以下、本発明に係る電圧検出装置を具体化した実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本発明に係る電圧検出装置20は、例えばハイブリッド自動車又は電気自動車に搭載される電源システム100に適用される。
図1に示すように、本実施形態の電源システム100は、組電池10と、フライングキャパシタ方式の電圧検出装置20とを備える。
組電池10は、車両の図示しない走行用の回転電機を含む車載電気負荷の電力供給源となる。組電池10は、単電池としての電池セルの直列接続体を備えており、端子間電圧が例えば数百Vとなるものである。電池セルとしては、例えば、リチウムイオン電池又はニッケル水素蓄電池等の蓄電池を用いることができる。
本実施形態では、組電池10を構成する電池セルのうち、少なくとも1つの電池セルを含むように分割されることにより、電池モジュールBが構成される。組電池10は、複数の電池モジュールBの直列接続体を有する。本実施形態では、説明の便宜上、組電池10が8個の電池モジュールBを備えることとする。以降、本実施形態では、組電池10を構成する電池モジュールBのうち、最も高電位側の電池モジュールBから順に、第1電池モジュールB1、第2電池モジュールB2、…、第8電池モジュールB8と称すこととする。各電池モジュールB1〜B8は、互いに同数の電池セルを備えており、定格電圧が互いに同一である。電池モジュールBの定格電圧は、例えば50Vである。
本実施形態では、各電池モジュールB1〜B8が第1〜第6検出ブロックA1〜A6に分割される。各検出ブロックA1〜A6は、少なくとも1個の電池モジュールB1〜B8を含む。具体的には、第1検出ブロックA1は、第1電池モジュールB1を含む。第2検出ブロックA2は、第2電池モジュールB2を含む。第3検出ブロックA3は、第3,第4電池モジュールB3,B4の直列接続体を含む。第4検出ブロックA4は、第5,第6電池モジュールB5,B6の直列接続体を含む。第5検出ブロックA5は、第7電池モジュールB7を含む。第6検出ブロックA6は、第8電池モジュールB8を含む。
組電池10には、第1〜第7電極端子T1〜T7が設けられる。電極端子T1〜T7の数は、検出ブロックA1〜A6の数よりも1だけ多い。mを1〜6までの整数とする場合、第m検出ブロックAmの正極端子には、第m電極端子Tmが接続される。また、第m検出ブロックAmの負極端子には、第m+1電極端子Tm+1が接続される。
電圧検出装置20は、抵抗部21、入力側スイッチ部22、キャパシタ部23、出力側スイッチ部24、電圧検出部25、電圧印加部26、及び制御部27を備える。
抵抗部21は、組電池10と入力側スイッチ部22との間に設けられる。nを1〜7までの整数とする場合、抵抗部21は、各電極端子Tnに接続される検出ラインLn上に個別に設けた複数の電流制限抵抗RLを備える。各電流制限抵抗RLは、組電池10(高圧側)から入力側スイッチ部22(低圧側)に、突入電流が流れることを防止するためのものであり、抵抗値が互いに同一である。
入力側スイッチ部22は、抵抗部21とキャパシタ部23との間に設けられており、各検出ラインLnに個別に接続される第1〜第7スイッチSW1〜SW7を備える。入力側スイッチ部22の各スイッチSWn(以下、単に各スイッチSWnという)は、電極端子Tnとキャパシタ部23との接続状態を切り替える。各スイッチSWnとしては、例えば、フォトモスリレー等の高耐圧のスイッチング素子を用いることができる。
キャパシタ部23は、1個のキャパシタCAを有する。つまり、電圧検出装置20は、シングルフライングキャパシタ方式の電圧検出装置である。キャパシタCAには接続端子として第1,第2端子N1,N2が設けられている。組電池10の各電極端子Tnは、各スイッチSWnを介して、これらの端子N1,N2の一方に接続される。
第1端子N1には、第1〜第7電極端子T1〜T7のうち、第1,第3,第5,第7電極端子T1,T3,T5,T7が接続される。第2,第4,第6電極端子T2,T4,T6が接続される。第2端子N2には、第2,第4,第6電極端子T2,T4,T6が接続される。つまり、各スイッチSW1〜SW7は、各検出ブロックA1〜A6をキャパシタCAに並列接続し、各検出ブロックA1〜A6とキャパシタCAとの間を開閉する。
上記のように接続されることにより、キャパシタCAの電圧の極性が、正極性と負極性とで切り替わる。ここで、正極性は、キャパシタCAの第1端子N1の電圧が第2端子N2の電圧よりも高くなる極性であり、第1,第3,第5検出ブロックA1,A3,A5とキャパシタCAとが接続される場合に、キャパシタCAの電圧の極性が正極性となる。また、負極性は、キャパシタCAの第1端子N1の電圧が第2端子N2の電圧よりも低くなる極性であり、例えば第2,第4,第6検出ブロックA2,A4,A6とキャパシタCAとが接続される場合に、キャパシタCAの電圧の極性が負極性となる。つまり、入力側スイッチ部22は、キャパシタCAの電圧の極性が正極性と負極性とで切り替わるように、各検出ブロックA1〜A6とキャパシタCAとを接続する。
