非付着域)に線状溝を形成する。その際、照射エネルギーやビーム径などのレーザ照射条件を走査位置ごとに変更することで、容易にレジスト非付着域の圧延方向幅や不連続等の形状を変更することができ、その結果として、本発明で所望する、異なる圧延方向断面積を持つ線状溝の形成パターンを得ることができる。
なお、レーザ照射条件を変えるには、例えば複数台のレーザ照射装置を用意し、それぞれの装置でレーザ照射条件を変えて、同一の鋼帯にレーザを照射する、あるいは単一のレーザ照射装置で走査速度を変更する、レーザ照射のオンオフで、不連続に非付着域を形成する等の方法が挙げられる。
(1) 鋼板の最終板厚を0.27mm以下とする。
(2) 鋼板表面の線状溝は、鋼板片面に、圧延方向を横切る向きに線状に延びかつ圧延方向に間隔を置いて並ぶ、複数本の線状の溝であって、最終仕上げ焼鈍前に形成する。
(3) 前記線状溝を形成する際、圧延方向断面積の異なる少なくとも2種を形成し、かつ上記線状溝において、最も大きい圧延方向断面積をA(mm2)および最も小さい圧延方向断面積をB(mm2)とするとき、{(A−B)/A}×100が10%以上60%以下の範囲となる溝の形成を連続又は不連続に行う。
本発明において、方向性電磁鋼板用スラブの成分組成は、二次再結晶が生じる成分組成であればよい。また、インヒビターを利用する場合、例えばAlN系インヒビターを利用する場合であればAlおよびNを、またMnS・MnSe系インヒビターを利用する場合であればMnとSeおよび/またはSを適量含有させればよい。勿論、両インヒビターを併用してもよい。この場合におけるAl、N、SおよびSeの好適含有量は、それぞれ、Al:0.01〜0.065質量%、N:0.005〜0.012質量%、S:0.005〜0.03質量%、Se:0.005〜0.03質量%である。なお、最終仕上げ焼鈍においてAl、N、SおよびSeは純化され、それぞれ不可避的不純物程度の含有量に低減される。
C:0.08質量%以下
C量が0.08質量%を超えると磁気時効の起こらない50質量ppm以下まで製造工程中にCを低減することが困難になるため、0.08質量%以下とすることが好ましい。なお、下限に関しては、Cを含まない素材でも二次再結晶が可能であるので特に設ける必要はなく、0質量%でよい。なお、脱炭焼鈍においてCは鋼中から除去され、不可避的不純物程度の含有量に低減される。
Siは、鋼の電気抵抗を高め、鉄損を改善するのに有効な元素であるが、含有量が2.0質量%に満たないと十分な鉄損低減効果が達成できず、一方、8.0質量%を超えると加工性が著しく低下し、また磁束密度も低下する。そのため、Si量は2.0〜8.0質量%の範囲とすることが好ましい。
Mnは、熱間加工性を良好にする上で必要な元素であるが、含有量が0.005質量%未満ではその添加効果に乏しく、一方1.0質量%を超えると製品板の磁束密度が低下する。そのため、Mn量は0.005〜1.0質量%の範囲とすることが好ましい。
Ni:0.03〜1.50質量%、Sn:0.01〜1.50質量%、Sb:0.005〜1.50質量%、Cu:0.03〜3.0質量%、P:0.03〜0.50質量%、Mo:0.005〜0.10質量%およびCr:0.03〜1.50質量%のうちから選んだ少なくとも1種
[加熱]
上記した成分組成を有するスラブは、常法に従い加熱する。加熱温度は、1150〜1450℃の範囲が好ましい。
上記加熱後に、熱間圧延を行う。鋳造後、加熱せずに直ちに熱間圧延を行ってもよい。薄鋳片の場合には、直ちに熱間圧延を行うこととしてもよく、あるいは、熱間圧延を省略することとしてもよい。
熱間圧延を実施する場合は、粗圧延最終パスの圧延温度を900℃以上、仕上げ圧延最終パスの圧延温度を700℃以上で実施することが好ましい。
熱間圧延後、必要に応じて熱延板焼鈍を施す。このとき、ゴス組織を製品板において高度に発達させるためには、熱延板焼鈍温度として800〜1100℃の範囲が好適である。熱延板焼鈍温度が800℃未満であると、熱間圧延でのバンド組織が残留し、整粒した一次再結晶組織を実現することが困難になり、二次再結晶の発達が阻害される。一方、熱延板焼鈍温度が1100℃を超えると、熱延板焼鈍後の粒径が粗大化しすぎるために、整粒した一次再結晶組織の実現が極めて困難となる。
熱間圧延または熱延板焼鈍後、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施す。中間焼鈍温度は800℃以上1150℃以下が好適である。また、中間焼鈍時間は、10〜100sec程度とすることが好ましい。
