JP2019147072A - 水処理システムの運転方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】水処理システムへの供給水の水質が大幅に変動するような状況においても、高い造水量及び分離性能をより効率的かつ安定的に維持可能な、水処理システムの運転方法を提供すること。【解決手段】本発明は、供給水を、透過水と濃縮水とに分離排出する状態S1と、供給水の全量を、濃縮水として排出する状態S2と、に切り替え可能な、複数の分離膜エレメントE1が配置された分離膜エレメントユニットを備える、水処理システムの運転方法であり、分離膜エレメントユニットに供給される原水における物質Xの濃度が、閾値A以上の場合における、状態S2の分離膜エレメントE1の数であるN1と、原水における物質Xの濃度が閾値A未満の場合における、状態S2の分離膜エレメントE1の数であるN2と、分離膜エレメントE1の総数であるN3とが、N1<N2<N3の関係を満たす、水処理システムの運転方法である。【選択図】図8
Description
本発明は、水処理システムの運転方法に関する。
先進国では、浄水施設や配管等の、浄水供給のためのインフラの維持管理が甚大な負担となる一方で、途上国では、経済的理由によりそれらインフラが整備されず、浄水の不足が深刻化している。また災害やテロ等によりそれらインフラが機能不全になれば、浄水供給はたちまち滞ることになる。このような背景から、井戸水や雨水等、各地域における水源から浄水を製造・供給可能な、自立型の水処理システムに関する多様な技術(特許文献1及び2等)が提案されている。
しかしながら、自立型の水処理システムにおいて利用可能な水源は様々であるものの、それらの水質は水源間で大きく異なるものであり、さらには、例えば雨水のような特定の水源に着目しても、その水質は経時的に大きく変動する場合がある。このため、自立型の水処理システムを一定条件下で運転し続けた場合には、水質の変動の影響、特に不純物濃度が高い水が供給された際の影響により、得られる浄水の水質が悪化するばかりでなく、分離膜を用いた場合にはその表面に有機物ファウリングや無機スケールが析出する等して劣化し、長期的に安定した運転を継続することは困難であった。さらには、性能が低下した分離膜の洗浄するために多量の浄水が必要になる等、そのメンテナンスが多大な負荷となることが問題視されていた。
そこで本発明は、水源より得られる水、すなわち水処理システムへの供給水の水質が大幅に変動するような状況においても、高い造水量及び分離性能をより効率的かつ安定的に維持可能であり、さらにはメンテナンスの負荷が低減可能な、水処理システムの運転方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の水処理システムの運転方法は、供給水を、透過水と濃縮水とに分離排出する状態S1と、供給水の全量を、濃縮水として排出する状態S2と、に切り替え可能な、複数の分離膜エレメントE1が配置された分離膜エレメントユニットを備える、水処理システムの運転方法であり、上記分離膜エレメントユニットに供給される原水における物質Xの濃度が、閾値A以上の場合における、上記状態S2の分離膜エレメントE1の数であるN1と、上記原水における上記物質Xの濃度が上記閾値A未満の場合における、上記状態S2の分離膜エレメントE1の数であるN2と、分離膜エレメントE1の総数であるN3とが、N1<N2<N3の関係を満たすことを特徴とする。
本発明の水処理システムの運転方法によれば、水処理システムへの供給水の水質が大幅に変動するような状況においも、不純物濃度が低い場合において一部の分離膜エレメント分離を停止することで、高い造水量及び分離性能を長期間に亘って維持しながら、より効率的かつ安定的に運転を継続することが可能となる。
次に、本発明が適用される水処理システムの実施形態について、詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
本発明の運転方法は、複数の分離膜エレメントE1が配置された分離膜エレメントユニットを備える、水処理システムに適用される。「分離膜エレメントE1」は、供給水を、透過水と濃縮水とに分離排出する状態S1と、供給水の全量を、濃縮水として排出する状態S2と、に切り替え可能であれば、その態様は特に限定されないが、供給水に圧力を付与することが可能であり、より多くの透過水を得ることができる、スパイラル型エレメントであることが好ましい。
また本発明が適用される水処理システムは、上記の分離膜エレメントユニットの後段に、さらに分離膜エレメントE2を備えても構わないが、分離膜エレメントE1と同様の理由から、分離膜エレメントE2はスパイラル型エレメントであることが好ましい。
以下に図面を参照しながら、一般的なスパイラル型分離膜エレメント及びその他のスパイラル型分離膜エレメントについて、その構成要素等を説明する。
(1)分離膜
<概要>
一般的なスパイラル型分離膜エレメントを図示する図1等に例示される分離膜3としては、使用方法、目的等に応じた分離性能を有する膜が用いられる。分離膜3は、単一層であっても構わないし、分離機能層と基材とを備える複合膜であっても構わない。また、複合膜においては、分離機能層と基材との間に、さらに多孔性支持層があっても構わない。
<概要>
一般的なスパイラル型分離膜エレメントを図示する図1等に例示される分離膜3としては、使用方法、目的等に応じた分離性能を有する膜が用いられる。分離膜3は、単一層であっても構わないし、分離機能層と基材とを備える複合膜であっても構わない。また、複合膜においては、分離機能層と基材との間に、さらに多孔性支持層があっても構わない。
ここで分離膜3が複合膜である場合、分離機能層を有する面を供給側の面、分離機能層を有する面とは反対側の面を透過側の面、供給側の面が互いに向かい合うように配置された状態の分離膜3のことを「分離膜対」という。
<分離機能層>
分離機能層は、分離機能及び支持機能の両方を有する層であっても構わないし、分離機能のみを有していても構わない。なお、「分離機能層」とは、少なくとも分離機能を有する層をいう。
分離機能層は、分離機能及び支持機能の両方を有する層であっても構わないし、分離機能のみを有していても構わない。なお、「分離機能層」とは、少なくとも分離機能を有する層をいう。
分離機能層が分離機能及び支持機能の両方を有する場合、分離機能層としては、セルロース、ポリフッ化ビニリデン、ポリエーテルスルホン及びポリスルホンからなる群から選ばれるポリマーを主成分として含有する層が好ましい。
一方で、分離機能層としては、孔径の制御が容易であり、かつ耐久性に優れるという観点から、架橋高分子の層が好ましい。中でも、供給水101中の成分の分離性能に優れるという観点から、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物とを重縮合させて得られるポリアミド分離機能層や、有機無機ハイブリッド機能層等が好ましい。これらの分離機能層は、多孔性支持層上でモノマーを重縮合することによって形成できる。
ポリアミドを主成分として含有する分離機能層は、公知の方法により、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物とを界面重縮合することによって形成できる。例えば、多孔性支持層上に多官能アミン水溶液を塗布し、余分な多官能アミン水溶液をエアーナイフ等で除去し、その後、多官能酸ハロゲン化物を含有する有機溶媒溶液を塗布することで、重縮合が起きてポリアミド分離機能層が形成される。
<多孔性支持層>
多孔性支持層は、分離機能層を支持する層であり、樹脂がその素材の場合、多孔性樹脂層ともいうことができる。
多孔性支持層は、分離機能層を支持する層であり、樹脂がその素材の場合、多孔性樹脂層ともいうことができる。
多孔性支持層に使用される素材や、その形状は特に限定されないが、例えば、多孔性樹脂によって基材上に形成されても構わない。多孔性支持層としては、例えば、ポリスルホン、酢酸セルロース、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂若しくはそれらの混合物の層、又は、それらの層を積層したものが挙げられるが、化学的、機械的及び熱的に安定性が高く、孔径が制御しやすい、ポリスルホンを含有する層が好ましい。
