JP2020148511A - 検出方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】検出対象物を高精度に検出することができる検出方法を提供する。【解決手段】検出方法は、検出対象物と、検出対象物と特異的に結合する性質を有し、標識物と結合された第1の抗体と、検出対象物と特異的に結合する性質を有し、非標識物と結合された第2の抗体と、を反応させて複合体を形成する形成ステップS10と、複合体に含まれる標識物の物理量を測定して、検出対象物を検出する検出ステップS20と、を含み、第1の抗体は、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3及び配列番号:4により表される4つのアミノ酸配列をそれぞれ有する4つの抗体のうちの少なくとも1つであり、第2の抗体は、配列番号:1及び配列番号:2により表される2つのアミノ酸配列をそれぞれ有する2つの抗体のうちの少なくとも1つである。【選択図】図8

Description

本開示は、検出対象物に特異的に結合する抗体を用いた検出対象物の検出方法に関する。
特許文献1は、インフルエンザウィルスに結合する抗体を開示している。特許文献1に開示された抗体の少なくとも一部は、アルパカに由来する。特許文献1は、本明細書に参照として援用される。
米国特許出願公開第2014/0302063号明細書
例えば、抗体を用いて微量の検出対象物を高精度に検出する検出方法が求められている。そこで、本開示は、検出対象物質を高精度に検出することができる検出方法を提供する。
本開示の一態様に係る検出方法は、検出対象物と、前記検出対象物と特異的に結合する性質を有し、標識物と結合された第1の抗体と、前記検出対象物と特異的に結合する性質を有し、非標識物と結合された第2の抗体と、を反応させて複合体を形成する形成ステップと、前記複合体に含まれる標識物の物理量を測定して、前記検出対象物を検出する検出ステップと、を含み、前記第1の抗体は、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3及び配列番号:4により表される4つのアミノ酸配列をそれぞれ有する4つの抗体のうちの少なくとも1つであり、前記第2の抗体は、配列番号:1及び配列番号:2により表される2つのアミノ酸配列をそれぞれ有する2つの抗体のうちの少なくとも1つである。
なお、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム、又は、コンピュータで読み取り可能なCD−ROMなどの非一時的な記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム、及び、記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
本開示によれば、検出対象物質を高精度に検出することができる。
図1Aは、VHH抗体の遺伝子ライブラリに含まれる様々な遺伝子をライゲーションするために用いられたベクターのマップを示す図である。 図1Bは、図1Aに示されるベクターマップの詳細を示す図である。 図2は、VHH抗体を発現するために用いられたベクターマップを示す図である。 図3Aは、配列番号:1により表されるアミノ酸配列を含むVHH抗体を第2の抗体として用いた場合の、A型インフルエンザ亜型H1N1(A/Hokaido/6−5/2014)に対する第1の抗体及び第2の抗体の交差反応性の測定結果を示すグラフである。 図3Bは、配列番号:1により表されるアミノ酸配列を含むVHH抗体を第2の抗体として用いた場合の、A型インフルエンザ亜型H5N1(A/duck/Hokkaido/Vac−3/2007)に対する第1の抗体及び第2の抗体の交差反応性の測定結果を示すグラフである。 図3Cは、配列番号:1により表されるアミノ酸配列を含むVHH抗体を第2の抗体として用いた場合の、A型インフルエンザ亜型H1N1(A/Puerto Rico/8/1934)に対する第1の抗体及び第2の抗体の交差反応性の測定結果を示すグラフである。 図4Aは、配列番号:2により表されるアミノ酸配列を含むVHH抗体を第2の抗体として用いた場合の、A型インフルエンザ亜型H1N1(A/Hokaido/6−5/2014)に対する第1の抗体及び第2の抗体の交差反応性の測定結果を示すグラフである。 図4Bは、配列番号:2により表されるアミノ酸配列を含むVHH抗体を第2の抗体として用いた場合の、A型インフルエンザ亜型H5N1(A/duck/Hokkaido/Vac−3/2007)に対する第1の抗体及び第2の抗体の交差反応性の測定結果を示すグラフである。 図4Cは、配列番号:2により表されるアミノ酸配列を含むVHH抗体を第2の抗体として用いた場合の、A型インフルエンザ亜型H1N1(A/Puerto Rico/8/1934)に対する第1の抗体及び第2の抗体の交差反応性の測定結果を示すグラフである。 図5Aは、配列番号:3により表されるアミノ酸配列を含むVHH抗体を第2の抗体として用いた場合の、A型インフルエンザ亜型H1N1(A/Hokaido/6−5/2014)に対する第1の抗体及び第2の抗体の交差反応性の測定結果を示すグラフである。 図5Bは、配列番号:3により表されるアミノ酸配列を含むVHH抗体を第2の抗体として用いた場合の、A型インフルエンザ亜型H5N1(A/duck/Hokkaido/Vac−3/2007)に対する第1の抗体及び第2の抗体の交差反応性の測定結果を示すグラフである。 図5Cは、配列番号:3により表されるアミノ酸配列を含むVHH抗体を第2の抗体として用いた場合の、A型インフルエンザ亜型H1N1(A/Puerto Rico/8/1934)に対する第1の抗体及び第2の抗体の交差反応性の測定結果を示すグラフである。 図6Aは、配列番号:4により表されるアミノ酸配列を含むVHH抗体を第2の抗体として用いた場合の、A型インフルエンザ亜型H1N1(A/Hokaido/6−5/2014)に対する第1の抗体及び第2の抗体の交差反応性の測定結果を示すグラフである。 図6Bは、配列番号:4により表されるアミノ酸配列を含むVHH抗体を第2の抗体として用いた場合の、A型インフルエンザ亜型H5N1(A/duck/Hokkaido/Vac−3/2007)に対する第1の抗体及び第2の抗体の交差反応性の測定結果を示すグラフである。 図6Cは、配列番号:4により表されるアミノ酸配列を含むVHH抗体を第2の抗体として用いた場合の、A型インフルエンザ亜型H1N1(A/Puerto Rico/8/1934)に対する第1の抗体及び第2の抗体の交差反応性の測定結果を示すグラフである。 図7Aは、配列番号:5により表されるアミノ酸配列を含むVHH抗体を第2の抗体として用いた場合の、A型インフルエンザ亜型H1N1(A/Hokaido/6−5/2014)に対する第1の抗体及び第2の抗体の交差反応性の測定結果を示すグラフである。 図7Bは、配列番号:5により表されるアミノ酸配列を含むVHH抗体を第2の抗体として用いた場合の、A型インフルエンザ亜型H5N1(A/duck/Hokkaido/Vac−3/2007)に対する第1の抗体及び第2の抗体の交差反応性の測定結果を示すグラフである。 図7Cは、配列番号:5により表されるアミノ酸配列を含むVHH抗体を第2の抗体として用いた場合の、A型インフルエンザ亜型H1N1(A/Puerto Rico/8/1934)に対する第1の抗体及び第2の抗体の交差反応性の測定結果を示すグラフである。 図8は、実施の形態に係る検出方法の一例を示すフローチャートである。 図9は、実施の形態における検出ステップの処理フローの一例を示すフローチャートである。 図10は、実施の形態における検出ステップの処理フローの他の例を示すフローチャートである。
(本開示の概要)
本開示の一態様の概要は以下の通りである。
本開示の一態様に係る検出方法は、検出対象物と、前記検出対象物と特異的に結合する性質を有し、標識物と結合された第1の抗体と、前記検出対象物と特異的に結合する性質を有し、非標識物と結合された第2の抗体と、を反応させて複合体を形成する形成ステップと、前記複合体に含まれる標識物の物理量を測定して、前記検出対象物を検出する検出ステップと、を含み、前記第1の抗体は、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3及び配列番号:4により表される4つのアミノ酸配列をそれぞれ有する4つの抗体のうちの少なくとも1つであり、前記第2の抗体は、配列番号:1及び配列番号:2により表される2つのアミノ酸配列をそれぞれ有する2つの抗体のうちの少なくとも1つである。
これにより、第1の抗体と第2の抗体との組み合わせに応じて、検出対象物を高精度に検出することができる。
例えば、本開示の一態様に係る検出方法では、前記検出対象物は、A型インフルエンザウィルスの核内タンパク質であってもよい。
これにより、本開示の一態様に係る検出方法によれば、A型インフルエンザウィルスを高精度に検出することができる。
例えば、本開示の一態様に係る検出方法では、前記A型インフルエンザウィルスは、A型インフルエンザウィルス亜型H1N1(A/Hyogo/YS/2011 pdm)、 H1N1(A/Hokkaido/6−5/2014 pdm)、 H5N1(A/duck/Hokkaido/Vac−3/2007)、 H7N7(A/duck/Hokkaido/Vac−2/2004)、 H1N1(A/Puerto Rico/8/34/Mount Sinai)、 H1N1(A/duck/Tottori/723/1980)、 H1N1(A/swine/Hokkaido/2/81)、 H2N3(A/dk/Hokkaido/17/01)、 H2N9(A/duck/Hong Kong/278/78)、 H3N2(A/duck/Hokkaido/5/77)、 H3N8(A/duck/Mongolia/4/03)、 H4N6(A/dk/Czech/56)、 H5N2(A/duck/Pennsylvania/10218/84)、 H5N3(A/duck/Hong Kong/820/80)、 H6N5(A/shearwater/S. Australia/1/72)、 H7N2(A/duck/Hong Kong/301/78)、 H7N7(A/seal/Massachusetts/1/1980)、 H9N2(A/duck/Hong Kong/448/78)、 H9N2(A/turkey/Wisconsin/1966)、 H11N6(A/duck/England/1/1956)、及び、H12N5(A/duck/Alberta/60/76)の少なくとも1種であってもよい。
これにより、本開示の一態様に係る検出方法によれば、複数種類の亜型のA型インフルエンザウィルスを検出することができるため、A型インフルエンザウィルスを高精度に検出することができる。
例えば、本開示の一態様に係る検出方法では、前記非標識物は、プレート、ビーズ、ディスク、チューブ、フィルター及び薄膜のうちの1つであってもよい。
これにより、本開示の一態様に係る検出方法によれば、様々な形状の非標識物に検出対象物を担持させて検出することができる。そのため、例えば、検出対象物を固定化基板に固定させて検出する方法、又は、検出対象物を微粒子に固定させて流動的に検出する方法など、検出対象物の性質に応じて、適宜、検出方法を選択することができる。
例えば、本開示の一態様に係る検出方法では、前記標識物は、蛍光物質、発光物質、色素、酵素及び放射性物質のうちの1つであってもよい。
これにより、本開示の一態様に係る検出方法によれば、標識物そのものが常に発する物理量又は標識物が例えば励起光などの外部からの刺激を受けて発する物理量を測定することができるため、多様な検出形態から適切な検出形態を選択することができる。
