JP2020134765A - 積層吸音材 - Google Patents

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嘉隆 伊藤
敦史 宮田
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敦史 宮田
英生 大田
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英生 大田
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Abstract

【課題】1000Hz〜4000Hzの周波数範囲の音波の吸音率が高く、吸音性に優れた吸音材を提供する。【解決手段】多孔質基材13と、多孔質基材の少なくとも1つの表面に、直接又は他の層を介して設けられた熱融着層12とを、含む積層吸音材であって、熱融着層の厚みは、20μm以下であり、積層吸音材の熱融着層を介した通気度が、1cm3/cm2/s以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、多孔質基材と、前記多孔質基材の少なくとも一つの表面に、直接又は他の層を介して設けられた熱融着層を含む、積層吸音材に関する。
一般に人間の耳は、およそ1000〜3500Hzの範囲の音に対して、最も感度が高い。従って、前記周波数の騒音に対して、耳障りに感じるため、前記周波数の音を吸音し、騒音を排除できる吸音材が求められている。従来、吸音材として、フェルトや樹脂繊維体の表面に熱融着性のフィルム層を設けることで吸音性を改善した吸音材(特許文献1)が提案されており、さらに、軟質ウレタン発泡体にフィルムを積層し、加圧加熱することで溶融接着させた吸音材(特許文献2)が提案されている。
特開2007−34254号公報 特開平10−119220号公報
特許文献1に開示された吸音材は、1600Hz以下の低い周波数帯の音波に対して効果があることが示されているが、1600Hz以上の周波数の音波に対する評価がなされていない。
特許文献2に開示された吸音材は、特許文献2の図3によれば1000Hz〜2000Hz以下の音波に関しては高い吸音性能を示すが、2000Hzを超えると吸音率は低下し、3000Hz〜3500Hzの音波に関しては、その吸音性は著しく低下する。そのため、特許文献2に開示された吸音材は、3000Hz〜3500Hzの音波を十分に吸音できないおそれがあった。
また、特許文献1及び2に開示された吸音材は、樹脂繊維体や発泡体にフィルムを積層させた後、加圧加熱するため、溶融したフィルムが樹脂繊維体や発泡体の内部に侵入することで、フィルムに多数のピンホールが発生し、十分な吸音性能が得られないおそれもあった。
本発明の目的は、1000Hz〜4000Hzの周波数範囲の音波の吸音率が高い、吸音性に優れた吸音材を提供することである。
発明者らは、鋭意研究を行い、多孔質基材と、前記多孔質基材の少なくとも1つの表面に、直接又は他の層を介して設けられた特定の熱融着層とを含む積層吸音材が、前記課題を解決可能であることを見出し、本発明を完成させた。即ち、本発明は下記の通りである。
本発明(1)は、
多孔質基材と、前記多孔質基材の少なくとも1つの表面に、直接又は他の層(A)を介して設けられた熱融着層とを、含む積層吸音材であって、
前記熱融着層の厚みは、20μm以下であり、
前記積層吸音材の前記熱融着層を介した通気度が、1cm/cm/s以下であることを特徴とする、積層吸音材である。
本発明(2)は、
前記積層吸音材の下式(1)で表される4000Hzの周波数の音に対する吸音係数が、0.8以上1.0以下であることを特徴とする、前記発明(1)の積層吸音材である。
(式1)
(4000Hzの音に対する積層吸音材の吸音係数)=(4000Hzの音に対する積層吸音材の吸音率)÷(4000Hzの音に対する多孔質基材の吸音率)
本発明(3)は、
前記熱融着層の、140℃における第一法線応力差が、500Pa〜10,000Paであることを特徴とする、前記発明(1)又は(2)の積層吸音材である。
本発明(4)は、
前記熱融着層が、ポリエチレン−ポリ酢酸ビニル共重合体(EVA)、熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレン系熱可塑性樹脂のうち、少なくとも1つを含むことを特徴とする、前記発明(1)〜(3)のいずれかの積層吸音材である。
本発明(5)は、
