以下、本開示の例示的な実施の形態を開示する。なお、以下に示される実施の形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および効果は、一例である。また、以下の実施の形態は開示の技術を限定するものではない。
図1は、本実施の形態の位置特定システム1の一例を示す模式図である。
位置特定システム1は、位置特定装置10と、観測装置12と、無線通信装置14と、を備える。位置特定装置10と観測装置12とは、有線または無線により通信可能に接続されている。
位置特定装置10は、対象領域P内の無線通信装置14の位置を特定する装置である。
対象領域Pは、予め定めた領域であればよい。本実施の形態では、対象領域Pは、複数の観測装置12が無線通信装置14と無線通信する対象の領域である。対象領域Pの形状、および大きさは限定されない。対象領域Pは、例えば、建物、建物内の空間、または、部屋、などの予め定められた範囲内の領域である。
位置特定装置10は、観測装置12を介して無線通信装置14と無線通信する。すなわち、本実施の形態では、位置特定装置10と無線通信装置14との通信は、観測装置12を介して行われる。
観測装置12は、対象領域P内の無線通信装置14へ各種の信号を発信する。また、観測装置12は、対象領域P内の無線通信装置14から発信信号を受信する。すなわち、観測装置12は、対象領域P内の無線通信装置14へ信号を発信する発信局、および、対象領域P内の無線通信装置14から発信信号を受信する受信局、として機能する。
本実施形態では、位置特定システム1は、3つの観測装置12を備える形態を一例として説明する。しかし、位置特定システム1が備える観測装置12の数は、3つ以上であればよく、3つに限定されない。
複数の観測装置12は、対象領域Pの周囲に配置されている。観測装置12は、対象領域P内へ信号を発信、または、対象領域P内の無線通信装置14からの発信信号を受信可能となるように、位置および無線送受信方向などが予め調整されている。なお、複数の観測装置12の位置は固定であるものとする。また、これらの複数の観測装置12は、互いに異なる位置に配置されているものとする。なお、これらの複数の観測装置12は、互いに異なる位置に配置されている点以外は、同じ機能および同じ構成であるものとする。
なお、本実施の形態では、3つの観測装置12の内の1つを、基準観測装置(基準観測装置12A)と称して説明する。また、3つの観測装置12の内、基準観測装置12A以外の他の観測装置12を、参照観測装置(参照観測装置12B、参照観測装置12C)と称して説明する。複数の観測装置12の内の何れを基準観測装置とし、何れを参照観測装置とするかは、後述する位置特定装置10によって定められる(詳細後述)。なお、複数の観測装置12(基準観測装置12A、参照観測装置12B、参照観測装置12C)を総称して説明する場合には、単に、観測装置12と称して説明する。
無線通信装置14は、位置移動可能な無線通信装置である。無線通信装置14は、例えば、ユーザや物品などの対象に携帯または搭載されることで位置移動可能である。無線通信装置14は、タグと称される場合がある。
無線通信装置14には、例えば、Bluetooth(登録商標)により通信する機能が実装され、Bluetooth Low Energy(BLE)などの無線通信規格に基づく発信信号を発信および受信する。なお、無線通信装置14の用いる無線通信規格は、Bluetoothを用いた形態に限定されない。例えば、無線通信装置14は、IrDA(Infrared Data Association)などの赤外通信規格を用いて無線通信してもよい。
無線通信装置14は、発信信号を、直接、観測装置12へ送信してもよいし、マルチホップ無線通信により発信信号を観測装置12へ送信してもよい。マルチホップ無線通信により無線信号を観測装置12へ送信する場合には、無線通信装置14は、他の1または複数の無線通信装置14を中継して、信号の発信元の無線通信装置14から受信した発信信号を観測装置12へ転送する。観測装置12は、受信した発信信号を位置特定装置10へ出力する。
なお、本実施の形態では、発信信号とは、信号の発信元の無線通信装置14が発信した無線信号を含む信号であるものとして説明する。
位置特定装置10は、複数の観測装置12の各々から取得した無線通信装置14の発信信号を用いて、発信信号の発信元の無線通信装置14の位置特定を行う(詳細後述)。
次に、位置特定システム1の機能的構成を説明する。
図2は、位置特定システム1の機能ブロック図の一例である。
まず、無線通信装置14の機能について説明する。
無線通信装置14は、制御部30と、記憶部32と、通信部34と、を備える。制御部30と、記憶部32および通信部34とは、データまたは信号を授受可能に接続されている。
記憶部32は、各種の情報を記憶する。記憶部32は、公知の記憶媒体である。通信部34は、他の装置と通信するための通信インターフェースである。例えば、通信部34は、観測装置12および他の無線通信装置14の少なくとも1つと無線通信するための通信インターフェースである。
制御部30は、通信制御部30Aを備える。
通信制御部30Aは、例えば、1または複数のプロセッサにより実現される。例えば、通信制御部30Aは、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサにプログラムを実行させること、すなわちソフトウェアにより実現してもよい。通信制御部30Aは、専用のIC(Integrated Circuit)などのプロセッサ、すなわちハードウェアにより実現してもよい。通信制御部30Aは、ソフトウェアおよびハードウェアを併用して実現してもよい。
通信制御部30Aは、予め定められた通信頻度で、他の装置と通信する。通信とは、他の装置(観測装置12)からの各種の信号の受信、および、他の装置への発信信号の送信、の双方を示す。
例えば、通信制御部30Aは、観測装置12から発信される信号を、予め定められた通信頻度で受信する。また、例えば、通信制御部30Aは、予め定められた条件を満たした場合などに、上記通信頻度で、特定の無線信号を含む発信信号を発信する。
例えば、通信制御部30Aが、マルチホップ無線通信により発信信号を観測装置12へ送信する場合を想定する。また、当該通信制御部30Aを備えた1つの無線通信装置14が、無線信号の発信元であったと想定する。この場合、通信制御部30Aは、当該通信制御部30Aを搭載した無線通信装置14を発信元とする無線信号と、当該発信元の無線通信装置14からの初期値のホップ数(例えば、“1”)を示すホップ数情報と、を含む発信信号を、周囲の他の無線通信装置14へマルチホップ無線通信により送信する。
