JP2020157253A - 分離膜モジュール - Google Patents
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Abstract
【課題】低回収率運転等の条件下においても、シール部材の移動と、テレスコープの発生との双方を抑止可能な、分離膜モジュールを提供すること。【解決手段】本発明は、円筒状の分離膜エレメントと、部位A及び部位Bを有するリング状のシール部材と、円筒状のベッセルと、を備え、ベッセルの長手方向と分離膜エレメントの長手方向とを一致させて、分離膜エレメントがベッセルに挿入されており、シール部材が間隙を閉塞しており、部位Aは分離膜エレメントの径方向において、分離膜エレメントの外表面と接触し、かつ、ベッセルの内表面と接触しない部位であり、部位Bは分離膜エレメントの径方向においてベッセルの内表面と接触し、かつ、分離膜エレメントの外表面と接触しない部位であり、部位Aが部位Bに対して、分離膜エレメントの長手方向における端部X側に配置されている、分離膜モジュールを提供する。【選択図】図3
Description
本発明は、分離膜モジュールに関する。
海水及びかん水等に含まれるイオン性物質を除くための技術においては、近年、省エネルギー及び省資源のためのプロセスとして、分離膜エレメントによる分離法の利用が拡大している。分離膜エレメントによる分離法に使用される分離膜は、その孔径や分離機能の観点から、精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜、逆浸透膜又は正浸透膜に分類される。これらの分離膜は、例えば海水、かん水及び有害物を含んだ水等からの飲料水の製造、工業用超純水の製造、並びに、排水処理及び有価物の回収等に用いられており、目的とする分離成分及び分離性能によって使い分けがされている。
また例えば逆浸透ろ過には、スパイラル型分離膜エレメントをベッセルに挿入した、分離膜モジュールが広く用いられている。スパイラル型分離膜エレメントは、有孔集水管と、有孔集水管の周りに巻回された積層体とを備える。積層体は、供給流体(つまり原水)を分離膜表面へ供給する供給側流路材、供給流体に含まれる成分を分離する分離膜、及び、分離膜を透過した透過流体を有孔集水管へと導くための透過側流路材が積層されることで形成されるのが通常である。スパイラル型分離膜エレメントは、供給流体に圧力を付与することができるので、透過流体を多く取り出すことができる点で好ましく用いられている。
ベッセルと分離膜エレメントとの間隙には、その間隙を閉塞するための、リング状のシール部材が配置されることが一般的である。このようなシール部材が配置され間隙が閉塞されることにより、供給流体が適切に、分離膜エレメントの内部に誘導されることになる。しかし、ベッセルの長手方向における、シール部材の前後の空間の圧力差が過度に大きくなると、分離膜エレメントの内部の部材等が変形又は押し出されて分離性能が大幅に低下する、テレスコープと呼ばれる現象が引き起こされるばかりでなく、シール部材が当初の位置から移動してしまい、所期の効果を達成できなくなることが問題視されていた。このシール部材の移動についての対策としては、シール部材を保持するための部材を設ける技術(特許文献1)、又は、分離膜エレメントとシール部材とを一体化させる技術(特許文献2)が知られている。
しかしながら、シール部材の意図せぬ移動を抑止可能な従来の技術においては、同時にテレスコープの発生を防ぐことができず、特に低回収率の条件で分離膜モジュールを運転した場合等において、テレスコープが多発することが問題視されていた。
そこで本発明は、低回収率運転等の条件下においても、シール部材の移動と、テレスコープの発生との双方を抑止可能な、分離膜モジュールを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、円筒状の分離膜エレメントと、部位A及び部位Bを有するリング状のシール部材と、円筒状のベッセルと、を備え、上記ベッセルの長手方向と、上記分離膜エレメントの長手方向とを一致させて、上記分離膜エレメントが上記ベッセルに挿入されており、上記シール部材が、上記ベッセルと上記分離膜エレメントとの間隙を閉塞しており、上記部位Aは、上記分離膜エレメントの径方向において、上記分離膜エレメントの外表面と接触し、かつ、上記ベッセルの内表面と接触しない部位であり、上記部位Bは、上記分離膜エレメントの径方向において、上記ベッセルの内表面と接触し、かつ、上記分離膜エレメントの外表面と接触しない部位であり、上記分離膜エレメントの長手方向において、上記部位Aが、上記部位Bに対して、上記分離膜エレメントの長手方向における端部X側に配置されている、分離膜モジュールを提供する。
