(第1実施形態)
以下、本発明の好適な第1実施形態について説明する。
第1実施形態に係るインクジェットプリンタ1(「画像記録装置」に相当)は、図1に示すように、キャリッジ2、インクジェットヘッド3(「ヘッド」に相当)、搬送機構4、温度センサ7(図2参照:「温度測定部」に相当)、制御装置100等を備えている。尚、以下では、図1に示す、互いに直交する、前後方向及び左右方向を、プリンタ1の「前後方向」及び「左右方向」と定義する。以下、前後、左右の各方向語を適宜使用して説明する。
キャリッジ2は、左右方向に延びた2本のガイドレール11,12に左右方向に移動可能に支持されている。ガイドレール12の上面の、左右方向における両端部には、プーリ13,14が設けられている。プーリ13,14には、ゴム材料からなる無端状のベルト15が巻き掛けられている。右側のプーリ13には、キャリッジモータ16が接続されている。そして、キャリッジモータ16を正転及び逆転させると、プーリ13,14が回転することによってベルト15が走行し、キャリッジ2が左右方向を走査方向として往復移動する。より具体的には、キャリッジ2は、キャリッジモータ16が正転すると右端から左端に向かうFWD方向に移動し、キャリッジモータ16が逆転すると左端から右端に向かうRVS方向に移動する。
インクジェットヘッド3(以下、単にヘッド3)は、キャリッジ2に搭載されており、キャリッジ2とともに走査方向に往復移動する。このヘッド3の下面は、インクを吐出するための複数のノズル5が形成されている。複数のノズル5は、走査方向と直交する搬送方向(前後方向)に一定のノズル間隔Gで長さLnにわたって配列されることによりノズル列6を形成している。また、ヘッド3は、走査方向に並んだ4つのノズル列6を有している。各ノズル列6の複数のノズル5は、他のノズル列6の複数のノズル5と、前後方向の位置が一致するように、配置されている。そして、複数のノズル5からは、右側のノズル列6を形成するものから順に、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインクが吐出される。ヘッド3の詳細な構成については、後で説明する。
搬送機構4は、プラテン41、搬送ローラ42,43、搬送モータ44(図2参照)等を備える。
プラテン41の上面には、不図示の給送部から給送された、記録媒体である用紙Pが載置される。搬送ローラ42,43は、プラテン41を挟むように前後に配置されている。2つの搬送ローラ42,43は、搬送モータ44によって同期して駆動し、プラテン41の上面に載置された用紙Pを、搬送方向である前方に搬送する。
温度センサ7は、サーミスタ等のセンサであり、自身の温度を測定して、その温度を示す温度情報(「吐出特性情報」に相当)を制御装置100に出力する。この温度センサ7は、ヘッド3の近傍に配置されている。このため、温度センサ7が出力する温度情報が示す温度は、ヘッド3の温度に応じた値となる。
図2に示すように、制御装置100は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、フラッシュメモリ104、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)105等を含む。ROM102には、CPU101が実行するプログラム、各種固定データ等が記憶されている。RAM103には、プログラム実行時に必要なデータ(画像データIM等)が一時的に記憶される。ASIC105は、ヘッド3、キャリッジモータ16、搬送モータ44、通信インターフェース110等、プリンタ1の様々な装置あるいは駆動部と接続されている。
尚、制御装置100は、CPU101のみが各種処理を行うものであってもよいし、ASIC105のみが各種処理を行うものであってもよいし、CPU101とASIC105とが協働して各種処理を行うものであってもよい。また、制御装置100は、1つのCPU101が単独で処理を行うものであってもよいし、複数のCPU101が処理を分担して行うものであってもよい。また、制御装置100は、1つのASIC105が単独で処理を行うものであってもよいし、複数のASIC105が処理を分担して行うものであってもよい。
制御装置100は、ROM102に格納されたプログラムに従い、CPU101及びASIC105により、用紙Pへ画像を記録する記録処理等の各種処理を実行する。例えば、記録処理においては、制御装置100は、通信インターフェース110を介して、PC等の外部装置200から入力された記録指令に基づいて、ヘッド3の後述するドライバIC90、キャリッジモータ16、及び、搬送モータ44等を制御して、用紙Pに画像を記録する。具体的には、制御装置100は、キャリッジ2とともにヘッド3を走査方向に移動させつつ、ノズル5からインクを吐出させる単位記録動作と、搬送ローラ42,43によって用紙Pを搬送方向に搬送する搬送動作とを、交互に複数回実行することで、用紙Pに所望の画像を記録する。以上のように、本実施形態のプリンタ1は、シリアル式のインクジェットプリンタである。
尚、本実施形態では、キャリッジ2を走査方向の一方側と他方側(RVS方向とFWD方向)のいずれに移動させるときにも、複数のノズル5からインクを吐出させて上記単位記録動作を行う。変形例として、キャリッジ2を走査方向の片側に移動させるときのみノズル5からインクを吐出させて上記単位記録動作を行ってもよい。
