以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、実施形態に係る浴室を模式的に表す斜視図である。
図1に表したように、浴室2は、シャワーバー装置10と、壁パネル11と、洗面カウンター12と、水栓装置13と、シャワーヘッド14と、鏡15と、を備える。なお、図1では、便宜的に図示を省略しているが、浴室2は、例えば、洗い場床、浴槽、及び天井パネルなどをさらに備える。
壁パネル11は、壁面11aを有する。壁パネル11は、洗い場床の端部から壁面11aを略垂直に立ち上げた状態で浴室2に設置される。これにより、壁パネル11は、浴室2の壁面を形成する。壁面11aは、換言すれば、浴室2の壁面である。
また、浴室2は、例えば、複数の壁パネルを有し、複数の壁パネルによって矩形状の空間を形成する。壁パネル11は、例えば、浴室2の複数の壁パネルのうちの浴槽に隣接して設置される壁パネルである。
シャワーバー装置10は、シャワーバー20と、シャワーフック22と、を備える。シャワーバー20は、上下方向に延びた状態で壁パネル11の壁面11aに取り付けられる。シャワーフック22は、シャワーヘッド14を着脱可能に保持する保持部30を有し、上下方向にスライド移動可能かつシャワーバー20を軸に左右方向へ回転可能にシャワーバー20に取り付けられる。
シャワーバー20は、シャワーフック22が下方に向かうにつれ、保持部30を前方に移動させるように湾曲している。但し、シャワーバー20の形状は、これに限定されるものではない。シャワーバー20の形状は、例えば、垂直方向に沿って直線状に延びる形状などでもよい。シャワーバー20の形状は、シャワーフック22を上下方向にスライド移動可能かつ左右方向へ回転可能に支持することができる任意の形状でよい。
シャワーバー装置10は、シャワーフック22を上下方向にスライド移動可能とすることにより、保持部30に保持されたシャワーヘッド14の上下方向の位置を調節可能とする。
従って、シャワーバー装置10では、例えば、シャワーフック22の上下方向の位置を調節することにより、使用者の体格などに対応した適切な位置でシャワーヘッド14から吐出された水を浴びることができる。なお、本願明細書において、「水」には、加温された「お湯」も含むものとする。
また、シャワーバー装置10は、シャワーフック22を上下方向にスライド移動可能とすることにより、使用者が立ち上がった状態でも洗い場床に置かれた椅子などに着座した状態でも、シャワーヘッド14から吐出された水を適切に浴びられるようにする。
さらに、シャワーバー装置10は、シャワーバー20を手摺りとしても利用できるようにする。これにより、例えば、椅子などに着座した状態から立ち上がる際に、シャワーバー20を掴むことにより、立ち上がり易くすることができる。あるいは、浴槽と洗い場床との間の移動の際に、シャワーバー20を掴むことにより、浴槽と洗い場床との間の移動をし易くすることができる。このように、シャワーバー装置10では、シャワーバー20を手摺りとしても利用できるようにすることにより、使用者の立上りや移動などの動作を補助することができる。
シャワーバー20の下端から洗い場床の床面までの距離D1は、例えば、80cm以下である。これにより、使用者が椅子などに着座した状態でも、シャワーバー20を掴み易くすることができる。また、シャワーバー20の下端から洗い場床の床面までの距離D1は、例えば、60cm以上である。これにより、シャワーバー20の下端が使用者の足などに当たり、邪魔になってしまうことを抑制することができる。
シャワーバー20の上下方向の長さL1は、例えば、90cm以上120cm以下である。浴室2の天井までの高さは、概ね2m程度である。従って、長さL1を上記のように設定することにより、様々なタイプの浴室2にシャワーバー装置10を適用させ、適切な高さにシャワーフック22を配置することができる。
洗面カウンター12は、壁パネル11の壁面11aに対してシャワーバー装置10よりも下方に取り付けられる。洗面カウンター12は、上面12aを有する。洗面カウンター12の上面12aは、左右方向及び前後方向に延び、洗面器やシャンプーボトルなどの物品を載置可能とする。