出力側スイッチ部24は、キャパシタ部23と電圧検出部25との間に設けられており、キャパシタCAの第1,第2端子N1,N2に接続された第1,第2出力側スイッチSWA,SWBを備える。各出力側スイッチSWA,SWBは、キャパシタCAと電圧検出部25との間を開閉する。第1出力側スイッチSWAには、正側接続線LAが接続されており、第2出力側スイッチSWBには、負側接続線LBが接続されている。出力側スイッチSWA,SWBとしては、例えば、フォトモスリレー等の高耐圧のスイッチング素子を用いることができる。なお、本実施形態において、正側接続線LAが「第1接続線」に相当し、負側接続線LBが「第2接続線」に相当する。
電圧印加部26は、出力側スイッチ部24と電圧検出部25との間に設けられており、第1,第2高圧印加スイッチSWC,SWF及び第1,第2低圧印加スイッチSWD,SWEを備える。第1高圧印加スイッチSWCは、正側接続線LAと電源30との間に設けられており、正側接続線LAと電源30との間を開閉する。これにより、正側接続線LAに電源30の電源電圧VDDが印加される状態と、印加されない状態とが切り替わる。なお、本実施形態において、第1高圧印加スイッチSWCが「第1印加スイッチ」に相当し、電源電圧VDDが「所定の高電圧」に相当する。
第1低圧印加スイッチSWDは、負側接続線LBとグランドとの間に設けられており、負側接続線LBとグランドとの間を開閉する。これにより、負側接続線LBに接地電圧(0V)が印加される状態と、印加されない状態とが切り替わる。なお、本実施形態において、第1低圧印加スイッチSWDが「第2印加スイッチ」に相当し、接地電圧が「所定の低電圧」に相当する。
第2低圧印加スイッチSWEは、正側接続線LAとグランドとの間に設けられており、正側接続線LAとグランドとの間を開閉する。これにより、正側接続線LAに接地電圧が印加される状態と、印加されない状態とが切り替わる。なお、本実施形態において、第2低圧印加スイッチSWEが「第3印加スイッチ」に相当する。
第2高圧印加スイッチSWFは、負側接続線LBと電源30との間に設けられており、負側接続線LBと電源30との間を開閉する。これにより、負側接続線LBに電源電圧VDDが印加される状態と、印加されない状態とが切り替わる。なお、本実施形態において、第2高圧印加スイッチSWFが「第4印加スイッチ」に相当する。
各印加スイッチSWC〜SWFには、電源電圧VDD又は接地電圧が印加され、これらの電圧差の絶対値、つまり電源電圧VDDは、例えば5Vである。電源電圧VDDは、各検出ブロックA1〜A6の定格電圧(50V,100V)よりも低い値に設定されており、これにより、各印加スイッチSWC〜SWFとしては、例えば、CMOSスイッチ等の低耐圧のスイッチング素子を用いることができる。
電圧検出部25は、電圧印加部26と制御部27との間に設けられている。図2に示すように、電圧検出部25は、第1差動電圧検出回路25A、第2差動電圧検出回路25B、及び基準電圧供給回路25Cを有する。第1差動電圧検出回路25Aと第2差動電圧検出回路25Bとは、キャパシタCAに対して並列接続され、キャパシタCAの電圧を検出する。
各差動電圧検出回路25A,25Bは、差動増幅回路である。具体的には、第1差動電圧検出回路25Aは、第1オペアンプ28と第1〜第4抵抗器R1〜R4とを備えている。第1オペアンプ28の正極側入力端子28Aは、第1抵抗器R1を介して正側接続線LAに接続されているとともに、第3抵抗器R3を介して第1オペアンプ28の出力端子28Cに接続されている。第1オペアンプ28の負極側入力端子28Bは、第2抵抗器R2を介して負側接続線LBに接続されているとともに、第4抵抗器R4を介して基準電圧供給回路25Cに接続されている。
第1差動電圧検出回路25Aは、所定の第1増幅率でキャパシタCAの電圧を増幅する。具体的には、第1差動電圧検出回路25Aは、キャパシタCAの電圧を、0Vから5Vまでの電圧範囲内に設定された第1出力レンジ内の第1差動電圧VAに増幅する。出力端子28Cは制御部27に接続されており、第1差動電圧検出回路25Aは、第1差動電圧VAを制御部27に出力する。
第1差動電圧検出回路25Aは、キャパシタCAの電圧の極性が正極性となる場合のキャパシタCAの電圧を検出する。具体的には、第1差動電圧検出回路25Aは、キャパシタCAが第1,第3,第5検出ブロックA1,A3,A5により充電された場合のキャパシタCAの電圧を検出し、検出したキャパシタCAの電圧に基づく第1差動電圧VAを制御部27に出力する。
