以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
なお、以下では本発明を鋼管の製造における品質検査に用いた場合について説明するが、鋼管以外の鋼材、あるいはその他の製造物の製造における品質検査においても同様に適用することができる。なお、本明細書において、鋼管の製造といった場合には基本的に原管の製造と、原管に対する付属加工との両方を示すものとする。
まず、原管(スパイラル鋼管)の製造工程について説明する。原管は、素材となるコイル(鋼板)を管状に成形しながら溶接して製造される。具体的には、図1に示すように、まず素材となるコイルを用意する(ステップS1)。次いで、コイルを巻き出しながら管状に成形していくが、コイルの長さは有限なので、連続するコイルどうしを順次溶接(コイル継溶接)し、いわゆるコイル継ぎ(CJ:Coil Joint)をしながら巻き出していく(ステップS2)。なお、ここで行われるコイル継溶接では、コイルどうしの鋼管の内面側となる部分を溶接する。次いで、コイルを、らせん状に巻いて管状に成形するとともに、内面溶接および外面溶接を行い、鋼管の内面側と外面側とをそれぞれ溶接していく(ステップS3)。
次いで、ステップS3で管状とされた鋼管を、必要な長さに切断する(ステップS4)。ここでの鋼管の切り出しにおいては、所定の頻度で、製品として必要とする長さに試験用の試験片分の長さを加えた長さに、鋼管を切断していく。
次いで、ステップS2で鋼管内面側をコイル継溶接した部分について、鋼管外面側部分を溶接する。次いで、鋼管の両端面を面削して仕上げる(ステップS5)。次いで、出来上がった鋼管(原管)の中間検査をする(ステップS6)。中間検査では、原管の外径、厚さ、長さおよび真円度等を計測する。そして、中間検査に合格した原管は、必要に応じて付属加工に回される。
付属加工においては、まず加工の対象となる原管を用意する(ステップS20)。そして、この原管に対して、工場円周溶接(中継ぎ)(ステップS21)や、付属品加工(ステップS23)や、塗装(ステップS25)等を行う。工場円周溶接(中継ぎ)では、複数の鋼管(原管)どうしを継ぎ合わせる加工を行う。また、付属品加工では、鋼管(原管)に付属品を取り付けたりする加工を行う。具体的には、鋼管に吊金具を取り付けたり、補強バンドを取り付けたり、継手を取り付けたり(矢板加工)、溶接突起溶接を行ったりする。また、工場円周溶接(中継ぎ)(ステップS21)や、付属品加工(ステップS23)や、塗装(ステップS25)等の各加工工程の後では、加工が正しく行われたか検査する(ステップS22,S24,S26)。そして、工場円周溶接(中継ぎ)(ステップS21)や、付属品加工(ステップS23)や、塗装(ステップS25)等が正しく行われたかを最終検査する(ステップS27)。この最終検査を以下では付属加工検査という。
次に、前述の中間検査(ステップS6)および付属加工検査(ステップS27)に使用される本実施形態の品質改善システム1について説明する。なお、品質改善システム1を、中間検査や付属加工検査以外の検査(前述の工程における他の検査等)に使用してもよい。
品質改善システム1は、図2に示すように、パソコン2と、タブレット端末(携帯端末)3と、パソコン2およびタブレット端末3とネットワーク(イントラネットまたはインターネット等)4を介して接続可能なデータ管理サーバ5と、各鋼管を識別するための識別情報を保持する識別情報保持部6と、表示装置8と、を備えている。
なお、パソコン2やタブレット端末3は、データ管理サーバ5に接続可能であれば、その他の機器を用いてもよい。例えば、タブレット端末3の代わりにスマートフォンを用いてもよい。ただし、検査時の表示画面の視認性および操作性を良くするためには、携帯端末3には表示画面が7インチ以上、より好ましくは10インチ以上のものを用いるのがよい。
識別情報保持部6は、製造される鋼管毎に付与され製造される鋼管それぞれを識別可能な識別情報を保持している。具体的には、識別情報保持部6は、ステンシルを用いたマーキングによって各鋼管に付されたバーコード(一次元コード)であり、当該バーコードが識別情報として後述する鋼管の識別番号の情報を有している。識別情報保持部6は、ステップS6の工程までに原管に付けられていれば、いつ付けることとしてもよい。
なお、識別情報保持部6の情報保持形態は、前記の形態に限らず、他の一次元コードや二次元コードを利用してもよく、電子的に情報を保持するものとしてもよい。また、識別情報保持部6としてICタグやコードが印刷されたシール等を利用してもよい。また、識別情報保持部6の情報保持形態に合わせて、後述する識別情報保持部6からの識別情報の読み取り方法も適宜変更すればよい
パソコン2は、生産計画の管理・実行をする部署(生産計画部署)や、品質を管理する部署(品質管理部署)等にそれぞれ設置され、製造管理部署や品質管理部署の担当者に操作される。
タブレット端末3は、制御部20と、タッチパネル式の表示部22(入力部24)と、識別情報読取部26と、送信部27と、受信部28とを有している。また、タブレット端末3には、鋼管の製造に関する各種情報(進捗情報や、検査情報等)を入力したり、閲覧したり、データ管理サーバ5とのデータの送受信をしたりするためのアプリケーション(品質管理アプリ)がインストールされている。タブレット端末3では、品質管理アプリ(ソフトウェア)がタブレット端末3を構成するハードウェア(タッチパネル式ディスプレイ、カメラ、通信モジュール、CPU、ROM、RAM)等と協働することで、制御部20、表示部22、入力部24、識別情報読取部26、送信部27または受信部28等の機能が実現されている。検査員(ユーザー)は、タブレット端末3を用いて検査を行う。また、品質改善システム1は、複数のタブレット端末3を備えている。
制御部20は、CPU、ROMおよびRAMを備えており、品質管理アプリに係る処理を実行するための演算処理を行う。