次に、ヘッド3について詳細に説明する。ヘッド3は、図3(a)に示すように、複数のノズル5及び複数のノズル5にそれぞれ連通する複数の圧力室83が形成された流路構造体81と、流路構造体81の上面に配置された圧電アクチュエータ86とを備えている。
図3(c)に示すように、流路構造体81は、4枚のプレートが積層された構造を有する。この流路構造体81の下面には複数のノズル5が形成されている。図3(a)に示すように、複数のノズル5は搬送方向に配列されており、4色のインクにそれぞれ対応した、4列のノズル列6を構成している。複数の圧力室83は、複数のノズル5と同様に4列に配列されている。
さらに、図3(a),(b)に示すように、流路構造体81には、それぞれ搬送方向に延在する4本のマニホールド84が形成されている。4本のマニホールド84は、4列の圧力室列に、4色のインクをそれぞれ供給する。また、4本のマニホールド84は、流路構造体81の上面に形成された4つのインク供給口85に接続されている。4つのインク供給口85には、不図示の4つのインクカートリッジから4色のインクがそれぞれ供給される。
図3(c)に示すように、圧電アクチュエータ86は、複数の圧力室83を覆う振動板87と、この振動板87の上面に配置された圧電層88と、複数の圧力室83に対応した複数の個別電極89とを備えている。圧電層88の上面に位置する複数の個別電極89は、圧電アクチュエータ86を駆動するドライバIC90とそれぞれ電気的に接続されている。
圧電層88の下面に位置する振動板87は金属材料で形成されており、圧電層88を挟んで複数の個別電極89と対向する共通電極の役割を果たす。尚、この振動板87は、ドライバIC90に接続されて常にグランド電位に保持される。ドライバIC90には、図2に示すように、ヘッド電圧生成回路97(「電源回路」に相当)が接続されている。ヘッド電圧生成回路97は、交流電源から供給された交流電圧に基づいて、ヘッド3を駆動するための駆動電圧を生成して、ドライバIC90に出力する回路である。また、ヘッド電圧生成回路97は、制御装置100による制御の下、生成する駆動電圧を調整可能である。
以上の構成において、1つの個別電極89、共通電極としての振動板87の1つの圧力室83に対向する電極部分、及び、圧電層88の1つの圧力室83と対向する部分によって、1つの圧電素子95(図3(c)参照)が構成されている。
ドライバIC90は、制御装置100からの制御信号に基づいて、各圧電素子95の個別電極89に対して所定のパルス信号である駆動信号を出力し、個別電極89の電位を正電位と、グランド電位との間で切り替える。本実施形態では、圧電アクチュエータ86の駆動方式として、インク吐出前に圧力室83内へのインク供給を行う、所謂「引き打ち式」を採用している。具体的には、個別電極89は、予め正電位に保持されている。このとき、個別電極89とグランド電位に保持されている共通電極としての振動板87との間に電位差が生じ、個別電極89と振動板87の間に挟まれた圧電層88は圧電変形する。これにより、振動板87及び圧電層88は、圧力室83側に凸となるように撓むため、圧力室83の容積が減少した待機状態となっている。
その後、個別電極89に後述する吐出パルスSが印加されて、個別電極89の電位がグランド電位になると、圧電層88の圧電変形が一旦解消される。これにより、振動板87及び圧電層88が撓みのない水平な状態となり、先の待機状態と比べて圧力室83内の容積が増大する。これに伴い、マニホールド84から圧力室83へインクが供給される。その後、再び、個別電極89の電位が正電位となって圧力室83の容積が減少する。このとき、圧力室83内のインクに圧力(吐出エネルギー)が付与されて、上記圧力室83に連通するノズル5からインクの液滴が吐出される。
次に、上記圧電アクチュエータ86を駆動するための、電気的な構成の詳細について説明する。まず、圧電アクチュエータ86に駆動信号を供給する、ドライバIC90について説明する。
ドライバIC90は、制御装置100による制御の下、ヘッド3の圧電アクチュエータ86に、ノズル5からインクを吐出させる吐出動作を行わせる。具体的には、単位記録動作中において、ドライバIC90は、時間的に連続する複数の1記録周期の各々において、圧電アクチュエータ86の複数の個別電極89の各々に対して、所定の電圧レベルを有する駆動信号を出力することにより、前述した個別電極89の電位の切り替えを行う。尚、1記録周期は、用紙Pに記録する画像の走査方向解像度に対応する単位距離だけヘッド3が移動するのに要する時間である。
ここで、本実施形態において、用紙Pに画像を記録するために、1記録周期内にノズル5から吐出可能なインクの吐出量(インク滴の体積)は4種類(大玉、中玉、小玉、非吐出)である。個別電極89に対して供給される駆動信号の種類としては、この4種類の吐出量に対応して、図4(a)〜(d)に示すように、大玉吐出信号、中玉吐出信号、小玉吐出信号、非吐出信号の4種類ある。これら駆動信号の時間長さは、1記録周期の時間長さと同じである。
大玉吐出信号は、吐出パルスSを3つ含む駆動信号である。中玉吐出信号は吐出パルスSを2つ含む駆動信号であり、小玉吐出信号は吐出パルスSを1つ含む駆動信号である。一方で、非吐出信号は、吐出パルスSを含まない駆動信号である。上述したように、吐出パルスSが個別電極89に印加されると圧力室83内のインクに圧力が付与されて、ノズル5からインクの液滴が吐出されることになる。このため、吐出パルスSの数が多い駆動信号ほど、ノズル5から吐出されるインクの吐出量は多くなる。
