以下に、図示した一実施の形態に基づいて、この発明を説明する。一実施の形態における圧力制御弁PVは、図1に示すように、弁座1aと、弁座1aに離着座する弁体2と、弁体2を弁座1aから離間させる方向へ付勢するばね3と、弁体2を弁座1aへ接近させる方向へ推力を付与可能なアクチュエータとしてのソレノイドSolと、通路Pとを備えて構成されており、本実施の形態では可変減衰弁DVに利用されて可変減衰弁DVの一部を構成している。
なお、可変減衰弁DVは、緩衝器Dに適用されており、緩衝器Dは、主として伸縮時に可変減衰弁DVを通過する流体に抵抗を与えることによって減衰力を発生するようになっている。
この可変減衰弁DVが適用される緩衝器Dは、たとえば、図2に示すように、シリンダ100と、シリンダ100内に摺動自在に挿入されるピストン101と、シリンダ100内に移動挿入されてピストン101に連結されるロッド102と、シリンダ100内に挿入したピストン101で区画したロッド側室103とピストン側室104と、シリンダ100の外周を覆ってシリンダ100との間に排出通路105を形成する中間筒106と、さらに、中間筒106の外周を覆って中間筒106との間にリザーバ107を形成する外筒108とを備えて構成されており、ロッド側室103、ピストン側室104およびリザーバ107内には流体として作動油が充填されるとともにリザーバ107には作動油の他に気体が充填されている。なお、流体は、作動油以外にも、減衰力を発揮可能な流体であれば使用可能である。
そして、この緩衝器Dの場合、リザーバ107からピストン側室104へ向かう作動油の流れのみを許容する吸込通路109と、ピストン101に設けられてピストン側室104からロッド側室103へ向かう作動油の流れのみを許容する整流通路110とを備え、排出通路105はロッド側室103とリザーバ107とを連通し、可変減衰弁DVは、排出通路105の途中に設けられている。
したがって、この緩衝器Dは、圧縮作動する際には、ピストン101が図2中下方へ移動してピストン側室104が圧縮され、ピストン側室104内の作動油が整流通路110を介してロッド側室103へ移動する。この圧縮作動時には、ロッド102がシリンダ100内に侵入するためシリンダ100内でロッド侵入体積分の作動油が過剰となり、過剰分の作動油がシリンダ100から押し出されて排出通路105を介してリザーバ107へ排出される。緩衝器Dは、排出通路105を通過してリザーバ107へ移動する作動油の流れに可変減衰弁DVで抵抗を与えることによって、シリンダ100内の圧力を上昇させて圧側減衰力を発揮する。
反対に、緩衝器Dが伸長作動する際には、ピストン101が図2中上方へ移動してロッド側室103が圧縮され、ロッド側室103内の作動油が排出通路105を介してリザーバ107へ移動する。この伸長作動時には、ピストン101が上方へ移動してピストン側室104の容積が拡大して、この拡大分に見合った作動油が吸込通路109を介してリザーバ107から供給される。そして、緩衝器Dは、排出通路105を通過してリザーバ107へ移動する作動油の流れに可変減衰弁DVで抵抗を与えることによってロッド側室103内の圧力を上昇させて伸側減衰力を発揮する。
上述したところから理解できるように、緩衝器Dは、伸縮作動を呈すると、必ずシリンダ100内から排出通路105を介して作動油をリザーバ107へ排出し、作動油がピストン側室104、ロッド側室103、リザーバ107を順に一方通行で循環するユニフロー型の緩衝器に設定され、伸圧両側の減衰力を単一の可変減衰弁DVによって発生するようになっている。なお、ロッド102の断面積をピストン101の断面積の二分の一に設定すると、同振幅であればシリンダ100内から排出される作動油量を伸圧両側で等しく設定できる。このように設定すれば、可変減衰弁DVが流れに与える抵抗を同じにすると、伸側と圧側の減衰力を等しくできる。
