JP2020152342A - 車両統合制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】無駄時間の相違に起因した制御量の制御性の低下を抑制できるようにした車両統合制御装置を提供する。【解決手段】CPU62は、ヨーレート指令値と横加速度指令値とを実現すべく、前輪側転舵アクチュエータ30に対する操作量であるフロント角指令値と、前輪側ブレーキアクチュエータ56および後輪側ブレーキアクチュエータ57の操作量である制動力とを算出する。CPU62は、前輪側ブレーキアクチュエータ56および後輪側ブレーキアクチュエータ57の操作に今回算出した制動力を反映させるタイミングに対し、フロント角指令値を前輪側転舵アクチュエータ30の操作に反映させるタイミングを遅延させる。これにより、前輪側ブレーキアクチュエータ56および後輪側ブレーキアクチュエータ57の無駄時間が長いことに対処する。【選択図】図1

Description

本発明は、車両の挙動を制御するための第1アクチュエータおよび第2アクチュエータを操作する車両統合制御装置に関する。
たとえば下記特許文献1には、車両のヨーモーメント等を制御量とし、制御量を制御するために複数のアクチュエータを操作する制御装置が記載されている。
特開2017−125525号公報
上記のように、複数のアクチュエータによって1つの制御量を制御する場合には、各アクチュエータの無駄時間の相違が制御量の制御性の低下につながる。
以下、上記課題を解決するための手段およびその作用効果について記載する。
1.車両の挙動を制御するための第1アクチュエータおよび第2アクチュエータを操作する車両統合制御装置において、前記第1アクチュエータおよび前記第2アクチュエータの協働で前記車両の制御量を制御すべく、前記第1アクチュエータの操作量である第1操作量および前記第2アクチュエータの操作量である第2操作量を算出する操作量算出処理と、前記第1操作量および前記第2操作量に基づき前記第1アクチュエータおよび前記第2アクチュエータを操作する操作処理と、を実行し、前記第1アクチュエータの無駄時間は前記第2アクチュエータの無駄時間よりも長く、前記操作処理は、前記第1操作量を前記第1アクチュエータの操作に反映させるタイミングに対して前記第2操作量を前記第2アクチュエータの操作に反映させるタイミングを遅延させる遅延処理を含む車両統合制御装置である。
上記構成では、操作量算出処理によって同時期に算出された第1操作量および第2操作量が、それぞれ第1アクチュエータの実際の操作量となる第1タイミングおよび第2アクチュエータの実際の操作量となる第2タイミングが近似するほど、制御量を高精度に制御できる。ただし、第1アクチュエータの無駄時間が第2アクチュエータの無駄時間よりも長いため、第1操作量を第1アクチュエータの操作に反映させるタイミングと、第2操作量を第2アクチュエータの操作に反映させるタイミングとが等しい場合には、上記第1タイミングが上記第2タイミングに対して遅延する。そこで上記構成では、遅延処理を実行することにより、上記第1タイミングと上記第2タイミングとの差を低減でき、ひいては無駄時間の相違に起因した制御量の制御性の低下を抑制できる。
2.前記遅延処理は、前記操作量算出処理によって算出された前記第2操作量を前記第1操作量に対して遅延させて出力する処理を含み、前記操作処理は、前記第1アクチュエータおよび前記第2アクチュエータの2つのアクチュエータのうちの1つである対象アクチュエータの実際の操作量である出力操作量を取得する取得処理と、前記対象アクチュエータの規範モデルへ前記遅延処理の出力に応じた操作量を入力した際の前記規範モデルの出力に応じた操作量に、前記出力操作量をフィードバック制御する際の操作量に応じて前記対象アクチュエータを操作する処理を含み、前記規範モデルは、前記第1アクチュエータの応答性と前記第2アクチュエータの応答性との差を低減するように設計されている上記1記載の車両統合制御装置である。
上記構成では、規範モデルによって、第1アクチュエータの応答性と第2アクチュエータの応答性との差を低減できる。
3.前記操作処理は、前記規範モデルの出力と前記出力操作量との差を入力とする前記規範モデルの逆モデルおよびフィルタの出力に応じた操作量を、前記規範モデルの入力とするとともに前記対象アクチュエータの直列補償器の入力とし、前記直列補償器の出力に応じて前記対象アクチュエータを操作する処理を含む上記2記載の車両統合制御装置である。
上記構成では、直列補償器によって、対象アクチュエータの応答特性の影響を軽減して、規範モデルの応答特性を支配的とすることができる。
4.前記第1アクチュエータおよび前記第2アクチュエータのいずれか一方は、前記車両の制動力を生成するブレーキアクチュエータであり、他方は、前記車両の転舵輪の転舵角を調整する転舵アクチュエータである上記1〜3のいずれか1つに記載の車両統合制御装置である。
ブレーキアクチュエータと転舵アクチュエータとは、互いに異なるアクチュエータであることから、無駄時間が異なる傾向がある。そのため、上記構成においては、遅延処理の利用価値が特に大きい。
5.前記第1アクチュエータおよび前記第2アクチュエータのいずれか一方は、前記車両の前輪に制動力を付与する前輪側ブレーキアクチュエータであり、他方は、前記車両の後輪に制動力を付与する後輪側ブレーキアクチュエータである上記1〜3のいずれか1つに記載の車両統合制御装置である。
上記構成では、前輪側ブレーキアクチュエータと後輪側ブレーキアクチュエータとで油圧経路の長さ等に起因して無駄時間が異なるのであるが、その場合であっても、無駄時間の相違を遅延処理によって補償することによって、無駄時間による制御量の制御性の低下を抑制できる。
6.前記第1アクチュエータおよび前記第2アクチュエータのいずれか一方は、前記車両の推力を生成する装置である推力生成装置であり、他方は、前記車両の制動力を生成するブレーキアクチュエータである上記1〜3のいずれか1つに記載の車両統合制御装置である。
推力生成装置とブレーキアクチュエータとは、互いに異なるアクチュエータであることから、無駄時間が異なる傾向がある。そのため、上記構成においては、遅延処理の利用価値が特に大きい。