シャワーバー装置10は、例えば、洗面カウンター12の左右方向の幅内に配置される。換言すれば、洗面カウンター12は、シャワーバー装置10と上下方向において重なる位置に配置される。この場合、シャワーバー装置10の下端(シャワーバー20の下端)は、洗面カウンター12に取り付けてもよい。但し、洗面カウンター12は、シャワーバー装置10と左右方向にずれた位置に配置してもよい。洗面カウンター12は、少なくとも上面12aがシャワーバー装置10の下端よりも下方に配置されていればよい。
水栓装置13は、壁パネル11の壁面11aに対して洗面カウンター12の上方に取り付けられる。水栓装置13は、下方に向けて水を吐出する吐水部13aを有する。水栓装置13は、洗面カウンター12の左右方向の幅内に配置される。水栓装置13は、例えば、洗面カウンター12の上面12aに向けて吐水部13aから水を吐出する。これにより、洗面カウンター12の上面12aに載置された洗面器などに水を溜めることができる。
シャワーヘッド14は、ホース16を介して水栓装置13と接続されている。シャワーヘッド14は、例えば、複数の吐水孔が設けられたヘッド本体14aと、ヘッド本体14aから延びる略棒状の持ち手部14bと、を有する。シャワーヘッド14は、持ち手部14bのヘッド本体14aと反対側の端部においてホース16と接続される。持ち手部14bは、例えば、ヘッド本体14a側からホース16側に向かって次第に細くなるテーパ形状を有する。
水栓装置13は、吐水部13aからの吐止水を切り替えるとともに、シャワーヘッド14からの吐止水を切り替える。また、水栓装置13は、例えば、吐水部13a又はシャワーヘッド14から吐水する水の温度の調節機能や、吐水部13a又はシャワーヘッド14から吐水する水の流量の調節機能などをさらに有する。
水栓装置13は、左右方向及び前後方向に延び、シャンプーボトルなどの物品を載置可能な棚形状の上面13bを有する。このように、水栓装置13は、水を吐出する水栓として機能するとともに、物品を載置可能なカウンターとしても機能する。水栓装置13は、換言すれば、水栓カウンターである。これにより、浴室2の使い勝手を向上させることができる。但し、水栓装置13は、必ずしも棚形状を有するものでなくてもよい。水栓装置13は、少なくとも吐水部13a及びシャワーヘッド14からの吐止水を切り替える機能を有する任意の水栓装置でよい。
シャワーバー装置10は、例えば、左右方向において、水栓装置13と浴槽との間に設けられる。これにより、浴槽と洗い場床との間の移動の際に、シャワーバー20を手摺りとして利用し易くすることができる。
鏡15は、壁パネル11の壁面11aに対して水栓装置13の上方に取り付けられる。また、鏡15は、例えば、上下方向に延び、左右方向においてシャワーバー装置10と並べて壁面11aに取り付けられる。これにより、鏡15は、水栓装置13の前に着座した状態でも、シャワーヘッド14から吐出された水を立って浴びる状態でも、使用者が自身の姿を確認できるようにする。なお、鏡15は、必要に応じて浴室2に設けられ、省略可能である。
図2は、実施形態に係るシャワーフックを模式的に表す斜視図である。
図3(a)及び図3(b)は、実施形態に係るシャワーフックを模式的に表す断面図である。
図2、図3(a)及び図3(b)に表したように、シャワーバー装置10のシャワーフック22は、シャワーヘッド14を着脱可能に保持する保持部30を有するとともに、フック本体32と、取付部34と、ロック機構36と、をさらに有する。
フック本体32は、水平方向に延びる。換言すれば、フック本体32は、シャワーバー20の延びる方向と直交する方向に延びる。なお、フック本体32の延びる方向は、厳密に水平な方向に限定されるものではない。フック本体32の延びる方向は、少なくとも水平方向に延びる成分を有していればよい。
保持部30は、フック本体32の一端側に設けられている。保持部30は、例えば、シャワーヘッド14の持ち手部14bの形状に応じた凹部30aを有する略U字状の部材である。保持部30は、シャワーヘッド14のテーパ形状を有する持ち手部14bを上方から凹部30aに差し込み、持ち手部14bを凹部30aに係合させることにより、シャワーヘッド14を着脱可能に保持する。
