JP2020143233A - 光硬化型粘着剤組成物、粘着シート及び接着方法 - Google Patents

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恭平 林
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達也 石垣
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早也佳 村田
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Abstract

【課題】紫外線照射による粘着剤層等の変色を抑制することができる光硬化型粘着剤組成物、粘着シート及び接着方法を提供することを課題とする。【解決手段】(メタ)アクリル系ポリマーと、光重合開始剤と、エチレン性不飽和結合を含む基を有する第1化合物と、環構成原子として窒素原子を含む環員数5の芳香族複素環構造を有する第2化合物と、熱架橋剤とを含有する光硬化型粘着剤組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、光硬化型粘着剤組成物、粘着シート及び接着方法に関する。
粘着剤は、部品同士を接着する際に広く用いられている。粘着剤の一種として、紫外線を照射すると硬化し、粘着状態から接着状態に変化する性質を有する光硬化型粘着剤がある。光硬化型粘着剤の適用範囲は年々拡大しており、樹脂部品同士の接着にとどまらず、金属部品と樹脂部品との接着などのいわゆる異種接着等にも適用されている。例えば、光硬化型粘着剤組成物及びこの組成物により形成された粘着剤層を備える粘着シートが知られている(特開2013−209487号公報及び国際公開第2015/080120号)。
特開2013−209487号公報 国際公開第2015/080120号
(メタ)アクリル系ポリマーと、光重合開始剤と、エチレン性不飽和結合を含む基を有する第1化合物と、環構成原子として窒素原子を含む環員数5の芳香族複素環構造を有する第2化合物と、熱架橋剤とを含有する光硬化型粘着剤組成物。
<発明が解決しようとする課題>
本発明者らの検討によれば、従来の光硬化型粘着剤組成物によって形成された粘着剤層を備える粘着シートを被着体に粘着させ、紫外線を照射すると、被着体が金属である場合、高温高湿環境下にて、粘着剤層、被着体又はその両方(以下、「粘着剤層等」ともいう)が変色してしまう場合があることが判明した。光硬化型粘着剤の適用範囲が拡大しつつある現状において、被着体の種類を問わず種々の被着体に適用できる光硬化型粘着剤組成物等が求められている。
本発明は、上述のような事情に基づいてなされたものであり、紫外線照射による粘着剤層等の変色を抑制することができる光硬化型粘着剤組成物、粘着シート及び接着方法を提供することを課題とする。
<課題を解決するための手段>
上記課題を解決するためになされた発明は、(メタ)アクリル系ポリマーと、光重合開始剤と、エチレン性不飽和結合を含む基を有する第1化合物と、環構成原子として窒素原子を含む環員数5の芳香族複素環構造を有する第2化合物と、熱架橋剤とを含有する光硬化型粘着剤組成物である。
上記課題を解決するためになされた別の発明は、シート状の基材と、上記基材上に積層される粘着剤層とを備え、上記粘着剤層が当該光硬化型粘着剤組成物により形成される粘着シートである。
上記課題を解決するためになされたさらに別の発明は、粘着シートと被着体とを接着する方法であって、上記粘着シートと上記被着体とを仮止めする工程と、上記粘着シートに紫外線を照射する工程とを備え、上記粘着シートが、シート状の基材と、上記基材上に積層される粘着剤層とを備え、上記粘着剤層が当該光硬化型粘着剤組成物により形成される接着方法である。
<発明の効果>
本発明の光硬化型粘着剤組成物、粘着シート及び接着方法によれば、紫外線照射による粘着剤層等の変色を抑制することができる。
<光硬化型粘着剤組成物>
当該光硬化型粘着剤組成物は、[A](メタ)アクリル系ポリマー(以下、「A成分」ともいう)と、[B]光重合開始剤(以下、「B成分」ともいう)と、[C]エチレン性不飽和結合を含む基を有する第1化合物(以下、「C成分」又は「第1化合物」ともいう)と、[D]環構成原子として窒素原子を含む環員数5の芳香族複素環構造を有する第2化合物(以下、「D成分」又は「第2化合物」ともいう)と、[E]熱架橋剤(以下、「E成分」ともいう)とを含有する。
当該光硬化型粘着剤組成物は上記A成分〜E成分を含有することにより、紫外線照射による粘着剤層等の変色を抑制することができる。より詳細には、当該光硬化型粘着剤組成物は上記A成分〜E成分を含有することにより、被着体が金属である場合において、紫外線照射後に高温高湿環境下に置かれた場合であっても粘着剤層等の変色を抑制することができる。したがって、当該光硬化型粘着剤組成物によれば、被着体の種類を問わず種々の被着体に対して用いることが可能な、適用範囲の広い光硬化型粘着剤を提供することができる。
当該光硬化型粘着剤組成物が上記構成を備えることにより上記効果を奏する理由については必ずしも明確ではないが、例えば以下のように推察することができる。すなわち、被着体が金属である場合、紫外線照射による粘着剤層等の変色の一因としては、被着体である金属が腐食によってイオン化することにより生じるものと考えられる。当該光硬化型粘着剤組成物は、A成分〜E成分を含有することにより、接着剤層と金属との接触面に保護膜が形成され、変色の一因である金属の腐食が抑制されること等が考えられる。
当該光硬化型粘着剤組成物は、上記効果に加えて、さらに粘着剤組成物に求められる各種性能に優れている。以下、当該光硬化型粘着剤組成物が上記効果に加えてさらに有する利点について説明する。