冷間圧延後、脱炭焼鈍を行う。脱炭焼鈍では、焼鈍温度:750〜900℃、雰囲気酸化性(酸化度)PH2O/PH2:0.25〜0.60および焼鈍時間:50〜300sec程度とすることが好ましい。
脱炭焼鈍後、焼鈍分離剤を塗布する。焼鈍分離剤は、主成分をMgOとし、塗布量を両面で8〜15g/m2程度とすることが好適である。
焼鈍分離剤の塗布後、二次再結晶およびフォルステライト被膜の形成を目的として最終仕上げ焼鈍を施す。かかる最終仕上げ焼鈍は常法によればよいが、焼鈍温度は1100℃以上、焼鈍時間は30分以上とすることが好ましい。
最終仕上げ焼鈍後には、平坦化焼鈍を行って形状を矯正することが有効である。平坦化焼鈍は、焼鈍温度:750〜950℃および焼鈍時間:10〜200sec程度で実施するのが好ましい。
なお、本発明では、平坦化焼鈍前または後に、鋼板表面に絶縁コーティングを施す。ここでの絶縁コーティングとは、鉄損低減のために、鋼板に張力を付与するコーティング(張力コーティング)を意味する。張力コーティングとしては、シリカを含有する無機系コーティングや、物理蒸着法、化学蒸着法等によるセラミックコーティング等が挙げられる。
本発明の特徴の1つである磁区細分化処理は、上記した工程のいずれかの間で線状溝を形成するものであるが、前述したとおり、本発明で規定する条件に従うことが肝要である。
特に、最終冷延後であってフォルステライト被膜が形成される最終仕上げ焼鈍前に実施することが好適である。
Si:3.4質量%、Mn:0.1質量%、Ni:0.2質量%、Al:240質量ppm、S:20質量ppm、C:0.07質量%、N:90質量ppmおよびSe:180質量ppmを含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成からなる鋼スラブを、連続鋳造にて製造し、1430℃に加熱後、熱間圧延により板厚:2.4mmの熱延板としたのち、1100℃で20秒の熱延板焼鈍を施した。かかる熱延板焼鈍後の鋼板を、冷間圧延により中間板厚:0.40mmとし、酸化度PH2O/PH2=0.40、温度:1000℃、時間:70秒の条件で中間焼鈍を実施した。その後、かかる中間焼鈍後の鋼板を、塩酸酸洗により表面のサブスケールを除去したのち、再度、冷間圧延を実施して、板厚:0.27、0.23、0.20mmの冷延板とした。
表3−1に示す条件で、様々な組み合わせの異なる溝断面積を有する線状溝を交互に並べた冷延板を作製した。実験1と同様、まず、レジストインキによるマスキングと電解エッチングを用いて溝Iを形成した。ついで、溝Iの形成に用いたレジストインキを剥がして、再度レジストインキによるマスキングと電解エッチングを行って溝IIを形成した。いずれの条件も、線状溝は圧延直交方向に対し10°傾けて形成した。なお、「不連続1」および「不連続2」は、実験2と同様に、図8-a,bに示した形状であって、「不連続1」の条件では図8- aに示した溝形成部長さa=3mm、溝不形成部長さb=2mmとし、「不連続2」の条件では図8-bに示した溝形成部長さa=1.5mm、溝不形成部長さb=3.5mmとなる形成パターンとした。
ついで、該冷延板を、酸化度PH2O/PH2=0.44、均熱温度:820℃で300秒保持する脱炭焼鈍を施した後、MgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布し、二次再結晶、フォルステライト被膜形成および純化を目的とした最終仕上げ焼鈍を1160℃で10h保持する条件で実施した。そして、かかる最終仕上げ焼鈍後の鋼板に、60%のコロイダルシリカとリン酸アルミニウムからなる絶縁コートを塗布、850℃にて焼付けた。このコーティング塗布処理は、平坦化焼鈍も兼ねている。
かくして得られた鋼板に対し、エプスタイン試験にて磁気測定を行い、低い磁化領域での磁気特性W13/50、鋼板グレードを決める特性W17/50、高い磁化領域での磁気特性B8を評価した。
板厚:0.27mmの場合
"◎":W13/50≦0.48W/kgかつB8≧1.900TかつW17/50≦0.85W/kg
"○":◎の判定を満たさないかつW13/50≦0.50W/kgかつB8≧1.890TかつW17/50≦0.88W/kg
"×1":W13/50>0.50W/kg
"×2":B8<1.890T
板厚:0.23mmの場合
