JP2020138914A - エステル誘導体、およびチオラクトン誘導体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ラクトン誘導体からチオラクトン誘導体を製造するための新規な中間体であるエステル誘導体、及びチオラクトン誘導体の製造方法の提供。【解決手段】ラクトン誘導体(1)のハロゲン化、およびエステル化を経てエステル誘導体(2)を得る。(式中、R1およびR2は、ベンジルを表す。R3は、アルキル、Xは、ハロゲン。)【選択図】なし
Description
本発明は、ビオチンの重要な合成中間体であるエステル誘導体、およびチオラクトン誘導体の新規な製造方法に関する。
ビオチンは、糖尿病予防効果等が期待される医薬品、及び飼料添加剤等に使用される水溶性ビタミンである。
該ビオチンは、以下のような非常に長い工程で製造されている(特許文献1参照)。
特許文献1の実施例では、先ず、1,3−ジベンジル−2−イミダゾリドン−シス−4,5−ジカルボン酸とα−フェネチルアミン((R)−(+)−1−メチルベンジルアミン)のような光学活性アミンを脱水環化させて、1,3−ジベンジル−5−(α−フェネチル)−ヘキサヒドロピロロ[3,4−a]イミダゾール−2,4,6−トリオンを製造する(step1)。次いで、1,3−ジベンジル−5−(α−フェネチル)−ヘキサヒドロピロロ[3,4−a]イミダゾール−2,4,6−トリオンの還元(step2)、環化(step3)、及び硫化反応(step4)を実施し、ベンジル基を有するチオラクトン化合物を製造する方法が示されている。そして、特許文献1には、該チオラクトン化合物に、さらに7工程の反応を行い、最終目的物であるビオチンが得られることが示されている。
前記方法において、前記硫化反応(step4)については、種々の製造方法が提案されている。例えば、前記酸分解反応(step3)で得られるラクトン誘導体とチアアミド類を、水流化アルカリ、硫黄および塩基性物質の存在下に反応させる方法(特許文献2参照)、ラクトン誘導体とチオ酢酸カリウムとを反応させる方法(非特許文献1参照)、ラクトン誘導体とキサントゲン酸カリウムを反応させる方法(非特許文献2参照)等が提案されている。
Synthesis 2002,No.3,p.361〜364
Synthesis 2003,No.14,p.2155〜2160
しかしながら、いずれの方法においても、アミドアルコール誘導体から得られたラクトン誘導体の硫化反応を経てチオラクトン誘導体を製造するものであり、高温下の反応条件を必要とするものであったため、工業的に効率的かつ簡便な方法によりビオチン製造における重要中間体であるチオラクトン誘導体を製造する方法が望まれていた。
従って、本発明の目的は工業的に効率的かつ簡便な方法によりチオラクトン誘導体を製造するための新規な中間体、およびチオラクトン誘導体の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、ラクトン誘導体(LCT)のハロゲン化、およびエステル化を経てエステル誘導体を得た後、これをチオラクトン化してチオラクトン誘導体(DTL)を合成する製法を見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち第一の本発明は、下記式(2)
(式中、R1およびR2は、同一または相異なって、ベンジル、ベンゼン環上に置換基(メチル、メトキシ、ニトロ、アミノ、またはハロゲン)を有していてよい置換ベンジル、1−メチルベンジル、またはベンゼン環上に置換基(メチル、メトキシ、ニトロ、アミノ、またはハロゲン)を有していてよい置換1−メチルベンジルを表す。R3は、炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数7〜8のアラルキルを表す。Xは、塩素、臭素、またはヨウ素を表す。)で示されるエステル誘導体に関する発明である。
前記本発明のエステル誘導体では、以下の態様を好適に採りうる。
(1)炭素数1〜6のアルキルが、メチル基、エチル基、n−ブチル基であること。
(2)炭素数7〜19のアラルキルが、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−ニトロベンジル基、4−メトキシベンジル基、ジフェニルメチル基、トリチル基であること。
(1)炭素数1〜6のアルキルが、メチル基、エチル基、n−ブチル基であること。
