JP2020134873A - 光変調器 - Google Patents

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岩塚 信治
Shinji Iwatsuka
信治 岩塚
遠藤 謙二
Kenji Endo
謙二 遠藤
原 裕貴
Hirotaka Hara
裕貴 原
利典 松浦
Toshinori Matsuura
利典 松浦
菊川 隆
Takashi Kikukawa
隆 菊川
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Abstract

【課題】光変調素子を小型化や多重化した場合でも電極損失が低く高周波特性が良好であり、光導波路に印加される電界効率の向上により低電圧駆動が可能な光変調器を提供する。【解決手段】光変調器100は、基板1と、基板1上にリッジ状に形成された電気光学材料膜からなり、互いに隣り合う第1及び第2の光導波路10a,10bと、第1及び第2の光導波路10a,10bの上面を覆うバッファ層4と、バッファ層4の上方に第1及び第2の光導波路10a,10bと対向して設けられた第1及び第2の信号電極7a,7bとを備え、第1の信号電極7aから見て第2の信号電極7bと反対側の第1の信号電極7aの近傍領域及び第2の信号電極7bから見て第1の信号電極7aと反対側の第2の信号電極7bの近傍領域には接地電極が配置されておらず、第1及び第2の信号電極7a,7bには差動信号が印加される。【選択図】図2

Description

本発明は、光通信及び光計測分野において用いられる光変調器に関し、特に、マッハツェンダー型光変調器の電極構造に関する。
インターネットの普及に伴い通信量は飛躍的に増大しており、光ファイバ通信の重要性が非常に高まっている。光ファイバ通信は、電気信号を光信号に変換し、光信号を光ファイバにより伝送するものであり、広帯域、低損失、ノイズに強いという特徴を有する。
電気信号を光信号に変換する方式としては、半導体レーザによる直接変調方式と光変調器を用いた外部変調方式が知られている。直接変調は光変調器が不要で低コストであるが、高速変調には限界があり、高速で長距離の用途では外部変調方式が使われている。
光変調器としては、ニオブ酸リチウム単結晶基板の表面付近にTi(チタン)拡散により光導波路を形成したマッハツェンダー型光変調器が実用化されている(例えば特許文献1参照)。マッハツェンダー型光変調器は、1つの光源から出た光を2つに分け、異なる経路を通過させた後、再び重ね合わせて干渉を起こさせるマッハツェンダー干渉計の構造を有する光導波路(マッハツェンダー光導波路)を用いるものであり、40Gb/s以上の高速の光変調器が商用化されているが、全長が10cm前後と長いことが大きな欠点になっている。
これに対して、特許文献2及び3にはc軸配向のニオブ酸リチウム膜を用いたマッハツェンダー型光変調器が開示されている。ニオブ酸リチウム膜を用いた光変調器は、ニオブ酸リチウム単結晶基板を用いた光変調器と比較して、大幅な小型化及び低駆動電圧化が可能である。
特許文献2に記載された従来の光変調器1200の断面構造を図21(a)に示す。サファイア基板21上にはニオブ酸リチウム膜による一対の光導波路22a,22bが形成され、光導波路22a、22bの上部にはバッファ層23を介して信号電極24a及び接地電極24bがそれぞれ配置されている。この光変調器1200は1つの信号電極24aを有するいわゆるシングル駆動型であり、信号電極24aと接地電極24bは対称構造なので、光導波路22a,22bに印加される電界は大きさが等しく、符号が逆となっており、変調光の波長チャープが発生しない構造である。しかし、接地電極24bの面積が狭いため、高周波で動作しないという問題がある。
特許文献3に記載された従来の光変調器1300の断面構造を図21(b)に示す。ニオブ酸リチウム膜による一対の光導波路22a,22bの上部にはバッファ層23を介して2つの信号電極24a,24aが配置されると共に、信号電極24a,24aと離間して3つの接地電極24c,24d,24eが配置されている。2つの信号電極24a,24aに大きさが等しく符号が逆の電圧を加えることで、一対の光導波路22a,22bに印加される電界は大きさが等しく、符号が逆となり、変調光の波長チャープは発生しない。また、一対の光導波路22a,22bに加える電圧を調整することで、チャープ量を調整可能という特徴を有している。さらに左右の接地電極24c,24dの面積が十分に確保されているので、高周波で動作可能な構造である。しかしながら、この光変調器1300は2つの信号電極24a,24aを有するデュアル駆動型であるため、電極構造が複雑になる。
特許第4485218号公報 特開2006−195383号公報 特開2014−6348号公報
光変調器において、現状の32Gbaudから64Gbaudへのさらなる高速化のためには35GHz以上の広帯域化が必要である。このような広帯域化を実現するためには、(1)高周波での電極損失の低減、(2)光とマイクロ波との速度整合、(3)インピーダンス整合の3つが重要であり、(1)が特に重要である。高周波では表皮効果により電流が電極の表面近傍にしか流れず、電極損失が増加するからである。
図21(b)に示した従来の光変調器において電極損失を低減するためには、信号電極の断面積を大きくすることが効果的であり、そのためには信号電極24a,24aの厚さTを厚くするか、信号電極24a,24aの幅Wを広くする必要がある。
しかしながら、信号電極24a,24aの厚さTを厚くすると、マイクロ波の実効誘電率が低下して速度整合させることができなくなると共に、インピーダンスの低下によりインピーダンス整合が取れなくなるという問題がある。また、信号電極24a,24aの幅Wを広げると、マイクロ波の実効誘電率とインピーダンスは大きく変化しないものの、光導波路に印加される電界効率が悪くなり、半波長電圧が増加するという問題がある。したがって、従来の電極構造では64Gbaudの高速化に対応した35GHz以上の広帯域化の実現が困難であった。
また光変調器の小型化や多重化ため、複数本の光導波路を並列に配置して光導波路アレイを構成する場合、隣接チャンネル間の光導波路が近づくことにより、EO特性のリップルやクロストークノイズが増加して高周波特性が悪化しやすいという問題がある。
したがって、本発明は、光変調素子を小型化や多重化した場合でも電極損失が低く高周波特性が良好であり、光導波路に印加される電界効率の向上により低電圧駆動が可能なデュアル駆動型の光変調器を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明による光変調器は、基板と、前記基板上に設けられた少なくとも一つの相互作用部とを備え、前記相互作用部は、前記基板上にリッジ状に形成された電気光学材料膜からなり、互いに隣り合う第1及び第2の光導波路と、前記第1及び第2の光導波路の上面を覆うバッファ層と、前記バッファ層の上方に前記第1及び第2の光導波路と対向して設けられた第1及び第2の信号電極とを備え、前記第1の信号電極から見て前記第2の信号電極と反対側の前記第1の信号電極の近傍領域及び前記第2の信号電極から見て前記第1の信号電極と反対側の前記第2の信号電極の近傍領域には接地電極が配置されておらず、前記第1及び第2の信号電極には差動信号が印加されることを特徴とする。
光変調素子の小型化や高集積化により信号電極の近傍に十分な幅又は面積を持つ接地電極を設けることができない場合にはEO特性のリップルやクロストークが問題となる。しかし、信号電極の近傍から接地電極を排除した場合には、EO特性のリップルやクロストークを低減することができる。