本発明によれば、分離膜モジュールを低回収率運転等に供した場合においても、シール部材の移動と、テレスコープの発生との双方を抑止することが可能となる。
以下に、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
本発明の分離膜モジュールは、円筒状の分離膜エレメントと、部位A及び部位Bを有するリング状のシール部材と、円筒状のベッセルと、を備えることを必要とする。
また本発明の分離膜モジュールは、上記ベッセルの長手方向と、上記分離膜エレメントの長手方向とを一致させて、上記分離膜エレメントが上記ベッセルに挿入されていることを必要とする。
図2に例示される分離膜モジュール100は、円筒状の分離膜エレメント1と、部位A及び部位B(図示しない)を有するリング状のシール部材400と、円筒状のベッセル200と、を備え、ベッセル200の長手方向と、分離膜エレメント1の長手方向とを一致させて、分離膜エレメント1がベッセル200に挿入されている。
(1)分離膜エレメント
本発明の分離膜モジュールが備える円筒状の分離膜エレメントとしては、有孔集水管と、供給側の面と透過側の面とを有する分離膜の、上記供給側の面が向かい合うように配置された複数の分離膜対と、上記分離膜対の供給側の面の間に設けられる供給側流路材と、上記分離膜対の透過側の面の間に設けられる透過側流路材と、を備え、上記有孔集水管の周りに上記分離膜対、上記供給側流路材及び上記透過側流路材が巻回された態様が一般的である。このような円筒状の分離膜エレメントの一例を、図5〜11にそれぞれ示す。
本発明の分離膜モジュールが備える円筒状の分離膜エレメントとしては、有孔集水管と、供給側の面と透過側の面とを有する分離膜の、上記供給側の面が向かい合うように配置された複数の分離膜対と、上記分離膜対の供給側の面の間に設けられる供給側流路材と、上記分離膜対の透過側の面の間に設けられる透過側流路材と、を備え、上記有孔集水管の周りに上記分離膜対、上記供給側流路材及び上記透過側流路材が巻回された態様が一般的である。このような円筒状の分離膜エレメントの一例を、図5〜11にそれぞれ示す。
図5等に例示される分離膜エレメントが備える分離膜対を構成する分離膜としては、使用方法、目的等に応じた分離性能を有する膜が用いられる。分離膜は、単一層であっても構わないし、分離機能層と基材とを備える複合膜であっても構わない。また、複合膜においては、分離機能層と基材との間に、さらに多孔性支持層があっても構わない。
ここで分離膜が複合膜である場合、分離機能層を有する面を供給側の面、分離機能層を有する面とは反対側の面を透過側の面といい、供給側の面が互いに向かい合うように配置された状態の分離膜を「分離膜対」とすることができる。
分離機能層は、分離機能及び支持機能の両方を有する層であっても構わないし、分離機能のみを有していても構わない。
分離機能層が分離機能及び支持機能の両方を有する場合、分離機能層としては、セルロース、ポリフッ化ビニリデン、ポリエーテルスルホン及びポリスルホンからなる群から選ばれるポリマーを主成分として含有する層が好ましい。
一方で、分離機能層としては、孔径の制御が容易であり、かつ耐久性に優れるという観点から、架橋高分子の層が好ましい。中でも、分離性能に優れるという観点から、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物とを重縮合させて得られるポリアミド分離機能層や、有機無機ハイブリッド機能層等が好ましい。これらの分離機能層は、多孔性支持層上でモノマーを重縮合することによって形成できる。
多孔性支持層としては、例えば、ポリスルホン、酢酸セルロース、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂若しくはそれらの混合物の層、又は、それらの層を積層したものが挙げられるが、化学的、機械的及び熱的に安定性が高く、孔径が制御しやすい、ポリスルホンを含有する層が好ましい。
基材としては、強度又は流体透過性の観点から、長繊維不織布又は短繊維不織布等の繊維状の基材を用いることが好ましい。
図7〜11に例示される分離膜エレメントを構成する分離膜対9は、同じく例示される供給側流路材4及び透過側流路材5と共に、分離膜リーフ6を形成する。分離膜3は、供給側流路材4を挟んで供給側の面が向かい合うように配置され、分離膜3の透過側の面の向かい合う間には、透過側流路材5が配置されている。透過側流路は、透過水102が有孔集水管2に流れるように、透過側の面の間が、巻回方向内側の一辺のみにおいて開放され、他の三辺においては封止(閉口)されている。