フック本体32は、保持部30を水平方向を軸に回転可能に支持する。また、フック本体32は、保持部30を所定の回転角度で保持するためのラッチ機構38を有する。これにより、水平方向を軸とするシャワーヘッド14の角度を調整することができる。例えば、シャワーヘッド14から水を下側に向けて吐出したり、少し前方側に向けて吐出したりすることを、調整することができる。
ラッチ機構38は、例えば、プランジャ38aと、コイルバネ38bと、を有する。プランジャ38aは、フック本体32の内部において前後方向に移動可能に設けられる。コイルバネ38bは、プランジャ38aを前方側に付勢する。
保持部30は、回転角度を調整するための複数の溝部30bを背面側に有する。プランジャ38aは、保持部30とコイルバネ38bとの間に設けられ、コイルバネ38bの付勢力によって保持部30に押し付けられることにより、保持部30の背面側に設けられた複数の溝部30bのいずれかと係合する。
このように、溝部30bとプランジャ38aとの係合によって、保持部30の回転角度が保持される。そして、保持部30に力を加え、コイルバネ38bの付勢力に抗して保持部30を回転させ、プランジャ38aを別の溝部30bと係合させることにより、保持部30の回転角度を調整することができる。換言すれば、シャワーヘッド14の吐水角度を調整することができる。
なお、ラッチ機構38の構成は、上記の構成に限定されるものではない。ラッチ機構38の構成は、保持部30を所定の回転角度で保持可能な任意の構成でよい。また、フック本体32は、必ずしも保持部30を回転可能に支持しなくてもよい。換言すれば、シャワーフック22は、必ずしもシャワーヘッド14の吐水角度の調整機能を有しなくてもよい。保持部30は、フック本体32に一体的に設けてもよい。保持部30は、例えば、フック本体32の一端側に一体的に設けられた凹部でもよい。
取付部34は、シャワーバー20への取り付けに用いられる。シャワーフック22は、取付部34を介してシャワーバー20に取り付けられる。取付部34は、例えば、フック本体32の他端側(保持部30と反対側)に設けられる。取付部34は、例えば、シャワーバー20の断面形状に対応した貫通孔状である。シャワーフック22は、取付部34にシャワーバー20を挿通することによって、シャワーバー20に取り付けられる。
取付部34は、例えば、シャワーバー20の断面形状に対応した断面略円形の貫通孔状である。これにより、シャワーフック22は、上下方向にスライド移動可能、かつシャワーバー20を軸に左右方向へ回転可能にシャワーバー20に取り付けられる。シャワーバー装置10では、シャワーヘッド14から吐出される水を前方のみに限ることなく、シャワーフック22を左右方向へ回転させることで、斜め右方向や斜め左方向などにも吐出することができる。従って、シャワーバー装置10の使い勝手をより向上させることができる。
取付部34の形状は、貫通孔状に限ることなく、例えば、溝状などでもよい。取付部34の形状は、上下方向にスライド移動可能かつシャワーバー20を軸に左右方向へ回転可能にシャワーフック22をシャワーバー20に取り付けることができる任意の形状でよい。
ロック機構36は、保持状態と、解除状態と、を有する。保持状態は、上下方向へのスライド移動及び左右方向への回転を抑制し、シャワーバー20に対してシャワーフック22を所定の位置に保持する状態である。解除状態は、シャワーフック22の保持を解除し、上下方向へのスライド移動及び左右方向への回転を可能にする状態である。
シャワーバー装置10では、ロック機構36を解除状態にすることによって、シャワーフック22に保持されたシャワーヘッド14の上下方向の位置及び左右方向の吐水角度を調節することができる。そして、シャワーバー装置10では、ロック機構36を保持状態にすることによって、シャワーフック22に保持されたシャワーヘッド14を調節した位置に保持することができる。
ロック機構36は、例えば、フック本体32の内部に設けられる。ロック機構36は、例えば、可動部40と、コイルバネ42と、を有する。可動部40は、第1位置と、第2位置と、に移動する。第1位置は、図3(a)に表したように、シャワーバー20に押し当てられた位置である。第2位置は、図3(b)に表したように、シャワーバー20から離れた位置である。可動部40は、例えば、フック本体32の内部に設けられ、フック本体32にスライド移動可能に支持されることにより、第1位置と第2位置とに移動する。
