JP2020147647A - インク、インク収容容器、インクジェット記録方法およびインクジェット記録装置 - Google Patents
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Abstract
Description
インクジェット用インクとしては、従来、その発色性の良さや信頼性の高さ等の点から染料インクが主流であったが、染料インクは耐水性や耐光性が劣るという欠点を有していることから、近年では、顔料インクが用いられることが多くなってきている。
また近年では、家庭用のみならず商業用途や産業用途にもインクジェット技術が利用されており、溶剤インキやUVインキによる非吸収性の記録媒体に対しても記録が可能な印刷機が実際に市販されてきた。しかし、近年、環境面への対応から、水性インキの需要が高まっている。
しかし、コート紙のような浸透性が低い記録媒体に顔料を強固に定着させることは難しく、耐摺擦性や密着性の低下や、印刷物を重ね合わせた際に印刷物の接触面同士が貼り付くブロッキング現象が生じるという問題がある。
このようなことから、塗工紙を用いる高速印字システムにおいては、高画質化と共に、耐擦性および密着性の飛躍的な向上が求められている。
また、特許文献2には、定着性に優れ、印刷物の光沢と画像の保存性にも優れるインクジェット記録用水系インクとして、非晶質ポリエステル系樹脂と結晶性ポリエステル樹脂粒子とを含むインクについて記載されている。
1)色材、非晶性ポリウレタン樹脂および結晶性ポリエステル樹脂を含み、下記測定条件で行われる示差走査熱量測定(DSC)において、降温過程において結晶化ピークが観測されることを特徴とするインク。
〔測定条件〕
前記インクを乾燥させて得た固形物を示差走査熱量計(DSC)を用いて、窒素雰囲気下、−80℃に保持した後、10℃/minの昇温速度にて130℃まで加熱し、1分間保持した後に、10℃/minの降温速度にて−80℃まで冷却する。
本発明のインクは、色材、非晶性ポリウレタン樹脂および結晶性ポリエステル樹脂を含み、下記測定条件で行われる示差走査熱量測定(DSC)において、降温過程において結晶化ピークが観測されることを特徴とする。
〔測定条件〕
前記インクを乾燥させて得た固形物を示差走査熱量計(DSC)を用いて、窒素雰囲気下、−80℃に保持した後、10℃/minの昇温速度にて130℃まで加熱し、1分間保持した後に、10℃/minの降温速度にて−80℃まで冷却する。
本発明のインクは、非晶性ポリウレタン樹脂と結晶性ポリエステル樹脂とを含有することが好ましく、さらに必要に応じてその他の成分を含有する。非晶性樹脂と結晶性樹脂とは、それぞれ樹脂の乾固物が示差走査熱量測定(DSC)において昇温過程に融解ピークを持つものと持たないもののことであり、これらは1種類ずつを用いても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のインクは、下記測定条件で行われる示差走査熱量測定(DSC)において、降温過程において結晶化ピークが観測される。
また、本発明のインクは、下記測定条件で行われる示差走査熱量測定(DSC)において、降温過程において結晶化熱量が観測されるものであることができる。
前記インクを乾燥させて得た固形物を示差走査熱量計(DSC)(TAインスツルメンツ社製Q2000)を用いて、窒素雰囲気下、−80℃に保持した後、10℃/minの昇温速度にて130℃まで加熱し、1分間保持した後に、10℃/minの降温速度にて−80℃まで冷却する。降温過程における発熱量を、降温過程の結晶化熱量とする。
前記結晶化熱量が0.5J/g以上であると、結晶性部位の結晶化度が向上し、強靭な膜を得ることができる。また、20J/g以下であると、保存安定性を保つことができる。
前記結晶化熱量は、インク中の結晶性樹脂の添加量のほか、結晶性樹脂と非晶性樹脂の組み合わせによって制御することができる。
前記結晶化温度がこの範囲にあると、画像の乾燥過程において、樹脂が結晶化し強靭な膜を作るため、耐擦性および耐ブロッキング性の向上につながる。
前記結晶化温度は、結晶性ポリエステル樹脂の構造によって制御することができる。
前記融解熱量が0.5J/g以上であると、乾燥過程で粘度が十分低下し、基材への密着性が向上する。また、20J/g以下であることで、保存安定性を保つことができる。
前記融解熱量は、インク中の結晶性樹脂の添加量によって制御することができる。
前記融解温度が30℃以上であることで、画像形成過程において、力学強度に優れた画像を形成することができ、100℃以下であることにより、乾燥過程における粒子同士および粒子とメディア間の接着力を高めることで密着性および耐擦性といった定着性を向上させることができる。
前記融解温度は、結晶性ポリエステルの構造によって制御することができる。
前記樹脂のインクの添加形態としては、特に制限はないが、樹脂エマルションであることが好ましく、前記樹脂エマルションとは樹脂粒子が水性媒体中に分散したものを言い、樹脂粒子が固体、液体かは問わない。また、水性媒体、水性インクにおける水性とは、水もしくは親水性溶剤を主成分として含むことを言い、水と親水性溶剤を共に含んでいてもよい。
前記アニオン性基としては、例えば、カルボキシル基、カルボキシレート基、スルホン酸基、スルホネート基などが挙げられる。これらの中でも、一部又は全部、特に好ましくは全部が塩基性化合物等により中和されたカルボキシレート基やスルホネート基を使用することが好ましい。
前記アニオン性基の中和に使用可能な中和剤としては、例えば、アンモニア、トリエチルアミン、ピリジン、モルホリン等の有機アミンや、モノエタノールアミン等のアルカノールアミン等の塩基性化合物、Na、K、Li、Ca等を含む金属塩基化合物などが挙げられる。
前記樹脂の酸価の測定方法は、例えば、樹脂をテトラヒドロフラン(THF)に入れ、0.1Mの水酸化カリウムメタノール溶液を用いて滴定することで測定することができる。
この際、使用可能な有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類;アセトニトリル等のニトリル類;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、1−エチル−2−ピロリドン等のアミド類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記体積平均粒径は、例えば、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。尚、この場合の固形分の粒径(D50)と粒径(D90)は体積基準の粒子径のことをいう。
さらに、結晶性樹脂に関しては、インク全量に対して、0.5質量%以上20質量%以下が好ましく、1質量%以上15質量%以下がより好ましい。
前記非晶性ポリウレタン樹脂は、非晶性ポリエステルセグメントを有するポリウレタンがより好ましい。その理由は定かではないが、結晶性ポリエステルと非晶性ポリエステルセグメントを有するポリウレタンとの組み合わせのとき、結晶性が強く発現する。
前記非晶性ポリウレタン樹脂は、ポリアミンにより架橋もしくは伸長されているものが好ましい。この形態によれば、長期に渡る保存安定性を提供することができる。
前記非晶性ポリウレタン樹脂のガラス転移温度(Tg)は−40以上80℃以下であることが好ましい。前記範囲とすることにより、耐擦性、光沢性に優れた画像を形成可能なインクを得ることができる。
まず、無溶剤下又は有機溶剤存在下で、ポリマーポリオール(A)、短鎖多価アルコール(B)、アニオン性基を有する多価アルコール(C)とポリイソシアネート(D)を反応させて、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーを製造する。
