本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。また、各図において、説明に関係する構成要素を図示し、説明に関係しない構成要素の図示を省略している。
(構成)
図1は、本発明の実施形態による荷物受取り装置10を示す平面図である。図2は、図1のII−II線断面図である。荷物受取り装置10は、ドローン(drone)等の無人飛行機が荷物を置くことができ鉛直上方を向く荷物載置面3(図1の破線で囲んだ領域)を外部に有するとともに、荷物1を保管する内部空間Sを有する。本実施形態では、荷物載置面3は、無人飛行機が荷物を置くことができるように外部に露出している。ここで、無人飛行機は、例えば、自律飛行し又は遠隔操縦により飛行する小型の無人ヘリコプタであってよい。無人飛行機は、縦と横の寸法が2メートル以下であり高さが1m以下であってよい。
荷物受取り装置10は、図1のように屋根5と外壁7を有する。図1のように、屋根5の上面の一部(大部分)が荷物載置面3となっていてよい。また、屋根5と外壁7により内部空間Sが形成されている。また、荷物載置面3(すなわち屋根5)には、内部空間Sへ通じる開口3aが形成されている。
第1実施形態によると、荷物載置面3の寸法(当該面に平行であり互いに直交する2方向の各々の寸法)は、対象とする無人飛行機の寸法(例えば横幅)よりも大幅に大きい(例えば無人飛行機の寸法の3倍以上、5倍以上、又は、10倍以上である)。例えば、荷物載置面3は、25m2以上の面積を有する。この場合、無人飛行機が荷物載置面3に置く荷物は、内部に物品や書類などの配達物が収容された箱であってよい。この箱は、一例では、縦と横と高さがそれぞれ40cm、60cm、40cmの直方体の箱であってよい。荷物載置面3は、例えば正方形、長方形、円形、又は楕円形であるが、これらの形状に限定されない。
なお、以下で説明する荷物受取り装置10の各構成要素は、荷物受取り装置10に備えられた屋根5、外壁7、又は、図示しない他の構造物に取り付けられていてよい。
荷物受取り装置10は、荷物移動装置9と荷物受け部11を備える。荷物移動装置9は、荷物載置面3に置かれた荷物1を、荷物載置面3に沿って開口3aの位置へ移動させる。荷物受け部11は、開口3aの高さに対応する上昇高さと、当該上昇高さより低い下降高さとの間で昇降させられる。荷物受け部11は、上昇高さに位置する状態で、荷物移動装置9により開口3aの位置に移動させられた荷物1を受ける上面11aを有する。本実施形態では、荷物受取り装置10は、昇降駆動されるリフト8を更に備え、荷物受け部11は、リフト8に載せられるパレットである。
荷物受け部11は、リフト8に載せられた状態で、リフト8の昇降により、上記上昇高さと、上記下降高さとの間で昇降させられる。図2では、荷物受け部11は、上昇高さに位置している。荷物受け部11は、開口3aの位置に移動させられた荷物1を受ける時に、上昇高さに位置する。リフト8には、パレット11を下方から支持し回転駆動される複数のローラ8aが設けられていてよい。
本実施形態では、上述の下降高さとして、格納階の高さと荷物取出し階の高さがある。リフト8の昇降によりパレット11が格納階の高さに位置している状態で、リフト8上のパレット11は、(例えばローラ8aが回転駆動されることにより)リフト8と格納階の格納スペースとの間で水平方向に移動させられる。図3は、図2のIII−III線矢視図であり、格納階の一例を示す。図3の例では、格納階には、複数(多数)の格納スペースP(破線で囲んだ領域)が互いに横方向と縦方向に隣接している。各格納スペースPには、パレット11が位置することができる。格納スペースPの数よりも少ない数の複数のパレット11が設けられている。これにより、隣接する格納スペースPのうち、一方の格納スペースPから、パレット11が存在していない他方の格納スペースPへパレットを水平方向に順に移動させることができる。図2の例では、各矢印が示す箇所と方向において、隣接する格納スペースP同士の間でパレット11を移動させることができる。
荷物1が載せられていない空のパレット11を、荷物1を受け取るために、上述の上昇高さに位置させておき、その後、上昇高さで荷物1が載せられた当該パレット11は、格納スペースPへ移動させられてよい。次いで、別の空のパレット11を上昇高さに位置させておき、上述の動作が繰り返されてよい。
なお、パレット11をリフト8と格納スペースPとの間で水平移動させる装置や、隣接する格納スペースPの間でパレットを水平移動させる装置は、特許文献2に記載された構成と同様であってよい。すなわち、特許文献2において各「駆動セル4」上のスペースと「パレット2」と「リフト3」とが、それぞれ、本実施形態における格納スペースPとパレット11とリフト8に対応する。特許文献2ではパレットに自動車が載せられているが、本実施形態では、パレット11には、自動車の代わりに荷物1が載せられる。
リフト8は、荷物取出し階の高さにも昇降させられてよい。リフト8の昇降によりパレットが荷物取出し階の高さに位置している状態で、リフト8上のパレットは、例えばリフト8のローラ8aと荷物取出し階の複数のローラ12が回転駆動されることにより、外壁7に形成された荷物出口7aの手前の取出し位置(例えば図2の一点鎖線で描かれたパレットの位置)まで水平方向に移動させられる。次いで、荷物出口7aを通して、人(例えば荷物の受取人)が、取出し位置のパレット11上の荷物1を荷物受取り装置10(内部空間S)の外部に取り出す。
荷物受取り装置10は、リフト8を昇降させる昇降駆動機構13を備える。昇降駆動機構13は、図2の例では、チェーン13aと、1対のスプロケット13b,13cと、案内部13d(例えば案内レール)を有する。チェーン13aは、両端部がリフト8に結合され、中間部が1対のスプロケット13b,13cに掛けられている。1対のスプロケット13b,13cは、鉛直方向に間隔を置いて配置されている。案内部13dは、鉛直方向に延びており、リフト8に水平方向に(例えば、鉛直方向における複数箇所で)接することによりリフト8の姿勢を一定に保ちながら、リフト8の昇降を案内する。このような案内部13dは、水平方向に間隔をおいて複数設けられてもよい。スプロケット13b,13cが図示しない駆動装置(例えばモータ)により回転駆動されることにより、リフト8は、案内部13dにより姿勢を一定に保たれながら昇降する。
図4は、図1のIV−IV線断面である。図4のように、荷物受取り装置10は、扉15と扉駆動機構17を備える。扉15は、開口3aを閉じる閉位置と、開口3aを開く開位置との間で駆動させられる。扉駆動機構17は、閉位置と開位置との間で扉15を駆動する。扉15は、閉位置にある状態で、荷物移動装置9により開口3aの位置(すなわち閉位置の扉15)へ移動させられた荷物1を受け、次いで、開位置へ駆動されることにより、当該荷物1を真下の荷物受け部11へ引き渡す。荷物受け部11が上昇高さに位置する状態で、扉15は、荷物受け部11に干渉しないように、閉位置から開位置へ扉駆動機構17により駆動され得るようになっている。