"◎":W13/50≦0.40W/kgかつB8≧1.900TかつW17/50≦0.73W/kg
"○":◎の判定を満たさないかつW13/50≦0.43W/kgかつB8≧1.890TかつW17/50≦0.75W/kg
"×1":W13/50>0.43W/kg
"×2":B8<1.890T
板厚:0.20mmの場合
"◎":W13/50≦0.37W/kgかつB8≧1.895TかつW17/50≦0.67W/kg
"○":◎の判定を満たさないかつW13/50≦0.38W/kgかつB8≧1.885TかつW17/50≦0.69W/kg
"×1":W13/50>0.38W/kg
"×2":B8<1.885T
Si:3.4質量%、Mn:0.1質量%、Ni:0.2質量%、Al:240質量ppm、S:20質量ppm、C:0.07質量%、N:90質量ppmおよびSe:180質量ppmを含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成からなる鋼スラブを、連続鋳造にて製造し、1430℃に加熱後、熱間圧延により板厚:2.4mmの熱延板としたのち、1100℃で20秒の熱延板焼鈍を施した。かかる熱延板焼鈍後の鋼板を、冷間圧延により中間板厚:0.40mmとし、酸化度PH2O/PH2=0.40、温度:1000℃、時間:70秒の条件で中間焼鈍を実施した。その後、かかる中間焼鈍後の鋼板を、塩酸酸洗により表面のサブスケールを除去したのち、再度、冷間圧延を実施して、板厚:0.27、0.23、0.20mmの冷延板とした。
表4−1に示す条件で、様々な組み合わせの異なる溝断面積を有する線状溝を3種以上並べた冷延板を作製した。実験1と同様、まず、レジストインキによるマスキングと電解エッチングを用いて溝Iを形成した。ついで、溝Iの形成に用いたレジストインキを剥がして、再度レジストインキによるマスキングと電解エッチングを行って溝IIを形成した。同様の工程を繰り返し、溝IIIを形成した後、一部に溝IVを形成し、さらにその一部に溝Vを形成した。いずれの条件も、線状溝は圧延直交方向に対し10°傾けて形成した。なお、「不連続1」および「不連続2」は、実施例1と同様に、図8-a,bに示した形状であって、「不連続1」の条件では図8- aに示した溝形成部長さa=3mm、溝不形成部長さb=2mmとし、「不連続2」の条件では図8-bに示した溝形成部長さa=1.5mm、溝不形成部長さb=3.5mmとなる形成パターンとした。
ついで、該冷延板を、酸化度PH2O/PH2=0.44、均熱温度:820℃で300秒保持する脱炭焼鈍を施した後、MgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布し、二次再結晶、フォルステライト被膜形成および純化を目的とした最終仕上げ焼鈍を1160℃で10h保持する条件で実施した。そして、かかる最終仕上げ焼鈍後の鋼板に、60%のコロイダルシリカとリン酸アルミニウムからなる絶縁コートを塗布、850℃にて焼付けた。このコーティング塗布処理は、平坦化焼鈍も兼ねている。
かくして得られた鋼板に対し、エプスタイン試験にて磁気測定を行い、低い磁化領域での磁気特性W13/50、鋼板グレードを決める特性W17/50、高い磁化領域での磁気特性B8を評価した。
板厚:0.27mmの場合
"◎":W13/50≦0.48W/kgかつB8≧1.900TかつW17/50≦0.85W/kg
"○":◎の判定を満たさないかつW13/50≦0.50W/kgかつB8≧1.890TかつW17/50≦0.88W/kg
"×1":W13/50>0.50W/kg
"×2":B8<1.890T
板厚:0.23mmの場合
"◎":W13/50≦0.40W/kgかつB8≧1.900TかつW17/50≦0.73W/kg
"○":◎の判定を満たさないかつW13/50≦0.43W/kgかつB8≧1.890TかつW17/50≦0.75W/kg
"×1":W13/50>0.43W/kg
"×2":B8<1.890T
板厚:0.20mmの場合
"◎":W13/50≦0.37W/kgかつB8≧1.895TかつW17/50≦0.67W/kg
"○":◎の判定を満たさないかつW13/50≦0.38W/kgかつB8≧1.885TかつW17/50≦0.69W/kg
"×1":W13/50>0.38W/kg
"×2":B8<1.885T
