JP2020151339A - 多層構造の歯科加工用ブランクの製造方法と製造装置 - Google Patents

多層構造の歯科加工用ブランクの製造方法と製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】色調の異なる複数の層を積層して、自然な色調の歯科用補綴部を製作できる歯科加工用ブランクの製造方法と製造装置を提供する。【解決手段】硬化性組成物の流動性ペーストPを充填工程を経て充填した第一型枠ユニット3を保持板6aに配置し、第一型枠ユニット内の押出板3aを押し上げて、流動性ペーストが突出したペースト接合面Paを形成する。この第一型枠ユニットに流動性ペーストが充填された第二型枠ユニット4を被せて第一型枠ユニットに押しつけ、充填された流動性ペースト同士を一体化させる。型枠ユニットを硬化工程に供すると、二層構造の歯科加工用ブランクが製造される。第一型枠ユニット内の流動性ペーストと第二型枠ユニット内の流動性ペーストとの色調を異ならせると、色調の異なる二層構造となる。【選択図】図1

Description

本発明は、歯冠、部分歯冠、義歯等の歯科用補綴物を切削して加工する歯科加工用ブランクであって、色調等が異なる層が積層された多層構造の歯科加工用ブランクの製造方法とその製造装置に関する。
歯科治療に用いられる歯科用補綴物は、金や銀、チタン、パラジウム合金等のように金属材料から鋳造によって成形されるか、セラミックスやハイブリッドレジン等の非金属材料を加工することによって成形されるか、又はコア部を金属材料で構成し、前装部等の表層部を非金属材料で構成することにより形成されている。なお、ハイブリッドレジンとはレジンマトリックス中に無機充填材(以下、「無機フィラー」ともいう)が高密度で分散された複合材料を意味する。
非金属材料を用いて全体を構成した歯科用補綴物は、金属アレルギーの心配がなく審美性に優れるという特長を有することに加え、近年のデジタル画像技術やコンピュータ処理技術等の発達により、その加工が容易になったことも有り、その需要は急速に高まっている。例えば、特許文献1に開示されているように、口腔内の撮影画像から、コンピュータ支援設計(CAD)(Computer Aided Design)及びコンピュータ支援製造(CAM)(Computer Aided Manufacturing)技術によるCAD/CAM装置を用いて、非金属材料からなる歯科加工用ブランクに切削加工を施して歯科用補綴物を成形するCAD/CAMシステムが多用されるようになってきている。ここで、歯科加工用ブランクとは、CAD/CAMシステムにおける切削加工機に取り付け可能にされた被切削体(ミルブランクとも呼ばれる。)を意味し、直方体や円柱の形状に成形された(ソリッド)ブロック又は板状若しくは盤状に形成された(ソリッド)ディスク等が一般的に知られている。
歯冠歯列修復治療では、歯科用補綴物に天然組織と等しい、あるいは近い色調や外観等の審美性が要求される場合がある。このような審美性を確保するためには、例えば、単一の色調からなる歯科加工用ブランクから製作する場合では十分でない場合も多く、異なる色調の歯科加工用ブランクから製作することが行われている。そのためには、異なる色調の複数の層を一体化した多層構造の歯科加工用ブランクが用いられる。
例えば、特許文献2には、汎用性と生産性に優れ、なおかつ天然歯の美観の再現性が高いとする歯科CAD/CAM用切削ブロックとして、象牙質修復用レジン層とエナメル質修復用レジン層とが積層された歯科CAD/CAM用レジン系ブロックであって、少なくとも象牙質修復用レジン層は光拡散性粒子を含有し、特定の拡散比を有する歯科CAD/CAM用切削ブロックが提案されている。
また、特許文献3には、審美性が高く、かつ機械的強度も高いとする積層されたミルブランクの製造方法が開示されている。このミルブランクの製造方法は、重合前の硬化性組成物を積層し、少なくとも2層から構成される、重合前の積層体を得る工程、及び前記工程で得られた積層体を重合する工程を含み、前記硬化性組成物が無機充填材と重合性単量体含有組成物とを含む、歯科用ミルブランクの製造方法が提案されている。
特表2016−535610号公報 特開2017−213394号公報 特開2017−113224号公報
特許文献2に開示された歯科CAD/CAM用切削ブロックを製造する場合であって、樹脂マトリックスの原料となる重合性単量体に光拡散性粒子を配合させておき、これを重合硬化することによって各成分を得る場合には、例えば、以下の工程による。予め、重合開始剤を含有させておいた重合性単量体を含む象牙質修復用レジン層とエナメル質修復用レジン層を準備し、まず象牙質修復用レジン層を金型内に計量、充填、付形、脱泡操作等を行い、必要に応じて加熱や光による仮重合を行う。次に、エナメル質修復用レジン層を計量、充填、付形、脱泡操作等を行い、必要に応じて加熱や光による仮重合を行う。そして、これら象牙質修復用レジン層とエナメル質修復用レジン層を、加熱、あるいは光による最終重合を行うことでブロック体を作製する。
また、特許文献3に開示された、積層されたミルブランクの製造方法は、1つの容器内に少なくとも2層に積層して収容された前記重合前の硬化性組成物を押し出すことによって、未重合(重合前)の積層体を得る方法、または、2以上の容器内に別々に収容された前記重合前の硬化性組成物を押し出したのち、積層して積層体を得る方法等が挙げられている。
しかしながら、一つの容器内に硬化前の硬化性組成物による流動性の高いペーストを積層して充填する場合、型の中に積層に供するそれぞれのペーストを流し込む必要があるため硬化性組成物の総質量に占める無機充填材の質量の割合(以下、「無機フィラー充填率」ともいう。)を低くせざるを得ない。