扉駆動機構17は、例えば、図4のように、チェーン17aと、1対のスプロケット17b,17cと、支持レール17dを有する。チェーン17aは、両端部が扉15に結合され、中間部が1対のスプロケット17b,17cに掛けられている。1対のスプロケット17b,17cは、扉15の移動範囲を扉15の駆動方向(図4の左右方向)に間隔を置いて配置されている。支持レール17dは、扉15の駆動方向に延びており、扉15を下方から支える。スプロケット17b,17cが回転駆動されることにより、扉15は、閉位置と開位置との間で支持レール17d上を図4の左右方向に移動する。このような扉駆動機構17は、鉛直方向に見た場合に、開口3a及び荷物受け部11からずれた位置に配置されている。例えば、図1の上下方向に開口3aを挟む2箇所にそれぞれ2つの扉駆動機構17が設けられてよい。この場合、一方の扉駆動機構17の1つのスプロケット17bと、他方の扉駆動機構17の1つのスプロケット17bとが1つの回転シャフトで結合されており、この回転シャフトが図示しない回転駆動装置(例えばモータ)により回転駆動されてよい。
第1実施形態では、2つの荷物移動装置9が設けられる。以下において、一方の(図1の左側の荷物移動装置9)について説明するが、他方の荷物移動装置9の構成及び動作は、一方の荷物移動装置9と同様である。図5は、図1のV−V線断面図であり、荷物移動装置9の構成を示す。荷物移動装置9は、図3、後述の図8と図9に示すように、第1アーム19と第2アーム21と第1アーム駆動機構23と第2アーム駆動機構31を備える。
第1アーム19は、荷物載置面3に沿って第1方向に往復移動可能に構成される。この往復運動は、第1実施形態では併進運動である。第1方向は、図1の例では図1の左右方向(水平方向)である。以下で、図1の左右方向と右方向と左方向をそれぞれ単に左右方向と右方向と左方向という。第1アーム19は、荷物載置面3の左右方向の一方側(図1の左側)の位置から、荷物載置面3に進入し、右方向に移動しながら荷物載置面3の荷物1を右方向に押すことにより、当該荷物1を左右方向における荷物載置面3の中央部へ移動させる。
第2アーム21は、第1アーム19に設けられ、第1方向と交差(例えば直交)する第2方向に第1アーム19に沿って第1アーム19に対して往復移動可能に構成される。第2方向は、図1の例では図1の縦方向(水平方向)である。第2アーム21は、荷物載置面3の第2方向の一方側(図1の上側)の位置から、荷物載置面3に進入し、第2方向に(第2方向の他方側に)移動しながら荷物載置面3の荷物1を当該第2方向に押すことにより、当該荷物1を第2方向における荷物載置面3の中央部へ移動させる。
第1アーム駆動機構23は、第1アーム19を第1方向に移動させる。第1アーム駆動機構23は、図5に示すように、無端状チェーン23aと、1対のスプロケット23b,23cと、連結機構23dを備える。無端状チェーン23aは、第1方向に間隔を置いて配置された1対のスプロケット23b,23cに掛けられている。連結機構23dは、無端状チェーン23aと第1アーム19とを連結する。スプロケット23bが図示しない駆動装置(例えばモータ)により回転駆動されることで、無端状チェーン23a及び連結機構23dを介して第1アーム19を第1方向に移動させる。
図6は、図5の部分拡大図であり、連結機構23dの構成を示す。図7は、図6のVII−VII線矢視図である。連結機構23dは、本実施形態では、第1連結部23d1と第2連結部23d2と被案内部23d3とを有する。第1連結部23d1の一端部は、無端状チェーン23aの所定箇所に一端部が結合(固定)されている。例えば、第1連結部23d1の一端部は、無端状チェーン23aを構成する複数のリンクのいずれかに固定されている。第2連結部23d2は、スプロケット23bの回転軸C1と平行な軸C2回りに回転自在に、第1連結部23d1の他端部に連結されている。また、第2連結部23d2は、第1アーム19に一体的に結合(固定)されている。被案内部23d3は、第2連結部23d2に一体的に結合(固定)され、スプロケット23bの回転軸C1と平行な方向に延びている。被案内部23d3は、第2連結部23d2と第1連結部23d1との連結箇所(軸C2)から回転軸C1と直交する方向に離れた位置において第2連結部23d2に取り付けられている。被案内部23d3は、例えばピンであってよい。
図7の例では、第2連結部23d2は、シャフト部分24と第1部分25と第2部分26を有する。シャフト部分24は、第1連結部23d1の他端部に形成された貫通穴を回転軸C1と平行な方向に貫通することにより、第1連結部23d1に上述のように回転自在に連結されている。第1部分25の一端部は、シャフト部分24の一端部に結合され、第1部分25の他端部には被案内部23d3が結合されている。第2部分26は、一端部がシャフト部分24の他端部に結合され、当該他端部から上方に延びて他端部が第1アーム19に結合されている。第1アーム19が屋根5の上面に位置している時には、第2部分26は、屋根5に上下に貫通するように形成されたスリット27(図1も参照)を貫通している。
第1アーム駆動機構23は、本実施形態では、無端状チェーン23aがスプロケット23bに回転駆動されて移動することに伴って被案内部23d3を所定の軌道で案内する案内部23eを更に備える。所定の軌道は、第2連結部23d2の姿勢が一定に保たれたまま、第2連結部23d2が移動するように定められている。第1連結部23d1が無端状チェーン23aを回る時に、第1連結部23d1の姿勢は、無端状チェーン23aの移動に伴って変化する。第2連結部23d2の姿勢は、第1連結部23d1の姿勢(すなわち、第1連結部23d1における軸の位置)と、被案内部23d3の位置との関係によって定まる。第1アーム19の姿勢は、第2連結部23d2の姿勢と同じになる。そこで、本実施形態では、無端状チェーン23aの移動に拘わらず、第2連結部23d2の姿勢が一定となるように所定の軌道(すなわち案内部23e)の形状を定められている。すなわち、所定の軌道は、第2連結部23d2の姿勢が一定に保たれたまま、第2連結部23d2が移動するように定められている。案内部23eは、例えば、互いに一定間隔(ピン23d3の寸法に相当)をおいて配置された2本のレールであってよい。
したがって、第1アーム19は、図5において一点鎖線で示される屋根5より下方の位置から、スプロケット23bの回転により、屋根5に形成された開口28(図1を参照)を通って屋根5の上面へ移動し、その後、第1方向における荷物載置面3の中央部まで荷物載置面3に沿って第1方向へ移動可能である。また、第1アーム19は、これと逆の動作がスプロケット23bの逆回転により可能である。このように第1アーム19が屋根5の上面(荷物載置面3)に沿って第1方向に移動するとき、上述の第2連結部23d2(第2部分26)は、第1方向に延びているスリット27(図1を参照)内を第1方向に移動する。なお、開口28を開閉する適宜の扉(図示せず)が設けられてもよい。また、スリット27と開口28は互いに連通している。