7.前記車両の運転指令に基づき、前記車両のヨーレートの指令値および前記車両の横加速度の指令値を設定する指令値設定処理を実行し、前記操作量算出処理は、前記指令値に応じて前記第1操作量および前記第2操作量を算出する処理である上記4記載の車両統合制御装置である。
上記構成では、転舵アクチュエータとブレーキアクチュエータとの協働で、車両のヨーレートや横加速度を高精度に制御することができる。
8.前記車両の前後加速度の指令値、前記車両の上下方向の加速度の指令値、前記車両の前後方向に平行な軸周りのモーメントの指令値、および前記車両の横方向に平行な軸周りのモーメントの指令値に基づき、前記車両の各車輪の駆動力を設定する駆動力設定処理を実行し、前記第1操作量および前記第2操作量は、前記車輪の駆動力に関する量である上記1〜3,5,6のいずれか1つに記載の車両統合制御装置である。
上記構成では、駆動力(制動力を含む)に関する操作量に基づき、車両の姿勢を制御することができる。
9.前記車両は、前輪を転舵させる前輪側転舵アクチュエータおよび後輪を転舵させる後輪側転舵アクチュエータを備え、前記車両のヨーレートの指令値および前記車両の横加速度の指令値に応じて、前記前輪側転舵アクチュエータおよび前記後輪側転舵アクチュエータを操作する転舵操作処理を実行する上記8記載の車両統合制御装置である。
上記構成では、車輪の駆動力に関する操作量によって車両の姿勢を制御する一方、前輪側転舵アクチュエータと後輪側転舵アクチュエータとの協働で、ヨーレートおよび横加速度を制御することから、ヨーレートおよび横加速度の制御は、車輪の駆動力に関する操作量とは別に実行できる。したがって、ヨーレートおよび横加速度の制御性が、転舵アクチュエータと、駆動系のアクチュエータとの無駄時間の差によって低下することを抑制できる。
10.前記車両の上下方向のモーメントであるz軸モーメントを取得するz軸モーメント取得処理を実行し、前記転舵操作処理は、前記車両のヨーレートの指令値および前記車両の横加速度の指令値に加えて、前記z軸モーメントに応じて前記前輪側転舵アクチュエータおよび前記後輪側転舵アクチュエータを操作する処理である上記9記載の車両統合制御装置である。
上記構成では、車両の姿勢の制御によって車輪の駆動力に関する操作量を設定する結果、z軸モーメントが生じうる。そのため、上記構成では、z軸モーメントに応じて前輪側転舵アクチュエータおよび後輪側転舵アクチュエータを操作することにより、ヨーレートや横加速度をより高精度に制御できる。
第1の実施形態にかかる車両統合制御装置が搭載された車両を示す図。 同実施形態にかかる制御装置が実行する処理を示すブロック図。 同実施形態にかかる処理の詳細を示すブロック図。 同実施形態にかかる制御器の応答特性を示す図。 第2の実施形態にかかる車両統合制御装置が搭載された車両を示す図。 同実施形態にかかる制御装置が実行する処理を示すブロック図。
<第1の実施形態>
以下、車両統合制御装置にかかる第1の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1に、本実施形態にかかる車両を示す。図1に示すように、前輪である車輪11,12には、内燃機関20の動力を付与可能となっている。また、車輪11,12のタイヤの切れ角(以下、転舵角)は、前輪側転舵アクチュエータ30によって変更される。車輪11には、ホイールシリンダ51内の作動油の油圧によって制動力が付与され、車輪12には、ホイールシリンダ52内の作動油の油圧によって制動力が付与される。また、後輪である車輪13には、ホイールシリンダ53内の作動油の油圧によって制動力が付与され、後輪である車輪14には、ホイールシリンダ54内の作動油の油圧によって制動力が付与される。ホイールシリンダ51内の作動油の圧力およびホイールシリンダ52内の作動油の圧力は、前輪側ブレーキアクチュエータ56によって調整される。また、ホイールシリンダ53内の作動油の圧力およびホイールシリンダ54内の作動油の圧力は、後輪側ブレーキアクチュエータ57によって調整される。なお、後輪側ブレーキアクチュエータ57と前輪側ブレーキアクチュエータ56とは、分離した独立のアクチュエータである必要はない。本実施形態では、主に、後の説明の便宜上、ホイールシリンダ51,52内の油圧を調整する部分と、ホイールシリンダ53,54内の油圧を調整する部分とで、各別の名称を付している。
制御装置60は、車両の挙動を制御量として、これを制御すべく、内燃機関20や、前輪側転舵アクチュエータ30、前輪側ブレーキアクチュエータ56、後輪側ブレーキアクチュエータ57等の車両内のアクチュエータを操作する。図1には、前輪側転舵アクチュエータ30、内燃機関20、前輪側ブレーキアクチュエータ56、および後輪側ブレーキアクチュエータ57のそれぞれの操作信号MS1〜MS4を記載している。
制御装置60は、制御量を制御すべく、アクセルセンサ70によって検出されるアクセルペダルの踏み込み量(アクセル操作量ACCP)や、ブレーキセンサ72によって検出されるブレーキペダルの踏み込み量(ブレーキ操作量Brk)、車速センサ74によって検出される車速Vを取得する。また、制御装置60は、前後加速度センサ76によって検出される車両の前後方向の加速度(前後加速度ax)や、横加速度センサ78によって検出される車両の横方向の加速度(横加速度ay)を参照する。また、制御装置60は、前輪左側油圧センサ80によって検出されるホイールシリンダ51内の油圧PLfや、前輪右側油圧センサ82によって検出されるホイールシリンダ52内の油圧PRfを参照する。また制御装置60は、後輪左側油圧センサ84によって検出されるホイールシリンダ53内の油圧PLrや、後輪右側油圧センサ86によって検出されるホイールシリンダ54内の油圧PRrを参照する。また、制御装置60は、フロント角センサ88によって検出される前輪である車輪11,12の転舵角であるフロント角δfや、トルクセンサ90によって検出されるステアリングホイール92に入力されるトルク(ハンドルトルクTh)を参照する。なお、本実施形態では、ステアリングホイール92は、車輪11,12との動力伝達が遮断されている。すなわち、本実施形態では、車両にステア・バイ・ワイヤシステムが搭載されている。