第2差動電圧検出回路25Bは、第2オペアンプ29と第5〜第8抵抗器R5〜R8とを備えている。第2オペアンプ29の正極側入力端子29Aは、第5抵抗器R5を介して正側接続線LAに接続されているとともに、第7抵抗器R7を介して第2オペアンプ29の出力端子29Cに接続されている。第2オペアンプ29の負極側入力端子29Bは、第6抵抗器R6を介して負側接続線LBに接続されているとともに、第8抵抗器R8を介して基準電圧供給回路25Cに接続されている。つまり、第1,第2差動電圧検出回路25A,25Bは同極性で動作するようにキャパシタCAに接続されている。
第2差動電圧検出回路25Bは、所定の第2増幅率でキャパシタCAの電圧を増幅する。具体的には、第2差動電圧検出回路25Bは、キャパシタCAの電圧を第2出力レンジ内の第2差動電圧VBに増幅する。本実施形態において、第2出力レンジは、第1出力レンジと同じ0Vから5Vまでの電圧範囲に設定されている。出力端子29Cは制御部27に接続されており、第2差動電圧検出回路25Bは、第2差動電圧VBを制御部27に出力する。
第2差動電圧検出回路25Bは、キャパシタCAの電圧の極性が負極性となる場合のキャパシタCAの電圧を検出する。具体的には、第2差動電圧検出回路25Bは、キャパシタCAが第2,第4,第6検出ブロックA2,A4,A6により充電された場合のキャパシタCAの電圧を検出し、検出したキャパシタCAの電圧に基づく第2差動電圧VBを制御部27に出力する。
基準電圧供給回路25Cは、第1オペアンプ28の負極側入力端子28Bと、第2オペアンプ29の負極側入力端子29Bとに、共通の基準電圧REFを供給する。基準電圧REFは、例えば接地電圧である。
制御部27は、CPU、メモリ等からなるマイクロコンピュータである。制御部27は、各スイッチSWnの開閉、各出力側スイッチSWA,SWBの開閉、各印加スイッチSWC〜SWFの開閉、及び電圧検出部25の検出タイミングTD(図5参照)を制御する。これにより、制御部27は、キャパシタCAと電圧検出部25とを電気的に絶縁した状態で、組電池10の各検出ブロックA1〜A6を用いてキャパシタCAを充電する第1充電処理や、組電池10とキャパシタCAとを電気的に絶縁した状態で、電圧検出部25から出力された第1,第2差動電圧VA,VBに基づいて各検出ブロックA1〜A6の電圧を取得する取得処理を含む電圧検出処理を実施する。
この電圧検出処理には、キャパシタCAと電圧検出部25とを電気的に絶縁した状態で、電源電圧VDDや接地電圧に基づいて電圧検出部25の故障を判定する検出部故障判定処理や、組電池10とキャパシタCAとを電気的に絶縁した状態で、電源30によりキャパシタCAを充電する第2充電処理や、正側,負側接続線LA,LBと電源30及びグランドとを電気的に絶縁した状態で、電圧検出部25から出力された第1,第2差動電圧VA,VBに基づいてキャパシタCAのリーク故障を判定するリーク故障判定処理が含まれる。
続いて、図3を用いて、本実施形態に係る電圧検出処理について説明する。ここで、図3は、上記処理の手順を示すフローチャートである。この処理は、制御部27によって、例えば所定周期で繰り返し実行される。なお、電圧検出処理の開始時において、各スイッチSWn、各出力側スイッチSWA,SWB、及び各印加スイッチSWC〜SWFは開状態に切り替えられている。
この一連の処理では、まずステップS10において、校正期間HCであるかを判定する。図4に、電圧検出処理のタイムスケジュールを示す。図4に示すように、本実施形態では、電圧検出処理において、第1〜第6検出ブロックA1〜A6それぞれの電圧がこの順に取得されるとともに、これらの電圧の取得後に電圧検出装置20が校正される。電圧検出装置20の校正には、キャパシタ部23の故障判定が含まれる。そのため、電圧検出処理が実施される処理期間HAには、6つの検出期間HBと1つの校正期間HCとが含まれる。
ステップS10で否定判定すると、つまり検出期間HBである場合、検出対象の検出ブロックA1〜A6を用いてキャパシタCAを充電する第1充電処理と、電圧検出部25を用いて検出対象の検出ブロックA1〜A6の電圧を取得する取得処理と、を実施する。以下では、検出対象が第1検出ブロックA1である例を説明する。
具体的には、ステップS12において、第1充電処理を実施する。この第1充電処理では、第1検出ブロックA1の両側に接続される第1,第2スイッチSW1,SW2を閉状態に切り替え、第1検出ブロックA1を用いてキャパシタCAを充電する。所定の充電期間後、ステップS14において、第1,第2スイッチSW1,SW2を開状態に切り替える。
第1,第2スイッチSW1,SW2を開状態に切り替えると、取得処理を実施する。具体的には、ステップS16において、各出力側スイッチSWA,SWBを閉状態に切り替える。これにより、電圧検出部25を用いてキャパシタCAの電圧が取得可能となる。続くステップS18において、キャパシタCAの電圧、つまり第1検出ブロックA1の電圧である第1電圧V1を取得する(図5参照)。第1電圧V1の取得後、ステップS20において、各出力側スイッチSWA,SWBを開状態に切り替える。
ステップS22において、ステップS18で取得された第1電圧V1に基づいて第1検出ブロックA1の電圧を取得し、電圧検出処理を終了する。