また、2以上の容器内に別々に収容された硬化前の硬化性組成物を押し出したのち、積層して積層体を得る方法とする場合、積層や充填の際に形状が崩れたり、得られたブランク内に空隙が生じてしまうおそれがあり、上記の方法では無機フィラー充填率の高い、より高強度を有する積層されたブランクを製造する事は難しい。
さらに、積層させるペーストを順次充填する方法の場合、二層目を充填するためにペーストを流し込む際に、特に無機フィラー充填率が高く、流動性の低いペーストを用いた場合には、一層目との境界を乱してしまい、各層の界面が乱れた製品となってしまうおそれがあるため、同様に無機フィラー充填率の高いペーストの使用が難しい。
そこで、本発明は、ペーストの無機フィラー充填率を高くした場合でも、各層の界面の乱れがなく、強度が確保されて確実に積層される多層構造の歯科加工用ブランクの製造方法と製造装置を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明に係る多層構造の歯科加工用ブランクの製造方法は、少なくとも第一層と第二層とを有する多層構造の歯科加工用ブランクの製造方法において、少なくとも一面が開口された型枠ユニットである第一型枠ユニットに、第一層が成形される、硬化性組成物からなり、所望の形状保持性を有する第一の流動性ペーストを充填すると共に、少なくとも一面が開口された型枠ユニットである第二型枠ユニットに、第二層が成形される、硬化性組成物からなり、所望の形状保持性を有する第二の流動性ペーストを充填する充填工程、前記第一型枠ユニットと前記第二の型枠ユニットの開口部同士を合わせて、前記第一の流動性ペーストと前記第二の流動性ペーストを密着させて接合させて、少なくとも前記第一の流動性ペーストからなる第一層及び第二の流動性ペーストからなる第二層を含む多層構造の積層体を得る積層工程、及び前記多層構造の積層体を硬化させる硬化工程、を含むことを特徴としている。
また、第2の観点による発明は、多層構造の歯科加工用ブランクの製造方法において、型枠ユニットの組み合わせからなり、これらの型枠ユニットを連結することにより1つの連結型枠を形成できる型枠キットであって、前記型枠ユニットの各々は、何れも柱状空洞部を有する筒状体からなり、前記連結型枠は、前記型枠ユニットの各々を、各柱状空洞部の母線が一致するように重ねて連結することにより形成され、各柱状空洞部が連結された連結柱状空洞部を内部に有する、前記型枠キットの準備工程と、前記型枠ユニットの各々の内部に、硬化性組成物からなり、所望の形状保持性を有する流動性ペーストを充填して、型枠ユニットの一方又は両方の端部開口に、当該開口を塞ぐ流動性ペーストの露出する面である平面状又は凸曲面状のペースト接合面を形成したペースト充填型枠ユニットを作製する充填工程と、前記充填工程で得られた、ペースト充填型枠ユニットを重ね合わせて、前記連結型枠を形成するとともに、前記連結柱状空洞部の内部において、相互に隣接するペースト充填型枠ユニットのペースト接合面を重ね合わせてこれらペースト接合面を構成する流動性ペースト同士を密着させてペーストの積層体とする積層工程と、前記連結柱状空洞部内部の前記ペーストの積層体を硬化させて硬化体とする硬化工程と、を含み、前記充填工程では、前記積層工程において隣接する型枠ユニットの内部には、異なる種類の硬化性組成物からなる流動性ペーストを充填する、ことを特徴としている。
また、本発明の他の側面は、上述の発明において、前記型枠ユニットには、前記連結型枠の一端に配置される端用型枠ユニットを含み、前記端用型枠ユニットの一方側の開口には、前記柱状空洞部内に充填される流動性ペーストと接触する平坦な接触面を有し、充填された前記流動性ペーストを他方側の開口から押し出すための押出板が、前記柱状空洞部内を進退自在に嵌挿されており、前記充填工程では、前記端用型枠ユニットの前記押出板の接触面より他方側の開口に位置する前記柱状空洞部内に所定量の前記流動性ペーストを密に充填して、一方側の開口である閉鎖側開口が前記押出板で塞がれ、他方側の開口である供給側開口にペースト接合面が形成された端用ペースト充填型枠ユニットを作製し、前記積層工程では、前記押出板を供給側開口に向けて移動させて前記流動性ペーストを押し出して、該流動性ペーストの一部を前記供給側開口から突出せしめた後に、前記端用ペースト充填型枠ユニットに隣接して配置すべき前記ペースト充填型枠ユニットを、その少なくとも1つのペースト接合面を前記端用ペースト充填型枠ユニットのペースト接合面に重ねて、前記両ペースト接合面を構成する前記流動性ペーストを密着させることが好ましい。
また、本発明の他の側面は、上述の発明において、隣接する前記型枠ユニットに充填する流動性ペーストは、色調を異ならせることができる。
また、本発明の他の側面は、上述の発明において、前記型枠ユニットのいずれか一つまたは二つ以上の型枠ユニットの、前記柱状空洞部の母線の長さを、他の柱状空洞部の母線の長さと異ならせることができる。
また、本発明の他の側面は、上述の発明において、前記型枠ユニットが、第一端用型枠ユニットと、第二端用型枠ユニットとを備え、前記充填工程では、前記第一端用型枠ユニットの柱状空洞部と前記第二端用型枠ユニットの柱状空洞部とに、異なる種類の硬化性組成物からなる、所望の形状保持性を有する流動性ペーストを充填し、前記積層工程では、前記第一端用型枠ユニットを鉛直方向の最下層に配置し、前記第二端用型枠ユニットの前記ペースト接合面を前記第一端用型枠ユニットの前記ペースト接合面に重ね合わせることができる。