例えば、本開示の一態様に係る検出方法は、前記検出ステップでは、前記複合体中の前記標識物の物理量の変化を測定することにより、前記検出対象物を検出してもよい。
これにより、本開示の一態様に係る検出方法によれば、例えば、標識物への励起光の照射、基質の添加、又は、電場の印加などの外部からの刺激により標識物が発する物理量の変化を測定することができる。また、例えば、磁場を印加することにより、複合体を移動させることにより、標識物が常に発する物理量の位置移動を測定することができる。
例えば、本開示の一態様に係る検出方法では、前記非標識物は、磁性粒子であり、前記標識物は、蛍光物質、発光物質、色素、酵素及び放射性物質のうちの1つであり、前記検出ステップでは、前記複合体を移動させる磁場を印加し、前記磁場により前記複合体を移動させた際の前記標識物の位置変化を測定することにより、前記検出対象物を検出してもよい。
これにより、本開示の一態様に係る検出方法によれば、複合体を構成する標識物のみを検出することができるため、検出対象物を高精度に検出することができる。
例えば、本開示の一態様に係る検出方法では、前記標識物は、蛍光物質であり、前記検出ステップでは、前記複合体に、前記標識物が蛍光を発生する波長の光を照射し、前記複合体中の前記標識物が発する蛍光であり、かつ、前記光の照射により前記非標識物が発生する局在化表面プラズモン共鳴によって増強された蛍光を測定することにより、前記検出対象物を検出してもよい。
これにより、本開示の一態様に係る検出方法によれば、微量の検出対象物を高感度に検出することができる。
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図は、必ずしも厳密に図示したものではない。各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化することがある。
(実施の形態)
本実施の形態に係る検出方法では、検出対象物に特異的に結合する性質を有し、かつ、互いに競合しない2種類以上の抗体を用いる。これらの抗体は、標識物と結合された第1の抗体と、非標識物と結合された第2の抗体とを含む。第1の抗体及び第2の抗体は、検出対象物と抗原抗体反応により結合し、複合体を形成する。本実施の形態に係る検出方法では、複合体中の標識物の物理量を測定することにより、検出対象物を検出する。具体的な検出方法については、後述する。
検出対象物は、抗原抗体反応により第1の抗体及び第2の抗体と複合体を形成し得るものであればよい。例えば、検出対象物は、細菌(特に、病原性細菌)、放線菌、酵母、カビ、及び、ウィルスなどの微生物、それらの微生物に対する抗体、花粉、腫瘍マーカー抗原などの生体試料中の抗原性ペプチド、又は、細菌などが酸性する毒素などであってもよい。
本実施の形態では、検出対象物は、A型インフルエンザウィルスの核内タンパク質(NP)である例について説明する。A型インフルエンザウィルスの亜型は、H1N1型、H2N3型、H2N9型、H3N2型、H3N8型、H4N6型、H5N1型、H5N2型、H5N3型、H6N5型、H7N2型、H7N7型、H9N2型、H11N6型、及び、H12N5型の少なくとも1種であってもよい。
例えば、A型インフルエンザウィルスは、A型インフルエンザウィルス亜型H1N1(A/Hyogo/YS/2011)、 H1N1(A/Hokkaido/6−5/2014)、 H1N1(A/Puerto Rico/8/34/Mount Sinai)、 H1N1(A/duck/Tottori/723/1980)、 H1N1(A/swine/Hokkaido/2/81)、 H2N3(A/dk/Hokkaido/17/01)、 H2N9(A/duck/Hong Kong/278/78)、 H3N2(A/duck/Hokkaido/5/77)、 H3N8(A/duck/Mongolia/4/03)、 H4N6(A/dk/Czech/56)、 H5N1(A/duck/Hokkaido/Vac−3/2007)、 H5N2(A/duck/Pennsylvania/10218/84)、 H5N3(A/duck/Hong Kong/820/80)、 H6N5(A/shearwater/S. Australia/1/72)、 H7N2(A/duck/Hong Kong/301/78)、 H7N7(A/duck/Hokkaido/Vac−2/2004)、 H7N7(A/seal/Massachusetts/1/1980)、 H9N2(A/duck/Hong Kong/448/78)、 H9N2(A/turkey/Wisconsin/1966)、 H11N6(A/duck/England/1/1956)、及び、H12N5(A/duck/Alberta/60/76)のうちの少なくとも1種である。
このように、複数種類の亜型のA型インフルエンザウィルスの核内タンパク質を検出することができるため、本実施の形態に係る検出方法によれば、A型インフルエンザウィルスを高精度に検出することができる。
このとき、第1の抗体及び第2の抗体は、A型インフルエンザウィルス、特に、A型インフルエンザウィルスの核内タンパク質に結合する。特許文献1にも開示されているように、インフルエンザウィルスに結合する抗体は、N末端からC末端の方向に、以下の構造ドメインを含むアミノ酸配列を含む。
N − FR1 − CDR1 − FR2 − CDR2 − FR3 − CDR3 − FR4 − C
ここで、FRは、フレームワーク領域(Framework Region)のアミノ酸配列を示し、かつ、CDRは、相補性決定領域(Complementarity Determining Region)のアミノ酸配列を示す。フレームワーク領域は、相補性決定領域を構造的に支える役割を持つ領域であり、抗体の可変領域のうち、保存性の高い領域を含む。相補性決定領域は、抗原に直接接触して抗原と相補的な立体構造を形成する領域である。つまり、相補性決定領域は、抗原との結合部位を形成する領域であり、抗原に対する特異性を決定する領域である。相補性決定領域は、抗体の可変領域のうち、配列可変な抗原認識部位又はランダム配列領域を含む。このように、抗体の可変領域は、複数のCDR及びFRから構成されている。また、これらのCDR及びFRは、N末端側から配列される順番により、例えば、1つ目の相補性決定領域をCDR1、2つ目の相補性決定領域をCDR2、1つ目のフレームワーク領域をFR1、2つ目のフレームワーク領域をFR2と表現される。
なお、実施例にて後述するように、発明者は、VHH抗体ライブラリのスクリーニングにより、反応性の高いA型インフルエンザウィルス抗体を複数クローン得た。中でも、第1の抗体及び第2の抗体として、N末端側から順に、下記のアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2及びCDR3の3つの相補性決定領域を有する抗体を組み合わせることにより、微量のNPを高感度に検出できることが分かった。
さらに、第1の抗体及び第2の抗体は、N末端側から順に、下記のアミノ酸配列を含むFR1、FR2、FR3及びFR4の4つのフレーム領域を有する。これにより、第1の抗体及び第2の抗体は、CDRの立体構造(例えば、ループ構造)を安定的に維持することができるため、CDRは抗原捕捉能を発揮することができる。
第1の抗体は、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3及び配列番号:4により表される4つのアミノ酸配列をそれぞれ有する4つの抗体のうちの少なくとも1つである。また、第2の抗体は、配列番号:1及び配列番号:2により表される2つのアミノ酸配列をそれぞれ有する2つの抗体のうちの少なくとも1つである。以下、配列番号:1により表されるアミノ酸配列を有する抗体を「A1」、配列番号:2により表されるアミノ酸配列を有する抗体を「A2」、配列番号:3により表されるアミノ酸配列を有する抗体を「A3」、及び、配列番号:4により表されるアミノ酸配列を有する抗体を「A4」と称する。
これらの抗体のアミノ酸配列は、以下の通りである。
QLQLVESGGGLVQAGGSLRLSCAASGSAFSLYAMGWHRQAPGKQRELVAYITNGDITNYADSVQGRVIISRDNAKNTVYLHMNSLKPEDTAVYYCYAVGGRTFWGQGTQVTVSS(配列番号:1)

QVQLVESGGGLVQTGGPLRLSCAVSDRTDSNYAMGWFRQAPGKEREFVAAISGTGYVTGYADSARNRFTLSRDNGKNAVYLQMNSLEPADTAVYYCAATSDQRYPGPRSSGYDYWGQGTQVTVSS(配列番号:2)

EVQLVESGGGLVQPGGSLSLSCAASGFTFSNYYMGWFRQAPGKERQSLATVNSGGTGEAYADSIRGRFTISRDNAKNTVTLQMSSLQPEDTAVYYCARVDGRVLSTIVVSYDYWGQGTQVTVSS(配列番号:3)

EVQLVESGGGLVQAGDSLRLSCAASGRTFINLDMGWFRQPPGKEREYVAAITRNGAITSYADSAKGRFTISRDNAKNTVSLEMNSLKPEDTGVYYCAAYSISNYGSGWYKPDYWGQGAQVTVSS(配列番号:4)
例えば、抗体A1では、CDR1は、GSAFSLYAMG(配列番号:5)により表されるアミノ酸配列を含み、CDR2は、YUTNGDUTNYADSVQG(配列番号:6)により表されるアミノ酸配列を含み、CDR3は、VGGRTF(配列番号:7)により表されるアミノ酸配列を含む。この場合、FR1、FR2、FR3、及び、FR4は、それぞれ、QLQLVESGGGLVQAGGSLRLSCAAS(配列番号:8)、WHRQAPGKQRELVA(配列番号:9)、RVIISRDNAKNTVYLHMNSLKPEDTAVYYCYA(配列番号:10)、及び、WGQGTQVTVSS(配列番号:11)により表されるアミノ酸配列を含む。
また、抗体A2では、CDR1は、DRTDSNYAMG(配列番号:12)により表されるアミノ酸配列を含み、CDR2は、AISGTGYVTGYADSARN(配列番号:13)により表されるアミノ酸配列を含み、CDR3は、TSDQRYPGPRSSGYDY(配列番号:14)により表されるアミノ酸配列を含む。この場合、FR1、FR2、FR3、及び、FR4は、それぞれ、QVQLVESGGGLVQTGGPLRLSCAVS(配列番号:15)、WFRQAPGKEREFVA(配列番号:16)、RFTLSRDNGKNAVYLQMNSLEPADTAVYYCAA(配列番号:17)、及び、WGQGTQVTVSS(配列番号:18)により表されるアミノ酸配列を含む。
また、抗体A3では、CDR1は、GFTFSNY(配列番号:19)により表されるアミノ酸配列を含み、CCDR2は、NSGGTG(配列番号:20)により表されるアミノ酸配列を含み、CDR3は、RVDGRVLSTIVVSYDY(配列番号:21)により表されるアミノ酸配列を含む。この場合、FR1、FR2、FR3、及び、FR4は、それぞれ、EVQLVESGGGLVQPGGSLSLSCAAS(配列番号:22)、YMGWFRQAPGKERQSLATV(配列番号:23)、EAYADSIRGRFTISRDNAKNTVTLQMSSLQPEDTAVYYCA(配列番号:24)、及び、WGQGTQVTVSS(配列番号:25)により表されるアミノ酸配列を含む。
また、抗体A4では、CDR1は、GRTFINLDMG(配列番号:26)により表されるアミノ酸配列を含み、CDR2は、AITRNGAITSYADSAKG(配列番号:27)により表されるアミノ酸配列を含み、CDR3は、YSISNYGSGWYKPDY(配列番号:28)により表されるアミノ酸配列を含む。この場合、FR1、FR2、FR3、及び、FR4は、それぞれ、EVQLVESGGGLVQAGDSLRLSCAAS(配列番号:29)、WFRQPPGKEREYVA(配列番号:30)、RFTISRDNAKNTVSLEMNSLKPEDTGVYYCAA(配列番号:31)、及び、WGQGAQVTVSS(配列番号:32)により表されるアミノ酸配列を含む。