ドライバIC90は、制御装置100から、4種類の駆動信号のパルス波形に関する4種類の波形データと、波形選択データとを受信する。波形選択データは、圧電素子95のそれぞれに関して、連続する複数の1記録周期の各々において、4種類の波形データから1つを選択するためのデータである。ドライバIC90は、連続する複数の1記録周期の各々において、波形選択データに基づいて、各圧電素子95の個別電極89に対して、4種類の波形データから1つを選択する。そして、ドライバIC90は、選択した波形データを、ヘッド電圧生成回路97から受電した駆動電圧に応じた電圧レベル(VL)まで増幅して駆動信号を生成し、圧電素子95の個別電極89へ出力する。
次に、上記圧電アクチュエータ86の駆動等を行う、制御装置100のASIC105の構成について説明する。図2に示すように、ASIC105には、波形データ記憶回路121、ヘッド制御回路122、及び搬送制御回路123が組み込まれている。波形データ記憶回路121は、ドライバIC90が出力する上述の4種類の駆動信号の各々のパルス波形に関する波形データを記憶する。ヘッド制御回路122は、用紙Pに画像を記録する記録処理において、RAM103に記憶された画像データIMに基づいて、ヘッド3のドライバIC90とキャリッジモータ16とをそれぞれ制御する。搬送制御回路123は、同じく記録処理において、搬送モータ44を制御して、用紙Pを搬送方向に搬送する。以下、ヘッド制御回路122について詳細に説明する。
ヘッド制御回路122は、RAM103に記憶された画像データIMに基づいて、連続する複数の1記録周期の各々に対して、4種類の駆動信号から1種類の駆動信号をノズル5(個別電極89)毎に選択する。さらに、ヘッド制御回路122は、選択した駆動信号を示す選択データと、波形データ記憶回路121に記憶された波形データとをドライバIC90に送信し、ドライバIC90に、この選択データと波形データとに基づいて、上記4種類の駆動信号の何れかの駆動信号を生成させる。この駆動信号が圧電アクチュエータ86の複数の個別電極89に供給されることで、各1記録周期において、複数の個別電極89にそれぞれ対応する複数のノズル5から選択的にインクが吐出される。
以下、ヘッド制御回路122の処理について詳細に説明するに先立って、まず、画像データIMについて説明する。画像データIMは、4色のインクにそれぞれ対応した、4つのドット要素データEDを有している。各ドット要素データEDは、図5に示すように、用紙P上に形成される複数のドット(インクが着弾しない不吐出ドットを含む)に対応する複数のドット要素Dを有している。詳細には、ドット要素データEDは、互いに直交するX方向及びY方向に並んだ複数のドット要素Dによって形成される。X方向及びY方向は、それぞれ、走査方向及び搬送方向に対応している。
各ドット要素Dには、対応するドットを形成する際にノズル5から吐出させるインクの吐出量が設定されている。詳細には、各ドット要素Dに対しては、1記録周期内にノズル5から吐出可能な上記4種類(大玉、中玉、小玉、非吐出)の吐出量のいずれかが設定されている。尚、図5に示すドット要素データEDでは、各ドット要素Dに対して設定される4種類の吐出量それぞれを、「00」、「01」、「10」、「11」として示している。「00」は「非吐出」、「01」は「小玉」、「10」は「中玉」、「11」は「大玉」にそれぞれ対応している。
また、各ドット要素データEDは、複数行分のラスターデータLを有している。尚、ラスターデータLとは、用紙P上において走査方向に沿って配列される複数のドットに対する複数のドット要素Dが、これら複数のドット要素Dに対応する複数のドットの走査方向に沿った配列順に従った順に配列されたドット要素列である。そして、各ラスターデータLは、それぞれ、1つのノズル5に対応する。つまり、ラスターデータLは、複数のドットが、走査方向に沿って配列された1ラインのドット列に対応するデータである。
ヘッド制御回路122は、ドット要素データEDの各ラスターデータLに基づいて、連続する1記録周期の各々に対して、当該1記録周期に対して設定された吐出量に対応する駆動信号をノズル5毎に選択する。例えば、ヘッド制御回路122は、設定された吐出量が「小玉」の記録周期に対しては、小玉吐出信号を選択する。
以上のようにして、各1記録周期において、複数のノズル5から選択的にインクが吐出されることになる。
ところで、記録処理の実行中において、ヘッド3のインクの吐出特性が、時間の経過とともに変わる場合がある。例えば、ドライバIC90は、圧電アクチュエータ86を駆動させたときに発熱する。このドライバIC90で発生した熱によって、ヘッド3内のインクの温度が上昇する。
ここで、一般的に、インクは、温度が高いほど、粘度は低くなる。従って、同一の駆動信号を圧電アクチュエータ86に付与したときにノズル5から吐出されるインクの吐出量は、ヘッド3内のインクの温度が高くなるほど、多くなる。このため、記録処理の実行中において、ヘッド3内のインクの温度が上昇すると、ノズル5から吐出されるインクの吐出量が所望量よりも多くなり、インクの消費量が多くなる。