供給側流路材4は、分離膜3の供給側の面に挟まれるように配置され、分離膜3に供給水101を供給する流路(すなわち供給側流路)を形成する。供給側流路材4は、供給水101の濃度分極を抑制するために、供給水101の流れを乱すような形状になっていることが好ましい。供給側流路材4としては、例えば、フィルム若しくはネット、又は、空隙を有するシートに凸状物が設けられたような連続形状を有している部材が挙げられる。
透過側流路材5は、分離膜3の透過側の面に挟まれるように配置され、分離膜3を透過した流体を有孔集水管2の孔まで導く流路(すなわち透過側流路)を形成する。透過側流路材5としては、例えば、従来のトリコットを流路が広がるように厚くした緯編物若しくは繊維の目付量を低減した緯編物、不織布のような多孔性シートに突起物を配置したシート、又は、フィルムや不織布を凹凸加工した凹凸加工シートが挙げられる。
有孔集水管2は、その内部を透過水102が流れるように構成されていればよく、材質及び形状は特に限定されない。有孔集水管2の外径は、透過水102の流量に応じて適宜設計すればよいが、10〜50mmが好ましく、15〜40mmがより好ましい。
<I型分離膜エレメント>
図7の展開図に例示される分離膜対9(供給側流路を形成)を、「I型分離膜対」という。
図7の展開図に例示される分離膜対9(供給側流路を形成)を、「I型分離膜対」という。
I型分離膜対においては、分離膜対9に供給水101が供給される端面のことを、流入端面といい、濃縮水103が排出される端面のことを、排出端面という。分離膜対がI型分離膜対で構成される分離膜リーフが巻回された分離膜エレメントを、「I型分離膜エレメント」という。
I型分離膜エレメントが備える分離膜対は、有孔集水管2の長手方向における両端部に、供給水供給部21及び濃縮水排出部22をそれぞれ有する。
<逆L型分離膜エレメント>
図8の展開図に例示される分離膜対9(供給側流路を形成)を、「逆L型分離膜対」という。
図8の展開図に例示される分離膜対9(供給側流路を形成)を、「逆L型分離膜対」という。
逆L型分離膜対においては、分離膜対に供給水101が供給される端面のことを、流入端面といい、濃縮水103が排出される外周端部のことを、排出端部という。
逆L型分離膜対においては、流入端面とは反対側の端面は、流路閉口率が100%となる。ここで「流路閉口率」とは、分離膜対の一の端面又は端部の全長に対する、封止より流路が閉口された部位の長さの総計値の比率をいう。
一方で、流入端面においては、流路閉口率は0〜95%であることが好ましく、流路閉口率が0%より大きい場合、流路閉口箇所は、巻回方向の外側から内側にかけて連続的であることが好ましい。
排出端部の流路閉口率は0〜95%であることが好ましく、流路閉口率が0%より大きい場合、流路閉口箇所は、流入端面側から有孔集水管2の長手方向に連続的であることが好ましい。
流入端面及び排出端部の流路閉口率がこの範囲内にあることで、供給側流路のショートパスを防止することができ、十分な透過流体量を得ることができる。
なお、有孔集水管2に接する、分離膜対9の内周端部の流路閉口率は100%である。
分離膜対の端面を封止する手段としては、例えば、巻回前若しくは巻回後の接着剤塗布、又は、巻回後のキャップ若しくはテレスコープ防止板の嵌合が挙げられる。
また分離膜の端部を封止する手段としては、例えば、巻回前若しくは巻回後の接着剤塗布若しくはテープの貼付、又は、巻回後のフィルム若しくはフラメントワインディングによる被覆が挙げられる。
分離膜対が逆L型分離膜対で構成される分離膜リーフが巻回された分離膜エレメントを、「逆L型分離膜エレメント」という。
<L型分離膜エレメント>
図9の展開図に例示される分離膜対9(供給側流路を形成)を、「L型分離膜対」という。
図9の展開図に例示される分離膜対9(供給側流路を形成)を、「L型分離膜対」という。
L型分離膜対においては、分離膜対9に供給水101が供給される分離膜対の外周端部のことを、流入端部といい、濃縮水103が排出される端面のことを、排出端面という。
L型分離膜対においては、排出端面とは反対側の端面は、流路閉口率が100%である。
流入端部の流路閉口率は0〜95%であることが好ましく、流路閉口率が0%より大きい場合、流路閉口箇所は、排出端面側から有孔集水管2の長手方向に連続的であることが好ましい。