この場合、周囲の他の無線通信装置14は、受信した発信信号に含まれるホップ数情報を“1”インクリメントし、他の無線通信装置14へマルチホップ無線通信により送信する。このため、複数の観測装置12の各々には、無線信号の発信元の無線通信装置14からのホップ数を示すホップ数情報を含む発信信号が送信されることとなる。
なお、以下では、無線信号の発信元の無線通信装置14を、発信元無線通信装置15と称して説明する場合がある。なお、無線通信装置14および発信元無線通信装置15を総称して説明する場合には、単に、無線通信装置14と称して説明する。
また、無線通信装置14が、他の無線通信装置14から発信信号を受信した場合には、通信制御部30Aは、受信した発信信号に含まれるホップ数情報を“1”インクリメントし、他の無線通信装置14へマルチホップ無線通信により送信すればよい。
なお、無線通信装置14は、上述したように、マルチホップ無線通信により発信信号を観測装置12へ送信する形態に限定されない。すなわち、発信元無線通信装置15は、発信信号を、他の無線通信装置14を介さずに直接、複数の観測装置12の各々へ無線通信してもよい。この場合、発信信号は、ホップ数情報を含まないデータ構成であってよい。
次に、観測装置12の機能について説明する。
観測装置12は、制御部40と、記憶部42と、通信部44と、通信部46と、を備える。記憶部42、通信部44、および通信部46と、制御部40とは、データまたは信号を授受可能に接続されている。
記憶部42は、各種の情報を記憶する。記憶部42は、公知の記憶媒体である。本実施の形態では、記憶部42は、観測装置12の識別情報と、観測装置12の設置位置を示す位置情報と、を予め記憶する。
観測装置12の識別情報は、観測装置12を一意に特定するための情報である。以下では、観測装置12の識別情報を、観測装置IDと称して説明する場合がある。
観測装置12の位置情報は、絶対座標で表されていてもよいし、他の観測装置12との相対位置を示す相対座標で表されていてもよい。本実施の形態では、観測装置12の位置情報は、特定の1つの観測装置12を原点とした相対座標で表されている形態を、一例として説明する。
通信部44は、位置特定装置10と無線または有線により通信するための通信インターフェースである。本実施の形態では、観測装置12の通信部44は、無線により位置特定装置10と通信する形態を一例として説明する。しかし、観測装置12の通信部44は、有線により位置特定装置10と通信する形態であってもよい。
通信部46は、対象領域Pの1または複数の無線通信装置14の各々と、無線通信するための通信インターフェースである。
制御部40は、通信制御部40Aを備える。
通信制御部40Aは、例えば、1または複数のプロセッサにより実現される。例えば、通信制御部40Aは、CPUなどのプロセッサにプログラムを実行させること、すなわちソフトウェアにより実現してもよい。通信制御部30Aは、専用のICなどのプロセッサ、すなわちハードウェアにより実現してもよい。通信制御部40Aは、ソフトウェアおよびハードウェアを併用して実現してもよい。
通信制御部30Aは、予め定められた通信頻度で、他の装置と無線通信する。本実施の形態では、通信制御部30Aは、対象領域P内の無線通信装置14と無線通信し、無線通信装置14から発信信号を受信する。
通信制御部30Aは、発信信号を受信すると、発信信号と、記憶部42に記憶されている観測装置12の観測装置IDと、観測装置12の位置情報とを、通信部44を介して位置特定装置10へ送信する。
このため、発信元無線通信装置15から発信された発信信号は、直接または他の無線通信装置14を介して複数の観測装置12の各々で受信され、複数の観測装置12の各々から位置特定装置10へ送信される。
次に、位置特定装置10の機能について説明する。
位置特定装置10は、制御部20と、記憶部22と、通信部24と、UI部26と、を備える。記憶部22、通信部24、およびUI(ユーザ・インターフェース)部26と、制御部20とは、データまたは信号を授受可能に接続されている。
記憶部22は、各種の情報を記憶する。記憶部22は、HDD(ハードディスクドライブ)などの公知の記憶媒体である。なお、記憶部22を、外部装置に設けてもよい。
通信部24は、観測装置12と通信するための通信インターフェースである。
UI部26は、ユーザからの操作指示を受付ける入力機能と、画像を表示する表示機能と、を備える。入力機能は、例えば、キーボード、マウス、などである。表示機能は、例えば、液晶ディスプレイや、有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイなどである。UI部26は、入力機能と表示機能を一体に備えたタッチパネルであってもよい。
制御部20は、取得部20Aと、算出部20Bと、判断部20Cと、特定部20Dと、出力制御部20Eと、を備える。
上記各部は、例えば、1または複数のプロセッサにより実現される。例えば上記各部は、CPUなどのプロセッサにプログラムを実行させること、すなわちソフトウェアにより実現してもよい。上記各部は、専用のICなどのプロセッサ、すなわちハードウェアにより実現してもよい。上記各部は、ソフトウェアおよびハードウェアを併用して実現してもよい。複数のプロセッサを用いる場合、各プロセッサは、各部のうち1つを実現してもよいし、各部のうち2以上を実現してもよい。
取得部20Aは、対象領域Pの周囲に配置された少なくとも複数の観測装置12(基準観測装置12A、参照観測装置12B、参照観測装置12C)の各々から、対象領域P内の無線通信装置14の発信信号を取得する。
詳細には、取得部20Aは、対象領域P内の複数の無線通信装置14の内の1つである、発信信号の発信元の無線通信装置14である発信元無線通信装置15から発信された発信信号を、複数の観測装置12の各々から取得する。
算出部20Bは、発信信号に基づいて、複数の観測装置12の各々を起点とし、複数の観測装置12の各々から発信元無線通信装置15までの推定距離を半径とした、複数の推定線を算出する。
図3を用いて説明する。図3は、制御部20による発信元無線通信装置15の位置特定の説明図である。
