以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。以下に説明する実施の形態は、本発明の一例を説明するものである。本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も、本発明に含まれる。ここで、以下の各図においては、各部材を認識可能な程度の大きさにするため、各部材の尺度を実際とは異ならせしめている。また、以下の各図においては、必要に応じて、相互に直交する座標軸であるXYZ軸を付している。
1.実施形態
本実施形態では、表示パネルとしての液晶パネルを3個備えたプロジェクターに備わる調整機構を例に挙げて説明する。なお、以下に述べる本実施形態の調整機構のうち、θxθyZの3軸を調整する構成が本発明の調整機構の一例である。本実施形態の調整機構は、本発明の上記調整機構に加えて、YXθzの3軸を調整する構成を有している。
1.1.プロジェクター
本実施形態に係るプロジェクターの構成について、図1を参照して説明する。図1は、実施形態に係るプロジェクターの構成を示す概略図である。
図1に示すように、本実施形態に係るプロジェクター1は、照明光学系である光源装置10、色分離光学系20、リレー光学系30、光変調装置である3個の表示パネルとしての、緑色用表示パネル40G、赤色用表示パネル40R、青色用表示パネル40B、青色用調整機構70および赤色用調整機構80、色合成光学系であるプリズムとしてのクロスダイクロイックプリズム50、投射レンズ60を備え、これらが本体部2に収納されている。なお、以降の説明において、緑色用表示パネル40G、赤色用表示パネル40Rおよび青色用表示パネル40Bを総称して、単に表示パネル40ということもある。さらに、青色用表示パネル40Bが載置された青色用調整機構70、および赤色用表示パネル40Rが載置された赤色用調整機構80を総称して、単に調整機構7ということもある。
表示パネル40は、光源装置10が有する光源11から射出された光を変調する。表示パネル40のうち、赤色用表示パネル40Rは赤色用調整機構80に搭載されて位置が調整され、青色用表示パネル40Bは青色用調整機構70に搭載されて位置が調整される。緑色用表示パネル40Gは、本実施形態の調整機構には搭載されず、搭載部材90に搭載される。緑色用表示パネル40Gは緑色光Gを変調し、赤色用表示パネル40Rは赤色光Rを変調し、青色用表示パネル40Bは青色光Bを変調する。表示パネル40にて変調された光は、クロスダイクロイックプリズム50で合成され、投射レンズ60から図示しないスクリーンなどの投射対象に投射される。
光源装置10は、光源11、第1レンズアレイ12、第2レンズアレイ13、偏光変換素子14、重畳レンズ15を有している。第1レンズアレイ12および第2レンズアレイ13では、小レンズがマトリクス状に配列されている。
プロジェクター1では、光源11として放電型の光源を採用しているが、光源11の方式はこれに限定されない。光源11として、発光ダイオード、レーザーなどの固体光源を採用してもよい。
光源11から射出された光は、第1レンズアレイ12によって複数の微小な部分光束に分割される。偏光変換素子14は、光源11から射出された非偏光な光を、表示パネル40で利用可能な偏光に揃える。各部分光束は、第2レンズアレイ13および重畳レンズ15によって、照明対象である3個の表示パネル40の各入射面上に重畳される。すなわち、第1レンズアレイ12、第2レンズアレイ13、重畳レンズ15によって、光源11から射出された光が表示パネル40を照明するインテグレーター照明光学系が形成される。
色分離光学系20は、第1ダイクロイックミラー21、第2ダイクロイックミラー22、反射ミラー23、フィールドレンズ24,25を有している。色分離光学系20は、光源装置10からの光を、各々異なる波長域の3色の色光に分離する。ここで、3色の色光とは、上述した緑色光G、赤色光R、青色光Bである。緑色光Gは略緑色の光であり、赤色光Rは略赤色の光であり、青色光Bは略青色の光である。
フィールドレンズ24は、赤色用表示パネル40Rの入射面側に配置されている。フィールドレンズ25は、緑色用表示パネル40Gの入射面側に配置されている。
第1ダイクロイックミラー21は、赤色光Rを透過させると共に、緑色光Gおよび青色光Bを反射させる。第1ダイクロイックミラー21を透過した赤色光Rは、反射ミラー23で反射され、フィールドレンズ24を透過して赤色用表示パネル40Rを照明する。
フィールドレンズ24は、反射ミラー23で反射された赤色光Rを集光して、赤色用表示パネル40Rを照明する。フィールドレンズ25も、フィールドレンズ24と同様に、第2ダイクロイックミラー22で反射された緑色光Gを集光して、緑色用表示パネル40Gを照明する。このとき、緑色用表示パネル40Gおよび赤色用表示パネル40Rを照明する光は、それぞれ略平行な光束となるように設定される。
第2ダイクロイックミラー22は、青色光Bを透過させると共に、緑色光Gを反射させる。第1ダイクロイックミラー21で反射された緑色光Gは、第2ダイクロイックミラー22によって反射された後、フィールドレンズ25を透過して緑色用表示パネル40Gを照明する。
ここで、第1ダイクロイックミラー21および第2ダイクロイックミラー22は、各機能に対応する誘電体多層膜を、透明ガラス板上に形成することにより作製される。
リレー光学系30は、入射側レンズ31、第1反射ミラー32、リレーレンズ33、第2反射ミラー34、フィールドレンズとしての射出側レンズ35を有している。青色光Bは、緑色光Gや赤色光Rと比べて光路が長いため、光束が大きくなりやすい。そのため、リレーレンズ33を用いて、光束の拡大を抑えている。色分離光学系20から射出された青色光Bは、第1反射ミラー32で反射されると共に、入射側レンズ31によってリレーレンズ33の近傍で収束される。そして、青色光Bは、第2反射ミラー34および射出側レンズ35に向かって発散する。
射出側レンズ35は、上述したフィールドレンズ24,25と同様な機能を有し、青色用表示パネル40Bを照明する。青色用表示パネル40Bを照明する光は、略平行な光束となるように設定される。
表示パネル40は、プロジェクター1における光変調装置として機能する。表示パネル40には、透過型の液晶パネルが採用されている。この場合、表示パネル40としての液晶パネルに加えて入射側偏光板と出射側偏光板を設けるのが通常である。入射側偏光板は図示しないが、液晶パネルの光入射側に固定されていればよい。また、出射側偏光板は図8に示された偏光板405が該当する。
ここで、光変調装置としての表示パネル40は、透過型の液晶パネルに限定されない。光変調装置として、反射型液晶パネルなどの反射型の光変調装置を採用してもよい。また、入射した光の射出方向を、画素としてのマイクロミラー毎に制御することにより、光源11から射出された光を変調するデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)などを採用してもよい。なお、デジタルマイクロミラーデバイスでは、マイクロミラーがマトリクス状に配置された面が表示面に相当する。さらに、複数の色光毎にそれぞれ光変調装置を備える構成に限定されず、1個の光変調装置により、複数の色光を時分割にて変調する構成としてもよい。なお、本実施形態の調整機構7は、複数の表示パネル40同士の位置調整において、より効果が発現される。