本発明において、前記第1の信号電極は、前記バッファ層を介して前記第1の光導波路と対向する第1の下層部と、前記第1の下層部の上方に設けられた第1の上層部とを有し、前記第2の信号電極は、前記バッファ層を介して前記第2の光導波路と対向する第2の下層部と、前記第2の下層部の上方に設けられた第2の上層部とを有し、前記第1及び第2の下層部の下面の幅は、前記第1及び第2の上層部の幅よりも狭く、前記第1の上層部の幅は前記第1の下層部から前記第2の信号電極と反対方向に広がっており、前記第2の上層部の幅は前記第2の下層部から前記第1の信号電極と反対方向に広がっていることが好ましい。
この構成によれば、第1及び第2の光導波路と対向する第1及び第2の信号電極の下層部の下面の幅を狭くすることで第1及び第2の光導波路に電界を集中させることができる。また、信号電極の上層部の幅を広くして電極の断面積を稼ぐことで表皮効果を低減することができ、電極損失を低減することができる。したがって、高周波特性が良好であり、低電圧駆動が可能な差動型の光変調器を提供することができる。
本発明において、前記第1の上層部と前記第2の上層部との間の間隔は、前記第1の下層部と前記第2の下層部との間の間隔以上であることが好ましい。第1及び第2の信号電極の幅を広げるために上層部どうしを下層部どうしよりも近づけた場合、高周波における電極損失が増大してインピーダンスが低下する。しかし、上層部どうしが互いに近づかないように外側に広がった略L字状の電極形状を採用した場合には、電極損失を低減することができる。
本発明による光変調器は、前記バッファ層の上方に形成された絶縁層と、前記第1及び第2の上層部を含み、前記絶縁層上に形成された電極層とをさらに備え、前記第1及び第2の下層部は、前記絶縁層に形成された開口内に埋め込まれていることが好ましい。この構成によれば、二層構造の信号電極を容易に形成することができる。
本発明において、前記第1及び第2の光導波路及び前記第1及び第2の信号電極の断面構造は左右対称であることが好ましい。この構成によれば、波長チャープが抑えられたデュアル駆動型の光変調器を実現することができる。
本発明において、前記第1及び第2の下層部の下面の幅は、前記第1及び第2の光導波路の幅よりも広いことが好ましい。この構成によれば、光導波路の幅方向の全体に対して電界を均一に印加することができ、高周波特性が良好であり、低電圧駆動が可能な光変調器を実現することができる。
本発明において、前記第1及び第2の光導波路の各々は、少なくとも一つの直線部と少なくとも一つの湾曲部とを有し、前記第1の信号電極は、前記第1の光導波路の前記直線部及び前記湾曲部に沿って設けられており、前記第2の信号電極は、前記第2の光導波路の前記直線部及び前記湾曲部に沿って設けられていることが好ましい。この構成によれば、光導波路を折り返して構成することができ、素子長を短くすることができる。また湾曲部の近傍に接地電極を設けた場合にはEO特性のリップルが特に問題となるが、本発明のように接地電極を省略することでEO特性の改善することができる。
本発明において、前記相互作用部は、第1及び第2の相互作用部を含み、前記第1相互作用部の前記第2の光導波路は、前記第2の相互作用部の前記第1の光導波路と隣り合っており、前記第1の相互作用部の前記第2の信号電極と前記第2の相互作用部の前記第1の信号電極との間の領域には接地電極が配置されていないことが好ましい。このように互いに隣接する第1及び第2の相互作用部の信号電極間の領域において接地電極を省略することにより、隣接チャンネル間のクロストークを低減することができる。
本発明において、前記基板は単結晶基板であり、前記電気光学材料膜はニオブ酸リチウム膜であり、前記ニオブ酸リチウム膜のc軸は前記基板の主面に対して垂直方向に配向していることが好ましい。光変調器のマッハツェンダー光導波路をニオブ酸リチウム膜により形成する場合、非常に薄く線幅が狭い光導波路を形成することができ、小型で高品質な光変調器を構成することが可能であるが、光導波路は薄型で線幅も狭いため電界集中の問題が顕著である。しかし本発明によればそのような問題を解決することができ、高周波特性が良好で変調光の波長チャープを低減でき、低電圧駆動が可能な光変調器を実現することができる。さらに、ニオブ酸リチウム膜により形成された光導波路を用いる場合には、曲率半径を例えば50μm程度まで小さくしても損失が小さいことから、本発明の効果が顕著である。
また、本発明による光変調器は、基板と、前記基板上にリッジ状に形成された電気光学材料膜からなり、この順で配列された第1乃至第4の光導波路と、前記第1乃至第4の光導波路の上面を覆うバッファ層と、前記バッファ層の上方に前記第1乃至第4の光導波路と対向して設けられた第1乃至第4の信号電極とを備え、前記第2の信号電極と前記第3の信号電極との間の領域には接地電極が配置されておらず、前記第1及び第2の信号電極には第1の差動信号が印加され、前記第3及び第4の信号電極には第2の差動信号が印加されることを特徴とする。
本発明によれば、光変調素子の小型化や高集積化に伴って第1及び第2の信号電極の近傍に十分な幅又は面積を持つ接地電極を設けることができない場合において問題となる隣接チャンネル間のクロストークを低減することができる。
さらにまた、本発明による光変調器は、基板と、前記基板上にリッジ状に形成された電気光学材料膜からなり、互いに隣り合う第1及び第2の光導波路と、前記第1及び第2の光導波路の上面を覆うバッファ層と、前記バッファ層の上方に前記第1及び第2の光導波路と対向して設けられた第1及び第2の信号電極とを備え、前記第1の信号電極は、前記バッファ層を介して前記第1の光導波路と対向する第1の下層部と、前記第1の下層部の上方に設けられた第1の上層部とを有し、前記第2の信号電極は、前記バッファ層を介して前記第2の光導波路と対向する第2の下層部と、前記第2の下層部の上方に設けられた第2の上層部とを有し、前記第1及び第2の下層部の下面の幅は、前記第1及び第2の上層部の幅よりも狭く、前記第1の上層部の幅は前記第1の下層部から前記第2の信号電極と反対方向に広がっており、前記第2の上層部の幅は前記第2の下層部から前記第1の信号電極と反対方向に広がっており、前記第1及び第2の信号電極の間には接地電極が無く、前記第1及び第2の信号電極には差動信号が印加されることを特徴とする。
本発明によれば、第1及び第2の光導波路と対向する第1及び第2の信号電極の下層部の下面の幅を狭くすることで第1及び第2の光導波路に電界を集中させることができる。また、信号電極の上層部の幅を広くして電極の断面積を稼ぐことで表皮効果を低減することができ、電極損失を低減することができる。したがって、高周波特性が良好であり、低電圧駆動が可能な差動型の光変調器を提供することができる。
本発明によれば、光変調素子を小型化や多重化した場合でも電極損失が低く高周波特性が良好であり、光導波路に印加される電界効率の向上により低電圧駆動が可能なデュアル駆動型の光変調器を提供することができる。
図1は、本発明の第1の実施の形態による光変調器の構成を示す略平面図であり、図1(a)は光導波路のみ図示し、図1(b)は進行波電極を含めた光変調器の全体を図示している。 図2は、図1(a)及び(b)のA−A'線に沿った光変調器の略断面図である。 図3は、本発明の第2の実施の形態による光変調器の構成を示す略断面図である。 図4は、本発明の第3の実施の形態による光変調器の構成を示す略断面図である。 図5は、本発明の第4の実施の形態による光変調器の構成を示す略断面図である。 図6は、本発明の第5の実施の形態による光変調器の構成を示す略平面図であり、図6(a)は光導波路のみ図示し、図6(b)は進行波電極を含めた光変調器の全体を図示している。 図7は、本発明の第6の実施の形態による光変調器の構成を示す略平面図である。 図8は、図7のA−A'線に沿った光変調器の略断面図である。 図9は、本発明の第7の実施の形態による光変調器の構成を示す略平面図である。 図10は、図9のA−A'線に沿った光変調器の略断面図である。 図11は、本発明の第8の実施の形態による光変調器の構成を示す略平面図である。 図12は、本発明の第9の実施の形態による光変調器の構成を示す略平面図である。 図13は、図12のA−A'線に沿った光変調器の略断面図である。 