つづいて、可変減衰弁DVは、本実施の形態では、中間筒106の開口部に設けたスリーブ106aに嵌合されるバルブディスク10と、バルブディスク10に設けた組付軸10cの外周に装着されて主弁座10bに離着座する主弁体11と、バルブディスク10の組付軸10cに連結される中空なバルブハウジング12と、パイロット通路PPと、パイロット通路PPに連通される主弁体11を内部圧力で付勢する背圧室BPと、パイロット通路PPの途中に設けられて背圧室BP内の圧力を制御する圧力制御弁PVと、フェール弁FVとを備えている。
バルブディスク10は、図1に示すように、スリーブ106a内に嵌合される大径の基部10dと、基部10dから図1中右方へ突出する組付軸10cと、基部10dと組付軸10cとを軸方向に貫くように形成されてパイロット通路PPの一部を形成する中空部10eと、中空部10eの途中に設けたオリフィス10fと、基部10dの図1中左端から右端へ貫く複数のポート10aと、基部10dの図1中右端に設けられてポート10aの出口の外周側に形成される環状の主弁座10bとを備えて構成されている。
ポート10aは、上記したように基部10dを貫いていて、ポート10aにおける基部10dの図1中左端側の開口は、中間筒106で形成した排出通路105を介してロッド側室103内に連通され、ポート10aにおける基部10dの図1中右端側の開口は、リザーバ107に連通されている。つまり、この緩衝器Dの場合、伸縮時にロッド側室103から排出通路105およびポート10aを介してリザーバ107へ作動油を排出するようになっていて、ポート10aの上流はロッド側室103となる。また、中空部10eの図1中左端側の開口も、ポート10aと同様に、排出通路105を介してロッド側室103内に連通されている。
なお、このバルブディスク10の基部10dの図1中左方側を小径にして形成した小径部10gをスリーブ106a内に嵌合しており、この小径部10gの外周には、シールリング13が装着されている。このようにシールリング13がスリーブ106aとバルブディスク10との間をシールするので、基部10dの外周を通じての排出通路105とリザーバ107との連通が阻止される。
つづいて、バルブディスク10の基部10dの図1中右端には、主弁座10bに離着座してポート10aを開閉する主弁体11が積層されている。この主弁体11は、環状の積層リーフバルブとされており、内周が組付軸10cに組付けられてバルブディスク10と組付軸10cに螺子締結されるバルブハウジング12とで挟持されている。したがって、主弁体11は、外周側の撓みが許容されて主弁座10bに着座しており、外周側が撓むと主弁座10bから離座してポート10aを開放する。
なお、主弁体11は、複数の環状板を積層した積層リーフバルブとして構成されているが、環状板の枚数は任意である。また、主弁体11が離着座する主弁座10bには、切欠で形成されるオリフィスOが設けられている。
つづいて、主弁体11の図1中右方には、間座15、環状の板ばね16および間座17が順に積層されており、組付軸10cに組付けられる。そして、組付軸10cの先端である図1中右端には、バルブハウジング12が螺着される。すると、組付軸10cに組み付けられた主弁体11、間座15、板ばね16および間座17がバルブディスク10の基部10dとバルブハウジング12とで挟持されて固定される。
バルブハウジング12は、図1に示すように、筒状であって、図1中左方の外径が小さい小径筒部12aと、図1中右方の外径が大きな大径筒部12bと、大径筒部12bの外周に設けた環状溝12cと、大径筒部12bの左端から開口して大径筒部12bの内周へ通じる圧力導入孔12dとを備えている。また、バルブハウジング12は、小径筒部12aの内方に設けた螺子孔部12eにバルブディスク10の組付軸10cが挿入されるとともに螺着されることによって、バルブディスク10に連結される。大径筒部12bには、図3中右端内周側に環状突部12fが設けられる他に、環状突部12fの外周に設けた環状溝12gと環状溝12gの外周に設けられた図3中右方へ突出する環状のフェール弁弁座12hと、大径筒部12bの内周から開口して環状溝12gに連通されるフェール通路12iとを備えている。