上述したように、表示パネル40のうち、青色用表示パネル40Bは青色用調整機構70に搭載され、赤色用表示パネル40Rは赤色用調整機構80に搭載される。調整機構7、すなわち青色用調整機構70および赤色用調整機構80については後述する。
クロスダイクロイックプリズム50は、表示パネル40から射出された各色の変換光を合成する。詳しくは、クロスダイクロイックプリズム50は、赤色用表示パネル40R、緑色用表示パネル40Gおよび青色用表示パネル40Bのそれぞれから出射した光を合成する。クロスダイクロイックプリズム50は、赤色光Rを反射する赤色光反射ダイクロイック面51Rと、青色光Bを反射する青色光反射ダイクロイック面51Bと、を有している。赤色光反射ダイクロイック面51Rには、赤色光Rを反射する誘電体多層膜が配置されている。青色光反射ダイクロイック面51Bには、青色光Bを反射する誘電体多層膜が配置されている。赤色光反射ダイクロイック面51Rおよび青色光反射ダイクロイック面51Bを、以降、単に反射ダイクロイック面51R,51Bともいう。
ここで、色分離光学系20、リレー光学系30およびクロスダイクロイックプリズム50の配置を平面視した場合に、赤色光Rを反射する誘電体多層膜と、青色光Bを反射する誘電体多層膜とは、略X字状に配置される。反射ダイクロイック面51R,51Bによって、赤色光R、緑色光G、青色光Bの3色の変換光が合成されて、カラー画像を表示する合成光が生成される。こうしてクロスダイクロイックプリズム50によって生成された合成光は、投射レンズ60に向かって射出される。
投射レンズ60は、本体部2に装着されている。投射レンズ60を通過して、本体部2から射出された合成光は、画像光として図示しないスクリーンなどの投射対象に投射される。
1.2.調整機構
次に、本実施形態に係る調整機構の構成について、図2、図3および図4を参照して説明する。図2は、クロスダイクロイックプリズムと表示パネルなどとの配置を示す斜視図である。図3は、調整機構の外観を示す斜視図である。図4は、調整機構の構成を示す分解斜視図である。なお、図2では、各構成の配置を判りやすくするために、クロスダイクロイックプリズム50と3個の表示パネル40との距離を実際よりも遠ざけて示している。また、図2では、青色用表示パネル40Bと赤色用表示パネル40Rとの配置を、クロスダイクロイックプリズム50に対して、図1と左右逆にして示している。さらに、図3および図4では、調整機構7のうち、青色用表示パネル40Bが搭載された状態の青色用調整機構70を示している。
図2に示すように、クロスダイクロイックプリズム50に対して三方に、緑色用表示パネル40G、青色用表示パネル40Bおよび赤色用表示パネル40Rが配置される。青色用表示パネル40Bは青色用調整機構70に、赤色用表示パネル40Rは赤色用調整機構80に、それぞれ搭載される。緑色用表示パネル40Gは搭載部材90に搭載される。青色用調整機構70は、青色用表示パネル40Bとクロスダイクロイックプリズム50との間に位置する。赤色用調整機構80は、赤色用表示パネル40Rとクロスダイクロイックプリズム50との間に位置する。搭載部材90は、緑色用表示パネル40Gとクロスダイクロイックプリズム50との間に位置する。
調整機構7および搭載部材90では、搭載される各表示パネル40とクロスダイクロイックプリズム50との間に遮光性の部材が介在しない。そのため、各表示パネル40にて変調された光は、調整機構7および搭載部材90で遮られることなく、クロスダイクロイックプリズム50に入射する。この形態は、図2における、赤色用表示パネル40Rが載置された面の背面が図示された赤色用調整機構80で見て取れる。
ここで、表示パネル40のうち、緑色用表示パネル40Gを第1表示パネルとし、青色用表示パネル40Bまたは赤色用表示パネル40Rを第2表示パネルとしたとき、第2表示パネルは、対応する本実施形態の調整機構7に搭載される。調整機構7により、第1表示パネルに対する第2表示パネルの位置が調整される。
なお、赤色用表示パネル40Rが搭載される赤色用調整機構80は、青色用調整機構70と同様な構成を有している。そのため、本実施形態の調整機構7については、以降、青色用調整機構70を代表例として説明することとし、赤色用調整機構80の説明は省略する。
本実施形態では、緑色用表示パネル40Gを本発明の調整機構に搭載しない構成としたが、これに限定されない。緑色用表示パネル40Gを、搭載部材90に替えて本発明の調整機構に搭載してもよい。また、緑色用表示パネル40Gが搭載される搭載部材90は、緑色用表示パネル40Gと、図1に示した投射レンズ60との距離を調整するフォーカス調整機構を備えていてもよい。
図3に示すように、青色用調整機構70は、第1ステージ100、第2ステージ200、第3ステージ300、ベース400を備えている。ここで、青色用表示パネル40Bが後述する載置部に載置された状態において、青色用表示パネル40Bの表示面と平行となる面を基準面としたとき、基準面に直交する座標軸をZ軸とし、基準面内において互いに直交する座標軸をX軸およびY軸とし、X軸周りの回転方向をθx方向とし、Y軸周りの回転方向をθy方向とし、Z軸周りの回転方向をθz方向とする。さらに、X軸、Y軸、Z軸に沿うそれぞれの方向に図示したような+または−の記号を付して、各々、+の方向を正の方向とし、−の方向を負の方向とする。なお、以降の説明においては、X軸、Y軸、Z軸に沿うそれぞれの方向を、単に、X方向、Y方向、Z方向ともいう。
青色用調整機構70は、正のZ方向からの平面視で、Y軸に沿って細長い矩形状である。青色用調整機構70は、ベース400側、換言すれば、負のZ方向側が図2に示したクロスダイクロイックプリズム50に固定される。
青色用表示パネル40Bは、上記平面視で、青色用調整機構70における長手方向であるY方向の中央から正のY方向寄りに搭載される。青色用表示パネル40Bは、矩形状であって、矩形を構成する4辺のうち、2辺がY軸に沿い、他の2辺がX軸に沿って配置される。
図4に示すように、青色用調整機構70は、青色用表示パネル40Bが後述する載置部に載置される第1ステージ100と、第1ステージ100を支持する第2ステージ200と、第2ステージ200を支持する第3ステージ300と、第3ステージ300を支持するベース400と、を備えている。第1ステージ100、第2ステージ200、第3ステージ300およびベース400は、この順番で負のZ方向に向かって重畳されている。したがって、第1ステージ100、第2ステージ200および第3ステージ300のうち、第3ステージ300が上述したクロスダイクロイックプリズム50に最も近い側に位置し、第1ステージ100がクロスダイクロイックプリズム50から最も遠い側に位置する。
第1ステージ100は、青色用表示パネル40Bが載置される第1プレート101と、第1のアクチュエーター110と、を有している。第1のアクチュエーター110は、3個のアクチュエーター111,112,113を有している。第1のアクチュエーター110は、第1プレート101に当接し、第1プレート101を正負のZ方向、θx方向およびθy方向に移動させる。
