JP2019164015A - 閾値決定方法、電波送受信システムおよびプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】電波送信装置と電波受信装置との近接判定用の閾値を簡便に決定できる。【解決手段】本実施形態は、自装置に固有の識別情報を含めて無線信号を送信する送信装置と、前記無線信号を受信する受信装置と、を備えた電波送受信システムにおいて実行される方法であって、前記送信アンテナと前記受信アンテナとを第1の距離だけ離間させて保持した際の前記無線信号の電波強度を取得する電波強度取得ステップと、取得した前記電波強度の代表値を算出する代表値算出ステップと、前記送信アンテナと前記受信アンテナとが前記第1の距離より離れた距離での前記送信装置と前記受信装置との近接判定に用いる電波強度の閾値を、前記代表値に基づいて決定する閾値決定ステップと、決定された前記閾値と前記送信装置に固有の識別情報とを関連付けて記憶手段に格納する閾値格納ステップと、を含む。【選択図】図2
Description
本発明は、閾値決定方法、電波送受信システムおよびプログラムに関する。
物流現場では、作業者の行動を分析することで省力化、省人化に向けた取り組みがなされている。作業者の行動を観測するために、電波送信装置が無線通信によりビーコン信号を繰り返し送信し、電波受信装置が受信したビーコン信号に基づいて電波送信装置の位置情報を得る位置観測システムが構築され利用されている。このようなシステムでは、電波受信装置が受信したビーコン信号の電波強度に基づいて、電波送信装置と電波受信装置との間の距離を算出し、算出した距離から電波送信装置の位置が推定される。
例えば特許文献1には、送信局が予め定められた周波数の電波を固有の標識番号で変調して送信し、他の送受信局の受信電界強度と既知の送受信局の位置情報とから距離と受信電界強度の関係を推定し、受信電界強度と固有の標識番号とに基づいて、送信局の位置を計算する位置検出システムに関する技術が開示されている。当該技術は、屋内において送受信局が互いに物影にあったり反射波の影響で局地的に電波強弱が発生したりする状況において、送信局の位置を高い精度で検出できることを課題としている。
しかしながら、電波強度の強弱を用いて両者の位置関係を推定する方法では、電波送信装置と電波受信装置との近接状態を判定するために、電波強度に閾値を設定する必要がある。閾値を設定するためには電波受信装置に対して一定距離の位置に電波送信装置を固定することが望ましいが、固定には三脚等の治具を用意しなくてはならず、手間とコストがかかるという課題があった。また、物流現場は作業者や牽引台車などが頻繁に往来するような場所であるため、上述したような治具を設置するとなると、現場の作業の邪魔になる可能性が高い。これに対して、終業後に行うか、あるいは作業を一時中断する案があるが、物流業務に支障が出ないように作業を行えることが望ましい。さらに、電波送信装置の数が多い場合には、治具の数も多数となりコストアップとなるほか、治具に取り付ける作業も大規模になってしまうといった課題があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、電波送信装置と電波受信装置との近接判定用の閾値を簡便に決定できる閾値決定方法、電波送受信システムおよびプログラムを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、自装置に固有の識別情報を含めて無線信号を送信する送信装置と、前記無線信号を受信する受信装置と、を備えた電波送受信システムにおいて実行される方法であって、前記送信アンテナと前記受信アンテナとを第1の距離だけ離間させて保持した際の前記無線信号の電波強度を取得する電波強度取得ステップと、取得した前記電波強度の代表値を算出する代表値算出ステップと、前記送信アンテナと前記受信アンテナとが前記第1の距離より離れた距離での前記送信装置と前記受信装置との近接判定に用いる電波強度の閾値を、前記代表値に基づいて決定する閾値決定ステップと、決定された前記閾値と前記送信装置に固有の識別情報とを関連付けて記憶手段に格納する閾値格納ステップと、を含む。
本発明によれば、電波送信装置と電波受信装置との近接判定用の閾値を簡便に決定できるという効果を奏する。
以下に添付図面を参照して、閾値決定方法、電波送受信システムおよびプログラムの実施の形態を詳細に説明する。
<システム構成>
図1は、本実施形態にかかる電波送受信システム100の概略構成例を示す図である。図1に示すように、電波送受信システム100は、本実施形態の送信装置の一例としてのビーコン送信装置1と、本実施形態の受信装置かつ情報処理装置の一例としての情報端末2とを含む。
図1は、本実施形態にかかる電波送受信システム100の概略構成例を示す図である。図1に示すように、電波送受信システム100は、本実施形態の送信装置の一例としてのビーコン送信装置1と、本実施形態の受信装置かつ情報処理装置の一例としての情報端末2とを含む。
ビーコン送信装置1は、例えば物流現場において作業者によって装着されるボタン電池型ビーコン等である。ビーコン送信装置1は筐体内部に基板10を備え、基板10上には送信アンテナ11と、ID格納部12とが配設されている。ID格納部12は、自装置、即ち、ビーコン送信装置1に固有の識別情報を格納している。ビーコン送信装置1は、当該識別情報を含めたビーコン信号を変調して電波とし、送信アンテナ11から一定間隔で送信する。
ビーコン送信装置1と情報端末2との間で行われる無線通信の方式は、例えば、Bluetooth(登録商標)を用いることができる。好ましくは、消費電力を低減したBLE(Bluetooth (登録商標)Low Energy)を適用するとよい。また、ビーコン信号としては、Apple(登録商標)のiBeacon(登録商標)方式のビーコン信号を用いることができる。尚、ビーコン送信装置1と情報端末2との間で行われる無線通信の方式は、データ伝送が可能な無線通信であれば特に限定されず、上記以外の電波を用いてもよいし、音波を用いてもよい。