表示部22は、品質管理用の画面を表示する。表示部22は、タッチパネル式のディスプレイ等によって構成されている。詳しくは後述するが、検査員(ユーザー)は、表示部22の表示を見ることで、次に行う検査の内容を確認したり、検査の方法を確認したり、検査結果を確認したりできるようになっている。そして、検査員は、表示部22に表示される入力欄71に検査結果情報を入力していくようになっている。
入力部24は、表示部22を構成するタッチパネル式ディスプレイ等によって構成されている。入力部24は、検査員(ユーザー)の操作を受け付けるようになっており、ユーザーは入力部24(タッチパネル式ディスプレイ)を介して検査結果情報等の各種情報を入力できる。なお、表示部22と入力部24とが別々のハードウェアによって構成されていてもよい。例えば、入力部24は、マウスやキーボード等によって構成されていてもよい。
識別情報読取部26は、バーコードリーダーであり、タブレット端末3のカメラ等によって構成されている。そして、タブレット端末3は、バーコードリーダーとしての識別情報読取部26が、識別情報保持部6のバーコードを読み取ることで、鋼管の識別情報を取得できるようになっている。
なお、識別情報読取部26は、タブレット端末3と別体となっており、読み取った識別情報をタブレット端末3やデータ管理サーバ5に送信するようになっていてもよい。
送信部27は、データ管理サーバ5とネットワーク4を介して通信し、データ管理サーバ5へ各種データを送信する。また、受信部28は、データ管理サーバ5とネットワーク4を介して通信し、データ管理サーバ5から各種データを受信する。
データ管理サーバ5は、サーバとして機能するためのCPU等を有する制御部30と、原管の製造および付属加工についての指示情報(製作指令情報)と原管の製造および付属加工についての実績情報(製造実績情報)とを記憶する生産管理情報データベース32と、中間検査および付属加工検査において基準となる基準情報(許容値等)を記憶する品質基準情報データベース36と、検査において異常とされる異常内容が異常ランクに対応付けて登録される異常情報データベース38と、中間検査および付属加工検査の検査結果を記憶する検査台帳データベース40と、送信部50と、受信部52と、を備えている。
生産管理情報データベース32には、発注元の顧客名、各顧客を識別可能な顧客ID、製造する鋼管の種類および本数、コイル継ぎをどこで行うか(どの鋼管に該当する部分で行うか)等が記憶される。すなわち、生産管理情報データベース32は、鋼管の製造に関する指示情報(製作指令情報)を記憶するものであり、製造現場においては、この製作指令情報に基づいて鋼管の製造を行う。
また、生産管理情報データベース32には、製造される各鋼管に関連付けられて、各鋼管の製造に関連する図面(製作指令図面)が登録される。この製作指令図面は、例えば、付属加工においてどの部分に付属品を取り付けるか等を図示したものである。
なお、製作指令情報は、顧客からの注文に基づいて生産計画部署や品質管理部署で作成され、生産管理情報データベース32に登録される。生産計画部署では、顧客からの注文を受けると、注文情報をデータ管理サーバ5の注文情報データベース(図示せず)にパソコン2を用いて登録するとともに、品質管理部署とともに製作指令書を作成し、作成された製作指令書の内容を制作指令情報としてデータ管理サーバ5の生産管理情報データベース32にパソコン2を用いて登録する。
また、生産管理情報データベース32には、製造される鋼管毎に、製造の進捗状況が把握できるように製造の実績を示す製造実績情報が記憶される。具体的には、生産管理情報データベース32には、製造した鋼管の種類および本数、製造した各鋼管についてコイル継ぎ部分が有るか無いか、製造の進捗状況、操業実績(製造装置の稼働開始時間および終了時間、製造装置が稼働していた期間、各鋼管(原管)の製造された時間等)等が、製造実績情報として記憶される。また、原管の製造が終わったか否か(前述のステップS5まで完了したか否か)、中間検査が終わったか否か(前述のステップS6まで完了したか否か)、中間検査に合格したか否か、付属加工検査が終わったか否か(前述のステップS27まで完了したか否か)、付属検査に合格したか否か等の製造の進捗状況が、製造実績情報として製造される鋼管毎に記憶される。すなわち、生産管理情報データベース32に記憶されたデータを参照すれば、各鋼管の製造の進捗状況がわかるとともに、各鋼管が、いつ、どのように製造されたのか(どのような処理が施されたのか)がわかるようになっている。
なお、製造実績情報は、原管製造や付属加工を行うための鋼管の製造装置に接続されたパソコン2等のコンピュータから、製造装置の稼働実績に基づいて直接データ管理サーバ5に送られ登録されることとしてもよい。また、製造の担当等が、製造実績情報をパソコン2に打ち込み、この打ち込まれた製造実績情報がデータ管理サーバ5に送られ登録されることとしてもよい。また、生産管理情報データベース32には、各製造工程や検査工程において作業をした者や責任者の名前等も製造実績情報として各鋼管に関連付けて登録されるようになっていてもよい。
品質基準情報データベース36には、中間検査あるいは付属加工検査における各検査項目において合格か否かの判定の基準となる基準情報が記憶される。具体的には、品質基準情報データベース36には、製造される原管の外径、厚さ、管長または真円度等の各検査項目についての許容値が基準情報として記憶される。例えば、中間検査において、原管の外径、厚さ、管長または真円度等の測定値を許容値(基準値)と比較し、測定値が許容値内であった場合には、許容値内であった検査項目については検査に合格と判定され、許容値外であった検査項目については検査に不合格と判定される。許容値は、基本的にはJIS規格に基づくものであるが、一部の検査項目について顧客に応じた特定の許容値が設定されていてもよい。以下では、単に「許容値」といった場合には、製品として満たすべき基準(製品仕様)としての許容幅を示すこととする。
