JP2020142159A - 循環路付き摩砕機 - Google Patents

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幸也 増田
Yukiya Masuda
幸也 増田
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Abstract

【課題】費用の抑制を図ることが可能であって、音や振動に関する不具合がなく、また材料の温度上昇も抑制することができる循環路付き摩砕機を提供する。【解決手段】本発明の循環路付き摩砕機1は、上部砥石13に対向して設けられる下部砥石10と、粉砕する材料を開口部14に供給する投入部7、及び粉砕した材料を通過させる出口部6を有する筐体3と、出口部6と投入部7とをつなぐ循環路17と、を備え、回転板8とともに回転して粉砕された材料を出口部6へ送給する翼部は有さず、且つ粉砕された材料を出口部6から循環路17を介して投入部7へ送給するポンプも有さず、開口部14を通過させた材料を、回転板8による下部砥石10の回転でもって第一摩砕部16と第二摩砕部15で粉砕して隙間Gから排出させることによって出口部6から循環路17を経て投入部7へ帰還させることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、食品、化学、医薬品及び燃料等の分野で利用可能な超微粒子を製造する摩砕機に関するものであって、特に、粉砕後の材料を再び投入部へ戻す循環路を備える循環路付き摩砕機に関する。
材料を粉砕して超微粒子を製造することが可能な摩砕機においては、石臼の原理を応用した上下2枚の砥石を備えるものが既知である。例えば特許文献1には、本件出願人によるものとして、装置本体に対して回転可能に設けられたリング状の下部砥石と、蓋体に固定されるとともに下部砥石に対して対向するリング状の上部砥石とを備える摩砕機が示されている。このような摩砕機では、下部砥石と上部砥石の間に材料を送り込みつつ下部砥石を回転させ、砥石間で生ずる圧縮・剪断・摩擦等の複合作用によって材料をすり潰して超微細粒子に粉砕している。
特許3558687号公報
ところでこのような摩砕機で材料を粉砕する際、例えば材料の種類等によっては、一度の粉砕だけでは材料を目的の粒度まで細かくできないことがある。このような場合に従来は、容器等に収容した粉砕後の材料を再度投入部に投入して更なる粉砕を行い、これを目的の粒度に達するまで繰り返し行っている。しかし、人手によって容器に収容した材料を投入部に戻しているため、手間を要している。
人手を介さずに粉砕した材料を投入部に戻すには、ポンプを使って粉砕後の材料を投入部まで戻す方法や、複数台の摩砕機を直列に接続して順次粉砕を行う方法などが考えられる。しかし、何れの方法も費用が嵩むことになる。またポンプを使う場合は、ポンプを駆動させるための電源が必要になる上、ポンプを経由させるための管路が長くなるためにその分の材料も必要になる。
一方、本願発明者が検討を重ねたところ、このような摩砕機に図2に示すような循環路を設けることによって、ポンプを使わなくても粉砕した材料を投入部に戻すことができることが見出された。
ここで、図2に示す循環路付き摩砕機101について説明する。摩砕機101は、筐体103と、筐体の上部に設けられた材料を投入するためのホッパー(投入部)107と、筐体103の内側に設けられて不図示のモータによって回転する回転板108と、回転板108に保持されて回転板108とともに回転する下部砥石110と、下部砥石110に対向して設けられ、下部砥石110との間で材料を粉砕する上部砥石113と、筐体3に取り付けられたパイプ(循環路)117とを備えている。また回転板108の下面には、回転板108の中心から径方向外側に向かって直線状に延在する板状の翼部Vが設けられている。なお摩砕機101は、水分を含む材料を粉砕するよう構成された湿式の装置である。
このような摩砕機101によれば、下部砥石110と上部砥石113で粉砕された材料は、下部砥石110と上部砥石113の外縁部における隙間から送り出されて筐体103に落下し、回転する翼部Vによって外側に送り出される。そして、粉砕された材料が増えるに従い、翼部Vによって送り出される材料がパイプ117の内部を流動し、パイプ117の上方における開口からホッパー107の内側に供給される。すなわち摩砕機101によれば、回転する翼部Vによって粉砕した材料を再投入することができる。