一方、ステップS10で肯定判定すると、つまり校正期間HCである場合、電源30を用いて電圧検出部25の故障を判定する検出部故障判定処理と、電源30によりキャパシタCAを充電する第2充電処理と、電圧検出部25を用いてキャパシタCAのリーク故障を判定するリーク故障判定処理と、を実施する。
まず、検出部故障判定処理を実施する。この検出部故障判定処理には、第1差動電圧検出回路25Aの故障を判定する故障判定処理と、第2差動電圧検出回路25Bの故障を判定する故障判定処理とが含まれる。
まず、第1差動電圧検出回路25Aの故障判定処理を実施する。第1差動電圧検出回路25Aの故障判定処理では、ステップS24において、各出力側スイッチSWA,SWBを開状態に切り替える。続くステップS26において、第1高圧印加スイッチSWC及び第1低圧印加スイッチSWDを閉状態に切り替え、電源電圧VDDと接地電圧とを電圧検出部25に印加する。
この場合、キャパシタCAの第1端子N1に接続される正側接続線LAの電圧が、キャパシタCAの第2端子N2に接続される負側接続線LBの電圧よりも高くなる正極性の状態となる。そのため、ステップS28において、第1差動電圧検出回路25Aを用いて電源電圧VDDと接地電圧との電圧差を取得する。以下、ステップS28で取得された電圧差を第1判定電圧VP1という(図5参照)。第1判定電圧VP1の取得後、ステップS30において、第1高圧印加スイッチSWC及び第1低圧印加スイッチSWDを開状態に切り替える。
続くステップS31において、ステップS28で取得された第1判定電圧VP1に基づいて、第1差動電圧検出回路25Aの故障を判定する。具体的には、ステップS28で取得された第1判定電圧VP1と電源電圧VDDとの差の絶対値(以下、単に差の絶対値という)を算出し、この差の絶対値が第1判定閾値Vth1よりも小さいかを判定する。ここで、第1判定閾値Vth1は、例えば、制御部27の電圧取得誤差により発生しうる上記絶対値の最大値に予め設定されている。
ステップS31で否定判定すると、ステップS40において、第1差動電圧検出回路25Aが故障していると判定し、電圧検出処理を終了する。
第1差動電圧検出回路25Aが正常である場合、第1判定電圧VP1は「VDD」となる。そのため、差の絶対値は第1判定閾値Vth1よりも小さくなる。一方、第1差動電圧検出回路25Aが故障している場合、第1判定電圧VP1は「VDD」から大きく乖離した値となる。そのため、差の絶対値は第1判定閾値Vth1よりも大きくなる。したがって、差の絶対値が第1判定閾値Vth1よりも大きい場合には、第1差動電圧検出回路25Aが故障していると判定することができる。
一方、ステップS31で肯定判定すると、第2差動電圧検出回路25Bの故障判定処理を実施する。第2差動電圧検出回路25Bの故障判定処理では、ステップS32において、第2低圧印加スイッチSWE及び第2高圧印加スイッチSWFを閉状態に切り替え、電源電圧VDDと接地電圧とを電圧検出部25に印加する。
この場合、キャパシタCAの第1端子N1に接続される正側接続線LAの電圧が、キャパシタCAの第2端子N2に接続される負側接続線LBの電圧よりも低くなる負極性の状態となる。そのため、ステップS34において、第2差動電圧検出回路25Bを用いて電源電圧VDDと接地電圧との電圧差を取得する。以下、ステップS34で取得された電圧差を第2判定電圧VP2という(図5参照)。第2判定電圧VP2の取得後、ステップS36において、第2低圧印加スイッチSWE及び第2高圧印加スイッチSWFを開状態に切り替える。なお、本実施形態において、ステップS28,S34の処理が「第2電圧取得部,第3電圧取得部」に相当する。
続くステップS38において、ステップS34で取得された第2判定電圧VP2に基づいて、第2差動電圧検出回路25Bの故障を判定する。具体的には、ステップS34で算出された第2判定電圧VP2と電源電圧VDDとの和の絶対値(以下、単に和の絶対値という)を算出し、この和の絶対値が第1判定閾値Vth1よりも小さいかを判定する。なお、本実施形態において、ステップS31,S38の処理が「検出部故障判定部」に相当する。
ステップS38で否定判定すると、ステップS40において、第2差動電圧検出回路25Bが故障していると判定し、電圧検出処理を終了する。
第2差動電圧検出回路25Bが正常である場合、第2判定電圧VP2は「−VDD」となる。そのため、和の絶対値は第1判定閾値Vth1よりも小さくなる。一方、第2差動電圧検出回路25Bが故障している場合、第2判定電圧VP2は「−VDD」から大きく乖離した値となる。そのため、和の絶対値は第2判定閾値Vth2よりも大きくなる。したがって、和の絶対値が第1判定閾値Vth1よりも大きい場合には、第2差動電圧検出回路25Bが故障していると判定することができる。