可動部40が第1位置にある状態では、可動部40の押し当てによる可動部40とシャワーバー20との摩擦力により、シャワーフック22の上下方向へのスライド移動及び左右方向への回転が抑制される。すなわち、ロック機構36は、可動部40を第1位置に移動させることで保持状態となり、可動部40を第2位置に移動させることで解除状態となる。
可動部40は、第1位置において、シャワーバー20の前面側に押し当てられるように設けられている。シャワーバー20の前面側とは、例えば、シャワーバー20を前方から見た際に視認できる面である。可動部40は、例えば、フック本体32内に上下方向に移動可能に支持される。第1位置は、例えば、上方側の位置であり、第2位置は、例えば、第1位置よりも下方に押し込まれた位置である。
コイルバネ42は、可動部40を上方側に付勢する。換言すれば、コイルバネ42は、可動部40を第1位置側に付勢する。可動部40は、コイルバネ42に付勢され、フック本体32と係合することにより、第1位置に保持される。
可動部40は、操作部40aを有する。操作部40aは、可動部40が第1位置に保持された状態において、フック本体32から上方に突出する。操作部40aは、フック本体32の上面側において、保持部30と取付部34との間に設けられる。このため、操作部40aは、シャワーフック22をシャワーバー20に取り付けた状態において、シャワーバー20の前面側に配置される。換言すれば、操作部40aは、シャワーフック22をシャワーバー20に取り付けた状態において、シャワーバー20よりも前方に配置される。
可動部40は、操作部40aを押圧し、コイルバネ42の付勢力に抗して下方に押し込むことにより、第1位置から第2位置に移動する。この例では、操作部40aが、可動部40と一体に設けられている。操作部40aは、例えば、可動部40と別体に設け、連結部材などを介して可動部40と連結することにより、可動部40を移動させる構成としてもよい。
可動部40は、第1位置にある状態において、取付部34内に入り込むことにより、取付部34に挿通されたシャワーバー20に押し当てられる。可動部40は、コイルバネ42の付勢力によってシャワーバー20に押し当てられ、取付部34とともにシャワーバー20を挟む。これにより、可動部40が第1位置にある状態では、シャワーバー20への押し当てにともなう摩擦力により、シャワーフック22が、シャワーバー20に対して保持される。すなわち、可動部40が第1位置にある状態において、ロック機構36が保持状態となる。
可動部40は、例えば、弾性体44を有する。弾性体44には、例えば、ゴムなどが用いられる。弾性体44の摩擦係数は、プラスチックなどの硬質な樹脂材料からなる可動部40の本体部分の摩擦係数よりも大きい。可動部40は、第1位置にある状態において、弾性体44を取付部34内に入り込ませることにより、弾性体44をシャワーバー20に押し当てる。これにより、可動部40とシャワーバー20との間に生じる摩擦力を大きくし、シャワーフック22をシャワーバー20に対して、より確実に保持することができる。
可動部40は、第1位置から第2位置に移動すると、下方に移動するとともに、取付部34から離れる方向に移動する。可動部40は、例えば、第1位置から第2位置に移動すると、下方に移動するとともに、前方に移動する。可動部40は、例えば、取付部34の軸方向に対して斜めにスライド移動することにより、取付部34から離れる方向に移動する。
可動部40は、第1位置から第2位置に移動すると、シャワーバー20から離れる。可動部40は、第1位置から第2位置に移動すると、弾性体44をシャワーバー20から離す。これにより、可動部40は、第1位置から第2位置に移動すると、取付部34とともにシャワーバー20を挟んだ状態を解除する。従って、可動部40を第2位置に移動させた状態では、シャワーフック22の上下方向のスライド移動及び左右方向への回転が可能となる。すなわち、可動部40が第2位置にある状態において、ロック機構36が解除状態となる。
