JP2020158697A - ケイ酸塩で被覆された蓄光材、およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】蓄光特性が長期にわたり維持される残光輝度の高いケイ酸塩で被覆された蓄光材、および、水や高温で劣化する蓄光材であっても容易にケイ酸塩で被覆させることのできる、ケイ酸塩で被覆された蓄光材の製造方法を提供する。【解決手段】CaO/SiO2のモル比が0.05以上0.40以下のケイ酸塩で被覆された、アルミン酸ストロンチウム系蓄光材である。また、水ガラスに消石灰を添加、混合し、第1の混合物を作製する工程と、前記第1の混合物にアルミン酸ストロンチウム系蓄光材を添加、混合し、第2の混合物を作製する工程と、前記第2の混合物を大気雰囲気中850℃以上950℃以下の温度で焼成する工程と、を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、励起光を受けて蛍光を発するケイ酸塩で被覆された蓄光材、およびその製造方法に関する。
従来、蓄光材(蛍光材)は、標識、自動車、鉄道、航空部品、建材、玩具、雑貨等、多種多様な用途に用いられているが、屋外で蓄光材が直接に風雨に曝される場合には、蓄光機能が短期間で消失するおそれがある。例えば、アルミン酸ストロンチウムに、ユウロピウムおよびジスプロシウムを添加して得られる蓄光材は、水に暴露されると加水分解する。
これに対しては、蓄光材とガラスとからなる複合材料を蓄光材料として用いる方法が提案されている。例えば、特許文献1には、蓄光材と廃瓶ガラスとが32:68で混合されたガラス粉末粒子体が開示されている。特許文献2には、アルミン酸ストロンチウム系蓄光材とホウケイ酸ガラスの複合物が開示されている。特許文献3には、アルミン酸ストロンチウム系蓄光材とホウケイ酸ガラスの複合物により残光輝度を向上させる技術が開示されている。
また、特許文献4には、蓄光材60〜5wt%とガラス40〜95wt%とを混合した蓄光材料が開示されている。特許文献5には、蓄光材とガラスとを混合し、焼成することで、蓄光材含有率3〜50wt%の粒子を形成する方法が開示されている。
一方、蓄光材の用途や貝殻原料をロータリーキルンで焼成する技術が提案されている。例えば、特許文献6には、蓄光材を素材とする装飾粒を線図、字又は絵になるように配置し敷きならされた装飾層として道路舗装床面にバインダを用いることが開示されている。特許文献7には、貝殻を原料とする蓄光材の製造工程でロータリーキルンを用いることが開示されている。
特開平11−293238号公報 特開2016−102051号公報 特開2011−021106号公報 特開平11−043349号公報 特開平10−102409号公報 特開2005−007667号公報 特開2007−131773号公報
上記のように蓄光材とガラスとを混合して複合材を形成する技術が知られているが、電気炉を用いて酸化雰囲気でガラスが溶融する温度まで混合原料を加熱すると、蓄光材の蓄光特性が劣化する。一方で、還元雰囲気を準備してロットで混合材料を焼成するとしても、製造上の効率が低下し、量産には不向きである。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、蓄光特性が長期にわたり維持される残光輝度の高いケイ酸塩で被覆された蓄光材、および、水や高温で劣化する蓄光材であっても容易にケイ酸塩で被覆させることのできる、ケイ酸塩で被覆された蓄光材の製造方法を提供することを目的とする。
(1)上記の目的を達成するため、本発明のケイ酸塩で被覆された蓄光材は、CaO/SiOのモル比が0.05以上0.40以下のケイ酸塩で被覆された、アルミン酸ストロンチウム系蓄光材である。