バルブハウジング12内は、バルブディスク10の中空部10eに連通されてオリフィス10fを介してポート10aの上流であるロッド側室103内に連通されている。そして、バルブハウジング12内は、中空部10eとともにパイロット通路PPの一部として機能している。
また、バルブハウジング12の大径筒部12bの外周に設けた環状溝12cには、合成樹脂製のリング18が装着されており、このリング18の外周に筒状のスプール19が摺動自在に装着されている。スプール19は、筒状であって、下端に設けられて内方へ突出するフランジ19aと、このフランジ19aの下方に環状突起19bを備えている。つまり、スプール19は、バルブハウジング12に対して軸方向となる図1中左右方向へ移動可能となっている。
さらに、フランジ19aの図1中右端には板ばね16の外周が当接しており、スプール19は、この板ばね16によって、図1中左方である主弁体11側へ向けて付勢されていて、環状突起19bが主弁体11の反主弁座側面に当接している。
そして、スプール19は、その内周側に、板ばね16およびバルブハウジング12と協働して背圧室BPを形成しており、この背圧室BPは、上記した圧力導入孔12dを介してバルブハウジング12内に連通されている。よって、ロッド側室103から排出された作動油は、オリフィス10fを介して背圧室BPに導かれるようになっており、ポート10aの上流の圧力がオリフィス10fによって減圧されて背圧室BPに導入される。以上から、主弁体11には、スプール19を付勢する板ばね16による付勢力以外に、背圧室BPの内部圧力によって主弁体11を主弁座10bへ向けて押しつける付勢力が作用している。
すなわち、緩衝器Dが伸縮作動する際に、主弁体11は、正面側からポート10aを介してロッド側室103内の圧力を受けるとともに、背面側からは背圧室BPの内部圧力と板ばね16による付勢力を受ける。なお、板ばね16に孔を設けておき、背圧室BP内の圧力を直接に主弁体11に作用させてもよい。
そして、ロッド側室103内の圧力によって、主弁体11の外周を図1中右方へ撓ませようとする力が、背圧室BPの内部圧力と板ばね16による付勢力に打ち勝つと、主弁体11が撓んで主弁座10bから離座して主弁体11と主弁座10bとの間に隙間が形成されてポート10aが開放される。
つづいて、バルブハウジング12内であって螺子孔部12eよりも図1中右方には、圧力制御弁PVが組み付けられている。圧力制御弁PVは、パイロット通路PPの途中に設けられており、非通電時にパイロット通路PPを閉じるとともに通電時に圧力制御を行う。
圧力制御弁PVは、図1及び図3に示すように、弁座1aと弁収容筒1bとを備えた弁座部材1と、弁座1aに離着座する弁体2と、弁体2を弁座1aから離座させる方向に付勢するばね3と、弁体2に推力を与えこれを軸方向に駆動するアクチュエータとしてのソレノイドSolと、通路Pとを備えて構成されている。
そして、弁座部材1は、バルブハウジング12の大径筒部12b内に嵌合されて、大径筒部12bの図3中右端に重ねられて径方向へ位置決めされつつ、バルブハウジング12に組付けられる。弁座部材1は、有底筒状であって図3中右端外周にフランジ1cを備えた弁収容筒1bと、弁収容筒1bの図3中右端に軸方向へ向けて突出する環状の弁座1aと、フランジ1cの外周に図3中右方へ向けて設けられた外筒部1dと、弁収容筒1bの側方から開口して内部へ通じる透孔1eと、フランジ1cから外筒部1dにかけて設けられた溝でなる通路Pとを備えて構成されている。