まず、算出部20Bは、複数の観測装置12の各々を起点とし、複数の観測装置12の各々から発信元無線通信装置15までの推定距離を算出する。
例えば、発信元無線通信装置15が、マルチホップ無線通信により、他の無線通信装置14を介して発信信号を観測装置12へ送信する場合を想定する。この場合、位置特定装置10は、複数の観測装置12の各々から、ホップ数情報を含む発信信号を受信する。ホップ数情報は、発信元無線通信装置15から発信された無線信号がマルチホップ無線通信により観測装置12に受信されるまでのホップ数を示す情報である。
この場合、算出部20Bは、発信信号に含まれるホップ数情報と、複数の無線通信装置14間の距離と、に基づいて、複数の観測装置12の各々から発信元無線通信装置15までの推定距離を算出する。
算出部20Bは、無線通信装置14間の距離を、公知の方法で算出すればよい。
例えば、算出部20Bは、複数の無線通信装置14間の平均距離を、対象領域P内の無線通信装置14の密度に基づいて算出する。対象領域P内の無線通信装置14の密度は、例えば、公知の画像処理などによって導出すればよい。そして、算出部20Bは、算出した平均距離を、複数の無線通信装置14間の距離として用いればよい。
また、算出部20Bは、複数の無線通信装置14の各々によって送信される発信信号の電波の到達距離を取得する。電波の到達距離は、予め記憶部22に記憶しておけばよい。そして、電波の到達距離を用いて、公知の方法で、無線通信装置14間の距離を算出してもよい。
そして、算出部20Bは、ホップ数情報によって示されるホップ数と、無線通信装置14間の距離と、の乗算結果を、無線通信装置14から発信元無線通信装置15までの推定距離として算出すればよい。
なお、上述したように、発信元無線通信装置15は、他の無線通信装置14を介さずに直接、複数の観測装置12の各々へ発信元信号を送信してもよい。この場合、算出部20Bは、発信元無線通信装置15から受信した電波の受信強度(RSSI:Received Signal Strength Indication)を含む発信信号を観測装置12から受付ければよい。
この場合、算出部20Bは、複数の観測装置12の各々から受付けた発信信号に含まれる電波の受信強度から、公知の方法を用いて、複数の観測装置12の各々から発信元無線通信装置15までの推定距離を算出すればよい。
このようにして、算出部20Bは、複数の観測装置12の各々から取得した発信信号を用いて、複数の観測装置12の各々ごとに、観測装置12から発信元無線通信装置15までの推定距離を算出する。
そして、算出部20Bは、複数の観測装置12の各々を起点とし、複数の観測装置12の各々から発信元無線通信装置15までの推定距離を半径とした、複数の推定線60を算出する。
図3に示すように、複数の無線通信装置14の内の発信元無線通信装置15が、発信信号の発信元の無線通信装置14であったと想定する。この場合、算出部20Bは、複数の観測装置12の各々を起点とした推定線60を算出する。
なお、算出部20Bは、観測装置12から発信信号と共に受信した観測装置IDおよび観測装置12の位置情報を用いて、複数の観測装置12の各々の起点となる位置を特定すればよい。そして、算出部20Bは、起点となる位置を中心とし、複数の観測装置12ごとに算出した推定距離を半径とする円弧を、推定線60として算出すればよい。
なお、本実施の形態では、位置特定装置10は、複数の観測装置12の各々から、発信元無線通信装置15の発信信号と共に、観測装置12の観測装置IDおよび観測装置12の位置情報を取得する形態を一例として説明する。しかし、位置特定装置10は、複数の観測装置12の各々から、発信元無線通信装置15の発信信号と、観測装置12の観測装置IDと、を取得してもよい。この場合、位置特定装置10は、観測装置IDと、観測装置12の位置情報と、を予め対応付けて記憶部22へ記憶すればよい。そして、算出部20Bは、発信信号と共に受信した観測装置IDに対応する観測装置12の位置情報を記憶部22から読取り、推定線60の算出に用いればよい。
判断部20Cは、複数の観測装置12の内の1つを、基準観測装置として予め定める。また、判断部20Cは、複数の観測装置12の内、基準観測装置以外の他の観測装置12を、参照観測装置として予め定める。本実施の形態では、判断部20Cは、複数の観測装置12の内の1つを、基準観測装置12Aとし、他の観測装置12を、参照観測装置12B、参照観測装置12Cとして予め定める場合を一例として説明する。
また、判断部20Cは、複数の観測装置12の各々を起点とする複数の推定線60の内、基準観測装置12Aを起点とする推定線60を、基準推定線(基準推定線60A)として特定する。また、判断部20Cは、複数の推定線60の内、参照観測装置12Bおよび参照観測装置12Cの各々を起点とする推定線60を、参照推定線(参照推定線60B、参照推定線60C)として特定する。
そして、判断部20Cは、基準推定線60Aと、基準推定線60Aおよび参照推定線60Bの各々と、の第1の交点70が、仮想基準線62より基準観測装置12Aから遠い位置にあるか否かを判断する。
図3に示す状態の場合、判断部20Cは、基準推定線60Aと参照推定線60Bとの第1の交点70Aと、基準推定線60Aと参照推定線60Cとの第1の交点70Bと、を第1の交点70として特定する。
具体的には、例えば、観測装置12から発信元無線通信装置15までの推定距離を“r”とし、発信元無線通信装置15間の距離(すなわち、1ホップの距離)を“d”、観測装置12で取得したホップ情報に示されるホップ数を“n”とすると、推定距離“r”は、下記式(1)で表される。
r=d×n ・・・式(1)
上記式(1)を用いて、基準観測装置12A、参照観測装置12B、および参照観測装置12Cの各々から発信元無線通信装置15までの推定距離を導出することで得られた基準推定線60A、参照推定線60B、および参照推定線60Cは、下記式(2)〜式(4)で表される。
x2+(y−y0)2=r0 2 ・・・式(2)
x2+y2=r1 2 ・・・式(3)
(x−x2)2+y2=r2 2 ・・・式(4)
上記式(2)〜式(4)は、基準観測装置12Aの位置座標を原点(x,y)=(0,0)とし、参照観測装置12Cの位置座標を(x,y)=(0,y0)とし、参照観測装置12Bの位置座標を(x,y)=(x2,0)としたときの、推定線60を示す式である。上記式(2)〜式(4)中、r0は、参照観測装置12Cから発信元無線通信装置15までの推定距離を示す。r1は、基準観測装置12Aから発信元無線通信装置15までの推定距離を示す。r2は、参照観測装置12Bから発信元無線通信装置15までの推定距離を示す。