当該光硬化型粘着剤組成物は、紫外線照射前の粘着力(以下、「紫外線照射前粘着力」ともいう)に優れる。当該光硬化型粘着剤組成物が上記利点を有する理由については必ずしも明確ではないが、例えば当該光硬化型粘着剤組成物がA成分と可塑効果をもたらすC成分とを含有することにより、紫外線照射前の当該光硬化型粘着剤組成物の凝集力及び柔軟性が最適化されること等が考えられる。
当該光硬化型粘着剤組成物は、剥離時の糊残り(以下、「糊残り性」ともいう)が少ない。当該光硬化型粘着剤組成物が上記利点を有する理由については必ずしも明確ではないが、例えば当該光硬化型粘着剤組成物がA成分とE成分とを含有することにより、A成分がE成分により好適な架橋構造を形成すること等が考えられる。
当該光硬化型粘着剤組成物は、紫外線照射後の接着力(以下、「紫外線照射後接着力」ともいう)に優れる。当該光硬化型粘着剤組成物が上記利点を有する理由については必ずしも明確ではないが、例えば当該光硬化型粘着剤組成物がC成分を含有することにより、紫外線照射によってC成分が重合し、当該光硬化型粘着剤組成物の弾性率が大きくなること等が考えられる。
当該光硬化型粘着剤組成物は、段差追従性に優れる。なお、本明細書において「段差追従性」とは、粘着シートが被着体が有する凹凸形状に追従して被着体に接着する性質をいい、粘着シートと被着体との間の空隙(気泡)の発生の程度により評価される。当該光硬化型粘着剤組成物が上記利点を有する理由については必ずしも明確ではないが、例えば当該光硬化型粘着剤組成物は、紫外線照射前にあっては被着体が有する凹凸形状に十分に追従できるほどの柔軟性及び流動性を有しており、紫外線照射後にあっては被着体が有する凹凸形状に追従した形状を保持したまま強固に接着すること等が考えられる。
当該光硬化型粘着剤組成物は、紫外線照射前及び照射後における動的粘弾性に優れる。なお、本願明細書において「動的粘弾性」とは、動的粘弾性測定装置(Rheogel E4000、ユービーエム(株))を用いて測定した、25℃、1Hzにおける貯蔵弾性率E’及び損失正接tanδをいう。また、動的粘弾性は、上記段差追従性を定量的に評価できる指標であり、紫外線照射前にあっては貯蔵弾性率E’及び損失正接tanδの値が小さいほど当該光硬化型粘着剤組成物の柔軟性及び流動性が良好であることを示し、紫外線照射後にあっては貯蔵弾性率E’及び損失正接tanδの値が大きいほど当該光硬化型粘着剤組成物が被着体に強固に接着できることを示す。
当該光硬化型粘着剤組成物は、紫外線照射後における残留モノマー量が少ない。なお、本明細書において「残留モノマー」とは、当該光硬化型粘着剤組成物において、紫外線照射により重合せずに残存している単量体をいう。当該光硬化型粘着剤組成物が上記利点を有する理由については必ずしも明確ではないが、例えば当該光硬化型粘着剤組成物がB成分を含有することにより、紫外線照射により当該光硬化型粘着剤組成物中にC成分等を十分に重合できるほどのラジカルを発生させることができること等が考えられる。
当該光硬化型粘着剤組成物は、上記A成分〜E成分以外に、任意成分として他の添加剤を含有していてもよい。以下、各成分について説明する。
[A成分]
A成分は、(メタ)アクリル系単量体に由来する繰り返し単位を有する重合体である。なお、本明細書において「(メタ)アクリル系ポリマー」とは、「アクリル系ポリマー」及び「メタクリル系ポリマー」の両方を包含する概念であり、「(メタ)アクリル系単量体」とは、「アクリル系単量体」及び「メタクリル系単量体」の両方を包含する概念である。また、本明細書において「(メタ)アクリル系単量体」とは、アクリル酸、メタクリル酸、又はこれらの誘導体を意味する。
A成分は、(メタ)アクリル系単量体に由来する繰り返し単位を主鎖に有することが好ましい。なお、本明細書において「主鎖」とは、A成分において最も炭素数の多い炭素鎖を意味する。
(メタ)アクリル系単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸の他、例えば(メタ)アクリル酸エステル、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸塩、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸エステル、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル又は(メタ)アクリロニトリルが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、i−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸塩としては、例えば(メタ)アクリル酸アンモニウム、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カリウム等が挙げられる。
A成分は、(メタ)アクリル系単量体に由来する繰り返し単位を1種又は2種以上有していてもよく、(メタ)アクリル系単量体に由来する繰り返し単位を2種以上有することが好ましい。
A成分が(メタ)アクリル系単量体に由来する繰り返し単位を2種以上有する場合、(メタ)アクリル系単量体に由来する繰り返し単位の少なくとも1種が(メタ)アクリル酸エステルに由来する繰り返し単位であることが好ましい。この場合、(メタ)アクリル酸エステルに由来する繰り返し単位の含有割合の下限としては、A成分を構成する全繰り返し単位に対して、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましい。