第2ステージ200は、第1プレート101が載置される、略平板状の第2プレート201と、第2のアクチュエーター210と、を有している。第2のアクチュエーター210は、アクチュエーター211,212を有している。第2のアクチュエーター210は、第2プレート201を正負のX方向、θz方向に移動させる。なお、本明細書においては、θx方向、θy方向およびθz方向における回転のような姿勢の変化も、移動に含まれるものとして説明する。
第3ステージ300は、第2プレート201が載置される、略平板状の第3プレート301と、第3のアクチュエーター310と、を有している。第3のアクチュエーター310は、第3プレート301を正負のY方向に移動させる。
ベース400には、第3プレート301が載置される。ベース400は、負のZ方向側が、図2に示したクロスダイクロイックプリズム50に固定される。
第1のアクチュエーター110としてのアクチュエーター111,112,113は、第2プレート201に搭載されて第1プレート101と当接する。第2のアクチュエーター210としてのアクチュエーター211,212は、第3プレート301の負のZ方向側の面に搭載される。第3のアクチュエーター310は、ベース400に搭載される。第1のアクチュエーター110、第2のアクチュエーター210および第3のアクチュエーター310の詳細は後述する。
次に、第1ステージ100、第2ステージ200、第3ステージ300およびベース400の各々が有する詳細な構成について、図5、図6、図7、図8を参照して説明する。図5は、第1プレートの構成を示す斜視図である。図6は、第2プレートの構成を示す斜視図である。図7は、第3プレートの構成を示す斜視図である。図8は、ベースの構成を示す斜視図である。
ここで、図示の便宜上、図6では、第2プレート201にアクチュエーター111,112,113が搭載された状態を示している。図7では、第3プレート301にアクチュエーター211,212が搭載された状態を示している。図8では、ベース400に、第3のアクチュエーター310が搭載された状態を示している。
図5に示すように、第1プレート101は、略長方形であり、長辺がY軸に沿い、短辺がX軸に沿って配置される。第1プレート101は、載置部71、バネ部材76および一対のバネ部材77を有している。載置部71には、青色用表示パネル40Bが載置される。
バネ部材76および一対のバネ部材77は、金属製のコイルバネである。バネ部材76は、第1プレート101の正のY方向端部における、負のZ方向側に一端が固定されている。一対のバネ部材77は、正負のX方向に沿って並んで配置されている。一対のバネ部材77は、バネ部材76に対して載置部71を挟む負のY方向側にあって、第1プレート101における負のZ方向側にそれぞれの一端が固定されている。
バネ部材76および一対のバネ部材77は、第2プレート201、第3プレート301、ベース400の、後述する開口部を介して、ベース400における負のZ方向側の面に他端が各々固定される。そのため、第1プレート101とベース400とが、バネ部材76および一対のバネ部材77によって連結され、その間に第2プレート201と第3プレート301とが挟持される。このとき、バネ部材76および一対のバネ部材77の引張り荷重は、ベース400に対して、第1プレート101、第2プレート201および第3プレート301が移動可能に設定する。
図6に示すように、第2プレート201は、略長方形であり、長辺がY軸に沿い、短辺がX軸に沿って配置される。第2プレート201は、第1弾性部材231、接続部241、開口部276,281、一対の開口部277を有している。第1弾性部材231は、第2プレート201と第3プレート301とを接続する。また、第1のアクチュエーター110としてのアクチュエーター111,112,113は、第2プレート201を正負のZ方向に貫通して配置される。
第1弾性部材231は、長手方向がY軸に沿う単板の板バネであって、幅方向がZ軸に沿い、板厚方向がX軸に沿って配置される。第1弾性部材231の長手方向の長さは、第2プレート201の長辺よりも短く、短辺よりも長い。上記の配置により、第1弾性部材231は、正負のX方向に弾性変形可能である。第1弾性部材231は、長手方向の略中央が接続部241を介して第2プレート201に接続、固定される。第1弾性部材231の長手方向の両端部は、第3プレート301の後述する当接部を介して第3プレート301に接続される。これにより、第1弾性部材231は、第2プレート201と第3プレート301とを接続する。
このとき、第1弾性部材231は、第2プレート201の正のX方向側の長辺近傍に配置される。また、第1プレート101は、第1弾性部材231を避けて第2プレート201と重ねられる。このように、第1弾性部材231は、最小限の設置スペースで配置されている。
本実施形態では、第1弾性部材231として、単板の板バネ、所謂薄板バネを用いているが、これに限定されない。第1弾性部材231としては、第2プレート201と第3プレート301を接続し、正負のX方向に対して弾性変形が可能であれば、重ね板バネなどの他の板バネ、コイルバネ、皿バネなどのバネやゴム材などの他の弾性部材を用いてもよい。これらの弾性部材の中でも、設置に要するスペースが比較的に小さいという観点から、板バネを用いることが好ましい。
開口部281は、第2プレート201を貫通する略矩形状の窓である。開口部281は、第1プレート101の載置部71に載置される青色用表示パネル40Bと、正のZ方向からの平面視で重なる位置に設けられている。そのため、青色用表示パネル40Bによって変調された光は、第2プレート201で遮られずに射出される。
第1のアクチュエーター110のうち、第1アクチュエーターとしてのアクチュエーター111は、正のZ方向からの平面視で、開口部281、換言すれば載置部71に対して、一方の側である正のY方向側に配置されている。第1のアクチュエーター110のうち、第2アクチュエーターとしてのアクチュエーター112、および第3アクチュエーターとしてのアクチュエーター113は、正のZ方向からの平面視で、載置部71に対して他方の側である負のY方向側に配置されている。換言すれば、アクチュエーター112,113は、載置部71に対してアクチュエーター111と反対側に位置している。また、アクチュエーター112,113は、正負のX方向に沿って並んで配置されている。すなわち、アクチュエーター111とアクチュエーター112,113とは、正のZ方向からの平面視で載置部71を挟み、正負のY方向に対向して配置される。
開口部276および一対の開口部277は、第2プレート201を貫通する開口であり、バネ部材76および一対のバネ部材77のコイル外形よりも大きく形成されている。正のZ方向からの平面視で、開口部276はバネ部材76と対応する位置に設けられ、一対の開口部277は一対のバネ部材77と対応する位置に設けられている。これにより、青色用調整機構70が組み立てられると、開口部276および一対の開口部277を通って、バネ部材76および一対のバネ部材77が配置される。