また、弁座部材1の弁収容筒1bの外周には、環状のリーフバルブであるフェール弁弁体21が装着されている。弁収容筒1bをバルブハウジング12に挿入して弁座部材1をバルブハウジング12に組み付けると、フェール弁弁体21は、内周が弁座部材1におけるフランジ1cとバルブハウジング12の図3中右端とで挟持されて固定される。よって、フェール弁弁体21は、外周側がバルブハウジング12に設けたフェール弁弁座12hに初期撓みが与えられた状態で着座し、環状溝12gを閉塞する。このフェール弁弁体21は、フェール通路12iを通じて環状溝12g内に作用する圧力が開弁圧に達すると撓んで、フェール通路12iを開放してリザーバ107へ連通させる。このように、フェール弁弁体21とフェール弁弁座12hとでフェール弁FVが形成されている。
また、弁収容筒1bの外径は、バルブハウジング12の内周径よりも小径であって、弁収容筒1bをバルブハウジング12に挿入して弁座部材1をバルブハウジング12に組み付けると、透孔1eが中空部10eを通じてロッド側室103に連通される。
さらに、弁座部材1の弁収容筒1b内には、弁体2が摺動自在に挿入されている。詳しくは、弁体2は、弁収容筒1b内に摺動自在に挿入される弁座部材側である図3中左側に設けた小径部2aと、反弁座部材側である図3中右側に設けた大径部2bと、小径部2aと大径部2bとの間に設けた環状の凹部2cと、反弁座部材側端の外周に設けたフランジ状のばね受部2dと、弁体2の先端から後端へ貫通する連通路2e、連通路2eの途中に設けたオリフィス2fとを備えて構成されている。
また、弁体2にあっては、前述したように、凹部2cを境にして反弁座部材側の外径が大径になっており、大径部2bの図3中左端に弁座1aに対向する環状の着座部2gを備えている。よって、弁体2が弁座部材1に対して軸方向へ移動して弁座部材1に遠近すると着座部2gが弁座1aに対して離着座する。そして、着座部2gが弁座1aに着座すると圧力制御弁PVが閉弁し、着座部2gが弁座1aから離座すると圧力制御弁PVが開弁する。圧力制御弁PVは、開弁すると中空部10eを介してロッド側室103をリザーバ107に連通し、閉弁すると中空部10eを介してのロッド側室103とリザーバ107との連通を断つ。
弁体2は、弁座部材1に対して軸方向へ移動でき、弁座部材1に着座した状態から最大限離間するまで凹部2cが透孔1eに対向した状態に維持される。よって、圧力制御弁PVの開弁時に、バルブディスク10の中空部10eからリザーバ107へ向かう作動油は、弁座部材1の弁収容筒1bと凹部2cとの間を通過し得る。他方、弁座部材1に対して軸方向へ最大限に離間した際に弁体2のばね受部2dが後述するキャップ20に当接してパイロット通路PPを閉塞するので、作動油は圧力制御弁PVを通過し得なくなる。
このように、圧力制御弁PVは、本実施の形態では、着座部2gが弁座1aに着座した状態で閉弁するとともに、弁体2が弁座部材1から最大限離間した状態でも閉弁する。なお、圧力制御弁PVが閉弁した場合にあっても、フェール通路12iは、中空部10eを通じて常時ロッド側室103に連通されているので、ロッド側室103の圧力がフェール弁FVの開弁圧に達すると、フェール弁弁体21が撓んでフェール弁FVが開弁して、背圧室BP内の圧力はフェール弁FVによってフェール弁FVの開弁圧となるように調節される。
なお、弁体2は、弁座部材1の弁収容筒1b内に挿入されると、弁収容筒1b内であって透孔1eより先端側に空間Kを形成する。この空間Kは、弁体2に設けた連通路2eおよびオリフィス2fを介して弁体2外に連通されている。これにより、弁体2が弁座部材1に対して図3中左右方向である軸方向に移動する際、上記空間Kがダッシュポットとして機能して、弁体2の急峻な変位を抑制するとともに、弁体2の振動的な動きを抑制できる。
さらに、弁体2におけるばね受部2dと弁座部材1のフランジ1cとの間には、弁体2を弁座部材1に対して軸方向に離間させる方向へ付勢するばね3が介装されている。ばね3は、本実施の形態では、円錐コイルばねとされており、大径側の端部3aの外周が外筒部1dの内周に嵌合し、小径側の端部3bの内周が弁体2の大径部2bの外周に嵌合して、弁座部材1および弁体2に対して径方向で位置決めされている。