前記多孔質基材が、軟質ウレタン発泡体、又は、繊維母材であることを特徴とする、前記発明(1)〜(4)のいずれかの積層吸音材である。
本発明によれば、1000Hz〜4000Hzの周波数範囲の音波の吸音率が高い積層吸音材を提供することができる。
非接触式の延伸スロットダイによるコーティング方法の一例を示す説明図(側面図)である。 非接触式の延伸スロットダイによるコーティング方法の一例を示す説明図(側面図)である。
以下、本発明の積層吸音材について詳述する。
1.積層吸音材
本発明の積層吸音材は、多孔質基材と、多孔質基材の少なくとも1つの表面に、直接又は他の層(A)を介して設けられた熱融着層とを、含む。前記熱融着層は、加熱により軟化し粘着性を示す樹脂層である。
ここで他の層(A)とは特に限定されず、例えば、繊維層、表面に凹凸加工やスリット加工を施したフィルム等の基材、空隙層等を挙げることができ、積層吸音材の用途等に応じて選択することができる。
また、熱融着層の、多孔質基材の熱融着層が設けられた表面と対向する表面に、他の層(B)を積層することができる。ここで、他の層(B)とは、特に限定されず、繊維層、表面に凹凸加工やスリット加工を施したフィルム等の基材等を挙げることができ、積層吸音材の用途等に応じて選択することができる。
積層吸音材の厚みは、特に限定されないが、例えば、5mm〜200mmであり、10〜100mmが好ましい。積層吸音材の厚みがかかる範囲にあることで、積層吸音材は、優れた吸音性を有することができる。特に、2000Hz〜4000Hzの周波数帯の音波の吸音率を優れたものとすることができる。ここで、積層吸音材の厚みとは、熱融着層の表面と、多孔質基材の、熱融着層を備えた表面に対向する表面の距離である。
1−1.多孔質基材
本発明にかかる多孔質基材は、特に限定されず、公知のものを用いることができる。
多孔質基材の材質としては、例えば、繊維体;樹脂発泡体;金属製、セラミック製、ガラス製等;の多孔質体を挙げることができる。これらのうち、軽量な繊維体や樹脂発泡体が好ましく、運搬時などに複数の積層吸音材を積層梱包した場合に、開梱後、歪が回復し、元の形状に復元するため樹脂発泡体がより好ましい。
多孔質基材の厚みは、特に限定されないが、例えば、5mm〜200mmであり、10mm〜100mmが好ましい。多孔質基材の厚みがかかる範囲にあることで、積層吸音材は、優れた吸音性を有することができる。特に、2000Hz〜4000Hzの周波数帯の音波の吸音率を優れたものとすることができる。
繊維体としては、その表面及び内部に空隙を有する繊維の集合体であればよく、特に限定されない。繊維体としては、例えば、繊維を綾織、2重織り、3重織り、畳織り、朱子織等により編み込んだ繊維体、不織布のように繊維を編み込まずに絡み合わせただけの繊維体のいずれでも良く、これらは単独で、又は、複数を所定の厚みに積層して多孔質基材として用いることができる。積層吸音材の吸音性能の観点から、特に、繊維を編み込まずに絡み合わせただけの繊維体が好適である。
繊維体の密度は、特に限定されないが、1kg/m〜500kg/mとすることができ、積層吸音材の吸音性能の観点から、5kg/m〜200kg/mが好ましく、10kg/m〜100kg/mがより好ましく、15kg/m〜50kg/mが特に好ましい。なお、繊維体の密度は、所定(約10mm)厚みでの目付kg/m2 から換算した。
繊維体に用いられる繊維は、特に限定されず、有機繊維又は無機繊維のいずれかを少なくとも含む。
有機繊維としては、公知のものを用いることができ、例えば、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール、ポリエチレンテレフタレ−ト(PET)樹脂やポリブチルテレフタレート(PBT)樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂、ポリトリブチレンテレフタレート(PTT)樹脂などのポリエステル樹脂;ポリビニルアルコ−ル(PVA);ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂;ポリ塩化ビニル樹脂;アラミド樹脂;アクリル樹脂;ポリイミド樹脂;ポリパラフェニレンベンズオキサゾール(PBO)繊維;セルロース;ビニロン;ナイロン;レ−ヨン;アラミド;フェノ−ル系繊維;フッ素繊維;パルプ(繊維);ケナフ;麻;竹繊維;蚕糸;等の有機繊維を挙げることができる。