図7に示すように、第3プレート301は、略長方形であり、長辺がY軸に沿い、短辺がX軸に沿って配置される。第3プレート301は、第2弾性部材332および第3弾性部材333、一対の当接部351,352、開口部381,391、一対の開口部377,392を有している。また、第2のアクチュエーター210としての、アクチュエーター211,212は、第3プレート301の負のZ方向側に配置されている。
当接部351,352は、略平板状の第3プレート301から正のZ方向へ突出したリブ状の突起である。当接部351,352は、第3プレート301の正負のY方向である長手方向の両端部に設けられている。詳しくは、当接部351が正のY方向側に、当接部352が負のY方向側に、それぞれ設けられている。
当接部351,352は対を成し、第1弾性部材231の両端部がそれぞれ接続される。これにより、第1弾性部材231は、一対の当接部351,352を介して第3プレート301と接続される。また、第1弾性部材231は、正負のY方向における、一対の当接部351,352に挟まれた位置にある接続部241を介して、第2プレート201と接続される。
第2弾性部材332および第3弾性部材333は、長手方向がX軸に沿う単板の板バネであって、幅方向がZ軸に沿い、板厚方向がY軸に沿って配置される。第2弾性部材332および第3弾性部材333は、略同様の形状であって、長手方向の長さは、第3プレート301の短辺よりも短い。上記の配置により、第2弾性部材332および第3弾性部材333は、正負のY方向に対して弾性変形する。
第2弾性部材332は、第3プレート301における正のY方向側の短辺近傍に配置される。第2弾性部材332は、一端が当接部351に接続され、他端がベース400の後述する接続部に接続される。第3弾性部材333は、第3プレート301における負のY方向側の短辺近傍に配置される。第3弾性部材333は、一端が当接部352に接続され、他端がベース400の後述する接続部に接続される。第2弾性部材332および第3弾性部材333は、正負のY方向に対向して略平行に設けられる。第2弾性部材332および第3弾性部材333は、第3プレート301とベース400とを接続して、ベース400に対する第3プレート301の移動を正負のY方向に規制する。
青色用調整機構70が組み立てられると、第2プレート201は、第2弾性部材332および第3弾性部材333を避けて第3プレート301と重ねられる。そのため、第2弾性部材332および第3弾性部材333は、最小限の設置スペースで配置される。
本実施形態では、第2弾性部材332および第3弾性部材333として、単板の板バネ、所謂薄板バネを用いているが、これに限定されない。第2弾性部材332および第3弾性部材333としては、上述した第1弾性部材231と同様な弾性部材を用いてもよい。上述した弾性部材の中でも、設置に要するスペースが比較的に小さいという観点から、板バネを用いることが好ましい。
開口部381は、第3プレート301を貫通する略矩形状の窓である。開口部381は、第1プレート101の載置部71に載置される青色用表示パネル40Bと、正のZ方向からの平面視で重なる位置に設けられている。そのため、青色用表示パネル40Bによって変調された光は、第3プレート301で遮られずに射出される。
開口部391、一対の開口部377,392は、第3プレート301を貫通する開口である。開口部391は、正のZ方向からの平面視で、アクチュエーター111およびバネ部材76と対応する位置に設けられている。開口部391は、アクチュエーター111におけるXY平面と平行な断面の形状と、バネ部材76のコイル外形とを合わせた形状よりも大きく形成されている。そのため、開口部391は、青色用調整機構70が組み立てられると、アクチュエーター111の逃げになると共に、バネ部材76を通すことが可能となる。
一対の開口部377は、正のZ方向からの平面視で、一対のバネ部材77と対応する位置に設けられている。一対の開口部377は、一対のバネ部材77のコイル外形よりも大きく形成されている。そのため、一対の開口部377は、青色用調整機構70が組み立てられると、バネ部材77を各々通すことが可能となる。
一対の開口部392は、正のZ方向からの平面視で、アクチュエーター112,113と対応する位置に設けられている。一対の開口部392は、アクチュエーター112,113におけるXY平面と平行な断面の形状よりも、各々大きく形成されている。そのため、一対の開口部392は、青色用調整機構70が組み立てられると、アクチュエーター112,113の逃げとなる。
アクチュエーター211,212は、第3プレート301の負のZ方向側に設けられて対を成している。一対のアクチュエーター211,212は、正のZ方向からの平面視で、一対の当接部351,352および第1弾性部材231と正負のX方向に対向して配置される。アクチュエーター211は、第1直動部a1を有し、アクチュエーター212は第2直動部a2を有している。換言すれば、第2のアクチュエーター210は、第1直動部a1および第2直動部a2を有している。第1直動部a1および第2直動部a2が、第2プレート201に対して当接する。
図8に示すように、ベース400は、略長方形であり、長辺がY軸に沿って配置される。ベース400は、接続部451,452、偏光板405、開口部491,494、一対の開口部477,492を有している。また、第3のアクチュエーター310は、ベース400を正負のZ方向に貫通して配置される。
接続部451,452は、略平板状のベース400から正のZ方向へ突出した柱状の突起であり、対を成している。接続部451,452は、ベース400における負のX方向側の長辺にあって、該長辺の両端部に設けられている。詳しくは、接続部451が正のY方向側に、接続部452が負のY方向側に、それぞれ設けられている。接続部451には、第2弾性部材332の端部が接続される。接続部452には、第3弾性部材333の端部が接続される。
偏光板405は、正のZ方向からの平面視で、青色用表示パネル40Bと重なる位置に設けられている。偏光板405は、青色用表示パネル40Bの出射側偏光素子である。青色用表示パネル40Bで変調された光は、偏光板405を介して射出される。
開口部491,494、一対の開口部477,492は、ベース400を貫通する開口である。開口部491は、正のZ方向からの平面視で、アクチュエーター111,211およびバネ部材76と対応する位置に設けられている。開口部491は、アクチュエーター111,211におけるXY平面と平行な断面の形状と、バネ部材76のコイル外形とを合わせた形状よりも大きく形成されている。そのため、開口部491は、青色用調整機構70が組み立てられると、アクチュエーター111,211の逃げになると共に、バネ部材76を通すことが可能となる。
一対の開口部477は、正のZ方向からの平面視で、一対のバネ部材77と対応する位置に設けられている。一対の開口部477は、一対のバネ部材77のコイル外形よりも大きく形成されている。そのため、一対の開口部477は、青色用調整機構70が組み立てられると、バネ部材77を各々通すことが可能となる。
一対の開口部492は、正のZ方向からの平面視で、アクチュエーター112,113と対応する位置に設けられている。一対の開口部492は、アクチュエーター112,113におけるXY平面と平行な断面の形状よりも、各々大きく形成されている。そのため、一対の開口部492は、青色用調整機構70が組み立てられると、それぞれアクチュエーター112,113の逃げとなる。