すると、第1の交点70Bの位置座標(xα,yα)は、式(2)と式(3)との連立方程式の解により算出される。また、第1の交点70Aの位置座標(xβ,yβ)は、式(3)と式(4)との連立方程式の解により算出される。また、第3の交点74の位置座標(xγ,yγ)は、式(2)と式(4)との連立方程式の解により算出される。
このため、上記式(2)〜式(4)を算出することで、判断部20Cは、基準推定線60Aと参照推定線60Bとの第1の交点70Aと、基準推定線60Aと参照推定線60Cとの第1の交点70Bと、を特定する。
また、判断部20Cは、仮想基準線62を特定する。
仮想基準線62とは、参照観測装置12Bと参照観測装置12Cとを結ぶ直線である。詳細には、仮想基準線62とは、複数の観測装置12の内、基準観測装置12A以外の他の観測装置12である参照観測装置12Bと参照観測装置12Cとの位置を結ぶ直線である。判断部20Cは、参照観測装置12Bおよび参照観測装置12Cの各々から発信信号と共に受信した、参照観測装置12Bの位置情報および参照観測装置12Cの位置情報を用いて、これらの位置情報によって示される位置を結ぶ仮想基準線62を生成すればよい。
例えば、上述したように、基準観測装置12Aの位置座標を原点(x,y)=(0,0)とし、参照観測装置12Cの位置座標を(x,y)=(0,y0)とし、参照観測装置12Bの位置座標を(x,y)=(x2,0)としたと想定する。
この場合、仮想基準線62は、下記式(5)で表される。
y=(−y0×x)/x2+y0 ・・・式(5)
そして、判断部20Cは、第1の交点70である第1の交点70Aおよび第1の交点70Bの双方が、仮想基準線62より位置特定装置10から遠い位置にあるか否かを判断する。
詳細には、判断部20Cは、第1の交点70Aが下記式(6)を満たし、且つ、第1の交点70Bが下記式(7)を満たす場合、第1の交点70である第1の交点70Aおよび第1の交点70Bの双方が、仮想基準線62より位置特定装置10から遠い位置にあると判断する。
(−y0×xα)/x2+y0 >yα ・・・式(6)
(−y0×xβ)/x2+y0 >yβ ・・・式(7)
図3に示す状態の場合、判断部20Cは、第1の交点70Aおよび第1の交点70Bの双方が、仮想基準線62より位置特定装置10から遠い位置にあると判断する。
特定部20Dは、第1の交点70(第1の交点70A、第1の交点70B)が仮想基準線62より基準観測装置12Aから遠い位置にあると判断した場合、第1の交点70(第1の交点70A、第1の交点70B)と、第2の交点72と、の内側の第1の領域P1内を、発信元無線通信装置15の位置として特定する。
第2の交点72とは、仮想基準線62と参照推定線60Bおよび参照推定線60Cの各々との交点である。図3に示す例では、特定部20Dは、仮想基準線62と参照推定線60Bとの第2の交点72Aと、仮想基準線62と参照推定線60Cとの第2の交点72Bと、を特定する。
詳細には、特定部20Dは、仮想基準線62と参照推定線60Cとの第2の交点72Bの位置座標(xα’,yα’)を、上記式(2)と上記式(5)との連立方程式の解により算出すればよい。また、特定部20Dは、仮想基準線62と参照推定線60Bとの第2の交点72Aの位置座標(xβ’,yβ’)を、上記式(4)と上記式(5)との連立方程式の解により算出すればよい。
そして、特定部20Dは、第1の交点70A、第1の交点70B、第2の交点72A、および第2の交点72Bの内側の第1の領域P1内を、発信元無線通信装置15の位置として特定する。
詳細には、特定部20Dは、基準推定線60Aにおける第1の交点70Aと第1の交点70Bとの間を結ぶ円弧と、参照推定線60Bにおける第1の交点70Aと第2の交点72Aとの間を結ぶ円弧と、仮想基準線62における第2の交点72Aと第2の交点72Bとの間を結ぶ直線と、参照推定線60Cにおける第2の交点72Bと第1の交点70Bとの間を結ぶ円弧と、によって囲まれた第1の領域P1内を、発信元無線通信装置15の位置として特定する。
さらに、特定部20Dは、該第1の領域P1内における、第1の交点70(第1の交点70A、第1の交点70B)と第2の交点72(第2の交点72A、第2の交点72B)との重心位置を、発信元無線通信装置15の位置として特定してもよい。重心位置の算出には、公知の方法を用いればよい。
一方、特定部20Dが、第1の交点70(第1の交点70A、第1の交点70B)が仮想基準線62より基準観測装置12Aから近い位置にあると判断する場合がある。
詳細には、判断部20Cは、上記式(6)および上記式(7)の少なくとも一方を満たさない場合、第1の交点70(第1の交点70A、第1の交点70B)が仮想基準線62より基準観測装置12Aに近い位置にあると判断する。
この場合には、特定部20Dは、第1の交点70(第1の交点70A、第1の交点70B)と、第3の交点74と、の内側の第2の領域P2内を、発信元無線通信装置15の位置として特定すればよい。
第3の交点74は、参照推定線60Bと参照推定線60Cとの交点の内、基準観測装置12Aに近い側の交点である。
すなわち、この場合、特定部20Dは、詳細には、参照推定線60Bにおける第3の交点74と第1の交点70Aとの間を結ぶ円弧と、基準推定線60Aにおける第1の交点70Aと第1の交点70Bとの間を結ぶ円弧と、参照推定線60Cにおける第1の交点70Bと第3の交点74との間を結ぶ円弧と、によって囲まれた第2の領域P2内を、発信元無線通信装置15の位置として特定することとなる。
そして、この場合、特定部20Dは、第2の領域P2内における、第1の交点70Aと、第1の交点70Bと、第3の交点74と、の重心位置を、発信元無線通信装置15の位置として特定すればよい。
出力制御部20Eは、特定部20Dによる発信元無線通信装置15の位置の特定結果を、UI部26へ出力する。このため、出力制御部20Eは、発信元無線通信装置15の位置の特定結果を、ユーザに対して提供することができる。
次に、位置特定装置10が実行する情報処理の流れを説明する。
図4は、位置特定装置10が実行する情報処理の流れの一例を示す、フローチャートである。
まず、取得部20Aが、複数の観測装置12(基準観測装置12A、参照観測装置12B、参照観測装置12C)の各々から、発信元無線通信装置15の発信信号を取得する(ステップS100)。