ポリスルホンを含有する多孔性支持層は、例えば、ポリスルホンのN,N−ジメチルホルムアミド溶液を、基材(例えば、密に織ったポリエステル不織布)の上に一定の厚みに注型し、それを水中で湿式凝固させることによって製造することができる。
また多孔性支持層は、“オフィス・オブ・セイリーン・ウォーター・リサーチ・アンド・ディベロップメント・プログレス・レポート”No.359(1968)に記載された方法に従って形成できる。なお、所望の形態を得るために、ポリマー濃度、溶媒の温度、貧溶媒等は適宜調整可能である。
<基材>
分離膜3の強度、寸法安定性等の観点から、分離膜3は基材を備えていてもよい。基材としては、強度又は流体透過性の観点から、繊維状の基材を用いることが好ましい。
分離膜3の強度、寸法安定性等の観点から、分離膜3は基材を備えていてもよい。基材としては、強度又は流体透過性の観点から、繊維状の基材を用いることが好ましい。
基材としては、例えば、長繊維不織布又は短繊維不織布が挙げられる。
(2)分離膜対
図3等に例示される分離膜対9は、図1等に例示される供給側流路材4及び透過側流路材5と共に、分離膜リーフを形成する。分離膜3は、供給側流路材4を挟んで供給側の面が向かい合うように配置される。また、分離膜3の透過側の面の向かい合う間には、透過側流路材5が配置される。透過側流路は、透過流体102が図1等に例示される有孔集水管2に流れるように、透過側の面の間が、巻回方向内側の一辺のみにおいて開放され、他の三辺においては封止(閉口)される。
図3等に例示される分離膜対9は、図1等に例示される供給側流路材4及び透過側流路材5と共に、分離膜リーフを形成する。分離膜3は、供給側流路材4を挟んで供給側の面が向かい合うように配置される。また、分離膜3の透過側の面の向かい合う間には、透過側流路材5が配置される。透過側流路は、透過流体102が図1等に例示される有孔集水管2に流れるように、透過側の面の間が、巻回方向内側の一辺のみにおいて開放され、他の三辺においては封止(閉口)される。
分離膜対9は長方形状である。分離膜対9の巻回方向の長さと有孔集水管2の長手方向の長さ(幅)は特に限定されないが、後述する第二のスパイラル型分離膜エレメントにおいては、分離膜対9を流体が通過する際の流速を十分に増加させてスケールの発生等を抑制する観点から、分離膜対9の有効幅Wは、150〜400mmであることが好ましい。
なお「分離膜対9の有効幅W」とは、分離膜対9の幅(有孔集水管2の長手方向の長さ)から、接着剤が塗布される等により封止(閉口)されている部分(封止部8)の長さを引いた値をいう。
また後述する第二のスパイラル型分離膜エレメントにおいては、分離膜対9の有効幅Wに対する有効長さLの比L/Wが大きいほど、分離膜対9を流体が通過する際の流速が増加するため、濃度分極の抑制の観点から好ましい。一方で、分離膜対9の有効幅Wに対する有効長さLの比L/Wが過度に大きいと、圧力損失が大きくなる。両者のバランスを考慮しつつ、高回収率運転時においてもスパイラル型分離膜エレメントの分離性能を維持するためには、分離膜対の有効幅Wに対する有効長さLの比L/Wは2.5〜8.0であることが好ましく、4.0〜6.0であることがより好ましい。
なお「分離膜対の有効長さL」とは、分離膜対9の巻回方向の長さから、接着剤が塗布される等により封止(閉口)されている部分(封止部8)の長さを引いた値をいう。
(3)供給側流路材
供給側流路材4は、分離膜3の供給側の面に挟まれるように配置され、分離膜3に供給水101を供給する流路(すなわち供給側流路)を形成する。供給側流路材4は、供給水101の濃度分極を抑制するために、供給水101の流れを乱すような形状になっていることが好ましい。
供給側流路材4は、分離膜3の供給側の面に挟まれるように配置され、分離膜3に供給水101を供給する流路(すなわち供給側流路)を形成する。供給側流路材4は、供給水101の濃度分極を抑制するために、供給水101の流れを乱すような形状になっていることが好ましい。
供給側流路材4は、フィルム若しくはネット、又は、空隙を有するシートに凸状物が設けられたような連続形状を有している部材であっても構わないし、あるいは、分離膜3に対して0より大きく1未満である投影面積比を示す、不連続形状を有するものであっても構わない。また、供給側流路材4は分離膜3と分離可能であっても構わないし、分離膜3に固着していても構わない。
なお、供給側流路材4の素材は特に限定されず、分離膜3と同素材であっても異素材であっても構わない。
供給側流路では、流路を安定的に形成することが重要であると共に、通過する流体が透過側流路よりも多量であるため、圧力損失を低減することも重要である。そのため、分離膜3に対する供給側流路材4の投影面積比は、0.03〜0.80であることが好ましく、0.05〜0.50であることがより好ましく、0.08〜0.35であることがさらに好ましい。
分離膜3に対する供給側流路材4の投影面積比は、供給側流路材4を、分離膜3の膜面に垂直な方向からマイクロスコープで撮影した画像を解析することによって算出することができる。
供給側流路材4の厚みが過度に小さいと、供給側流路の圧力損失が大きくなり、分離性能や造水量が低下してしまう。一方で、供給側流路材4の厚みが過度に大きいと、スパイラル型分離膜エレメント当たりの膜面積が小さくなる。そのため、供給側流路材4の厚みは80〜2000μmが好ましく、200〜1000μmがより好ましい。
供給側流路材4の厚みは、マイクロスコープで撮影した画像を解析することによって算出することができる。
(4)スパイラル型分離膜エレメント
それぞれのスパイラル型分離膜エレメントが備える分離膜対は、それぞれ供給水供給部と濃縮水排出部とを有するが、それらの位置関係により、それぞれのスパイラル型分離膜エレメントが第一のスパイラル型分離膜エレメント又は第二のスパイラル型分離膜エレメントに相当するか否かが判断される。
それぞれのスパイラル型分離膜エレメントが備える分離膜対は、それぞれ供給水供給部と濃縮水排出部とを有するが、それらの位置関係により、それぞれのスパイラル型分離膜エレメントが第一のスパイラル型分離膜エレメント又は第二のスパイラル型分離膜エレメントに相当するか否かが判断される。
より具体的には、有孔集水管の長手方向における両端部に、供給水供給部及び濃縮水排出部をそれぞれ有するスパイラル型分離膜エレメントが「第一のスパイラル型分離膜エレメント」と判断され、有孔集水管の長手方向に対し垂直方向における端部に、供給水供給部又は濃縮水排出部を有する前記分離膜対を備えるスパイラル型分離膜エレメントが「第二のスパイラル型分離膜エレメント」と判断される。
以下に、第一のスパイラル型分離膜エレメント又は第二のスパイラル型分離膜エレメントのいくつかの態様を例示する。
<I型分離膜エレメント>
図3の展開図に例示される分離膜対9(供給側流路を形成)を、「I型分離膜対」という。
図3の展開図に例示される分離膜対9(供給側流路を形成)を、「I型分離膜対」という。
I型分離膜対においては、分離膜対9に供給水101が供給される端面のことを、流入端面といい、濃縮水103が排出される端面のことを、排出端面という。分離膜対がI型分離膜対で構成される分離膜リーフが巻回されたスパイラル型分離膜エレメントを、「I型分離膜エレメント」という。
I型分離膜エレメントが備える分離膜対は、有孔集水管2の長手方向における両端部に、供給水供給部21及び濃縮水排出部22をそれぞれ有する。すなわち、I型分離膜エレメントは、第一のスパイラル型分離膜エレメントに相当する。
<逆L型分離膜エレメント>
図4の展開図に例示される分離膜対9(供給側流路を形成)を、「逆L型分離膜対」という。
図4の展開図に例示される分離膜対9(供給側流路を形成)を、「逆L型分離膜対」という。
逆L型分離膜対においては、分離膜対に供給水101が供給される端面のことを、流入端面といい、濃縮水103が排出される外周端部のことを、排出端部と呼ぶ。