そこで、本実施形態では、制御装置100は、記録処理の実行中において、温度センサ7から出力された温度情報を取得し、取得した温度情報に基づいて、ヘッド電圧生成回路97が生成する駆動電圧を調整する。より詳細には、制御装置100は、取得した温度情報が示す温度が高いほど、ヘッド電圧生成回路97が生成する駆動電圧を低くする。これにより、個別電極89へ出力される駆動信号の駆動波形が調整される。より詳細には、駆動信号の電圧レベルが下がる(パルス高さが小さくなる)。その結果として、圧力室83内のインクに付与される圧力(吐出エネルギー)が小さくなり、ノズル5から吐出されるインクの吐出量を所望量にすることができるため、記録処理の実行中に消費されるインクの消費量を抑えることができる。尚、本実施形態では、ヘッド電圧生成回路97が生成する駆動電圧の調整は、連続する2回の単位記録動作の間等の期間に行われる。
しかしながら、記録処理の実行中において、ヘッド電圧生成回路97が生成する駆動電圧を調整すると、当該駆動電圧の調整の前後で、ノズル5から吐出されるインクの吐出量が大きく変わる場合がある。その結果として、駆動電圧を調整する前に記録された画像と、調整した後に記録された画像とが繋がっている場合、そのつなぎ目部分において、インクの吐出量が異なることが原因で生じる濃度ムラが目立つ虞がある。以下、詳細に説明する。
本実施形態では、連続する2回の単位記録動作の間に行われる搬送動作では、通常、ノズル列6の長さLn分だけ用紙Pを搬送する。従って、図6(a)及び(b)に示すように、連続する2回の単位記録動作において、先行の単位記録動作により走査される用紙Pの走査領域K(以下、走査領域KPとも称す)と、後続の単位記録動作により走査される走査領域K(以下、走査領域KLとも称す)とは、互いに重ならずに搬送方向に隣接して並ぶことになる。ここで、走査領域Kとは、ノズル列6のうち、単位記録動作において使用するノズル5が走査する用紙P上の領域である。
このとき、先行の単位記録動作を行った後、後続する単位記録動作を行う前に、ヘッド電圧生成回路97が生成する駆動電圧を調整すると、駆動信号の電圧レベルが変わることで、ノズル5から吐出されるインクの吐出量が大きく変わる場合がある。その結果として、先行の単位記録動作で画像が記録される(インクが着弾する)記録領域I(以下、記録領域IPとも称す)の画像と、後続の単位記録動作で画像が記録される記録領域I(以下、記録領域ILとも称す)の画像との間に濃度差が生じて濃度ムラが生じる。このような濃度ムラは、2つの画像が互い離れていると目立ち難いが、互いに隣接している場合には目立ちやすい。即ち、図6(a)に示すように、記録領域IPと、記録領域ILとが、搬送方向において繋がっている場合には、そのつなぎ目部分において、画像の色相や明暗が急激に変化することで、走査方向に延びるスジ状の濃度ムラ(所謂、バンディング)が目立つ虞がある。
一方で、図6(b)に示すように、記録領域IPと、記録領域ILとが、搬送方向において互いに離れている場合には、上記濃度ムラは目立ち難い。また、記録領域IPと、記録領域ILとの間の搬送方向の離間距離が長くなるほど、上記濃度ムラは目立ち難くなる。
そこで、本実施形態では、制御装置100は、画像データIMに基づいて、連続する2回の単位記録動作の走査領域KP,KLにおける記録領域IPと記録領域ILとの間に空白領域MBがあるか否かを判定する。空白領域MBは、搬送方向に所定の長さ以上、画像が記録されない(インクが着弾しない)領域である。より詳細には、空白領域MBは、属する全てのドットに対してインクが吐出されないドット列(以下、空白ライン)が、搬送方向に第1所定数以上連続して並ぶ領域である。
制御装置100は、画像データIMに基づいて、全てのドット要素Dに設定された吐出量が零であるラスターデータLがY方向に第1所定数以上連続して並ぶラスターデータ群が、4つのドット要素データEDの全てにあるか否かを判定する。このラスターデータ群は、走査領域KPの搬送方向の上流端のドット列に対応するラスターデータL、及び、走査領域KLの搬送方向の下流端のドット列に対応するラスターデータLの少なくとも何れかを含んでいる。制御装置100は、4つのドット要素データEDの全てに上記ラスターデータ群がある場合には、空白領域MBがあると判定し、4つのドット要素データEDの何れかに上記ラスターデータ群がない場合には、空白領域MBがないと判定する
そして、記録領域IPと記録領域ILとの間に空白領域MBがあると判定した場合には、制御装置100は、先行する単位記録動作が終了した後、且つ、後続する単位記録動作を開始する前において、温度センサ7から温度情報を取得し、取得した温度情報に基づいて、ヘッド電圧生成回路97が生成する駆動電圧を調整する。これにより、後続する単位記録動作を実行する際には、駆動信号の電圧レベルを、取得した温度情報が示す温度に応じたレベルにすることができる。その結果として、後続する単位記録動作を実行する際には、ノズル5から所望量のインクを吐出させることができるため、インクの消費量を抑えることができる。
一方で、記録領域IPと記録領域ILとの間に空白領域MBがないと判定した場合には、制御装置100は、先行する単位記録動作が終了した後、且つ、後続する単位記録動作を開始する前においては、駆動電圧の調整を行わない。
