JP2020143337A - 燃料電池用触媒からの白金族金属の浸出及び個別回収方法 - Google Patents

燃料電池用触媒からの白金族金属の浸出及び個別回収方法 Download PDF

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Abstract

【課題】燃料電池に含まれる白金族金属の回収のために、白金族金属の水溶液への高効率浸出と抽出剤による白金族金属の選択的回収方法を提供する。【解決手段】ペロブスカイト型酸化物と燃料電池触媒(カーボンなどの導電性担体に担持されたルテニウム及び白金、又はこれに加えてさらに周期表第4周期の遷移金属元素からなる群から選ばれた単体金属又は合金)を混合し、酸素を含有する雰囲気中で焼成する。得られた生成物を酸溶液に溶解し、白金族金属、並びに遷移金属元素、及びペロブスカイト型酸化物構成金属元素を含有する浸出溶液を得る。得られた白金族金属及び夾雑元素を含有する浸出溶液とアミド含有3級アミン分離試薬からなる有機相と白金族金属を含有する酸溶液を接触させ、ルテニウム及び白金を前記有機相により抽出し、抽出したルテニウムを、水により選択的に水溶液に逆抽出し、続いて水酸化ナトリウム水溶液により白金を逆抽出する。【選択図】図2

Description

本発明は、主として燃料電池の電極などに含まれる白金族金属を溶解し、溶解液から溶媒抽出法により白金族金属を個別に分離回収する方法に関する。
燃料電池は、水素などの燃料と、空気中の酸素などの酸化剤を電池に供給し、電気化学反応により、燃料及び酸化剤の持つ化学エネルギーを電気エネルギーに変換する電池であり、使用される電解質材料の種類によって、固体高分子形燃料電池、リン酸形燃料電池、溶融炭酸塩形燃料電池、固体酸化物形燃料電池などに分類される。これら燃料電池の内、固体高分子形燃料電池は作動温度が室温〜100℃程度であり、自動車などの移動体用や、家庭用などの定置用に多く使用されている。
固体高分子形燃料電池は、一般に、膜−電極接合体(MEA)をセパレータで挟んだ構造を有する。MEAは、固体高分子電解質膜が一対の電極触媒層およびガス拡散層により挟まれて構成される。電極触媒層は、カーボンなどを主成分とする導電性担体に触媒粒子が担持されてなる電極触媒と、固体高分子電解質とを少なくとも含む。電極触媒としては、カーボンに担持した白金(空気極)、カーボンに担持した白金・コバルト合金(空気極)、カーボンに担持した白金・コバルト・マンガン合金(空気極)、カーボンに担持した白金・ルテニウム合金(燃料極)などが用いられているが、これらに含まれる金属元素は有価な金属であり、効率よく回収して再利用することが重要である。
これらの回収法としては、電極触媒に含まれる金属元素を可溶化して、金属溶液を得、当該溶液から金属を回収する方法が挙げられる。
従来、白金族金属の中でも特に難溶性であるイリジウム、ルテニウムの可溶化については、溶融塩中での塩化処理(特許文献1)、合金化・塩化処理(特許文献2)などの方法が提案され、また実施されている。これらの方法では、酸化剤として塩素ガスが使用されている。
これについて、本発明者らは、先に、酸化剤に毒性の強い塩素ガスを使用しないイリジウム、ルテニウムの可溶化法として、これらをペロブスカイト型酸化物などへ吸蔵させた後、塩酸処理により可溶化する手法(特許文献3―5)を提案している。
また、白金族金属を含む溶液からの白金族金属の回収法としては、従来、沈殿分離法(特許文献6)、イオン交換法(特許文献7)、電解析出法(特許文献8)、溶媒抽出法(特許文献9−11)などの多くの方法が提案され、また実施されている。これらの方法の中でも溶媒抽出法は、現在、白金族金属の分離精製工程において、国内外を問わず主要な手法となっている。各白金族金属の溶液中での特性が僅かに異なるため、それらを個別に回収するには、複数の有機系分離試薬(抽出剤)を用いるのが一般的である。
