JP2020139828A - 光ファイバ式センサ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】折り曲げ部で折り曲げ可能な2つの面を有する測定対象物における折り曲げ角度を、幅広い範囲で計測し得ると共に、コンパクトな構成を実現できる光ファイバ式センサ装置を提供する。【解決手段】光ファイバ式センサ装置1は、測定対象物50の2つの面S1,S2の一方の面上から折り曲げ部51をまたいで他方の面上に至るように配設された光ファイバ2を備える。光ファイバ2は、折り曲げ部51に対向する部分2pの接線方向が、折り曲げ部51の延在方向に沿った方向になり、且つ、面S1,S2上の折り曲げ部51寄りの部分が、部分2pから湾曲して折り曲げ部51から離れていくように配設される。部分2pでの光ファイバ2の曲率が折り曲げ角度の変化に応じて変化することにより、光ファイバ2の光の伝送損失が折り曲げ角度の変化に応じて変化する。【選択図】図1

Description

本発明は、光ファイバを含む光ファイバ式センサ装置に関する。
光を伝送するコアを有する光ファイバは、一般に、曲率がある程度大きくなると、その曲がり部分での光の漏出が生じることによって、光の伝送損失が発生すると共に、該曲率が大きくなるに伴い、光の伝送損失が増加していくという特性を有することが一般に知られている。そして、この特性を利用して、様々な物理量のセンシングを行い得るように構成されたセンサ装置が従来より提案されている。
例えば特許文献1には、光ファイバに当接する部材の変位(光ファイバに直交する方向での変位)に応じて該光ファイバの曲率が変化するように構成されると共に、該光ファイバでの光の伝送損失を計測することで、該伝送損失の計測値から前記部材の変位を計測し得るように構成されたセンサ装置が提案されている。
特開2010−181204号公報
ところで、折り曲げ部で折り曲げ可能な2つの面を有する測定対象物において、光ファイバの上記の特性を利用して、当該2つの面の間の角度である折り曲げ角度を計測することが考えられる。
この場合、例えば、測定対象物の2つの面のうちの一方の面側から他方の面側にかけて、測定対象物の折り曲げ部の延在方向とほぼ直交する方向に光ファイバを配設すると共に、該光ファイバを測定対象物の2つの面に取付けることが考えられる。
しかるに、このようにした場合には、測定対象物の折り曲げに伴い、該測定対象物の折り曲げ部の位置での光ファイバの曲率を増加させていくことは可能であるものの、光ファイバを取り付けた2つの面の間の折り曲げ角度がある程度小さくなると(当該2つの面が接近すると)、光ファイバの曲率が過大なものとなって、該光ファイバの破断等の損傷を生じる虞が高まる。従って、上記の如く光ファイバを配設した場合には、小さい範囲の折り曲げ角度を計測することは困難である。
また、折り曲げ部の位置での光ファイバの曲率が大きくなり過ぎるのを防止するために、例えば、光ファイバが折り曲げ部から外方に突き出るように該光ファイバを折り曲げ部の近辺位置で湾曲させた場合には、折り曲げ角度の変化に対する光ファイバの曲率の変化の感度が低くなる共に、光ファイバが折り曲げ部の外方に突き出るために、測定対象物の周辺物体と光ファイバとの接触あるいは干渉が生じやすい。
また、例えば、特許文献1に見られるセンサ装置を使用して、測定対象物の2つの面の間の折り曲げ角度を計測することも考えられる。しかしながら、この場合、測定対象物の折り曲げを、特許文献1に見られるセンサ装置の光ファイバに当接する部材の変位に変換する機構が必要となる。このため、当該機構を含めた装置構成が複雑なものとなると共に、大型化してしまう。
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、折り曲げ部で折り曲げ可能な2つの面を有する測定対象物における折り曲げ角度、あるいは、該折り曲げ角度と一定の相関性を有する物理量を、幅広い範囲で計測し得ると共に、コンパクトな構成を実現できる光ファイバ式センサ装置を提供することを目的とする。