逆L型分離膜対においては、流入端面とは反対側の端面は、流路閉口率が100%となる。ここで「流路閉口率」とは、分離膜対の一の端面又は端部の全長に対する、封止より流路が閉口された部位の長さの総計値の比率をいう。
一方で、流入端面においては、流路閉口率は0〜95%であることが好ましく、流路閉口率が0%より大きい場合、流路閉口箇所は、巻回方向の外側から内側にかけて連続的であることが好ましい。
排出端部の流路閉口率は0〜95%であることが好ましく、流路閉口率が0%より大きい場合、流路閉口箇所は、流入端面側から有孔集水管2の長手方向に連続的であることが好ましい。
流入端面及び排出端部の流路閉口率がこの範囲内にあることで、供給側流路のショートパスを防止することができ、十分な透過流体量を得ることができる。
なお、有孔集水管2に接する、分離膜対9の内周端部の流路閉口率は100%である。
分離膜対の端面を封止する手段としては、例えば、巻回前若しくは巻回後の接着剤塗布、又は、巻回後のキャップ若しくはテレスコープ防止板の嵌合が挙げられる。
また分離膜の端部を封止する手段としては、例えば、巻回前若しくは巻回後の接着剤塗布若しくはテープの貼付、又は、巻回後のフィルム若しくはフラメントワインディングによる被覆が挙げられる。
分離膜対が逆L型分離膜対で構成される分離膜リーフが巻回されたスパイラル型分離膜エレメントを、「逆L型分離膜エレメント」という。
逆L型分離膜エレメントは、有孔集水管2の長手方向に対し垂直方向における端部に、濃縮水排出部22を有する逆L型分離膜対を備える。すなわち、逆L型分離膜エレメントは、第二のスパイラル型分離膜エレメントに相当する。
<L型分離膜エレメント>
図5の展開図に例示される分離膜対9(供給側流路を形成)を、「L型分離膜対」という。
図5の展開図に例示される分離膜対9(供給側流路を形成)を、「L型分離膜対」という。
L型分離膜対においては、分離膜対9に供給水101が供給される分離膜対の外周端部のことを、流入端部といい、濃縮水103が排出される端面のことを、排出端面という。
L型分離膜対においては、排出端面とは反対側の端面は、流路閉口率が100%である。
流入端部の流路閉口率は0〜95%であることが好ましく、流路閉口率が0%より大きい場合、流路閉口箇所は、排出端面側から有孔集水管2の長手方向に連続的であることが好ましい。
排出端面の流路閉口率は0〜95%であることが好ましく、流路閉口率が0%より大きい場合、流路閉口箇所は、巻回方向の外側から内側にかけて連続的であることが好ましい。
流入端部及び排出端面の流路閉口率がこの範囲内にあることで、供給側流路のショートパスを抑制することができ、十分な透過流体量を得ることができる。
なお、分離膜対9の内周端部の流路閉口率は100%である。
分離膜対がL型分離膜対で構成される分離膜リーフが巻回されたスパイラル型分離膜エレメントを、「L型分離膜エレメント」という。
L型分離膜エレメントは、有孔集水管2の長手方向に対し垂直方向における端部に、供給水供給部21を有するL型分離膜対を備える。すなわち、L型分離膜エレメントは、第二のスパイラル型分離膜エレメントに相当する。
<逆T型分離膜エレメント>
図6の展開図に例示される分離膜対を、「逆T型分離膜対」という。
図6の展開図に例示される分離膜対を、「逆T型分離膜対」という。
逆T型分離膜対においては、分離膜対9に供給水101が供給される両端面のことを、流入端面といい、濃縮水103が排出される分離膜対9の外周端部のことを、排出端部という。
逆T型分離膜対においては、流入端面の流路閉口率は0〜95%であることが好ましく、流路閉口率が0%より大きい場合、流路閉口箇所は、巻回方向の外側から内側にかけて連続的であることが好ましい。
排出端部の流路閉口率は0〜95%であることが好ましく、流路閉口率が0%より大きい場合、流路閉口箇所は、流入端面側から有孔集水管2の長手方向に連続的であることが好ましい。
流入端面及び排出端部の流路閉口率がこの範囲内にあることで、供給側流路のショートパスを防止することができ、十分な透過水量を得ることができる。
なお、分離膜対9の内周端部の流路閉口率は100%である。
分離膜対が逆T型分離膜対で構成される分離膜リーフが巻回されたスパイラル型分離膜エレメントを、「逆T型分離膜エレメント」という。
逆T型分離膜エレメントは、有孔集水管2の長手方向に対し垂直方向における端部に、濃縮水排出部22を有する逆T型分離膜対を備える。すなわち、逆T型分離膜エレメントは、第二のスパイラル型分離膜エレメントに相当する。
<T型分離膜エレメント>
図7の展開図に例示される分離膜対を、「T型分離膜対」という。
図7の展開図に例示される分離膜対を、「T型分離膜対」という。
T型分離膜対においては、分離膜対9に供給水101が供給される分離膜対の外周端部のことを、流入端部といい、濃縮水103が排出される端面のことを排出端面という。
T型分離膜対においては、流入端部の流路閉口率は0〜95%であることが好ましく、流路閉口率が0%より大きい場合、流路閉口箇所は、排出端面側から有孔集水管2の長手方向に連続的であることが好ましい。
排出端面の流路閉口率は0〜95%であることが好ましく、流路閉口率が0%より大きい場合、流路閉口箇所は、巻回方向の外側から内側にかけて連続的であることが好ましい。
流入端部及び排出端面の流路閉口率がこの範囲内にあることで、供給側流路のショートパスを抑制することができ、十分な透過水量を得ることができる。
なお、分離膜対9の内周端部の流路閉口率は100%である。
分離膜対がT型分離膜対で構成される分離膜リーフが巻回されたスパイラル型分離膜エレメントを、「T型分離膜エレメント」という。
T型分離膜エレメントは、有孔集水管2の長手方向に対し垂直方向における端部に、供給水供給部21を有するT型分離膜対を備える。すなわち、T型分離膜エレメントは、第二のスパイラル型分離膜エレメントに相当する。
<I型−逆L型分離膜エレメント>
I型分離膜対と逆L型分離膜対との双方を備える分離膜エレメントを、「I型−逆L型分離膜エレメント」という。
<I型−逆L型分離膜エレメント>
I型分離膜対と逆L型分離膜対との双方を備える分離膜エレメントを、「I型−逆L型分離膜エレメント」という。
I型−逆L型分離膜エレメントにおいては、例えば、供給水はI型分離膜対の流入端面から供給され、I型分離膜対の排出端面から排出される。I型分離膜対から排出された濃縮水は、エレメントの端面に嵌合されたキャップ等によってエレメント内をUターンし、逆L型分離膜対の流入端面から供給され、逆L型分離膜対の排出端部から排出される。この場合、I型分離膜対から排出された濃縮水が、逆L型分離膜対への供給水となる。
I型分離膜対から排出された濃縮水をUターンさせるキャップは、分離膜対の端面を封止するためのキャップと一体化していても構わない。またI型−逆L型分離膜エレメントの外周部は、スパイラル型分離膜エレメントの形状を維持しつつ濃縮水等の流路を確保するため、ネット又は多孔性フィルムで被覆されていることが好ましい。
I型−逆L型分離膜エレメントは、逆L型分離膜対を備える。すなわち、I型−逆L型分離膜エレメントは、第二のスパイラル型分離膜エレメントに相当する。
I型−逆L型分離膜エレメントが備える分離膜対全体に占めるI型分離膜対の割合は、逆L型分離膜対に供給される供給水(I型分離膜対から排出された濃縮水)の濃度と流量を適度なものとし、逆L型分離膜対における濃度分極の抑制効果を確保するため、55〜90%が好ましく、60〜80%がより好ましい。
<L型−I型分離膜エレメント>
L型分離膜対とI型分離膜対との双方を備えるスパイラル型分離膜エレメントを、「L型−I型分離膜エレメント」という。
L型分離膜対とI型分離膜対との双方を備えるスパイラル型分離膜エレメントを、「L型−I型分離膜エレメント」という。
L型−I型分離膜エレメントにおいては、例えば、供給水はL型分離膜対の流入端部から供給され、L型分離膜の排出端面から排出される。L型分離膜対から排出された濃縮水は、エレメントの端面に嵌合されたキャップ等によってエレメント内をUターンし、I型分離膜対の流入端面から供給され、I型分離膜対の排出端面から排出される。この場合、L型分離膜対から排出された濃縮水が、I型分離膜対への供給水となる。