A成分は、(メタ)アクリル系単量体に由来する繰り返し単位以外に、(メタ)アクリル系単量体以外の他の単量体に由来する繰り返し単位を有していてもよい。(メタ)アクリル系単量体以外の他の単量体としては、例えば(メタ)アクリロイル基以外の重合性不飽和結合含有基を有する単量体が挙げられる。(メタ)アクリロイル基以外の重合性不飽和結合含有基を有する単量体としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル;無水マレイン酸、イタコン酸、フマル酸等の不飽和ジカルボン酸又はその無水物;N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等のN−ビニルラクタムなどが挙げられる。
A成分における(メタ)アクリル系単量体の含有割合の下限としては、A成分を構成する全繰り返し単位に対して、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましい。
A成分の重量平均分子量(Mw)の下限としては、80,000が好ましく、90,000がより好ましく、100,000がさらに好ましい。上記Mwの上限としては、600,000が好ましく、550,000がより好ましく、500,000がさらに好ましい。A成分のMwを上記範囲内とすることで、紫外線照射前粘着力、糊残り性、段差追従性、及び紫外線照射前の動的粘弾性をより向上させることができる。
なお、本明細書におけるA成分のMwは、以下の条件によるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される値である。
GPCカラム:「TSKgel−Multipore HXL−M」2本(東ソー(株))
溶出溶媒 :テトラヒドロフラン(和光純薬工業(株))
流速 :1.0mL/分
試料濃度 :0.05質量%
試料注入量 :100μL
カラム温度 :40℃
検出器 :示差屈折計
標準物質 :単分散ポリスチレン
A成分のガラス転移温度(Tg)の下限としては、−50℃が好ましく、−40℃がより好ましい。上記Tgの上限としては、10℃が好ましく、0℃がより好ましい。A成分のTgを上記範囲とすることで、紫外線照射前粘着力、紫外線照射前の動的粘弾性、紫外線照射後接着力、及び紫外線照射後の動的粘弾性をより向上させることができる。
なお、本明細書におけるA成分のTgは、JIS K7121:2012(プラスチックの転移温度測定方法)に準拠して測定した値である。
当該光硬化型粘着剤組成物におけるA成分の含有割合の下限としては、当該光硬化型粘着剤組成物の全成分に対して、40質量%が好ましく、50質量%がより好ましく、60質量%がさらに好ましい。上記含有割合の上限としては、90質量%が好ましく、85質量%がより好ましく、80質量%がさらに好ましい。
A成分の製造方法は特に限定されず、例えば(メタ)アクリル系単量体を公知の方法で重合することにより製造することができる。
[B成分]
B成分は、当該光硬化型粘着剤組成物において、紫外線照射によって重合反応を惹起することができる性質を有する物質である。当該光硬化型粘着剤組成物により形成される粘着剤層はB成分を含有するため、紫外線照射により後述するC成分同士が重合し、硬化する。その結果、粘着剤層は粘着状態から接着状態へと変化する。
B成分としては、上記性質を有する限り特に制限されず、例えばアシルホスフィンオキサイド構造を有する化合物、α−ヒドロキシアセトフェノン、α−アミノアセトフェノン、ベンゾイン系化合物などが挙げられる。アシルホスフィンオキサイド構造を有する化合物の市販品としては、例えばIGM社の「Omnirad TPO」、「Omnirad 819」などが挙げられる。α−ヒドロキシアセトフェノンの市販品としては、例えばIGM社の「Omnirad 184」などが挙げられる。B成分は、1種又は2種以上を含有することができる。
B成分は、波長380nm以上の長波長領域の紫外線を吸光する性質を有することが好ましい。波長380nm以上の長波長領域の紫外線を吸光する性質は、波長380nmにおけるモル吸光係数εを測定することにより判定することができる。
なお、本明細書において、「380nmにおけるモル吸光係数ε」は、以下の方法により算出した値である。光重合開始剤を酢酸エチルで所定の濃度c:1mmol/Lとなるように希釈し、均一に溶解させる。次いで、日本分光(株)の紫外可視分光光度計(V−670)により、波長380nm、光路長l:1cmにおける上記溶液の吸光度Aを測定する。Lambert−Beerの法則(A=εcl)より、光重合開始剤の波長380nmにおけるモル吸光係数εを算出する。
上記モル吸光係数の下限としては、100L/mol・cmが好ましく、200L/mol・cmがより好ましく、300L/mol・cmがさらに好ましく、400L/mol・cmが特に好ましい。B成分の上記モル吸光係数を上記範囲内とすることで、紫外線照射後の残留モノマー量をより低減させることができる。
上記モル吸光係数が上記範囲内であるB成分としては、例えばアシルホスフィンオキサイド構造を有する化合物などが挙げられる。なお、本明細書において「アシルホスフィンオキサイド構造」とは、下記式(1)で表される部分構造を意味する。
Figure 2020143233
式(1)中、Rは1価の有機基を示す。*及び**は、それぞれ上記化合物における上記部分構造以外の部分との結合部位を示す。
アシルホスフィンオキサイド構造を有する化合物としては、例えばビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキサイドなどが挙げられる。
