JP2020157795A - 車両の吸遮音構造、及び車両の吸遮音構造の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
以下、図1〜図5に基づいて本発明の実施形態1に係る車両の吸遮音構造について説明する。本実施形態に係る車両の吸遮音構造は、車両ボデーの床部において使用される構造である。ここで、図中に示す前後左右、及び上下は、前記吸遮音構造を備える車両の前後左右、及び上下に対応している。
本実施形態に係る車両の吸遮音構造は、図1に示すように、車両ボデーのフロアパネル4上に設置される吸遮音材2と、その吸遮音材2をフロアパネル4に固着する塗布型制振材1と、吸遮音材2の上面を覆うフロアシート3とを備えている。
吸遮音材2は、図2に示すように、フロアパネル4の凹凸を吸収できるように、フロアパネル4の凹凸に合わせて厚み寸法が変えられている。即ち、吸遮音材2が凹凸を有するフロアパネル4を覆った状態で、吸遮音材2の上面はフロアシート3を水平に支持できるようになる。吸遮音材2は、図2、図3に示すように、上方向に突出する四角錐台状の多数の凸部20を備えている。即ち、凸部20は、上端壁部21と前後左右の傾斜側壁部22とを備え、内側が内部空間Sとなっている。また、凸部20の高さ寸法は、フロアパネル4の凹部の位置で大きくなるように、またフロアパネル4の凸部の位置で小さくなるように設定されている。そして、凸部20の下端がフロアパネル4の凹凸に沿う底板部23によってつなげられた状態で車両前後方向、及び車幅方向に等間隔で並べられている。このため、各々の凸部20間が凹部となっている。また、各々の凸部20の上端壁部21は同一面上に保持されており、各々の凸部20の上端壁部21がフロアシート3によって覆われている。即ち、凸部20の上端壁部21が本発明の凸部の突出端面に相当する。
本実施形態で使用する塗布型制振材1は、熱硬化性の塗布型制振材であり、熱硬化させる前は一定の粘性及び粘着性を備える液体塗料である。このような塗布型制振材1として、例えば特開2010−111746号公報に開示された水系塗布型制振材を用いることができる。具体的には塗布型制振材1は、樹脂エマルジョン、添加剤(保水材)、無機質充填剤及びマイクロバルーン粒子等から製造することができる。より具体的には、例えば樹脂エマルジョンとしてスチレンエマルジョンを用い、無機質充填剤として炭酸カルシウム及びマイカ(雲母)を用い、保水剤としてプロピレングリコールを用い、制振材の発泡剤としてマイクロバルーン粒子を配合して塗布型制振材1を製造することができる。この塗布型制振材1は、フロアパネル4に直接塗布する他、フロアパネル4の上側表面にシーラー(図示せず)を配置した後、シーラーの上から塗布することもできる。この塗布型制振材1は、焼付塗装工程において通常70℃〜200℃の温度で5〜30分間加熱することで硬化させることができ、焼付塗装工程において硬化させることができる。
まず、車両ボデーのフロアパネル4の所定位置にロボット等によって塗布型制振材1を塗布する。そして、塗布型制振材1が塗布されたフロアパネル4の所定位置に、吸遮音材2を被せて押圧する。具体的には、図2等に示すように、フロアパネル4の所定位置に吸遮音材2の各々の凸部20をつなぐ底板部23が圧着される。このとき、底板部23はフロアパネル4の凹凸に沿ってフロアパネル4に保持された状態となっている。次に、焼付塗装工程において塗布型制振材1に熱が加えられることで、塗布型制振材1が熱硬化するのに伴い、吸遮音材2がフロアパネル4に固定される。これにより、吸遮音材2を構成する凸部20の内部空間Sの底が車両ボデーのフロアパネル4によって塞がれ、吸遮音材2はヘルムホルツ共鳴の原理を利用して車両の内外で発生する音を吸遮音できる。
本実施形態に係る吸遮音材2は、熱硬化性の塗布型制振材1により車両ボデーのフロアパネル4に固定される。このため、吸遮音材2を固定するための連結構造を設ける必要がなく、吸遮音材2を固定するためのコストが低減されるとともに、連結構造のためのノイズ対策が不要となる。さらに、塗布型制振材1の制振性能によって車両のノイズの発生をさらに抑えることができる。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、実施形態1では、吸遮音材2の凸部20の上端壁部21がフロアシート3と当接した状態で、吸遮音材2がフロアパネル4に固定される例を示した(図2)。しかし図4に示すように、上端壁部21とフロアシート3とが離間した状態で吸遮音材2が固定されてもよい。さらに、実施形態1においては略水平方向に設けられたフロアパネル4に吸遮音材2が固定される例を示した(図2)。しかし、塗布型制振材1は水平方向の面のみならず、例えば垂直方向の面にも塗布できる。このため吸遮音材2は塗布型制振材1によって、図5に示すように、略垂直方向に配置されるダッシュパネル5に固定することもできる。また実施形態1においては、四角錐台形の凸部20で吸遮音材2を構成し、凸部20に孔21h,22hを設ける例を示したが、吸遮音材2の形状や孔の位置・大きさ・数等は用途に応じて適宜変更することができる。
2・・・・吸遮音材
4・・・・フロアパネル(ボデーパネル)
20・・・凸部
21・・・上端壁部(突出端面)
21h・・孔
22h・・孔
23・・・底板部
S・・・・内部空間
Claims (7)
- 少なくとも1個の孔が穿孔され、前記孔を通じて外部と連通する内部空間を備える吸遮音材を利用して車両の内外で発生する音を吸遮音する車両の吸遮音構造であって、
前記吸遮音材が前記車両のボデーパネルを覆った状態で熱硬化性の接着剤によって前記ボデーパネルに固定されている吸遮音構造。 - 請求項1に記載された車両の吸遮音構造であって、
前記熱硬化性の接着剤が塗布型制振材である吸遮音構造。 - 請求項1又は請求項2のいずれかに記載された車両の吸遮音構造であって、
前記吸遮音材において前記ボデーパネルに接着される面が前記ボデーパネルの形状に沿う形に形成されている吸遮音構造。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載された車両の吸遮音構造であって、
前記吸遮音材がセルロース系繊維からなるパルプモウルドで形成されている吸遮音構造。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載された車両の吸遮音構造であって、
前記吸遮音材は、底板部と、その底板部に突出形成された中空状の多数の凸部とを備えており、
前記底板部が前記ボデーパネルに接着される構成で、前記多数の凸部の突出端面が同一面上にある吸遮音構造。 - 少なくとも1個の孔が穿孔され、前記孔を通じて外部と連通する内部空間を備える吸遮音材を利用して車両の内外で発生する音を吸遮音する車両の吸遮音構造の製造方法であって、
熱硬化性の塗布型制振材をボデーパネルに塗布する工程と、
前記塗布型制振材を塗布した前記ボデーパネルに前記吸遮音材を押圧し、前記ボデーパネルを前記吸遮音材で覆う工程と、
前記塗布型制振材を熱硬化させる工程と、
を備える製造方法。 - 請求項6に記載された車両の吸遮音構造の製造方法であって、
前記塗布型制振材を熱硬化させる工程が、焼付塗装工程である製造方法。
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