このように、シャワーフック22では、フック本体32を把持し、操作部40aを押圧して可動部40を第2位置に移動させることにより、シャワーフック22の上下方向の位置及び左右方向の回転角度を調整することができる。そして、操作部40aの押圧を解除し、可動部40を第1位置に移動させることにより、シャワーフック22を調整した位置で保持することができる。これにより、シャワーフック22では、シャワーバー20に対して上下方向の任意の位置、及び左右方向の任意の回転角度に配置することができる。従って、シャワーバー装置10では、使用者の好みの高さ及び吐水角度にシャワーヘッド14を配置することができる。
図4(a)〜図4(d)は、実施形態に係るシャワーフックを模式的に表す断面図である。
図4(a)は、可動部40が、第1位置にある状態を模式的に表している。図4(b)〜図4(d)は、可動部40が、第2位置にある状態を模式的に表している。
図4(a)〜図4(d)に表したように、シャワーバー20は、回転規制部50を有する。回転規制部50は、ロック機構36を解除状態とした際に、シャワーフック22のシャワーバー20を軸とする左右方向への回転を所定の範囲内に規制する。
回転規制部50は、例えば、シャワーバー20の前面側に設けられた凹部である。回転規制部50は、換言すれば、断面略円形の棒状のシャワーバー20の径を小さくした部分である。回転規制部50は、シャワーフック22の上下方向の各位置において回転を規制するため、上下方向に延びて設けられる。回転規制部50は、換言すれば、上下方向に延びる溝状である。
回転規制部50は、図4(c)及び図4(d)に表したように、例えば、第2位置に移動した可動部40(弾性体44)と係合することによって、シャワーフック22のシャワーバー20を軸とする左右方向への回転を所定の範囲内に規制する。
以上、説明したように、本実施形態に係るシャワーバー装置10では、シャワーバー20が、ロック機構36を解除状態とした際に、シャワーフック22のシャワーバー20を軸とする左右方向への回転を所定の範囲内に規制する回転規制部50を有することにより、回転させたシャワーフック22が他の物品と衝突してしまうことを抑制することができる。
図5(a)〜図5(d)は、実施形態に係るシャワーフックの変形例を模式的に表す断面図である。
なお、上記実施形態と機能・構成上実質的に同じものについては、同符号を付し、詳細な説明は省略する。
図4(a)〜図4(d)と同様に、図5(a)は、可動部40が、第1位置にある状態を模式的に表している。図5(b)〜図5(d)は、可動部40が、第2位置にある状態を模式的に表している。
図5(a)〜図5(d)に表したように、この例では、回転規制部50が、シャワーバー20の前面側に設けられた凸部である。この例において、回転規制部50は、前方に向かって突出するとともに、上下方向に延びる凸部である。
図5(a)に表したように、可動部40は、第1位置にある状態において、弾性体44をシャワーバー20の回転規制部50に押し当てることにより、シャワーバー20に対してシャワーフック22を所定の位置に保持する。
可動部40は、一対の被係合部61、62を有する。被係合部61、62は、後方側に向かって延びる凸状である。換言すれば、被係合部61、62は、シャワーバー20側に向かって延びる凸状である。被係合部61、62は、可動部40が第2位置にある状態において、回転規制部50を挟むように配置される。換言すれば、可動部40は、第2位置にある状態において回転規制部50が入り込むように設けられた凹状の被係合部を形成する。
回転規制部50は、図5(c)に表したように、第2位置に移動した可動部40の被係合部61と係合することによって、シャワーフック22のシャワーバー20を軸とする左方向への回転を規制する。そして、回転規制部50は、図5(d)に表したように、第2位置に移動した可動部40の被係合部62と係合することによって、シャワーフック22のシャワーバー20を軸とする右方向への回転を規制する。これにより、回転規制部50は、シャワーフック22のシャワーバー20を軸とする左右方向への回転を所定の範囲内に規制する。