当該光硬化型粘着剤組成物におけるB成分の含有量の下限としては、A成分100質量部に対して、0.5質量部が好ましく、0.6質量部がより好ましく、0.7質量部がさらに好ましい。上記含有量の上限としては、5質量部が好ましく、4.5質量部がより好ましく、4質量部がさらに好ましい。B成分の含有量を上記範囲内とすることで、粘着剤層等の変色をより抑制することができる。さらに、B成分の含有量を上記範囲内とすることで、紫外線照射後接着力及び紫外線照射後の動的粘弾性をより向上させることができ、紫外線照射後の残留モノマー量をより低減させることができる。
[C成分]
C成分は、当該光硬化型粘着剤組成物において、光照射により重合する性質を有する物質である。エチレン性不飽和結合を含む基としては、例えば(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基、スチリル基などの炭素−炭素二重結合を有する基が挙げられる。
C成分としては、上記性質を有する限り特に制限されず、例えばアクリル酸、メタクリル酸の他、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、i−ペンチル(メタ)アクリレート、n−へキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリルアルコールのアクリル酸多量体エステル、エトキシエトキシエタノールのアクリル酸多量体エステル等の(メタ)アクリル酸エステル;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル;1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の多官能(メタ)アクリレート;アクリロイルモルフォリン;ウレタンアクリレートオリゴマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物などが挙げられる。C成分は、1種又は2種以上を含有することができる。
C成分の市販品としては、例えば大阪有機化学工業(株)の「ビスコート#192」、「ビスコート#190」、KJケミカルズ(株)の「ACMO」、共栄社化学(株)の「ライトアクリレート1.6HX−A」、ダイセル・オルネクス(株)の「EBECRYL230」などが挙げられる。
当該光硬化型粘着剤組成物におけるC成分の含有量の下限としては、A成分100質量部に対して、20質量部が好ましく、25質量部がより好ましく、30質量部がさらに好ましい。上記含有量の上限としては、100質量部が好ましく、80質量部がより好ましく、60質量部がさらに好ましい。C成分の含有量を上記範囲内とすることで、紫外線照射前粘着力、糊残り性、紫外線照射後粘着力、段差追従性及び紫外線照射後の動的粘弾性をより向上させることができる。
[D成分]
D成分は、環構成原子として窒素原子を含む環員数5の芳香族複素環構造を有する化合物である。当該光硬化型粘着剤組成物は、D成分を含むことにより、粘着剤層等の変色を抑制することができる。なお、本明細書において、「環員数」とは、芳香族複素環構造が単環である場合には環を構成する原子数を意味し、多環である場合には窒素原子を含む単環に由来する部分構造を構成する原子数を意味する。したがって、本明細書において、「環構成原子として窒素原子を含む環員数5の芳香族複素環構造」には、例えばアゾール構造、ジアゾール構造、トリアゾール構造などの単環の複素環構造だけでなく、ベンゾチアゾール環におけるチアゾール環に由来する部分構造、ベンゾトリアゾール環におけるトリアゾール環に由来する部分構造などの多環における窒素原子を含む単環に由来する部分構造も含まれる。
環構成原子として窒素原子を含む環員数5の芳香族複素環構造としては、例えばアゾール構造、ジアゾール構造、トリアゾール構造などの窒素含有複素環構造、チアゾール構造、チアジアゾール構造などの窒素及び硫黄含有複素環構造等が挙げられる。これらの中でも、チアゾール構造、チアジアゾール構造又はトリアゾール構造は、紫外線照射による粘着剤層等の変色をより抑制できるため好ましい。
D成分の市販品としては、例えば三新化学工業(株)の「サンセラーM」、大和化成(株)の「VERZONEシーユーガードD」などが挙げられる。
当該光硬化型粘着剤組成物におけるD成分の含有量の下限としては、A成分100質量部に対して、0.2質量部が好ましく、0.25質量部がより好ましい。上記含有量の上限としては、0.9質量部が好ましく、0.8質量部がより好ましい。D成分の含有量を上記範囲内とすることで、粘着剤層等の変色をより抑制することができる。さらに、D成分の含有量を上記範囲内とすることで、紫外線照射後の残留モノマー量をより低減させることができる。
[E成分]
E成分は、加熱によってA成分に架橋構造を形成することができる性質を有する物質である。E成分としては、上記性質を有する限り特に制限されず、例えば多官能イソシアネート化合物、多官能エポキシ化合物、メラミン化合物、金属塩系化合物、金属キレート化合物、アミノ樹脂化合物、過酸化物などが挙げられる。これらの中でも、多官能イソシアネート化合物又は多官能エポキシ化合物が好ましく、多官能イソシアネート化合物がより好ましい。
多官能イソシアネート化合物としては、例えばトルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)等のジイソシアネート化合物、上記ジイソシアネート化合物の2量体以上の多量体であるポリイソシアネート化合物、上記ポリイソシアネート化合物を変性した化合物などが挙げられる。多官能イソシアネート化合物の市販品としては、例えば東ソー(株)の「コロネートL」等が挙げられる。