本発明のケイ酸塩で被覆された蓄光材は、アルミン酸ストロンチウム系蓄光材の粒子が、CaO/SiOのモル比が0.05以上0.40以下のケイ酸塩で被覆されているため、降雨にさらされるような屋外で使用しても、アルミン酸ストロンチウム系蓄光材の粒子が直接水と接することがないため、加水分解することがなく、蛍光、蓄光特性が長期にわたり維持される。
(2)また、本発明のケイ酸塩で被覆された蓄光材の製造方法は、水ガラス(ケイ酸ナトリウムの水和物)に消石灰を添加、混合し、第1の混合物を作製する工程と、前記第1の混合物にアルミン酸ストロンチウム系蓄光材を添加、混合し、第2の混合物を作製する工程と、前記第2の混合物を大気雰囲気中850℃以上950℃以下の温度で焼成する工程と、を含むことを特徴としている。
水ガラスには自由水が含まれているため、水ガラスに直接アルミン酸ストロンチウム系蓄光材を添加すると、部分的に蓄光材の加水分解が起こる。水ガラスにアルミン酸ストロンチウム系蓄光材を添加する前に、水ガラスに消石灰を添加するとカルシウムシリケイトの水和物が生成して、水ガラス中の自由水が結晶水として固定されるため、後で添加するアルミン酸ストロンチウム系蓄光材の加水分解が抑制される。また、第2の混合物中に含まれるアルミン酸ストロンチウム系蓄光材は、既にカルシウムナトリウムケイ酸塩組成物で被覆されており、アルミン酸ストロンチウム系蓄光材の酸化速度が、カルシウムナトリウムケイ酸の結晶化速度よりも遅いため、大気雰囲気中の加熱であってもアルミン酸ストロンチウム系蓄光材の加熱による劣化が抑制される。これにより、屋外環境で使用できる、ケイ酸塩で被覆された蓄光材を製造できる。
(3)また、本発明のケイ酸塩で被覆された蓄光材の製造方法は、前記水ガラスに対する前記消石灰の添加割合を、CaO/SiOのモル比が0.05以上0.40以下となるように添加することを特徴としている。CaO/SiOモル比が0.05を下回ると、CaOに対して水ガラスが過剰となり、焼成した後に蓄光材の一部が水に溶解する懸念がある。CaO/SiOモル比が0.40を超えると、高温で焼成した場合、蛍光特性が著しく損なわれるようになる。
本発明によれば、アルミン酸ストロンチウム系蓄光材は、CaO/SiOのモル比が0.05以上0.40以下のケイ酸塩で被覆されているため、屋外環境で使用しても、アルミン酸ストロンチウム系蓄光材が直接降雨に接することを防止でき、蛍光、蓄光特性が長期にわり維持される。また、本発明の方法によれば、水や高温で劣化する蓄光材であっても容易にケイ酸塩で被覆させることができる。
ケイ酸塩で被覆された蓄光材の断面の模式図である。 ケイ酸塩で被覆された蓄光材の試料の作製条件を示す表である。 水ガラスのみ、および、水ガラスと消石灰の混合物を焼成した焼成物の化学組成を示す表である。 CaO/SiOのモル比を0.08として、焼成温度を変更して製造したケイ酸塩で被覆された蓄光材の蛍光スペクトルを示すグラフである。 CaO/SiOのモル比を0.22として、焼成温度を変更して製造したケイ酸塩で被覆された蓄光材の蛍光スペクトルを示すグラフである。 CaO/SiOのモル比を0.31として、焼成温度を変更して製造したケイ酸塩で被覆された蓄光材の蛍光スペクトルを示すグラフである。 CaO/SiOのモル比を0.42として、焼成温度を変更して製造したケイ酸塩で被覆された蓄光材の蛍光スペクトルを示すグラフである。 CaO/SiOのモル比を0.70として、焼成温度を変更して製造したケイ酸塩で被覆された蓄光材の蛍光スペクトルを示すグラフである。
本発明者らは、鋭意研究の結果、水ガラスに消石灰を添加混合し、次いで蓄光材を添加混合、加熱装置で焼成することで残光輝度の高いケイ酸塩で被覆された蓄光材を作製できることを見出し、本発明を完成させた。以下に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