ばね3は、環状であって弁座部材1と弁体2との間に介装されており、弁座部材1と弁体2との間の空間を弁座1aに面する弁座側の空間A1と弁座1aに面していない反弁座側の空間A2とに仕切っている。作動油の流れで説明すると、ばね3によって弁座1aに面する上流側の空間A1と空間A1に対して下流側の空間A2とが仕切られており、圧力制御弁PVを通過した作動油は、ロッド側室103からリザーバ107へ向かう際に、空間A1、空間A2の順に通過して流れる。
これに対して、弁座部材1に設けられた通路Pは、フランジ1cから外筒部1dの端部にかけて設けられていて、ばね3の大径側の端部3aより内周側から開口して端部3aの外周側へ通じている。よって、通路Pは、ばね3の一端である端部3aから他端である端部3bの間を介さずに上流側の弁座側の空間A1と下流側の反弁座側の空間A2とを連通している。したがって、圧力制御弁PVを通過して弁座側の空間A1から反弁座側の空間A2へ移動する作動油は、ばね3の線材間の狭い隙間を通過する以外にもばね3の線材間の隙間を迂回する通路Pをも通過できる。このように、通路Pを設ければ、ばね3の線材間の隙間を通過する作動油の流量を減らせるので、ばね3の線材間の隙間を通過する際の圧力損失と流体力を低減できる。なお、通路Pの流路面積をばね3の線材間の螺旋状の隙間の全流路面積よりも大きくすると抵抗の少ない通路Pを優先的に通過するので、圧力損失と流体力をより一層効果的に低減できる。本実施の形態では、ばね3を円錐コイルばねとしているが、円筒コイルばねとされてもよいし、ダイヤフラムスプリング等の溝付の皿ばねとされてもよい。また、通路Pの設置数は、十分な大きさの流路面積が確保されていればいくつでもよい。
また、バルブハウジング12の図1中右端には、キャップ20が嵌合されている。キャップ20は、環状であって、バルブハウジング12の大径筒部12bの外周に嵌合するソケット20aと、弁座部材1の外筒部1dの端部に嵌合する嵌合部20bと、ソケット20aを貫く貫通孔20cと、図3中右端の内周に突出する環状弁座20dと、図3中右端に設けられて内周から外周に通じる切欠溝20eとを備えて構成されている。
そして、キャップ20のソケット20aをバルブハウジング12に嵌合するとともに嵌合部20bを弁座部材1の外筒部1dに嵌合すると、弁座部材1は、キャップ20およびバルブハウジング12に対して径方向に位置決めされるとともにキャップ20とバルブハウジング12によって挟み込まれてフェール弁弁体21とともに両者に固定される。
キャップ20の環状弁座20dには、弁体2のばね受部2dが離着座するようになっており、弁体2が弁座部材1に対して軸方向へ最大限に離間するとばね受部2dが環状弁座20dに着座し、それ以外ではばね受部2dは環状弁座20dから離間する。
キャップ20のバルブハウジング12への装着によって、キャップ20内に圧力制御弁PVが収容される空間が仕切られるが、弁体2が環状弁座20dに着座すると、弁体2と環状弁座20dとの間を介しての前記空間とリザーバ107との連通が断たれる一方、弁体2が環状弁座20dから離座した状態では、前記空間とリザーバ107とが切欠溝20eによって連通される。
前述したところを整理すると、可変減衰弁DVは、ロッド側室103とリザーバ107とをポート10aにて連通し、このポート10aを主弁体11で開閉する。また、このポート10aを通るルートとは別に、バルブディスク10の中空部10e、バルブハウジング12内、弁座部材1に設けた透孔1e、弁座部材1内、弁体2に設けた凹部2c、空間A1、通路P、空間A2、および切欠溝20eを介して、ロッド側室103とリザーバ107とが連通され、これらでパイロット通路PPを形成している。このパイロット通路PPは、バルブハウジング12に設けた圧力導入孔12dを通じて背圧室BPに連通されており、ポート10aの上流の圧力がパイロット通路PPの途中に設けたオリフィス10fによって減圧されて背圧室BPに導入される。さらに、パイロット通路PPは、圧力制御弁PVによって開閉され、圧力制御弁PVの開弁圧の調節によって背圧室BP内の圧力を制御できる。