Si:3.4質量%、Mn:0.1質量%、Ni:0.2質量%、Al:240質量ppm、S:20質量ppm、C:0.07質量%、N:90質量ppmおよびSe:180質量ppmを含有し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成からなる鋼スラブを、連続鋳造にて製造し、1430℃に加熱後、熱間圧延により板厚:2.4mmの熱延板としたのち、1100℃で20秒の熱延板焼鈍を施した。かかる熱延板焼鈍後の鋼板を、冷間圧延により中間板厚:0.40mmとし、酸化度PH2O/PH2=0.40、温度:1000℃、時間:70秒の条件で中間焼鈍を実施した。その後、かかる中間焼鈍後の鋼板を、塩酸酸洗により表面のサブスケールを除去したのち、再度、冷間圧延を実施して、板厚:0.27、0.23、0.20mmの冷延板とした。
鋼板表面の全面にレジストインクを塗布したあと、レーザを圧延方向と直交する向きに走査して、圧延方向に所定の列間隔を置いてレジストインクを剥離した。レーザ照射は、複数台のレーザ装置にて、シングルモードファイバーレーザをガルバノスキャナー方式によって、鋼板の端から端まで連続的にレジストインクを完全に剥離し、その後電解エッチングを施し線状溝を形成した。その際、各装置のレーザ照射エネルギー、ビーム径を変えることで、表5−1に示す条件の、様々な組み合わせの異なる溝断面積を有する線状溝を2種または3種並べた冷延板を作製した。
ついで、該冷延板を、酸化度PH2O/PH2=0.44、均熱温度:820℃で300秒保持する脱炭焼鈍を施した後、MgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布し、二次再結晶、フォルステライト被膜形成および純化を目的とした最終仕上げ焼鈍を1160℃で10h保持する条件で実施した。そして、かかる最終仕上げ焼鈍後の鋼板に、60%のコロイダルシリカとリン酸アルミニウムからなる絶縁コートを塗布、850℃にて焼付けた。このコーティング塗布処理は、平坦化焼鈍も兼ねている。
かくして得られた鋼板に対し、エプスタイン試験にて磁気測定を行い、低い磁化領域での磁気特性W13/50、鋼板グレードを決める特性W17/50、高い磁化領域での磁気特性B8を評価した。
板厚:0.27mmの場合
"◎":W13/50≦0.48W/kgかつB8≧1.900TかつW17/50≦0.85W/kg
"○":◎の判定を満たさないかつW13/50≦0.50W/kgかつB8≧1.890TかつW17/50≦0.88W/kg
"×1":W13/50>0.50W/kg
"×2":B8<1.890T
板厚:0.23mmの場合
"◎":W13/50≦0.40W/kgかつB8≧1.900TかつW17/50≦0.73W/kg
"○":◎の判定を満たさないかつW13/50≦0.43W/kgかつB8≧1.890TかつW17/50≦0.75W/kg
"×1":W13/50>0.43W/kg
"×2":B8<1.890T
板厚:0.20mmの場合
"◎":W13/50≦0.37W/kgかつB8≧1.895TかつW17/50≦0.67W/kg
"○":◎の判定を満たさないかつW13/50≦0.38W/kgかつB8≧1.885TかつW17/50≦0.69W/kg
"×1":W13/50>0.38W/kg
"×2":B8<1.885T
2 溝不形成部長さb
Claims (4)
- 鋼板片面に、圧延方向を横切る向きに線状に延びかつ圧延方向に間隔を置いて並ぶ、複数本の線状溝を有する方向性電磁鋼板であって、
上記線状溝は、圧延方向断面積の異なる少なくとも2種を有し、上記線状溝において、最も大きい圧延方向断面積をA(mm2)および最も小さい圧延方向断面積をB(mm2)とするとき、{(A−B)/A}×100が10%以上60%以下であり、かつ板厚が0.27mm以下である方向性電磁鋼板。 - 前記断面積Aを有する線状溝および前記断面積Bを有する線状溝を圧延方向に交互に繰り返して備える請求項1に記載の方向性電磁鋼板。
- 請求項1または2に記載の方向性電磁鋼板を製造する方法であって、方向性電磁鋼板用スラブを、熱間圧延し、ついで必要に応じて熱延板焼鈍を施したのち、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施して、最終板厚に仕上げたのち、脱炭焼鈍を施し、ついで鋼板表面に焼鈍分離剤を塗布してから、最終仕上げ焼鈍を行った後、張力コーティング及び平坦化焼鈍を施す線状溝を有する方向性電磁鋼板の製造方法において、
(1) 最終板厚を0.27mm以下とする