次いで、前記イソシアネート末端ウレタンプレポリマー中のアニオン性基を必要に応じて前記中和剤により中和し、その後ポリアミンと反応さて鎖伸長反応を行い、更に水を入れて分散させ、最後に必要に応じて系内の有機溶剤を除去することによって得ることができる。必要に応じて、有機溶剤を除去する前に、2価以上のポリアミン(E)(以下、多価アミンともいう)を添加することにより、ポリウレタンセグメント末端のイソシアネート基を多価アミンで伸長もしくは架橋させることもできる。
前記構成比率の範囲を前記上限以下とすることにより、親水性の影響が過度に及ぶことがなく、インク膜の脆性の発現が抑制され、画像の耐水性が向上し、また粒子が過度に微細化することがないため、インクの増粘などの不具合が防止される。一方、前記下限以上であることにより、分散安定性が向上する。
[Dの当量数/(Aの当量数+Bの当量数+Cの当量数)]は、1.05以上1.6以下が好ましく、1.05以上1.5以下がより好ましく、1.1以上1.25以下が特に好ましい。
前記範囲とすることにより、力学強度に優れた膜を得ることができ、耐擦性と耐ブロッキング性に優れた画像を形成することができる。
前記水酸基価を前記数値範囲とすることにより、分散安定性が良好となり、また定着性に優れる。
前記ポリエステル系ポリマーポリオールの製造方法については、従来一般的に用いられている方法を用いることができ、例えば、以下の方法が挙げられる。
まず、無溶剤下又は有機溶剤存在下で、多価アルコールと、多価カルボン酸、多価カルボン酸無水物、多価カルボン酸エステル等の多価カルボン酸及び/又はその誘導体とを重縮合させることにより製造する。
前記多価アルコール成分としては、2価のアルコール(ジオール)、具体的には、炭素数2〜36のアルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパンなど);炭素数4〜36のアルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールなど);炭素数6〜36の脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);前記脂環式ジオールの炭素数2〜4のアルキレンオキシド〔エチレンオキシド(以下EOと略記する)、プロピレンオキシド(以下POと略記する)、ブチレンオキシド(以下BOと略記する)など〕付加物(付加モル数1〜30);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど)の炭素数2〜4のアルキレンオキシド(EO、PO、BOなど)付加物(付加モル数2〜30)などが挙げられる。
前記多価カルボン酸成分としては、2価のカルボン酸(ジカルボン酸)、具体的には、炭素数4〜36のアルカンジカルボン酸(コハク酸、アピジン酸、セバシン酸など)、アルケニルコハク酸(ドデセニルコハク酸など);炭素数4〜36の脂環式ジカルボン酸〔ダイマー酸(2量化リノール酸)など〕;炭素数4〜36のアルケンジカルボン酸(マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸など);炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸又はこれらの誘導体、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらの中でも、炭素数4〜20のアルカンジカルボン酸、炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸が好ましい。なお、前記多価カルボン酸成分としては、上述のものの酸無水物又は低級アルキル(炭素数1〜4)エステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)も挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
このほか、ポリ乳酸やポリカーボネートジオールの如き開環重合系も好適に使用しうる。
これらの中でも、脂肪族ポリイソシアネート化合物、脂環式ポリイソシアネート化合物が好ましく、脂環式ポリイソシアネート化合物がより好ましく、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートが特に好ましい。
100×水酸基を含む化合物のモル数の総計×ウレタン基分子量/ウレタン樹脂固形分総質量
前記の化学架橋を導入する方法は、何れか一つを単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。
前記の化学架橋を導入する方法は、何れも好適に用いることができるが、架橋密度の観点からポリマーポリオールの官能基数を2より大きくする方法が特に好ましい。
前記ポリマーポリオールの官能基数は、2より大きく2.5以下であることが好ましく、2.02以上2.15以下であることがより好ましい。
前記範囲とすることにより、力学強度に優れたウレタン樹脂粒子を得ることができ、耐擦性、及び耐ブロッキング性に優れた画像を形成することができる。
前記ポリマーポリオールの官能基数を2より大きくすることは、官能基数が2であるポリマーポリオールと、官能基数が3以上であるポリマーポリオールの併用により達成することができる。
<数式2>
ポリマーポリオール全体での官能基数=2×a+b×(1−a)
ただし、前記数式2中、aは下記数式3で表されるポリマーポリオール全体に対する官能基数が2であるポリマーポリオールの質量比であり、bは官能基数が3以上であるポリマーポリオールの官能基数であり、2とは官能基数が2であるポリマーポリオールの官能基数のことである。
<数式3>
a=c/(c+d)
ただし、前記数式3中、cは官能基数が2であるポリマーポリオールの質量であり、dは官能基数が3以上であるポリマーポリオールの質量である。
前記官能基数が3以上であるポリマーポリオールとしては、官能基数が3のポリマーポリオールであることが好ましい。
前記結晶性ポリエステル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、脂肪族ポリエステルセグメントを有することが好ましい。脂肪族ポリエステルセグメントを有する結晶性ポリエステル樹脂は、高い結晶性を発現する。
前記結晶性ポリエステル樹脂は、差走査熱量計(DSC)において吸熱ピークを有する結晶性樹脂であり、第二昇温過程にて30〜100℃の範囲で融解ピーク温度(融点:Tm)を有することが好ましく、60〜100℃の範囲であることがより好ましい。
前記融点が30℃以上であることで、画像形成過程において、力学強度に優れた画像を形成することができ、100℃以下であることにより、乾燥過程における粒子同士および粒子とメディア間の接着力を高めることで密着性および耐擦性といった定着性を向上させることができる。
〔測定条件〕
前記結晶性ポリエステル樹脂の固形物を示差走査熱量計(DSC)を用いて、窒素雰囲気下、−80℃に保持した後、10℃/minの昇温速度にて130℃まで加熱し、1分間保持した後に、10℃/minの降温速度にて−80℃まで冷却し、続いて10℃/minの昇温速度にて130℃まで加熱する。この第一昇温過程における融解ピーク温度を測定する。
前記融解熱量が0.5J/g以上であると、乾燥過程で粘度が十分低下し、基材への密着性が向上する。また、20J/g以下であることで、保存安定性を保つことができる。
前記結晶化温度がこの範囲にあると、画像の乾燥過程において、樹脂が結晶化し強靭な膜を作るため、耐擦性および耐ブロッキング性の向上につながる。
前記結晶化熱量が0.5J/g以上であることにより、結晶性部位の結晶化度が高まり、十分に膜の強度を上げることができる。また、20J/g以下であることで、保存安定性を担保することができる。
前記結晶性ポリエステル樹脂の酸価の測定方法は、例えば、結晶性樹脂をテトラヒドロフラン(THF)溶液に入れ、0.1Mの水酸化カリウムメタノール溶液を用いて滴定することで、結晶性樹脂の酸価を測定することができる。
また、前記結晶性ポリエステル樹脂の酸価は任意の方法で調整可能であり、例えば、得られた結晶性ポリエステルと多価カルボン酸、カルボン酸無水物を反応させることで酸価を付与することが可能である。