例えば、第1の抗体及び第2の抗体がA型インフルエンザウィルスの核内タンパク質に特異的に結合する場合、上記の抗体A1〜A4は、いずれもB型インフルエンザウィルスのような、A型インフルエンザウィルス以外のインフルエンザウィルスに対して抗原交差反応性を示さないことが好ましい。
標識物は、物理量を発生させることにより検出対象物を標識する物質である。標識物は、発光物質、放射性物質又は色素のように、当該物質自身が発生させる静的な物理量により検出対象物を標識する物質であってもよい。また、標識物は、蛍光物質又は酵素のように、当該物質が外部からの刺激を受けて発生させる動的な物理量により検出対象物を標識する物質であってもよい。外部からの刺激とは、例えば、光、磁界、又は、基質などである。当該物理量は、例えば、蛍光強度、発光強度、色度、光透過度、濁度、吸光度、及び、放射線量などが挙げられる。物理量の測定方法は、例えば、蛍光免疫測定法、表面プラズモン共鳴測定法、電気化学発光免疫測定法、酵素免疫測定法、イムノクロマト法、ラテックス凝集法、及び、放射免疫測定法などの公知の方法が挙げられる。本実施の形態では、標識物は、蛍光物質、発光物質、色素、酵素、及び、放射性物質のうちの1つである。抗体を標識物へ結合させる方法は、物理的吸着法、共有結合法、イオン結合法、又は、架橋法などの公知の方法が使用される。
非標識物は、検出対象物を固定する(担持する)ための基材である。非標識物は、抗原抗体反応の反応系における溶媒に不溶な担体であれば、その形状及び材質は特に制限されない。非標識物の形状は、例えば、プレート、ビーズ、ディスク、チューブ、フィルター、及び、薄膜などが挙げられる。非標識物の材質は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、酢酸セルロース、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート等のポリマー、金、銀、アルミニウム等の金属、及び、ガラスなどが挙げられる。抗体を非標識物へ結合させる方法としては、物理的吸着法、共有結合法、イオン結合法、又は、架橋法などの公知の方法が使用される。
本実施の形態における検出装置は、抗原抗体反応に基づき変化する上記の物理量のいずれかを検出するための検出部を備える。検出部は、各種光度計、分光器、又は、線量計など公知の装置で構成される。
[抗体の調製]
以下、上記の抗体A1〜A4の調製方法について説明する。ここでは、抗体A3の調製方法を具体的に説明する。H1N1インフルエンザウィルスA型に含まれる核内タンパク質に結合するVHH抗体(すなわち、重鎖抗体の重鎖の可変領域)が、以下の手順に従って調製された。以下、核内タンパク質は「NP」と呼ばれる。
(アルパカへの免疫及び単核球の取得)
VHH抗体遺伝子ライブラリを作製するため、H1N1インフルエンザウィルスA型(A/Puerto Rico/8/34/Mount Sinai)由来のリコンビナント核内タンパク質(配列番号:33)を抗原として用いてアルパカが免疫された。リコンビナント核内タンパク質は、ヒゲタ醤油株式会社においてブレビバチルス発現システムを用いて作製された。リコンビナント核内タンパク質は、アジュバントを用いてアルパカに投与される前に調整された。
リコンビナント核内タンパク質(配列番号:33)の配列は以下の通りである。
MASQGTKRSYEQMETDGERQNATEIRASVGKMIGGIGRFYIQMCTELKLSDYEGRLIQNSLTIERMVLSAFDERRNKYLEEHPSAGKDPKKTGGPIYRRVNGKWMRELILYDKEEIRRIWRQANNGDDATAGLTHMMIWHSNLNDATYQRTRALVRTGMDPRMCSLMQGSTLPRRSGAAGAAVKGVGTMVMELVRMIKRGINDRNFWRGENGRKTRIAYERMCNILKGKFQTAAQKAMMDQVRESRNPGNAEFEDLTFLARSALILRGSVAHKSCLPACVYGPAVASGYDFEREGYSLVGIDPFRLLQNSQVYSLIRPNENPAHKSQLVWMACHSAAFEDLRVLSFIKGTKVLPRGKLSTRGVQIASNENMETMESSTLELRSRYWAIRTRSGGNTNQQRASAGQISIQPTFSVQRNLPFDRTTIMAAFNGNTEGRTSDMRTEIIRMMESARPEDVSFQGRGVFELSDEKAASPIVPSFDMSNEGSYFFGDNAEEYDN(配列番号:33)
具体的には、100マイクログラム/ミリリットルの濃度を有するリコンビナント核内タンパク質が、アルパカへ投与された。1週間後、再度、同じ濃度を有するリコンビナント核内タンパク質が、アルパカへ投与された。このようにして、5週間かけて5回、アルパカはリコンビナント核内タンパク質を用いて免役された。さらに1週間後、アルパカの血液を採取した。次いで、以下のように血液から単核球が取得された。
リンパ球分離チューブ(株式会社グライナージャパンより購入、商品名:Leucosep)に、血球分離溶液(コスモ・バイオ株式会社より購入、商品名:Lymphoprep)が添加された。次いで、溶液は、摂氏20度の温度で1000×gで1分間遠心された。
アルパカから採取された血液は、ヘパリンによって処理された。次に、このように処理された血液に等量のリン酸緩衝生理食塩水(以下、「PBS」という)が添加され、サンプル液を得た。次いで、サンプル液は血球分離溶液が添加されたリンパ球分離チューブに添加された。
リンパ球分離チューブは、摂氏20度の温度で800×gで30分遠心された。
単核球を含有する画分が回収され、3倍の容量を有するPBSが添加された。画分は、摂氏20度の温度で 300×gで 5分遠心された。沈殿物が、PBSを用いて穏やかに懸濁された。懸濁後、細胞数の測定のために10マイクロリットルの懸濁液が分離された。残りの懸濁液が、摂氏20度の温度で 300×gで 5分間遠心された。
沈殿物に2ミリリットルの容積を有するRNA保存溶液(商品名:RNAlater)が添加された。次いで、溶液は穏やかに懸濁された。懸濁液が、2本の1.5mLチューブに注入された。各チューブは、1ミリリットルの懸濁液を含んでいた。チューブは、摂氏−20度の温度下で保存された。細胞数の測定のために分離された懸濁液(5マイクロリットル)が、チュルク液(15マイクロリットル)と混合され、血球計算盤を用いて単核球の数が数えられた。
(VHH抗体のcDNA遺伝子ライブラリの作製)
次に、単核球からTOTAL RNAを抽出し、そしてVHH抗体のcDNA遺伝子ライブラリが以下の手順で作製された。以下の手順では、RNase free gradeの試薬及び器具が使用された。
単核球分画に、トータルRNA抽出試薬(商品名:TRIzol Reagent、1ミリリットル)を加えた。試薬は緩やかに混和され、そして室温にて5分間放置された。クロロホルム(200マイクロリットル)が試薬に加えられ、そして15秒間、試薬は力強く振られた。試薬は、室温で2〜3分間静置された。試薬は、摂氏4度で15分間、12,000×g以下で遠心された。
上清が新しいチューブに移された。RNaseフリー水及びクロロホルム(各200マイクロリットル)がチューブに加えられた。さらに500ミリリットルのイソプロパノールがチューブに加えられた。チューブに含まれる液体はボルテックスミキサーを用いて撹拌された。液体は室温で10分間静置された。次いで、液体は摂氏4度の温度で15分間、12,000×g以下で遠心された。上清が捨てられ、沈殿物が1ミリリットルの75% エタノールでリンスされた。この溶液は、摂氏4度の温度で5分間、7,500×g以下で遠心された。溶液は乾燥され、全RNAを得た。得られた全RNAは、RNaseフリー水に溶解された。
Total RNAからcDNAを取得するため,逆転写酵素を含むキット(タカラバイオ株式会社より入手、商品名:PrimeScript II 1st strand cDNA Synthesis Kit)が用いられた。キットに含まれるRandom 6 mer及びOligo dT primerがプライマーとして用いられた。キットの標準プロトコルに従って、cDNAが取得された。
アルパカに含まれるVHH抗体の遺伝子が、cDNAからPCR法によって獲得された。PCRのための酵素はタカラバイオ株式会社よりEx−taqの商品名として入手された。
以下の試薬が混合され、混合液を得た。
10x buffer 5 マイクロリットル
dNTPs 4 マイクロリットル
Primer F 2 マイクロリットル
Primer R 2 マイクロリットル
cDNA template 1 マイクロリットル
Ex-taq 0.25 マイクロリットル
混合液は以下のPCR法に供された。
まず、混合液は、摂氏95度で2分間で加熱された。
次いで、混合液の温度は、以下のサイクルに従って変化された。

摂氏96度で30秒間
摂氏52度で30秒間、そして
摂氏68度で40秒間。

このサイクルが30回繰り返された。
最後に、混合液は、摂氏68度で4分間加熱した後、摂氏4度で保存された。
このPCR法においては、以下のプライマーが使用された。
primer 1: 5’- GGTGGTCCTGGCTGC -3’ (配列番号:34)
primer 2: 5’- ctgctcctcgcGGCCCAGCCGGCCatggcTSAGKTGCAGCTCGTGGAGTC -3’ (配列番号:35)
primer 3: 5’- TGGGGTCTTCGCTGTGGTGCG -3’ (配列番号:36)
primer 4: 5’- TTGTGGTTTTGGTGTCTTGGG -3’ (配列番号:37)
primer 5: 5’- tttgCtctGCGGCCGCagaGGCCgTGGGGTCTTCGCTGTGGTGCG -3’ (配列番号
:38)
primer 6: 5’- tttgCtctGCGGCCGCagaGGCCgaTTGTGGTTTTGGTGTCTTGGG -3’ (配列番号:39)
(参考文献:Biomed Environ Sci, 2012; 27(2):118-121)
3回のPCR法が実施された。
1回目のPCR法では、cDNA、Primer 1及びPrimer 3からなるプライマーセットA、並びに、cDNA、Primer 1及びPrimer 4からなるプライマーセットBが用いられた。
2回目のPCR法では、プライマーセットAを用いて増幅された遺伝子、Primer 2及びPrimer 3からなるプライマーセットC、並びに、プライマーセットBを用いて増幅された遺伝子、Primer 2及びPrimer 4からなるプライマーセットDが用いられた。
3回目のPCR法では、プライマーセットCを用いて増幅された遺伝子、Primer 2及びPrimer 5からなるプライマーセットE、並びに、プライマーセットDを用いて増幅された遺伝子、Primer 2及びPrimer 6からなるプライマーセットFが用いられた。このようにして、VHH抗体の遺伝子ライブラリが形成された。言い換えれば、VHH抗体の遺伝子ライブラリは、プライマーセットE及びプライマーセットFを用いて増幅された遺伝子を含んでいた。
(ファージライブラリの作製)
次に、VHH抗体の遺伝子ライブラリから、以下の手順に従ってファージライブラリが作製された。