L型分離膜対から排出された濃縮水をUターンさせるキャップは、分離膜対の端面を封止するためのキャップと一体化していても構わない。またL型−I型分離膜エレメントの外周部は、スパイラル型分離膜エレメントの形状を維持しつつ濃縮水等の流路を確保するため、ネット又は多孔性フィルムで被覆されていることが好ましい。
L型分離膜対から排出された濃縮水をUターンさせるキャップは、分離膜対の端面を封止するためのキャップと一体化していても構わない。またL型−I型分離膜エレメントの外周部は、スパイラル型分離膜エレメントの形状を維持しつつ濃縮水等の流路を確保するため、ネット又は多孔性フィルムで被覆されていることが好ましい。
L型−I型分離膜エレメントは、L型分離膜対を備える。すなわち、L型−I型分離膜エレメントは、第二のスパイラル型分離膜エレメントに相当する。
L型−I型分離膜エレメントが備える分離膜対全体に占めるL型分離膜対の割合は、I型分離膜対に供給される供給水の濃度と流量を適度なものとし、I型分離膜対における濃度分極の抑制効果を確保するため、10〜45%が好ましく、20〜40%がより好ましい。
<逆L型−L型分離膜エレメント>
逆L型分離膜対とL型分離膜対との双方を備えるスパイラル型分離膜エレメントを、「逆L型−L型分離膜エレメント」という。
逆L型分離膜対とL型分離膜対との双方を備えるスパイラル型分離膜エレメントを、「逆L型−L型分離膜エレメント」という。
逆L型−L型分離膜エレメントにおいては、例えば、供給水は逆L型分離膜対の流入端面から供給され、逆L型分離膜対の排出端部から排出される。逆L型分離膜対から排出された濃縮水は、エレメントの外周部を被覆するフィルム等によってエレメント内をUターンし、L型分離膜対の流入端部から供給され、L型分離膜対の排出端面から排出される。この場合、逆L型分離膜対から排出された濃縮水が、L型分離膜対への供給水となる。
逆L型−L型分離膜エレメントは、逆L型分離膜対及びL型分離膜対を備える。すなわち、逆L型−L型分離膜エレメントは、第二のスパイラル型分離膜エレメントに相当する。
逆L型−L型分離膜エレメントが備える分離膜対全体に占める逆L型分離膜対の割合は、L型分離膜対に供給される供給水の濃度と流量を適度なものとし、L型分離膜対における濃度分極の抑制効果を確保するため、55〜90%が好ましい。
(5)透過側流路材
透過側流路材5は、分離膜3の透過側の面に挟まれるように配置され、分離膜3を透過した流体を有孔集水管2の孔まで導く流路(すなわち透過側流路)を形成する。
透過側流路材5は、分離膜3の透過側の面に挟まれるように配置され、分離膜3を透過した流体を有孔集水管2の孔まで導く流路(すなわち透過側流路)を形成する。
透過側流路材5の横断面積比は、透過側流路の流動抵抗を低減し、加圧ろ過下においても分離膜3が透過側流路へ落ち込むことを抑制し、かつ、透過側流路を安定的に形成する観点から、0.30〜0.75であることが好ましく、0.40〜0.60であることがより好ましい。透過側流路の流動抵抗の低減により、特に高回収率運転下における供給水の流速を高めて濃度分極やスケールの発生を抑制することができる。
透過側流路材5の横断面積比については、スパイラル型分離膜エレメントを構成する分離膜対9の透過側の面の間に設けられた透過側流路材5を、有孔集水管2の長手方向に沿って切断して、その横断面を高精度形状測定システムにより観察し、無作為に選択した一の凸部の中心線と隣接する凸部の中心線との間の距離と、透過側流路材5の厚みとの積に対する、上記二つの凸部の中心線の間の透過側流路材5の面積の比率を算出する作業を計30回繰り返した後、それらの比率の平均値を、透過側流路材5の横断面積比とすることができる。
なお高精度形状測定システムとしては、例えば、キーエンス社製のKS−1100が挙げられる。
透過側流路材5としては、例えば、従来のトリコットを流路が広がるように厚くした緯編物若しくは繊維の目付量を低減した緯編物、不織布のような多孔性シートに突起物を配置したシート、又は、フィルムや不織布を凹凸加工した凹凸加工シートが挙げられる。
透過側流路材5の厚みが過度に小さいと、透過側流路の圧力損失が大きくなり、分離性能や造水量が低下してしまう。一方で、透過側流路材5の厚みが過度に大きいと、スパイラル型分離膜エレメント当たりの膜面積が小さくなる。そのため、透過側流路材5の厚みは100〜500μmが好ましく、200〜400μmがより好ましい。
透過側流路材5の厚みは、市販の厚み測定器により直接測定することができる。
透過側流路材5の素材は、有孔集水管2に容易に巻回することを可能とするため、その圧縮弾性率が100〜5000MPaであることが好ましい。圧縮弾性率が100〜5000MPaである素材としては、例えば、ポリエステル、ポリエチレン又はポリプロピレンが挙げられる。
透過側流路材5の圧縮弾性率は、精密万能試験機を用いて圧縮試験を行い、応力ひずみ線図を作成することによって算出することができる。
第一のスパイラル型分離膜エレメントに用いられる透過側流路材5と、第二のスパイラル型分離膜エレメントに用いられる透過側流路材5とは、異なっていても構わない。
(6)有孔集水管
有孔集水管2は、その内部を透過水102が流れるように構成されていればよく、材質及び形状は特に限定されない。有孔集水管2の外径が過度に大きいと、スパイラル型分離膜エレメント当たりの膜面積が減少してしまう。一方で、外径が過度に小さいと、有孔集水管2の内部を透過水102が流れる際の流動抵抗が大きくなってしまう。有孔集水管2の外径は、透過水102の流量に応じて適宜設計すればよいが、10〜50mmが好ましく、15〜40mmがより好ましい。
有孔集水管2は、その内部を透過水102が流れるように構成されていればよく、材質及び形状は特に限定されない。有孔集水管2の外径が過度に大きいと、スパイラル型分離膜エレメント当たりの膜面積が減少してしまう。一方で、外径が過度に小さいと、有孔集水管2の内部を透過水102が流れる際の流動抵抗が大きくなってしまう。有孔集水管2の外径は、透過水102の流量に応じて適宜設計すればよいが、10〜50mmが好ましく、15〜40mmがより好ましい。
(7)水処理システム
<分離膜エレメントの接続>
本発明が適用される水処理システムにおいては、複数の分離膜エレメントは、直列又は並列に接続される。ここで直列に接続とは、一の分離膜エレメントの濃縮水のすべてが、隣接する他の(一の)分離膜エレメントに供給水として供給されるような接続の態様をいう。一方で、並列に接続とは、供給する供給水又は一の分離膜エレメントの濃縮水が分割され、隣接する複数の分離膜エレメントに同質の供給水としてそれぞれ供給されるような接続の態様をいう。
<分離膜エレメントの接続>
本発明が適用される水処理システムにおいては、複数の分離膜エレメントは、直列又は並列に接続される。ここで直列に接続とは、一の分離膜エレメントの濃縮水のすべてが、隣接する他の(一の)分離膜エレメントに供給水として供給されるような接続の態様をいう。一方で、並列に接続とは、供給する供給水又は一の分離膜エレメントの濃縮水が分割され、隣接する複数の分離膜エレメントに同質の供給水としてそれぞれ供給されるような接続の態様をいう。
なお本発明が適用される水処理システム全体の分離膜エレメントの内、いずれの分離膜エレメントが分離膜エレメントユニットを構成する分離膜エレメントに該当するのかについては、その判断基準が一律に定まるものではなく、膜分離システムのどの範囲について物質Xの濃度に係る閾値Aを判断すればよいかを勘案した上で、水処理システムの態様に応じて適宜決定されるべきものである。
<分離膜エレメントの段数>
複数の分離膜エレメントが直列に接続されている場合においては、原水が最初に供給される分離膜エレメントを1段目、その濃縮水が供給される分離膜エレメントを2段目、さらにその濃縮水が供給される分離膜エレメントを3段目、・・・のように、順に数える。複数の分離膜エレメントがベッセル内で直列に接続されている場合においても、その数え方は同様である。
