JP2020145009A - イオン伝導体および蓄電デバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】焼成を行うことなく加圧成形された成形体の状態において、高いリチウムイオン伝導性を発揮することができるイオン伝導体を提供する。【解決手段】イオン伝導体202,204,206は、リチウムイオン伝導性粉末を含む。リチウムイオン伝導性粉末は、(1)LiとClとOとを少なくとも含有し、アンチペロブスカイト型またはアンチペロブスカイト型類似の結晶構造を有するセラミックス粉末と、(2)LiとClとOとを少なくとも含有し、アンチペロブスカイト型またはアンチペロブスカイト型類似の結晶構造を有するガラスセラミックス粉末と、(3)LiとClとOとを少なくとも含有するガラス粉末と、の少なくとも1つを含む。イオン伝導体は、さらに、リチウムイオン伝導性を有するイオン液体を含む。【選択図】図1

Description

本明細書によって開示される技術は、イオン伝導体に関する。
近年、パソコンや携帯電話等の電子機器の普及、電気自動車の普及、太陽光や風力等の自然エネルギーの利用拡大等に伴い、高性能な電池の需要が高まっている。なかでも、電池要素がすべて固体で構成された全固体リチウムイオン二次電池(以下、「全固体電池」という。)の活用が期待されている。全固体電池は、有機溶媒にリチウム塩を溶解させた有機電解液を用いる従来型のリチウムイオン二次電池と比べて、有機電解液の漏洩や発火等のおそれがないため安全であり、また、外装を簡略化することができるため単位質量または単位体積あたりのエネルギー密度を向上させることができる。
全固体電池を構成する固体電解質層や電極に用いる固体電解質としては、例えば、酸化物系リチウムイオン伝導体や硫化物系リチウムイオン伝導体が用いられる。代表的な酸化物系リチウムイオン伝導体としては、LiとLaとZrとOとを少なくとも含有するガーネット型の結晶構造を有するイオン伝導性粉末であるLiLaZr12(以下、「LLZ」という。)がある。LLZは、粉末を加圧成形した成形体(圧粉体)の状態においては、粒子間の密着性が低いため、リチウムイオン伝導率が低い。LLZに対して焼結や蒸着等の熱処理を行うことにより、リチウムイオン伝導率を高くすることはできるが、粉末を加圧成形する場合と比べて、熱処理に伴う反りや変形によって電池の大型化が困難になると共に、電極等の材料選択の自由度が低下する。
一方、硫化物系リチウムイオン伝導体は、粉末を加圧成形した成形体の状態において、粒子間の密着性が高いため、リチウムイオン伝導率が高い。しかし、硫化物系リチウムイオン伝導体は、大気中で水分と反応して硫化水素ガスを発生するため、安全面において好ましくない場合がある。
また、酸化物系リチウムイオン伝導体と硫化物系リチウムイオン伝導体とを混合してリチウムイオン伝導体を作製することにより、安全性の向上とリチウムイオン伝導率の向上とを両立させる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
米国特許出願公開第2015/0171463号明細書
上記のような酸化物系リチウムイオン伝導体や硫化物系リチウムイオン伝導体を含むイオン伝導体は、リチウムイオン伝導率または安全面において向上の余地がある。
なお、このような課題は、全固体電池の固体電解質層や電極に用いられるイオン伝導体に限らず、リチウムイオン伝導性を有するイオン伝導体一般に共通の課題である。
本明細書では、上述した課題を解決することが可能な技術を開示する。
本明細書に開示される技術は、例えば、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本明細書に開示されるイオン伝導体は、リチウムイオン伝導性粉末を含むイオン伝導体において、前記リチウムイオン伝導性粉末は、LiとClとOとを少なくとも含有し、アンチペロブスカイト型またはアンチペロブスカイト型類似の結晶構造を有するセラミックス粉末と、LiとClとOとを少なくとも含有し、アンチペロブスカイト型またはアンチペロブスカイト型類似の結晶構造を有するガラスセラミックス粉末と、LiとClとOとを少なくとも含有するガラス粉末と、の少なくとも1つを含み、前記イオン伝導体は、さらに、リチウムイオン伝導性を有するイオン液体を含む。本イオン伝導体によれば、高温焼成を行うことなく加圧成形された成形体の状態において、リチウムイオン伝導性粉末の粒界におけるリチウムイオン伝導性を向上させることができ、その結果、イオン伝導体全体のリチウムイオン伝導性を向上させることができる。
(2)上記イオン伝導体において、前記イオン伝導体における前記リチウムイオン伝導性粉末の含有量と前記イオン液体の含有量との体積割合(vol%)は、前記リチウムイオン伝導性粉末:前記イオン液体=(100−X):X、ただし4<X<21である構成としてもよい。本イオン伝導体によれば、イオン液体の含有割合が過大となってイオン液体の染み出しが発生することを抑制しつつ、イオン伝導体のリチウムイオン伝導性を効果的に向上させることができる。