市販されているプラスミドpUC119(例えば、タカラバイオ株式会社より入手可能)由来のプラスミドVector1(4057塩基対、図1A参照)が、制限酵素SfiIにより処理された。図1Aにおける制限酵素サイトSfiI(a)は、GGCCCAGCCGGCC(配列番号:40)により表される遺伝子配列からなる。制限酵素サイトSfiI(b)は、GGCCTCTGCGGCC(配列番号:41)により表される遺伝子配列からなる。図1Bは、プラスミドVector1の詳細なベクターマップを示す。
プラスミドVector1は、以下の遺伝子配列からなる。
gacgaaagggcctcgtgatacgcctatttttataggttaatgtcatgataataatggtttcttagacgtcaggtggcacttttcggggaaatgtgcgcggaacccctatttgtttatttttctaaatacattcaaatatgtatccgctcatgagacaataaccctgataaatgcttcaataatattgaaaaaggaagagtatgagtattcaacatttccgtgtcgcccttattcccttttttgcggcattttgccttcctgtttttgctcacccagaaacgctggtgaaagtaaaagatgctgaagatcagttgggtgcacgagtgggttacatcgaactggatctcaacagcggtaagatccttgagagttttcgccccgaagaacgttttccaatgatgagcacttttaaagttctgctatgtggcgcggtattatcccgtattgacgccgggcaagagcaactcggtcgccgcatacactattctcagaatgacttggttgagtactcaccagtcacagaaaagcatcttacggatggcatgacagtaagagaattatgcagtgctgccataaccatgagtgataacactgcggccaacttacttctgacaacgatcggaggaccgaaggagctaaccgcttttttgcacaacatgggggatcatgtaactcgccttgatcgttgggaaccggagctgaatgaagccataccaaacgacgagcgtgacaccacgatgcctgtagcaatggcaacaacgttgcgcaaactattaactggcgaactacttactctagcttcccggcaacaattaatagactggatggaggcggataaagttgcaggaccacttctgcgctcggcccttccggctggctggtttattgctgataaatctggagccggtgagcgtgggtctcgcggtatcattgcagcactggggccagatggtaagccctcccgtatcgtagttatctacacgacggggagtcaggcaactatggatgaacgaaatagacagatcgctgagataggtgcctcactgattaagcattggtaactgtcagaccaagtttactcatatatactttagattgatttaaaacttcatttttaatttaaaaggatctaggtgaagatcctttttgataatctcatgaccaaaatcccttaacgtgagttttcgttccactgagcgtcagaccccgtagaaaagatcaaaggatcttcttgagatcctttttttctgcgcgtaatctgctgcttgcaaacaaaaaaaccaccgctaccagcggtggtttgtttgccggatcaagagctaccaactctttttccgaaggtaactggcttcagcagagcgcagataccaaatactgtccttctagtgtagccgtagttaggccaccacttcaagaactctgtagcaccgcctacatacctcgctctgctaatcctgttaccagtggctgctgccagtggcgataagtcgtgtcttaccgggttggactcaagacgatagttaccggataaggcgcagcggtcgggctgaacggggggttcgtgcacacagcccagcttggagcgaacgacctacaccgaactgagatacctacagcgtgagctatgagaaagcgccacgcttcccgaagggagaaaggcggacaggtatccggtaagcggcagggtcggaacaggagagcgcacgagggagcttccagggggaaacgcctggtatctttatagtcctgtcgggtttcgccacctctgacttgagcgtcgatttttgtgatgctcgtcaggggggcggagcctatggaaaaacgccagcaacgcggcctttttacggttcctggccttttgctggccttttgctcacatgttctttcctgcgttatcccctgattctgtggataaccgtattaccgcctttgagtgagctgataccgctcgccgcagccgaacgaccgagcgcagcgagtcagtgagcgaggaagcggaagagcgcccaatacgcaaaccgcctctccccgcgcgttggccgattcattaatgcagctggcacgacaggtttcccgactggaaagcgggcagtgagcgcaacgcaattaatgtgagttagctcactcattaggcaccccaggctttacactttatgcttccggctcgtatgttgtgtggaattgtgagcggataacaatttcacacaggaaacagctatgaccatgattacgccAAGCTTCGAAGGAGACAGTCATAatgaaatacctgctgccgaccgctgctgctggtctgctgctcctcgcGGCCCAGCCGGCCatggagcTCAAGATGACACAGACTACATCCTCCCTGTCAGCCTCTCTGGGAGACAGAGTCACCATCAGTTGCAGGGCAAGTCAGGACATTAGCGATTATTTAAACTGGTATCAGCAGAAACCAGATGGAACTGTTAAACTCCTGATCTATTACACATCAAGTTTACACTCAGGAGTCCCATCAAGGTTCAGTGGCGGTGGGTCTGGAACAGATTATTCTCTCACCATTAGCAACCTGGAGCAAGAAGATATTGCCACTTACTTTTGCCAACAGGGTAATACGCTTCCGTGGACGTTTGGTGGAGGCACCAAGCTGGAAATCAAACGGGCTGATGCTGCACCAACTgtaGGCCtctGCGGCCGCagaGcaaaaactcatctcagaagaggatctgaatggggccgcaTAGggttccggtgattttgattatgaaaagatggcaaacgctaataagggggctatgaccgaaaatgccgatgaaaacgcgctacagtctgacgctaaaggcaaacttgattctgtcgctactgattacggtgctgctatcgatggtttcattggtgacgtttccggccttgctaatggtaatggtgctactggtgattttgctggctctaattcccaaatggctcaagtcggtgacggtgataattcacctttaatgaataatttccgtcaatatttaccttccctccctcaatcggttgaatgtcgcccttttgtctttagcgctggtaaaccatatgaattttctattgattgtgacaaaataaacttattccgtggtgtctttgcgtttcttttatatgttgccacctttatgtatgtattttctacgtttgctaacatactgcgtaataaggagtctTAATAAgaattcactggccgtcgttttacaacgtcgtgactgggaaaaccctggcgttacccaacttaatcgccttgcagcacatccccctttcgccagctggcgtaatagcgaagaggcccgcaccgatcgcccttcccaacagttgcgcagcctgaatggcgaatggcgcctgatgcggtattttctccttacgcatctgtgcggtatttcacaccgCATATGaAAATTGTAAgcgttaatattttgttaaaattcgcgttaaatttttgttaaatcagctcattttttaaccaataggccgaaatcggcaaaatcccttataaatcaaaagaatagaccgagatagggttgagtgttgttccagtttggaacaagagtccactattaaagaacgtggactccaacgtcaaagggcgaaaaaccgtctatcagggcgatggcccactacgtgaaccatcaccctaatcaagttttttggggtcgaggtgccgtaaagcactaaatcggaaccctaaagggagcccccgatttagagcttgacggggaaagccggcgaacgtggcgagaaaggaagggaagaaagcgaaaggagcgggcgctagggcgctggcaagtgtagcggtcacgctgcgcgtaaccaccacacccgccgcgcttaatgcgccgctacaGGGCGCGTcccatATGgtgcactctcagtacaatctgctctgatgccgcatagttaagccagccccgacacccgccaacacccgctgacgcgccctgacgggcttgtctgctcccggcatccgcttacagacaagctgtgaccgtctccgggagctgcatgtgtcagaggttttcaccgtcatcaccgaaacgcgcga(配列番号:42)
同様に、VHH抗体の遺伝子ライブラリも制限酵素SfiIにより処理された。このようにして、VHH抗体遺伝子断片が得られた。
このように処理されたプラスミドVector1が、VHH抗体遺伝子断片と、1:2の割合で混合された。混合液に、酵素(東洋紡株式会社より入手、商品名:Ligation High ver.2)が注入された。混合液は摂氏16度の温度下で2時間静置された。このようにして、VHH抗体遺伝子断片がプラスミドVector1にライゲーションされた。
このようにしてライゲーションされたプラスミドVector1を用いて、大腸菌(タカラバイオ株式会社より入手、商品名:HST02)がトランスフェクトされた。
次いで、大腸菌は、100マイクログラム/ミリリットルの濃度を有するアンピシリンを含有する2YTプレート培地上で15時間、培養された。このようにして、VHH抗体の遺伝子ライブラリに含まれる遺伝子断片から得られるタンパク質を提示するファージのライブラリが得られた。
培養後、2YTプレート培地上に形成されたシングルコロニーの数をカウントすることでライブラリの濃度を算出した。その結果、ライブラリは、5×107/ミリリットルの濃度を有していた。
(バイオパニング)
核内タンパク質に特異的に結合するVHH抗体が、ファージライブラリから以下の手順に従って得られた。
VHH抗体を発現したファージの中から、抗原に結合するクローンを抽出するため、2回のバイオパンニングを実施した。
VHH抗体の遺伝子ライブラリに含まれるVHH抗体遺伝子断片が導入された大腸菌(HST02)を、吸光度を示す値(OD600)が1.0になるまで摂氏30度にて100mLの 2YT AG(100μg/mLのアンピシリン及び1%グルコースを含有した2YT培地)の培地中で培養し、大腸菌を増殖させた。
ヘルパーファージ(M13KO7)(Invitrogen社より購入)を感染多重度(MOI)がおよそ20となるよう大腸菌含有培地へ加えた。
その後、培地が30分ほど摂氏37度で保温された。次いで、培地を4000rpmの回転数で10分間遠心し、大腸菌を回収した。100mLの2YTAK培地(100μg/mLのアンピシリン及び50μg/mLのカナマイシンを含有した2YT培地)中で、摂氏30度で、213rpmにて遠心しながら、大腸菌を一晩培養した。