多官能エポキシ化合物としては、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、o−フタル酸ジグリシジルエステル、グリセリンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、N,N,N’,N’’,N’’−ペンタグリシジルジエチレントリアミン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルエチレンジアミンなどが挙げられる。
当該光硬化型粘着剤組成物におけるE成分の含有量の下限としては、A成分100質量部に対して、0.5質量部が好ましく、1質量部がより好ましい。上記含有量の上限としては、5質量部が好ましく、3質量部がより好ましい。E成分の含有量を上記範囲内とすることで、紫外線照射前粘着力、糊残り性、段差追従性及び紫外線照射前の動的粘弾性をより向上させることができる。
[任意成分]
当該光硬化型粘着剤組成物は、上記A成分〜E成分以外に、任意成分として他の添加剤を含有していてもよい。他の添加剤としては、光硬化型粘着剤組成物に添加することができる添加剤であれば特に制限されず、例えば紫外線吸収剤、粘着性付与剤、酸化防止剤、老化防止剤、着色剤、光安定剤、カップリング剤、熱重合禁止剤、レベリング剤、界面活性剤、可塑剤、フィラー等の公知の添加剤などが挙げられる。
当該光硬化型粘着剤組成物が他の添加剤を含有する場合、その含有量は、当該光硬化型粘着剤組成物の効果を損なわない範囲であり、かつ添加剤による所望の効果が発揮される範囲内において適宜選択することができる。他の添加剤の含有量は、用いる添加剤の種類に応じて異なるが、通常、A成分100質量部に対して5質量部以下である。
[光硬化型粘着剤組成物の調製方法]
当該光硬化型粘着剤組成物は、例えばA成分〜E成分、及び必要に応じて任意成分を所定の割合で混合することにより調製することができる。
<粘着シート>
当該粘着シートは、シート状の基材と、上記基材上に積層される粘着剤層とを備えており、上記粘着剤層は、当該光硬化型粘着剤組成物により形成されたものである。当該粘着シートにおける粘着剤層は、紫外線を照射することにより粘着状態から接着状態に変化する。当該粘着シートは、粘着剤層が当該光硬化型粘着剤組成物により形成されていることにより、紫外線照射による粘着剤層の変色を抑制することができる。なお、本明細書において、「粘着シート」とは、シート状のものを意味し、例えば粘着テープ、粘着フィルムも「粘着シート」に包含される。
当該粘着シートにおける基材の材質としては特に制限されず、例えば合成樹脂、ガラス、金属、セラミック等が挙げられる。基材の平均厚さは特に制限されず、粘着シートの用途や被着体に応じて適宜選択することができる。基材の平均厚さの下限としては、5μmが好ましく、10μmがより好ましく、15μmがさらに好ましい。上記平均厚さの上限としては、200μmが好ましく、150μmがより好ましく、100μmがさらに好ましい。なお、本明細書において、「平均厚さ」とは、任意の十点において測定した厚さの平均値をいう。
当該粘着シートにおける粘着剤層の平均厚さは基材の平均厚さと同様に、粘着シートの用途や被着体に応じて適宜選択することができる。粘着剤層の平均厚さの下限としては、5μmが好ましく、10μmがより好ましく、15μmがさらに好ましい。上記平均厚さの上限としては、200μmが好ましく、150μmがより好ましく、100μmがさらに好ましい。
後述するように、本発明者らにより被着体が金属である場合、紫外線照射により、粘着シートの粘着剤層、被着体又はその両方の変色が特に起こりやすいことが明らかにされた。したがって、当該接着シートは、金属を被着体とする接着シートとして好適に用いることができる。
当該粘着シートは、例えばシート状の基材上に当該光硬化型粘着剤組成物を塗工し、乾燥又は加熱させて粘着剤層を形成することにより製造することができる。
<接着方法>
当該接着方法は、当該粘着シートと被着体とを接着させる方法であって、上記粘着シートと上記被着体とを仮止めする工程(以下、「仮止め工程」ともいう)と、上記粘着シートに紫外線を照射する工程(以下、「紫外線照射工程」ともいう)とを備える。当該接着方法によれば、当該粘着シートを用いることにより、紫外線照射工程における紫外線照射による粘着シートの粘着剤層、被着体又はその両方の変色を抑制することができる。以下、各工程について説明する。
[仮止め工程]
本工程では、当該粘着シートと被着体とを仮止めする。具体的には、当該粘着シートの粘着剤層と被着体とを接触させることにより仮止めする。当該粘着シートの粘着剤層と被着体とを仮止めすることにより、当該粘着シートの粘着剤層が被着体に粘着する。この工程においては、当該粘着シートの粘着剤層は被着体に粘着しているため(粘着状態)、例えば粘着シートと被着体との仮止め位置を誤った場合であっても容易に剥離することができ、再度粘着シートと被着体とを仮止めすることにより、当該粘着シートの粘着剤層を被着体に粘着させることができる。
被着体としては特に制限されず、例えば合成樹脂、ガラス、金属、セラミック等が挙げられる。本発明者らにより被着体が金属である場合(より詳細には、被着体が、銀、銅又はこれらを含む合金である場合)、紫外線照射により、粘着シートの粘着剤層、被着体又はその両方の変色が特に起こりやすいことが明らかにされた。したがって、当該接着方法は、被着体が金属である場合に特に粘着剤層等の変色を抑制することができる。
[紫外線照射工程]
本工程では、当該粘着シートに紫外線を照射する。具体的には、当該粘着シートの粘着剤層とは反対側の基材側から紫外線を照射する。当該粘着シートの基材側から紫外線を照射することにより、当該粘着シートの粘着剤層が硬化し、粘着状態から接着状態に変化し、当該粘着シートと被着体とを接着させることができる。