算出部20Bは、ステップS100で取得した発信信号に基づいて、複数の観測装置12の各々を起点とし、複数の観測装置12の各々から無線通信装置14までの推定距離を半径とした、複数の推定線60を算出する(ステップS102)。
判断部20Cは、複数の推定線60の内、基準観測装置12Aを起点とする基準推定線60Aと、参照観測装置12Bおよび参照観測装置12Cの各々を起点とする参照推定線60Bおよび参照推定線60Cと、の第1の交点70(第1の交点70A、第1の交点70B)を特定する(ステップS104)。
次に、判断部20Cは、参照観測装置12Bと参照観測装置12Cとを結ぶ直線を、仮想基準線62として生成する(ステップS106)。判断部20Cは、予め記憶した参照観測装置12Bの位置情報と、参照観測装置12Cの位置情報と、を用いて、仮想基準線62を生成すればよい。
次に、判断部20Cは、ステップS104で特定した第1の交点70(第1の交点70A、第1の交点70B)が、基準観測装置12Aに対して、ステップS106で生成した仮想基準線62より遠いか否かを判断する(ステップS108)。
第1の交点70が基準観測装置12Aに対して仮想基準線62より遠いと判断した場合(ステップS108:Yes)、ステップS110へ進む。
ステップS110では、判断部20Cが、第2の交点72を特定する(ステップS110)。図3に示す例では、判断部20Cは、仮想基準線62と参照推定線60Bとの第2の交点72Aと、仮想基準線62と参照推定線60Cとの第2の交点72Bと、を特定する。
そして、特定部20Dは、ステップS104で特定した第1の交点70(第1の交点70A、および第1の交点70B)と、ステップS110で特定した第2の交点72(第2の交点72A、および第2の交点72B)と、の内側の第1の領域P1内を、発信元無線通信装置15の位置として特定する(ステップS112)。
そして、特定部20Dは、ステップS112で特定した第1の領域P1内における、第1の交点70(第1の交点70A、第1の交点70B)と第2の交点72(第2の交点72A、第2の交点72B)との重心位置を、発信元無線通信装置15の位置として特定する(ステップS114)。そして、本ルーチンを終了する。
一方、ステップS108で、第1の交点70が基準観測装置12Aに対して仮想基準線62より近いと判断した場合(ステップS108:No)、ステップS116へ進む。なお、第1の交点70の位置が仮想基準線62上にある場合についても、ステップS108で否定判断してよい。
ステップS116では、特定部20Dは、第3の交点74を特定する(ステップS116)。特定部20Dは、参照推定線60Bと参照推定線60Cとの交点の内、基準観測装置12Aに近い側の交点を、第3の交点74として特定する。
そして、特定部20Dは、第1の交点70(第1の交点70A、第1の交点70B)と、第3の交点74と、の内側の第2の領域P2内を、発信元無線通信装置15の位置として特定する(ステップS118)。
そして、特定部20Dは、第2の領域P2内における、第1の交点70Aと、第1の交点70Bと、第3の交点74と、の重心位置を、発信元無線通信装置15の位置として特定する(ステップS120)。そして、本ルーチンを終了する。
次に、複数の観測装置12の各々が実行する情報処理の流れの一例を説明する。
図5は、観測装置12が実行する情報処理の流れの一例を示す、フローチャートである。
観測装置12の通信制御部40Aは、対象領域P内の無線通信装置14から、発信信号を受信したか否かを判断する(ステップS200)。発信信号を受信しなかった場合(ステップS200:No)、本ルーチンを終了する。発信信号を受信したと判断した場合(ステップS200:Yes)、ステップS202へ進む。
ステップS202では、通信制御部40Aは、受信した発信信号を、位置特定装置10へ送信する(ステップS202)。このとき、上述したように、通信制御部40Aは、観測装置12の観測装置IDと、観測装置12の位置情報とを、発信信号と共に位置特定装置10へ送信する。そして、本ルーチンを終了する。
以上説明したように、本実施の形態の位置特定装置10は、取得部20Aと、算出部20Bと、判断部20Cと、特定部20Dと、を備える。
取得部20Aは、対象領域Pの周囲に配置された少なくとも3つ以上の複数の観測装置12の各々から、対象領域P内の無線通信装置14の発信信号を取得する。算出部20Bは、発信信号に基づいて、複数の観測装置12の各々を起点とし、複数の観測装置12の各々から無線通信装置14までの推定距離を半径とした複数の推定線60を算出する。判断部20Cは、複数の観測装置12の内の1つである基準観測装置12Aを起点とした推定線60である基準推定線60Aと、基準観測装置12A以外の他の観測装置12である複数の参照観測装置(参照観測装置12B、参照観測装置12C)の各々を起点とした推定線60である参照推定線(参照推定線60B6、参照推定線60C)と、の第1の交点70(第1の交点70A、第1の交点70B)が、2つの参照観測装置(参照観測装置12B、参照観測装置12C)を結ぶ仮想基準線62より基準観測装置12Aから遠い位置にあるか否かを判断する。
特定部20Dは、第1の交点70(第1の交点70A、第1の交点70B)が仮想基準線62より基準観測装置12Aから遠い位置にあると判断した場合、第1の交点70(第1の交点70A、第1の交点70B)と、仮想基準線62と参照推定点(参照推定線60B、参照推定線60C)との第2の交点72(第2の交点72A、第2の交点72B)と、の内側の第1の領域P1内を、無線通信装置14(発信元無線通信装置15)の位置として特定する。
ここで、従来では、無線通信装置の位置の候補を示す推定線の交点の重心を、無線通信装置の位置として特定していた。しかし、この従来の方法では、無線通信装置の位置が、位置特定の基準とする無線局(例えば、基準観測装置12A)から遠い位置にあるほど、推定線の交点によって示される範囲が大きくなり、位置特定精度が低下していた。このため、従来では、無線通信装置の位置特定精度が低下する場合があった。
一方、本実施の形態では、特定部20Dは、基準推定線60Aと、参照推定線60Bおよび参照推定線60Cの各々と、の第1の交点70が、参照観測装置12Bと参照観測装置12Cとを結ぶ仮想基準線62より基準観測装置12Aから遠い位置にあると判断した場合、以下の領域を発信元無線通信装置15の位置として特定する。詳細には、特定部20Dは、第1の交点70と、仮想基準線62と参照推定線60Bおよび参照推定線60Cの各々との第2の交点72と、の内側の第1の領域P1内を、発信信号の発信元の無線通信装置14(すなわち発信元無線通信装置15)の位置として特定する。