ここで、後続する単位記録動作を実行するときには、先行する単位記録動作を実行するときと比べて、ヘッド3内のインクの温度が上昇しているため、ノズル5から吐出されるインクの吐出量は多くなる。このため、駆動電圧の調整を行わない場合においても、記録領域IPの画像と、記録領域ILの画像との間には多少の濃度差が生じるため、濃度ムラは生じ得る。しかしながら、駆動電圧の調整を行った場合と比べて、記録領域IPと、記録領域ILとのつなぎ目部分において、画像の色相や明暗は急激には変化しない。従って、ヘッド3内のインクの温度の上昇に起因した濃度ムラは、駆動電圧の調整に起因した濃度ムラと比べて目立ち難い。このため、記録領域IPと記録領域ILとの間に空白領域MBがない場合には、駆動電圧の調整を行わないようにすることで、ノズル5から所望量のインクを吐出させることができないものの、濃度ムラを目立ち難くすることができる。
ところで、連続する2回の単位記録動作の走査領域Kのつなぎ目部分において、上記のような空白領域MBが存在しない場合もある。この場合、駆動信号の電圧レベルを、取得した温度情報が示す温度に応じた値にすることができないため、インクの消費量が多くなる虞がある。
そこで、本実施形態では、制御装置100は、画像データIMに基づいて、1回の単位記録動作の走査領域K内に空白領域NB(図7(a)参照)があるか否かを判定する。空白領域NBは、上記空白ラインが、搬送方向に第2所定数以上連続して並ぶ領域である。尚、本実施形態では、空白領域NBの第2所定数は、上記空白領域MBの第1所定数と同じである。
制御装置100は、走査領域K内に空白領域NBがあると判定した場合には、当該1回の単位記録動作を、走査領域Kにおける空白領域NBに対して搬送方向の下流側において隣接する領域R1に画像を記録する第1単位記録動作と、空白領域NBに対して搬送方向の上流側において隣接する領域R2に画像を記録する第2単位記録動作とに分けて異なるタイミングで実行する。尚、走査領域K内に複数の空白領域NBが存在する場合には、搬送方向の長さが最も長い空白領域NBを代表の空白領域NBとする。そして、領域R1を、この代表の空白領域NBに対して搬送方向の下流側において隣接する領域とし、領域R2は、代表の空白領域NBに対して搬送方向の上流側において隣接する領域とする
制御装置100は、第1単位記録動作が終了した後、第2単位記録動作を開始する前に、ヘッド電圧生成回路97が生成する駆動電圧の調整を行う。これにより、第2単位記録動作を実行する際には、ノズル5から所望量のインクを吐出させることができるため、インクの消費量が多くなることを抑制することができる。以下、第1単位記録動作、及び第2記録動作について詳細に説明する。
第1単位記録動作では、上述したように領域R2の画像を記録せず、領域R1の画像のみを記録する。このために、第1単位記録動作では、ノズル列6の全てのノズル5を使用せずに、使用するノズル5を制限する。即ち、第1単位記録動作では、図7(b)に示すように、ノズル列6のうち、空白領域NBの搬送方向の上流端を走査するノズル5よりも、搬送方向の上流側にあるノズル5の使用を禁止する。図7(b)では、第1単位記録動作で使用するノズル5を白塗りで図示し、使用を禁止するノズル5を黒塗りで図示している。
そして、この第1単位記録動作が終了した後、制御装置100は、搬送機構4を制御して、ノズル列6の長さLnよりも短い所定の搬送量だけ用紙Pを搬送する搬送動作を行う。具体的には、領域R1の搬送方向の長さと、空白領域NBの搬送方向の長さとを合算した量だけ、用紙Pを搬送する。
この後、制御装置100は、第2単位記録動作を実行する。第2単位記録動作では、使用するノズル5を制限せずに、ノズル列6の全てのノズル5を使用する。このため、第2単位記録動作では、上記領域R2に加えて、領域R2に対して搬送方向の上流側において隣接する領域R3の画像も記録することが可能である。即ち、本実施形態では、第2単位記録動作は、第1単位記録動作及び第2単位記録動作に分ける前の1回の単位記録動作と、処理内容は同じである。
変形例として、第2単位記録動作では、上記領域R2の画像のみを記録してもよい。この場合、第2単位記録動作では、第1単位記録動作で使用を禁止したノズル5のみを使用すればよい。また、この場合、第1単位記録動作と第2単位記録動作との間において、用紙Pを搬送する必要性はない。
以上のように、1回の単位記録動作を第1単位記録動作及び第2単位記録動作に分けて、第1単位記録動作が終了した後、第2単位記録動作を開始する前に、ヘッド電圧生成回路97が生成する駆動電圧の調整を行うことで、インクの消費量を抑制することができる。
しかしながら、上記のように1回の単位記録動作を第1単位記録動作及び第2単位記録動作に分けると、一頁の用紙Pに画像を記録する際に実行される単位記録動作の回数が多くなる。このため、記録処理に要する時間が長くなる問題が生じる。
ここで、1回の単位記録動作の実行中において、ノズル5からインクが吐出される吐出回数が少ないと、ドライバIC90の発熱量は少なくなり、ヘッド3内のインクの温度は左程上昇しない。従って、1回の単位記録動作の実行中において、ノズル5からインクが吐出される吐出回数が少ないときは、多いときと比べて、駆動電圧を調整する必要性は小さい。
そこで、本実施形態では、制御装置100は、画像データIMに基づいて、1回の単位記録動作の走査領域Kに対する、インクが着弾する着弾領域の割合であるデューティを算出する。具体的には、走査領域Kの全ドットの数に対する、走査領域のドットのうち、対応するドット要素Dに設定された吐出量が零よりも多いドットの数の割合をデューティとして算出する。
そして、算出したデューティが閾値未満の場合には、制御装置100は、1回の単位記録動作の走査領域K内に空白領域NBがあったとしても、当該単位記録動作を第1単位記録動作及び第2単位記録動作に分けずに行う。これにより、記録処理の時間が長くなることを抑制することができる。