上述した構成を有する第1アーム駆動機構23、図1の上下方向に荷物載置面3を挟む2箇所にそれぞれが設けられてよい。すなわち、1つ荷物移動装置9に2つの第1アーム駆動機構23が設けられてよい。この場合、一方の第1アーム駆動機構23の1つのスプロケット23bと、他方の第1アーム駆動機構23の1つのスプロケット23bとが1つの回転シャフトで結合されており、この回転シャフトが図示しない回転駆動装置(例えばモータ)により回転駆動されてよい。
図8は、図1のVIII−VIII線断面図である。図9は、図8のIX−IX線矢視図である。第2アーム駆動機構31は、第1アーム19の内部に設けられている。第2アーム駆動機構31は、無端状チェーン31aと、1対のスプロケット31b,31cと、連結機構31dとを備える。無端状チェーン31aは、第2方向に間隔を置いて配置された1対のスプロケット31b,31cに掛けられている。連結機構31dは、無端状チェーン31aと第2アーム21とを連結する。スプロケット31b,31cが図示しない駆動装置(例えばモータ)により回転駆動されることで、無端状チェーン31a及び連結機構31dを介して第2アーム21を第2方向に移動させる。
連結機構31dは、本実施形態では、第1連結部31d1と第2連結部31d2と2つの被案内部31d3とを有する。第1連結部31d1の一端部は、無端状チェーン31aの所定箇所に一端部が結合(固定)されている。例えば、第1連結部31d1の一端部は、無端状チェーン31aを構成する複数のリンクのいずれかに結合されている。第2連結部31d2は、スプロケット31b,31cの回転軸C3と第2方向の両方に直交する軸C4回りに回転自在に、第1連結部31d1の他端部に連結されている。また、第2連結部31d2は、第2アーム21に結合されている。2つの被案内部31d3は、互いに異なる位置において第2連結部31d2に取り付けられている。各被案内部31d3は、第2連結部31d2と第1連結部31d1との連結箇所(軸C4)から軸C4と直交する方向に離れた位置において第2連結部31d2に取り付けられている。各被案内部31d3は、例えば回転軸C4と平行な軸回りに回転自在なローラであってよい。
第2アーム駆動機構31は、本実施形態では、無端状チェーン31aがスプロケット31b,31cに回転駆動されて移動することに伴って被案内部31d3を所定の軌道で案内する案内部31eを更に備える。第1連結部31d1の姿勢は一定となる範囲で無端状チェーン31aが移動するので、第2連結部31d2の姿勢は、被案内部31d3の位置と、第1連結部31d1と第2連結部31d2との連結箇所(軸C4)との位置関係により定まる。被案内部31d3の位置は、案内部31eの形状により定まる。そこで、第2アーム21が待機位置にある時には、第2アーム21は、図1と図9の一点鎖線で示すように第2方向を向いており、この状態から、第2アーム21が、第2方向における荷物載置面3の中央側へ第2方向に移動しながら、第2アーム21の向きが第1方向へ徐々に変わるように、所定の軌道が設定されている。
したがって、第1アーム19が屋根5の上面(例えば荷物載置面3)に位置する状態で、第2アーム21は、図1と図9において一点鎖線で示される位置から、スプロケット31b,31cの回転により、回転して第2方向から第1方向を向き、次いで、第1方向を向いたまま、第2方向における荷物載置面3の中央部まで荷物載置面3に沿って第2方向へ移動可能である。また、第2アーム21は、これと逆の動作がスプロケット31b,31cの逆回転により可能である。なお、図9に示すように、第1アーム19の内部と外部を区画する壁部19aには、第2アーム21が貫通するスリット19bが形成されている。このスリット19bは、第2アーム21の移動範囲にわたって第2方向に細長く延びていてよい。また、第1アーム19が屋根5の下方から屋根5の上面へ移動する時、第2アーム21は、第2方向を向いた状態で開口28を通過する。
なお、図8と図9の例では、案内部31eは、互いに一定の間隔をおいて配置され被案内部31d3に係合する2本のレール31e1,31e2である。第2アーム21が第1方向と交差する方向を向く時に、一方の被案内部31d3(図9の左側の被案内部31d3)が、2本のレール31e1,31e2の間から外れるように、一方のレール31e2(図9の下側のレール)には、切れ目Gが存在している。ただし、切れ目Gの長さは、第2方向における第2アーム21の位置に関わらず、2つの被案内部31d3の少なくともいずれかが、2本のレール31e1,31e2の間に位置するように設定されてよい。
図10は、第1実施形態による荷物受取り装置10を用いた荷物受取り方法を示すフローチャートである。この荷物受取り方法は、ステップS1〜S10を有する。
ステップS1において、荷物受取り装置10を待機状態にする。待機状態では、第1アーム19は、図6において一点鎖線で示すように屋根よりも下方に位置し又は図1のように屋根5の上面における荷物載置面3の外側領域に位置し、第2アーム21は、例えば図1において一点鎖線で示すように第2方向を向いている。また、待機状態において、荷物受け部11は、上述の上昇高さに位置し、扉15は上述の閉位置にある。
ステップS2において、無人飛行機が、荷物載置面3の位置情報に基づいて、荷物1を把持した状態で荷物載置面3の上方まで飛行して来て、荷物載置面3上の任意の位置に荷物1を置く。この時、無人飛行機は、荷物載置面3に描かれた印を、自身に設けられたカメラ又は他の手段で認識したら、把持している荷物1を解放して荷物載置面3に置いてよい。
無人飛行機は、荷物載置面3へ荷物1を置いたら、その旨の荷物信号を、荷物受取り装置10の制御装置33に無線で送信する。あるいは、荷物受取り装置10に設けた適宜のセンサが、荷物載置面3に置かれた荷物1を検出したら、その旨の荷物信号を制御装置33に送信する。制御装置33は、荷物信号を受けることで、荷物載置面3における当該荷物1の存在が通知されることにより、後述のステップS3〜S7を行うように、荷物受取り装置10の各部の駆動を制御する。なお、無人飛行機は、制御装置33との無線通信により、荷物受取り装置10が待機状態であることを確認してから、ステップS2を行ってよい。
また、ステップS2において、無人飛行機は、荷物載置面3へ荷物1を置く場合(例えば荷物載置面3に荷物1を置いた時点又は当該時点の直後)に、自身の記憶部に保持されている当該荷物1に対応する認証情報を、制御装置33へ送信する。これにより、制御装置33は、当該認証情報を受信して自身の記憶部に保持する。なお、認証情報の受信により、ステップS2を行ってもよい。この場合、上述の荷物信号を制御装置33へ入力する処理は行われなくてもよい。