また、本発明の他の側面は、上述の発明において、前記硬化性組成物が、重合性単量体、無機充填材及び重合開始剤を含み、前記硬化性組成物の総質量に占める前記無機フィラー充填率が60%以上、99%以下であることが好ましい。
また、この発明に係る多層構造の歯科加工用ブランクの製造装置は、少なくとも第一層と第二層とを有する多層構造の歯科加工用ブランクの製造装置において、柱状空洞部を有する筒状体からなる型枠ユニットに、硬化性組成物からなる、所望の形状保持性を有する流動性ペーストを充填する充填具と、前記流動性ペーストが充填された型枠ユニットを、各柱状空洞部の母線が一致するように積層させて保持する積層装置と、を備えていることを特徴としている。
硬化性組成物からなり、所望の形状保持性及び流動性を有するペースト(以下、「流動性ペースト」と称する。)を、型枠ユニットに充填した状態で積層するようにしたので、型枠ユニットごとに色調が異なる流動性ペーストを充填して積層することにより、多層構造の歯科加工用ブランクを製造できる。しかも、無機フィラー充填率が高く流動性の低い流動性ペーストを用いた場合であっても、各層の界面に乱れや空隙等の欠陥を生じさせることがない。
また、型枠ユニットに充填した状態で硬化工程に供することができるから、型枠ユニットに流動性ペーストを充填でき、型枠ユニットとの間に間隙が生ぜず、所望の形状を成形することができる。
この発明の一実施形態に係る多層構造の歯科加工用ブランクの製造方法における積層工程を説明する図である。 歯科加工用ブランクを成形するための型枠ユニットを示す斜視図である。 この発明の一実施形態に係る多層構造の歯科加工用ブランクの製造方法における充填工程に用いられる充填具の一例を示す斜視図であり、流動性ペーストの充填前の状態を示す図である。 充填具を使用して流動性ペーストを充填する状態を示す平面図である。 流動性ペーストが充填された型枠ユニットを型枠ユニットの保持板と共に、離脱させる途中の状態を示す平面図である。 流動性ペーストが充填された型枠ユニットを型枠ユニットの保持板と共に、離脱させた状態を示す斜視図である。 型枠ユニットに流動性ペーストを充填する状態を説明する、充填具の概略断面図である。 この発明の一実施形態に係る多層構造の歯科加工用ブランクの製造方法により二層からなる歯科加工用ブランクを製造するに際して、積層工程に用いられる積層装置の一例を示す斜視図であり、流動性ペーストが充填された型枠ユニットのうちの最下層となるものを、積層装置に配置した状態を示す図である。 積層装置に配置した型枠ユニットから充填された流動性ペーストを突出させた状態を示す斜視図である。 積層装置によって積層された型枠ユニットを示す斜視図である。 積層された型枠ユニットを硬化工程に供する際に、積層された型枠ユニットを保持させる型枠ユニット保持具の一例を示して説明する斜視図である。 三層構造の歯科加工用ブランクを製造する場合の積層工程を説明する図である。 二層構造を備えた歯科加工用ブランクに、切削加工のためのブランク保持ピンを接合させた状態を示す概略の斜視図である。 歯科加工用ブランクが切削されて加工された奥歯用の歯科用補綴物の概略を示す斜視図である。
以下、本発明の好ましい実施の形態に係る多層構造の歯科加工用ブランクの製造方法と製造装置とを、図面を参照して説明する。なお、この実施形態に係る多層構造の歯科加工用ブランク1は、図13に示すように、色調等が異なる第一層1aと第二層1bとによる二層構造について説明する。この歯科加工用ブランク1にブランク保持ピン2が接合され、このブランク保持ピン2を介してCAD/CAMシステムの切削加工装置に固定されて、図14に示すように、歯科用補綴物10に切削加工される。
歯科加工用ブランク1の材料としてハイブリッドレジンを用いる場合は、流動性ペーストとして、単量体と無機充填材とを混練し、必要に応じて重合開始材を含ませて得られた硬化性組成物からなり、所望の形状保持性を有する流動性ペーストが用いられる。流動ペーストの無機フィラー充填率としては、60〜99wt%が好ましく、65〜97wt%である事がより好ましく、70〜95wt%がさらに好ましい。無機充填率を60%以上とすることで流動性が低下するものの、歯科補綴物として優れた物性をもつ歯科用ブランクが得られる。また、歯科加工用ブランク1の製造に先立って、流動性ペーストを真空下に供して脱気して気泡を除去することが好ましい。
なお、歯科加工用ブランク1の材料としては、ハイブリッドレジン以外の非金属材料である、ガラスやジルコニア等のセラミック材料を用いることも可能であり、その場合の流動性ペーストとしては、これら材料の紛体とバインダー成分とを混練したペーストを用いることもできる。歯科加工用ブランクとしてすでに公知の組成物を選定して用いればよい。
また、目的とするブランクの性質を達成するために、上記に対してさらに任意成分を加えても良い。例えば、重合禁止剤、連鎖移動剤、蛍光剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料、抗菌剤、X線造影剤などが挙げられるが、これらによらず歯科用ブランクとして公知の添加材を使用できる。
(型枠ユニット)
図1は二層構造を備えた歯科加工用ブランク1を製造する際に、二つの層を接合させる積層工程を説明する図である。第一層1aと第二層1bとはそれぞれ、第一型枠ユニット3と第二型枠ユニット4とにより形成される。すなわち、これら第一型枠ユニット3と第二型枠ユニット4のそれぞれには、種類の異なる歯科用の硬化性組成物の流動性ペーストPが充填される。
なお、第一層1aと第二層1bとの肉厚が等しい場合には、これら第一層1aと第二層1bとを形成する第一型枠ユニット3と第二型枠ユニット4には、同じ型枠ユニットが用いられる。また、肉厚が異なる場合であっても、これら型枠ユニット3、4の基本的構造は等しいため、図2を参照して第一型枠ユニット3について、以下に説明する。