一方、ステップS38で肯定判定すると、ステップS42において、第2充電処理を実施する。この第2充電処理では、各スイッチSWnを開状態に切り替える。また、各出力側スイッチSWA,SWBを閉状態に切り替えるとともに、第1高圧印加スイッチSWC及び第1低圧印加スイッチSWDを閉状態に切り替え、電源30を用いてキャパシタCAを充電する。所定の充電期間後、ステップS44において、各出力側スイッチSWA,SWBを開状態に切り替える。続くステップS46において、第1高圧印加スイッチSWC及び第1低圧印加スイッチSWDを開状態に切り替える。なお、本実施形態において、ステップS42の処理が「キャパシタ充電部」に相当し、ステップS44の処理が「状態制御部」に相当する。
続いてリーク故障判定処理を実施する。具体的には、ステップS48において、ステップS44で各出力側スイッチSWA,SWBを開状態に切り替えてから所定の開期間後、ステップS48において、各出力側スイッチSWA,SWBを閉状態に切り替える。続くステップS50において、電圧検出部25を用いて、各出力側スイッチSWA,SWBを開状態に切り替えてから所定期間が経過したタイミングにおけるキャパシタCAの電圧である第3判定電圧VP3を取得する。第3判定電圧VP3の取得後、ステップS52において、各出力側スイッチSWA,SWBを開状態に切り替える。なお、本実施形態において、第3判定電圧VP3が「判定電圧」に相当し、ステップS52の処理が「電圧取得部,第1電圧取得部」に相当する。
続くステップS54において、ステップS52で取得された第3判定電圧VP3に基づいてキャパシタCAのリーク故障を判定する。具体的には、ステップS52で取得された第3判定電圧VP3と電源電圧VDDとの電圧差ΔVを算出し、この電圧差ΔVが第2判定閾値Vth2よりも小さいかを判定する。電圧差ΔVは、次の(式1)のように表される。なお、本実施形態において、ステップS54の処理が「リーク故障判定部」に相当する。
ΔV=|VR−VDD|・・・(式1)
ここで、第2判定閾値Vth2は、キャパシタCAにリーク故障が発生していない場合において、キャパシタCAの自然放電により所定期間において発生しうるキャパシタCAの電圧低下値に設定されている。第2判定閾値Vth2は、例えばこの電圧低下値の最大値に設定されている。
ステップS54で肯定判定すると、電圧検出処理を終了する。一方、ステップS54で否定判定すると、ステップS56において、キャパシタCAにリーク故障が発生していると判定し、電圧検出処理を終了する。
キャパシタCAにリーク故障が発生していない場合、第3判定電圧VP3は「VDD」となる。そのため、電圧差ΔVは第2判定閾値Vth2よりも小さくなる。一方、キャパシタCAにリーク故障が発生している場合、第3判定電圧VP3は「VDD」よりも低下する。そのため、電圧差ΔVは第2判定閾値Vth2よりも大きくなる。したがって、電圧差ΔVが第2判定閾値Vth2よりも大きい場合には、キャパシタCAにリーク故障が発生していると判定することができる。
続いて、図5に、電圧検出処理のタイムチャートを示す。図5には、図4に示す電圧検出処理のタイムスケジュールのうち、第1検出ブロックA1の検出期間HBと校正期間HCにおける電圧検出処理のタイムチャートを示す。
図5において、(a)は、第1〜第7スイッチSW1〜SW7のうち、第1充電処理において切り替えの対象となるスイッチ(以下、対象スイッチという)SW#の開閉状態の推移を示し、(b)は、第1,第2出力側スイッチSWA,SWBの開閉状態の推移を示す。また、(c)は、第1高圧印加スイッチSWC及び第1低圧印加スイッチSWDの開閉状態の推移を示し、(b)は、第2低圧印加スイッチSWE及び第2高圧印加スイッチSWFの開閉状態の推移を示し、(e)は、制御部27が取得する第1,第2差動電圧VA,VBの推移を示す。なお、図5(e)では、キャパシタCAの第2端子N2を基準とした第1端子N1の電圧の推移が示されており、第1端子N1の電圧が第2端子N2の電圧よりも高い場合には正の電圧となり、第1端子N1の電圧が第2端子N2の電圧よりも低い場合には負の電圧となる。図5(e)において、正の電圧が、第1差動電圧VAに相当し、負の電圧が、第2差動電圧VBに相当する。
また、図5(e)には、電圧検出部25及びキャパシタCAに故障が発生していない場合における第1,第2差動電圧VA,VBの推移(実線)と、これらの少なくとも一方に故障が発生している場合における第1,第2差動電圧VA,VBの推移(破線)とが示されている。
図示される例では、時刻t1において電圧検出処理が開始され、第1検出ブロックA1を対象とする検出期間HBが開始されると、その後時刻t2において、対象スイッチSW#である第1,第2スイッチSW1,SW2が閉状態に切り替えられる。これにより、第1充電期間HDに亘って、第1検出ブロックA1によりキャパシタCAが充電される。