[ケイ酸塩で被覆された蓄光材の構成]
本発明のケイ酸塩で被覆された蓄光材を説明する。図1は、ケイ酸塩で被覆された蓄光材10を示す断面の模式図である。図1に示すように、ケイ酸塩で被覆された蓄光材10は、実質的にケイ酸塩11と蓄光材12とで形成されている。「実質的に」とは、これら以外に不純物を含んでもよいことを意味する。このようにケイ酸塩で被覆された蓄光材10には、蓄光材12がケイ酸塩11で被覆されているため、屋外用の材料として用いても蓄光材12が直接大気に露出せず蓄光特性を十分に維持できる。
ケイ酸塩11は、CaO/SiOのモル比が0.05以上0.40以下である。CaO/SiOのモル比が0.05未満であると、CaOに対して水ガラスが過剰となり、焼成した後に蓄光材の一部が水に溶解する懸念がある。一方、CaO/SiOモル比が0.40を超えると、ネフェリン(NaAlSiO)が生成しやすくなり、アルミン酸ストロンチウム系蓄光材の分解が促進して、蛍光特性が著しく損なわれるようになる。このようなケイ酸塩で被覆することにより、アルミン酸ストロンチウム系蓄光材が、直接大気や降水と接触することが防止できるため、蓄光材の耐久性が向上する。ケイ酸塩は、少なくとも一部がソーダ石灰ガラスおよび/またはカルシウムナトリウムケイ酸塩の結晶であることが好ましい。
蓄光材12は、励起光が照射されてから長時間残光を生じる蓄光性を有することが好ましく、道路で用いられたときに発光を検知しやすいように例えば波長480〜540nmの黄色の光を発する種類であることが好ましい。このような蓄光材12として、アルミン酸ストロンチウム系蓄光材を使用する。アルミン酸ストロンチウム系蓄光材とは、ユウロピウムおよびジスプロシウムをアクティベータとするアルミン酸ストロンチウムである。アクティベータは、いずれか一方のみであってもよい。また、これら以外の元素が含まれていてもよい。
なお、蛍光や燐光は基底状態にある元素が特定の波長の電磁波(紫外線、X線、電子線)の照射により励起し、元の基底状態に戻る際に発光を生じる現象である。その他に酸化物発光体などで観測される入射エネルギー(励起光)が途絶した後も発光が持続する現象(蓄光)があり、本発明に係る蓄光材には、蛍光性を有するもの、および、蓄光性を有するもののいずれも含まれる。
[ケイ酸塩で被覆された蓄光材の製造方法]
(水ガラス、消石灰および蓄光材の混合)
まず、水ガラスと消石灰が所定の配合割合となるように、回転翼の付いた撹拌容器内に水ガラスを所定量はかり取る。次に、水ガラスに対する消石灰の添加量を、CaO/SiOのモル比が所定の範囲になるように準備する。添加量は、CaO/SiOのモル比が0.05以上0.40以下となるようにすることが好ましい。次いで、回転翼を撹拌させながら、消石灰の粉末を少量ずつ撹拌容器内に添加する。水ガラスに消石灰を添加すると直ちに反応が起こり消石灰の凝集塊が生成するので、凝集塊の発生を防止できるせん断力の強い攪拌装置を使用したり、消石灰添加終了後に、この凝集塊が十分に細かくなるように粉砕などすることで、第1の混合物を作製する。第1の混合物が十分に均一なペースト状になったら、蓄光材を添加して撹拌し、第2の混合物を作製する。
水ガラスには、市販の水ガラスを用いることができる。水ガラスは、JIS K1408に規定される1号、2号、3号のいずれも使用することができるが、ナトリウムの含有量を低減するために、3号水ガラスが好ましい。ナトリウム含有率が高い水ガラスを用いると、焼成したときにネフェリン(NaAlSiO)が生成しやすくなり、アルミン酸ストロンチウム系蓄光材の分解が促進されて蛍光特性が損なわれるようになる。