(インクジェットプリンタの処理動作)
以下、プリンタ1の一連の処理動作の一例について、図8を参照しつつ説明する。
制御装置100は、外部装置200から記録指令を受信すると(S1:YES)、不図示の給送部から用紙Pをヘッド3と対向可能な位置まで給送する(S2)。この後、制御装置100は、温度センサ7から温度情報を取得し(S3)、取得した温度情報が示す温度に基づいて、ヘッド電圧生成回路97が生成する駆動電圧を調整する(S4)。続いて、制御装置100は、変数Nを1にセットする(S5)。この後、制御装置100は、画像データIMに基づいて、N番目の単位記録動作の走査領域K内に空白領域NBがあるか否かを判定する(S6)。空白領域NBがないと判定した場合(S6:NO)には、S11の処理に移る。一方で、空白領域NBがあると判定した場合(S6:YES)には、制御装置100は、画像データIMに基づいて、N番目の単位記録動作におけるデューティを算出する(S7)。そして、算出したデューティが閾値以上の場合(S8:NO)には、制御装置100は、N番目の単位記録動作では、空白領域NBに対して搬送方向の下流側において隣接する領域R1に対してのみ画像が記録されるように、使用するノズル5を制限してN番目の単位記録動作を実行する(S9)。この後、制御装置100は、搬送機構4を制御して、ノズル列6の長さLnよりも短い所定の搬送量だけ用紙Pを搬送する(S10)。以上により、このN番目の単位記録動作により画像が記録される記録領域Iと、N+1番目の単位記録動作により画像が記録される記録領域Iとの間には、空白領域NBが存在することになる。このS10の処理が終了すると、S16の処理に移る。
S7の処理で算出したデューディが閾値未満の場合(S8:YES)には、S11の処理に移る。S11の処理では、制御装置100は、使用するノズル5を制限せずに、N番目の単位記録動作を実行する。この後、制御装置100は、1頁の用紙Pへの画像の記録が終了したか否かを判定する(S12)。1頁の用紙Pへの画像の記録が終了していないと判定した場合(S12:NO)には、制御装置100は、搬送機構4を制御して、ノズル列6の長さLn分だけ用紙Pを搬送する(S13)。この後、制御装置100は、画像データIMに基づいて、N番目及びN+1番目の単位記録動作の記録領域I間に空白領域MBがあるか否かを判定する(S14)。N番目及びN+1番目の単位記録動作の記録領域I間に空白領域MBがないと判定した場合(S14:NO)には、制御装置100は、変数Nを[N+1]に更新して(S15)、S6の処理に戻る。一方で、N番目及びN+1番目の単位記録動作の記録領域I間に空白領域MBがあると判定した場合(S14:YES)には、S16の処理に移る。
S16の処理では、制御装置100は、温度センサ7から温度情報を取得する。そして、制御装置100は、取得した温度情報が示す温度に基づいて、ヘッド電圧生成回路97が生成する駆動電圧を調整する(S17)。この後、制御装置100は、変数Nを[N+1]に更新して(S15)、S6の処理に戻る。
S12の処理において、1頁の用紙Pへの画像の記録が終了したと判定した場合(S12:YES)には、制御装置100は、搬送機構4を制御して、画像が記録された用紙Pを不図示の排紙トレイに排出する(S18)。この後、制御装置100は、記録指令に係る画像の記録が終了したか否かを判断する(S19)。画像の記録が終了したと判断した場合(S19:YES)には、S1の処理に戻る。一方で、画像の記録が終了していないと判断した場合(S19:NO)には、制御装置100は、次の用紙Pへの画像を実行すべく、S2の処理に戻る。
以上、本実施形態によると、連続する2回の単位記録動作の記録領域Iの間に、空白領域MBがある場合には、先行する単位記録動作を実行した後、且つ、後続する単位記録動作を実行する前において、取得した温度情報に応じてヘッド電圧生成回路97が生成する駆動電圧が調整される。これにより、駆動信号の電圧レベルを温度情報に応じたレベルにすることができるため、ノズル5から所望量のインクを吐出させることができる。その結果として、インクの消費量を抑えることができる。一方で、空白領域MBがない場合には、先行する単位記録動作を実行した後、且つ、後続する単位記録動作を実行する前においては、駆動電圧の調整は行われない。これにより、インクの消費量を抑えることができないものの、用紙P上で生じる濃度ムラを目立ち難くすることができる。
また、1回の単位記録動作の走査領域K内に空白領域NBがある場合には、当該1回の単位記録動作を第1単位記録動作及び第2単位記録動作に分けて、これらの間で駆動電圧の調整を行う。これにより、第2単位記録動作を行う際の、駆動信号の電圧レベルを温度情報に応じたレベルにすることができるため、ノズル5から所望量のインクを吐出させることができる。その結果として、インクの消費量を抑えることができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、主に、1回の単位記録動作を、第1単位記録動作及び第2単位記録動作に分けることがない点で、第1実施形態と異なっている。また、第2実施形態においても、制御装置100は、1回の単位記録動作の走査領域内に空白領域があるか否かを判定するが、その対象となる空白領域の形態が第1実施形態とは異なっている。以下、第1実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