複数の分離膜エレメントが直列に接続されている場合においては、原水が最初に供給される分離膜エレメントを1段目、その濃縮水が供給される分離膜エレメントを2段目、さらにその濃縮水が供給される分離膜エレメントを3段目、・・・のように、順に数える。複数の分離膜エレメントがベッセル内で直列に接続されている場合においても、その数え方は同様である。
1段目の分離膜エレメントの濃縮水が分割され、並列に接続された複数の分離膜エレメントに同質の供給水としてそれぞれ供給される場合においては、並列に接続された複数の分離膜エレメントのそれぞれを2段目、さらにそれらの濃縮水が供給される分離膜エレメントのそれぞれを3段目、・・・のように、順に数える。
なお並列に接続された2段目の分離膜エレメントで分岐した、それぞれのラインにおける分離膜エレメントの本数が異なる場合において、各分岐ラインが再び統合されたときには、分離膜エレメントが最も多く存在する分岐ラインの段数に続けて、統合されたラインの分離膜エレメントの段数を数える。例えば、1段目の分離膜エレメントの濃縮水が分割され、並列に接続された二つの分離膜エレメントA,Bにそれぞれ供給される場合において、分離膜エレメントAを含むラインAに存在する分離膜エレメントの総数が三つ、分離膜エレメントBを含むラインBに存在する分離膜エレメントの総数が五つ、であり、それぞれの分岐ラインからの濃縮水がすべて統合され、分離膜エレメントCに供給されたときには、分離膜エレメントCを6段目として数える。
<分離膜エレメントの配置>
本発明が適用される水処理システムにおける分離膜エレメントユニットでは、複数の分離膜エレメントに同質の供給水が供給されるため、それらの状態を相互にS1からS2に交互に切り替えても同質の効果が得られることから、複数の分離膜エレメントE1が並列に配置されていることが好ましい。
本発明が適用される水処理システムにおける分離膜エレメントユニットでは、複数の分離膜エレメントに同質の供給水が供給されるため、それらの状態を相互にS1からS2に交互に切り替えても同質の効果が得られることから、複数の分離膜エレメントE1が並列に配置されていることが好ましい。
また本発明が適用される水処理システムは、分離膜エレメントユニットの後段に、さらに分離膜エレメントE2を備えることが好ましい。分離膜エレメントユニットよりも後段に分離膜エレメントE2が接続されることによって、より供給水濃度が増加し、供給水量が少なくなる後段においても、十分な流速を確保することができ、スケールの発生等を抑制することができる。
さらに本発明が適用される水処理システムにおいては、分離膜エレメントE1は、有孔集水管の長手方向における両端部に供給水供給部及び濃縮水排出部をそれぞれ有する「第一のスパイラル型分離膜エレメント」であることが好ましく、分離膜エレメントE2は、有孔集水管の長手方向に対し垂直方向における端部に供給水供給部又は濃縮水排出部を有する前記分離膜対を備える、「第二のスパイラル型分離膜エレメント」であることが好ましい。分離膜エレメントE1が第一のスパイラル型分離膜エレメント、分離膜エレメントE2が第二のスパイラル型分離膜エレメントという構成を採ることで、より供給水濃度が増加し、供給水量が少なくなる後段においても、十分な流速を確保することができ、スケールの発生等を抑制することができる。
また分離膜エレメントE2は、水処理システムの最終段に接続されていることが好ましい。E2の分離膜エレメントが最終段に接続されていることによって、最も供給水濃度が増加し、供給水量が少なくなる最終段においても、十分な流速を確保することができ、スケールの発生等を抑制することができる。
また本発明が適用される水処理システムにおいては、最終段に接続された分離膜エレメントの巻囲径よりも、巻囲径の大きな分離膜エレメントを、最終段より前段に含むことが好ましい。最終段に接続された分離膜エレメントの巻囲径が小さいことによって、最も供給水濃度が増加し、供給水量が少なくなる最終段においても、十分な流速を確保することができ、スケールの発生等を抑制することができる。
<ベッセル>
分離膜エレメントは、ベッセルに装填されていても構わない。ベッセルは、分離膜エレメントに供給水を供給し、濃縮水を排出するための容器であり、その内部は、供給水、濃縮水及び透過水が互いに混じらないよう、空間がそれぞれ区画されている。なお海水淡水化やかん水淡水化の用途においては、一のベッセルの内部に、複数の分離膜エレメントが直列に接続されていても構わない。
分離膜エレメントは、ベッセルに装填されていても構わない。ベッセルは、分離膜エレメントに供給水を供給し、濃縮水を排出するための容器であり、その内部は、供給水、濃縮水及び透過水が互いに混じらないよう、空間がそれぞれ区画されている。なお海水淡水化やかん水淡水化の用途においては、一のベッセルの内部に、複数の分離膜エレメントが直列に接続されていても構わない。
なお逆L型−L型分離膜エレメントについては、ベッセルの内壁面やブラインシールとの組合せにより流路を確保することで、逆L型分離膜対から排出された濃縮水をUターンさせることができる。
<その他の構成要素>
本発明が適用される水処理システムには、分離膜エレメントE1の状態S1と状態S2とを切り替えるための透過水調整バルブ等が接続されていても構わないし、原水を供給するためのポンプ、原水の前処理装置、原水の水質(物質Xの濃度等)を測定するためのセンサー、又は、透過水の後処理装置等が接続されていても構わない。
本発明が適用される水処理システムには、分離膜エレメントE1の状態S1と状態S2とを切り替えるための透過水調整バルブ等が接続されていても構わないし、原水を供給するためのポンプ、原水の前処理装置、原水の水質(物質Xの濃度等)を測定するためのセンサー、又は、透過水の後処理装置等が接続されていても構わない。
<水処理システムの運転制御>
本発明の水処理システムの運転方法では、分離膜エレメントユニットに供給される原水の水質、より具体的には、原水における物質Xの濃度に着目をし、分離膜エレメントユニットに配置された複数の分離膜エレメントE1をそれぞれ、状態S1又は状態S2に切り替える。ここで「状態S1」とは、分離膜エレメントE1が供給水を透過水と濃縮水とに分離排出する状態をいい、「状態S1」とは、分離膜エレメントE1が供給水の全量を濃縮水として排出する状態をいう。供給水の全量を濃縮水として排出する状態S2においては、供給水が高流速で分離膜エレメントに流入するため、膜の濃度分極を低減させ、有機物ファウリング又はスケールを抑制することができる。
本発明の水処理システムの運転方法では、分離膜エレメントユニットに供給される原水の水質、より具体的には、原水における物質Xの濃度に着目をし、分離膜エレメントユニットに配置された複数の分離膜エレメントE1をそれぞれ、状態S1又は状態S2に切り替える。ここで「状態S1」とは、分離膜エレメントE1が供給水を透過水と濃縮水とに分離排出する状態をいい、「状態S1」とは、分離膜エレメントE1が供給水の全量を濃縮水として排出する状態をいう。供給水の全量を濃縮水として排出する状態S2においては、供給水が高流速で分離膜エレメントに流入するため、膜の濃度分極を低減させ、有機物ファウリング又はスケールを抑制することができる。
本発明の水処理システムの運転方法では、分離膜エレメントユニットに供給される原水における物質Xの濃度が、閾値A以上の場合における、状態S2の分離膜エレメントE1の数をN1、分離膜エレメントユニットに供給される原水における物質Xの濃度が、閾値A未満の場合における、状態S2の分離膜エレメントE1の数をN2、分離膜エレメントE1の総数をN3とが、N1<N2<N3の関係を満たすことが必要である。ここで「N2<N3」の関係は、本発明の水処理システムの運転方法は、単なる水処理システム全体の洗浄操作(すべての分離膜エレメントE1が状態S2に切り替わっている状況)を含むものではなく、その実施中には、少なくとも1本の分離膜エレメントが、状態S1にあることを示すものである。なお本発明の水処理システムの運転方法では、分離膜エレメントE1以外の分離膜エレメント(分離膜エレメントE2等)が、状態S2のように供給水の全量を濃縮水として排出する状態に切り替えられても構わない。