情報端末2は、例えばタブレット端末、スマートフォン、ノートPC(Personal Computer)等の携帯型の情報処理装置である。情報端末2は筐体内部に基板20を備え、基板20上にはBluetooth(登録商標)対応の受信アンテナ21と、CPU(Central Processing Unit)200とが配設されている。情報端末2は、ビーコン送信装置1が送信したビーコン信号を受信アンテナ21により受信し、元のビーコン信号に復調してCPU200に送る。
iBeacon(登録商標)による位置測定(測位という)としては、主に2タイプの検知が可能である。1つは、ビーコン送信装置1がビーコン検知領域内に入ったこと、または出たことを検知する機能である。ビーコン送信装置1を検知できる範囲は、概ね半径数10cmから数10m程度である。もう1つは、ビーコン検知領域内にいるビーコン送信装置1と、ビーコン受信装置(本実施形態では情報端末2)との距離を、「遠い(Far)」「近い(Near)」「非常に近い/近接(Immediate)」の3段階で検出できる機能である。このように3段階に分けることで、ビーコン送信装置1とビーコン受信装置(本実施形態では情報端末2)との位置を簡略化して把握することができ、現時点で近接の範囲内にいるビーコン送信装置1に対し選択的、限定的にデータ送受信を行うことができる。
本実施形態では、上述した「非常に近い」、即ち、「近接」を判定する際に用いられる電波強度の閾値をより正確に決定することで閾値の校正を行うものである。また、校正後の閾値を情報端末2に格納し、当該閾値により近接判定を行うものである。次に、近接判定用の閾値を決定する際に考慮すべきBLE電波の特性について説明する。
<BLE方式の電波の特性について>
BLEの特性について端的に説明すると、以下(ア)〜(エ)の4つの特性がある。
(ア)BLEの電波強度は、ビーコン受信装置(例えば情報端末2)とビーコン送信装置1とが近づくと大きい値が検知され、離れれば小さくなる傾向があるが、ある程度離れると電波の直接波のエネルギーが小さくなり、電波の反射などの影響を受けるので、電波強度と両者の距離に一意性はない。
(イ)電波強度の分散はビーコン受信装置(情報端末2)とビーコン送信装置1とが密着した状態であれば小さいものの、ある程度離れてしまうと距離と分散は関係がない。
(ウ)BLEは複数のチャネルを有しており、一定時間ごとに切り替わる。ビーコン受信装置(情報端末2)の受信アンテナ21は、一般的に特定の周波数を受信するように設計されているため、一定時間ごとに、「強い電波強度」と「弱い電波強度」が切り替わる。
(エ)電波強度のデータはi.i.d(independent and identically distributed)とみなせる。つまり各時間に計測される各電波強度データは測定条件が同じならば同一の分布に属し、かつ互いに独立である。
BLEの特性について端的に説明すると、以下(ア)〜(エ)の4つの特性がある。
(ア)BLEの電波強度は、ビーコン受信装置(例えば情報端末2)とビーコン送信装置1とが近づくと大きい値が検知され、離れれば小さくなる傾向があるが、ある程度離れると電波の直接波のエネルギーが小さくなり、電波の反射などの影響を受けるので、電波強度と両者の距離に一意性はない。
(イ)電波強度の分散はビーコン受信装置(情報端末2)とビーコン送信装置1とが密着した状態であれば小さいものの、ある程度離れてしまうと距離と分散は関係がない。
(ウ)BLEは複数のチャネルを有しており、一定時間ごとに切り替わる。ビーコン受信装置(情報端末2)の受信アンテナ21は、一般的に特定の周波数を受信するように設計されているため、一定時間ごとに、「強い電波強度」と「弱い電波強度」が切り替わる。
(エ)電波強度のデータはi.i.d(independent and identically distributed)とみなせる。つまり各時間に計測される各電波強度データは測定条件が同じならば同一の分布に属し、かつ互いに独立である。
・BLE方式の受信電波に含まれる測定誤差について
また、ビーコン受信装置(例えば、情報端末2)で検出されるビーコン信号の電波強度のデータには、(1)外部環境に起因する定常誤差、(2)デバイスに起因する定常的な誤差、(3)装置を手持ちした際の瞬間的な移動等に起因する誤差、および、測定時に装置間に人体等を挟んでしまう等の要因に起因する誤差、そして、(4)その他の外乱に起因する誤差、などの影響が含まれる。
また、ビーコン受信装置(例えば、情報端末2)で検出されるビーコン信号の電波強度のデータには、(1)外部環境に起因する定常誤差、(2)デバイスに起因する定常的な誤差、(3)装置を手持ちした際の瞬間的な移動等に起因する誤差、および、測定時に装置間に人体等を挟んでしまう等の要因に起因する誤差、そして、(4)その他の外乱に起因する誤差、などの影響が含まれる。
(1)については、あまりにも特殊な環境でなければ、即ち、ビーコン受信装置(例えば、情報端末2)とビーコン送信装置1の間に金属物や水分を含んだ物体などが無く、かつ半径数10cm程度の金属円筒で覆われていない空間であれば、電波強度は後述のフリスの伝達公式(式1参照)に従うものと仮定できる。尚、ビーコン受信装置(例えば、情報端末2)を反射係数の高い鉄板などに貼り付けている場合は、フリスの伝達公式において適当な係数を用いればよい。
(2)については、ビーコン送信装置1とビーコン受信装置(例えば、情報端末2)とを密着させて電波強度を測定し、機器固有のバイアスを含んだ値を計測することができると考えられる。尚、(2)の誤差については、キャリブレーション(閾値校正)と実際の運用とで同じ機器を用いれば問題ないと見なすことができる。
(3)については、ビーコン受信装置(例えば、情報端末2)に対してビーコン送信装置1を固定させれば、手振れの影響を除去できる。また、人体を挟むことによる影響については、作業者にビーコン送信装置1もしくはビーコン受信装置(例えば、情報端末2)を装着してもらう際に、ビーコン送信装置1とビーコン受信装置との間に身体の一部を挟まないようにして電波強度を測定することで、当該影響を除去できる。あるいは、予め身体の一部を挟んだ状態でその影響による電波強度の誤差分を測定しておき、後述する近接判定の閾値から当該誤差分を差し引くとしてもよい。