本発明の光ファイバ式センサ装置は、上記の目的を達成するために、折り曲げ部で折り曲げ可能な2つの面を有し、該2つの面の間の折り曲げ角度が前記折り曲げ部での折り曲げに応じて変化するように構成された測定対象物に、前記折り曲げ角度又は該折り曲げ角度に対して一定の相関性を有する物理量を検出し得るように取り付けられる光ファイバ式センサ装置である。当該センサ装置は、前記2つの面の一方の面上から前記折り曲げ部をまたいで他方の面上に至るように配設されて、該2つの面のそれぞれに取付けられた光ファイバを備えると共に、該光ファイバは、前記折り曲げ部に対向する部分の接線方向が、該折り曲げ部の延在方向に沿った方向になるように配設されており、且つ、前記2つの面のそれぞれの面上の光ファイバの前記折り曲げ部寄りの部分は、前記対向する部分から当該面沿いに湾曲して前記折り曲げ部から離れていくように配設されており、前記光ファイバの光の伝送損失が前記折り曲げ角度又は前記物理量の変化に応じて変化するように構成されていることを特徴とする。
かかる本発明によれば、前記測定対象物の2つの面の間の折り曲げ角度が変化すると、前記折り曲げ部に対向する部分(以降、部分2pということがある)又はその近傍部分での光ファイバの捻じれが発生しつつ、該部分2pの曲率が変化する。この場合、該部分2pの曲率は、前記折り曲げ角度が小さくなるに伴い(前記2つの面が接近するように測定対象物が折り曲げ部で折り曲がるに伴い)、増加する。ひいては、光ファイバでの光の伝送損失が、前記折り曲げ角度が小さくなるに伴い、増加するようになる。
また、この場合、光ファイバの上記部分2p又はその近傍部分での光ファイバの捻じれが発生しつつ、該部分2pの曲率が変化するので、前記折り曲げ角が小さくなっても、光ファイバを前記2つの面と折り曲げ部とに沿わせた状態を維持しつつ、前記部分2pでの曲率が過大にならないようにすることが可能となる。
よって、本発明によれば、折り曲げ部で折り曲げ可能な2つの面を有する測定対象物における折り曲げ角度、あるいは、該折り曲げ角度と一定の相関性を有する物理量を、幅広い範囲で計測し得ると共に、コンパクトな構成の光ファイバ式センサ装置を実現できる
また、本発明では、記光ファイバは、前記折り曲げ部に対向する部分2pにヘテロコア部を有する光ファイバであることが好ましい。
これによれば、前記部分2pでの光ファイバの曲率の変化に対する前記伝送損失の変化の感度が高まる。ひいては、前記折り曲げ角度の変化に対する前記伝送損失の変化の感度を高めることができる。
また、本発明では、前記2つの面のそれぞれの面上の光ファイバの前記折り曲げ部寄りの部分は、例えば円又は楕円の弧に沿うように湾曲して配設され得る。
これによれば、前記2つの面のそれぞれの面上での光ファイバの配設パターンの設計的な設定を行い易くすることができる。
本発明の実施形態の光ファイバ式センサ装置とこれを用いた測定装置との構成を示す図。 図2A及び図2Bは測定対象物の面上での光ファイバの配設パターンの第1の例を示す図。 図3A及び図3Bは測定対象物の面上での光ファイバの配設パターンの第2の例を示す図。 測定対象物の2つの面の間の折り曲げ角度の変化に対する光ファイバの曲率の変化の仕方を説明するための図。 ヘテロコア部を有する光ファイバを示す図。 測定対象物の2つの面の間の折り曲げ角度と、光ファイバの光の伝送損失との関係に関する実測データを示す図。 測定対象物の2つの面の間の折り曲げ角度と、光ファイバの光の伝送損失との関係に関する実測データを示す図。 図8Aは、他の実施形態での測定対象物と光ファイバとを示す斜視図、図8B図8Aの測定対象物を折り曲げ部の延在方向で見た側面図。
本発明の一実施形態を図1〜図7を参照して以下に説明する。図1に示すように、本実施形態の光ファイバ式センサ装置1は、板状の測定対象物50に取付けられた光ファイバ2を有するセンサ装置である。