排出端面の流路閉口率は0〜95%であることが好ましく、流路閉口率が0%より大きい場合、流路閉口箇所は、巻回方向の外側から内側にかけて連続的であることが好ましい。
流入端部及び排出端面の流路閉口率がこの範囲内にあることで、供給側流路のショートパスを抑制することができ、十分な透過流体量を得ることができる。
なお、分離膜対9の内周端部の流路閉口率は100%である。
分離膜対がL型分離膜対で構成される分離膜リーフが巻回された分離膜エレメントを、「L型分離膜エレメント」という。
<逆T型分離膜エレメント>
図10の展開図に例示される分離膜対を、「逆T型分離膜対」という。
図10の展開図に例示される分離膜対を、「逆T型分離膜対」という。
逆T型分離膜対においては、分離膜対9に供給水101が供給される両端面のことを、流入端面といい、濃縮水103が排出される分離膜対9の外周端部のことを、排出端部という。
逆T型分離膜対においては、流入端面の流路閉口率は0〜95%であることが好ましく、流路閉口率が0%より大きい場合、流路閉口箇所は、巻回方向の外側から内側にかけて連続的であることが好ましい。
排出端部の流路閉口率は0〜95%であることが好ましく、流路閉口率が0%より大きい場合、流路閉口箇所は、流入端面側から有孔集水管2の長手方向に連続的であることが好ましい。
流入端面及び排出端部の流路閉口率がこの範囲内にあることで、供給側流路のショートパスを防止することができ、十分な透過水量を得ることができる。
なお、分離膜対9の内周端部の流路閉口率は100%である。
分離膜対が逆T型分離膜対で構成される分離膜リーフが巻回された分離膜エレメントを、「逆T型分離膜エレメント」という。
<T型分離膜エレメント>
図11の展開図に例示される分離膜対を、「T型分離膜対」という。
図11の展開図に例示される分離膜対を、「T型分離膜対」という。
T型分離膜対においては、分離膜対9に供給水101が供給される分離膜対の外周端部のことを、流入端部といい、濃縮水103が排出される端面のことを排出端面という。
T型分離膜対においては、流入端部の流路閉口率は0〜95%であることが好ましく、流路閉口率が0%より大きい場合、流路閉口箇所は、排出端面側から有孔集水管2の長手方向に連続的であることが好ましい。
排出端面の流路閉口率は0〜95%であることが好ましく、流路閉口率が0%より大きい場合、流路閉口箇所は、巻回方向の外側から内側にかけて連続的であることが好ましい。
流入端部及び排出端面の流路閉口率がこの範囲内にあることで、供給側流路のショートパスを抑制することができ、十分な透過水量を得ることができる。
なお、分離膜対9の内周端部の流路閉口率は100%である。
分離膜対がT型分離膜対で構成される分離膜リーフが巻回された分離膜エレメントを、「T型分離膜エレメント」という。
(2)ベッセル
本発明の分離膜モジュールが備える円筒状のベッセルは、分離膜エレメントを挿入するための容器である。一般的なベッセルは、供給水、透過水、濃縮水の流入孔及び排出孔を有し、その内部は、供給水、濃縮水及び透過水が互いに混じらないように、空間がそれぞれ区画されている。
本発明の分離膜モジュールが備える円筒状のベッセルは、分離膜エレメントを挿入するための容器である。一般的なベッセルは、供給水、透過水、濃縮水の流入孔及び排出孔を有し、その内部は、供給水、濃縮水及び透過水が互いに混じらないように、空間がそれぞれ区画されている。
ベッセルと分離膜エレメントとの間隙の大きさの指標である、分離膜エレメントの径方向における分離膜エレメントの外表面とベッセルの内表面との間の距離Hは、1〜50mmであることが好ましく、5〜20mmであることがより好ましい。
(3)シール部材
本発明の分離膜モジュールが備えるリング状のシール部材は、部位A及び部位Bを有することを必要とする。また本発明の分離膜モジュールが備えるリング状のシール部材は、本発明の分離膜モジュールが備えるベッセルと分離膜エレメントとの間隙を閉塞している。ここで「部位A」は、本発明の分離膜モジュールが備える分離膜エレメントの径方向において、分離膜エレメントの外表面と接触し、かつ、本発明の分離膜モジュールが備えるベッセルの内表面と接触しない部位である。また「部位B」は、本発明の分離膜モジュールが備える分離膜エレメントの径方向において、本発明の分離膜モジュールが備えるベッセルの内表面と接触し、かつ、分離膜エレメントの外表面と接触しない部位である。そして本発明の分離膜モジュールにおいては、分離膜エレメントの長手方向において、部位Aが、部位Bに対して、分離膜エレメントの長手方向における端部X側に配置されていることを必要とする。なお端部Xは、分離膜エレメントに供給流体が供給される側の端部であることが好ましい。