圧力制御弁PVは、開弁圧の調節のために弁体2に推力を与えるアクチュエータとしてソレノイドSolを備えている。また、ソレノイドSolが推力を弁体2に与えない状態では、弁体2がばね3によって弁座部材1から最大限離間して圧力制御弁PVが閉弁するが、パイロット通路PPの圧力制御弁PVの上流がフェール通路12iに通じているので、パイロット通路PP内の圧力が高まりフェール弁FVの開弁圧に達すると、フェール弁FVが開弁してロッド側室103をリザーバ107に連通する。なお、アクチュエータは、ソレノイドSolに限られず、たとえば、リニアモータやエアシリンダ等といった弁体2にばね3の付勢力に抗する推力を与えて圧力制御弁PVの開弁圧を調節可能なものであればよい。
つづいて、ソレノイドSolは、外筒108に設けた開口に取り付けたスリーブ108aの外周に螺着される有底筒状のケース35内に収容されており、巻線38が巻回されるとともにケース35の底部に固定される環状のソレノイドボビン39と、有底筒状であってソレノイドボビン39の内周に嵌合される第一固定鉄心40と、ソレノイドボビン39の内周に嵌合される筒状の第二固定鉄心41と、同じくソレノイドボビン39の内周に嵌合されるとともに第一固定鉄心40と第二固定鉄心41との間に空隙を形成するために介装される非磁性体のフィラーリング42と、第一固定鉄心40の内周側に配置される筒状の可動鉄心43と、可動鉄心43の内周に固定されるシャフト44とを備えて構成されている。
ケース35は、筒部35aと筒部35aの開口端を加締めて固定される底部35bとを備えて構成されており、筒部35aの開口端を加締める際に、底部35bとともに筒部35aの内周にボビンホルダ36が固定される。ボビンホルダ36は、ソレノイドボビン39を保持しており、ソレノイドボビン39は、ケース35にボビンホルダ36を介して取り付けられている。
そして、ケース35をスリーブ108aに螺着すると、ケース35とスリーブ108aとの間に第二固定鉄心41の外周に設けたフランジ41aが挟持され、第二固定鉄心41によって、フィラーリング42および第一固定鉄心40がケース35内で固定される。
可動鉄心43は、筒状であって、内周には可動鉄心43の両端から図1中左右に伸びるシャフト44が装着されている。このシャフト44は、第一固定鉄心40の底部に設けられた環状のブッシュ45と、第二固定鉄心41の内周に嵌合される環状のガイド46の内周に保持された環状のブッシュ47によって軸方向移動可能に保持されており、これらブッシュ45,47によってシャフト44の軸方向の移動が案内されている。
また、第二固定鉄心41を上記のようにケース35に固定すると、第二固定鉄心41の内周に嵌合されたガイド46がキャップ20に当接し、キャップ20、弁座部材1、フェール弁弁体21、バルブハウジング12およびバルブディスク10が緩衝器Dに固定される。
シャフト44の図1中左端は、弁体2の図1中右端に嵌合された孔空きディスク32に当接しており、弁体2を介してばね3の付勢力がシャフト44にも作用し、ばね3は、弁体2を付勢するだけでなく、ソレノイドSolの一部品としてシャフト44を付勢する役割をも果たしている。
なお、第二固定鉄心41は、スリーブ108aの内周に嵌合する筒状のスリーブ41bを備えており、これにより、ソレノイドSolを構成する各部材がスリーブ108aに対して径方向に位置決めされている。なお、キャップ20の外周には切欠(符示せず)が設けられており、弁体2とソレノイドSolとの間の空隙は、この切欠と切欠溝20eを通じてリザーバ107に連通されるので、弁体2の移動を妨げる恐れはない。
なお、ガイド46には、軸方向に貫く孔46aが設けられており、ガイド46の図1中左側と右側とで圧力差が生じないようになっており、また、可動鉄心43にも軸方向に貫く孔43aが設けられており、可動鉄心43の図1中左側と右側とで圧力差が生じて可動鉄心43の円滑な移動を妨げることが無いよう配慮されている。
上述したところから、このソレノイドSolにあっては、磁路が第一固定鉄心40、可動鉄心43および第二固定鉄心41を通過するように形成されており、巻線38が励磁されると、第一固定鉄心40寄りに配置される可動鉄心43が第二固定鉄心41側に吸引され、可動鉄心43には図1中左側へ向かう推力が作用するようになっている。
そして、この可動鉄心43に一体となって移動するシャフト44は、図1に示すように、弁体2に当接しており、ソレノイドSolの推力が弁体2に伝わるようになっている。
ソレノイドSolは、励磁時において吸引される可動鉄心43を介して弁体2に図1中左側へ向かう方向の推力を与えて弁体2を弁座1aに着座させつつ、供給される電流量に応じて圧力制御弁PVの開弁圧を調節する。具体的には、ソレノイドSolの巻線38への通電量を調節すると、弁体2へ与える推力を調節でき、圧力制御弁PVの開弁圧を制御できる。
また、ソレノイドSolは、非励磁時においては推力を弁体2に与えないので、弁体2がばね3に押されて弁座1aから離座して弁座部材1から最大限遠ざかり、圧力制御弁PVを閉弁させる。
圧力制御弁PVは、前述のように構成されて可変減衰弁DVに組み込まれ、アクチュエータとしてのソレノイドSolの推力の調整で緩衝器Dが発生する減衰力を変更する。
詳細には、緩衝器Dが伸縮してロッド側室103から作動油が可変減衰弁DVを経てリザーバ107へ排出されると、圧力制御弁PVが正常動作する場合には、ポート10aおよびパイロット通路PPの上流の圧力が高まり、ソレノイドSolに電流を供給して、圧力制御弁PVの開弁圧を調節すると、パイロット通路PPにおけるオリフィス10fと圧力制御弁PVとの間の圧力が背圧室BPに導かれる。
背圧室BPの内部圧力は圧力制御弁PVの開弁圧に等しくなるように制御され、当該開弁圧はソレノイドSolで調節される。よって、圧力制御弁PVは、主弁体11の背面に作用する圧力を調節でき、ひいては、主弁体11がポート10aを開放する開弁圧を制御できる。
そして、本発明の圧力制御弁PVは、弁座1aと、弁座1aに離着座する弁体2と、弁体2を弁座1aから離間させる方向へ付勢するばね3と、弁体2を弁座1aへ接近させる方向へ推力を付与可能なソレノイド(アクチュエータ)Solと、ばね3で仕切られる弁座側の空間A1をばね3の一端から他端までの間を介さずに空間(下流)A2に連通する通路Pとを備えている。
このように圧力制御弁PVが構成されると、圧力制御弁PVを通過して弁座側の空間A1から空間(下流)A2へ移動する作動油は、ばね3の線材間の狭い隙間を通過する以外にもばね3の線材間の隙間を迂回する通路Pをも通過できる。
本発明の圧力制御弁PVによれば、通路Pを設けてばね3の一端から他端の間の狭い隙間を通過する作動油の流量を減らせるので、ばね3の一端から他端までの間の隙間を通過する際の圧力損失と流体力を低減できる。
よって、本発明の圧力制御弁PVによれば、ばね3の一端から他端までの間の隙間を通過する際の圧力損失と流体力を低減できるので、意図しない圧力損失によって狙い通りの圧力制御が難しくなったり、ばね3が振動して圧力変動を来したりする問題が解消され、安定した圧力制御が可能となる。
また、通路Pの流路面積をばね3の一端から他端までの間の隙間の全流路面積よりも大きくすると、作動油はより抵抗の少ない通路Pを優先的に通過するので、ばね3の一端から他端までの隙間を作動油が通過することによる圧力損失と流体力を極小さくできるので、より一層効果的に安定した圧力制御が可能となる。