無機繊維としては、ステンレス鋼繊維、ニッケル繊維、銅繊維、アルミニウム繊維、銀繊維、金繊維、チタン繊維等の金属繊維;ガラス繊維;炭素繊維;シリカ繊維;ロックウ−ル;スラグウ−ル;アルミナ繊維などのセラミック繊維;等を挙げることができる。
これらの繊維は、単独で、又は、複数を混ぜて用いることができる。積層吸音材の吸音性能の観点から、音波を伝播しにくい(弾性率が相対的に低い)有機繊維を含むことが好ましく、ポリエステル樹脂繊維を含むことがより好ましく、PET繊維を含むことがさらに好ましい。
本発明にかかる繊維体に用いられる繊維の繊維径は、製造に支障をきたさない限りにおいて、特に限定されず、繊維を編み込まずに絡めただけの繊維体の場合には、例えば、1μm〜50μm、好ましくは2μm〜30μm、より好ましくは3μm〜20μm、特に好ましくは4μm〜8μmとすることができる。
本発明にかかる繊維体に用いられる繊維の繊維長は、製造に支障をきたさない限りにおいて、特に限定されず、例えば、繊維を編み込まずに絡めただけの繊維体の場合には、0.1mm〜5mm、好ましくは0.5mm〜3mm、より好ましくは1mm〜2mmとすることができる。
樹脂発泡体の材質としては、特に限定されず、公知のものを用いることができる。樹脂発泡体としては、例えば、ポリウレタン発泡体、ポリエチレン発泡体やポリプロピレン発泡体等のポリオレフィン発泡体;ポリスチレン発泡体;ポリアミド発泡体;ポリエチレンテレフタレート(PET)発泡体やポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル発泡体;(メタ)アクリル発泡体;フェノール発泡体;ポリ塩化ビニル発泡体;ポリイミド発泡体;シリコーン樹脂発泡体;尿素樹脂発泡体;メラミン樹脂発泡体;エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)発泡体;スチレンブタジエンゴム(SBR)発泡体;ニトリルブタジエンゴム(NBR)発泡体;エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)発泡体;エチレン−アクリル酸共重合体発泡体;エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)発泡体;等の樹脂発泡体が挙げられる。樹脂発泡体は、スラブ発泡体及びモールド発泡体のどちらも用いることができるが、一般には、低コストを理由にスラブ発泡体が用いられる。また、これらの発泡体は、軟質発泡体、半硬質発泡体、又は、硬質発泡体のいずれも用いることができる。これらの発泡体のうち、積層吸音材の吸音性能の観点から、軟質発泡体が好ましく、軟質ポリウレタン発泡体がより好ましい。
樹脂発泡体は、連続気泡を有する。連続気泡は、セル同士が、連通貫通孔によって結合している。
樹脂発泡体の見かけの密度は、特に限定されず、例えば、1kg/m〜500kg/mとすることができ、積層吸音材の吸音性能の観点から、5kg/m〜200kg/mが好ましく、10kg/m〜100kg/mがより好ましく、15kg/m〜50kg/mが特に好ましい。
樹脂発泡体の見かけの密度の測定方法は、特に限定されないが、例えば、JIS K7222:2005「発泡プラスチック及びゴム―見掛け密度の求め方」に準拠して行うことができる。
1−2.熱融着層
本発明にかかる熱融着層の厚みは、20μm以下である。下限は特に限定されないが、例えば、0.1μm以上とすることができ、0.5μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましく、3μm以上がさらに好ましい。熱融着層の厚みがかかる範囲にあることで、本発明の積層吸音材は、優れた吸音性を有することができる。特に、2000Hz〜4000Hzの周波数帯の音波の吸音率を優れたものとすることができる。
本発明にかかる熱融着層は、加熱により溶融、粘着性が発現する樹脂材料であればよく、公知のものを用いることができる。