(4)については、環境的な外乱、例えばサービスインする環境での温度や湿度、粉塵などにより、実験室で測定した値よりも常に−4dB低くなる事象などがある。従って、実環境にて電波強度を測定することにより、(4)の影響は低減可能である。
上述を踏まえ、本実施形態の閾値決定方法では、測位サービスを実際に導入する現場にて閾値校正用の電波強度を測定し、近接域に限定して電波強度と距離の関係を導出し、より正確に機能する近接判定用の閾値を導出することとした。本実施形態の閾値決定方法によれば、上述の(1)ないし(4)に記載した測定誤差の影響を低減して、近接域での電波強度をより正確に測定することで、より正確な閾値を決定することを目指すものである。次に、本実施形態にかかる閾値決定方法(当該閾値の校正方法と捉えてもよい)について説明する。
<閾値決定方法>
本実施形態の近接判定用の閾値決定方法は、電波強度取得ステップと、代表値算出ステップと、閾値決定ステップと、閾値格納ステップとを含む。電波強度取得ステップは、送信アンテナ11と受信アンテナ21とを第1の距離だけ離間させて保持した際の無線信号の電波強度を取得するステップである。代表値算出ステップは、電波強度取得ステップで取得した電波強度の「代表値」を算出するステップである。閾値決定ステップは、送信アンテナ11と受信アンテナ21とが第1の距離より離れた距離での、ビーコン送信装置1と情報端末2との近接判定に用いる電波強度の閾値を、上述の代表値を用いて決定するステップである。閾値格納ステップは、上述のように決定された閾値と、ビーコン送信装置1に固有の識別情報とを関連付けて記憶手段に格納するステップである。
本実施形態の近接判定用の閾値決定方法は、電波強度取得ステップと、代表値算出ステップと、閾値決定ステップと、閾値格納ステップとを含む。電波強度取得ステップは、送信アンテナ11と受信アンテナ21とを第1の距離だけ離間させて保持した際の無線信号の電波強度を取得するステップである。代表値算出ステップは、電波強度取得ステップで取得した電波強度の「代表値」を算出するステップである。閾値決定ステップは、送信アンテナ11と受信アンテナ21とが第1の距離より離れた距離での、ビーコン送信装置1と情報端末2との近接判定に用いる電波強度の閾値を、上述の代表値を用いて決定するステップである。閾値格納ステップは、上述のように決定された閾値と、ビーコン送信装置1に固有の識別情報とを関連付けて記憶手段に格納するステップである。
・電波強度取得ステップ
好適には、電波強度取得ステップは、側位サービスを実際に導入する現場にて行うことが好ましい。また、上述した第1の距離は、情報端末2の筐体とビーコン送信装置1の筐体とを互いに接触させて所定の配置で保持した際における、送信アンテナ11と受信アンテナ21との距離である。第1の距離は、所定の配置とした際の送信アンテナ11と受信アンテナ21との距離を予め測定しておき、後に行う電波強度と距離の関係式に適用すればよい。
好適には、電波強度取得ステップは、側位サービスを実際に導入する現場にて行うことが好ましい。また、上述した第1の距離は、情報端末2の筐体とビーコン送信装置1の筐体とを互いに接触させて所定の配置で保持した際における、送信アンテナ11と受信アンテナ21との距離である。第1の距離は、所定の配置とした際の送信アンテナ11と受信アンテナ21との距離を予め測定しておき、後に行う電波強度と距離の関係式に適用すればよい。
図2は、ビーコン送信装置1を情報端末2に接触させて配置した様子を示す模式図である。好適な実施形態としては、このようにビーコン送信装置1と情報端末2とを接触させて電波送受信を行い、所定時間分の電波強度のデータを取得するとよい。互いに接触させる際の所定の配置の好適な例としては、図2に示したように、ビーコン送信装置1を情報端末2の正面の略中央に載置した配置とすればよい。
換言すれば、情報端末2は受信アンテナ21を配した基板20の面に沿う筐体正面部を有している。筐体正面部とは、ディスプレイ209(図9参照)の表示画面が設けられた面である。また、ビーコン送信装置1は送信アンテナ11を配した基板10の面に沿う筐体正面部を有している。筐体正面部は、図2の例では円形状の面である。送信アンテナ11に沿う面であればよいので、筐体正面部は、図2の手前側の円形状の面(前面)でもよいし、図2の奥側の円形状の面(背面)でもよい。そして、ビーコン送信装置1の円形の正面部を、情報端末2の筐体正面部に載置して両者を接触させて保持して、閾値校正用の電波送受信を行う。このように配置することで、ビーコン送信装置1と情報端末2との間の距離を物理的に最短とすることができ、上述した誤差の影響を低減させた電波強度のデータを取得できる。
尚、ビーコン送信装置1の形状は円形に限定されず、直方体形状や楕円形状などその他の形状でもよい。一般的にビーコン送信装置1の筐体形状は、アンテナ面に沿って扁平に構成されることが多いので、ビーコン送信装置1の扁平な面を情報端末2のディスプレイ上に載置すればよい。このような載置方法は、上述のように送信アンテナ11と受信アンテナ21とをより近い配置にするのみならず、ビーコン送信装置1の扁平な面を情報端末2の扁平なディスプレイ面上に載置すればよいため、所定時間の電波計測において電波を安定して測定可能にするものである。
好適な実施形態としては、ビーコン送信装置1における送信アンテナ11の配置と、情報端末2における受信アンテナ21の配置とを予め調査しておくとよい。そして、ビーコン送信装置1と情報端末2とを上述した所定の配置にした際の送信アンテナ11と受信アンテナ21との間の距離である第1の距離を測定しておき、測定された第1の距離を、近接判定用の閾値を算出する際に用いるデータとして、情報端末2の記憶手段(例えば、ストレージ205等)に格納しておくとよい。
あるいは、好適な実施形態としては、所定の治具を準備しておき、当該治具を用いて、ビーコン送信装置1と情報端末2とを固定距離に安定して保持することができる。治具の形状は特に限定しないが、例えば、ビーコン送信装置1の外周が内側に納まるような孔部を備え、情報端末2の外周辺の少なくとも2辺に引掛けられる引き掛け部を備えた治具を用いることができる。より好適には、情報端末2の外周の4辺に対してビーコン送信装置1が固定されるような治具を用いるとよい。
あるいは、好適な所定の配置として、情報端末2の筐体上辺の左角部を成す2辺にビーコン送信装置1の外周を接触させた配置としてもよい。なお、情報端末2の筐体上辺の左角部ではなく、筐体上辺の右角部でもよいし、筐体下辺の左角部でもよいし、筐体下辺の右角部でもよい。このように載置位置を情報端末2の筐体の外周部とビーコン送信装置1の外周部とを揃えるような配置とすれば、配置合わせ用の治具を用いずとも、送信アンテナ11と受信アンテナ21との距離を常に一定にしやすくできる。
また、ビーコン送信装置1と情報端末2とが上述した所定の位置、即ち、送信アンテナ11と受信アンテナ21との間の距離が第1の距離で固定される位置となったことを検出する検出手段を備えてもよい。検出手段の例としては、例えば、治具の所定位置に光学式センサを設けておき、ビーコン送信装置1および情報端末2が予め定められた所定位置にそれぞれ位置したことを光学式センサがそれぞれ検出し、報知するよう構成すればよい。
また、治具としては、ビーコン送信装置1と情報端末2とを所望の距離だけ離間させて保持できる治具を用いてもよい。また、固定位置に置いたビーコン送信装置1に対して三脚を治具として用いて情報端末2を所定の距離だけ離間させて保持してもよい。
なお、電波強度取得ステップでは、ビーコン送信装置1と情報端末2との間が0mから2mないし3m程度、即ち、図8にて後述するように、距離と電波強度との関係に一意性が認めやすい距離でビーコン信号を送受信することが好ましい。
また、電波強度取得ステップでは、ビーコン送信装置1と情報端末2との間に遮蔽物が無く、周囲に放物面反射器やトンネルのような故意に電波を強めるような装置がないことが好ましい。
・代表値算出ステップ
次に、代表値算出ステップについて、図2の配置にて情報端末2が実際に検出した電波強度のデータを用いて説明する。
次に、代表値算出ステップについて、図2の配置にて情報端末2が実際に検出した電波強度のデータを用いて説明する。
図3は、ビーコン信号の電波強度と距離との関係を示した箱髭図である。距離とは、ビーコン送信装置1とビーコン受信装置(情報端末2)との間の距離のことである。図3の箱髭図において、横軸は上述した距離を示し、縦軸は電波強度を示している。同図において、電波強度は距離に応じて減少傾向にあるものの、2mを過ぎたあたりから減少が緩やかになっており、電波強度は距離に対して一次関数的な変化を示さないことを示している。従って、2m程度離れたビーコン送信装置1については、電波強度から距離を推定することが難しいといえる。即ち、ビーコン送信装置1と情報端末2とが十分に近い場合は、距離と電波強度は一意的に決定できるが、ある程度(例えば2m以上)離れると一意性が低減し、電波強度から距離を推定する際の正確性が低下してしまう。
図4は、ビーコン送信装置1とビーコン受信装置(情報端末2)との距離に対して、電波強度の標準偏差をプロットした図である。図4において、横軸は上述した距離を示し、縦軸は電波強度の標準偏差を示している。図4に示されるように、0〜1m程度の近距離であれば標準偏差は小さい。一方、ある程度、即ち例えば2m以上離れてしまうと、標準偏差は距離に対して特定の傾向を見せず、4以上7未満の値を距離に関係無く不規則に示す結果となった。但し、標準偏差は4以上7未満の範囲にとどまっているとも言えるので、電波強度の標準偏差には上限があると捉えることもできる。このことから、標準偏差の最大値を決定すれば、優位確立を計算することにより、近接判定用の閾値を求めることができる。なお、本実施形態の変形例として、標準偏差を用いて近接判定用の閾値を算出してもよい。
図5は、BLE方式で送信されたビーコン信号の電波強度を一定間隔のサンプリング時間で測定し、時系列でプロットした図である。BLEは複数の周波数チャネルを持ち、一定時間ごとにチャネルを切替えてデータ通信を行う周波数ホッピングという方式を採用している。一方でビーコン受信装置(情報端末2)のアンテナ(受信アンテナ21)は特定の周波数を検知しやすいように設計されている。図5ではこれらの事象を反映して、周波数チャネルの切替わりに応じて「強い電波強度」と「弱い電波強度」が検出されていることが分かる。また、同一のチャネルと思われるデータ列を観察すると、ある地点の電波強度は前の時間の電波強度とは関係がないことがわかる。このことから各々の電波強度データは独立同分布(i.i.d)であることがわかる。
図5において、同一チャネルと思われる電波強度のデータ列を見ると、同じ電波強度の出現頻度が高く、その電波強度の値から離れるほど出現頻度が低いように見える。そこで、受信時刻ごとにカウント数を1として、電波強度に対してカウント数を計上し、電波強度に対するカウント値をヒストグラムにプロットした図が次の図6である。
図6は、電波強度毎のカウント値をプロットしたヒストグラムである。本実施例においては、図6に示すように、所定の計測時間(図5の横軸分の総時間)に採取された電波強度のデータは、正規分布が2つ連なった混合正規分布となった。
そこで、本実施形態の代表値算出ステップでは、電波強度ごとに受信信号数をカウントし、電波強度に対するカウント値をプロットして得られた正規分布から代表値を抽出する。代表値としては、正規分布の平均値を用いればよい。また、得られた正規分布が上述のように複数分布を示す混合正規分布である場合には、電波強度の最も低い正規分布から上述の代表値(例えば平均値)を抽出すればよい。
図7は、電波強度毎のカウント値をプロットしたヒストグラムと、電波強度が低い方の正規分布の平均値を示した図である。好ましくは、図7に示すように電波強度の低い方の正規分布の平均値Avを最尤推定により推定すればよい。尚、混合正規分布の最尤推定はEMアルゴリズムを用いればよい。