また、通路Pの形成にあたって、図4に示した第一変形例の圧力制御弁PV1のように、弁座1aを有する弁座側部材1Aと、弁座側部材1Aに嵌合してばね3を収容する筒部材としてのキャップ20Aとで弁座部材1を構成して、通路Pを弁座側部材1Aとキャップ20Aの組み合わせ部の双方に設けた凹部50,51で形成してもよい。具体的には、弁座側部材1Aは、有底筒状であって図4中右端外周にフランジ1cを備えた弁収容筒1bと、弁収容筒1bの図4中右端に軸方向へ向けて突出する環状の弁座1aと、フランジ1cの外周に設けられた段部で形成されるキャップ20Aが嵌合される組み合わせ部1A1と、フランジ1cの組み合わせ部1A1の外周からばね3が着座する部位よりも内周側に開口する凹部50とを備えている。また、筒部材としてのキャップ20Aは、ばね3を内方に収容する筒状の嵌合部20bを組み合わせ部として弁座側部材1Aのフランジ1cに設けた組み合わせ部1A1に嵌合させており、嵌合部20bの内周であって図4中左端から軸方向に設けられる凹部51とを備える他は、前述のキャップ20と同様の構成を備えている。
そして、弁座側部材1Aの組み合わせ部1A1にキャップ20Aの嵌合部20bを組み合わせると、凹部50と凹部51とが連通されて通路Pが形成される。通路Pは、弁座1aを有する弁座側部材1Aと、弁座側部材1Aに嵌合してばね3を収容する筒部材としてのキャップ20Aとの組み合わせ部(嵌合部20b)に形成されるので、ばね3で仕切られる弁座側の空間A1をばね3の一端から他端までの間を介さずに空間(下流)A2に連通できる。このように、弁座部材1を弁座側部材1Aの組み合わせ部1A1と筒部材としてのキャップ20Aの組み合わせ部としての嵌合部20bとに設けた凹部50,51で通路Pを形成すると、弁座側部材1Aおよび筒部材としてのキャップ20Aを焼結成形によって製造すると通路Pも形成できるので、孔空け加工の必要が無くなり、加工工数が減少して製造コストを低減できる。また、弁座側部材1Aと筒部材としてのキャップ20Aとが組み合わせ部によって組み合わされるので、双方が互いに径方向に位置決めされるとともに、キャップ20Aにおける嵌合部20bの内周でばね3の外周を拘束させてばね3の位置決めも行える。
さらに、通路Pは、前述したところでは、弁座部材1に設けていたが、図5に示した第二変形例における圧力制御弁PV2のように、弁体2に通路Pを設けてもよい。この場合、図5に示すように、弁体2の大径部2bのばね3が当接する箇所より図5中左方から開口して、ばね受部2dのばね3が当接する箇所よりも外周側へ通じるように通路Pを設けると、ばね3の一端から他端までの間の線材間の隙間を迂回して上流である空間A1を下流の空間A2へ連通できる。よって、このように構成された圧力制御弁PV2にあっても、ばね3の一端から他端までの間の隙間を通過する際の圧力損失と流体力を低減できるので、安定した圧力制御が可能となる。
また、圧力制御弁PVが適用された可変減衰弁DVにあっては、ソレノイドSolへの供給電流に応じた推力を圧力制御弁PVに与えて背圧室BPの内部圧力を制御して主弁体11における開弁圧を調節する。そのため、パイロット通路PPを流れる流量に依存することなく背圧室BPの内部圧力を狙い通りに調節でき、緩衝器Dのピストン速度が低速域にある場合にもソレノイドSolへの供給電流に対する減衰力変化が線形に近く、制御性が向上する。また、ソレノイドSolへの供給電流に応じた推力を弁体2に与えて主弁体11を付勢する背圧室BPの内部圧力を制御するので、減衰力のばらつきも小さくできる。
また、フェール時には、ソレノイドSolへ電流供給が断たれ、圧力制御弁PVがばね3によって押圧されて閉弁し、ロッド側室103内の圧力がフェール弁FVの開弁圧に達するとフェール弁FVが開弁してパイロット通路PPをリザーバ107へ連通する。よって、フェール弁FVが作動油の流れに対して抵抗となって、緩衝器Dはパッシブな緩衝器として機能できる。なお、フェール弁FVの開弁圧の設定によって、緩衝器Dのピストン速度に対するフェール時の減衰特性を予め任意に設定できる。
なお、本実施の形態では、圧力制御弁PVを可変減衰弁DVに適用しているが、圧力制御弁PVは油圧回路中で単独で使用可能であり、単独で使用されても本願発明の効果は失われない。
以上、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱しない限り、改造、変形、および変更が可能である。