JP2022142155A - 抗体、複合体、それを用いた検出装置及び検出方法 - Google Patents

抗体、複合体、それを用いた検出装置及び検出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ヒト血清アルブミンに結合する新規な抗体を提供する。【解決手段】抗体は、構造ドメインN-FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4-Cを含み、DR1はGFTFERF(配列番号:01)、GSDVSSD(配列番号:02)、GRIVTVA(配列番号:03)、GRTFRFS(配列番号:04)、又はGSIPSIG(配列番号:05)を含み、CDR2はNSDDGR(配列番号:06)、AWGGS(配列番号:07)、SWSGRS(配列番号:08)、SWTGGT(配列番号:09)、又はSQGGH(配列番号:10)を含み、CDR3はCQAYTSCTDAED(配列番号:11)、RNY(配列番号:12)、GGNSYSSDYARYDY(配列番号:13)、GPIPSPASRYDD(配列番号:14)、又はFWLPLRLNDY(配列番号:15)を含む。【選択図】なし

Description

本開示は、ヒト血清アルブミンに結合する抗体、複合体、それを用いた検出装置及び検出方法に関する。
特許文献1は、ヒト血清アルブミンに結合する抗体を開示している。特許文献1に開示された抗体の少なくとも一部は、アルパカに由来する。特許文献1は、本明細書に参照として援用される。
米国特許出願公開第2019/0375824号明細書
本開示の目的は、ヒト血清アルブミンに結合する新規な抗体、複合体、それを用いた検出装置及び検出方法を提供することである。
本開示は、アミノ酸配列からなる抗体であって、前記アミノ酸配列は、NからCの方向に、以下の構造ドメインからなり:
N - FR1 - CDR1 - FR2 - CDR2 - FR3 - CDR3 - FR4 - C
FRは、フレームワーク領域のアミノ酸配列を示し、かつCDRは、相補性決定領域のアミノ酸配列を示し、
前記CDR1は、GFTFERF(配列番号:01)、又は、GSDVSSD(配列番号:02)、又は、GRIVTVA(配列番号:03)、又は、GRTFRFS(配列番号:04)、又は、GSIPSIG(配列番号:05)により表されるアミノ酸配列からなり、
前記CDR2は、NSDDGR(配列番号:06)、又は、AWGGS(配列番号:07)、又は、SWSGRS(配列番号:08)、又は、SWTGGT(配列番号:09)、又は、SQGGH(配列番号:10)により表されるアミノ酸配列からなり、
前記CDR3は、CQAYTSCTDAED(配列番号:11)、又は、RNY(配列番号:12)、又は、GGNSYSSDYARYDY(配列番号:13)、又は、GPIPSPASRYDD(配列番号:14)、又は、FWLPLRLNDY(配列番号:15)により表されるアミノ酸配列からなる。
本開示は、ヒト血清アルブミンに結合する新規な抗体、複合体、それを用いた検出装置及び検出方法を提供する。
図1Aは、VHH(Variable domain of Heavy chain of Heavy chain antibody)抗体の遺伝子ライブラリに含まれる様々な遺伝子をライゲーションするために用いられたベクターのマップを示す図である。 図1Bは、図1Aに示されるベクターマップの詳細を示す図である。 図2は、VHH抗体を発現するために用いられたベクターマップを示す図である。 図3Aは、配列番号:36により表されるアミノ酸配列を含むVHH抗体(濃度:2.1nM)のヒト血清アルブミンへの結合能力のSPR(Surface Plasmon Resonance)評価結果を示すグラフである。 図3Bは、配列番号:36により表されるアミノ酸配列を含むVHH抗体(濃度:6.2nM)のヒト血清アルブミンへの結合能力のSPR評価結果を示すグラフである。 図3Cは、配列番号:36により表されるアミノ酸配列を含むVHH抗体(濃度:18.6nM)のヒト血清アルブミンへの結合能力のSPR評価結果を示すグラフである。 図3Dは、配列番号:36により表されるアミノ酸配列を含むVHH抗体(濃度:55.7nM)のヒト血清アルブミンへの結合能力のSPR評価結果を示すグラフである。 図3Eは、配列番号:36により表されるアミノ酸配列を含むVHH抗体(濃度:167nM)のヒト血清アルブミンへの結合能力のSPR評価結果を示すグラフである。 図3Fは、配列番号:36により表されるアミノ酸配列を含むVHH抗体(濃度:500nM)のヒト血清アルブミンへの結合能力のSPR評価結果を示すグラフである。 図4Aは、配列番号:37により表されるアミノ酸配列を含むVHH抗体(濃度:4.1nM)のヒト血清アルブミンへの結合能力のSPR評価結果を示すグラフである。 図4Bは、配列番号:37により表されるアミノ酸配列を含むVHH抗体(濃度:12.3nM)のヒト血清アルブミンへの結合能力のSPR評価結果を示すグラフである。 図4Cは、配列番号:37により表されるアミノ酸配列を含むVHH抗体(濃度:37nM)のヒト血清アルブミンへの結合能力のSPR評価結果を示すグラフである。 図4Dは、配列番号:37により表されるアミノ酸配列を含むVHH抗体(濃度:111nM)のヒト血清アルブミンへの結合能力のSPR評価結果を示すグラフである。 図4Eは、配列番号:37により表されるアミノ酸配列を含むVHH抗体(濃度:333nM)のヒト血清アルブミンへの結合能力のSPR評価結果を示すグラフである。 図4Fは、配列番号:37により表されるアミノ酸配列を含むVHH抗体(濃度:1000nM)のヒト血清アルブミンへの結合能力のSPR評価結果を示すグラフである。 図5Aは、配列番号:38により表されるアミノ酸配列を含むVHH抗体(濃度:4.1nM)のヒト血清アルブミンへの結合能力のSPR評価結果を示すグラフである。 図5Bは、配列番号:38により表されるアミノ酸配列を含むVHH抗体(濃度:12.3nM)のヒト血清アルブミンへの結合能力のSPR評価結果を示すグラフである。 図5Cは、配列番号:38により表されるアミノ酸配列を含むVHH抗体(濃度:37nM)のヒト血清アルブミンへの結合能力のSPR評価結果を示すグラフである。 図5Dは、配列番号:38により表されるアミノ酸配列を含むVHH抗体(濃度:111nM)のヒト血清アルブミンへの結合能力のSPR評価結果を示すグラフである。 図5Eは、配列番号:38により表されるアミノ酸配列を含むVHH抗体(濃度:333nM)のヒト血清アルブミンへの結合能力のSPR評価結果を示すグラフである。 図5Fは、配列番号:38により表されるアミノ酸配列を含むVHH抗体(濃度:1000nM)のヒト血清アルブミンへの結合能力のSPR評価結果を示すグラフである。 図6Aは、配列番号:39により表されるアミノ酸配列を含むVHH抗体(濃度:4.1nM)のヒト血清アルブミンへの結合能力のSPR評価結果を示すグラフである。 図6Bは、配列番号:39により表されるアミノ酸配列を含むVHH抗体(濃度:12.3nM)のヒト血清アルブミンへの結合能力のSPR評価結果を示すグラフである。 図6Cは、配列番号:39により表されるアミノ酸配列を含むVHH抗体(濃度:37nM)のヒト血清アルブミンへの結合能力のSPR評価結果を示すグラフである。 図6Dは、配列番号:39により表されるアミノ酸配列を含むVHH抗体(濃度:111nM)のヒト血清アルブミンへの結合能力のSPR評価結果を示すグラフである。 図6Eは、配列番号:39により表されるアミノ酸配列を含むVHH抗体(濃度:333nM)のヒト血清アルブミンへの結合能力のSPR評価結果を示すグラフである。 図6Fは、配列番号:39により表されるアミノ酸配列を含むVHH抗体(濃度:1000nM)のヒト血清アルブミンへの結合能力のSPR評価結果を示すグラフである。 図7Aは、配列番号:40により表されるアミノ酸配列を含むVHH抗体(濃度:0.041nM)のヒト血清アルブミンへの結合能力のSPR評価結果を示すグラフである。 図7Bは、配列番号:40により表されるアミノ酸配列を含むVHH抗体(濃度:0.123nM)のヒト血清アルブミンへの結合能力のSPR評価結果を示すグラフである。 図7Cは、配列番号:40により表されるアミノ酸配列を含むVHH抗体(濃度:0.37nM)のヒト血清アルブミンへの結合能力のSPR評価結果を示すグラフである。 図7Dは、配列番号:40により表されるアミノ酸配列を含むVHH抗体(濃度:1.1nM)のヒト血清アルブミンへの結合能力のSPR評価結果を示すグラフである。 図7Eは、配列番号:40により表されるアミノ酸配列を含むVHH抗体(濃度:3.3nM)のヒト血清アルブミンへの結合能力のSPR評価結果を示すグラフである。 図7Fは、配列番号:40により表されるアミノ酸配列を含むVHH抗体(濃度:10nM)のヒト血清アルブミンへの結合能力のSPR評価結果を示すグラフである。 図8Aは、ヒト血清アルブミン及びウシ血清アルブミンに対する配列番号:36により表されるアミノ酸配列を含むVHH抗体の交差反応性の測定結果を示すグラフである。 図8Bは、ヒト血清アルブミン及びウシ血清アルブミンに対する配列番号:37により表されるアミノ酸配列を含むVHH抗体の交差反応性の測定結果を示すグラフである。 図8Cは、ヒト血清アルブミン及びウシ血清アルブミンに対する配列番号:38により表されるアミノ酸配列を含むVHH抗体の交差反応性の測定結果を示すグラフである。 図8Dは、ヒト血清アルブミン及びウシ血清アルブミンに対する配列番号:39により表されるアミノ酸配列を含むVHH抗体の交差反応性の測定結果を示すグラフである。 図8Eは、ヒト血清アルブミン及びウシ血清アルブミンに対する配列番号:40により表されるアミノ酸配列を含むVHH抗体の交差反応性の測定結果を示すグラフである。 図9は、配列番号:36~配列番号:40により表されるアミノ酸配列を含む5つのVHH抗体の性質を示す表である。 図10は、配列番号:36~配列番号40により表されるアミノ酸配列を含む5つのVHH抗体の示差走査カロリメトリー(DSC)による測定結果を示すグラフである。
本明細書における「抗体」は、例えば、抗体、一本鎖抗体、重鎖抗体、抗原結合部分、及び、VHH抗体を含む。本明細書において「含む」は、「からなる」と、「本質的にからなる」とを含む。また、用語「HSA」は、特に、UniProt IDナンバーP02768を有するヒト血清アルブミン又はその変異体を含む。
本開示に係る抗体は、ヒト血清アルブミンに結合する。特許文献1にも開示されているように、ヒト血清アルブミンに結合する抗体は、NからCの方向に、以下の構造ドメインを含むアミノ酸配列を含む。
N - FR1 - CDR1 - FR2 - CDR2 - FR3 - CDR3 - FR4 - C
ここで、FRは、フレームワーク領域のアミノ酸配列を示し、かつCDRは、相補性決定領域のアミノ酸配列を示す。
本開示に係る抗体は、上記の構造ドメインを含むアミノ酸配列を含む。