熱融着層としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)樹脂、エチレン−アクリル酸メチル共重合体(EMA)樹脂、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)樹脂、エチレンとメタクリル酸との共重合体(EMAA)等のエチレン系樹脂;ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;スチレン−イソプレンブロック共重合体(SI)ゴム、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)ゴム、スチレン−ブタジエン−スチレン系ブロック共重合体(SBS)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン系ブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレン系ブロック共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン/エチレン/プロピレン−スチレン系ブロック共重合体(SEEPS)等のスチレン系熱可塑性樹脂;ポリアミド(ナイロン)樹脂;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂;熱可塑性ポリウレタン(TPU)樹脂;が挙げられる。これらは、単独又は、複数の混合物、共重合体及びポリマーアロイを用いることができる。これらのうち、熱融着層が、ポリエチレン−ポリ酢酸ビニル共重合体(EVA)、熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレン系熱可塑性樹脂の少なくとも1つを含むことで、本発明の積層吸音材は、優れた吸音性を有することができる。
本発明にかかる熱融着層の軟化点は、特に限定されないが、例えば、60℃以上140℃未満とすることができる。
熱融着層の軟化点の測定は、公知の方法を用いて測定することができる。軟化点の測定方法としては、JIS K6863:1994「ホットメルト接着剤の軟化点試験方法」に準拠して行うことができる。
本発明にかかる熱融着層は、140℃における第一法線応力差が、500Pa〜10,000Paとすることができ、好ましくは500Pa〜5,000Paであり、より好ましくは、1,000Pa〜3,000Paである。熱融着層の140℃における第一法線応力差がかかる範囲にある場合には、熱融着層は、ピンホールが少なく、薄い層状とすることが容易となる。そのため、積層吸音材は、優れた吸音性を有することができる。特に、2000Hz〜4000Hzの周波数帯の音波の吸音率を優れたものとすることができる。
第一法線応力差とは、高分子(樹脂)液体の粘性を示すパラメータである。高分子(樹脂)液体にせん断変形を加えた場合に、流動方向に法線応力(張力)が発生する。第一法線応力差は、この法線応力の尺度として用いられるパラメータである。その定義は流動方向の法線応力と速度勾配方向の法線応力との差をとったものである。高分子(樹脂)液体の場合、第一法線応力差はせん断速度の増加とともに上昇し、その傾きは徐々に減少する傾向がある。
本発明にかかる熱融着層の140℃における第一法線応力差の測定方法は、以下の測定条件・測定方法で求めた。140℃における第一法線応力差の測定方法としては、測定試料を平行平板で挟み込み、測定試料を140℃に加熱して溶融させ、平行平板の一方を回転させることで、せん断応力を印加した際の軸方向に働く力を測定し、下記の式1に従って算出することができる。
(式3)第一法線応力差 = 2F/πr
140℃における第一法線応力差の測定は、市販の粘弾性測定装置(レオメータ、例えば、アントンパール社製のMCR−302を用いることが可能)を用いて測定することが可能である。
前記粘弾性測定装置は、平行面が水平となるように配置した上下の平行板からなる平行平板を備えている。上側の平行板には回転モータに接続された応力伝達棒が備え付けられており、上側の平行板を水平に回転可能に配置されている。下側の平行板は固定されている。
具体的な測定方法としては、上下ともに直径20mmの平行板とする平行平板を用い、直径20mm×厚み1mmの測定試料を挟み込み、測定温度を140℃に加熱する。その後、回転モータをせん断速度が1sec.−1となるように回転させ、その際に応力伝達棒に掛かる軸方向の応力を測定する。
2.積層吸音材の特性
2−1.通気度
本発明にかかる積層吸音材の熱融着層を介した通気度は、1cm/cm/s以下である。通気度の範囲としては、0cm/cm/s〜0.5cm/cm/sが好ましく、0cm/cm/s〜0.35cm/cm/sがより好ましく、0cm/cm・s〜0.30cm/cm/sがさらに好ましく、0cm/cm/s〜0.25cm/cm/sが特に好ましい。積層吸音材の熱融着層を介した通気度が、かかる範囲にあることで、熱融着層に含まれるピンホールが少ないため、本発明の積層吸音材は、優れた吸音性を有することができる。特に、2000Hz〜4000Hzの周波数帯の音波の吸音率を優れたものとすることができる。