品質基準情報データベース36には、製品仕様の他に、社内的な品質基準(社内仕様)としての許容値が記憶される。ここで、社内仕様とは、製品としての仕様とは別に、社内の品質基準として設けられた仕様である。社内仕様は製品仕様よりも厳しい条件となっており、例えば原管の外径、厚さ、管長または真円度等の許容幅は、社内仕様の方が製品仕様よりも小さくなっている。しかし、社内仕様はあくまでも社内の製造管理上使用されるものであり、社内仕様を満たしていなくても製品仕様を満たしていれば製品としては問題ないとも言える。したがって、本実施形態の品質改善システムにおいては、社内仕様を満たしていなくとも製品仕様を満たしていれば検査に合格とすることが可能となっているが、社内仕様を満たしていない場合にも検査に不合格とすることとしてもよい。すなわち、本実施形態における製品仕様を、社内仕様も満たすものとして読み替えてもよい。
異常情報データベース38には、検査において異常(不適合)とされる異常内容(不適合内容)の情報が登録されている。また、各異常内容は、ランク分けされており、対応する異常ランク(不適合ランク)に紐づけて登録されている。図3に異常内容(不適合内容)と、各異常内容の異常ランク(不適合ランク)の一例を示す。異常ランクは、「ランクA」、「ランクB」、「ランクC」の3つ設けられており、「ランクA」>「ランクB」>「ランクC」の順で問題としての重要度が高くなっている。
具体的には、「ランクA」に分類される異常内容は、即座に是正をすべき異常である。「ランクA」に分類された異常内容の異常が発見された場合には、担当者は製造工程においてどのような是正をするのか、あるいはしたのかを即座に報告する必要がある。例えば「材質の間違い」等の、根本的に顧客の仕様から外れていることを示す異常内容が「ランクA」に分類される。
また、「ランクB」に分類される異常内容は、即座に是正をすべき問題ではないが、是正をすべきか否か検討をする必要がある異常である。「ランクB」に分類された異常内容が発見された場合には、個別に審議の上、必要があれば担当者は製造工程においてどのような是正をするのか、あるいはしたのかを報告する必要がある。具体的には、個別審議では、再発性や不具合発生数などを考慮した上で是正の必要性を検討する。例えば「寸法公差の仕様外れ」等の、部分的な仕様外れを示す異常内容が「ランクB」に分類される。また、JIS規格や客先仕様等の、製品として満たす必要がある品質基準(製品仕様)を満たさないような仕様外れは、「ランクB」に分類される。
また、「ランクC」に分類される異常内容は、即座に是正をすべき問題ではないが、是正をすべきか否か検討をする必要がある異常である。すなわち「ランクC」に分類された異常内容は、「ランクB」に分類された異常内容と同様に、発見された場合には、個別に審議の上、必要があれば担当者は製造工程においてどのような是正をするのか、あるいはしたのかを報告する必要がある。例えば「防錆材のかすれ」等の、社内仕様外れを示す異常内容が「ランクC」に分類される。前述のように、社内仕様に外れていたとしても、製品としては問題ないとも言えるが、社内仕様を満たしているか否かを判定することで製品を高品質に保つことができる他、社内仕様を常にチェックすることで製造におけるささいな変化にも気づくことが可能となる。
検査台帳データベース40には、中間検査の結果および付属加工検査の結果を示す検査結果情報が製造された鋼管毎に記憶される。具体的には、製造された原管の外径、厚さ、管長または真円度等の測定結果や、目視での外観の確認結果等が検査結果情報として記憶される。また、検査台帳データベース40には、中間検査または付属加工検査で発見された異常の内容を示す異常内容情報が異常ランクに対応付けられて記憶される。また、検査台帳データベース40には、検査の結果異常が発見されなかった場合には異常が発見されなかったことが記憶される。
各データベース32,36,38,40に記憶される情報のうち、鋼管毎に記憶される情報は、各鋼管を識別可能な識別情報としての識別番号に関連づけて記憶されている。したがって、製造される各鋼管について必要な情報を、鋼管の識別番号に基づいて取得することが可能となっている。
送信部50は、パソコン2、タブレット端末3または表示装置8等のネットワーク4を介してデータ管理サーバ5と接続される機器に対して各種データを送信する。また、受信部52は、パソコン2、タブレット端末3または表示装置8等のネットワーク4を介してデータ管理サーバ5と接続される機器から各種データを受信する。
表示装置8は、ネットワーク4を介してデータ管理サーバ5と接続可能に構成されている。表示装置8は、例えばネットワーク接続可能なテレビでもよく、パソコン2やタブレット端末3等を表示装置8として用いてもよい。表示装置8は、制御部60と、表示部62と、入力部64と、送信部67と、受信部68とを有しているが、これらの機能はタブレット端末3のものとほぼ同様であるため、説明を省略する。表示装置8は、データ管理サーバ5から受信部68を介して情報を受信し、各種の表示を行うことができる。
中間検査および付属加工検査は、検査員がタブレット端末3を用いて行う。以下では、タブレット端末3の表示画面を参照しながら中間検査または付属加工検査における検査結果の入力について説明する。
図4は、品質管理アプリを起動した状態の表示部22の表示の一例を示すものであり、検査員が検査結果を入力する際の入力画面を示すものである。
識別情報読取部26が鋼管に取り付けられた識別情報保持部6から鋼管の識別番号100を読み取り、読み取られた識別番号100で特定される鋼管についての、生産管理情報データベース32に記憶された製造の進捗状況が、ステップS5までの完了を示すものであった場合、表示部22は、読み取られた識別番号100で特定される鋼管の中間検査についての入力画面を表示する。また、生産管理情報データベース32に記憶された製造の進捗状況が、必要とされる付属加工(ステップS21、ステップS23またはステップS25)の完了を示すものであった場合、表示部22は、読み取られた識別番号100で特定される鋼管の付属加工検査についての入力画面を表示する。すなわち、表示部22は、生産管理情報データベース32に記憶された製造の進捗状況に応じて、入力画面を表示する。なお、入力画面の表示に際して、タブレット端末3は、データ管理サーバ5とネットワーク4を介して通信して必要な情報のやり取りをする。なお、識別番号100は、識別情報保持部6から読み込むのではなく、検査員がタブレット端末3に直接打ち込むこととしてもよい。
入力画面には、識別番号100、需要家名101、その鋼管が使用される施工現場等を示す情報である物件名102、鋼管の種類103および規格104、同規格の鋼管の因数105ならびに鋼管の寸法仕様106等の、識別番号100で特定される鋼管に関する基本情報が表示される。また、表示部22には、各検査項目について、測定した値を入力する測定値入力欄71aや、チェックボックス71b、プルダウンメニュー71c等の、検査結果情報を入力する入力欄71が表示される(図4、図5参照)。また、入力画面の右端部にはスクロールバー80が設けられている。そして、スクロールバー80を上下に動かすことで、表示部22に表示される入力欄71を切り替え、入力する検査項目を切り替えることができるようになっている。
なお、入力部24は、入力画面へのタッチ操作を、検査の結果を示す検査結果情報を入力するための操作として受けつける。したがって、ユーザーは入力画面をタッチして操作することで、検査結果情報を入力することができるようになっている。
入力欄71は、入力が有効な場合には黄色でハイライト表示され、入力が無効な場合にはハイライト表示されず白色で表示される。また、入力が有効な入力欄71のうち、測定値入力欄71aをユーザーがタッチすると、ソフトウェアキーボードが表示され、このソフトウェアキーボードを用いて当該測定値入力欄71aに測定値を入力することができる。また、入力が有効な入力欄71のうち、チェックボックス71bをユーザーがタッチすると、チェックの有無が切り替わるようになっている。また、プルダウンメニュー71cをユーザーがタッチすると、選択候補が複数表示され、ユーザーは選択候補の中から選択して入力できるようになっている。また、入力が無効な入力欄71については、タッチしても反応せず、測定値の入力やチェックの切り替え、プルダウンメニューの選択等ができないようになっている。
検査項目のうち、原管の外径、厚さ、管長、真円度については、それぞれに対応する測定値入力欄71aが用意されており、測定された値が検査結果情報として入力されるようになっている。また、検査項目のうち、外観の目視検査については、内面と外面それぞれについてチェックボックス71bが用意されており、問題がなければチェックボックス71bにチェックがつけられるようになっている。すなわち、チェックボックス71bのチェックによって、問題の有無が検査結果情報として入力されるようになっている。また、検査において、仕様外、規格外となる項目(異常)が発見された場合に操作される入力欄として、プルダウンメニュー71cが用意されている。プルダウンメニュー71cがタッチされると、図4に示すように選択候補として各種の異常内容およびその異常内容の異常ランクが表示され、該当する項目(異常内容)を選択することができるようになっている。すなわち、プルダウンメニュー71cで選択することにより、発生した異常が検査結果情報として入力されるようになっている。なお、プルダウンメニュー71cで選択候補として表示される異常内容は、異常情報データベース38に記憶されている情報に基づく。
入力欄71に入力された検査結果情報が検査の合格条件を満たしていない場合には、合格条件を満たしていないことがユーザーに報知される。具体的には、例えば、測定値入力欄71aに入力された測定値が、品質基準情報データベース36に記憶された許容値内に収まっていない場合、入力された測定値が入力画面上に赤字で示される。
中間検査または付属加工検査において入力可能な入力欄71は、鋼管に施された処理または施される処理によって異なる。この点について図4を参照しながら説明する。なお、図4においては、入力が有効な入力欄71を斜線で示す。また、以下では、特殊な処理が施された鋼管または特殊な処理が施される鋼管を特殊鋼管という。特殊鋼管の例としては、コイル継ぎがされた部分を有する鋼管や、客先の施工現場にて他の鋼管と接合される(現地継ぎされる)鋼管等が挙げられる。なお、特殊鋼管か否かは、生産管理情報データベース32に記憶されたコイル継ぎ部分を有する鋼管か否かの情報や、生産管理情報データベース32に記憶された現地継ぎされる鋼管か否かの情報に基づいて判断することができる。
種類103および規格104が同じ鋼管であったとしても、その鋼管が特殊鋼管であるか否かによって、入力可能な入力欄71が異なる。例えば、コイル継ぎがされた部分を有する鋼管については、真円度および曲りを測定する必要があり、真円度の測定結果を入力する測定値入力欄71aおよび曲りの測定結果を入力する測定値入力欄71aが黄色でハイライト表示され、これらの測定値入力欄71aへの入力が可能となる。一方、コイル継ぎがされた部分を有しない鋼管については、真円度および曲りを測定する必要がなく、真円度の測定結果を入力する測定値入力欄71aおよび曲りの測定結果を入力する測定値入力欄71aが白色で表示され、これらの測定値入力欄71aへの入力が不可能となる。これは、コイル継ぎがされた部分を有する鋼管は、コイル継ぎがされた部分を有しない鋼管に比べ真円度や曲りについて製造上生じる誤差が大きくなるからである。すなわち、種類103や規格104が同じ鋼管であっても、製造上の処理が異なり重点的に検査すべき項目がある場合には、検査員が当該検査項目について検査をし、検査結果を入力しなければならないようになっている。
なお、本実施形態においては、入力欄71が入力を受け付けるか受け付けないか切り替えることで、入力欄71への入力の可否を切り替えることとしたが、例えば、特別に検査すべき検査項目がある特殊鋼管については当該検査の結果が入力される入力欄71が表示されるようにし、当該検査項目を有しない鋼管については当該検査の結果が入力される入力欄71が表示されないようにして入力欄71への入力の可否を切り替えることとしてもよい。
また、検査される鋼管が特殊鋼管であって、特別に検査すべき検査項目がある場合には、特別に検査すべき検査項目があることを示すポップアップ画面を表示して、特別に検査すべき項目があることを検査員に報知することとしてもよい。
また、入力画面には、入力欄71に並べて、当該入力欄71に入力される検査結果情報に関する検査を支援する支援情報が表示される。具体的には、例えば、真円度の検査結果情報(測定値)を入力する測定値入力欄71aに並べて、真円度の検査においては鋼管のどの部分を測定すればよいか示す検査支援図110(図5参照)が支援情報として表示されるようになっている。検査を行う検査員は、測定値入力欄71aと同時に表示され、真円度の検査を支援する検査支援図110(図5参照)を参照することで、各鋼管の各端部についてどのように測定を行えばよいのかがわかるようになっている。
なお、「真円度」は、例えば鋼管の一端部および他端部について測定する。
また支援情報の他の例を図5に示す。図5に示す例では、開先の検査に関する検査結果情報(測定値)を入力する測定値入力欄71aに並べて、開先の検査においては鋼管のどの部分を測定すればよいか示す検査支援図110が支援情報として表示されるようになっている。
このように、表示部22は、検査結果情報が入力される入力欄71と、当該入力欄71に入力される検査結果情報に関する検査を支援する支援情報とが同時に表示可能となっている。なお、支援情報は常に表示されていなくてもよく、例えば、入力欄71をタッチするとポップアップ表示されるようになっていてもよい。また、例えば、入力欄71をタッチすると表示部22の表示が左右(あるいは上下等)に分割され、片側に入力欄71を含む入力画面が表示され、もう片側に検査支援図110等の支援情報が表示されるようになっていてもよい。換言すると、支援情報は、検査員が検査結果情報の入力をする際、すなわち当該検査結果情報を取得するための検査をする際に、検査員が見ることができるようになっていればよい。
また、図4、図5に示すように、入力画面には、測定値入力欄71aに並べて、当該測定値入力欄71aに入力される測定値についての許容値が表示される。換言すると、入力画面には、入力欄71aと同時に、当該入力欄71aに入力される検査結果情報について合格か否かの判定の基準となる基準情報が表示される。
測定値入力欄71aに入力された測定値、チェックボックス71bへのチェックの有無、プルダウンメニュー71cで選択された項目(異常に関する情報)は、入力部24に入力された検査結果情報としてタブレット端末3の送信部27およびデータ管理サーバ5の受信部52を介して、タブレット端末3からデータ管理サーバ5へ送られる。具体的には、ユーザーが入力画面の下部に表示された更新ボタン114または終了ボタン116を押下すると、当該押下操作を入力部24が検査結果情報を更新するための更新操作として受け付け、入力されている検査結果情報をデータ管理サーバ5へ送る。
データ管理サーバ5は、タブレット端末3から検査結果情報を受け取ると、検査結果情報を検査台帳データベース(検査結果情報データベース)40に記憶する。具体的には、検査された鋼管についての、測定値入力欄71aに入力された測定値、チェックボックス71bへのチェックの有無によって示される各検査項目についての合否、プルダウンメニュー71cで選択された項目によって示される異常内容情報および異常ランク等が、検査台帳データベース40に記憶される。
入力部24に入力されタブレット端末3から送信された検査結果情報は、品質基準情報データベース36に記憶された基準情報と比較され、合否判定がされる。具体的には、例えば測定値入力欄71aに入力された測定値が、基準情報としての許容値内であった検査項目については検査に合格と判定され、当該検査項目についての合格フラグが検査台帳データベース40に登録される。一方、測定値入力欄71aに入力された測定値が、基準情報としての許容値外であった検査項目については検査に不合格と判定され、当該検査項目についての不合格フラグが検査台帳データベース40に登録される。
なお、検査結果情報と基準情報との比較に基づく合否判定は、データ管理サーバ5の制御部30が行ってもよく、タブレット端末3の制御部20等が行ってもよい。すなわち、例えば、タブレット端末3が品質基準情報データベース36に記憶された基準情報を取得し、取得した基準情報と入力欄71に入力された検査結果情報とを比較して合否判定を行うこととしてもよい。また、合否判定は、各入力欄71に検査結果情報が入力される毎に行うこととしてもよい。すなわち、検査員が入力欄71に検査結果情報を入力すると、入力された検査結果情報が即座に基準情報と比較され、合否判定で不合格となった場合には入力欄71に入力された測定値が赤文字で表示されるようにする等としてもよい。また、検査結果情報の検査台帳データベース40への記憶は、検査結果情報が基準情報と比較され、合否判定の結果合格となった場合に行うこととしてもよい。
また、前述の例では、異常の有無はプルダウンメニュー71cでユーザーが選択するようになっていたが、異常の一部または全部についての異常の有無はタブレット端末3の制御部20あるいはデータ管理サーバ5の制御部30が自動で判定することとしてもよい。例えば、測定値入力欄71aに入力された原管の外径、厚さ、管長または真円度等の測定値が検査結果情報としてタブレット端末3からデータ管理サーバ5に送られ、データ管理サーバ5で当該測定値と基準情報とを比較して当該測定値についての合否判定をし、当該合否判定の結果不合格となる場合に、原管の外径、厚さ、管長または真円度等が仕様外であることを示す異常内容情報が、異常ランクに対応付けられた状態で検査台帳データベース40に記憶されることとしてもよい。換言すると、検査台帳データベース40に記憶される異常内容情報は、タブレット端末3の送信部から送信される検査結果情報に基づく情報であればよく、ここで言う検査結果情報とは、測定値入力欄71aに入力された原管の外径、厚さ、管長または真円度等の測定値や、チェックボックス71bへのチェックによって示される情報であってもよく、プルダウンメニュー71cで選択される異常に関する情報(例えば異常内容情報そのもの)等であってもよい。また、以上のように検査台帳データベース40は、検査において発見された異常の内容を示す異常内容情報を、異常の重要度に応じたランクに対応付けて記憶するものであり、異常履歴データベース40ともいえる。
入力部24に入力された検査結果情報と品質基準情報データベース36に記憶された基準情報との比較の結果、検査される各鋼管について中間検査において検査が必要な全ての検査項目について合格と判定された場合または付属加工検査において検査が必要な全ての検査項目について合格と判定された場合、検査台帳データベース40に全ての検査項目について合格となったことを示す検査合格フラグ(中間検査合格フラグまたは付属加工合格フラグ)が登録される。また、検査される各鋼管について中間検査において検査が必要な全ての検査項目について合格と判定された場合または付属加工検査において検査が必要な全ての検査項目について合格と判定された場合、生産管理情報データベース32に、中間検査または付属加工検査が完了したことを示す検査完了フラグ(中間検査完了フラグまたは付属加工完了フラグ)が登録される。
以上では、中間検査の入力画面を参照しながら説明したが、付属加工検査の入力画面についてもほぼ同様である。ただし、付属加工検査の検査結果情報を入力する入力欄71は、中間検査が完了していない(中間検査において検査が必要な全ての検査項目について合格となっていない)と入力することができないようになっている。すなわち、識別番号100で特定される鋼管について、生産管理情報データベース32に中間検査完了フラグが登録されていない場合(あるいは、検査台帳データベース40に中間検査合格フラグが登録されていない場合)には、付属加工検査に関する検査結果情報は入力できないようになっている。また、中間検査の入力画面と付属加工検査の入力画面とは、対応するタブ120(図4参照)を選択することで切り替えられるようになっている。また、付属加工検査の入力画面は、付属加工の加工内容に応じて複数用意されており、それぞれの入力画面をタブ120で選択できるようになっている。また、既に完了した検査の検査結果情報は、検査台帳データベース40から適宜読みだされ、表示部22(入力画面)に表示される。
なお、入力画面には、各鋼管の検査や製造についての指示が記載された書類(指示書類:例えばPDFファイル)を開くためのリンク情報を有するボタン121が表示されている。タブレット端末3のユーザーが、当該ボタンをタッチすると、リンク先の指示書類が開かれ、指示書類の内容が表示部22に表示されるようになっている。指示書類には、前述の製作指令図面の他、製作指令書や、製造や検査において特別に注意すべき事項が記載された通知書等が含まれる。
また、検査対象の鋼管に関連するトラブルが過去にあった場合には、図5に示すように、入力画面に当該トラブルに関する情報や、当該トラブルに関する情報が記載された書類(トラブル詳細資料:例えばPDFファイル)を開くためのリンク情報を有するボタン122を表示することとしてもよい。ここで、検査対象の鋼管に関連するトラブルとは、検査対象の鋼管の需要家と同じ需要家について過去に生じたトラブルや、検査対象の鋼管と同じ種類や規格の鋼管について過去に生じたトラブルである。
次に、中間検査および付属加工検査に係る処理について図6に示すフローチャートを参照しながら説明する。
まず、タブレット端末3は、識別情報保持部6から鋼管の識別番号(識別情報)を取得する(ステップS31)。次いで、タブレット端末3は、識別番号に基づいて生産管理情報データベース32から鋼管の製造に関する進捗状況を示す情報を取得する。そして、タブレット端末3は、進捗状況に応じて、検査員が入力すべき入力欄71への入力を有効化した入力画面を表示する(ステップS32)。次いで、入力部24は、検査員による検査結果の入力操作を検査結果情報の入力として受け付ける(ステップS33)。次いで、タブレット端末3の送信部27は、検査結果情報をデータ管理サーバ5に送信する(ステップS34)。
次いで、データ管理サーバ5の受信部52は、検査結果情報を受信する(ステップS35)。次いで、データ管理サーバ5は、受信した検査結果情報を品質基準情報データベース36に記憶された基準情報と比較し、検査の合否を判定する(ステップS36)。また、データ管理サーバ5は、受信した検査結果情報を検査台帳データベース40に記憶する。ここで、受信した検査結果情報に異常内容情報が含まれる場合には、受信した異常内容情報が異常ランクに関連付けられて検査台帳データベース40に記憶されるが、検査結果情報のうちの異常内容情報以外の情報に基づいてデータ管理サーバ5が異常が発生したか否か判定し、この判定結果を異常内容情報として異常ランクに関連付けて検査台帳データベース40に記憶することとしてもよい。次いで、データ管理サーバ5は、検査の合否判定の結果に基づいて、検査台帳データベース40のデータを更新する。(ステップS37)具体的には、検査に合格の場合には、検査台帳データベース40に検査合格フラグを登録する。また、データ管理サーバ5は、検査の合否判定の結果に基づいて、生産管理情報データベース32のデータを更新する(ステップS38)。具体的には、検査に合格の場合には、生産管理情報データベース32に検査完了フラグを登録する。次いで、データ管理サーバ5の送信部50は、検査の合否の判定結果をタブレット端末3に送信する(ステップS39)。
次いで、タブレット端末3の受信部28は、検査の合否の判定結果を受信する(ステップS40)次いで、表示部22が検査の合否の判定結果を表示し、ユーザーに検査の合否を報知する。
次に、異常履歴データベース40としての検査台帳データベース40に記憶された、検査において発見された異常に関する情報の表示装置8への表示について説明する。ここで、異常に関する情報とは、異常内容情報、異常ランク、異常ランクに対応付けられた異常内容情報またはこれらの情報に関連する情報(例えば、これらの情報に関する集計結果等)を意味する。
表示装置8は、データ管理サーバ5に異常に関する情報の送信を要求できるようになっている。具体的には、表示装置8の入力部64は、表示装置8のユーザーによる異常に関する情報を取得するための操作を異常情報取得命令として受け付ける。そして、表示装置8は、異常情報取得命令に基づいて、データ管理サーバ5に異常に関する情報の送信を要求する。また、表示装置8が、ユーザーによる入力部64への操作を契機として異常に関する情報の送信をデータ管理サーバ5に要求するのではなく、予め設定された時間(例えば、毎朝決められた時間等)に定期的に異常に関する情報がデータ管理サーバ5から表示装置8に送信されることとしてもよい。
データ管理サーバ5(送信部50)は、表示装置8からの要求に基づいて、異常履歴データベース40に記憶された情報に基づく異常に関する情報を表示装置8に送信する。表示装置8は、異常に関する情報を受信すると、表示部(ディスプレイ)62に異常に関する情報を表示する。
表示装置8が異常に関する情報を表示する際の表示画面(異常情報表示画面)を図7、図8、図9に示す。なお、表示装置8への検索条件の入力方法や、表示装置8とデータ管理サーバ5とのデータのやり取りについては図7、図8または図9に示す例の場合で互いにほぼ同様のため重複する部分については説明を省略する。
図7は、異常に関する情報を検索した際の表示部62の表示の一例を示すものであり、表示装置8のユーザーが検索条件を打ち込んで当該検索条件に該当する異常情報の検索結果(集計結果)を表示する際の検索画面を示すものである。
検索画面は、上段に、検索条件を入力するための検索条件入力部200を有している。検索条件入力部200には、検査がされ異常内容情報が登録された日(検査において異常が発見された日)、異常が発見された鋼管の種類または異常ランク等を検索条件として入力できるようになっている。検索条件入力部200は、検索条件の入力を確定させ検索を開始するための検索開始ボタン202を備えており、検索条件が入力された状態で検索開始ボタン202が押下されると、表示装置8は、入力された検索条件に基づいて、データ管理サーバ5に異常に関する情報の送信を要求する。
なお、ユーザーが検索条件を入力する際および検索開始ボタン202を押下する際には、入力部64としての表示装置8のキーボードやマウス等を操作して入力する。入力部64は、ユーザーによる検索条件の入力操作を異常情報取得命令として受け付ける。そして、表示装置8は、ユーザーに入力された条件にしたがって、データ管理サーバ5から異常に関する情報を取得する。
データ管理サーバ5は、表示装置8からの要求に基づいて、入力された検索条件に応じた検索結果を表示装置8が表示するための異常に関する情報を表示装置8に送信する。そして、表示装置8は、データ管理サーバ5から送信される異常に関する情報に基づいて、検索結果を表示する。具体的には、表示装置8(表示部62)は、検索条件に該当する異常内容情報を異常ランク毎に分類して集計した集計結果を表示する。すなわち、データ管理サーバ5(送信部50)は、異常履歴データベース40に記憶された異常内容情報であって検索条件に該当する異常内容情報を異常ランク毎に分類して集計した集計結果を表示装置8で表示可能にする情報(集計結果表示情報)を、表示装置8に送信する。
また、図7に示すように、検索画面は検索結果を表示する検索結果表示部(集計結果表示部)206を有している。検索結果表示部206には、検索条件に該当する期間において、各異常ランクの異常が何件ずつ発生したかが表示される。また、表示される集計結果は、鋼管(製品)の種類毎の集計結果も含む。図7に示す検索画面からは、2019年3月6日に、鋼管矢板について「ランクB」の異常が1件発生し、「ランクA」の異常および「ランクC」の異常は1件も発生していないことがわかる。また、他の種類の鋼管も含め、「ランクB」の異常が合計で1件発生し、「ランクA」の異常および「ランクC」の異常は1件も発生していないことがわかる。
なお、異常内容情報を異常ランク毎に分類して集計する処理については、データ管理サーバ5が行ってもよく、表示装置8が行ってもよい。例えば、データ管理サーバ5の制御部30が、異常履歴データベース40に記憶され異常ランクに対応付けられた異常内容情報に基づいて集計し、集計した結果を集計結果表示情報として表示装置8に送信することとしてもよい。また、例えば、データ管理サーバ5が、異常履歴データベース40に記憶され異常ランクに対応付けられた異常内容情報を、集計結果表示情報として表示装置8に送信し、表示装置8の制御部60が集計することとしてもよい。また、異常履歴データベース40に集計結果が予め登録されていてもよい。
図8に異常情報の集計結果を表示する画面の他の例を示す。図8は、製造に関する実績の概要をまとめて確認できる画面(概要確認画面)であり、例えば、製造会社における朝会等において、表示装置8に当該概要確認画面を表示させることで、会議の出席者が一見して製造に関する状況を把握することができる。
概要確認画面は、右上に対象日を検索条件として入力する入力欄220と、検索条件の入力を確定させ検索を開始するための検索開始ボタン222とを備えており、対象日が入力欄220に入力された状態で検索開始ボタン222が押下されると、表示装置8は、入力された対象日についての製造に関する実績の概要を表示するための情報(概要表示情報)の送信をデータ管理サーバ5に要求する。なお、対象日は入力欄220に入力されるものでなくてもよく、例えば、概要確認画面を起動する際には対象日が前日に自動的に設定され、前日の概要表示情報がデータ管理サーバ5から表示装置8に送信されるようになっていてもよい。
データ管理サーバ5は、表示装置8からの要求に基づいて、対象日についての概要表示情報を表示装置8に送信する。そして、表示装置8は、データ管理サーバ5から送信される概要表示情報に基づいて、概要確認画面を表示する。また、概要表示情報には、集計結果表示情報が含まれており、表示装置8は、概要確認画面に異常に関する情報の集計結果を表示する。
概要確認画面は、中央部に異常情報の集計結果を表示する集計結果表示部224を有している。集計結果表示部224には、検索結果表示部206と同様に、入力欄220に入力された対象日において、各異常ランクの異常が何件ずつ発生したかが表示される。また、表示される集計結果は、製造工程(検査工程)毎の集計結果も含む。図8に示す概要確認画面からは、対象日に、「ランクC」の異常が1件発生し、「ランクA」の異常および「ランクB」の異常は1件も発生しておらず、合計で1件の異常が発生したことがわかる。また、原管の製造工程(中間検査)において「ランクC」の異常が1件発生し、付属加工工程(付属加工検査)においては、異常が1件も発生していないことがわかる。
また、概要確認画面は、造管の進捗状況(当月または当日の製造の計画個数、当月または当日に製造した鋼管の個数、計画に対する進捗率、歩留等)を表示する造管進捗状況表示部230、付属加工の進捗状況(当月または当日の加工の計画個数、当月または当日に加工した鋼管の個数、計画に対する進捗率等)を表示する付属加工進捗状況表示部232、検査の実績状況(当月または当日に検査した鋼管の個数)を表示する検査実績状況表示部234、製品の出荷状況(当月または当日の出荷の計画個数、当月または当日に出荷した鋼管の個数、計画に対する進捗率等)を表示する出荷状況表示部236、製造された鋼管の在庫状況を表示する現品在庫状況表示部238、鋼管の材料となるコイルの在庫状況を表示するコイル在庫状況表示部240を有している。そして、ユーザーは表示装置8を見ることで、製造に関する実績の概要を把握できるようになっている。なお、これらの表示部230〜240の表示は、生産管理情報データベース32等に記憶された情報に基づく。
図9に異常情報の集計結果の詳細を表示する画面を示す。図9に示すのは、図7や図8に示す例で表示される集計結果について、より詳細な情報を表示する画面(詳細情報表示画面)である。すなわち、図7や図8に示す画面は、各異常ランクの異常についての集計結果を知らせるものであるが、図9に示す画面は、この集計される異常のより具体的な内容を知らせるものである。図9の画面の表示にあたっては、例えば図7や図8に示す画面に、詳細情報を取得するための詳細情報取得ボタン(図示せず)を設け、ユーザーによる入力部64の操作により当該詳細情報取得ボタンが押下されると、表示装置8がデータ管理サーバ5から必要な情報を取得し、詳細情報表示画面を表示するようにしてもよい。
詳細情報表示画面には、鋼管の識別番号100と、鋼管の種類103、検査に合格しているか否かを示す現在の合否情報250、異常に関する情報の最終更新日252、異常が発見された検査項目254(原管の検査(中間検査)または付属加工の中継ぎに関する検査、付属品加工に関する検査もしくは塗装工程に関する検査等)、検査を行った検査員の氏名256、異常ランク、異常内容、異常の原因に関して修繕の有無(修繕済みか否か)、異常に関する備考(例えば、検査時等にタブレット端末3等を使って検査員等が打ち込む情報)等が表示される。なお、詳細情報表示画面の表示は、検査台帳データベース40等に記憶された情報に基づく。
次に、表示装置8による集計結果の表示に係る処理について図10に示すフローチャートを参照しながら説明する。
まず、表示装置8は、ユーザーの操作等に基づいて、異常履歴データベース40に記憶された異常内容情報を異常ランク毎に分類して集計した集計結果を表示装置8で表示するための集計結果表示情報の送信を要求する(ステップS51)。
次いで、データ管理サーバ5は、当該要求を受信する(ステップS52)。次いで、データ管理サーバ5は、異常履歴データベース40に記憶されたデータに基づいて、表示装置8から要求された集計結果表示情報を作成する(ステップS53)。次いで、データ管理サーバ5は、作成した集計結果表示情報を表示装置8へ送信する(ステップS54)。
次いで、表示装置8は、集計結果表示情報を受信する(ステップS55)。次いで、表示装置8は、受信した集計結果表示情報に基づいて、異常に関する情報の集計結果を表示する(ステップS56)。
本構成の品質改善システム1は、データ管理サーバ5と、ネットワーク4を介してデータ管理サーバ5に接続可能な携帯端末3と、を備え、携帯端末3は、鋼材の製造に関する検査の結果を示す検査結果情報の入力を受け付ける入力部24と、入力された検査結果情報をデータ管理サーバ5に送信する送信部27と、を備え、データ管理サーバ5は、送信部27から送信される検査結果情報に基づく情報であって、検査において発見された異常の内容を示す異常内容情報を、異常の重要度に応じたランクに対応付けて記憶する異常履歴データベース40を備える。よって、発見された異常について、対処する優先度等を異常ランクに基づいて判断することができ、再発防止対策等を適切に行うことができる。したがって、異常について適切な処理をして製造品質を改善していくことができる。
また、本構成の品質改善システム1は、データ管理サーバ5から受信した情報に基づく表示が可能な表示装置8を備え、データ管理サーバ5は、異常履歴データベース40に記憶された異常内容情報を異常ランク毎に分類して集計した集計結果を表示装置8で表示可能にする集計結果表示情報を、表示装置8に送信する集計結果表示情報送信部50を備え、表示装置8は、集計結果表示情報送信部50から送信される集計結果表示情報に基づいて、集計結果を表示する。よって、集計結果に基づいて原因究明したり、異常への対応方針を策定したりすることができる。すなわち、集計結果を利用して製造品質を改善していくことができる。
また、本構成において、携帯端末3は、検査結果情報が入力される入力欄71と、当該入力欄71に入力される検査結果情報に関する検査を支援する支援情報と、を同時に表示可能な表示部22を備える。よって支援情報に基づいて検査をすることが可能となるので、検査の誤り等を防ぐことができ、検査結果情報の精度を高めることができる。したがって、正確な検査結果情報に基づいて、異常に関する情報を集めることが可能となり、製造品質の改善をより効率的に行うことが可能となる。
なお、前述した実施形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。したがって、本発明は前述の実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各構成要素を置換、削除する等、変更することが可能である。また、本明細書において説明したフローチャートに示すフローはあくまで一例であり、各処理の順序や構成は異なるものであってもよい。