図14は、信号電極の段差の高さ(絶縁層5の厚さH)を変化させたときのVπL(電界効率)のシミュレーション結果を示すグラフである。 図15は、信号電極の上層部の幅W(=W7a=W7b)を変化させたときの電極損失のシミュレーション結果を示すグラフである。 図16は、比較例(H=0)による光変調器の構造を示す略断面図である。 図17は、信号電極の上層部の幅W(=W7a=W7b)を変化させたときの実効屈折率のシミュレーション結果を示すグラフである。 図18は、図16の比較例において電極7a、7b、7c、7dの厚さTを変化させたときの実効屈折率のシミュレーション結果を示すグラフである。 図19は、接地電極の有無をパラメータとする4チャンネル光変調器の利得のシミュレーション結果であって、第2チャンネルに信号を入力したとき第2チャンネルから出力される信号の周波数特性を示すグラフである。 図20は、接地電極の有無をパラメータとする図11に示した4チャンネル光変調器のクロストークのシミュレーション結果であって、第2チャンネルに信号を入力したとき第3チャンネルからの出力される信号の周波数特性を示すグラフである。 図21(a)及び(b)は、従来の光変調器の構造を示す略断面図である。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態による光変調器の構成を示す略平面図であり、図1(a)は光導波路のみ図示し、図1(b)は進行波電極を含めた光変調器の全体を図示している。
図1(a)及び(b)に示すように、この光変調器100は、基板1上に形成され、互いに平行に設けられた第1及び第2の光導波路10a,10bを有するマッハツェンダー光導波路10と、第1の光導波路10aに沿って設けられた第1の信号電極7aと、第2の光導波路10bに沿って設けられた第2の信号電極7bと、第1の光導波路10aに沿って設けられた第1のバイアス電極9aと、第2の光導波路10bに沿って設けられた第2のバイアス電極9bとを備えている。第1及び第2の信号電極7a,7bは、第1及び第2の光導波路10a,10bと共に、マッハツェンダー光変調素子の相互作用部を構成している。
マッハツェンダー光導波路10は、マッハツェンダー干渉計の構造を有する光導波路である。一本の入力導波路10iから分波部10cによって分岐した第1及び第2の光導波路10a,10bを有し、第1及び第2の光導波路10a,10bは合波部10dによって一本の出力導波路10oにまとめられる。入力光Siは、分波部10cで分波されて第1及び第2の光導波路10a,10bをそれぞれ進行した後、合波部10dで合波され、変調光Soとして出力導波路10oから出力される。
第1及び第2の信号電極7a,7bは平面視で第1及び第2の光導波路10a,10bと重なる線状の電極であり、その両端は基板1の外周端まで引き出されている。第1及び第2の信号電極7a,7bの一端7a,7bは信号入力端であり、第1及び第2の信号電極7a,7bの他端7a,7bは終端抵抗12を介して互いに接続されている。これにより、第1及び第2の信号電極7a,7bは、差動のコプレーナ型進行波電極として機能する。詳細は後述するが、第1及び第2の信号電極7a,7bは二層構造であり、太破線で示す第1の信号電極7aの下層部7aは第1の光導波路10aと平面視で重なっており、同じく太破線で示す第2の信号電極7bの下層部7bは第2の光導波路10bと平面視で重なっている。
第1及び第2のバイアス電極9a,9bは、第1及び第2の光導波路10a,10bに直流バイアス電圧(DCバイアス)を印加するために第1及び第2の信号電極7a,7bとは独立に設けられている。第1及び第2のバイアス電極9a,9bの一端9a,9bはDCバイアスの入力端である。本実施形態において、第1及び第2のバイアス電極9a,9bの形成領域は、第1及び第2の信号電極7a,7bの形成領域よりもマッハツェンダー光導波路10の出力端側に設けられているが、入力端側に設けられていてもよい。また、第1及び第2のバイアス電極9a,9bを省略し、DCバイアスを予め重畳させた変調信号を第1及び第2の信号電極7a,7bに入力することも可能である。
第1の信号電極7aの一端7a及び第2の信号電極7bの一端7bには、絶対値が同じで正負の異なる差動信号(変調信号)が入力される。第1及び第2の光導波路10a,10bはニオブ酸リチウムなどの電気光学効果を有する材料からなるので、第1及び第2の光導波路10a,10bに与えられる電界によって第1及び第2の光導波路10a,10bの屈折率がそれぞれ+Δn、−Δnのように変化し、一対の光導波路間の位相差が変化する。この位相差の変化により変調された信号光が出力導波路10oから出力される。
このように、本実施形態による光変調器100は、一対の信号電極7a,7bで構成されたデュアル駆動型であるため、一対の光導波路に印加される電界の対称性を高めることができ、波長チャープを抑制することができる。
本実施形態において、第1及び第2の信号電極7a,7bの近傍に接地電極は設けられていない。光変調器の信号電極の近傍には接地電極を設けることが一般的であるが、光変調素子の小型化に伴い接地電極の十分な幅又は面積を確保することが難しくなっており、中途半端な接地電極は高周波特性を悪化させる要因となる。しかし、本実施形態のように接地電極を省略した場合には、光変調器を小型化しても高周波特性が悪化することがなく、光変調素子の多重化も容易な光変調器を実現することができる。
図2は、図1(a)及び(b)のA−A'線に沿った光変調器の略断面図である。
図2に示すように、本実施形態による光変調器100は、基板1、導波層2、保護層3、バッファ層4、絶縁層5及び電極層7がこの順で積層された多層構造を有している。
基板1は例えばサファイア基板であり、基板1の表面にはニオブ酸リチウムに代表される電気光学材料からなる導波層2が形成されている。導波層2はリッジ部2rからなる第1及び第2の光導波路10a、10bを有している。第1及び第2の光導波路10a、10bのリッジ幅Wは例えば1μmとすることができる。
保護層3は第1及び第2の光導波路10a,10bと平面視で重ならない領域に形成されている。保護層3は、導波層2の上面のうちリッジ部2rが形成されていない領域の全面を覆っており、リッジ部2rの側面も保護層3に覆われているので、リッジ部2rの側面の荒れによって生じる散乱損失を防ぐことができる。保護層3の厚さは導波層2のリッジ部2rの高さとほぼ同じである。保護層3の材料は特に限定されないが、例えば酸化シリコン(SiO)を用いることができる。
バッファ層4は、第1及び第2の光導波路10a,10b中を伝搬する光が第1及び第2の信号電極7a,7bに吸収されることを防ぐため、導波層2のリッジ部2rの上面に形成されるものである。バッファ層4は、導波層2よりも屈折率が小さく、透明性が高い材料からなることが好ましく、例えば、Al、SiO、LaAlO、LaYO、ZnO、HfO、MgO、Yなどを用いることができる。リッジ部2rの上面上のバッファ層4の厚さは0.2〜1μm程度であればよい。バッファ層4は絶縁層5よりも誘電率が高い材料からなることがより好ましいが、絶縁層5と同じ材料を用いることも可能である。本実施形態において、バッファ層4は、第1及び第2の光導波路10a,10bの上面のみならず保護層3の上面を含む下地面の全面を覆っているが、第1及び第2の光導波路10a,10bの上面付近だけを選択的に覆うようにパターニングされたものであってもよい。また保護層3を省略し、導波層2の上面全体にバッファ層4を直接形成してもよい。