本開示においては、CDR1はGFTFERF(配列番号:01)、又はGSDVSSD(配列番号:02)、又はGRIVTVA(配列番号:03)、又はGRTFRFS(配列番号:04)、又はGSIPSIG(配列番号:05)により表されるアミノ酸配列を含む。
本開示においては、CDR2は、NSDDGR(配列番号:06)、又はAWGGS(配列番号:07)、又はSWSGRS(配列番号:08)、又はSWTGGT(配列番号:09)、又はSQGGH(配列番号:10)により表されるアミノ酸配列を含む。
本開示においては、CDR3は、CQAYTSCTDAED(配列番号:11)、又はRNY(配列番号:12)、又はGGNSYSSDYARYDY(配列番号:13)、又はGPIPSPASRYDD(配列番号:14)、又はFWLPLRLNDY(配列番号:15)により表されるアミノ酸配列を含む。
望ましくは、CDR1、CDR2、及び、CDR3は、それぞれ、配列番号:01、配列番号:06、及び、配列番号:11により表されてもよい。この場合、より望ましくは、FR1、FR2、FR3、及び、FR4は、それぞれ、EVQLVESGGGFVQPGGSLRLSCVAS(配列番号:16)、DMGWVRQAPGKSLEWVSRF(配列番号:17)、KSYADSVKGRFAISRDNAENTLYLQMNNLIPEDTAMYYCVK(配列番号:18)、及び、RGQGTQVTVSS(配列番号:19)により表されるアミノ酸配列を含む。
言い換えれば、本開示による抗体は、以下のアミノ酸配列を含むことができる。
EVQLVESGGGFVQPGGSLRLSCVASGFTFERFDMGWVRQAPGKSLEWVSRFNSDDGRKSYADSVKGRFAISRDNAENTLYLQMNNLIPEDTAMYYCVK/CQAYTSCTDAEDRGQGTQVTVSS(配列番号:36)
また、望ましくは、CDR1、CDR2、及び、CDR3は、それぞれ、配列番号:02、配列番号:07、及び、配列番号:12により表される。この場合、より望ましくは、FR1、FR2、FR3、及び、FR4は、それぞれ、EVQLVESGGGLVHPGGSLRLSCVAS(配列番号:20)、TMGWFRRAPGKQRELVAAI(配列番号:21)、THYAESVKGRFTISRDNAKNTVYLQLSNLKPEDTAVYLCNT(配列番号:22)、及び、WGQGTQVTVSS(配列番号:23)により表されるアミノ酸配列からなる。
言い換えれば、本開示による抗体は、以下のアミノ酸配列を含むことができる。
EVQLVESGGGLVHPGGSLRLSCVASGSDVSSDTMGWFRRAPGKQRELVAAIAWGGSTHYAESVKGRFTISRDNAKNTVYLQLSNLKPEDTAVYLCNTRNYWGQGTQVTVSS(配列番号:37)
また、望ましくは、CDR1、CDR2、及び、CDR3は、それぞれ、配列番号:03、配列番号:08、及び、配列番号:13により表される。この場合、より望ましくは、FR1、FR2、FR3、及び、FR4は、それぞれ、QVQLVESGGGLVQTGGSLRLSCAAS(配列番号:24)、AMGWFRQAPGKEREFVASI(配列番号:25)、RSYADSVKGRFTISRDNAKNTAYLQMSSLKPEDTGVYYCAL(配列番号:26)、及び、WGQGTQVTVSS(配列番号:27)により表されるアミノ酸配列からなる。
言い換えれば、本開示による抗体は、以下のアミノ酸配列を含むことができる。
QVQLVESGGGLVQTGGSLRLSCAASGRIVTVAAMGWFRQAPGKEREFVASISWSGRSRSYADSVKGRFTISRDNAKNTAYLQMSSLKPEDTGVYYCALGGNSYSSDYARYDYWGQGTQVTVSS(配列番号:38)
また、望ましくは、CDR1、CDR2、及び、CDR3は、それぞれ、配列番号:04、配列番号:09、及び、配列番号:14により表される。この場合、より望ましくは、FR1、FR2、FR3、及び、FR4は、それぞれ、QLQLVESGGGLVQAGGSLRLSCAAS(配列番号:28)、AMGWFRQAPGKEREFAAAI(配列番号:29)、TAYAESVKGRFIISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCAA(配列番号:30)、及び、WGQGTQVTVSS(配列番号:31)により表されるアミノ酸配列からなる。
言い換えれば、本開示による抗体は、以下のアミノ酸配列を含むことができる。
QLQLVESGGGLVQAGGSLRLSCAASGRTFRFSAMGWFRQAPGKEREFAAAISWTGGTTAYAESVKGRFIISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCAA/GPIPSPASRYDDWGQGTQVTVSS(配列番号:39)
また、望ましくは、CDR1、CDR2、及び、CDR3は、それぞれ、配列番号:05、配列番号:10、及び、配列番号:15により表される。この場合、より望ましくは、FR1、FR2、FR3、及び、FR4は、それぞれ、QVQLVESGGGLVQAGKSLRLSCTAS(配列番号:32)、VTGWHRQAPGKQRELVATI(配列番号:33)、INYFESVKGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTGVYYCNA(配列番号:34)、及び、WGQGTQVTVSS(配列番号:35)により表されるアミノ酸配列を含む。
言い換えれば、本開示による抗体は、以下のアミノ酸配列を含むことができる。
QVQLVESGGGLVQAGKSLRLSCTASGSIPSIGVTGWHRQAPGKQRELVATISQGGHINYFESVKGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTGVYYCNAFWLPLRLNDYWGQGTQVTVSS(配列番号:40)
例えば、本開示に係る抗体は、ヒト血清アルブミンに結合可能である。この場合、配列番号:36、配列番号:37、配列番号:38、配列番号:39、及び、配列番号:40により表されるアミノ酸配列からなる抗体は、いずれも、ウシ血清アルブミン(BSA)のような、ヒト血清アルブミン以外の血清アルブミンに対して抗原交差反応性を示さない。
本開示の抗体は、例えば、ヒト血清アルブミン検出するための検出装置又は検出方法において用いられてもよい。この場合、本開示の抗体は、担体及び標識物質の少なくとも一方に結合した複合体の状態で用いられる。
担体は、抗原抗体反応の反応系における溶媒に不溶な担体であれば、その形状及び材質は特に制限されない。担体の形状としては、例えば、プレート、ビーズ、ディスク、チューブ、フィルター、又は、薄膜などが挙げられる。担体の材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、酢酸セルロース、ポリカーボネート、ポリスチレン、及び、ポリメチルメタクリレート等のポリマー、金、銀、及び、アルミニウム等の金属、又は、ガラスなどが挙げられる。抗体を担体へ結合させる方法としては、物理的吸着法、共有結合法、イオン結合法、又は、架橋法などの公知の方法が使用される。
標識物質としては、例えば、蛍光物質、発光物質、色素、酵素、又は、放射性物質などが使用される。抗体を標識物質へ結合させる方法としては、物理的吸着法、共有結合法、イオン結合法、又は、架橋法などの公知の方法が使用される。
本開示の抗体を用いた検出方法は、当該抗体を含む複合体と、被分析物とを接触させるステップと、被分析物中のヒト血清アルブミンと複合体との抗原抗体反応に基づく物理量の変化を検出するステップとを含む。当該方法では、当該抗体を含む複合体と、被分析物とが接触させられ、被分析物中のヒト血清アルブミンと、複合体中の抗体との抗原抗体反応に基づく物理量の変化が検出される。当該物理量としては、例えば、発光強度、色度、光透過度、濁度、吸光度、又は、放射線量などが挙げられる。検出方法の具体例としては、酵素免疫測定法、イムノクロマト法、ラテックス凝集法、放射免疫測定法、蛍光免疫測定法、又は、表面プラズモン共鳴測定法などの公知の方法が挙げられる。
本開示の抗体を用いた検出装置は、抗原抗体反応に基づき変化する上記物理量のいずれかを検出するための検出部を含む。検出部は、各種光度計、分光器、又は、線量計など公知の装置で構成される。
以下、実施例を用いて本開示に係る抗体をより具体的に説明するが、これらの実施例は、本開示を何ら制限するものではない。
(実施例1)
ヒト血清アルブミンに結合するVHH抗体(すなわち、重鎖抗体の重鎖の可変領域)が、以下の手順に従って調製された。以下、ヒト血清アルブミンは「HSA」と呼ばれる。また、ヒト血清アルブミンに結合するVHH抗体は、「抗HSA抗体」とも呼ばれる。
(ファージライブラリの作製)
ヒト血清アルブミン(Sigma社製)を用いて作成されたVHH抗体の遺伝子ライブラリから、以下の手順に従ってファージライブラリが作製された。なお、VHH抗体の遺伝子ライブラリは、例えば、ヒト血清アルブミン又はヒト血清アルブミンと適当なアジュバントとの複合体を抗原として用いて、従来公知の任意の方法で作成されてもよい。
市販されているプラスミドpUC119(例えば、タカラバイオ株式会社より入手可能)由来のプラスミドベクター1(4057塩基対、図1A参照)が、制限酵素SfiIにより処理された。図1Aにおける制限酵素サイトSfiI(a)は、GGCCCAGCCGGCC(配列番号:41)により表される遺伝子配列からなる。制限酵素サイトSfiI(b)は、GGCCTCTGCGGCC(配列番号:42)により表される遺伝子配列からなる。図1Bは、プラスミドベクター1の詳細なベクターマップを示す。
プラスミドベクター1は、以下の遺伝子配列からなる。