第1充電期間HDが経過すると、時刻t3において第1,第2スイッチSW1,SW2が開状態に切り替えられる。時刻t3から所定の待機期間HWが経過すると、時刻t4において各出力側スイッチSWA,SWBが閉状態に切り替えられる。これにより、第1差動電圧VAがキャパシタCAの電圧に応じた電圧となり、時刻t4からの取得期間HEにおける所定の検出タイミングTD(時刻t5)において、キャパシタCAの電圧、つまり第1検出ブロックA1の電圧V1が取得される。
取得期間HEが経過すると、時刻t6において各出力側スイッチSWA,SWBが開状態に切り替えられる。その後時刻t7において第1検出ブロックA1を対象とする検出期間HBが経過すると、次に第2検出ブロックA2を対象とする検出期間HBが開始され、この検出期間HBに第2検出ブロックA2の電圧V2が取得される。
なお、第2検出ブロックA2を対象とする電圧検出処理は、第1検出ブロックA1を対象とする電圧検出処理と比較して、キャパシタCAの電圧の極性を除いて略同一であり、重複した説明を省略する。第2検出ブロックA2を対象とする検出期間HBの経過後、第3検出ブロックA3,第4検出ブロックA4,…、第6検出ブロックA6を対象とする検出期間HBに、各検出ブロックA3〜A6の電圧V3〜V6が取得される。
時刻t11において各検出ブロックA1〜A6を対象とする6つの検出期間HBが経過すると、校正期間HCが開始され、まず、第1差動電圧検出回路25Aの故障を判定するために、第1判定電圧VP1が取得される。
具体的には、時刻t12において、第1高圧印加スイッチSWC及び第1低圧印加スイッチSWDが閉状態に切り替えられる。これにより、電圧検出部25には、キャパシタCAの電圧が正極性の状態であり、且つ電圧差が電源電圧VDDとなる一対の電圧が印加される。時刻t12からの第1閉期間HFにおける所定の検出タイミングTD(時刻t13)において、第1差動電圧検出回路25Aを用いて第1判定電圧VP1が取得される。
図5(e)に実線で示すように、第1差動電圧検出回路25Aが正常である場合、第1判定電圧VP1は「VDD」となる。そのため、第1判定電圧VP1と電源電圧VDDとの差の絶対値は第1判定閾値Vth1よりも小さくなる。一方、図5(e)に破線で示すように、第1差動電圧検出回路25Aに故障が発生している場合、例えば第1判定電圧VP1は電源電圧VDDの略半分の値となる。そのため、第1判定電圧VP1と電源電圧VDDとの差の絶対値は第1判定閾値Vth1よりも大きくなる。したがって、第1判定電圧VP1と電源電圧VDDとの差の絶対値と第1判定閾値Vth1とを比較することで、第1差動電圧検出回路25Aに故障が発生しているかを判定できる。
第1閉期間HFが経過すると、時刻t14において第1高圧印加スイッチSWC及び第1低圧印加スイッチSWDが開状態に切り替えられる。次に、第2差動電圧検出回路25Bの故障を判定するために、第2判定電圧VP2が取得される。具体的には、時刻t15において、第2低圧印加スイッチSWE及び第2高圧印加スイッチSWFが閉状態に切り替えられる。これにより、電圧検出部25には、キャパシタCAの電圧が負極性の状態であり、且つ電圧差が電源電圧VDDとなる一対の電圧が印加される。時刻t15からの第2閉期間HGにおける所定の検出タイミングTD(時刻t16)において、第2差動電圧検出回路25Bを用いて第2判定電圧VP2が取得される。
図5(e)に実線で示すように、第2差動電圧検出回路25Bが正常である場合、第2判定電圧VP2は「−VDD」となる。そのため、第2判定電圧VP2と電源電圧VDDとの和の絶対値は第1判定閾値Vth1よりも小さくなる。一方、図5(e)に破線で示すように、第2差動電圧検出回路25Bに故障が発生している場合、例えば第2判定電圧VP2は電源電圧VDDの略半分の値となる。そのため、第2判定電圧VP2と電源電圧VDDとの和の絶対値は第1判定閾値Vth1よりも大きくなる。したがって、第2判定電圧VP2と電源電圧VDDとの和の絶対値と第1判定閾値Vth1とを比較することで、第2差動電圧検出回路25Bに故障が発生しているかを判定できる。
第2閉期間HGが経過すると、時刻t17において第2低圧印加スイッチSWE及び第2高圧印加スイッチSWFが開状態に切り替えられる。最後に、キャパシタCAのリーク故障を判定するために、第3判定電圧VP3が取得される。具体的には、時刻t18において、各出力側スイッチSWA,SWB及び第1高圧印加スイッチSWC及び第1低圧印加スイッチSWDが閉状態に切り替えられる。これにより、第2充電期間HJに亘って、電源30によりキャパシタCAが充電される。
第2充電期間HJが経過すると、時刻t19において各出力側スイッチSWA,SWB及び第1高圧印加スイッチSWC及び第1低圧印加スイッチSWDが開状態に切り替えられる。時刻t19から所定の開期間HKが経過すると、時刻t20において各出力側スイッチSWA,SWBが閉状態に切り替えられる。これにより、第1差動電圧VAがキャパシタCAの電圧に応じた電圧となり、時刻t19から所定期間HLが経過後の検出タイミングTD(時刻t21)において、第1差動電圧検出回路25Aを用いて第3判定電圧VP3が取得される。
第3判定電圧VP3の取得後、時刻t22において各出力側スイッチSWA,SWBが開状態に切り替えられる。その後時刻t23に校正期間HCが経過すると、電圧検出処理を終了する。
図5(a)に示すように、電圧検出処理では、校正期間HCにおいて対象スイッチSW#が開状態に維持されている。そのため、校正期間HCにおいてキャパシタCAに充電された電荷が、組電池10側に放電されることが抑制されている。
また、図5(b)に示すように、電圧検出処理では、校正期間HCにおいて各出力側スイッチSWA,SWBが閉状態となる期間が限られている。そのため、校正期間HCにおいてキャパシタCAに充電された電荷が、電圧検出部25側に放電されることが抑制されている。
特に時刻t19からの所定期間HLには、開期間HKが設けられており、この開期間HKにおいて、各出力側スイッチSWA,SWBが開状態に切り替えられる。そのため、図5(e)に実線で示すように、キャパシタCAにリーク故障が発生していない場合、開期間HKにおいてキャパシタCAの放電が抑制されている。その結果、開期間HKにおいてキャパシタCAの電圧は「VDD」に維持され、第3判定電圧VP3と電源電圧VDDとの電圧差ΔVは第2判定閾値Vth2よりも小さくなる。
一方、図5(d)に破線で示すように、キャパシタCAにリーク故障が発生している場合、キャパシタCAからのリーク放電によりキャパシタCAの電圧が低下し、電圧差ΔVは第2判定閾値Vth2よりも大きくなる。そのため、電圧差ΔVと第2判定閾値Vth2とを比較することで、キャパシタCAにリーク故障が発生しているかを判定できる。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
・本実施形態では、キャパシタCAの各電極に、電源電圧VDD及び接地電圧を印加してキャパシタCAを充電し、キャパシタCAが充電されてから所定期間HLが経過した後のキャパシタCAの電圧である第3判定電圧VP3を取得する。制御部27においてこの電源電圧VDD及び接地電圧は既知の値であるため、第3判定電圧VP3に基づいてそのキャパシタCAのリーク故障を判定できる。また、キャパシタCAの電圧である第3判定電圧VP3に基づいて、そのキャパシタCAのリーク故障を判定するため、フライングキャパシタを構成するキャパシタCAの数によらず、キャパシタCAのリーク故障を判定でき、フライングキャパシタを構成するキャパシタCAのリーク故障を適切に判定できる。
・本実施形態では、所定期間HLにおいて各出力側スイッチSWA,SWBを開状態に切り替え、キャパシタCAから電圧検出部25側への放電を抑制する。つまり、キャパシタCAからのリーク放電以外の放電を抑制する。これにより、キャパシタCAのリーク故障を精度よく判定できる。
・本実施形態では、電圧検出部25に電源電圧VDD及び接地電圧を印加し、電圧検出部25を用いて電源電圧VDDと接地電圧との電圧差を取得する。制御部27においてこの電圧差は既知の値であるため、取得された電圧差に基づいて電圧検出部25の故障を判定できる。そして、電圧検出部25が故障していないと判定された場合に、キャパシタCAのリーク故障を判定するため、キャパシタCAのリーク故障を適切に判定できる。
本実施形態では、キャパシタCAの各電極に電源電圧VDD及び接地電圧を印加する電圧印加部26を用いて、電圧検出部25に電源電圧VDD及び接地電圧を印加する。そのため、電源電圧VDD及び接地電圧を印加する構成を共通化することができ、電圧検出装置20の構成を簡略化できる。
本実施形態では、電源電圧VDD及び接地電圧は、正側,負側接続線LA,LBを介して電圧検出部25に印加され、出力側スイッチ部24を介さずに電圧検出部25に印加される。そのため、出力側スイッチ部24を通過する際の電圧変動の影響を抑制して、電圧検出部25の故障を精度よく判定できる。
・本実施形態では、入力側スイッチ部22は、キャパシタCAの電圧の極性が正極性と負極性とで切り替わるように、各検出ブロックA1〜A6とキャパシタCAとが接続される。これにより、キャパシタCAの電圧の極性が一定に維持されるように、各検出ブロックA1〜A6とキャパシタCAとが接続される場合に比べて、高耐圧のスイッチング素子であるスイッチSWnの数を削減でき、電圧検出装置20のコスト削減において有利である。
・一方、キャパシタCAの電圧の極性が、正極性と負極性とで切り替わるため、電圧検出部25は、各極性におけるキャパシタCAの電圧を検出する必要がある。本実施形態では、電圧検出部25は、第1差動電圧検出回路25Aを用いて負極性におけるキャパシタCAの電圧を検出し、第2差動電圧検出回路25Bを用いて正極性におけるキャパシタCAの電圧を検出する。そのため、電圧検出部25の故障を判定する場合に、第1,第2差動電圧検出回路25A,25Bそれぞれの故障を判定する必要がある。
本実施形態では、電圧印加部26に、第1高圧印加スイッチSWC及び第1低圧印加スイッチSWDとともに第2低圧印加スイッチSWE及び第2高圧印加スイッチSWFを備え、キャパシタCAの電圧の極性切り替えに対応させて、電圧検出部25に印加される電源電圧VDD及び接地電圧の極性を切り替えて、電圧検出部25の故障を判定できる。これにより、第1,第2差動電圧検出回路25A,25Bそれぞれの故障を判定することができ、キャパシタCAの電圧の各極性における電圧検出部25の故障を好適に判定することができる。
・本実施形態では、電源電圧VDDと接地電圧との差の絶対値が、各検出ブロックA1〜A6の定格電圧よりも小さい。そのため、電源電圧VDD又は接地電圧が印加される各印加スイッチSWC〜SWFの耐圧を、各検出ブロックA1〜A6の電圧が印加される各出力側スイッチSWA,SWBの耐圧よりも低くすることができる。これにより、各印加スイッチSWC〜SWFとして低耐圧のスイッチング素子を用いることができ、電圧検出装置20のコスト削減において有利である。
(その他の実施形態)
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、次のように実施されてもよい。
・上記実施形態では、組電池10が8個の電池モジュールを備える例を示したが、これに限られず、2個以上8個未満の電池モジュールを備えていてもよければ、9個以上の電池モジュールを備えていてもよい。
・上記実施形態では、複数の電池モジュールを含む検出ブロックが存在する例を示したが、検出ブロックは必ずしも複数の電池モジュールを含む必要がない。例えば、全ての検出ブロックが、1個の電池モジュールのみを含んでいてもよい。
・上記実施形態では、検出ラインLn上に電流制限抵抗RLが設けられる例を示したが、電流制限抵抗RLは必ずしも設けられる必要はない。
・上記実施形態では、第1,第2差動電圧検出回路25A,25Bが差動増幅回路である例を示したが、これに限られず、例えばキャパシタCAの電圧を増幅することなく、電圧を検出する差動回路であってもよい。
・上記実施形態では、第1差動電圧検出回路25Aと第2差動電圧検出回路25Bとが同極性で動作する例を示したが、逆極性で動作してもよい。
・上記実施形態では、電圧検出部25が第1,第2差動電圧検出回路25A,25Bを備えている例を示したが、例えば第1差動電圧検出回路25Aを用いて、正極性及び負極性の両極性におけるキャパシタCAの電圧を検出可能であれば、第2差動電圧検出回路25Bを必ずしも備えなくてよい。
この場合でも、第1高圧印加スイッチSWC及び第1低圧印加スイッチSWDとともに第2低圧印加スイッチSWE及び第2高圧印加スイッチSWFを備え、キャパシタCAの電圧の極性切り替えに対応させて、電圧検出部25に印加される電源電圧VDD及び接地電圧の極性を切り替えることが好ましい。これにより、第1差動電圧検出回路25Aにおいて、正極性におけるキャパシタCAの電圧を検出する場合の特性と、負極性におけるキャパシタCAの電圧を検出する場合の特性との特性ズレを判定することができる。
・上記実施形態では、キャパシタCAのリーク故障を判定する前に電圧検出部25を故障判定する例を示したが、必ずしも電圧検出部25の故障を判定する必要はない。例えば、車両起動時など、所定の条件が成立した場合にのみ電圧検出部25の故障を判定するようにしてもよい。
・上記実施形態では、キャパシタCAのリーク故障を判定する場合に、第1高圧印加スイッチSWC及び第1低圧印加スイッチSWD及び第1差動電圧検出回路25Aを用いて第3判定電圧VP3を取得する例を示したが、これに限られず、第2低圧印加スイッチSWE及び第2高圧印加スイッチSWF及び第2差動電圧検出回路25Bを用いて第3判定電圧VP3を取得してもよい。この場合、負側接続線LBが「第1接続線」に相当し、正側接続線LAが「第2接続線」に相当する。また、第2高圧印加スイッチSWFが「第1印加スイッチ」に相当し、第2低圧印加スイッチSWEが「第2印加スイッチ」に相当し、第1低圧印加スイッチSWDが「第3印加スイッチ」に相当し、第1高圧印加スイッチSWCが「第4印加スイッチ」に相当する。
・上記実施形態では、電圧検出装置20に1つのキャパシタCAを備える例を示したが、例えば2つのキャパシタを備えていてもよい。この場合には、各キャパシタにおける第1接続線に第1印加スイッチが設けられ、各キャパシタにおける第2接続線に第2印加スイッチが設けられればよい。3つ以上のキャパシタを備えている場合も同様である。
例えば2つのキャパシタが直列接続されている場合には、一方のキャパシタにおける第1(第2)接続線と他方のキャパシタにおける第1(第2)接続線とが共通化されるため、一方のキャパシタにおける第2印加スイッチと他方のキャパシタにおける第2印加スイッチとを共通化できる。なお、2つのキャパシタが直列接続されている場合には、キャパシタ間における電荷の移動による判定精度の低下を抑制するために、各キャパシタのリーク故障は互いに異なるタイミングで判定される。