上記のように培養された大腸菌を含有する培養液(100ミリリットル)が、2本の遠沈管(容積:50ミリリットル)に注入された。2つの培養液は、4000rpmの回転数で10分間遠心された。次いで、上清(各20ミリリットル)が回収された。
上清(40ミリリットル)が、NaCl(2.5M)を含有する20% PEG溶液(10ミリリットル)に添加された。次いで、混合液は、転倒混和された。その後、混合液は、およそ1時間氷上にて冷却された。混合液は、4000rpmの回転数で10分間遠心された。次いで、上清が除去された。10%グリセロールを含有するPBSが沈殿物に向けて注入された。最後に、沈殿物は、ほぐしながら溶解された。このようにして、VHH抗体を提示するファージのライブラリが得られた。
(NPに特異的に結合するVHH抗体のスクリーニング)
(A) NP抗原の固定化
NPをPBSと混合し、NP溶液を調製した。NPの濃度は2マイクログラム/ミリリットルであった。NP溶液(2ミリリットル)が、イムノチューブ(ヌンク社より購入)に注入された。NP溶液はイムノチューブ内で一晩静置された。このようにして、イムノチューブの内部にNPが固定された。
次いで、イムノチューブの内部がPBSを用いて3回、洗浄された。
3%スキムミルク(和光純薬株式会社より入手)を含有するPBSをイムノチューブに満たした。このようにして、NPが抗原としてイムノチューブの内部にブロッキングされた。
イムノチューブは、室温にて1時間、静置された。その後、イムノチューブの内部がPBSを用いて3回、洗浄された。
(B)パニング
VHH抗体を提示するファージのライブラリ(濃度:およそ5E+11/ミリリットル)が、3%のスキムミルクを含有した3ミリリットルのPBSと混合され、混合液を調製した。混合液は、NP抗原が固定化されたイムノチューブに注入された。
イムノチューブには、パラフィルムからなる蓋が取り付けられた。次いで、イムノチューブは、ローテーターを用いて、10分間、転倒しながら回転された。
イムノチューブは、室温にて1時間、静置された。
イムノチューブの内部は、0.05%のtween20を含有するPBS(以下、「PBST」という)で10回、洗浄された。
イムノチューブの内部は、PBSTにより満たされた。その後、イムノチューブは、10分間、静置された。次いで、イムノチューブの内部は、PBSTで10回、洗浄された。
NP抗原に結合したVHH抗体を提示するファージを抽出するために、100mMトリメチルアミン溶液(1ミリリットル)がイムノチューブに注入された。
イムノチューブには、パラフィルムからなる蓋が取り付けられた。次いで、イムノチューブは、ローテーターを用いて、10分間、転倒しながら回転された。
溶液を中和するため、溶液は、1mLの0.5M Tris/HCl(pH:6.8)を含有するチューブに移した。再度、100mMトリメチルアミン溶液(1ミリリットル)を用いたファージの抽出を繰り返した。このようにして、3mLの抽出液が得られた。
抽出液(1mL)が、9mLの大腸菌HST02と混合された。混合液は、摂氏30度の温度で1時間、静置された。
コロニーを計数するため、大腸菌HST02を含有する10マイクロリットルの混合液は、2TYA培地を含む小プレート(10ミリリットル/プレート)にまかれた。
残りの混合液は遠心分離された。上澄み液は捨てられ、かつ沈殿物は2TYA培地を含む大プレート(40ミリリットル/プレート)にまかれた。これらの2つのプレートは、摂氏30度の温度下にて一晩静置された。このようにして、1回目のパニングが行われた。
1回目のパニングの手順と全く同様に、2回目のパニングが行われた。言い換えれば、パニングが繰り返された。このようにして、VHH抗体を提示するモノクローナルファージが精製された。
2回目のパニングの後、大腸菌のコロニーが爪楊枝でピックアップされた。ピックアップされた1つのコロニーは、96平底プレートの1つのウェルに置かれた。これが繰り返された。1つのウェルは、200マイクロリットルの2YTAG培地を含有していた。
ウェル内の溶液が、摂氏30度で213rpmの回転数で撹拌された。
増殖した大腸菌を含む溶液(50マイクロリットル)が回収された。回収された溶液は、プレートに含まれる50マイクロリットルの2YTA培地と混合された。2YTA培地は、感染多重度MOIが20になるようなヘルパーファージを含有していた。溶液は、摂氏37度の温度で40分間静置された。
2YTA培地を含むプレートは、1800rpmにて20分間遠心分離された。上清が捨てられた。沈殿物が大腸菌を含んでいた。沈殿物は、200マイクロリットルの2YTAK培地と混合された。混合液は、摂氏30度にて一晩静置された。
混合液は、1800rpmにて20分間遠心分離された。大腸菌を含む上清が回収された。
(C) ELISAによるファージ提示VHH抗体及び抗原の定性評価
96ウェルプレート(Thermo scientific社より購入、商品名:maxisorp)の各ウェルに、2マイクログラム/ミリリットルの濃度を有する核内タンパク質溶液を抗原として添加した。各ウェルにおけるHAタンパク質溶液の容積は、50マイクロリットルであった。96ウェルプレートは、4℃で一晩、放置された。このようにして、NP抗原が各ウェルに固定された。
各ウェルは、PBSにより3回、洗浄された。次いで、3%スキムミルク(和光純薬株式会社より入手)を含有するPBSが各ウェルに注入された(200マイクロリットル/ウェル)。96ウェルプレートは、室温で1時間、放置された。このようにして、核内タンパク質が各ウェルでブロックされた。その後、各ウェルは、PBSで3回、洗浄された。
VHH抗体を提示するモノクローナルファージが、各ウェルに注入された(50マイクロリットル/ウェル)。次いで、96ウェルプレートは、1時間、静置された。このようにして、ファージはNP抗原と反応した。
各ウェルは、PBSTを用いて3回、洗浄された。次に、抗M13抗体(abcam社より入手、商品名:ab50370、10000倍希釈)が各ウェルに添加された(50マイクロリットル/ウェル)。次いで、各ウェルはPBSTで3回、洗浄された。
発色剤(Thermo Scientific社より入手、商品名:1−STEP ULTRA TMB−ELISA)が各ウェルに注入された(50マイクロリットル/ウェル)。96ウェルプレートは2分間静置され、発色剤を抗体と反応させた。
硫酸水溶液(1規定)が50マイクロリットル/ウェルの濃度で各ウェルに添加され、反応を停止させた。
450ナノメートルの波長での溶液の吸光度が測定された。
良好な吸光度測定の結果を有する14のウェルが選択された。選択された14つのウェルに含有されるファージに含まれるDNA配列が、グライナー社により解析された。DNA配列の解析結果は、以下の通りである。以下の1つDNA配列が見いだされた。
GAGGTGCAGCTCGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTGGTGCAGCCTGGGGGGTCTCTGAGCCTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACCTTCAGTAATTATTACATGGGCTGGTTCCGCCAGGCACCAGGGAAGGAACGACAGTCTCTAGCGACAGTTAACTCAGGTGGTACTGGGGAGGCCTATGCAGACTCCATACGGGGCCGATTCACCATCTCCAGAGACAACGCCAAGAACACGGTGACGCTACAAATGAGCAGCCTGCAACCTGAGGACACGGCCGTTTATTACTGTGCACGAGTCGACGGGCGTGTCCTGAGTACAATAGTAGTTTCTTACGACTACTGGGGCCAGGGGACCCAGGTCACCGTCTCCTCA(配列番号:43)
配列番号:43により表されるDNA配列から合成される蛋白質は、以下のアミノ酸配列からなる。
EVQLVESGGGLVQPGGSLSLSCAASGFTFSNYYMGWFRQAPGKERQSLATVNSGGTGEAYADSIRGRFTISRDNAKNTVTLQMSSLQPEDTAVYYCARVDGRVLSTIVVSYDYWGQGTQVTVSS(配列番号:3)
(抗NP VHH抗体の発現)
ベクターpRA2(+)が発現ベクターとして用いられた(図2参照)。ベクターpRA2(+)は、メルク社から購入された。In−Fusion HD Cloning Kit(タカラバイオ株式会社より購入)を用いて、VHH配列がベクターpRA2(+)に付加された。以下、付加された手順が詳細に説明される。
まず、以下2つのプライマー(配列番号:44及び配列番号:45)を用いて、PCR法により、VHH抗体の遺伝子ライブラリに含まれるVHH抗体遺伝子断片がライゲーションされたプラスミドVector1から、VHH抗体遺伝子断片が複製された。このようにして、配列番号:2により表されるアミノ酸配列をコードする遺伝子配列を含む以下の1つのDNA(配列番号:46)が得られた。

Primer 1: 5’- CAGCCGGCCATGGCTCAGGTGCAGCTCGTGGAGTCTGGG -3’ (配列番号:44)
Primer 2: 5’- ATGGTGTGCGGCCGCTGAGGAGACGGTGACCTGGGTCC -3’ (配列番号:45)

5'- CAGCCGGCCATGGCTGAGGTGCAGCTCGTGGAGTCTGGGAGGTGCAGCTCGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTGGTGCAGCCTGGGGGGTCTCTGAGCCTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACCTTCAGTAATTATTACATGGGCTGGTTCCGCCAGGCACCAGGGAAGGAACGACAGTCTCTAGCGACAGTTAACTCAGGTGGTACTGGGGAGGCCTATGCAGACTCCATACGGGGCCGATTCACCATCTCCAGAGACAACGCCAAGAACACGGTGACGCTACAAATGAGCAGCCTGCAACCTGAGGACACGGCCGTTTATTACTGTGCACGAGTCGACGGGCGTGTCCTGAGTACAATAGTAGTTTCTTACGACTACTGGGGCCAGGGGACCCAGGTCACCGTCTCCTCAGGACCCAGGTCACCGTCTCCTCAGCGGCCGCACACCAT -3’ (配列番号:46)
一方、以下2つのプライマー(配列番号:47及び配列番号:48)を用いて、PCR法により、ベクターpRA2に含まれる一部の塩基配列が増幅された。このようにして、DNA(配列番号:49)が得られた。
Primer 1: 5’- GCGGCCGCACACCATCATCACCACCATTAATAG-3’(配列番号:47)
Primer 2: 5’- AGCCATGGCCGGCTGGGCCGCGAGTAATAAC-3’(配列番号:48)