白金族金属の中でも、ロジウムとルテニウムは抽出しにくい金属であり、主要な分離精製プロセスにおいても、従来、ルテニウムは四酸化ルテニウムに酸化後、蒸留により回収され、ロジウムは他の全ての白金族金属を回収後にラフィネートから、沈殿法により回収されている(非特許文献1)。
本発明者らは、先に、アミド含有第3級アミン化合物が、塩酸溶液中のロジウムイオンに対し高い抽出率を示す抽出剤として用い得ることを見出した。この化合物は塩酸濃度1〜3mol/Lにおいてロジウム抽出率の最大値を有し、また、ロジウム抽出後の有機相に10mol/Lの塩酸溶液を加えることで、水相にロジウムイオンを逆抽出可能である(特許文献12)。
本発明者らは、また、塩酸溶液中のルテニウムについても、アミド含有第3級アミン化合物を抽出剤として用いることで抽出することができることを見出した(非特許文献2)。しかしながら、このようにして抽出されたルテニウムをいかにして有機溶媒から逆抽出することができるのか、また、どのようにして、抽出液中に存在し得る他の白金族金属イオンから、ルテニウムを分離することができるのか等については、全く明らかになっていない。
特許第5021331号公報 特許第5560440号公報 特許第5339302号公報 特許第5344493号公報 特許第5652765号公報 特開平10−102156号公報 特開平7−310129号公報 特開平8−158088号公報 特公平1−30896号公報 特開2004−332041号公報 特開平9−279264号公報 特許第5007983号
F. K. Crundwell et al.: Extractive Metallurgy of Nickel, Cobalt and Platinum Group Metals (Elsevier, 2011). T. Suzuki et al.: Metals, Vol. 8, 558 (2018)
本発明は、ルテニウムを含む溶液からルテニウムのみを選択的に回収する方法を提供することを課題とする。
本発明は、また、ルテニウム及び白金を含む溶液からルテニウムを選択的に回収し、さらに白金を回収することで、これらを分離・回収する方法を提供することを課題とする。
本発明は、さらに、例えば燃料電池用電極触媒などのルテニウムと白金を含む物品中のルテニウムと白金を、従来の溶融塩法などのように大規模な装置や塩素ガス、ニトロシル等の有毒試薬を用いずに溶解すること、そしてこのようにして得られたルテニウム及び白金を含む溶液からルテニウムを選択的に回収し、さらに白金を回収することで、上記物品からルテニウムと白金を分離・回収する方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、ペロブスカイト型酸化物と燃料電池用電極触媒(カーボンなどの導電性担体にルテニウム及び白金、又はこれに加えてさらに周期表第4周期の遷移金属元素からなる群から選ばれた単体金属又は合金が担持されたもの)とを混合後、酸素を含有する雰囲気中で焼成し、得られた反応生成物を酸性の水相と接触させて加熱することにより、ルテニウム、白金、又はこれに加えてさらに周期表第4周期の遷移金属元素、及びペロブスカイト型酸化物構成金属元素(以下、これらの周期表第4周期の遷移金属元素及びペロブスカイト型酸化物構成金属元素を「夾雑元素」という)を酸性の水相中に浸出できることを見出した。
本発明者らは、さらに、その浸出液とアミド含有第3級アミン化合物とを接触させると、ルテニウムと白金のみを共抽出することができ、抽出後の有機相を水と接触させることでルテニウムのみ選択的に水相へ逆抽出でき、続いて水酸化ナトリウム溶液と有機相を接触させることで白金を水相に逆抽出できることを見出した。
本発明は、これらの知見に基づいて完成に至ったものであり、以下のとおりのものである。
(1)
(i)下記の一般式で示されるアミド含有第3級アミン化合物からなる白金族金属分離試薬を含有する有機相と、少なくともルテニウムを含有する酸性の水相とを接触させることにより、ルテニウムを前記有機相に抽出する工程;
Figure 2020143337