(2)炭素数7〜19のアラルキルが、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−ニトロベンジル基、4−メトキシベンジル基、ジフェニルメチル基、トリチル基であること。
第二の本発明は、下記式(1)
(式中、R1およびR2は、前記式(2)と同義である。)
で示されるラクトン誘導体を、トリアルキルハロゲノシランまたはハロゲン化水素と接触させた後、アルコール誘導体(R3OH、ここでR3は、炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数7〜19のアラルキルを表す。)を反応させることによる、下記式(2)
で示されるラクトン誘導体を、トリアルキルハロゲノシランまたはハロゲン化水素と接触させた後、アルコール誘導体(R3OH、ここでR3は、炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数7〜19のアラルキルを表す。)を反応させることによる、下記式(2)
(式中、R1、R2、R3、及びXは、前記式(2)と同義である。)で示されるエステル誘導体の製造方法である。
前記本発明のエステル誘導体の製造方法では、以下の態様を好適に採りうる。
前記R1およびR2が、ベンジル基、または1−メチルベンジル基であること。
(2)前記トリアルキルハロゲノシランが、トリメチルクロロシラン、トリメチルブロモシラン、トリメチルヨードシランから選ばれる少なくとも一種であること。
(3)前記ハロゲン化水素が、ヨウ化水素または臭化水素であること。
(4)前記アルコール誘導体が、メタノール、エタノール、n―ブタノールから選ばれる少なくとも一種であること。
(5)前記式(1)で示されるラクトン誘導体を、トリアルキルハロゲノシランまたはハロゲン化水素と接触させる反応、その後、アルコール誘導体を反応させる各反応において、反応温度が10〜40℃であること。
前記R1およびR2が、ベンジル基、または1−メチルベンジル基であること。
(2)前記トリアルキルハロゲノシランが、トリメチルクロロシラン、トリメチルブロモシラン、トリメチルヨードシランから選ばれる少なくとも一種であること。
(3)前記ハロゲン化水素が、ヨウ化水素または臭化水素であること。
(4)前記アルコール誘導体が、メタノール、エタノール、n―ブタノールから選ばれる少なくとも一種であること。
(5)前記式(1)で示されるラクトン誘導体を、トリアルキルハロゲノシランまたはハロゲン化水素と接触させる反応、その後、アルコール誘導体を反応させる各反応において、反応温度が10〜40℃であること。
また、第三の発明は、前記式(2)で示されるエステル誘導体をチオ化、および酸による環化を行うことによる、下記式(3)(式中、R1およびR2は、前記式(2)と同義である。)
で示されるチオラクトン誘導体の製造方法である。
前記本発明のチオラクトン誘導体の製造方法では、以下の態様を好適に採りうる。
(1)前記R1およびR2が、ベンジル基、または1−メチルベンジル基であること。
(2)前記チオ化を行う際に用いるチオ化剤が、水硫化アルカリ金属塩(水硫化リチウム、水硫化ナトリウム、水硫化カリウム)(前記水硫化アルカリ金属塩は、水和物も含む)から選ばれる少なくとも一種であること。
(3)前記酸が、塩酸、硫酸、臭化水素(HBr)、酢酸、トリフルオロ酢酸(TFA)、メタンスルホン酸(MSA)、p−トルエンスルホン酸(PTSA)から選ばれる少なくとも一種であること。
(4)前記式(2)で示されるエステル誘導体のチオ化を行う反応、および酸処理で環化する各反応において、反応温度が10〜40℃であること。
(1)前記R1およびR2が、ベンジル基、または1−メチルベンジル基であること。
(2)前記チオ化を行う際に用いるチオ化剤が、水硫化アルカリ金属塩(水硫化リチウム、水硫化ナトリウム、水硫化カリウム)(前記水硫化アルカリ金属塩は、水和物も含む)から選ばれる少なくとも一種であること。
(3)前記酸が、塩酸、硫酸、臭化水素(HBr)、酢酸、トリフルオロ酢酸(TFA)、メタンスルホン酸(MSA)、p−トルエンスルホン酸(PTSA)から選ばれる少なくとも一種であること。
(4)前記式(2)で示されるエステル誘導体のチオ化を行う反応、および酸処理で環化する各反応において、反応温度が10〜40℃であること。