(3)上記イオン伝導体において、前記イオン液体は、イミダゾリウム系のカチオンを含むイオン液体である構成としてもよい。本イオン伝導体によれば、イオン伝導体のリチウムイオン伝導性を効果的に向上させることができる。
(4)上記イオン伝導体において、前記リチウムイオン伝導性粉末の25℃におけるヤング率は、100GPa以下である構成としてもよい。本イオン伝導体によれば、イオン伝導体の内部に多くのイオン液体を保持させることによってリチウムイオン伝導性粉末の粒界におけるリチウムイオン伝導性を効果的に向上させることができ、その結果、イオン伝導体全体のリチウムイオン伝導性を効果的に向上させることができる。
(5)上記イオン伝導体において、25℃におけるリチウムイオン伝導率が1.0×10−5S/cm以上である構成としてもよい。本イオン伝導体によれば、リチウムイオン伝導率が1.0×10−5S/cm以上と高い電気的性能を有するイオン伝導体を提供することができる。
(6)本明細書に開示される蓄電デバイスは、固体電解質層と、正極と、負極と、を備え、前記固体電解質層と、前記正極と、前記負極との少なくとも1つは、上記イオン伝導体を含む構成としてもよい。本蓄電デバイスによれば、固体電解質層と正極と負極との少なくとも1つのリチウムイオン伝導性を向上させることができ、ひいては、蓄電デバイスの電気的性能を向上させることができる。
なお、本明細書に開示される技術は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、イオン伝導体、イオン伝導体を含むリチウム電池、イオン伝導体を含む蓄電デバイス、それらの製造方法等の形態で実現することが可能である。
本実施形態における全固体リチウムイオン二次電池102の断面構成を概略的に示す説明図である。 第1の性能評価結果を示す説明図である。 第1の性能評価結果を示す説明図である。 第2の性能評価結果を示す説明図である。
A.実施形態:
A−1.全固体電池102の構成:
(全体構成)
図1は、本実施形態における全固体リチウムイオン二次電池(以下、「全固体電池」という。)102の断面構成を概略的に示す説明図である。図1には、方向を特定するための互いに直交するXYZ軸が示されている。本明細書では、便宜的に、Z軸正方向を上方向といい、Z軸負方向を下方向という。
全固体電池102は、電池本体110と、電池本体110の一方側(上側)に配置された正極側集電部材154と、電池本体110の他方側(下側)に配置された負極側集電部材156とを備える。正極側集電部材154および負極側集電部材156は、導電性を有する略平板形状部材であり、例えば、ステンレス鋼、Ni(ニッケル)、Ti(チタン)、Fe(鉄)、Cu(銅)、Al(アルミニウム)、これらの合金から選択される導電性金属材料、炭素材料等によって形成されている。以下の説明では、正極側集電部材154と負極側集電部材156とを、まとめて集電部材ともいう。
(電池本体110の構成)
電池本体110は、電池要素がすべて固体で構成されたリチウムイオン二次電池本体である。なお、本明細書において、電池要素がすべて固体で構成されているとは、すべての電池要素の骨格が固体で構成されていることを意味し、例えば該骨格中に液体が含浸した形態等を排除するものではない。電池本体110は、正極114と、負極116と、正極114と負極116との間に配置された固体電解質層112とを備える。以下の説明では、正極114と負極116とを、まとめて電極ともいう。電池本体110は、特許請求の範囲における蓄電デバイスに相当する。
(固体電解質層112の構成)
固体電解質層112は、略平板形状の部材であり、固体電解質であるリチウムイオン伝導体202を含んでいる。固体電解質層112に含まれるリチウムイオン伝導体202の構成については、後に詳述する。
(正極114の構成)
正極114は、略平板形状の部材であり、正極活物質214を含んでいる。正極活物質214としては、例えば、S(硫黄)、TiS、LiCoO、LiMn、LiFePO等が用いられる。また、正極114は、リチウムイオン伝導助剤としての固体電解質であるリチウムイオン伝導体204を含んでいる。正極114は、さらに電子伝導助剤(例えば、導電性カーボン、Ni(ニッケル)、Pt(白金)、Ag(銀))を含んでいてもよい。
(負極116の構成)
負極116は、略平板形状の部材であり、負極活物質216を含んでいる。負極活物質216としては、例えば、Li金属、Li−Al合金、LiTi12、カーボン、Si(ケイ素)、SiO等が用いられる。また、負極116は、リチウムイオン伝導助剤としての固体電解質であるリチウムイオン伝導体206を含んでいる。負極116は、さらに電子伝導助剤(例えば、導電性カーボン、Ni、Pt、Ag)を含んでいてもよい。
A−2.リチウムイオン伝導体の構成:
次に、固体電解質層112に含まれるリチウムイオン伝導体202の構成について説明する。なお、正極114に含まれるリチウムイオン伝導体204および負極116に含まれるリチウムイオン伝導体206の構成は、固体電解質層112に含まれるリチウムイオン伝導体202の構成と同様であるため、説明を省略する。
本実施形態において、固体電解質層112に含まれるリチウムイオン伝導体202は、リチウムイオン伝導性粉末を含んでいる。本実施形態のリチウムイオン伝導体202に含まれるリチウムイオン伝導性粉末は、(1)LiとClとOとを少なくとも含有し、アンチペロブスカイト型またはアンチペロブスカイト型類似の結晶構造を有するセラミックス粉末(以下、「特定セラミックス粉末」という。)と、(2)LiとClとOとを少なくとも含有し、アンチペロブスカイト型またはアンチペロブスカイト型類似の結晶構造を有するガラスセラミックス粉末(以下、「特定ガラスセラミックス粉末」という。)と、(3)LiとClとOとを少なくとも含有するガラス粉末(以下、「特定ガラス粉末」という。)と、の少なくとも1つを含むように構成されている。なお、以下では、便宜上、特定セラミックス粉末と特定ガラスセラミックス粉末と特定ガラス粉末とをまとめて、「アンチペロブスカイト系イオン伝導性粉末」と呼ぶ。
ここで、ペロブスカイト型の結晶構造を有する物質は、化学式ABOで表される酸化物であるのに対し、アンチペロブスカイト型(逆ペロブスカイト型とも呼ばれる)の結晶構造を有する物質は、化学式ABOで表される酸化物である。なお、ある粉末が、アンチペロブスカイト型またはアンチペロブスカイト型類似の結晶構造を有するか否かは、XRD分析を行うことにより特定することができる。
特定セラミックス粉末としては、LiClO粉末や、LiClOにおける一部のClが他の元素(例えば、I)に置換された材料の粉末を用いることができる。また、特定ガラスセラミックス粉末や特定ガラス粉末としては、例えば、特定セラミックス粉末に対して、一部または全部を非晶質化させる処理(例えば、加熱後に急冷する処理や荷重を加える処理)を行ったものを用いることができる。
なお、アンチペロブスカイト系イオン伝導性粉末は、比較的柔らかい材料である。アンチペロブスカイト系イオン伝導性粉末の25℃におけるヤング率は、100GPa以下であることが好ましい。例えば、LiClO粉末の25℃におけるヤング率の理論値は、92〜94GPaである。これは、例えば、LiとLaとZrとOとを少なくとも含有するガーネット型の結晶構造を有するリチウムイオン伝導性粉末であるLiLaZr12(LLZ)の25℃におけるヤング率の理論値(約150GPa)と比べてかなり低い値である。
リチウムイオン伝導体202に含まれるリチウムイオン伝導性粉末のヤング率は、以下のように特定することができる。すなわち、リチウムイオン伝導体202の試料を対象としたXRD分析を行うことにより、リチウムイオン伝導体202に含有されるリチウムイオン伝導性粉末の材料の構造を同定する。次に、同定された材料について、ヤング率の理論値を求めることによりヤング率を特定する。
また、本実施形態において、リチウムイオン伝導体202は、さらに、リチウムイオン伝導性を有するイオン液体を含んでいる。リチウムイオン伝導性を有するイオン液体は、例えば、リチウム塩を溶解させたイオン液体である。なお、イオン液体は、カチオンおよびアニオンのみからなり、常温で液体の物質である。
上記リチウム塩としては、例えば、4フッ化ホウ酸リチウム(LiBF)、6フッ化リン酸リチウム(LiPF)、過塩素酸リチウム(LiClO)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(Li(CFSO))、リチウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiN(CFSO)(以下、「Li−TFSI」という。)、リチウム ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド(LiN(CSO)等が用いられる。
また、上記イオン液体としては、カチオンとして、
ブチルトリメチルアンモニウム、トリメチルプロピルアンモニウム等のアンモニウム系、
1−エチル−3メチルイミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム等のイミダゾリウム系、
1−ブチル−1−メチルピペリジニウム、1−メチル−1−プロピルピペリジニウム等のピペリジニウム系、
1−ブチル−4−メチルピリジニウム、1−エチルピリジニウム等のピリジニウム系、
1−ブチル−1−メチルピロリジニウム、1−メチル−1−プロピルピロリジニウム等のピロリジニウム系、
トリメチルスルホニウム、トリエチルスルホニウム等のスルホニウム系、
ホスホニウム系、
モルホリウム系、
等を有するものが用いられる。
また、上記イオン液体としては、アニオンとして、
Cl、Br等のハロゲン化物系、
BF 等のホウ素化物系、
(NC)
(CFSO、(FSO等のアミン系、
CHSO
CFSO 等のスルファート、スルホナート系、
PF 等のリン酸系、