制御装置60は、CPU62、ROM64および周辺回路66を備え、それらが通信線68を介して接続されているものである。なお、周辺回路66は、内部の動作を規定するクロック信号を生成する回路や、電源回路、リセット回路等を含む。
図2に、制御装置60が実行する処理の一部を示す。図2に示す処理は、ROM64に記憶されたプログラムをCPU62が実行することにより実現される。
指令値設定処理M10は、運転者による車両の運転の意思を示す変数である、ハンドルトルクTh、アクセル操作量ACCP、およびブレーキ操作量Brkに加えて、車速Vや、前後加速度ax、横加速度ayに基づき、車両の各種制御量の指令値を設定する処理である。詳しくは、指令値設定処理M10は、ハンドルトルクThに基づき、ヨーレート指令値Yr*を設定する処理や、ハンドルトルクThおよび車速Vに基づき横加速度指令値ay*を設定する処理を含む。また、指令値設定処理M10は、車速Vおよび横加速度ayに基づきロール角指令値θx*を設定する処理や、車速Vおよび前後加速度axに基づきピッチ角指令値θy*を設定する処理、アクセル操作量ACCP,ブレーキ操作量Brkおよび車速Vに基づき前後加速度指令値ax*を設定する処理を含む。
第1変換処理M12は、ヨーレート指令値Yr*、横加速度指令値ay*およびロール角指令値θx*に基づき、それら各指令値に制御するための操作量としてのフロント角指令値δf0*と、z軸モーメント指令値Mz*とを算出する処理である。詳しくは、ラプラス変換された以下の式(c1)に基づき、フロント角指令値δf0*を算出する処理を含む。なお、以下において、前後方向の速度u、前輪のコーナリングパワーCf、後輪のコーナリングパワーCr、車両重心点と前輪間の距離lf、車両重心点と後輪間の距離lr、後輪の転舵角であるリア角δr、ロール角θxに対する前後輪のロールステアの比例係数εf、εrおよび車両重量Mを用いている。ちなみに、本実施形態では、式(c1)において、リア角δrをゼロとする。
また、第1変換処理M12は、距離lrと距離lfとの和lを用いて、以下の式(c2)に基づき、z軸モーメント指令値Mz*を算出する処理を含む。なお、本実施形態では、式(c2)において、リア角δrをゼロとする。
なお、式(c1),(c2)の導出については、本明細書の第2の実施形態の後の備考欄に記載してある。
フロント角操作処理M14は、車輪11,12の転舵角であるフロント角δfをフロント角指令値δf0*に制御すべく、前輪側転舵アクチュエータ30に操作信号MS1を出力して、前輪側転舵アクチュエータ30を操作する処理である。
第2変換処理M16は、ピッチ角指令値θy*および前後加速度指令値ax*を入力とし、それら各指令値に制御するための操作量としてのy軸モーメント指令値My*を設定する処理である。
詳しくは、第2変換処理M16は、単位ピッチ角変化あたりの発生モーメントであるピッチ剛性Gyと、ピッチ軸と車両の重心との距離hgとを用いて、以下の式(c3)にてy軸モーメント指令値My*を算出する処理である。
My*=Gy・θy*−M・ax*・hg …(c3)
また、第2変換処理M16は、横加速度指令値ay*、およびロール角指令値θx*を入力とし、それら各指令値に制御するための操作量としてのx軸モーメント指令値Mx*を設定する処理である。詳しくは、第2変換処理M16は、単位ロール角変化あたりの発生モーメントであるロール剛性Gxと、ロール軸と車両の重心との距離hsとを用いて、以下の式(c4)にてx軸モーメント指令値Mx*を算出する処理である。
Mx*=Gx・θx*−M・ay*・hs …(c4)
駆動力設定処理M18は、前後加速度指令値ax*、x軸モーメント指令値Mx*、y軸モーメント指令値My*およびz軸モーメント指令値Mz*に制御するうえで車輪11〜14のそれぞれに要求される駆動力指令値Fx1〜Fx4を算出する処理である。ここで、駆動力指令値Fx1は、車輪11に要求される駆動力の指令値であり、駆動力指令値Fx2は、車輪12に要求される駆動力の指令値であり、駆動力指令値Fx3は、車輪13に要求される駆動力の指令値であり、駆動力指令値Fx4は、車輪14に要求される駆動力の指令値である。なお、駆動力指令値Fx1〜Fx4のそれぞれは、負の値ともなりうる。負の値を有する場合には、制動力の指令値であることを意味する。
詳しくは、駆動力設定処理M18は、次の処理となる。すなわち、前後加速度指令値ax*、x軸モーメント指令値Mx*、y軸モーメント指令値My*およびz軸モーメント指令値Mz*を入力変数とし、駆動力指令値Fx1〜Fx4を出力変数とするマップデータが予めROM64に記憶された状態で、CPU62により、駆動力指令値Fx1〜Fx4をマップ演算する処理となる。なお、マップデータとは、入力変数の離散的な値と、入力変数の値のそれぞれに対応する出力変数の値と、の組データである。またマップ演算は、たとえば、入力変数の値がマップデータの入力変数の値のいずれかに一致する場合、対応するマップデータの出力変数の値を演算結果とし、一致しない場合、マップデータに含まれる複数の出力変数の値の補間によって得られる値を演算結果とする処理とすればよい。
駆動側操作量算出処理M20は、駆動力指令値Fx1〜Fx4を実現すべく、内燃機関20の操作量や、前輪側ブレーキアクチュエータ56の操作量、後輪側ブレーキアクチュエータ57の操作量を算出する処理である。すなわち、駆動側操作量算出処理M20は、内燃機関20の操作量である駆動力指令値Fd0*や、車輪11に関する前輪側ブレーキアクチュエータ56の操作量である左前輪制動力指令値FBLf0*、車輪12に関する前輪側ブレーキアクチュエータ56の操作量である右前輪制動力指令値FBRf0*を算出する処理である。また駆動側操作量算出処理M20は、車輪13に関する後輪側ブレーキアクチュエータ57の操作量である左後輪制動力指令値FBLr0*や、車輪14に関する後輪側ブレーキアクチュエータ57の操作量である右後輪制動力指令値FBRr0*を算出する処理である。ここで、左前輪制動力指令値FBLf0*および駆動力指令値Fd0*は、車輪11に対する駆動力指令値Fx1に応じて算出され、右前輪制動力指令値FBRf0*および駆動力指令値Fd0*は、車輪12に対する駆動力指令値Fx2に応じて算出される。また、左後輪制動力指令値FBLr0*は、車輪13に対する駆動力指令値Fx3に応じて算出され、右後輪制動力指令値FBRr0*は、車輪14に対する駆動力指令値Fx4に応じて算出される。