開口部494は、正のZ方向からの平面視で、アクチュエーター212と対応する位置に設けられている。開口部494は、アクチュエーター212におけるXY平面と平行な断面の形状よりも大きく形成されている。そのため、開口部494は、青色用調整機構70が組み立てられると、アクチュエーター212の逃げとなる。
次に、第1のアクチュエーター110、第2のアクチュエーター210および第3のアクチュエーター310の構成について、図9を参照して説明する。図9は、アクチュエーターの構成を示す模式断面図である。ここで、第1のアクチュエーター110、第2のアクチュエーター210および第3のアクチュエーター310は、青色用調整機構70において配置される部位および方向は異なるものの、同様の構成を有している。そのため、図9では、第1のアクチュエーター110のうちのアクチュエーター111を代表例として示す。なお、図9では、アクチュエーター111における、YZ平面と平行で、後述する直動部の中心を通る断面を示している。
図9に示すように、アクチュエーター111は、駆動部171、円盤部材173、リードスクリュー175、ナット部177、直動部aを有している。アクチュエーター111は、略直方体であって、青色用表示パネル40Bの位置を移動させる駆動源である。
正のZ方向からの平面視で、アクチュエーター111の略中央には、ナット部177が配置される。ナット部177は、一部がアクチュエーター111の正のZ方向側の面から突出している。これに対して、ナット部177の負のZ方向側は、アクチュエーター111の内部に没入している。ナット部177には、正負のZ方向を穿つ円柱状の貫通孔が設けられている。該貫通孔における負のZ方向側には、内面に雌ネジが設けられている。
ナット部177における貫通孔の正のZ方向側には、直動部aが嵌合している。直動部aは正のZ方向側が、ナット部177から突出している。すなわち、直動部aの正のZ方向側の先端は、アクチュエーター111の正のZ方向側へ突出している。直動部aにおけるナット部177から突出する先端の部分は、上記貫通孔に嵌合する部分よりも大きい。そのため、直動部aは、図9に図示した状態から、ナット部177に対して負のZ方向へさらに没入することはない。直動部aの上記先端は、曲面に成形され、図4に示した第1プレート101における負のZ方向側の面に当接する。
直動部aの負のZ方向側には、リードスクリュー175が配置されている。リードスクリュー175は、Z軸と平行な直線に対して回転対称な形状を有し、Z軸に沿って配置される軸を有している。該軸において、正負のZ方向の略中央には鍔部が設けられ、この鍔部から正のZ方向側には雄ネジが設けられている。これにより、リードスクリュー175の雄ネジとナット部177の雌ネジとが螺合して、ナット部177にリードスクリュー175の軸の一部がはめ込まれている。
リードスクリュー175の鍔部には、正のZ方向側に円盤部材173が嵌合して、固定されている。円盤部材173は、正のZ方向からの平面視で、中心に円形の開口を有する円盤であって、該開口をリードスクリュー175の軸が貫通している。円盤部材173は、XY平面に沿って配置される。ナット部177の貫通孔における中心軸と、リードスクリュー175および円盤部材173の回転対称な軸とは一致する。そのため、円盤部材173が該軸を中心にして回転すると、リードスクリュー175も回転する。リードスクリュー175の雄ネジはナット部177の雌ネジと螺合している。ナット部177は、リードスクリュー175の回転と同調する回転が規制されているため、リードスクリュー175の回転により、ナット部177が正負のZ方向に移動する。
正のZ方向からの平面視で、円盤部材173における外周付近には、駆動部171が当接している。駆動部171は、圧電素子であって、電圧が印加されることにより逆圧電効果が発現する。逆圧電効果によって、円盤部材173は、駆動部171から円周方向に回転する力を受ける。電圧を印加することにより、駆動部171は、円盤部材173を回転させることが可能である。また、駆動部171は、印加する電圧を逆電位とすることにより、円盤部材173を上記と逆回転させることも可能である。駆動部171には、信号配線および電源配線が接続される。信号配線は、プロジェクター1の図示しない制御部に接続される。制御部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。電源配線は、プロジェクター1の図示しない電源部に接続される。
以上の構成により、正のZ方向からの平面視で、駆動部171が円盤部材173を時計回りに回転させると、リードスクリュー175も同方向に回転する。そのため、ナット部177は、貫通孔がリードスクリュー175の軸と螺合しながら正のZ方向に移動する。これにより、ナット部177が直動部aごと突出する。すなわち、駆動部171の作動を制御することにより、正のZ方向における、直動部aの先端の突出量、換言すれば移動量が変化する。
一方、正のZ方向からの平面視で、駆動部171が円盤部材173を反時計回りに回転させると、リードスクリュー175も同方向に回転する。そのため、ナット部177は、貫通孔がリードスクリュー175の軸と螺合しながら負のZ方向に移動する。これにより、ナット部177が直動部aごとアクチュエーター111内に没入するように移動する。すなわち、駆動部171の作動を制御することにより、負のZ方向における、直動部aの先端の突出量が変化する。これらによって、アクチュエーター111の直動部aは、正負のZ方向に直動することが可能である。
なお、アクチュエーター111以外の第1のアクチュエーター110、第2のアクチュエーター210および第3のアクチュエーター310においても、上述した作用は同様であり説明を省略する。
本実施形態では、圧電素子を駆動源とするアクチュエーター111を例示したが、これに限定されない。第1のアクチュエーター110、第2のアクチュエーター210および第3のアクチュエーター310としては、電磁モーターおよびボールネジを組み合わせたもの、ボイスコイルモーター、ソレノイドアクチュエーターなどを採用してもよい。
以上に述べたように、青色用調整機構70は上記の構成を有している。上述した通り、赤色用表示パネル40Rが搭載される赤色用調整機構80は、青色用調整機構70と同様な構成を有しているため、赤色用調整機構80の説明は省略する。
1.3.調整方法
次に、調整機構7における表示パネル40の位置調整方法について、青色用調整機構70および青色用表示パネル40Bを例にして説明する。なお、赤色用調整機構80における赤色用表示パネル40Rの位置調整方法は、青色用調整機構70と同様であるため説明を省略する。
1.3.1.θxθyZの3軸調整方法
第1ステージ100におけるθxθyZの3軸の調整方法について、図10A、図10B、図10Cを参照して説明する。図10Aは、Zの1軸調整方法を示す模式図である。図10Bは、θxの1軸調整方法を示す模式図である。図10Cは、θyの1軸調整方法を示す模式図である。ここで、図10A、図10Bおよび図10Cでは、第2プレート201、および第2プレート201に搭載される第1のアクチュエーター110のみを図示し、その他の構成は図示を省略している。