gacgaaagggcctcgtgatacgcctatttttataggttaatgtcatgataataatggtttcttagacgtcaggtggcacttttcggggaaatgtgcgcggaacccctatttgtttatttttctaaatacattcaaatatgtatccgctcatgagacaataaccctgataaatgcttcaataatattgaaaaaggaagagtatgagtattcaacatttccgtgtcgcccttattcccttttttgcggcattttgccttcctgtttttgctcacccagaaacgctggtgaaagtaaaagatgctgaagatcagttgggtgcacgagtgggttacatcgaactggatctcaacagcggtaagatccttgagagttttcgccccgaagaacgttttccaatgatgagcacttttaaagttctgctatgtggcgcggtattatcccgtattgacgccgggcaagagcaactcggtcgccgcatacactattctcagaatgacttggttgagtactcaccagtcacagaaaagcatcttacggatggcatgacagtaagagaattatgcagtgctgccataaccatgagtgataacactgcggccaacttacttctgacaacgatcggaggaccgaaggagctaaccgcttttttgcacaacatgggggatcatgtaactcgccttgatcgttgggaaccggagctgaatgaagccataccaaacgacgagcgtgacaccacgatgcctgtagcaatggcaacaacgttgcgcaaactattaactggcgaactacttactctagcttcccggcaacaattaatagactggatggaggcggataaagttgcaggaccacttctgcgctcggcccttccggctggctggtttattgctgataaatctggagccggtgagcgtgggtctcgcggtatcattgcagcactggggccagatggtaagccctcccgtatcgtagttatctacacgacggggagtcaggcaactatggatgaacgaaatagacagatcgctgagataggtgcctcactgattaagcattggtaactgtcagaccaagtttactcatatatactttagattgatttaaaacttcatttttaatttaaaaggatctaggtgaagatcctttttgataatctcatgaccaaaatcccttaacgtgagttttcgttccactgagcgtcagaccccgtagaaaagatcaaaggatcttcttgagatcctttttttctgcgcgtaatctgctgcttgcaaacaaaaaaaccaccgctaccagcggtggtttgtttgccggatcaagagctaccaactctttttccgaaggtaactggcttcagcagagcgcagataccaaatactgtccttctagtgtagccgtagttaggccaccacttcaagaactctgtagcaccgcctacatacctcgctctgctaatcctgttaccagtggctgctgccagtggcgataagtcgtgtcttaccgggttggactcaagacgatagttaccggataaggcgcagcggtcgggctgaacggggggttcgtgcacacagcccagcttggagcgaacgacctacaccgaactgagatacctacagcgtgagctatgagaaagcgccacgcttcccgaagggagaaaggcggacaggtatccggtaagcggcagggtcggaacaggagagcgcacgagggagcttccagggggaaacgcctggtatctttatagtcctgtcgggtttcgccacctctgacttgagcgtcgatttttgtgatgctcgtcaggggggcggagcctatggaaaaacgccagcaacgcggcctttttacggttcctggccttttgctggccttttgctcacatgttctttcctgcgttatcccctgattctgtggataaccgtattaccgcctttgagtgagctgataccgctcgccgcagccgaacgaccgagcgcagcgagtcagtgagcgaggaagcggaagagcgcccaatacgcaaaccgcctctccccgcgcgttggccgattcattaatgcagctggcacgacaggtttcccgactggaaagcgggcagtgagcgcaacgcaattaatgtgagttagctcactcattaggcaccccaggctttacactttatgcttccggctcgtatgttgtgtggaattgtgagcggataacaatttcacacaggaaacagctatgaccatgattacgccAAGCTTCGAAGGAGACAGTCATAatgaaatacctgctgccgaccgctgctgctggtctgctgctcctcgcGGCCCAGCCGGCCatggagcTCAAGATGACACAGACTACATCCTCCCTGTCAGCCTCTCTGGGAGACAGAGTCACCATCAGTTGCAGGGCAAGTCAGGACATTAGCGATTATTTAAACTGGTATCAGCAGAAACCAGATGGAACTGTTAAACTCCTGATCTATTACACATCAAGTTTACACTCAGGAGTCCCATCAAGGTTCAGTGGCGGTGGGTCTGGAACAGATTATTCTCTCACCATTAGCAACCTGGAGCAAGAAGATATTGCCACTTACTTTTGCCAACAGGGTAATACGCTTCCGTGGACGTTTGGTGGAGGCACCAAGCTGGAAATCAAACGGGCTGATGCTGCACCAACTgtaGGCCtctGCGGCCGCagaGcaaaaactcatctcagaagaggatctgaatggggccgcaTAGggttccggtgattttgattatgaaaagatggcaaacgctaataagggggctatgaccgaaaatgccgatgaaaacgcgctacagtctgacgctaaaggcaaacttgattctgtcgctactgattacggtgctgctatcgatggtttcattggtgacgtttccggccttgctaatggtaatggtgctactggtgattttgctggctctaattcccaaatggctcaagtcggtgacggtgataattcacctttaatgaataatttccgtcaatatttaccttccctccctcaatcggttgaatgtcgcccttttgtctttagcgctggtaaaccatatgaattttctattgattgtgacaaaataaacttattccgtggtgtctttgcgtttcttttatatgttgccacctttatgtatgtattttctacgtttgctaacatactgcgtaataaggagtctTAATAAgaattcactggccgtcgttttacaacgtcgtgactgggaaaaccctggcgttacccaacttaatcgccttgcagcacatccccctttcgccagctggcgtaatagcgaagaggcccgcaccgatcgcccttcccaacagttgcgcagcctgaatggcgaatggcgcctgatgcggtattttctccttacgcatctgtgcggtatttcacaccgCATATGaAAATTGTAAgcgttaatattttgttaaaattcgcgttaaatttttgttaaatcagctcattttttaaccaataggccgaaatcggcaaaatcccttataaatcaaaagaatagaccgagatagggttgagtgttgttccagtttggaacaagagtccactattaaagaacgtggactccaacgtcaaagggcgaaaaaccgtctatcagggcgatggcccactacgtgaaccatcaccctaatcaagttttttggggtcgaggtgccgtaaagcactaaatcggaaccctaaagggagcccccgatttagagcttgacggggaaagccggcgaacgtggcgagaaaggaagggaagaaagcgaaaggagcgggcgctagggcgctggcaagtgtagcggtcacgctgcgcgtaaccaccacacccgccgcgcttaatgcgccgctacaGGGCGCGTcccatATGgtgcactctcagtacaatctgctctgatgccgcatagttaagccagccccgacacccgccaacacccgctgacgcgccctgacgggcttgtctgctcccggcatccgcttacagacaagctgtgaccgtctccgggagctgcatgtgtcagaggttttcaccgtcatcaccgaaacgcgcga(配列番号:43)
同様に、VHH抗体の遺伝子ライブラリも制限酵素SfiIにより処理された。このようにして、VHH抗体遺伝子断片が得られた。
このように処理されたプラスミドベクター1が、VHH抗体遺伝子断片と、1:2の割合で混合された。混合液に、酵素(東洋紡株式会社より入手、商品名:Ligation High ver.2)が注入された。混合液は摂氏16度の温度下で2時間静置された。このようにして、VHH抗体遺伝子断片がプラスミドベクター1にライゲーションされた。
このようにしてライゲーションされたプラスミドベクター1を用いて、大腸菌(タカラバイオ株式会社より入手、商品名:HST02)がトランスフェクトされた。
次いで、大腸菌は、100マイクログラム/ミリリットルの濃度を有するアンピシリンを含有する2YTプレート培地上で15時間、培養された。このようにして、VHH抗体の遺伝子ライブラリに含まれる遺伝子断片から得られるタンパク質を提示するファージのライブラリが得られた。
培養後、2YTプレート培地上に形成されたシングルコロニーの数をカウントすることでライブラリの濃度を算出した。その結果、ライブラリは、5x10/ミリリットルの濃度を有していた。
(バイオパニング)
ヒト血清アルブミンに特異的に結合するVHH抗体が、ファージライブラリから以下の手順に従って得られた。
VHH抗体を発現したファージの中から、抗原に結合するクローンを抽出するため、2回のバイオパニングを実施した。
VHH抗体の遺伝子ライブラリに含まれるVHH抗体遺伝子断片が導入された大腸菌(HST02)を、吸光度を示す値(OD600)が1.0になるまで摂氏30度にて100mLの2YT AG(100μg/mLのアンピシリン及び1%グルコースを含有した2YT培地)の培地中で培養し、大腸菌を増殖させた。
ヘルパーファージ(M13KO7)(Invitrogen社より購入)を感染多重度(MOI)がおよそ20となるよう大腸菌含有培地へ加えた。
その後、培地が30分ほど摂氏37度で保温された。次いで、培地を4000rpmの回転数で10分間遠心し、大腸菌を回収した。100mLの2YTAK培地(100μg/mLのアンピシリン及び50μg/mLのカナマイシンを含有した2YT培地)中で、摂氏30度で、213rpmにて遠心しながら、大腸菌を一晩培養した。
上記のように培養された大腸菌を含有する培養液(100ミリリットル)が、2本の遠沈管(容積:50ミリリットル)に注入された。2つの培養液は、4000rpmの回転数で10分間遠心された。次いで、上清(各20ミリリットル)が回収された。
上清(40ミリリットル)が、NaCl(2.5M)を含有する20%PEG溶液(10ミリリットル)に添加された。次いで、混合液は、転倒混和された。その後、混合液は、およそ1時間氷上にて冷却された。混合液は、4000rpmの回転数で10分間遠心された。次いで、上清が除去された。10%グリセロールを含有するリン酸緩衝生理食塩水(以下、「PBS」という)が沈殿物に向けて注入された。最後に、沈殿物は、ほぐしながら溶解された。このようにして、VHH抗体を提示するファージのライブラリが得られた。