消石灰は、試薬の高純度水酸化カルシウムや水酸化カルシウム、工業用消石灰などを用いることができる。消石灰を用いると、水ガラスに添加したときの反応が穏やかで、発熱が小さく、粗大な凝集塊を生じ難いので作業性が良くなるため好ましい。また、消石灰に替えて生石灰(酸化カルシウム)を用いることもできる。生石灰を用いる場合も、CaO/SiOのモル比が所定の範囲になるように、添加量を制御することが好ましい。
蓄光材は、ユウロピウムおよびジスプロシウムをアクティベータとするアルミン酸ストロンチウムを用いる。蓄光材には、市販の材料(例えばネモトルミマテリアル社製G−300L−160)を用いることができる。蓄光材の粒径は、50〜500μm程度の範囲のものであることが好ましい。また、蓄光材は、第1の混合物を焼成した際の質量に対して、20質量%以上60質量%以下となる量添加することが好ましい。添加量が20質量%より少ないと、十分な蓄光性が得られない場合がある。また、添加量が60質量%より多いと、ケイ酸塩で十分に被覆されない蓄光材が生じる場合がある。なお、本発明の製造方法は、水ガラスの自由水をカルシウムシリケイト水和物の結晶水とすることで、水に弱い蓄光材の劣化を抑制しつつ、簡易に蓄光材をケイ酸塩で被覆できるので、蓄光材は、加水分解するなど耐水性に劣るものであっても使用できる。
(焼成によるカルシウムナトリウムケイ酸塩の結晶化)
上記の混合撹拌により得られた水ガラスと消石灰と蓄光材とから成る混合物(第2の混合物)のスラリーを、混合撹拌容器から別の容器に移し替える。混合物のスラリーには、水ガラスに含まれていた自由水が一部未反応で残っているため、アルミン酸ストロンチウム系蓄光材を添加した後は、乾燥して自由水を除去することが望ましい。第2の混合物の作製から時間を置かずに焼成する場合は、焼成の際に自由水が除去されるため、乾燥工程を設けなくてもよい。水が除去された混合原料は硬く固化するが、この固化物をある程度の大きさに破砕して、大気雰囲気中で焼成する。焼成温度は、850℃以上950℃以下であることが好ましい。焼成温度が850℃より低いと、水ガラスとCaOとの反応が不十分となり、ともに水と接したときに溶解してしまうため、十分な被覆効果が得られない。950℃より高いと、ネフェリン(NaAlSiO)が生成しやすくなり、アルミン酸ストロンチウム系蓄光材の分解が促進されて蛍光特性が損なわれるようになる。また、焼成時間は、5分以上40分以下であることが好ましい。焼成時間が5分より短いと、水ガラスとCaOとの反応が不十分となり、ともに水と接したときに溶解してしまうため、十分な被覆効果が得られない。40分より長いと、ネフェリン(NaAlSiO)が生成しやすくなり、アルミン酸ストロンチウム系蓄光材の分解が促進されて蛍光特性が損なわれるようになる。
アルミン酸ストロンチウム系蓄光材の酸化速度が、カルシウムナトリウムケイ酸の結晶化速度よりも遅いため、大気雰囲気中の加熱であっても、蓄光特性を維持したケイ酸塩で被覆された蓄光材が得られる。これにより、カルシウムナトリウムケイ酸の組成物が反応して少なくとも一部が結晶化するので、蓄光材を効果的に被覆することができる。
焼成のための加熱装置は、定置式の電気炉であっても構わないが、連続生産を考慮すると、トンネル炉やロータリーキルンなどが好ましい。例えば、トンネル炉やロータリーキルンの場合、加熱装置内の850℃以上950℃以下の温度範囲に維持された領域を5分以上40分以下で保持させるように制御することで、容易に連続的な焼成ができる。