図10Aに示すように、第1のアクチュエーター110としての、3個のアクチュエーター111,112,113は、正のZ方向からの平面視で、開口部281を挟んで三角形の各頂点に配置される。アクチュエーター111,112,113では、各直動部aの先端が正のZ方向を向いて配置される。3個の直動部aの先端は、第2プレート201の正のZ方向側に位置する、図示しない第1プレート101に対して、Z軸に沿う方向のうちの、第1の方向としての負のZ方向から当接する。3個のアクチュエーター111,112,113の各直動部aは、上述した通り、正負の方向に直動する。
3個のアクチュエーター111,112,113の各々の直動部aを、正負のZ方向に等しい突出量だけ直動させると、各直動部aが当接する第1プレート101が、第2プレート201に対して正負のZ方向に移動する。これにより、Zの1軸に係る位置調整が可能となる。
3個のアクチュエーター111,112,113は、個別に作動可能である。そのため、3個の直動部aにおける正負のZ方向における突出量を、個別に変えることも可能である。
図10Bに示すように、第1アクチュエーターとしてのアクチュエーター111の直動部aに対して相対的に、第2アクチュエーターとしてのアクチュエーター112の直動部aと、第3アクチュエーターとしてのアクチュエーター113の直動部aと、を正負のZ方向に等しい突出量だけ作動させる。これにより、第1プレート101が、第2プレート201に対してθx方向に移動する。
ここでいう、アクチュエーター111の直動部aに対して相対的に、とは、以下の3つの場合のいずれかを指している。1つは、アクチュエーター111の直動部aを固定して、アクチュエーター112,113の各直動部aを直動させる場合である。もう1つは、アクチュエーター111の直動部aの直動させる方向と反対方向にアクチュエーター112,113の直動部aを直動させる場合である。さらにもう1つは、アクチュエーター111の直動部aを直動させる方向と同方向に、アクチュエーター111の直動部aの突出量を超えて、アクチュエーター112,113の各直動部aを直動させる場合である。
また、3個のアクチュエーター111,112,113の各直動部aにおける、青色用表示パネル40Bの幾何中心からの距離と方向、換言すれば各直動部aの座標点に応じて突出量が決定されることがより好ましい。
詳しくは、アクチュエーター111,112,113の各直動部aの先端と第1プレート101との接点が形成する、破線で図示した三角形は、XY平面に沿って配置される。正のZ方向からの平面視で、上記三角形の内側には、青色用表示パネル40Bの幾何中心が位置する。上記θx方向への移動は、上記三角形のθx方向への回転となる。したがって、アクチュエーター112,113の各直動部aを正のZ方向に等しい突出量だけ直動させると、上記θx方向への移動は、負のX方向から見て反時計回りの回転となる。
これに対して、アクチュエーター112,113の各直動部aを負のZ方向に等しい突出量だけ直動させると、上記θx方向への移動は、負のX方向から見て時計回りの回転となる。これにより、θxの1軸に係る位置調整が可能となる。
図10Cに示すように、アクチュエーター111の直動部aに対して相対的に、アクチュエーター112の直動部aと、アクチュエーター113の直動部aと、を、正負のZ方向における、互いに反対の方向に直動させることにより、第1プレート101が、第2プレート201に対してθy方向に移動する。ここでいう、アクチュエーター111の直動部aに対して相対的に、とは、上記と同様に、アクチュエーター111の直動部aの突出量に対するアクチュエーター112,113の各直動部aの突出量を指すものであり、アクチュエーター111の直動部aを固定する場合に限定されない。
詳しくは、上記θy方向への移動は、上記の破線で図示した三角形のθy方向への回転となる。つまり、アクチュエーター112の直動部aを負のZ方向に直動させ、アクチュエーター113の直動部aを正のZ方向に直動させると、上記θy方向への移動は、正のY方向から見て反時計回りの回転となる。この状態が図10Cに示されている。
これに対して、アクチュエーター112の直動部aを正のZ方向に直動させ、アクチュエーター113の直動部aを負のZ方向に直動させると、上記θy方向への移動は、正のY方向から見て時計回りの回転となる。これにより、θyの1軸に係る位置調整が可能となる。
上述した、Zの1軸調整、θxの1軸調整、θyの1軸調整を組み合わせて行うことによって、第1プレート101におけるθxθyZの3軸の位置調整が成される。ここで、第2プレート201は、図4に示した、第3プレート301を介してベース400に接続されている。ベース400は、クロスダイクロイックプリズム50に固定されている。さらに、クロスダイクロイックプリズム50は、投射レンズ60に固定されている。
したがって、上述した第1プレート101における、第2プレート201に対する移動は、クロスダイクロイックプリズム50および投射レンズ60に対する移動となる。これによって、第1プレート101に搭載された青色用表示パネル40Bの位置が、クロスダイクロイックプリズム50および投射レンズ60に対して移動されて、θxθyZの3軸の位置調整が成される。換言すれば、第1プレート101が、正負のZ方向、θx方向およびθy方向に移動することにより、投射レンズ60に対する青色用表示パネル40Bの位置が変化して、青色用表示パネル40Bに対する投射レンズ60のフォーカスが調整される。
1.3.2.YXθzの3軸調整方法
本実施形態の調整機構7におけるYXθzの3軸の調整は、第2ステージ200と第3ステージ300との間のXθzの2軸の調整、および第3ステージ300とベース400との間のYの1軸の調整を含む。
まず、第2ステージ200および第3ステージ300におけるXθzの2軸の調整方法について、図11A、図11B、図12Aおよび図12Bを参照して説明する。図11Aおよび図11Bは、第3プレートおよび第3プレートに載置された第2プレートを示す斜視図である。図12Aは、Xの1軸調整方法を示す模式平面図である。図12Bは、θzの1軸調整方法を示す模式平面図である。なお、図11Bは、第2プレート201および第3プレート301を、図11Aの裏面側である負のZ方向側から見た状態を示している。また、図12Aおよび図12Bでは、各構成を、正のZ方向から見た平面視にて模式的に示している。
図11Aに示すように、第3プレート301と第2プレート201とが組み立てられると、第1弾性部材231を介して、第2プレート201の接続部241と、第3プレート301の一対の当接部351,352とが接続される。
第1弾性部材231は、第2のアクチュエーター210の第1直動部a1および第2直動部a2が直動していない初期の状態において、X軸に沿う一方の方向である正のX方向にプリロードが掛けられている。詳しくは、第1弾性部材231は、長手方向の略中央が接続部241に接続され、長手方向の両端部が、各々当接部351,352に接続される。第1弾性部材231において、接続部241に接続される位置は、正のY方向から見て、当接部351,352に接続される位置よりも正のX方向よりとなる。そのため、正のZ方向からの平面視で、第1弾性部材231は、接続部241に接続される位置を頂点として、正のX方向へ凸状に湾曲して配置される。