(HSAに特異的に結合するVHH抗体のスクリーニング)
(A) 抗原(以下、「HSA抗原」ともいう)の固定化
HSAをPBSと混合し、HSA溶液を調製した。HSAの濃度は2マイクログラム/ミリリットルであった。HSA溶液(2ミリリットル)が、イムノチューブ(ヌンク社より購入)に注入された。HSA溶液はイムノチューブ内で一晩静置された。このようにして、イムノチューブの内部にHSAが固定された。
次いで、イムノチューブの内部がPBSを用いて3回、洗浄された。
3%スキムミルク(和光純薬株式会社より入手)を含有するPBSをイムノチューブに満たした。このようにして、HSAが抗原としてイムノチューブの内部にブロッキングされた。
イムノチューブは、室温にて1時間、静置された。その後、イムノチューブの内部がPBSを用いて3回、洗浄された。
(B) パニング
VHH抗体を提示するファージのライブラリ(濃度:およそ5E+11/ミリリットル)が、3%のスキムミルクを含有した3ミリリットルのPBSと混合され、混合液を調製した。混合液は、HSA抗原が固定化されたイムノチューブに注入された。
イムノチューブには、パラフィルムからなる蓋が取り付けられた。次いで、イムノチューブは、ローテーターを用いて、10分間、転倒しながら回転された。
イムノチューブは、室温にて1時間、静置された。
イムノチューブの内部は、0.05%のtween(登録商標)20を含有するPBS(以下、「PBST」という)で10回、洗浄された。
イムノチューブの内部は、PBSTにより満たされた。その後、イムノチューブは、10分間、静置された。次いで、イムノチューブの内部は、PBSTで10回、洗浄された。
HSA抗原に結合したVHH抗体を提示するファージを抽出するために、100mMトリメチルアミン溶液(1ミリリットル)がイムノチューブに注入された。
イムノチューブには、パラフィルムからなる蓋が取り付けられた。次いで、イムノチューブは、ローテーターを用いて、10分間、転倒しながら回転された。
溶液を中和するため、溶液を、1mLの0.5M Tris/HCl(pH:6.8)を含有するチューブに移した。再度、100mMトリメチルアミン溶液(1ミリリットル)を用いたファージの抽出を繰り返した。このようにして、3mLの抽出液が得られた。
抽出液(1mL)が、9mLの大腸菌HST02培養液と混合された。混合液は、摂氏30度の温度で1時間、静置された。
コロニーを計数するため、大腸菌HST02を含有する10マイクロリットルの混合液は、2TYA培地を含む小プレート(10ミリリットル/プレート)にまかれた。
残りの混合液は遠心分離された。上澄み液は捨てられ、かつ沈殿物は2TYA培地を含む大プレート(40ミリリットル/プレート)にまかれた。これらの2つのプレートは、摂氏30度の温度下にて一晩静置された。このようにして、1回目のパニングが行われた。
1回目のパニングの手順と全く同様に、2回目のパニングが行われた。言い換えれば、パニングが繰り返された。このようにして、VHH抗体を提示するモノクローナルファージが精製された。
2回目のパニングの後、大腸菌のコロニーが爪楊枝でピックアップされた。ピックアップされた1つのコロニーは、96平底プレートの1つのウェルに置かれた。これが繰り返された。1つのウェルは、200マイクロリットルの2YTAG培地を含有していた。
ウェル内の溶液が、摂氏30度で213rpmの回転数で撹拌された。
増殖した大腸菌を含む溶液(50マイクロリットル)が回収された。回収された溶液は、プレートに含まれる50マイクロリットルの2YTA培地と混合された。2YTA培地は、感染多重度(MOI)が20になるようなヘルパーファージを含有していた。溶液は、摂氏37度の温度で40分間静置された。
2YTA培地を含むプレートは、1800rpmにて20分間遠心分離された。上清が捨てられた。沈殿物が大腸菌を含んでいた。沈殿物は、200マイクロリットルの2YTAK培地と混合された。混合液は、摂氏30度にて一晩静置された。
混合液は、1800rpmにて20分間遠心分離された。これにより、大腸菌を含む上清が回収された。
(C) ELISA(Enzyme-Linked Immuno Sorbent Assay)によるファージ提示VHH抗体及び抗原の定性評価
96ウェルプレート(Thermo scientific社より購入、商品名:maxisorp)の各ウェルに、2マイクログラム/ミリリットルの濃度を有するヒト血清アルブミン溶液を抗原として添加した。各ウェルにおけるヒト血清アルブミン溶液の容積は、50マイクロリットルであった。96ウェルプレートは、摂氏4度で一晩、放置された。このようにして、HSA抗原が各ウェルに固定された。
各ウェルは、PBSにより3回、洗浄された。次いで、3%スキムミルク(和光純薬株式会社より入手)を含有するPBSが各ウェルに注入された(200マイクロリットル/ウェル)。96ウェルプレートは、室温で1時間、放置された。このようにして、ヒト血清アルブミン(HSA)が各ウェルでブロックされた。その後、各ウェルは、PBSで3回、洗浄された。
VHH抗体を提示するモノクローナルファージが、各ウェルに注入された(50マイクロリットル/ウェル)。次いで、96ウェルプレートは、1時間、静置された。このようにして、ファージはHSA抗原と反応した。
各ウェルは、PBSTを用いて3回、洗浄された。次に、抗M13抗体(abcam社より入手、商品名:ab50370、10000倍希釈)が各ウェルに添加された(50マイクロリットル/ウェル)。次いで、各ウェルはPBSTで3回、洗浄された。
発色剤(Thermo Scientific社より入手、商品名:1-STEP ULTRA TMB-ELISA)が各ウェルに注入された(50マイクロリットル/ウェル)。96ウェルプレートは2分間静置され、発色剤を抗体と反応させた。
硫酸水溶液(1規定)が50マイクロリットル/ウェルの濃度で各ウェルに添加され、反応を停止させた。
450ナノメートルの波長での溶液の吸光度が測定された。
良好な吸光度測定の結果を有する5つのウェルが選択された。選択された5つのウェルに含有されるファージに含まれるDNA(Deoxyribonucleic Acid)配列が、グライナー社により解析された。DNA配列の解析結果は、以下のとおりである。具体的には、以下の5つのDNA配列が見いだされた。
1つめのDNA配列は、以下のとおりである。
GAGGTGCAGCTCGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTTGTGCAGCCGGGGGGGTCTCTGAGACTCTCCTGTGTAGCCTCTGGATTCACGTTCGAGCGTTTTGACATGGGTTGGGTCCGCCAGGCTCCGGGAAAAAGCCTCGAGTGGGTCTCACGTTTTAATAGTGACGATGGTCGAAAAAGTTATGCGGACTCCGTGAAGGGCCGATTCGCCATTTCCAGAGACAACGCCGAAAACACGCTATATCTACAAATGAACAATCTGATACCTGAAGACACGGCCATGTATTATTGTGTGAAGTGTCAAGCTTACACATCTTGCACTGATGCCGAAGACAGGGGCCAGGGGACCCAGGTCACCGTCTCTTCG(配列番号:44)
配列番号:44により表されるDNA配列から合成されるタンパク質は、以下のアミノ酸配列からなる。
EVQLVESGGGFVQPGGSLRLSCVASGFTFERFDMGWVRQAPGKSLEWVSRFNSDDGRKSYADSVKGRFAISRDNAENTLYLQMNNLIPEDTAMYYCVK/CQAYTSCTDAEDRGQGTQVTVSS(配列番号:36)
また、2つめのDNA配列は、以下のとおりである。
GAGGTGCAGCTCGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTGGTGCACCCTGGGGGGTCTCTGAGACTCTCTTGTGTAGCCTCTGGAAGCGATGTCAGTTCCGATACCATGGGCTGGTTCCGCCGCGCTCCAGGGAAGCAGCGCGAGTTGGTCGCAGCTATTGCATGGGGTGGCAGCACACACTATGCAGAATCCGTGAAGGGCCGATTCACCATCTCCAGAGACAACGCCAAGAACACGGTGTATCTGCAACTGAGCAACCTGAAACCTGAGGACACAGCCGTCTATTTATGTAACACTAGGAACTACTGGGGCCAGGGGACCCAGGTCACCGTCTCCTCA(配列番号:45)
配列番号:45により表されるDNA配列から合成されるタンパク質は、以下のアミノ酸配列からなる。
EVQLVESGGGLVHPGGSLRLSCVASGSDVSSDTMGWFRRAPGKQRELVAAIAWGGSTHYAESVKGRFTISRDNAKNTVYLQLSNLKPEDTAVYLCNTRNYWGQGTQVTVSS(配列番号:37)
また、3つめのDNA配列は、以下のとおりである。
CAGGTGCAGCTCGTGGAGTCTGGGGGAGGATTGGTGCAGACTGGGGGCTCTCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGACGCATCGTCACTGTCGCCGCCATGGGCTGGTTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGAGCGTGAATTTGTAGCGTCTATTAGCTGGAGTGGTCGTAGTAGGAGCTATGCAGACTCCGTGAAGGGCCGATTCACCATCTCCAGAGACAACGCCAAGAATACGGCATATCTGCAAATGAGCAGCCTGAAACCTGAGGACACGGGCGTTTATTACTGTGCATTAGGCGGCAACAGCTACTCTAGCGACTATGCGCGGTATGACTACTGGGGCCAGGGGACCCAGGTCACCGTCTCCTCA(配列番号:46)
配列番号:46により表されるDNA配列から合成されるタンパク質は、以下のアミノ酸配列からなる。
QVQLVESGGGLVQTGGSLRLSCAASGRIVTVAAMGWFRQAPGKEREFVASISWSGRSRSYADSVKGRFTISRDNAKNTAYLQMSSLKPEDTGVYYCALGGNSYSSDYARYDYWGQGTQVTVSS(配列番号:38)
また、4つめのDNA配列は、以下の通りである。