上述のように、電波強度の低い方の正規分布の平均値を代表値として用いることで、近接の検出精度が向上することが推測できる。実際の現場で、ビーコン送信装置1とビーコン受信装置(校正作業用の情報端末2に限定されず、作業者検出用のビーコンレシーバ等が挙げられる。)が接近した際に、ビーコン送信装置1がどのチャネルの周波数に合わせられているかは不明である。例えばビーコンを付けた作業者が特定のボタン(ボタンの直下には受信装置が設置されている)に近づいたことを検知したいというサービスを想定したときに、偶然、電波強度が低く検知される方のチャネルに合わせられている可能性がある。この時にもし、電波強度が高い方の正規分布の平均値を閾値算出に用いた場合には、当該閾値により近接と判定される確率が下がることが推量できる。よって、好適な実施形態としては、電波強度が低い方の正規分布の平均値を用いて閾値を決定することが好ましい。
尚、代表値の算出方法は上述した例に限定されず、正規分布のデータ例を単純に相加平均して得られた平均値を算出してもよい。または、正規分布の第1四分位数または第3四分位数などを抽出し、これを代表値として用いてもよい。または、正規分布の最低値と最大値との中間の値である中央値を代表値として用いてもよい。また、正規分布の最頻値を代表値として用いてもよい。あるいは、上述した正規分布の平均値から所定の電波強度(例えば−20dB)を差し引いた値を代表値として用いてもよい。尚、上述では単に正規分布と記載したが、電波強度は正確に正規分布に従わずともよい。即ち、略正規分布に従っているような電波強度の分布図について、上述のように相加平均による平均値、第1四分位数、第3四分位数、中央値等を用いて代表値を算出すればよい。
以上のように得られた代表値は、ビーコン送信装置1と情報端末2とを密着させた位置関係(即ち、送信アンテナ11と受信アンテナ21とを第1の距離だけ離間した位置関係)における電波強度の代表値である。
・閾値決定ステップ
次に、第1の距離より離れた距離にある任意の地点(例えば、1m、2m、3m…等)での電波強度を計算する。
次に、第1の距離より離れた距離にある任意の地点(例えば、1m、2m、3m…等)での電波強度を計算する。
ここで、距離と電波強度の関係として、フリスの伝達公式が知られている。フリスの伝達公式は、エネルギーが球面上に拡散するという前提で次の式1のように与えられる。
ここで原点(0m)における電波強度が測定できればよいものの、ビーコン送信装置1の筐体、および情報端末2の筐体により送信アンテナ11と受信アンテナ21との距離が0mとなる地点での電波強度は直接的には測定することが不可能である。そこで、ビーコン送信装置1における送信アンテナ11の位置、および、情報端末2における受信アンテナ21の位置を分解調査するなどして測定しておく。そして、ビーコン送信装置1を情報端末2上に図2のように接触させて載置した際の、送信アンテナ11と受信アンテナ21との距離を導出する。
情報端末2として適用されるタブレット端末やスマートフォンにおいては、その多くの機種が中央部に二次電池やディスプレイを搭載しており、受信アンテナ21は筐体の縁に近い部分に設置されることが多い。従って、図2で示したように、情報端末2のディスプレイの表示画面において中央にビーコン送信装置1を載置すれば、多くの機種において、送信アンテナ11と受信アンテナ21との間の距離は同程度の距離になるものと考えられる。発明者が測定に用いたビーコン送信装置1および情報端末2の組み合わせでは、図2のようにビーコン送信装置1を情報端末2のディスプレイの中央部に載置した際の送信アンテナ11と受信アンテナ21との距離は、0.07mであった。
そこで、ビーコン送信装置1を図2に示すように情報端末2の略中央に載置した際の、距離Dについて、ビーコン送信装置1と情報端末2との離間距離(距離xとする)に0.07mを加算して、当該距離D+xに対する伝達損失LBを計算した。また、距離Dが1m、2m、3m、4m、5mについても、上述の式1に当該距離Dを代入して各々の地点の距離D+xにおける伝達損失LBを計算した。
図8は、ビーコン送信装置1と情報端末2とを密着させて測定した際の電波強度と、その他の地点において推定または測定した電波強度とを距離に対してプロットした図である。電波強度のデータとしては、白丸マークにて推定値を示し、黒丸マークにて測定値を示している。距離ゼロにおける推定値は、図7の正規分布から算出された平均値Avである。距離1〜5mにおける推定値は、式1から算出した各距離D+xにおける電波強度(伝達損失LB)である。測定値は、ビーコン送信装置1および情報端末2を各距離だけ離間して保持して測定した電波強度である。
距離が1mから2mの間では、推定値と測定値とは完全には一致しないものの、誤差は2〜3dB程度であり、比較的近い値が得られている。従って、1mから2mの範囲では、電波強度から距離を推定すれば、無視できる程度の誤差で実際の距離を正確に推定することができるといえる。
従って、本実施形態では、上述のように推定したゼロ地点での電波強度(即ち、代表値算出ステップで算出された第1の距離における電波強度の平均値Av)と、式1から算出した1m地点での電波強度の推定値とから、0〜1mでの電波強度と距離との関係を導出できる。当該関係は、図8のグラフから読み取ってもよいし、図8の0〜1mの範囲を1次関数等で関数化し、距離と電波強度との関係式を生成してもよい。このようにして0〜1mの範囲、即ち、「近接」の範囲での電波強度と距離との関係をより正確にモデル化できるので、グラフのデータまたは1次関数等の関係式等を用いれば、0〜1mでの所望の距離に応じた電波強度をより正確に求めることができる。
即ち、本実施形態の閾値決定ステップでは、代表値算出ステップで算出された第1の距離における電波強度の平均値Avと、所望の距離(第1の距離よりも遠い距離となる)に対して式1から算出した電波強度の推定値とから、近接範囲内での電波強度と距離との関係を導出する。関係性を示す情報としては、近接範囲内での電波強度と距離との関係式を求めてもよいし、あるいはグラフ等のデータ群をそのまま用いてもよい。そして、当該関係に基づいて、近接したと判定する距離に対する電波強度を求め、当該電波強度を近接判定の閾値として決定すればよい。