バッファ層4の膜厚は、電極の光吸収を低減するためには厚いほど良く、光導波路10a、10bに高い電界を印加するためには薄いほど良い。電極の光吸収と電極の印加電圧とは、トレードオフの関係にあるので、目的に応じて適切な膜厚を設定する必要がある。バッファ層4の誘電率は高い程、VπL(電界効率を表す指標)を低減できるので好ましく、バッファ層4の屈折率は低い程、バッファ層4を薄くできるので好ましい。通常、誘電率が高い材料は屈折率も高くなるので、両者のバランスを考慮して、誘電率が高く、かつ、屈折率が比較的低い材料を選定することが重要である。一例として、Alは、比誘電率が約9、屈折率が約1.6であり、好ましい材料である。LaAlOは、比誘電率が約13、屈折率が約1.7であり、またLaYOは、比誘電率が約17、屈折率が約1.7であり、特に好ましい材料である。
絶縁層5は、進行波電極の下面に段差を形成するために設けられるものである。絶縁層5は誘電率が低い材料からなることが好ましく、例えばSiOを用いることができる。絶縁層5の第1及び第2の光導波路10a,10bと平面視で重なる領域には開口(スリット)が形成されており、バッファ層4の上面を露出させている。この開口内に電極層7の導電材料の一部が埋め込まれることにより、第1及び第2の信号電極7a,7bの下面に段差が形成される。絶縁層5の厚さは1μm以上であることが好ましい。絶縁層5の厚さが1μm以上であれば、第1及び第2の信号電極7a,7bの下面に段差を設けたことによる効果を得ることができる。
電極層7には、第1の信号電極7a及び第2の信号電極7bが設けられている。第1の信号電極7aは、第1の光導波路10a内を進行する光を変調するために第1の光導波路10aに対応するリッジ部2rに重ねて設けられ、バッファ層4を介して第1の光導波路10aと対向している。第2の信号電極7bは、第2の光導波路10b内を進行する光を変調するために第2の光導波路10bに対応するリッジ部2rに重ねて設けられ、バッファ層4を介して第2の光導波路10bと対向している。
図2に示すように、第1及び第2の光導波路10a,10bを垂直に切断した断面において、電極構造は左右対称である。そのため、第1及び第2の信号電極7a,7bから第1及び第2の光導波路10a,10bにそれぞれ印加される電界の大きさをできるだけ同じにして波長チャープを低減することができる。
導波層2は電気光学材料であれば特に限定されないが、ニオブ酸リチウム(LiNbO)からなることが好ましい。ニオブ酸リチウムは大きな電気光学定数を有し、光変調器等の光学デバイスの構成材料として好適だからである。以下、導波層2をニオブ酸リチウム膜とした場合の本実施形態の構成について詳しく説明する。
基板1としてはニオブ酸リチウム膜より屈折率が低いものであれば特に限定されないが、ニオブ酸リチウム膜をエピタキシャル膜として形成させることができる基板が好ましく、サファイア単結晶基板もしくはシリコン単結晶基板が好ましい。単結晶基板の結晶方位は特に限定されない。ニオブ酸リチウム膜はさまざまな結晶方位の単結晶基板に対して、c軸配向のエピタキシャル膜として形成されやすいという性質を持っている。c軸配向のニオブ酸リチウム膜は3回対称の対称性を有しているので、下地の単結晶基板も同じ対称性を有していることが望ましく、サファイア単結晶基板の場合はc面、シリコン単結晶基板の場合は(111)面の基板が好ましい。
ここで、エピタキシャル膜とは、下地の基板もしくは下地膜の結晶方位に対して、そろって配向している膜のことである。膜面内をX−Y面とし、膜厚方向をZ軸としたとき、結晶がX軸、Y軸及びZ軸方向にともにそろって配向しているものである。例えば、第1に2θ−θX線回折による配向位置でのピーク強度の確認と、第2に極点の確認を行うことで、エピタキシャル膜を証明できる。
具体的には、第1に2θ−θX線回折による測定を行ったとき、目的とする面以外の全てのピーク強度が目的とする面の最大ピーク強度の10%以下、好ましくは5%以下である必要がある。例えば、ニオブ酸リチウムのc軸配向エピタキシャル膜では、(00L)面以外のピーク強度が、(00L)面の最大ピーク強度の10%以下、好ましくは5%以下である。(00L)は、(001)や(002)などの等価な面を総称する表示である。
第2に、極点測定において、極点が見えることが必要である。前述の第1の配向位置でのピーク強度の確認の条件においては、一方向における配向性を示しているのみであり、前述の第1の条件を得たとしても、面内において結晶配向がそろっていない場合には、特定角度位置でX線の強度が高まることはなく、極点は見られない。LiNbOは三方晶系の結晶構造であるため、単結晶におけるLiNbO(014)の極点は3つとなる。ニオブ酸リチウム膜の場合、c軸を中心に180°回転させた結晶が対称的に結合した、いわゆる双晶の状態にてエピタキシャル成長することが知られている。この場合、3つの極点が対称的に2つ結合した状態になるため、極点は6つとなる。また、(100)面のシリコン単結晶基板上にニオブ酸リチウム膜を形成した場合は、基板が4回対称となっているため、4×3=12個の極点が観測される。なお、本発明では、双晶の状態にてエピタキシャル成長したニオブ酸リチウム膜もエピタキシャル膜に含める。
ニオブ酸リチウム膜の組成はLixNbAyOzである。Aは、Li、Nb、O以外の元素を表している。xは0.5〜1.2であり、好ましくは、0.9〜1.05である。yは、0〜0.5である。zは1.5〜4であり、好ましくは2.5〜3.5である。Aの元素としては、K、Na、Rb、Cs、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ti、Zr、Hf、V、Cr、Mo、W、Fe、Co、Ni、Zn、Sc、Ceなどがあり、2種類以上の組み合わせでも良い。
ニオブ酸リチウム膜の膜厚は2μm以下であることが望ましい。膜厚が2μmよりも厚くなると、高品質な膜を形成することが困難になるからである。一方、ニオブ酸リチウム膜の膜厚が薄すぎる場合は、ニオブ酸リチウム膜における光の閉じ込めが弱くなり、基板1やバッファ層4に光が漏れることになる。ニオブ酸リチウム膜に電界を印加しても、光導波路(10a、10b)の実効屈折率の変化が小さくなるおそれがある。そのため、ニオブ酸リチウム膜は、使用する光の波長の1/10程度以上の膜厚が望ましい。
ニオブ酸リチウム膜の形成方法としては、スパッタ法、CVD法、ゾルゲル法などの膜形成方法を利用するのが望ましい。ニオブ酸リチウムのc軸が基板1の主面に垂直に配向されており、c軸に平行に電界を印加することで、電界に比例して光学屈折率が変化する。単結晶基板としてサファイアを用いる場合は、サファイア単結晶基板上に直接、ニオブ酸リチウム膜をエピタキシャル成長させることができる。単結晶基板としてシリコンを用いる場合は、クラッド層(図示せず)を介して、ニオブ酸リチウム膜をエピタキシャル成長により形成する。クラッド層(図示せず)としては、ニオブ酸リチウム膜より屈折率が低く、エピタキシャル成長に適したものを用いる。例えば、クラッド層(図示せず)としてYを用いると、高品質のニオブ酸リチウム膜を形成できる。
なお、ニオブ酸リチウム膜の形成方法として、ニオブ酸リチウム単結晶基板を薄く研磨したりスライスしたりする方法も知られている。この方法は、単結晶と同じ特性が得られるという利点があり、本発明に適用することが可能である。
第1の信号電極7aは二層構造であり、電極層7に形成された上層部7aと、絶縁層5を貫通する開口(第1の開口)内に埋め込まれた下層部7aとを有している。第1の信号電極7aの下層部7aは、第1の信号電極7aの上層部7aの第2の信号電極7b寄りの端部に設けられている。そのため、第1の信号電極7aの下層部7aの下面(第1の下面)SaLは、上層部7aの下面(第2の下面)SaHよりも第2の信号電極7b寄りに設けられており、第1の上層部7aの幅は第1の下層部7aから第2の信号電極7bと反対方向に広がっている。このような断面構造により、第1の信号電極7aの第1の下面SaLは、第1の光導波路10aの上方においてバッファ層4の上面に接しており、バッファ層4を介して第1の光導波路10aを覆っている。第1の信号電極7aの第2の下面SaHは、第1の下面SaLよりも上方に位置しており、バッファ層4には接していない。