駆動力操作処理M22は、駆動側操作量算出処理M20によって算出された操作量に基づき、内燃機関20や、前輪側ブレーキアクチュエータ56、後輪側ブレーキアクチュエータ57を操作する処理である。
図3に、フロント角操作処理M14、および駆動力操作処理M22の一部の詳細を示す。図3においては、便宜上、左前輪制動力指令値FBLf0*および右前輪制動力指令値FBRf0*を総括して前輪制動力指令値FBf0*と記載し、左後輪制動力指令値FBLr0*および右後輪制動力指令値FBRr0*を総括して後輪制動力指令値FBr0*と記載している。この記載は、前輪側ブレーキアクチュエータ56によって車輪11に付与する制動力の制御器と前輪側ブレーキアクチュエータ56によって車輪12に付与する制動力の制御器とが同一であることに基づいている。また、後輪側ブレーキアクチュエータ57によって車輪13に付与する制動力の制御器と後輪側ブレーキアクチュエータ57によって車輪14に付与する制動力の制御器とが同一であることに基づいている。ただし、車輪11に付与する制動力の指令値と車輪12に付与する制動力の指令値とは、互いに異なる値となりうるものであり、また、車輪13に付与する制動力の指令値と車輪14に付与する制動力の指令値とは、互いに異なる値となりうる。
図3に示すように、本実施形態では、フロント角指令値δf0*と、前輪制動力指令値FBf0*と、後輪制動力指令値FBr0*と、駆動力指令値Fd0*とで、制御器のブロック図を同一の構造としている。そして、フロント角指令値δf0*の制御器には、100番代の符号を付し、後輪制動力指令値FBr0*の制御器には、200番代の符号を付し、前輪制動力指令値FBf0*の制御器には、300番代の符号を付し、駆動力指令値Fd0*の制御器には、400番代の符号を付している。図3に示す各ブロックは、たとえばゲインの値や次数等が、フロント角指令値δf0*の制御器、後輪制動力指令値FBr0*の制御器、前輪制動力指令値FBf0*の制御器、および駆動力指令値Fd0*の制御器で異なりうるものであるが、ブロック図の構成自体は同一の記載としたため、以下では、j=1〜4として、各制御器を総括して説明する。
遅延処理j02は、入力となる指令値を所定の遅延時間Delayjだけ遅延させる処理である。すなわち、たとえば、遅延処理102は、入力となる指令値であるフロント角指令値δf0*を所定の遅延時間Delay1だけ遅延させてフロント角指令値δf1*として出力する処理であり、また、遅延処理202は、後輪制動力指令値FBr0*を所定の遅延時間Delay2だけ遅延させて後輪制動力指令値FBr1*として出力する処理である。ただし、フロント角指令値δf0*に対するフロント角指令値δf1*の遅延時間Delay1と、後輪制動力指令値FBr0*に対する後輪制動力指令値FBr1*の遅延時間Delay2とは、互いに異なる。ここで、各遅延時間Delay1,Delay2,Delay3,Delay4の間には、以下の関係が成立する。なお、遅延時間Delay3は、前輪制動力指令値FBf0*に対する前輪制動力指令値FBf1*の遅延時間であり、遅延時間Delay4は、駆動力指令値Fd0*に対する駆動力指令値Fd1*の遅延時間Delay4である。
Delay1>Delay2>Delay3>Delay4
これは、前輪側転舵アクチュエータ30の無駄時間T1、後輪側ブレーキアクチュエータ57の無駄時間T2、前輪側ブレーキアクチュエータ56の無駄時間T3、および内燃機関20の駆動力の無駄時間T4に、以下の関係が成立することに鑑みたものである。
T1<T2<T3<T4
遅延処理j02の出力する指令値は、フィードフォワード項算出処理j04に入力され、フィードフォワード項が算出される。ここで、フィードフォワード項算出処理104の伝達関数は、「Hsj/Pje」である。ここで、「Hsj」は、たとえば1次フィルタまたは2次フィルタ等とすればよい。また、「Pje」は、各アクチュエータの規範モデルである。すなわち、「P1e」は、前輪側転舵アクチュエータ30の規範モデルであり、「P2e」は、後輪側ブレーキアクチュエータ57の規範モデルであり、「P3e」は、前輪側ブレーキアクチュエータ56の規範モデルであり、「P4e」は、内燃機関20の規範モデルである。規範モデルは、各アクチュエータ同士の時定数の相違を抑制するように設計されている。
そして、このフィードフォワード項に、加算処理j06によって所定の変数が加算された後、偏差算出処理j08によって、所定の変数との偏差がとられる。そして偏差算出処理j08の出力が、直列補償器j10に入力されて最終的な指令値が出力される。すなわち、直列補償器110からフロント角指令値δf*が出力され、直列補償器210から後輪制動力指令値FBr*が出力され、直列補償器310から前輪制動力指令値FBf*が出力され、直列補償器410から駆動力指令値Fd*が出力される。なお、直列補償器j10は、比例要素、および積分要素によって構成されている。
取得処理j11は、実際の操作量を取得する処理である。すなわち、取得処理111は、フロント角センサ88によって検出されるフロント角δfを取得する処理である。取得処理211は、後輪右側油圧センサ86によって検出される油圧PRrまたは後輪左側油圧センサ84によって検出される油圧PLrに基づきCPU62によって算出される後輪制動力FBrを取得する処理である。取得処理311は、前輪左側油圧センサ80によって検出される油圧PLfまたは前輪右側油圧センサ82によって検出される油圧PRfに基づきCPU62によって算出される前輪側制動力FBfを取得する処理である。取得処理411は、内燃機関20の駆動力Fdを取得する処理である。ここで、内燃機関20の駆動力は、CPU62によって、たとえば吸入空気量や点火時期等に基づき内燃機関のトルクが推定されるなどして算出されたものである。
偏差算出処理j08の出力は、規範モデルj12にも入力される。そして、規範モデルj12の出力は、無駄時間処理j14に入力される。図3においては、無駄時間を、「exp(−Lej・s)」と記載している。この無駄時間は、対象となるアクチュエータの実際の無駄時間を模擬したものであり、たとえば、「exp(−Le1・s)」は、前輪側転舵アクチュエータ30の無駄時間を模擬したものである。