図11Bに示すように、第3プレート301の開口部391から、第2プレート201の凸部261が負のZ方向へ突出して配置される。第3プレート301の開口部393から、第2プレート201の凸部262が負のZ方向へ突出して配置される。
第1直動部a1および第2直動部a2は、正のX方向を向いて配置されて、第2プレート201に対して当接する。詳しくは、アクチュエーター211の第1直動部a1は、X軸に沿う他方の方向である負のX方向から、第2プレート201の凸部261に当接する。アクチュエーター212の第2直動部a2は、負のX方向から、第2プレート201の凸部262に当接する。
第1直動部a1および第2直動部a2の各々は、正のX方向に突出することによって、凸部261,262を介して第2プレート201を正のX方向に押圧する。ここで、開口部391,393は、正のZ方向からの平面視で、凸部261,262が第1直動部a1および第2直動部a2の押圧によって正負のX方向に移動可能な大きさに形成されている。
図12Aに示すように、正のZ方向からの平面視で、第1弾性部材231と一対のアクチュエーター211,212とは、正負のX方向に対向して配置される。第1直動部a1および第2直動部a2が正のX方向に等しい突出量だけ直動して凸部261,262を押圧すると、第1直動部a1および第2直動部a2の各突出量が等しくなる。そのため、第2プレート201は、第1弾性部材231の弾性反発に抗して正のX方向に移動する。
これに対して、上記の第2プレート201が正のX方向に移動した状態から、第1直動部a1および第2直動部a2の突出量が減衰されると、第2プレート201は、第1弾性部材231の弾性反発により負のX方向に移動する。これにより、第3プレート301に対して、第2プレート201が正負のX方向に移動する。これにより、Xの1軸に係る位置調整が可能となる。
ここで、第1弾性部材231は、正のX方向にプリロードが掛けられているため、プリロードが掛けられていない場合と比べて、第1弾性部材231における遊びが減少する。これによって、第1直動部a1および第2直動部a2の直動、すなわち突出に対して、第2プレート201の移動の応答性を向上させることができる。
ここで、一対のアクチュエーター211,212は、個別に作動可能である。そのため、第1直動部a1および第2直動部a2における正負のX方向における突出量を、個別に設定することも可能である。
第1直動部a1の正負のX方向における突出量と、第2直動部a2の正負のX方向における突出量とを異ならせると、第2プレート201が、第3プレート301に対して時計回りまたは反時計回りのθz方向に移動する。
詳しくは、図12Bに示すように、アクチュエーター211を固定して作動させず、アクチュエーター212の第2直動部a2を正のX方向に直動させると、アクチュエーター212の第2直動部a2が凸部262を介して第2プレート201を正のX方向に押圧する。これにより、第2プレート201は、正のZ方向からの平面視で、第3プレート301に対して反時計回りのθz方向に移動する。
これに対して、アクチュエーター212を固定して作動させず、アクチュエーター211の第1直動部a1を正のX方向に直動させると、アクチュエーター211の第1直動部a1が凸部261を介して第2プレート201を正のX方向に押圧する。これにより、第2プレート201は、正のZ方向からの平面視で、第3プレート301に対して時計回りのθz方向に移動する。以上により、θzの1軸に係る位置調整が可能となる。
ここで、第1直動部a1の正負のX方向における突出量と、第2直動部a2の正負のX方向における突出量とを異ならせる方法は、アクチュエーター211,212の片方を作動させないことに限定されない。上記の2つの突出量を異ならせるには、アクチュエーター211,212の両方を作動させて突出量を異ならせてもよい。
次に、第3ステージ300およびベース400におけるYの1軸の調整方法について、図13および図14を参照して説明する。図13は、ベースおよびベースに載置された第3プレートを示す斜視図である。図14は、Yの1軸調整方法を示す模式平面図である。なお、図14では、各構成を、正のZ方向から見た平面視にて模式的に示している。
図13に示すように、ベース400と第3プレート301とが組み立てられると、第2弾性部材332および第3弾性部材333を介して、当接部351と接続部451とが接続され、当接部352と接続部452とが接続される。これにより、第2弾性部材332および第3弾性部材333は、ベース400と第3プレート301とを接続すると共に、ベース400に対して、第3プレート301の移動を正負のY方向に規制する。
第2弾性部材332は、第3のアクチュエーター310によって第3プレート301が押圧されない初期の状態において、正のY方向にプリロードが掛けられている。詳しくは、負のX方向から見て、当接部351における、第2弾性部材332の一端が接続される位置は、接続部451における、第2弾性部材332の他端が接続される位置よりも正のY方向よりとなる。
第3弾性部材333は、第3のアクチュエーター310によって第3プレート301が押圧されない初期の状態において、正のY方向にプリロードが掛けられている。詳しくは、負のX方向から見て、当接部352における、第3弾性部材333の一端が接続される位置は、接続部452における、第3弾性部材333の他端が接続される位置よりも正のY方向よりとなる。
上述したプリロードによって、第2弾性部材332および第3弾性部材333は、上記初期の状態において、正のZ方向からの平面視で略S字状に湾曲して配置される。
図14に示すように、正のZ方向からの平面視で、第3のアクチュエーター310の直動部aは、正負のY方向に直動可能に配置される。該直動部aが負のY方向から第3プレート301に当接して押圧すると、第3プレート301は、第2弾性部材332および第3弾性部材333の弾性反発に抗して正のY方向へ移動する。
これに対して、上記の第3プレート301が正のY方向に移動した状態から、第3のアクチュエーター310における直動部aの突出が減衰されると、第3プレート301は、第2弾性部材332および第3弾性部材333の弾性反発により負のY方向に移動する。これにより、ベース400に対して、第3プレート301が正負のY方向に移動する。これにより、Yの1軸に係る位置調整が可能となる。
ここで、第2弾性部材332および第3弾性部材333は、正のY方向にプリロードが掛けられているため、プリロードが掛けられていない場合と比べて、第2弾性部材332および第3弾性部材333における遊びが減少する。これによって、各直動部aの直動に対して第3プレート301の移動の応答性を向上させることができる。
上述した、Yの1軸調整、Xの1軸調整、θzの1軸調整を組み合わせて行うことによって、第2プレート201におけるYXθzの3軸の位置調整が成される。第2プレート201には、第1プレート101を介して青色用表示パネル40Bが搭載されている。そのため、ベース400に対して、青色用表示パネル40BのYXθzの3軸の位置調整が成される。すなわち、青色用表示パネル40Bの位置が、クロスダイクロイックプリズム50および投射レンズ60に対して移動されて、YXθzの3軸の位置調整が成される。これにより、青色用表示パネル40Bと他の表示パネル40と間の画素ずれ調整が成される。