図2に示すように、第一型枠ユニット3は柱状の空洞部を有した筒状体からなり、この筒状体の両端の開口は閉鎖側開口3bと供給側開口3cとされている。また、閉鎖側開口3bには、この第一型枠ユニット3の空洞部内を筒状体の軸方向に摺動自在とされた平坦な接触面を有する押出板3aが収容される。なお、図1(C)に示すように、第二型枠ユニット4の閉鎖側開口4bには押出板4aが収容されている。これら押出板3a、4aは型枠ユニット3、4に流動性ペーストPが充填された状態で閉鎖側開口3b、4bに位置して、この閉鎖側開口3b、4bを閉じた状態とする。なお、この閉鎖側開口3b、4bとは反対側の供給側開口3c、4cから、後述するように、流動性ペーストPが供給されて、型枠ユニット3、4に充填される。
また、これら第一型枠ユニット3と第二型枠ユニット4とが有する柱状空洞部の母線を一致させて連結させると、連結柱状空洞部が形成される。すなわち、これら第一型枠ユニット3と第二型枠ユニット4とで、型枠キットが構成され、準備工程ではこの型枠キットが用意される。なお、図示のブロック形状だけでなく、目的とするブランク形状に合わせた型枠ユニット形状とすることで、任意の形状のブランクを作製することが可能である。また、図では第一型枠ユニット3及び第二型枠ユニット4として、柱状空洞部がいずれも同一形状となっているものを示したが、空洞部の形状は、母線を一致させて連結したときに連結柱状空洞部が形成される柱状のものであればよく、たとえば、一方または双方が円柱状、更には四角錐台や円錐台形状の連結柱状空洞部であってもよい。柱状空洞部内面にブランク保持ピンの固定・位置決め構造や、切削加工装置への固定構造、その他の機能性を付与するための形状を付与することもできる。
(充填具)
図3〜図7に、型枠ユニット3、4に流動性ペーストPを充填する充填工程に使用される充填具5を模式的に示す。図3に示すように、この充填具5は型枠ユニット3、4を保持する保持板5aと、この保持板5aを収容させて位置決めするほぼU字形の位置決めブロック5bと、この位置決めブロック5bが支持面5c1に取り付けられた充填盤5cとを備えている。
保持板5aには、型枠ユニット3、4を収容する型枠ユニット収容部5dが設けられている。この型枠ユニット収容部5dは保持板5aに設けられた貫通孔で形成されている。なお、この実施形態においては、保持板5aに単一の型枠ユニット収容部5dが形成された構造について説明してあるが、このような配置に限らず、直線上や円周上に複数個を整列させて配したり、行列させて配したりすることでも構わない。これらの配置は充填装置の都合に合わせて適宜設計することができる。
また、保持板5a及び、又は型枠ユニット収容部5dには、位置決めや、前後工程の都合を加味した形状を付与することが好ましく、目的とするブランク形状や、その配列の都合に合わせて適宜設計すれば良い。
一方、位置決めブロック5bは、図3に示されているように、充填盤5cの支持面5c1上に固定されている。位置決めブロック5bのU字形の内側部分が保持板5aの外形形状と対応する構造となって、このU字形の内側部分に保持板5aが保持される。なお。図に示した形状に限らず、保持板5aの形状や装置の都合に合わせて形状を設計することが好ましく、保持板5aの離脱と固定が容易なように都合に合わせて適宜設計すれば良い。例えば、U字形に限らず、V字型とすることやレール等のスライド部材を用いることもできる。さらに、一つの保持板5aに複数個の型枠ユニット収容部5dを形成し、位置決めブロック5bをこの保持板5aを保持する形状とすることもできる。また、位置決めブロック5bを分割させた一対とした構造とすることもでき、この位置決めブロック5bの充填盤5cに対する取付位置を変更して、保持板5aの保持状態を調整することできるようにすることも好ましい。
充填盤5cには、支持面5c1に設けられた開口による充填ノズル5eが配されている。図3と図6、図7(A)に示すように、この充填ノズル5eの開口に向かってペースト流路5c2が形成されている。流路の形状は勾配の無いストレートでも良いが、図7(B)に示すように、充填ノズル5eの開口を上底とする角錐または円錐形状のペースト流路5c3としても良く、流動性ペーストの性質と目的とするブランク形状を加味して、不都合が無いよう適宜設計することが好ましい。なお、充填ノズル5eの開口は図示の円形によらず、開口面積、形状共に適宜設定することができる。例えば、型枠ユニットの開口部と同じ形状とすることも可能である。また、充填ノズル5eは、位置決めブロック5bによって保持された保持板5aの型枠ユニット収容部5dの貫通孔に対応させた位置に配されている。このため、図示しない押出装置から押し出される硬化性組成物の流動性ペーストPは、ペースト流路5c2内を流動して、充填ノズル5eから型枠ユニット収容部5dに収容された型枠ユニット3、4内に供給されることになる。
また、押出板3aは流動性ペーストPの充填に伴われて、図7において徐々に上方に移動し、流動性ペーストPが十分に充填された状態で、図7における上部側の閉鎖側開口3bを閉鎖する。
(積層装置)
流動性ペーストPが充填された型枠ユニット3、4は、これら型枠ユニット3、4の供給側開口3c、4cを突き合わせて、充填された流動性ペーストPを積層することになる。図8〜図10に、第一型枠ユニット3、4に充填された硬化性組成物の流動性ペーストPを積層させる積層工程で使用される積層装置6を、模式的に示す。なお、生産性や効率の観点を考慮して、積層装置の構造を適宜設計することが好ましい。各型枠ユニット3、4の位置を保持しつつ積層することが可能であれば、図示のようなピンによる保持構造や配置に限らない。直線上や円周上に複数個を整列させたり、より多くを行列させて配したりしても良い。