本発明の分離膜モジュールが備えるリング状のシール部材は、部位A及び部位Bを有することを必要とする。また本発明の分離膜モジュールが備えるリング状のシール部材は、本発明の分離膜モジュールが備えるベッセルと分離膜エレメントとの間隙を閉塞している。ここで「部位A」は、本発明の分離膜モジュールが備える分離膜エレメントの径方向において、分離膜エレメントの外表面と接触し、かつ、本発明の分離膜モジュールが備えるベッセルの内表面と接触しない部位である。また「部位B」は、本発明の分離膜モジュールが備える分離膜エレメントの径方向において、本発明の分離膜モジュールが備えるベッセルの内表面と接触し、かつ、分離膜エレメントの外表面と接触しない部位である。そして本発明の分離膜モジュールにおいては、分離膜エレメントの長手方向において、部位Aが、部位Bに対して、分離膜エレメントの長手方向における端部X側に配置されていることを必要とする。なお端部Xは、分離膜エレメントに供給流体が供給される側の端部であることが好ましい。
一の分離膜エレメントに対して、複数のリング状のシール部材が配置され、各々が間隙を閉塞していても構わない。
リング状のシール部材が上記のような構成を有することで、低回収率運転等の条件下においても、シール部材の移動と、テレスコープの発生との双方を抑止することが可能となる。なお、リング状のシール部材が上記のような構成を有することで、高回収率運転時には十分なシール性(間隙の閉塞の程度)が確保される一方で、低回収率運転時には部位Bが僅かに変形することによって、ベッセルの長手方向における、シール部材の前後の空間同士を連通するバイパス流路が形成され、シール部材の前後の空間の圧力差が低減されることで、テレスコープの発生が抑止されるものと推測される。
図3及び4では、ベッセルの長手方向における本発明の分離膜モジュールの断面を露出させた場合の、シール部材の一例の断面が例示されている。図3及び4に例示されるように、ベッセルの長手方向における、シール部材全体の幅をWs、シール部材の部位Aの幅をWA(図3及び4に示されるA’〜A”間の距離)、シール部材の部位Bの幅をWB(図3及び4に示されるB’〜B”間の距離)としたとき、十分なシール性を確保するため、WAの値は1〜100mmであることが好ましく、5〜50mmであることがより好ましい。また低回収率運転時における部位Bの変形を容易にするため、WAの値とWBの値との関係はWB≦WAであることが好ましく、WBの値は30mm以下であることが好ましく、10mm以下であることがより好ましい。
Wsの値は分離膜エレメントの長さ、分離膜モジュールの運転圧力、又は、分離膜エレメント一つ当たりに配置されるシール部材の数、等の種々の要因を勘案しつつ、適宜決定すればよいが、上記WAと上記WBとの間で、
(WA+WB) ≦ WS ≦ 1.2(WA+WB)
の関係を満たすことが好ましい。
(WA+WB) ≦ WS ≦ 1.2(WA+WB)
の関係を満たすことが好ましい。
図3及び4で示されるように、シール部材の部位Aと部位Bとの接合部の接線と、分離膜エレメントの外表面との間で形成される角度をAdとした場合、高回収運転時のシール性を十分に確保するため、Adの値は60〜150oが好ましく、80〜120oがより好ましい。
シール部材の素材としては、例えば、エチレン−プロピレン−ジエンM−クラスゴム(EPDM)、ネオプレン、ブナゴム、エチレン−酢酸ビニル(EVA)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン又はシリコーン材料が挙げられる。
以下に実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
(回収率)
供給流体として水道水を用い、運転圧力0.55MPa、温度25℃の条件下で分離膜モジュールを運転して、1分間の透過水のサンプリングを行い、1分間に供給した供給水量と透過水量との比率(%)を回収率とした。
供給流体として水道水を用い、運転圧力0.55MPa、温度25℃の条件下で分離膜モジュールを運転して、1分間の透過水のサンプリングを行い、1分間に供給した供給水量と透過水量との比率(%)を回収率とした。
(実施例1)
ポリエチレンテレフタレート繊維からなる不織布(糸径:1デシテックス、厚み:約0.09mm、密度0.80g/cm3)上にポリスルホンの15.2質量%のN,N−ジメチルホルムアミド溶液を180μmの厚みで室温(25℃)にキャストし、直ちに純水中に浸漬して5分間放置し、80℃の温水で1分間浸漬することによって、繊維補強ポリスルホン支持層からなる、多孔性支持層(厚み130μm)を作製した。