GCGGCCGCACACCATCATCACCACCATTAATAGcactagtcaagaggatccggctgctaacaaagcccgaaaggaagctgagttggctgctgccaccgctgagcaataactagcataaccccttggggcctctaaacgggtcttgaggggttttttgctgaaaggaggaactatatccggatgaattccgtgtattctatagtgtcacctaaatcgtatgtgtatgatacataaggttatgtattaattgtagccgcgttctaacgacaatatgtacaagcctaattgtgtagcatctggcttactgaagcagaccctatcatctctctcgtaaactgccgtcagagtcggtttggttggacgaaccttctgagtttctggtaacgccgtcccgcacccggaaatggtcagcgaaccaatcagcagggtcatcgctagccagatcctctacgccggacgcatcgtggccggcatcaccggcgccacaggtgcggttgctggcgcctatatcgccgacatcaccgatggggaagatcgggctcgccacttcgggctcatgagcgcttgtttcggcgtgggtatggtggcaggccccgtggccgggggactgttgggcgccatctccttgcatgcaccattccttgcggcggcggtgctcaacggcctcaacctactactgggctgcttcctaatgcaggagtcgcataagggagagcgtcgaatggtgcactctcagtacaatctgctctgatgccgcatagttaagccagccccgacacccgccaacacccgctgacgcgccctgacgggcttgtctgctcccggcatccgcttacagacaagctgtgaccgtctccgggagctgcatgtgtcagaggttttcaccgtcatcaccgaaacgcgcgagacgaaagggcctcgtgatacgcctatttttataggttaatgtcatgataataatggtttcttagacgtcaggtggcacttttcggggaaatgtgcgcggaacccctatttgtttatttttctaaatacattcaaatatgtatccgctcatgagacaataaccctgataaatgcttcaataatattgaaaaaggaagagtatgagtattcaacatttccgtgtcgcccttattcccttttttgcggcattttgccttcctgtttttgctcacccagaaacgctggtgaaagtaaaagatgctgaagatcagttgggtgcacgagtgggttacatcgaactggatctcaacagcggtaagatccttgagagttttcgccccgaagaacgttttccaatgatgagcacttttaaagttctgctatgtggcgcggtattatcccgtattgacgccgggcaagagcaactcggtcgccgcatacactattctcagaatgacttggttgagtactcaccagtcacagaaaagcatcttacggatggcatgacagtaagagaattatgcagtgctgccataaccatgagtgataacactgcggccaacttacttctgacaacgatcggaggaccgaaggagctaaccgcttttttgcacaacatgggggatcatgtaactcgccttgatcgttgggaaccggagctgaatgaagccataccaaacgacgagcgtgacaccacgatgcctgtagcaatggcaacaacgttgcgcaaactattaactggcgaactacttactctagcttcccggcaacaattaatagactggatggaggcggataaagttgcaggaccacttctgcgctcggcccttccggctggctggtttattgctgataaatctggagccggtgagcgtgggtctcgcggtatcattgcagcactggggccagatggtaagccctcccgtatcgtagttatctacacgacggggagtcaggcaactatggatgaacgaaatagacagatcgctgagataggtgcctcactgattaagcattggtaactgtcagaccaagtttactcatatatactttagattgatttaaaacttcatttttaatttaaaaggatctaggtgaagatcctttttgataatctcatgaccaaaatcccttaacgtgagttttcgttccactgagcgtcagaccccgtagaaaagatcaaaggatcttcttgagatcctttttttctgcgcgtaatctgctgcttgcaaacaaaaaaaccaccgctaccagcggtggtttgtttgccggatcaagagctaccaactctttttccgaaggtaactggcttcagcagagcgcagataccaaatactgttcttctagtgtagccgtagttaggccaccacttcaagaactctgtagcaccgcctacatacctcgctctgctaatcctgttaccagtggctgctgccagtggcgataagtcgtgtcttaccgggttggactcaagacgatagttaccggataaggcgcagcggtcgggctgaacggggggttcgtgcacacagcccagcttggagcgaacgacctacaccgaactgagatacctacagcgtgagctatgagaaagcgccacgcttcccgaagggagaaaggcggacaggtatccggtaagcggcagggtcggaacaggagagcgcacgagggagcttccagggggaaacgcctggtatctttatagtcctgtcgggtttcgccacctctgacttgagcgtcgatttttgtgatgctcgtcaggggggcggagcctatggaaaaacgccagcaacgcggcctttttacggttcctggccttttgctggccttttgctcacatgttctttcctgcgttatcccctgattctgtggataaccgtattaccgcctttgagtgagctgataccgctcgccgcagccgaacgaccgagcgcagcgagtcagtgagcgaggaagcggaagagcgcccaatacgcaaaccgcctctccccgcgcgttggccgattcattaatgcagctggcttatcgaaattaatacgactcactatagggagacccaagctttatttcaaggagacagtcataATGaaatacctattgcctacggcagccgctggattgttattactcgcggcccagccggccatggct(配列番号:49)
以下の2つのDNA(I)および(II)以外のDNAは、制限酵素DpnI(東洋紡より入手)を用いて断片化された。言い換えれば、以下の2つのDNA(I)及び(II)の2つのDNAはそのままであったが、他のDNAは断片化された。
(I) 配列番号:46により表されるDNA
(II) 配列番号:49により表されるDNA
In−Fusion HD Cloning Kit(タカラバイオ株式会社より購入)を用いて、配列番号:21により表されるDNAが、配列番号:49により表されるDNAと融合された。このようにして、VHH抗体遺伝子断片がベクターpRA2(+)にライゲーションされた。
ライゲーション溶液(10マイクロリットル)及び大腸菌JM109(タカラバイオより入手、100マイクロリットル)が氷上にて混合された。混合液は、30分間、氷上にて静置された。次いで、混合液は、摂氏42度で45秒間加熱された。最後に、混合液は、3分間、氷上で静置された。この手順は、一般的なヒートショック法として知られている。
摂氏37度で1時間振とう培養後、全量の混合液が、100マイクログラム/ミリリットルの濃度でアンピシリンを含有するLBA培地上に散布された。LBA培地は、摂氏37度で一晩静置された。
LBA培地上に形成されたコロニーの中から、3つのコロニーが選択された。選択された3つのコロニーは、LBA培地(3ミリリットル)で一晩培養された。
培養された大腸菌に含まれるプラスミドは、プラスミド抽出キット(Sigmaより入手、商品名:Gene Elute Plasmid Mini Kit)を用いて、LBA培地から抽出された。目的のVHH抗体の遺伝子がプラスミドに挿入されていることを確認するため、プラスミドの配列がグライナー社によって解析された。シーケンスの解析のために、一般的なT7promoter primerセットが用いられた。
シーケンスの解析を通して目的通りに形成されたことが確認されたプラスミドが選択された。
選択されたプラスミドを用いて、大腸菌(Competent Cell BL21 (DE3) pLysS, ライフテクノロジーズ社より入手)がヒートショック法によりトランフェクトされた。
トランスフェクトされた大腸菌を含有する溶液に、LBA培地(1ミリリットル)が添加された。次いで、大腸菌は、213rpmで振とうされながら、摂氏37度で1時間、回復培養された。
次いで、大腸菌溶液が回収された。回収された大腸菌溶液(1ミリリットル)は、LBA培地に散布された。LBA培地は、摂氏37度の温度で一晩、静置された。
LBA培地内に形成されたコロニーの中から、1つのコロニーが選択された。選択されたコロニーは、爪楊枝でピックアップされた。ピックアップされたコロニーは、LBA培地(3ミリリットル)中で、213rpmで振とうされながら摂氏37度の温度で培養された。このようにして、培養液を得た。
さらに、培養液(3ミリリットル)はLBA培地(1000ミリリットル)に混合された。600ナノメートルの波長での混合液の吸光度が0.6になるまで、混合液は摂氏28度の温度で120rpmで振とうされた。
吸光度が0.6となったのち、イソプロピルチオガラクトシド(IPTG)溶液が混合液に添加された。IPTG溶液の最終濃度は0.5mMであった。混合液に含有される大腸菌は、摂氏20度で一晩、培養された。培養された大腸菌を回収するため、混合液は、6000rpmで10分間、摂氏4度で遠心された。
回収された大腸菌は、50mM Tris−HCl、500mM NaCl、及び5mMイミダゾールを含有する混合溶媒に混合された。混合溶媒は、50ミリリットルの容量を有していた。混合液に含有される大腸菌は、超音波を用いて破砕された。
大腸菌を含む破砕液は、40000×gで30分間、摂氏4度で遠心された。上清が回収され、溶出液を得た。回収された上清は、0.45マイクロメートルフィルタを用いて濾過された。
濾液は、Ni−NTA−Agarose(株式会社キアゲンより入手)を用いて推奨プロトコルに従って精製された。精製時には、1ミリリットルのNi−NTA−Agaroseに対して3ミリリットルを有する溶出バッファが用いられた。
さらに、抗NP抗体を含有する溶出液がカラムクロマトグラフィー(ゼネラルエレクトリック社より入手、商品名:Akta purifier)を用いて精製された。このようにして、抗NP抗体を含有する溶液が得られた。
このようにして得られた溶液に含有される抗NP抗体は、吸光度計(スクラム社より入手、商品名:nanodrop)を用いて、280ナノメートルでの波長での吸収測定値に基づいて定量された。その結果、抗NP抗体の濃度は1.30ミリグラム/ミリリットルであった。
なお、抗体A1及び抗体A2の調製方法については、抗体A1に含まれる配列番号:1により表されるアミノ酸配列をコードするDNA配列(配列番号:50)、抗体A2に含まれる配列番号:2により表されるアミノ酸配列をコードするDNA配列(配列番号:51)である以外は、上記の方法と同様である。また、抗体A4の調製方法については、特開2018−58811号公報に記載の方法であるため、ここでの記載を省略する。

CAGTTGCAGCTCGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTGGTGCAGGCTGGGGGGTCTCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGAAGCGCCTTCAGCCTCTATGCCATGGGCTGGCACCGCCAGGCTCCAGGGAAGCAGCGCGAGTTGGTCGCATATATTACTAATGGTGACATCACAAACTATGCGGACTCCGTGCAGGGCCGTGTCATCATCTCCAGAGACAACGCCAAAAACACGGTGTATCTACACATGAACAGCCTGAAACCTGAGGACACAGCCGTCTATTATTGTTATGCAGTGGGGGGTCGGACCTTCTGGGGCCAGGGGACCCAGGTCACCGTCTCCTCA(配列番号:50)

CAGGTGCAGCTCGTGGAGTCTGGGGGGGGATTGGTGCAGACTGGGGGCCCGCTGAGACTCTCCTGCGCAGTCTCTGATCGCACCGACAGTAACTATGCCATGGGCTGGTTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGAGCGTGAGTTTGTAGCAGCTATTAGCGGCACTGGTTATGTCACTGGCTATGCAGACTCCGCGAGGAATCGCTTCACCCTCTCCAGAGACAACGGCAAGAACGCGGTGTATCTGCAAATGAACAGCCTGGAACCTGCGGACACGGCCGTTTATTACTGTGCAGCCACATCAGATCAACGCTATCCTGGTCCTCGCTCCTCGGGATATGACTACTGGGGCCAGGGGACCCAGGTCACCGTCTCCTCA(配列番号:51)
[実施例]
以下、第1の抗体及び第2の抗体の組み合わせについて、実施例を用いてより具体的に説明するが、これらの実施例は、本開示を何ら制限するものではない。
以下の実験例1〜3では、3種類のA型インフルエンザウィルスを抗原とし、上述した抗体の調製方法により調製された5種類の抗体について、第1の抗体及び第2の抗体として用いる組み合わせを検討した。
3種類のA型インフルエンザウィルスは、(1)亜型H1N1(A/Hokkaido/6−5/2014)、(2)亜型H5N1(A/duck/Hokkaido/Vac−3/2007)、及び、(3)亜型H1N1(A/Puerto Rico/8/1934)である。
5種類の抗体は、(1)抗体A1、(2)抗体A2、(3)抗体A3、(4)抗体A4、及び、(5)配列番号:52により表されるアミノ酸配列を含む抗体(以下、抗体A5と称する)である。
QVQLVESGGGLVQAGGSLRLSCIASGSIFSPNVMGWYRQAPGKPRELVAAITLGESTNYADSVKGRFTISRSNAENTVYLQMDSLKPEDTAVYYCNAGPILERVGPYWGQGTQVTVSS(配列番号:52)
抗体A5では、CDR1は、GSIFSPNV(配列番号:53)により表されるアミノ酸配列を含み、CDR2は、ITLGEST(配列番号:54)により表されるアミノ酸配列を含み、CDR3は、NAGPILERVGPY(配列番号:55)により表されるアミノ酸配列を含む。また、FR1、FR2、FR3、及び、FR4は、それぞれ、QVQLVESGGGLVQAGGSLRLSCIAS(配列番号:56)、MGWYRQAPGKPRELVAA(配列番号:57)、NYADSVKGRFTISRSNAENTVYLQMDSLKPEDTAVYYC(配列番号:58)、及び、WGQGTQVTVSS(配列番号:59)により表されるアミノ酸配列を含む。
配列番号:52により表されるアミノ酸配列をコードするDNAは、以下の通りである。
CAGGTGCAGCTCGTGGAGTCTGGGGGAGGTTTGGTGCAGGCTGGGGGGTCTCTGAGACTCTCCTGTATCGCCTCTGGGAGCATCTTCAGTCCCAATGTCATGGGCTGGTACCGCCAGGCTCCAGGAAAGCCGCGCGAGTTGGTCGCGGCTATTACCCTTGGTGAGAGCACCAACTATGCAGACTCCGTGAAGGGCCGATTCACCATCTCCAGAAGCAACGCCGAGAACACAGTGTATCTGCAAATGGACAGCCTGAAACCTGAGGACACAGCCGTCTATTACTGTAATGCCGGGCCCATCTTAGAACGGGTTGGGCCTTACTGGGGCCAGGGGACCCAGGTCACCGTCTCCTCA(配列番号:60)
(実施例1)
実施例1では、第2の抗体として、抗体A1を用い、第1の抗体として、抗体A1〜A5及びこれらの5種類の抗体の混合物(all)のそれぞれを用いた。NP抗原として、A型インフルエンザウィルス亜型H1N1(A/Hokkaido/6−5/2014)を用いた。
まず、96ウェルプレート(Thermo Scientific社、商品名:maxisorp)の各ウェルに、10μg/mLの抗体A1を提示するモノクローナルファージを第2の抗体(Anti−NP VHH−Histag)として添加した。各ウェルにおける抗体A1溶液の容積は、50μLであった。96ウェルプレートは、4℃で1時間、放置された。このようにして、ファージの表面に提示された抗体A1が各ウェルに固定された。
各ウェルは、PBSにより3回、洗浄された。次いで、3%スキムミルクを含有するPBSが各ウェルに注入された(200μL/ウェル)。96ウェルプレートは、室温で1時間、静置された。このようにして、抗体A1を提示するモノクローナルファージが各ウェルでブロックされた。その後、各ウェルは、PBSで3回、洗浄された。
NP抗原として、A型インフルエンザウィルス亜型H1N1(A/Hokkaido/6−5/2014)が、各ウェルに注入された(50μL/ウェル)。次いで、96ウェルプレートは、1時間、静置された。このようにして、NP抗原は、ファージの表面に提示された抗体A1と反応した。
各ウェルは、PBSTで3回洗浄された。次いで、第1の抗原として、抗体A1〜A5及びこれらの5種類の抗体の混合物(all)のそれぞれが異なるウェルに注入された(50μL/ウェル)。次いで、96ウェルプレートは、1時間、静置された。このようにして、第2の抗体は、抗体A1と結合したNP抗原と反応した。
各ウェルは、PBSにより、3回洗浄された。次いで、3%スキムミルクを含有するPBSが各ウェルに注入された(200μL/ウェル)。96ウェルプレートは、1時間、静置された。このようにして、第1の抗体が各ウェルでブロックされた。その後、各ウェルは、PBSで3回、洗浄された。
次いで、抗M13抗体(abcam社、商品名:ab50370、10000倍希釈)が各ウェルに添加された(50μL/ウェル)。次いで、各ウェルはPBSTで3回洗浄された。
発色剤(Thermo Scientific社、商品名:1−STEP ULTRA TMB−ELISA)が各ウェルに注入された(50μL/ウェル)。96ウェルプレートは2分間静置され、発色剤を抗体と反応させた。次いで、硫酸水溶液(1規定)が各ウェルに50μLずつ添加され、発色剤と抗体との反応を停止させた。次いで、この反応溶液の波長450nmにおける吸光度が測定された(図3A参照)。
続いて、NP抗原として、A型インフルエンザウィルス亜型H5N1(A/duck/Hokkaido/Vac−3/2007)を用いたこと以外は、上記と同様に行い、第1の抗体と第2の抗体との組み合わせを検討した(図3B参照)。
続いて、NP抗原として、A型インフルエンザウィルス亜型H1N1(A/Puerto Rico/8/1934)を用いたこと以外は、上記と同様に行い、第1の抗体と第2の抗体との組み合わせを検討した(図3C参照)。
(実施例2)
実施例2は、第2の抗体として、抗体A2を用いたこと以外は、実施例1と同様に行った。NP抗原としてA型インフルエンザウィルス亜型H1N1(A/Hokkaido/6−5/2014)を用いた結果を図4Aに示す。NP抗原としてA型インフルエンザウィルス亜型H5N1(A/duck/Hokkaido/Vac−3/2007)を用いた結果を図4Bに示す。NP抗原としてA型インフルエンザウィルス亜型H1N1(A/Puerto Rico/8/1934)を用いた結果を図4Cに示す。
(比較例1)
比較例1は、第2の抗体として、抗体A3を用いたこと以外は、実施例1と同様に行った。NP抗原としてA型インフルエンザウィルス亜型H1N1(A/Hokkaido/6−5/2014)を用いた結果を図5Aに示す。NP抗原としてA型インフルエンザウィルス亜型H5N1(A/duck/Hokkaido/Vac−3/2007)を用いた結果を図5Bに示す。NP抗原としてA型インフルエンザウィルス亜型H1N1(A/Puerto Rico/8/1934)を用いた結果を図5Cに示す。
(比較例2)
比較例2は、第2の抗体として、抗体A4を用いたこと以外は、実施例1と同様に行った。NP抗原としてA型インフルエンザウィルス亜型H1N1(A/Hokkaido/6−5/2014)を用いた結果を図6Aに示す。NP抗原としてA型インフルエンザウィルス亜型H5N1(A/duck/Hokkaido/Vac−3/2007)を用いた結果を図6Bに示す。NP抗原としてA型インフルエンザウィルス亜型H1N1(A/Puerto Rico/8/1934)を用いた結果を図6Cに示す。
(比較例3)
比較例3は、第2の抗体として、抗体A5を用いたこと以外は、実施例1と同様に行った。NP抗原としてA型インフルエンザウィルス亜型H1N1(A/Hokkaido/6−5/2014)を用いた結果を図7Aに示す。NP抗原としてA型インフルエンザウィルス亜型H5N1(A/duck/Hokkaido/Vac−3/2007)を用いた結果を図7Bに示す。NP抗原としてA型インフルエンザウィルス亜型H1N1(A/Puerto Rico/8/1934)を用いた結果を図7Cに示す。
(結果と考察)
実施例1〜2及び比較例1〜3では、それぞれ3種類のNP抗原に対する第1の抗体と第2の抗体との組み合わせを検討した。A型インフルエンザウィルス亜型H1N1(A/Hokkaido/6−5/2014)に対する第1の抗体と第2の抗体との組み合わせを検討した結果を表1に示す。
なお、表1〜表3において、第1の抗体及び第2の抗体の抗原に対する反応性(特異的結合性)が強く(具体的には、測定された吸光度の最大値が1以上であり)、抗原濃度の相対値に対して濃度依存的な結合が見られる場合、◎を付している。また、光源濃度の相対値に対して濃度依存的な結合が見られるが、第1の抗体及び第2の抗体の抗原に対する反応性(特異的結合性)が弱い(具体的には、測定された吸光度の最大値が0.5以上1未満)場合、〇を付している。また、第1の抗体及び第2の抗体の抗原に対する反応性が非常に弱い(具体的には、測定された吸光度の最大値が0.25以上0.5未満)の場合、又は、第1の抗体及び第2の抗体の抗原に対する反応性は弱くないが、抗原濃度の相対値に対して濃度依存的な結合であるか不明である場合、△を付している。また、第1の抗体及び第2の抗体が抗原に結合しない(具体的には、測定された吸光度の最大値が0.25未満)場合、×を付している。
Figure 2020148511
A型インフルエンザウィルス亜型H5N1(A/duck/Hokkaido/Vac−3/2007)に対する第1の抗体と第2の抗体との組み合わせを検討した結果を表2に示す。
Figure 2020148511
A型インフルエンザウィルス亜型H1N1(A/Puerto Rico/8/1934)に対する第1の抗体と第2の抗体との組み合わせを検討した結果を表3に示す。
Figure 2020148511