蓄光材を成形体として焼成する場合、水ガラスと消石灰と蓄光材とから成る混合物を乾燥器により乾燥させ、乾燥器から取り出した混合原料の固化物を、さらに細かく粉砕して、成形して焼成することもできる。成形は金型を用いた一軸加圧法でも構わないし、粉体原料に有機バインダと水を添加するなどして、汎用の押出成形機やパン型ペレタイザーなどの造粒機を用いることもできる。パン型ペレタイザーによる粒状成形では、有機バインダは、外割で0.05質量%以上2.00質量%以下添加して粒状物を生成することができる。このように有機バインダを添加することで、適度な径の粒子からなる粒状物を生成でき、焼成時の燃焼および排出の効果を確保できる。
粒状物を構成する粒子の平均粒子径は、2mm以上15mm以下であることが好ましい。これにより、ロータリーキルン内で粒子が凝集せずに自重で転がるためロータリーキルンから生成物を連続排出できる。このようにしてケイ酸塩で被覆された蓄光材の連続生産が可能になる。
このようにして生産された蓄光材は、そのままコンクリート二次製品用の蓄光骨材として用いてもよいし、蓄光特性を損なわない限りにおいて、用途に応じて適宜粉砕して用いることもできる。例えば、蓄光用塗料にもちいるのであれば、平均粒径は500μmから2mmの範囲であることが好ましい。
カルシウムナトリウムケイ酸塩は、比較的低温の焼成により合成できる材料であり、可視光を透過する。カルシウムナトリウムケイ酸塩の合成は、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウムおよび二酸化ケイ素の無機粉体からなる混合原料からも可能であるが、もともとナトリウムと二酸化ケイ素が緩く結合した水ガラスを出発原料に用いると、より均一なカルシウムナトリウムケイ酸塩を得ることができる。本発明の製造方法は、カルシウムナトリウムケイ酸塩の合成過程で、アルミン酸ストロンチウムなどのような蓄光材を混合することで、カルシウムナトリウムケイ酸塩で被覆された蓄光材を作製することができる。蓄光材は可視光を透過するケイ酸塩で被覆でき、屋外で用いても蓄光特性を十分に維持できる。
[実施例]
図2の表に示す原料配合にしたがい、水ガラスに対する消石灰の添加率、および焼成温度を変えて、ケイ酸塩で被覆された蓄光材を作製した。製造した蓄光材に対して、粉末X線回折法および蛍光X線ファンダメンタルパラメーター法により、それぞれ鉱物組成および化学組成を確認するとともに、蛍光スペクトルを測定した。水ガラスには富士化学(株)社製3号水ガラス(珪酸ソーダ)を、消石灰には関東化学(株)社製高純度水酸化カルシウムを、蓄光材にはアルミン酸ストロンチウム系の蓄光材(根本特殊化学社製G-300L-160)を用いた。アルミン酸ストロンチウム系の蓄光材の添加率は、焼成後に30質量パーセントとなるように添加した。
消石灰の添加率を変えて作製した混合原料スラリーは、100℃に保持した乾燥器内で一昼夜乾燥し、塊状の固化物を乳鉢ですり潰した後、金型を用いた一軸加圧成形により直径40mm、高さ10mmの円盤状のペレットを成形した。高速昇温電気炉((株)モトヤマ社製スーパーバーンS6-2025D-OP)により、大気雰囲気中850℃、900℃および950℃に10分間保持してケイ酸塩で被覆された蓄光材を得た。ケイ酸塩で被覆された蓄光材の発光スペクトルの測定は、蛍光分光光度計(HORIBA社製Horiba Fluorolog Max-4)を用いて実施した。
水ガラスのみ、および、水ガラスと消石灰の混合物を焼成した焼成物の、CaOとSiOのモル比(CaO/SiO)を図3に示す。消石灰を添加せずに、3号水ガラスのみを800℃で焼成したものは、非晶質およびクリストバライトの混合物であった。CaO/SiOのモル比が0.08から0.42の範囲のものを焼成した焼成物中に同定されたケイ酸塩は、非晶質、NaCaSi、NaCaSi1616、NaCaSi、NaCaSi、NaCaSi18、NaCaSi18およびネフェリン(NaAlSiO)などであった。CaO/SiOのモル比が0.70の焼成物中で同定されたケイ酸塩は、NaCaSi18およびネフェリン(NaAlSiO)の2相であった。一般に、CaOが多くなる、または焼成温度が高くなると、ネフェリンの生成量が多くなりケイ酸塩で被覆された蓄光材の蛍光強度が低下する傾向があった。