ステップS3において、2つの荷物移動装置9のそれぞれの第1アーム19が、屋根5の下方の上記待機位置から屋根5の上面に出て、図11に示すように、荷物載置面3の第1方向両側から第1方向における荷物載置面3の中央部まで移動する。なお、図10において、一点鎖線は、ステップS3の開始時の各部を示し、実線は、ステップS3の終了時の各部を示す。荷物載置面3上の荷物は、荷物載置面3上のどの位置にあっても、ステップS3において、いずれかの第1アーム19により、第1方向に押されて、第1方向における荷物載置面3の中央部に移動させられる。ステップS3は、スプロケット23bが回転駆動されることにより行われてよい。
次に、ステップS4が行われる。ステップS1からステップS4が開始されるまで、各第2アーム21は第2方向を向いている。ステップS4において、各第1アーム19に設けられた第2アーム21は、上記待機位置から第2方向へ移動しながら、その向きが第2方向から第1方向へ徐々に変わる。図12において、ステップS4の開始時(上記待機位置)の第2アーム21を一点鎖線で示し、ステップS4の終了時の第2アーム21を実線で示す。ステップS4の終了時において、各第2アーム21は、第1方向を向いており、第2方向における荷物載置面3の端(又は当該端の近傍)に位置している。すなわち、2つの第2アーム21は、第2方向における荷物載置面3の両側に位置している。
ステップS5では、各第2アーム21は、第1方向を向いた状態で、第2方向における荷物載置面3の中央部へ移動する。荷物1は、2つの第1アーム19に挟まれた荷物載置面3上の領域(すなわち、第1方向における荷物載置面3の中央部)において、どの第1方向及び第2方向の位置にあっても、ステップS5で、いずれかの第2アーム21により、第2方向に押されて、第2方向における荷物載置面3の中央部に移動させられる。これにより、荷物1は、当該中央部の開口3aに入って扉15の上面に載る。図13において、ステップS5の開始時の第2アーム21と荷物1を一点鎖線で示し、ステップS5の終了時の第2アーム21と荷物1を実線で示す。ステップS4とステップS5は、スプロケット31bが回転駆動されることにより行われてよい。
ステップS6において、扉15が閉位置から開位置へ移動させられる。これにより、扉15上の荷物1が荷物受け部11の上面11aに載せ替えられる。なお、ステップS6において、荷物1は、各第1アーム19と各第2アーム21により囲まれているので、これらの第1アーム19と第2アーム21に囲まれた領域(すなわち開口3aの位置)から水平方向に移動できない。
ステップS7において、制御装置33が、荷物受け部11上の荷物1をいずれかの格納スペースPに搬送するように搬送装置20を制御する。この時、制御装置33は、当該格納スペースPの位置を示す位置情報とステップS2で無人飛行機から受信した上記認証情報とを互いに関連づけて自身の記憶部に保持する。
ステップS7における荷物1の格納スペースPへの搬送は、図2の例では次のように行われてよい。制御装置33が昇降駆動機構13等を制御することで、リフト8が下降することにより、リフト8上の荷物受け部11が、荷物受取り装置10の内部空間Sにおける格納階に移動させられ、荷物受け部11上の荷物が格納階で保管される。例えば、リフト8上の荷物受け部11が格納階の高さに位置し、荷物受け部11としてのパレットがリフト8から格納スペースPへ移動させられる。この時、図2と図3の例では、制御装置33は、パレット11をリフト8と格納スペースPとの間で水平移動させる装置(搬送装置20の構成要素)、及び、隣接する格納スペースPの間でパレットを水平移動させる装置(搬送装置20の構成要素)の動作を制御することにより、当該パレット11が複数の格納スペースPのいずれかに移動させられて保管される。
その後、ステップS1へ戻り、上述のようにステップS1〜S7が繰り返される。なお、ステップS1へ戻って、荷物受取り装置10を上述の待機状態にする時に、格納階の複数の格納スペースPのパレットのうち空のパレットを、リフト8に載せて上述の上昇高さに位置させる。
一方、荷受人から認証情報が制御装置33に入力された場合に、当該認証情報と、制御装置33が保持している認証情報とが一致するときに、制御装置33は、当該認証情報と関連付けられた上記位置情報が示す位置の格納スペースPの荷物1を荷物出口7aへ搬送するように搬送装置20を制御するとともに、出口扉7bの駆動装置(図示せず)を制御して荷物出口7aを開ける位置へ出口扉7bを動作させる。
このような認証情報の入力と、この入力による制御装置33の制御は、例えば次のステップS8、S9のように行われてよい。格納階に保管された荷物1の受取人(荷受人)は、暗証番号等の認証情報を、荷物受取り装置10に設けた制御装置33に入力する。認証番号は、例えば、無人飛行機による当該荷物1の搬送を行う業者から荷受人に通知される。荷受人は、携帯端末を操作することにより無線で、又は、荷物受取り装置10の外部(例えば外壁7)に設けた適宜の入力装置を操作することにより、又は、他の方法により、認証情報を制御装置33に入力する。
ステップS9において、制御装置33は、ステップS8で入力された認証情報と一致する認証情報を保持している場合には、当該認証情報に関連づけられた位置の格納スペースPのパレット11を、上述のように荷物取出し階(図2)の取出し位置へ移動させる。例えば、制御装置33は、パレット11をリフト8と格納スペースPとの間で水平移動させる装置(搬送装置20の構成要素)、隣接する格納スペースPの間でパレットを水平移動させる装置(搬送装置20の構成要素)、及びローラ12の動作を制御することにより、ステップS9を行う。次いで、制御装置33は、荷物出口7aを閉じている出口扉7bを、その駆動装置(図示せず)を制御して荷物出口7aを開ける位置へ動作させる。
その後、ステップS10において、荷受人は、取出し位置のパレット11上の荷物1を、取出し位置7aから取り出して受け取る。ステップS8〜S10は、上述のステップS1〜S7が行われる度に行われてよい。
なお、ステップS9では、制御装置33は、荷物出口7aを開ける位置へ出口扉7b(図2)を動作させ、パレット11を、荷物出口7aを通過させて内部空間Sの外部まで搬送してもよい。この場合、ローラ12は、荷物出口7aの外部にも配置されていてよく、ステップS10において、荷受人は、荷物出口7aから出て来たパレット11上の荷物1を受け取る。
また、ステップS10において、荷受人は、手動で、出口扉7bを、荷物出口7aを閉める位置から開ける位置へ動作させてもよい。この場合、ステップS9では、制御装置33は、荷物出口7aを閉める位置の出口扉7bの施錠を解除する。
(第1実施形態の効果)