即ち、換言すれば、本実施形態の閾値決定ステップでは、送信アンテナ11と受信アンテナ21とが第1の距離より離れた距離(即ち、ビーコン送信装置1と情報端末2とが接触はしていない、多少なりとも離間した位置での距離となる)においてビーコン送信装置1と情報端末2との近接判定に用いる閾値を決定する際に、代表値算出ステップで算出した第1の距離における電波強度の平均値Avを用いて決定するものである。
尚、閾値は、フリスの公式(式1参照)を用いずに、電波強度データの標準偏差から優位確率を計算することにより算出してもよい。
・閾値格納ステップ
上述のように決定された閾値は、情報端末2の記憶手段(例えば、図9に示すストレージ205)、または、ネットワーク上に接続された記憶手段に格納し、閾値判定の際には当該閾値を記憶手段から読み出して近接判定を行えばよい。
上述のように決定された閾値は、情報端末2の記憶手段(例えば、図9に示すストレージ205)、または、ネットワーク上に接続された記憶手段に格納し、閾値判定の際には当該閾値を記憶手段から読み出して近接判定を行えばよい。
以上説明した通り、本実施形態の閾値決定方法によれば、上述したようにビーコン送信装置1と情報端末2とを接触させて送信アンテナ11と受信アンテナ21とを第1の距離として測定した電波強度の代表値と、第1の距離より遠い距離(例えば1m)に対して式1により算出された電波強度とから、近接判定用の閾値を決定するので、ビーコン送信装置1と情報端末2との近接判定用の閾値を簡便に決定することができる。また、このようにして求めた閾値は、上述したように(1)ないし(4)の測定誤差の影響を低減することができるので、本実施形態の閾値決定方法によれば、より正確な閾値を得ることができる。
<情報端末で実行される閾値決定処理、近接判定処理>
次に、上述した閾値決定方法、および当該閾値を用いた近接判定処理を情報端末2が実行する形態について説明する。まず、情報端末2の構成について説明する。
次に、上述した閾値決定方法、および当該閾値を用いた近接判定処理を情報端末2が実行する形態について説明する。まず、情報端末2の構成について説明する。
図9は、情報端末2のハードウェア構成例を示すブロック図である。図9に示すように、情報端末2は、基板20(図1参照)上にCPU200と、ROM(Read Only Memory)201と、RAM(Random Access Memory)202とを備え、これら各部がバス211に接続されたコンピュータ構成を有する。
また、CPU200にはバス211を介して、グラフィクスI/F(Interface)203と、入力デバイス204と、ストレージ205と、入出力I/F206と、通信I/F207と、通信I/F208とが接続されている。CPU200は、これら各部の動作を制御する。グラフィクスI/F203には、液晶パネル等のディスプレイ209が接続されている。入力デバイス204は例えばディスプレイ209上に設けられたタッチパネル等のユーザインタフェース(UI)である。
ストレージ205は、データを不揮発に記憶することが可能な記憶媒体であって、例えばフラッシュメモリなどの不揮発性の半導体メモリである。ストレージ205は、CPU200が実行するためのプログラムや各種データ、ならびに、情報端末2が決定した近接判定用の閾値が格納される。なお、ストレージ205およびROM201は、例えば1つの書き換え可能な不揮発性半導体メモリとして一体化されてもよい。
CPU200は、ROM201およびストレージ205に記憶されるプログラムに従い、RAM202をワークメモリとして用いて、情報端末2の動作全体を制御する。グラフィクスI/F203は、CPU200により生成された表示制御信号を、ディスプレイ209が表示可能な信号に変換して出力する。ディスプレイ209は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)を備え、グラフィクスI/F203から出力された信号により駆動されて、表示制御信号に応じた画面を表示させる。
入出力I/F206は、外部機器との間でデータの入出力を行うインタフェースである。入出力I/F206としては、例えば、USB(Universal Serial Bus)等を適用できる。入出力I/F206は、外部データの入力および外部へのデータ出力が可能である。
通信I/F207は、無線LAN(Local Area Network)または他の規格の高速データ通信の通信I/Fであり、CPU200の制御に従い、インターネット等のネットワークを介した通信や、他の機器との通信を行う。
通信I/F208は、Bluetooth(登録商標)対応の通信I/Fであり、受信アンテナ21が受信したビーコン信号は通信I/F208を介してRAM202のワークメモリに読み込まれる。
次に、本実施形態の情報端末2が実行するプログラムについて説明する。
図10は、情報端末2の機能構成例を示したブロック図である。本実施の形態の情報端末2で実行されるプログラムは、図10に示すように、ビーコン信号処理部220、電波強度取得部221、代表値算出部222、閾値決定部223、閾値出力部224、近接判定部225を含むモジュール構成となっている。実際のハードウェアとしては、CPU200(プロセッサ)が上記記憶媒体からプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、ビーコン信号処理部220、電波強度取得部221、代表値算出部222、閾値決定部223、閾値出力部224、近接判定部225が主記憶装置上に生成されるようになっている。
ビーコン信号処理部220は、受信アンテナ21が受信したビーコン信号をRAM202上に読み込み、ビーコン信号に含まれる情報を読み取る。例えば上述のように、BLEを用いたiBeacon(登録商標)を用いる場合、BLEのビーコン信号には、ビーコン送信装置1の個体識別用の識別情報であるUUID(Universally Unique Identifier)、Major値、Minor値が含まれる。ビーコン信号処理部220は、受信されたビーコン信号から、UUID、Major値、Minor値等の情報を読み取る。