通気度の測定方法は、公知の方法で測定することができ、特に限定されない。例えば、JIS K6400−7:2001「軟質発泡材料・物理特性第7部 通気長の求め方」に記載の方法を用いて測定することができる。
2−2.吸音係数
積層吸音材の下式(1)で表される4000Hzの周波数の音に対する吸音係数は、0.8以上1.0以下とすることができる。かかる範囲にあることで、積層吸音材は、優れた吸音性を有することができるため好適である。特に、2000Hz〜4000Hzの周波数帯の音波の吸音率を優れたものとすることができる。
(式1)
(4000Hzの音に対する積層吸音材の吸音係数)=(4000Hzの音に対する積層吸音材の吸音率)÷(4000Hzの音に対する多孔質基材の吸音率)
積層吸音材の下式(2)で表される1000Hzの周波数の音に対する吸音係数は、1.2以上2.1以下とすることができる。かかる範囲にあることで、積層吸音材は、1000Hz〜2000Hzの周波数帯の音波の吸音率を優れたものとすることができる。
(式2)
(1000Hzの音に対する積層吸音材の吸音係数)=(1000Hzの音に対する積層吸音材の吸音率)÷(1000Hzの音に対する多孔質基材の吸音率)
積層吸音材の1000Hzの音波及び4000Hzの音波の吸音係数は、積層吸音材と多孔質基材の吸音率を測定し、式(1)及び(2)によって算出することができる。
積層吸音材及び多孔質基材の吸音率は、公知の方法で測定することができる。例えば、吸音率の測定方法としては、JIS A1405−2:2007(ISO 10534−2:1998)「音響管による吸音率及びインピーダンスの測定−第2部:伝達関数法」に準拠して測定することができる。
3.積層吸音材の製造方法
本発明の積層吸音材は、多孔質発泡体の少なくとも一つの表面に、直接又は他の層を介して、熱融着層を積層することで製造することができる。熱融着層を積層する方法としては、特に限定されず、公知の塗工方法を用いることができる。塗工方法としては、例えば、エアドクターコーティング、ブレードコーティング、ナイフコーティング、リバースコーティング、トランスファロールコーティング、グラビアロールコーティング、キスコーティング、キャストコーティング、スプレーコーティング、スロットオリフィスコーティング、カレンダーコーティング、ディップコーティング、ダイコーティング、非接触式の延伸ダイコーティング等を挙げることができる。これら塗工方法のうち、薄く、ピンホールの少ない熱融着層を形成できるため、非接触式の延伸スロットダイを用いる方法が好ましい。
図1に非接触式の延伸スロットダイを用いる塗工方法の一例を示した。加熱・溶融された熱融着層12は、ダイコーター11から所定の方向に送られる多孔質基材13上に塗工される。この方法によれば、ダイコーター11が熱融着層12を介して、多孔質基材13に接着することがない。このため、多孔質基材13上で熱融着層12にダイコーターに押される力が働ないため、多孔質基材表面に均一に塗工される。
また、図2は、非接触式の延伸スロットダイを用いる塗工方法の別の例である。この方法でも図1の方法と同様に、加熱・溶融された熱融着層22は、ダイコーター21から所定の方向に送られる多孔質基材23上に塗工される。熱融着層22は、ダイコーター21から噴出された際、温度が低下して、粘度が高くなる。多孔質基材23と、熱融着層22は、二つのローラー24によって搬送されるとともに、積層される。この方法によれば、多孔質基材23と、粘度が高くなった熱融着層22を積層した際、これらの密着度を高くすることが可能となる。
これらの方法によれば、加熱して溶融した熱融着層を多孔質基材の表面に薄く塗工することが可能となる。また、非接触式の延伸スロットダイから塗工される際に、熱融着層に力が加わらないため、溶融した熱融着層が、多孔質基材の孔に侵入しにくくなり、ピンホールの発生を抑制することができる。加熱温度としては、熱融着材の軟化点の10℃〜30℃高い温度に加熱される。
4.積層吸音材の用途
本発明の積層吸音材は、自動車や鉄道等の運行による振動に由来する騒音を発生する車両などの内装部に用いることができる。
(実施例1〜8の作製)
実施例1〜8の積層吸音材は、表1に記載の多孔質基材シートと熱融着層とを用いて作製した。多孔質基材シートの一方の表面に非接触式延伸スロットダイコーター(ITWダイナテック社製:ホットメルトアプリケーターシステム)を用いて、熱融着層の厚みが表1に記載の厚みになるように積層した。25℃の環境下で、十分に冷却したのち、評価用試料とした。