分離膜エレメントE1を状態S1から状態S2に切り替えるための手段としては、例えば、図8〜11に示すように、分離膜エレメントE1(の入ったベッセル)の透過水103の出口側にバルブを設け、そのバルブを閉止することで、供給水の全量を濃縮水として排出することが挙げられる。
また本発明の水処理システムの運転方法では、例えば図9に示すように複数の分離膜エレメントが並列に接続されているような場合においては、各分離膜エレメントの状態を一定時間ごとにS1からS2に、交互に切り替え、各分離膜エレメントがまんべんなく洗浄されるようにしても構わない。上記の一定時間tは、水処理システムの構成にもよるが、30分以下が好ましく、15分以下がより好ましく、5分以下がさらに好ましい。
さらに本発明の水処理システムの運転方法では、供給水の水質に応じて、分離膜エレメントの運転圧力を変更しても構わない。
本発明の水処理システムの運転方法では、分離膜エレメントユニットに供給される原水における物質Xの濃度が、閾値A以上であるか、又は、閾値A未満であるかに応じて、状態S2にある分離膜エレメントE1の数が制御されることとなる。ここで着目される物質Xは供給水の水質等に応じ適宜選択されればよく、特に限定をされるものでは無いが、例えば、塩分濃度(Total Dissolved Solids(TDS))又はカルシウムマグネシウム硬度が挙げられる。
ここで、原水として例えば雨水と地下水のように二種類を用意し、例えばTDSを物質Xとして両者のその濃度間に適切な閾値Aを決定しておき、そしてそれらを交互に水処理システム供給することで、閾値A以上であるか、又は、閾値A未満であるかの判断がより明瞭なものとなり、より効率的に水処理システムを運転することができる。
なお、どのような物質を物質Xとして選定し、その濃度についてどのように閾値Aを決定するかは、当然ながら一律に定まるものではなく、例えば、本発明が適用される水処理システムが備える分離膜エレメントユニットが有する分離膜エレメントE1の数、種別若しくは接続様式、又は、分離膜エレメントユニットに供給される原水の種別等に応じて、適宜決定されるべきものである。
以下に実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
以下に、表中の用語等について説明する。
(原水種類)
水処理システムが備える分離膜エレメントユニットに供給する原水としては、TDSが20mg/Lの雨水と、TDSが1000mg/Lの地下水とを用意した。これら二種類の原水はそれらを一切混合することなく、交互に原水として分離膜エレメントユニットに供給をした。この場合の物質XはTDSであり、閾値Aは、TDSの濃度について200mg/Lに設定した。
水処理システムが備える分離膜エレメントユニットに供給する原水としては、TDSが20mg/Lの雨水と、TDSが1000mg/Lの地下水とを用意した。これら二種類の原水はそれらを一切混合することなく、交互に原水として分離膜エレメントユニットに供給をした。この場合の物質XはTDSであり、閾値Aは、TDSの濃度について200mg/Lに設定した。
(システム回収率)
水処理システム全体において、1分間に供給した原水量と透過水量との比率を、システム回収率(%)とした。
水処理システム全体において、1分間に供給した原水量と透過水量との比率を、システム回収率(%)とした。
(初期造水量)
水処理システムに供給する原水である雨水及び地下水のそれぞれについて、温度25℃の条件下で1分間のサンプリングを行い、初期造水量(L/min)を測定した。
水処理システムに供給する原水である雨水及び地下水のそれぞれについて、温度25℃の条件下で1分間のサンプリングを行い、初期造水量(L/min)を測定した。
(初期除去率(初期TDS除去率))
水処理システムに供給する原水である雨水及び地下水のそれぞれについて、初期造水量の測定における1分間の運転で用いた原水及びサンプリングした透過水について、TDS濃度を電気伝導率測定により求め、下記式から初期TDS除去率を算出した。
水処理システムに供給する原水である雨水及び地下水のそれぞれについて、初期造水量の測定における1分間の運転で用いた原水及びサンプリングした透過水について、TDS濃度を電気伝導率測定により求め、下記式から初期TDS除去率を算出した。
初期TDS除去率(%)=100×{1−(透過水中のTDS濃度/原水中のTDS濃度)}
(造水量低下率)
原水である雨水及び地下水のそれぞれについて、各実施例/比較例において計200hr運転を行った後の造水量を測定し、下記式から造水量低下率を算出した。
(造水量低下率)
原水である雨水及び地下水のそれぞれについて、各実施例/比較例において計200hr運転を行った後の造水量を測定し、下記式から造水量低下率を算出した。
造水量低下率(%)=100×(1−(200hr後の造水量)/(初期造水量))
(実施例1)
ポリエチレンテレフタレート繊維からなる不織布(糸径:1デシテックス、厚み:約0.09mm、密度0.80g/cm3)上にポリスルホンの15.2質量%のN,N−ジメチルホルムアミド溶液を180μmの厚みで室温(25℃)にキャストし、直ちに純水中に浸漬して5分間放置し、80℃の温水で1分間浸漬することによって、繊維補強ポリスルホン支持層からなる、多孔性支持層(厚み130μm)を作製した。
(実施例1)
ポリエチレンテレフタレート繊維からなる不織布(糸径:1デシテックス、厚み:約0.09mm、密度0.80g/cm3)上にポリスルホンの15.2質量%のN,N−ジメチルホルムアミド溶液を180μmの厚みで室温(25℃)にキャストし、直ちに純水中に浸漬して5分間放置し、80℃の温水で1分間浸漬することによって、繊維補強ポリスルホン支持層からなる、多孔性支持層(厚み130μm)を作製した。
その後、多孔性支持層ロールを巻き出し、m−フェニレンジアミンの3.8質量%水溶液中に2分間浸漬し、該支持層を垂直方向にゆっくりと引き上げ、エアーノズルから窒素を吹き付け支持層表面から余分な水溶液を取り除いた後、トリメシン酸クロリド0.175質量%を含むn−デカン溶液を表面が完全に濡れるように塗布して1分間静置した。次に、膜から余分な溶液を除去するために膜を1分間垂直に保持して液切りした。その後、90℃の熱水で2分間洗浄した分離膜ロールを得た。
このように得られた分離膜を、長さ1.4m、幅0.25mに6枚分裁断し、折りたたみ、ネット(厚み300μm、ピッチ:1.5mm×1.5mm)を供給側流路材として、ネット構成糸の傾斜角度が巻回方向に対して45°となるように配置した。
透過側流路材は、スリット幅500μm、ピッチ900μmの櫛形シムを装填したアプリケーターを用いて、バックアップロールを20℃に温度調節しながら、分離膜エレメントとした場合に巻回方向の内側端部から外側端部まで有孔集水管の長手方向に対して垂直になるよう直線状に、高結晶性ポリプロピレン(MFR1000g/10min、融点161℃)60質量%と低結晶性α−オレフィン系ポリマー(出光興産株式会社製;低立体規則性ポリプロピレン「L−MODU・S400」(商品名))40質量%とからなる組成物ペレットを樹脂温度205℃、走行速度10m/minで直線状に不織布上に塗布することで作製した。不織布は厚み70μm、目付量が35g/m2、エンボス柄(φ1.0mmの円形、ピッチ5.0mmの格子状)を用い、透過側流路材の総厚みは270μmであった。
作製した透過側流路材を裁断し、分離膜の透過側の面に配置して、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)製有孔集水管(幅:350mm、径:18mm、孔数10個×直線状1列)にスパイラル状に巻き付け、外周端部に非透水性フィルムを巻きつけた。得られた巻囲体の両端のエッジカットを行い、巻囲体の直径が3.0インチのI型分離膜エレメントを2本作製した。
1本目のI型分離膜エレメントを分離膜エレメントE1としてベッセル11に入れ、2本目のI型分離膜エレメントも分離膜エレメントE1として別のベッセル11に入れ、二つのベッセル11を図8のように直列に接続し、その全体が分離膜エレメントユニットである水処理システムを作製した。
作製した水処理システムについて、初期造水量及び初期TDS除去率を、雨水、地下水の順にそれぞれ測定・算出した。
透過水調整バルブ31と透過水調整バルブ32とを開けて、二つの分離膜エレメントE1をいずれも状態S1とし、原水量1.0L/min、システム回収率90%にて、分離膜エレメントユニットに原水として地下水を3時間(0〜3hr)供給し、その後原水を雨水に切り替えるのと同時に、透過水調整バルブバルブ32を閉めて2段目の分離膜エレメントE1を状態S2に切り替え、そのまま雨水を3時間(3〜6hr)供給した。
その後も3時間おきに、地下水、雨水の順の原水の切り替え、及び、2段目の分離膜エレメントE1の状態の切り替えを、それぞれの原水についての運転時間が計201時間ずつ(3時間×67回)になるまで継続し、それぞれの原水について計200時間後の造水量低下率を評価した。
水処理システムの運転条件、各評価結果を表1に示す。
TDS濃度の低い雨水を原水として供給した際に、1段目の分離膜エレメントE1の濃縮水を状態S2の2段目の分離膜エレメントE1に供給することで、2段目の分離膜エレメントE1の洗浄効果が得られたため、地下水についての造水量低下率は20.0%に留まり、雨水についての造水量低下率は1.0%に留まった。
(実施例2)
実施例1と同様にして、巻囲体の直径が3.0インチのI型分離膜エレメントを2本作製した。1本目のI型分離膜エレメントを分離膜エレメントE1としてベッセル11に入れ、2本目のI型分離膜エレメントも分離膜エレメントE1として別のベッセル11に入れ、二つのベッセル11を図9のように並列に接続し、その全体が分離膜エレメントユニットである水処理システムを作製した。
実施例1と同様にして、巻囲体の直径が3.0インチのI型分離膜エレメントを2本作製した。1本目のI型分離膜エレメントを分離膜エレメントE1としてベッセル11に入れ、2本目のI型分離膜エレメントも分離膜エレメントE1として別のベッセル11に入れ、二つのベッセル11を図9のように並列に接続し、その全体が分離膜エレメントユニットである水処理システムを作製した。
作製した水処理システムについて、初期造水量及び初期TDS除去率を、雨水、地下水の順にそれぞれ測定・算出した後、表1記載の運転条件に基づき実施例1と同様の運転及び評価をした。結果を表1に示す。
TDS濃度の低い雨水を原水として供給した際に原水である雨水を状態S2の2段目の分離膜エレメントE1に供給することで、2段目の分離膜エレメントE1についてより高い洗浄効果が得られたため、地下水についての造水量低下率は実施例1よりも小さくなり、19.0%であった。
(実施例3)
実施例1と同様にして、図8に示す水処理システムを作製した。雨水を原水として供給した際に、表1に示す運転状態A及びBを5分間隔の周期で切り替えた以外は、実施例1と同様の運転及び評価をした。結果を表1に示す。
実施例1と同様にして、図8に示す水処理システムを作製した。雨水を原水として供給した際に、表1に示す運転状態A及びBを5分間隔の周期で切り替えた以外は、実施例1と同様の運転及び評価をした。結果を表1に示す。
TDS濃度の低い雨水を原水として供給した際に、1段目の分離膜エレメントと2段目の分離膜エレメントとが交互に洗浄されたため、地下水についての造水量低下率は実施例1よりも小さくなり、16.0%であった。
(実施例4)
実施例2と同様にして、図9に示す水処理システムを作製した。雨水を原水として供給した際に、表1に示す運転状態A及びBを5分間隔の周期で切り替えた以外は、実施例2と同様の運転及び評価をした。結果を表1に示す。
実施例2と同様にして、図9に示す水処理システムを作製した。雨水を原水として供給した際に、表1に示す運転状態A及びBを5分間隔の周期で切り替えた以外は、実施例2と同様の運転及び評価をした。結果を表1に示す。
TDS濃度の低い雨水を原水として供給した際に、1段目の分離膜エレメントと2段目の分離膜エレメントとが交互に洗浄されたため、地下水についての造水量低下率は実施例2よりも小さくなり、14.0%であった。
(実施例5)
実施例1と同様にして、巻囲体の直径が3.0インチのI型分離膜エレメントを3本作製した。1本目のI型分離膜エレメントを分離膜エレメントE1としてベッセル11に入れ、2本目のI型分離膜エレメントも分離膜エレメントE1として別のベッセル11に入れ、二つのベッセル11を図10のように並列に接続し、透過水調整バルブ31及び透過水調整バルブ32と併せて、分離膜エレメントユニットを構成した。さらに、3本目のI型分離膜エレメントを分離膜エレメントE2としてベッセル12に入れ、このベッセル12を図10のように分離膜エレメントユニットに接続して、水処理システムを作製した。
実施例1と同様にして、巻囲体の直径が3.0インチのI型分離膜エレメントを3本作製した。1本目のI型分離膜エレメントを分離膜エレメントE1としてベッセル11に入れ、2本目のI型分離膜エレメントも分離膜エレメントE1として別のベッセル11に入れ、二つのベッセル11を図10のように並列に接続し、透過水調整バルブ31及び透過水調整バルブ32と併せて、分離膜エレメントユニットを構成した。さらに、3本目のI型分離膜エレメントを分離膜エレメントE2としてベッセル12に入れ、このベッセル12を図10のように分離膜エレメントユニットに接続して、水処理システムを作製した。
作製した水処理システムについて、初期造水量及び初期TDS除去率を、雨水、地下水の順にそれぞれ測定・算出した後、表2記載の運転条件に基づき実施例1と同様の運転及び評価をした。結果を表2に示す。
1段目の分離膜エレメントE1の本数が2本、2段目の分離膜エレメントE2の本数が1本であるところ、TDS濃度の低い雨水を原水として供給した際に、2段目の分離膜エレメントE2を状態S2にすると、2段目の供給水量が実施例1比で4.5倍以上となったため、地下水についての造水量低下率は実施例1よりも小さくなり、17.0%であった。
(実施例6)
実施例1と同様にして、巻囲体の直径が3.0インチのI型分離膜エレメントを4本作製した。1本目のI型分離膜エレメントを分離膜エレメントE1としてベッセル11に入れ、2本目のI型分離膜エレメントも分離膜エレメントE1として別のベッセル11に入れ、二つのベッセル11を図11のように並列に接続し、透過水調整バルブ31及び透過水調整バルブ32と併せて、分離膜エレメントユニットを構成した。さらに、3本目及び4本目のI型分離膜エレメントをそれぞれ分離膜エレメントE2としてベッセル12に入れ、これらのベッセル12を図11のように並列になるように分離膜エレメントユニットに接続して、水処理システムを作製した。
実施例1と同様にして、巻囲体の直径が3.0インチのI型分離膜エレメントを4本作製した。1本目のI型分離膜エレメントを分離膜エレメントE1としてベッセル11に入れ、2本目のI型分離膜エレメントも分離膜エレメントE1として別のベッセル11に入れ、二つのベッセル11を図11のように並列に接続し、透過水調整バルブ31及び透過水調整バルブ32と併せて、分離膜エレメントユニットを構成した。さらに、3本目及び4本目のI型分離膜エレメントをそれぞれ分離膜エレメントE2としてベッセル12に入れ、これらのベッセル12を図11のように並列になるように分離膜エレメントユニットに接続して、水処理システムを作製した。
作製した水処理システムについて、初期造水量及び初期TDS除去率を、雨水、地下水の順にそれぞれ測定・算出した後、表2記載の運転条件に基づき実施例1と同様の運転及び評価をした。結果を表2に示す。
TDS濃度の低い雨水を原水として供給した際に、2段目の2本の分離膜エレメントE2を状態S2にすると、2段目の供給水量が実施例比で3倍高くなったため、地下水についての造水量低下率は実施例1よりも小さくなり、16.0%であった。
(実施例7)
実施例1と同様にして、巻囲体の直径が3.0インチのI型分離膜エレメントを2本作製した。
実施例1と同様にして、巻囲体の直径が3.0インチのI型分離膜エレメントを2本作製した。