本発明は、チオラクトン誘導体を合成する際に重要なエステル誘導体についての発明である。また、本発明の製造方法によれば、前記ラクトン誘導体(1)のハロゲン化、およびエステル化を経てエステル誘導体を得た後、これをチオラクトン化してチオラクトン誘導体を得ることができる。特に本発明の方法により、従来の反応温度と比べて低温の条件下で反応が進行するため、工業的にチオラクトン誘導体を大量に合成することができる。
(エステル誘導体)
本発明は、下記式(2)
本発明は、下記式(2)
(式中、R1およびR2は、同一または相異なって、ベンジル、ベンゼン環上に置換基(メチル、メトキシ、ニトロ、アミノ、またはハロゲン)を有していてよい置換ベンジル、1−メチルベンジル、またはベンゼン環上に置換基(メチル、メトキシ、ニトロ、アミノ、またはハロゲン)を有していてよい置換1−メチルベンジルを表す。R3は、炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数7〜19のアラルキルを表す。Xは、塩素、臭素、またはヨウ素を表す。)で示されるエステル誘導体(以下、単に「エステル誘導体」とも言う)に関する。
R1およびR2は、ベンジル基、4−メトキシベンジル基、4−ニトロベンジル基、1−メチルベンジル基、ベンズヒドリル基、トリチル基が挙げられる。
R3は、メチル基、エチル基、ブチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、ベンズヒドリル基、トリチル基が挙げられる。
Xは、塩素、臭素、またはヨウ素が挙げられる。上記式(2)で示されるエステル誘導体の中でも後述するチオ化反応の反応性の観点から、Xがブロモ基、ヨード基であることが好適である。
R3は、メチル基、エチル基、ブチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、ベンズヒドリル基、トリチル基が挙げられる。
Xは、塩素、臭素、またはヨウ素が挙げられる。上記式(2)で示されるエステル誘導体の中でも後述するチオ化反応の反応性の観点から、Xがブロモ基、ヨード基であることが好適である。
(チオラクトン誘導体の製造方法)
チオラクトン誘導体(3、DTL)は、下記式(1、LCT)
チオラクトン誘導体(3、DTL)は、下記式(1、LCT)
(式中、R1およびR2は、同一または相異なって、ベンジル、ベンゼン環上に置換基(メチル、メトキシ、ニトロ、アミノ、またはハロゲン)を有していてよい置換ベンジル、1−メチルベンジル、またはベンゼン環上に置換基(メチル、メトキシ、ニトロ、アミノ、またはハロゲン)を有していてよい置換1−メチルベンジルを表す。)
で示されるラクトン誘導体を、ハロゲン化、およびエステル化を経てエステル誘導体(2、IEE)を得た後、これをチオラクトン化することにより製造することができる。
で示されるラクトン誘導体を、ハロゲン化、およびエステル化を経てエステル誘導体(2、IEE)を得た後、これをチオラクトン化することにより製造することができる。
以下、チオラクトン誘導体の製造方法について詳細に説明する。
(ラクトン誘導体)
本発明において、ラクトン誘導体は、下記式(1)
本発明において、ラクトン誘導体は、下記式(1)
で表される化合物である。
前記式中、R1およびR2は、同一または相異なって、ベンジル、ベンゼン環上に置換基(メチル、メトキシ、ニトロ、アミノ、またはハロゲン)を有していてよい置換ベンジル、1−メチルベンジル、またはベンゼン環上に置換基(メチル、メトキシ、ニトロ、アミノ、またはハロゲン)を有していてよい置換1−メチルベンジルである。ここで本発明におけるR1およびR2は、ベンジル基、または1−メチルベンジル基であることが好ましい。
(ハロゲン化)
ハロゲン化に用いるハロゲン化剤としては、トリアルキルハロゲノシランまたはハロゲン化水素等を挙げることができる。
ハロゲン化に用いるハロゲン化剤としては、トリアルキルハロゲノシランまたはハロゲン化水素等を挙げることができる。
トリアルキルハロゲノシランとしては、トリメチルクロロシラン、トリメチルブロモシラン、トリメチルヨードシランを挙げることができる。
トリメチルブロモシラン、トリメチルヨードシランは、それぞれソディウムブロマイド(NaBr)またはソディウムアイオダイド(NaI)をトリメチルクロロシランと等モル量を共存下反応させることにより系中でも発生できる。
ハロゲン化水素としては、ヨウ化水素または臭化水素が挙げられる。