(2) 前記線状溝は、鋼板片面に、圧延方向を横切る向きに線状に延びかつ圧延方向に間隔を置いて並ぶ、複数本の線状の溝であって、最終仕上げ焼鈍前に形成する
(3) 前記線状溝を形成する際、圧延方向断面積の異なる少なくとも2種を形成し、かつ上記線状溝において、最も大きい圧延方向断面積をA(mm2)および最も小さい圧延方向断面積をB(mm2)とするとき、{(A−B)/A}×100が10%以上60%以下の範囲となる溝の形成を連続又は不連続に行う
方向性電磁鋼板の製造方法。 - 前記断面積Aを有する線状溝または前記断面積Bを有する線状溝を圧延方向に形成し、ついで、断面積Aを有する線状溝を形成した場合は断面積Bを有する線状溝を、また断面積Bを有する線状溝を形成した場合は断面積Aを有する線状溝を形成する請求項3に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019051791 | 2019-03-19 | ||
JP2019051791 | 2019-03-19 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2020158882A true JP2020158882A (ja) | 2020-10-01 |
JP7010321B2 JP7010321B2 (ja) | 2022-02-10 |
Family
ID=72642121
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2020046858A Active JP7010321B2 (ja) | 2019-03-19 | 2020-03-17 | 方向性電磁鋼板およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7010321B2 (ja) |
Citations (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS61246375A (ja) * | 1985-04-25 | 1986-11-01 | Kawasaki Steel Corp | 歪取り焼鈍による特性の劣化がない低鉄損方向性けい素鋼板およびその製造方法 |
JPH07320922A (ja) * | 1994-03-31 | 1995-12-08 | Kawasaki Steel Corp | 鉄損の低い一方向性電磁鋼板 |
JPH08225844A (ja) * | 1995-02-16 | 1996-09-03 | Kawasaki Steel Corp | 磁気特性の優れた方向性珪素鋼板の製造方法 |
JP2012012639A (ja) * | 2010-06-29 | 2012-01-19 | Jfe Steel Corp | 方向性電磁鋼板 |
KR20130128214A (ko) * | 2012-05-16 | 2013-11-26 | 주식회사 포스코 | 방향성 전기강판 및 그 제조방법 |
WO2016129235A1 (ja) * | 2015-02-10 | 2016-08-18 | Jfeスチール株式会社 | 方向性電磁鋼板の製造方法 |
WO2016171129A1 (ja) * | 2015-04-20 | 2016-10-27 | 新日鐵住金株式会社 | 方向性電磁鋼板 |
-
2020
- 2020-03-17 JP JP2020046858A patent/JP7010321B2/ja active Active
Patent Citations (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS61246375A (ja) * | 1985-04-25 | 1986-11-01 | Kawasaki Steel Corp | 歪取り焼鈍による特性の劣化がない低鉄損方向性けい素鋼板およびその製造方法 |
JPH07320922A (ja) * | 1994-03-31 | 1995-12-08 | Kawasaki Steel Corp | 鉄損の低い一方向性電磁鋼板 |
JPH08225844A (ja) * | 1995-02-16 | 1996-09-03 | Kawasaki Steel Corp | 磁気特性の優れた方向性珪素鋼板の製造方法 |