(式中、R1、R2及びR3の少なくとも1つは、R45NCOR6−で表されるアミド基を表し、該アミド基以外のR1ないしR3、及びR4ないしR6は、炭素数1〜18の、分岐してもよい鎖式炭化水素基、炭素数が1〜10の脂環式炭化水素基、及び炭素数が1〜14の芳香族炭化水素基から選ばれる基を表す。)
及び、
(ii)工程(i)において抽出されたルテニウムを含む有機相と水を接触させて、ルテニウムを水相に逆抽出することにより、ルテニウムのみを含む水溶液を得る工程;
を含むことを特徴とする、少なくともルテニウムを含む水相からルテニウムを分離・回収する方法。
(2)前記工程(i)における、少なくともルテニウムを含有する酸性の水相がさらに白金を含み、前記白金族金属分離試薬を含有する有機相と接触させることにより、ルテニウム及び白金を含む有機相が得られ、前記工程(ii)において当該有機相からルテニウムを逆抽出した後、当該有機相と水酸化ナトリウム水溶液を接触させて、白金を水相に逆抽出することにより、白金を含む水溶液として白金を分離・回収する工程をさらに含むことを特徴とする、(1)に記載の方法。
(3)前記少なくともルテニウムを含有する酸性の水相が、一般式ABO3で示されるペロブスカイト型酸化物(式中、Aはランタノイド元素及び周期表2族の元素からなる群から選ばれた少なくとも一種の元素であり、Bは周期表3族の元素、周期表4族の元素、周期表13族の元素、及び周期表第4周期の遷移金属元素からなる群から選ばれた少なくとも一種の元素を表す。)と、導電性担体に少なくともルテニウム及び白金が担持された燃料電池用電極触媒とを接触させ、酸素を含有する雰囲気中で焼成して得られた反応生成物を酸性の水相と接触させて加熱することにより、前記電極触媒に由来する少なくともルテニウム及び白金を含む金属元素、並びに前記ペロブスカイト型酸化物構成金属元素が酸性の水相に浸出することにより得られた水相であることを特徴とする、(1)または(2)に記載の方法
(4)前記導電性担体に少なくともルテニウム及び白金が担持された燃料電池用電極触媒が、導電性担体にさらに周期表第4周期の遷移金属元素からなる群から選ばれた金属が担持された電極触媒であり、前記電極触媒に由来する少なくともルテニウム及び白金を含む金属元素が、さらに前記電極触媒に由来する当該周期表第4周期の遷移金属元素からなる群から選ばれた金属元素を含むことを特徴とする、(3)に記載の方法。
本発明によれば、上記一般式で示されるアミド含有第3級アミン化合物を抽出試薬として用いて少なくともルテニウムを含む白金族金属を含有する酸性の水溶液から白金族金属を抽出して得られた白金族金属含有抽出液を、水と接触させることにより、ルテニウムを当該抽出液から当該蒸留水へ選択的に逆抽出させることができる。
これにより、本発明によれば、少なくともルテニウムを含む白金族金属の水溶液から、ルテニウムのみを選択的に分離・回収することができる。
また、本発明によれば、上記ルテニウムを選択的に逆抽出させた後の白金族金属含有抽出液を、水酸化ナトリウム水溶液と接触させることにより、白金を当該抽出液から当該水酸化ナトリウム水溶液へ逆抽出させることができる。
これにより、本発明によれば、少なくともルテニウムを含む白金族金属の水溶液が白金を含む場合は、当該水溶液から、白金を回収することができる。
さらに、本発明によれば、上述の一般式で示されるペロブスカイト型酸化物と燃料電池用電極触媒(カーボンなどの導電性担体にルテニウム及び白金、又はこれに加えてさらに周期表第4周期の遷移金属元素からなる群から選ばれた単体金属又は合金が担持されたもの)とを接触した状態で、酸素を含む雰囲気中で加熱し、得られた反応生成物を酸性の水相と接触させて加熱することにより、燃料電池用電極触媒からほぼ全量のルテニウム、白金、及び夾雑元素を溶解することができ、得られた浸出溶液に上記一般式で示されるアミド含有第3級アミン化合物を分離試薬として用いることで、ルテニウム、白金及び夾雑元素からなる白金族金属を含有する酸性の被処理溶液から、ルテニウム及び白金を抽出することができ、さらに、金属抽出後の分離試薬含有溶液を水と接触させることで、ルテニウムを選択的に回収可能であり、続いてルテニウム分離後の分離試薬含有溶液を水酸化ナトリウム水溶液と接触させることで、白金の分離回収も行うことができる。