CAGTTGCAGCTCGTGGAGTCTGGGGGAGGATTGGTGCAGGCTGGGGGCTCTCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGACGCACCTTCAGGTTCTCTGCCATGGGCTGGTTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGAGCGTGAGTTTGCCGCAGCTATTAGCTGGACCGGTGGTACCACAGCCTATGCCGAGTCCGTGAAGGGCCGATTCATCATCTCCAGAGACAACGCCAAGAACACGGTGTATCTGCAAATGAACAGCCTGAAACCCGAAGACACGGCCGTTTATTACTGTGCAGCAGGCCCAATACCATCTCCGGCAAGCAGATATGACGACTGGGGTCAGGGGACCCAGGTCACCGTCTCCTCA(配列番号:47)
配列番号:47により表されるDNA配列から合成されるタンパク質は、以下のアミノ酸配列からなる。
QLQLVESGGGLVQAGGSLRLSCAASGRTFRFSAMGWFRQAPGKEREFAAAISWTGGTTAYAESVKGRFIISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCAA/GPIPSPASRYDDWGQGTQVTVSS(配列番号:39)
また、5つめのDNA配列は、以下の通りである。
CAGGTGCAGCTCGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTGGTGCAGGCTGGTAAGTCTCTGAGACTCTCCTGTACAGCCTCTGGAAGCATCCCCAGTATCGGTGTCACGGGCTGGCACCGCCAGGCTCCAGGGAAGCAGCGCGAGTTGGTCGCGACTATTTCGCAGGGTGGTCACATAAACTATTTCGAGTCCGTGAAGGGCCGATTCACCATCTCCAGAGACAACGCCAAGAACACGGTGTATCTGCAAATGAACAGCCTGAAACCTGAGGACACAGGCGTCTATTACTGTAATGCGTTTTGGCTTCCATTGCGCCTGAATGACTACTGGGGCCAGGGGACCCAGGTCACCGTCTCCTCA(配列番号:48)
配列番号:48により表されるDNA配列から合成されるタンパク質は、以下のアミノ酸配列からなる。
QVQLVESGGGLVQAGKSLRLSCTASGSIPSIGVTGWHRQAPGKQRELVATISQGGHINYFESVKGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTGVYYCNAFWLPLRLNDYWGQGTQVTVSS(配列番号:40)
(抗HSA VHH抗体(以下、「抗HSA抗体」ともいう)の発現)
ベクターpRA2(+)が発現ベクターとして用いられた(図2参照)。ベクターpRA2(+)は、メルク社から購入された。In-Fusion HD Cloning Kit(タカラバイオ株式会社より購入)を用いて、VHH配列(より詳細には、VHH抗体遺伝子配列)がベクターpRA2(+)に付加された。以下、付加された手順が詳細に説明される。
まず、以下2つのプライマー(配列番号:49及び配列番号:50)を用いて、PCR法により、VHH抗体の遺伝子ライブラリに含まれるVHH抗体遺伝子断片がライゲーションされたプラスミドベクター1から、VHH抗体遺伝子断片が複製された。このようにして、配列番号:36により表されるアミノ酸配列をコードする遺伝子配列を含む以下の1つのDNA(配列番号:51)が得られた。
Primer 1: 5’- cagccggccatggctgaggtgcagctcgtggagtctgg -3’ (配列番号:49)
Primer 2: 5’- atggtggcggccgcgcgaagagacggtgacctgggtcc -3’ (配列番号:50)

5’- cagccggccatggctgaggtgcagctcgtggagtctggGGGAGGCTTTGTGCAGCCGGGGGGGTCTCTGAGACTCTCCTGTGTAGCCTCTGGATTCACGTTCGAGCGTTTTGACATGGGTTGGGTCCGCCAGGCTCCGGGAAAAAGCCTCGAGTGGGTCTCACGTTTTAATAGTGACGATGGTCGAAAAAGTTATGCGGACTCCGTGAAGGGCCGATTCGCCATTTCCAGAGACAACGCCGAAAACACGCTATATCTACAAATGAACAATCTGATACCTGAAGACACGGCCATGTATTATTGTGTGAAGTGTCAAGCTTACACATCTTGCACTGATGCCGAAGACAGGGGCCAGGggacccaggtcaccgtctcttcgcgcggccgccaccat -3’ (配列番号:51)
続いて、以下2つのプライマー(配列番号:52及び配列番号:53)を用いて、PCR法により、VHH抗体の遺伝子ライブラリに含まれるVHH抗体遺伝子断片がライゲーションされたプラスミドベクター1から、VHH抗体遺伝子断片が複製された。このようにして、配列番号:37により表されるアミノ酸配列をコードする遺伝子配列を含む以下の1つのDNA(配列番号:54)が得られた。
Primer 1: 5’- cagccggccatggctgaggtgcagctcgtggagtctgg-3’ (配列番号:52)
Primer 2: 5’-atggtggcggccgcgTGAGGAGACGGTGACCTGGGTCC -3’ (配列番号:53)

5’- cagccggccatggctgaggtgcagctcgtggagtctggGGGAGGCTTGGTGCACCCTGGGGGGTCTCTGAGACTCTCTTGTGTAGCCTCTGGAAGCGATGTCAGTTCCGATACCATGGGCTGGTTCCGCCGCGCTCCAGGGAAGCAGCGCGAGTTGGTCGCAGCTATTGCATGGGGTGGCAGCACACACTATGCAGAATCCGTGAAGGGCCGATTCACCATCTCCAGAGACAACGCCAAGAACACGGTGTATCTGCAACTGAGCAACCTGAAACCTGAGGACACAGCCGTCTATTTATGTAACACTAGGAACTACTGGGGCCAGGGGACCCAGGTCACCGTCTCCTCAcgcggccgccaccat -3’ (配列番号:54)
続いて、以下2つのプライマー(配列番号:55及び配列番号:56)を用いて、PCR法により、VHH抗体の遺伝子ライブラリに含まれるVHH抗体遺伝子断片がライゲーションされたプラスミドベクター1から、VHH抗体遺伝子断片が複製された。このようにして、配列番号:38により表されるアミノ酸配列をコードする遺伝子配列を含む以下の1つのDNA(配列番号:57)が得られた。
Primer 1: 5’- cagccggccatggctCAGGTGCAGCTCGTGGAGTCTGG -3’ (配列番号:55)
Primer 2: 5’-atggtggcggccgcgTGAGGAGACGGTGACCTGGGTCC -3’ (配列番号:56)

5’- cagccggccatggct CAGGTGCAGCTCGTGGAGTCTGGGGGAGGATTGGTGCAGACTGGGGGCTCTCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGACGCATCGTCACTGTCGCCGCCATGGGCTGGTTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGAGCGTGAATTTGTAGCGTCTATTAGCTGGAGTGGTCGTAGTAGGAGCTATGCAGACTCCGTGAAGGGCCGATTCACCATCTCCAGAGACAACGCCAAGAATACGGCATATCTGCAAATGAGCAGCCTGAAACCTGAGGACACGGGCGTTTATTACTGTGCATTAGGCGGCAACAGCTACTCTAGCGACTATGCGCGGTATGACTACTGGGGCCAGGGGACCCAGGTCACCGTCTCCTCAcgcggccgccaccat-3’ (配列番号:57)
続いて、以下2つのプライマー(配列番号:58及び配列番号:59)を用いて、PCR法により、VHH抗体の遺伝子ライブラリに含まれるVHH抗体遺伝子断片がライゲーションされたプラスミドベクター1から、VHH抗体遺伝子断片が複製された。このようにして、配列番号:39により表されるアミノ酸配列をコードする遺伝子配列を含む以下の1つのDNA(配列番号:60)が得られた。
Primer 1: 5’- cagccggccatggctCAGTTGCAGCTCGTGGAGTCTGG -3’ (配列番号:58)
Primer 2: 5’-atggtggcggccgcgTGAGGAGACGGTGACCTGGGTCC -3’ (配列番号:59)

5’- cagccggccatggctCAGTTGCAGCTCGTGGAGTCTGGGGGAGGATTGGTGCAGGCTGGGGGCTCTCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGACGCACCTTCAGGTTCTCTGCCATGGGCTGGTTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGAGCGTGAGTTTGCCGCAGCTATTAGCTGGACCGGTGGTACCACAGCCTATGCCGAGTCCGTGAAGGGCCGATTCATCATCTCCAGAGACAACGCCAAGAACACGGTGTATCTGCAAATGAACAGCCTGAAACCCGAAGACACGGCCGTTTATTACTGTGCAGCAGGCCCAATACCATCTCCGGCAAGCAGATATGACGACTGGGGTCAGGGGACCCAGGTCACCGTCTCCTCAcgcggccgccaccat-3’ (配列番号:60)
続いて、以下2つのプライマー(配列番号:61及び配列番号:62)を用いて、PCR法により、VHH抗体の遺伝子ライブラリに含まれるVHH抗体遺伝子断片がライゲーションされたプラスミドベクター1から、VHH抗体遺伝子断片が複製された。このようにして、配列番号:40により表されるアミノ酸配列をコードする遺伝子配列を含む以下の1つのDNA(配列番号:63)が得られた。
Primer 1: 5’- cagccggccatggctCAGGTGCAGCTCGTGGAGTCTGG -3’ (配列番号:61)
Primer 2: 5’- atggtggcggccgcgTGAGGAGACGGTGACCTGGGTCC -3’ (配列番号:62)