しかしこのような摩砕機101で連続運転を行ったところ、運転の途中で摩砕機101から異音が生じるとともにキャビテーション現象によって摩砕機101が過剰に振動する問題が発生した。また粉砕した材料の温度上昇も顕著であった。
本発明は、このような問題点を解決することを課題とするものであり、費用の抑制を図ることが可能であって、音や振動に関する不具合がなく、また材料の温度上昇も抑制することができる循環路付き摩砕機を提供することを目的とする。
本発明は、粉砕する材料を通過させる開口部を有するとともに該開口部の外側に第一摩砕部を有する上部砥石と、前記上部砥石に対向して設けられ、前記第一摩砕部との間に隙間を持たせた第二摩砕部を有する下部砥石と、前記下部砥石を保持して前記上部砥石に対して該下部砥石を回転させる回転板と、前記上部砥石、前記下部砥石、及び前記回転板を取り囲むとともに、粉砕する材料を前記開口部に供給する投入部、及び粉砕した材料を通過させる出口部を有する筐体と、前記出口部と前記投入部とをつなぐ循環路と、を備える循環路付き摩砕機であって、前記回転板とともに回転して粉砕された材料を前記出口部へ送給する翼部は有さず、且つ粉砕された材料を該出口部から前記循環路を介して前記投入部へ送給するポンプも有さず、前記開口部を通過させた材料を、前記回転板による前記下部砥石の回転でもって前記第一摩砕部と前記第二摩砕部で粉砕して前記隙間から排出させることによって前記出口部から前記循環路を経て前記投入部へ帰還させる循環路付き摩砕機である。
本発明における前記出口部は、前記筐体の側面に位置することが好ましい。
本願発明者が検討を重ねたところ、音や振動、材料の顕著な温度上昇に関する問題は、粉砕した材料と翼部との接触によって生じることが明らかになった。またこれらの問題を解決するべく更に検討を重ねたところ、翼部を使わず下部砥石の回転だけで粉砕した材料を投入部まで戻すことが可能であることが見出された。すなわち本発明の循環路付き摩砕機によれば、音や振動に関する不具合がなく、材料の温度上昇も抑制することができ、またポンプを使用する必要もないため、費用の抑制も図ることができる。
本発明に従う循環路付き摩砕機の一実施形態を示した断面図である。 循環路を設けた従来の摩砕機について示した断面図である。
以下、図1を参照しながら本発明に従う循環路付き摩砕機(以下、「摩砕機」と称する)の一実施形態について説明する。
図1において、符号1は本実施形態の摩砕機を示している。摩砕機1は、その下方において図示を省略する装置本体(装置の骨格をなすフレームや、装置の動作を司る電源、制御装置など)を備えている。また装置本体には、後述する下部砥石を回転させるためのモータが設けられている。図1における符合2は、そのモータによって回転するシャフトを示している。なおシャフト2は、モータによって回転するだけでなく、不図示の昇降手段によって上下方向に移動することも可能である。
装置本体の上部には、筐体3が設けられている。本実施形態の筐体3は、シャフト2を挿通させる下部筐体4と、下部筐体4に対して開閉可能に取り付けられる上部筐体5を備えている。また本実施形態の下部筐体4には、その側面を貫く貫通孔(出口部)6が設けられていて、上部筐体5には、上方に向かうにつれて拡径する形態をなし、粉砕する材料を投入するためのホッパー(投入部)7が、上部に設けた開口に取り付けられている。
そして筐体3の内部には、円板状をなし、シャフト2とともに回転する回転板8が設けられている。回転板8の下面には、回転板8の中心から径方向外側に向かって直線状に延在する複数の溝9が、全体として放射状になるように設けられている。
回転板8の上方には、リング状をなすとともに中央部を窪ませた下部砥石10が設けられている。下部砥石10は、シャフト2の先端に取り付けられるナット11を締め付けることによって、シャフト2に挿通された保持具12を介して回転板8に固定される。すなわち下部砥石10は、上述した不図示のモータを駆動させることによってシャフト2を中心として回転し、また上述した不図示の昇降手段を駆動させることによって上下方向に移動する。