紫外線照射の条件は、当該粘着シートの粘着剤層を硬化させ、粘着状態から接着状態へと変化させることができる条件であれば特に制限されず、基材の材質、基材の平均厚さ、粘着剤層の組成、粘着剤層の平均厚さ、被着体の材質などに応じて適宜選択することができる。例えば、紫外線の積算光量を適宜選択することなどが挙げられる。紫外線の積算光量の下限としては、10mJ/cmが好ましく、50mJ/cmがより好ましく、100mJ/cmがさらに好ましい。上記積算光量の上限としては、4000mJ/cmが好ましく、2000mJ/cmがより好ましく、1000mJ/cmがさらに好ましい。紫外線の光源としては、例えば高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、アーク灯、ガリウムランプ等が挙げられる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。各種物性値の測定方法を以下に示す。
[重量平均分子量(Mw)]
(メタ)アクリル系ポリマーのMwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、東ソー(株)のGPCカラム(「TSKgel−Multipore HXL−M」2本)を使用し、以下の条件により測定した。
溶出溶媒 :テトラヒドロフラン(和光純薬工業(株))
流速 :1.0mL/分
試料濃度 :0.05質量%
試料注入量:100μL
カラム温度:40℃
検出器 :示差屈折計
標準物質 :単分散ポリスチレン
[ガラス転移温度(Tg)]
(メタ)アクリル系ポリマーのTgは、JIS K7121:2012(プラスチックの転移温度測定方法)に準拠して測定した。
<[A](メタ)アクリル系ポリマーの合成>
[A](メタ)アクリル系ポリマーの合成で用いた単量体を以下に示す。なお、以下の合成例においては特に断りのない限り、質量部は使用した単量体の合計質量を100質量部とした場合の値を意味する。
EA:エチルアクリレート(東亞合成(株))
BA:ブチルアクリレート(和光純薬工業(株))
AN:アクリロニトリル(昭和電工(株))
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート(大阪有機化学工業(株))
[合成例1]((メタ)アクリル系ポリマー(A−1)の合成)
4口フラスコに、単量体としてEA56質量部、BA27質量部、AN10質量部及びHEMA7質量部、ラジカル重合剤としてAIBN2質量部並びに溶媒として酢酸エチル150質量部を仕込み、窒素雰囲気下、70℃で8時間反応させ、さらに80℃で1時間反応させることにより、(メタ)アクリル系ポリマー(A−1)を含む溶液を得た。(メタ)アクリル系ポリマー(A−1)のMwは25万、Tgは−7℃であった。
[合成例2〜5]((メタ)アクリル系ポリマー(A−2)〜(A−5)の合成)
下記表1に示す配合量の単量体及びAIBNを用いたこと以外は合成例1と同様にして、(メタ)アクリル系ポリマー(A−2)〜(A−5)を合成した。得られた(メタ)アクリル系ポリマーのMw及びTgを下記表1に合わせて示す。
Figure 2020143233
<光硬化型粘着剤組成物の調製>
各光硬化型粘着剤組成物の調製に用いた[A](メタ)アクリル系ポリマー以外の成分を以下に示す。なお、以下の実施例及び比較例においては特に断りのない限り、質量部は使用した[A](メタ)アクリル系ポリマーの質量を100質量部とした場合の値を意味する。
[[B]光重合開始剤]
B−1:Omnirad TPO−H(IGM社)ε:510L/mol・cm
B−2:Omnirad 819(IGM社)ε:800L/mol・cm
B−3:Omnirad 184(IGM社)ε:4.6L/mol・cm
なお、上記εは、下記の方法により算出した波長380nmにおけるモル吸光係数を示す。
(モル吸光係数ε)
上記光重合開始剤を酢酸エチルで濃度c:1mmol/Lとなるように希釈し、均一に溶解させた。次いで、日本分光(株)の紫外可視分光光度計(V−670)により、波長380nm、光路長l:1cmにおける上記溶液の吸光度Aを測定した。Lambert−Beerの法則(A=εcl)より、波長380nmにおける各光重合開始剤のモル吸光係数εを算出した。
[[C]第1化合物]
C−1:フェノキシエチルアクリレート(ビスコート#192、大阪有機化学工業(株))
C−2:アクリロイルモルフォリン(ACMO、KJケミカルズ(株))
C−3:エチルカルビトールアクリレート(ビスコート#190、大阪有機化学工業(株))
C−4:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(ライトアクリレート1.6HX−A、共栄社化学(株))
C−5:ウレタンアクリレートオリゴマー(EBECRYL230、ダイセル・オルネクス(株))
[[D]第2化合物]
D−1:サンセラーM(三新化学工業(株))
D−2:VERZONEシーユーガードD(大和化成(株))
d−1:亜硝酸塩系防錆剤(VC−100A、スギムラ工業(株))
[[E]熱架橋剤]
E−1:コロネートL(東ソー(株))
[実施例1](光硬化型粘着剤組成物(T−1)の調製)
[A](メタ)アクリル系ポリマーとしての(A−1)100質量部、[B]光重合開始剤としての(B−1)2質量部、[C]第1化合物としての(C−1)25質量部、(C−2)10質量部、(C−3)5質量部及び(C−4)1質量部、[D]第2化合物としての(D−1)0.3質量部、並びに[E]熱架橋剤としての(E−1)1.2質量部を混合し、光硬化型粘着剤組成物(T−1)を調製した。