電波強度取得部221は、ビーコン送信装置1の送信アンテナ11と、情報端末2の受信アンテナ21とを、第1の距離だけ離間させて保持した際のビーコン信号の電波強度を取得する。尚、第1の距離だけ離間させて保持した状態の一例として、図2に示したように、ビーコン送信装置1を情報端末2のディスプレイ209の略中央に密着させて載置した配置を適用できる。
代表値算出部222は、電波強度取得部221が取得した電波強度について、代表値を算出する。代表値の算出方法は上述した通りである。
閾値決定部223は、代表値算出部222が算出した電波強度の代表値と、式1により算出した第1の距離より離れた地点での電波強度とに基づき、電波強度と距離との関係式を導入し、当該関係式に基づいて近接と判定すべき距離に対する電波強度を算出し、これを近接判定用の閾値として決定する。
閾値出力部224(閾値格納手段)は、閾値決定部223が決定した閾値と、ビーコン信号に含まれるビーコン送信装置1に固有の識別情報とを関連付けて記憶手段に格納する。記憶手段としては、情報端末2のストレージ205を用いることができるが、記憶手段の適用例はこの限りではない。その他の記憶装置あるいは外部記憶装置に格納し、情報端末2は当該記憶装置に格納された閾値にアクセスしてもよい。
また、閾値出力部224(閾値出力手段)は、閾値決定部223が決定した閾値をディスプレイ209に表示出力する。閾値の出力方法ならびに出力先のデバイスはこれに限定されず、閾値出力部224は入出力I/F206を介して外部機器に閾値を出力してもよい。また、閾値出力部224は通信I/F207を介してネットワークで接続された装置に閾値を出力してもよい。
近接判定部225は、ストレージ205に格納された閾値を用いて、ビーコン送信装置1の固有の識別情報に対応するビーコン送信装置1が近接していることを判定する。尚、近接判定部225は、近接と判定されたビーコン送信装置1について、当該ビーコン送信装置1の識別情報をディスプレイ209に出力してもよい。また、ビーコン送信装置1の識別情報に基づいて、当該識別情報に予め対応付けられた作業者のユーザ情報などをディスプレイ209に出力してもよい。なお、識別情報または識別情報に対応する情報の出力先はディスプレイ209に限定されず、入出力I/F206に接続された外部機器、通信I/F207を介してネットワーク接続された外部機器に出力してもよい。
次に、情報端末2が本実施形態にかかるプログラムにより実行する閾値決定処理、近接判定処理の手順例をそれぞれ図11、図12を用いて説明する。
図11は、情報端末2が実行する閾値決定処理の手順例を示したフローチャートである。まず、ビーコン信号処理部220は、ビーコン信号の受信を開始する(ステップS1)。ビーコン信号を受信しなければ(ステップS2:No)、ステップS2に戻って受信を待つ。ビーコン信号を受信すると(ステップS2:Yes)、電波強度取得部221は所定時間ビーコン信号の電波強度を測定する(ステップS3)。
次に、代表値算出部222は、電波強度取得部221が取得した所定時間分の電波強度のデータを用いて、送信アンテナ11と受信アンテナ21とが第1の距離における電波強度の代表値を算出する(ステップS4)。その後、閾値決定部223は、送信アンテナ11と受信アンテナ21とが第1の距離より離れた距離にある場合の電波強度を式1により算出する。そして、閾値決定部223は、算出した電波強度と、ステップS4で算出された代表値とから求めた関係式により、近接判定する距離に対する電波強度を取得し、これを近接判定用の閾値として決定する(ステップS5)。
閾値出力部224は、決定された閾値と、ビーコン信号に含まれる識別情報とを対応付けてストレージ205に格納する(ステップS6)。また、閾値出力部224は、決定された閾値と、ビーコン信号に含まれる識別情報とを対応付けてディスプレイ209に表示出力する(ステップS7)。
図12は、情報端末2が実行する近接判定処理の手順例を示したフローチャートである。ビーコン信号処理部220は、ビーコン信号の受信を開始する(ステップS21)。ビーコン信号を受信しなければ(ステップS22:No)、ステップS22に戻って受信を待つ。ビーコン信号を受信すると(ステップS22:Yes)、ビーコン信号処理部220は、ビーコン信号に含まれる識別情報を読み取る(ステップS23)。
電波強度取得部221はビーコン信号の電波強度の測定を開始する(ステップS24)。近接判定部225は、ステップS23で読み取った識別情報のビーコン送信装置1に対して設定されている近接判定用の閾値をストレージ205から読み込む。そして、近接判定部225は、ビーコン信号の電波強度が、読み込んだ閾値以上となったか否かを判定する(ステップS25)。電波強度が閾値以上ではない場合(ステップS25:No)には、所定の待ち時間が経過したか判定する(ステップS26)。ステップS26:YesであればステップS21に移行する。ステップS26:NoであればステップS25に待って電波強度の測定を続ける。
電波強度が閾値以上である場合(ステップS25:Yes)には、近接判定部225はビーコン送信装置1が情報端末2に対して近接の範囲内に存在すると判定する(ステップS27)。そして、近接判定部225は、ステップS23で読み取った識別情報、あるいは、当該識別情報に対応付けられている作業者のユーザ情報等をディスプレイ209に表示出力する(ステップS28)。近接判定部225は、当該情報を他の情報処理装置に送信出力してもよい。ステップS28の後、ステップS21に戻って以降の処理を続ける。
尚、電波送受信システム100は、情報端末2とは別の情報処理装置として例えばサーバ装置を備え、情報端末2が取得した電波強度を当該サーバ装置に出力し、サーバ装置側で電波強度のデータ処理を行って閾値を算出してもよい。また、情報端末2としてビーコンレシーバを用いて、受信した電波強度をタブレット端末あるいは上述したサーバ装置等の情報処理装置に出力し、当該情報処理装置において電波強度のデータ処理を行って閾値を算出してもよい。
本実施形態の情報端末2で実行されるプログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供される。また、本実施形態の電波受信装置で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。また、本実施形態の情報端末2で実行されるプログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