上述した第1実施形態によると、無人飛行機は、荷物受取り装置10の荷物載置面3に荷物1を置くと、この荷物1は、荷物移動装置9により荷物載置面3の開口3aの位置へ移動させられる。したがって、当該開口3aを通して、荷物1を内部空間Sに保管できる。このように、無人飛行機は、荷物載置面3に荷物1を置くと、荷物1が荷物受取り装置10の内部空間Sに保管されるので、無人飛行機の配達先に荷受人が存在しなくてもよい。よって、無人飛行機が荷物1の配達先(荷物載置面3)に到着した時に、荷受人の有無に拘わらず、配達された荷物1を荷物受取り装置10の内部空間Sに自動的に保管できる。
また、無人飛行機は、荷物載置面3のいずれの位置に荷物1を置いても、当該荷物1は、荷物移動装置9により開口3aの位置へ移動させられる。したがって、無人飛行機は、荷物載置面3上のどの位置に荷物1を置いてもよいので、無人飛行機が荷物1を置くための制御が容易になる。
また、荷物受取り装置10が、例えば2m以上の高さを有する荷物倉庫である場合には、荷物載置面3は、人が来ない安全な屋根5に位置する。したがって、無人飛行機は、安全な場所としての荷物載置面3に荷物1を置くことができる。
無人飛行機は、荷物載置面3に到着した時に、直ぐに、把持していた荷物1を荷物載置面3に置くことができ、その後、直ぐに次の目的地へ飛行できる。したがって、無人飛行機の飛行時間を抑えることができる。
また、荷物受取り装置10の内部空間S(格納階)に保管された荷物1は、認証情報が入力されないと、荷物受取り装置10から取り出すことができない。したがって、荷物1の盗難が防止される。
なお、2つの第1アーム19のうち一方にのみ、2つの第2アーム21が設けられてもよい。この場合、2つの第2アーム21は、一方の第1アーム19の両端部から中央部へ移動するように設けられてもよい。また、第2アーム21の向きは変化しなくてもよい。この場合、第2アーム21は、第1方向を向いた状態が保たれる範囲で第2方向に往復運動させられてよい。
[第2実施形態]
図14は、本発明の第2実施形態による荷物受取り装置10を示す平面図である。第2実施形態について以下で説明しない点は、第1実施形態の場合と同じであってよい。
第2実施形態では、1つの荷物移動装置9が設けられる。荷物移動装置9は、第1アーム19と第2アーム21と第1アーム駆動機構23と第2アーム駆動機構31を備える。
第1アーム19は、荷物載置面3に沿って第1方向に往復移動可能に構成される。第2実施形態では、この往復運動は、軸C5まわりの回転運動であり、第1方向は、軸C2まわりの周方向である。軸C2は、荷物載置面3と直交する方向(例えば鉛直方向)を向いている。なお、荷物載置面3は、図14において破線で囲んだ領域である。
第2アーム21は、第1実施形態と同様に、第1アーム19に設けられ、第1方向と交差する第2方向に第1アーム19に沿って第1アーム19に対して往復移動可能に構成される。
図15は、図14のXV−XV線断面図である。第1アーム駆動機構23は、第1アーム19を軸C5まわりの第1方向に回転移動させる。第1アーム駆動機構23は、例えば、第1アーム19をその端部に位置する軸C5まわりに回転させるモータであってよい。第2アーム駆動機構31は、第1実施形態の場合と同じ構成を有していてよい。第1アーム19に対する第2アーム21の向きは変化しなくてよい。すなわち、第2アーム21は、第1方向を向いた状態が保たれる範囲で往復運動(併進運動)してよい。
第2実施形態による荷物受取り方法は、上述のステップS1〜S3とS5〜S10を有し、以下で説明する点が第1実施形態の場合と異なり、以下で説明しない点は第1実施形態と同じである。
ステップS1において、荷物受取り装置10を待機状態にする。待機状態では、第1アーム19は、図16のように屋根5の上面における荷物載置面3の外側領域に位置する。あるいは、待機状態において、第1アーム19は図示しない装置により、図16の屋根5よりも下方に位置していてもよい。
ステップS3において、第1アーム19が、図16に示すように、荷物載置面3の外側から、軸C5まわりに回転移動する。なお、図16において、ステップS3の開始時の第1アーム19と荷物1を一点鎖線で示し、ステップS3の終了時の第1アーム19と荷物1を実線で示す。荷物載置面3上の荷物1は、荷物載置面3上のどの位置にあっても、ステップS3において、第1アーム19により、荷物載置面3に沿って、第1方向に押されて、第1方向における荷物載置面3における端部領域に移動させられる。
ステップS3の次にステップS5が行われる。ステップS5では、各第2アーム21は、第1方向を向いた状態で、第1アーム19に対して、第2方向に、荷物載置面3の一端側(荷物載置面3の外側)から荷物載置面3の他端側(開口の位置)へ移動する。荷物1は、荷物載置面3の上記端部領域において、第1方向及び第2方向のどの位置にあっても、ステップS5で、第2アーム21により、第2方向に押されて、第2方向における開口3aの位置に移動させられる。これにより、荷物1は、開口3aに入って扉15の上面に載る。図17において、ステップS5の開始時の第2アーム21と荷物1を一点鎖線はで示し、ステップS5の終了時の第2アーム21と荷物1を実線で示す。
なお、荷物載置面3と第1方向と第2方向に隣接する位置に、屋根5の上面から立ち上がった壁35(図15)が設けられてもよい。壁23により、荷物載置面3から荷物1が外れることが防止される。
[第3実施形態]
図18は、本発明の第3実施形態による荷物受取り装置10を示す平面図である。第3実施形態について以下で説明しない点は、第1実施形態の場合と同じであってよい。
第3実施形態では、荷物移動装置9は、屋根5の上面を自律移動し、荷物載置面3に置かれた荷物1を開口3aの位置へ移動させる小型の無人搬送車(AGV:Automated guided vehicle)である。無人搬送車9は、荷物載置面3上の荷物1を認識するセンサ(カメラ又はレーザスキャナ)を備え、当該センサにより認識した荷物1を、開口3aの位置(扉15の上面)へ移動させる。なお、無人搬送車9は、自己の位置や開口3aの位置を適宜の手段で求める。例えば、無人搬送車9は、屋根5の上面に設けた複数の印の位置を上記センサで認識して自己の位置を求め、複数の印の位置と開口3aの位置との既知の位置関係により上記開口3aの位置を求めてよい。また、無人搬送車9は、屋根5の上面を移動するための駆動輪37と、荷物1を開口3aの位置へ移動させるために荷物1を押して移動させる部分39(例えばアーム部)を備えていてよい。
第3実施形態による荷物受取り方法は、上述のステップS1,S2とS6〜S10を有し、以下で説明する点が第1実施形態の場合と異なり、以下で説明しない点は第1実施形態と同じである。
ステップS2において、制御装置33は無人飛行機から荷物信号を受けたら、無人搬送車9に、荷物載置面3上の荷物1を開口3aの位置へ移動させる旨の指令信号を無線で送信する。これにより、制御装置33は、荷物載置面3上の荷物1を開口3aの位置へ移動させるように無人搬送車9を動作させる。
すなわち、第3実施形態では、上述のステップS3〜S5の代わりに、無人搬送車9は、上記指令信号に反応して、荷物載置面3上の荷物1を、荷物載置面3に沿って開口3aの位置(扉15の上面)へ移動させる。