[実施例2〜21及び比較例1〜2](光硬化型粘着剤組成物(T−2)〜(T−21)及び(CT−1)〜(CT−2)の調製)
下記表2に示す種類及び含有量の各成分を用いたこと以外は実施例1と同様にして、光硬化型粘着剤組成物(T−2)〜(T−21)及び(CT−1)〜(CT−2)を調製した。
<粘着シートの作製>
上記光硬化型粘着剤組成物をそのまま塗工液として用い、この塗工液をアプリケーターにより軽剥離の離型PETフィルム(剥離フィルム)の表面に塗布して90℃で2分間乾燥した。次いで、基材(25μm厚のPETフィルム)を貼り合わせ、40℃で3日間養生することにより、粘着剤層の厚みが約50μmの粘着シートを得た。
<評価>
上記粘着シートについて、下記項目を下記方法に従って評価した。その結果を下記表2に示す。
[銀変色耐久性]
各粘着シートを25mm幅にカットし、剥離フィルムを剥がした後、光沢銀めっきを施した冷間圧延鋼板の上に2kgローラーを1往復することにより貼り合わせた。次いで、粘着シートの基材側から上記高圧水銀ランプを用いて、照度100mW/cm、積算光量500mJ/cmの条件で紫外線を照射した後、分光色彩計(SD6000、日本電色工業(株))を用い、光源D65、視野角10°の条件により、初期の色彩(L 、a 及びb )を測定した。その後、温度85℃、湿度85%の環境で500時間粘着シートを静置した後、上記と同様の条件により500時間耐久後の色彩(L 、a 及びb )を測定した。ΔEab=(ΔL*2+Δa*2+Δb*21/2(但し、ΔL=L −L 、Δa=a −a 、Δb=b −b )により、500時間耐久前後の色差を算出した。
銀変色耐久性は、ΔEabが、3未満の場合は「A」(極めて良好)と、3以上5未満の場合は「B」(良好)と、5以上の場合は「C」(不良)と評価した。
[紫外線照射前粘着力及び糊残り性]
各粘着シートを25mm幅にカットし、剥離フィルムを剥がした後、ポリイミド基板に貼り合わせた。23℃で30分間静置した後、JIS Z0237:2009(粘着テープ・粘着シート試験方法)に記載の90°ピール試験に準拠して、雰囲気温度23℃、剥離速度60mm/分の条件で剥離強度を測定した。また、この際のポリイミド基板表面の糊残りを目視で観察した。
紫外線照射前粘着力は、剥離強度が0.5N/25mm以上3.0N/25mm未満の場合は「A」(極めて良好)と、0.1N/25mm以上0.5N/25mm未満又は3.0N/25mm以上5.0N/25mm未満の場合は「B」(良好)と、0.1N/25mm未満又は5.0N/25mm以上の場合は「C」(不良)と評価した。
糊残り性は、粘着シートを剥離した全面積に対する糊残りが認められた箇所の総面積の割合が1%未満の場合は「A」(極めて良好)と、1%以上10%未満の場合を「B」(良好)と、10%以上の場合を「C」(不良)と評価した。
[紫外線照射後接着力]
各粘着シートを25mm幅にカットし、剥離フィルムを剥がした後、ポリイミド基板に貼り合わせた。23℃で30分間静置した後、粘着シートの基材側から高圧水銀ランプ(アイグランステージECS−410GX、アイグラフィックス(株))を用いて、照度100mW/cm、積算光量500mJ/cmの条件で紫外線を照射し、粘着剤層を硬化させた。次いで、23℃で30分間静置した後、JIS Z0237:2009(粘着テープ・粘着シート試験方法)に記載の90°ピール試験に準拠して、23℃、剥離速度60mm/分の条件で剥離強度を測定した。
紫外線照射後接着力は、剥離強度が8.0N/25mm以上の場合は「A」(極めて良好)と、5.0N/25mm以上8.0N/25mmの場合は「B」(良好)と、5.0N/25mm未満の場合は「C」(不良)と評価した。
[段差追従性]
各粘着シートを25mm幅にカットし、剥離フィルムを剥がした後、PET製の高さ16μmの段差(幅1cm×長さ2.5cm)を有するガラス基板及び高さ25μmの段差(幅1cm×長さ2.5cm)を有するガラス基板のそれぞれの上に、2kgローラーを1往復することにより貼り合わせた。粘着シートの基材側から上記高圧水銀ランプを用いて、照度100mW/cm、積算光量500mJ/cmの条件で紫外線を照射し、粘着剤層を硬化させた。72時間後に、目視により16μm段差及び25μmの段差のそれぞれの近傍に気泡が発生したか否かを確認した。
段差追従性は、16μmの段差及び25μmの段差の両方に気泡が確認されない場合は「A」(極めて良好)と、25μmの段差では気泡が確認されたが、16μmの段差では気泡が確認されなかった場合は「B」(良好)と、16μmの段差及び25μmの段差の両方に気泡が確認された場合は「C」(不良)と評価した。
[動的粘弾性]
動的粘弾性の評価では、基材側のPETフィルムを中剥離の離型PETフィルムに代えたこと以外は上記粘着シートの作製の項における方法と同様にして粘着シートを作製し、後述の方法により紫外線照射前後の貯蔵弾性率E’及び損失正接tanδを測定した。
(紫外線照射前動的粘弾性)
上記粘着シートの離型フィルムを剥離し、粘着シートをφ2.5mm×長さ25mmの円柱状に成形して試験体を作製した。この試験体について、動的粘弾性測定装置(Rheogel E4000、ユービーエム(株))を用いて、25℃、1Hzにおける貯蔵弾性率E’及び損失正接tanδを測定した。
紫外線照射前貯蔵弾性率は、E’が0.4×10Pa未満の場合は「A」(極めて良好)と、0.4×10Pa以上1.0×10Pa未満の場合は「B」(良好)と、1.0×10Pa以上の場合は「C」(不良)評価した。紫外線照射前損失正接は、tanδが0.4未満の場合は「A」(極めて良好)と、0.4以上0.5未満の場合は「B」(良好)と、0.5以上の場合は「C」(不良)と評価した。