偏差算出処理j16は、取得処理j11によって取得された操作量の検出値から無駄時間処理j14の出力を減算する処理である。すなわち、偏差算出処理116は、フロント角δfから無駄時間処理114の出力を減算する処理であり、偏差算出処理216は、後輪制動力FBrから無駄時間処理214の出力を減算する処理である。また、偏差算出処理316は、前輪側制動力FBfから無駄時間処理314の出力を減算する処理であり、偏差算出処理416は、駆動力Fdから無駄時間処理414の出力を減算する処理である。
偏差算出処理j16の出力は、フィードバック量算出処理j18に入力される。フィードバック量算出処理j18は、伝達関数が「Hfj/Pje」と表記される。ここで、「Hfj」は、たとえば1次または2次のフィルタとすればよい。
上記偏差算出処理j08は、加算処理j06の出力からフィードバック量算出処理j18の出力を減算する処理である。
偏差算出処理j20は、遅延処理j02の出力から規範モデルj12の出力を減算する処理であり、第1フィードバック処理j22は、偏差算出処理j20の出力を取り込み、第1フィードバック操作量を算出する処理である。ここで、第1フィードバック処理j22は、たとえば比例要素、および微分要素によって構成すればよい。
偏差算出処理j24は、遅延処理j02の出力から取得処理j11によって取得された操作量の検出値を減算する処理であり、第2フィードバック処理j26は、偏差算出処理j24の出力を取り込み、第2フィードバック操作量を算出する処理である。ここで、第2フィードバック処理j26は、たとえば比例要素、および微分要素によって構成すればよい。
偏差算出処理j28は、遅延処理j02の出力から偏差算出処理j16の出力を減算する処理であり、第3フィードバック処理j30は、偏差算出処理j28の出力を取り込み、第3フィードバック操作量を算出する処理である。ここで、第3フィードバック処理j30は、たとえば比例要素、および微分要素によって構成すればよい。
上記加算処理j06は、フィードフォワード項算出処理j04の出力に、第1フィードバック操作量、第2フィードバック操作量、および第3フィードバック操作量を加算した値を出力する処理である。
ここで、本実施形態の作用および効果について説明する。
CPU62は、運転者による運転操作に基づき、ヨーレート指令値Yr*や、前後加速度指令値ax*、横加速度指令値ay*を設定するとともに、車両の姿勢を定めるべく、ロール角指令値θx*やピッチ角指令値θy*を設定する。そして、CPU62は、ヨーレート指令値Yr*、横加速度指令値ay*、およびロール角指令値θx*を実現すべく、フロント角指令値δf0*およびz軸モーメント指令値Mz*を算出する。また、CPU62は、横加速度指令値ay*、ロール角指令値θx*、ピッチ角指令値θy*、および前後加速度指令値ax*を実現すべく、y軸モーメント指令値My*およびx軸モーメント指令値Mx*を算出する。そして、CPU62は、x軸モーメント指令値Mx*、y軸モーメント指令値My*、z軸モーメント指令値Mz*、および前後加速度指令値ax*を実現すべく、駆動力指令値Fx1〜Fx4を算出する。
ここで、駆動力指令値Fx1〜Fx4は、前後加速度指令値ax*、ロール角指令値θx*、ピッチ角指令値θy*、および横加速度指令値ay*を実現するための操作量である。すなわち、駆動力指令値Fx1〜Fx4が同時に実現されることによって、前後加速度指令値ax*、ロール角指令値θx*、ピッチ角指令値θy*、および横加速度指令値ay*のそれぞれへと制御できる。しかし、駆動力指令値Fx1〜Fx4を実現するためのアクチュエータである前輪側ブレーキアクチュエータ56、後輪側ブレーキアクチュエータ57、および内燃機関20には、互いに異なる無駄時間があり、また時定数も異なる。さらに、前輪側ブレーキアクチュエータ56によって実現される、ホイールシリンダ51,52の油圧による制動力と後輪側ブレーキアクチュエータ57によって実現される、ホイールシリンダ53,54による油圧による制動力とには、油圧経路の長さに起因した無駄時間や時定数の相違がある。
そこで本実施形態では、上記遅延処理202,303,402を互いに異なる値に設定した。すなわち、内燃機関20の無駄時間T4が最も長いため、駆動力指令値Fd0*に対する駆動力指令値Fd1*の遅延時間Delay4を最も短くする。また、前輪側ブレーキアクチュエータ56の無駄時間T3は、後輪側ブレーキアクチュエータ57の無駄時間T2よりも長い。このため、前輪制動力指令値FBf*に対する前輪制動力指令値FBf1*の遅延時間Delay3を、後輪制動力指令値FBr*に対する後輪制動力指令値FBr1*の遅延時間Delay2よりも短くする。これにより、内燃機関20の無駄時間T4、ホイールシリンダ51,52の油圧による制動力の無駄時間T3、ホイールシリンダ53,54の油圧による制動力の無駄時間T2の相違が補償される。
また、アクチュエータでの実際の操作量を出力としたときの加算処理j06の出力からアクチュエータの出力までの伝達関数の逆数は、アクチュエータの実際のモデルを「Pj」、その無駄時間を「exp(−Lj・s)」とすると、以下となる。
1/{Pj・exp(-Lj・s)・(1-Hj1・exp(-Lje・s))/Ccj+(1/Pje)・H1}
ここで、分母の第1項は、直列補償器j10の伝達関数である「Ccj」が大きければ、無視できる。この場合、フィードフォワード項を、上記伝達関数の逆数とすれば、入力に対する出力の比であるゲインをほぼ「1」とすることができる。
また、図4にゲイン特性を示すように、規範モデルに基づく分母の第2項は、分母の第1項の周波数特性を補償する役割を担う。すなわち、図4に示すように、分母が第1項のみからなる伝達関数が曲線f1にて示される場合、斜線にて示した部分f2を第2項によって補足すると、それらの和である上記伝達関数のゲインを、周波数ωにかかわらず一定とすることができる。