[第4実施形態]
図19は、本発明の第4実施形態による荷物受取り装置10を示す平面図である。図20は、図19のXX−XX線矢視図である。なお、図19は、図20のXIX−XIX線矢視図である。
第4実施形態では、荷物受取り装置10は、ドローン(drone)等の無人飛行機が荷物1を置くことができ鉛直上方を向く荷物載置面3(図19の破線で囲んだ領域)を外部に有するとともに、荷物1を保管する内部空間Sを有する。内部空間Sは、外壁41aと屋根41bを有する構造体41により形成されている。内部空間Sの床面Fと荷物載置面3とは、同じ平面上に存在する。
荷物受取り装置10は、荷物移動装置9を備える。荷物移動装置9は、水平方向に延びているアーム45と、鉛直方向を向く軸C6回りにアーム45を回転駆動する回転駆動装置47とを備える。構造体41の外壁41aには、荷物載置面3上の荷物1を内部空間Sに通すための開口41cが形成されている。また、開口41cを開閉する扉42が設けられてよい。扉42は、鉛直方向に駆動されることにより、開口41cを開閉してよい。
第4実施形態による荷物受取り装置10を用いた荷物受取り方法を、図21と図22に基づいて説明する。図21と図22は、荷物受取り装置10を示す平面図である。まず、図21において、荷物受取り装置10は待機状態にある。この待機状態で、無人飛行機が荷物1を外部に露出している荷物載置面3に置く。次いで、荷物載置面3におけるこの荷物1の存在が第1実施形態と同様の手段で制御装置33に通知されると、制御装置33の制御で、図22の矢印Aが示す方向にアーム45が回転駆動されると、アーム45は、荷物載置面3に沿って、荷物1を押すことにより開口41cの位置へ移動させ、更に、アーム45と共に内部空間Sの所定位置まで移動させる。その後、制御装置33により、扉42により開口41cが閉じられる。その後、荷受人が、構造体41の外壁41aに設けられた適宜の出入口から内部空間Sに入って荷物1を受け取り、荷物1と共に出入口から外部へ退出する。その後、再び、荷物受取り装置10は待機状態になり、上述の手順が繰り返される。上記出入口は適宜のドアが設けられ、ドアは鍵などにより施錠と開錠が可能である。
なお、アーム45の先端部には、アーム45の回転方向に突出した係合部49が設けられていてよい。この係合部49は、アーム45により荷物1を押して移動させている時に、荷物1が軸C6から離れる方向(軸Cに対する半径方向)にずれようとした場合に、当該方向に荷物1に係合する。したがって、荷物1が、当該方向にアーム45からずれてしまうことを防止できる。
[第5実施形態]
図23は、本発明の第5実施形態による荷物受取り装置10を示す平面図である。図24は、図23のXXIV−XXIV線矢視図である。なお、図23は、図24のXXIII−XXIII線矢視図である。第5実施形態について以下で説明しない点は、第4実施形態の場合と同じであってよい。
第5実施形態では、第4実施形態におけるアーム45の代わりに、第2実施形態の第1アーム19が設けられる。また、第1アーム19には、第2実施形態の第2アーム21が2つ設けられる。第1アーム19は、回転駆動装置47により軸C6まわりに回転駆動される。第2アーム21は、第1実施形態の第2アーム駆動機構31と同じ構成の装置により第1アーム19に沿って駆動(併進運動)させられる。
また、第5実施形態では、内部空間Sの床面Fには、複数の仕分け穴53が軸C6に対する半径方向(以下で単に半径方向ともいう)に間隔をおいて形成されている。各仕分け穴53は、床面Fに開口して、当該開口から下方に延びている。なお、各仕分け穴53の開口を開閉する扉(図示せず)が設けられていてよい。当該各扉の上面は、床面Fと同一平面上にあり床面Fの一部となっており、床面Fに沿って(例えば図24の紙面と直交する方向に)移動することにより仕分け穴53を開閉してよい。各扉は、後述のように第1アーム19により荷物1を仕分け穴53に入れる時には、仕分け穴53の開口を開ける位置にあり、第1アーム19により荷物1を仕分け穴53に入れた後は、仕分け穴53の開口を閉じる位置にあるように、その動作が制御装置33により制御されてよい。
第5実施形態による荷物受取り装置10を用いた荷物受取り方法を、図25〜図27に基づいて説明する。図25〜図27は、荷物受取り装置10を示す平面図である。まず、図25において、荷物受取り装置10は待機状態にある。この待機状態で、2つの第2アーム21は、それぞれ、第1アーム19の両端部に位置している。この待機状態で、無人飛行機が、荷物1を荷物載置面3に置くとともに、当該荷物の識別情報を、制御装置33に無線で送信する。次いで、この荷物1が荷物載置面3に存在することを第1実施形態と同様の手段で通知されることにより、制御装置33は、回転駆動装置47を制御することにより、図25において第1アーム19を軸C6まわり(図25における時計回り)に回転させることにより、第1アーム19は、荷物載置面3に沿って軸C6まわりに荷物1を押して荷物載置面3の端部付近まで移動させ、図26の状態にする。
その後、制御装置33は、上記識別情報に基づいて、当該識別情報に対応する仕分け穴53の半径方向位置に荷物1を位置させるために、(例えば第1アーム19を停止させた状態で)2つの第2アーム21を第1アーム19に沿って移動させる。これにより、当該半径方向位置を挟む2つの設定位置に2つの第2アーム21をそれぞれ位置させる。例えば、当該識別情報に対応する仕分け穴53が、半径方向において真ん中の仕分け穴53である場合には、図27のように2つの第2アーム21が位置する。その後、制御装置33は、2つの第2アーム21を設定位置に位置させた状態で、第1アーム19を更に軸C6まわりに回転させる。これにより、第1アーム19は、荷物1を押して、上記識別情報に対応する仕分け穴53に移動させ、荷物1は当該仕分け穴53に入る。次いで、制御装置33は、第1アーム19を、仕分け穴53を通過した位置で停止させ(例えば図25の待機状態での位置)、当該仕分け穴53の扉を、当該仕分け穴53の開口を閉じる位置に移動させる。
その後、荷受人が、構造体41の出入口を通って内部空間Sに入り、仕分け穴53内に荷物1を取り出して、荷物1と共に出入口を通って内部空間Sの外部へ出る。この時、荷受人は、次のように仕分け穴53の扉を開口を開けてよい。荷受人には、上記識別情報に対応する認証情報を、荷物1の配達業者から予め通知されている。荷受人は、携帯端末を操作することにより無線で、又は、内部空間S内の適宜の入力装置を操作することにより、又は、他の方法により、認証情報を制御装置33に入力する。これにより、制御装置33は、対応する仕分け穴53の扉を、当該仕分け穴53の開口を開ける位置へ移動させる。
[第6実施形態]
図28は、本発明の第6実施形態による荷物受取り装置10を示す平面図である。図29は、図28のXXIX−XXIX線矢視図である。なお、図29は、図20のXXVIII−XXVIII線矢視図である。