前記多価アルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジオール、3価以上のアルコールが挙げられる。
前記多価カルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2価のカルボン酸、3価以上のカルボン酸が挙げられる。
前記2価のカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、マロン酸、メサコニン酸等の芳香族ジカルボン酸、又はこれらの無水物、或いはこれらの低級(炭素数1〜3)アルキルエステルなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記3価以上のカルボン酸としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、又はこれらの無水物、あるいはこれらの低級(炭素数1〜3)アルキルエステルなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、前記多価カルボン酸としては、前記飽和脂肪族ジカルボン酸、前記芳香族ジカルボン酸の他に、スルホン酸基を持つジカルボン酸、2重結合を持つジカルボン酸などを含有していてもよい。
前記重量平均分子量が、前記好ましい範囲内であると、分散安定性が良好となり、また適正な結晶性を発現することで、定着性に優れた画像を形成可能な結晶性樹脂粒子を得ることができる。
前記結晶性樹脂の結晶性、分子構造等については、NMR測定、示差走査熱量計(DSC)測定、X線回折測定、GC/MS測定、LC/MS測定、赤外線吸収(IR)スペクトル測定などにより確認することができる。
<有機溶剤>
本発明に使用する有機溶剤としては特に制限されず、水溶性有機溶剤を用いることができる。例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類や多価アルコールアリールエーテル類などのエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類が挙げられる。
水溶性有機溶剤の具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、エチル−1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ペトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、3−メトキシ−N,N-ジメチルプロピオンアミド、3−ブトキシ−N,N-ジメチルプロピオンアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等が挙げられる。
湿潤剤として機能するだけでなく、良好な乾燥性を得られることから、沸点が250℃以下の有機溶剤を用いることが好ましい。
グリコールエーテル化合物の具体例としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類などが挙げられる。
インクにおける水の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%〜60質量%がより好ましい。
色材としては特に限定されず、顔料、染料を使用可能である。
顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができる。これらは、1種単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。また、混晶を使用しても良い。
顔料としては、例えば、ブラック顔料、イエロー顔料、マゼンダ顔料、シアン顔料、白色顔料、緑色顔料、橙色顔料、金色や銀色などの光沢色顔料やメタリック顔料などを用いることができる。
無機顔料として、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローに加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。
また、有機顔料としては、アゾ顔料、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。これらの顔料のうち、溶媒と親和性の良いものが好ましく用いられる。その他、樹脂中空粒子、無機中空粒子の使用も可能である。
顔料の具体例として、黒色用としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、または銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料があげられる。
さらに、カラー用としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、138、150、153、155、180、185、213、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、184、185、190、193、202、207、208、209、213、219、224、254、264、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルー)、15:1、15:2、15:3、15:4(フタロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36、等がある。
染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能であり、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー 17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド 52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー 9,45,249、C.I.アシッドブラック 1,2,24,94、C.I.フードブラック 1,2、C.I.ダイレクトイエロー 1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド 1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー 1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクドブラック 19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド 14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック 3,4,35が挙げられる。
顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法としては、例えば、顔料(例えばカーボン)にスルホン基やカルボキシル基等の官能基を付加することで、水中に分散可能とする方法が挙げられる。
顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法としては、顔料をマイクロカプセルに包含させ、水中に分散可能とする方法が挙げられる。これは、樹脂被覆顔料と言い換えることができる。この場合、インクに配合される顔料はすべて樹脂に被覆されている必要はなく、本発明の効果が損なわれない範囲において、被覆されない顔料や、部分的に被覆された顔料がインク中に分散していてもよい。
分散剤を用いて分散させる方法としては、界面活性剤に代表される、公知の低分子型の分散剤、高分子型の分散剤を用いて分散する方法が挙げられる。
分散剤としては、顔料に応じて例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等を使用することが可能である。