板状の測定対象物50は、直線状に延在する折り曲げ部51で折り曲げ可能に構成されており、その外表面に、折り曲げ部51を間に挟んで隣り合う2つの面S1,S2を有する。これらの2つの面S1,S2の全体は、折り曲げ部51での測定対象物50の折り曲げに伴い、該2つの面S1,S2の間の角度である折り曲げ角度αが変化するように折れ曲がる。なお、図示例の測定対象物50では、面S1,S2は平坦面である。
光ファイバ2は、測定対象物50の2つの面S1,S2の一方の面S1上から折り曲げ部51をまたいで他方の面S2上にいたるように配設されている。そして、光ファイバ2のうち、面S1上の光ファイバ2の少なくとも一部と、面S2上の光ファイバ2の少なくとも一部とが面S1,S2の各々に接着剤等の適宜の取付手段により固定されている。
この場合、光ファイバ2は、折り曲げ部51に対向する局所部分2p(面S1上の部分と面S2上の部分との境界部分。以降、面境界部2pという)での光ファイバ2の接線方向が折り曲げ部51の延在方向に一致もしくはほぼ一致する方向になり、且つ、光ファイバ2の面S1上の部分のうちの少なくとも折り曲げ部51寄りの部分(折り曲げ部51に近い部分)が、面境界部2pから面S1沿いに湾曲して折り曲げ部51から離れていくように延在すると共に、光ファイバ2の面S2上の部分のうちの少なくとも折り曲げ部51寄りの部分(折り曲げ部51に近い部分)が、面境界部2pから面S2沿いに湾曲して折り曲げ部51から離れていくように延在する、という態様で配設されている。
具体的には、例えば図2A及び図2Bに例示する如く、光ファイバ2は、面境界部2pでの接線方向が折り曲げ部51の延在方向に一致もしくはほぼ一致し、且つ、面S1上の部分のうちの折り曲げ部51寄りの部分と、面S2上の部分のうちの折り曲げ部51寄りの部分とが、折り曲げ部51に近づくに伴い、接線方向が折り曲げ部51の延在方向に近づいていくように、所定サイズの円C(図示例では半径がRの円)の弧に沿って湾曲するするように配設される。
なお、図2Aは、測定対象物50の面S1,S2が180°の折り曲げ角度αで開いた状態を示し、図2Bは、面S1,S2が0°の折り曲げ角度αで閉じた状態を示している。
あるいは、例えば図3A及び図3Bに例示する如く、光ファイバ2は、面境界部2pでの接線方向が折り曲げ部51の延在方向に一致もしくはほぼ一致し、且つ、面S1上の部分のうちの折り曲げ部51寄りの部分と、面S2上の部分のうちの折り曲げ部51寄りの部分とが、折り曲げ部51に近づくに伴い、接線方向が折り曲げ部51の延在方向に近づいていくように、所定サイズの楕円E(図示例では、短径及び長径がそれぞれ2・Ra、2・Rbである楕円)の弧に沿って湾曲するように配設される。
なお、図2A及び図2Bのそれぞれと同様に、図3Aは、測定対象物50の面S1,S2が180°の折り曲げ角度αで開いた状態を示し、図3Bは、面S1,S2が0°の折り曲げ角度αで閉じた状態を示している。また、図3A及び図3Bに例示した楕円Eは、長軸方向が折り曲げ部51の延在方向と直交する方向、短軸方向が該延在方向と平行な方向となる楕円であるが、該楕円Eは、例えば短軸方向が折り曲げ部51の延在方向と直交する方向、長軸方向が該延在方向と平行な方向となる楕円であってもよい。
そして、光ファイバ2の面S1上の部分と面S2上の部分とは、面S1上及び面S2上のそれぞれにおける折り曲げ部51寄りの部分の光ファイバ2の経路形状が一定もしくはほぼ一定に保たれるように、面S1,S2の各々に接着剤等の適宜の取付手段により固定される。この場合、面S1上の光ファイバ2の面S1に対する固定箇所は、面S1上の光ファイバ2の全体でもよいが、面S1上の光ファイバ2の1つ以上の局所部であってもよい。このことは、面S2上の光ファイバ2の面S2に対する固定箇所についても同様である。