第1の信号電極7aの下層部7aの幅(第1の下面SaLの幅)WaLは、上層部7aの幅(第1の信号電極7aの全幅)W7aよりも狭い。下層部7aは、第1の光導波路10aと平面視で重なる領域付近にのみ形成され、それ以外の領域には形成されない。そのため、第1の信号電極7aの第1の下面SaLの幅WaLは、第1の光導波路10aのリッジ幅Wよりも少し広い程度である。第1の信号電極7aからの電界を第1の光導波路10aに集中させるためには、第1の信号電極7aの第1の下面SaLの幅WaLは、第1の光導波路10aのリッジ幅Wの1.1〜15倍であることが好ましく、1.5〜10倍であることがより好ましい。第1の信号電極7aの上層部7aの断面積を十分に確保するため、第2の下面SaHの幅WaHは、第1の下面SaLの幅WaLよりも広いことが好ましい。
第2の信号電極7bも二層構造であり、電極層7に形成された上層部7bと、絶縁層5を貫通する開口(第2の開口)内に埋め込まれた下層部7bとを有している。第2の信号電極7bの下層部7bは、第2の信号電極7bの上層部7bの第1の信号電極7a寄りの端部に設けられている。そのため、第2の信号電極7bの下層部7bの下面(第1の下面)SbLは、上層部7bの下面(第2の下面)SbHよりも第1の信号電極7a寄りに設けられており、第2の上層部7bの幅は第2の下層部7bから第1の信号電極7aと反対方向に広がっている。このような断面構造により、第2の信号電極7bの第1の下面SbLは、第2の光導波路10bの上方においてバッファ層4の上面に接しており、バッファ層4を介して第2の光導波路10bを覆っている。第2の信号電極7bの第2の下面SbHは、第1の下面SbLよりも上方に位置しており、バッファ層4には接していない。
第2の信号電極7bの下層部7bの幅(第1の下面SbLの幅)WbLは、上層部7bの幅(第2の信号電極7bの全幅)W7bよりも狭い。下層部7bは、第2の光導波路10bと平面視で重なる領域付近にのみ形成され、それ以外の領域には形成されない。そのため、第2の信号電極7bの第1の下面SbLの幅WbLは、第2の光導波路10bのリッジ幅Wよりも少し広い程度である。第2の信号電極7bからの電界を第2の光導波路10bに集中させるためには、第2の信号電極7bの第1の下面SbLの幅WbLは、第2の光導波路10bのリッジ幅Wの1.1〜15倍であることが好ましく、1.5〜10倍であることがより好ましい。第2の信号電極7bの上層部7bの断面積を十分に確保するため、第2の下面SbHの幅WbHは、第1の下面SbLの幅WbLよりも広いことが好ましい。
電極層7に接地電極は設けられていない。第1及び第2の信号電極7a,7b間の電極分離領域Dや第1及び第2の信号電極7a,7bの外側の領域D1a,D1bに接地電極が設けられている場合には、リップルやクロストークが大きくなり、高周波特性が悪化する。このような高周波特性の悪化は、光変調器の小型化に伴って接地電極の幅や面積を十分に確保することができず、接地電位が不安定になっていることが原因と考えられる。本実施形態のように接地電極を設けない場合には、リップルやクロストークを低減することができ、高周波特性を改善することができる。
上記のように、電極構造は左右対称であり、第1及び第2の信号電極7a,7bの全幅W7a,W7bは互いに等しく、下層部7a,7bの下面SaL,SbLの幅WaL,WbLも互いに等しく、上層部7a,7bの下面Sa,Sbの幅WaH,WbHも等しい。
第1の信号電極7aの下層部7aの内側側面の位置は、第1の信号電極7aの上層部7aの内側側面の位置と揃っており、第1の上層部7aの幅は第1の下層部7aから第2の信号電極7bと反対方向に広がっているので、第1の信号電極7aの断面形状は略L字状である。第2の信号電極7bの下層部7bの内側側面の位置は、第2の信号電極7bの上層部7bの内側側面の位置と揃っており、第2の上層部7bの幅は第2の下層部7bから第1の信号電極7aと反対方向に広がっているので、第2の信号電極7bの断面形状もまた略L字状である。したがって、下層部7aと下層部7bとの間の間隔と上層部7aと上層部7bとの間の間隔は等しく、両者の間隔は共にGである。なお2つの電極の間隔とは、X方向における両者の最短距離のことを言う。
以上説明したように、本実施形態による光変調器100は、第1及び第2の信号電極7a,7bを二層構造とし、下層部7a,7bの下面SaL,SbLの幅WaL,WbLが上層部7a,7bの電極幅(第1及び第2の信号電極7a,7bの最大幅)W7a,W7bよりも狭いので、第1及び第2の光導波路10bに電界を集中させることができ、電界効率を向上させることができる。また、第1及び第2の信号電極7a,7bの上層部7a,7bの電極幅W7a,W7bが、下層部7a,7bの下面SaL,SbLの幅WaL,WbLよりも広いので、信号電極の断面積を大きくすることができ、高周波における電極損失を低減することができる。したがって、高周波特性が良好であり、低電圧駆動が可能な光変調器を実現することができる。
図3は、本発明の第2の実施の形態による光変調器の構成を示す略断面図である。
図3に示すように、この光変調器200は、図2に示した光変調器100の第1の変形例であって、その特徴は、第1及び第2の信号電極7a,7bの内側のコーナー部が緩やかにラウンドした形状を有する点にある。その他の構成は第1の実施の形態と同様である。
本実施形態において、第1及び第2の信号電極7a,7bの上層部7aH,7bHの間隔G0Hは、第1及び第2の信号電極7a,7bの上層部7a,7bの間隔G0Lよりも広いので、速度整合は容易である。第1及び第2の信号電極7a,7bの上層部7a,7bの断面積は第1の実施の形態よりも小さくなるが、上層部7a,7bの幅を下層部7a,7bよりも広げて断面積を確保しているので、第1の実施の形態と同様の効果を奏することができる。すなわち、信号電極の断面積を大きくして高周波における電極損失を低減することができる。また、接地電極を省略することによりリップルやクロストークを低減することができる。したがって、高周波特性が良好であり、低電圧駆動が可能な光変調器を実現することができる。
図4は、本発明の第3の実施の形態による光変調器の構成を示す略断面図である。
図4に示すように、この光変調器300は、図2に示した光変調器100の第2の変形例であって、その特徴は、第1及び第2の信号電極7a,7bの下端から上端まで電極幅がほぼ一定であり、上層部7a,7bの幅が下層部7a,7bの幅と等しく設定されている点にある。その他の構成は第1の実施の形態と同様である。
本実施形態においては、上層部7a,7bの幅を下層部7a,7bの幅よりも広げていないので、高周波における電極損失を低減する効果は期待できない。しかし、第1及び第2の信号電極7a,7bの外側の領域D1a,D1bに接地電極を設けていないので、リップルやクロストークを低減することができる。
図5は、本発明の第4の実施の形態による光変調器の構成を示す略断面図である。
図5に示すように、この光変調器400は、図2に示した光変調器100の第3の変形例あって、その特徴は、第1の信号電極7aと第2の信号電極7bとの間の電極分離領域Dの下方に存在する絶縁層5の少なくとも一部(破線Uで囲んだ部分)が除去されており、これによりバッファ層4の上面の少なくとも一部が露出している点にある。絶縁層5は、電極分離領域Dの全域ではなく一部の領域において除去されていてもよい。このように、本実施形態においては、第1の信号電極7aと第2の信号電極7bとの間の電極分離領域Dに存在する絶縁層5が除去されているので、進行波電極の実効屈折率を調整することができ、進行波電極の実効屈折率を光の実効屈折率と一致させて速度整合を良好にすることができる。
図6は、本発明の第5の実施の形態による光変調器の構成を示す略平面図であり、図6(a)は光導波路のみ図示し、図6(b)は進行波電極を含めた光変調器の全体を図示している。