竹本油脂社製RT−100(ノニオン系界面活性剤)や、ナフタレンスルホン酸Naホルマリン縮合物も、分散剤として好適に使用できる。
分散剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
顔料に、水や有機溶剤などの材料を混合してインクを得ることが可能である。また、顔料と、その他水や分散剤などを混合して顔料分散体としたものに、水や有機溶剤などの材料を混合してインクを製造することも可能である。
前記顔料分散体は、水、顔料、顔料分散剤、必要に応じてその他の成分を混合、分散し、粒径を調整して得られる。分散は分散機を用いると良い。
顔料分散体における顔料の粒径については特に制限はないが、顔料の分散安定性が良好となり、吐出安定性、画像濃度などの画像品質も高くなる点から、最大個数換算で最大頻度が20nm以上500nm以下が好ましく、20nm以上150nm以下がより好ましい。顔料の粒径は、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
前記顔料分散体における顔料の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な吐出安定性が得られ、また、画像濃度を高める点から、0.1質量%以上50質量%以下が好ましく、0.1質量%以上30質量%以下がより好ましい。
前記顔料分散体は、必要に応じて、フィルター、遠心分離装置などで粗大粒子をろ過し、脱気することが好ましい。
インクには、必要に応じて、界面活性剤、消泡剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤等を加えても良い。
界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤のいずれも使用可能である。
シリコーン系界面活性剤には特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができる。中でも高pHでも分解しないものが好ましく、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するものが、水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。また、前記シリコーン系界面活性剤として、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤を用いることもでき、例えば、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルシロキサンのSi部側鎖に導入した化合物等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物が、起泡性が小さいので特に好ましい。前記パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩等が挙げられる。これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH4、NH3CH2CH2OH、NH2(CH2CH2OH)2、NH(CH2CH2OH)3等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えばラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなどが挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩、などが挙げられる。
これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
このような界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、ビックケミー株式会社、信越化学工業株式会社、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社、日本エマルジョン株式会社、共栄社化学などから入手できる。
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、一般式(S-1)式で表わされる、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルポリシロキサンのSi部側鎖に導入したものなどが挙げられる。
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、市販品を用いることができ、例えば、KF−618、KF−642、KF−643(信越化学工業株式会社)、EMALEX−SS−5602、SS−1906EX(日本エマルジョン株式会社)、FZ−2105、FZ−2118、FZ−2154、FZ−2161、FZ−2162、FZ−2163、FZ−2164(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社)、BYK−33、BYK−387(ビックケミー株式会社)、TSF4440、TSF4452、TSF4453(東芝シリコン株式会社)などが挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物などが挙げられる。 これらの中でも、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物は起泡性が少ないため好ましく、特に一般式(F-1)及び一般式(F-2)で表わされるフッ素系界面活性剤が好ましい。
一般式(F-2)
CnF2n+1−CH2CH(OH)CH2−O−(CH2CH2O)a−Y
上記一般式(F-2)で表される化合物において、YはH、又はCmF2m+1でmは1〜6の整数、又はCH2CH(OH)CH2−CmF2m+1でmは4〜6の整数、又はCpH2p+1でpは1〜19の整数である。nは1〜6の整数である。aは4〜14の整数である。
上記のフッ素系界面活性剤としては市販品を使用してもよい。 この市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145(いずれも、旭硝子株式会社製);フルラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431(いずれも、住友スリーエム株式会社製);メガファックF−470、F−1405、F−474(いずれも、大日本インキ化学工業株式会社製);ゾニール(Zonyl)TBS、FSP、FSA、FSN−100、FSN、FSO−100、FSO、FS−300、UR、キャプストーンFS−30、FS−31、FS−3100、FS−34、FS−35(いずれも、Chemours社製);FT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW(いずれも、株式会社ネオス社製)、ポリフォックスPF−136A,PF−156A、PF−151N、PF−154、PF−159(オムノバ社製)、ユニダインDSN-403N(ダイキン工業株式会社製)などが挙げられ、これらの中でも、良好な印字品質、特に発色性、紙に対する浸透性、濡れ性、均染性が著しく向上する点から、Chemours社製のFS−3100、FS−34、FS−300、株式会社ネオス製のFT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW、オムノバ社製のポリフォックスPF−151N及びダイキン工業株式会社製のユニダインDSN-403Nが特に好ましい。
消泡剤としては、特に制限はなく、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、破泡効果に優れる点から、シリコーン系消泡剤が好ましい。
