以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
(実施形態1)
[光学装置の構成]
図1は、本実施形態に係る光学装置の平面図を、図2は、図1のII−II線での断面図を示す。なお、以降に示す各図面に描かれた各部材の寸法、厚さ、細部の詳細形状などは実際のものとは異なっている。また、説明の便宜上、図1において、パシベーション膜440の図示を省略している。
図1に示す光学装置100は、SOI基板200(以下、単に基板200と呼ぶことがある。)に所定の加工が施されてなる以下の部材を有している。具体的には、光学装置100は、光路変更部であるミラー部30と、一対の第1連結部41,41と、第1可動枠体50と、一対の第2連結部42,42と、第2可動枠体60と、一対の第3連結部43,43と、一対の第4連結部44,44と、固定枠体10と、ベース枠体300とを備えている。また、光学装置100は、一対の第1アクチュエータ70,70と一対の第2アクチュエータ80,80とを備えている。光学装置100は、半導体微細加工技術を応用したマイクロマシニング技術を用いて基板200を加工して得られるMEMS素子である。
光学装置100は、一対の第1アクチュエータ70,70を駆動させることで、ミラー部30の中心Oと一対の第1連結部41,41とを通るY軸回りにミラー部30を傾動させる。また、一対の第2アクチュエータ80,80を駆動させることで、ミラー部30の中心Oと一対の第2連結部42,42とを通るX軸周りにミラー部30を傾動させる。光学装置100は、このようにミラー部30をX軸周り及びY軸周りに傾動させることで、ミラー部30に入射された入射光を反射して、所定の領域上に反射光を走査する、いわゆる2軸ミラースキャナーである。
なお、以降の説明において、X軸を第2軸と、Y軸を第1軸とそれぞれ呼ぶことがある。また、X軸及びY軸とそれぞれ交差する軸、具体的には、基板200の厚さ方向に沿った軸をZ軸または第3軸と呼ぶことがある。また、X,Y,Z軸を含んでこれらと平行な方向をそれぞれX方向、Y方向、Z方向と呼ぶことがある。なお、X方向において、第2検出部92が設けられた側を右側と、その反対側を左側とそれぞれ呼ぶことがある。Y方向において、第4連結部44が配置された側を上側と、第3連結部43が配置された側を下側とそれぞれ呼ぶことがある。また、Z方向において、ベース枠体300が配置された側を下側と、その反対側を上側と呼ぶことがある。また、固定枠体10において、パッド電極94が形成された面を主面と呼ぶことがある。他の部材においても、Z方向で固定枠体10の主面と同じ側の面を同様に主面と呼ぶことがある。
基板200は、単結晶シリコンで形成された第1シリコン層210と、SiO2からなる第1絶縁層220と、単結晶シリコンからなる第2シリコン層230と、がZ方向にこの順で積層されて構成されている。第1シリコン層210の主面には、SiO2からなる第2絶縁層240が形成されている。第1シリコン層210の厚さは、30μm、第1絶縁層220の厚さは、1μm、第2シリコン層230の厚さは、250μm、第2絶縁層240の厚さは、1μmであるが、特にこれに限定されない。光学装置100の仕様等に応じて適宜変更されうる。
光学装置100において、後述する金属膜31を除くミラー部30と、第1〜第4連結部41〜44と、第1及び第2可動枠体50,60と、固定枠体10とは、基板200と同じ積層構造を有している。光学装置100におけるこれらの部材の形状に合わせて、基板200を貫通するように加工することで、各部材は、互いに連結されるとともに所定の間隔をあけて配置される。なお、通常、ディープドライエッチング法(DRIE)により、基板200が貫通加工される。また、第1及び第2アクチュエータ70,80の構造については後で述べる。
固定枠体10は、平面視で、ミラー部30と、第1〜第4連結部41〜44と、第1及び第2可動枠体50,60と、第1及び第2アクチュエータ70,80とを内側に囲むように配設された矩形状の部材である。固定枠体10及びベース枠体300を除く各部材が、第1及び第2アクチュエータ70,80が駆動される場合に変形あるいは変位する可動部材であるのに対して、固定部材は位置が固定されており、可動部材を安定して支持するとともに、可動部材が変位等する場合の位置基準となる。また、固定枠体10は、内周面のうちY方向下側に位置する面からY方向上側に延びる延長部11を有しており、延長部11の先端に第2アクチュエータ80、具体的には後述する第1カンチレバー81が連結されている。
また、延長部11を除く固定枠体10のZ方向下側にはベース枠体300が配置されており、固定枠体10はベース枠体300の主面に固着されている。固定枠体10とベース枠体300との固着方法は種々の方法を適宜採りうる。例えば、両者を図示しない接着材で互いに固着してもよい。また、陽極接合法や拡散接合法により固定枠体10とベース枠体300とを固着してもよい。また、ベース枠体300を構成する部材を単結晶からなるシリコン層と絶縁層との積層構造とし、基板200の主面と反対側の面に予め貼り合わせた状態で、基板200を含む積層構造体を加工して、光学装置100の各部材が形成されるようにしてもよい。また、ベース枠体300の材質は、シリコンでもSiO2でもよい。他の材質、例えば、セラミックや金属材料や樹脂材料でもよい。光学装置100の配置環境における温度変化を考慮すれば、ベース枠体300の材質は基板200と熱膨張係数が近いのが好ましい。ベース枠体300の厚さは、第2シリコン層230と同程度かそれ以上であるが、特にこれに限定されない。光学装置100における可動部材がZ方向下側に自由に変位するのを許容できる程度の厚さであればよい。
また、固定枠体10の主面全体に、SiO2からなるパシベーション膜440が形成されている(図2参照)。このパシベーション膜440は、第1及び第2可動枠体50,60、第2〜第4連結部42〜44及び第1及び第2アクチュエータ70,80の主面にもそれぞれ同様に形成されている。パシベーション膜440は、光学装置100の各部材を機械的に保護するとともに、第1及び第2アクチュエータ70,80や後述する第1及び第2検出部91,92を外部雰囲気中の水分等から保護している。また、固定枠体10のY方向下側の部分において、パシベーション膜440の主面に互いに所定の間隔をあけて複数のパッド電極94が形成されている。これらのパッド電極94のそれぞれに、一対の第1アクチュエータ70,70、一対の第2アクチュエータ80,80及び後述する第1及び第2検出部91,92が配線93を介して接続される。なお、入射した光を所定の方向に反射するために、ミラー部30の主面にはパシベーション膜440は形成されていない。また、第1連結部41の主面にもパシベーション膜440は形成されていない。
また、固定枠体10と第4連結部44と第2可動枠体60と第2アクチュエータ80とを区画するように、これらの間には、基板200をZ方向に貫通して形成される第1貫通開口21が形成されている。同様に、後述する第1カンチレバー81及び第2カンチレバー83と第4連結部44と延長部11と第2可動枠体60とを区画するように、これらの間に第2貫通開口22が形成されている。第1カンチレバー81と第3連結部43と延長部11と第2可動枠体60とを区画するように、これらの間に第3貫通開口23が形成されている。第1可動枠体50と第2可動枠体60とを区画するように、これらの間に第4貫通開口24が形成されている。ミラー部30と第1可動枠体50とを区画するように、これらの間に第5貫通開口25が形成されている。
第1貫通開口21は、平面視で、一対の第2アクチュエータ80,80を囲む逆U字形状である。第1貫通開口21は後述する凸部44a、62に対向する部分を除いて、幅が略一定となるように形成されている。ここで、本願明細書において、「略一定」とは設計値に対して数割程度の差を許容するものであり、当該幅が厳密に一定であることを意味するものではない。また、第1貫通開口21の両端21aは、固定枠体10と第2カンチレバー83との連結部よりも固定枠体10の外周面に近い側に、この場合は、Y方向下側に延びて形成されている(図5の(a)図参照)。第2貫通開口22は、平面視で、第1カンチレバー81及び延長部11を囲む逆C字形状であり、Y軸に関して互いに線対称となる位置に1箇所ずつ形成されている。第2貫通開口の一端22aは、第2カンチレバー83と固定枠体10との連結端部よりも固定枠体10の外周面に近い側に、この場合は、Y方向下側に延びて形成されている。第2貫通開口22の他端22bは第1カンチレバー81と第2可動枠体60との連結端部よりも固定枠体10の外周面に近い側に、この場合は、後述する第3貫通開口23に近い側であって、Y方向下側に延びて形成されている(図5の(a)図参照)。第3貫通開口23は、平面視で、一対の第1カンチレバー81,81及び第2可動枠体60を囲むU字形状であり、第3貫通開口23の両端23aは、第1カンチレバー81と延長部11との連結端部よりも固定枠体10の外周面に近い側に、この場合は、第2貫通開口22に近い側であって、Y方向上側にそれぞれ延びて形成されている(図5の(a)図参照)。なお、固定枠体10において、X方向の一辺の長さは数mm程度、Y方向の一辺の長さは数mm程度である。
ミラー部30は、基板200と同じ積層構造を有する略楕円状あるいは略円形状の部材の主面に金属膜31が形成されてなる部材である。金属膜31は、ミラー部30部に入射された光を反射して、その光路を変更するミラーとして機能する。入射される光の波長や強度等に応じて、金属膜31の構成は適宜変更されうる。例えば、入射光が可視光であれば、Al/Tiの積層膜が用いられ、赤外光であれば、Au/Tiの積層膜が用いられる。なお、ミラー部30の平面形状は他の形状、例えば、矩形や多角形であってもよい。
一対の第1連結部41,41は、ミラー部30のY方向上側及びY方向下側からY軸に沿って延びる一対の棒状部材であり、それぞれ第1可動枠体50に連結されている。一対の第1連結部41,41は、Y軸の周りに傾動可能にミラー部30を第1可動枠体50に連結している。また、第1アクチュエータ70を駆動する場合、一対の第1連結部41,41には、それぞれY軸の周りにねじれ変形を起こすように力が加わる。
第1可動枠体50は、ミラー部30及び一対の第1連結部41,41を内側に囲むように設けられた環状の部材であり、平面視で、その外形はミラー部30の外形に相似している。ただし、これに特に限定されず、別の形状を採りうる。また、第1可動枠体50のX方向右側及びX方向左側からX軸に沿ってそれぞれ第2連結部42が延びて設けられている。一対の第2連結部42,42は、Y軸の周りに傾動可能に第1可動枠体50を第2可動枠体60に連結している。
第2可動枠体60は、第1可動枠体50及び一対の第2連結部42,42を内側に囲むように設けられた環状の部材である。第2可動枠体60は、平面視で、ミラー部30と所定の間隔をあけて設けられており、その内周は第1可動枠体50の外形に相似している。また、第2可動枠体60の外周は矩形状であり、Y方向下側端部からX方向にそれぞれ延びる一対の第3連結部43,43と、Y方向上側端部からX方向にそれぞれ延びる一対の第4連結部44,44と、に連結されている。なお、第2可動枠体60の外周及び内周は、これに特に限定されず、別の形状を採りうる。また、第2可動枠体60は、内周の形状と外周の形状とが異なっており、平面視で幅が変化している。第2可動枠体60における第2連結部42との連結部分は、他の部分よりも幅が狭くなった幅狭部61である。幅狭部61の幅は、第1可動枠体50の最も広い部分の幅の2倍よりも狭くなるように設定されている。
第1アクチュエータ70は、第1可動枠体50と第2連結部42と第2可動枠体60とに跨がって、かつミラー部30を挟んでY軸に関して線対称となる位置にそれぞれ形成されている。第1アクチュエータ70は圧電素子71を含んでいる。圧電素子71は、第1可動枠体50、第2連結部42及び第2可動枠体60の主面にそれぞれ跨がって形成されており、下側電極410と圧電体層420と上側電極430とがZ方向にこの順で積層された積層体である。また、圧電素子71は第2可動枠体60の幅狭部61にも形成されている。下側電極410及び上側電極430として、Pt/Tiの積層膜がそれぞれ用いられる。ただし、特にこれに限定されず、例えば、上側電極430として、Au/Tiの積層膜が用いられてもよい。この場合、ミラー部30の金属膜31と同時に上側電極430を形成するようにしてもよい。このことにより、光学装置100の製造工程が簡略化される。また、圧電体層420として、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)が用いられる。ただし、特にこれに限定されず、他の材質の圧電体を用いてもよい。例えば、チタン酸バリウム(BaTiO3)やニオブ酸リチウム(LiNbO3)を用いてもよい。
また、本実施形態において、下側電極410と圧電体層420とは、ベース枠体300とミラー部30と第1連結部41とを除く光学装置100の各部材の主面全体に形成されている。一方、上側電極430は、図1に示す形状となるように加工されている。上側電極430を所定の形状に加工することで、第1アクチュエータ70の駆動形態、言い換えると、圧電素子71が形成された第1可動枠体50と第2連結部42と第2可動枠体60とが変形する形態を規定することができる。なお、下側電極410と圧電体層420とを上側電極430と相似の形状に加工してもよい。また、第1アクチュエータ70は、第2可動枠体60に設けられた部分の面積が、第1可動枠体50に設けられた部分の面積よりも広くなるように設定されている。言い換えると、圧電素子71の上側電極430は、第2可動枠体60に設けられた部分の面積が、第1可動枠体50に設けられた部分の面積よりも広くなるように設定されている。
第1検出部91は、第1アクチュエータ70と所定の間隔をあけてそのY方向上側に設けられており、第1アクチュエータ70と同様に、ミラー部30を挟んでY軸に関して線対称となる位置にそれぞれ形成されている。第1検出部91は、圧電素子71と同様の構成を有する積層体であり、第1検出部91の上側電極430は、圧電素子71の上側電極430と所定の間隔をあけて配置されている。後述するように、第1アクチュエータ70を駆動すると、圧電素子71が圧縮または伸長されて、圧電素子71が設けられた第1及び第2可動枠体50,60と第2連結部42が変形する。この変形に応じて、一対の第1検出部91,91にも歪みが生じ、それぞれの上側電極430に電荷が誘起され、電流信号あるいは電圧信号が出力される、一対の第1検出部91,91のそれぞれから出力された信号は極性が互いに逆であるため、図示しない差動アンプに入力して増幅することで、第1アクチュエータ70の駆動量が検出される。また、この駆動量に基づいてミラー部30のY軸周りの傾動量が検出される。
なお、一対の第1検出部91,91の上側電極430には、それぞれ配線93が接続されており、2つの配線93はいずれもY軸よりもX方向右側に位置する第4連結部44及び第2カンチレバー83を通って、固定枠体10に形成されたパッド電極94にそれぞれ接続される。なお、第2カンチレバー83において、一方の第1検出部91の上側電極430に接続された配線93は、第2圧電素子84のX方向左側に配置される一方、他方の第1検出部91の上側電極430に接続された配線93は、第2圧電素子84のX方向右側に配置される。
一対の第2アクチュエータ80,80は、第2可動枠体60を挟んで、X方向に相対向する位置に設けられており、第1カンチレバー81と第1圧電素子82と第2カンチレバー83と第2圧電素子84とをそれぞれ有している。この場合、一対の第2アクチュエータ80,80は、第2可動枠体60を挟んでY軸に関して線対称となる位置にそれぞれ配置されている。
第1カンチレバー81は、第2カンチレバー83よりも第2可動枠体60に近い位置に配置されており、具体的には、第2可動枠体60と固定枠体10の延長部11との間に、これらと間隔をあけてY方向に延びるように設けられている。第1カンチレバー81はY方向下側端部で第3連結部43に、Y方向上側端部で固定枠体10の延長部11にそれぞれ連結されている。また、第3連結部43との連結端部及び延長部11との連結端部を除いて、第1カンチレバー81は第1シリコン層210のみで構成されている。光学装置100における各部材の形状に合わせて、図示しないマスクパターンを形成した後、基板200を貫通するように加工することで、基板200に各部材の原形が形成される。この後で、第1カンチレバー81の所定領域及び第2カンチレバー83の所定領域を開口させるように、基板200の裏面、つまり主面と反対側の面に図示しない別のマスクパターンを形成し、当該マスクパターンをエッチングマスクとして、第2シリコン層230及び第1絶縁層220を除去することで、第1カンチレバー81を第1シリコン層210のみで構成することができる。また、第4連結部44との連結端部及び固定枠体10との連結端部を除いて、第2カンチレバー83も第1シリコン層210のみで構成されている。なお、第1カンチレバー81や第2カンチレバー83において、第1シリコン層210の下面に第1絶縁層220が残っていてもよい。その場合、第1絶縁層220がもとの厚さのまま残っていてもよいし、薄くなった状態で残っていてもよい。
また、第1カンチレバー81のX方向の幅をW、Y方向の長さをL、Z方向の厚さをTとそれぞれするとき、式(1)に示す関係を満たすように第1カンチレバー81の寸法が設定される。
W>10−5×L3/T3 ・・・(1)
また、第1カンチレバー81の主面に第1圧電素子82が形成されている。第1圧電素子82の積層構造は、第1アクチュエータ70における圧電素子71の積層構造と同じである。なお、第1圧電素子82の上側電極430は、平面視でY方向上側端部かつX方向に沿った中央部に凹部431を有している。凹部431の内側には、一対の第2検出部92,92の一方が設けられている。一方の第2検出部92は、第1圧電素子82と同様の構成を有する積層体であり、第2検出部92の上側電極430は、第1圧電素子82の上側電極430と間隔をあけて配置されている。なお、第2可動枠体60を挟んでY方向左側に位置する第1圧電素子82において、上側電極430に前述の凹部431は形成されているが、凹部431の内側に第2検出部92は設けられていない。
第2カンチレバー83は、第2可動枠体60と固定枠体10との間に、これらと間隔をあけてY方向に延びるように設けられている。第2カンチレバー83はY方向下側端部で固定枠体10に、Y方向上側端部で第4連結部44にそれぞれ連結されている。また、前述したように、一部を除いて、第2カンチレバー83は第1シリコン層210のみで構成されている。また、第2カンチレバー83は、第1カンチレバー81よりも幅広に形成されており、第2カンチレバー83のX方向、Y方向、Z方向の各寸法は、式(1)に示す関係を当然に満足する。
また、第2カンチレバー83の主面に第2圧電素子84が形成されている。第2圧電素子84の積層構造は、第1アクチュエータ70における圧電素子の積層構造と同じである。なお、第2圧電素子84の上側電極430は、平面視でY方向下側端部かつX方向に沿った中央部に凹部432を有している。凹部432の内側には、一対の第2検出部92,92の他方が設けられている。他方の第2検出部92は、第2圧電素子84と同様の構成を有する積層体であり、第2検出部92の上側電極430は、第2圧電素子84の上側電極430と間隔をあけて配置されている。後述するように、第2アクチュエータ80を駆動すると、第1圧電素子82及び第2圧電素子84が互いに反対方向に圧縮または伸長されて、第1カンチレバー81及び第2カンチレバー83は、それぞれ反対方向に湾曲する。この湾曲変形に応じて、一対の第2検出部92,92の上側電極430のそれぞれに電荷が誘起され、電流信号あるいは電圧信号が出力される、一対の第2検出部92,92のそれぞれから出力された信号は極性が互いに逆であるため、図示しない差動アンプに入力して増幅することで、第2アクチュエータ80の駆動量が検出される。また、この駆動量に基づいて第2可動枠体60、ひいては、ミラー部30のX軸周りの傾動量が検出される。なお、第2可動枠体60を挟んでY方向左側に位置する第2圧電素子84において、上側電極430に前述の凹部432は形成されているが、凹部432の内側に第2検出部92は設けられていない。
また、第4連結部44及びこれに連結された第2可動枠体60のY方向上側辺部にはそれぞれY方向上側に突出する凸部44a,62が設けられている。また、第2可動枠体60のY方向上側辺部に対向する固定枠体10の辺部にはY方向下側に突出する凸部が設けられている。つまり、第4連結部44及び第4連結部44が連結された第2可動枠体60の辺部は、それぞれY方向の幅が変化している。また、第2可動枠体60の当該辺部に対向する固定枠体10のY方向上側辺部は、Y方向の幅が変化している。一方、これらの間に設けられた第1貫通開口21は、幅が略一定となるように形成されている。これらについては後で説明する。
また、複数の配線93は、パシベーション膜440に形成された図示しない貫通孔を通じて、圧電素子71や第1及び第2圧電素子82,84や第1及び第2検出部91,92の上側電極430にそれぞれ接続されている。また、複数の配線93は、第2可動枠体60、第1及び第2カンチレバー81,83及び第4連結部44の主面に形成されたパシベーション膜440の主面にそれぞれ引き出されて延びており、固定枠体10を覆うパシベーション膜440の主面に設けられた複数のパッド電極94にそれぞれ接続されている。例えば、第1圧電素子82及び第1カンチレバー81に設けられた第2検出部92に接続された配線93はX方向右側に位置する延長部11を通って、対応するパッド電極94にそれぞれ接続される。なお、配線93及びパッド電極94は、それぞれAu/Tiの積層膜で構成される。また、図示しないが、第1及び第2圧電素子82,84や第1及び第2検出部91,92の下側電極410も固定枠体10に設けられた複数のパッド電極94にそれぞれ接続されている。なお、下側電極410とパッド電極94との電気的な接続は種々の構成を取りうる。好ましい構成は、下側電極410をなす金属膜を第1アクチュエータ70や第2アクチュエータ80から固定枠体10に設けられたパッド電極94の近傍まで引き出されるように残して、配線の役割を持たせるようにすることである。この場合、パッド電極94の直下にあるパッシベーション膜440に図示しない貫通孔を設けて下側電極410とパッド電極94とが電気的に接続される。なお、図1において、Y方向下部中央に存在するパッド電極94がどの配線93にも接続していないのは、前述の構成をとったもので、これが下側電極410に電気的に接続されている。
[光学装置の動作について]
続いて、図1,2に示す光学装置100の動作について説明する。図3Aは、ミラー部
がY軸の周りに傾動した状態の斜視図を、図3Bは、図3Aに示す光学装置をY方向から見た模式図をそれぞれ示す。また、図4Aは、ミラー部がX軸の周りに傾動した状態の斜視図を、図4Bは、図3Aに示す光学装置をX方向から見た模式図をそれぞれ示す。なお、光学装置100の動作を分かりやすくするために、図3Aにおいて、ミラー部30の傾動量が実際よりも大きい状態を示している。また、説明の便宜上、図3A〜4Bにおいて、基板200の各層及び第1アクチュエータ70の上側電極430以外の構成要素の図示を省略している。
ミラー部30は、加工時の熱処理や金属膜31から受ける応力等により反りが生じていることがある。このような反りが生じていると、ミラー部30で反射された反射光の光路長が変化してしまい、所定の領域上に投影される画像の画質等に影響を及ぼす場合がある。これを修正するために、まず、ミラー部30が所定の初期平面に位置するように、一対の圧電素子71,71の上側電極430と、一対の第1圧電素子82,82の上側電極430と、一対の第2圧電素子84,84の上側電極430とにそれぞれ直流電圧が印加される。上側電極430のそれぞれに対して、どのように電圧が印加されるかは、ミラー部30の初期反りの状態に依存する。なお、ミラー部30の反りが修正されたか否かは、適宜、種々の方法を用いて確認することができる。例えば、ミラー部30の金属膜31に所定の角度で光を入射し、反射光を図示しない受光部で検出することにより、受光部上での反射光の位置や拡がり等からミラー部30の反りの状態を検出し、前述したように、各上側電極430に対して、所定の電圧を印加してミラー部30の反りを修正することができる。また、第1及び第2検出部91,92の出力信号と、ミラー部30の反りの状態とを予め実験的に求めておき、各上側電極430に対して、所定の電圧を印加した場合の第1及び第2検出部91,92の出力信号に基づいて、印加される電圧値を調整することで、ミラー部30の反りを修正することができる。あるいは逆に、ミラー部30の反りが無い状態であっても、ミラー部30で反射された反射光に意図的に焦点を持たせるために、予め、一対の圧電素子71,71の上側電極430と、一対の第1圧電素子82,82の上側電極430と、一対の第2圧電素子84,84の上側電極430とにそれぞれ所定の直流電圧を印加しておき、受光部上での反射光の位置や拡がり等から印加される電圧値を調整するようにしてもよい。なお、ミラー部30での反射光を所定の領域上に走査する形態によっては、予め、ミラー部30を積極的に反らせるようにしてもよい。
図3A,3Bに示すように、一対の第1アクチュエータ70,70を駆動することで、ミラー部30をY軸の周りに傾動させることができる。一対の圧電素子71,71のそれぞれにおいて、上側電極430に互いに逆位相の電圧を印加すると、例えば、X方向左側に配置された圧電素子71及び当該圧電素子71の直下に位置する第1可動枠体50と第2連結部42と第2可動枠体60はZ方向上側に持ち上がって、上側に凸状となるように湾曲する。また、X方向右側に配置された圧電素子71及び当該圧電素子71の直下に位置する第1可動枠体50と第2連結部42と第2可動枠体60はZ方向下側に押し下げられて、下側に凸状となるように湾曲する。このように第1可動枠体50が湾曲変形することで、第1アクチュエータ70を除く部分において、Y軸よりX方向左側に位置する第1可動枠体50は、湾曲してZ方向下側に押し下げられ、Y軸よりX方向右側に位置する第1可動枠体50は、湾曲してZ方向上側に持ち上げられる。その結果、第1連結部41を介して第1可動枠体50に連結されたミラー部30がY軸の周りに傾動する。
また、この場合、ミラー部30と一対の第1連結部41,41と第1可動枠体50とで構成される振動系の共振周波数に近い周波数の交流電圧を上側電極430に印加することで、ミラー部30はY軸の周りに共振駆動される。振動系の質量分布や各部材の剛性等にもよるが、通常の場合、共振周波数は数kHz〜数十kHz程度となる。ミラー部30が共振駆動することで、ミラー部30を高速で傾動できるとともに、低い印加電圧でミラー部30の傾動量を大きくすることができる。なお、低い電圧でミラー部30を共振駆動させるために、第1アクチュエータ70の曲げ変形が最も大きくなる位置に圧電素子71、特に上側電極430を配置するのが好ましい。
また、図4A,4Bに示すように、一対の第2アクチュエータ80,80を駆動させることで、ミラー部30をX軸の周りに傾動させることができる。第1圧電素子82及び第2圧電素子84のそれぞれにおいて、上側電極430に互いに逆位相の電圧を印加すると、例えば、第2圧電素子84がY方向に収縮し、これに応じて、ユニモルフ構造の関係にある第2カンチレバー83はZ方向下側に凸状になるように湾曲する。このとき、第2カンチレバー83のY方向下側端部は、固定枠体10に連結されているため、この部分は変位せず、その反動で、第2カンチレバー83の先端、つまり、第4連結部44に連結された部分がZ方向上側に持ち上がるように第2カンチレバー83が湾曲変形する。また、第1圧電素子82はY方向に伸長し、これに応じて、ユニモルフ構造の関係にある第1カンチレバー81はZ方向上側に凸状になるように湾曲する。このとき、第1カンチレバー81のY方向上側端部は、固定枠体10の延長部11に連結されているため、この部分は変位せず、その反動で、第2カンチレバー83の先端、つまり、第3連結部43に連結された部分がZ方向下側に押し下げられるに第1カンチレバー81が湾曲変形する。
また、第1カンチレバー81が変形することで、第3連結部43はZ方向下側に押し下げられ、第2カンチレバー83が変形することで、第4連結部44はZ方向上側に持ち上げられる。そのため、Y方向の端部が第3連結部43及び第4連結部44にそれぞれ連結された第2可動枠体60は、X軸の周りに傾動する。第2連結部42を介して第2可動枠体60に連結された第1可動枠体50と、第1連結部41を介して第1可動枠体50に連結されたミラー部30も同様に、X軸の周りに傾動する。このように、第1カンチレバー81と第2カンチレバー83とをZ方向に沿って互いに反対側に変形させることで、第1カンチレバー81の変形量に応じた駆動力と第2カンチレバー83の変形量に応じた駆動力とが足し合わされて、第2アクチュエータ80に高い駆動力が発生する。このため、比較的質量の大きな第2駆動枠体及びこれに連結された第1可動枠体50とミラー部30とをすばやく傾動させることができる。
なお、第2アクチュエータ80に印加される交流電圧の周波数、つまり、第2アクチュエータ80の駆動周波数は、第1アクチュエータ70の駆動周波数よりも低く、数十Hz程度であり、第2アクチュエータ80は非共振駆動される。
このようにミラー部30をX軸周りやY軸周りに傾動させることで、ミラー部30で反射された反射光を所定の領域上に走査できる。例えば、ミラー部30をY軸周りに共振周波数で傾動させることにより、所定の方向に反射光を線状に走査し、次に、ミラー部30をX軸周りに傾動させることで、所定の線と交差する方向に反射光の走査線をずらす動作を繰り返す、いわゆる、ラスタースキャンを行うことにより、所定の領域上に画像を生成、表示することができる。このように、本実施形態の光学装置100は、プロジェクターやヘッドアップディスプレイ(以下、HUDという)やヘッドマウントディスプレイ(以下、HMDという)等での画面表示用の走査光源として用いることができる。
[効果等]
以上説明したように、本実施形態に係る光学装置100は、光路変更部であるミラー部30と、ミラー部30を通るY軸(第1軸)に沿ってミラー部30の両側から延びる一対の第1連結部41,41と、ミラー部30を内側に囲むように設けられ、一対の第1連結部41,41のそれぞれに連結された第1可動枠体50と、Y軸と交差するX軸(第2軸)に沿って第1可動枠体50の両側から延びる一対の第2連結部42,42と、第1可動枠体50を内側に囲むように設けられ、一対の第2連結部42,42のそれぞれに連結された第2可動枠体60と、第2可動枠体60を内側に囲むように設けられ、第2可動枠体60に連結された固定枠体10と、を少なくとも備えている。
また、光学装置100は、第1可動枠体50と第2可動枠体60とに跨がって、かつミラー部30を挟んでX軸に沿って相対向する位置に設けられた一対の第1アクチュエータ70,70を、備えており、一対の第1アクチュエータ70,70は、ミラー部30をY軸の周りに傾動させる圧電式アクチュエータである。
光学装置100をこのように構成することで、第1アクチュエータ70の駆動力を高められ、低い電圧でミラー部30をY軸の周りに傾動させることができる。特に、第1可動枠体50と第2可動枠体60とに跨がるように第1アクチュエータ70を設けることで、第1可動枠体50のみに第1アクチュエータ70を設けた場合に比べて、圧電素子71の面積を大きくでき、第1アクチュエータ70の駆動力を高められる。また、第2可動枠体60のみに第1アクチュエータ70を設けた場合に比べて、ミラー部30に連結された第1可動枠体50の変形量を大きくでき、第1アクチュエータ70の駆動力を高められる。また、低い電圧でミラー部30の傾動量を大きくすることができる。
一対の第1アクチュエータ70,70は、Y軸に関して線対称となる位置にそれぞれ配置されているのが好ましい。このようにすることで、2つの第1アクチュエータ70,70を互いに逆方向に駆動させた場合、ミラー部30の傾動量をY軸に関して対称にすることができる。
第2可動枠体60は、第1可動枠体50の最も広い部分の幅の2倍よりも狭い幅狭部61を有している、のが好ましい。
第2可動枠体60に上記の幅狭部61を設けることで、第1アクチュエータ70を駆動させた場合の第2可動枠体60の変形量を大きくすることができる。その結果、第1アクチュエータ70の駆動力を高められ、また、ミラー部30の傾動量を大きくすることができる。
第2可動枠体60に設けられた第1アクチュエータ70の面積は、第1可動枠体50に設けられた第1アクチュエータ70の面積よりも広い、のが好ましい。
第1可動枠体50が大型化すると、ミラー部30と第1可動枠体50とを含む振動系の共振周波数が低下してしまい、所望の周波数でミラー部30を共振駆動できないおそれがある。このため、第1可動枠体50のサイズは制限される。しかし、このような場合、第1可動枠体50のみに第1アクチュエータ70を設けるようにすると、圧電素子71の面積が小さくなり、第1アクチュエータ70の駆動力を十分に得られないおそれがあった。
一方、本実施形態によれば、第2可動枠体60に設けられた第1アクチュエータ70の面積を、第1可動枠体50に設けられた第1アクチュエータ70の面積よりも広くすることで、第1可動枠体50が大型化するのを抑制しつつ、第1アクチュエータ70の駆動力を高められる。また、ミラー部30の傾動量を大きくすることができる。
一対の第1アクチュエータ70,70の一方と他方とにそれぞれ逆位相の電圧が印加されることで、一対の第1アクチュエータ70,70は、ミラー部30をY軸の周りに傾動させる。ミラー部30は、ミラー部30と第1可動枠体50とを含む振動系の共振周波数で共振駆動し、Y軸の周りに傾動される。
本実施形態によれば、ミラー部30を高速で傾動できるとともに、低い印加電圧でミラー部30の傾動量を大きくすることができる。
ミラー部30は、入射した光を反射するミラーとして金属膜31を有しており、金属膜31で反射した反射光を所定の領域上に確実に走査させられる。
また、光学装置100は、第2可動枠体60の両側から延びる一対の第3連結部43,43と、第2可動枠体60の両側から延び、かつ一対の第3連結部43,43とY方向に沿って所定の間隔をあけて設けられた一対の第4連結部44,44と、をさらに備えており、一対の第3連結部43,43と一対の第4連結部44,44とは、それぞれ所定の弾性率を有している。また、一対の第3連結部43,43及び一対の第4連結部44,44はX方向にそれぞれ延びるとともに、第2可動枠体60と固定枠体10とを連結している。
光学装置100をこのように構成することで、第2可動枠体60を確実に固定枠体10に連結させることができる。また、固定枠体10に対して第2可動枠体60を変位または傾動させることができる。
また、光学装置100は、第2可動枠体60を挟んでX軸に沿って相対向する位置に配置された一対の第2アクチュエータ80,80をさらに備えており、一対の第2アクチュエータ80,80は、第2可動枠体60をX軸の周りに傾動させる圧電式アクチュエータである。
一対の第2アクチュエータ80,80を設けることで、第2可動枠体60をX軸の周りに傾動させることができる。また、第2連結部42を介して第2可動枠体60に連結された第1可動枠体50と、第1連結部41を介して第1可動枠体50に連結されたミラー部30も同様に、X軸の周りに傾動させることができる。
一対の第2アクチュエータ80,80は、Y軸に関して線対称となる位置にそれぞれ配置されているのが好ましい。このようにすることで、一対の第2アクチュエータ80,80を互いに同じ方向に駆動させた場合、第2可動枠体60の傾動量、ひいてはミラー部30の傾動量をX軸に関して対称にすることができる。
第2アクチュエータ80は、一端が固定枠体10に、他端が第3連結部43にそれぞれ連結された第1カンチレバー81と、第1カンチレバー81の主面に形成された第1圧電素子82と、一端が固定枠体10に、他端が第4連結部44にそれぞれ連結された第2カンチレバー83と、第2カンチレバー83の主面に形成された第2圧電素子84と、を有している。
第1圧電素子82と第2圧電素子84とにそれぞれ逆位相の電圧が印加され、第1カンチレバー81における第3連結部43との連結端部と、第2カンチレバー83における4連結部44との連結端部とが、Z方向に沿って互いに反対側に移動することで、第2可動枠体60がX軸の周りに傾動される。
第2アクチュエータ80をこのように構成することで、第1カンチレバー81の変形量に応じた駆動力と第2カンチレバー83の変形量に応じた駆動力とが足し合わされて、第2アクチュエータ80に高い駆動力が発生する。このことにより、比較的質量の大きな第2駆動枠体とこれに連結された第1可動枠体50及びミラー部30とをX軸の周りにすばやく傾動させることができる。
固定枠体10は、第1カンチレバー81と第2カンチレバー83との間を通り、かつ先端が第4連結部44の近くまで延びる延長部11を有しており、第1カンチレバー81の一端は、延長部11の先端に連結されている。
このようにすることで、第1カンチレバー81のY方向の長さを第2カンチレバー83のY方向の長さに近づけることができる。よって、第2アクチュエータ80が駆動された場合に、第1カンチレバー81における第3連結部43との連結端部がZ方向下側に変位する変位量と、第2カンチレバー83における4連結部との連結端部がZ方向上側に変位する変位量と、を略等しくすることができる。このことにより、第2可動枠体60、ひいてはミラー部30をX軸の周りに傾動させられるとともに、ミラー部30の傾動量をX軸に関して対称にすることができる。なお、第1カンチレバー81の一端が固定されていれば、原理的にはミラー部30に所望の動作を与えられるから、延長部11の代わりに、例えば、ベース枠体300につながるビームと突起からなる構造体(図示せず)があって、その部分に第1カンチレバー81の一端が接合されていてもよい。ベース枠体300が貫通されておらず、底板部(図示せず)があって、アイランド状に突起構造(図示せず)を持ち、その部分に第1カンチレバー81の一端が接続されていても良い。
第1カンチレバー81及び第2カンチレバー83の少なくとも一方において、X方向の幅をW、Y方向の長さをL、Z方向の厚さをTとそれぞれするとき、W>10−5×L3/T3の関係を満たすことが好ましい。
第1カンチレバー81や第2カンチレバー83をこのように構成することで、これらのZ方向への変形量を確保しつつ、外部からの衝撃等に機械的に耐えうる剛性を持たせることができる。例えば、第1カンチレバー81の長さLが数mm、つまり、数千μmである場合、幅Wは数百μm程度であり、長さLの数分の一から十分の一程度となる。また、厚さTは第1シリコン層210の厚さにほぼ等しいので、30μm程度である。このように、第1カンチレバー81はZ方向に薄く、かつY方向に長いため、たわみが生じやすく、外的衝撃により容易に変形してしまうおそれがある。また、光学装置100をハンドリングする際の衝撃により破損するおそれがある。
一方、本実施形態によれば、第1カンチレバー81のX方向の幅Wを上記のように規定することで、第1カンチレバー81全体の剛性を高めて、外部からの衝撃等により、第1カンチレバー81が破損したり、変形したりするのを抑制できる。また、ミラー部30が意図せずにX軸の周りに傾動するのを抑制できる。なお、第2カンチレバー83の各寸法に関して同様の関係を規定することで、同様の効果が得られることは言うまでもない。
光学装置100は、Y軸を挟んで第2可動枠体60の相異なる位置にそれぞれ設けられ、第1アクチュエータ70の駆動量を検出する一対の第1検出部91,91と、第2アクチュエータ80の駆動量を検出する一対の第2検出部92,92と、をさらに備えている。
第1検出部91及び第2検出部92を設けることで、第1アクチュエータ70及び第2アクチュエータ80の駆動量を検出でき、ひいてはミラー部30のX軸周り及びY軸周りの傾動量をそれぞれ検出することができる。例えば、図示しない制御部に、第1検出部91及び第2検出部92の出力信号をフィードバックして、第1アクチュエータ70や第2アクチュエータ80に印加される電圧値を調整することで、ミラー部30の傾動量を所望の値に制御することが可能となる。
第2検出部92の一方は、第1カンチレバー81におけるX方向に沿った中央部に、第1圧電素子82と所定の間隔をあけて設けられ、第2検出部92の他方は、第2カンチレバー83におけるX方向に沿った中央部に、第2圧電素子84と所定の間隔をあけて設けられているのが好ましい。
このようにすることで、第1カンチレバー81や第2カンチレバー83がねじれて変形した場合の影響を抑制することができる。前述したように、第1カンチレバー81はZ方向に薄くY方向に長く形成されている。また、第3連結部43が変形すると、第3連結部43との連結端部には、XZ平面内を回転するように力が加わって、第1カンチレバー81がねじれ変形を起こす場合がある。第2カンチレバー83についても同様の事象が起こりうる。このような場合、第2検出部92が、X方向に関して第1カンチレバー81や第2カンチレバー83の端部に位置していると、ねじれ変形の影響を受けて、第2アクチュエータ80の駆動量を正確に検出できないおそれがある。
一方、本実施形態によれば、第2検出部92を前述した位置に配置することで、ねじれ変形の影響を抑制でき、第2アクチュエータ80の駆動量を正確に検出することができる。
第2検出部92の一方は、第1カンチレバー81における固定枠体10との連結端部の近くに設けられ、第2検出部92の他方は、第2カンチレバー83における固定枠体10との連結端部の近くに設けられているのがさらに好ましい。
固定枠体10との連結端部に第2検出部92を配置することで、ねじれ変形の影響をより受けにくくなり、第2アクチュエータ80の駆動量を正確に検出することができる。
一対の第2検出部92,92は、一対の第2アクチュエータ80,80の一方のみに設けられてもよく、第2アクチュエータ80の駆動量を検出することができる。なお、この場合に、一対の第2アクチュエータ80,80の一方に含まれる第1及び第2圧電素子82,84の平面形状と、一対の第2アクチュエータ80,80の他方に含まれる第1及び第2圧電素子82,84の平面形状とが同じになるようにするのが好ましい。本実施形態では、第2検出部92が設けられていない側の第2アクチュエータ80に関して、第1圧電素子82及び第2圧電素子84の上側電極430にそれぞれ凹部431,432を設けることで、この関係を満たすようにしている。このようにすることで、一対の第2アクチュエータ80,80のそれぞれにおいて、駆動特性を同じにでき、ミラー部30をX軸の周りに傾動できるとともに、その傾動量をX軸に関して対称とすることができる。
固定枠体10の主面には複数のパッド電極94が設けられており、一対の第1アクチュエータ70,70、一対の第2アクチュエータ80,80、一対の第1検出部91,91及び一対の第2検出部92,92はそれぞれ、配線93を介して複数のパッド電極94のいずれかに接続されている。
一対の第1検出部91,91のそれぞれは、第2可動枠体60と第4連結部44と第2カンチレバー83とに跨がって設けられた配線93を介して、互いに異なるパッド電極94に接続されており、一方の第1検出部91に接続された配線93は、第2圧電素子84を挟んで他方の第1検出部91に接続された配線93と反対側に設けられている。
一対の第1検出部91,91のそれぞれに接続された配線93をこのように配置することで、配線93に入り込むクロストーク成分が等しくなり、検出回路で差分をとれば、この成分は相殺されるから、第1アクチュエータ70の駆動量を正確に検出することができる。
前述したように、第1可動枠体50及び第2可動枠体60の変形量に応じて、一対の第1検出部91,91に歪みが生じて、それぞれの上側電極430に電荷が誘起されて電流信号あるいは電圧信号が発生する。この信号に基づいて第1アクチュエータ70の駆動量が検出される。一対の第1検出部91,91は互いにZ方向で反対側に変形するため、それぞれから出力される信号は、互いに逆相となる。一方、配線93が長く引き回されることで、他の導電体、例えば第2圧電素子84の上側電極430との間に容量結合が生じ、配線93に伝送される信号にクロストーク成分が重畳することがある。このクロストーク成分は信号のノイズ成分となり、第1アクチュエータ70の駆動量が正確に検出されないおそれがある。
一方、本実施形態によれば、一対の第1検出部91,91のそれぞれに接続された配線93を前述したように配置することで、各々の配線93に重畳されたクロストーク成分の振幅はほぼ同じとなり、その位相は互いに同相となる。よって、これらの信号の差分を取ることでクロストーク成分、つまり信号のノイズ成分が相殺され、第1アクチュエータ70の駆動量を正確に検出することができる。
また、第4連結部44は、Y方向の幅が変化していてもよい。具体的には、第4連結部44にはY方向上側に突出する凸部44aが設けられていてもよい。このようにすることで、ミラー部30が共振駆動されるときに、第2アクチュエータ80が意図せずに変位するのを抑制できる。このことにより、所定の領域上に確実にミラー部30で反射された反射光を走査することができる。このことについてさらに説明する。
前述したように、第1アクチュエータ70が駆動されると、ミラー部30は、ミラー部30と第1可動枠体50とを含む振動系の共振周波数で共振駆動される。一方、第2可動枠体60は第2連結部42を介して第1可動枠体50に連結され、第2アクチュエータ80は、第3連結部43及び第4連結部44を介して第2可動枠体60に連結されている。このため、ミラー部30が共振駆動すると、その影響が第2アクチュエータ80に伝達される場合がある。一般的には、ミラー部30と第1可動枠体50とを含む振動系の共振周波数(以下、第1共振点と呼ぶことがある。)と、第2アクチュエータ80の振動系、特に第1カンチレバー81及び第2カンチレバー83が周期的に湾曲変形する共振周波数(以下、第2共振点と呼ぶことがある。)とは離れており、ミラー部30が共振駆動しても第2アクチュエータ80の変形量は非常に小さい。
しかし、光学装置100のサイズや、光学装置100に含まれる各部材のサイズや質量、さらに各部材の間隔等によっては、前述の第1共振点と第2共振点とが近くなり、ミラー部30の共振駆動によって第2アクチュエータ80が大きく変形する場合がある。このようなことが起こると、ミラー部30がX軸の周りに意図せずに傾動してしまい、ミラー部30に入射された光は、所望の方向を外れて反射されてしまう。
一方、本実施形態によれば、第4連結部44のY方向の幅を変化させることで、第4連結部44の慣性モーメントや曲げ剛性を変化させ、第4連結部44に連結された第2アクチュエータ80の共振周波数をずらすことができる。このようにして、第1共振点と第2共振点とを所定以上に離すことができ、意図しないミラー部30の傾動を抑制して、所定の領域上に確実にミラー部30で反射された反射光を走査することができる。
同様の理由から、第4連結部44が連結された第2可動枠体60の辺部において、Y方向の幅を変化させるようにしてもよい。具体的には、当該辺部にY方向上側に突出する凸部62が設けられる。この場合も、第1共振点と第2共振点とを所定以上に離すことができ、意図しないミラー部30の傾動を抑制して、所定の領域上に確実にミラー部30で反射された反射光を走査することができる。
固定枠体10と第2可動枠体60との間隔は略一定であることが好ましい。DRIEにより基板200が貫通加工される場合、第1〜第5貫通開口21〜25の幅が異なると、エッチングスピートが変化することがある。貫通される溝の幅に対する深さの比が大きくなる第1〜第3貫通開口21〜23では、この傾向は顕著となる。しかし、エッチングスピートが異なると、最終的に形成される幅が変わるおそれがあった。このようなことが生じると各部材の寸法や質量が変化してしまい、ミラー部30の傾動量が変化したり、あるいは共振駆動時の周波数が変化したりするおそれがあった。
本実施形態では、図1に示すように、第2可動枠体60に連結された第4連結部44の配置に応じて、固定枠体10の辺部に凹凸を設けることで、固定枠体10と第2可動枠体60との間隔は略一定とし、光学装置100の各部材の寸法や質量が変動するのを抑制している。このことにより、ミラー部30を所望の周波数で傾動させられるとともに、傾動量を所望の値とすることができる。
また、光学装置100には、第2アクチュエータ80と固定枠体10とを少なくとも区画する第1貫通開口21と、第2カンチレバー83と第1カンチレバー81とを少なくとも区画する第2貫通開口22と、第1カンチレバー81と第2可動枠体60とを少なくとも区画する第3貫通開口23と、がそれぞれ形成されている。第1貫通開口21の一端21aは、第2カンチレバー83と固定枠体10との連結端部よりも固定枠体10の外周面に近い側に形成されている。第2貫通開口22の一端22aは、第2カンチレバー83と固定枠体10との連結端部よりも固定枠体10の外周面に近い側に形成され、他端22bは第1カンチレバー81と第2可動枠体60との連結端部よりも固定枠体10の外周面に近い側にそれぞれ延びて形成されている。第3貫通開口23の両端23aは、第1カンチレバー81と延長部11との連結端部よりも固定枠体10の外周面に近い側にそれぞれ延びて形成されている。
このようにすることで、第1カンチレバー81と第2カンチレバー83の加工不良を低減できる。図5を用いてさらに説明する。
図5は、光学装置をZ方向下側から見た部分平面図を示し、(a)図は、本実施形態に係る平面図を、(b)図は、比較のための平面図をそれぞれ示す。なお、図5において、ベース枠体300の図示を省略している。
前述したように、基板200に第1〜第5貫通開口21〜25を形成した後、第1及び第2カンチレバー81,83の薄板部分に対応する領域の第1絶縁層220及び第2シリコン層230を除去することで、光学装置100が形成される。このとき、前者の加工と後者の加工とではそれぞれ異なる形状のマスクパターン(図示せず)が用いられる。
しかし、後者の加工時に所定以上のマスクパターンの合わせずれが生じていると、例えば、第1〜第3貫通開口21〜23の各端部21a,22a,22b,23aにおいて形状不良が生じることがある(図5の(b)図参照)。特に、第2貫通開口の両端22a,22bや第3貫通開口の両端23aにこのような形状不良が生じると、当該端部近傍22a,22b,23aでの第1カンチレバー81や第2カンチレバー83に予期しない応力集中が生じてしまい、ワレ等の問題が生じるおそれがある。特に、第1カンチレバー81や第2カンチレバー83の薄板部分が変形してしまうと、その傾向が顕著となる。
一方、図5の(a)図に示すように、予め、第1〜第3貫通開口21〜23の各端部21a,22a,22b,23aが前述の位置に来るように第1〜第3貫通開口21〜23の形状を設定することで、前述の合わせずれが起こった場合にも、第1及び第2カンチレバー81,83の最終的な加工形状の不良を抑制できる。このことにより、第1及び第2カンチレバー81,83の応力集中によるワレ等の問題を回避できる。
<変形例>
図6は、本変形例に係る第2検出部92の配置の平面図を示す。なお、説明の便宜上、図6において、実施形態1と同様の箇所については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
本変形例に示す第2検出部92は、第1カンチレバー81の主面にX方向に所定の間隔をあけて2箇所設けられている点で、実施形態1に示す第2検出部92の配置と異なる。また、2つの第2検出部92a,92bにそれぞれ接続された配線93は1本にまとめられて、対応するパッド電極94に接続されている。また、2つの第2検出部92a,92bは、第1カンチレバー81のX方向中央部をY方向に通る対称線(図示せず)に関して線対称となるように配置されている。
第2検出部92をこのように構成してもよく、この場合も実施形態1と同様の効果を奏することができる。また、X方向に沿って複数の第2検出部92a,92bを設けることで、第1カンチレバー81のねじれ変形による傾動量の誤検出を確実に抑制することができる。
なお、図示しないが、第2カンチレバー83に設けられた第2検出部92も図6に示すのと同様に分割して配置される。このようにすることで、第2検出部92の形状対称性を維持して、第2アクチュエータ80の駆動量を正しく検出することができる。また、ミラー部30のX軸周りの傾動量を所望の値とすることができる。
また、3つ以上の第2検出部92が、X方向に沿って第1及び第2カンチレバー81,83の主面にそれぞれ設けられていてもよい。この場合も、第1カンチレバー81のX方向中央部をY方向に通る対称線(図示せず)に関して線対称となるように、また、第2カンチレバー83のX方向中央部をY方向に通る対称線(図示せず)に関して線対称となるように、それぞれ第2検出部92を配置することで、第1カンチレバー81や第2カンチレバー83のねじれ変形による傾動量の誤検出を確実に抑制することができる。
(実施形態2)
図7は、本実施形態に係る光学装置の平面図を示す。なお、説明の便宜上、図7において、実施形態1と同様の箇所については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。また、配線93及びパッド電極94の図示を省略する。
本実施形態に示す光学装置110は、第2アクチュエータ80が省略されている点で、実施形態1に示す光学装置100と異なる。
この場合、光学装置110は、ミラー部30をY軸の周りに傾動させることで、ミラー部30での反射光を1方向に走査する1軸ミラースキャナーとして機能する。
なお、一対の第3連結部43,43のそれぞれは、Y方向に直線状に延びて固定枠体10と第2可動枠体60のY方向下側辺部とを連結し、一対の第4連結部44,44のそれぞれは、Y方向に直線状に延びて固定枠体10と第2可動枠体60のY方向上側辺部とを連結している。また、実施形態1と同様に、第3及び第4連結部43,44は、それぞれ所定の弾性率を有する弾性体である。このことにより、第1アクチュエータ70が駆動された場合、第2可動枠体60は固定枠体10に対して変形可能かつ変位可能に連結される。
本実施形態によれば、実施形態1に示すのと同様に、第1アクチュエータ70の駆動力を高められ、低い電圧でミラー部30を傾動させることができる。
また、本実施形態に示す構成では、第1貫通開口21の幅が略一定である一方、ミラー部30の共振駆動に影響を受ける第2アクチュエータ80を省略しているため、第2可動枠体60や第4連結部44や固定枠体10に凸部は設けられていない。このようにすることで、光学装置110の各部材のパターン設計や加工が簡素化される。
また、第3連結部43及び第4連結部44はともに、第1アクチュエータ70が駆動されることで湾曲変形し、また、第1アクチュエータ70が非駆動状態になると、元の形状に復元する。言い換えると、第3連結部43及び第4連結部44はともに、所定の弾性率を有する弾性体である。なお、図1に示す第3連結部43及び第4連結部44も、所定の弾性率を有する弾性体である。
なお、第3及び第4連結部43,44の平面形状は図7に示す形状に限定されるものでなく、他の形状であってもよい。第1アクチュエータ70が駆動された場合、第2可動枠体60が固定枠体10に対して変形可能かつ変位可能に連結されるように、第3及び第4連結部43,44の平面形状がそれぞれ設定されていればよい。
(その他の実施形態)
上記の各実施形態及び変形例で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施形態とすることも可能である。また、第1アクチュエータ70は、Y軸を挟んでX方向に1箇所のみ設けられていてもよく、第1可動枠体50と第2可動枠体60とに跨がって形成されていればよい。この場合も、ミラー部30をY軸の周りに傾動させることができる。なお、図1に示すように、ミラー部30を挟んでX軸に沿って相対向する位置に一対の第1アクチュエータ70,70を設けることで、ミラー部30の傾動量をY軸周りに対称となるよう制御することが容易となり、また、ミラー部30の傾動量を大きくすることができる。また、光が入射されるミラー部30の中心OがZ方向に移動するのを抑制することが容易となる。このことにより、反射光の光路長を一定にできる。同様に、第2アクチュエータ80も、Y軸を挟んでX方向に1箇所のみ設けられていてもよい。この場合も、ミラー部30をX軸の周りに傾動させることができる。なお、図1に示すように、第2可動枠体60を挟んでX軸に沿って相対向する位置に一対の第2アクチュエータ80,80を設けることで、ミラー部30の傾動量をX軸周りに対称となるよう制御することが容易となり、また、ミラー部30の傾動量を大きくすることができる。また、光が入射されるミラー部30の中心OがZ方向に移動するのを抑制することが容易となる。このことにより、反射光の光路長を一定にできる。
また、実施形態1,2において、光路変更部がミラー部30である構成を例に取って説明したが、光路変更部が別の光学機能を有する部材であってもよい。例えば、入射光に対して1よりも大きい屈折率を有し、入射光を透過させる部材であってもよい。また、光路変更部に直接、発光ダイオード(LED)や面発光レーザ(VCSEL)等の光源を配置するようにしてもよい。この場合は、ミラーとしての金属膜31の形成は省略される
また、図1または図7に示す光学装置100、110を複数個用いて、プロジェクターやHUDやHMD等の画像表示装置を構成するようにしてもよい。例えば、RGB3色光源から出射された光を、それぞれ光学装置100または110で走査して、画像を生成するようにしてもよい。また、光学装置100または110をアレイ状に配置して、それぞれに光を入射させ、反射光を所定の領域上に走査することで、画像を生成するようにしてもよい。
また、第2検出部92をX方向左側に位置する第2アクチュエータ80に配置するようにしてもよい。一対の第2アクチュエータ80,80は、ミラー部30の中心Oに関して点対称となる位置にそれぞれ配置されていてもよい。
また、第1アクチュエータ70,70をミラー部30の中心Oに関して点対称に配置してもよい。その場合、当然に、一対の第1検出部91,91もミラー部30の中心Oに関して点対称に配置される。
また、実施形態1において、ミラー部30をX軸の周りに傾動させる第2アクチュエータ80として圧電式アクチュエータを用いる例を説明したが、特にこれに限定されず、他の駆動方式のアクチュエータを用いてもよい。例えば、励磁コイルを用いた電磁式アクチュエータを用いてもよいし、静電式アクチュエータを用いてもよい。
なお、図2において、第4連結部44に凸部を設けたが、第3連結部43に凸部を設けるようにしてもよいし、第3連結部43と第4連結部44の両方に凸部を設けてもよい。また、第2可動枠体60におけるY方向下側の辺部に凸部を設けるようにしてもよい。Y方向上側及び下側の両方の辺部に凸部を設けるようにしてもよい。これらは、光学装置100における各部材のレイアウトによって適宜選択されうる。ミラー部30と第1可動枠体50とを含む振動系の共振点と、第2可動枠体60と第2アクチュエータ80とを含む振動系の共振点とが所定以上に離れるようにできればよい。また、同じ目的を達成するために、別の形で第2可動枠体60や第3及び第4連結部43,44の形状等を変えるようにしてもよい。例えば、第2可動枠体60や第3及び第4連結部43,44の一部の厚さを変えたり、これらに別の重量物を接着等したりしてもよい。
なお、実施形態1,2において、第2カンチレバー83は、第1カンチレバー81よりも幅広に形成された例を示したが、特にこれに限定されず、第2カンチレバー83のX方向の幅が第1カンチレバー81のX方向の幅と同じか、これよりも幅狭に形成されていてもよい。光学装置100のサイズや第2アクチュエータ80に求められる駆動特性等によって適宜変更されうる。なお、第2カンチレバー83のX方向の幅と第1カンチレバー81のX方向の幅とが互いに異なるようにすることで、前述の第2共振点を変更しやすくなる。また、この場合も、第2カンチレバー83のX方向、Y方向、Z方向の各寸法は、式(1)に示す関係を当然に満足することは言うまでもない。
また、ミラー部30の固有共振周波数と第1可動枠体50の固有共振周波数とを周波数マッチングさせることでミラー部30は共振駆動する。一方、光学装置100のサイズによっては、第1可動枠体50のサイズを小さくする必要があるが、この場合、第1可動枠体50の固有共振周波数が所定以上に高くなり、前述の周波数マッチングがうまくいかない場合がある。このような場合は、第1連結部41の平面サイズを変えるか、一部の厚さを変えるかして、周波数マッチングを行ってもよい。同様に、ミラー部30の一部あるいは第1可動枠体50の一部の厚さを変えるかして、周波数マッチングを行ってもよい。