このように、シャワーバー20に設けられる回転規制部50の形状は、凹状に限ることなく、凸状としてもよい。回転規制部50の形状は、シャワーフック22のシャワーバー20を軸とする左右方向への回転を所定の範囲内に規制することができる任意の形状でよい。
凸状の回転規制部50は、例えば、シャワーバー20に一体に形成される。凸状の回転規制部50は、例えば、シャワーバー20と別体に形成し、シャワーバー20に取り付ける構成としてもよい。この場合、例えば、凹状の回転規制部50をシャワーバー20に設ける場合と比べて、回転規制部50を有するシャワーバー20を製造し易くすることができる。例えば、凹状の回転規制部50をシャワーバー20に設ける場合と比べて、回転規制部50を有するシャワーバー20の製造コストを抑えることができる。凸状の回転規制部50をシャワーバー20の本体部分に取り付ける方法は、接着、溶着、係合、ネジ止め、あるいは嵌め込みなど、凸状の回転規制部50を取付可能な任意の方法でよい。
図6(a)〜図6(d)は、実施形態に係るシャワーフックの変形例を模式的に表す断面図である。
図4及び図5と同様に、図6(a)は、可動部40が、第1位置にある状態を模式的に表している。図6(b)〜図6(d)は、可動部40が、第2位置にある状態を模式的に表している。
図6(a)〜図6(d)に表したように、この例では、回転規制部50が、シャワーバー20の背面側に設けられた凹部である。シャワーバー20の背面側とは、例えば、シャワーバー20を後方から見た際に視認できる面である。
シャワーフック22は、被係合部64を有する。被係合部64は、取付部34の内側面から中心方向に向かって突出した凸状である。被係合部64は、取付部34の後方側の面から前方に向かって延び、シャワーバー20の背面側に設けられた凹状の回転規制部50内に侵入する。
回転規制部50は、図6(c)及び図6(d)に表したように、シャワーフック22に設けられた被係合部64と係合することによって、シャワーフック22のシャワーバー20を軸とする左右方向への回転を所定の範囲内に規制する。
この例では、回転規制部50をシャワーバー20の背面側に設けることにより、回転規制部50を使用者などから見え難くすることができる。これにより、シャワーバー20の前面側に回転規制部50が設けられている構成などと比べて、シャワーバー装置10のデザイン性を向上させることができる。また、可動部40が、第1位置において、シャワーバー20の前面側に押し当てられるように設けられていることにより、例えば、シャワーバー20の背面側に押し当てられるように設けられている場合などと比べて、可動部40の第1位置と第2位置とを切り替え易くすることができる。
例えば、可動部40の第1位置と第2位置との切り替えの操作を、シャワーバー20の背面側で行おうとすると、シャワーバー20で隠れた使用者から見え難い位置で切り替えの操作を行わなければならなくなる。例えば、操作部40aをシャワーバー20の背面側に設けてしまうと、シャワーバー20が邪魔になり、操作部40aを押圧し難くなってしまうことが懸念される。
このため、可動部40の第1位置と第2位置との切り替えの操作は、シャワーバー20の前面側で行えるようにすることが望ましい。例えば、操作部40aは、シャワーバー20の前面側に設けることが望ましい。
この際、可動部40がシャワーバー20の背面側に押し当てられるように設けられていると、例えば、シャワーバー20の前面側で行った操作の操作力をシャワーバー20の背面側まで伝達しなければならず、可動部40の第1位置と第2位置との切り替えの構成が複雑になってしまうことが懸念される。これに対し、第1位置においてシャワーバー20の前面側に押し当てられるように可動部40を設けることにより、可動部40の第1位置と第2位置との切り替えの操作をシャワーバー20の前面側で行えるようにした際にも、可動部40の第1位置と第2位置との切り替えを簡単な構成で実現することができる。
図7(a)〜図7(d)は、実施形態に係るシャワーフックの変形例を模式的に表す断面図である。
図4〜図6と同様に、図7(a)は、可動部40が、第1位置にある状態を模式的に表している。図7(b)〜図7(d)は、可動部40が、第2位置にある状態を模式的に表している。