ポリエチレンテレフタレート繊維からなる不織布(糸径:1デシテックス、厚み:約0.09mm、密度0.80g/cm3)上にポリスルホンの15.2質量%のN,N−ジメチルホルムアミド溶液を180μmの厚みで室温(25℃)にキャストし、直ちに純水中に浸漬して5分間放置し、80℃の温水で1分間浸漬することによって、繊維補強ポリスルホン支持層からなる、多孔性支持層(厚み130μm)を作製した。
その後、多孔性支持層ロールを巻き出し、m−フェニレンジアミンの3.8質量%水溶液中に2分間浸漬し、該多孔性支持層を垂直方向にゆっくりと引き上げ、エアーノズルから窒素を吹き付け多孔性支持層表面から余分な水溶液を取り除いた後、トリメシン酸クロリド0.175質量%を含むn−デカン溶液を表面が完全に濡れるように塗布して1分間静置した。次に、膜から余分な溶液を除去するために膜を1分間垂直に保持して液切りした。その後、90℃の熱水で2分間洗浄した分離膜ロールを得た。
このように得られた分離膜を、長さ1.5m、幅0.25mに1枚分裁断し、折りたたみ、ネット(厚み300μm、ピッチ:1.5mm×1.5mm)を供給側流路材として、ネット構成糸の傾斜角度が巻回方向に対して45°となるように配置した。巻回体の一端面の流路閉口率が20%となるように巻回方向の外側から内側にかけて連続的に接着剤を塗布し、他端面の流路閉口率100%、内周端部の流路閉口率100%、外周端部の流路閉口率0%とした。
透過側流路材は、スリット幅500μm、ピッチ900μmの櫛形シムを装填したアプリケーターを用いて、バックアップロールを20℃に温度調節しながら、分離膜エレメントとした場合に巻回方向の内側端部から外側端部まで有孔集水管の長手方向に対して垂直になるよう直線状に、高結晶性ポリプロピレン(MFR1000g/10min、融点161℃)60質量%と低結晶性α−オレフィン系ポリマー(出光興産株式会社製;低立体規則性ポリプロピレン「L−MODU・S400」(商品名))40質量%とからなる組成物ペレットを樹脂温度205℃、走行速度10m/minで直線状に不織布上に塗布することで作製した。不織布は厚み70μm、目付量が35g/m2、エンボス柄(φ1.0mmの円形、ピッチ5.0mmの格子状)を用い、透過側流路材の総厚みは270μmであった。
作製した透過側流路材を裁断し、分離膜の透過側の面に配置して、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)製有孔集水管(幅:350mm、径:18mm、孔数10個×直線状1列)にスパイラル状に巻き付け、外周端部に非透水性フィルムを巻きつけた。濃縮水排出部はフィルムの中央部の幅200mmの箇所に幅40mm、高さ10mmの孔が幅方向に4箇所設けられ、高さ方向に4箇所設けた。得られた巻回体の両端のエッジカットを行った後、巻回体の一端面にキャップを取り付け、巻回体の直径が1.8インチ(外径が45mm)の逆L型分離膜エレメントを1本作製した。
エチレン−プロピレン−ジエンM−クラスゴム(EPDM)を使用して、Hが10.0mm、WAが30.0mm、WBが5.0mm、WSが35.2mm、Adが85.0°の、図3に示す態様のシール部材を作製した。
作製した逆L型分離膜エレメント長手方向における二つの端部の内、供給流体が供給される側の端部から、逆L型分離膜エレメント長手方向において5mm離れた箇所に、シール部材の部位Aの端部が位置するようにシール部材を設置して、内径が65mmのベッセルと長手方向を一致させて挿入し、ベッセルの蓋を閉じて分離膜モジュールを作製した。
作製した分離膜モジュールを用いて、バルブ調整により回収率が15%となるように運転をし、1分間の透過水のサンプリング後に直ちに差圧計でシール部材の前後の空間の圧力差を測定し、その値を初期圧損(ΔP0)とした。その後、回収率を15%に設定したままで30分間運転をした後、直ちに差圧計でシール部材の前後の空間の圧力差を測定し、その値を運転後圧損(ΔP1)として、ΔP0−ΔP1の値を「運転前後の圧損変化」とした。次に、回収率を90%に変更し、同様の運転、及び、圧損の測定をした。ここで運転前後の圧損変化は、その値が大きいほど、シール部材の前後の空間同士が連通されたことによる供給流体のバイパス量が多かったことを示すものと考えられる。その後、ベッセルから分離膜エレメントを取り出して、テレスコープの発生により分離膜エレメントの長手方向において分離膜リーフがずれて移動した距離である、「分離膜エレメント移動距離」、及び、分離膜エレメントの長手方向においてシール部材が移動した距離である、「シール部材移動距離」をそれぞれ測定した。以上の評価結果は、表1のとおりであった。