そして下部砥石10の上方には、リング状をなすとともに中央部を窪ませた上部砥石13が、下部砥石10に対向するように設けられている。また上部砥石13の中央部には、ホッパー7に通じる開口部14が設けられている。これにより、ホッパー7に材料を投入すれば、開口部14を通して上部砥石13と下部砥石10との間に材料が導入される。また本実施形態の上部砥石13は上部筐体5の内側に固定されていて、例えば筐体3の内側を清掃するべく上部筐体5を開けば、上部砥石13も下部砥石10から離反させることが可能である。
本実施形態の下部砥石10と上部砥石13は、その外周部において平坦状をなしていて、下部砥石10と上部砥石13との間に導入された材料を粉砕することができる摩砕部を備えている。ここで、下部砥石10に設けた摩砕部を下部摩砕部(第二摩砕部)15と称し、上部砥石13に設けた摩砕部を上部摩砕部(第一摩砕部)16と称する。なお図示は省略するが、下部摩砕部15と上部摩砕部16には、複数の溝(例えば下部砥石10の中心(上部砥石13の中心)から径方向外側に向かって延在する溝)を設けてもよい。このような溝を設けることによって、下部砥石10と上部砥石13の中央部に導入された材料を径方向外側に向かってより効率的に送り出すことができる。なおこの溝は、平面視において、直線状に延在するものでもよいし、円弧を描くように湾曲するものでもよい。またこの溝は、下部砥石10の中心(上部砥石13の中心)に対してずれた位置から下部砥石10(上部砥石13)の外側に向かって延在する如きものでもよい。更に、粉砕する材料の混練を促進するべく、下部砥石10においては上方に向けて立ち上がる複数の突起を設け、上部砥石13においては下部砥石10の突起に対してずれた位置から下方に向けて垂下される複数の突起を設けてもよい。
そして筐体3の外側には、下端部が下部筐体4の貫通孔6に接続され、上端部がホッパー7の内側で開口するパイプ(循環路)17が設けられている。本実施形態のパイプ17には、粉砕した材料を容器等に収容する際に使用する排出口18と、排出口18を開閉するための切替弁19が設けられている。
なお、筐体3の内側において、シャフト2、回転板8、下部砥石10、及び上部砥石13の径方向外側に位置する空間を内部空間Sと称することとする。なお摩砕機1は、水分を含む材料を粉砕する湿式の装置として構成されていて、筐体3からパイプ17にかけては適宜パッキン等を配置して、粉砕した材料が外部へ漏れ出さないようにしている。
このような摩砕機1においては、昇降手段を駆動させて下部摩砕部15と上部摩砕部16とを所定の隙間Gに設定するとともに下部砥石10を回転させることによって、ホッパー7から投入された材料を下部摩砕部15と上部摩砕部16で粉砕し、更に下部摩砕部15と上部摩砕部16の隙間から内部空間Sに向かって送り出すことができる。
ところで、下部砥石10と上部砥石13によって粉砕された材料は、内部空間Sの下部に溜まっていく。ここで、下部砥石10と上部砥石13は、材料を粉砕する機能に加え、粉砕した材料を隙間Gから外側に向かって送り出す機能も備えている。このため、粉砕した材料によって内部空間Sが満たされていくと、下部砥石10と上部砥石13から送り出される粉砕直後の材料によって、内部空間Sに溜まった材料が筐体3の外側に押し出される。従って、貫通孔6を通してパイプ17に導入された材料は、パイプ17の内部を満たしつつ上方に向かって流動し、最終的にはパイプ17の上端部における開口からホッパー7の内側に供給される。従って本発明に従う摩砕機1によれば、従来の摩砕機101における翼部Vを使用することなく、また粉砕した材料をホッパー7に投入するためのポンプを使用することなく、下部砥石10の回転を継続することによって粉砕した材料を還流させることが可能であるため、人手を要することなく所望する粒度まで材料を粉砕することができる。
また本発明に従う摩砕機1によれば、材料の粉砕を継続しても摩砕機1から異音が生じたり過剰な振動が発生したりすることも無く、また粉砕した材料の温度上昇も抑制することが可能である。この点につき、比較のために図2に示した翼部Vを備える従来の摩砕機101について説明すると、例えばセルロースを含む材料を粉砕した場合、運転開始から40分程度経過した時点で摩砕機101から異音が生じ、また摩砕機101に過剰な振動が認められた。また通常運転時において、下部砥石110を回転させるモータの電流値は6〜7Aであるところ、この時点では13〜15Aに達していた。また通常の室温での運転において、この時点での材料の温度は83〜90℃に達していた。