図6(a)及び(b)に示すように、本実施形態による光変調器500の特徴は、マッハツェンダー光導波路10が直線部と湾曲部との組み合わせにより構成されている点にある。より具体的には、マッハツェンダー光導波路10は、互いに並行に配置された第1乃至第3の直線部10e,10e,10eと、第1の直線部10eと第2の直線部10eとを繋ぐ第1の湾曲部10fと、第2の直線部10eと第3の直線部10eとを繋ぐ第2の湾曲部10fとを有している。第1及び第2の湾曲部10f,10fは、光導波路の進行方向を180度方向転換するため、同心半円状に形成されている。
そして本実施形態による光変調器500は、図中のA−A'線に沿ったマッハツェンダー光導波路10の直線部10e,10e,10eの断面構造が、図2〜図5に示した断面構造となるように構成されている。すなわち、第1の信号電極7aの第1の下面SaLは、バッファ層4を介して第1乃至第3の直線部10e,10e,10eにおける第1の光導波路10aを覆っており、また第2の信号電極7bの第1の下面SbLは、バッファ層4を介して第1乃至第3の直線部10e,10e,10eにおける第2の光導波路10bを覆っている。第1及び第2のバイアス電極9a,9bの位置は特に限定されないが、第3の直線部10eの他の一部における第1及び第2の光導波路10a,10bを覆っている。本実施形態において、第1及び第2の信号電極7a,7bは、第1及び第2の直線部10e,10eの全体と、第3の直線部10eの一部を覆っているが、例えば第1の直線部10eだけを覆っていてもよい。
本実施形態においても、第1及び第2の信号電極7a,7bの近傍に接地電極は設けられていない。光変調器の信号電極の近傍には接地電極を設けることが一般的であるが、光変調素子の小型化に伴い接地電極の十分な幅又は面積を確保することが難しくなっており、中途半端な接地電極は高周波特性を悪化させる原因となる。しかし、本実施形態のように接地電極を省略した場合には、光変調器を小型化しても接地電極が原因で高周波特性が悪化することがなく、光変調素子の多重化も容易な光変調器を実現することができる。
本実施形態において、入力光Siは、第1の直線部10eの一端に入力され、第1の直線部10eの一端から他端に向かって進行し、第1の湾曲部10fで折り返して第2の直線部10eの一端から他端に向かって第1の直線部10eとは逆方向に進行し、さらに第2の湾曲部10fで折り返して第3の直線部10eの一端から他端に向かって第1の直線部10eと同じ方向に進行する。
光変調器では素子長が長いことが実用上の大きな課題となっているが、図示のように光導波路を折り返すことで素子長を大幅に短くでき、小型化に対する顕著な効果が得られる。特に、ニオブ酸リチウム膜により形成された光導波路は、湾曲部の曲率半径を例えば50μm程度まで小さくしても損失が小さいという特徴があり、本実施形態に適している。
上記のように光導波路が湾曲部を有し、湾曲部の近傍に接地電極が設けられている場合、湾曲部において高周波信号の漏れが大きくなり、高周波特性が悪化しやすい。しかし、湾曲部の近傍に接地電極が設けられていない場合には、湾曲部における高周波信号の漏れを抑えることができ、高周波特性の悪化を抑制することができる。
図7は、本発明の第6の実施の形態による光変調器の構成を示す略平面図である。
図7に示すように、本実施形態による光変調器600の特徴は、基板1上にマッハツェンダー光変調素子の相互作用部を2つ並べた2チャンネルアレイ構造を有し、2つの相互作用部を用いて入力光Siの直交位相変調(QPSK)又は直交振幅変調(xQAM)を行う点にある。本実施形態による光変調器600は、第1及び第2の相互作用部MZ,MZを用いて構成されたIQ光変調器であり、第2の相互作用部MZの出力側には位相シフタ10gが設けられている。個々の相互作用部MZ,MZの構成は、図1に示したマッハツェンダー光変調素子の単一の相互作用部と同様である。第1及び第2の相互作用部MZ,MZの一対のRF信号入力端子にはそれぞれ別の差動信号が印加される。
一本の光導波路からなる入力導波路10iは、二段の分波部10cによって4分割されて4本2対の光導波路が形成される。すなわち、第1の相互作用部MZを構成する第1及び第2の光導波路10a,10bと、第2の相互作用部MZを構成する第1及び第2の光導波路10a,10bが形成される。光導波路の出力側では、2段の合波部10dを経て一本の出力導波路10oにまとめられる。
本実施形態においても、第1及び第2の信号電極7a,7bの近傍に接地電極は設けられておらず、特に第1の相互作用部MZの第2の信号電極7bと第2の相互作用部MZの第1の信号電極7aとの間のチャンネル間領域にも接地電極は設けられていない。光変調器を小型化及び多重化した場合、チャンネル間領域に十分な幅又は面積を持つ接地電極を確保することは難しく、中途半端な接地電極はむしろ高周波特性を悪化させる原因となる。しかし、本実施形態のように接地電極を省略した場合には、光変調器を小型化しても高周波特性が悪化することがなく、光変調素子の多重化も容易な光変調器を実現することができる。
図8は、図7のA−A'線に沿った光変調器の略断面図である。
図8に示すように、第1及び第2の相互作用部MZ,MZの各々は、第1及び第2の光導波路10a,10bと、バッファ層4の上方に設けられた第1及び第2の信号電極7a,7bとを有している。そして、第1の相互作用部MZの第2の光導波路10b及び第2の信号電極7bは、第2の相互作用部MZの第1の光導波路10a第1の信号電極7aとそれぞれ隣り合っている。
そして上記のように、本実施形態においては、同一チャンネル内の第1及び第2の信号電極7a,7b間の電極分離領域Dのみならず、第1の相互作用部MZの第2の信号電極7bと第2の相互作用部MZの第1の信号電極7aとの間のチャンネル間領域Dにも接地電極は設けられていない。これにより、マルチチャンネル構造の光変調器において特に問題となる隣接チャンネル間のクロストークを低減することができる。
図9は、本発明の第7の実施の形態による光変調器の構成を示す略平面図である。
図9に示すように、本実施形態による光変調器700の特徴は、基板1上に4つの相互作用部MZ,MZ,MZ,MZを並べた4チャンネルアレイ構造を有し、4つの相互作用部を用いて偏波多重直交位相変調(DP−QPSK)を行う点にある。そのため、第1及び第2の相互作用部MZ,MZは第1のIQ変調器を構成しており、第3及び第4の相互作用部MZ,MZは第2のIQ変調器を構成しており、各々の出力は偏波多重導波路10hを介して出力される。個々の相互作用部MZ〜MZの構成は、図1に示したマッハツェンダー光変調素子の単一の相互作用部と同様である。
図10は、図9のA−A'線に沿った光変調器の略断面図である。
図10に示すように、第1〜第4の相互作用部MZ〜MZの各々は、第1及び第2の光導波路10a,10bと、バッファ層4の上方に設けられた第1及び第2の信号電極7a,7bとを有している。そして、第1の相互作用部MZの第2の光導波路10b及び第2の信号電極7bは、第2の相互作用部MZの第1の光導波路10a及び第1の信号電極7aとそれぞれ隣り合っており、第2の相互作用部MZの第2の光導波路10b及び第2の信号電極7bは、第3の相互作用部MZの第1の光導波路10a及び第1の信号電極7aとそれぞれ隣り合っており、第3の相互作用部MZの第2の光導波路10b及び第2の信号電極7bは、第4の相互作用部MZの第1の光導波路10a及び第1の信号電極7aとそれぞれ隣り合っている。
そして上記のように、第1の相互作用部MZの第2の信号電極7bと第2の相互作用部MZの第1の信号電極7aとの間のチャンネル間領域D21、第2の相互作用部MZの第2の信号電極7bと第3の相互作用部MZの第1の信号電極7aとの間のチャンネル間領域D22、及び、第3の相互作用部MZの第2の信号電極7bと第4の相互作用部MZの第1の信号電極7aとの間のチャンネル間領域D23にも接地電極は設けられていない。これにより、マルチチャンネル構造の光変調器において特に問題となる隣接チャンネル間のクロストークを低減することができる。