JP2012012639A (ja) * | 2010-06-29 | 2012-01-19 | Jfe Steel Corp | 方向性電磁鋼板 |
KR20130128214A (ko) * | 2012-05-16 | 2013-11-26 | 주식회사 포스코 | 방향성 전기강판 및 그 제조방법 |
WO2016129235A1 (ja) * | 2015-02-10 | 2016-08-18 | Jfeスチール株式会社 | 方向性電磁鋼板の製造方法 |
WO2016171129A1 (ja) * | 2015-04-20 | 2016-10-27 | 新日鐵住金株式会社 | 方向性電磁鋼板 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP7010321B2 (ja) | 2022-02-10 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5754097B2 (ja) | 方向性電磁鋼板およびその製造方法 | |
JP6157360B2 (ja) | 方向性電磁鋼板およびその製造方法 | |
KR101593346B1 (ko) | 방향성 전기 강판 및 그 제조 방법 | |
KR101421387B1 (ko) | 방향성 전기 강판 및 그 제조 방법 | |
WO2012017670A1 (ja) | 方向性電磁鋼板およびその製造方法 | |
JP5742294B2 (ja) | 方向性電磁鋼板の製造方法 | |
WO2012001952A1 (ja) | 方向性電磁鋼板およびその製造方法 | |
CN110300808B (zh) | 取向性电磁钢板 | |
KR20220156644A (ko) | 방향성 전자 강판 및 방향성 전자 강판의 제조 방법 | |
KR102407899B1 (ko) | 방향성 전기 강판 | |
JP5953690B2 (ja) | 方向性電磁鋼板およびその製造方法 | |
JP6973369B2 (ja) | 方向性電磁鋼板およびその製造方法 | |
EP2243865B1 (en) | Grain-oriented electromagnetic steel sheet excellent in magnetic characteristics | |
WO2021250953A1 (ja) | 方向性電磁鋼板 | |
JP7010321B2 (ja) | 方向性電磁鋼板およびその製造方法 | |
JP6003197B2 (ja) | 磁区細分化処理方法 | |
JP5845848B2 (ja) | 方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP2012140665A (ja) | 方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP5527094B2 (ja) | 方向性電磁鋼板の製造方法 | |
JP4876799B2 (ja) | 方向性電磁鋼板 | |
CN114207173B (zh) | 方向性电磁钢板 | |
JP7375670B2 (ja) | 方向性電磁鋼板およびその製造方法 | |
JP2023121125A (ja) | 方向性電磁鋼板 | |
JP4807064B2 (ja) | 低鉄損方向性電磁鋼板とその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20201026 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20210928 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20211012 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20211116 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20211214 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20211227 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7010321 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |