JP2020153512A - 駆動装置及び弁装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】減速機構の出力の取出しに係る部品の加工精度や組付精度の影響を受け難い構成であり、減速機構から出力される回転力の安定化や静粛性の向上を図ることのできる構造を有した駆動装置及び弁装置を提供する。【解決手段】減速機構43は、外側環状ギヤ62と、外側環状ギヤ62の内側に配置され、外側環状ギヤ62と噛み合った状態で電動モータ42の駆動による公転に伴って自転する内側転動ギヤ63とを備える。減速機構43の出力部は、内側転動ギヤ63の公転軸心である基準軸心L1周りに回転可能に支持され、内側転動ギヤ63と磁力により非接触状態で連結される出力側回転体65を備える。【選択図】図3
Description
本発明は、駆動源に電動モータを用いる電動式の駆動装置及び弁装置に関する。
車両の冷凍サイクル装置の弁装置等に用いられる電動式の駆動装置は、駆動源としての電動モータと、電動モータの回転力を減速する減速機構とを備え、減速機構の出力部又は出力部と駆動連結された出力軸によって弁装置の弁の駆動等が行われる。
減速機構の一つとして、サイクロイド減速機構がある。サイクロイド減速機構は、外側環状ギヤと、外側環状ギヤの内径よりも外径が小さく外側環状ギヤよりも歯数が少ない内側転動ギヤとを有する。内側転動ギヤは、外側環状ギヤの内側に配置され、外側環状ギヤと噛み合わされている。内側転動ギヤは、電動モータの駆動による公転に伴って自転する。内側転動ギヤの自転は、減速機構の出力部を通じて出力される(例えば特許文献1参照)。
ところで、減速機構の出力部は、内側転動ギヤと駆動連結するための出力側回転体が内側転動ギヤの公転軸心と同軸心上に回転可能に設けられており、公転かつ自転により偏心回転する内側転動ギヤの自転動作のみを減速機構の出力として取出すには、公転動作を許容しつつ自転動作の駆動力のみを受ける連結構造とする必要がある。
周知の連結構造の一つとして、内側転動ギヤ及び出力側回転体の一方側に設けたピンと他方側に設けた孔とを遊嵌合させる連結構造がある。この連結構造は、ピンは円柱状、孔は円形孔に形成され、内側転動ギヤの公転動作については、ピンが孔の内周部を相対的に摺接して出力側回転体への駆動力の伝達は行われず、自転動作については、ピンが孔の内周部を相対的に押圧して出力側回転体への駆動力の伝達が行われる仕組みである。このような連結構造を用いれば、内側転動ギヤの自転動作を抽出して減速機構の出力として取出すことが可能である。
しかしながら、上記連結構造は、ピンと孔の内周部との間で常に安定した接触状態を維持するのが好ましい構造であるため、ピン及び孔を含む部品等、個々の部品の加工精度や互いの組付精度の影響を大きく受け易い。これらの加工精度や組付精度が低いと、寸法誤差や組付誤差が大きくなり、内側転動ギヤと出力側回転体との間の駆動伝達が円滑でなくなる。その結果、減速機構から出力される回転力の変動が大きくなったり、ピンと孔の内周部との接触に伴う異音が生じたりする。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、減速機構の出力の取出しに係る部品の加工精度や組付精度の影響を受け難い構成であり、減速機構から出力される回転力の安定化や静粛性の向上を図ることのできる構造を有した駆動装置及び弁装置を提供することにある。
上記課題を解決する駆動装置は、電動モータ(42)と、出力部(44)を含み、前記電動モータの回転力を減速して前記出力部から出力する減速機構(43)とを備える駆動装置(32)であって、前記減速機構は、外側環状体(62)と、前記外側環状体の内側に配置され、前記外側環状体と接触した状態で前記電動モータの駆動による公転に伴って自転する内側転動体(63)とを含み、前記出力部は、前記内側転動体の公転軸心(L1)周りに回転可能に支持され、前記内側転動体と磁力により非接触状態で連結される出力側回転体(65)を含む。
上記課題を解決する弁装置は、電動モータ(42)と、出力部(44)を含み、前記電動モータの回転力を減速して前記出力部から出力する減速機構(43)とを備える駆動装置(32)と、流体循環サイクル装置(10)の流体循環回路(13)に設けられ、前記出力部から出力される回転力に基づいて駆動される弁(18)とを備える弁装置(30)であって、前記減速機構は、外側環状体(62)と、前記外側環状体の内側に配置され、前記外側環状体と接触した状態で前記電動モータの駆動による公転に伴って自転する内側転動体(63)とを含み、前記出力部は、前記内側転動体の公転軸心(L1)周りに回転可能に支持され、前記内側転動体と磁力により非接触状態で連結される出力側回転体(65)を含む。
上記各態様によれば、内側回転体の公転軸心周りに偏心回転する際の自転動作を受けて出力側回転体が連回りし、出力側回転体の回転力に基づいて例えば弁装置であれば弁の駆動が行われる。内側転動体と出力側回転体とは、互いが機械的連結でない非接触な磁気的連結であることから、偏心回転する内側転動体でありながらも内側転動体から出力側回転体への駆動伝達を円滑に行うことができる。またこの場合、内側転動体や出力側回転体の寸法誤差や組付誤差、これらに伴って生じ得る内側転動体の公転軸心と出力側回転体の回転軸心との間の軸心ずれ等を吸収することができる。その結果、減速機構から出力される回転力の安定化や静粛性の向上を図ることができる。
以下、駆動装置及び弁装置の一実施形態について説明する。
図1に示す本実施形態の冷凍サイクル装置10は、ヒートポンプサイクル装置であって、ハイブリッド車やEV車等の電動車両の空気調和機に用いられる。空気調和機は、エバポレータ11にて冷却した空気を車室内に送風する冷房モードと、ヒータコア12にて加温した空気を車室内に送風する暖房モードとが切替え可能に構成されている。すなわち、冷凍サイクル装置10の冷媒循環回路13は、冷房モードに対応した循環回路である冷房循環経路βと、暖房モードに対応した循環回路である暖房循環経路αとが切替え可能に構成されている。なお、冷凍サイクル装置10の冷媒循環回路13に流通させる冷媒としては、例えばHFC系冷媒やHFO系冷媒を用いることができる。また、冷媒には、コンプレッサ15の潤滑用のオイルが含まれることが好ましい。
図1に示す本実施形態の冷凍サイクル装置10は、ヒートポンプサイクル装置であって、ハイブリッド車やEV車等の電動車両の空気調和機に用いられる。空気調和機は、エバポレータ11にて冷却した空気を車室内に送風する冷房モードと、ヒータコア12にて加温した空気を車室内に送風する暖房モードとが切替え可能に構成されている。すなわち、冷凍サイクル装置10の冷媒循環回路13は、冷房モードに対応した循環回路である冷房循環経路βと、暖房モードに対応した循環回路である暖房循環経路αとが切替え可能に構成されている。なお、冷凍サイクル装置10の冷媒循環回路13に流通させる冷媒としては、例えばHFC系冷媒やHFO系冷媒を用いることができる。また、冷媒には、コンプレッサ15の潤滑用のオイルが含まれることが好ましい。
冷凍サイクル装置10は、冷媒循環回路13において、上記エバポレータ11の他、コンプレッサ15と、水冷コンデンサ16と、熱交換器17と、膨張弁18(後述の膨張弁装置30に含む)とを備える。
コンプレッサ15は、気相冷媒を吸引して圧縮し、この圧縮にて高温高圧とした気相冷媒を水冷コンデンサ16側に吐出する電動式の圧縮機である。コンプレッサ15から吐出された高温高圧の気相冷媒は、水冷コンデンサ16に流入する。コンプレッサ15の圧縮機構としては、スクロール型圧縮機構やベーン型圧縮機構等の各種の圧縮機構を用いることができる。また、コンプレッサ15は、冷媒吐出能力が制御されるようになっている。
水冷コンデンサ16は、冷媒循環回路13に設けられた第1熱交換部16aと、この冷媒系とは別の冷却水系の冷却水循環回路14上に設けられた第2熱交換部16bとを一体的に備え、第1熱交換部16aと第2熱交換部16bとの間で熱交換を行う熱交換器である。なお、冷却水循環回路14上には、上記ヒータコア12が設けられている。水冷コンデンサ16は、第1熱交換部16a内を流れる気相冷媒と第2熱交換部16b内を流れる冷却水との間で熱交換させる。すなわち、水冷コンデンサ16では、第1熱交換部16a内の気相冷媒の熱によって第2熱交換部16b内の冷却水が加熱される一方、第1熱交換部16a内の気相冷媒が冷却されるようになっている。水冷コンデンサ16の第1熱交換部16aを通過した気相冷媒は、熱交換器17に流入する。
熱交換器17は、車両前方側に配置されて、熱交換器17の内部を流通する冷媒と外気との間で熱交換を行う。熱交換器17は、第1熱交換部21と、過冷却器として機能する第2熱交換部22とを一体的に備える。第1及び第2熱交換部21,22には、貯液器23が連結されている。貯液器23には、統合弁装置24が組付けられている。第1熱交換部21の流入路21a及び流出路21bは、統合弁装置24と連通されている。また、第2熱交換部22の流入路22aは、貯液器23及び統合弁装置24と連通されている。
第1熱交換部21は、内部に流通する冷媒の温度に応じて選択的に凝縮器及び蒸発器として機能する。貯液器23は、気相冷媒と液相冷媒とを分離し、この分離した液相冷媒を貯留する。第2熱交換部22は、貯液器23から流入した液相冷媒と外気との間の熱交換を行うことで液相冷媒を更に冷却して冷媒の過冷却度を高め、熱交換後の冷媒を膨張弁18側に供給可能とする。
統合弁装置24は、貯液器23内に配置される弁本体部25と、弁本体部25を駆動させるための駆動源である電動モータ26とを備える電動式の弁装置である。電動モータ26の一例は、ステッピングモータである。統合弁装置24は、暖房モード時において、水冷コンデンサ16の第1熱交換部16aと第1熱交換部21の流入路21aとを連通させるとともに、第1熱交換部21の流出路21bを直接的にコンプレッサ15と連通させる。したがって、暖房モード時には、暖房循環経路αを通じた冷媒の循環が行われるようになる。また、統合弁装置24は、冷房モード時において、水冷コンデンサ16の第1熱交換部16aと第1熱交換部21の流入路21aとを連通させるとともに、流出路21bを第2熱交換部22の流入路22aと連通させ、第2熱交換部22を膨張弁18及びエバポレータ11を介してコンプレッサ15と連通させる。したがって、冷房モード時には、冷房循環経路βを通じた冷媒の循環が行われるようになる。停止時における統合弁装置24は、いずれの流路も閉弁状態とする。すなわち、統合弁装置24は、電動モータ26の駆動により弁本体部25を動作させて、停止、暖房モード及び冷房モードの各状態に合った動作の切替えを行っている。
膨張弁18は、熱交換器17から供給された液相冷媒を減圧膨張させる弁であり、弁本体部である膨張弁18を含む電動式の弁装置(以下、「膨張弁装置30」という)として一体的に構成されている。膨張弁装置30は、膨張弁18を駆動させるための駆動源である電動モータ42を備える(図2及び図3参照)。膨張弁18は、低温高圧状態の液相冷媒を減圧してエバポレータ11に供給する。
エバポレータ11は、冷房モード時において送風空気を冷却する蒸発器として機能する熱交換器である。膨張弁18からエバポレータ11に供給された液相冷媒は、エバポレータ11周辺の空気と熱交換を行う。この熱交換によってエバポレータ11内の液相冷媒が気化し、エバポレータ11の周辺空気が冷却される。その後、エバポレータ11内で気化した気相冷媒は、コンプレッサ15にて吸引されて再び圧縮される。
次に、本実施形態の膨張弁装置30について説明する。
図2(a)及び図2(b)に示すように、膨張弁装置30は、基台ブロック31内に構成される膨張弁18と、基台ブロック31に対して固定されて膨張弁18を駆動する駆動装置32とを備える。
図2(a)及び図2(b)に示すように、膨張弁装置30は、基台ブロック31内に構成される膨張弁18と、基台ブロック31に対して固定されて膨張弁18を駆動する駆動装置32とを備える。
膨張弁装置30の基台ブロック31は、第2熱交換部22側からエバポレータ11側に冷媒を流入させる流入路31aと、エバポレータ11側からコンプレッサ15に冷媒を流出させる流出路31bとを備えている。流入路31a及び流出路31bは、大凡互いに平行に延びる断面円形の通路形状をなしている。基台ブロック31の形状の一例は、直方体である。駆動装置32が固定される一面を上面31xとした場合、流入路31a及び流出路31bは、一方側の側面31y1からその反対側の側面31y2に向けて貫通して形成されている(流入路31a側のみ図2(b)にて図示)。なお、以下の説明では、基台ブロック31側が膨張弁装置30の下側、駆動装置32側が膨張弁装置30の上側とする。
基台ブロック31には、流入路31aの延びる方向と直交する上下方向に延びる縦通路31cが流入路31aの途中に設けられている。基台ブロック31には、縦通路31cの上側と連通する、弁体33を収容する弁収容空間として機能する弁収容穴31dが設けられている。弁収容穴31dの断面形状は、円形である。弁収容穴31d内には、弁体33が収容されている。弁体33は、下方に向けられた先端部33aが尖った針状のニードル弁である。膨張弁18は、弁体33が上下方向に沿って進退することで、先端部33aが縦通路31cの開口部31c1を開閉し、流入路31a側の冷媒の流通を許容又は遮断し、更にはその流量を調整する。
弁体33は、上記先端部33aの他、中間部に雄ネジ部33bと、基端部に磁気継手44を構成する出力側回転体65と連結するための連結部33cとを備える。雄ネジ部33bは、弁収容穴31dの内周面に形成された雌ネジ部31eと螺合し、弁体33自身の回転を弁体33の軸方向、すなわち上下方向への直動動作に変換する。連結部33cは、出力側回転体65からの回転動作を弁体33に伝達し、弁体33の直動動作が可能となるように出力側回転体65と連結する。なお、出力側回転体65は、弁収容穴31dの上端と連通する回転体収容凹部31fに収容されている。
基台ブロック31の上面31xには、出力側回転体65を収容した状態での回転体収容凹部31fの開口部31gを閉塞するための閉塞板34が固定されている。閉塞板34は、非磁性金属製(例えばSUS製)で平板形状をなしている。閉塞板34と基台ブロック31の上面31xとの間には、開口部31gの周囲を囲む態様の環状溝31hに装着される環状のシール部材35が介在されている。つまり、閉塞板34とシール部材35とによって基台ブロック31の開口部31gは液密に閉塞され、基台ブロック31から駆動装置32側等の外部に冷媒が漏出しないように封止されている。
駆動装置32は、一部が閉塞板34を介在する態様にて基台ブロック31の上面31xに図示略の取付ネジにて固定されている。なお、厳密には、駆動装置32を構成する磁気継手44の出力側回転体65は、閉塞板34から弁体33側の取付けとなる。駆動装置32は、上面に開口部40aを有するハウジング40と、ハウジング40の開口部40aを閉塞するカバー41とを備える。ハウジング40の内部には、電動モータ42と、減速機構43と、減速機構43の出力部として機能する磁気継手44と、制御回路基板45と、温度圧力検出体46とが収容されている。
図2(a)、図2(b)及び図3に示すように、駆動装置32内の電動モータ42、減速機構43及び磁気継手44は、膨張弁18の弁体33よりも上方において上下方向に並ぶようにして配置され、これらの内で最も上側に電動モータ42が配置されている。なお、図2は、電動モータ42、減速機構43及び磁気継手44の構成を概略的に示しているのに対し、図3は、それらの詳細な構成を示している。そのため、図2において誇張又は簡略化している部分があるため、同部材であっても図3と形状等で相違する場合がある。
図3に示すように、本実施形態の電動モータ42は、ステッピングモータにて構成されている。電動モータ42は、下底が開口する有底円筒状のモータケース50の内周面に対し、上下方向でもある軸方向に積層する態様をなして固定される二相駆動用のステータ51a,51bを備える。ステータ51a,51bは、ともに円環状をなして内周部に爪状磁極(クローポール)51xを有し、更に内側にロータ52が回転可能に収容されている。
ロータ52は、回転軸53と、回転軸53に固定されるロータ本体部54と、ロータ本体部54の外周面に固定される界磁用磁石55とを備え、これらは一体的に回転するように構成されている。回転軸53の上端部はモータケース50の底部中央に設けた軸受56にて軸支されるとともに、回転軸53の下端部は上記閉塞板34に設けた軸受57にて軸支され、回転軸53は膨張弁18の弁体33と同軸心上に位置している。つまり、回転軸53の中心軸心と弁体33の中心軸心とが基準軸心L1上となる配置としている(図2参照)。なお、回転軸53の下端部を軸支する軸受57部分における閉塞板34には開口が形成されず、閉塞板34による液密な仕切り構造は維持されている。
また、ロータ52のロータ本体部54は、細長な円柱形状をなしてモータケース50よりも軸方向に若干長く、モータケース50の下端の開口部50aよりも下方に突出している。界磁用磁石55は、軸方向に積層されるステータ51a,51bと軸方向における長さが同じであり、ステータ51a,51bの爪状磁極51xと径方向に間隔を有して対向する。そして、ステータ51a,51bのコイル51yに通電がなされると爪状磁極51xにおいて周方向に回転磁界が生じ、界磁用磁石55との間の吸引力や反発力を受けてロータ52が回転するようになっている。
モータケース50は、下端の開口部50aに支持部材58の環状凸部58aが内嵌した状態で支持部材58により支持されている。支持部材58は、環状凸部58aの下端部から径方向外側にフランジ状に延びるベース部58bを有している。ベース部58bは、固定ブロック59の上面に載置されている。ベース部58bは、同ベース部58bの上面側から固定ブロック59及び閉塞板34を介して基台ブロック31に挿通された取付ネジ60によって基台ブロック31に締付け固定されている。これにより、基台ブロック31に対する電動モータ42の固定が行われ、電動モータ42の固定とともに閉塞板34の固定も行われる。
ロータ52は、ロータ本体部54の下端部に偏心軸部61を一体的に備えている。偏心軸部61は、基準軸心L1から径方向にオフセットした偏心軸心L2を中心軸心とし、偏心軸心L2を中心とした円柱状に構成されている。偏心軸部61の中心軸心である偏心軸心L2の基準軸心L1からの偏心量D1は、減速機構43の外側環状ギヤ62の内歯62a(又は内側転動ギヤ63の外歯63a)の高さD2の略1/2に相当する。偏心軸部61は、電動モータ42(ロータ52)にて生じる回転駆動力を減速機構43に入力する。
図3、図4(a)及び図4(b)に示すように、本実施形態の減速機構43は、サイクロイド減速機にて構成されている。減速機構43は、不動とされた固定ブロック59に一体的に形成される円環状の外側環状ギヤ62と、外側環状ギヤ62の内径よりも外径が小さく歯数が少ない円板状の内側転動ギヤ63とを備え、外側環状ギヤ62の内側で内側転動ギヤ63が噛み合って公転かつ自転することで減速されるギヤ構成となっている。本実施形態の減速機構43は、外側環状ギヤ62の内周部に設けた内歯62aの数が「33」、内側転動ギヤ63の外周部に設けた外歯63aの数が外側環状ギヤ62の歯数よりも1つ少ない「32」に設定され、減速比は「32:1」に設定されている。内側転動ギヤ63の32回転の公転が1回転の自転に減速変換される。
減速機構43の外側環状ギヤ62及び内側転動ギヤ63と、回転軸53、偏心軸部61及び弁体33との配置関係において、外側環状ギヤ62については、自身の中心軸心が回転軸53及び弁体33の中心軸心と同様に基準軸心L1上となる配置としている。一方、内側転動ギヤ63は、中心部に設けた連結筒部63bがボール軸受64を介して偏心軸部61に固定され、偏心軸部61に対して相対回転可能に連結している(図3参照)。内側転動ギヤ63については、自身の中心軸心が偏心軸部61の中心軸心と同様に偏心軸心L2上となる配置、すなわち基準軸心L1とは偏心した位置での配置となっている。また、連結筒部63bの内側には、偏心軸部61から下方に突出する回転軸53の下端部が挿通している。
このような減速機構43は、電動モータ42による偏心軸部61の回転駆動の入力に基づいて内側転動ギヤ63が基準軸心L1周りに公転すると、偏心軸部61に対してボール軸受64にて支持される内側転動ギヤ63が偏心軸心L2周りに自転し、この内側転動ギヤ63の自転が自身の公転よりも十分に減速されたものとなる。そして、内側転動ギヤ63の自転、すなわち減速機構43の減速出力は、減速機構43の出力部を構成する磁気継手44を介して取り出される。
磁気継手44は、駆動側回転体として機能する内側転動ギヤ63と、従動側回転体として機能する出力側回転体65とを備える。本実施形態では、減速機構43の内側転動ギヤ63が磁気継手44の駆動側回転体としても機能し、部品として一体的に構成されている。内側転動ギヤ63と出力側回転体65とは、互いに離間して非接触状態で磁気的に連結し、内側転動ギヤ63の回転に伴って出力側回転体65が連回りする。
内側転動ギヤ63は、下面において、一定の所定幅Wをする円環状の永久磁石よりなる連結用磁石66が取り付けられている。連結用磁石66は、自身の中心軸心が内側転動ギヤ63の中心軸心と同様に偏心軸心L2上となる配置としている。すなわち、連結用磁石66についても内側転動ギヤ63と同様、基準軸心L1とは偏心した位置での配置となっている。連結用磁石66は、内側転動ギヤ63の下面の取付溝63c内に収容されて、連結用磁石66の下面と内側転動ギヤ63の下面とが面一をなしている。連結用磁石66は、周方向等角度間隔で10極の磁極部66aを有している。
出力側回転体65は、円板状をなす回転体本体65aと、回転体本体65aの下面中央部にて下方に突出する連結筒部65bとを備え、連結筒部65bが弁収容穴31dに固定されるボール軸受67を介して軸支されている。出力側回転体65(回転体本体65a)は、自身の中心軸心が回転軸53及び弁体33の中心軸心と同様に基準軸心L1上となる配置としている。連結筒部65bは、内側に弁体33の連結部33cが挿入され、一体回転可能かつ軸方向に相対移動可能に連結している。つまり、出力側回転体65は、自身の回転動作を弁体33に伝達するとともに、回転動作に伴う弁体33の直動動作を許容する連結構造となっている。
出力側回転体65は、上面において、内側転動ギヤ63側に設けられる連結用磁石66と同じ所定幅Wで一定の円環状をなす永久磁石よりなる連結用磁石68が取り付けられている。この連結用磁石68は、周方向等角度間隔で10極の磁極部68aを有し、連結用磁石66と同一部品にて対応可能である。連結用磁石68は、自身の中心軸心が出力側回転体65の中心軸心と同様に基準軸心L1上となる配置としている。連結用磁石68は、回転体本体65aの上面の取付溝65c内に収容されて、連結用磁石68の上面と回転体本体65aの上面とが面一をなしている。
内側転動ギヤ63と出力側回転体65とは、軸方向において閉塞板34を挟んで対向している。すなわち、連結用磁石66を有する内側転動ギヤ63の下面は、閉塞板34と対向し、閉塞板34を介して出力側回転体65(回転体本体65a)の上面と間接的に対向する。連結用磁石68を有する出力側回転体65(回転体本体65a)の上面は、閉塞板34と対向し、閉塞板34を介して内側転動ギヤ63の下面と間接的に対向する。そして、この閉塞板34は非磁性金属製であることから、連結用磁石66,68間の異極同士の吸引力にて内側転動ギヤ63と出力側回転体65とが閉塞板34を介在して磁気的に連結し、内側転動ギヤ63の自転が出力側回転体65側に伝達するようになっている。
本実施形態の磁気継手44の駆動伝達においては、基準軸心L1を回転中心として回転する出力側回転体65に対し、内側転動ギヤ63が偏心軸心L2を自転中心かつ基準軸心L1を公転中心として偏心回転するものとなっている。つまり、内側転動ギヤ63の公転軸心は、基準軸心L1である。個々の連結用磁石66,68についても連結用磁石68に対して連結用磁石66が偏心回転することになるが、相互間は機械的連結でない非接触な磁気的連結であることから、内側転動ギヤ63から出力側回転体65への駆動伝達は円滑に行われるものとなっている。
なお、内側転動ギヤ63等が収容される側である減速機構43及び電動モータ42の内側空間69と、出力側回転体65等が収容される側である基台ブロック31内の回転体収容凹部31fを含む空間とは、閉塞板34にて液密に仕切られている。つまり、出力側回転体65が配置される空間は冷媒が存在する一方で、内側転動ギヤ63やその他、減速機構43及び電動モータ42、ひいては制御回路基板45及び温度圧力検出体46についても、冷媒が存在する空間とは液密に仕切られた空間内に数多くの構成部品を配置することが可能である。しかもこの場合、平板状の内側転動ギヤ63と、同じく平板状の出力側回転体65(回転体本体65a)とが軸方向に対向することで、平板状の閉塞板34を用いた簡易な仕切り構造が可能である。
図2(a)及び図2(b)に示すように、電動モータ42の上側のハウジング40の開口部40a付近には、制御回路基板45が配置されている。制御回路基板45は、電動モータ42から延びる接続端子42xと接続され、接続端子42xを介して電動モータ42に電源供給を行う。電動モータ42は、制御回路基板45からの電源供給に基づいて回転駆動が制御される。制御回路基板45は、自身の板面方向が電動モータ42の軸方向と直交する方向に沿うように配置され、また電動モータ42と温度圧力検出体46とに跨るようにして配置されている。
制御回路基板45には、電動モータ42が接続される側とは反対側にて、温度圧力検出体46が接続されている。温度圧力検出体46は、一方向に長い部品形状をなし、自身の長手方向が上下方向に沿うように配置、すなわち電動モータ42の軸方向と平行となるように配置されている。温度圧力検出体46は、下端部においてセンサIC46aの検出面が少なくとも露出するように、また上端部からは接続端子46xが外部に突出するように設けられており、それ以外の部分が樹脂モールドされてなる。なお、温度圧力検出体46は、モールド部分の内部に、センサIC46aからの信号を処理する処理IC等を備えていてもよい。
温度圧力検出体46は、ハウジング40の底面部から下方に突出する支持筒部40cの内側に挿通されて保持されている。ここで、電動モータ42は基台ブロック31の流入路31aの上側、すなわち膨張弁18上側に配置されているのに対し、温度圧力検出体46は基台ブロック31の流出路31b上に配置されている。支持筒部40cは、基台ブロック31の流出路31bと連通するセンサ取付穴31iに嵌挿されており、支持筒部40cの下端部からは、温度圧力検出体46の下端部が突出している。つまり、支持筒部40cのセンサ取付穴31iへの取付状態において、温度圧力検出体46の下端部のセンサIC46aが基台ブロック31の流出路31b内に位置するようになっている。
なお、支持筒部40cの下端部の内側面と温度圧力検出体46の外側面との間にシール部材47が設けられている。シール部材47は、基台ブロック31の流出路31b内の空間と、支持筒部40c内を通じたハウジング40内の空間とを液密に仕切り、流出路31b内を流れる冷媒のハウジング40内への浸入を防止する。また、支持筒部40cの外側面には、自身の周囲を囲むように環状をなすシール部材48が装着されており、センサ取付穴31iの内側面との間にそのシール部材48が介在するようになっている。シール部材48は、流出路31b内を流れる冷媒の基台ブロック31から外部への漏出を防止する。
温度圧力検出体46は、上端部の接続端子46xが制御回路基板45と接続されている。そして、温度圧力検出体46は、エバポレータ11側から流出路31b内を流れる冷媒の温度及び圧力をセンサIC46aが検出し、センサIC46aからの各検出信号を接続端子46xを介して制御回路基板45に出力する。
ハウジング40の開口部40a付近の側面部には、図示略の車両側ECU(Electronic Control Unit)との電気的な接続を図るためのコネクタ部49が一体的に設けられている。コネクタ部49は、接続端子49xを有しており、接続端子49xの基端部が制御回路基板45と接続されている。制御回路基板45は、コネクタ部49を通じて車両側ECU側と連携し、温度圧力検出体46を介して得られる冷媒の温度及び圧力に基づいて電動モータ42の回転駆動を制御する。つまり、制御回路基板45は、電動モータ42の駆動制御にて膨張弁18の弁体33の進退位置を調整し、エバポレータ11への冷媒の供給量の調整、すなわち冷房モードにおける空調制御を行うようになっている。
本実施形態の作用について説明する。
制御回路基板45の制御に基づき、電動モータ42のロータ52が回転駆動されると、偏心軸部61が偏心回転し、減速機構43の内側転動ギヤ63が外側環状ギヤ62との噛み合いにて公転しながら自転する。内側転動ギヤ63の自転動作としては、公転動作に対して大きく減速変換され、減速機構43の出力部である磁気継手44からその自転動作が減速出力として取り出される。磁気継手44は、内側転動ギヤ63と出力側回転体65とが連結用磁石66,68にて互いに磁気連結する構成である。
制御回路基板45の制御に基づき、電動モータ42のロータ52が回転駆動されると、偏心軸部61が偏心回転し、減速機構43の内側転動ギヤ63が外側環状ギヤ62との噛み合いにて公転しながら自転する。内側転動ギヤ63の自転動作としては、公転動作に対して大きく減速変換され、減速機構43の出力部である磁気継手44からその自転動作が減速出力として取り出される。磁気継手44は、内側転動ギヤ63と出力側回転体65とが連結用磁石66,68にて互いに磁気連結する構成である。
本実施形態の磁気継手44の駆動伝達においては、基準軸心L1を回転中心として回転、換言すれば径方向への移動が規制されて偏心回転が規制された出力側回転体65に対し、内側転動ギヤ63がその基準軸心L1を公転軸心、偏心軸心L2を自転軸心として偏心回転する。個々の連結用磁石66,68についても連結用磁石68に対して連結用磁石66が偏心回転することになるが、相互間は機械的連結でない非接触な磁気的連結であることから、内側転動ギヤ63から出力側回転体65への自転動作の駆動伝達は円滑に行われる。またこの場合、磁気継手44やその周囲の構成部品の寸法誤差や組付誤差等、これらに伴って生じ得る内側転動ギヤ63の公転軸心や出力側回転体65の回転軸心の基準軸心L1からの軸心ずれをも吸収でき、回転方向全体に亘って円滑な駆動伝達となる。なお、本実施形態では、偏心回転より連結用磁石66と連結用磁石68との間の吸引力に僅かな径方向成分が生じるが、内側転動ギヤ63の外歯63aと外側環状ギヤ62の内歯62aとの噛合部分の荷重が掛かる方向(周方向)と直交する方向であるため、駆動伝達への影響は非常に小さいものとなっている。
したがって、減速機構43から出力される回転力、この場合図5に示す出力トルクは、時間経過(磁気継手44の回転位置)に係わらず略一定で安定したものとなる。非接触の磁気的な連結構造を用いていることで、内側転動ギヤ63や出力側回転体65を含めた各種構成部品等の加工精度や組付精度がさほど高くなく寸法誤差や組付誤差が生じても磁気的連結部分にて吸収でき、トルク変動は十分に小さく抑えられる。
これに対し、比較例として、内側転動ギヤと出力側回転体との間の連結構造をピン及び孔の遊嵌合を用いる態様(例えば特許文献1等)では、時間経過(連結部の回転位置)とともに、減速機構の出力トルクに変動が現れ易い。これは、内側転動ギヤや出力側回転体、その他周囲部品の寸法誤差や組付誤差に影響を受け易いためで、ピンと孔の内周部との接触状態が回転位置によって変化、すなわち回転位置によって互いに強く接触したり弱く接触したり、場合によっては非接触となったりするためである。そのため、図5の比較例で示すように、例えば出力トルクに周期的な大きな変動が現れる。なお、図5では省略したが、比較例の連結構造ではピンと孔の内周部との間で常に摺接するため、出力トルクに細かなトルク変動も生じ易い。
以上から、本実施形態では、減速機構43から出力される回転力を磁気継手44を通じて安定して取出すことが可能となるため、膨張弁18の弁体33による流路の開閉動作をより適切な動作とすることが可能となる。その結果、冷凍サイクル装置10をより適切な動作とでき、車両の空調制御を一層好適に行うことが可能となる。
本実施形態の効果について説明する。
(1)本実施形態で用いる減速機構43は、外側環状ギヤ62の内側で内側転動ギヤ63が基準軸心L1周りで公転かつ自転により偏心回転する構成をなし、内側転動ギヤ63と磁力にて連結される磁気継手44の出力側回転体65は、基準軸心L1周りに軸支されつつも、内側転動ギヤ63の偏心回転の自転動作を受けて連回りする。内側転動ギヤ63と出力側回転体65とは、互いが機械的連結でない非接触な磁気的連結であることから、偏心回転する内側転動ギヤ63でありながらも内側転動ギヤ63から出力側回転体65への駆動伝達を円滑に行うことができる。またこの場合、内側転動ギヤ63や出力側回転体65の寸法誤差や組付誤差等、これらに伴って生じ得る内側転動ギヤ63の公転軸心と出力側回転体65の回転軸心との間の軸心ずれ等を吸収することができる。その結果、減速機構43から出力される回転力の安定化や静粛性の向上を図ることができる。またこれにより、膨張弁18の弁体33による流路の開閉動作をより適切な動作、すなわち冷凍サイクル装置10をより適切な動作とでき、車両の空調制御を一層好適に行うことができる。
(1)本実施形態で用いる減速機構43は、外側環状ギヤ62の内側で内側転動ギヤ63が基準軸心L1周りで公転かつ自転により偏心回転する構成をなし、内側転動ギヤ63と磁力にて連結される磁気継手44の出力側回転体65は、基準軸心L1周りに軸支されつつも、内側転動ギヤ63の偏心回転の自転動作を受けて連回りする。内側転動ギヤ63と出力側回転体65とは、互いが機械的連結でない非接触な磁気的連結であることから、偏心回転する内側転動ギヤ63でありながらも内側転動ギヤ63から出力側回転体65への駆動伝達を円滑に行うことができる。またこの場合、内側転動ギヤ63や出力側回転体65の寸法誤差や組付誤差等、これらに伴って生じ得る内側転動ギヤ63の公転軸心と出力側回転体65の回転軸心との間の軸心ずれ等を吸収することができる。その結果、減速機構43から出力される回転力の安定化や静粛性の向上を図ることができる。またこれにより、膨張弁18の弁体33による流路の開閉動作をより適切な動作、すなわち冷凍サイクル装置10をより適切な動作とでき、車両の空調制御を一層好適に行うことができる。
(2)回転体収容凹部31fの開口部31gが閉塞板34にて閉塞され、内側転動ギヤ63と出力側回転体65とが閉塞板34を挟んで磁気的連結を図りつつも、相互間が閉塞板34にて液密に仕切られる。つまり、磁気継手44と閉塞板34とにより、冷媒に晒される回転体収容凹部31fを含む空間と、減速機構43及び電動モータ42の内側空間69(図3参照)とが連通しないように完全に仕切ることが可能なため、電動モータ42内の電気系の保護はもとより、減速機構43の保護(冷媒による腐食からの保護)を図ることができる。また、その内側空間69とハウジング40内の収容空間40bとも連通する場合、制御回路基板45及び温度圧力検出体46等の電気系の保護も図ることができる。
また、電動モータ42から弁体33まで全て機械的連結にて構成した場合、駆動経路上の所定の可動部材周りに冷媒の電動モータ42側への浸入を封止するための封止部材が必要であるが、可動部材には封止部材に対する摺接ロスが生じる。このことは、電動モータ42の駆動力増加や減速機構43の減速比増加等に繋がるため、駆動装置32や弁装置30の大型化やコスト増等の懸念となる。これに対し、本実施形態では、内側転動ギヤ63と出力側回転体65とを閉塞板34を挟んで磁気的連結とし、閉塞板34にて液密に仕切る構造としたため、封止に係る摺接ロスは生じず、駆動装置32や弁装置30の小型化やコスト抑制が期待できる。
(3)磁気継手44における内側転動ギヤ63と出力側回転体65とは、基準軸心L1の軸方向と直交する方向に延びる板状の形状を有して軸方向に対向させる構成であるため、連結構造を簡単な構造にて構成することができる。
(4)磁気継手44の構造から、内側転動ギヤ63と出力側回転体65との間に介在する閉塞板34に平板形状のものが使用可能なため、閉塞板34を簡易に作製することができる。
(5)減速機構43の内側転動ギヤ63は、磁気継手44の駆動側回転体を兼用して一体的に構成されるため、磁気継手44を含む減速機構43、ひいては弁装置30の部品点数の低減を図ることができる。
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・減速機構43について、外側環状ギヤ62及び内側転動ギヤ63の歯数「33」「32」、減速機構43の減速比「32:1」は一例であり、歯数や減速比を適宜変更してもよい。
・減速機構43について、外側環状ギヤ62及び内側転動ギヤ63の歯数「33」「32」、減速機構43の減速比「32:1」は一例であり、歯数や減速比を適宜変更してもよい。
・減速機構43について、外側環状ギヤ62及び内側転動ギヤ63の内歯62a及び外歯63aを無くし、内周部を有する外側環状体(内歯62aを有する外側環状ギヤ62に相当)と、外側環状体の内径よりも外径が小さく内周部と接触する外周部を有する内側転動体(外歯63aを有する内側転動ギヤ63に相当)とを用いる。そして、外側環状体の内側で内側転動体が接触(摩擦連結)して公転かつ自転することで減速するギヤ構成としてもよい。
・磁気継手44について、連結用磁石66,68の磁極部66a,68aの磁極数を同じ10極としたが、磁極数は一例であり、磁極数を適宜変更してもよい。また、互いに同一磁極数としたが、異なる磁極数としてもよい。この場合、磁気継手としても機能する磁気減速機構を用いてもよい。
・磁気継手44について、内側転動ギヤ63と出力側回転体65とに用いる連結用磁石66,68の着磁態様について特に言及しなかったが、連結用磁石66,68をその表裏に磁極が現れる通常着磁とするか、また表面のみに磁極が現れる極異方性着磁としてもよい。
・磁気継手44について、連結用磁石66,68をともに同じ幅Wに設定したが、一方側の幅を変更してもよい。
例えば図6(a)及び図6(b)に示すように、内側転動ギヤ63側の連結用磁石66を出力側回転体65側の連結用磁石68の幅Wより幅広の幅W1とし、偏心回転する内側転動ギヤ63であっても、連結用磁石68の全体が幅広の連結用磁石66に常に軸方向に対向する構成としてもよい。このようにすれば、偏心回転する内側転動ギヤ63と出力側回転体65との間で連結用磁石66,68の吸引力の主たる軸方向成分の他、僅かに径方向成分も生じるが、連結用磁石66,68が常に軸方向に対向することで、径方向成分を軸方向成分よりも相対的に小さく抑えることができ、出力側回転体65の回転をより安定化させることが期待できる。
例えば図6(a)及び図6(b)に示すように、内側転動ギヤ63側の連結用磁石66を出力側回転体65側の連結用磁石68の幅Wより幅広の幅W1とし、偏心回転する内側転動ギヤ63であっても、連結用磁石68の全体が幅広の連結用磁石66に常に軸方向に対向する構成としてもよい。このようにすれば、偏心回転する内側転動ギヤ63と出力側回転体65との間で連結用磁石66,68の吸引力の主たる軸方向成分の他、僅かに径方向成分も生じるが、連結用磁石66,68が常に軸方向に対向することで、径方向成分を軸方向成分よりも相対的に小さく抑えることができ、出力側回転体65の回転をより安定化させることが期待できる。
また図7(a)及び図7(b)に示すように、図6の構成とは逆に、出力側回転体65側の連結用磁石68を内側転動ギヤ63側の連結用磁石66の幅Wより幅広の幅W1とし、偏心回転する内側転動ギヤ63であっても、連結用磁石66が幅広の連結用磁石68に常に軸方向に対向するようにする。このようにしても、上記同様、出力側回転体65の回転をより安定化させることが期待できる。
また、幅Wの円環状の連結用磁石66,68を用いたが、円板状の磁石を用いてもよい。なお、本実施形態のように回転軸53の下端が内側転動ギヤ63を挿通する態様ではそのまま適用できないため、回転軸53が挿通する構成を変更する必要がある。
・磁気継手44について、例えば図8に示すように、内側転動ギヤ63の中央部と出力側回転体65の中央部に、同極同士が対向して互いに反発力を生じさせる反発用磁石70をそれぞれ追加してもよい。なおこの場合も、内側転動ギヤ63の中央部に回転軸53が挿通する構成を変更する必要がある。このように反発用磁石70を用いることで、連結用磁石66,68の吸引力の一部を相殺でき、例えば寸法上の制約で連結用磁石66,68を形状が決められている場合等、吸引力に係る磁力を調整することができる。また、吸引力の径方向成分が反発力の径方向成分で相殺でき、出力側回転体65の回転をより安定化させることも期待できる。
・磁気継手44について、連結用磁石66,68を内側転動ギヤ63と出力側回転体65とのそれぞれの取付溝63c,65c内に収容したが、例えば取付溝63c,65cをなくし、平板上に載置して固定する態様としてもよい。また、連結用磁石66,68をそれぞれ内側転動ギヤ63及び出力側回転体65に組付ける構成としたが、内側転動ギヤ63や出力側回転体65を磁性材料にて作製し、直接着磁を行って構成してもよい。
・磁気継手44について、内側転動ギヤ63を磁気継手44の駆動側回転体としても機能させたが、内側転動ギヤはギヤ構成のみ、駆動側回転体は従動側回転体として機能する出力側回転体65との磁気連結を図る構成のみとし、互いを一体的に連結するようにしてもよい。
・磁気継手44について、内側転動ギヤ63と出力側回転体65との両方に連結用磁石66,68を用いたが、いずれか一方側のみに連結用磁石を用いる構成としてもよい。一方側の回転体に連結用磁石を用いる一方で、他方側の回転体を単に磁性金属製とし、連結用磁石の吸引力による磁気連結にて互いが連回り可能な構成としてもよい。
・磁気継手44について、内側転動ギヤ63と出力側回転体65とを軸方向に対向させて磁気連結させたが、一方側を円筒形状、他方側をその内側に収容配置する等して、径方向に対向させて磁気連結する構成としてもよい。
・電動モータ42について、ステッピングモータにて構成したが、ブラシレスモータやブラシ付きモータ等、他の構成の電動モータにて構成してもよい。電動モータ26についても同様に、ステッピングモータのみならず、ブラシレスモータやブラシ付きモータ等の電動モータにて構成してもよい。
・電動モータ42について、ロータ52に偏心軸部61を一体的に設けたが、偏心軸部61をロータ52と別体として互いを駆動連結する構成としてもよい。
・上記の他、弁装置30の構成を適宜変更してもよい。
・上記の他、弁装置30の構成を適宜変更してもよい。
例えば、閉塞板34に軸受57を設けたが、軸受57に相当する軸受を閉塞板34とは別の場所に移設して、閉塞板34をより単純な平板形状としてもよい。
また、出力側回転体65と弁体33とを一体的に構成してもよい。この場合、弁体33の軸方向動作を許容するために、出力側回転体65についても軸方向に移動可能に支持する必要がある。このようにすれば、弁体33にネジ機構を採用していることで、その構造上、弁体33にがたつきが生じ得るところ、弁体33と一体とした出力側回転体65に磁気継手44の吸引力が作用するため、弁体33のがたつきを抑制することができる。
また、出力側回転体65と弁体33とを一体的に構成してもよい。この場合、弁体33の軸方向動作を許容するために、出力側回転体65についても軸方向に移動可能に支持する必要がある。このようにすれば、弁体33にネジ機構を採用していることで、その構造上、弁体33にがたつきが生じ得るところ、弁体33と一体とした出力側回転体65に磁気継手44の吸引力が作用するため、弁体33のがたつきを抑制することができる。
また、膨張弁18をニードル弁にて構成したが、他の構造の弁を用いてもよい。
また、駆動装置32内での配置を適宜変更してもよい。例えば、制御回路基板45について、自身の板面方向を水平方向に沿うように制御回路基板45を配置したが、軸方向に沿った配置等、適宜変更してもよい。
また、駆動装置32内での配置を適宜変更してもよい。例えば、制御回路基板45について、自身の板面方向を水平方向に沿うように制御回路基板45を配置したが、軸方向に沿った配置等、適宜変更してもよい。
また、基台ブロック31を下側、駆動装置32を上側としたが、設置方向はこれに限らない。
また、上記実施形態では、ロータ52の偏心軸部61と内側転動ギヤ63とをボール軸受64を通じて互いに連結することで、内側転動ギヤ63が偏心軸部61に対しボール軸受64を通じて相対回転可能に支持されている。また、内側転動ギヤ63は出力側回転体65とで磁気継手44を構成しているため、互いの磁石66,68による吸引力が作用する。そのため、内側転動ギヤ63は軸方向の出力側回転体65側、この場合その手前に位置する閉塞板34に近接するように引き寄せられる。このような状況において、ボール軸受64は自身の構造上、偏心軸部61に対して内側転動ギヤ63の軸方向の移動を規制する機能も有するため、内側転動ギヤ63が閉塞板34に接触し、回転時に摺接することが防止できる。
また、上記実施形態では、ロータ52の偏心軸部61と内側転動ギヤ63とをボール軸受64を通じて互いに連結することで、内側転動ギヤ63が偏心軸部61に対しボール軸受64を通じて相対回転可能に支持されている。また、内側転動ギヤ63は出力側回転体65とで磁気継手44を構成しているため、互いの磁石66,68による吸引力が作用する。そのため、内側転動ギヤ63は軸方向の出力側回転体65側、この場合その手前に位置する閉塞板34に近接するように引き寄せられる。このような状況において、ボール軸受64は自身の構造上、偏心軸部61に対して内側転動ギヤ63の軸方向の移動を規制する機能も有するため、内側転動ギヤ63が閉塞板34に接触し、回転時に摺接することが防止できる。
一方で、ボール軸受64は比較的大きな配置スペースが必要なため、この軸受部分の小型化を図る際、ボール軸受64よりも配置スペースの小さい図9等に示す滑り軸受71に置換することが望ましいが、滑り軸受71は自身の構造上、軸方向の移動を規制する機能を有していないため、内側転動ギヤ63が軸方向に移動して閉塞板34に接触し得る。閉塞板34との接触状態で内側転動ギヤ63が回転すると、互いに摩耗が進行し、また内側転動ギヤ63の摺接ロスも大きいため、この状況は避けたい。そこで、滑り軸受71を用いた内側転動ギヤ63の支持構造としながらも、内側転動ギヤ63の軸方向の移動を規制する軸方向受け構造が別途必要である。以下、その軸方向受け構造の各態様である。
図9に示す態様では、内側転動ギヤ63の下面と閉塞板34の上面との間に介在され、それぞれに軸方向に当接する球体72が備えられる。球体72は1個である。球体72は、内側転動ギヤ63の偏心回転に伴い転動しながら、内側転動ギヤ63の軸方向の荷重を受ける。点接触となる球体72での摺接ロスは極めて低いものとなっている。また、球体72が1個の場合、球体72の中心P1が内側転動ギヤ63の公転軸心である基準軸心L1と自転軸心である偏心軸心L2との間に位置させるのが好ましく、本態様では軸心L1,L2間の中間点に位置させている。すなわち、内側転動ギヤ63の重心が球体72との当接位置若しくは当接位置近傍に位置し、内側転動ギヤ63が傾くことが小さく抑制された安定性の高い支持態様となっている。なお、球体72は、自身の転動を妨げず上記好適位置が維持されるように図示しない位置保持部材にて保持することが好ましい。また、出力側回転体65についても軸方向に移動可能な支持構造としている場合、磁気継手44により軸方向の閉塞板34側に引き寄せられるため、出力側回転体65の回転体本体65aの上面に半球状の当接凸部65xが設けられる。当接凸部65xの頂部の閉塞板34との接触位置は、出力側回転体65の回転中心でもある基準軸心L1上に設定され、ここでも摺接ロスが極めて低いものとなっている。
図10に示す態様では、内側転動ギヤ63の下面と閉塞板34の上面との間に介在され、それぞれに軸方向に当接する球体72が2個備えられる態様である。各球体72は、内側転動ギヤ63の下面の磁石66の内周側において内側転動ギヤ63の公転軸心である基準軸心L1と自転軸心である偏心軸心L2とをともに挟むように互いに間隔を空けて配置される。各球体72は、内側転動ギヤ63の偏心回転に伴いそれぞれ転動しながら、内側転動ギヤ63の軸方向の荷重を2点で受ける。すなわち、内側転動ギヤ63を2個の球体72で支持することで、内側転動ギヤ63が傾くことが小さく抑制された安定性の高い支持態様となっている。なお、球体72が2個の場合、各球体72間の中心P2が基準軸心L1と偏心軸心L2との間に位置させるのが好ましく、本態様では軸心L1,L2間の中間点に位置させて、内側転動ギヤ63の姿勢の安定性をより高めている。また本態様においても、各球体72は、自身の転動を妨げず上記好適位置が維持されるように図示しない位置保持部材にて保持することが好ましい。
図11(a)及び図11(b)に示す態様では、内側転動ギヤ63の下面と閉塞板34の上面との間に介在され、それぞれに軸方向に当接する球体72が3個備えられる態様である。各球体72は、内側転動ギヤ63の下面の磁石66の外周側において周方向に等間隔にそれぞれ配置、言い換えると正三角形状の各頂点位置に配置される。各球体72は、内側転動ギヤ63の偏心回転に伴いそれぞれ転動しながら、内側転動ギヤ63の軸方向の荷重を3点で受ける。すなわち、内側転動ギヤ63を3個の球体72で支持することで、内側転動ギヤ63が傾くことがより小さく抑制された安定性の高い支持態様となっている。さらにこの場合、3個の球体72が内側転動ギヤ63の外周側縁部近傍で周方向等間隔に配置しているため、内側転動ギヤ63の支持はより安定性の高いものとなっている。なお、球体72が3個の場合、3個の球体72を結ぶ正三角形状の領域内に基準軸心L1及び偏心軸心L2が配置されることが内側転動ギヤ63の姿勢安定性を高める意味で好ましい。本態様では、図10に示す態様と同様に、例えば各球体72間の中心P3が基準軸心L1と偏心軸心L2との間の中間点に配置される。また本態様では、各球体72が自身の転動を妨げず上記好適位置が維持されるように保持する円環状の位置保持部材73にて保持される。
図12(a)及び図12(b)に示す態様では、図11に示す態様と同様に、内側転動ギヤ63の下面と閉塞板34の上面との間に介在され、それぞれに軸方向に当接する球体72は3個である。本態様では、各球体72は、内側転動ギヤ63の下面の磁石66の内周側に配置されている。これに伴い、各球体72の好適位置が維持されるように保持する円環状の位置保持部材74は直径の小さいものが用いられる。これ以外の条件は、図11に示す態様と同様である。図12に示す態様では、球体72による支持構造をコンパクトとしながら、内側転動ギヤ63の支持がより安定性の高いものとなっている。
なお、図11及び図12に示す各態様では、球体72を3個用いて正三角形状の頂点位置に配置したが、球体72を4個用いて正方形状の頂点位置に配置、球体72を5個用いて正五角形状の頂点位置に配置というように、球体72を複数個用いて正多角形状の頂点位置に配置するようにしてもよい。
上記球体72を用いる態様において、内側転動ギヤ63の偏心回転に伴って球体72が転動する領域は円環状の領域である。具体的には、例えば図11及び図12に示す各態様において、正三角形の頂点位置にある各球体72間の中心P3から頂点位置までの半径に対し、内側転動ギヤ63の公転軸心である基準軸心L1と自転軸心である偏心軸心L2との偏心量D1の1/2ずつ径方向内側と外側とに幅を有する円環状領域が球体72の転動領域である。これを踏まえ、球体72が当接する内側転動ギヤ63又は閉塞板34の円環状領域の表面硬度を高める加工や平面度を高める加工等、球体72の当接に好適な高度な加工を全面ではなく限定的に行うことで対応可能である。つまり、加工工数の抑制が可能である。
また、上記図9〜図12の各態様では、球体72が内側転動ギヤ63と閉塞板34とのそれぞれに点接触しつつ転動する構成としたが、内側転動ギヤ63及び閉塞板34のいずれか一方側に球体72を埋設する窪みを設け、収容された球体72が他方に点接触した状態で転動(ボールペンのペン先構造に類似)するようにしてもよい。
上記した図9〜図12の各態様は、偏心軸部61に対して滑り軸受71を介して支持される内側転動ギヤ63の軸方向の移動規制を、閉塞板34との間に球体72を介在させることで実現した軸方向受け構造であった。これに対し以下の図13〜図16の各態様は、上記態様とは別の軸方向受け構造である。図13〜図15の各態様は、磁力を用いて内側転動ギヤ63の軸方向の移動規制を図る態様である。図16の態様は、空気等の流体を用いて内側転動ギヤ63の軸方向の移動規制を図る態様である。
図13の態様は、先ず偏心軸部61が内側転動ギヤ63の下面側に設定され、偏心軸部61に対して滑り軸受71を介して支持される。そして、偏心軸部61と内側転動ギヤ63との軸方向に対向する部位それぞれに、同極同士が対向して互いに反発力を生じさせる反発用磁石75が備えられる。すなわち、内側転動ギヤ63と偏心軸部61との位置関係で内側転動ギヤ63の閉塞板34側への軸方向の移動が規制可能であるものの、反発用磁石75同士の反発力によっても内側転動ギヤ63の閉塞板34側への軸方向の移動が規制され、閉塞板34との非接触状態が維持される。内側転動ギヤ63の軸方向の荷重は主として反発用磁石75にて受けるため、軸方向受け部分にかかる摺接ロスは極めて低いものとなっている。
ちなみに、内側転動ギヤ63及び偏心軸部61それぞれの反発用磁石75間に隙間Gを設定し、内側転動ギヤ63及び偏心軸部61に設けた当接部分63x,61xが先行して当接するような各磁石75周りの寸法設定としている。反発用磁石75の互いの反発力にて当接部分63x,61x間は極めて僅かに離間、若しくは当接していても摺接ロスは極めて小さい構造となっている。また、各反発用磁石75間に隙間Gが設定されることで、反発用磁石75同士の摺接による摩耗が防止される。
また、偏心軸部61の下面には半球状の当接凸部61yが設けられる。当接凸部61yの頂部の閉塞板34との接触位置は基準軸心L1上に設定される。これによって、偏心軸部61が軸方向に移動可能な支持構造としている場合で、上記反発用磁石75同士の反発力等による軸方向の荷重を受けた場合でも、摺接ロスが極めて低いものとなっている。
図14の態様は、内側転動ギヤ63の下面中央部と閉塞板34の上面との軸方向に対向する部位それぞれに、同極同士が対向して互いに反発力を生じさせる反発用磁石76が備えられる。すなわち、内側転動ギヤ63及び閉塞板34の反発用磁石76同士の反発力によって内側転動ギヤ63の閉塞板34側への軸方向の移動が規制される。内側転動ギヤ63の下面に当接凸部63yを設けて閉塞板34との接触面積を小さくすることと合わせると、本態様でも内側転動ギヤ63の閉塞板34との摺接ロスは極めて低いものとなっている。なお、当接凸部63yを設けることで各反発用磁石76間に隙間Hが設定できるため、反発用磁石76同士の摺接による摩耗も抑制できる。
図15の態様は、内側転動ギヤ63の上面と内側転動ギヤ63近傍の不動部材である固定ブロック59との軸方向に対向する部位それぞれに、異極同士が対向して互いに吸引力を生じさせる吸引用磁石77が備えられる。すなわち、内側転動ギヤ63及び固定ブロック59の吸引用磁石77同士の吸引力によって内側転動ギヤ63の閉塞板34側への軸方向の移動が規制される。内側転動ギヤ63の下面に当接凸部63zを設けて閉塞板34との接触面積を小さくすることと合わせると、本態様でも内側転動ギヤ63の閉塞板34との摺接ロスは極めて低いものとなっている。
なお、上記図8にて示した態様についても、内側転動ギヤ63及び出力側回転体65の反発用磁石70同士の反発力によって内側転動ギヤ63の閉塞板34側への軸方向の移動が規制され、閉塞板34との摺接ロスが極めて低い状態が維持可能な態様とも言える。
図16の態様は、先ず偏心軸部61に対し滑り軸受71を介して内側転動ギヤ63が支持されつつ、偏心軸部61と内側転動ギヤ63との連結部分に空間78が設けられている。そして、空間78内にある空気等の流体を吸引して減圧することによって内側転動ギヤ63が軸方向上方に持ち上げられて内側転動ギヤ63の閉塞板34側への軸方向の移動が規制される。内側転動ギヤ63の下面に当接凸部63wを設けて閉塞板34との接触面積を小さくすることと合わせると、本態様でも内側転動ギヤ63の閉塞板34との摺接ロスは極めて低いものとなっている。なお、内側転動ギヤ63を軸方向上方に押し上げるように空気等の流体を用いて加圧し、内側転動ギヤ63の閉塞板34側への軸方向の移動を規制するようにしてもよい。この場合、流体の加圧が作用することで内側転動ギヤ63の移動規制が図れる空間を内側転動ギヤ63に隣接して設ける必要がある。