また、光ファイバ2の面境界部2p及びその近傍部分は、折り曲げ部51又は面S1,S2に固定されていなくてもよい。また、面S1上の光ファイバ2のうち、面境界部2pからある程度離れた部分は、曲率があまり小さくならない状態で(折り曲げ部51寄りの部分の最大曲率よりも十分に小さい曲率に保たれる状態で)、面S1に対して動き得るようになっていたり、あるいは、面S1上から離れていてもよい。このことは、面S2上の光ファイバ2についても同様である。
補足すると、光ファイバ2の面境界部2pは、点状の局所部に限らず、折り曲げ部51の延在方向にある程度の長さを有する部分(該延在方向と同方向に延在する部分)であってもよい。また、面S1上及び面S2上のそれぞれの光ファイバ2の折り曲げ部51寄りの部分の経路形状は、円C又は楕円Eの弧に沿う形状に限らず、例えば複数次数の関数(2次関数、3次関数等)の曲線形状等、種々様々な形状を採用し得る。また、当該経路形状を楕円の弧に沿う形状にする場合、該楕円の長軸方向及び短軸方向は、例えば折り曲げ部51の延在方向に対して傾斜した方向であってもよい。
さらに、面S1上の光ファイバ2の折り曲げ部51寄りの部分の経路形状と、面S2上の光ファイバ2の折り曲げ部51寄りの部分の経路形状とは対称な形状(点対称の形状)でなくてもよい。例えば、面S1上及び面S2上の一方側の光ファイバ2の折り曲げ部51寄りの部分の経路形状が楕円の弧に沿う形状、他方側の光ファイバ2の折り曲げ部51寄りの部分の経路形状が円の弧に沿う形状、あるいは当該一方側の楕円と異なるサイズの楕円の弧に沿う形状であってもよい。
上記のように測定対象物50に取付ける光ファイバ2は、通常のシングルモード光ファイバ及びマルチモード光ファイバ2のいずれであってもよい。あるいは、光ファイバ2は、その途中部に、図5に示すようにヘテロコア部を有する光ファイバ2H(以降、ヘテロコア光ファイバ2Hという)であってもよい。
該ヘテロコア光ファイバ2Hは、図示の如く、ヘテロコア部でのコアの径が、該ヘテロコア部の両側のコアの径よりも小さくなるように構成されている。かかるヘテロコア光ファイバ2Hを、光ファイバ式センサ装置1の光ファイバ2として採用した場合には、該ヘテロコア光ファイバ2Hは、そのヘテロコア部の局所部が前記面境界部2pの位置になるように測定対象物50に取付けられる。
本実施形態の光ファイバ式センサ装置1の光ファイバ2は、上記の如く測定対象物50に取付けられているので、測定対象物50を折り曲げ部51で折り曲げた場合(面S1,S2の間の折り曲げ角度αを変化させた場合)に、光ファイバ2の面境界部2p又はその近傍部分での捻じれが生じつつ、該光ファイバ2の面境界部2pでの曲率(=1/曲率半径)が変化する。なお、面境界部2pが折り曲げ部51の延在方向にある程度の長さを有する場合には、主に、該面境界部2pの両端部での曲率が変化する。
この場合、面境界部2pでの曲率(=1/曲率半径)は、面S1,S2の間の折り曲げ角度αの変化に対して単調に変化する。詳しくは、折り曲げ角度αが180°から減少するに伴い、面境界部2pでの光ファイバ2の曲率(=1/曲率半径)は単調に増加する。
例えば、図2A及び図2Bに示す如く、面S1上及び面S2上のそれぞれの光ファイバ2の折り曲げ部51寄りの部分を半径Rの円Cの弧に沿わせるように配設した場合、折り曲げ角度αが180°の状態では、面境界部2pでの光ファイバ2の曲率はゼロとなり、折り曲げ角度αが0℃まで小さくなった状態では、当該曲率は1/Rに増加する。
また、例えば、図3A及び図3Bに示す如く、面S1上及び面S2上のそれぞれの光ファイバ2の折り曲げ部51寄りの部分を、短径及び長径のうちの折り曲げ部51の延在方向と平行な方向の径が2・Ra、該延在方向に直交する方向の径が2・Rbである楕円Eの弧に沿わせるように配設した場合、折り曲げ角度αが180°の状態では、面境界部2pでの光ファイバ2の曲率はゼロとなり、折り曲げ角度αが0℃まで小さくなった状態では、当該曲率はRb/Ra2に増加する。