本実施形態では、少なくとも「10Hz」以下の領域について、入力に対する出力の関係を一定値とする。これにより、内燃機関20の時定数、前輪側ブレーキアクチュエータ56の時定数、後輪側ブレーキアクチュエータ57の時定数の相違が、規範モデル「Pje」の設計によって補償される。
このため、駆動力設定処理M18が同時に出力した駆動力指令値Fx1〜Fx4を、内燃機関20と前輪側ブレーキアクチュエータ56と後輪側ブレーキアクチュエータ57との協働で、高精度に実現できる。
このため、x軸モーメント指令値Mx*、y軸モーメント指令値My*、横加速度指令値ay*および前後加速度指令値ax*を高精度に実現できることから、横加速度指令値ay*、ロール角指令値θx*、ピッチ角指令値θy*および前後加速度指令値ax*を高精度に実現できる。
また、前輪側転舵アクチュエータ30の無駄時間T1が最も短いため、遅延時間Delay1を最も長くした。これにより、無駄時間T1が無駄時間T2〜T4よりも短いことを補償することができる。また、本実施形態では、上述の制御器の設定により、各アクチュエータの時定数の相違が補償されている。そのため、第1変換処理M12によって、フロント角指令値δf0*およびz軸モーメント指令値Mz*が出力された後、それらに応じたフロント角指令値δf0*、および駆動力指令値Fx1〜Fx4が実現されるまでの時間のばらつきを抑制できる。そのため、フロント角指令値δf0*およびz軸モーメント指令値Mz*を高精度に実現できる。したがって、ヨーレート指令値Yr*、横加速度指令値ay*、およびロール角指令値θx*を高精度に実現できる。
<第2の実施形態>
以下、第2の実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
図5に、本実施形態にかかる車両を示す。なお、図5において、図1に示した部材と同一の部材については、便宜上、同一の符号を付している。
図5に示すように、本実施形態にかかる車両は、後輪である車輪13,14を転舵させる後輪側転舵アクチュエータ100を備えている。また、本実施形態では、制御装置60は、リア角センサ89によって検出される、車輪13,14の転舵角であるリア角δrを参照する。
図6に、制御装置60が実行する処理の一部を示す。図6に示す処理は、ROM64に記憶されたプログラムをCPU62が実行することにより実現される。なお、図6において、図2に示した処理に対応する処理については、便宜上、同一の符号を付している。
図6に示すように、指令値設定処理M10aは、指令値設定処理M10が設定する指令値に加えて、さらに、車両の上下方向の加速度の指令値である上下加速度指令値az*を設定する処理である。ここで、上下加速度指令値az*は、車両のバウンス運動を抑制すべく、原則、ゼロに設定される。
一方、駆動力設定処理M18aは、前後加速度指令値ax*、上下加速度指令値az*、x軸モーメント指令値Mx*およびy軸モーメント指令値My*を入力とし、それらに制御するうえで車輪11〜14のそれぞれに要求される駆動力指令値Fx1〜Fx4を算出する処理である。具体的には、前後加速度指令値ax*、上下加速度指令値az*、x軸モーメント指令値Mx*およびy軸モーメント指令値My*を入力変数とし、駆動力指令値Fx1〜Fx4を出力変数とするマップデータがROM64に予め記憶された状態で、CPU62により、駆動力指令値Fx1〜Fx4がマップ演算される。
第1変換処理M12aは、ヨーレート指令値Yr*および横加速度指令値ay*に基づき、フロント角指令値δf*とリア角指令値δr*とを設定する処理を含む。詳しくは、第1変換処理M12aは、以下の式(c5)にて、フロント角指令値δf*を算出する処理を含む。
また、第1変換処理M12aは、以下の式(c6)にて、リア角指令値δr*を算出する処理を含む。
上記の式(c5)、(c6)において、z軸モーメントMzは、z軸モーメント取得処理M24によって取得される。なお、式(c5),(c6)の導出については、この実施形態の記載の後の「備考」欄に記載している。
z軸モーメント取得処理M24は、CPU62が、ヨーレートYrの複数のサンプリング値から算出されるヨー加速度を算出することによって、算出する処理とすればよい。
前後角操作処理M14aは、前輪側転舵アクチュエータ30を操作してフロント角δfをフロント角指令値δf*に制御するとともに、後輪側転舵アクチュエータ100を操作してリア角δrをリア角指令値δr*に制御する処理である。
ここで、本実施形態では、前後角操作処理M14aについては、図3に示した制御器を用いていない。これは、本実施形態では、フロント角指令値δf*やリア角指令値δr*を、横加速度指令値ay*、ヨーレート指令値Yr*および実際のz軸モーメントMzを制御するための操作量としている一方、駆動力指令値Fx1〜Fx4は、横加速度指令値ay*やヨーレート指令値Yr*とは別の指令値を制御するための操作量となっているからである。すなわち、本実施形態では、駆動力指令値Fx1〜Fx4は、前後加速度指令値ax*、上下加速度指令値az*、x軸モーメント指令値Mx*およびy軸モーメント指令値My*を制御するための操作量である。そして、それら各指令値に制御するうえでは、前輪側ブレーキアクチュエータ56、後輪側ブレーキアクチュエータ57、および内燃機関20のそれぞれの無駄時間の差や応答性の相違を抑制すればよい。
<備考>
上記(c1),(c2),(c5),(c6)の導出では、2輪モデルを用い、横滑り角βが小さいとして、前後方向の速度u=Vcosβを、車速Vと近似し、横方向の速度vを、Vβと近似した。なお、横滑り角βの時間微分がヨーレートである。以上より、横方向の速度vと、ヨーレートとについて、以下の式(c7)が成立する。
上記の式(c7)において、「ay=s・v+u・Yr」を用いて変形することにより、上記の式(c1)および(c2)が得られる。
また、上記の式(c5)および(c6)は、式(c1)および(c2)において、ロール角指令値θx*の項を無視したものを式変形したものである。
<対応関係>