以上に述べた青色用調整機構70の構成により、青色用表示パネル40Bの位置を、θxθyZおよびYXθzの6軸で調整することができる。上述した通り、赤色用表示パネル40Rが搭載される赤色用調整機構80は、青色用調整機構70と同様な構成を備えている。そのため、赤色用調整機構80によって、青色用表示パネル40Bの位置も、θxθyZおよびYXθzの6軸で調整することができる。
したがって、赤色用調整機構80における、図示しない第1プレート、第2プレートおよび第3プレートの移動によって、赤色用表示パネル40Rの位置が変化し、青色用調整機構70における第1プレート101、第2プレート201および第3プレート301の移動によって、青色用表示パネル40Bの位置が変化する。これにより、プロジェクター1において、緑色用表示パネル40Gに対して、赤色用表示パネル40Rおよび青色用表示パネル40Bの位置決めが成されて、フォーカス調整および画素ずれ調整を行うことが可能となる。
なお、本実施形態では、青色用表示パネル40Bからベース400に向かって、θxθyZの3軸調整を担う第1ステージ100、Xθzの2軸調整を担う第2ステージ200、Yの1軸調整を担う第3ステージ300の順に配置した構成を例示したが、これに限定されない。
以上に述べたように、本実施形態に係る、調整機構7によれば、以下の効果を得ることができる。
プロジェクター1における、青色用表示パネル40Bおよび赤色用表示パネル40Rの位置を、θxθyZおよびYXθzの6軸で調整することができる。
第1ステージ100によってθxθyZの3軸が調整されて、青色用表示パネル40Bに対する投射レンズ60のフォーカスを調整することができる。また、第2ステージ200および第3ステージ300によってYXθzの3軸が調整されて、青色用表示パネル40Bと他の表示パネル40との間の画素ずれを調整することができる。したがって、表示パネル40に係るフォーカス調整と画素ずれ調整とが可能なプロジェクター1を提供することができる。
第1プレート101が、第2プレート201および第3プレート301よりも青色用表示パネル40Bの近くに配置されるため、YXθzの3軸にて画素ずれを調整しても、θxθyZの3軸に係るフォーカスがずれることがなくなる。すなわち、フォーカス調整と画素ずれ調整とを、各々独立して行うことができる。
製造工程における調整に限らず、経年変化や使用環境などの影響により、フォーカス調整および画素ずれ調整が必要となった場合に、調整機構7を用いて調整することが可能となる。すなわち、プロジェクター1から投射される画像などの品質を、長期間に亘って良好に維持することができる。
緑色用表示パネル40Gに対して、赤色用表示パネル40Rおよび青色用表示パネル40Bの位置が調整される。すなわち、緑色用表示パネル40G、赤色用表示パネル40Rおよび青色用表示パネル40Bの3個の表示パネルを備えたプロジェクター1において、緑色用表示パネル40Gを基準として位置を調整することができる。
第1弾性部材231、第2弾性部材332および第3弾性部材333として板バネを採用しているため、ガイドが不要となる。これによって、調整機構7における正負のZ方向の厚さを薄くすることができる。
第1のアクチュエーター110、第2のアクチュエーター210および第3のアクチュエーター310は、駆動部171として圧電素子を採用している。そのため、アクチュエーターにおいて、小型化および軽量化が容易となる。したがって、複数のアクチュエーターを備えながらも、調整機構7を小型かつ軽量なものとすることができる。また、プロジェクター1も小型化および軽量化することが容易となる。
以下に、実施形態から導き出される内容を記載する。
調整機構は、表示パネルが搭載され、表示パネルの位置を調整する調整機構であって、載置部を有し、載置部に表示パネルが載置されるプレートと、プレートに当接し、プレートを移動させるために設けられた第1アクチュエーター、第2アクチュエーターおよび第3アクチュエーターと、を備え、第1アクチュエーター、第2アクチュエーターおよび第3アクチュエーターの各々は、所定の方向に直動する直動部を備え、第1アクチュエーターは、載置部に対して一方の側に配置され、第2アクチュエーターおよび第3アクチュエーターは、載置部に対して第1アクチュエーターと反対側に位置するように、載置部に対して他方の側に配置される。
この構成によれば、表示パネルの位置を3軸で調整することができる。詳しくは、載置部を囲む三角形の頂点に3個のアクチュエーターが配置される。そのため、3個のアクチュエーターの直動部を個別に作動させることによって、3個のアクチュエーターにおける相対的な移動量が変化して、プレートおよび載置部の位置が調整され、表示パネルの位置の3軸調整が成される。したがって、プロジェクターなどにおける表示パネルの位置を、3軸で調整する調整機構を提供することができる。
上記の調整機構において、表示パネルの載置部に載置された状態において、表示パネルの表示面と平行となる面を基準面としたとき、基準面に直交する座標軸をZ軸とし、基準面内において互いに直交する座標軸をX軸およびY軸とし、直動部は、Z軸に沿う方向のうちの第1の方向からプレートに対して当接し、直動部は、Z軸に沿う方向に直動することが好ましい。
この構成によれば、表示パネルの位置を、Z軸を含む3軸で調整することができる。
上記の調整機構において、X軸周りの回転方向をθx方向とし、Y軸周りの回転方向をθy方向とし、Z軸周りの回転方向をθz方向としたとき、第1アクチュエーターと、第2アクチュエーターおよび第3アクチュエーターとは、載置部を挟んで、Y軸に沿う方向に対向して配置され、第1アクチュエーター、第2アクチュエーターおよび第3アクチュエーターの各々の直動部をZ軸に沿う同方向に直動させることにより、プレートがZ軸に沿う方向に移動することが好ましい。
この構成によれば、3個のアクチュエーターを個別に作動させて、3個のアクチュエーターにおける相対的な移動量が変えられる。すなわち、表示パネルの位置を、Z軸に沿う方向に調整することができる。
上記の調整機構において、第1アクチュエーターの直動部に対して相対的に、第2アクチュエーターの直動部と、第3アクチュエーターの直動部と、を、Z軸に沿う同方向に直動させることにより、プレートがθx方向に移動することが好ましい。
この構成によれば、3個のアクチュエーターを個別に作動させて、3個のアクチュエーターにおける相対的な移動量が変えられる。すなわち、表示パネルの位置を、θx方向に調整することができる。
上記の調整機構において、第1アクチュエーターの直動部に対して相対的に、第2アクチュエーターの直動部と、第3アクチュエーターの直動部と、を、Z軸に沿う、互いに反対の方向に直動させることにより、プレートがθy方向に移動することが好ましい。
この構成によれば、3個のアクチュエーターを個別に作動させて、3個のアクチュエーターにおける相対的な移動量が変えられる。すなわち、表示パネルの位置を、θy方向に調整することができる。