この場合、より詳しくは、折り曲げ角度αと面境界部2pでの光ファイバ2の曲率との関係は、近似的には次のような関係になる。すなわち、図1を参照して、折り曲げ部51の延在方向をX軸、折り曲げ角度αの二等分線の方向をY軸とするXY座標軸を想定する。そして、図4に示す如く、面S1上及び面S2上のそれぞれで、光ファイバ2を沿わせる楕円E(ここでは、X軸と平行な方向の径が2・Ra、X軸に直交する方向の径が2・Rbである楕円E)を上記XY座標軸のXY平面に投影した楕円である投影楕円Esを想定する。該投影楕円Esは、X軸に平行な方向の径が2・Ra、X軸に直交する方向の径が2・Rb・cosθ(ただし、θ=α/2)となる楕円である。
この場合、光ファイバ2の面境界部2pでの曲率は、該面境界部2pでの上記投影楕円Esの曲率にほぼ一致するとみなし得る。このため、光ファイバ2の面境界部2pでの曲率(=1/曲率半径)は、近似的に(Rb・cosθ)/Ra2となる。従って、面境界部2pでの光ファイバ2の曲率(=1/曲率半径)は、折り曲げ角度αが180°から減少するに伴い(θ=α/2が90°から減少するに伴い)、単調に増加する。
補足すると、面S1,S2上の光ファイバ2をそれぞれ半径Rの円Cの弧に沿わせるように配設した場合には、図4におけるRa,RbをRに一致させた場合と等価であるので、光ファイバ2の面境界部2pでの曲率(=1/曲率半径)は、近似的にcosθ/Rとなる。従って、楕円Eの場合と同様に、面境界部2pでの光ファイバ2の曲率(=1/曲率半径)は、折り曲げ角度αが180°から減少するに伴い(θ=α/2が90°から減少するに伴い)、単調に増加する。
本実施形態の光ファイバ式センサ装置1では、光ファイバ2の面境界部2pでの曲率が、上記の如く測定対象物50の面S1,S2の間の折り曲げ角度αの変化(増加又は減少)に伴い、単調に変化する。このため、光ファイバ2に一定強度の光を入射して光伝送を行うと、基本的には、面境界部2p及びその近傍部分の区間での光の漏出量が折り曲げ角度αに応じて変化する(折り曲げ角度αが減少するに伴い、当該漏出量が増加する)。
ここで、折り曲げ角度αの変化に応じて、光ファイバ2の面境界部2pでの曲率が変化することに加えて、該面境界部2p又はその近傍部分での光ファイバ2の捻じれが発生するものの、光ファイバ2での光の伝送損失に対する当該捻じれの影響はほとんどないことが本願発明者等の実験により確認された。従って、光ファイバ2での光の伝送損失を計測することで、該伝送損失の計測値から折り曲げ角度αを計測(推定)することが可能である。
本実施形態の光ファイバ式センサ装置1を用いてかかる計測を行うためのシステムは、例えば図1に示す如く構成される。すなわち、光ファイバ2は、その両端部が、測定対象物50の外部等に設置された測定装置10に接続される。該測定装置10は、光ファイバ2に入射する光を発光する光源としての発光部11と、光ファイバ2で伝送された光を受光して、その受光強度に応じた検出信号を出力する受光部12と、受光部12の検出信号に基づく計測処理を実行する計測処理部13とを備える。
発光部11は、LED等の発光素子により構成され、受光部12はフォトダイオード等の受光素子により構成される。そして、発光部11に光ファイバ2の一端部が接続され、受光部12に光ファイバ2の他端部が接続される。
補足すると、光ファイバ2の一端部は、該光ファイバ2で伝送された光を反射して戻すように構成されていてもよい。この場合には、発光部11が光ファイバ2の他端部に接続されると共に、受光部12が、光ファイバ2の一端部で反射された光を受光し得るように光ファイバ2に適宜の光カプラを介して接続される。