図4から図8はケイ酸塩で被覆された蓄光材の発光スペクトル(励起波長は300nmで共通とした)を、CaOの含有率ごとに示したグラフである。図4から図8に示すとおり、全てのケイ酸塩で被覆された蓄光材は、450nmから550nmの範囲に蛍光のピークが認められた。
図4は、CaO/SiOのモル比=0.08(焼成後の濃度でCaO=5質量%)のケイ酸塩で被覆された蓄光材の蛍光スペクトルを示すグラフである。波長500nm近傍の蛍光スペクトルのピーク強度は、焼成温度の影響が小さく、いずれも輝度の高い蛍光が得られた。
図5は、CaO/SiOのモル比=0.22(CaO=10%)のケイ酸塩で被覆された蓄光材の蛍光スペクトルを示すグラフである。温度850℃および900℃で焼成したものは、CaO/SiOのモル比=0.08(CaO=5%)で焼成したものと同等の蛍光強度であった。950℃で焼成したものは蛍光強度が低下したが、使用に耐えうるレベルであった。
図6は、CaO/SiOのモル比=0.31(CaO=15%)のケイ酸塩で被覆された蓄光材の蛍光スペクトルを示すグラフである。波長500nm近傍の蛍光スペクトルのピーク強度は、焼成温度に依存し、焼成温度が高くなるにつれて、蛍光強度が低下した。950℃で焼成したものはCaO/SiOのモル比=0.22の配合のものを950℃で焼成したものと同等の強度であり、使用に耐えうるレベルであった。
図7は、CaO/SiOのモル比=0.42(CaO=20%)のケイ酸塩で被覆された蓄光材の蛍光スペクトルを示すグラフである。850℃で焼成したものは使用に耐えうる蛍光強度であったが、900℃および950℃で焼成したものは、蛍光強度が著しく低下した。
図8は、CaO/SiOのモル比=0.70(CaO=30%)のケイ酸塩で被覆された蓄光材の蛍光スペクトルを示すグラフである。CaO/SiOのモル比=0.42(CaO=20%)で配合したものと同様、850℃で焼成したものは使用に耐えうる蛍光強度であったが、900℃および950℃で焼成したものは、蛍光強度が著しく低下した。
以上のように、CaO/SiOのモル比が0.05以上0.40以下のケイ酸塩で被覆された蓄光材は、蛍光輝度の高い蓄光材であることが分かった。また、CaO/SiOのモル比が0.05から0.40となるように、水ガラスに対して消石灰を添加し、大気雰囲気中、850℃から950℃の温度範囲内で焼成することで、ケイ酸塩で被覆された蛍光輝度の高い蓄光材が得られることが分かった。
10 ケイ酸塩で被覆された蓄光材
11 ケイ酸塩
12 蓄光材

Claims (3)

  1. CaO/SiOのモル比が0.05以上0.40以下のケイ酸塩で被覆されたことを特徴とする、アルミン酸ストロンチウム系蓄光材。
  2. 水ガラスに消石灰を添加、混合し、第1の混合物を作製する工程と、
    前記第1の混合物にアルミン酸ストロンチウム系蓄光材を添加、混合し、第2の混合物を作製する工程と、
    前記第2の混合物を大気雰囲気中850℃以上950℃以下の温度で焼成する工程と、を含むことを特徴とするケイ酸塩で被覆された蓄光材の製造方法。
  3. 前記水ガラスに対する前記消石灰の添加割合を、CaO/SiOのモル比が0.05以上0.40以下となるように添加することを特徴とする請求項2記載のケイ酸塩で被覆された蓄光材の製造方法。
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