積層装置6は、図8に示すように、型枠ユニット3、4を載置させて保持する保持板6aとこの保持板6aの下面と重なる押上板6bとが主要な構成要素として備えられている。
保持板6aには、各型枠ユニット3、4の保持構造として4本を1組とする位置決めピン6a1が植設されており、その位置決めピン6a1は第一型枠ユニット3、4の側面に対向して、第一型枠ユニット3、4の位置を規制する。なお、隣接して位置する型枠ユニット3、4の間に位置する位置決めピン6a1は、図8〜図10の例示においては、隣接する型枠ユニット3、4の保持構造に共通とされている。保持構造としては図示の構造によらず、ピンや円柱の他に、角柱、平板、L字アングル、レール状など、型枠ユニット3、4の形状に合わせて、十分に保持できる構造であることが好ましい。
図8には、第一型枠ユニット3を保持板6aに載置させた状態が示されており、この第一型枠ユニット3に、後述するように、第二型枠ユニット4が載置される。なお、第二型枠ユニット4を保持板6aに載置させて、この第二型枠ユニット4に第一型枠ユニット3を積層させることでも構わない。
また、型枠ユニット3、4が位置する部分であって、型枠ユニット3、4を位置決めする4本の決めピン6a1で囲まれた部分の中央部には、保持板6aを貫通する透孔6a2が設けられている。
また、押上板6bには、透孔6a2に挿抜可能な押上ロッド6b1が植設されている。そして、保持板6aと押上板6bとが重ねられた状態では、この押上ロッド6b1の先端部が、後述する作用を果たすのに十分な程度で、保持板6aの上面から突出する。透孔6a2と押上ロッド6b1の寸法や形状、配置は、目的とするブランクの形状や保持板6aで保持する際の配置等の状況に合わせて適宜設計することができる。
(型枠ユニット保持装置)
第一型枠ユニット3と第二型枠ユニット4とが重ねられて、充填された流動性ペーストPが硬化されることによって、多層構造の歯科加工用ブランク1に形成される。これら流動性ペーストPを硬化する際には、例えば、図11に一例を示すような、型枠ユニット保持装置7を用いることができる。この型枠ユニット保持装置7は、型枠ユニット3、4を受容する一対の保持枠7a、7bを備えている。一対の保持枠7a、7bは、それぞれ断面が型枠ユニットの外形を保持できる形状に形成され、その開放側を対向させて、底板7cに立設させて取り付けられている。この保持枠7a、7bの内側には、型枠ユニット3、4を積み重ねた状態で保持させることができる。そして、型枠ユニット3、4を底板7cに対して押圧する押圧ブロック7dが保持枠7a、7bの上部に着脱自在に取り付けられる。なお、この押圧ブロック7dは、ボルト7eとナット7fの組み合わせやその他の構造による固定手段により固定される。図11に示すように、一組の型枠ユニット3、4を重ねた状態で固定する以外にも、複数の組を直線や平面上に整列させたように固定することも可能であり、目的とするブランクの形状や固定方法に合わせた設計の型枠ユニット保持装置を用いれば良い。
そして、型枠ユニット保持装置7によって固定された型枠ユニット3、4を硬化工程に供することになる。
(歯科加工用ブロックの製造工程)
次に、二層構造の歯科加工用ブランク1を製造する工程を説明する。
(充填工程)
充填具5の保持板5aの型枠ユニット収容部5dに、第一型枠ユニット3を保持させる。次いで、図4に示すように、第一型枠ユニット3を保持させた保持板5aを、位置決めブロック5bのU字形の内側に収まるようにして、位置決めブロック5bに保持させる。この状態で、第一型枠ユニット3の空洞部に、支持面5c1に配された充填ノズル5eが対向して位置する。そして、充填盤5cの下方に接続させた図示しない射出装置によって、硬化性組成物からなる歯科加工用ブランク1の材料の流動性ペーストPがペースト流路5c2を通り第一型枠ユニット3内に充填される。流動性ペーストPの充填量が増加するに応じて、第一型枠ユニット3の供給側開口3cに位置していた押出板3aが、図7に示すように、徐々に押し上げられて、閉鎖側開口3bへ向かって移動する。押出板3aが閉鎖側開口3bに移動した状態では、所定量の流動性ペーストPが第一型枠ユニット3に充填された状態となって、端用ペースト充填型枠ユニットが作製される。
所定量の流動性ペーストPが充填されてペースト充填型枠ユニットとなった第一型枠ユニット3を、保持板5aと共に位置決めブロック5bから離脱させる。このとき、図5と図6に示すように、保持板5aを、位置決めブロック5bのU字形の内側の壁面に案内させながらこのU字形の開放側から引き出すように移動させ、保持板5aの下面が充填盤5cの支持面5c1を擦過するように摺動させて、保持板5aを充填盤5cから離脱させる。このように保持板5aが支持面5c1を擦過することにより、図1(A)に示すような、流動性ペーストPの表面には、平面状のペースト接合面Paが形成される。
第二型枠ユニット4にも、第一型枠ユニット3の場合と同様にして流動性ペーストPを充填して、図1(C)に示すような、平面状のペースト接合面Paが形成される。
(積層工程)