計測処理部13は、例えばマイクロコンピュータ、メモリ、インターフェース回路等を含む電子回路ユニット、あるいは、パソコン、あるいは、これらの組み合わせにより構成され、受光部12の検出信号(受光強度を示す検出信号)が入力される。そして、計測処理部13は、実装されたハードウェア構成及びプログラム(ソフトウェア構成)の両方又は一方により実現される機能として、受光部12の検出信号により示される受光強度から、光ファイバ2での光の伝送損失(以下、単に光損失という)を計測し、該光損失を折り曲げ角度αの計測値に変換して出力する機能を有する。
この場合、計測処理部13は、折り曲げ角度αが所定値(例えば180°)である状態で、一定強度の光を発光部11から光ファイバ2に入射したときに、受光部12で検出された受光強度を基準受光強度としてあらかじめ記憶保持している。そして、折り曲げ角度αの計測時には、受光部12で検出された受光強度の基準受光強度に対する比率を相対的な光損失として計測する。
さらに、計測処理部13は、当該相対的な光損失と、折り曲げ角度αとの関係を表す相関データ(演算式、マップ等)をあらかじめ記憶保持している。該相関データは、あらかじめ実験等に基づいて(例えば後述する実測データに基づいて)作成される。そして、計測処理部13は、受光強度の検出値から計測した光損失の値を、上記相関データを用いて折り曲げ角度αの計測値(推定値)に変換する。
ここで、測定対象物50の面S1,S2の間の折り曲げ角度αと、光損失との間の実際の関係を表す実測データを図6及び図7に例示する。図6は、例えば、面S1上及び面S2上のそれぞれの光ファイバ2の折り曲げ部51寄りの部分を図2A及び図2Bに示す如く円Cの弧に沿わせて配設した場合において、測定装置10を使用して計測した光損失(折り曲げ角度αを複数の値のそれぞれに設定した状態での光損失)の実測データを示すグラフである。
図6の横軸は、折り曲げ角度αの半分の角度θ(=α/2)を表し、縦軸はデシベル単位での光損失を表している。この場合、光損失に関する基準受光強度は、折り曲げ角度αが180°(角度θが90°)である場合の受光強度である。
そして、図6中の実線の2つのグラフのそれぞれは、光ファイバ2としてヘテロコア光ファイバ2Hを使用し、且つ、面S1,S2上で該光ファイバ2(2H)を図2A及び図2Bに示す如く沿わせる円Cの半径Rをそれぞれ、10mm、15mmに設定した場合の実測データを示している。この場合、ヘテロコア光ファイバ2Hは、例えば、シングルモード光ファイバを用いて作成されたものであり、ヘテロコア部のコアの直径が5μm、ヘテロコア部の両側のコアの直径が9μm、ヘテロコア部及びその両側のクラッドの直径が125μm、ヘテロコア部の長さが1〜2mmの範囲内の長さのものである。
また、図6中の破線の2つのグラフのそれぞれは、光ファイバ2として、ヘテロコア部を備えない通常のシングルモード光ファイバを使用し、且つ、面S1,S2上で該光ファイバ2を図2A及び図2Bに示す如く沿わせる円Cの半径Rをそれぞれ、5mm、7.5mmに設定した場合の実測データを示す。この場合、光ファイバ2のコアの直径は9μm、クラッドの直径は125μmである。
図6のグラフを参照して判るように、基本的には、折り曲げ角度αが180°から減少するに伴い、面境界部2pでの曲率が増加することに起因して、光損失が増加する傾向がある。また、折り曲げ角度αの変化に対する光損失の変化の感度は、光ファイバ2として通常のシングルモード光ファイバを使用した場合よりも、ヘテロコア光ファイバ2Hを使用した場合の方が顕著に高くなる。また、面S1,S2上で光ファイバ2を沿わせる円Cの半径Rが小さいほど、折り曲げ角度αの変化に対する光損失の変化の感度が高まる。
なお、光ファイバ2がヘテロコア光ファイバ2Hでない通常のシングルモード光ファイバであり、且つ、円Cの半径Rが5mmである場合の実測データにおいては、折り曲げ角度αが180°に近い範囲で(角度θ=α/2が50°よりも大きい範囲で)での光損失がα=180°である場合の光損失よりも小さくなっている。これは、折り曲げ角度αが180°に近い範囲では、折り曲げ角度αの変化に対する、光ファイバ2の面境界部2pでの曲率の変化率が微小であることから、面S1,S2に対する光ファイバ2の取付け位置の誤差や、該光ファイバ2の経路形状の誤差の影響を受けるためと考えられる。