5’- cagccggccatggctCAGGTGCAGCTCGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTGGTGCAGGCTGGTAAGTCTCTGAGACTCTCCTGTACAGCCTCTGGAAGCATCCCCAGTATCGGTGTCACGGGCTGGCACCGCCAGGCTCCAGGGAAGCAGCGCGAGTTGGTCGCGACTATTTCGCAGGGTGGTCACATAAACTATTTCGAGTCCGTGAAGGGCCGATTCACCATCTCCAGAGACAACGCCAAGAACACGGTGTATCTGCAAATGAACAGCCTGAAACCTGAGGACACAGGCGTCTATTACTGTAATGCGTTTTGGCTTCCATTGCGCCTGAATGACTACTGGGGCCAGGGGACCCAGGTCACCGTCTCCTCAcgcggccgccaccat -3’ (配列番号:63)
一方、以下2つのプライマー(配列番号:64及び配列番号65)を用いて、PCR法により、ベクターpRA2に含まれる一部の塩基配列が増幅された。このようにして、DNA(配列番号:66)が得られた。
Primer 1: 5’- cgcggccgccaccatcatcaccaccattaatag -3’ (配列番号:64)
Primer 2: 5’- agccatggccggctgggccgcgagtaataac -3’ (配列番号:65)

cgcggccgccaccatcatcaccaccattaatagcactagtcaagaggatccggctgctaacaaagcccgaaaggaagctgagttggctgctgccaccgctgagcaataactagcataaccccttggggcctctaaacgggtcttgaggggttttttgctgaaaggaggaactatatccggatgaattccgtgtattctatagtgtcacctaaatcgtatgtgtatgatacataaggttatgtattaattgtagccgcgttctaacgacaatatgtacaagcctaattgtgtagcatctggcttactgaagcagaccctatcatctctctcgtaaactgccgtcagagtcggtttggttggacgaaccttctgagtttctggtaacgccgtcccgcacccggaaatggtcagcgaaccaatcagcagggtcatcgctagccagatcctctacgccggacgcatcgtggccggcatcaccggcgccacaggtgcggttgctggcgcctatatcgccgacatcaccgatggggaagatcgggctcgccacttcgggctcatgagcgcttgtttcggcgtgggtatggtggcaggccccgtggccgggggactgttgggcgccatctccttgcatgcaccattccttgcggcggcggtgctcaacggcctcaacctactactgggctgcttcctaatgcaggagtcgcataagggagagcgtcgaatggtgcactctcagtacaatctgctctgatgccgcatagttaagccagccccgacacccgccaacacccgctgacgcgccctgacgggcttgtctgctcccggcatccgcttacagacaagctgtgaccgtctccgggagctgcatgtgtcagaggttttcaccgtcatcaccgaaacgcgcgagacgaaagggcctcgtgatacgcctatttttataggttaatgtcatgataataatggtttcttagacgtcaggtggcacttttcggggaaatgtgcgcggaacccctatttgtttatttttctaaatacattcaaatatgtatccgctcatgagacaataaccctgataaatgcttcaataatattgaaaaaggaagagtatgagtattcaacatttccgtgtcgcccttattcccttttttgcggcattttgccttcctgtttttgctcacccagaaacgctggtgaaagtaaaagatgctgaagatcagttgggtgcacgagtgggttacatcgaactggatctcaacagcggtaagatccttgagagttttcgccccgaagaacgttttccaatgatgagcacttttaaagttctgctatgtggcgcggtattatcccgtattgacgccgggcaagagcaactcggtcgccgcatacactattctcagaatgacttggttgagtactcaccagtcacagaaaagcatcttacggatggcatgacagtaagagaattatgcagtgctgccataaccatgagtgataacactgcggccaacttacttctgacaacgatcggaggaccgaaggagctaaccgcttttttgcacaacatgggggatcatgtaactcgccttgatcgttgggaaccggagctgaatgaagccataccaaacgacgagcgtgacaccacgatgcctgtagcaatggcaacaacgttgcgcaaactattaactggcgaactacttactctagcttcccggcaacaattaatagactggatggaggcggataaagttgcaggaccacttctgcgctcggcccttccggctggctggtttattgctgataaatctggagccggtgagcgtgggtctcgcggtatcattgcagcactggggccagatggtaagccctcccgtatcgtagttatctacacgacggggagtcaggcaactatggatgaacgaaatagacagatcgctgagataggtgcctcactgattaagcattggtaactgtcagaccaagtttactcatatatactttagattgatttaaaacttcatttttaatttaaaaggatctaggtgaagatcctttttgataatctcatgaccaaaatcccttaacgtgagttttcgttccactgagcgtcagaccccgtagaaaagatcaaaggatcttcttgagatcctttttttctgcgcgtaatctgctgcttgcaaacaaaaaaaccaccgctaccagcggtggtttgtttgccggatcaagagctaccaactctttttccgaaggtaactggcttcagcagagcgcagataccaaatactgttcttctagtgtagccgtagttaggccaccacttcaagaactctgtagcaccgcctacatacctcgctctgctaatcctgttaccagtggctgctgccagtggcgataagtcgtgtcttaccgggttggactcaagacgatagttaccggataaggcgcagcggtcgggctgaacggggggttcgtgcacacagcccagcttggagcgaacgacctacaccgaactgagatacctacagcgtgagctatgagaaagcgccacgcttcccgaagggagaaaggcggacaggtatccggtaagcggcagggtcggaacaggagagcgcacgagggagcttccagggggaaacgcctggtatctttatagtcctgtcgggtttcgccacctctgacttgagcgtcgatttttgtgatgctcgtcaggggggcggagcctatggaaaaacgccagcaacgcggcctttttacggttcctggccttttgctggccttttgctcacatgttctttcctgcgttatcccctgattctgtggataaccgtattaccgcctttgagtgagctgataccgctcgccgcagccgaacgaccgagcgcagcgagtcagtgagcgaggaagcggaagagcgcccaatacgcaaaccgcctctccccgcgcgttggccgattcattaatgcagctggcttatcgaaattaatacgactcactatagggagacccaagctttatttcaaggagacagtcataATGaaatacctattgcctacggcagccgctggattgttattactcgcggcccagccggccatggct(配列番号:66)
以下の(I)及び(II)に示されるDNA以外のDNAは、制限酵素DpnI(東洋紡より入手)を用いて断片化された。言い換えれば、以下の(I)及び(II)に示されるDNAはそのままであったが、他のDNAは断片化された。
(I)配列番号:51、配列番号:54、配列番号:57、配列番号:60、及び、配列番号:63により表される5つのDNA
(II)配列番号:66により表されるDNA
In-Fusion HD Cloning Kit(タカラバイオ株式会社より購入)を用いて、配列番号:51により表されるDNAが、配列番号:66により表されるDNAと融合された。このようにして、VHH抗体遺伝子断片がベクターpRA2(+)にライゲーションされた。また、配列番号:54、配列番号:57、配列番号:60、及び、配列番号63により表されるDNAのそれぞれについても、配列番号:51により表されるDNAと同様にして、VHH抗体遺伝子断片がベクターpRA2(+)にライゲーションされた。以下では、これらの5つのライゲーション溶液それぞれについて行われる手順が説明される。
ライゲーション溶液(10マイクロリットル)及び大腸菌JM109(タカラバイオより入手、100マイクロリットル)が氷上にて混合された。混合液は、30分間、氷上にて静置された。次いで、混合液は、摂氏42度で45秒間加熱された。最後に、混合液は、3分間、氷上で静置された。この手順は、一般的なヒートショック法として知られている。
摂氏37度で1時間振とう培養後、全量の混合液が、100マイクログラム/ミリリットルの濃度でアンピシリンを含有するLB培地(以下、LBA培地という)上に散布された。LBA培地は、摂氏37度で一晩静置された。
LBA培地上に形成されたコロニーの中から、3つのコロニーが選択された。選択された3つのコロニーは、LBA培地(3ミリリットル)で一晩培養された。
培養された大腸菌に含まれるプラスミドは、プラスミド抽出キット(Sigma社より入手、商品名:Gene Elute Plasmid Mini Kit)を用いて、LBA培地から抽出された。目的のVHH抗体の遺伝子がプラスミドに挿入されていることを確認するため、プラスミドの配列がグライナー社によって解析された。シーケンスの解析のために、一般的なT7promoter primerセットが用いられた。
シーケンスの解析を通して目的通りに形成されたことが確認されたプラスミドが選択された。
選択されたプラスミドを用いて、大腸菌(Competent Cell BL21 (DE3) pLysS, ライフテクノロロジーズ社より入手)がヒートショック法によりトランフェクトされた。
トランスフェクトされた大腸菌を含有する溶液に、LBA培地(1ミリリットル)が添加された。次いで、大腸菌は、213rpmで振とうされながら、摂氏37度で1時間、回復培養された。