流動性ペーストが充填された第一型枠ユニット3を、図8に示すように、積層装置6の保持板6aの位置決めピン6a1で規制された位置に、閉鎖側開口3bを保持板6aの上面に対向させて配置する。この実施形態では、第一型枠ユニット3が鉛直方向の最下層に配置されたものとなる。次いで、図1(A)に示すように、保持板6aの透孔6a2に押上板6bの押上ロッド6b1を挿入させて、押上板6bを保持板5aに接近させる。押上板6bが保持板6aに重なる状態となると、押上ロッド6b1の先端部が保持板6aの上面から突出して、第一型枠ユニット3内に配された押出板3aを押し上げる。これにより、図1(B)と図9に示すように、第一型枠ユニット3に充填された流動性ペーストPの一部が、供給側開口3cから突出し、例えば、平面状や凸曲面状のペースト接合面Paが形成される。このとき、流動性ペーストPが第一型枠ユニット3から溢出又は零出することがない位置まで突出するように、押上ロッド6b1の突出量を定めればよい。
流動性ペーストPのペースト接合面Paが突出した状態の第一型枠ユニット3に、図1(C)に示すように、供給側開口4cを供給側開口3cに対向させ、第二型枠ユニット4を第一型枠ユニット3に押しつける。これにより、図1(D)と図10に示すように、第一型枠ユニット3と第二型枠ユニット4とを重ね合わせる。第二型枠ユニット4を重ねる際には、第一型枠ユニット3の供給側開口3cから突出していた流動性ペーストPのペースト接合面Paを第二型枠ユニット4内の流動性ペーストPのペースト接合面Paが押し込むため、予め押上ロッド6b1を保持板6aの上面に突出することのない位置まで下降させておく。これにより、第二型枠ユニット4を第一型枠ユニット3に重ねる際に、第二型枠ユニット4内の流動性ペーストPが第一型枠ユニット3内の流動性ペーストPを押し込んで、これらの流動性ペーストPを円滑に合体させることができる。しかも、第一型枠ユニット3内の流動性ペーストPのペースト接合面Paが突出しているので、第二型枠ユニット4内の流動性ペーストPのペースト接合面Paとの間に空気が混入することを抑制できる。このため、これらの流動性ペーストを確実に一体化させることができる。これにより、第一型枠ユニット3内の流動性ペーストPと第二型枠ユニット4内の流動性ペーストPとの界面が整った二層構造となる。
次に、第一型枠ユニット3と第二型枠ユニット4とが一体化した組み合わせを、図11に例示するような、型枠ユニット保持装置7に積み重ねて保持させる。このとき、保持枠7a、7bに積み重ねられて収容された型枠ユニット3、4を、押圧ブロック7dで押圧して固定する。この固定された型枠ユニット3、4に充填された流動性ペーストPを硬化することにより、これらの流動性ペーストPが一体化して硬化して硬化体となり、色調等の異なる二層構造の歯科加工用ブランク1が形作られる。硬化の方法としては、ハイブリッドレジンに対しては熱や光といったエネルギーにより重合硬化させる方法等の存知の方法を用いることができる。ガラスやジルコニア等のセラミック組成物に対しては焼結を行うことによって一塊の形状に硬化させることができる。焼結の条件は組成物の種類に合わせて存知のものを用いれば良い。
その後、硬化された二層の流動性ペーストPを型枠ユニット3、4から取り出し、必要に応じてバリ等の除去や、表面を滑らかにするための研磨処理、面だし、印字、熱処理などの後処理を行うことにより、二層構造の歯科加工用ブランク1が製造される。
そして、製造された歯科加工用ブランク1に、必要に応じて図13に示すように、ブランク保持ピン2を接着剤等で接着させれば、図14に示すような歯科用補綴物10を切削加工するための歯科加工用ブランク1の製品となる。ブランク保持ピンは、切削加工機にブランクを固定できるような形状のものであれば特に制限はなく、ブランクの形状と加工機の要求によっては具備されなくともよい。ブランク保持ピンの材質は、ステンレス、真鍮、アルミニウムなどが使用される。ブランク保持ピンの歯科切削加工用レジン材料への固定方法は前記の接着によらず、はめ込み、ネジ止め等の方法でよく、上記接着方法についても特に制限はなく、イソシアネート系、エポキシ系、ウレタン系、シリコーン系、アクリル系等の各種市販の接着材を使用することができる。
(三層以上の層構造の歯科加工用ブロックの製造)
以上に説明した実施形態では、二層構造の歯科加工用ブランク1を製造する場合を説明した。次に、三層以上の層構造を備えている歯科加工用ブランク1を製造する場合について、図12を参照して説明する。なお、図12は三層構造の歯科加工用ブランク1を製造する場合の、積層工程を説明する図であり、図1に相当する図である。
三層以上の構造の歯科加工用ブランク1を製造する場合には、前述した型枠ユニット3、4と同様に、押出板21aを有する第一端用型枠ユニット21と、押出板22aを有する第二端用型枠ユニット22とを準備する。これら第一端用型枠ユニット21と第二端用型枠ユニット22との間に、中間用型枠ユニット23が配される。そして、これら三つの型枠ユニット21〜23が連結されることにより連結型枠となる。また、これら型枠ユニット21〜23のそれぞれが有する柱状空洞部が連続することで、連結した柱状の空洞部を有する連結キットが構成される。なお、中間用型枠ユニット23には押出板21a、22aに相当する押出板は備えられていない。すなわち、これら第一端用型枠ユニット21と第二端用型枠ユニット22、中間用型枠ユニット23とのそれぞれで色調等が異なる層が形成される。
そして、前述と同様に、それぞれの型枠ユニット21〜23に充填具5によって流動性ペーストが充填されて、それぞれの型枠ユニット21〜23によりペースト充填型枠ユニットが作製される。