このため、本実施の形態の位置特定装置10では、発信信号の発信元の無線通信装置14の位置が、基準観測装置12Aから遠い位置にある場合、第1の交点70と、他の2つの参照観測装置(参照観測装置12C、参照観測装置12D)を結ぶ仮想基準線62と参照推定線(参照推定線60B、参照推定線60C)との第2の交点72と、の内側、といった従来技術より範囲を大幅に狭めた第1の領域P1内を、無線通信装置14(発信元無線通信装置15)の位置として特定することができる。
従って、本実施の形態の位置特定装置10は、無線通信装置14の位置特定精度の向上を図ることができる。
また、特定部20Dは、第1の交点70が仮想基準線62より基準観測装置12Aから遠い位置にあると判断した場合、第1の領域P1における、第1の交点70と第2の交点72との重心位置を、発信信号を発信した無線通信装置14の位置として特定する。このように、特定部20Dは、従来技術より範囲を狭められた領域である第1の領域P1における、第1の交点70と第2の交点72との重心位置を、該無線通信装置14の位置として特定する。このため、本実施の形態の位置特定装置10は、無線通信装置14の位置特定精度の向上を図ることができる。
また、本実施の形態では、位置特定システム1は、3つの観測装置12(基準観測装置12A、参照観測装置12B、参照観測装置12C)を備える。取得部20Aは、3つの観測装置12の各々から発信信号を取得する。
上述したように、本実施の形態では、複数の観測装置12の内の1つである基準観測装置12A以外の2つの観測装置12である参照観測装置(参照観測装置12B、参照観測装置12C)を結ぶ直線を、仮想基準線62として用いる。このため、本実施の形態では、位置特定装置10は、対象領域Pの周囲に配置された最低限3つの観測装置12の各々から発信信号を取得することで、精度良く無線通信装置14の位置を特定することができる。
このため、本実施の形態の位置特定装置10は、3つの観測装置12の各々から発信信号を取得することで、精度良く無線通信装置14の位置を特定することができる。
すなわち、本実施の形態の位置特定装置10は、観測装置12を増やすことなく、無線通信装置14の位置精度特定の向上を図ることができる。
また、本実施の形態の位置特定装置10は、位置特定システム1に4つ以上の観測装置12が設けられている場合に、全ての観測装置12に発信元無線通信装置15からの発信信号が到達しない場合であっても、少なくとも3つの観測装置12に発信信号が到達すれば、発信元無線通信装置15の位置を精度良く特性することができる。
また、取得部20Aは、対象領域P内の複数の無線通信装置14の内の1つである発信元無線通信装置15から発信された無線信号がマルチホップ無線通信により、複数の観測装置12の各々に受信されるまでのホップ数を示すホップ数情報を含む、発信信号を取得する。そして、算出部20Bは、発信信号に含まれるホップ数情報と、複数の無線通信装置14間の距離とに基づいて算出した推定距離を半径とした、複数の推定線60を算出する。
このように、発信信号に含まれるホップ数情報と、複数の無線通信装置14間の距離と、に基づいて推定線60を算出する。このため、ホップ数情報以外の情報を用いて推定距離を導出することで推定線60を算出する場合に比べて、精度良く算出された推定距離を用いた、精度の高い推定線60を算出することができる。このため、本実施の形態の位置特定装置10は、上記効果に加えて、更に精度良く無線通信装置14の位置を特定することができる。
(変形例1)
なお、上記実施の形態では、判断部20Cが、複数の観測装置12の内の1つを、基準観測装置として予め定める形態を一例として説明した。また、判断部20Cは、複数の観測装置12の内、基準観測装置以外の他の観測装置12を、参照観測装置として予め定める形態を説明した。
しかし、判断部20Cは、発信元無線通信装置15の位置を特定するごと、または、所定タイミングごとに、異なる観測装置12を基準観測装置として定めてもよい。
このように、判断部20Cは、基準観測装置とする観測装置12を、変更可能としてもよい。
(変形例2)
上記実施の形態では、位置特定システム1が、3つの観測装置12(基準観測装置12A、参照観測装置12B、参照観測装置12C)を備える形態を一例として説明した。しかし、上述したように、位置特定システム1は、3つ以上の観測装置12を有する構成であればよい。例えば、位置特定システム1は、4つ以上の観測装置12を有する構成であってもよい。
図6は、本変形例の位置特定システム1Aの一例を示す模式図である。位置特定システム1Aは、位置特定装置10と、5つの観測装置12と、1または複数の無線通信装置14と、を備える。
位置特定装置10、観測装置12、および無線通信装置14は、上記実施の形態と同様である。位置特定システム1Aは、観測装置12の数が5つである点以外は、上記実施の形態と同様である。
5つの観測装置12は、上記実施の形態と同様に、対象領域Pの周囲に配置されており、対象領域P内の無線通信装置14と無線通信可能に配置されている。また、5つの観測装置12は、互いに配置位置が異なる。
本変形例では、位置特定システム1Aは、5つの観測装置12として、基準観測装置12Aと、4つの参照観測装置(参照観測装置12B、参照観測装置12C、参照観測装置12D、参照観測装置12E)と、を備える形態を一例として説明する。
本変形例においても、位置特定装置10の制御部20は、上記実施の形態と同様して、発信元無線通信装置15の位置を特定すればよい。
但し、図6に示すように、位置特定システム1Aが4つ以上(本変形例では5つ)の観測装置12を備えた構成である場合、判断部20Cは、複数の仮想基準線62を生成することとなる。
詳細には、この場合、判断部20Cは、仮想基準線62Aと、仮想基準線62Bと、仮想基準線62Cと、仮想基準線62Dと、仮想基準線62Eと、仮想基準線62Fと、を仮想基準線62として生成する。
仮想基準線62Aは、参照観測装置12Bと参照観測装置12Cとを結ぶ仮想基準線62である。仮想基準線62Bは、参照観測装置12Bと参照観測装置12Eとを結ぶ仮想基準線62である。仮想基準線62Cは、参照観測装置12Dと参照観測装置12Cとを結ぶ仮想基準線62である。仮想基準線62Dは、参照観測装置12Bと参照観測装置12Dとを結ぶ仮想基準線62である。仮想基準線62Eは、参照観測装置12Dと参照観測装置12Eとを結ぶ仮想基準線62である。仮想基準線62Fは、参照観測装置12Eと参照観測装置12Cとを結ぶ仮想基準線62である。