次いで、大腸菌溶液が回収された。回収された大腸菌溶液(1ミリリットル)は、LBA培地に散布された。LBA培地は、摂氏37度の温度で一晩、静置された。
LBA培地上に形成されたコロニーの中から、1つのコロニーが選択された。選択されたコロニーは、爪楊枝でピックアップされた。ピックアップされたコロニーは、LBA培地(3ミリリットル)中で、213rpmで振とうされながら摂氏37度の温度で培養された。このようにして、培養液を得た。
さらに、培養液(3ミリリットル)はLBA培地(1000ミリリットル)に混合された。600ナノメートルの波長での混合液の吸光度が0.6になるまで、混合液は摂氏28度の温度で、120rpmで振とうされた。
吸光度が0.6となったのち、イソプロピルチオガラクトシド(以下、「IPTG」という)溶液が混合液に添加された。IPTG溶液の最終濃度は0.5mMであった。混合液に含有される大腸菌は、摂氏20度で一晩、培養された。培養された大腸菌を回収するため、混合液は、6000rpmで10分間、摂氏4度で遠心された。
回収された大腸菌は、50mM Tris-HCl、500mM NaCl、及び5mMイミダゾールを含有する混合溶媒に混合された。混合溶媒は、50ミリリットルの容量を有していた。混合液に含有される大腸菌は、超音波を用いて破砕された。
大腸菌を含む破砕液は、40000xgで30分間、摂氏4度で遠心された。上清が回収され、溶出液を得た。回収された上清は、ポアサイズ0.45マイクロメートルのフィルターを用いて濾過された。
濾液は、Ni-NTA-Agarose(株式会社キアゲンより入手)を用いて推奨プロトコルに従って精製された。精製時には、1ミリリットルのNi-NTA-Agaroseに対して3ミリリットルを有する溶出バッファが用いられた。
さらに、抗HSA抗体を含有する溶出液がカラムクロマトグラフィー(ゼネラルエレクトリック社より入手、商品名:Akta purifier)を用いて精製された。このようにして、抗HSA抗体を含有する溶液が得られた。
このようにして得られた溶液に含有される抗HSA抗体は、吸光度計(スクラム社より入手、商品名:nanodrop)を用いて、280ナノメートルでの波長での吸収測定値に基づいて定量された。その結果、抗HSA抗体の濃度は1.30ミリグラム/ミリリットルであった。
(D-1) ヒト血清アルブミンを用いた抗HSA抗体の表面プラズモン共鳴(以下、「SPR」という)評価
ヒト血清アルブミン及び表面プラズモン共鳴評価装置(以下、「SPR評価装置」という)を用いて、抗HSA抗体が以下のように評価された。表面プラズモン共鳴の詳細は以下のとおりである。
SPR評価装置:T200(GE Healthcare社より入手)
ランニングバッファ:0.05%Tween(登録商標)20を含むPBS
センサチップ:CM5(GE Healthcare社より入手)
固定化用試薬:N-ヒドロキシコハク酸イミド(NHS)及びエチル(ジメチルアミノプロピル) カルボジイミド(EDC)
HSA抗原:Sigma社より入手
HSA抗原は、SPR評価装置T200のコントロールソフトウェアに含まれているウィザードに従って固定化された。HSA抗原の固定化のためには、5.0のpHを有する酢酸溶液が用いられた。
被分析物として、配列番号:36、配列番号:37、配列番号:38、配列番号:39、及び、配列番号:40により表されるアミノ酸配列を含む抗HSA抗体(以下、それぞれ、「配列番号:36の配列を含む抗HSA抗体」、「配列番号:37の配列を含む抗HSA抗体」、「配列番号:38の配列を含む抗HSA抗体」、「配列番号:39の配列を含む抗HSA抗体」、「配列番号:40の配列を含む抗HSA抗体」ともいう)が用いられた。1回目~6回目の分析において、ランニングバッファに含有される抗HSA抗体の濃度は以下のように調整され、順次、SPR測定に供された。
配列番号36の配列を含む抗HSA抗体の濃度は、2.1nM、6.2nM、18.6nM、55.7nM、167nM、及び、500nMに調整された。配列番号:37、配列番号:38及び配列番号:39の配列をそれぞれ含む3つの抗HSA抗体の濃度は、4.1nM、12.3nM、37nM、111nM、333nM、及び、1000nMに調整された。配列番号:40の配列を含む抗HSA抗体の濃度は、0.041nM、0.123nM、0.37nM、1.1nM、3.3nM、及び、10nMに調整された。
図3A~図3Fは、配列番号:36により表されるアミノ酸配列を含む抗HSA抗体のHSAへの結合能力のSPR評価結果を示すグラフである。図4A~図4Fは、配列番号:37により表されるアミノ酸配列を含む抗HSA抗体のHSAへの結合能力のSPR評価結果を示すグラフである。図5A~図5Fは、配列番号:38により表されるアミノ酸配列を含む抗HSA抗体のHSAへの結合能力のSPR評価結果を示すグラフである。図6A~図6Fは、配列番号:39により表されるアミノ酸配列を含む抗HSA抗体のHSAへの結合能力のSPR評価結果を示すグラフである。図7A~図7Fは、配列番号:40により表されるアミノ酸配列を含む抗HSA抗体のHSAへの結合能力のSPR評価結果を示すグラフである。これらのグラフは、SPR評価装置T200から得られた評価結果を示すグラフである。解離定数KDが、評価ソフトウェア(GE Healthcare社より入手)を用いて算出された。その結果、配列番号:36、配列番号:37、配列番号:38、配列番号:39、及び配列番号:40により表されるアミノ酸配列を含む抗HSA抗体の解離定数KDは、それぞれ、22.9nM、62.2nM、124nM、296nM、及び、0.077nMであった。詳細は、図9を参照して後述する。
(D-2) 抗HSA抗体のヒト血清アルブミン以外のアルブミンに対する交差反応性の評価
次に、ヒト血清アルブミン以外の血清アルブミンとして、牛血清アルブミン(BSA)に対する交差反応性を評価した。具体的には、ELISA法により、配列番号:36の配列を含む抗HSA抗体、配列番号:37の配列を含む抗HSA抗体、配列番号:38の配列を含む抗HSA抗体、配列番号:39の配列を含む抗HSA抗体、及び、配列番号:40の配列を含む抗HSA抗体の牛アルブミン抗原(BSA)に対する結合能力が評価された。
ウシ血清アルブミンをSigma社より入手した。
配列番号:36により表されるアミノ酸配列を含むVHH抗体を含有する溶液A1(以下、「希釈液A1」という)(濃度:10マイクログラム/ミリリットル)の一部が3%スキムミルク(和光純薬より入手)及び0.05%tween(登録商標)20の両者を含有するPBS(以下、この溶液を「スキムミルク含有PBST」という)で4倍に希釈された。このようにして、配列番号:36により表されるアミノ酸配列を含むVHH抗体を含有する希釈液A1の希釈液B1(濃度:2.5マイクログラム/ミリリットル)が得られた。これが繰り返され、希釈液C1(濃度:0.625マイクログラム/ミリリットル)、希釈液D1(濃度:0.15625マイクログラム/ミリリットル)、希釈液E1(濃度:0.0390625マイクログラム/ミリリットル)、希釈液F1(濃度:9.76562×10-4マイクログラム/ミリリットル)及び、希釈液G1(濃度:2.44141×10-4マイクログラム/ミリリットル)が得られた。
同様に、配列番号:37、配列番号:38、配列番号:39、及び、配列番号:40により表されるアミノ酸配列を含むVHH抗体各々を含有する希釈液A2、希釈液A3、希釈液A4、及び、希釈液A5(濃度:10マイクログラム/ミリリットル)の一部がそれぞれスキムミルク含有PBSTで4倍に希釈された。このようにして、配列番号:37、配列番号:38、配列番号:39、及び、配列番号:40により表されるアミノ酸配列を含むVHH抗体各々を含有する希釈液A2~A5に対応する希釈液B2~希釈液B5(濃度:2.5マイクログラム/ミリリットル)が得られ、上記のBSAと同様にこの操作が繰り返される。これにより、希釈液B2~希釈液B5に対応する希釈液C2~希釈液C5(濃度:0.625マイクログラム/ミリリットル)、希釈液C2~希釈液C5に対応する希釈液D2~希釈液D5(濃度:0.15625マイクログラム/ミリリットル)、希釈液D2~D5に対応する希釈液E2~E5(濃度:0.0390625マイクログラム/ミリリットル)、希釈液E2~E5に対応する希釈液F2~F5(濃度:9.76562×10-4マイクログラム/ミリリットル)、希釈液F2~F5に対応する希釈液G2~G5(濃度:2.44141×10-4マイクログラム/ミリリットル)が得られた。以下では、希釈液A1~A5を「希釈液群A」と呼び、希釈液B1~B5、希釈液C1~C5、希釈液D1~D5、希釈液E1~E5、及び、希釈液F1~F5をそれぞれ「希釈液群B」、「希釈液群C」、「希釈液群D」、「希釈液群E」、及び、「希釈液群F」と呼ぶ。
96ウェルプレート(Maxisorp,Nunc)のウェルに、ヒト血清アルブミン、及びウシ血清アルブミンが注入された。各ウェルは、50マイクロリットルの溶液を含んでいた。96ウェルプレートは、室温で2時間静置され、ヒト血清アルブミン及び牛血清アルブミンをウェル内に固定化した。
スキムミルク含有PBSTが、各ウェルに注入され、ヒト血清アルブミン及び牛血清アルブミンをブロックした。各ウェルに注入されたPBSTの容量は、200マイクロリットルであった。96ウェルプレートは、室温にて3時間、静置された。
0.05%tween(登録商標)20を含有するPBSTが各ウェルに注入され、ウェルが洗浄された。PBSTは7.4のpHを有していた。各ウェルに注入されたPBSTの容量は、200マイクロリットルであった。これが3回、繰り返された。
希釈液群A~希釈液群Gに含まれるそれぞれの希釈液がウェルに注入された。参照として、スキムミルク含有PBSTが他のウェルに注入された。このスキムミルク含有PBSTのみを含むウェルは、測定時のバックグラウンドを除去するために参照として用いられた。各ウェルに注入された溶液の容量は50マイクロリットルであった。96ウェルプレートは、室温にて静置された。これにより、希釈液群A~希釈液群Gに含まれるそれぞれの希釈液に含有されるVHH抗体(いわゆる、抗HSA抗体)は、ウェルに含まれるヒト血清アルブミンに結合した。96ウェルプレートは、室温にて1時間、静置された。
0.05%tween(登録商標)20を含有するPBSTが各ウェルに注入され、ウェルが洗浄された。PBSTは7.4のpHを有していた。各ウェルに注入されたPBSTの容量は、200マイクロリットルであった。これが5回繰り返された。
標識抗体(MBL社より入手、商品名:Anti-His-tag mAb-HRP-DirecT)が0.05%tween(登録商標)20を含有するPBSTで10000倍に希釈された。このようにして希釈された標識抗体が、各ウェルに注入された(50マイクロリットル/ウェル)。次いで、96ウェルプレートは、1時間静置された。