(実施例2)
ベッセルの内径を49mmに変更し、シール部材のサイズを表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして分離膜モジュールを作製し、同様の評価を行った。評価結果は、表1のとおりであった。
ベッセルの内径を49mmに変更し、シール部材のサイズを表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして分離膜モジュールを作製し、同様の評価を行った。評価結果は、表1のとおりであった。
(実施例3)
ベッセルの内径を105mmに変更し、シール部材のサイズを表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして分離膜モジュールを作製し、同様の評価を行った。評価結果は、表1のとおりであった。
ベッセルの内径を105mmに変更し、シール部材のサイズを表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして分離膜モジュールを作製し、同様の評価を行った。評価結果は、表1のとおりであった。
(実施例4)
ベッセルの内径を145mmに変更し、シール部材のサイズを表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして分離膜モジュールを作製し、同様の評価を行った。評価結果は、表1のとおりであった。
ベッセルの内径を145mmに変更し、シール部材のサイズを表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして分離膜モジュールを作製し、同様の評価を行った。評価結果は、表1のとおりであった。
(実施例5〜9)
シール部材のサイズを表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして分離膜モジュールを作製し、同様の評価を行った。評価結果は、表1のとおりであった。
シール部材のサイズを表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして分離膜モジュールを作製し、同様の評価を行った。評価結果は、表1のとおりであった。
(実施例10〜15)
シール部材のサイズを表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして分離膜モジュールを作製し、同様の評価を行った。評価結果は、表2のとおりであった。
シール部材のサイズを表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして分離膜モジュールを作製し、同様の評価を行った。評価結果は、表2のとおりであった。
(実施例16)
実施例1で得られた分離膜を別途、長さ1.5m、幅0.25mに1枚分裁断し、折りたたみ、ネット(厚み300μm、ピッチ:1.5mm×1.5mm)を供給側流路材として、ネット構成糸の傾斜角度が巻回方向に対して45°となるように配置した。
実施例1で得られた分離膜を別途、長さ1.5m、幅0.25mに1枚分裁断し、折りたたみ、ネット(厚み300μm、ピッチ:1.5mm×1.5mm)を供給側流路材として、ネット構成糸の傾斜角度が巻回方向に対して45°となるように配置した。
作製した透過側流路材を裁断し、分離膜の透過側の面に配置して、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)製有孔集水管(幅:350mm、径:18mm、孔数10個×直線状1列)にスパイラル状に巻き付け、外周端部に非透水性フィルムを巻きつけた。得られた巻回体の両端のエッジカットを行い、巻回体の直径が1.8インチ(外径が45mm)のI型分離膜エレメントを1本作製した。
分離膜エレメントを逆L型からI型に変更した以外は、実施例1と同様にして分離膜モジュールを作製し、同様の評価を行った。評価結果は、表2のとおりであった。
(比較例1)
図1に示されるように、供給流体が供給される側の端部から、I型分離膜エレメント長手方向において5mm離れた箇所に、シール部材の部位Bの端部が位置するようにシール部材を設置した以外は、実施例16と同様にして分離膜モジュールを作製し、同様の評価を行った。評価結果は、表2のとおりであった。