第6実施形態では、荷物受取り装置10は、無人飛行機が荷物1を置くことができ鉛直上方を向く荷物載置面3(図28の破線で囲んだ領域)を外部に有するとともに、荷物1を保管する内部空間Sを有する。内部空間Sは、外壁41aと屋根41bを有する構造体41により形成されている。荷物載置面3は、無人飛行機が荷物1を置くことができるように構造体41の外部に露出している。
第6実施形態では、荷物受取り装置10は、荷物移動装置9を備える。荷物移動装置9は、鉛直方向を向く軸C7まわりに回転駆動される回転テーブル55と、回転テーブル55を軸C7まわりに回転駆動する回転駆動装置57を備える。回転テーブル55の上面の一部が、荷物載置面3になっている。当該一部は、軸C7まわりにおける回転テーブル55の回転により、荷物受取り装置10の外部から内部空間S内へ移動させられ、内部空間Sから荷物受取り装置10の外部へ移動させられる。
回転テーブル55の上面は、構造体41の外壁41aにより、荷物受取り装置10(構造体)の外部と内部空間Sとに区切られている。この外壁41aは、回転テーブル55の上面から鉛直上方に延びている。なお、外壁41aと回転テーブル55の上面との間に僅かな隙間があってよい。外壁41aにより、回転テーブル55の上面は、一部が上記外部に位置し(すなわち、荷物載置面3になっており)、残りの部分が内部空間Sに位置している(すなわち、内部空間Sの床面Fの一部になっている)。また、外壁41aには、開口41c,41dが形成されており、荷物載置面3に置かれた荷物1が、回転テーブル55の回転により開口41cを通過する。また、開口41cを開閉する扉42が設けられてよい。扉42は、鉛直方向に駆動されることにより、開口41cを開閉してよい。
第6実施形態による荷物受取り装置10を用いた荷物受取り方法を、図28と図29に基づいて説明する。無人飛行機が、荷物1を回転テーブル55上の荷物載置面3に置く。次いで、荷物載置面3におけるこの荷物1の存在が第1実施形態と同様の手段で制御装置33に通知されることにより、制御装置33の制御で、図28の矢印Aが示す方向に回転テーブル55が回転駆動されると、回転テーブル55上の荷物1は、荷物載置面3に沿った方向(矢印Aが示す方向)に開口41cの位置へ移動し、更に、開口41cを通過して、内部空間Sの所定位置(例えば図28と図29において一点鎖線で描いた荷物の位置)まで移動させる。その後、扉42により開口41cが閉じられる。その後、荷受人が、構造体の外壁41aに設けられた適宜の出入口から内部空間Sに入って荷物1を受け取り、荷物1と共に出入口から外部へ退出する。その後、再び、荷物受取り装置10は待機状態になり、上述の手順が繰り返される。上記出入口は適宜のドアが設けられ、ドアは鍵などにより施錠と開錠が可能である。
[第7実施形態]
図30Aは、本発明の第7実施形態による荷物受取り装置10を示す平面図である。図30Bは、図30Aの30B−30B線矢視図である。なお、図30Aは、図30Bの30A−30A線矢視図である。
第7実施形態では、荷物受取り装置10は、無人飛行機が荷物1を置くことができ鉛直上方を向く荷物載置面3(図30の破線で囲んだ領域)を外部に有するとともに、荷物1を保管する内部空間Sを有する。内部空間Sは、外壁41aと屋根41bを有する構造体41により形成されている。荷物載置面3は、無人飛行機が荷物1を置くことができるように構造体41の外部に露出している。
第7実施形態では、荷物受取り装置10は、荷物移動装置9を備える。荷物移動装置9は、ベルトコンベアであり、間隔を置いて配置され水平軸回りに回転駆動される1対の回転輪59(例えばローラ又はベルト車)と、1対の回転輪59に掛け回される無端状ベルト61とを備える。無端状ベルト61の上面の所定領域が、荷物載置面3になっている。
また、内部空間Sには、ベルトコンベア9から搬送されて来る荷物を受ける搬送装置63が配置される。搬送装置63は、例えば回転駆動される複数のローラ63aを有するローラコンベアであってよい。
外壁41aにおいて、ベルトコンベア9と搬送装置63との間に位置する部分には、荷物1を通すための開口41cが設けられている。また、開口41cを開閉する扉42が設けられてよい。扉42は、鉛直方向に駆動されることにより、開口41cを開閉してよい。
さらに、搬送装置63は、内部空間Sから、ベルトコンベア9とは異なる外部の位置へ荷物1を搬送する。図30Aの例では、搬送装置63は、構造体41の外部に配置された別の搬送装置65(例えばベルトコンベア)へ内部空間Sから荷物1を搬送する。また、外壁41aにおいて、搬送装置63と別の搬送装置65との間に位置する部分には、荷物1を通すための開口41dが設けられている。また、開口41dを開閉する扉67が設けられてよい。扉67は、鉛直方向に駆動されることにより、開口41dを開閉してよい。
第7実施形態による荷物受取り装置10を用いた荷物受取り方法を、図30Aと図30Bに基づいて説明する。無人飛行機が、荷物1を無端状ベルトの上面における荷物載置面3に置く。次いで、荷物載置面3におけるこの荷物1の存在が第1実施形態と同様の手段で制御装置33に通知されると、制御装置33の制御で、回転輪59が回転駆動されることにより、当該荷物1が、開口41cの位置へ移動し、更に、開口41cを通過して図30Bの矢印Aが示すように内部空間Sへ移動させられる。図30Bの例では、当該荷物は、内部空間S内の搬送装置(ローラコンベア)上の位置(この図の一点鎖線で描いた荷物の位置)へ移動させられる。その後、制御装置33の制御で、扉42により開口41cが閉じられる。なお、開口41dは閉じられている。
その後、荷受人が、構造体41の外部において開口41dに近づき、例えば図示しない入力装置などに認証情報等を入力すると、扉が67が開口41dを開き、2つの搬送装置63,65が動作することにより、内部空間Sの荷物1が、搬送装置65へ引き渡される。荷受人は、この搬送装置65上の荷物1を受ける。
[第8実施形態]
図31Aは、本発明の第8実施形態による荷物受取り装置10を示す側面図である。第8実施形態では、荷物受取り装置10は、無人飛行機が荷物1を置くことができ鉛直上方を向く荷物載置面3と、荷物1を保管する内部空間Sとを有する。内部空間Sは、外壁41aと屋根41bを有する構造体41により形成されている。屋根41bには、後述のベルトコンベア69が鉛直方向に通過できる開口41c(後述の図31Bを参照)が形成されている。なお、開口41cは、第1実施形態の扉15のように扉(図示せず)により開閉されてよい。
第8実施形態では、荷物受取り装置10は、荷物移動装置9を備える。荷物移動装置9は、ベルトコンベア69と、ベルトコンベア69が取り付けられ昇降駆動される昇降部71を備える。昇降部71は、適宜の駆動装置73(図32の例ではジャッキを用いた装置)により昇降させられる。ベルトコンベア69は、間隔を置いて配置され水平軸回りに回転駆動される1対の回転輪69a(例えばローラ又はベルト車)と、1対の回転輪69aに掛け回される無端状ベルト69bとを備える。無端状ベルト69bの上面の所定領域が、荷物載置面3になっている。