第2実施形態では、制御装置100は、画像データIMに基づいて、1回の単位記録動作の走査領域K内に空白領域OBがあるか否かを判定する。空白領域OBは、図9に示すように、搬送方向の長さが、走査領域Kの長さと同じであり、且つ、走査方向の長さが、所定の長さ以上となる領域である。本実施形態では、空白領域OBの走査方向の長さは、4列のノズル列6における、左端のノズル列6と、右端のノズル列6との間の走査方向の離間距離よりも長い。
そして、1回の単位記録動作の走査領域K内に空白領域OBがあると判定した場合には、制御装置100は、当該単位記録動作における、ヘッド3が空白領域OBに上下に対向している期間中に、ヘッド電圧生成回路97が生成する駆動電圧を調整する。より詳細には、制御装置100は、空白領域OBに対してキャリッジ2の進行方向上流側において隣接する記録領域I1に対して画像を記録した後、且つ、空白領域OBに対してキャリッジ2の進行方向下流側において隣接する記録領域I2に対して画像を記録する前に、ヘッド電圧生成回路97が生成する駆動電圧を調整する。
尚、走査領域K内に空白領域OBが複数ある場合には、ヘッド3が各空白領域OBに上下に対向しているそれぞれの期間中において、駆動電圧の調整をしてもよく、ヘッド3が代表の1つの空白領域OBに上下に対向している期間中においてのみ、駆動電圧の調整をしてもよい。
一方で、1回の単位記録動作の走査領域K内に空白領域OBがないと判定した場合には、制御装置100は、当該単位記録動作の実行中においては、駆動電圧の調整は行わない。
以下、第2実施形態における、プリンタ1の一連の処理動作の一例について、図10を参照しつつ説明する。尚、以下では、説明の便宜上、走査領域K内に空白領域OBが有る場合、その数は1つであるものとして説明する。
制御装置100は、まず、上述のS1〜S5の処理と同様なE1〜E5の処理を実行する。続いて、制御装置100は、画像データIMに基づいて、N番目の単位記録動作の走査領域K内に空白領域OBがあるか否かを判定する(E6)。空白領域OBがないと判定した場合(E6:NO)には、制御装置100は、N番目の単位記録動作を実行する(E7)。このN番目の単位記録動作の実行中においては、駆動電圧の調整は行われない。このE7の処理が終了すると、E13の処理に移る。
一方で、N番目の単位記録動作の走査領域K内に空白領域OBがあると判定した場合(E6:YES)には、制御装置100は、N番目の単位記録動作を開始する(E8)。この後、制御装置100は、空白領域OBに対してキャリッジ2の進行方向上流側おいて隣接する記録領域I1に対する画像の記録が終了したか否かを判定する(E9)。記録領域I1に対する画像の記録が終了したと判定した場合(E9:YES)には、制御装置100は、温度センサ7から温度情報を取得し(E10)、取得した温度情報が示す温度に基づいて、ヘッド電圧生成回路97が生成する駆動電圧を調整する(E11)。この後、制御装置100は、空白領域OBに対してキャリッジ2の進行方向下流側おいて隣接する記録領域I2に対して画像を記録し(E12)、E13の処理に移る。
E13〜E20の処理では、制御装置100は、上述のS12〜S19の処理と同様な処理を実行する。
以上、第2実施形態においては、1回の単位記録動作の走査領域K内に空白領域OBがある場合には、当該単位記録動作における、ヘッド3が空白領域OBと対向する期間中において、駆動電圧の調整が行われる。これにより、記録領域I2に対して画像を記録する際の駆動信号の電圧レベルを、温度情報に応じたレベルにすることができる。その結果、ノズル5から所望量のインクを吐出させることができるため、インクの消費量を抑えることができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載の限りにおいて様々な変更が可能である。例えば、上述の実施形態では、駆動信号の駆動波形の調整は、ヘッド電圧生成回路97が生成する駆動電圧を調整することで行われていたが、これに限定されるものではない。例えば、駆動信号の吐出パルスSの数(1記録周期において圧電アクチュエータ86に出力される吐出パルスSの数)や吐出パルスSのパルス幅を調整することで、駆動信号の駆動波形を調整してもよい。具体的には、制御装置100は、取得した温度情報が示す温度が高いほど、駆動信号の吐出パルスSの数を減らしたり、吐出パルスSのパルス幅を短くしたりしてもよい。
上述の実施形態では、温度センサ7から取得する温度情報を、ヘッド3のインクの吐出特性に関する吐出特性情報として取得していたが、これに限定されるものではない。例えば、ヘッド3のインクの吐出特性は、湿度によっても変わり得る。従って、湿度に関する湿度情報を吐出特性情報として取得してもよい。
また、駆動電圧の調整を行う際に参照する温度情報は、駆動電圧の前回調整時に参照した温度情報の取得時点よりも後において、温度センサ7から取得した温度情報であればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。