なお、本実施形態の情報端末2で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供されてもよい。
また、情報端末2は、図10で示した各部をプログラムによって実現する構成に限定されない。情報端末2は、図10で示したビーコン信号処理部220、電波強度取得部221、代表値算出部222、閾値決定部223、閾値出力部224、近接判定部225の全部または一部を、ハードウェア構成(例えば、半導体集積回路)により実現した構成としてもよい。
以上、実施形態を説明したが、実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能である。
1 ビーコン送信装置(送信装置)
2 情報端末(受信装置)
11 送信アンテナ
21 受信アンテナ
100 電波送受信システム
220 ビーコン信号処理部
221 電波強度取得部
222 代表値算出部
223 閾値決定部
224 閾値出力部
225 近接判定部
2 情報端末(受信装置)
11 送信アンテナ
21 受信アンテナ
100 電波送受信システム
220 ビーコン信号処理部
221 電波強度取得部
222 代表値算出部
223 閾値決定部
224 閾値出力部
225 近接判定部
Claims (12)
- 自装置に固有の識別情報を含めて送信アンテナから無線信号を送信する送信装置と、受信アンテナにより前記無線信号を受信する受信装置と、を備えた電波送受信システムにおいて実行される方法であって、
前記送信アンテナと前記受信アンテナとを第1の距離だけ離間させて保持した際の前記無線信号の電波強度を取得する電波強度取得ステップと、
取得した前記電波強度の代表値を算出する代表値算出ステップと、
前記送信アンテナと前記受信アンテナとが前記第1の距離より離れた距離での前記送信装置と前記受信装置との近接判定に用いる電波強度の閾値を、前記代表値に基づいて決定する閾値決定ステップと、
決定された前記閾値と前記送信装置に固有の識別情報とを関連付けて記憶手段に格納する閾値格納ステップと、
を含む閾値決定方法。 - 前記第1の距離は、前記受信装置の筐体と前記送信装置の筐体とを互いに接触させて所定の配置で保持した際における、前記送信アンテナと前記受信アンテナとの距離であり、
前記電波強度取得ステップでは、前記受信装置の筐体と、前記送信装置の筐体とを互いに接触させて保持した状態で、前記無線信号の電波強度を取得する、請求項1に記載の閾値決定方法。 - 前記電波強度取得ステップにおいて、治具を用いて前記受信装置の筐体と前記送信装置の筐体とを前記所定の配置で保持する、請求項2に記載の閾値決定方法。
- 送信アンテナから自装置に固有の識別情報を含めて無線信号を送信する送信装置と、受信アンテナにより前記無線信号を受信する受信装置と、を備えた電波送受信システムであって、
前記送信アンテナと前記受信アンテナとを第1の距離だけ離間させて保持した際の前記無線信号の電波強度を取得する電波強度取得手段と、
取得した前記電波強度の代表値を算出する代表値算出手段と、
前記送信アンテナと前記受信アンテナとが前記第1の距離より離れた距離での、前記送信装置と前記受信装置との近接判定に用いる電波強度の閾値を、前記代表値に基づいて決定する閾値決定手段と、
決定された前記閾値と前記送信装置に固有の識別情報とを関連付けて記憶手段に格納する閾値格納手段と、
前記閾値を用いて、前記固有の識別情報に対応する前記送信装置が近接していることを判定する近接判定手段と、
を備えた電波送受信システム。 - 前記電波強度取得手段は、電波強度ごとのカウント値を取得し、
前記代表値算出手段は、前記電波強度に対するカウント値の分布を混合正規分布と見なし、当該混合正規分布において電波強度が低い方の正規分布の平均値を算出し、算出した平均値を前記代表値とする、請求項4に記載の電波送受信システム。 - 前記代表値算出手段は、前記電波強度が低い方の正規分布に対して最尤推定を行って当該電波強度が低い方の正規分布の平均値を算出し、前記代表値とする、請求項5に記載の電波送受信システム。
- 前記代表値算出手段は、前記電波強度が低い方の正規分布について、電波強度の相加平均により当該電波強度が低い方の正規分布の平均値を算出し、前記代表値とする、請求項5に記載の電波送受信システム。
- 前記代表値算出手段は、前記電波強度が低い方の正規分布の第1四分位数を前記代表値として算出する、請求項5に記載の電波送受信システム。
- 前記代表値算出手段は、前記電波強度が低い方の正規分布の第3四分位数を前記代表値として算出する、請求項5に記載の電波送受信システム。
- 前記代表値算出手段は、前記電波強度が低い方の正規分布の中央値を前記代表値として算出する、請求項5に記載の電波送受信システム。
- 前記電波送受信システムは、前記受信装置の筐体と前記送信装置の筐体との配置が、前記送信アンテナと前記受信アンテナとが前記第1の距離となるべき所定の配置となったことを検出する検出手段を更に備えた、請求項4ないし10のいずれか1つに記載の電波送受信システム。
- 情報処理装置を制御するコンピュータを、
自装置に固有の識別情報を含めて無線信号を送信する送信装置が備えた送信アンテナと、前記無線信号を受信する受信装置が備えた受信アンテナと、を第1の距離だけ離間させて保持した際の前記無線信号の電波強度を取得する電波強度取得手段と、
取得した前記電波強度の代表値を算出する代表値算出手段と、
前記送信アンテナと前記受信アンテナとが前記第1の距離より離れた距離での、前記送信装置と前記受信装置との近接判定に用いる電波強度の閾値を、前記代表値に基づいて決定する閾値決定手段と、
決定された前記閾値と前記送信装置に固有の識別情報とを関連付けて記憶手段に格納する閾値格納手段と、して機能させるためのプログラム。
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