図7(a)〜図7(d)に表したように、この例では、回転規制部50が、シャワーバー20の背面側に設けられた凸部である。そして、シャワーフック22に設けられた被係合部64が、取付部34の内側面から凹んだ凹状である。
図7(c)及び図7(d)に表したように、この例においても、回転規制部50は、シャワーフック22に設けられた被係合部64と係合することによって、シャワーフック22のシャワーバー20を軸とする左右方向への回転を所定の範囲内に規制する。
このように、回転規制部50をシャワーバー20の背面側に設ける場合であっても、回転規制部50を凸状とし、被係合部64を凹状としてもよい。
図8(a)及び図8(b)は、実施形態に係るシャワーフックの変形例を模式的に表す断面図である。
図8(a)及び図8(b)に表したように、この例では、可動部40が、第1位置において、シャワーバー20の背面側に押し当てられるように設けられている。この例においても、可動部40は、例えば、フック本体32内に上下方向に移動可能に支持される。第1位置は、例えば、上方側の位置であり、第2位置は、例えば、第1位置よりも下方に押し込まれた位置である。
可動部40は、例えば、本体部40bと、延在部40cと、を有する。本体部40bは、シャワーフック22をシャワーバー20に取り付けた状態において、シャワーバー20の前面側に配置される。
操作部40aは、本体部40bに設けられている。これにより、シャワーバー20の背面側に可動部40を押し当てるようにした場合にも、操作部40aをシャワーバー20の前面側に配置することができる。
延在部40cは、本体部40bから後方に向かって延びる。延在部40cは、シャワーフック22をシャワーバー20に取り付けた状態において、少なくとも一部をシャワーバー20の背面側に配置する。
延在部40cは、例えば、シャワーバー20を取り囲むように形成された断面略U字状の部材である。シャワーバー20を取付部34に挿通すると、シャワーバー20が延在部40cにも挿通される。これにより、延在部40cの少なくとも一部をシャワーバー20の背面側に配置することができる。
コイルバネ42は、可動部40を上方側に付勢する。換言すれば、コイルバネ42は、可動部40を第1位置側に付勢する。可動部40は、コイルバネ42に付勢され、フック本体32と係合することにより、第1位置に保持される。
可動部40は、操作部40aを押圧し、コイルバネ42の付勢力に抗して下方に押し込むことにより、第1位置から第2位置に移動する。この例では、操作部40aが、可動部40の本体部40bと一体に設けられている。操作部40aは、例えば、本体部40bと別体に設け、連結部材などを介して本体部40bと連結することにより、可動部40を移動させる構成としてもよい。
可動部40は、第1位置にある状態において、延在部40cの少なくとも一部を取付部34内に入り込ませることにより、延在部40cを取付部34に挿通されたシャワーバー20に押し当てる。可動部40は、コイルバネ42の付勢力によって延在部40cをシャワーバー20に押し当て、取付部34とともにシャワーバー20を挟む。これにより、可動部40が第1位置にある状態では、シャワーバー20への押し当てにともなう摩擦力により、シャワーフック22が、シャワーバー20に対して保持される。すなわち、可動部40が第1位置にある状態において、ロック機構36が保持状態となる。
延在部40cには、弾性体44が設けられている。可動部40は、第1位置にある状態において、弾性体44を取付部34内に入り込ませることにより、弾性体44をシャワーバー20に押し当てる。これにより、可動部40とシャワーバー20との間に生じる摩擦力を大きくし、シャワーフック22をシャワーバー20に対して、より確実に保持することができる。
可動部40は、第1位置から第2位置に移動すると、下方に移動するとともに、延在部40cを取付部34から離す方向に移動する。可動部40は、例えば、第1位置から第2位置に移動すると、下方に移動するとともに、後方に移動する。可動部40は、例えば、取付部34の軸方向に対して斜めにスライド移動することにより、延在部40cを取付部34から離す方向に移動する。