昇降部71が昇降させられることにより、荷物載置面3(すなわちベルトコンベア)は、無人飛行機が荷物1を置くことができる上昇高さと、内部空間Sにおける上昇高さよりも低い下降高さとの間で昇降させられる。すなわち、荷物載置面3は、当該上昇高さに位置させられることにより、無人飛行機が荷物載置面3に荷物1を置くことができるように外部に露出する。図31Aでは、荷物載置面3は上昇高さにあり、図31Bは、図31Aにおいて荷物載置面3が上昇高さから下降高さへ移動させられた状態を示す。上昇高さに位置する荷物載置面3は、屋根41bの上面と同じ高さであっても、屋根41bの上面よりも高くてもよい(場合によっては、屋根41bの上面よりも低くてもよい)。
また、内部空間Sを含む領域には、上記下降高さに位置するベルトコンベア69から搬送されて来る荷物を受ける搬送装置75が配置される。搬送装置75は、例えばベルトコンベア又はローラコンベア(図31Bの例ではベルトコンベア)であってよい。
搬送装置75は、ベルトコンベア69から受けた荷物1を、水平方向に搬送して、内部空間Sから外壁の開口41dを通過させ、構造体41の外部へ搬送する。また、開口41dを開閉する扉67が設けられてよい。扉67は、鉛直方向に駆動されることにより、開口41dを開閉してよい。
図32は、図31BのXXXII−XXXII線矢視図である。図32に示すように、搬送装置75が、荷物1を、内部空間Sから開口41dへ搬送する時に、荷物1を開口41dの位置へ案内する案内部材77が設けられてよい。この案内部材77は、搬送装置75による搬送方向(図32の右方向)と直交する水平方向(以下で直交方向という)において開口41dの両側に設けられ、ベルトコンベア69の側から搬送方向に移行するにつれて直交方向に開口41dへ近づくように延びている。これにより、荷物1は、搬送装置75により搬送方向に搬送される時に、直交方向において案内部材77により開口41dの位置へ案内される。したがって、荷物1は、直交方向において開口41dからずれていても、搬送装置75による搬送で自動的に開口41dを通過する。
第8実施形態による荷物受取り装置10を用いた荷物受取り方法を説明する。まず、荷物載置面3が図32のように上記上昇高さにある状態で、無人飛行機が、荷物載置面3(無端状ベルト69bの上面)に置く。次いで、荷物載置面3におけるこの荷物1の存在が第1実施形態と同様の手段で制御装置33に通知されると、制御装置33の制御により、昇降部71が上記下降高さに下降させられる。これにより、荷物載置面3上の荷物1は開口41cを通って内部空間Sへ移動(下降)する。次いで、制御装置33の制御により、荷物載置面3が上記下降高さに位置している状態で、回転輪69aが回転駆動されることにより、当該荷物1が、図31Bと図32の矢印Aのように、搬送装置75へ引き渡される。この時、搬送装置75は、当該荷物1を受けるために動作してよい(例えば搬送装置75がベルトコンベアである場合には、その無端状ベルトが回転駆動される)。なお、開口41dは閉じられている。
その後、荷受人が、構造体41の外部において構造体41の開口41dに近づき、例えば図示しない入力装置などに認証情報等を入力すると、開口41dを開く位置に扉67が動作し、搬送装置75により、当該荷物1が、図31Bと図32の矢印Bのように開口41dを通して構造体41の外部に搬送される。荷受人は、この荷物1を受け取る。
[気象値に基づいて着陸を禁止するための構成]
図33Aは、荷物受取り装置10が、気象値に基づいて、無人飛行機2又は無人飛行機2の管制装置85と通信するシステムの構成例1を示す。ここで、荷物受取り装置10は、上述した第1実施形態〜第8実施形態のいずれの荷物受取り装置10であってもよい。
荷物受取り装置10は、気象値取得装置81と判定装置83を更に備える。気象値取得装置81は、荷物受取り装置10の位置に関する気象値を計測する。この気象値は、荷物受取り装置10の位置を含む局所エリアの気象値であってよい。
気象値取得装置81は、例えば、風速計である。風速計18は、荷物受取り装置10において、上述の屋根5又は41bの上面(上面の隅)に設けられてもよいし、他の位置に設けられてもよい。風速計81は、気象値としての風速を繰り返し計測する。
判定装置83は、気象値取得装置81が計測により取得した気象値(例えば上述の風速)が許容範囲内であるかを判定する。この判定は、気象値が計測される度に行われてよい。この判定の結果が否定である場合には、判定装置83は、荷物載置面3へ無人飛行機2が着陸することを禁止する禁止信号を送信する。この時、判定装置83は、禁止信号を、例えば無線通信により、無人飛行機2へ、又は無人飛行機2の管制装置85へ送信する。
例えば、無人飛行機2は、荷物積載面3に荷物1を置くために飛行を開始する時、又は、この飛行中に、その旨の信号を、例えば無線通信で判定装置83へ送信する。判定装置83は、この信号を受信した時、最新の上記判定の結果が否定である場合(例えば上記風速が10mを超える場合)には、この信号に対する返答として、その無人飛行機2に禁止信号を送信する。これにより、無人飛行機2は、荷物積載面3に荷物1を置くための任務を中断する。
別の例では、判定装置83は、上記判定の結果が否定となったら、管制装置85へ禁止信号を送信する。管制装置85は、禁止信号を受けたら、荷物積載面3に荷物1を置くための任務を中断させる信号を、該当する無人飛行機2に無線通信で送信する。これにより、無人飛行機2は、荷物積載面3に荷物1を置くための任務を中断する。
なお、上述の気象値は、風速に限定されず、他の気象値(例えば降雨量、降雪量など)であってもよい。この場合、当該他の気象値を計測する気象値取得装置81が設けられ、他の点は上述と同じであってよい。
図33Bは、荷物受取り装置10が、気象値に基づいて、無人飛行機2又は無人飛行機2の管制装置85と通信するシステムの構成例2を示す。構成例2では、気象値取得装置81は、最新の気象値を、気象データ元87(例えば気象観測機関又は気象データ管理機関)から、例えば無線通信により繰り返し受信する。判定装置83は、気象値取得装置81が受信により取得した気象値が許容範囲内であるかを判定する。この判定は、気象値が受信される度に行われてよい。この判定の結果が否定である場合には、判定装置83は、上述の禁止信号を送信する。他の点は、上述の構成例1と同じであるので、その説明を省略する。
本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、荷物受け部11を省略し、開口3aの下方には、荷物移動装置9により開口3aの位置へ移動してきた荷物1を受け取る部分が内部空間Sに設けられてもよい。この場合、荷物移動装置9が荷物1を開口3aの位置へ移動させる時、扉15は、第1実施形態と同様に閉位置にあってもよいし、開位置にあってもよい。