ハロゲン化剤の使用量は、特に制限されるものではない。反応を充分進行させるために、式(1)で表されるラクトン誘導体に対して、1〜5当量使用することが好ましく、1〜4当量使用することがより好ましく、1〜3当量使用することがさらに好ましい。
(ハロゲン化における反応温度)
本発明でのハロゲン化においては、反応温度は、0〜100℃であることが好ましく、5〜50℃であることがより好ましく、10〜40℃であることがさらに好ましい。また、10〜30℃であることが最も好ましい。
本発明でのハロゲン化においては、反応温度は、0〜100℃であることが好ましく、5〜50℃であることがより好ましく、10〜40℃であることがさらに好ましい。また、10〜30℃であることが最も好ましい。
(ハロゲン化における反応時間)
本発明でのハロゲン化においては、反応時間は、1〜36時間であることが好ましく、2〜24時間であることがより好ましく、3〜17時間であることがさらに好ましい。
本発明でのハロゲン化においては、反応時間は、1〜36時間であることが好ましく、2〜24時間であることがより好ましく、3〜17時間であることがさらに好ましい。
(ハロゲン化における反応溶媒)
本発明でのハロゲン化においては、これらを反応溶媒中で撹拌混合することが好ましい。
本発明でのハロゲン化においては、これらを反応溶媒中で撹拌混合することが好ましい。
本発明でのハロゲン化において使用する反応溶媒は、式(1)で表わされるラクトン誘導体に悪影響を及ぼさず、ハロゲン化が円滑に進められる溶媒であれば、特に制限されるものではない。反応溶媒としては、t−ブチルメチルエーテル(TBME)、クロロベンゼン、トルエン、キシレン、THF、ジオキサン、t−ブチルメチルエーテル(TBME)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF),N,N−ジメチルアセトアミド(DMA),N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルイミダゾリジン−オン(DMI)、アセトン(ACT)、メチルエチルケトン(MEK)、アセトニトリル(ACN)、プロピオニトリル等が挙げられる。これらの反応溶媒は、単独または混合溶媒として使用することができる。中でも、アセトニトリル(ACN)を使用することが好ましい。
反応溶媒の使用量は、特に制限されるものではない。式(1)で表わされるラクトン誘導体に対して、反応溶媒を0.5〜100倍容量使用することが好ましく、1〜20倍容量使用することがより好ましく、1〜10倍容量使用することがさらに好ましい。なお、反応溶媒として混合溶媒を使用する場合には、混合溶媒の全量が前記範囲を満足すればよい。
(エステル化)
前記、ハロゲン化で得られた溶液に、アルコール誘導体(R3OH)を加えることにより、式(2)で表されるエステル誘導体が得られる。
前記、ハロゲン化で得られた溶液に、アルコール誘導体(R3OH)を加えることにより、式(2)で表されるエステル誘導体が得られる。
ここでR3は、炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数7〜19のアラルキルを表す。炭素数1〜6のアルキルとしては、メチル基、エチル基、n−ブチル基が挙げられる。炭素数7〜19のアラルキルとしては、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−ニトロベンジル基、4−メトキシベンジル基、ジフェニルメチル基、トリチル基が挙げられる。
(エステル化における反応温度)
本発明でのエステル化においては、反応温度は、0〜100℃であることが好ましく、5〜50℃であることがより好ましく、10〜40℃であることがさらに好ましい。また、10〜30℃であることが最も好ましい。
本発明でのエステル化においては、反応温度は、0〜100℃であることが好ましく、5〜50℃であることがより好ましく、10〜40℃であることがさらに好ましい。また、10〜30℃であることが最も好ましい。
(エステル化における反応時間)
本発明でのエステル化においては、反応時間は、1〜48時間であることが好ましく、2〜24時間であることがより好ましく、3〜20時間であることがさらに好ましい。
本発明でのエステル化においては、反応時間は、1〜48時間であることが好ましく、2〜24時間であることがより好ましく、3〜20時間であることがさらに好ましい。
(エステル化における反応溶媒)
本発明でのエステル化においては、これらを反応溶媒中で撹拌混合することが好ましい。