可動部40は、第1位置から第2位置に移動すると、延在部40cをシャワーバー20から離す。可動部40は、第1位置から第2位置に移動すると、弾性体44をシャワーバー20から離す。これにより、可動部40は、第1位置から第2位置に移動すると、取付部34とともにシャワーバー20を挟んだ状態を解除する。従って、可動部40を第2位置に移動させた状態では、シャワーフック22の上下方向のスライド移動及び左右方向への回転が可能となる。すなわち、可動部40が第2位置にある状態において、ロック機構36が解除状態となる。
図9(a)〜図9(d)は、実施形態に係るシャワーフックの変形例を模式的に表す断面図である。
図4〜図7と同様に、図9(a)は、可動部40が、第1位置にある状態を模式的に表している。図9(b)〜図9(d)は、可動部40が、第2位置にある状態を模式的に表している。
図9(a)〜図9(d)に表したように、シャワーバー20は、回転規制部50を有する。回転規制部50は、ロック機構36を解除状態とした際に、シャワーフック22のシャワーバー20を軸とする左右方向への回転を所定の範囲内に規制する。
回転規制部50は、シャワーバー20の背面側に設けられた凹部である。回転規制部50は、図9(c)及び図9(d)に表したように、第2位置に移動した可動部40の延在部40c(弾性体44)と係合することによって、シャワーフック22のシャワーバー20を軸とする左右方向への回転を所定の範囲内に規制する。
このように、可動部40は、第1位置において、シャワーバー20の背面側に押し当てられるように設けてもよい。この例においても、回転規制部50をシャワーバー20の背面側に設けることにより、回転規制部50を使用者などから見え難くすることができる。これにより、シャワーバー20の前面側に回転規制部50が設けられている構成などと比べて、シャワーバー装置10のデザイン性を向上させることができる。また、回転規制部50が、第2位置に移動した可動部40と係合することによってシャワーフック22の回転を規制することにより、シャワーフック22の回転の規制にともなう部品点数の増加などを抑制し、シャワーフック22の回転の規制を簡単な構成で実現することができる。
なお、この例では、可動部40の本体部40bをシャワーバー20の前面側に配置している。可動部40をシャワーバー20の背面側に押し当てる場合には、これに限ることなく、可動部40の全体をシャワーバー20の背面側に配置してもよい。但し、上記のように、可動部40の一部をシャワーバー20の前面側に配置し、操作部40aをシャワーバー20の前面側に設ける。これにより、可動部40をシャワーバー20の背面側に押し当てる場合にも、可動部40を第1位置と第2位置とに切り替える際の操作性を向上させることができる。
図10(a)〜図10(d)は、実施形態に係るシャワーフックの変形例を模式的に表す断面図である。
図9と同様に、図10(a)は、可動部40が、第1位置にある状態を模式的に表している。図10(b)〜図10(d)は、可動部40が、第2位置にある状態を模式的に表している。
図10(a)〜図10(d)に表したように、この例では、回転規制部50が、シャワーバー20の背面側に設けられた凸部である。可動部40は、凸状の回転規制部50と係合する凹状の被係合部40dを延在部40cに有する。
図10(c)及び図10(d)に表したように、この例においても、回転規制部50は、可動部40に設けられた被係合部40dと係合することによって、シャワーフック22のシャワーバー20を軸とする左右方向への回転を所定の範囲内に規制する。
このように、回転規制部50をシャワーバー20の背面側に設け、可動部40をシャワーバー20の背面側に押し当てる場合であっても、回転規制部50を凸状としてもよい。
このように、ロック機構36の構成は、上下方向へのスライド移動及び左右方向への回転を抑制し、シャワーバー20に対してシャワーフック22を所定の位置に保持可能な任意の構成でよい。回転規制部50の構成は、ロック機構36を解除状態とした際に、シャワーフック22のシャワーバー20を軸とする左右方向への回転を所定の範囲内に規制可能な任意の構成でよい。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。