・膨張弁装置30に適用したが、統合弁装置24に適用してもよい。
・車両の空気調和機に用いられる冷凍サイクル装置10に適用したが、車両以外の空気調和機に用いられる冷凍サイクル装置の弁装置及びその駆動装置、冷媒以外の流体を流体循環回路において循環させる流体循環サイクル装置の弁装置及びその駆動装置に適用してもよい。また、弁装置以外に用いられる駆動装置に適用してもよい。本実施形態の駆動装置32は、電動モータ42、減速機構43及び磁気継手44を備え、非接触で互いに磁気連結する内側転動ギヤ63と出力側回転体65との間を閉塞板34にて液密又は気密に仕切ることが可能な構造を有するため、例えば次に記載する各装置に適用する意義は大きい。
・車両の空気調和機に用いられる冷凍サイクル装置10に適用したが、車両以外の空気調和機に用いられる冷凍サイクル装置の弁装置及びその駆動装置、冷媒以外の流体を流体循環回路において循環させる流体循環サイクル装置の弁装置及びその駆動装置に適用してもよい。また、弁装置以外に用いられる駆動装置に適用してもよい。本実施形態の駆動装置32は、電動モータ42、減速機構43及び磁気継手44を備え、非接触で互いに磁気連結する内側転動ギヤ63と出力側回転体65との間を閉塞板34にて液密又は気密に仕切ることが可能な構造を有するため、例えば次に記載する各装置に適用する意義は大きい。
具体的に例えば、水のみならず、液体燃料や気体燃料等の流体を循環させる流体循環サイクル装置の弁装置及びその駆動装置に適用してもよい。このように燃料を扱う特殊な状況下の駆動装置として用いることが期待できる。また、宇宙空間や風力発電等に用いられる駆動装置に適用してもよい。このようにメンテナンスが困難な状況下の駆動装置として用いることが期待できる。また、食品関係等に用いられる駆動装置に適用してもよい。このように潤滑剤を嫌う状況下の駆動装置として用いることが期待できる。また、介護用のロボットアームや電動工具等に用いられる駆動装置に適用してもよい。このように過大負荷が掛かった場合に駆動側又は負荷側それぞれの装置での破損防止が必要な状況下の駆動装置として用いることが期待できる。
10…冷凍サイクル装置(流体循環サイクル装置)、13…冷媒循環回路(流体循環開路)、18…膨張弁(弁)、30…膨張弁装置(弁装置)、31…基台ブロック(第2収容体)、31f…回転体収容凹部(第2収容空間)、32…駆動装置、34…閉塞板(仕切部材、介在部材、周囲部材)、42…電動モータ、43…減速機構、44…磁気継手(出力部)、50…モータケース(第1収容体)、58…支持部材(第1収容体)、59…固定ブロック(第1収容体、周囲部材)、61…偏心軸部(周囲部材)、62…外側環状ギヤ(外側環状体)、62a…内歯(内周部)、63…内側転動ギヤ(内側転動体)、63a…外歯(外周部)、65…出力側回転体(周囲部材)、66…連結用磁石(第1磁石)、68…連結用磁石(第2磁石)、69…内側空間(第1収容空間)、72…球体(軸方向受け構造)、75…反発用磁石(磁石)、76…反発用磁石(磁石)、77…吸引用磁石(磁石)、L1…基準軸心(公転軸心)、L2…偏心軸心(自転軸心)。
Claims (14)
- 電動モータ(42)と、
出力部(44)を含み、前記電動モータの回転力を減速して前記出力部から出力する減速機構(43)とを備える駆動装置(32)であって、
前記減速機構は、外側環状体(62)と、前記外側環状体の内側に配置され、前記外側環状体と接触した状態で前記電動モータの駆動による公転に伴って自転する内側転動体(63)とを含み、
前記出力部は、前記内側転動体の公転軸心(L1)周りに回転可能に支持され、前記内側転動体と磁力により非接触状態で連結される出力側回転体(65)を含む
駆動装置。 - 前記外側環状体は、内周部に設けられた内歯(62a)を有する外側環状ギヤ(62)であり、
前記内側転動体は、外周部に設けられた外歯(63a)を有する内側転動ギヤ(63)である
請求項1に記載の駆動装置。 - 前記内側転動体を収容する第1収容空間(69)を有する第1収容体(50,58,59)と、前記出力側回転体を収容する第2収容空間(31f)を有する第2収容体(31)とを備え、
前記駆動装置は、前記第1収容空間と前記第2収容空間とが連通しないように前記第1収容空間と前記第2収容空間とを仕切る仕切部材(34)を備える
請求項1又は2に記載の駆動装置。 - 前記内側転動体と前記出力側回転体とは、前記公転軸心と直交する方向に延びる板状の形状を有し、前記公転軸心の軸方向において対向して配置されている
請求項1〜3のいずれか1項に記載の駆動装置。 - 前記内側転動体は、自身の自転軸心(L2)を中心とする円環状の第1磁石(66)を有し、
前記出力側回転体は、前記公転軸心を中心とする円環状の第2磁石(68)を有し、
前記第1磁石及び前記第2磁石は、前記内側転動体が公転する際に、前記第1磁石及び前記第2磁石のうちの一方の磁石の全体が、前記第1磁石及び前記第2磁石のうちの他方の磁石と前記公転軸心の軸方向において対向するように構成されている
請求項4に記載の駆動装置。 - 前記駆動装置は、前記内側転動体と前記出力側回転体との間に介在する介在部材(34)を備えるものであり、
前記内側転動体と前記介在部材との軸方向の少なくとも一方の接触状態を点接触とする軸方向受け構造(72)を備える
請求項1〜5のいずれか1項に記載の駆動装置。 - 前記軸方向受け構造は、前記内側転動体と前記介在部材とのそれぞれに点接触する球体(72)を含む
請求項6に記載の駆動装置。 - 前記軸方向受け構造は、前記球体を2個含み、2個の前記球体の中心(P2)が前記内側転動体の公転軸心と自転軸心との間の中間点に配置される
請求項7に記載の駆動装置。 - 前記軸方向受け構造は、前記球体を複数個含み、複数個の前記球体を結ぶ多角形状の領域内に前記内側転動体の公転軸心及び自転軸心が配置される
請求項7に記載の駆動装置。 - 前記駆動装置は、前記内側転動体と前記出力側回転体との間に介在する介在部材を備えるものであり、
前記内側転動体及びその周囲部材(34,59,61,65)に磁石(75,76,77)を設け、前記磁石の磁力を用いて前記内側転動体の前記介在部材側への軸方向の移動を規制するように構成されている
請求項1〜5のいずれか1項に記載の駆動装置。 - 前記駆動装置は、前記内側転動体と前記出力側回転体との間に介在する介在部材を備えるものであり、
前記内側転動体に隣接する空間(78)を設け、前記空間内に流体の圧力を作用させることで前記内側転動体の前記介在部材側への軸方向の移動を規制するように構成されている
請求項1〜5のいずれか1項に記載の駆動装置。 - 電動モータ(42)と、出力部(44)を含み、前記電動モータの回転力を減速して前記出力部から出力する減速機構(43)とを備える駆動装置(32)と、
流体循環サイクル装置(10)の流体循環回路(13)に設けられ、前記出力部から出力される回転力に基づいて駆動される弁(18)とを備える弁装置(30)であって、
前記減速機構は、外側環状体(62)と、前記外側環状体の内側に配置され、前記外側環状体と接触した状態で前記電動モータの駆動による公転に伴って自転する内側転動体(63)とを含み、
前記出力部は、前記内側転動体の公転軸心(L1)周りに回転可能に支持され、前記内側転動体と磁力により非接触状態で連結される出力側回転体(65)を含む
弁装置。 - 前記流体循環サイクル装置の流体循環回路は、冷凍サイクル装置(10)の冷媒循環回路(13)であり、
前記弁は、前記冷凍サイクル装置の冷媒循環回路に設けられる弁である
請求項12に記載の弁装置。 - 前記冷凍サイクル装置は、車両の空気調和機に搭載される冷凍サイクル装置である
請求項13に記載の弁装置。
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