一方、本発明に従う摩砕機1によれば、同一の材料で粉砕を行った場合、2時間経過しても摩砕機1から異音が生じることはなく、また過剰な振動も認められなかった。また2時間経過後でも下部砥石10を回転させるモータの電流値は、通常運転時と同様に6〜7Aであった。更にこの時点での材料の温度は約60℃であった。なお追加の確認として、摩砕機1における筐体3の外側に設けたジャケットに冷却水(水温は約7℃)を送給し、材料を間接的に冷却しながら粉砕を継続したところ、材料の温度は約30℃であった。また、内部空間Sやパイプ17を満たす粉砕後の材料を、例えば筐体3の内側における上部や下部の他、回転板8の下方やパイプ17の内側における上部や下部などの複数の場所で採取して確認したところ、採取場所の違いによらず、材料の粒度は何れも均一であった。
なお図示は省略するが、貫通孔6を筐体3の下面に設けるとともに、パイプ17は、筐体3の下面から下方に向けて傾斜させた後、上方に向かって延在させてホッパー7に導入されるようにした摩砕機1でも同様の確認を行ったところ、音や振動、材料の温度については問題がないものの、パイプ17の下方に溜まった材料において、粒度がやや粗いものがあった。このため、貫通孔6を筐体3に設けるにあたっては、図1のように筐体3の側面に設けることが好ましい。
以上、本発明に従う循環路付き摩砕機について具体的な実施形態を示しながら説明したが、本発明は上述した実施形態のものに限定されるものではなく、特許請求の範囲に従う範疇で種々の変更を加えたものも含まれる。例えば、摩砕機1における回転板8の下面には複数の溝9が設けられているが、この溝9は設けなくてもよい。なおこの点につき、本願発明者が繰り返し検討をしたところ、この溝9の有無によって、摩砕機1の音や振動が大きく変わることはなく、また材料の温度もそれ程変化が認められなかった。また貫通孔6を筐体3に設けるにあたっては、例えばパイプ17に溜まる材料の量を抑制できることから筐体3の側面に設けることが好ましいが、筐体3の下面に設けてもよい。
1:循環路付き摩砕機
2:シャフト
3:筐体
4:下部筐体
5:上部筐体
6:貫通孔(出口部)
7:ホッパー(投入部)
8:回転板
9:溝
10:下部砥石
11:ナット
12:保持具
13:上部砥石
14:開口部
15:下部摩砕部(第二摩砕部)
16:上部摩砕部(第一摩砕部)
17:パイプ(循環路)
18:排出口
19:切替弁
101:循環路付き摩砕機(従来例)
103:筐体
107:ホッパー
108:回転板
110:下部砥石
113:上部砥石
117:パイプ(循環路)
G:隙間
S:内部空間
V:翼部

Claims (2)

  1. 粉砕する材料を通過させる開口部を有するとともに該開口部の外側に第一摩砕部を有する上部砥石と、
    前記上部砥石に対向して設けられ、前記第一摩砕部との間に隙間を持たせた第二摩砕部を有する下部砥石と、
    前記下部砥石を保持して前記上部砥石に対して該下部砥石を回転させる回転板と、
    前記上部砥石、前記下部砥石、及び前記回転板を取り囲むとともに、粉砕する材料を前記開口部に供給する投入部、及び粉砕した材料を通過させる出口部を有する筐体と、
    前記出口部と前記投入部とをつなぐ循環路と、を備える循環路付き摩砕機であって、
    前記回転板とともに回転して粉砕された材料を前記出口部へ送給する翼部は有さず、且つ粉砕された材料を該出口部から前記循環路を介して前記投入部へ送給するポンプも有さず、
    前記開口部を通過させた材料を、前記回転板による前記下部砥石の回転でもって前記第一摩砕部と前記第二摩砕部で粉砕して前記隙間から排出させることによって前記出口部から前記循環路を経て前記投入部へ帰還させる循環路付き摩砕機。
  2. 前記出口部は、前記筐体の側面に位置する請求項1に記載の循環路付き摩砕機。
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