防腐防黴剤としては、特に制限はなく、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンなどが挙げられる。
防錆剤としては、特に制限はなく、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
pH調整剤としては、pHを7以上に調整することが可能であれば、特に制限はなく、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンなどが挙げられる。
インクの25℃での粘度は、印字濃度や文字品位が向上し、また、良好な吐出性が得られる点から、5mPa・s以上30mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以上25mPa・s以下がより好ましい。ここで、粘度は、例えば回転式粘度計(東機産業社製RE−80L)を使用することができる。測定条件としては、25℃で、標準コーンローター(1°34’×R24)、サンプル液量1.2mL、回転数50rpm、3分間で測定可能である。
インクの表面張力としては、記録媒体上で好適にインクがレベリングされ、インクの乾燥時間が短縮される点から、25℃で、35mN/m以下が好ましく、32mN/m以下がより好ましい。
インクのpHとしては、接液する金属部材の腐食防止の観点から、7〜12が好ましく、8〜11がより好ましい。
前処理液は、凝集剤、有機溶剤、水を含有し、必要に応じて界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、防腐防黴剤、防錆剤等を含有しても良い。
有機溶剤、界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、防腐防黴剤、防錆剤は、インクに用いる材料と同様の材料を使用でき、その他、公知の処理液に用いられる材料を使用できる。
凝集剤の種類は特に限定されず、水溶性カチオンポリマー、酸、多価金属塩等が挙げられる。
後処理液は、透明な層を形成することが可能であれば、特に限定されない。後処理液は、有機溶剤、水、樹脂、界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、防腐防黴剤、防錆剤等、必要に応じて選択し、混合して得られる。また、後処理液は、記録媒体に形成された記録領域の全域に塗布しても良いし、インク像が形成された領域のみに塗布しても良い。
記録に用いる記録媒体としては、特に限定されないが、普通紙、光沢紙、特殊紙、布、フィルム、OHPシート、汎用印刷紙等が挙げられる。
本発明のインク記録物は、記録媒体上に、本発明のインクを用いて形成された画像を有してなる。
インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法により記録して記録物とすることができる。
また本発明のインクジェット記録方法は、インクを記録ヘッドのノズルから吐出させ、前記インクを記録媒体に付与して記録する工程を有し、前記インクとして本発明のインクを用いる。
また本発明のインクジェット記録装置は、インクを記録ヘッドのノズルから吐出させ、前記インクを記録媒体に付与して記録する手段を有し、前記インクとして本発明のインクを用いる。
以下、本発明の前記インク収容容器、インクジェット記録方法および記録装置について、具体例でもって説明する。
本発明のインクは、インクジェット記録方式による各種記録装置、例えば、プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、立体造形装置などに好適に使用することができる。
本発明において、記録装置、記録方法とは、記録媒体に対してインクや各種処理液等を吐出することが可能な装置、当該装置を用いて記録を行う方法である。記録媒体とは、インクや各種処理液が一時的にでも付着可能なものを意味する。
この記録装置には、インクを吐出するヘッド部分だけでなく、記録媒体の給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置と称される装置などを含むことができる。
記録装置、記録方法は、加熱工程に用いる加熱手段、乾燥工程に用いる乾燥手段を有しても良い。加熱手段、乾燥手段には、例えば、記録媒体の印字面や裏面を加熱、乾燥する手段が含まれる。加熱手段、乾燥手段としては、特に限定されないが、例えば、温風ヒーター、赤外線ヒーターを用いることができる。加熱、乾燥は、印字前、印字中、印字後などに行うことができる。
また、記録装置、記録方法は、インクによって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、幾何学模様などのパターン等を形成するもの、3次元像を造形するものも含まれる。
また、記録装置には、特に限定しない限り、吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、吐出ヘッドを移動させないライン型装置のいずれも含まれる。
更に、この記録装置には、卓上型だけでなく、A0サイズの記録媒体への印刷も可能とする広幅の記録装置や、例えばロール状に巻き取られた連続用紙を記録媒体として用いることが可能な連帳プリンタも含まれる。
記録装置の一例について図1乃至図2を参照して説明する。図1は同装置の斜視説明図である。図2はメインタンクの斜視説明図である。記録装置の一例としての画像形成装置400は、シリアル型画像形成装置である。画像形成装置400の外装401内に機構部420が設けられている。ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色用のメインタンク410(410k、410c、410m、410y)の各インク収容部411は、例えばアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。インク収容部411は、例えば、プラスチックス製の収容容器ケース414内に収容される。これによりメインタンク410は、各色のインクカートリッジとして用いられる。
一方、装置本体のカバー401cを開いたときの開口の奥側にはカートリッジホルダ404が設けられている。カートリッジホルダ404には、メインタンク410が着脱自在に装着される。これにより、各色用の供給チューブ436を介して、メインタンク410の各インク排出口413と各色用の吐出ヘッド434とが連通し、吐出ヘッド434から記録媒体へインクを吐出可能となる。
前処理装置、後処理装置の一態様として、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)などのインクの場合と同様に、前処理液や、後処理液を有する液体収容部と液体吐出ヘッドを追加し、前処理液や、後処理液をインクジェット記録方式で吐出する態様がある。
前処理装置、後処理装置の他の態様として、インクジェット記録方式以外の、例えば、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法による前処理装置、後処理装置を設ける態様がある。
立体造形物を造形するための立体造形装置は、公知のものを使用することができ、特に限定されないが、例えば、インクの収容手段、供給手段、吐出手段や乾燥手段等を備えるものを使用することができる。立体造形物には、インクを重ね塗りするなどして得られる立体造形物が含まれる。また、記録媒体等の基材上にインクを付与した構造体を加工してなる成形加工品も含まれる。前記成形加工品は、例えば、シート状、フィルム状に形成された記録物や構造体に対して、加熱延伸や打ち抜き加工等の成形加工を施したものであり、例えば、自動車、OA機器、電気・電子機器、カメラ等のメーターや操作部のパネルなど、表面を加飾後に成形する用途に好適に使用される。
以下の合成例、実施例、比較例における各種物性の測定方法を以下に示した。
装置:GPC(東ソー(株)製)、検出器:RI、測定温度:40℃
移動相:テトラヒドロフラン、流量:0.45mL/min.
数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)は、夫々、分子量既知のポリスチレン試料によって作成した検量線を標準としてGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)にて測定される数平均分子量、重量平均分子量、分子量分布である。なお、カラムは排除限界6万のもの、2万のもの、1万のものを直列に繋いだものを使用した。
樹脂エマルションもしくはインク4gを均一に広がるように容器に入れ、70℃で1時間、ついで130℃で1時間、さらに130℃にて減圧下乾燥することで固形物を得た。
得られた固形物を示差走査熱量計(DSC)(TAインスツルメンツ社製Q2000)を用いて、以下の条件にて測定した。
サンプル容器:アルミニウム製サンプルパン(蓋有り)
サンプル量:5mg
リファレンスアルミニウム製サンプルパン(空の容器)
雰囲気:窒素(流量50mL/min)
開始温度:−80℃
昇温速度:10℃/min
終了温度:130℃
保持時間:1min
降温速度:10℃/min
終了温度:−80℃
保持時間:5min
昇温速度:10℃/min
終了温度:130℃
第一昇温過程にて観測される特徴的な変曲を、ガラス転移温度(Tg)とした。なお、Tgは、DSC曲線からミッドポイント法によって得た値を使用した。
第一昇温過程にて観測される融解ピーク温度を融点(Tm)とした。なお、このときの吸熱量を融解熱量とした。
第一降温過程にて観測される結晶化ピーク温度を結晶化温度(Tc)とした。なお、このときの発熱量を結晶化熱量とした。
体積平均粒径は、ゼータ電位・粒径測定システム(ELSZ−1000、大塚電子株式会社製)を用いて、動的光散乱法により測定した。
まず、インクもしくは樹脂エマルション0.2gを取り、次に、イオン交換水を加えて20倍に希釈し、得られた溶液の一部を石英セルに入れ、サンプルホルダーにセットした。そして、温度:25℃、ダストカット(回数:5、Upper:5、Lower:100)、積算回数:70の条件で測定し、体積平均粒径を得た。
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した2Lの四つ口フラスコに、ジオールとしてビスフェノールAのEO付加物、並びに、ジカルボン酸としてイソフタル酸を、OH/COOH=1.35となるように仕込んだ。そして、反応容器内を十分に窒素ガスで置換した後、300ppm(モノマーに対して)のチタンテトライソプロポキシドを添加し、窒素ガス気流下にて4時間程度で200℃まで昇温し、ついで、2時間かけて230℃に昇温し、流出物がなくなるまで反応を行った。その後、10mmHg〜30mmHgの減圧下、4時間反応させて芳香族含有ポリエステルを得た。
得られた樹脂は、水酸基価(OHV)84mgKOH/g、ガラス転移温度(Tg)45.4℃、重量平均分子量(Mw)3,400であった。
上記で得られた芳香族含有ポリエステルにアセトンを加え、攪拌することで固形量65%のポリエステル樹脂溶液を得た。
攪拌機、温度計、及び還流管を備えた1Lのセパラブルフラスコに、ポリエステルポリオールとして前記ポリエステル樹脂溶液140gを加え、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸10.18g、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート64g、トリエチルアミン6.5g、及び有機溶剤としてアセトン115gを、窒素を導入しながら仕込み、触媒(ジ(2−エチルヘキサン酸)すず(II)を1滴加え、その後60℃に昇温して2時間還流させて、固形量65%にてNCO%が1.6%、重量平均分子量(Mw)6,800のポリエステル系ウレタン樹脂溶液を得た。
前記樹脂溶液を40℃に昇温した後に500rpmの速度で撹拌しながら水410gをゆっくり加えて微粒子化し、30分間加熱撹拌した後、ジエチレントリアミン4.25gを加え、2時間加熱撹拌した。最後にアセトンを除去することで、固形量30%で体積平均粒径(D50)が170nmのポリエステル系ポリウレタン樹脂粒子Aを得た。
乾燥後に得られた樹脂のガラス転移温度(Tg)は70.7℃であった。
攪拌機、温度計、及び還流管を備えた1Lのセパラブルフラスコに、ポリカーボネートポリオールとしてT−5651(旭化成ケミカルズ株式会社製)140g、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸12.2g、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート74g、トリエチルアミン9.2g、及び有機溶剤としてアセトン122gを、窒素を導入しながら仕込み、触媒(ジ(2−エチルヘキサン酸)すず(II)を1滴加え、その後60℃に昇温して2時間還流させて、固形量65%にてNCO%が1.0%、重量平均分子量(Mw)7,400のポリカーボネート系ウレタン樹脂溶液を得た。
前記樹脂溶液を40℃に昇温した後に500rpmの速度で撹拌しながら水440gをゆっくり加えて微粒子化し、30分間加熱撹拌した後、ジエチレントリアミン2.77gを加え、2時間加熱撹拌した。最後にアセトンを除去することで、固形量30%で体積平均粒径(D50)が43nmのポリカーボネート系ポリウレタン樹脂粒子Bを得た。
樹脂溶液を乾燥した後に得られた樹脂は、ガラス転移温度(Tg)は−25.0℃であった。
攪拌機、温度計、及び還流管を備えた1Lのセパラブルフラスコに、ポリエーテルポリオールとしてPTMG1000(和光純薬工業株式会社製)140g、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸10.2g、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート64g、トリエチルアミン6.5g、及び有機溶剤としてアセトン115gを、窒素を導入しながら仕込み、触媒(ジ(2−エチルヘキサン酸)すず(II)を1滴加え、その後60℃に昇温して2時間還流させて、固形量65%にてNCO%が1.6%、重量平均分子量(Mw)6,300のポリエーテル系ウレタン樹脂溶液を得た。
前記樹脂溶液を40℃に昇温した後に500rpmの速度で撹拌しながら水410gをゆっくり加えて微粒子化し、30分間加熱撹拌した後、ジエチレントリアミン4.25g、を加え、2時間加熱撹拌した。最後にアセトンを除去することで、固形量30%で体積平均粒径(D50)が98nmのポリエーテル系ポリウレタン樹脂粒子Cを得た。