本発明でのエステル化においては、これらを反応溶媒中で撹拌混合することが好ましい。
本発明でのエステル化において使用する反応溶媒は、式(1)で表わされるラクトン誘導体をハロゲン化した誘導体に悪影響を及ぼさず、エステル化が円滑に進められる溶媒であれば、特に制限されるものではない。反応溶媒としては、メタノール、エタノール、またはn―ブタノール等が挙げられる。これらの反応溶媒は、単独または混合溶媒として使用することができる。
反応溶媒の使用量は、特に制限されるものではない。式(1)で表わされるラクトン誘導体に対して、反応溶媒を1〜50倍容量使用することが好ましく、1〜20倍容量使用することがより好ましく、1〜10倍容量使用することがさらに好ましい。なお、反応溶媒として混合溶媒を使用する場合には、混合溶媒の全量が前記範囲を満足すればよい。
(チオラクトン誘導体)
本発明において、チオラクトン誘導体は、下記式(3)
本発明において、チオラクトン誘導体は、下記式(3)
で表される化合物である。
前記式中、R1およびR2は、同一または相異なって、ベンジル、ベンゼン環上に置換基(メチル、メトキシ、ニトロ、アミノ、またはハロゲン)を有していてよい置換ベンジル、1−メチルベンジル、またはベンゼン環上に置換基(メチル、メトキシ、ニトロ、アミノ、またはハロゲン)を有していてよい置換1−メチルベンジルである。
式(3)で表されるチオラクトン誘導体は、下記の条件で、式(2)で表されるエステル誘導体に、チオ化剤を接触後、酸処理することにより製造することができる。
(チオ化)
チオ化剤としては、水硫化アルカリ金属塩(水硫化リチウム、水硫化ナトリウム、水硫化カリウム)(前記水硫化アルカリ金属塩は、水和物も含む)等を挙げることができる。これらを単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。
チオ化剤としては、水硫化アルカリ金属塩(水硫化リチウム、水硫化ナトリウム、水硫化カリウム)(前記水硫化アルカリ金属塩は、水和物も含む)等を挙げることができる。これらを単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。
チオ化剤の使用量は、特に制限されるものではない。反応を充分進行させるために、式(2)で表されるエステル誘導体に対して、1〜10当量使用することが好ましく、1〜5当量使用することがより好ましい。
(チオ化における反応温度)
本発明でのチオ化においては、反応温度は、0〜100℃であることが好ましく、10〜40℃であることがより好ましい。また、10〜30℃であることが最も好ましい。
本発明でのチオ化においては、反応温度は、0〜100℃であることが好ましく、10〜40℃であることがより好ましい。また、10〜30℃であることが最も好ましい。
(チオ化における反応時間)
本発明でのチオ化においては、反応時間は、1〜36時間であることが好ましく、2〜17時間であることがより好ましい。
本発明でのチオ化においては、反応時間は、1〜36時間であることが好ましく、2〜17時間であることがより好ましい。
(チオ化における反応溶媒)
本発明でのチオ化においては、これらを反応溶媒中で撹拌混合することが好ましい。
本発明でのチオ化においては、これらを反応溶媒中で撹拌混合することが好ましい。
本発明において使用する反応溶媒は、式(2)で表されるエステル誘導体に悪影響を及ぼさず、ハロゲン化が円滑に進められる溶媒であれば、特に制限されるものではない。反応溶媒としては、t−ブチルメチルエーテル(TBME)、クロロベンゼン、トルエン、キシレン、THF、ジオキサン、t−ブチルメチルエーテル(TBME)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA),N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルイミダゾリジン−オン(DMI)、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、プロピオニトリル等が挙げられる。これらの反応溶媒は、単独または混合溶媒として使用することができる。中でも、アセトニトリル(ACN)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、またはN,N−ジメチルアセトアミド(DMA)を使用することが好ましい。