(比較例1〜5の作製)
比較例1〜5の積層吸音材は、表2に記載の多孔質基材シートと熱融着層とを用いて作製した。多孔質基材シートの一方の表面に熱プレス機(テスター産業社製:型式SA−302)を用いて、熱融着層の厚みが表2に記載の厚みになるように積層した。25℃の環境下で、十分に冷却したのち、評価用試料とした。
(比較例6〜7)
比較例6〜7の積層吸音材は、表1に記載の多孔質基材シートと熱融着層とを用いて作製した。多孔質基材シートの一方の表面に非接触式延伸スロットダイコーター(ITWダイナテック社製:ホットメルトアプリケーターシステム)を用いて、熱融着層の厚みが表1に記載の厚みになるように積層した。25℃の環境下で、十分に冷却したのち、評価用試料とした。
(測定)
・密度の測定
各多孔質基材の密度は、JIS K7222:2005に準拠して測定した。結果を表1及び表2に示した。
・吸音率・吸音係数の測定
各多孔質基材及び各実施例・比較例の積層吸音材の、1000Hzの音波及び4000Hzの音波に対する吸音率を下記の方法で測定した。測定は音響材料試験キット(ブリュエル・ケアー社製:Type4206)を用いて、JIS A1405−2:2007に準拠して測定した。得られた吸音率を用いて式(1)及び式(2)から1000Hzの音波及び4000Hzの音波に対する吸音係数を算出した。結果を表1及び表2に示した。
・軟化点の測定
各熱融着層の軟化点の測定はJIS K6863:1994に準拠して測定した。結果を表1及び表2に示した。
・第一法線応力差の測定
各熱融着層の第一法線応力差は、粘弾性測定器(アントンパール社製:MCR−302)を用いて行った。結果を表1及び表2に示した。
・通気度の測定
各実施例・比較例の積層吸音材の通気度は、JIS L1096−7:2010に準拠して測定した。結果を表1及び表2に示した。
(評価)
各実施例・比較例の積層吸音材の吸音性の評価を表1及び表2に示した。評価基準を下記に示した。
○:1000Hzの周波数の音に対する吸音係数が1.2以上2.1以下であり、かつ、4000Hzの音波に対する吸音係数が0.90以上
△:1000Hzの周波数の音に対する吸音係数が1.2以上2.1以下であり、かつ、4000Hzの音波に対する吸音係数が0.80以上0.90未満
×:1000Hzの周波数の音に対する吸音係数が1.2未満、又は、4000Hzの音波に対する吸音係数が0.80未満
Figure 2020134765
Figure 2020134765
各実施例・比較例の積層吸音材の評価結果から本発明の効果が理解できる。
10,20 非接触式の延伸スロットダイコーター
11,21 ダイコーター
12,22 熱融着層
13,23 多孔質基材
24 搬送ローラー

Claims (5)

  1. 多孔質基材と、前記多孔質基材の少なくとも1つの表面に、直接又は他の層(A)を介して設けられた熱融着層とを、含む積層吸音材であって、
    前記熱融着層の厚みは、20μm以下であり、
    前記積層吸音材の前記熱融着層を介した通気度が、1cm/cm/s以下であることを特徴とする、積層吸音材。
  2. 前記積層吸音材の下式(1)で表される4000Hzの周波数の音に対する吸音係数が、0.8以上1.0以下であることを特徴とする、請求項1に記載の積層吸音材。
    (式1)
    (4000Hzの音に対する積層吸音材の吸音係数)=(4000Hzの音に対する積層吸音材の吸音率)÷(4000Hzの音に対する多孔質基材の吸音率)
  3. 前記熱融着層の、140℃における第一法線応力差が、500Pa〜10,000Paであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の積層吸音材。
  4. 前記熱融着層が、ポリエチレン−ポリ酢酸ビニル共重合体(EVA)、熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレン系熱可塑性樹脂のうち、少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層吸音材。
  5. 前記多孔質基材が、軟質ウレタン発泡体、又は、繊維体であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層吸音材。

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