図3A〜図7C及び表1〜表3により、第2の抗体として抗体A1又は抗体A2を使用した場合、第1の抗体として、抗体A1、抗体A2、抗体A3及び抗体A4を使用したときに、上記の3種類のNP抗原に対して、比較的高い反応性(特異的結合性)、又は、濃度依存的な結合が見られた。特に、第1の抗体として、抗体A2、抗体A3及び抗体A4を使用したときに、第2の抗体として抗体A1又は抗体A2を使用すると、上記の3種類のNP抗原に対して、高い反応性を示し、かつ、当該反応性が抗原濃度の相対値に対して濃度依存的であることが分かった。
一方、第2の抗体として、抗体A3、抗体A4又は抗体A5を使用した場合、上記の3種類のNP抗原のいずれかに対して、第1の抗体及び第2の抗体は結合しない、又は、反応性が非常に弱かった。
したがって、本開示に係る検出方法では、第1の抗体と第2の抗体との組み合わせにより、検出対象物を高感度に検出することができることが確認できた。当該組み合わせは、第1の抗体が、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3及び配列番号:4により表される4つのアミノ酸配列をそれぞれ有する4つの抗体のうちの少なくとも1つであり、第2の抗体が、配列番号:1及び配列番号:2により表される2つのアミノ酸配列をそれぞれ有する2つの抗体のうちの少なくとも1つである。
[検出方法]
続いて、本実施の形態に係る検出方法について説明する。図8は、本実施の形態に係る検出方法の一例を示すフローチャートである。
図8に示すように、本実施の形態に係る検出方法では、まず、検出対象物と、検出対象物と特異的に結合する性質を有し、標識物と結合された第1の抗体と、検出対象物と特異的に結合する性質を有し、非標識物と結合された第2の抗体と、を反応させて複合体を形成する(形成ステップS10)。上述したように、非標識物は、検出対象物を固定する(担持する)ための基材である。非標識物の形状は、例えば、プレート、ビーズ、ディスク、チューブ、フィルター、又は、薄膜などである。標識物は、物理量を発生させることにより検出対象物を標識する物質である。標識物は、発光物質、放射性物質又は色素のように、当該物質自身が発生させる静的な物理量により検出対象物を標識する物質であってもよい。標識物が発光物質、放射性物質又は色素である場合、標識物は常に発光、放射、又は、発色している。このように、標識物が常に発する物理量を静的な物理量という。また、標識物は、外部からの刺激を受けて発生させる動的な物理量により検出対象物を標識する物質であってもよい。例えば、標識物が蛍光物質であるとき、標識物は、励起光を照射されることにより蛍光を発する。また、例えば、標識物が量子ドットである場合、標識物は電圧を印加されることにより発光する。また、例えば、標識物が酵素である場合、標識物は基質を添加されることにより、基質を分解する。基質が分解された分解産物が蛍光又は発光してもよく、発色してもよい。このように、外部からの刺激を受けることにより発生する物理量を動的な物理量という。
次いで、複合体に含まれる標識物の物理量を測定して、検出対象物を検出する(検出ステップS20)。標識物が発光物質、放射性物質又は色素である場合、複合体中の標識物が発する光、放射線、又は発色を測定することにより、検出対象物を検出することができる。また、例えば標識物が蛍光物質、量子ドット、又は酵素である場合、複合体中の標識物が発する蛍光、光、酵素基質反応による呈色などを測定することにより、検出対象物を検出する。
なお、検出ステップS20では、複合体中の標識物の物理量の変化を測定することにより、検出対象物を検出してもよい。物理量の変化を測定するとは、例えば、複合体中の標識物が発する物理量が増強され、増強された物理量を測定することであってもよく、複合体の位置変化を測定することであってもよい。例えば、複合体の位置変化を測定するとは、複合体が移動可能な形状であり、複合体が流体の流れに乗って移動する、又は、磁場による掃引により移動することにより、標識物が静的に発する物理量又は標識物質が動的に発する物理量を測定することである。以下、これらの具体的な態様を説明する。
図9は、本実施の形態における検出ステップS20の処理フローの一例を示すフローチャートである。図9に示すように、検出ステップS20では、複合体を移動させる磁場を印加し(ステップS22)、磁場により複合体を移動させた際の標識物の位置変化を測定することにより、検出対象物を検出する(ステップS24)。このとき、非標識物は、磁性粒子であり、標識物質は、蛍光物質、発光物質、色素、酵素及び放射性物質のうちの1つである。磁性粒子とは、強磁性粒子であってもよく、常磁性粒子であってもよい。複合体中に磁性粒子を含むことにより、複合体は、複合体が存在する空間に磁場が印加されると、磁場により所定の方向に掃引され、移動する。
図10は、本実施の形態における検出ステップS20の処理フローの他の例を示すフローチャートである。図10に示すように、検出ステップS20では、複合体に標識物が蛍光を発する波長の光を照射し(ステップS26)、複合体中の標識物が発する蛍光であり、かつ、当該光の照射により非標識物が発生する局在化表面プラズモン共鳴によって増強された蛍光を測定することにより、検出対象物を検出する(ステップS28)。このとき、標識物は、蛍光物質であり、非標識物は、局在化表面プラズモン共鳴を発生させる基材である。非標識物の形状は、金属を含むプレート、ディスク、ビーズなどの粒子、フィルム、又は、膜であってもよい。また、非標識物は、ビーズなどの粒子である場合、磁性を帯びてもよく、磁性を帯びていなくてもよい。非標識物が磁性粒子であり、かつ、励起光の照射により局在化表面プラズモンを発生させる基材である場合、図9に示すステップS22の処理により、磁場が印加されると、複合体は、磁場により所定の方向に掃引されて移動する。複合体は、複合体中の標識物が励起されて蛍光を発する波長であり、かつ、非標識物を構成する金属が励起されて局在化表面プラズモンを発生する波長を照射されると、複合体中の標識物が発する蛍光は、局在化表面プラズモン共鳴により増強される。これにより、微量の検出対象物を高感度に検出することができる。
以上、本開示に係る検出装置について、実施の形態及び実施例に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態及び実施例に限定されるものではない。本開示の主旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を実施の形態及び実施例に施したものや、実施の形態及び実施例における一部の構成要素を組み合わせて構築される別の形態も、本開示の範囲に含まれる。
上記の実施の形態において、検出方法は、検出対象物がA型インフルエンザウィルスの核内タンパク質である例を説明したが、第1の抗体及び第2の抗体が結合可能な物質であれば特に限定されない。
また、本開示の検出方法を実施するための検出システム及び検出装置は、病院、商業施設、空港、学校などの多数の人が集まる施設に設置されてもよく、家のリビングなど家族が集まる場所に設置されてもよい。この場合、当該検出装置は、例えば、当該検出装置が設置された周囲の空気を捕集して、捕集された空気中に含まれる検出対象物を検出してもよく、床の埃、唾、痰、嘔吐物、又は、それらが付着した物を捕集して、検出対象物を検出してもよい。特に、空気中に含まれる検出対象物は、微量であるため、検出することが難しいが、本開示の検出方法を用いることにより、微量の検出対象物も検出可能となる。
本開示に係る検出方法は、検出対象物に特異的に結合する複数種類の抗体を組み合わせることにより、例えば空気中に浮遊するウィルスを高感度に検出することができるため、検出装置及び検出システム等に利用可能である。

Claims (8)

  1. 検出対象物と、前記検出対象物と特異的に結合する性質を有し、標識物と結合された第1の抗体と、前記検出対象物と特異的に結合する性質を有し、非標識物と結合された第2の抗体と、を反応させて複合体を形成する形成ステップと、
    前記複合体に含まれる標識物の物理量を測定して、前記検出対象物を検出する検出ステップと、
    を含み、
    前記第1の抗体は、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3及び配列番号:4により表される4つのアミノ酸配列をそれぞれ有する4つの抗体のうちの少なくとも1つであり、
    前記第2の抗体は、配列番号:1及び配列番号:2により表される2つのアミノ酸配列をそれぞれ有する2つの抗体のうちの少なくとも1つである、
    検出方法。
  2. 前記検出対象物は、A型インフルエンザウィルスの核内タンパク質である、
    請求項1に記載の検出方法。
  3. 前記A型インフルエンザウィルスは、A型インフルエンザウィルス亜型H1N1(A/Hyogo/YS/2011)、 H1N1(A/Hokkaido/6−5/2014)、 H5N1(A/duck/Hokkaido/Vac−3/2007)、 H7N7(A/duck/Hokkaido/Vac−2/2004)、 H1N1(A/Puerto Rico/8/34/Mount Sinai)、 H1N1(A/duck/Tottori/723/1980)、 H1N1(A/swine/Hokkaido/2/81)、 H2N3(A/dk/Hokkaido/17/01)、 H2N9(A/duck/Hong Kong/278/78)、 H3N2(A/duck/Hokkaido/5/77)、 H3N8(A/duck/Mongolia/4/03)、 H4N6(A/dk/Czech/56)、 H5N2(A/duck/Pennsylvania/10218/84)、 H5N3(A/duck/Hong Kong/820/80)、 H6N5(A/shearwater/S. Australia/1/72)、 H7N2(A/duck/Hong Kong/301/78)、 H7N7(A/seal/Massachusetts/1/1980)、 H9N2(A/duck/Hong Kong/448/78)、 H9N2(A/turkey/Wisconsin/1966)、 H11N6(A/duck/England/1/1956)、及び、H12N5(A/duck/Alberta/60/76)の少なくとも1種である、
    請求項2に記載の検出方法。
  4. 前記非標識物は、プレート、ビーズ、ディスク、チューブ、フィルター及び薄膜のうちの1つである、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の検出方法。
  5. 前記標識物は、蛍光物質、発光物質、色素、酵素及び放射性物質のうちの1つである、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の検出方法。
  6. 前記検出ステップでは、前記複合体中の前記標識物の物理量の変化を測定することにより、前記検出対象物を検出する、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の検出方法。
  7. 前記非標識物は、磁性粒子であり、
    前記標識物は、蛍光物質、発光物質、色素、酵素及び放射性物質のうちの1つであり、
    前記検出ステップでは、
    前記複合体を移動させる磁場を印加し、
    前記磁場により前記複合体を移動させた際の前記標識物の位置変化を測定することにより、前記検出対象物を検出する、
    請求項6に記載の検出方法。
  8. 前記標識物は、蛍光物質であり、
    前記検出ステップでは、
    前記複合体に、前記標識物が蛍光を発生する波長の光を照射し、前記複合体中の前記標識物が発する蛍光であり、かつ、前記光の照射により前記非標識物が発生する局在化表面プラズモン共鳴によって増強された蛍光を測定することにより、前記検出対象物を検出する、
    請求項6に記載の検出方法。
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