また、光ファイバ2が通常のシングルモード光ファイバであり、且つ、円Cの半径Rが7.5mmである場合の実測データにおいては、折り曲げ角度αが40°よりも大きい範囲で(角度θ=α/2が20°よりも大きい範囲で)での光損失がほぼ0dBに保たれている。これは、当該角度範囲では、折り曲げ角度αの変化に対する、光ファイバ2の面境界部2pでの曲率の変化率が小さすぎるためであると考えられる。
次に、図7に示すグラフは、光ファイバ2として、ヘテロコア部を備えない通常のシングルモード光ファイバを使用し、且つ、面S1上及び面S2上のそれぞれの光ファイバ2の折り曲げ部51寄りの部分を図3A及び図3Bに示す如く楕円Eの弧に沿わせて配設した場合の実測データを示している。この場合、面S1,S2上で光ファイバ2を沿わせる楕円Eの短径及び長径のうち、折り曲げ部51の延在方向の径(2・Ra)と、該延在方向に直交する方向の径(2・Rb)とはそれぞれ、30mm、180mmに設定されている。また、光ファイバ2のコアの直径は9μm、クラッドの直径は125μmである。なお、図7の横軸及び縦軸は、図6と同様に、それぞれ折り曲げ角度αの半分の角度θ(=α/2)と、デシベル単位での光損失とを表している。
図7のグラフから判るように、面S1上及び面S2上のそれぞれの光ファイバ2を図3A及び図3Bに示す如く楕円Eの弧に沿わせるように配設した場合でも、折り曲げ角度αが180°から減少するに伴い、面境界部2pでの曲率が増加することに起因して、光損失が増加する傾向がある。また、楕円Eの短径の方向を折り曲げ部51の延在方向とすると共に、長径の方向を該延在方向に直交する方向にして、長径Rbの長さを短径Raの長さより十分に大きくすることで折り曲げ角度αの変化に対する光損失の変化の感度を高めることができることが判る。
なお、図7の実測データにおいては、折り曲げ角度αが120°よりも大きい範囲(角度θ=α/2が60°よりも大きい範囲)での光損失がほぼ0dBに保たれている。これは、当該角度範囲では、折り曲げ角度αの変化に対する、光ファイバ2の面境界部2pでの曲率の変化率が小さいためであると考えられる。
以上の如く、本実施形態の光ファイバ式センサ装置1では、光ファイバ2を前記した如く測定対象物50の面S1,S2に取付けているので、面S1,S2の間の面境界部2pでの光ファイバ2の曲率を、面S1,S2の間の折り曲げ角度αに変化(増加又は減少)に応じて単調に変化させることができる。ひいては、光ファイバ2で光伝送を行った場合の光損失を、面S1,S2の間の折り曲げ角度αに応じて変化させることができる。その結果、該光損失の計測値から、折り曲げ角度αを計測(推定)することが可能となる。
また、この場合、折り曲げ角度αが0°となる状態で、面境界部2pでの光ファイバ2の曲率が最大になるので、折り曲げ角度αが0°となる状態で面S1,S2の法線方向で見た光ファイバ2の経路形状を適切に設定しておくことで(例えば図2A及び図2Bに示す円Cのサイズや、図3A及び図3Bに示す楕円Eのサイズを適切に設定しておくことで)、折り曲げ部51での測定対象物50の任意の折り曲げ状態において、面境界部2pでの光ファイバ2の曲率が過大になるのを防止することができる。ひいては、折り曲げ角度αが小さくなる状態に測定対象物50が折れ曲がっても、光ファイバ2が過剰に折れ曲がって、該光ファイバ2の破断等の損傷が生じるのを防止するこができる。
さらに、折り曲げ角度αによらずに、光ファイバ2を面S1,S2及び折り曲げ部51に沿わせた状態を維持できるので、測定対象物50の周囲の物体と光ファイバ2との接触あるいは干渉を生じないように光ファイバ式センサ装置1を構築することを容易に実現できると共に、該光ファイバ式センサ装置1をコンパクトに構成することができる。
また、特に光ファイバ2としてヘテロコア光ファイバ2Hを使用した場合には、折り曲げ角度αの変化に対する光損失の変化の感度を高めることができる。ひいては、折り曲げ角度αの測定精度を高めることが可能となる。
なお、本発明は以上説明した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態を採用することもできる。以下に、他の実施形態をいくつか例示する。
前記実施形態では、測定対象物50として、図1に示した如く、折り曲げ部51の延在方向で見た形状が、該折り曲げ部51での折り曲げによって尖鋭な三角形状になるものを例示した。ただし、測定対象物50は、折り曲げ部51での折り曲げによって、光ファイバ2を取り付ける2つの面S1,S2の間の部分が湾曲するように折れ曲がるものであってもよい。
また、光ファイバ2を取り付ける面S1,S2は、測定対象物50の外表面に限らず、内表面であってもよい。また、測定対象物50は、光ファイバ2を取り付ける面S1,S2として、例えば図8A及び図8Bに例示する如く湾曲した面S1,S2を有するものであってもよい。
また、前記実施形態では、光ファイバ式センサ装置1を用いて、測定対象物50の面S1,S2の間の折り曲げ角度αを計測するシステムについて説明した。ただし、光ファイバ式センサ装置1は、測定対象物50の面S1,S2の間の折り曲げ角度αを計測する場合に限らず、該折り曲げ角度αに対して一定の相関性(依存性)を有する任意の物理量を計測する場合にも適用できる。
例えば、図8A及び図8Bに例示する如く、測定対象物50の内部(面S1,S2の内側)に弾性体52が収容されている場合、折り曲げ部51の近辺での面S1,S2の間の折り曲げ角度αの変化に応じて、面S1,S2の間で弾性体52により発生する弾性力が変化する(折り曲げ角度αの増加に伴い、当該弾性力が増加する)。従って、光ファイバ2での光損失の計測値から、面S1,S2の間で発生する弾性力を計測(推定)することができる。この場合、光損失の計測値から折り曲げ角度αを推定した上で、該折り曲げ角度αの推定値から上記弾性力を推定することも可能であるが、光損失の計測値から直接的に上記弾性力を推定することも可能である。
1…光ファイバ式センサ装置、2…光ファイバ、2p…面境界部(折り曲げ部に対向する部分)、50…測定対象物、51…折り曲げ部、S1,S2…面。

Claims (3)

  1. 折り曲げ部で折り曲げ可能な2つの面を有し、該2つの面の間の折り曲げ角度が前記折り曲げ部での折り曲げに応じて変化するように構成された測定対象物に、前記折り曲げ角度又は該折り曲げ角度に対して一定の相関性を有する物理量を検出し得るように取り付けられる光ファイバ式センサ装置であって、
    前記2つの面の一方の面上から前記折り曲げ部をまたいで他方の面上に至るように配設されて、該2つの面のそれぞれに取付けられた光ファイバを備えると共に、該光ファイバは、前記折り曲げ部に対向する部分の接線方向が、該折り曲げ部の延在方向に沿った方向になるように配設されており、且つ、前記2つの面のそれぞれの面上の光ファイバの前記折り曲げ部寄りの部分は、前記対向する部分から当該面沿いに湾曲して前記折り曲げ部から離れていくように配設されており、前記光ファイバの光の伝送損失が前記折り曲げ角度又は前記物理量の変化に応じて変化するように構成されていることを特徴とする光ファイバ式センサ装置。
  2. 請求項1記載の光ファイバ式センサ装置において、前記光ファイバは、前記折り曲げ部に対向する部分にヘテロコア部を有する光ファイバであることを特徴とする光ファイバ式センサ装置。
  3. 請求項1又は2記載の光ファイバ式センサ装置において、前記2つの面のそれぞれの面上の光ファイバの前記折り曲げ部寄りの部分は、円又は楕円の弧に沿うように湾曲して配設されていることを特徴とする光ファイバ式センサ装置。
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