試薬A(アミド含有第3級アミン化合物)、TOA、及びTBPによる、金属元素浸出液からのルテニウム、白金、カルシウム及びマンガンの抽出率(%)を示す図。 蒸留水による、試薬A及びTOAによる抽出物からのルテニウム及び白金の逆抽出率(%)を示す図。 試薬A及びTOAによる抽出物を蒸留水により逆抽出した後に、さらに水酸化ナトリウム水溶液により逆抽出した際の、ルテニウム及び白金の逆抽出率(%)を示す図。
本発明において、白金族金属を含む金属元素の浸出は、燃料電池用電極触媒(カーボンなどの導電性担体にルテニウム及び白金、又はこれに加えてさらに周期表第4周期の遷移金属元素からなる群から選ばれた単体金属又は合金が担持されたもの)を酸性溶液に可溶な物質とするための反応剤として、一般式ABO3で示されるペロブスカイト型酸化物を用いて行われる(式中、Aはランタノイド元素及び周期表2族の元素からなる群から選ばれた少なくとも一種の元素であり、Bは周期表3族の元素、周期表4族の元素、周期表13族の元素、及び周期表第4周期の遷移金属元素からなる群から選ばれた少なくとも一種の元素を表す。)。
本発明における溶媒抽出は、ルテニウム及び白金からなる白金族金属、並びに夾雑元素を含有する酸性溶液から、これらの白金族金属を分離する分離試薬として、下記の一般式で示されるアミド含有第3級アミン化合物を用いて行われる。
Figure 2020143337
前記式中、R1、R2及びR3の少なくとも1つは、R45NCOR6−で表されるアミド基を表し、該アミド基以外のR1ないしR3、及びR4ないしR6は、炭素数が1〜18の、分岐してもよい鎖式炭化水素基、炭素数が1〜10の脂環式炭化水素基、及び炭素数が1〜14の芳香族炭化水素基から選ばれる基を表す。
前記鎖式炭化水素基の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、イソプロピル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、2−エチルヘキシル、ビニル、アリル、1−プロペニル、イソプロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、2−メチルアリル、1−ペプチニル、1−ヘキセニル、1−ヘプテニル、1−オクテニル、2−メチル−1−プロペニル等が、脂環式炭化水素基の例としては、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロペプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘキサトリエニル、シクロオクテニル、シクロオクタジエニル等が、芳香族炭化水素基の例としては、フェニル、ナフチル、アントリル、トリル、キシリル、クメニル、ベンジル、フェネチル、スチリル、シンナミル、ビフェニリル、フェナントリル等がそれぞれ挙げられる。
上記一般式で示されるアミド含有第3級アミンの具体例としては、上記一般式中、R1=R2=R45NC(O)R6、R3=R4=R5=CH2CH(C25)C49、R6=CH2である、N−2−エチルヘキシル−ビス(N,N−ジ−2−エチルヘキシル−エチルアミド)アミン、同じくR1=R2=R45NC(O)R6、R3=n−C613、R4=CH3、R5=n−C817、R6=CH2である、N−n−ヘキシル−ビス(N−メチル−N−n−オクチル−エチルアミド)アミンの他、N−ジ−n−ヘキシル−(N−メチル−N−n−オクチル−エチルアミド)アミン、トリス(N−メチル−N−n−オクチル−エチルアミド)アミン等が挙げられる。
以下、本発明における、上記ペロブスカイト型酸化物を用いた、燃料電池用電極触媒(カーボンにルテニウム及び白金、又はこれに加えてさらに周期表第4周期の遷移金属元素からなる群から選ばれた単体金属又は合金が担持されたもの)を酸性溶液に浸出するための方法について説明する。
まず、被処理体が準備される。被処理体は、ペロブスカイト型酸化物と燃料電池用電極触媒とを含む。ペロブスカイト型酸化物と燃料電池用電極触媒を混合した後、被処理体を、酸素を含む雰囲気中で加熱し、反応生成物を得る。反応生成物を塩酸溶液に入れ、加熱することにより、ルテニウム、白金、並びに夾雑元素を含有する塩酸浸出溶液を得る。
また、以下、本発明の上記分離試薬を用いた、ルテニウム、白金及び夾雑元素からなる酸性溶液からの、ルテニウム、白金の分離回収方法について説明する。
従来型の分離回収プロセスにおいては、ルテニウムを蒸留回収後、夾雑元素を溶媒抽出法や沈殿法により除去後に、リン酸トリブチル(TBP)により白金の抽出が行われる。この方法によれば、溶媒抽出工程に加えて、蒸留工程の導入が必要となり、かつ複数の抽出剤を使用することになる(非特許文献1)。
これに対し、本発明の溶媒抽出プロセスは、上記一般式で示されるアミド含有第3級アミン化合物からなる分離試薬を用いることにより、ルテニウム、白金及び夾雑元素からなる白金族金属を含有する酸性の被処理溶液から、ルテニウム及び白金を該抽出溶液の有機相に抽出することができる。
次いで、この金属抽出後のルテニウム及び白金を含有する有機相を水と接触させることで、逆抽出により、ルテニウムを選択的に水相へ分離することが可能となる。
続いて、ルテニウム分離後の有機相を水酸化ナトリウム水溶液と接触させることで、逆抽出により、白金の水相への分離回収を行うことができる。
本発明において、上記一般式で示されるアミド含有第3級アミン化合物からなる分離試薬を用いて、ルテニウム、白金及び夾雑元素からなる白金族金属を含有する酸性溶液から、ルテニウム及び白金を抽出するためには、該分離試薬を含有する抽出溶液を予め調製しておく必要がある。該抽出溶液は、分離試薬を、疎水性有機溶媒、例えば、n−ドデカンなどの脂肪族炭化水素、2−エチル−1−ヘキサノールなどのアルコール、クロロホルムなどの脂肪族塩化物、ベンゼンなどの芳香族炭化水素などに溶解させることにより調製できる。
該白金族金属を含む塩酸浸出溶液は、次の工程で、これと接触させる前記抽出溶液中の上記一般式で示されるアミド含有第3級アミン化合物のモル濃度に対して、1/1〜1/5程度のモル濃度の白金族金属が含まれるように調製される。
以下、本発明の方法について、工程順に更に詳しく説明する。
(第1工程)
まず、反応剤が準備される。反応剤である上記一般式ABO3で示されるペロブスカイト型酸化物の調製方法は、特に限られず、既存の方法(固相反応法、共沈法など)を用いて調製すれば良い(例えば、実験化学講座第4版、第16巻、無機化合物、日本化学会編、丸善、1993年等、参照)。
固相反応法では、出発原料として、金属酸化物、金属炭酸塩などが使用される。出発原料を所定の割合で混合して、混合物を焼成することにより、ペロブスカイト型酸化物を得ることができる。例えば、A元素を含む酸化物、B元素を含む酸化物を使用する場合、1000〜1500℃の温度範囲における焼成処理により、ABO3ペロブスカイト型酸化物を得ることができる。
次に、調製された反応剤ABO3ペロブスカイト型酸化物の存在下、所定の雰囲気において、燃料電池用電極触媒が熱処理される。この工程により、燃料電池用電極触媒に含まれるカーボンなどを燃焼させ、ルテニウム、白金、及び周期表第4周期の遷移金属元素からなる群から選ばれた単体金属又は合金を反応剤に吸蔵させることができる。
熱処理の雰囲気は、酸素を含む雰囲気である。より具体的には、熱処理は、1vol%〜100vol%の範囲の酸素を含む雰囲気(以下、「処理雰囲気」という)下で実施される。
処理雰囲気に含まれる酸素濃度は、5〜90vol%の範囲であることが好ましく、10〜80vol%であることがより好ましい。
処理雰囲気に含まれる成分としては、酸素以外に、窒素、アルゴンなどの不活性ガスが含まれていても良い。
熱処理は700〜1200℃の範囲で実施される。熱処理の温度は700℃以上、1000℃以下の範囲であることが好ましい。
次に、反応生成物を酸に浸出させる。これにより、反応生成物中に含まれるルテニウム及び白金、並びに夾雑元素を酸中に浸出させることができる。
反応生成物を短時間で効率的に浸出させるためには、ルテニウム、白金、及び周期表第4周期の遷移金属元素からなる群から選ばれた単体金属又は合金を吸蔵したペロブスカイト型酸化物との反応性が高い塩酸、硝酸などの強酸を用いるのが望ましい。
(第2工程)
このようにして得られたルテニウム、白金及び夾雑元素を含有する塩酸浸出溶液を蒸留水によって適宜希釈した水相と、前記アミド含有第3級アミン化合物からなる白金族金属分離試薬を含有する抽出溶液の有機相とを接触させ、水相中のルテニウム及び白金を有機相へ抽出することにより、ルテニウム及び白金を分離する。
前記の操作により得られたルテニウム及び白金を含有する前記白金族分離試薬溶液(抽出溶液)の有機相と、水とを接触させて、ルテニウムを回収する。該工程では、前記有機相と、水とを接触させることにより、前記有機相に分離された白金族金属のうち、ルテニウムのみが逆抽出され、水溶液として回収することができる。
上記逆抽出に用いる水としては、例えば蒸留水や純水を用いることができる。
前記の操作で得られたルテニウム分離後の分離試薬を含有する有機相に、水酸化ナトリウム水溶液を接触させて白金を回収する。
上記逆抽出に用いる水酸化ナトリウム水溶液としては、例えば0.1〜5mol/L程度の濃度のものを用いることができる。
以下に本発明の特徴を更に具体的に明らかにするための実施例を示すが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。
実施例
ペロブスカイト型酸化物としてはCaMnO3を用いた。カルシウム源としてのCaCO3粉末と、マンガン源としてのMnO2粉末とを、Ca:Mnの元素比(モル比)が1:1となるように混合した。この混合物を用いて、空気中、1200℃で10時間焼成し、その後、粉砕することによりCaMnO3粉末を作製した。
燃料電池用電極触媒としては田中貴金属工業株式会社製TEC61E54(C:Pt:Ru=46.7:30.0:23.3重量%)を用いた。この触媒に重量比6倍量のCaMnO3を加えて30分間混合した。その後、空気中、1000℃で10時間焼成し、反応生成物を得た。得られた反応生成物100mg、及び濃塩酸(12N)10mLを加圧用器に入れ、180℃で2時間加熱することで浸出液を得た。浸出液中の金属濃度は、ルテニウムが0.0035mol/L、白金が0.0023mol/L、カルシウムが0.064mol/L、マンガンが0.064mol/Lであり、使用した触媒に含まれるルテニウム及び白金の99%以上が浸出された。
抽出剤には、試薬(A):N−2−エチルヘキシル−ビス(N,N−ジ−2−エチルヘキシル−エチルアミド)アミン(上記一般式(I)中、R1=R2=R45NC(O)R6、R3=R4=R5=CH2CH(C25)C49、R6=CH2であるアミド含有第3級アミン)を用いた。比較のため一般的な白金分離のための工業用抽出剤であるTBP及びトリ−n−オクチルアミン(TOA)を用いた。
n−ドデカンにより、上記の抽出剤を希釈し、試薬(A)、TBP及びTOA濃度を、それぞれ0.005mol/L、0.01mol/L及び0.5mol/Lとした。この有機溶媒はあらかじめ所定の塩酸溶液と振盪することで、予備平衡化した。
予備平衡化後の有機溶媒に、前記浸出液を蒸留水にて4倍に希釈した等体積の水溶液を加え、60分間激しく振とうすることで、有機相に金属の抽出を行った。抽出率は振とう前後の水相の金属濃度をICP発光分光器で測定して求めた。各抽出剤による抽出率を図1に示す。いすれの抽出系においても、夾雑元素であるマンガン及びカルシウムは抽出されていない。また、TBPはルテニウム及び白金の両者をほとんど抽出しない。一方、TOAと試薬Aはルテニウムと白金を共抽出しており、特に試薬Aではその濃度は極めて低いにも関わらず、白金はほぼ全量を、またルテニウムも8割以上を抽出している。
前記の金属を抽出した有機相を分取し、水相として等体積の蒸留水を加え、60分間振盪し、抽出された金属の逆抽出を行った。その際の逆抽出率を図2に示す。TOA系ではルテニウム及び白金ともに、全く水相に移動しないが、試薬Aの系では、白金は全く逆抽出されないが、ルテニウムのみ約60%の逆抽出率を示した。
前記の蒸留水による逆抽出後の有機相を分取し、水相として等体積の1mol/L水酸化ナトリウム水溶液を加え、60分間振盪し、抽出された金属の逆抽出を行った。その際の逆抽出率を図3に示す。TOA系においてはルテニウム及び白金ともに全く逆抽出されない。一方、試薬Aの系では、ほぼ全量の白金を逆抽出可能であった。
すなわち、以上の結果に基づけば、ルテニウム及び白金が共存している各金属イオンの塩酸溶液から、試薬Aを含む有機相と接触させることによりルテニウム及び白金を抽出分離できること、また有機相に取り込まれたルテニウムを純水と接触させることによりルテニウムを選択的に回収でき、白金も水酸化ナトリウム水溶液との接触により回収可能であることを結論付けることができる。
本発明は、金属精錬分野及び燃料電池の使用済み製品等を対象とした白金族金属リサイクル産業における、白金族金属分離精製工程において、金属浸出及び回収方法として使用されることが期待される。

Claims (4)

  1. (i)下記の一般式で示されるアミド含有第3級アミン化合物からなる白金族金属分離試薬を含有する有機相と、少なくともルテニウムを含有する酸性の水相とを接触させることにより、ルテニウムを前記有機相に抽出する工程;
    Figure 2020143337
    (式中、R1、R2及びR3の少なくとも1つは、R45NCOR6−で表されるアミド基を表し、該アミド基以外のR1ないしR3、及びR4ないしR6は、炭素数1〜18の、分岐してもよい鎖式炭化水素基、炭素数が1〜10の脂環式炭化水素基、及び炭素数が1〜14の芳香族炭化水素基から選ばれる基を表す。)
    及び、
    (ii)工程(i)において抽出されたルテニウムを含む有機相と水を接触させて、ルテニウムを水相に逆抽出することにより、ルテニウムのみを含む水溶液を得る工程;
    を含むことを特徴とする、少なくともルテニウムを含む水相からルテニウムを分離・回収する方法。
  2. 前記工程(i)における、少なくともルテニウムを含有する酸性の水相がさらに白金を含み、前記白金族金属分離試薬を含有する有機相と接触させることにより、ルテニウム及び白金を含む有機相が得られ、前記工程(ii)において当該有機相からルテニウムを逆抽出した後、当該有機相と水酸化ナトリウム水溶液を接触させて、白金を水相に逆抽出することにより、白金を含む水溶液として白金を分離・回収する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記少なくともルテニウムを含有する酸性の水相が、一般式ABO3で示されるペロブスカイト型酸化物(式中、Aはランタノイド元素及び周期表2族の元素からなる群から選ばれた少なくとも一種の元素であり、Bは周期表3族の元素、周期表4族の元素、周期表13族の元素、及び周期表第4周期の遷移金属元素からなる群から選ばれた少なくとも一種の元素を表す。)と、導電性担体に少なくともルテニウム及び白金が担持された燃料電池用電極触媒とを接触させ、酸素を含有する雰囲気中で焼成して得られた反応生成物を酸性の水相と接触させて加熱することにより、前記電極触媒に由来する少なくともルテニウム及び白金を含む金属元素、並びに前記ペロブスカイト型酸化物構成金属元素が酸性の水相に浸出することにより得られた水相であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記導電性担体に少なくともルテニウム及び白金が担持された燃料電池用電極触媒が、導電性担体にさらに周期表第4周期の遷移金属元素からなる群から選ばれた金属が担持された電極触媒であり、前記電極触媒に由来する少なくともルテニウム及び白金を含む金属元素が、さらに前記電極触媒に由来する当該周期表第4周期の遷移金属元素からなる群から選ばれた金属元素を含むことを特徴とする、請求項3に記載の方法。
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