(紫外線照射後動的粘弾性)
粘着シートの基材側から上記高圧水銀ランプを用いて、照度100mW/cm、積算光量500mJ/cmの条件で紫外線を照射し、粘着剤層を硬化させた。次いで、上記粘着シートの離型フィルムを剥離し、粘着シートをφ2.5mm×長さ25mmの円柱状に成形して試験体を作製した。この試験体について、上記動的粘弾性測定装置を用いて、25℃、1Hzにおける貯蔵弾性率E’及び損失正接tanδを測定した。
紫外線照射後貯蔵弾性率は、E’が10.0×10Pa以上の場合は「A」(極めて良好)と、5.0×10Pa以上10.0×10Pa未満の場合は「B」(良好)と、5.0×10Pa未満の場合は「C」(不良)評価した。紫外線照射後損失正接は、tanδが0.8以上の場合は「A」(極めて良好)と、0.5以上0.8未満の場合は「B」(良好)と、0.5未満の場合は「C」(不良)と評価した。
[残留モノマー量の測定]
基材側のPETフィルムを中剥離の離型PETフィルムに換えた以外は上記粘着シートの作製の項における方法と同様にして粘着シートを作製した。粘着シートの基材側から上記高圧水銀ランプを用いて、照度100mW/cm、積算光量500mJ/cmの条件で紫外線を照射し、粘着剤層を硬化させた。内部標準物質としてデカン100ppmを含むメタノールにより室温で16時間かけて、粘着剤層中の残留モノマー成分を抽出した後、抽出液をろ紙を用いてろ過し、抽出液サンプルを調製した。ガスクロマトグラフ(GC−2010 Plus、島津製作所(株))を測定し、各モノマーを既知の濃度で含有するサンプルにより検量線を作成した後、残留モノマー量を定量した。
残留モノマー量の評価は、残留モノマー量が500ppm未満の場合は「A」(極めて良好)と、500ppm以上2000ppm未満の場合は「B」(良好)と、2000ppm以上の場合は「C」(不良)と評価した。
Figure 2020143233
表2の結果から明らかなように、実施例1〜21では銀変色耐久性が極めて良好又は良好であったのに対し、比較例1〜2では、銀変色耐久性が実施例1〜21に比べて劣っていた。

Claims (11)

  1. (メタ)アクリル系ポリマーと、
    光重合開始剤と、
    エチレン性不飽和結合を含む基を有する第1化合物と、
    環構成原子として窒素原子を含む環員数5の芳香族複素環構造を有する第2化合物と、
    熱架橋剤と
    を含有する光硬化型粘着剤組成物。
  2. 上記(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量が、80,000以上600,000以下である請求項1に記載の光硬化型粘着剤組成物。
  3. 上記光重合開始剤の380nmにおけるモル吸光係数が、100L/mol・cm以上である請求項1又は請求項2に記載の光硬化型粘着剤組成物。
  4. 上記光重合開始剤が、アシルホスフィンオキサイド構造を有する化合物を含む請求項1、請求項2又は請求項3に記載の光硬化型粘着剤組成物。
  5. 上記(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対する上記光重合開始剤の含有量が、0.5質量部以上5質量部以下である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の光硬化型粘着剤組成物。
  6. 上記(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対する上記第1化合物の含有量が、20質量部以上100質量部以下である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の光硬化型粘着剤組成物。
  7. 上記芳香族複素環構造が、チアゾール構造、チアジアゾール構造又はトリアゾール構造である請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の光硬化型粘着剤組成物。
  8. 上記(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対する上記第2化合物の含有量が、0.2質量部以上0.9質量部以下である請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の光硬化型粘着剤組成物。
  9. 上記(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対する上記熱架橋剤の含有量が、0.5質量部以上5質量部以下である請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の光硬化型粘着剤組成物。
  10. シート状の基材と、
    上記基材上に積層される粘着剤層と
    を備え、
    上記粘着剤層が請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の光硬化型粘着剤組成物により形成される粘着シート。
  11. 粘着シートと被着体とを接着する方法であって、
    上記粘着シートと上記被着体とを仮止めする工程と、
    上記粘着シートに紫外線を照射する工程と
    を備え、
    上記粘着シートが、
    シート状の基材と、
    上記基材上に積層される粘着剤層と
    を備え、
    上記粘着剤層が請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の光硬化型粘着剤組成物により形成される接着方法。

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