0.05%tween(登録商標)20を含有するPBSTが各ウェルに注入され、ウェルが洗浄された。PBSTは7.4のpHを有していた。各ウェルに注入されたPBSTの容量は、200マイクロリットルであった。これが5回、繰り返された。
発色剤(Thermo Scientific社より入手、商品名:1-STEP ULTRA TMB-ELISA)が各ウェルに注入された(50マイクロリットル/ウェル)。96ウェルプレートは30分間静置され、発色剤を標識抗体と反応させた。
低濃度の硫酸及び塩酸を含有する発色停止剤(ScyTek laboratoriesより入手、商品名:TMB Stop Buffer)が50マイクロリットル/ウェルの濃度で各ウェルに添加され、反応を停止させた。
450ナノメートルの波長での溶液の吸光度が測定された。結果を図8A~図8Eに示す。図8Aは、ヒト血清アルブミン(HSA)及びウシ血清アルブミン(BSA)に対する配列番号:36により表されるアミノ酸配列を含むVHH抗体(言い換えると、配列番号:36の配列を含む抗HSA抗体)の交差反応性の測定結果を示すグラフである。図8Bは、HSA及びBSAに対する配列番号:37により表されるアミノ酸配列を含むVHH抗体(言い換えると、配列番号:37の配列を含む抗HSA抗体)の交差反応性の測定結果を示すグラフである。図8Cは、HSA及びBSAに対する配列番号:38により表されるアミノ酸配列を含むVHH抗体(言い換えると、配列番号:38の配列を含む抗HSA抗体)の交差反応性の測定結果を示すグラフである。図8Dは、HSA及びBSAに対する配列番号:39により表されるアミノ酸配列を含むVHH抗体(言い換えると、配列番号:39の配列を含む抗HSA抗体)の交差反応性の測定結果を示すグラフである。図8Eは、HSA及びBSAに対する配列番号:40により表されるアミノ酸配列からなるVHH抗体(言い換えると、配列番号:40の配列を含む抗HSA抗体)の交差反応性の測定結果を示すグラフである。
図8A、図8C及び図8Eから理解されるように、配列番号:36の配列を含む抗HSA抗体、配列番号38の配列を含む抗HSA抗体、及び配列番号40の配列を含む抗HSA抗体は、HSAに対して高い反応性を示す一方で、BSAに対して低い反応性を示した。したがって、これらの3つの抗HSA抗体は、BSAに対して交差反応性を有することが確認された。
一方、図8B及び図8Dから理解されるように、配列番号:37の配列を含む抗HSA抗体、及び、配列番号39の配列を含む抗HSA抗体は、HSA及びBSAの双方に対して高い反応性を示した。したがって、これらの2つの抗HSA抗体は、BSAに対して高い交差反応性を有することが確認された。
(E) 各抗HSA抗体の性質の比較
次に、配列番号:36により表されるアミノ酸配列を含む抗HSA抗体(以下、「H01A」という)、配列番号:37により表されるアミノ酸配列を含む抗HSA抗体(以下、「H08A」という)、配列番号:38により表されるアミノ酸配列を含む抗HSA抗体(以下、「H10A」という)、配列番号:39により表されるアミノ酸配列を含む抗HSA抗体(以下、「H14A」という)、及び、配列番号:40により表されるアミノ酸配列を含む抗HSA(以下、「H32A」という)について、抗原に対する結合能及び保存安定性を比較した。結果を図9に示す。図9は、配列番号:36~配列番号:40により表されるアミノ酸配列をそれぞれ含む5つのVHH抗体の性質を示す表である。
各抗HSA抗体のHSA抗原に対する結合能は、上記(D-1)で述べられたとおり、評価ソフトウェア(Cytiva社より入手)を用いて算出された、解離定数KDにより評価された。解離定数KDは、結合速度定数Kon及び解離速度定数Koffを用いて算出される(KD=Koff/Kon)。より低いKDを有する抗体は、より高いKDを有する抗体よりも抗原に対する結合能が高いと解釈されるため、より低いKDを有する抗体が好ましい。
また、各抗HSA抗体の保存安定性は、示差走査カロリメトリー(DSC)による測定結果に基づいて評価された。図10は、配列番号:36~配列番号40により表されるアミノ酸配列を含む5つのVHH抗体の示差走査カロリメトリー(DSC)による測定結果を示すグラフである。DSCは、タンパク質の相対的構造安定性の指標となる熱変性中点(Tm)を素早く、また、正確に測定することができる装置である。DSCを用いてTm値を測定し、その値を比較することにより、抗体の熱安定性の違いを比較することができる。より低いTm値は、より高い凝集性(言い換えると、より低い保存安定性)を示すが、より高いTm値は、より低い凝集性(言い換えると、より高い保存安定性)を示す。したがって、より高いTm値を有する抗体が好ましい。抗体の保存安定性は、抗体の熱安定性とある程度の相関を示すことが知られており、熱安定性を指標に、好適な抗体を選抜することができる。
したがって、図9及び図10から理解されるように、H32A(配列番号40の配列を含む抗HSA抗体)は、5つの抗HSA抗体の中で最も結合能が高かったが、保存安定性が最も低かった。H32A以外の4つの抗HSA抗体は、結合能はさほど変わらず、普通レベルであるが、いずれもH32Aよりも保存安定性が高かった。
本開示は、例えば、ヒト血清アルブミンに結合する新規な抗体、複合体、それを用いた検出装置及び検出方法として利用できる。

Claims (12)

  1. アミノ酸配列を含む抗体であって、前記アミノ酸配列は、NからCの方向に、以下の構造ドメインを含み、
    N - FR1 - CDR1 - FR2 - CDR2 - FR3 - CDR3 - FR4 - C
    FRは、フレームワーク領域のアミノ酸配列を示し、かつCDRは、相補性決定領域のアミノ酸配列を示し、
    前記CDR1はGFTFERF(配列番号:01)、又はGSDVSSD(配列番号:02)、又はGRIVTVA(配列番号:03)、又はGRTFRFS(配列番号:04)、又はGSIPSIG(配列番号:05)により表されるアミノ酸配列を含み、
    前記CDR2は、NSDDGR(配列番号:06)、又はAWGGS(配列番号:07)、又はSWSGRS(配列番号:08)、又はSWTGGT(配列番号:09)、又はSQGGH(配列番号:10)により表されるアミノ酸配列を含み、
    前記CDR3は、CQAYTSCTDAED(配列番号:11)、又はRNY(配列番号:12)、又はGGNSYSSDYARYDY(配列番号:13)、又はGPIPSPASRYDD(配列番号:14)、又はFWLPLRLNDY(配列番号:15)により表されるアミノ酸配列を含む。
  2. 請求項1に記載の抗体であって、
    前記抗体は、ヒト血清アルブミンに結合可能である。
  3. 請求項1又は2に記載の抗体であって、
    前記FR1は、EVQLVESGGGFVQPGGSLRLSCVAS(配列番号:16)、により表されるアミノ酸配列を含み、
    前記FR2は、DMGWVRQAPGKSLEWVSRF(配列番号:17)、により表されるアミノ酸配列を含み、
    前記FR3は、KSYADSVKGRFAISRDNAENTLYLQMNNLIPEDTAMYYCVK(配列番号:18)、により表されるアミノ酸配列を含み、かつ
    前記FR4は、RGQGTQVTVSS(配列番号:19)により表されるアミノ酸配列を含む。
  4. 請求項1又は2に記載の抗体であって、
    前記FR1は、EVQLVESGGGLVHPGGSLRLSCVAS(配列番号:20)、により表されるアミノ酸配列を含み、
    前記FR2は、TMGWFRRAPGKQRELVAAI(配列番号:21)、により表されるアミノ酸配列を含み、
    前記FR3は、THYAESVKGRFTISRDNAKNTVYLQLSNLKPEDTAVYLCNT(配列番号:22)、により表されるアミノ酸配列を含み、かつ
    前記FR4は、WGQGTQVTVSS(配列番号:23)により表されるアミノ酸配列を含む。
  5. 請求項1又は2に記載の抗体であって、
    前記FR1は、QVQLVESGGGLVQTGGSLRLSCAAS(配列番号:24)、により表されるアミノ酸配列を含み、
    前記FR2は、AMGWFRQAPGKEREFVASI(配列番号:25)、により表されるアミノ酸配列を含み、
    前記FR3は、RSYADSVKGRFTISRDNAKNTAYLQMSSLKPEDTGVYYCAL(配列番号:26)、により表されるアミノ酸配列を含み、かつ
    前記FR4は、WGQGTQVTVSS(配列番号:27)により表されるアミノ酸配列を含む。
  6. 請求項1又は2に記載の抗体であって、
    前記FR1は、QLQLVESGGGLVQAGGSLRLSCAAS(配列番号:28)、により表されるアミノ酸配列を含み、
    前記FR2は、AMGWFRQAPGKEREFAAAI(配列番号:29)、により表されるアミノ酸配列を含み、
    前記FR3は、TAYAESVKGRFIISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCAA(配列番号:30)、により表されるアミノ酸配列を含み、かつ
    前記FR4は、WGQGTQVTVSS(配列番号:31)により表されるアミノ酸配列を含む。
  7. 請求項1又は2に記載の抗体であって、
    前記FR1は、QVQLVESGGGLVQAGKSLRLSCTAS(配列番号:32)、により表されるアミノ酸配列を含み、
    前記FR2は、VTGWHRQAPGKQRELVATI(配列番号:33)、により表されるアミノ酸配列を含み、
    前記FR3は、INYFESVKGRFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTGVYYCNA(配列番号:34)、により表されるアミノ酸配列を含み、かつ
    前記FR4は、WGQGTQVTVSS(配列番号:35)により表されるアミノ酸配列を含む。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載の抗体を含み、
    前記抗体は、担体及び標識物質の少なくとも一方と結合されている、
    複合体。
  9. 前記担体は、プレート、ビーズ、ディスク、チューブ、フィルター及び薄膜から選択される、
    請求項8に記載の複合体。
  10. 前記標識物質は、蛍光物質、発光物質、色素、酵素及び放射性物質から選択される、
    請求項8に記載の複合体。
  11. 請求項8に記載の複合体と、検出部とを含み、
    前記検出部は、被分析物中のヒト血清アルブミンと前記複合体との抗原抗体反応に基づく物理量の変化を検出する、
    検出装置。
  12. 請求項8に記載の複合体と、被分析物とを接触させるステップと、
    前記被分析物中のヒト血清アルブミンと前記複合体との抗原抗体反応に基づく物理量の変化を検出するステップとを含む、
    検出方法。
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