上記実施形態における事項と、上記「課題を解決するための手段」の欄に記載した事項との対応関係は、次の通りである。以下では、「課題を解決するための手段」の欄に記載した解決手段の番号毎に、対応関係を示している。[1,4,5,10]第1の実施形態においては、第1アクチュエータ、および第2アクチュエータの組は、第1アクチュエータを内燃機関20とする場合、第2アクチュエータは、前輪側転舵アクチュエータ30、前輪側ブレーキアクチュエータ56および後輪側ブレーキアクチュエータ57のいずれかに対応する。また、第1アクチュエータを前輪側ブレーキアクチュエータ56とする場合、第2アクチュエータは、前輪側転舵アクチュエータ30、および後輪側ブレーキアクチュエータ57のいずれかに対応する。また、第1アクチュエータを後輪側ブレーキアクチュエータ57とする場合、第2アクチュエータは、前輪側転舵アクチュエータ30に対応する。第2の実施形態においては、上記において、第1アクチュエータおよび第2アクチュエータのいずれも転舵アクチュエータに対応しない。操作量算出処理は、図2の第1変換処理M12および駆動側操作量算出処理M20や、図6の駆動側操作量算出処理M20に対応する。操作処理は、図2のフロント角操作処理M14および駆動力操作処理M22や、図5の駆動力操作処理M22に対応する。遅延処理は、遅延処理102,202,302,402のうちの2つに対応する。[2]取得処理は、取得処理111,211,311,411のうちの1つに対応する。[3]「規範モデルの逆モデルおよびフィルタの出力」は、フィードバック量算出処理j18の出力に対応する。直列補償器は、直列補償器110,210,310,410に対応する。[6]推力生成装置は、内燃機関20に対応する。[7]指令値設定処理は、指令値設定処理M10に対応する。[8]駆動力設定処理は、図6に示す駆動力設定処理M18aに対応する。[9]転舵操作処理は、第1変換処理M12aおよび前後角操作処理M14aに対応する。
<その他の実施形態>
なお、上記実施形態の各事項の少なくとも1つを、以下のように変更してもよい。
・「遅延処理について」
たとえば、無駄時間が最も長いアクチュエータの操作量については、遅延処理の遅延時間をゼロとしてもよい。
・「直列補償器の入力にいて」
直列補償器j10の入力としては、フィードフォワード項、第1フィードバック操作量、第2フィードバック操作量、および第3フィードバック操作量の和から、フィードバック量算出処理j18の出力を減算した値に限らない。たとえば、第1フィードバック操作量、第2フィードバック操作量、および第3フィードバック操作量の3つの操作量のうちのいずれか1つとフィードフォワード項との和から、フィードバック量算出処理j18の出力を減算した値であってもよい。またたとえば、第1フィードバック操作量、第2フィードバック操作量、および第3フィードバック操作量の3つの操作量のうちのいずれか2つとフィードフォワード項との和から、フィードバック量算出処理j18の出力を減算した値であってもよい。またたとえば、フィードフォワード項からフィードバック量算出処理j18の出力を減算した値であってもよい。
・「操作処理について」
たとえば、遅延処理j02の出力をアクチュエータの操作に反映させる操作量としてもよい。すなわち、たとえば、図3の処理において、遅延処理102の出力をフロント角指令値δf*としたり、遅延処理202の出力を後輪制動力指令値FBr*としたりしてもよい。
・「第1アクチュエータおよび第2アクチュエータの協働で制御する制御量について」
たとえば、駆動力設定処理M18によって設定される駆動力指令値Fx1〜Fx4から所定量を減算したものを、図3の制御器の入力とし、所定量については、遅延処理j02等に入力することなく内燃機関20、または前輪側ブレーキアクチュエータ56および後輪側ブレーキアクチュエータ57によって実現してもよい。すなわち、車両の前後加速度等については、複数のアクチュエータによって協働で制御しなくてもよい。さらに、車両の前後加速度を複数のアクチュエータの協働で制御する場合であっても、それら複数の操作量を、遅延処理j02等に入力しなくてもよい。
・「第1変換処理について」
後輪側転舵アクチュエータ100を備える場合において、上記の式(c1)、および(c2)を用いて、フロント角指令値δf0*やz軸モーメント指令値Mz*を設定してもよい。この場合、リア角δrは、リア角センサ89によって検出された値を用いればよい。
・「第2変換処理について」
たとえば、上記式(c3)によらずに、ピッチ角指令値θy*および前後加速度指令値ax*を入力変数とし、y軸モーメント指令値My*を出力変数とするマップデータがROM64に予め記憶された状態で、CPU62によりy軸モーメント指令値My*をマップ演算してもよい。
またたとえば、上記(c4)によらずに、ロール角指令値θx*および横加速度指令値ay*を入力変数とし、x軸モーメント指令値Mx*を出力変数とするマップデータがROM64に予め記憶された状態で、CPU62によりx軸モーメント指令値Mx*をマップ演算してもよい。
・「指令値設定処理について」
上記実施形態では、運転者による運転操作に応じて各指令値を設定したが、これに限らない。たとえば車両の走行経路の情報等を入力として自動操舵のための指令値を設定してもよい。
・「取得処理について」
たとえば下記「推力生成装置について」の欄に記載したように、推力生成装置がモータジェネレータ等である場合、その電流の検出値に基づき駆動力Fdを算出すればよい。
・「操作量について」
転舵アクチュエータの操作量としては、転舵角に限らない。すなわち、たとえば、図2の処理におけるフロント角指令値θf0*に制御するために前輪側転舵アクチュエータ30の電動機が生成すべきトルクを操作量として、遅延処理102への入力としてもよい。
・「第1アクチュエータおよび第2アクチュエータについて」
上記第2の実施形態では、前輪側転舵アクチュエータ30の無駄時間や応答性と後輪側転舵アクチュエータ100の無駄時間や応答性との相違を無視できるとしたが、これを考慮して、図3に例示した制御器によってフロント角指令値δf*およびリア角指令値δr*を操作してもよい。すなわち、第2の実施形態において、前輪側転舵アクチュエータ30および後輪側転舵アクチュエータ100のいずれか一方を、第1アクチュエータとし、他方を第2アクチュエータとしてもよい。
・「推力生成装置について」
推力生成装置としては、内燃機関20に限らず、たとえばモータジェネレータであってもよい。また、各車輪に搭載されるインホイールモータであってもよい。