反応溶媒の使用量は、特に制限されるものではない。式(1)で表わされるラクトン誘導体に対して、反応溶媒を0.5〜100倍容量使用することが好ましく、1〜20倍容量使用することがより好ましく、1〜10倍容量使用することがさらに好ましい。なお、反応溶媒として混合溶媒を使用する場合には、混合溶媒の全量が前記範囲を満足すればよい。
(環化)
環化に用いる酸としては、塩酸、硫酸、臭化水素(HBr)、酢酸、トリフルオロ酢酸(TFA)、メタンスルホン酸(MSA)、p−トルエンスルホン酸(PTSA)等を挙げることができる。これらを単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。
環化に用いる酸としては、塩酸、硫酸、臭化水素(HBr)、酢酸、トリフルオロ酢酸(TFA)、メタンスルホン酸(MSA)、p−トルエンスルホン酸(PTSA)等を挙げることができる。これらを単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。
酸の使用量は、特に制限されるものではない。反応を充分進行させるために、式(2)で表されるエステル誘導体に対して、1〜10当量使用することが好ましく、1〜2当量使用することがより好ましい。
(環化における反応温度)
本発明での環化においては、反応温度は、0〜100℃であることが好ましく、5〜50℃であることがより好ましい。10〜40℃であることがより好ましい。また、10〜30℃であることが最も好ましい。
本発明での環化においては、反応温度は、0〜100℃であることが好ましく、5〜50℃であることがより好ましい。10〜40℃であることがより好ましい。また、10〜30℃であることが最も好ましい。
(環化における反応時間)
本発明での環化においては、反応時間は、0.5〜36時間であることが好ましく、1〜17時間であることがより好ましい。
本発明での環化においては、反応時間は、0.5〜36時間であることが好ましく、1〜17時間であることがより好ましい。
前記の反応により、式(3)で表されるチオラクトン誘導体を得ることができる。
以下に実施例を挙げて、本発明を詳細に説明するが、具体例であって、本発明はこれらにより限定されるものではない。
1H−NMR の測定では、日本電子社製 400MHzの測定装置を使用した。
<実施例1> ハロゲン化およびエステル化
ヨウ化ナトリウム(332mg、2mmol)をアセトニトリル(3mL)に懸濁し、クロロトリメチルシラン(218mg、2mmol)を添加した。この混合物へ、LCT(322mg、1mmol)を添加して、20℃で17時間攪拌した。この混合物にエタノール(3mL)を加えてさらに17時間攪拌した。この反応液を、減圧濃縮後、濃縮残渣にクロロホルムを加えて溶解し、10%チオ硫酸ナトリウム水溶液、飽和重曹水、及び水で洗浄後、硫酸マグネシウム上乾燥、減圧濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルカラム(溶出溶媒:ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製することによりヨードエステル誘導体(IEE、335mg、70%)を得た。
[物性評価]
得られたエステル誘導体(ヨードエステル誘導体)の1H−NMR の分析結果を以下に示す。
1H−NMR (CDCl3) δ :7.34−7.23(m、10H)、5.04−5.00(m、1H)、4.76−4.72(m、1H)、4.22−4.19(m、3H)、4.03−4.10(m、2H)、3.81−3.75(m、1H)、3.26−3.25(m、1H)、3.06−3.01(m、1H)、1.32−1.26(m、3H)。
得られたエステル誘導体(ヨードエステル誘導体)の1H−NMR の分析結果を以下に示す。
1H−NMR (CDCl3) δ :7.34−7.23(m、10H)、5.04−5.00(m、1H)、4.76−4.72(m、1H)、4.22−4.19(m、3H)、4.03−4.10(m、2H)、3.81−3.75(m、1H)、3.26−3.25(m、1H)、3.06−3.01(m、1H)、1.32−1.26(m、3H)。
<実施例2>チオ化および環化