図11は、本発明の第8の実施の形態による光変調器の構成を示す略平面図である。
図11に示すように、本実施形態による光変調器800の特徴は、図10に示した4チャンネルの光変調器において、各相互作用部MZ〜MZのマッハツェンダー光導波路が直線部と湾曲部との組み合わせにより構成されている点にある。すなわち、第6の実施の形態と第8の実施の形態の組み合わせたものである。図11のA−A'線に沿った断面構造は図10と同様であり、チャンネル間領域D21,D22,D23に接地電極は設けられていない。上記のように、マルチチャンネル構造において光導波路が湾曲部を有する場合にはクロストークの問題が顕著である。しかし、信号電極近傍に接地電極が設けられていないので、クロストークを低減することができる。
図12は、本発明の第9の実施の形態による光変調器の構成を示す略断面図である。また、図13は、図12のA−A'線に沿った光変調器の略断面図である。
図12及び図13に示すように、本実施形態による光変調器900の特徴は、第1及び第2の信号電極7a,7bの外側の領域D1a,D1bに第1及び第2の接地電極7c,7dが設けられている点にある。第1の接地電極7cは、第1の信号電極7aの近傍であって第1の信号電極7aから見て第2の信号電極7bと反対側に配置されており、第2の接地電極7dは、第2の信号電極7bの近傍であって第2の信号電極7bから見て第1の信号電極7aと反対側に配置されている。その他の構成は第1の実施の形態と同様である。
第1及び第2の接地電極7c,7dは電極層7に設けられた導体のみからなる単層構造であるが、第1及び第2の信号電極7a,7bと同様に二層構造であってもよい。すなわち、第1及び第2の接地電極7c,7dは、絶縁層5に形成された開口内に埋め込まれ、バッファ層4の上面に接する導体を含むものであってもよい。さらに、第1及び第2の接地電極7c,7dは、絶縁層5及びバッファ層4を貫通する開口内に埋め込まれ、保護層3の上面に接する導体を含むものであってもよい。
第1及び第2の接地電極7c,7dの幅W7c,W7dは、第1及び第2の信号電極7a,7bの幅W7a,W7bよりも広いことが望ましい。第1及び第2の接地電極7c,7dの各々の面積を第1及び第2の信号電極7a,7bの面積よりも大きくすることにより、放射損失を低減することができ、良好な高周波特性を得ることができる。第1の接地電極7cの幅W7cは、第2の接地電極7dの幅W7dと同一であってもよく、異なっていてもよい。
本実施形態においては、第1及び第2の信号電極7a,7bの両側に接地電極7c,7dが設けられているので、接地電極を省略することによるリップル等を低減する効果は期待できない。しかし、接地電極7c,7dの幅や面積を十分に確保できる場合には、放射損失及び波長チャープが低減された高周波特性が良好な光変調器を実現することができる。さらに、第1及び第2の信号電極7a,7bの断面形状が略L字状であり、第1及び第2の上層部7a,7bの幅が第1及び第2の下層部7a,7bの幅よりも広いので、高周波における電極損失を低減することができる。したがって、高周波特性が良好であり、低電圧駆動が可能な光変調器を実現することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
例えば、上記実施形態においては、基板1上にエピタキシャル成長させたニオブ酸リチウム膜によって形成された一対の光導波路10a,10bを有する光変調器を挙げたが、本発明はそのような構造に限定にされず、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛などの電気光学材料により光導波路を形成したものであってもよい。ただし、ニオブ酸リチウム膜によって形成された光導波路であれば光導波路の幅を狭く形成できるため、電界集中の問題が顕著であり、本発明の効果が大きい。また、導波層2として、電気光学効果を有する半導体材料、高分子材料などを用いてもよい。
また、本発明においては第1及び第2の信号電極7a,7bの下面が二段の段差構造を有する場合を例に挙げたが、三段以上の段差構造を有するものであってもよい。その場合、バッファ層4と接する面が下層部の下面となる。さらには、第1及び第2の信号電極7a,7bの下層部の幅が第1及び第2の光導波路10a,10bに向けて徐々に狭くなるテーパー形状を有していても構わない。
図2に示した断面構造を有する光変調器の電界効率をシミュレーションにより評価した。この光変調器において、基板1はサファイア単結晶基板(比誘電率10)、導波層2はニオブ酸リチウム膜、保護層3はSiO(比誘電率4)、バッファ層4はLa、Alなどからなる酸化物La−Al−O(比誘電率13)、絶縁層5は酸化物(比誘電率8)、電極層7はAuとした。また、導波層2の厚さは1.5μm、導波層2のスラブ厚は0.4μm(リッジ部2rの厚さは1.1μm)、導波層2のリッジ幅Wは1.2μm、バッファ層4の厚さは0.9μm、第1及び第2の導波路の間隔は18μm、絶縁層5の厚さH=2μm、信号電極の上層部の幅W7a=W7b=9μm、信号電極の下層部の幅WaL=WbL=3μm、電極層7の厚さT=3μm、光導波路に沿った信号電極の電極長(相互作用長)は20mmとした。
上記の構成において、信号周波数が32GHzのとき、半波長電圧Vπ=3.9V、帯域=46GHzが得られ、64Gbaudで動作する低駆動電圧、広帯域な光変調器が得られた。
次に図2に示した断面構造を有する光変調器において、第1及び第2の信号電極7a,7bの下層部7a,7bの厚さ(絶縁層5の厚さH)を変化させたときのVπLの変化をシミュレーションにより求めた。VπLは電界効率を表すパラメータであり、VπLが小さいほど電界効率が高いこと示している。Vπは半波長電圧、Lは電極長である。可変パラメータである絶縁層5の厚さHは、0μm(段差なし)、0.5μm、1μm、2μm、3μm、4μmの6通りとした。なお絶縁層5の厚さH=0μmである光変調器600の断面構造を図16に示す。この光変調器600は、図2と比べてバッファ層4と電極層7との間に絶縁層5が無く、第1及び第2の信号電極7a,7bはバッファ層4の上面に形成されている。第1及び第2の信号電極7a,7bの幅W7a=W7b=9μmである。
図14は、VπLのシミュレーション結果を示すグラフであり、横軸は絶縁層5の厚さH(μm)、縦軸はVπL(Vcm)をそれぞれ示している。図14に示すように、絶縁層5を設けることで(H>0μm)、信号電極の最大幅を広げても電界効率を改善できることが分かる。また、絶縁層5の厚さHが大きいほど電界効率も改善することが分かる。
次に、図2に示した断面構造を有する光変調器において、第1及び第2の信号電極7a,7bの上層部7a,7bの幅W7a=W7b=Wを変化させたときの電極損失の変化を求めた。ここで、可変パラメータである上層部7a,7bのWは、3μm、5μm、7μm、9μmの4通りとした。また、絶縁層5の厚さHは、0μm、2μm、4μmの3通りとした。
図15は、電極損失のシミュレーション結果を示すグラフであり、横軸は信号電極の上層部7a,7bの幅W(μm)、縦軸は電極損失(dB/mm)を示している。図15に示すように、上層部7a,7bの幅Wが広くなるほど電極損失が小さくなっていることが分かる。
図17は、信号電極の上層部7a,7bの幅Wを変化させたときのマイクロ波の実効屈折率のシミュレーション結果を示すグラフであり、横軸は信号電極の上層部7a,7bの幅W(μm)、縦軸はマイクロ波の実効屈折率Nを示している。図17に示すように、上層部7a,7bの幅Wを広げても、実効屈折率Nの変化は小さく、光の実効屈折率の2.26とほぼ一致しており、速度整合条件を満足していることが分かる。
一方、図18は、図16に示す比較例の光変調器において電極7a、7b、7c、7dの厚さTを変化させた場合のマイクロ波の実効屈折率Nのシミュレーション結果である。図18に示すように、電極7a、7b、7c、7dの厚さTを厚くすると、実効屈折率Nは急激に下がってしまい、光の実効屈折率の2.26との差が大きくなり、速度整合条件を満足しないことが分かる。