これら型枠ユニット21〜23を積層させる工程を、図12を参照して説明する。まず、積層装置6の保持板6aに第一端用型枠ユニット21を配し、この第一端用型枠ユニット21に中間用型枠ユニット23を重ねる。この状態で、押上板6bを保持板6aに接近させて、透孔6a2に挿入された押上ロッド6b1の上端部を保持板6aの上面から突出させると、図12(A)に示すように、第一端用型枠ユニット21の押出板21aが押し上げられる。これにより、第一端用型枠ユニット21内の流動性ペーストPが上方に突出し、さらに中間用型枠ユニット23内の流動性ペーストPが上方に突出する。このため、中間用型枠ユニット23の流動性ペーストPが上方に突出した部分の上面がペースト接合面Paとなる。なお、中間用型枠ユニット23を第一端用型枠ユニット21に重ねるに先立って、第一端用型枠ユニット21内の流動性ペーストPを押し上げて凸曲面状等のペースト接合面Paを形成し、これに中間用型枠ユニット23内の流動性ペーストPを積層すれば、第一端用型枠ユニット21内の流動性ペーストPのペースト接合面Paと中間用型枠ユニット23内の流動性ペーストPのペースト接合面Paとの間に空気が混入しないので好ましい。
次に、図12(B)と図12(C)とに示すように、第一端用型枠ユニット21に積み重ねられた中間用型枠ユニット23の上側に第二端用型枠ユニット22を載置して、押しつける。このとき、図12(B)に示すように、押上ロッド6b1を保持板6aの上面から突出することのない位置まで押上板6bを保持板6aから離隔させる。この状態で、第二端用型枠ユニット22を中間用型枠ユニット23に押しつける。このため、図12(C)に示すように、第一端用型枠ユニット21内の流動性ペーストPと中間用型枠ユニット23内の流動性ペーストPとが一体化され、さらに中間用型枠ユニット23内の流動性ペーストPと第二端用型枠ユニット22内の流動性ペーストPとが一体化される。これにより、界面が整った三層構造となる。
この三層構造となった型枠ユニット21〜23を、図11に例示する型枠ユニット保持装置7に供して保持させ、硬化させる。これによりこれらの流動性ペーストPが一体化して硬化し、三層構造の歯科加工用ブランク1が形作られる。
次いで、硬化された三層の流動性ペーストを型枠ユニット21〜23から取り出し、必要に応じてバリ等の除去や、研磨処理といった後工程を行うことにより、三層構造の歯科加工用ブランク1を得られる。
そして、製造された歯科加工用ブランク1に、図13に示すように、ブランク保持ピン2を接着剤等で接着させれば、図14に示すような歯科用補綴物10を切削加工するための歯科加工用ブランク1の製品となる。
なお、図12には三層構造を備えた歯科加工用ブランク1について説明したが、四層以上の構造の歯科加工用ブランク1を製造する場合には、中間用型枠ユニット23と同様な中間用型枠ユニットを増やすことで、所望の層構造の歯科加工用ブランク1を製造することができる。
また、この実施形態では、製造装置として、充填具5と積層装置6、型枠ユニット保持装置7とを用いて説明したが、充填工程や積層工程、硬化工程に用いられる装置としては、これらの構造を備えた装置に限られない。
また、積層されるそれぞれの層を形成する流動性ペーストは、色調が異なるものとすることができ、さらに、歯の欠損部に使用される歯科用補綴物10に要求される性質のものとすることができ、性質の異なる層を有する構造とすることができる。
製造装置に用いられる材質としては、用途に応じて適した材質を適宜選定して使用する事ができる。例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金、ステンレス、鉄、真鍮といった金属材料や、ポリプロピレン、ポリエチレン、ウレタン、POM、PEK、PEKK、PEEK等といった熱硬化性や熱可塑性を有するプラスチック材料や、シリコンゴム等のエラストマー材料、その他にもセラミック系の材料等が挙げられるが、上記の記載に留まらず公知の材料を、使用する部材に求められる物性や必要とされる部材の精度に応じて適宜選択することが好ましい。
さらに、必要に応じて装置部材の後処理を行う事が好ましい。研磨や表面処理等の後処理によって部材の耐久性や、機能性を向上することができる。
1 歯科加工用ブロック
1a 第一層
1b 第二層
2 ブランク保持ピン
3 第一型枠ユニット
3a 押出板
3b 閉鎖側開口
3c 供給側開口
4 第二型枠ユニット
4a 押出板
4b 閉鎖側開口
4c 供給側開口
5 充填具
5a 保持板
5a1 突出部
5b 位置決めブロック
5b1 段部
5c 充填盤
5c1 支持面
5c2 ペースト流路
5c3 ペースト流路
5d 型枠ユニット収容部
5e 充填ノズル
6 積層装置
6a 保持板
6a1 位置決めピン
6a2 透孔
6b 押上板
6b1 押上ロッド
7 型枠ユニット保持装置
7a、7b 保持枠
7c 底板
7d 押圧ブロック
10 歯科用補綴物
21 第一端用型枠ユニット
22 第二端用型枠ユニット
23 中間用型枠ユニット
21a 押出板
22a 押出板
P 流動性ペースト
Pa ペースト接合面

Claims (9)

  1. 少なくとも第一層と第二層とを有する多層構造の歯科加工用ブランクの製造方法において、
    少なくとも一面が開口された型枠ユニットである第一型枠ユニットに、第一層が成形される、硬化性組成物からなり、所望の形状保持性を有する第一の流動性ペーストを充填すると共に、少なくとも一面が開口された型枠ユニットである第二型枠ユニットに、第二層が成形される、硬化性組成物からなり、所望の形状保持性を有する第二の流動性ペーストを充填する充填工程、
    前記第一型枠ユニットと前記第二型枠ユニットの開口部同士を合わせて、前記第一の流動性ペーストと前記第二の流動性ペーストを密着させて接合させて、少なくとも前記第一の流動性ペーストからなる第一層及び第二の流動性ペーストからなる第二層を含む多層構造の積層体を得る積層工程、
    及び