11,12,13,14…車輪、20…内燃機関、30…前輪側転舵アクチュエータ、50…転舵アクチュエータ、51,52,53,54…ホイールシリンダ、55…ブレーキアクチュエータ、56…前輪側ブレーキアクチュエータ、57…後輪側ブレーキアクチュエータ、60…制御装置、62…CPU、64…ROM、66…周辺回路、68…通信線、70…アクセルセンサ、72…ブレーキセンサ、74…車速センサ、76…前後加速度センサ、78…横加速度センサ、80…前輪左側油圧センサ、82…前輪右側油圧センサ、84…後輪左側油圧センサ、86…後輪右側油圧センサ、88…フロント角センサ、89…リア角センサ、90…トルクセンサ、92…ステアリングホイール、100…後輪側転舵アクチュエータ、102…遅延処理、104…フィードフォワード項算出処理、110…直列補償器、111…取得処理、114…無駄時間処理、116…偏差算出処理、140…取得処理、202…遅延処理、210…直列補償器、211…取得処理、214…無駄時間処理、216…偏差算出処理、240…取得処理、302…遅延処理、311…取得処理、312…直列補償器、314…無駄時間処理、316…偏差算出処理、340…取得処理、402…遅延処理、410…直列補償器、411…取得処理、414…無駄時間処理、416…偏差算出処理、440…取得処理。

Claims (10)

  1. 車両の挙動を制御するための第1アクチュエータおよび第2アクチュエータを操作する車両統合制御装置において、
    前記第1アクチュエータおよび前記第2アクチュエータの協働で前記車両の制御量を制御すべく、前記第1アクチュエータの操作量である第1操作量および前記第2アクチュエータの操作量である第2操作量を算出する操作量算出処理と、
    前記第1操作量および前記第2操作量に基づき前記第1アクチュエータおよび前記第2アクチュエータを操作する操作処理と、を実行し、
    前記第1アクチュエータの無駄時間は前記第2アクチュエータの無駄時間よりも長く、
    前記操作処理は、前記第1操作量を前記第1アクチュエータの操作に反映させるタイミングに対して前記第2操作量を前記第2アクチュエータの操作に反映させるタイミングを遅延させる遅延処理を含む車両統合制御装置。
  2. 前記遅延処理は、前記操作量算出処理によって算出された前記第2操作量を前記第1操作量に対して遅延させて出力する処理を含み、
    前記操作処理は、前記第1アクチュエータおよび前記第2アクチュエータの2つのアクチュエータのうちの1つである対象アクチュエータの実際の操作量である出力操作量を取得する取得処理と、前記対象アクチュエータの規範モデルへ前記遅延処理の出力に応じた操作量を入力した際の前記規範モデルの出力に応じた操作量に、前記出力操作量をフィードバック制御する際の操作量に応じて前記対象アクチュエータを操作する処理を含み、
    前記規範モデルは、前記第1アクチュエータの応答性と前記第2アクチュエータの応答性との差を低減するように設計されている請求項1記載の車両統合制御装置。
  3. 前記操作処理は、前記規範モデルの出力と前記出力操作量との差を入力とする前記規範モデルの逆モデルおよびフィルタの出力に応じた操作量を、前記規範モデルの入力とするとともに前記対象アクチュエータの直列補償器の入力とし、前記直列補償器の出力に応じて前記対象アクチュエータを操作する処理を含む請求項2記載の車両統合制御装置。
  4. 前記第1アクチュエータおよび前記第2アクチュエータのいずれか一方は、前記車両の制動力を生成するブレーキアクチュエータであり、他方は、前記車両の転舵輪の転舵角を調整する転舵アクチュエータである請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両統合制御装置。
  5. 前記第1アクチュエータおよび前記第2アクチュエータのいずれか一方は、前記車両の前輪に制動力を付与する前輪側ブレーキアクチュエータであり、他方は、前記車両の後輪に制動力を付与する後輪側ブレーキアクチュエータである請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両統合制御装置。
  6. 前記第1アクチュエータおよび前記第2アクチュエータのいずれか一方は、前記車両の推力を生成する装置である推力生成装置であり、他方は、前記車両の制動力を生成するブレーキアクチュエータである請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両統合制御装置。
  7. 前記車両の運転指令に基づき、前記車両のヨーレートの指令値および前記車両の横加速度の指令値を設定する指令値設定処理を実行し、
    前記操作量算出処理は、前記指令値に応じて前記第1操作量および前記第2操作量を算出する処理である請求項4記載の車両統合制御装置。
  8. 前記車両の前後加速度の指令値、前記車両の上下方向の加速度の指令値、前記車両の前後方向に平行な軸周りのモーメントの指令値、および前記車両の横方向に平行な軸周りのモーメントの指令値に基づき、前記車両の各車輪の駆動力を設定する駆動力設定処理を実行し、
    前記第1操作量および前記第2操作量は、前記車輪の駆動力に関する量である請求項1〜3,5,6のいずれか1項に記載の車両統合制御装置。
  9. 前記車両は、前輪を転舵させる前輪側転舵アクチュエータおよび後輪を転舵させる後輪側転舵アクチュエータを備え、
    前記車両のヨーレートの指令値および前記車両の横加速度の指令値に応じて、前記前輪側転舵アクチュエータおよび前記後輪側転舵アクチュエータを操作する転舵操作処理を実行する請求項8記載の車両統合制御装置。
  10. 前記車両の上下方向のモーメントであるz軸モーメントを取得するz軸モーメント取得処理を実行し、
    前記転舵操作処理は、前記車両のヨーレートの指令値および前記車両の横加速度の指令値に加えて、前記z軸モーメントに応じて前記前輪側転舵アクチュエータおよび前記後輪側転舵アクチュエータを操作する処理である請求項9記載の車両統合制御装置。
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