実施例のWを広げることや比較例のTを厚くすることは、電極損失を低減する点において同じ効果である。しかし、マイクロ波の実効屈折率は、実施例のWを広げてもほぼ変化せず、速度整合条件を維持できるのに対して、比較例のTを厚くすると大きく減少し、速度整合条件を満足できなくなる。したがって、実施例の構造の方が優れていることが分かる。
以上の結果から、本発明による二層構造の信号電極によれば、電界効率の向上(VπLの低減)と電極損失の低減を図ることができ、光ファイバ通信の広帯域化及び低駆動電圧化に有利であることが分かった。
次に、接地電極の有無が光変調器の高周波特性に与える影響について考察した。その結果、図19に示すように、信号電極近傍に接地電極を設けた図16に示す構造の場合、高周波において損失が大きくなった。一方、接地電極を設けない図4の電極構造の場合には、高周波において損失が小さかった。
次に、図11に示した4チャンネル光変調器において、接地電極の有無が隣接チャンネルの高周波特性に与える影響について考察した。具体的には、第2チャンネルのRF信号電極に差動信号を入力したときに第3チャンネルの光出力ポートに現れる信号からクロストーク特性を評価した。その結果、図20のグラフに示すように、接地電極を設けた場合にはクロストークが大きくなり、接地電極を設けない場合にはクロストークが小さくなった。
1 基板
2 導波層
2r リッジ部
3 保護層
4 バッファ層
5 絶縁層
7 電極層
7a 第1の信号電極(進行波電極)
7a 第1の信号電極の一端
7a 第1の信号電極の他端
7a 第1の信号電極の上層部
7a 第1の信号電極の下層部
7b 第2の信号電極(進行波電極)
7b 第2の信号電極の一端
7b 第2の信号電極の他端
7b 第2の信号電極の上層部
7b 第2の信号電極の下層部
7c 第1の接地電極
7d 第2の接地電極
9a 第1のバイアス電極
9a 第1のバイアス電極の一端
9b 第2のバイアス電極
9b 第2のバイアス電極の一端
10 マッハツェンダー光導波路
10a 第1の光導波路
10b 第2の光導波路
10c 分波部
10d 合波部
10e マッハツェンダー光導波路の第1の直線部
10e マッハツェンダー光導波路の第2の直線部
10e マッハツェンダー光導波路の第3の直線部
10f マッハツェンダー光導波路の第1の湾曲部
10f マッハツェンダー光導波路の第2の湾曲部
10g 位相シフタ
10h 偏波多重導波路
10i 入力導波路
10o 出力導波路
12 終端抵抗
21 サファイア基板
22a 第1の光導波路
22b 第2の光導波路
23 バッファ層
24a,24a,24a 信号電極
24b,24c,24d,24e 接地電極
100,200,300 ,400,500,600,700,800,900,1200,1300 光変調器
電極分離領域
1a 第1の信号電極の外側の領域
1b 第2の信号電極の外側の領域
,D21,D22,D23 チャンネル間領域
第1の信号電極と第2の信号電極の間隔
0H 第1の上層部と第2の上層部の間隔
0L 第1の下層部と第2の下層部の間隔
MZ〜MZ 相互作用部
aH 第1の上層部の下面
aL 第1の下層部の下面
bH 第2の上層部の下面
bL 第2の下層部の下面
Si 入力光
So 変調光

Claims (8)

  1. 基板と、
    前記基板上に設けられた少なくとも一つの相互作用部とを備え、
    前記相互作用部は、
    前記基板上にリッジ状に形成された電気光学材料膜からなり、互いに隣り合う第1及び第2の光導波路と、
    前記第1及び第2の光導波路の上面を覆うバッファ層と、
    前記バッファ層の上方に前記第1及び第2の光導波路と対向して設けられた第1及び第2の信号電極とを備え、
    前記第1の信号電極から見て前記第2の信号電極と反対側の前記第1の信号電極の近傍領域及び前記第2の信号電極から見て前記第1の信号電極と反対側の前記第2の信号電極の近傍領域には接地電極が配置されておらず、
    前記第1及び第2の信号電極には差動信号が印加されることを特徴とする光変調器。
  2. 前記第1の信号電極は、前記バッファ層を介して前記第1の光導波路と対向する第1の下層部と、前記第1の下層部の上方に設けられた第1の上層部とを有し、
    前記第2の信号電極は、前記バッファ層を介して前記第2の光導波路と対向する第2の下層部と、前記第2の下層部の上方に設けられた第2の上層部とを有し、
    前記第1及び第2の下層部の下面の幅は、前記第1及び第2の上層部の幅よりも狭く、
    前記第1の上層部の幅は前記第1の下層部から前記第2の信号電極と反対方向に広がっており、
    前記第2の上層部の幅は前記第2の下層部から前記第1の信号電極と反対方向に広がっている、請求項1に記載の光変調器。
  3. 前記第1の上層部と前記第2の上層部との間の間隔は、前記第1の下層部と前記第2の下層部との間の間隔以上である、請求項2に記載の光変調器。
  4. 前記バッファ層の上方に形成された絶縁層と、
    前記第1及び第2の上層部を含み、前記絶縁層上に形成された電極層とをさらに備え、
    前記第1及び第2の下層部は、前記絶縁層に形成された開口内に埋め込まれている、請求項2又は3に記載の光変調器。
  5. 前記第1及び第2の光導波路の各々は、少なくとも一つの直線部と少なくとも一つの湾曲部とを有し、
    前記第1の信号電極は、前記第1の光導波路の前記直線部及び前記湾曲部に沿って設けられており、
    前記第2の信号電極は、前記第2の光導波路の前記直線部及び前記湾曲部に沿って設けられている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の光変調器。
  6. 前記相互作用部は、第1及び第2の相互作用部を含み、
    前記第1の相互作用部の前記第2の光導波路は、前記第2の相互作用部の前記第1の光導波路と隣り合っており、
    前記第1の相互作用部の前記第2の信号電極と前記第2の相互作用部の前記第1の信号電極との間の領域には接地電極が配置されていない、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の光変調器。
  7. 前記基板は単結晶基板であり、
    前記電気光学材料膜はニオブ酸リチウム膜であり、
    前記ニオブ酸リチウム膜のc軸は前記基板の主面に対して垂直方向に配向している、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の光変調器。
  8. 基板と、
    前記基板上にリッジ状に形成された電気光学材料膜からなり、互いに隣り合う第1及び第2の光導波路と、
    前記第1及び第2の光導波路の上面を覆うバッファ層と、
    前記バッファ層の上方に前記第1及び第2の光導波路と対向して設けられた第1及び第2の信号電極とを備え、
    前記第1の信号電極は、前記バッファ層を介して前記第1の光導波路と対向する第1の下層部と、前記第1の下層部の上方に設けられた第1の上層部とを有し、
    前記第2の信号電極は、前記バッファ層を介して前記第2の光導波路と対向する第2の下層部と、前記第2の下層部の上方に設けられた第2の上層部とを有し、
    前記第1及び第2の下層部の下面の幅は、前記第1及び第2の上層部の幅よりも狭く、
    前記第1の上層部の幅は前記第1の下層部から前記第2の信号電極と反対方向に広がっており、
    前記第2の上層部の幅は前記第2の下層部から前記第1の信号電極と反対方向に広がっており、
    前記第1及び第2の信号電極の間には接地電極が無く、
    前記第1及び第2の信号電極には差動信号が印加されることを特徴とする光変調器。
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