    前記多層構造の積層体を硬化させる硬化工程、
    を含むことを特徴とする多層構造の歯科加工用ブランクの製造方法。
  2. 請求項1に記載の多層構造の歯科加工用ブランクの製造方法であって、
    前記第一型枠ユニットと第二型枠ユニットに充填する流動性ペーストは色調が異なる、
    ことを特徴とする多層構造の歯科加工用ブランクの製造方法。
  3. 多層構造の歯科加工用ブランクの製造方法において、
    型枠ユニットの組み合わせからなり、これらの型枠ユニットを連結することにより1つの連結型枠を形成できる型枠キットであって、
    前記型枠ユニットの各々は、何れも柱状空洞部を有する筒状体からなり、
    前記連結型枠は、前記型枠ユニットの各々を、各柱状空洞部の母線が一致するように重ねて連結することにより形成され、各柱状空洞部が連結された連結柱状空洞部を内部に有する、
    前記型枠キットの準備工程と、
    前記型枠ユニットの各々の内部に、硬化性組成物からなり、所望の形状保持性を有する流動性ペーストを充填して、型枠ユニットの一方又は両方の端部開口に、当該開口を塞ぐ流動性ペーストの露出する面である平面状又は凸曲面状のペースト接合面を形成したペースト充填型枠ユニットを作製する充填工程と、
    前記充填工程で得られた、ペースト充填型枠ユニットを重ね合わせて、前記連結型枠を形成するとともに、前記連結柱状空洞部の内部において、相互に隣接するペースト充填型枠ユニットのペースト接合面を重ね合わせてこれらペースト接合面を構成する流動性ペースト同士を密着させてペーストの積層体とする積層工程と、
    前記連結柱状空洞部内部の前記ペーストの積層体を硬化させて硬化体とする硬化工程と、
    を含み、
    前記充填工程では、前記積層工程において隣接する型枠ユニットの内部には、異なる種類の硬化性組成物からなる流動性ペーストを充填する、
    ことを特徴とする多層構造の歯科加工用ブランクの製造方法。
  4. 請求項3に記載の歯科加工用ブランクの製造方法であって、
    前記型枠ユニットには、前記連結型枠の一端に配置される端用型枠ユニットを含み、前記端用型枠ユニットの一方側の開口には、前記柱状空洞部内に充填される流動性ペーストと接触する平坦な接触面を有し、充填された前記流動性ペーストを他方側の開口から押し出すための押出板が、前記柱状空洞部内を進退自在に嵌挿されており、
    前記充填工程では、前記端用型枠ユニットの前記押出板の接触面より他方側の開口に位置する前記柱状空洞部内に所定量の前記流動性ペーストを密に充填して、一方側の開口である閉鎖側開口が前記押出板で塞がれ、他方側の開口である供給側開口にペースト接合面が形成された端用ペースト充填型枠ユニットを作製し、
    前記積層工程では、前記押出板を供給側開口に向けて移動させて前記流動性ペーストを押し出して、該流動性ペーストの一部を前記他方側開口から突出せしめた後に、前記端用ペースト充填型枠ユニットに隣接して配置すべき前記ペースト充填型枠ユニットを、その少なくとも1つのペースト接合面を前記端用ペースト充填型枠ユニットのペースト接合面に重ねて、前記両ペースト接合面を構成する前記流動性ペーストを密着させる、
    ことを特徴とする歯科加工用ブランクの製造方法。
  5. 請求項3または請求項4に記載の多層構造の歯科加工用ブランクの製造方法であって、
    隣接する前記型枠ユニットに充填する流動性ペーストは色調が異なる、
    ことを特徴とする多層構造の歯科加工用ブランクの製造方法。
  6. 請求項3から請求項5のいずれか一項に記載の多層構造の歯科加工用ブランクの製造方法であって、
    前記型枠ユニットのいずれか一つまたは二つ以上の型枠ユニットの、前記柱状空洞部の母線の長さが、他の柱状空洞部の母線の長さと異なっている、
    ことを特徴とする多層構造の歯科加工用ブランクの製造方法。
  7. 請求項3から請求項6までのいずれか一項に記載の多層構造の歯科加工用ブランクの製造方法であって、
    前記型枠ユニットが、第一端用型枠ユニットと、第二端用型枠ユニットとを備え、
    前記充填工程では、前記第一端用型枠ユニットの柱状空洞部と前記第二端用型枠ユニットの柱状空洞部とに、異なる種類の硬化性組成物からなる、所望の形状保持性を有する流動性ペーストを充填し、
    前記積層工程では、前記第一端用型枠ユニットを鉛直方向の最下層に配置し、前記第二端用型枠ユニットの前記ペースト接合面を前記第一端用型枠ユニットの前記ペースト接合面に重ね合わせる、
    ことを特徴とする多層構造の歯科加工用ブランクの製造方法。
  8. 請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の多層構造の歯科加工用ブランクの製造方法であって、
    前記硬化性組成物が、重合性単量体、無機充填材及び重合開始剤を含み、前記硬化性組成物の総質量に占める無機フィラー充填率が60%以上、99%以下である、
    ことを特徴とする多層構造の歯科加工用ブランクの製造方法。
  9. 少なくとも第一層と第二層とを有する多層構造の歯科加工用ブランクの製造装置において、
    柱状空洞部を有する筒状体からなる型枠ユニットに、硬化性組成物からなる、所望の形状保持性を有する流動性ペーストを充填する充填具と、
    前記流動性ペーストが充填された型枠ユニットを、各柱状空洞部の母線が一致するように積層させて保持する積層装置と、
    を備えていることを特徴とする多層構造の歯科加工用ブランクの製造装置。
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