樹脂溶液を乾燥した後に得られた樹脂は、ガラス転移温度(Tg)−59.0℃であった。
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5Lの四つ口フラスコに、ジオールとして1,4−ブタンジオール、並びにジカルボン酸としてセバシン酸を、ジオールとジカルボン酸とのモル比がOH/COOH=1.10となるように仕込んだ。そして、反応容器内を十分に窒素ガスで置換した後、モノマーに対して300ppmのチタンテトライソプロポキシドを添加し、窒素ガス気流下にて4時間程度で200℃まで昇温し、ついで、2時間かけて230℃に昇温し、流出水がなくなるまで反応を行った。その後、10mmHg〜30mmHgの減圧下、4時間反応させた。次いで180℃に降温し、酸価調整剤として無水トリメリット酸を酸価が17になるよう添加し、1時間反応させた。
得られた樹脂は、酸価(AV)17.0mgKOH/g、融点(Tm)67℃、結晶化温度(Tc)46℃、数平均分子量(Mn)5,400、重量平均分子量(Mw)13,900であった。
得られた樹脂50gを窒素導入管、攪拌器及び熱電対を装備した300mLの四つ口フラスコに秤量し、メチルエチルケトン50gに窒素気流下40℃で溶解させた後、トリエチルアミン1.53gを添加した。1時間攪拌した後、イオン交換水106gを7.5g/minにて滴下し、30分間攪拌後にメチルエチルケトンを減圧除去することで、固形量30%で体積平均粒径(D50)が116nmの結晶性ポリエステル樹脂エマルションを得た。
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5Lの四つ口フラスコに、ジオールとして1,4−ブタンジオール、並びにジカルボン酸としてセバシン酸を、ジオールとジカルボン酸とのモル比がOH/COOH=1.10となるように仕込んだ。そして、反応容器内を十分に窒素ガスで置換した後、モノマーに対して300ppmのチタンテトライソプロポキシドを添加し、窒素ガス気流下にて4時間程度で200℃まで昇温し、ついで、2時間かけて230℃に昇温し、流出水がなくなるまで反応を行った。その後、10mmHg〜30mmHgの減圧下、4時間反応させた。次いで180℃に降温し、酸価調整剤として無水トリメリット酸を酸価が30になるよう添加し、1時間反応させた。
得られた樹脂は、酸価(AV)29.8mgKOH/g、融点(Tm)68℃、結晶化温度(Tc)45℃、数平均分子量(Mn)5,400、重量平均分子量(Mw)13,300であった。
得られた樹脂50gを窒素導入管、攪拌器及び熱電対を装備した300mLの四つ口フラスコに秤量し、メチルエチルケトン50gに窒素気流下40℃で溶解させた後、トリエチルアミン2.71gを添加した。1時間攪拌した後、イオン交換水106gを7.5g/minにて滴下し、30分間攪拌後にメチルエチルケトンを減圧除去することで、固形量30%で体積平均粒径(D50)が50nmの結晶性ポリエステル樹脂エマルションを得た。
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5Lの四つ口フラスコに、ジオールとしてプロピレングリコール、並びに、ジカルボン酸としてテレフタル酸及びコハク酸を、モル比(テレフタル酸/コハク酸)=80/20、COOH/OH=1.2となるように仕込んだ。そして、反応容器内を十分に窒素ガスで置換した後、300ppm(モノマーに対して)のチタンテトライソプロポキシドを添加し、窒素ガス気流下にて4時間程度で200℃まで昇温し、ついで、2時間かけて230℃に昇温し、流出物がなくなるまで反応を行った。その後、10mmHg〜30mmHgの減圧下、4時間反応させた。
得られた樹脂は、酸価(AV)1.3mgKOH/g、水酸基価(OHV)16mgKOH/g、ガラス転移温度(Tg)62.8℃、重量平均分子量(Mw)12,400であった。
得られた樹脂50gを窒素導入管、攪拌器及び熱電対を装備した300mLの四つ口フラスコに秤量し、メチルエチルケトン50gに窒素気流下40℃で溶解させた後、トリエチルアミン1.44gを添加した。1時間攪拌した後、イオン交換水106gを7.5g/minにて滴下し、30分間攪拌後にメチルエチルケトンを減圧除去することで、固形量30%で体積平均粒径(D50)が146nmの非晶性ポリエステル樹脂エマルションを得た。
下記処方のインクを調製し、pHを調整した後、平均孔径5μmのメンブレンフィルターで濾過を行い、インク1を作製した。
<インク処方>
・ブラック顔料分散液(花王製P−AK512) ・・・22.91質量%
・ポリエステル系ポリウレタン樹脂粒子A ・・・13.00質量%
・結晶性ポリエステル樹脂粒子D ・・・ 2.00質量%
・有機溶剤としてのジエチレングリコールモノメチルエーテル ・・・15.0質量%
・有機溶剤としてのプロピレングリコール ・・・14.0質量%
・有機溶剤としての3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド
・・・5質量%
・有機溶剤としての2−エチル−1,3−ヘキサンジオール ・・・2質量%
・シリコーン系界面活性剤(L−7002、東レ・ダウコーニング株式会社製)
・・・1.0質量%
・フッ素系界面活性剤(メガファックF−444、DIC株式会社製)
・・・1.0質量%
・防腐防カビ剤(プロキセルLV、アベシア社製) ・・・0.05質量%
・pH調整剤(トリエタノールアミン) ・・・0.3質量%
・水 ・・・残量(合計:100質量%)
ポリエステル系ポリウレタン樹脂粒子Aを10.00質量%、結晶性ポリエステル樹脂粒子Dを5.00質量%としたことを除き、実施例1と同じ手順でインク2を調製した。
ポリエステル系ポリウレタン樹脂粒子Aを5.00質量%、結晶性ポリエステル樹脂粒子Dを10.00質量%としたことを除き、実施例1と同じ手順でインク3を調製した。
結晶性ポリエステル樹脂粒子Dの代わりに結晶性ポリエステル樹脂粒子Eを使用したことを除き、実施例2と同じ手順でインク4を調製した。なお各樹脂の配合量は表1に示した。
ポリエステル系ポリウレタン樹脂Aの代わりにポリカーボネート系ポリウレタン樹脂Bを使用したことを除き、実施例2と同じ手順でインク5を調製した。なお各樹脂の配合量は表1に示した。
ポリエステル系ポリウレタン樹脂Aの代わりにポリエーテル系ポリウレタン樹脂Cを使用したことを除き、実施例2と同じ手順でインク6を調製した。なお各樹脂の配合量は表1に示した。
結晶性樹脂を添加せず、ポリエステル系ポリウレタン樹脂Aを15.00質量%使用したことを除き、実施例1と同じ手順でインク7を調製した。
ポリエステル系ポリウレタン樹脂Aの代わりに、非晶性ポリエステル樹脂Fを使用したことを除き、実施例2と同じ手順でインク10を調製した。なお各樹脂の配合量は表1に示した。
ポリエステル系ポリウレタン樹脂Aを添加せず、結晶性ポリエステル樹脂粒子Dを15.00質量%使用したことを除き、実施例1と同じ手順でインク11を調製した。
まず、作製したインクをインクジェットプリンター(IPSiO GXe5500、リコー製)に充填し、50℃に加熱したポリプロピレン系合成紙(FPU−130、ユポ製)上に2cm四方のベタ画像を1200×1200dpiで印刷し、70℃のホットプレート上で3分間加熱乾燥をおこなった。そして、CM−1型クロックメータに両面テープで取り付けた定量ろ紙(No.5A、アドベンテック東洋株式会社社製)を印字部位に当てるように10往復させた後、擦過部の画像の反射濃度をX−Rite939(X−Rite社製)で測定し、同様にして測定した非試験部の画像の反射濃度から差し引いて、反射濃度変化量を下記評価基準により判定した。
〔評価基準〕
◎:0.1未満
○:0.1以上、0.2未満
×:0.2以上
まず、作製したインクをインクジェットプリンター(IPSiO GXe5500、リコー製)に充填し、50℃に加熱したポリプロピレン系合成紙(FPU−130、ユポ製)上にベタ画像を1200×1200dpiで印刷し、70℃のホットプレート上で3分間加熱乾燥をおこなった。
次に、記録媒体上に形成されたベタ画像に対し、粘着テープ(123LW−50、ニチバン社製)を用いた碁盤目剥離(クロスカット)試験により記録媒体に対する密着性を評価した。具体的には、1mm×1mmに切れ込みを入れた試験マス目100個に粘着テープを貼り付け、すばやく剥離した後に損傷せず完全に残っているマス目の数をカウントし、下記評価基準に基づいてランク評価した。評価がC以上である場合を実用可能であると判断した。
〔評価基準〕
A:残存マス数が100個
B:残存マス数が50個以上100個未満
C:残存マス数が1個以上50個未満
D:残存マス数が0個
まず、作製したインクをインクジェットプリンター(IPSiO GXe5500、リコー製)に充填し、50℃に加熱したポリプロピレン系合成紙(FPU−130、ユポ製)上に2cm四方のベタ画像を1200×1200dpiで印刷し、70℃のホットプレート上で3分間加熱乾燥をおこなった。そして、加熱乾燥直後に、ベタ画像に対し、印刷されていない同記録媒体(ポリプロピレン系合成紙 FPU−130、ユポ社製)を重ねた。更に、その上から加重(0.5kg/cm2)した状態で、25℃50%RHの環境下に24時間放置し、その後、次の基準でブロッキングの程度を評価した。
〔評価基準〕
◎:ブロッキングなし
○:わずかにブロッキング(合紙にわずかに転写)
×:完全にブロッキング(合紙にはっきりと転写部が分かる)
各インクを、密封状態にして70℃で2週間保管し、保管前と保管後の粘度を測定し、下記式により粘度変化率を計算した。
粘度変化率(%)=(保管後粘度−保管前粘度)×100/保管前粘度
◎:粘度変化率が3%未満
○:粘度変化率が3%以上10%未満
×:粘度変化率が10%以上
401 画像形成装置の外装
401c 装置本体のカバー
404 カートリッジホルダ
410 メインタンク
410k、410c、410m、410y ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色用のメインタンク
411 インク収容部
413 インク排出口
414 収容容器ケース
420 機構部
434 吐出ヘッド
436 供給チューブ
Claims (12)
- 色材、非晶性ポリウレタン樹脂および結晶性ポリエステル樹脂を含み、下記測定条件で行われる示差走査熱量測定(DSC)において、降温過程において結晶化ピークが観測されることを特徴とするインク。
〔測定条件〕
前記インクを乾燥させて得た固形物を示差走査熱量計(DSC)を用いて、窒素雰囲気下、−80℃に保持した後、10℃/minの昇温速度にて130℃まで加熱し、1分間保持した後に、10℃/minの降温速度にて−80℃まで冷却する。 - 前記インクの結晶化ピークにおける結晶化熱量が0.5〜20J/gであることを特徴とする請求項1に記載のインク。
- 前記インクの結晶化温度が0〜60℃の範囲であることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載のインク。
- 前記インクの融解熱量が0.5〜20J/gであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のインク。
- 前記インクの融解温度が30〜100℃の範囲であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインク。
- 前記結晶性ポリエステル樹脂の酸価が8〜50mgKOH/gの範囲にあることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のインク。
- 前記結晶性ポリエステル樹脂の結晶性セグメントが脂肪族ポリエステルであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のインク。
- 前記非晶性ポリウレタン樹脂が非晶性ポリエステルセグメントを有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のインク。
- 前記非晶性ポリウレタン樹脂がポリアミンにより架橋もしくは伸長されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のインク。
- 請求項1〜9のいずれかに記載のインクを収容したインク収容部を有することを特徴とするインク収容容器。
- インクを記録ヘッドのノズルから吐出させ、前記インクを記録媒体に付与して記録する工程を有するインクジェット記録方法であって、前記インクが、請求項1〜9のいずれかに記載のインクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
- インクを記録ヘッドのノズルから吐出させ、前記インクを記録媒体に付与して記録する手段を有するインクジェット記録装置であって、前記インクが、請求項1〜9のいずれかに記載のインクであることを特徴とするインクジェット記録装置。
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