ヨードエステル誘導体(IEE、478mg、1mmol)をDMF(2mL)に溶解し、NaSH・xH2O(60%)(187mg、2mmol)を加えて、窒素気流下、20℃で17時間攪拌した。反応液に10%塩酸水を加えて、生成物を塩化メチレンで抽出、水洗、硫酸マグネシウム上乾燥後、減圧濃縮した。濃縮残渣にTFA(1mL)を加えて、室温で17時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、濃縮残渣に酢酸エチルを加えて、水洗、硫酸マグネシウム上乾燥後、減圧濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルカラム(溶出溶媒:CHCl3:ヘキサン:酢酸エチル=5:5:1)で精製することにより、チオラクトン体(DTL、203mg、60%)を得た。
[物性評価]
得られたチオラクトン誘導体(チオラクトン体)の1H−NMR の分析結果を以下に示す。
1H−NMR (CDCl3) δ :7.39−7.25 (10H, m)、5.04 (1H、d、J=15.0Hz)、4.69 (1H、d、J=15.0Hz)、4.37 (1H、d、J=15.0Hz), 4.36 (1H、d、J=15.0Hz), 4.16−4.09 (1H、m), 3.81(1H、d、J=7.8Hz), 3.38 (1H、dd、J=13.0, 5.6Hz), 3.29 (1H、dd、J=13.0、2.2Hz)。
得られたチオラクトン誘導体(チオラクトン体)の1H−NMR の分析結果を以下に示す。
1H−NMR (CDCl3) δ :7.39−7.25 (10H, m)、5.04 (1H、d、J=15.0Hz)、4.69 (1H、d、J=15.0Hz)、4.37 (1H、d、J=15.0Hz), 4.36 (1H、d、J=15.0Hz), 4.16−4.09 (1H、m), 3.81(1H、d、J=7.8Hz), 3.38 (1H、dd、J=13.0, 5.6Hz), 3.29 (1H、dd、J=13.0、2.2Hz)。
本発明におけるエステル誘導体は、糖尿病予防効果等が期待される医薬品、及び飼料添加剤等の中間体として用いることができる。また、本発明におけるチオラクトン誘導体の製造方法は、前記医薬品、及び飼料添加剤等を合成する製造方法として用いることができる。
Claims (13)
- 請求項1記載の炭素数1〜6のアルキルが、メチル基、エチル基、n−ブチル基である、請求項1記載のエステル誘導体。
- 請求項1記載の炭素数7〜19のアラルキルが、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−ニトロベンジル基、4−メトキシベンジル基、ジフェニルメチル基、トリチル基である、請求項1記載のエステル誘導体。
- 請求項4または5記載のR1およびR2が、ベンジル基、または1−メチルベンジル基である、請求項4または5記載のチオラクトン誘導体の製造方法。
- 請求項4記載のトリアルキルハロゲノシランが、トリメチルクロロシラン、トリメチルブロモシラン、トリメチルヨードシランから選ばれる少なくとも一種である、請求項4記載のエステル誘導体の製造方法。
- 請求項4記載のハロゲン化水素が、ヨウ化水素または臭化水素である、請求項4記載のエステル誘導体の製造方法。
- 請求項4記載のアルコール誘導体が、メタノール、エタノール、n―ブタノールから選ばれる少なくとも一種である、請求項4記載のエステル誘導体の製造方法。
- 請求項5記載のチオ化を行う際に用いるチオ化剤が、水硫化アルカリ金属塩(水硫化リチウム、水硫化ナトリウム、水硫化カリウム)(前記水硫化アルカリ金属塩は、水和物も含む)から選ばれる少なくとも一種である、請求項5記載のチオラクトン誘導体の製造方法。
- 請求項5記載の酸が、塩酸、硫酸、臭化水素(HBr)、酢酸、トリフルオロ酢酸(TFA)、メタンスルホン酸(MSA)、p−トルエンスルホン酸(PTSA)から選ばれる少なくとも一種である、請求項5記載のチオラクトン誘導体の製造方法。
- 請求項4記載の式(1)で示されるラクトン誘導体を、トリアルキルハロゲノシランまたはハロゲン化水素と接触させる反応、およびその後、アルコール誘導体を反応させる反応において反応温度が10〜40℃である、請求項4記載のエステル誘導体の製造方法。
- 請求項5記載の式(2)で示されるエステル誘導体のチオ化を行う反応、および酸による環化を行う反応において反応温度が10〜40℃である、請求項5記載のチオラクトン誘導体の製造方法。
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