また、実施例1で得られた分離膜を別途、長さ1.4m、幅0.25mに6枚分裁断し、折りたたみ、ネット(厚み300μm、ピッチ:1.5mm×1.5mm)を供給側流路材として、ネット構成糸の傾斜角度が巻回方向に対して45°となるように配置し、巻囲体の一端面の流路閉口率が20%となるように巻回方向の外側から内側にかけて連続的に接着剤を塗布し、他端面の流路閉口率100%、内周端部の流路閉口率100%、外周端部の流路閉口率0%とした。さらに、実施例1で作製した透過側流路材を別途裁断し、分離膜の透過側の面に配置して、ABS製有孔集水管(幅:350mm、径:18mm、孔数10個×直線状1列)にスパイラル状に巻き付け、外周端部に濃縮水排出部を有するフィルムを巻きつけた。濃縮水排出部はフィルムの中央部の幅200mmの箇所に幅40mm、高さ10mmの孔が幅方向に4箇所設けられ、高さ方向に4箇所設けた。得られた巻囲体の両端のエッジカットを行った後、巻囲体の一端面にキャップを取り付け、巻囲体の直径が3.0インチの逆L型分離膜エレメントを1本作製した。
1本目のI型分離膜エレメントを分離膜エレメントE1としてベッセル11に入れ、2本目のI型分離膜エレメントも分離膜エレメントE1として別のベッセル11に入れ、二つのベッセル11を図10のように並列に接続し、透過水調整バルブ31及び透過水調整バルブ32と併せて、分離膜エレメントユニットを構成した。さらに、逆L型分離膜エレメントを分離膜エレメントE2としてベッセル12に入れ、このベッセル12を図10のように分離膜エレメントユニットに接続して、水処理システムを作製した。
作製した水処理システムについて、初期造水量及び初期TDS除去率を、雨水、地下水の順にそれぞれ測定・算出した後、表2記載の運転条件に基づき実施例1と同様の運転及び評価をした。結果を表2に示す。
2段目の分離膜エレメントを逆L型エレメントとしたことで、濃度分極が抑えられたため、地下水についての造水量低下率は実施例1よりも小さくなり、13.5%であった。
(比較例1)
実施例1と同様にして、図8に示す水処理システムを作製した。地下水を原水として供給する場合、1段目の分離膜エレメントのみにその全量を供給し、雨水を原水として供給する場合、2段目の分離膜エレメントのみにその全量を供給した以外は、実施例1と同様の運転及び評価をした。結果を表2に示す。
実施例1と同様にして、図8に示す水処理システムを作製した。地下水を原水として供給する場合、1段目の分離膜エレメントのみにその全量を供給し、雨水を原水として供給する場合、2段目の分離膜エレメントのみにその全量を供給した以外は、実施例1と同様の運転及び評価をした。結果を表2に示す。
TDS濃度の低い雨水を原水として供給した際にも分離膜エレメントE1の洗浄効果は得られないため、地下水についての造水量の低下が激しく、造水量低下率は40.0%となった。
(比較例2)
実施例1と同様にして、図8に示す水処理システムを作製した。1段目及び2段目の両方の分離膜エレメントE1を状態S1のままで運転を継続した以外は、実施例1と同様の運転及び評価をした。結果を表2に示す。
実施例1と同様にして、図8に示す水処理システムを作製した。1段目及び2段目の両方の分離膜エレメントE1を状態S1のままで運転を継続した以外は、実施例1と同様の運転及び評価をした。結果を表2に示す。
TDS濃度の低い雨水を原水として供給した際にも分離膜エレメントE1の洗浄効果は得られないため、造水量の低下が激しく、地下水についての造水量低下率は45.0%となった。
(比較例3)
実施例1と同様にして、図8に示す水処理システムを作製した。地下水を原水として供給する場合において、2時間の供給後に1時間、1段目及び2段目の両方の分離膜エレメントE1を状態S2に切り替えて運転した以外は、比較例2と同様の運転及び評価をした。結果を表2に示す。
実施例1と同様にして、図8に示す水処理システムを作製した。地下水を原水として供給する場合において、2時間の供給後に1時間、1段目及び2段目の両方の分離膜エレメントE1を状態S2に切り替えて運転した以外は、比較例2と同様の運転及び評価をした。結果を表2に示す。
TDS濃度の高い地下水では分離膜エレメントの洗浄効果は得られないため、造水量の低下が激しく、地下水についての造水量低下率は25.0%となった。
1 分離膜エレメント
2 有孔集水管
3 分離膜
4 供給側流路材
5 透過側流路材
6 分離膜リーフ
7 巻囲体
8 封止部
9 分離膜対
10 流量調整バルブ
11 分離膜エレメントE1の入ったベッセル
12 分離膜エレメントE2の入ったベッセル
21 供給水供給部
22 濃縮水排出部
31 透過水調整バルブ
32 透過水調整バルブ
33 透過水調整バルブ
34 透過水調整バルブ
101 供給水
102 透過水
103 濃縮水
2 有孔集水管
3 分離膜
4 供給側流路材
5 透過側流路材
6 分離膜リーフ
7 巻囲体
8 封止部
9 分離膜対
10 流量調整バルブ
11 分離膜エレメントE1の入ったベッセル
12 分離膜エレメントE2の入ったベッセル
21 供給水供給部
22 濃縮水排出部
31 透過水調整バルブ
32 透過水調整バルブ
33 透過水調整バルブ
34 透過水調整バルブ
101 供給水
102 透過水
103 濃縮水
Claims (5)
- 供給水を、透過水と濃縮水とに分離排出する状態S1と、
供給水の全量を、濃縮水として排出する状態S2と、
に切り替え可能な、複数の分離膜エレメントE1が配置された分離膜エレメントユニットを備える、水処理システムの運転方法であり、
前記分離膜エレメントユニットに供給される原水における物質Xの濃度が、閾値A以上の場合における、前記状態S2の分離膜エレメントE1の数であるN1と、
前記原水における前記物質Xの濃度が前記閾値A未満の場合における、前記状態S2の分離膜エレメントE1の数であるN2と、
分離膜エレメントE1の総数であるN3とが、
N1<N2<N3
の関係を満たす、水処理システムの運転方法。 - 前記分離膜エレメントユニットは、複数の分離膜エレメントE1が並列に配置されている、請求項1記載の水処理システムの運転方法。
- 前記分離膜エレメントユニットの後段に、さらに分離膜エレメントE2を備える、請求項2記載の水処理システムの運転方法。
- 前記分離膜エレメントE1及び前記分離膜エレメントE2が、スパイラル型分離膜エレメントである、請求項3記載の水処理システムの運転方法。
- 前記分離膜エレメントE1が備える前記分離膜対は、前記有孔集水管の長手方向における両端部に、供給水供給部及び濃縮水排出部をそれぞれ有し、
前記分離膜エレメントE2が備える前記分離膜対は、前記有孔集水管の長手方向に対し垂直方向における端部に、供給水供給部又は濃縮水排出部を有する前記分離膜対を備える、請求項4記載の水処理システムの運転方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018031532A JP2019147072A (ja) | 2018-02-26 | 2018-02-26 | 水処理システムの運転方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018031532A JP2019147072A (ja) | 2018-02-26 | 2018-02-26 | 水処理システムの運転方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2019147072A true JP2019147072A (ja) | 2019-09-05 |
Family
ID=67849938
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018031532A Pending JP2019147072A (ja) | 2018-02-26 | 2018-02-26 | 水処理システムの運転方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2019147072A (ja) |
-
2018
- 2018-02-26 JP JP2018031532A patent/JP2019147072A/ja active Pending
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