また、上述の第1実施形態では、1回の単位記録動作の走査領域K内に空白領域NBがある場合には、当該単位記録動作に係るデューティに基づいて、当該単位記録動作を第1単位記録動作及び第2単位記録動作に分けて実行するか否かを判定していたが、これに限定されるものではない。例えば、駆動電圧の調整を行った前回の実行時点からの経過時間が閾値時間未満の場合には、1回の単位記録動作を第1単位記録動作及び第2単位記録動作に分けずに実行し、閾値時間以上の場合には、単位記録動作を第1単位記録動作及び第2単位記録動作に分けて実行すると判定してもよい。
また、各単位記録動作におけるキャリッジ2の移動幅を、当該単位記録動作における記録領域Iの走査方向の長さに応じて変えるように構成されている場合には、制御装置100は、1回の単位記録動作におけるキャリッジ2の移動幅に応じて、1回の単位記録動作を第1単位記録動作及び第2単位記録動作に分けて実行するか否かを判定してもよい。詳細には、ノズル5からインクを吐出させない記録周期においても、ノズル5内のインクの増粘を抑制するために、ノズル5からインクを吐出させない程度に圧電素子95を駆動させる場合には、ノズル5からのインクの吐出回数に関わらず、ドライバIC90は発熱量する。このため、単位記録動作におけるキャリッジ2の移動幅が長くなるほど、ドライバIC90の発熱量は大きくなる。従って、単位記録動作におけるキャリッジ2の移動幅が閾値未満の場合には、1回の単位記録動作を第1単位記録動作及び第2単位記録動作に分けずに実行し、閾値以上の場合には、単位記録動作を第1単位記録動作及び第2単位記録動作に分けて実行すると判定してもよい。
また、記録処理を、複数の記録モードで実行可能である場合、その記録モードに応じて、1回の単位記録動作を第1単位記録動作及び第2単位記録動作に分けて実行するか否かを判定してもよい。例えば、通常記録モードと、通常記録モードよりも記録速度が速い高速記録モードで記録処理を実行可能である場合、通常記録モードのときには、1回の単位記録動作を第1単位記録動作及び第2単位記録動作に分けて実行し、高速記録モードであるときには、1回の単位記録動作を第1単位記録動作及び第2単位記録動作に分けずに実行してもよい。
また、1回の単位記録動作の走査領域K内に空白領域NBがある場合には、常に、当該単位記録動作を第1単位記録動作及び第2単位記録動作に分けて実行してもよい。1回の単位記録動作の走査領域K内に空白領域NBがある場合でも、常に、当該単位記録動作を第1単位記録動作及び第2単位記録動作に分けずに実行してもよい。
また、上述の実施形態では、空白領域MBの空白ラインの最低数である第1所定数と、空白領域NBの空白ラインの最低数である第2所定数は同じであったが、これに限定されるものではない。例えば、記録処理に要する時間が長くなることを抑制する観点で、第2所定数は、第1所定数よりも多くして、1回の単位記録動作が第1単位記録動作及び第2単位記録動作に分けて実行される機会が少なくなるようにしてもよい。また、第2所定数を、記録モードに応じて調整してもよい。例えば、高速記録モードである場合は、通常記録モードである場合と比べて、第2所定数の値を大きくしてもよい。また、第1所定数についても、固定値とはせずに、記録モード等に応じて可変する可変値であってもよい。
また、上述の実施形態では、連続する2回の単位記録動作の間に行われる搬送動作では、通常、ノズル列6の長さLn分だけ用紙Pを搬送するように構成されていたが、これに限定されるものではない。例えば、搬送動作では、ノズル列6の長さLnよりも短い長さだけ用紙Pを搬送するように構成されていてもよい。即ち、連続する2回の単位記録動作において、先行の単位記録動作の走査領域KPと、後続の単位記録動作の走査領域KLとが、部分的に重なるように構成されていてもよい。
また、本発明は、インクジェットヘッドを固定した状態で、搬送機構により搬送される用紙に画像を記録する、所謂ライン式のインクジェットプリンタにも適用され得る。ライン式のインクジェットプリンタの場合には、一頁の用紙に対して画像を記録する際に、搬送方向に所定の長さ以上、画像が記録されない空白領域があるか否かを判定する。そして、空白領域があると判定した場合には、空白領域に搬送方向の下流側において隣接する記録領域に対して画像を記録した後、且つ、空白領域に搬送方向の上流側において隣接する記録領域に対して画像を記録する前に、取得した吐出特性情報に応じて駆動信号の駆動波形を調整する。一方で、空白領域がないと判定した場合には、一頁の用紙に対して画像を記録する際に、駆動信号の駆動波形の調整を行わないようにすればよい。
また、上述の実施形態では、圧力室内のインクに圧力を付与してノズル51からインクを吐出させる手段は、圧電アクチュエータであったが、これに限定されるものではない。例えば、加熱により圧力室内に気泡を発生させてインクに圧力を付与するヒーターであってもよい。
また、以上では、ノズルからインクを吐出して用紙に対して画像を記録するプリンタに本発明を適用した例について説明したが、これには限られない。用紙以外の記録媒体、例えば、スマートフォン等の携帯端末のケースや段ボールに対してノズルからインクを吐出して画像の記録を行う画像記録装置にも適用され得る。また、インク以外の液体で記録媒体に対して画像の記録を行う画像記録装置にも適用され得る。
また、以上では、記録媒体を搬送する搬送機構は、搬送ローラを用いたローラ搬送機構であったが、これには限られない。例えば、記録媒体をベルトに載置して、ベルトを走行させることで記録媒体を搬送する搬送機構であってもよく、記録媒体をテーブルに載置して、テーブルをボールねじ等の移動手段により移動させることで記録媒体を搬送する搬送機構であってもよい。