等を有するものが用いられる。
より具体的には、上記イオン液体として、ブチルトリメチルアンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリメチルプロピルアンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム ビス(フルオロスルホニル)イミド(以下、「EMI−FSI」という。)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム テトラフルオロボレート、1−メチル−1−プロピルピロリジニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド等が用いられる。
なお、リチウムイオン伝導体202に含まれるイオン液体として、イミダゾリウム系のカチオンを含むイオン液体を用いることが好ましい。イミダゾリウム系のカチオンを含むイオン液体としては、例えば、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム ビス(フルオロスルホニル)イミドや1−エチル−3−メチルイミダゾリウム テトラフルオロボレート等が挙げられる。イオン液体がイミダゾリウム系のカチオンを含むか否かは、以下のように特定することができる。すなわち、無機固体電解質成分から有機成分を有機溶媒等へ溶解させて分離した後、ICP発光分析による元素分析と、分子量を把握するための液体クロマトグラフによる質量分析とを用いることで、イミダゾリウム等の目的物の分子量を特定する。さらに、赤外吸光分光法により、官能基や分子内の結合状態を特定する。これらを組み合わせた分析により、イオン液体がイミダゾリウム系のカチオンを含むか否かを特定する。また、必要に応じて、さらに、NMR(磁気共鳴)装置による分子中の構造の特定結果を組み合わせて、イオン液体がイミダゾリウム系のカチオンを含むか否かを特定する。
このように、本実施形態のリチウムイオン伝導体202は、アンチペロブスカイト系イオン伝導性粉末と、リチウムイオン伝導性を有するイオン液体とを含んでおり、加圧成形された成形体(圧粉体)の状態において高いリチウムイオン伝導性(25℃におけるリチウムイオン伝導率が1.0×10−5S/cm以上)を発揮する。本実施形態のリチウムイオン伝導体202がこのような高いリチウムイオン伝導性を有する理由は、必ずしも明らかではないが、以下のように推測される。
アンチペロブスカイト系イオン伝導性粉末は、単体では、材料の粒界抵抗が大きく、リチウムイオン伝導率が低い。しかしながら、本実施形態のリチウムイオン伝導体202は、アンチペロブスカイト系イオン伝導性粉末に加えて、リチウムイオン伝導性を有するイオン液体を含んでいる。そのため、アンチペロブスカイト系イオン伝導性粉末の表面にイオン液体が存在することとなり、これによりアンチペロブスカイト系イオン伝導性粉末の粒界におけるリチウムイオン伝導性が向上し、その結果、リチウムイオン伝導体202全体のリチウムイオン伝導性が向上するものと考えられる。
また、アンチペロブスカイト系イオン伝導性粉末は、比較的柔らかい材料であるため、加圧により塑性変形しやすい。そのため、アンチペロブスカイト系イオン伝導性粉末とイオン液体とを含む本実施形態のリチウムイオン伝導体202を加圧すると、アンチペロブスカイト系イオン伝導性粉末が塑性変形することによってリチウムイオン伝導体202内に多数の閉気孔が形成され、該閉気孔内に多くのイオン液体が閉じ込められる。これにより、アンチペロブスカイト系イオン伝導性粉末の粒界におけるリチウムイオン伝導性が効果的に向上し、高いリチウムイオン伝導性を有するリチウムイオン伝導体202の成形体を得ることができるものと考えられる。
なお、リチウムイオン伝導体202におけるアンチペロブスカイト系イオン伝導性粉末の含有量とイオン液体の含有量との体積割合(vol%)は、アンチペロブスカイト系イオン伝導性粉末:イオン液体=(100−X):X、ただし4<X<21であることが好ましい。このような構成とすれば、イオン液体の含有割合が過大となってイオン液体の染み出しが発生することを抑制しつつ、イオン液体の存在によりアンチペロブスカイト系イオン伝導性粉末の粒界におけるリチウムイオン伝導性を効果的に向上させてリチウムイオン伝導体202全体のリチウムイオン伝導性を効果的に向上させることができる。なお、イオン液体の含有割合Xは、7以下であることがより好ましく、14以下であることが一層好ましい。また、イオン液体の含有割合Xは、20以下としてもよく、18以下としてもよく、16以下としてもよい。
また、本実施形態のリチウムイオン伝導体202は、アンチペロブスカイト系イオン伝導性粉末およびイオン液体に加えて、さらにバインダを含んでいてもよい。リチウムイオン伝導体202がバインダを含むことにより、リチウムイオン伝導体202の成形性やハンドリング性を向上させることができる。バインダとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)の共重合体、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリイミド、ポリアミド、シリコーン(ポリシロキサン)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)等が用いられる。ただし、上述したように、バインダはリチウムイオン伝導性低下の要因となり得るため、リチウムイオン伝導体202はバインダを含まないことが好ましく、リチウムイオン伝導体202がバインダを含む場合にはその含有量はより少ないことが好ましい。なお、リチウムイオン伝導体202が硫化物系リチウムイオン伝導体を含まないと、安全面を向上させることができるため、より好ましい。
なお、リチウムイオン伝導体202の組成(アンチペロブスカイト系イオン伝導性粉末、イオン液体、(バインダを含有する場合には)バインダの含有割合(vol%))は、以下のように特定することができる。すなわち、対象物(例えば、リチウムイオン伝導体202から構成される固体電解質層112)を各物質が固定された状態を得るために、液体窒素等で凍結させ、もしくは、4官能性のエポキシ系等樹脂にて埋め込み固めた後、切断して切断面を露出させ、この切断面を研磨して研磨面を得る。この研磨面において無作為に選択した5000倍の視野を対象に、走査型電子顕微鏡(SEM)のエネルギー分散型X線分光器(EDS)を用いて、アンチペロブスカイト系イオン伝導性粉末の元素(例えば、LiClOの場合には、Li,Cl)と、イオン液体の元素(例えば、EMI−FSIを含む場合には、S)と、バインダの元素(例えば、PVDFの場合には、F)の分布を特定したり、反射電子像のコントラストを画像解析したりすることにより、アンチペロブスカイト系イオン伝導性粉末、イオン液体、(バインダを含有する場合には)バインダの面積割合を特定し、これをアンチペロブスカイト系イオン伝導性粉末、イオン液体、(バインダを含有する場合には)バインダの体積割合とみなして、それらの体積割合を特定する。なお、リチウムイオン伝導体202がイオン液体とバインダを含有する場合には、上述のSEM観察により予め固体電解質と複合成分(イオン液体およびバインダ成分)の割合を特定したのち、複合電解質材料中からイオン液体とバインダとを分離・抽出し、分離・抽出物の含有成分を定量することで、SEM観察と合わせて複合的に含有割合を求めることができる。
A−3.全固体電池102の製造方法:
次に、本実施形態の全固体電池102の製造方法の一例を説明する。はじめに、固体電解質層112を作製する。具体的には、アンチペロブスカイト系イオン伝導性粉末と、リチウムイオン伝導性を有するイオン液体とを準備し、両者を所定の割合で混合して複合粉末を得る。得られた複合粉末を所定の圧力で加圧成形する、または、得られた複合粉末をバインダを用いてシート状に成形した後、所定の圧力で加圧成形する。これにより、アンチペロブスカイト系イオン伝導性粉末とリチウムイオン伝導性を有するイオン液体とを含むリチウムイオン伝導体202から構成された固体電解質層112が作製される。
また、別途、正極114および負極116を作製する。具体的には、正極活物質214の粉末と上述した複合粉末と必要により電子伝導助剤の粉末、バインダ、有機溶剤とを所定の割合で混合し、成形することにより正極114を作製する。また、負極活物質216の粉末と上述した複合粉末と必要により電子伝導助剤の粉末、バインダ、有機溶剤とを混合し、成形することにより負極116を作製する。
次に、正極側集電部材154と、正極114と、固体電解質層112と、負極116と、負極側集電部材156とをこの順に積層して加圧することにより一体化する。以上の工程により、上述した構成の全固体電池102が製造される。
A−4.性能評価:
リチウムイオン伝導体を対象とした性能評価を行った。図2および図3は、アンチペロブスカイト系イオン伝導性粉末とイオン液体とから構成されたリチウムイオン伝導体を対象とした、リチウムイオン伝導体の組成についての性能評価(以下、「第1の性能評価」という。)の結果を示す説明図である。また、図4は、リチウムイオン伝導性粉末とイオン液体とから構成されたリチウムイオン伝導体を対象とした、リチウムイオン伝導体の材料についての性能評価(以下、「第2の性能評価」という。)の結果を示す説明図である。
図2および図3に示すように、第1の性能評価には、6個のサンプル(S1〜S6)が用いられた。各サンプルは、アンチペロブスカイト系イオン伝導性粉末(具体的には、LiClO)と、イオン液体(具体的には、Li−TFSIを溶解させたEMI−FSI(以下、「EMI−FSI(LiTFSI)」という。))とから構成されたリチウムイオン伝導体である。ただし、サンプルS1のリチウムイオン伝導体は、アンチペロブスカイト系イオン伝導性粉末のみから構成されており、イオン液体を含んでいない。各サンプルは、リチウムイオン伝導体の組成、より具体的には、アンチペロブスカイト系イオン伝導性粉末とイオン液体との含有量の体積割合(vol%)が、互いに異なっている。なお、図3のグラフの各プロットに付された数字は、図2に示されたサンプル番号を示している。
また、図4に示すように、第2の性能評価には、5個のサンプル(S3,S7〜S10)が用いられた。なお、サンプルS3は、第1の性能評価に用いられたサンプルS3と同一である。各サンプルは、各種のリチウムイオン伝導性粉末とイオン液体とから構成されたリチウムイオン伝導体であり、リチウムイオン伝導性粉末とイオン液体との含有量の体積割合(vol%)は互いに同一(すべて93:7)である。各サンプルは、リチウムイオン伝導性粉末およびイオン液体の材料が、互いに異なっている。具体的には、リチウムイオン伝導性粉末について、サンプルS3,S10では、アンチペロブスカイト系イオン伝導性粉末であるLiClOが用いられ、サンプルS7では、ハロゲン化リチウムであるLiIが用いられ、サンプルS8では、錯体水素化物であるLi1212が用いられ、サンプルS9では、LiとLaとZrとOとを少なくとも含有するガーネット型の結晶構造を有するリチウムイオン伝導性粉末である上述したLLZが用いられた。また、イオン液体について、サンプルS3,S7〜S9では、EMI−FSI(LiTFSI)が用いられ、サンプルS10では、イオン液体であるN−メチル−N−プロピルピペリジニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド(以下、「PP13−FSI」という。)に、リチウム塩であるLi−TFSIを溶解させたもの(以下、「PP13−FSI(LiTFSI)」という。)が用いられた。
第1の性能評価および第2の性能評価におけるサンプルの作製方法および評価方法は、以下の通りである。
(第1の性能評価)
アンチペロブスカイト系イオン伝導性粉末であるLiClO(純度99%)(高純度化学研究所製)を乳鉢で粉砕し、250メッシュの篩を通して、評価用のLiClOを得た。また、イオン液体であるEMI−FSI(富士フイルム和光純薬製)に、リチウム塩であるLi−TFSI(高純度化学研究所製)を0.8mol/l複合することにより、リチウム塩を溶解させたイオン液体であるEMI−FSI(LiTFSI)を得た。
アルゴン雰囲気において、得られたLiClO粉末とEMI−FSI(LiTFSI)とを、全量を0.5gとして、サンプル毎に定められた体積割合で配合し、乳鉢を用いて混合することにより、LiClOとEMI−FSI(LiTFSI)との複合粉末を得た。なお、上述したように、サンプルS1では、この複合粉末の代わりにLiClO粉末が用いられた。また、アルゴン雰囲気において、上述した方法により作製された複合粉末(ただし、サンプルS1ではLiClO粉末、以下同様)約0.15gを、直径10mmの絶縁性筒に投入し、上下から360MPaの圧力で加圧成形を行うことより、リチウムイオン伝導体の成形体(圧粉体)を作製した。
各サンプルについて、作製されたリチウムイオン伝導体の円板状の成形体の円板の両面にSUS製の集電端子を付けた状態にて、加圧治具を用いて約50MPaの荷重で固定し、室温(25℃)でのリチウムイオン伝導率を測定した。リチウムイオン伝導率の測定は、バイオロジック社のVSP300を用いて、周波数:7MHz〜0.1Hzの範囲を15mVの交流電圧条件にて行った。この条件により得られた結果をコールコールプロットにより表記したところ、得られた波形は、主に円弧が1つと右肩上がりの直線が1つ観測され、該円弧は0Ωには収束していないものであった。この円弧の箇所をイオン液体とリチウムイオン伝導性粉末(固体電解質)が関与することで生じた粒界の抵抗とし、該円弧の低周波側の末端個所から得られた値と共に、サンプルの厚さや電極の面積の値を使用し、リチウムイオン伝導率を算出した。
(第2の性能評価)
第2の性能評価は、リチウムイオン伝導体を構成する材料(リチウムイオン伝導性粉末およびイオン液体)が異なること以外は、上述した第1の性能評価と同様に行った。なお、リチウムイオン伝導性粉末について、サンプルS7では、LiClO粉末の代わりにLiI粉末(高純度化学研究所製)が用いられ、サンプルS8では、LiClO粉末の代わりにLi1212粉末が用いられ、サンプルS9では、LiClO粉末の代わりにLLZ粉末(豊島製作所製)が用いられた。Li1212粉末は、Li1212・4HO(KATCHME社製)の粉末を脱水し、メカニカルミリング処理を用いて作製した。また、イオン液体について、サンプルS10では、イオン液体であるPP13−FSI(和光純薬製)に、リチウム塩であるLi−TFSI(高純度化学研究所製)を0.8mol/l複合することにより得られたリチウム塩を溶解させたイオン液体であるPP13−FSI(LiTFSI)が用いられた。
(第1の性能評価の結果)
図2および図3に示すように、アンチペロブスカイト系イオン伝導性粉末(LiClO)のみから構成され、イオン液体を含まないサンプルS1のリチウムイオン伝導率は、3.50×10−7S/cmと非常に低い値であった。一方、アンチペロブスカイト系イオン伝導性粉末(LiClO)に加えて、イオン液体(EMI−FSI(LiTFSI))を含むサンプルS2〜S6のリチウムイオン伝導率は、いずれも1.00×10−5S/cm以上であり、アンチペロブスカイト系イオン伝導性粉末のみから構成されたサンプルS1のリチウムイオン伝導率を上回った。また、イオン液体を含まないサンプルS1では、粒界抵抗が100,000Ω/cm以上と非常に高い値であったのに対し、イオン液体を含むサンプルS2〜S6では、粒界抵抗が約9,000以下と比較的低い値であった。この結果から、アンチペロブスカイト系イオン伝導性粉末とイオン液体とを含むリチウムイオン伝導体では、アンチペロブスカイト系イオン伝導性粉末の表面にイオン液体が存在し、これにより粒界におけるリチウムイオン伝導性が向上するため、焼成を行うことなく加圧成形するだけで高いリチウムイオン伝導性を発揮することが確認された。
なお、イオン液体の含有量が21vol%以上であるサンプルS5,S6では、360MPaプレス時にイオン液体の染み出しが確認された。一方、イオン液体の含有量が21vol%未満であるサンプルS2〜S4では、そのようなイオン液体の染み出しは確認されなかった。また、イオン液体の染み出しが確認されなかったサンプルS2〜S4では、イオン液体の含有割合が高いほど、リチウムイオン伝導率が高い値となった。この結果から、リチウムイオン伝導体において、イオン液体の含有割合が過大となってイオン液体の染み出しが発生することを抑制しつつ、より高いリチウムイオン伝導性を発揮させるためには、リチウムイオン伝導性粉末の含有量とイオン液体の含有量との体積割合(vol%)が、リチウムイオン伝導性粉末:イオン液体=(100−X):X、ただし4<X<21であることが好ましいことが確認された。また、イオン液体の含有割合Xは、7以下であることがより好ましく、14以下であることが一層好ましいことが確認された。
なお、すべてのサンプルでは、絶縁性の筒から取り出した際に円板形状が維持され、粉末やイオン液体の脱落は見られなかったため、アンチペロブスカイト系イオン伝導性粉末は良好な加圧成形性を有することが確認された。
また、第1の性能評価では、イオン液体として、イミダゾリウム系のカチオンを含むイオン液体が用いられた。そのため、そのようなイオン液体を用いてリチウムイオン伝導体を構成することにより、リチウムイオン伝導体のリチウムイオン伝導性を効果的に向上させることができることが確認された。
(第2の性能評価の結果)
図4に示すように、リチウムイオン伝導性粉末として、LiClO粉末の代わりにLiI粉末が用いられたサンプルS7、および、LiClO粉末の代わりにLi1212粉末が用いられたサンプルS8では、リチウムイオン伝導率が1.00×10−8S/cm以下と非常に低い値であった。これらのサンプルでリチウムイオン伝導率が低くなった理由は必ずしも明らかではないが、LiI粉末やLi1212粉末がイオン液体と反応したためであると考えられる。
また、リチウムイオン伝導性粉末として、LiClO粉末の代わりにLLZ粉末が用いられたサンプルS9では、リチウムイオン伝導率は5.00×10−5S/cmという比較的高い値を示した。ただし、このサンプルでは、絶縁性の筒から取り出した際に円板形状を維持することができず、粉末やイオン液体の脱落が見られた(図4の形状維持性:×)。このサンプルで、形状維持性が悪くなった理由は、LLZは、比較的硬く、加圧により塑性変形しにくい材料であるためであると考えられる。一方、他のサンプルS3,S7,S8,S10では、絶縁性の筒から取り出した際に円板形状が維持され、粉末やイオン液体の脱落は見られなかった。
この結果から、アンチペロブスカイト系イオン伝導性粉末とイオン液体とを含むリチウムイオン伝導体は、アンチペロブスカイト系イオン伝導性粉末以外のリチウムイオン伝導性粉末とイオン液体とを含むリチウムイオン伝導体と比較して、焼成を行うことなく加圧成形するだけで高いリチウムイオン伝導性を発揮することが確認された。
なお、サンプルS1およびサンプルS3のリチウムイオン伝導体を用いて、電池としての評価も行った。具体的には、サンプルS1およびサンプルS3のそれぞれを固体電解質層として使用し、In(インジウム)により構成された負極およびLiCoOにより構成された正極を用いて電池を作製し、該電池の評価を実施した。より詳細には、サンプルS1のリチウムイオン伝導体(LiClO粉末)およびサンプルS3のリチウムイオン伝導体(LiClOとEMI−FSI(LiTFSI)との複合粉末)のそれぞれについて、粉末約0.15gを直径10mmの絶縁性筒に投入し、上下から120MPaの圧力で加圧成形することにより固体電解質層を作製した。また、LiClO粉末とLiCoO粉末とケッチェンブラック粉末とをおおよそ40:60:1wt%の割合で乳鉢混合した混合粉末を0.015g秤量し、固体電解質層が成形された絶縁性筒に投入し、上下から360MPaの圧力で加圧成形を行うことにより正極を作製した。次に、負極としてのIn箔をφ10mmで打ち抜き、絶縁性筒中で成形した成形体(固体電解質層+正極)に張りつけ、加圧治具を用いて約50MPaの荷重で固定し、60℃で充放電試験を実施した。このときの充電条件はCCCV、3.6V、20μA/cm、放電条件はCC、10μA/cmとした。アンチペロブスカイト系イオン伝導性粉末とイオン液体とを含むサンプルS3のリチウムイオン伝導体を固体電解質層として用いた電池では、充電時に不可逆容量があったが、電極のLiCoOに対し、放電容量として35mAh/gの容量が得られた。一方、イオン液体を含まず、アンチペロブスカイト系イオン伝導性粉末のみから構成されたサンプルS1のリチウムイオン伝導体を固体電解質層として用いた電池では、充電と共にカットオフ条件に達し、容量は0.01mAh/g程度であり、容量をほぼ取り出せなかった。この結果から、アンチペロブスカイト系イオン伝導性粉末とイオン液体とを含むリチウムイオン伝導体を用いて電池の固体電解質層を構成すると、出力の高い電池を実現できることが確認された。
B.変形例:
本明細書で開示される技術は、上記実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
上記実施形態における全固体電池102の構成は、あくまで一例であり、種々変更可能である。例えば、上記実施形態では、アンチペロブスカイト系イオン伝導性粉末とリチウムイオン伝導性を有するイオン液体とを含有するリチウムイオン伝導体が、固体電解質層112と正極114と負極116とのすべてに含まれているが、該リチウムイオン伝導体が、固体電解質層112と正極114と負極116との少なくとも1つに含まれているとしてもよい。
また、上記実施形態では、リチウムイオン伝導体202,204,206が、アンチペロブスカイト系イオン伝導性粉末とイオン液体とから構成されている、または、アンチペロブスカイト系イオン伝導性粉末とイオン液体とバインダとから構成されているが、リチウムイオン伝導体202,204,206が、これら以外の他の材料を含んでいてもよい。
また、本明細書に開示される技術は、全固体電池102を構成する固体電解質層や電極に限られず、他の蓄電デバイス(例えば、リチウム空気電池やリチウムフロー電池、固体キャパシタ等)を構成する固体電解質層や電極にも適用可能である。
102:全固体リチウムイオン二次電池 110:電池本体 112:固体電解質層 114:正極 116:負極 154:正極側集電部材 156:負極側集電部材 202:リチウムイオン伝導体 204:リチウムイオン伝導体 206:リチウムイオン伝導体 214:正極活物質 216:負極活物質

Claims (6)

  1. リチウムイオン伝導性粉末を含むイオン伝導体において、
    前記リチウムイオン伝導性粉末は、
    LiとClとOとを少なくとも含有し、アンチペロブスカイト型またはアンチペロブスカイト型類似の結晶構造を有するセラミックス粉末と、
    LiとClとOとを少なくとも含有し、アンチペロブスカイト型またはアンチペロブスカイト型類似の結晶構造を有するガラスセラミックス粉末と、
    LiとClとOとを少なくとも含有するガラス粉末と、
    の少なくとも1つを含み、
    前記イオン伝導体は、さらに、リチウムイオン伝導性を有するイオン液体を含む、
    ことを特徴とするイオン伝導体。
  2. 請求項1に記載のイオン伝導体において、
    前記イオン伝導体における前記リチウムイオン伝導性粉末の含有量と前記イオン液体の含有量との体積割合(vol%)は、前記リチウムイオン伝導性粉末:前記イオン液体=(100−X):X、ただし4<X<21である、
    ことを特徴とするイオン伝導体。
  3. 請求項1または請求項2に記載のイオン伝導体において、
    前記イオン液体は、イミダゾリウム系のカチオンを含むイオン液体である、
    ことを特徴とするイオン伝導体。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のイオン伝導体において、
    前記リチウムイオン伝導性粉末の25℃におけるヤング率は、100GPa以下である、
    ことを特徴とするイオン伝導体。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のイオン伝導体において、
    25℃におけるリチウムイオン伝導率が1.0×10−5S/cm以上である、
    ことを特徴とするイオン伝導体。
  6. 固体電解質層と、正極と、負極と、を備える蓄電デバイスにおいて、
    前記固体電解質層と、前記正極と、前記負極との少なくとも1つは、請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載のイオン伝導体を含む、
    ことを特徴とする蓄電デバイス。
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