なお、判断部20Cは、上記実施の形態と同様に、複数の観測装置12の各々から受信した観測装置12の各々の位置情報を用いて、仮想基準線62を生成すればよい。
そして、取得部20Aが、5つの観測装置12の各々から発信元無線通信装置15の発信信号を取得すると、算出部20Bは、基準観測装置12Aを起点とする推定線60である基準推定線60Aと、他の観測装置12である複数の参照観測装置(参照観測装置12B、参照観測装置12C、参照観測装置12D、参照観測装置12E)の各々を起点とする参照推定線(参照推定線60B、参照推定線60C、参照推定線60D、参照推定線60E)と、を上記実施の形態と同様にして算出する。
そして、判断部20Cは、基準推定線60Aと、複数の参照推定線(参照推定線60B、参照推定線60C、参照推定線60D、参照推定線60E)の各々と、の複数の第1の交点70(第1の交点70B、第1の交点70C、第1の交点70D、第1の交点70E)を特定する。
判断部20Cは、特定した複数の第1の交点70(第1の交点70B、第1の交点70C、第1の交点70D、第1の交点70E)が、複数の仮想基準線62の内の少なくとも1つより、基準観測装置12Aから遠い位置にあるか否かを判断する。
図6に示す状態の場合、複数の第1の交点70(第1の交点70B、第1の交点70C、第1の交点70D、第1の交点70E)は、複数の仮想基準線62の内、仮想基準線62A、仮想基準線62B、および仮想基準線62Cより、基準観測装置12Aから遠い位置にある。
そして、判断部20Cが、特定した複数の第1の交点70(第1の交点70B、第1の交点70C、第1の交点70D、第1の交点70E)が、複数の仮想基準線62の内の少なくとも1つより、基準観測装置12Aから遠い位置にあると判断した場合、特定部20Dは、以下の処理を実行すればよい。
特定部20Dは、複数の第1の交点70(第1の交点70B、第1の交点70C、第1の交点70D、第1の交点70E)と、複数の第1の交点70が基準観測装置12Aから遠い位置にあるとの判断に用いた1つの仮想基準線62と参照推定線との第2の交点72と、の内側の第1の領域P1内を、無線通信装置14の位置として特定する。
詳細には、判断部20Cによって、複数の第1の交点70(第1の交点70B、第1の交点70C、第1の交点70D、第1の交点70E)が、仮想基準線62A、仮想基準線62B、および仮想基準線62Cより、基準観測装置12Aから遠い位置にあると判断されたと想定する。
この場合、特定部20Dは、複数の第1の交点70が遠い位置にあるとの判断に用いた複数の仮想基準線62(この場合、仮想基準線62A、仮想基準線62B、仮想基準線62C)の内の1つの仮想基準線62を特定する。特定部20Dは、これらの複数の仮想基準線62の内、何れか1つの仮想基準線62を特定すればよい。なお、特定部20Dは、これらの複数の仮想基準線62の内、基準観測装置12Aから最も遠い位置に配置された1つの仮想基準線62を特定することが好ましい。
この場合、例えば、特定部20Dは、複数の第1の交点70が遠い位置にあると判断した複数の仮想基準線62(この場合、仮想基準線62A、仮想基準線62B、仮想基準線62C)の内、仮想基準線62Bまたは仮想基準線62Cを特定することが好ましい。
例えば、特定部20Dが、仮想基準線62Bおよび仮想基準線62Cの内、1つの仮想基準線62Bを特定したと想定する。この場合、判断部20Cは、複数の第1の交点70(第1の交点70B、第1の交点70C、第1の交点70D、第1の交点70E)と、仮想基準線62Bと参照推定線(参照推定線60B、参照推定線60C、参照推定線60D、参照推定線60E)との第2の交点72(第1の交点70B、第1の交点70C、第1の交点70D、第1の交点70E)と、の内側の第1の領域P1内を、発信信号の発信元の無線通信装置14の位置として特定する。
詳細には、特定部20Dは、第1の交点70B、第1の交点70C、第1の交点70D、第1の交点70Eの内、特定した1つの仮想基準線62Bによって結ばれた2つの参照観測装置12Bおよび参照観測装置12Eの各々の参照推定線(参照推定線60B、参照推定線60E)と基準推定線60Aとの交点である第1の交点70Bおよび第1の交点70Eを特定する。
また、特定部20Dは、複数の第2の交点72の内、特定した1つの仮想基準線62Bと、該仮想基準線62Bによって結ばれた2つの参照観測装置12Bおよび参照観測装置12Eの各々の参照推定線(参照推定線60B、参照推定線60E)との交点である第2の交点72Dおよび第2の交点72Eを、特定する。
そして、特定部20Dは、特定した第1の交点70B、第1の交点70E、第2の交点72D、および第2の交点72Eの内側の第1の領域P1内を、発信信号の発信元の無線通信装置14である発信元無線通信装置15の位置として特定すればよい。
詳細には、上記実施の形態と同様に、特定部20Dは、該第1の領域P1内における、特定した第1の交点70B、第1の交点70E、第2の交点72D、および第2の交点72Eの重心位置を、発信元無線通信装置15の位置として特定すればよい。
このように、本変形例では、4つ以上の観測装置12の各々から発信信号を取得する。判断部20Cは、基準推定線60Aと、複数の参照推定線(参照推定線60B、参照推定線60C、参照推定線60D、参照推定線60E)の各々と、の複数の第1の交点70が、2つの参照観測装置を結ぶ複数の仮想基準線62の内の少なくとも1つより、基準観測装置12Aから遠い位置にあると判断した場合、該判断に用いた1つの仮想基準線62(例えば、仮想基準線62B)と参照推定線との第2の交点72と、の内側の第1の領域P1内を、無線通信装置14の位置として特定する。
このため、本変形例では、観測装置12が4つ以上の場合であっても、無線通信装置14の位置特定精度の向上を図ることができる。
なお、位置特定装置10は、4つ以上の観測装置12の各々から発信信号を取得した場合、任意の3つの観測装置12を特定し、特定した3つの観測装置12を用いて、上記実施の形態と同様にして、発信元無線通信装置15の位置特定を行ってもよい。
(ハードウェア構成)