図1に示されるように、供給流体が供給される側の端部から、I型分離膜エレメント長手方向において5mm離れた箇所に、シール部材の部位Bの端部が位置するようにシール部材を設置した以外は、実施例16と同様にして分離膜モジュールを作製し、同様の評価を行った。評価結果は、表2のとおりであった。
(比較例2)
シール部材の配置を比較例1と同様にした以外は、実施例1と同様にして分離膜モジュールを作製し、同様の評価を行った。評価結果は、表2のとおりであった。
シール部材の配置を比較例1と同様にした以外は、実施例1と同様にして分離膜モジュールを作製し、同様の評価を行った。評価結果は、表2のとおりであった。
1 分離膜エレメント
2 有孔集水管
3 分離膜
4 供給側流路材
5 透過側流路材
6 分離膜リーフ
7 巻回体
8 封止部
9 分離膜対
21 供給水供給部
22 濃縮水排出部
101 供給水
102 透過水
103 濃縮水
100 分離膜モジュール
200 ベッセル
201 ベッセルの蓋
202 ベッセルの内表面
400 シール部材
2 有孔集水管
3 分離膜
4 供給側流路材
5 透過側流路材
6 分離膜リーフ
7 巻回体
8 封止部
9 分離膜対
21 供給水供給部
22 濃縮水排出部
101 供給水
102 透過水
103 濃縮水
100 分離膜モジュール
200 ベッセル
201 ベッセルの蓋
202 ベッセルの内表面
400 シール部材
Claims (5)
- 円筒状の分離膜エレメントと、部位A及び部位Bを有するリング状のシール部材と、円筒状のベッセルと、を備え、
前記ベッセルの長手方向と、前記分離膜エレメントの長手方向とを一致させて、前記分離膜エレメントが前記ベッセルに挿入されており、
前記シール部材が、前記ベッセルと前記分離膜エレメントとの間隙を閉塞しており、
前記部位Aは、前記分離膜エレメントの径方向において、前記分離膜エレメントの外表面と接触し、かつ、前記ベッセルの内表面と接触しない部位であり、
前記部位Bは、前記分離膜エレメントの径方向において、前記ベッセルの内表面と接触し、かつ、前記分離膜エレメントの外表面と接触しない部位であり、
前記分離膜エレメントの長手方向において、前記部位Aが、前記部位Bに対して、前記分離膜エレメントの長手方向における端部X側に配置されている、分離膜モジュール。 - 前記端部Xが、前記分離膜エレメントに供給流体が供給される側の端部である、請求項1記載の分離膜モジュール。
- 前記ベッセルの長手方向における、前記部位Aの幅WAの値が、1〜100mmである、請求項1又は2記載の分離膜モジュール。
- 前記ベッセルの長手方向における、前記部位Bの幅WBの値が30mm以下である、請求項1〜3のいずれか一項記載の分離膜モジュール。
- 前記ベッセルの長手方向における、前記シール部材の幅WSが、
(WA+WB) ≦ WS ≦ 1.2(WA+WB)
の関係を満たす、請求項1〜4のいずれか一項記載の分離膜モジュール。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019061075A JP2020157253A (ja) | 2019-03-27 | 2019-03-27 | 分離膜モジュール |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019061075A JP2020157253A (ja) | 2019-03-27 | 2019-03-27 | 分離膜モジュール |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2020157253A true JP2020157253A (ja) | 2020-10-01 |
Family
ID=72640946
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019061075A Pending JP2020157253A (ja) | 2019-03-27 | 2019-03-27 | 分離膜モジュール |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2020157253A (ja) |
-
2019
- 2019-03-27 JP JP2019061075A patent/JP2020157253A/ja active Pending
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