次に、上記実施の形態の位置特定装置10、観測装置12、および無線通信装置14のハードウェア構成の一例を説明する。図7は、位置特定装置10、観測装置12、および無線通信装置14のハードウェア構成図の一例を示す図である。
位置特定装置10、観測装置12、および無線通信装置14は、CPU80などの制御装置と、ROM(Read Only Memory)82、RAM(Random Access Memory)84、およびHDD(ハードディスクドライブ)86などの記憶装置と、各種機器とのインターフェースであるI/F部88と、各部を接続するバス90とを備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
位置特定装置10、観測装置12、および無線通信装置14では、CPU80が、ROM82からプログラムをRAM84上に読み出して実行することにより、上記各部がコンピュータ上で実現される。
なお、位置特定装置10、観測装置12、および無線通信装置14で実行される上記各処理を実行するためのプログラムは、HDD86に記憶されていてもよい。また、位置特定装置10、観測装置12、および無線通信装置14で実行される上記各処理を実行するためのプログラムは、ROM82に予め組み込まれて提供されていてもよい。
また、位置特定装置10、観測装置12、および無線通信装置14で実行される上記処理を実行するためのプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD−ROM、CD−R、メモリカード、DVD(Digital Versatile Disk)、フレキシブルディスク(FD)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記憶されてコンピュータプログラムプロダクトとして提供されるようにしてもよい。また、位置特定装置10、観測装置12、および無線通信装置14で実行される上記処理を実行するためのプログラムを、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するようにしてもよい。また、位置特定装置10、観測装置12、および無線通信装置14で実行される上記処理を実行するためのプログラムを、インターネットなどのネットワーク経由で提供または配布するようにしてもよい。
なお、上記には、本発明の実施の形態を説明したが、上記実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
本発明の第1態様にかかる位置特定装置は、対象領域の周囲に配置された少なくとも3つ以上の複数の観測装置の各々から、前記対象領域内の無線通信装置の発信信号を取得する取得部と、前記発信信号に基づいて、複数の前記観測装置の各々を起点とし、複数の前記観測装置の各々から前記無線通信装置までの推定距離を半径とした複数の推定線を算出する算出部と、複数の前記観測装置の内の1つである基準観測装置を起点とした前記推定線である基準推定線と、前記基準観測装置以外の他の前記観測装置である複数の参照観測装置の各々を起点とした前記推定線である参照推定線と、の第1の交点が、2つの前記参照観測装置を結ぶ仮想基準線より前記基準観測装置から遠い位置にあるか否かを判断する判断部と、前記第1の交点が前記仮想基準線より前記基準観測装置から遠い位置にあると判断した場合、前記第1の交点と、前記仮想基準線と前記参照推定線との第2の交点と、の内側の第1の領域内を、前記無線通信装置の位置として特定し、前記第1の交点が前記仮想基準線より前記基準観測装置から近い位置にあると判断した場合、前記第1の交点と、複数の前記参照推定線の第3の交点と、の内側の第2の領域内を、前記無線通信装置の位置として特定する特定部と、を備える。
また、本発明の第2態様にかかる位置特定システムは、位置特定装置と、前記位置特定装置と通信する複数の観測装置と、を備えた位置特定システムであって、前記位置特定装置は、対象領域の周囲に配置された少なくとも3つ以上の複数の前記観測装置の各々から、前記対象領域内の無線通信装置の発信信号を取得する取得部と、前記発信信号に基づいて、複数の前記観測装置の各々を起点とし、複数の前記観測装置の各々から前記無線通信装置までの推定距離を半径とした複数の推定線を算出する算出部と、複数の前記観測装置の内の1つである基準観測装置を起点とした前記推定線である基準推定線と、前記基準観測装置以外の他の前記観測装置である複数の参照観測装置の各々を起点とした前記推定線である参照推定線と、の第1の交点が、2つの前記参照観測装置を結ぶ仮想基準線より前記基準観測装置から遠い位置にあるか否かを判断する判断部と、前記第1の交点が前記仮想基準線より前記基準観測装置から遠い位置にあると判断した場合、前記第1の交点と、前記仮想基準線と前記参照推定線との第2の交点と、の内側の第1の領域内を、前記無線通信装置の位置として特定し、前記第1の交点が前記仮想基準線より前記基準観測装置から近い位置にあると判断した場合、前記第1の交点と、複数の前記参照推定線の第3の交点と、の内側の第2の領域内を、前記無線通信装置の位置として特定する特定部と、を備える。
また、本発明の第3態様にかかる位置特定プログラムは、対象領域の周囲に配置された少なくとも3つ以上の複数の観測装置の各々から、前記対象領域内の無線通信装置の発信信号を取得するステップと、前記発信信号に基づいて、複数の前記観測装置の各々を起点とし、複数の前記観測装置の各々から前記無線通信装置までの推定距離を半径とした複数の推定線を算出するステップと、複数の前記観測装置の内の1つである基準観測装置を起点とした前記推定線である基準推定線と、前記基準観測装置以外の他の前記観測装置である複数の参照観測装置の各々を起点とした前記推定線である参照推定線と、の第1の交点が、2つの前記参照観測装置を結ぶ仮想基準線より前記基準観測装置から遠い位置にあるか否かを判断するステップと、前記第1の交点が前記仮想基準線より前記基準観測装置から遠い位置にあると判断した場合、前記第1の交点と、前記仮想基準線と前記参照推定線との第2の交点と、の内側の第1の領域内を、前記無線通信装置の位置として特定し、前記第1の交点が前記仮想基準線より前記基準観測装置から近い位置にあると判断した場合、前記第1の交点と、複数の前記参照推定線の第3の交点と、の内側の第2の領域内を、前記無線通信装置の位置として特定するステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラムである。